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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/24 20060101AFI20240307BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
A61B1/24
A61B1/00 650
A61B1/00 715
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021200782
(22)【出願日】2021-12-10
(65)【公開番号】P2023086339
(43)【公開日】2023-06-22
【審査請求日】2023-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000138185
【氏名又は名称】株式会社モリタ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 剛
【審査官】小野 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-032058(JP,A)
【文献】特開平08-112252(JP,A)
【文献】特開2006-020886(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0055586(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
G02B 23/24-23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を撮像する撮像装置であって、
前記対象物からの光を取り込む筒部を有する本体部と、
前記筒部を覆い、前記本体部に対して着脱可能なアタッチメントと、を備え、
前記アタッチメントは、
前記筒部を挿し込む第1開口部と、
前記第1開口部に対して前記筒部の長手方向の反対側に設けられ、前記対象物からの光を取り込む第2開口部と、
前記第2開口部から取り込んだ光を前記本体部に導く第1光学部品と、を含み、
前記筒部または前記本体部は、
前記筒部の長手方向に対して移動可能で、前記アタッチメントの少なくとも一部と嵌合する嵌合部材と、
前記筒部の長手方向に対して前記本体部側に前記嵌合部材を付勢する付勢部材と、を含み、
前記アタッチメントの前記第1開口部に前記筒部を挿入して前記嵌合部材に前記アタッチメントの少なくとも一部を嵌合させた場合、前記アタッチメントの端部が前記本体部に当接するように前記付勢部材により付勢される、撮像装置。
【請求項2】
前記嵌合部材は、前記アタッチメントの少なくとも一部を固定する固定部を、前記筒部の周方向に複数有し、
前記アタッチメントの少なくとも一部と前記固定部との組み合わせを変えることで、前記アタッチメントを前記筒部の周方向に回して前記本体部に対して着脱可能である、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記固定部は、凸形状のピンであり、前記アタッチメントの内側に設けた凹形状の穴と嵌合することで前記アタッチメントを前記嵌合部材に固定する、請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記嵌合部材は、前記筒部の周方向に設けられるリング部材である、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記付勢部材は、複数の弾性部材であり、前記筒部の周方向に均等に配置されている、請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記複数の弾性部材は、前記筒部と前記リング部材との間に設けられ、前記リング部材を前記筒部の長手方向に対して前記本体部側に押すように設けられている、請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記本体部は、空気を供給する送風部をさらに含み、
前記送風部から供給された空気を、前記アタッチメントと前記筒部との隙間で形成した送風路を通して、前記アタッチメントに設けた前記第1光学部品および前記筒部に設けた第2光学部品に供給する、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記アタッチメントは、前記嵌合部材の前記固定部から前記筒部の周方向に略90度進んだ外側面の位置に突起部を設けてある、請求項に記載の撮像装置。
【請求項9】
対象物を撮像する撮像装置であって、
前記対象物からの光を取り込む筒部を有する本体部と、
前記筒部を覆い、前記本体部に対して着脱可能なアタッチメントと、を備え、
前記アタッチメントは、
前記筒部を挿し込む第1開口部と、
前記第1開口部に対して前記筒部の長手方向の反対側に設けられ、前記対象物からの光を取り込む第2開口部と、
前記第2開口部から取り込んだ光を前記本体部に導く光学部品と、を含み、
前記筒部または前記本体部は、
前記アタッチメントを固定する固定部と、
前記筒部の長手方向に対して伸縮する弾性部材と、を含み、
前記アタッチメントを前記第1開口部から前記筒部を挿入して、前記固定部により固定させて嵌合させた場合に、前記アタッチメントの端部が前記本体部に当接し、前記弾性部材が前記筒部または前記本体部と前記アタッチメントとにより圧縮される、撮像装置。
【請求項10】
前記固定部は、前記筒部の長手方向において、前記弾性部材よりも前記本体部側に位置する、請求項9に記載の撮像装置。
【請求項11】
対象物を撮像する撮像装置であって、
アタッチメントが着脱可能で、前記対象物からの光を取り込む筒部と、
前記筒部で取り込んだ光を処理する本体部と、を備え、
前記アタッチメントは、
前記筒部を挿し込む第1開口部と、
前記第1開口部に対して前記筒部の長手方向の反対側に設けられ、前記対象物からの光を取り込む第2開口部と、
前記第2開口部から取り込んだ光を前記本体部に導く第1光学部品と、を含み、
前記筒部または前記本体部は、
前記アタッチメントを固定する固定部と、
前記筒部の長手方向に対して伸縮する弾性部材と、を含み、
前記アタッチメントを前記第1開口部から前記筒部を挿入して、前記固定部により固定させて嵌合させた場合に、前記アタッチメントの端部が前記本体部に当接し、前記弾性部材が前記筒部または前記本体部と前記アタッチメントとにより圧縮される、撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アタッチメントが着脱可能な撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
歯科分野において、口腔内を撮像する撮像装置として様々な装置が開発されている。例えば、コンピュータ上で補綴物等をデジタル的に設計するために、歯の三次元形状を取得するための撮像装置が開発されている。この撮像装置は、例えば、特許文献1に開示され三次元スキャナ、あるいは口腔内スキャナと呼ばれている。
【0003】
また、歯科分野において使用される撮像装置では、先端を口腔内に差込み、口腔内を撮像するため、装置の先端(筒部)を覆うアタッチメントが設けられている。このアタッチメントには、口腔内を撮像するために光学部品(例えば、ミラーなど)が設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5654583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、先端(アタッチメント)が、スキャナの本体から取り外すことができ、オートクレーブすることができることが記載されている。しかし、歯科診療において撮像装置を使用する場合、患者ごとにアタッチメントの着脱を行う必要があるため、着脱操作が容易であることが望まれる。さらに、アタッチメントには光学部品が設けられていることから、装置の先端に装着後、がたつきがないことが望まれ、がたつきがあると当該光学部品に位置ずれが生じ、正しい撮像を行うことができない。また、アタッチメントは、口腔内で使用されるためオートクレーブ(滅菌処理)を行う必要があるため複雑な機構を設けることが困難であった。
【0006】
本開示は、上記問題点を解決するためになされたものであり、撮像装置の先端にアタッチメントを容易に着脱可能で、装着後にアタッチメントががたつかない撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る撮像装置は、対象物を撮像する撮像装置である。撮像装置は、対象物からの光を取り込む筒部を有する本体部と、筒部を覆い、本体部に対して着脱可能なアタッチメントと、を備える。アタッチメントは、筒部を挿し込む第1開口部と、第1開口部に対して筒部の長手方向の反対側に設けられ、対象物からの光を取り込む第2開口部と、第2開口部から取り込んだ光を本体部に導く第1光学部品と、を含む。筒部または本体部は、筒部の長手方向に対して移動可能で、アタッチメントの少なくとも一部と嵌合する嵌合部材と、筒部の長手方向に対して本体部側に嵌合部材を付勢する付勢部材と、を含む。アタッチメントの第1開口部に筒部を挿入して嵌合部材にアタッチメントの少なくとも一部を嵌合させた場合、アタッチメントの端部が本体部に当接するように付勢部材により付勢される。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る撮像装置は、本体部にアタッチメントを装着した場合、嵌合部材にアタッチメントの少なくとも一部を嵌合させ、アタッチメントの端部が本体部に当接するように付勢されるので、アタッチメントを容易に着脱可能で、装着後にアタッチメントががたつかない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態に係る三次元スキャナの正面図である。
図2】実施の形態に係る三次元スキャナの側面図である。
図3】アタッチメントの向きを変えて本体部に装着する様子を説明するための図である。
図4】実施の形態に係る三次元スキャナでの撮像の様子を説明するための図である。
図5】実施の形態に係る三次元スキャナにおけるのアタッチメントの着脱機構を説明するための図である。
図6】スライドリングの斜視図である。
図7】アタッチメントを本体部に固定する様子を説明するための図である。
図8】スライドリングが本体部側に付勢されている様子を説明するための図である。
図9】本体部からアタッチメントを取り外すための構成を説明するための図である。
図10】送風機能を有する三次元スキャナの構成を説明するための概略図である。
図11】本体部に装着後のアタッチメントの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0011】
(実施の形態)
実施の形態に係る撮像装置は、口腔内の歯の三次元形状を取得するための三次元スキャナ(口腔内スキャナ)である。しかし、本開示に係る撮像装置は、口腔用の三次元スキャナに限定されるものではなく、同様の構成を有する撮像装置について適用することができる。例えば、口腔内を撮像する口腔内カメラ、口腔内以外に人の耳の内部を撮像して、外耳内の三次元形状を取得することができる三次元スキャナなどにも適用できる。
【0012】
[三次元スキャナの構成]
三次元スキャナ100は、図1および図2に示すように、アタッチメント10(キャップ)、本体部30(筐体)を含む。図1は、三次元スキャナ100の正面図であり、図2は、三次元スキャナ100の側面図である。本体部30には、図示していないがレンズなどの光学部品、撮像素子、これらを制御する制御部、レンズや制御部などを駆動するために必要な電力を供給する電源部などが含まれている。本体部30には、撮像素子で撮像したデータを出力するためのケーブル33が設けられており、当該ケーブルは、コンピュータやディスプレイなどに接続される。
【0013】
また、本体部30には、外周面の一つにユーザが操作するための操作パネル31が設けられ、電源ボタンなどの操作スイッチ32が複数設けられている。本体部30は、操作パネル31を設けた側と長手方向に対して反対側にアタッチメント10が装着されている。アタッチメント10は、本体部30に対して着脱可能である。図3は、アタッチメント10が本体部30に対して着脱可能であることを説明する図である。
【0014】
アタッチメント10は、対象物である歯牙がある口腔内に差込まれ、対象物にパターンを有する光(以下、単にパターンともいう)を投影し、パターンが投影された対象物からの反射光を本体部30に導いている。また、アタッチメント10は、本体部30に対して着脱可能であるので、感染対策として、生体に接触する可能性のあるアタッチメント10だけを本体部30から取り外して滅菌処理(例えば高温高湿環境での処理)を施すことが可能である。なお、アタッチメント10は、開口部12の内側にミラー13が設けられており、対象物からの反射光をミラー13で向きを変え本体部30に導いている。
【0015】
アタッチメント10は、ミラー13のような光学部品を含んでいるので本体部30に装着後、がたつきがないことが必要である。アタッチメント10が本体部30に装着後、がたつくと、ミラー13の位置が本体部30に対してずれるので、三次元スキャナ100は、精度の高い撮像が困難になる。また、アタッチメント10を本体部30に装着後、アタッチメント10と本体部30との間に隙間が生じないことが必要である。本体部30に対するアタッチメント10の取り付け方により、アタッチメント10と本体部30との間に隙間が生じたり、生じなかったりした場合、対象物から撮像素子までの光路長が変動することになる。三次元スキャナ100は、光路長が変動すると、精度の高い撮像が困難になる。
【0016】
そこで、本実施の形態に係る三次元スキャナ100では、後述するようにアタッチメント10と嵌合する嵌合部材を本体部30側に設け、当該嵌合部材がアタッチメント10の端部が本体部30に当接するように付勢されている。そのため、三次元スキャナ100は、アタッチメント10を本体部30に装着後、がたつくことがなく、アタッチメント10と本体部30との間に隙間が生じることもない。
【0017】
アタッチメント10は、滅菌処理を施すためだけに本体部30に対して着脱可能となっているのではなく、図3に示すように、アタッチメント10の向きを変えて本体部30に装着するためにも着脱可能となっている。アタッチメント10は、筒部20を挿し込む開口部14(第1開口部)と、対象物からの光を取り込む開口部12と、を含む。開口部12は、開口部14に対して筒部20の長手方向の反対側に設けられている。図3では、開口部12が図中下向き(本体部30の操作パネル31とは反対方向)となるように筒部20に挿入されているアタッチメント10を筒部20から引き抜いて、開口部12が図中上向き(本体部30の操作パネル31方向)となるようにアタッチメント10の向きを変えて筒部20に挿入してる。つまり、アタッチメント10を下向き装着状態から上向き装着状態に変更している。
【0018】
図4は、実施の形態に係る三次元スキャナ100での撮像の様子を説明するための図である。図4(a)では、歯科診療台に横たって仰向けになっている状態の患者の歯列および歯肉のみの口腔内を現しており、その口腔内に対して、アタッチメント10を下向き装着状態にして、口腔内の上顎201を測定する。上顎201を測定するときには、ユーザは、アタッチメント10の平坦面11を中指および人差し指で支えながら上顎201を測定する。一方、図4(b)では、アタッチメント10を上向き装着状態にして、口腔内の下顎202を測定する。下顎202を測定するときには、ユーザは、アタッチメント10の平坦面11を親指で支えながら下顎202を測定する。このように、三次元スキャナ100では、アタッチメント10の向きを変えることで、本体部30の向きを変えることなく同じ姿勢で口腔内の上顎201と下顎202とを測定することが可能となる。
【0019】
筒部20は、アタッチメント10が挿入可能な形状をしており、本体部30から突出した部分である。筒部20は、図示していないが、アタッチメント10で採光した光を本体部30へ導くためのリレーレンズやλ/4板等の光学部品を含んでいる。なお、筒部20は、本体部30に一体で構成されても、本体部30と別体で構成されてもよい。
【0020】
本体部30は、アタッチメント10の開口部12から対象物にパターンを投影し、対象物に投影されたパターンを撮像する。本体部30は、図示していないが、対象物に投影するパターンを生成する光学部品および光源、パターンを対象物の表面に結像するためのレンズ、レンズのピントを調整するためのピント調整機構、投影したパターンを撮像する撮像素子などを有している。なお、本体部30は、合焦法の技術を用いて三次元形状を取得する構成として説明するが、当該構成に限定されず、共焦点法、三角測量法、白色干渉法、ステレオ法、フォトグラメトリ法、SLAM法(Simultaneous Localization and Mapping)、光干渉断層法(Optical Coherence Tomography: OCT)などの技術を用いて三次元形状を取得する構成でもよい。つまり、本体部30は、光学的な手法を用いて三次元形状を取得する構成であればいずれの原理を用いた構成であっても適用することが可能である。
【0021】
制御部は、本体部30に内蔵され、本体部30内に設けられた機構部品および電子部品の動作を制御するとともに、本体部30で撮像した画像を処理して三次元形状データを取得する。制御部は、制御中枢としてのCPU(Central Processing Unit)、CPUが動作するためのプログラムや制御データ等を記憶しているROM(Read Only Memory)、CPUのワークエリアとして機能するRAM(Random Access Memory)、主に画像処理を行うGPU(Graphics Processing Unit)、周辺機器との信号の整合性を保つための入出力インターフェイス等が設けられている。なお、CPUやGPUを、FPGA(field-programmable gate array)で構成してもよい。また、制御部は、取得した三次元形状をディスプレイに出力することが可能であるとともに、本体部30の設定などの情報を図示していない入力装置などで入力可能である。三次元形状を表示するディスプレイは、たとえば据え置き式の液晶ディスプレイや、ヘッドマウント式やメガネ式のウェアラブルディスプレイなどである。
【0022】
[アタッチメントの着脱機構]
前述のように、三次元スキャナ100は、測定する箇所によりアタッチメント10の向きを変えるなど着脱を意図したとき、アタッチメント10の着脱操作が簡易であることが望ましい。一方、三次元スキャナ100は、測定中など着脱を意図しないとき、アタッチメント10が本体部30から簡単に外れないことが望ましい。また、三次元スキャナ100は、アタッチメント10の向きを変えて本体部30に装着することで、アタッチメント10の開口部12の向きを変えていることから、アタッチメント10の装着後、アタッチメント10と本体部30との筒部20の周方向での相対角度が固定され、回転しないことが望ましい。
【0023】
三次元スキャナ100では、これらの要求を満たすアタッチメント10の着脱機構を採用している。図5は、実施の形態に係る三次元スキャナにおけるアタッチメントの着脱機構を説明するための図である。筒部20は、筒部20の長手方向に対して移動可能で、アタッチメント10の少なくとも一部と嵌合するスライドリング21(嵌合部材)と、筒部20の長手方向に対して本体部30側にスライドリング21を付勢するバネ22(付勢部材)と、を含む。
【0024】
図6は、スライドリング21の斜視図である。スライドリング21は、図6に示すように、リング形状の部材であり、アタッチメント10の少なくとも一部を固定するための凸形状のピン23(固定部)を有している。図7は、アタッチメント10を本体部30に固定する様子を説明するための図である。図7に示すように、アタッチメント10の内側には、凹形状の穴15が設けられてあり、スライドリング21の凸形状のピン23と嵌合することで、アタッチメント10をスライドリング21に固定することができる。なお、穴15に金属のカラーを設けることでアタッチメント10の着脱による穴15の変形を防止でき、耐性が向上する。
【0025】
ピン23は、スライドリング21上に1箇所設けられている。図6では、直径方向に、図中上側と図中下側とにピン23がそれぞれ設けられている。そのため、ピン23の位置に対応してアタッチメント10の内側にも、穴15が1箇所設けられている。なお、ピン23の数は一例であり、2箇所以上のピン23をスライドリング21上に設けてもよい。また、アタッチメント10を固定する固定部は、ピン23のような凸形状に限定されず、例えば、スライドリング21上に凹形状の穴が設け、アタッチメント10の内側に凸形状のピンを設けてもよい。さらに、固定部として、スライドリング21の周方向に沿ってリング状の部材を一周設けてもよい。固定部をリング状の部材とすることで、アタッチメント10の周方向を全て固定してもよい。
【0026】
また、嵌合部材であるスライドリング21には、必ずしも固定部を設ける必要はなく、アタッチメント10側に爪部を設け、当該爪部をスライドリング21の一部に引っ掛けて、スライドリング21とアタッチメント10とを嵌合させてもよい。
【0027】
スライドリング21は、4つのバネ22により本体部30側に付勢されている。図8は、スライドリング21が本体部30側に付勢されている様子を説明するための図である。図8に示すように、筒部20の長手方向において、ピン23がその長手方向と伸縮方向を一致させて配置されるバネ22よりも本体部30側に位置しており、スライドリング21にアタッチメント10がピン23によって固定された状態では、バネ22が圧縮されて筒部20とスライドリング21との間に配置されるため、スライドリング21を本体部30側に押す方向に力Fが生じる。そのため、スライドリング21にアタッチメント10が固定されると、筒部20の長手方向にアタッチメント10が引っ張られても、バネ22の力Fにより、開口部14を設けたアタッチメント10の端部が本体部30に当接するように付勢される。
【0028】
バネ22の数は一例であり、3つ以下または5つ以上のバネ22をスライドリング21に設けてもよい。また、バネ22の配置は、筒部20とスライドリング21との間に限定されず、例えば、スライドリング21と本体部30との間に配置し、バネ22がスライドリング21を本体部30側に引っ張ってもよい。さらに、バネ22の形状は、図6に示した形状に限定されず、バネの径がスライドリング21の径と同じ大きさの形状であってもよい。
【0029】
また、付勢部材は、筒部20の長手方向に対して伸縮する付勢部材であり、バネ22に限定されず、ゴムなどの弾性部材であってもよい。さらに、付勢部材は、筒部20の長手方向に対して本体部30側にスライドリング21を付勢することができれば、弾性部材以外の構成であってもよい。
【0030】
このように、スライドリング21が、バネ22の力Fにより常に本体部30側に押されているので、スライドリング21に固定したアタッチメント10は、本体部30側に押しつけられることになり、アタッチメント10と本体部30との間に隙間が生じず、アタッチメント10のがたつきを低減することができる。三次元スキャナ100は、アタッチメント10のがたつきを低減することで、測定精度を向上させることができる。
【0031】
スライドリング21とアタッチメント10とは、ピン23と穴15とが嵌合することで固定されるので、アタッチメント10の装着後、アタッチメント10と本体部30との筒部20の周方向での相対角度が固定され、回転しない。また、ピン23は、図6に示したように図中上下方向に配置したので、アタッチメント10を横方向から押すことで本体部30からアタッチメント10を取り外すことが容易である。図9は、本体部30からアタッチメント10を取り外すための構成を説明するための図である。
【0032】
図9(a)には、アタッチメント10の側面に取り外す際にユーザが押す場所を示す突起部17が図示されている。アタッチメント10の断面は、図9(b)に示すように、非円形となっており、筒部20とアタッチメント10との間に隙間を有している。特に、図中左右方向に隙間を有するアタッチメント10の断面形状とすることで、アタッチメント10の突起部17をユーザが押すとアタッチメント10の断面形状が図中上下方向に大きく変形し、本体部30からアタッチメント10を取り外し易くなる。なお、突起部17は、スライドリング21のピン23から筒部20の周方向に略90度進んだアタッチメント10の外側面の位置に設けてある。
【0033】
前述の嵌合部材は、スライドリング21であると説明したが、スライドリング21に限定されず、筒部20の長手方向に対して移動可能で、アタッチメント10の少なくとも一部と嵌合する部材であれば、リング形状以外の何れの形状であってもよい。例えば、嵌合部材は、リング形状でなく、筒部20の周方向に配置された複数の部材で、各々の部材がアタッチメント10の一部と嵌合してもよい。
【0034】
また、前述のアタッチメント10の着脱機構は、スライドリング21およびバネ22を筒部20に設けると説明したが、これに限られず、スライドリング21およびバネ22を本体部30に設けてもよい。
【0035】
[送風路の構成]
アタッチメント10の開口部12が口腔内に差し込まれると、口腔内は高温多湿であることから、アタッチメント10内に設けた光学部品(例えば、ミラー13)および筒部20に設けた光学部品(例えば、位相差板等)が曇ってしまい、対象物の形状を正確に計測することができなくなる。そこで、本実施の形態に係る三次元スキャナ100では、送風部によって、アタッチメント10の先端へ空気を送り出し、アタッチメント10および筒部20に設けた光学部品の曇りを防止する。特に、温かい空気をアタッチメント10の先端に送り出すことで、アタッチメント10および筒部20に設けた光学部品の表面温度と口腔内の温度との差を緩和することができ、より曇りを防止することができる。
【0036】
そこで、三次元スキャナ100に送風機能を設けた場合について説明する。図10は、送風機能を有する三次元スキャナの構成を説明するための概略図である。図10では、三次元スキャナ100の長手方向をX軸、三次元スキャナ100の幅方向をY軸、三次元スキャナ100の高さ方向をZ軸とする。
【0037】
図10に示すように、三次元スキャナ100は、アタッチメント10と本体部30とを含み、コンピュータ等とケーブル33を介してつながっている。本体部30には、図示していないが側面に空気の取り込み口を設けてあり、外気を取り込むことができる。なお、取り込み口は外気を取り込むことができればよく、取り込み口の形状や数は限定されない。
【0038】
本体部30は、その内部に、送風部37と、送風管38とを含む。送風部37は、回路基板39の上に実装されており、取り込み口から取り込まれ、回路基板39に実装された電子部品で温められた空気を送風管38に送り込む。送風部37は、圧力損失に強く、狭い管路に空気を送り込む場合に適しているブロワファンである。ブロワファンは、回転軸の方向から空気を取り込み、回転軸と直交する方向に空気を送り出すことができる。なお、送風部37は、圧力損失に強く、狭い管路に空気を送り込む場合に適しているものであればよく、たとえば、ダイヤフラムポンプやPZTマイクロブロワ等でもよい。送風管38は、軟性(シリコン、ウレタン、ポリテトラフルオロエチレン等)でもよいし、硬性(ステンレス、アルミ、銅等)でもよい。
【0039】
送風管38を通ってアタッチメント10に送り込まれた空気は、アタッチメント10に形成された送風路によって、アタッチメント10内に設けたミラー13、および筒部20に設けた位相差板26に供給される。アタッチメント10に形成された送風路は、アタッチメント10とアタッチメント10に覆われた筒部20との隙間で構成される。図11は、本体部30に装着後のアタッチメント10の断面図である。実施の形態に係るアタッチメント10では、図11に示すように筒部20と対向する内面の少なくとも一部に、送風路36を構成する溝が形成してある。アタッチメント10を本体部30に装着した場合、アタッチメント10に形成した溝によって、空気を通す送風路36を構成する。
【0040】
アタッチメント10は、筒部20が挿入される開口部14からミラー13が設けられる先端に至る内面に溝が形成されているので、送風路36は、本体部30から送られてきた空気をミラー13などに供給することができる。
【0041】
アタッチメント10を本体部30に装着した場合、アタッチメント10と本体部30との間に隙間が生じると、送風管38を通ってアタッチメント10に送り込まれた空気が当該隙間から漏れる可能性がある。そこで、三次元スキャナ100では、図7に示すように、アタッチメント10の端部に凸部16を、本体部30に凹部35をそれぞれ設け、アタッチメント10を本体部30に装着した場合に、凸部16と凹部35とが嵌合する構造にしてある。そのため、アタッチメント10の端部と本体部30とが当接する部分がラビリンス構造となるので、送風管38を通ってアタッチメント10に送り込まれた空気を当該隙間から漏れ難くできる。
【0042】
三次元スキャナ100では、筒部20の光学部品、アタッチメント10内に設けたミラー13などに空気を供給することで、筒部20の光学部品、アタッチメント10内に設けたミラー13などの曇りを防止できる。
【0043】
(変形例)
(a)前述の実施の形態において、三次元スキャナ100は、対象物からの光を取り込む筒部20を有する本体部30と、筒部20を覆い、本体部30に対して着脱可能なアタッチメント10と、を含む構成であると説明した。しかし、アタッチメントを除いた部分を三次元スキャナとしてもよい。つまり、三次元スキャナは、アタッチメント10が着脱可能で、対象物からの光を取り込む筒部20と、筒部20で取り込んだ光を処理する本体部30と、を含む構成でもよい。
【0044】
(b)前述の実施の形態において、三次元スキャナ100は、スライドリング21とアタッチメント10とが、ピン23と穴15とが嵌合することで固定され、アタッチメント10の装着後、アタッチメント10と本体部30との筒部20の周方向での相対角度が固定され、回転しないと説明した。しかし、アタッチメント10の装着後、アタッチメント10と本体部30との筒部20の周方向での相対角度が固定されず、自由に回転してもよい。つまり、三次元スキャナは、スライドリング21にピン23を設けず、アタッチメント10側に爪部を設けてスライドリング21に嵌合させ、アタッチメント10を自由に回転させてもよい。
【0045】
(c)実施の形態に係るアタッチメント10に溝を形成して、アタッチメント10と筒部20との間に送風路36を構成すると説明した。しかし、これに限られず、筒部20に溝を設ける、アタッチメント10および筒部20に溝を設けてアタッチメント10と筒部20との間に送風路36を構成してもよい。
【0046】
(d)実施の形態に係るアタッチメント10では、ミラー13を備えると説明したが、対象物からの光を筒部20に直接導く構造であれば、ミラー13などの光学部品を備えない構成であってもよい。
【0047】
(e)実施の形態では、撮像装置が三次元スキャナであると説明したが、これに限定されるものではない。例えば、口腔内カメラ、光干渉断層診断装置(Optical Coherence Tomography: OCT)、紫外・赤外・テラヘルツイメージング装置、蛍光イメージング装置などの撮像装置に対して用いてもよい。
【0048】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0049】
10 アタッチメント、11 平坦面、12,14 開口部、13 ミラー、15 穴、16 凸部、17 突起部、20 筒部、21 スライドリング、22 バネ、23 ピン、26 位相差板、30 本体部、31 操作パネル、32 操作スイッチ、33 ケーブル、35 凹部、36 送風路、37 送風部、38 送風管、39 回路基板、100 三次元スキャナ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11