(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】局所有効成分放出のためのインプラント
(51)【国際特許分類】
A61M 37/00 20060101AFI20240307BHJP
A61F 2/30 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
A61M37/00 550
A61F2/30
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021150089
(22)【出願日】2021-09-15
【審査請求日】2022-01-28
(32)【優先日】2020-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】510340506
【氏名又は名称】ヘレウス メディカル ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】フォクト セバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】クルーゲ トーマス
【審査官】竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】特表平11-504231(JP,A)
【文献】特表平10-508774(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 37/00
A61F 2/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
局所有効成分放出用のインプラントであって、インプラントは、
上壁(1、31)であって、上壁(1、31)は、閉じた円盤状であり、100N未満の力を使用し医療用注射カニューレ(100)を用いてピアシング可能である材料からなり、自己密封式であり、弾性変形可能である、上壁(1、31)と、
下壁(2、62、72)であって、下壁(2、62、72)は、上壁(1、31)の反対側に配置され、円盤状であり、弾性変形可能であり、下壁(2、62、72)は、下壁(2、62、72)を通る少なくとも1つのフィードスルー(3、63、73)を有し、少なくとも1つのフィードスルー(3、63、73)は液体透過性である、下壁(2、62、72)と、
上壁(1、31)と下壁(2、62、72)との間に配置された中空空間(4、34、84、94)と、
ピアシング防止手段(6、86、96)であって、ピアシング防止手段(6、86、96)は、上壁(1、31)と下壁(2、62、72)との間に配置され、円盤状であり、ピアシング防止手段(6、86、96)は、100N未満の力を使用し医療用注射カニューレ(100)を用いてピアシングすることができない材料からなる、ピアシング防止手段(6、86、96)と、
を有し、
下壁(2、62、72)は、上壁(1、31)の反対側に、この外面に液体(114)を分配するのに適した突出パターンを有する、インプラント。
【請求項2】
上壁(1、31)および下壁(2、62、72)は、円周方向リム(7、8、27、37、47、57)を介して共に接続されているか、またはピアシング防止手段(6、86、96)の円周方向の境界を介して共に接続されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のインプラント。
【請求項3】
上壁(1、31)および下壁(2、62、72)は、液密に共に接続されている、
ことを特徴とする請求項2に記載のインプラント。
【請求項4】
ピアシング防止手段(6、86、96)は、金属からなるか、少なくとも50%の範囲の金属からなり、および/または、
ピアシング防止手段(6、86、96)は、中空空間(4、34、84、94)内に配置されている、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項5】
ピアシング防止手段(6、86、96)は、上壁(1、31)にしっかりと接続されておらず、ピアシング防止手段(6、86、96)は、上壁(1、31)に面する下壁(2、62、72)の側に配置されている、
ことを特徴とする請求項4に記載のインプラント。
【請求項6】
下壁(2、62、72)は、医療用注射カニューレ(100)を用いてピアシング可能であり、および/または、
インプラントの幅と高さ、および深さと高さの比率は、少なくとも2:1である、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項7】
下壁(2、62、72)は、医療用注射カニューレ(100)を用いてピアシング可能であり、下壁(2、62、72)は、ゴム弾性プラスチック材料からなり、および/または、
インプラントの幅と高さ、および深さと高さの比率は、少なくとも3:1である、
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項8】
中空空間(4、34、84、94)は、液体(114)の注入によって弾性的に拡張可能である、
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項9】
拡張した中空空間(4、34、84、94)内の液体(114)は、少なくとも1つのフィードスルー(3、63、73)を通して中空空間(4、34、84、94)から弾性力をともなって排出可能である、
ことを特徴とする請求項8に記載のインプラント。
【請求項10】
突出パターンは、リブ(70)および/またはバンプ(10、60)および/または、
下壁(2、62、72)のこの外面上の少なくとも1つのチャネルに開口し、少なくとも1つのチャネルは突出パターンによって形作られる、少なくとも1つのフィードスルー(3、63、73)であり、および/または、
液体(114)は、中空空間(4、34、84、94)内に存在し、または、
有効成分溶液または固体または半固体状態の成分が中空空間(4、34、84、94)内に存在する、
ことを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項11】
液体(114)は、中空空間(4、34、84、94)内に存在し、液体(114)は、少なくとも1つの医薬品有効成分であり、少なくとも1つの医薬品有効成分のうちの1つは、シクロスポリンAである、
ことを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項12】
ピアシング防止手段(6、86、96)は、中空空間(4、34、84、94)を区切る下壁(2、62、72)の内面の少なくとも50%と同じ大きさであり、および/または、
ピアシング防止手段(6、86、96)は、中空空間(4、34、84、94)の内側に対してピアシング防止手段(6、86、96)の円周方向の境界で同一平面上に静止しない、
ことを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項13】
ピアシング防止手段(6、86、96)は、中空空間(4、34、84、94)を区切る下壁(2、62、72)の内面の少なくとも75%と同じ大きさである、
ことを特徴とする請求項1~12のいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項14】
インプラントは円盤状であり、上壁(1、31)はインプラントの上側を形成し、下壁(2、62、72)はインプラントの下側を形成し、および/または、
中空空間(4、34、84、94)は、上壁(1、31)およびピアシング防止手段(6、86、96)によって区切られる内部(5、35、85、95)を有する、
ことを特徴とする請求項1~13のいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項15】
インプラントは円盤状であり、上壁(1、31)はインプラントの上側を形成し、下壁(2、62、72)はインプラントの下側を形成し、インプラントの表面全体または円周方向のリム(7、8、27、37、47、57)を除くインプラントの表面全体は、上壁(1、31)および下壁(2、62、72)によって形成され、および/または、
中空空間(4、34、84、94)は、上壁(1、31)およびピアシング防止手段(6、86、96)によって区切られる内部(5、35、85、95)を有し、内部(5、35、85、95)は、上壁(1、31)をピアシング防止手段(6、86、96)から少なくとも0.5mm離す、
ことを特徴とする請求項1~14のいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項16】
少なくとも1つのフィードスルー(3、63、73)の各々に圧力逃し弁が配置され、圧力逃し弁は、最小圧力から外部に開き、および/または、
上壁(1、31)および/または下壁(2、62、72)は、ゴム弾性プラスチック材料からなるか、またはリム(7、8、27、37、47、57)を除いてゴム弾性プラスチック材料からなる、
ことを特徴とする請求項1~15のいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項17】
少なくとも1つのフィードスルー(3、63、73)の各々に圧力逃し弁が配置され、圧力逃し弁は、少なくとも20kPaの最小圧力から外部に開き、および/または、
上壁(1、31)および/または下壁(2、62、72)は、ゴム弾性プラスチック材料からなるか、またはリム(7、8、27、37、47、57)を除いてゴム弾性プラスチック材料からなり、医療用注射カニューレ(100)によるピアシングおよびその引き抜き後、上壁(1、31)のゴム弾性プラスチック材料は、再び収縮し、液体不透過的に閉じる、
ことを特徴とする請求項1~16のいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項18】
ピアシング防止手段(6、86、96)は、少なくとも1つの液体透過性開口部を有し、および/または、
ピアシング防止手段(6、86、96)は、下壁(2、62、72)に面する側に表面パターン(82、92)を有する、
ことを特徴とする請求項1~17のいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項19】
ピアシング防止手段(6、86、96)は、少なくとも1つの液体透過性開口部を有し、少なくとも1つの液体透過性開口部は、最大0.5mmの自由断面を有し、および/または、
ピアシング防止手段(6、86、96)は、上壁(1、31)に面する側および下壁(2、62、72)に面する側に表面パターン(82、92、99)を有する、
ことを特徴とする請求項1~18のいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項20】
ピアシング防止手段(6、86、96)は、下壁(2、62、72)にしっかりと接続されている、および/または、
上壁(1、31)に面する上側において、ピアシング防止手段(6、86、96)は、凹状の形状を有し、および/または突出した境界を有し、および/または、
インプラントは、インプラントを軟組織に縫合することができる1つまたは複数のラグ(20、39、50)を有する、
ことを特徴とする請求項1~19のいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項21】
請求項1~20のいずれか1項に記載のインプラントを充填するための方法であって、
インプラントは移植前のものであり、
この方法は、人体または動物の体のいかなる手術および治療を含まず、および/または液体(114)は、この方法において移植前に人体または動物の体に送達されず、
A)インプラントおよび液体(114)で満たされた注射器(102)の提供のステップであって、注射器(102)は、医療用注射カニューレ(100)を有する、ステップと、
B)注射器(102)の医療用注射カニューレ(100)を用いた上壁(1、31)のピアシングのステップと、
C)医療用注射カニューレ(100)を通した注射器(102)からインプラントの中空空間(4、34、84、94)への液体(114)の注入のステップと、
D)中空空間(4、34、84、94)内の液体(114)の拡散のステップであって、液体(114)は、少なくとも1つのフィードスルー(3、63、73)まで流れる、ステップと、
E)必要に応じて、液体(114)の注入による中空空間(4、34、84、94)の弾性的拡張のステップと、
を特徴とする方法。
【請求項22】
ステップB)において、医療用注射カニューレ(100)の先端は、それがピアシング防止手段(6、86、96)と接触する程度まで上壁(1、31)を通して挿入され、次いで、医療用注射カニューレ(100)の先端の開口部は、中空空間(4、34、84、94)の内部に位置し、中空空間(4、34、84、94)の内部は、ピアシング防止手段(6、86、96)と上壁(1、31)との間に配置される、
ことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
ステップE)の後、
F)中空空間(4、34、84、94)および上壁(1、31)から医療用注射カニューレ(100)の引き抜きのステップと、
G)上壁(1、31)のゴム弾性回復による上壁(1、31)の液密閉鎖のステップと、
H)必要に応じて、弾性的に拡張した中空空間(4、34、84、94)の弾性復元力および少なくとも1つのフィードスルー(3、63、73)を通した中空空間(4、34、84、94)からの液体(114)の追放に起因する中空空間(4、34、84、94)の圧縮のステップと、
が進むことを特徴とする請求項21または22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、局所有効成分放出のためのインプラント、およびそのようなインプラントを液体で満たすための方法に関する。
【0002】
したがって、本発明の主題は、局所有効成分放出、特に免疫抑制剤の局所的放出を目的としたインプラントである。一度移植されると、この目的のためにインプラントを外植する必要なしに、医療ユーザーはインプラントに有効成分を複数回再装填することができる。
【背景技術】
【0003】
リウマチ性疾患は、いわゆる自己免疫疾患の1つであり、現時点ではまだ正確に理解されていない理由により、免疫系が内因性構造を攻撃する。関節リウマチおよび乾癬性関節炎の疾患は、リウマチ性疾患群に属し、関節の炎症(関節炎)に関連している。通常慢性的な経過をたどるこの関節の炎症は、関節の進行性の破壊につながる可能性がある。人間の関節は関節包(articular capsule;関節包)に囲まれている。このカプセルは、外側の結合組織層(membrana fibrosa;膜繊維)と滑膜(membrana synovialis;膜滑膜)として知られる内側の層とで構成されている。滑膜は、関節リウマチおよび乾癬性関節炎の炎症過程において中心的な役割を果たす。これは、誤った方向に向けられた免疫細胞が滑膜を通って内側に移動するため、または滑膜上の線維芽細胞の増殖が線維芽細胞の細胞クローンであるパンヌスの形成につながる可能性があるためである。パンヌスが崩壊すると、インターロイキンやα-TNF(α-腫瘍壊死因子)などの炎症メディエーターが、移動した免疫細胞から分泌される。炎症カスケードを介して、これらの炎症メディエーターは、免疫細胞からのプロテアーゼおよび他の破壊的酵素の放出を制御し、その結果、軟骨および骨の構造が酵素的に破壊される。以下の出版物は、これに関連して例として言及されている。
「LPS誘発ウサギ関節炎におけるTNFα、IL-1β、IL-1受容体拮抗薬、IL-8間の炎症性サイトカインネットワークの分析」、Matsukawa A.、Yoshimura T.、Miyamoto K.、Ohkawara S.、Yoshinaga M.、ラボインベスト。1997年5月;76(5):629-38. PMID:9166282。
「関節リウマチ患者の滑液および血漿中のサイトカイン濃度:骨侵食との相関関係」、Fong K.Y.、Boey M.L.、Koh W.H.、Feng P.H.、Clin. Exp. リウマトール. 1994年1月-2月; 12(1):55-8.PMID: 8162643。
「若年性慢性関節炎患者の血漿および滑液における炎症誘発性(TNF-α、IL-1α、IL-6)およびT細胞由来(IL-2、IL-4)サイトカインの研究:臨床との相関および検査パラメーター」、Kutukculer N.、Caglayan S.、Aydogdu F.、Clin.リウマトール.1998; 17 (4): 288-92.doi: 10.1007 / BF01451007.PMID:9776110。
「ヒト滑液中のサイトカイン測定に関する予備報告:リウマチ研究のための欧州ワークショップのコンセンサス研究」、リウマチ研究のための欧州ワークショップのサイトカインコンセンサス研究グループ。Roux-Lombard P., Steiner G., Clin.Exp.リウマトール.1992年9月-10月;10 (5): 515-20.PMID: 1333926 レビュー。
「破壊的関節炎の実施におけるT細胞インターロイキン-17の役割:動物モデルからの教訓」、Lubberts E.、Koenders M.I.、van den Berg W.B.、ArthritisRes.2005; 7(1):29-37.doi: 10.1186 / ar1478.Epub 2004 11月30日. PMID:15642151無料のPMC記事.レビュー。
【0004】
関節リウマチおよび乾癬性関節炎の全身薬物療法には、さまざまな有効成分グループが利用できる。これらの有効成分グループは、鎮痛薬、非ステロイド性抗炎症薬、グルココルチコイド、および基本的な治療薬(疾患修飾性抗リウマチ薬、DMARD)に細分される。さらに、α-TNF(α-腫瘍壊死因子)またはインターロイキンIL-17をブロックする最新の抗体(生物学的製剤)がある。免疫系を抑制する低分子量の有効成分は特に興味深いものである。この種の重要な有効成分は、シクロスポリンA(CAS 59865-13-3)、タクロリムス(CAS 104987-11-3)、エベロリムス(CAS 159351-69-6)である。
【0005】
シクロスポリンAの作用機序は、シクロスポリンAとイムノフィリンシクロフィリンの複合体の形成に起因する。この複合体は、ホスファターゼカルシニューリンを阻害する。酵素カルシニューリンは、α-TNFの形成に不可欠であり、α-TNFは炎症カスケードの開始時に重要な化合物である。したがって、α-TNFの合成を阻害することにより、下流の炎症カスケードを阻害することも可能である。
【0006】
全身薬物療法では、シクロスポリンAの血清有効成分濃度を約75μg/l~175μg/l、タクロリムスの場合は5μg/l~20μg/lの範囲で達成することが可能である。全身の有効成分濃度を高くすることは、体の残りの部分に望ましくない全身毒性の副作用のリスクがあるため、長期治療では不可能である。これは、関節包組織(膜線維および膜滑膜)の有効成分濃度が非常に低く、したがって炎症過程に対して限られた免疫調節効果しか持たないことを意味する。
【0007】
したがって、関節リウマチおよび乾癬性関節炎の患者の関節領域における慢性炎症過程を低減するために、免疫抑制剤を関節包組織に直接投与して、これらの免疫抑制剤の局所的に高い濃度を達成できることが望ましい。
【0008】
抗生物質の局所投与に使用できる関節の領域に医薬品有効成分を送達するためのインプラントはすでに知られている。特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5は、これに関連して例として言及されている。ただし、これらのインプラントでは、関節の大部分がすでに除去されており、インプラントは主に抗生物質でプロテーゼを治療するために使用される。このようなインプラントは、関節リウマチや乾癬性関節炎の治療には考慮できない。治療のために治療する関節を取り除く必要があり、その後の治療は意味をなさないからである。特許文献6は、有効成分を投与し、減圧を維持して、治癒が不十分な空洞内の創傷治癒を加速し、機械的に安定化するためのインプラントを開示している。
【0009】
特許文献7は、医薬品有効成分を眼球に直接送達することができる管状の詰め替え可能な眼のインプラントを開示している。管状インプラントは、この目的のために眼球に直接挿入される。このインプラントは、関節へのインプラントを意図したものでも、適切なものでもない。関節への挿入は関節自体を攻撃して損傷し、インプラントの挿入時に関節の感染や炎症のリスクがある。
【0010】
特許文献8および特許文献9は、関節を治療するため、または関節を潤滑するための医療用液体が、チューブを介してリザーバから関節に供給されるインプラントを開示している。このインプラントは比較的大きく、設置するのは困難である。2次元アプリケータへの供給ラインを最初に洗い流す必要があるため、急な通知で治療を変更することは複雑であり、これは移植された状態では簡単には不可能である。このインプラントは、インプラントを介して送達される潤滑剤で関節を潤滑するのに非常に適しているが、これらのインプラントの助けを借りて高濃度で有効成分を標的に送達することは、インプラント、リザーバ、および供給ラインが過度に大きなボリュームを含むので可能にはみえない。
【0011】
特許文献10は、関節包の内部における抗炎症有効成分の局所放出のための有効成分システムを開示している。これには、ねじ頭にオリフィスが付いた中空ねじが含まれる。これらの中空ねじは、有効成分を充填することができる。次に、ねじは、軟骨組織に加えて、関節包内に位置する骨組織に導入される。次に、有効成分は、スクリューヘッドのオリフィスを介して滑液に放出されることが意図されている。ここでの欠点は、関節包を開く必要があり、有効成分の放出が完了すると、ねじが関節包の内部に残ることである。関節包を開くことは、常に感染の明確なリスクを伴う。埋め込まれたスクリューに新しい有効成分を充填することはできない。したがって、治療はまた、治療された患者の状態のいかなる変化にも適応することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】GB2 290 971 A
【文献】US 2010/0042213 A
【文献】WO 2017/178951 A1
【文献】WO 2007 / 084878A1
【文献】US6 245 111 B1
【文献】US 2007/0219471 A1
【文献】WO 2010/088548 A1
【文献】US 5 681 289A
【文献】US2018 / 0028320 A1
【文献】US 2003/0139811 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、先行技術の不利な点を克服することである。特に、高濃度の免疫抑制剤による局所治療が長期間にわたって可能である有効成分の局所放出のためのインプラントを提供することを意図している。治療は、可能であれば、急な通知でも、患者の個々の治療状況に適応できる必要がある。
【0014】
したがって、本発明の目的はまた、局所的な有効成分の放出に適した皮下インプラントを開発することである。医学的使用者にとって、この目的のためにインプラントを外植する必要なしに、患者に位置するインプラントに新鮮で異なる有効成分を直接補給することが可能であることが好ましいはずである。インプラントを使用する場合、医療ユーザーがインプラントで治療する組織構造を損傷または損傷しないようにする必要がある。X線イメージングによって患者のインプラントを視覚化することが可能であるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の目的は、局所有効成分放出用のインプラントによって達成され、インプラントは、
上壁であって、上壁は、閉じた円盤状であり、100N未満の力を使用し医療用注射カニューレを用いてピアシング可能である材料からなり、自己密封式であり、弾性変形可能である、上壁と、
下壁であって、下壁は、上壁の反対側に配置され、円盤状であり、弾性変形可能であり、下壁は、下壁を通る少なくとも1つのフィードスルーを有し、少なくとも1つのフィードスルーは液体透過性である、下壁と、
上壁と下壁の間に配置された中空空間と、
ピアシング防止手段であって、ピアシング防止手段は、上壁と下壁との間に配置され、円盤状であり、ピアシング防止手段は、100N未満の力を使用し医療用注射カニューレを用いてピアシングすることができない材料からなる、ピアシング防止手段と、
を有する。
【0016】
インプラントは、好ましくは医療用インプラントである。したがって、身体または身体の組織と接触する可能性のあるインプラントのすべての材料は、特に好ましくは生体適合性でなければならない。したがって、上壁および下壁を構成する材料は、好ましくは生体適合性である。
【0017】
インプラントは、自己免疫プロセスによって引き起こされる慢性関節炎症の場合に関節包の外側の領域に埋め込まれることが好ましく、したがって提供され、この目的に適している。リウマチ性疾患群の例は、慢性関節リウマチおよび乾癬性関節炎である。したがって、インプラントは、特に好ましくは、慢性関節リウマチおよび乾癬性関節炎を治療するためのインプラントである。
【0018】
医療用注射カニューレは、医療分野からの任意の所望の従来の市販の注射器の注射カニューレを意味すると解釈され、特に硬い材料をピアシングするための特別なツールではない。そのような注射カニューレは、例えば、規格ISO 7864:2016(2016-08)およびDIN 13097-4(2019年6月1日)によって特徴付けられ得る。B. Braun MelsungenAGのSterican(登録商標)標準カニューレがその一例である。
【0019】
セルフシールとは、上壁が医療用注射カニューレでピアシングされ、医療用注射カニューレが上壁から再び引き抜かれると、液密に自動的に閉じられることを意味する。
【0020】
好ましくは、インプラントは、平坦および/または円盤状であるように準備され得る。
【0021】
円盤状の本体は、その幅および深さよりも小さい厚さまたはゲージを有し、実質的に平面の形状を有する。
【0022】
インプラントは、液体で満たすか、または充填することができ、したがって、移植の前後の両方で少なくとも1つの有効成分を充填することができる。次に、インプラントは、少なくとも1つのフィードスルーを介して液体または少なくとも1つの有効成分を送達することができる。
【0023】
インプラントは、好ましくは、免疫抑制剤の局所放出に適し得て、意図され得る。一旦移植されると、医療ユーザーは、この目的のためにインプラントを外植する必要なしに、インプラントに有効成分を複数回再装填することができる。
【0024】
インプラントおよび/または上壁および/または下壁が円形になるように準備され得る。平らな構造の場合、この形状は表面積に対する体積の比率が最も高く、関節に容易に埋め込むことができる。
【0025】
上壁と下壁は、円周方向のリムを介して一緒に接続されるか、またはピアシング防止手段の円周方向の境界を介して一緒に接続され得て、上壁および下壁は、好ましくは液密に一緒に接続される。
【0026】
このようにして、インプラントのコンパクトで平坦な構造が得られ、その結果、インプラントは、移植によって関節包の外側に容易に重ね合わせることができる。上壁および下壁が液密に接続されている場合、液体は、インプラントから少なくとも1つのフィードスルーを介してのみ中空空間から送達できる。上壁および下壁は、好ましくは、上壁の円周方向リムと下壁の円周方向リムとを介して直接接続されている。したがって、円周方向リムは、上壁および/または下壁の一部であり得、したがって、特に、2つの部品でもあり、上壁および下壁の両方の一部であり得る。上壁および下壁が共に接続されるように、特に、ラッチ機構によって液密に共に接続されるように、準備され得る。
【0027】
あるいは、しかしながら、上壁および下壁はまた、一部品構造であり得る。これは、特に非常に小さなインプラントの製造において利点がある。製造は、例えば、ピアシング防止手段を弾性またはゴム弾性ブラダーに配置し、次にブロー成形法によって下壁および上壁を成形することによって進め得る。ピアシング防止手段が配置されている基本形状は、この目的のためにガス圧で膨張させ、外形に押し付けてから、この状態で固化させ得る。
【0028】
さらに、ピアシング防止手段は、金属からなるか、または少なくとも50%の範囲の金属からなるように準備され得る。
【0029】
このようにして、ピアシング防止手段のピアシングを確実に防止することができる。さらに、多くの生体適合性金属および金属合金があるため、金属は医療分野で特に容易に使用することができる。結果として、ピアシング防止手段は、さらにX線で効果的に視覚化することができる。したがって、患者のインプラントの位置を簡単に確認することができる。ステンレス鋼、チタン、チタン合金、タンタル、タンタル合金、さらに銀含有合金、ならびに銀は、好ましくは金属と見なされ得る。
【0030】
さらに、ピアシング防止手段を中空空間に配置するために準備され得て、ピアシング防止手段は、好ましくは上壁にしっかりと接続されておらず、ピアシング防止手段は、特に好ましくは、上壁に面する下側の側に配置される。
【0031】
このようにして、ピアシング防止手段は、中空空間への液体の注入中に上壁から持ち上げることができ、したがって、この領域の中空空間を拡張することができる。その結果、ピアシング防止手段の平坦な構造の場合でも、医療用注射カニューレの開口部が、ピアシング防止手段の上の中空空間の内部に配置され、その結果、液体を中空空間の内部に注入することができる。
【0032】
下壁が医療用注射カニューレを用いてピアシング可能であるように準備され得て、下壁は好ましくはゴム弾性プラスチック材料からなる。
【0033】
このようにして、下壁は、ゴムなどの弾性の高い材料から製造され得て、その結果、中空空間は、下部領域でも拡張可能である。その結果、より多くの液体を中空空間に注入することができる。このようにして、インプラントの下側、すなわち下壁は、関節包の外面の形状にさらに適応することができる。
【0034】
好ましいさらなる開発によれば、液体の注入によって中空空間が弾性的に拡張可能であるように準備され得て、拡張した中空空間内の液体は、好ましくは、少なくとも1つのフィードスルーを通して中空空間から弾性力で排出可能である。
【0035】
このようにして、液体は、中空空間への圧力によって、特に上壁および下壁に作用する弾性復元力によって、中空空間から周囲に排出することができる。
【0036】
さらに、下壁は、上壁の反対側に、この外面に液体を分配するのに適した突出パターンを有するように準備され得て、突出パターンは、好ましくは、リブおよび/またはバンプ、および/または、下壁のこの外面上の少なくとも1つのチャネルに開口し、少なくとも1つのチャネルは突出パターンによって形作られる、少なくとも1つのフィードスルーである。
【0037】
このようにして、少なくとも1つのフィードスルーが基板によって詰まったり閉じられたりするのを防ぐことが可能である。さらに、このようにして、中空空間からの液体が下壁の外面に効果的に分配され得ることが保証される。インプラントは軟組織で覆われている。これは上壁に圧力をかける可能性があり、その結果、上壁は中空空間内の有効成分溶液に圧力をかけることができる。結果として、有効成分溶液が下壁のフィードスルーを通って出る速度を加速することが可能である。上壁の下側の突出パターンまたはリブおよび/またはバンプは、下壁の方向への上壁の移動を妨げる。その結果、内部および中空空間の圧力が解放され、中空空間からの有効成分溶液の排出が防止される。
【0038】
また、好ましくは、インプラントの幅対高さおよび深さ対高さの比率は、少なくとも2:1、好ましくは少なくとも3:1であるように準備し得る。
【0039】
このようにして、インプラントは、関節の領域における皮膚の下に容易に移植することができる。さらに、中空空間または内部を液体で満たすために、上壁を医療用注射カニューレで非常に簡単に配置することができる。
【0040】
液体が中空空間に存在するように準備し得て、液体は好ましくは少なくとも1つの医薬品有効成分を含み、少なくとも1つの有効成分のうちの1つは、特に好ましくはシクロスポリンA、あるいは有効成分溶液または固体または半固体状態の有効成分が中空空間に存在する。
【0041】
このように、インプラントは、医療用または液体の送達用に直接使用可能であるかあるいは、キャリア液または固体または半固体の有効成分用の溶媒を充填した後、医療用または液体の送達用に使用可能である。
【0042】
さらに、ピアシング防止手段は、中空空間を区切る下壁の内面の少なくとも50%と同じ大きさであり、好ましくは下壁の内面の少なくとも75%と同じ大きさであるように準備し得る。
【0043】
このようにして、下壁をピアシングすることを回避するために、医療用注射カニューレを特定の精度で配置または標的化する必要がないことが保証される。
【0044】
さらに、ピアシング防止手段の円周方向の境界で中空空間の内側に対して面一にならないように、ピアシング防止手段を準備し得る。
【0045】
その結果、中空空間内の液体は、ピアシング防止手段と上壁との間の上方内部から、ピアシング防止手段と下壁との間の下方内部に流れることができる。
【0046】
好ましくは、インプラントは円盤状であり、上壁はインプラントの上側を形成し、下壁はインプラントの下側を形成するように準備し得て、インプラントの表面全体または円周方向のリムを除くインプラントの表面全体は、好ましくは、上壁および下壁によって形成される。
【0047】
このようにして、液体を中空空間に容易に注入できるように、注射器の医療用注射カニューレを用いて簡単に位置することができるコンパクトで平らなインプラントを提供することができる。
【0048】
好ましいさらなる開発によれば、中空空間は、上部およびピアシング防止手段によって区切られる内部を有するよう準備し得て、内部は、好ましくは、上部をピアシング防止手段から少なくとも0.5mm、特に好ましくは少なくとも1mm離す。
【0049】
このようにして、医療用注射カニューレが上部から挿入されるときに、医療用注射カニューレの開口部が内部に配置されることは確実になる。結果として、医療用液体を医療用注射カニューレを用いて内部に、したがって医療用インプラントの中空空間に注射できることを確実にすることができる。
【0050】
圧力逃し弁が少なくとも1つのフィードスルーの各々に配置され、圧力逃し弁は、最小圧力から外部に開き、好ましくは、少なくとも20kPaの最小圧力から外部に開くように準備し得る。
【0051】
このようにして、中空空間からの液体、したがって液体中の有効成分は、患者の体内の中空空間に圧力をかけることによって、標的とされた方法で投与または放出することができる。さらに、インプラントへの体液の逆流を防ぐことができる。
【0052】
さらに、上壁および/または下壁は、ゴム弾性プラスチック材料からなるように、またはリムを除いてゴム弾性プラスチック材料からなるように準備し得て、医療用注射カニューレによるピアシングおよびその引き抜き後、上壁のゴム弾性プラスチック材料は、再び収縮し、液体不透過的に閉じることが好ましい。
【0053】
このようにして、一方では液体が上壁から出ないことを保証することが可能であり、他方ではゴム弾性プラスチック材料の弾性力が少なくとも1つのフィードスルーを介して液体をインプラントの中空空間から追い出すことができる。
【0054】
また、好ましくは、上壁および下壁は液密であり、特に好ましくは、有効成分密であること、すなわち、液体中に存在する有効成分が上壁および下壁を通って拡散することができないようにし得る。
【0055】
好ましくは、下壁がゴム弾性プラスチック材料からなるように、または少なくとも中央領域が注射カニューレでピアシング可能なゴム弾性プラスチック材料からなるように準備し得て、注射カニューレを取り外した後、ピアシングによって作成されたオリフィスは、特に好ましくは、ゴム弾性プラスチック材料の復元力によって再閉鎖可能である。
【0056】
さらに、ピアシング防止手段は少なくとも1つの液体透過性開口部を有するように準備し得て、少なくとも1つの開口部は、好ましくは最大0.5mm、特に好ましくは最大0.25mmの自由断面を有する。
【0057】
このようにして、中空空間内の液体は、ピアシング防止手段の一方の側からピアシング防止手段の他方の側に流れることができ、または下壁の少なくとも1つのフィードスルーに到達することができる。
【0058】
さらに、ピアシング防止手段は、下壁に面する側に表面パターンを有するように、好ましくは、上壁に面する側および下壁に面する側に表面パターンを有するように準備し得る。
【0059】
これにより、下壁がピアシング防止手段のそれに面する下側に対して近づきすぎないことが保証される。ピアシング防止手段の上側の表面パターンのおかげで、医療用注射カニューレがピアシング防止手段まで上壁を通して挿入されたときに、医療用注射カニューレの先端にある開口部がいずれにしても中空空間内に配置されることを確実にすることが可能である。表面パターンは、好ましくは、溝によって、または円形のくぼみによって形成され得る。ピアシング防止手段の上側に配置されたパターンはまた、医療用注射カニューレがピアシング防止手段の上側で滑るのを防ぐ。あるいは、その上側に円周方向の境界を有するピアシング防止手段を提供することも可能である。円周方向の境界は、上向きに突き出たリムであり得る。その場合はまた、医療用注射カニューレが滑ることができず、その結果、上壁に第2の穿孔が生じる可能性がある。好ましくは、ピアシング防止手段がわずかに凹状の円盤として形作られるようにさらに準備し得る。結果として、医療用注射カニューレの滑りも同様に打ち消される。ピアシング防止手段の下側のパターンは、有効成分溶液が下壁の少なくとも1つの開口部に到達することを可能にし得る。
【0060】
ピアシング防止手段が下壁にしっかりと接続されるように準備することが好ましい場合がある。
【0061】
このようにして、ピアシング防止手段は、それが保護することを意図している下壁に対して固定することができる。
【0062】
同様に、ピアシング防止手段は、上壁に面する上側に凹状の形状および/または突出した境界を有するように準備し得る。
【0063】
このようにして、医療用注射カニューレの先端が意図せず滑るのを防ぐことが可能である。さらに、これはまた、凹状のくぼみおよび上壁に内部を形成し、そこに医療用注射カニューレで液体を注入することができる。
【0064】
さらに、インプラントは、インプラントを軟組織に縫合することができる1つまたは複数のラグを有するように準備し得る。
【0065】
このようにして、インプラントを軟組織に固定することができる。さらに、これによりインプラントの正確な位置決めが可能になり、インプラントの移動を排除することができる。
【0066】
本発明の根底にある目的はまた、以下のステップを有するそのようなインプラントを充填するための方法によって達成される。
A)インプラントおよび液体で満たされた注射器の提供のステップであって、注射器は、医療用注射カニューレを有する、ステップと、
B)注射器の医療用注射カニューレを用いた上壁のピアシングのステップと、
C)医療用注射カニューレを通した注射器からインプラントの中空空間への液体の注入のステップと、
D)中空空間内の液体の拡散のステップであって、液体は、少なくとも1つのフィードスルーまで流れる、ステップと、
E)必要に応じて、液体の注入による中空空間の弾性的拡張のステップ。
【0067】
液体は、好ましくは、少なくとも1つの医薬品有効成分を含む。本発明によれば、ステップE)は好ましいが任意である。
【0068】
この方法は、人体または動物の体のいかなる治療も含まず、および/または液体(114)は、この方法の文脈において人体または動物の体に送達されないように準備し得る。
【0069】
本発明による方法は、人体を治療するための方法ではないことをここに明らかにする。
【0070】
さらに、ステップB)において、医療用注射カニューレの先端は、それがピアシング防止手段と接触する程度まで上壁を通して挿入され、次いで、医療用注射カニューレの先端の開口部は、中空空間の内部に位置し、中空空間の内部は、ピアシング防止手段と上壁との間に配置されるように準備し得る。
【0071】
このようにして、医療用注射カニューレを用いて液体を中空空間に確実に注入することが可能である。
【0072】
好ましくは、ステップE)の後、次のステップF)、G)およびオプションでH)を進めるように準備し得る。
F)中空空間および上壁から医療用注射カニューレの引き抜きのステップと、
G)上壁のゴム弾性回復による上壁の液密閉鎖のステップと、
H)必要に応じて、弾性的に拡張した中空空間の弾性復元力および少なくとも1つのフィードスルーを通した中空空間からの液体の追放に起因する中空空間の圧縮のステップ。
【0073】
したがって、医療用液体が少なくとも1つのフィードスルーを通してのみ投与され、インプラントの反対側の上側から意図せずに出てこないことを確実にすることが可能である。
【0074】
本発明は、2つの弾性壁の間の中間にあるピアシング防止手段によって、平坦な構造を有し、したがって、関節の領域での皮下使用に適したコンパクトなインプラントを提供することが可能であるという驚くべき認識に基づいており、インプラントは、医療用注射カニューレを用いて一方の壁にピアシングすることができ、その結果、インプラントは、皮膚を通して直接繰り返し充填することができ、インプラントは、その反対側の壁に少なくとも1つのフィードスルーを有し、それを通して、有効成分を含む液体または有効成分を、高濃度で外部関節カプセル表面または治療される部位に直接送達することができる。弾性的に拡張可能な中空空間のおかげで、液体はインプラントの中空空間から連続的に送達することができる。基板としての関節に埋め込まれた円盤状の下壁のおかげで、関節上の有効成分の広範な接触と扇形の分布を達成することが可能である。インプラントの弾性適合性により、インプラントは、治療される関節の表面の形状に少なくともいくらか適合させることができる。ここでのピアシング防止手段は、インプラントを不注意にピアシングして、下にある組織に損傷を与える可能性を防ぐ。さらに、液体がインプラント内に不注意に投与されないようにすることが可能である。本発明によるインプラントは、この目的のためにインプラントを外植する必要なしに、通常の注射器の従来の医療用注射カニューレの助けを借りて、患者に位置するインプラントを医療ユーザーが複数回充填できることを保証する。ピアシング防止手段は、医療ユーザーが医療用注射カニューレでインプラントの下の組織構造に穴を開けたり損傷したりしないことを保証する。
【0075】
本発明によるインプラントは、好ましくは、わずかに上向きに湾曲した円盤の形態を有する。下壁および上壁は、好ましくは、軟質のゴム弾性材料から形成される。結果として、インプラントは、インプラント部位の表面形態に適応することができる。インプラントは、好ましくは平坦であり、平面図では、特に好ましくは円形または楕円形である。それは、好ましくは、3mmから最大20mmの範囲の直径を有する。より大きなインプラントは、膝関節の関節包への局所的な有効成分の放出を特に目的としている。小径のインプラントは、指の関節と手の基礎関節の領域に埋め込むことができる。少なくとも1つの開口部は、好ましくは0.5mm未満、特に好ましくは0.25mm未満の直径を有する。下壁に2つ以上の開口部を配置することも可能である。本発明の文脈において、インプラントが、治療される組織に面する側でのみ有効成分溶液の形態で医薬品有効成分の遅延放出を提供できることが有利であることが認識されている。
【0076】
インプラントは、好ましくは、インプラントが治療される関節の関節包の外面に最初に皮下に埋め込まれるような方法で使用される。有効成分溶液が既に充填されているインプラントだけでなく、まだ充填されていないインプラントも移植することが可能である。インプラントが正常に配置されたら、周囲の軟組織に固定するために縫合することができる。インプラントが有効成分で満たされていない状態で埋め込まれた場合、医療ユーザーは、任意の所望の医薬品有効成分溶液、特に好ましくは免疫調節剤の溶液を供給することができる。投与される有効成分溶液は、この目的のために注射器で作成され、注射器は、直径0.5mm未満の注射カニューレ(皮下注射針)に接続されている。次に、カニューレを患者の皮膚を通してインプラントの方向に挿入し、上壁に穴を開ける。次に、ピアシング防止手段は、注射カニューレがそれ以上貫通するのを阻止する。次に、有効成分溶液が内部または中空空間に投与される。投与が完了すると、注射カニューレは、内部または中空空間からおよび上壁から引き抜かれる。上壁のゴム弾性材料の復元力により、上壁の孔が閉じる。有効成分溶液は、下壁の下側の液体を透過可能な少なくとも1つのフィードスルーからの拡散によって放出される。言うまでもなく、インプラントは、注射器の助けを借りて、有効成分または少なくとも1つの有効成分を含む液体で移植前に満たすこともできる。。
【0077】
好ましくは、考慮され得る医薬品有効成分は、長期間にわたる加水分解に対して十分に耐性である免疫調節剤である。好ましい免疫調節剤は、シクロスポリンA(CAS 59865-13-3)、タクロリムス(CAS 104987-11-3)およびエベロリムス(CAS 159351-69-6)である。コルチゾン(CAS 53-06-5)、ベタメタゾン(CAS 378-44-9)、トリアムシノロン(CAS 124-94-7)、デキサメタゾン(CAS 50-02-2)、リン酸デキサメタゾン(CAS 2392-39-4)などのコルチコステロイドを、免疫調節剤としてさらに使用し得る。さらに、免疫調節剤アプレミラスト(CAS 608141-41-9)も使用可能である。特に好ましい免疫調節剤は、室温での水への溶解度が非常に低いものである。
【0078】
有効成分が放出されると、インプラントの外植を必要とせずに、注射器および注射カニューレの助けを借りて、インプラントに有効成分溶液を複数回充填することができる。
【0079】
局所有効成分放出のための本発明による例示的なインプラントは、以下のものから構成される。
a)円盤状本体の上側を円盤状本体の下側に液体透過的に接続する少なくとも1つのフィードスルーを有する下壁としての円盤状ベース部材と、
b)円盤状ベース部材上に配置されるピアシング防止手段としての注射カニューレでピアシングできない円盤と、
c)上壁としての液不透過性カバーであって、液不透過性カバーは、円盤状で弾性変形可能であり、円盤状ベース部材に接続されている、液不透過性カバーと、
d)液体不透過性カバーの内側と、注射カニューレでピアシングできない円盤の上側とで区切られた内部。
【0080】
本発明によれば、液体不透過性カバーがゴム弾性プラスチック材料からなるように、または中央領域にそのようなプラスチック材料を含むように準備され得て、液体不透過性カバーは注射カニューレでピアシング可能であり、注射カニューレを取り外した後、ピアシングによって作成されたオリフィスは、ゴム弾性プラスチック材料の復元力によって再閉鎖可能である。
【0081】
液体不透過性カバーは、円周方向リム全体で円盤状ベース部材に液体不透過的に接続され得る。結果として、有効成分溶液は、円盤状本体の少なくとも1つのフィードスルーからのみ出ることができる。
【0082】
リブおよび/またはバンプが液体不透過性カバーの下側にスペーサーとして配置されることは有利である。インプラントは軟組織で覆われている。これは、液体不透過性カバーに圧力をかける可能性があり、液体不透過性カバーは、結果として、中空空間内の有効成分溶液に圧力をかけることができる。結果として、有効成分溶液が円盤状本体の少なくとも1つのフィードスルーを通って出る速度を加速することが可能である。液不透過性カバーの下側のリブおよび/またはバンプは、液不透過性カバーが円盤状本体の方向に動くのを防ぐ。その結果、内部または中空空間内の圧力が解放され、中空空間からの有効成分溶液の排出が防止される。
【0083】
本発明の別の9つのさらなる例示的な実施形態および本発明による方法の過程は、33の概略的図を参照して以下に説明されるが、それによって本発明を限定することはない。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【
図1】
図1は、液体を局所投与するための本発明による第1の例示的なインプラントの概略的斜視断面図である。
【
図2】
図2は、
図1による第1のインプラントの概略的斜視分解図である。
【
図4】
図4は、
図1~
図3による第1のインプラントの概略的、斜視、部分断面図である。
【
図5】
図5は、
図1~
図4による第1のインプラントの拡大詳細としての2つの概略的断面図を示す。
【
図6】
図6は、液体を局所投与するための第2の例示的なインプラントの下側の概略的斜視図である。
【
図7】
図7は、
図6による第2のインプラントの概略的断面図である。
【
図8】
図8は、
図6および
図7による第2の例示的なインプラントの上側の概略的斜視図である。
【
図9】
図9は、液体を局所投与するための第3の例示的なインプラントの概略的斜視断面図である。
【
図12】
図12は、液体を局所投与するための第4の例示的なインプラントの概略的斜視断面図である。
【
図14】
図14は、液体を局所投与するための第5の例示的なインプラントの概略的斜視断面図である。
【
図16】
図16は、液体を局所投与するための第6の例示的なインプラントの概略的斜視断面図である。
【
図18】
図18は、液体を局所投与するための第7の例示的なインプラントの下側の概略的斜視図である。
【
図20】
図20は、
図1~
図19による例示的なインプラントに存在するような、ピアシング防止手段の概略的斜視図である。
【
図21】
図21は、液体を局所投与するための第8の例示的なインプラントの概略的斜視断面図である。
【
図24】
図24は、液体を局所投与するための第9の例示的なインプラントの概略的斜視断面図である。
【
図27】
図27は、注射カニューレを第9のインプラントに挿入する前の、注射器および第9のインプラントの概略的側面図である。
【
図28】
図28は、注射器からの液体で第9のインプラントを充填する直前の、第9のインプラントおよび第9のインプラントに挿入された注射器の概略的断面図である。
【
図29】
図29は、注射器からの液体で第9のインプラントを充填している間の、第9のインプラントおよび第9のインプラントに挿入された注射器の概略的断面図である。
【
図30】
図30は、第9のインプラントの充填後の、第9のインプラントおよび第9のインプラントから引き抜かれた注射器の概略的断面図である。
【
図31】
図31は、第9のインプラントから液体を排出中の、第9のインプラントおよび第9のインプラントから引き抜かれた注射器の概略的断面図である。
【
図32】
図32は、
図28の拡大詳細としての挿入された注射カニューレを有する第9のインプラントの詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0085】
本発明の9つの例示的な実施形態、すなわち、図を参照して説明された本発明による9つのインプラントの図および以下の説明では、例示的な実施形態の比較可能性および可読性を単純化するために、異なる例示的な実施形態の同じまたは類似の部分について、または異なるインプラントおよびインプラントの異なる個々の部分について、同じ参照記号のいくつかが使用されている。
【0086】
図1~
図5は、異なる表現で液体を局所投与するための本発明による第1の例示的なインプラントを示す。
図6~
図8は、異なる表現で液体を局所投与するための本発明による第2の例示的なインプラントを示す。
図9~
図11は第3の、
図12および
図13は第4の、
図14および
図15は第5の、
図16および
図17は第6の、
図18および
図19は第7の、異なる表現で液体を局所投与するための本発明による例示的なインプラントを示す。
図20は、最初の7つの例示的な実施形態で使用されるようなピアシング防止手段を示す。
図21~
図23は、別のピアシング防止手段を有する、異なる表現で液体を局所投与するための本発明による第8の例示的なインプラントを示す。
図24~
図26は、異なる表現で液体を局所投与するための本発明による第9の例示的なインプラントを示す。
図27~
図33は、第9の例示的なインプラントに基づいてインプラントを注射器で充填するための本発明の方法による方法の過程を示し、この方法はまた、他の例示的な実施形態に直接移すことができる。
【0087】
図1~
図5による第1の例示的な実施形態によるインプラントは、上壁1を有する。上壁1は、従来の医療用注射カニューレを用いた手動の力を使用してピアシング可能である(
図27~
図33の第9の例示的な実施形態に示されているように)。上壁1は、インプラントの上側を形成し得る。上壁1の材料は、一旦挿入された注射カニューレが引き抜かれると、上壁1が自動的に閉じて元に戻るようなものであり得る。上壁は、この目的のために、ゴム弾性プラスチック材料またはゴムからなり得るか、または少なくとも中央領域にゴム弾性プラスチック材料またはゴムを含み得る。そのような自己密封膜は、例えば、注射器を作成するためのバイアルに使用し得る。
【0088】
フィードスルー3を有する下壁2は、上側とは反対側のインプラントの下側に配置され、複数のフィードスルー(図示せず)も提供され得る。フィードスルー3は、下壁2の中間において中央に配置され得る。フィードスルー3は、下壁2の上側を上壁1の下側に、したがってインプラントの下側に接続する。
【0089】
上壁1および下壁2は、インプラントの内部の中空空間4を区切る。フィードスルー3は、インプラントの中空空間4をインプラントの周囲に液体透過的に接続する。中空空間4の一部である内部5は、中空空間4内のピアシング防止手段6と上壁1との間に配置され得る。ピアシング防止手段6は円盤状であり、下壁2と上壁1との間の中空空間4内に配置される。ピアシング防止手段6は、円盤状であり得る。ピアシング防止手段6は、中空空間4を非液密方式で2つの部分に、または液体透過的に一緒に接続された2つの領域に分割するように、中空空間4よりも小さい直径を有し得る。
図20は、ピアシング防止手段6を詳細に示す。ピアシング防止手段6は、従来の医療用注射カニューレを用いた手動の力を使用してピアシングすることはできない(
図27~
図33の第9の例示的な実施形態に示されているように)。
【0090】
上壁1は、円周方向の上リム7を有し得る。上壁1の上リム7は、上壁1を取り囲む円を形成し得る。下壁2は、円周方向の下リム8を有し得る。下壁2の下リム8は、下壁2を取り囲む円を形成し得る。
【0091】
下壁2は、下壁2の下側から突出するバンプ10を下側に有し得る。このようにして、インプラントが下壁2の下側を支持体上に置いたときに、そこに空間を維持することを確実にすることが可能である。結果として生じる空間のおかげで、中空空間4からフィードスルー3を通って出る液体は、次に、下壁2の表面に沿って分配することができる。
【0092】
ピアシング防止手段6は、ピアシング防止手段6の上側および下側に突出パターン12を形成する起伏のある形状を有し得る(
図20参照)。このようにして、注射カニューレの先端がそこに液体を注入するために内部5に貫通できるように、上壁1の下側がピアシング防止手段6の上側から離間することを確実にすることが可能である。加えて、下壁2の上側は、したがって、ピアシング防止手段6の下側から離間することができ、その結果、液体は、内部4の下部に問題なく拡散されることができ、フィードスルー3まで拡散されることができる。
【0093】
上壁1および下壁2は、フィードスルー3とは別に、中空空間4が液密で閉じられるように、上リム7および下リム8を介して液密に共に接続され得る。この目的のために、ラッチリング14が上リム7に形成され、ラッチリング16が下リム8に形成され得る。上壁1が下壁2の所定の位置に完全に押し込まれるとき、上リム7のラッチリング14は下リム8のラッチリング16に係合することができる。
【0094】
そのようなインプラントの使用、したがって本発明による方法は、中央領域の上壁1を通して挿入される注射器の注射カニューレによって進行し得る。次いで、液体を注射器から内部5に注入することができる。ピアシング防止手段6は、中空空間4に突出するタブ18の助けを借りて中央に保持され得、その結果、ピアシング防止手段6は、下リム8から横方向に離間する(
図2、
図4および
図5の下部参照)。タブ18は、下リム8の内周のすべての側面に配置され得る。したがって、液体は、内部5から、ピアシング防止手段6と下壁2との間の中空空間4の下部に流れ込み得る。
【0095】
下壁2および上壁1は、弾性的に拡張可能であり得る。次いで、中空空間4は、中空空間4への液体の注入によって弾性的に変形または弾性的に拡張され得る。次いで、中空空間4内の液体は、弾性圧力下にある。その結果、液体は、フィードスルー3を介して中空空間4から排出されることができる。事前にまたは事後にも、インプラントは、関節の領域または治療される別の部位で皮下に移植され得る。中空空間4から出た後、液体は、下壁2の下側と基板との間の空間に沿って、フィードスルー3を通して拡散および分配されることができる。一旦液体が中空空間4から流出しなくなったら、背圧を克服してインプラントからさらなる液体を放出するためにインプラントに圧力をかけ得るか、または注射器を用いて新しい液体を内部5に注入することができる。
【0096】
本発明による方法は、第9の例示的なインプラントに関連して、
図24~
図33に関連して以下でさらに詳細に説明される。しかしながら、この方法はまた、今説明したインプラントに直接移すこともできる。
【0097】
図6~
図8による第2の例示的な実施形態のインプラントは、インプラントを軟組織に縫合することができるインプラントの上壁1の上円周方向リム27上の2つのラグ20によって、第1の例示的な実施形態とは異なる。それ以外は、第2のインプラントは
図1~
図5による第1のインプラントと同じである。上壁1は、従来の医療用注射カニューレを用いた手動の力を使用してピアシング可能である(
図27~
図33の第9の例示的な実施形態に示されているように)。上壁1は、インプラントの上側を形成し得る。上壁1の材料は、一旦挿入された注射カニューレが引き抜かれると、上壁1が自動的に閉じて元に戻るようなものであり得る。上壁1は、この目的のために、ゴム弾性プラスチック材料またはゴムからなり得るか、または少なくとも中央領域にゴム弾性プラスチック材料またはゴムを含み得る。そのような自己密封膜は、例えば、注射器を作成するためのバイアルに使用し得る。
【0098】
フィードスルー3を有する下壁2は、上側とは反対側のインプラントの下側に配置され、複数のフィードスルー(図示せず)も提供され得る。フィードスルー3は、下壁2の中間において中央に配置され得る。フィードスルー3は、下壁2の上側を上壁1の下側に、したがってインプラントの下側に接続する。
【0099】
上壁1および下壁2は、インプラントの内部の中空空間4を区切る。フィードスルー3は、インプラントの中空空間4をインプラントの周囲に液体透過的に接続する。中空空間4の一部である内部5は、中空空間4内のピアシング防止手段6と上壁1との間に配置され得る。ピアシング防止手段6は円盤状であり、下壁2と上壁1との間の中空空間内4に配置される。ピアシング防止手段6は、円盤状であり得る。ピアシング防止手段6は、中空空間4を非液密方式で2つの部分に、または液体透過的に一緒に接続された2つの領域に分割するように、中空空間4よりも小さい直径を有し得る。
図20は、ピアシング防止手段6を詳細に示す。ピアシング防止手段6は、従来の医療用注射カニューレを用いた手動の力を使用してピアシングすることはできない(
図27~
図33の第9の例示的な実施形態に示されているように)。
【0100】
上壁1の上リム27は、上壁1を取り囲む円を形成し得る。下壁2は、円周方向の下リム8を有し得る。下壁2の下リム8は、下壁2を取り囲む円を形成し得る。
【0101】
下壁2は、下壁2の下側から突出するバンプ10を下側に有し得る。このようにして、インプラントが下壁2の下側を支持体上に置いたときに、そこに空間を維持することを確実にすることが可能である。結果として生じる空間のおかげで、中空空間4からフィードスルー3を通って出る液体は、次に、下壁2の表面に沿って分配することができる。
【0102】
ピアシング防止手段6は、ピアシング防止手段6の上側および下側に突出パターン12を形成する起伏のある形状を有し得る(
図20参照)。このようにして、注射カニューレの先端がそこに液体を注入するために内部5に貫通できるように、上壁1の下側がピアシング防止手段6の上側から離間することを確実にすることが可能である。加えて、下壁2の上側は、したがって、ピアシング防止手段6の下側から離間することができ、その結果、液体は、内部4の下部に問題なく拡散されることができ、フィードスルー3まで拡散されることができる。
【0103】
上壁1および下壁2は、フィードスルー3とは別に、中空空間4が液密で閉じられるように、上リム7および下リム8を介して液密に共に接続され得る。この目的のために、ラッチリング24が上リム27に形成され、ラッチリング16が下リム8に形成され得る。上壁1が下壁2の所定の位置に完全にセットされるとき、上リム27のラッチリング24は下リム8のラッチリング16に係合することができる。
【0104】
そのようなインプラントの使用、したがって本発明による方法は、中央領域の上壁1を通して挿入される注射器の注射カニューレによって進行し得る。次いで、液体を注射器から内部5に注入することができる。ピアシング防止手段6は、中空空間4内に突出するタブ(見えないが、第1の例示的な実施形態によるタブ18と同様)の助けを借りて中央に保持され得、その結果、ピアシング防止手段6は、下リム8から横方向に離間する(
図2、
図4および
図5の下部と同様)。タブは、下リム8の内周のすべての側面に配置され得る。したがって、液体は、内部5から、ピアシング防止手段6と下壁2との間の中空空間4の下部に流れ込み得る。
【0105】
下壁2および上壁1は、弾性的に拡張可能であり得る。次いで、中空空間4は、中空空間4への液体の注入によって弾性的に変形または弾性的に拡張され得る。次いで、中空空間4内の液体は、弾性圧力下にある。その結果、液体は、フィードスルー3を介して中空空間4から排出されることができる。事前にまたは事後にも、インプラントは、関節の領域または治療される別の部位で皮下に移植され得、軟組織に縫合され得、ラグ20の助けを借りて所定の位置に固定され得る。中空空間4から出た後、液体は、下壁2の下側と基板との間の空間に沿って、フィードスルー3を通して拡散および分配されることができる。一旦液体が中空空間4から流出しなくなったら、背圧を克服してインプラントからさらなる液体を放出するためにインプラントに圧力をかけ得るか、または注射器を用いて新しい液体を内部5に注入することができる。
【0106】
本発明による方法は、第9の例示的なインプラントに関連して、
図24~
図33に関連して以下でさらに詳細に説明される。しかしながら、この方法はまた、今説明したインプラントに直接移すこともできる。
【0107】
図9~
図11による第3の例示的な実施形態のインプラントは、湾曲した上壁31および、それを用いてインプラントを軟組織に縫合することができる複数の穴39またはラグ39が配置されている異なる形状の上リム37によって、第1の例示的な実施形態とは異なる。それ以外は、第3のインプラントは
図1~
図5による第1のインプラントと同じである。上壁31は、従来の医療用注射カニューレを用いた手動の力を使用してピアシング可能である(
図27~
図33の第9の例示的な実施形態に示されているように)。上壁31は、インプラントの上側を形成し得る。上壁31の材料は、一旦挿入された注射カニューレが引き抜かれると、上壁31が自動的に閉じて元に戻るようなものであり得る。上壁31は、この目的のために、ゴム弾性プラスチック材料またはゴムからなり得るか、または少なくとも中央領域にゴム弾性プラスチック材料またはゴムを含み得る。そのような自己密封膜は、例えば、注射器を作成するためのバイアルに使用し得る。
【0108】
フィードスルー3を有する下壁2は、上側とは反対側のインプラントの下側に配置され、複数のフィードスルー(図示せず)も提供され得る。フィードスルー3は、下壁2の中間において中央に配置され得る。フィードスルー3は、下壁2の上側を上壁1の下側に、したがってインプラントの下側に接続する。
【0109】
上壁31および下壁2は、インプラントの内部の中空空間34を区切る。フィードスルー3は、インプラントの中空空間34をインプラントの周囲に液体透過的に接続する。中空空間34の一部である内部35は、中空空間34内のピアシング防止手段6と上壁31との間に配置され得る。ピアシング防止手段6は円盤状であり、下壁2と上壁31との間の中空空間34内に配置される。ピアシング防止手段6は、円盤状であり得る。ピアシング防止手段6は、中空空間34を非液密様式で2つの部分に、または液体透過的に一緒に接続された2つの領域に分割するように、中空空間34よりも小さい直径を有し得る。
図20は、ピアシング防止手段6を詳細に示す。ピアシング防止手段6は、医療用注射カニューレを用いた手動の力を使用してピアシングすることはできない(
図27~
図33の第9の例示的な実施形態について示されているように)。
【0110】
上壁31の上リム37は、上壁31を取り囲む円を形成し得る。下壁2は、円周方向の下リム8を有し得る。下壁2の下リム8は、下壁2を取り囲む円を形成し得る。
【0111】
下壁2は、下壁2の下側から突出するバンプ10を下側に有し得る。このようにして、インプラントが下壁2の下側を支持体上に置いたときに、そこに空間を維持することを確実にすることが可能である。結果として生じる空間のおかげで、中空空間34からフィードスルー3を通って出る液体は、次に、下壁2の表面に沿って分配することができる。
【0112】
ピアシング防止手段6は、ピアシング防止手段6の上側および下側に突出パターン12を形成する起伏のある形状を有し得る(
図20参照)。このようにして、注射カニューレの先端がそこに液体を注入するために内部35に貫通できるように、上壁31の下側がピアシング防止手段6の上側から離間することを確実にすることが可能である。加えて、下壁2の上側は、したがって、ピアシング防止手段6の下側から離間することができ、その結果、液体は、内部34の下部に問題なく拡散されることができ、フィードスルー3まで拡散されることができる。
【0113】
上壁31および下壁2は、フィードスルー3とは別に、中空空間34が液密で閉じられるように、上リム37および下リム8を介して液密に共に接続され得る。この目的のために、ラッチリング34が上リム37に形成され、ラッチリング36が下リム8に形成され得る。上壁31が下壁2の所定の位置に完全にセットされるとき、上リム37のラッチリング34は下リム8のラッチリング16に係合することができる。
【0114】
そのようなインプラントの使用、したがって本発明による方法は、中央領域の上壁31を通して挿入される注射器の注射カニューレによって進行し得る。次いで、液体を注射器から内部35に注入することができる。ピアシング防止手段6は、中空空間34内に突出するタブ(見えないが、第1の例示的な実施形態によるタブ18と同様)の助けを借りて中央に保持され得、その結果、ピアシング防止手段6は、下リム8から横方向に離間する(
図2、
図4および
図5の下部と同様)。タブは、下リム8の内周のすべての側面に配置され得る。したがって、液体は、内部35から、ピアシング防止手段6と下壁2との間の中空空間34の下部に流れ込み得る。
【0115】
下壁2および上壁31は、弾性的に拡張可能であり得る。次いで、中空空間34は、中空空間34への液体の注入によって弾性的に変形または弾性的に拡張され得る。次いで、中空空間34内の液体は、弾性圧力下にある。その結果、液体は、フィードスルー3を介して中空空間34から排出されることができる。事前にまたは事後にも、インプラントは、関節の領域または治療される別の部位で皮下に移植され得、軟組織に縫合され得、ラグ39の助けを借りて所定の位置に固定され得る。中空空間34から出た後、液体は、下壁2の下側と基板との間の空間に沿って、フィードスルー3を通して拡散および分配されることができる。一旦液体が中空空間34から流出しなくなったら、背圧を克服してインプラントからさらなる液体を放出するためにインプラントに圧力をかけ得るか、または注射器を用いて新しい液体を内部35に注入することができる。
【0116】
本発明による方法は、第9の例示的なインプラントに関連して、
図24~
図33に関連して以下でさらに詳細に説明される。しかしながら、この方法はまた、今説明したインプラントに直接移すこともできる。
【0117】
図12および
図13による第4の例示的な実施形態のインプラントは、湾曲した上壁31によって第1の例示的な実施形態とは異なる。それ以外は、第4のインプラントは
図1~
図5による第1のインプラントと同じである。上壁31は、従来の医療用注射カニューレを用いた手動の力を使用してピアシング可能である(
図27~
図33の第9の例示的な実施形態に示されているように)。上壁31は、インプラントの上側を形成し得る。上壁31の材料は、一旦挿入された注射カニューレが引き抜かれると、上壁31が自動的に閉じて元に戻るようなものであり得る。上壁31は、この目的のために、ゴム弾性プラスチック材料またはゴムからなり得るか、または少なくとも中央領域にゴム弾性プラスチック材料またはゴムを含み得る。そのような自己密封膜は、例えば、注射器を作成するためのバイアルに使用し得る。
【0118】
バンプ10および下リム8を有し、フィードスルー3を有する下壁2は、上側とは反対側のインプラントの下側に配置され、下壁2は、第1の例示的な実施形態と同様の構造である。
【0119】
上壁31および下壁2は、インプラントの内部の中空空間34を区切る。第1の例示的な実施形態と同様に、ピアシング防止手段6は、
図20に示されるように、中空空間34内に配置される。
【0120】
上壁31の上リム47は、上壁31を取り囲む円を形成し得る。
【0121】
上壁31および下壁2は、フィードスルー3とは別に、中空空間34が液密で閉じられるように、上リム47および下リム8を介して液密に共に接続され得る。この目的のために、ラッチリング44が上リム47に形成され、ラッチリング16が下リム8に形成され得る。上壁31が下壁2の所定の位置に完全にセットされるとき、上リム47のラッチリング44は下リム8のラッチリング16に係合することができる。
【0122】
そのようなインプラントの使用、したがって本発明による方法は、第1の例示的な実施形態と同様に進行する。
【0123】
本発明による方法は、第9の例示的なインプラントに関連して、
図24~
図33に関連して以下でさらに詳細に説明される。しかしながら、この方法はまた、今説明したインプラントに直接移すこともできる。
【0124】
図14および
図15による第5の例示的な実施形態のインプラントは、湾曲した上壁31によって第2の例示的な実施形態とは異なる。それ以外は、第5のインプラントは
図6~
図8による第2のインプラントと同じであり、したがって、第2のインプラントと同様に、上壁31の上リム57上に2つの側方ラグ50を有し、これを用いて第5のインプラントを軟組織に縫合することができ、そこに固定することができる。上壁31は、従来の医療用注射カニューレを用いた手動の力を使用してピアシング可能である(
図27~
図33の第9の例示的な実施形態に示されているように)。上壁31は、インプラントの上側を形成し得る。上壁31の材料は、一旦挿入された注射カニューレが引き抜かれると、上壁31が自動的に閉じて元に戻るようなものであり得る。上壁31は、この目的のために、ゴム弾性プラスチック材料またはゴムからなり得るか、または少なくとも中央領域にゴム弾性プラスチック材料またはゴムを含み得る。そのような自己密封膜は、例えば、注射器を作成するためのバイアルに使用し得る。
【0125】
バンプ10および下リム8を有し、フィードスルー3を有する下壁2は、上側とは反対側のインプラントの下側に配置され、下壁2は、第1および第2の例示的な実施形態と同様の構造である。
【0126】
上壁31および下壁2は、インプラントの内部の中空空間34を区切る。第1の例示的な実施形態と同様に、ピアシング防止手段6は、
図20に示されるように、中空空間34内に配置される。
【0127】
上壁31の上リム57は、上壁31を取り囲む円を形成し得る。上壁31および下壁2は、フィードスルー3とは別に、中空空間34が液密で閉じられるように、上リム57および下リム8を介して液密に共に接続され得る。この目的のために、ラッチリング54が上リム57に形成され、ラッチリング16が下リム8に形成され得る。上壁31が下壁2の所定の位置に完全にセットされるとき、上リム57のラッチリング54は下リム8のラッチリング16に係合することができる。
【0128】
そのようなインプラントの使用、したがって本発明による方法は、第2の例示的な実施形態と同様に進行する。
【0129】
本発明による方法は、第9の例示的なインプラントに関連して、
図24~
図33に関連して以下でさらに詳細に説明される。しかしながら、この方法はまた、今説明したインプラントに直接移すこともできる。
【0130】
図16および
図17による第6の例示的な実施形態のインプラントは、下壁62の下側にチューブ69を有する下壁62によって第5の例示的な実施形態とは異なる。それ以外は、第6のインプラントは
図14、
図15による第5のインプラントと同じであり、したがって、第5のインプラントと同様に、上壁31の上リム57上に2つの側方ラグ50を有し、これを用いて第6のインプラントを軟組織に縫合することができ、そこに固定することができる。上壁31は、従来の医療用注射カニューレを用いた手動の力を使用してピアシング可能である(
図27~
図33の第9の例示的な実施形態に示されているように)。上壁31は、インプラントの上側を形成し得る。上壁31の材料は、一旦挿入された注射カニューレが引き抜かれると、上壁31が自動的に閉じて元に戻るようなものであり得る。上壁31は、この目的のために、ゴム弾性プラスチック材料またはゴムからなり得るか、または少なくとも中央領域にゴム弾性プラスチック材料またはゴムを含み得る。そのような自己密封膜は、例えば、注射器を作成するためのバイアルに使用し得る。
【0131】
フィードスルー63を有する下壁62は、上側とは反対側のインプラントの下側に配置され、複数のフィードスルー(図示せず)も提供され得る。フィードスルー63は円筒形であり、チューブ69を通って延びる。フィードスルー63およびチューブ69は、下壁62の中間において中央に配置され得る。フィードスルー63は、下壁62の上側を上壁31の下側に、したがってインプラントの下側に接続する。
【0132】
上壁31および下壁62は、インプラントの内部の中空空間34を区切る。フィードスルー63は、インプラントの中空空間34をインプラントの周囲に液体透過的に接続する。中空空間34の一部である内部35は、中空空間34内のピアシング防止手段6と上壁31との間に配置され得る。ピアシング防止手段6は円盤状であり、下壁62と上壁31との間の中空空間34内に配置される。ピアシング防止手段6は、円盤状であり得る。ピアシング防止手段6は、中空空間34を非液密様式で2つの部分に、または液体透過的に一緒に接続された2つの領域に分割するように、中空空間34よりも小さい直径を有し得る。
図20は、ピアシング防止手段6を詳細に示す。ピアシング防止手段6は、従来の医療用注射カニューレを用いた手動の力を使用してピアシングすることはできない(
図27~
図33の第9の例示的な実施形態に示されているように)。
【0133】
上壁31の上リム57は、上壁31を取り囲む円を形成し得る。下壁62は、円周方向の下リム8を有し得る。下壁62の下リム8は、下壁62を取り囲む円を形成し得る。
【0134】
下壁62は、下壁62の下側から突出するバンプ60を下側に有し得る。このようにして、インプラントが下壁62の下側を支持体上のチューブ69の周りに置いたときに、そこに空間を維持することを確実にすることが可能である。結果として生じる空間のおかげで、中空空間34からフィードスルー63を通りチューブ69を通って出る液体は、次に、下壁62の表面に沿って分配することができる。チューブ69を使用して、液体は、例えば、関節の空洞などの、基板のくぼみに投与されることができる。
【0135】
ピアシング防止手段6は、ピアシング防止手段6の上側および下側に突出パターン12を形成する起伏のある形状を有し得る(
図20参照)。このようにして、注射カニューレの先端がそこに液体を注入するために内部35に貫通できるように、上壁31の下側がピアシング防止手段6の上側から離間することを確実にすることが可能である。加えて、下壁62の上側は、したがって、ピアシング防止手段6の下側から離間することができ、その結果、液体は、内部34の下部に問題なく拡散されることができ、フィードスルー63まで拡散されることができる。
【0136】
上壁31および下壁62は、フィードスルー63とは別に、中空空間34が液密で閉じられるように、上リム57および下リム8を介して液密に共に接続され得る。この目的のために、ラッチリング54が上リム57に形成され、ラッチリング16が下リム8に形成され得る。上壁31が下壁62の所定の位置に完全にセットされるとき、上リム57のラッチリング54は下リム8のラッチリング16と係合することができる。
【0137】
そのようなインプラントの使用、したがって本発明による方法は、中央領域の上壁31を通して挿入される注射器の注射カニューレによって進行し得る。次いで、液体を注射器から内部35に注入することができる。ピアシング防止手段6は、中空空間34内に突出するタブ(見えないが、第1の例示的な実施形態によるタブ18と同様)の助けを借りて中央に保持され得、その結果、ピアシング防止手段6は、下リム8から横方向に離間する(
図2、
図4および
図5の下部と同様)。タブは、下リム8の内周のすべての側面に配置され得る。したがって、液体は、内部35から、ピアシング防止手段6と下壁62との間の中空空間34の下部に流れ込み得る。
【0138】
下壁62および上壁31は、弾性的に拡張可能であり得る。次いで、中空空間34は、中空空間34への液体の注入によって弾性的に変形または弾性的に拡張され得る。次いで、中空空間34内の液体は、弾性圧力下にある。その結果、液体は、フィードスルー63を介して中空空間34から排出されることができる。事前にまたは事後にも、インプラントは、関節の領域または治療される別の部位で皮下に移植され得、軟組織に縫合され得、ラグ50の助けを借りて所定の位置に固定され得る。中空空間34から出た後、液体は、チューブ69に沿って、およびチューブ69の周りの下壁62の下側と基板との間の空間に沿って、フィードスルー63を通して拡散および分配されることができる。一旦液体が中空空間34から流出しなくなったら、背圧を克服してインプラントからさらなる液体を放出するためにインプラントに圧力をかけ得るか、または注射器を用いて新しい液体を内部35に注入することができる。
【0139】
本発明による方法は、第9の例示的なインプラントに関連して、
図24~
図33に関連して以下でさらに詳細に説明される。しかしながら、この方法はまた、今説明したインプラントに直接移すこともできる。
【0140】
図18および
図19による第7の例示的な実施形態のインプラントは、バンプ60の代わりに放射状のリブ70によって、
図16および
図17による第6の例示的な実施形態とは異なる。それ以外は、第7のインプラントは
図16、
図17による第6のインプラントと同じであり、したがって、第6のインプラントと同様に、下壁72を通るフィードスルー73を形成するためのチューブ79を有し、および2つの側方ラグ50を有し、これを用いて第5のインプラントを軟組織に縫合することができ、そこに固定することができる。上壁31は、従来の医療用注射カニューレを用いた手動の力を使用してピアシング可能である(
図27~
図33の第9の例示的な実施形態に示されているように)。上壁31は、インプラントの上側を形成し得る。上壁31の材料は、一旦挿入された注射カニューレが引き抜かれると、上壁31が自動的に閉じて元に戻るようなものであり得る。上壁31は、この目的のために、ゴム弾性プラスチック材料またはゴムからなり得るか、または少なくとも中央領域にゴム弾性プラスチック材料またはゴムを含み得る。そのような自己密封膜は、例えば、注射器を作成するためのバイアルに使用し得る。
【0141】
リブ70および下リム8を有し、チューブ79およびフィードスルー73を有する下壁72は、上側とは反対側のインプラントの下側に配置される。インプラントからの液体は、リブ70に沿って半径方向外向きに案内されることができる。ここでのリブ70は、インプラントの基板とインプラントの下側との間に自由な空間を確保する。
【0142】
上壁31および下壁72は、インプラントの内部の中空空間34を区切る。第1の例示的な実施形態と同様に、
図20に示されるピアシング防止手段6は、中空空間34内に配置される。
【0143】
そのようなインプラントの使用、したがって本発明による方法は、第6の例示的な実施形態と同様に進行する。
【0144】
本発明による方法は、第9の例示的なインプラントに関連して、
図24~
図33に関連して以下でさらに詳細に説明される。しかしながら、この方法はまた、今説明したインプラントに直接移すこともできる。
【0145】
図21~
図23による第8の例示的な実施形態のインプラントは、
図23に示される修正されたピアシング防止手段86によって第5の例示的な実施形態とは異なる。それ以外は、第8のインプラントは
図14、
図15による第5のインプラントと同じであり、したがって、第5のインプラントと同様に、上壁31の上リム57上に2つの側方ラグ50を有し、これを用いて第8のインプラントを軟組織に縫合することができ、そこに固定することができる。湾曲した上壁31は、従来の医療用注射カニューレを用いた手動の力を使用してピアシング可能である(
図27~
図33の第9の例示的な実施形態に示されているように)。上壁31は、インプラントの上側を形成し得る。上壁31の材料は、一旦挿入された注射カニューレが引き抜かれると、上壁31が自動的に閉じて元に戻るようなものであり得る。上壁31は、この目的のために、ゴム弾性プラスチック材料またはゴムからなり得るか、または少なくとも中央領域にゴム弾性プラスチック材料またはゴムを含み得る。そのような自己密封膜は、例えば、注射器を作成するためのバイアルに使用し得る。
【0146】
フィードスルー3を有する下壁2は、上側とは反対側のインプラントの下側に配置され、複数のフィードスルー(図示せず)も提供され得る。フィードスルー3は、下壁2の中間において中央に配置され得る。フィードスルー3は、下壁2の上側を上壁1の下側に、したがってインプラントの下側に接続する。
【0147】
上壁31および下壁2は、インプラントの内部の中空空間84を区切る。フィードスルー3は、インプラントの中空空間84をインプラントの周囲に液体透過的に接続する。中空空間84の一部である内部85は、中空空間84内のピアシング防止手段86と上壁31との間に配置され得る。ピアシング防止手段86は円盤状であり、下壁2と上壁31との間の中空空間84に配置される。ピアシング防止手段86は、円盤状であり得、その下側に突出面パターン82を有し得る。ピアシング防止手段86は、中空空間84を非液密様式で2つの部分に、または液体透過的に一緒に接続された2つの領域に分割するように、中空空間84よりも小さい直径を有し得る。
図23は、ピアシング防止手段86を詳細に示す。ピアシング防止手段86は、医療用注射カニューレを用いた手動の力を使用してピアシングすることはできない(
図27~
図33の第9の例示的な実施形態に示されているように)。
【0148】
上壁31の上リム57は、上壁31を取り囲む円を形成し得る。下壁2は、円周方向の下リム8を有し得る。下壁2の下リム8は、下壁2を取り囲む円を形成し得る。
【0149】
下壁2は、下壁2の下側から突出するバンプ10を下側に有し得る。このようにして、インプラントが下壁2の下側を支持体上に置いたときに、そこに空間を維持することを確実にすることが可能である。結果として生じる空間のおかげで、中空空間84からフィードスルー3を通って出る液体は、次に、下壁2の表面に沿って分配することができる。
【0150】
ピアシング防止手段86は、ピアシング防止手段86の下側から突出する表面パターン82を備えた平面形状を有し得る(
図23参照)。したがって、下壁2の上側が、ピアシング防止手段86の下側から離間していることを確実にし得、その結果、液体は、内部84の下部に問題なく拡散されることができ、フィードスルー3まで拡散されることができる。
【0151】
上壁31および下壁2は、フィードスルー3とは別に、中空空間84が液密で閉じられるように、上リム57および下リム8を介して液密に共に接続され得る。この目的のために、ラッチリング54が上リム57に形成され、ラッチリング16が下リム8に形成され得る。上壁31が下壁2の所定の位置に完全にセットされるとき、上リム57のラッチリング54は下リム8のラッチリング16に係合することができる。
【0152】
そのようなインプラントの使用、したがって本発明による方法は、中央領域の上壁31を通して挿入される注射器の注射カニューレによって進行し得る。次いで、液体を注射器から内部85に注入することができる。ピアシング防止手段86は、中空空間84内に突出するタブ(見えないが、第1の例示的な実施形態によるタブ18と同様)の助けを借りて中央に保持され得、その結果、ピアシング防止手段86は、下リム8から横方向に離間する(
図2、
図4および
図5の下部と同様)。タブは、下リム8の内周のすべての側面に配置され得る。したがって、液体は、内部85から、ピアシング防止手段86と下壁2との間の中空空間84の下部に流れ込み得る。
【0153】
下壁2および上壁31は、弾性的に拡張可能であり得る。次いで、中空空間84は、中空空間84への液体の注入によって弾性的に変形または弾性的に拡張され得る。次いで、中空空間84内の液体は、弾性圧力下にある。その結果、液体は、フィードスルー3を介して中空空間84から排出されることができる。事前にまたは事後にも、インプラントは、関節の領域または治療される別の部位で皮下に移植され得、軟組織に縫合され得、ラグ50の助けを借りて所定の位置に固定され得る。中空空間84から出た後、液体は、フィードスルー3を通して、そして下壁2の下側と基板との間の空間に沿って、拡散および分配されることができる。一旦液体が中空空間84から流出しなくなったら、背圧を克服してインプラントからさらなる液体を放出するためにインプラントに圧力をかけ得るか、または注射器を用いて新しい液体を内部85に注入することができる。
【0154】
本発明による方法は、第9の例示的なインプラントに関連して、
図24から33に関連して以下でさらに詳細に説明される。しかしながら、この方法はまた、今説明したインプラントに直接移すこともできる。
【0155】
図24~
図26による第9の例示的な実施形態のインプラントは、
図26に示される修正されたピアシング防止手段96によって第8の例示的な実施形態とは異なる。それ以外は、第9のインプラントは
図21~
図23による第8のインプラントと同じであり、したがって、第8のインプラントと同様に、上壁31の上リム57上に2つの側方ラグ50を有し、これを用いて第9のインプラントを軟組織に縫合することができ、そこに固定することができる。本発明による方法の過程は、第9の例示的な実施形態を参照して
図27~
図33に示されている。
【0156】
湾曲した上壁31は、
図27~
図33に示されるように、従来の医療用注射カニューレ100を用いた手動の力を使用してピアシング可能である。上壁31は、インプラントの上側を形成し得る。上壁31の材料は、一旦挿入された医療用注射カニューレ100が引き抜かれると、上壁31が自動的に閉じて元に戻るようなものであり得る(
図30参照)。上壁31は、この目的のために、ゴム弾性プラスチック材料またはゴムからなり得るか、または少なくとも中央領域にゴム弾性プラスチック材料またはゴムを含み得る。そのような自己密封膜は、例えば、注射器を作成するためのバイアルに使用し得る。
【0157】
フィードスルー3を有する下壁2は、上側とは反対側のインプラントの下側に配置され、複数のフィードスルー(図示せず)も提供され得る。フィードスルー3は、下壁2の中間において中央に配置され得る。フィードスルー3は、下壁2の上側を上壁1の下側に、したがってインプラントの下側に接続する。
【0158】
上壁31および下壁2は、インプラントの内部の中空空間94を区切る。フィードスルー3は、インプラントの中空空間94をインプラントの周囲に液体透過的に接続する。中空空間94の一部である内部95は、中空空間94内のピアシング防止手段96と上壁31との間に配置され得る。ピアシング防止手段96は円盤状であり、下壁2と上壁31との間の中空空間94内に配置される。ピアシング防止手段96は、円盤状であり得、その下側に突出面パターン92、その上側に突出面パターン99を有し得る。ピアシング防止手段96は、中空空間94を非液密様式で2つの部分に、または液体透過的に一緒に接続された2つの領域に分割するように、中空空間94よりも小さい直径を有し得る。
図26は、ピアシング防止手段96を詳細に示す。
図27~
図33に示されるように、ピアシング防止手段96は、注射器102の医療用注射カニューレ100を用いた手動の力を使用してピアシングすることはできない。
【0159】
上壁31の上リム57は、上壁31を取り囲む円を形成し得る。下壁2は、円周方向の下リム8を有し得る。下壁2の下リム8は、下壁2を取り囲む円を形成し得る。
【0160】
下壁2は、下壁2の下側から突出するバンプ10を下側に有し得る。このようにして、インプラントが下壁2の下側を支持体上に置いたときに、そこに空間を維持することを確実にすることが可能である。結果として生じる空間のおかげで、中空空間94からフィードスルー3を通って出る液体は、次に、下壁2の表面に沿って分配することができる。
【0161】
ピアシング防止手段96は、ピアシング防止手段96の下側から突出する表面パターン92と、ピアシング防止手段96の上側から突出する表面パターン99とを備えた平面形状を有し得る(
図26参照)。注射カニューレ100の先端が内部に液体を注入するために内部95に貫通することができるように、ピアシング防止手段96の上側の表面パターン99を用いて、上壁31の下側が、ピアシング防止手段96の上側から離間することを確実にすることが可能である。さらに、下壁2の上側は、ピアシング防止手段96の下側の表面パターン92を用いて、ピアシング防止手段96の下側から離間することができ、その結果、液体は、内部94の下部に問題なく拡散されることができ、フィードスルー3まで拡散されることができる。
【0162】
上壁31および下壁2は、フィードスルー3とは別に、中空空間94が液密で閉じられるように、上リム57および下リム8を介して液密に共に接続され得る。この目的のために、ラッチリング54が上リム57に形成され、ラッチリング16が下リム8に形成され得る。上壁31が下壁2の所定の位置に完全にセットされるとき、上リム57のラッチリング54は下リム8のラッチリング16に係合することができる。
【0163】
本発明による方法の過程は、第9のインプラントに基づいて、
図24~
図33を参照して以下に説明される。注射器102および液体で満たされていないインプラントが提供される(
図27参照)。注射器102は、その前面に医療用注射カニューレ100を有する。カートリッジ104によって区切られた注射器102の内部は、注射カニューレ100によって液体114で満たすことができる。注射カニューレ100は、カートリッジヘッド106を介してカートリッジ104に接続されている。グリップ110を有するプランジャ108を介してカートリッジ104内で注射カニューレ100の方向に前進させることができるピストン112の助けを借りて、注射器102の内容物をカートリッジ104から注射カニューレを通して投与することができる。
【0164】
液体114で満たされた注射器102の注射カニューレ100は、中央領域の上壁31を通して挿入される(
図28、
図32)。液体114は、少なくとも1つの医薬品有効成分、特にシクロスポリンAを含む。
【0165】
次いで、液体114は、グリップ110およびプランジャ108の助けを借りてピストン112を注射カニューレ100の方向に押すことによって、注射器102から内部95(
図29参照)に注入される。ピアシング防止手段96は、中空空間94内に突出するタブ(見えないが、第1の例示的な実施形態によるタブ18と同様)の助けを借りて中央に保持され得、その結果、ピアシング防止手段96は、下リム8から横方向に離間する(
図2、
図4および
図5の下部と同様)。タブは、下リム8の内周のすべての側面に配置され得る。したがって、液体は、内部95から、ピアシング防止手段96と下壁2との間の中空空間94の下部に流れ込み得る。代替的または追加的に、ピアシング防止手段96の開口部(図示せず)も提供され得、それを通して、液体は、内部95から中空空間94の下部に流れることができる。この修正は、他のすべての例示的な実施形態にも適用し得る。
【0166】
下壁2および上壁31は、弾性的に拡張可能であり得る。次いで、中空空間94は、中空空間94への液体114の注入によって弾性的に変形または弾性的に拡張され得る。次いで、中空空間84内の液体114は、弾性圧力下にある。一旦中空空間94が液体で満たされると、注射カニューレ100を上壁31から引き抜くことができる。そうすることで、上壁31は自動的に閉じる。これを
図30に示す。
【0167】
上壁31および下壁の弾性圧力の結果として、液体114は、中空空間84からフィードスルー3を通って排出されることができ、フィードスルー3を通って下向きに流れることができる(
図31、
図33参照)。事前にまたは事後にも、インプラントは、関節の領域または治療される別の部位で皮下に移植され得、軟組織に縫合され得、ラグ50の助けを借りて所定の位置に固定され得る。中空空間94から出た後、液体114は、フィードスルー3を通して、そして下壁2の下側と基板との間の空間に沿って、拡散および分配されることができる。一旦液体114が中空空間94から流出しなくなったら、背圧を克服してインプラントからさらに液体114を放出するためにインプラントに圧力をかけ得るか、または注射器102を用いて新しい液体114を内部95に注入することができる。
【0168】
前述の説明、ならびに特許請求の範囲、図、および例示的な実施形態に開示された本発明の特徴は、そのさまざまな実施形態において本発明を実現するために、個別におよび任意の組み合わせの両方で不可欠であり得る。
【符号の説明】
【0169】
1,31…上壁
2,62,72…下壁
3,63,73…フィードスルー
4,34,84、94…中空空間
5,35,85、95…内部
6,86、96…ピアシング防止手段
7,27,37,47、57…上リム
8…下リム
10,60…バンプ
12…突出パターン
14,24、34,44、54…ラッチリング
16…ラッチリング
18…タブ
20,50…ラグ
30…穿孔リング
39…ラグ/孔
69,79…チューブ
70…リブ
82,92…表面パターン
99…表面パターン
100…注射カニューレ
102…注射器
104…カートリッジ
106…カートリッジヘッド
108…プランジャ
110…グリップ
112…ピストン
114…液体