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特許7449922改善された剛性と靭性とのバランスのためのシリコーン強化エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】改善された剛性と靭性とのバランスのためのシリコーン強化エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/08 20060101AFI20240307BHJP
   C08L 83/04 20060101ALI20240307BHJP
   C08L 23/10 20060101ALI20240307BHJP
   C08K 3/34 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
C08L23/08
C08L83/04
C08L23/10
C08K3/34
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021510437
(86)(22)【出願日】2019-08-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 US2019048356
(87)【国際公開番号】W WO2020046946
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-08-16
(31)【優先権主張番号】62/724,113
(32)【優先日】2018-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】ウー、カオシアン
(72)【発明者】
【氏名】ムンロ、ジェフリー シー.
【審査官】中村 英司
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-074824(JP,A)
【文献】特開2012-113038(JP,A)
【文献】特開2007-262425(JP,A)
【文献】特開平11-140307(JP,A)
【文献】特開2012-219119(JP,A)
【文献】特開2002-011838(JP,A)
【文献】特開2015-147847(JP,A)
【文献】特開2016-182184(JP,A)
【文献】特開2003-253060(JP,A)
【文献】特開2014-172921(JP,A)
【文献】特開2008-056748(JP,A)
【文献】特開2008-055976(JP,A)
【文献】特開2006-321164(JP,A)
【文献】特開2004-115660(JP,A)
【文献】特開2002-019028(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0088868(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 23/08
C08L 83/04
C08L 23/10
C08K 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、
A)0.854~0.890g/ccの密度およびASTM D-1238、条件190℃/2.16kgに従って測定される0.2~30g/10分のメルトインデックス(I2)を有するエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーと、
B)25℃で、≦5000cStの粘度を有するシリコーン油と、を含み、
成分Bが、成分AおよびBとの合計重量の重量に基づいて、1.0重量%~5.0重量%の量で存在前記組成物が、タルクをさらに含み、かつ、≦0.05重量%のスチレン系ポリマー、≦0.05重量%のスチレンブロックコポリマーゴム、および≦0.05重量%のスチレン-ブタジエンゴムを含む、組成物。
【請求項2】
前記成分Aのエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーが、0.860~0.880g/ccの密度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記成分Aのエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーが、ASTM D-1238、条件190℃/2.16kgに従って測定される0.5~10g/10分のメルトインデックス(I2)を有する、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
プロピレン系ポリマーをさらに含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記プロピレン系ポリマーが、ASTM D-1238、条件230℃/2.16kgに従って測定される1~120g/10分のメルトフローレート(MFR)を有する、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記プロピレン系ポリマーが、0.890g/cc~0.910g/ccの密度を有する、請求項4または請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が、過酸化物硬化剤を含まない、請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、炭化水素油を含まない、請求項1~のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、100~250kpsi(689.476~1723.69MPa)の屈曲弾性率(1%割線)を有する、請求項1~のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が、10℃で40~55kJ/mのアイゾット強度を有する、請求項1~のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物が、0℃で30~50kJ/mのアイゾット強度を有する、請求項1~10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物が、-20℃で8.0~20kJ/mのアイゾット強度を有する、請求項1~11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物が、-10℃で15~25kJ/mのアイゾット強度を有する、請求項1~12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載の組成物から形成される少なくとも1つの成分を含む、物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年8月29日に申請された米国出願第62/724,113号に対する優先権の利益を主張し、その全体が、参照によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
エチレン/アルファ-オレフィンエラストマーは、数十年にわたって、ポリプロピレン、特に一般にTPO組成物と呼ばれるタルク充填ポリプロピレン組成物のための衝撃改質剤として使用されてきた。TPO組成物は、自動車産業で広く普及しており、それらは、バンパーフェイシア、内装ドアパネル、エアバッグカバー、および多くの他の構成要素などの内装および外装自動車部品を作製するために使用されている。TPO組成物の低温衝撃性能および溶融流動性をさらに改善するためのエラストマー組成物が求められている。現在、この目的のために、より低密度でより高いメルトインデックスエラストマーが開発されているが、そのようなエラストマーはしばしばTPOの剛性を低減させ、特に高温での輸送または保管中に粘着性が増加し、ブロックまたは塊になる傾向があるため、自由流動ペレットの形態で維持するのが困難である。エチレン/アルファ-オレフィンエラストマーの自由流動ペレットの形態は、TPO配合業者に実質的により低い処理コストを提供するため、比較的低密度で比較的低メルトインデックスのエラストマーを含有し、改善された低温衝撃性能(靭性)および溶融流動性を有する新しいTPO組成物が必要とされている。エラストマー樹脂および配合物は、以下の参考文献に記載されている:米国特許第4535113号、同第5078085号、同第5585420号、同第5639810号、同第5902854号、同第5925703号、同第6417271号、同第6136937号、同第9023935号、同第9714337、および米国公開第2007/0244234号、同第2008/0093768号、同第2010/676422号。追加の参考文献には、米国特許第6080489号、同第6569931号、および同第9243140号が含まれる。
【0003】
以前は、TPO用途において、シリコーン系材料(特に、超高分子量ポリジメチルシロキサン(PDMS)マスターバッチ)を使用して、TPO組成物の耐擦傷性を改善してきた。ただし、これらのPDMS/シリコーンを組み込んだ配合物は、剛性と靭性とのバランスおよび溶融流動性などのTPO組成物の他の物理的特性を改善することはできない。議論されるように、低温衝撃性能(靭性)、溶融流動性、および剛性の改善されたバランスを有するTPO組成物が必要とされている。この必要性は、以下の発明によって満たされている。
【発明の概要】
【0004】
組成物であって、
A)0.854~0.890g/ccの密度および0.2~30g/10分のメルトインデックス(I2)を有するエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーと、
B)25℃で、≦5000cStの粘度を有するシリコーン油と、を含み、
成分Bは、成分AとBとの合計重量の重量に基づいて、1.0重量%~5.0重量%の量で存在する、組成物。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本明細書に記載されるように、TPO用途において優れた低温衝撃性(靭性)、優れた剛性(屈曲弾性率)、および改善された溶融流動性(メルトフローレート)を提供する組成物が発見された。これらの組成物は、優れた剛性および低温靭性を有し、その一方で、メルトフローレートを実質的に増加させて、良好な加工性を維持する。
【0006】
上で議論されるように、組成物が提供され、本組成物は、以下の
A)0.854~0.890g/cc、または0.855g/cc~0.885g/cc、または0.860g/cc~0.880g/cc、または0.865g/cc~0.875g/cc(1g/cc=1g/cm)の密度および0.2~30g/10分、または0.3~20g/10分、または0.4~10g/10分、または0.5~5.0g/10分、または0.5~2.0g/10分のメルトインデックス(I2)を有するエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーと、
B)25℃で、≦5000cSt、または≦4000cSt、または≦3000cSt、または≦2000cSt、または≦1000cSt、または≦500cStの粘度を有するシリコーン油と、を含み、
成分Bは、成分AとBとの合計重量の重量に基づいて、1.0重量%~5.0重量%、または1.0重量%~4.5重量%、または1.0重量%~4.0重量%、または1.0重量%~3.5重量%、または1.0重量%~3.0重量%の量で存在する。
【0007】
本発明の組成物は、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。成分Aは、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。成分Bは、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0008】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、シリコーン油は、25℃で、≧20cSt、または≧30cSt、または≧40cSt、または≧50cSt、または≧60cSt、または≧70cSt、または≧80cSt、または≧90cSt、または≧100cStおよび≦5000cSt、または≦4500cSt、または≦4000cSt、または≦3500cSt、または≦3000cSt、または≦2500cSt、または≦2000cStの粘度を有する。
【0009】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、シリコーン油は、25℃で50~5000cSt、または25℃で60~4000cSt、25℃で70~3000cSt、または25℃で80~2000cSt、または25℃で90~1000cSt、または25℃で100~500cStの粘度を有する。
【0010】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、成分Bに対する成分Aの重量比は、19~99、または24~76、または27~62、または32~49である。
【0011】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、成分Aのエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、ペレットの形態である。
【0012】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、成分Aのエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、エチレン/アルファ-オレフィン/コポリマーである。さらなる実施形態において、アルファ-オレフィンは、C3~C20アルファ-オレフィンであり、さらにC3~C10アルファ-オレフィンである。
【0013】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、成分Aのエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーはエチレン/アルファ-オレフィン/ジエンインターポリマー、さらにEPDMであり、さらにジエンはENBである。
【0014】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、成分Aのエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーはエチレン/アルファ-オレフィン/ジエンインターポリマー、さらにEPDMであり、さらにジエンはENBである。本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、エチレン/アルファ-オレフィン/ジエンインターポリマーは、本明細書に記載されるように、13C NMR(プロピレンの立体規則性マーカー)によって決定される場合、≧3.0%、または≧4.0%、または≧5.0%、または≧6.0%、または≧7.0%、または≧8.0%、または≧9.0%、または≧10%、または≧11%、または≧12%、または≧13%、または≧14%、または≧15%、または≧16%、または≧17%、または≧18%、または≧19%、または≧20%の「ピーク面積%(21.3~22.0ppm)」を有する。本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、エチレン/アルファ-オレフィン/ジエンインターポリマーは、本明細書に記載されるように、13C NMRによって決定される場合、≦40%、または≦35%、または≦30%の「ピーク面積%(21.3ppm~22.0ppm)」を有する。
【0015】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、成分Aは、≧0.890、または≧0.888、または≧0.886、または≧0.884、または≧0.882、または≧0.880、または≧0.878、または≧0.876、または≧0.874g/ccの密度を有する。本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、成分Aの少なくとも1つのエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、≧0.854g/cc、または≧0.862、または≧0.864g/cc、または≧0.866、または≧0.868g/cc(1cc=1cm)の密度を有する。
【0016】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、成分Aのエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、0.854~0.900g/cc、または0.862g/cc~0.890g/cc、または0.865g/cc~0.890g/cc、または0.865g/cc~0.885g/cc、または0.865g/cc~0.875g/cc(1g/cc=1g/cm)の密度を有する。
【0017】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、成分Aのエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、0.2~30g/10分、または0.3~20g/10分、または0.4~10g/10分、または0.5~2.0g/10分のメルトインデックス(I2)を有する。
【0018】
本明細書に記載の実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、成分Aは、≧10,000、または≧20,000、または≧30,000、または≧40,000、または≧45,000g/molの数平均分子量(Mn(変換))を有する。本明細書に記載の実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、成分Aの少なくとも1つのエチレン/-アルファ-オレフィンインターポリマーは、≦150,000、または≦120,000、または≦100,000、または≦90,000、または≦80,000g/molの数平均分子量(Mn)を有する。
【0019】
本明細書に記載の実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、成分Aは、≧80,000、または≧85,000、または≧90,000、または≧95,000、または≧100,000g/molの重量平均分子量(Mw(変換))を有する。本明細書に記載の実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、成分Aの少なくとも1つのエチレン/-アルファ-オレフィンインターポリマーは、≦300,000、または≦250,000、または≦200,000、または≦150,000g/molの重量平均分子量(Mw)を有する。
【0020】
本明細書に記載の実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、成分Aは、≧1.2、または≧1.5、または≧1.8、または≧2.0、または≧2.2、または≧2.5の分子量分布(Mw(変換)/Mn(変換))を有する。本明細書に記載の実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、成分Aは、≦3.5、または≦3.2、≦3.0、または≦2.8の分子量分布(Mw(変換)/Mn(変換))を有する。
【0021】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、成分Aは、≦30、または≦25、または≦20、または≦15、または≦12、および>0、または≧1.0、または≧3.0、または≧5.0、または≧8.0のタンデルタ(0.1ラジアン/秒、190℃)値を有する。
【0022】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、成分Aは、≧1000、または≧2000、または≧4000、または≧6000、または≧8000の粘度(V0.1ラジアン/秒、190℃)を有する。本明細書に記載の実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、成分Aは、≦100,000、または≦90,000、または≦80,000、または≦70,000、または≦60,000、または≦50,000、または≦40,000、または≦30,000、または≦20,000、または≦10,000の粘度(V0.1ラジアン/秒、190℃)を有する。
【0023】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、成分Aは、1.0~30、または2.0~20、または3.0~15、または4.0~10の粘度比(V0.1ラジアン/秒、190℃/V100ラジアン/秒、190℃)を有する。
【0024】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、本組成物は、本組成物の重量に基づいて、≧10重量%、または≧12重量%、または≧14重量%、または≧16重量%、または≧18重量%、または≧20重量%の成分Aと成分Bとの合計を含む。
【0025】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、本組成物は、本組成物の重量に基づいて、≦50重量%、または≦45重量%、または≦40重量%、または≦35重量%、または≦30重量%、または≦25重量%の成分Aと成分Bとの合計を含む。
【0026】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、本組成物は、プロピレン系ポリマーをさらに含む。
【0027】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、プロピレン系ポリマーは、1.0~120g/10分、または2.0~100g/10分、または5.0~80g/10分、または10~60g/10分、または25~50g/10分、または30~40g/10分のメルトフローレート(MFR)を有する。
【0028】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、プロピレン系ポリマーは、0.850~1.00g/cc、または0.860~0.980g/cc、または0.870~0.970g/cc、または0.880~0.960g/cc(1cc=1cm)の密度を有する。
【0029】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、プロピレン系ポリマーは、0.885~0.915g/cc、または0.890~0.910g/cc、または0.895~0.905g/ccの密度を有する。
【0030】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、プロピレン系ポリマーは、1.0~50、または2.0~30、または3.0~15、または3.0~10、または3.0~5.0のMWDを有する。
【0031】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、プロピレン系ポリマーは、ポリプロピレンホモポリマーである。
【0032】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、プロピレン系ポリマーは、インパクトコポリマーポリプロピレンである。
【0033】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、プロピレン系ポリマーは、以下に記載のキシレン抽出法によって決定されたプロピレン系ポリマーの総重量に基づいて、5~20重量%、または8~18重量%、または10~15重量%の分散エチレン-プロピレンまたはプロピレン-エチレンゴム相を含むインパクトコポリマーポリプロピレンである。
【0034】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、プロピレン系ポリマーは、プロピレン/アルファ-オレフィンインターポリマーであり、さらにプロピレン/アルファ-オレフィンコポリマーである。
【0035】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、プロピレン系ポリマーは、プロピレン/エチレンインターポリマーであり、さらにプロピレン/エチレンコポリマーである。
【0036】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、プロピレン系ポリマーは、本組成物の重量に基づいて、≧50重量%、または≧55重量%、または≧60重量%の量で存在する。
【0037】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、プロピレン系ポリマーは、本組成物の重量に基づいて、≦90重量%、または≦85重量%、または≦70重量%の量で存在する。
【0038】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、本組成物は、本組成物の重量に基づいて、≧70重量%、または≧75重量%、または≧80重量%、または≧85重量%の成分A、成分B、およびプロピレン系ポリマーの合計を含む。
【0039】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、本組成物は、本組成物の重量に基づいて、≦98重量%、または≦95重量%、または≦90重量%の成分A、成分B、およびプロピレン系ポリマーの合計を含む。
【0040】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、成分Aは、本組成物の重量に基づいて、12重量%~50重量%、または14重量%~40重量%、または16重量%~30重量%、または18重量%~25重量%の量で存在する。
【0041】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、成分Aに対するプロピレン系ポリマーの重量比は、1.0~5.0、または1.5~5.0、または2.0~5.0、または2.5~5.0である。
【0042】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、成分Aに対するプロピレン系ポリマーの重量比は、1.0~5.0、または1.2~4.5、または1.4~4.0、または1.6~3.5である。
【0043】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、本組成物は、本組成物の重量に基づいて、≦0.100重量%、または≦0.050重量%、または≦0.020重量%、または≦0.010重量%、または≦0.050重量%、または≦0.020重量%、または≦0.010重量%、または≦0.005重量%の硬化剤をさらに含む。本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、本組成物は硬化剤を含まない。例示的な硬化剤には、元素硫黄、4,4’-ジチオジモルホリン、チウラムジ-およびポリスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、ならびに2-モルホリノ-ジチオベンゾチアゾールなどの硫黄含有化合物;過酸化ジ-tertブチル、過酸化tertブチルクミル、過酸化ジクミル、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tertブチルペルオキシ)ヘキサン、ジ-(tertブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、tertブチルペルオキシベンゾエート、および1,1-ジ-(tertブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンなどの過酸化物;アゾ化合物;ビニルトリ-エトキシシランまたはビニルトリ-メトキシシランなどのシラン;p-キノン-ジオキシムおよびp,p’-ジベンゾイルキノン-ジオキシムなどのジニトロソ化合物;ヒドロキシメチル官能基またはハロメチル官能基を含有するフェノール-ホルムアルデヒド樹脂が含まれる。
【0044】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、本組成物は、本組成物の重量に基づいて、≦0.100重量%、または≦0.050重量%、または≦0.020重量%、または≦0.010重量%、または≦0.050重量%、または≦0.020重量%、または≦0.010重量%、または≦0.005重量%の過酸化物硬化剤をさらに含む。さらなる実施形態において、本組成物は、過酸化物硬化剤を含まない。
【0045】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、本組成物は、本組成物の重量に基づいて、≧0.1重量%、または≧0.2重量%、または≧0.5重量%、または≧1.0重量%、または≧2.0重量%、または≧3.0重量%、または≧4.0重量%、または≧5.0重量%、または≧0.6重量%、または≧7.0重量%、または≧8.0重量%、または≧9.0重量%、または≧10重量%の鉱物充填剤(例えば、タルク)をさらに含む。本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、本組成物は、本組成物の重量に基づいて、≦40重量%、または≦35重量%、または≦30重量%、または≦25重量%、または≦20重量%の鉱物充填剤(例えば、タルク)をさらに含む。
【0046】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、本組成物は、本組成物の重量に基づいて、5重量%~30重量%、または10重量%~25重量%のタルクなどの充填剤を含む。他の充填剤には、炭酸カルシウム、粘土、カーボンブラック、シリカ、二酸化チタン、珪藻土の充填剤を含む。
【0047】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、成分Aに対する充填剤の重量比は、0.80~1.20、または0.85~1.15、または0.90~1.10、または0.95~105である。さらなる実施形態において、充填剤は、タルク、炭酸カルシウム、粘土、カーボンブラック、シリカ、二酸化ケイ素、または珪藻土、さらにタルク、炭酸カルシウム、カーボンブラック、シリカ、または二酸化チタン、さらにタルク、カーボンブラック、またはシリカから選択される。一実施形態において、充填剤は、タルクである。
【0048】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、本組成物は、カーボンブラックを含む。さらなる実施形態において、カーボンブラックは、本組成物の重量に基づいて、5.0~50重量%の量で存在する。
【0049】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、本組成物は、100~250kpsi、または120~250kpsi、または140~250kpsi、または160~250kpsi、または180~250kpsiの屈曲弾性率(1%割線)を有する。
【0050】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、本組成物は、10℃で40~60kJ/m、または40~55kJ/mのアイゾット強度を有する。
【0051】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、本組成物は、0℃で30~50kJ/mのアイゾット強度を有する。
【0052】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、本組成物は、-10℃で15~25kJ/mのアイゾット強度を有する。
【0053】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、本組成物は、-20℃で8.0~20kJ/mのアイゾット強度を有する。
【0054】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、本組成物は、10~20g/10分、または12~18g/10分のメルトフローレート(MFR)を有する。
【0055】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、本組成物は、本組成物の重量に基づいて、≧0.1重量%、または≧0.2重量%、または≧0.5重量%の1つ以上の抗酸化剤をさらに含む。本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、本組成物は、本組成物の重量に基づいて、≦2.0重量%、または≦1.5重量%、または≦1.0重量%の1つ以上の抗酸化剤をさらに含む。
【0056】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、本組成物は、≦1.00重量%、または≦0.50重量%、または≦0.10重量%、または≦0.05重量%の炭化水素油を含む。さらなる実施形態において、本組成物は、炭化水素油を含まない。
【0057】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、本組成物は、≦1.00重量%、または≦0.50重量%、または≦0.10重量%、または≦0.05重量%のスチレン系ポリマー(ポリマーの重量に基づいて、過半量の重合スチレンを含む)を含む。さらなる実施形態において、本組成物は、スチレン系ポリマーを含まない。本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、本組成物は、≦1.00重量%、または≦0.50重量%、または≦0.10重量%、または≦0.05重量%のスチレンブロックコポリマーゴムを含む。さらなる実施形態において、本組成物は、スチレンブロックコポリマーゴムを含まない。本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、本組成物は、≦1.00重量%、または≦0.50重量%、または≦0.10重量%、または≦0.05重量%のスチレン-ブタジエンゴムを含む。さらなる実施形態において、本組成物は、スチレン-ブタジエンゴムを含まない。
【0058】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、本組成物は、≦1.00重量%、または≦0.50重量%、または≦0.10重量%、または≦0.05重量%のポリブタジエンを含む。さらなる実施形態において、本組成物は、ポリブタジエンを含まない。
【0059】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、本組成物は、≦1.00重量%、または≦0.50重量%、または≦0.10重量%、または≦0.05重量%のポリイソプレンを含む。さらなる実施形態において、本組成物は、ポリイソプレンを含まない。
【0060】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、本組成物は、≦1.00重量%、または≦0.50重量%、または≦0.10重量%、または≦0.05重量%のフルオロ基を含むポリマーを含む。さらなる実施形態において、本組成物は、フルオロ基を含むポリマーを含まない。
【0061】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、本組成物は、≦1.00重量%、または≦0.50重量%、または≦0.10重量%、または≦0.05重量%のペルフルオロアルキル化合物(少なくとも1つのペルフルオロアルキル基を含む化合物)を含む。さらなる実施形態において、本組成物は、ペルフルオロアルキル化合物を含まない。
【0062】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせの組成物から形成された少なくとも1つの成分を含む物品も提供される。
【0063】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、物品は、以下、射出成形部品、発泡体、自動車部品、建築および建設材料、建築および建設材料、ならびに靴の構成要素からなる群から選択される。本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、物品は、以下のバンパーフェイシア、ドアトリム、計器盤、エアバッグカバー、およびフェンダーからなる群から選択される。本発明の物品は、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0064】
添加剤および用途
本組成物は、とりわけ充填剤、抗酸化剤、難燃剤、発泡剤、着色剤または色素、および熱可塑性ポリマーなどの1つ以上の添加剤を含み得る。さらなる添加剤は、充填剤、難燃剤、着色剤または色素、熱可塑性ポリマー、およびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。このような添加剤は、それらの所望の効果を達成するために所望の量で用いられ得る。好適な充填剤は、粘土、タルク、またはカーボンブラックを含むが、これらに限定されない。本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、本組成物は、少なくとも1つの抗酸化剤をさらに含む。例示的な抗酸化剤は、ペルオキシおよびアルコキシラジカルトラップ(アミンおよびヒンダードフェノール)、ヒドロペルオキシド分解剤、および相乗剤を含むが、これらに限定されない。
【0065】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、本組成物は、熱可塑性ポリマーをさらに含む。例示的なポリマーは、プロピレン系ポリマー、エチレン系ポリマー、およびオレフィンマルチブロックインターポリマーを含むが、これらに限定されない。好適なエチレン系ポリマーには、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、均質に分岐した直鎖状エチレンポリマー、および均質に分岐した実質的直鎖状エチレンポリマー(つまり、均質に分岐した長鎖分岐状エチレンポリマーである)が含まれるが、これらに限定されない。
【0066】
本発明の組成物は、様々な物品、またはそれらの構成要素部品もしくは部分を調製するために使用され得る。本発明の組成物は、いくつもの従来のプロセスおよび装置のうちのいずれか1つによって製造の完成物品に変換され得る。例示的なプロセスには、射出成形、押出成形、カレンダー加工、圧縮成形、および他の典型的な熱硬化性材料形成プロセスが含まれるが、これらに限定されない。物品には、シート、発泡体、成形品、および押出部品が含まれるが、これらに限定されない。追加の物品には、自動車部品、バンパーフェイシア、計器盤、ドアトリム、エアバッグカバー、フェンダー、テールゲートおよびリフトゲート、コンピューター部品、建築材料、ならびに履物構成要素が含まれる。当業者であれば、このリストを容易に増補することができる。本組成物は、自動車の射出成形部品での使用に特に好適である。
【0067】
定義
相反して、文脈から暗示的に、または当該技術分野において慣習的あると記載されない限り、全ての部およびパーセントは重量に基づくものであり、全ての試験方法は本開示の出願日現在のものである。本明細書で使用される場合、「組成物」という用語および同様の用語は、組成物を含む2つ以上の材料の混合物またはブレンド、同様に組成物の材料から形成された反応生成物および分解生成物を意味する。
【0068】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」という移行句(または用語)、およびそれらの派生語は、同じものが具体的に開示されているかどうかに関わらず、任意の追加の構成要素、ステップ、または手順の存在を除外すように意図されない。いかなる疑義をも回避するために、「含む」という用語の使用を通じて主張される全ての組成物は、相反して記載されない限り、ポリマーであるか、または他のものであるかに関わらず、任意の追加の添加剤、アジュバント、または化合物を含むことができる。対照的に、「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、操作性に必須ではないものを除いて、任意の後続の記載の範囲から、任意の他の構成要素、ステップ、または手順を除外する。「からなる」という用語は、具体的に描写または列挙されていない任意の構成要素、ステップ、または手順を除外する。
【0069】
本明細書で使用される場合、「ポリマー」という用語は、同じ種類のものか、または異なる種類のものかに関わらず、モノマーを重合することによって調製されるポリマー化合物を指す。したがって、ポリマーという一般的な用語は、ホモポリマーという用語(微量の不純物がポリマー構造に組み込まれ得るという理解と共に、1種類のモノマーのみから調製されたポリマーを指すために用いられる)、および以下で定義されるインターポリマーという用語を包含する。触媒残渣などの微量または不純物は、ポリマー中および/またはポリマー内に取り込まれ得る。
【0070】
本明細書で使用される場合、「インターポリマー」という用語は、少なくとも2つの異なる種類のモノマーの重合によって調製されるポリマーを指す。したがって、インターポリマーという一般的な用語は、コポリマー(2つの異なる種類のモノマーから調製されたポリマーを指すために用いられる)、および3つ以上の異なる種類のモノマー(例えば、ターポリマー(3つの異なるモノマーの種類)およびテトラポリマー(4つの異なるモノマーの種類))から調製されたポリマーを含む。
【0071】
本明細書で使用される場合、「エチレン/α-オレフィンインターポリマー」および同様の用語は、重合形態で、エチレンおよびα-オレフィンを含むポリマーを指す。一実施形態において、「エチレン/α-オレフィンインターポリマー」は、過半重量パーセントのエチレンを含む(インターポリマーの重量に基づく)。
【0072】
本明細書で使用される場合、「エチレン/α-オレフィン/ジエンインターポリマー」および同様の用語は、重合形態で、エチレン、α-オレフィン、およびジエン(例えば、非共役ジエン)を含むポリマーを指す。一実施形態において、「エチレン/α-オレフィン/ジエンインターポリマー」は、過半重量パーセントのエチレンを含む(インターポリマーの重量に基づく)。
【0073】
本明細書で使用される場合、「エチレン/α-オレフィンコポリマー」という用語および同様の用語は、重合形態で、コポリマーの重量に基づいて、50重量%または大部分のエチレンと、唯一のモノマー型としてα-オレフィンとを含むコポリマーを指す。
【0074】
本明細書で使用される場合、「エチレン系ポリマー」という用語および同様の用語は、重合形態で、50重量%または過半重量パーセントのエチレンモノマー(ポリマーの重量に基づく)を含み、任意選択で、1つ以上のコモノマーを含み得る)ポリマーを指す。
【0075】
本明細書で使用される場合、「プロピレン系ポリマー」とういう用語および同様の用語は、重合形態で、過半重量パーセントのプロピレンモノマー(ポリマーの重量に基づく)を含み、任意選択で、1つ以上のコモノマーを含み得る)ポリマーを指す。
【0076】
本明細書で使用される場合、「プロピレン/アルファ-オレフィンインターポリマー」という用語および同様の用語は、重合形態で、過半重量パーセントのプロピレンモノマー(ポリマーの重量に基づく)と、アルファ-オレフィンとを含むポリマーを指す。
【0077】
本明細書で使用される場合、「プロピレン/α-オレフィンコポリマー」という用語および同様の用語は、重合形態で、コポリマーの重量に基づいて大部分のプロピレンと、唯一のモノマー型としてα-オレフィンとを含むコポリマーを指す。
【0078】
本明細書で使用される場合、「プロピレン/エチレンインターポリマー」という用語および同様の用語は、重合形態で、過半重量パーセントのプロピレンモノマー(ポリマーの重量に基づく)と、エチレンとを含むポリマーを指す。
【0079】
本明細書で使用される場合、「プロピレン/エチレンコポリマー」という用語および同様の用語は、重合形態で、コポリマーの重量に基づいて大部分のプロピレンと、唯一のモノマー型としてエチレンとを含むコポリマーを指す。
【0080】
当技術分野で知られているように、「炭化水素」は、炭素原子および水素原子のみを含有する。
本開示の実施形態は、限定されないが、以下のものを含む:
1.組成物であって、
A)0.854~0.890g/ccの密度および0.2~30g/10分のメルトインデックス(I2)を有するエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーと、
B)25℃で、≦5000cStの粘度を有するシリコーン油と、を含み、
成分Bが、成分AとBとの合計重量の重量に基づいて、1.0重量%~5.0重量%の量で存在する、組成物。
2.前記成分Aのエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーが、ペレットの形態である、実施形態1に記載の組成物。
3.前記成分Aのエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーが、エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーである、実施形態1または実施形態2に記載の組成物。
4.前記アルファ-オレフィンが、C3~C20アルファ-オレフィンである、実施形態3に記載の組成物。
5.前記成分Aのエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーが、エチレン/アルファ-オレフィン/ジエンインターポリマーである、実施形態1または実施形態2に記載の組成物。
6.前記成分Aのエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーが、0.860~0.880g/ccの密度を有する、先行実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
7.前記成分Aのエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーが、0.5~10g/10分のメルトインデックス(I2)を有する、先行実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
8.前記組成物が、成分Aと成分Bとの合計重量に基づいて、≧90重量%の成分Aを含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
9.前記組成物が、前記組成物の合計重量に基づいて、≧10重量%の成分Aと成分Bとの合計を含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
10.プロピレン系ポリマーをさらに含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
11.前記プロピレン系ポリマーが、1~120g/10分のメルトフローレート(MFR)を有する、実施形態10に記載の組成物。
12.前記プロピレン系ポリマーが、0.890g/cc~0.910g/ccの密度を有する、実施形態10または実施形態11に記載の組成物。
13.前記プロピレン系ポリマーが、2.0~30のMWDを有する、実施形態10~12のいずれか1つに記載の組成物。
14.前記プロピレン系ポリマーが、ポリプロピレンホモポリマーまたはインパクトコポリマーポリプロピレンである、実施形態10~13のいずれか1つに記載の組成物。
15.前記プロピレン系ポリマーが、前記組成物の重量に基づいて、≧50重量%の量で存在する、実施形態10~14のいずれか1つに記載の組成物。
16.前記組成物が、前記組成物の重量に基づいて、≧70重量%の前記成分A、成分B、およびプロピレン系ポリマーの合計を含む、実施形態10~15のいずれか1つに記載の組成物。
17.成分Aに対する前記プロピレン系ポリマーの重量比が1.0~5.0である、実施形態10~16のいずれか1つに記載の組成物。
18.前記組成物が、過酸化物硬化剤を含まない、先行実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
19.前記組成物が、タルクをさらに含む、先行実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
20.前記タルクが、前記組成物の重量に基づいて、5.0重量%~35重量%の量で存在する、実施形態19に記載の組成物。
21.前記組成物が、炭化水素油を含まない、先行実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
22.前記組成物が、100~250kpsiの屈曲弾性率(1%割線)を有する、先行実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
23.前記組成物が、10℃で40~55kJ/mのアイゾット強度を有する、先行実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
24.前記組成物が、0℃で30~50kJ/mのアイゾット強度を有する、先行実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
25.前記組成物が、-20℃で8.0~20kJ/mのアイゾット強度を有する、先行実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
26.前記組成物が、-10℃で15~25kJ/mのアイゾット強度を有する、先行実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
27.前記組成物が、10~20g/10分のメルトフローレート(MFR)を有する、先行実施形態のいずれか1つに記載の組成物。
28.先行実施形態のいずれか1つに記載の組成物から形成される少なくとも1つの成分を含む、物品。
【0081】
試験方法
密度
ポリマー密度を、ASTM D-792に従って測定した。
【0082】
メルトインデックス
エチレン系ポリマーのメルトインデックス(I2)をASTM D-1238、条件190℃/2.16kgに従って測定する。エチレン系ポリマーのメルトインデックス(I5)をASTM D-1238、条件190℃/5.0kgに従って測定する。エチレン系ポリマーのメルトインデックス(I10)をASTM D-1238、条件190℃/10.0kgに従って測定する。エチレン系ポリマーの高負荷メルトインデックス(I21)をASTM D-1238、条件190℃/21.0kgに従って測定する。プロピレン系ポリマーに関して、メルトフローレート(MFR)をASTMD-1238、条件230℃/2.16kgに従って測定する。
【0083】
キシレン抽出
現在の方法は、わずかな変更を加えたASTMキシレン抽出アプローチに基づいて確立されている。特に、4±0.3gのポリマーを秤量し(Mの重量は0.0001gに近い単位で記録される)、200mlの阻害されたo-キシレン溶媒を有する還流フラスコに添加する。溶媒を沸騰するまで加熱し、セットアップで還流を開始する。還流をさらに30分間維持し、次に室温まで空冷する。その後、フラスコを25℃の水浴に45分間入れ、次に100mlの濾過した溶液を目盛り付きシリンダーで測定する。次に、100mlの濾液をアルミニウムパンに移した。アルミパン(M)の重量は、150℃で最低2時間パンを加熱して、水分を取り除き、デシケーターで室温まで冷却した後、0.0001gに近い単位で注意深く測定する必要がある。アルミパンの溶媒を蒸発させるために、パンをホットプレート上で穏やかに加熱する。溶媒が完全に蒸発した後、次にパンを100±5℃の真空オーブンに約2時間入れる。その後、パンを室温までデシケーター中で冷却した後に、再びアルミニウムパンを秤量して、0.0001gに近い単位までMの重量を得る。次に、抽出材料の重量分率を次の式で計算する:f=2×(M-M)/M。
【0084】
示差走査熱量測定(DSC)
示差走査熱量測定(DSC)は、エチレン系(PE)試料およびプロピレン系(PP)試料の結晶化度を測定するために使用される。約「5~8mg」のフィルム試料を秤量し、DSCパンに入れる。蓋は、密閉された雰囲気を確保するために皿に圧着される。試料皿を、DSCセル中に入れ、次いで、約10℃/分の速度で、PEについて180℃(PPについて230℃)の温度まで加熱した。試料は、この温度で3分間保持される。次いで、試料を10℃/分の速度でPEに対しては-60℃(PPに対しては-40℃)に冷却し、その温度で3分間等温に保持する。次に、試料は、完全に溶融するまで10℃/分の速度で加熱される(第2の加熱)。結晶化度パーセントは、第2の熱曲線から決定された融解熱(H)をPEに関して292J/gの理論融解熱(PPに関して165J/g)で除算し、この量に100を乗算することによって計算される(例えば、結晶化度%=(H/292J/g)×100(PEについて))。
【0085】
別段記載されない限り、各ポリマーの融点(複数可)(T)は、第2の熱曲線から決定され、結晶化温度(T)は、第1の冷却曲線から決定される。
【0086】
ゲル浸透クロマトグラフィー
クロマトグラフィーシステムは、Polymer LaboratoriesモデルPL-210またはPolymer LaboratoriesモデルPL-220のいずれかからなった。カラムおよびカルーセルコンパートメントを、140℃で操作した。カラムは、3つのPolymer Laboratories、10ミクロンのMixed-Bカラムであった。使用した溶媒は、1,2,4トリクロロベンゼンであった。試料を、「50ミリリットルの溶媒中に0.1グラムのポリマー」の濃度で調製した。試料を調製するために使用した溶媒は、「200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)」を含有した。試料を、160℃で2時間軽く撹拌することによって調製した。射出体積は100マイクロリットルであり、流速は1.0ミリリットル/分であった。
【0087】
GPCカラムセットのキャリブレーションを、21の「狭い分子量分布ポリスチレン標準」を用い、6つの「カクテル」混合物に配置した580~8,400,000g/モルの範囲の分子量を用いて、個々の分子量間で少なくとも10(a decade)離して実行した。標準を、Polymer Laboratories(Shropshire,UK)から購入した。ポリスチレン標準を、1,000kg/mol以上の分子量に対して「50ミリリットルの溶媒中に0.025グラム」、1,000kg/mol未満の分子量に対して「50ミリリットルの溶媒中に0.05グラム」で調製した。ポリスチレン標準を、穏やかに撹拌しながら、摂氏80度で30分間溶解した。狭い標準混合物を、最初に流し、劣化を最小限に抑えるよう「最高分子量」成分を低下させる順で流した。ポリスチレン標準物質ピーク分子量を、以下、Mポリエチレン=A×(Mポリスチレン)の方程式を使用してポリエチレン分子量に変換し、式中、Mは分子量であり、Aは0.431の値を有し、Bは1.0に等しい(Williams and Ward,J.Polym.Sc.,Polym.Let.,6,621(1968)に記載される)。ポリエチレン等価分子量計算を、Viscotek TriSECソフトウェアバージョン3.0を使用して実行した。
【0088】
動的機械分光法(DMS)
小角振動せん断(溶融DMS)を、窒素パージ下で、「25mm平行板」を備えたTA Instruments ARESを使用して実行した。試料負荷から試験の開始までの時間を、全ての試料について5分に設定した。実験を、0.1~100ラジアン/秒の周波数範囲にわたって、190℃で実行した。歪み振幅を試料の応答に基づいて、1~3%に調整した。応力応答を振幅および位相の観点から分析し、その分析から、貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G”)、動的粘度η*、およびタンデルタを計算した。動的機械分光法用の試験片は、「直径25mm×厚さ3.3mm」の圧縮成形ディスクであり、180℃、10MPaの成形圧力で5分間形成され、次いで、冷却プラテン(15~20℃)間で2分間急冷された。100ラジアン/秒での粘度に対する0.1ラジアン/秒での粘度(190℃でのV0.1/V100;「RR」とも称される)のレオロジー比を、記録した。
【0089】
ムーニー粘度
インターポリマー(例えば、エチレン/α-オレフィン/ジエンインターポリマーまたはポリマーブレンド)のムーニー粘度(125℃でのML1+4)を、ASTM 1646-04に従って、1分の予熱時間および4分のローター操作時間で大型ローターを使用して測定した。この器具は、Alpha Technologies Mooney Viscometer 2000であった。
【0090】
組成物(配合物)のムーニー粘度(100℃でML1+4)を、ASTM 1646-04に従って、1分の予熱時間および4分のローター操作時間で大型ローターを使用して測定した。この器具は、Alpha Technologies Mooney Viscometer 2000であった。
【0091】
EPDM組成物の分析および立体規則性(%mm)のための13C NMR方法
クロムアセチルアセトネート(緩和剤)中「0.025M」である「テトラクロロエタン-d2/オルトジクロロベンゼンの50/50混合物」約「2.6g」を、10mmのNMR管内の「0.2gの試料」に添加することによって、試料を調製した。試料を、チューブおよびその内容物を150℃に加熱することによって、溶解し、均質化した。データを、Bruker Dual DUL高温CryoProbeを備えた、Bruker400MHz分光計を使用して収集した。データを、「データファイルごとに160回のスキャン」、120℃の試料温度で6秒のパルス繰り返し遅延を使用して取得した。取得を、25,000Hzのスペクトル幅および32Kデータポイントのファイルサイズを使用して実行した。実施例の各組成物のNMRスペクトル分析を、以下の分析方法を使用して実行した。EPDM中に存在するモノマーの定量はまた、以下の方程式(1~9)を使用して計算され得る。エチレンのモルの計算は、55.0~5.0ppmのスペクトル領域を1000の積分単位に正規化する。正規化された積分面積の下の寄与は、ENB炭素のうちの7つのみを占める。二重結合が高温で反応し得るため、111および147ppmのENBジエンピークは、計算から除外される。
【数1】
【数2】
【数3】
【数4】
【数5】
【数6】
【数7】
【数8】
【数9】
【0092】
プロピレン立体規則性%mmの面積13C NMR
EPDM試料の13C NMRスペクトル分析を使用して、立体規則性%mmのレベルを定量した。NMRを、上記の「テトラクロロエタン-d2/オルトジクロロベンゼンの50/50混合物」中で実行した。本発明のEPDMのNMRスペクトル分析(上記を参照)は、「21.3ppm~22.0ppmのピーク面積%[rmmr、mmmr、mmmm]」を示し、典型的には、19.5ppm~22.0ppmの総積分面積の3.5%を超える。この領域におけるピーク応答は、典型的には、EPDMに取り込まれているプロピレン立体規則性(%mm)のに関連する。同様の分析は、別の種類のエチレン/α-オレフィン/ジエンインターポリマーに対して行われることができる。スペクトルデータは、30ppmでのEEE骨格(重合エチレンの3つ以上の繰り返し単位)を参照した。したがって、「ピーク面積%(21.3ppm~22.0ppm)」={[(21.3ppm~22.0ppmの面積)/(19.5ppm~22.0ppmの総積分面積)]×100}である。
【0093】
実験
材料
この研究で使用された材料は、以下の表1および注記された構造に示す。PMX-200の粘度を25℃で測定し、UCON(商標)OSP-460およびPARALUX(登録商標)6001Rの粘度を40℃で測定したことを留意されたい。
【表1】
【0094】
A)組成物(吸収または配合ペレット)
B)代表的な手順
各組成物(対照ポリマーを除く)に関して、以下の表2に示すように、ポリマーペレット(約10ポンド)に、二軸押出機で混合した油または溶融物を吸収させた。吸収プロセスを室温および大気圧で5分~72時間行った。吸収プロセスに関して、エラストマーペレットおよび油を一緒にビニール袋に入れ、振って、ペレットが油で均一にコーティングされるようにした。
【表2】
【0095】
C)組成物(TPO)
代表的な手順
各組成物(TPO)を、二軸押出機、すなわち、水浴およびストランドカッターを備えたCoperion ZSK-25mm二軸押出機で混合した。試料の押出機構成および温度プロファイルを表3に示す。タルクを除くすべての成分をビニール袋で乾式ブレンドし、次に減量フィーダーを介してメインフィードスロートに供給した。タルクを、別個の粉末フィーダーを介してメインフィードスロートに供給した。
【表3】
【表4】
【0096】
D)結果
射出成形
ASTM D638タイプI引張棒をToyoの射出成形機で射出成形した。さまざまな対照実験を介して成形部品の欠陥を確実に最小限に抑えるように、成形条件を最適化した。主要な射出成形設定を表5に表示する。
【表5】
【0097】
屈曲弾性率、1%秒、kpsi
屈曲弾性率を、射出成形されたタイプI引張棒およびINSTRON試験機を使用して、ASTMD790に従って測定した。0.05インチ/分の試験速度を選択した。5つの試験試料を測定し、平均を報告した。
【0098】
アイゾット強度、kJ/m(-20℃、-10℃、0℃、および10℃)
ノッチ付きIZOD試験をASTMD256に従って実施した。試験片を「2.5インチ×0.5インチ×0.125インチ」の最終寸法になるように、射出成形したタイプI引張棒から打ち抜いた。試料に、0.1インチの深さの自動ノッチャーを使用して、試料の長さに沿って、中央で、厚さ方向にノッチを付けた。ノッチの半角は22.5°であり、先端の曲率半径は0.01インチであった。試料を23+/-2℃および50+/-10%の相対湿度で少なくとも40時間整えた。非周囲温度で試験した試料に関して、試験片を試験温度で最低1時間さらに整えた。ここでは、4つの温度(-20℃、-10℃、0℃、および10℃)で試験を実施し、各温度を5回繰り返して、平均値を得た。
【0099】
TPO性能試験には本質的なバッチ間の変動があるため、異なるバッチから異なる時間に試験した場合、同じTPO配合には通常変動があることに留意されたい。したがって、以下に示す比較は、実験の同じバッチから作成および試験されたTPOに対して行われる。
【0100】
表6に、異なる種類の油で調製されたTPO組成物のメルトフローレートおよび剛性特性を示す。本発明の組成物(本発明SC1)が比較用の比較SCAと比較して実質的に改善されたMFRをもたらすことが観察された。一方、シリコーン系油を添加すると、TPO組成物の剛性がわずかに低下した。対照的に、ポリエーテル系(比較SCD)およびパラフィン系(比較SCC)の油を使用すると、溶融流動性が同レベルに改善するが、両方も剛性が低くなる。
【表6】
【0101】
表7に示すように、TPO組成物に0.5重量%の濃度のシリコーン油を有するTPO組成物(本発明SC2および本発明SC3)も、未改質TPO(比較SCE)と比較して実質的に改善された低温衝撃性能を提供し、特に、-10℃でのアイゾット強度を参照されたい。この場合も、TPO組成物の剛性は、シリコーン油の組み込みによって悪影響を受けなかった。対照的に、TPO組成物の剛性および靭性は、シリコーン油を組み込むために使用される方法によって影響されないことも観察された。成分AとBとを含む第1の組成物の「5分間の吸収(本発明2)」および「二軸配合(本発明3)」の両方が、同様のTPO組成物の剛性および低温衝撃性能をもたらす。
表7.ペレット吸収および二軸押出機配合を介して、TPO配合物に0.5重量%のシリコーン油を組み込んだときのTPOの屈曲剛性および衝撃強度。
【表7】
【0102】
最後に、表8で、異なる粘度および異なる濃度を有するシリコーン油を含有するTPO組成物を比較した。超高分子量PDMS改質TPO組成物を除いて、0.5重量%PDMSで、0.5重量%の他のシリコーン油はすべて、TPO組成物の低温靭性(特に0℃で)および溶融流動性を少なくともある程度改善することが分かった。逆に、TPOの耐擦傷性を改善させるために典型的に使用される超高分子量PDMSは、TPO組成物の低温靭性を低下させる傾向がある(比較SCFを参照されたい)。
【0103】
固定粘度(350cSt)において、全体的にTPO組成物中0.2重量%~1.0重量%の範囲の濃度を有するシリコーン油(シリコーン油およびエラストマーの重量に基づいて、1.0重量%~5.0重量%;本発明SC2、本発明SC4、および本発明SC5)は、低温靭性(特に0℃で)もしくは溶融流動性のいずれか、またはそれらの両方の改善を少なくともある程度有することが観察された。これらの結果は、本発明の組成物が、提案された油の組成範囲で、TPO組成物の流動剛性-靭性の改善されたバランスを提供することを示唆している。
【0104】
本発明の試料(本発明1~7)のベースのエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは対照(対照A)と同じであったため、新しい組成物は、「より低密度およびより高メルトインデックス」のエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーを含有する組成物と比較して、ペレットの取り扱いに利点を提供すると予想されるが、これは、本発明の組成物を使用して「良好な低温衝撃性能を備えた良好なMFR TPO組成物」を達成し、より低密度およびより高いメルトインデックスのインターポリマーを使用することに起因する粘着性があるペレットの状態を回避して、同じ「良好な低温衝撃性能を備えたMFR組成物」を達成することができるためである。
表8:TPO配合物に、シリコーン油/超高分子量PDMSの異なる濃度および異なる粘度を組み込んだときの、TPOの屈曲剛性、溶融流動性、および衝撃強度。
【表8】

本発明は以下の態様を含み得る。
[1]
組成物であって、
A)0.854~0.890g/ccの密度および0.2~30g/10分のメルトインデックス(I2)を有するエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーと、
B)25℃で、≦5000cStの粘度を有するシリコーン油と、を含み、
成分Bが、成分AおよびBとの合計重量の重量に基づいて、1.0重量%~5.0重量%の量で存在する、組成物。
[2]
前記成分Aのエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーが、0.860~0.880g/ccの密度を有する、[1]に記載の組成物。
[3]
前記成分Aのエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーが、0.5~10g/10分のメルトインデックス(I2)を有する、[1]または[2]に記載の組成物。
[4]
プロピレン系ポリマーをさらに含む、[1]~[3]のいずれか1項に記載の組成物。
[5]
前記プロピレン系ポリマーが、1~120g/10分のメルトフローレート(MFR)を有する、[4]に記載の組成物。
[6]
前記プロピレン系ポリマーが、0.890g/cc~0.910g/ccの密度を有する、[4]または[5]に記載の組成物。
[7]
前記組成物が、過酸化物硬化剤を含まない、[1]~[6]のいずれか1項に記載の組成物。
[8]
前記組成物が、タルクをさらに含む、[1]~[7]のいずれか1項に記載の組成物。
[9]
前記組成物が、炭化水素油を含まない、[1]~[8]のいずれか1項に記載の組成物。
[10]
前記組成物が、100~250kpsiの屈曲弾性率(1%割線)を有する、[1]~[9]のいずれか1項に記載の組成物。
[11]
前記組成物が、10℃で40~55kJ/m のアイゾット強度を有する、[1]~[10]のいずれか1項に記載の組成物。
[12]
前記組成物が、0℃で30~50kJ/m のアイゾット強度を有する、[1]~[11]のいずれか1項に記載の組成物。
[13]
前記組成物が、-20℃で8.0~20kJ/m のアイゾット強度を有する、[1]~[12]のいずれか1項に記載の組成物。
[14]
前記組成物が、-10℃で15~25kJ/m のアイゾット強度を有する、[1]~[13]のいずれか1項に記載の組成物。
[15]
[1]~[14]のいずれか1項に記載の組成物から形成される少なくとも1つの成分を含む、物品。