(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
B06B 1/04 20060101AFI20240307BHJP
【FI】
B06B1/04 Z
B06B1/04 S
(21)【出願番号】P 2021551239
(86)(22)【出願日】2020-09-28
(86)【国際出願番号】 JP2020036597
(87)【国際公開番号】W WO2021065785
(87)【国際公開日】2021-04-08
【審査請求日】2023-03-29
(31)【優先権主張番号】P 2019181948
(32)【優先日】2019-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000112565
【氏名又は名称】フォスター電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 亮
【審査官】若林 治男
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-250590(JP,A)
【文献】特開2001-159942(JP,A)
【文献】特開2010-065530(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B06B 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルを含んで構成される取付部材と、
マグネットを含んで構成され、前記取付部材に対して相対変位する可動子と、
前記取付部材に固定されると共に、前記可動子に固定される弾性支持体と、
を備え
、
前記取付部材の前記コイルが通電されることにより、前記マグネットを含む前記可動子に前記コイルから発生する力の反力としての推力が発生するアクチュエータであって、
前記弾性支持体は、第一板バネと、前記第一板バネに積層された緩衝材と、を備え、
前記弾性支持体のうち前記第一板バネが機械的固定手段により前記可動子に固定されて
おり、
前記可動子は、ヨークを有し、
前記ヨークは、壁厚方向を上下方向に向けた天壁部と、前記天壁部の外側周縁から下方向に延びる垂下部と、を有し、
前記弾性支持体の可動子側被固定部の下面は、前記天壁部の上平面に固定される、
アクチュエータ。
【請求項2】
前記可動子は、凸部を有し、
前記第一板バネは、孔部を有し、
前記機械的固定手段による固定は、前記可動子の前記凸部が前記第一板バネの前記孔部に挿入された状態で変形させられることで行われている、
請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
変形した前記凸部の外周面は、前記第一板バネの前記孔部の内周面に接触している、
請求項2に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記弾性支持体は、前記第一板バネの前記孔部を含んで構成された孔部を有し、
変形した前記凸部は、前記弾性支持体の前記孔部内に収まっている、
請求項2又は請求項3に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記弾性支持体は、前記第一板バネとの間に前記緩衝材を挟む第二板バネを備え、
前記第二板バネは、前記弾性支持体の前記孔部に含まれる孔部を有し、
前記緩衝材は、前記弾性支持体の前記孔部に含まれる孔部を有し、
前記第二板バネの前記孔部の内径は、前記可動子の前記凸部の外径よりも大きい、
請求項4に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記可動子は、前記凸部の周囲に形成された窪部を有する、
請求項2~
請求項5の何れか一項に記載のアクチュエータ。
【請求項7】
前記弾性支持体は、前記第一板バネとの間に前記緩衝材を挟む第二板バネを備える、
請求項1~
請求項6の何れか一項に記載のアクチュエータ。
【請求項8】
前記可動子と前記弾性支持体とは、接着手段により固定されている、
請求項1~
請求項7の何れか一項に記載のアクチュエータ。
【請求項9】
前記取付部材は、フレームと、カバーと、を備え、
前記弾性支持体の一部は、前記フレームと前記カバーとの間に挟持されている、
請求項1~請求項8の何れか一項に記載のアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1記載のアクチュエータが公知である。このアクチュエータでは、加振重量を支持するバネが、カシメにより加振重量と接合される。具体的には、加振重量の重りに凸部が設けられ、凸部がバネの中心穴に通された状態で、カシメにより凸部の先端が変形させられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、制振性能が高くかつ安定したアクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第一の態様に係るアクチュエータは、コイルを含んで構成される取付部材と、マグネットを含んで構成され、前記取付部材に対して相対変位する可動子と、前記取付部材に固定されると共に、前記可動子に固定される弾性支持体と、を備えるアクチュエータであって、前記弾性支持体は、第一板バネと、前記第一板バネに積層された緩衝材と、を備え、前記弾性支持体のうち前記第一板バネが機械的固定手段により前記可動子に固定されている、アクチュエータである。
【0006】
上記態様では、弾性支持体は、第一板バネと、第一板バネに積層された緩衝材と、を備える。このため、上記態様では、弾性支持体が板バネのみで構成された態様と比較して、制振性能が向上されている。
更に、弾性支持体のうち第一板バネが機械的固定手段により可動子に固定され、緩衝材は、機械的固定手段によって固定されていない。このため、上記態様では、第一板バネだけでなく緩衝材も併せて機械的固定手段により固定された態様と比較して、安定した制振性能を実現することが容易である。緩衝材も併せて機械的固定手段により固定すると、緩衝材が機械的固定手段により押圧されることで変形してしまい、所望の制振性能を実現できなくなる可能性がある。これに対し、上記態様では、緩衝材を機械的固定手段によって固定しないことで緩衝材の変形を抑制でき、安定した制振性能を維持できる。
【0007】
第二の態様に係るアクチュエータは、第一の態様において、前記可動子は、凸部を有し、前記第一板バネは、孔部を有し、前記機械的固定手段による固定は、前記可動子の前記凸部が前記第一板バネの前記孔部に挿入された状態で変形させられることで行われている。
【0008】
上記態様では、機械的固定手段による固定は、可動子の凸部が第一板バネの孔部に挿入された状態で変形させられることで行われている。このため、可動子と弾性支持体との機械的固定を、可動子や弾性支持体以外の第三の部品を用いることなく実現することができる。
【0009】
第三の態様に係るアクチュエータは、第二の態様において、変形した前記凸部の外周面が、前記第一板バネの前記孔部の内周面に接触している。
【0010】
上記態様では、変形した凸部の外周面は、第一板バネの孔部の内周面に接触している。このため、可動子の凸部の外周面と弾性支持体の孔部の内周面との摩擦により、可動子と弾性支持体とをより強固に固定できる。
【0011】
第四の態様に係るアクチュエータは、第二又は第三の態様において、前記弾性支持体が、前記第一板バネの前記孔部を含んで構成された孔部を有し、変形した前記凸部は、前記弾性支持体の前記孔部内に収まっている。
【0012】
上記態様では、変形した凸部は、弾性支持体の孔部内に収まっている。このため、弾性支持体の孔部から凸部が突出せず、アクチュエータを小型化できる。
【0013】
第五の態様に係るアクチュエータは、第二~第四の何れかの態様において、前記可動子が、前記凸部の周囲に形成された窪部を有する。
【0014】
仮に、凸部の根元にR形状等を形成した場合、第一板バネの孔部に凸部を狙いの深さまで挿入できない恐れがある。
そこで、上記態様では、可動子は、凸部の周囲に形成された窪部を有する。このため、凸部の根元形状が第一板バネの孔部に干渉することを防止でき、その結果、第一板バネの孔部に凸部を狙いの深さまで確実に挿入できる。
【0015】
第六の態様に係るアクチュエータは、第一~第五の何れかの態様において、前記弾性支持体は、前記第一板バネとの間に前記緩衝材を挟む第二板バネを備える。
【0016】
上記態様では、弾性支持体は、第一板バネと共に緩衝材を挟む第二板バネを備える。弾性支持体は、第一板バネ及び第二板バネにより緩衝材を挟んだ構造であるので、緩衝材が各板バネから剥がれにくく、制振性能がより一層向上する。
【0017】
第七の態様に係るアクチュエータは、第一~第六の何れかの態様において、前記可動子と前記弾性支持体とは、接着手段により固定されている。
【0018】
上記態様では、可動子と弾性支持体とは、さらに接着手段により固定されている。これにより、可動子と弾性支持体との固定の強度がより一層向上され、長期に亘り可動子を弾性支持体との固定状態を安定して保持できる。
【発明の効果】
【0019】
本開示によれば、制振性能が高くかつ安定したアクチュエータを得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】第一実施形態に係るアクチュエータの斜視図である。
【
図2】第一実施形態に係るアクチュエータの分解斜視図である。
【
図3】第一実施形態に係る弾性支持体の平面図である。
【
図4】第一実施形態に係るアクチュエータの断面図(
図1の4-4線断面図)である。
【
図5A】第一実施形態に係る弾性支持体及びヨークを示す断面図であって、ヨークの凸部を変形させた後の状態を示している。
【
図6】
図5Bに対応する図であり、ヨークの凸部を変形させる前の状態を示している。
【
図7】第二実施形態に係るアクチュエータの一部を拡大した断面図(
図6と同じ断面位置の断面図、凸部を変形させる前の状態)である。
【
図8A】第三実施形態に係るアクチュエータ(
図4と同じ断面位置の断面図、凸部を変形させた後の状態)の断面図である。
【
図8B】
図8Aの一部を拡大した図(但し、凸部を変形させる前の状態)である。
【
図9A】補足例1に係る凸部の変形させる前の状態を示している。
【
図9B】補足例1に係る凸部の変形させた後の状態を示している。
【
図10A】補足例2に係る凸部の変形させる前の状態を示している。
【
図10B】補足例2に係る凸部の変形させた後の状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の説明では、各図に示す+Z方向を上方向といい、-Z方向を下方向という。但し、これはアクチュエータの取付方向を限定するものではない。
また、Z方向に平行な軸であって、可動子14の重心を通る軸を可動子14の重心軸AXという。そして、X方向において可動子14の重心軸AXに近づく方向をX方向内側、離れる方向をX方向外側といい、Y方向において可動子14の重心軸AXに近づく方向をY方向内側、離れる方向をY方向外側という。また、+X方向をX方向一方側、-X方向をX方向他方側、+Y方向をY方向一方側、-Y方向をY方向他方側、+Z方向をZ方向一方側、-Z方向をZ方向他方側という。また、各図においては、図面を見易くする関係から、符号を省略している場合がある。
【0022】
〔第一実施形態〕
以下、第一実施形態に係るアクチュエータS1について説明する。
【0023】
図1は、第一実施形態のアクチュエータS1の斜視図であり、
図2は、分解斜視図である。
【0024】
アクチュエータS1は、取付対象物に取り付けられる取付部材12と、取付部材12に対して所定の変位方向(±Z方向)に相対変位する可動子14と、取付部材12と可動子14との間を繋ぐ弾性支持体16と、を備える。
弾性支持体16が弾性変形することで、可動子14が取付部材12に対して相対変位することが許容される。取付対象物としては、例えば、タッチパネルとして構成された液晶パネル等の表示装置が挙げられる。アクチュエータS1の制御によって、タッチパネルである表示装置に触れる使用者の指に対し、様々な触感を与えることができる。
【0025】
≪取付部材12≫
図2に示すように、取付部材12は、フレーム20と、コイル30と、カバー50と、取付用接着シート66と、を備える。
【0026】
フレーム20は、X方向及びY方向に延在する底部21を有する。底部21は、平面視で、X方向を長手方向とする長方形状である。底部21の中央には、円形の貫通孔21Aが貫通形成されている。
【0027】
フレーム20は、底部21の周縁から上方へ立設した周壁22,23を有する。周壁22,23は、X方向両側に設けられた一対のX方向壁22と、Y方向両側に設けられた一対のY方向壁23と、から構成される。Y方向壁23は、X方向壁22よりも低く形成されている。
【0028】
フレーム20の底部21の上方かつ周壁22,23の内側には、コイル30及び可動子14等が配置される配置空間が形成される。底部21及び周壁22,23の配置空間側の面には、補強等のためのリブ29が形成されている(
図2参照)。
【0029】
X方向壁22の各々は、弾性支持体16の一部が固定される。弾性支持体16の一部は、底部21に対して上方側の位置でX方向壁22に固定される。より詳細な固定構造については後述する。
【0030】
フレーム20の底部21の上面側には、コイル30が固定される。コイル30は、円形である。
【0031】
取付用接着シート66は、両面が接着面とされた接着シートであり、フレーム20の底部21の下面側に接着される。取付用接着シート66には、フレーム20の底部21の貫通孔21Aに対応する貫通孔66Aが形成される。取付用接着シート66は、アクチュエータS1を取付対象物に取り付けるために用いられる。
【0032】
≪可動子14≫
可動子14は、ヨーク40と、マグネット62と、ポールピース64と、を有する。
【0033】
ヨーク40は、軟磁性体である。ヨーク40は、壁厚方向を上下方向に向けた天壁部41と、天壁部41の外側周縁から下方向に延びる垂下部42と、から構成される。天壁部41は、平面視で円形であり、垂下部42の壁厚方向は、天壁部41の中心軸(可動子14の重心軸AXと一致する。)に直交する方向を向く。ヨーク40は、鋳造により作られる。
【0034】
マグネット62は、ヨーク40の天壁部41の下面側に固定される。マグネット62の形状は円柱形状であり、中心に貫通孔を有する。
【0035】
ポールピース64は、軟磁性体である。ポールピース64は、マグネット62の下面側に固定される。ポールピース64の形状は円柱形状であり、中心にマグネット62の貫通孔に対応する貫通孔を有する。
【0036】
可動子14は、ヨーク40、マグネット62及びポールピース64により、磁気回路を形成する。マグネット62及びポールピース64と、ヨーク40の垂下部42との間には、空間が形成され、この空間にコイル30が配置される。ヨーク40の垂下部42の下端は、ポールピース64の下端と高さが一致する。
【0037】
天壁部41は、上方向を法線方向とした上平面41Tを有し、垂下部42は、可動子14の重心軸AXを中心軸に垂直な方向を法線方向とした外側面42Tと有する。上平面41Tと外側面42Tとの間には、上平面41Tと外側面42Tとを繋ぐ湾曲面43Tが形成される。ヨーク40の天壁部41の上平面41Tの上側に、弾性支持体16の一部(可動子側接触部70)が配置される。
【0038】
弾性支持体16の可動子側接触部70、ヨーク40、マグネット62及びポールピース64には、それぞれ上下方向に貫通する貫通孔が形成される。これらの貫通孔は、アクチュエータS1の製造の際、互いの部材を位置決めするために用いられる。
【0039】
≪弾性支持体16≫
弾性支持体16は、平板状とされ、自由状態では、弾性支持体16の全体が上下方向に直交する同一平面上に位置する。
【0040】
弾性支持体16は、第一板バネ16Aと、緩衝材16Bと、第二板バネ16Cと、から構成される。2枚の板バネ16A,16Cと緩衝材16Bとは、平面視で、互いに略同一の形状とされる。弾性支持体16は、2枚の板バネ16A,16Cの間に緩衝材16Bが挟まれた構造とされる。
【0041】
板バネ16A,16Cは、金属製とされ、例えばステンレス製である。緩衝材16Bは、板バネ16A,16Cよりも低い弾性率を有する部材であり、例えば、一対の板バネ16A,16C間に配置された両面接着テープである。この両面接着テープは、例えば、シリコーンゴムの層の両面にシリコーン系粘着剤の層を有する3層構造の両面接着テープである。
【0042】
弾性支持体16は、一部において取付部材12に接触し、他の一部において可動子14に接触している。取付部材12に接触している部分と、可動子14に接触している部分との間の部分(「連結部80」)が、可動子14が変位(振動)する際に変形する部分となる。
すなわち、弾性支持体16は、取付部材12に接触した取付部材側接触部90と、可動子14に接触した可動子側接触部70と、取付部材側接触部90と可動子側接触部70との間を繋ぐ連結部80と、から構成される。
【0043】
取付部材側接触部90及び可動子側接触部70については、後に説明する。
【0044】
図3に示すように、連結部80は、始端80Sから終端80Eに向けて、Y方向一方側部81P及びY方向他方側部81Mと、アーム部82A,82B,82C,82Dと、X方向一方側部83P及びX方向他方側部83Mと、を有する。
ここで、始端80Sとは、連結部80を可動子側接触部70側から取付部材側接触部90側に向けて伸長する部分と把握したときの、連結部80の始まりの部分をいい、具体的には、可動子側接触部70と連結部80との境界部と一致する。始端80Sには、Y方向一方側の始端80SとY方向他方側の始端80Sとが存在する。
また、終端80Eとは、連結部80を可動子側接触部70側から取付部材側接触部90側に向けて伸長する部分と把握したときの、連結部80の終わりの部分をいい、具体的には、連結部80と取付部材側接触部90との境界部と一致する。終端80Eには、X方向一方側の終端80EとX方向他方側の終端80Eとが存在する。
【0045】
Y方向一方側部81P及びY方向他方側部81Mは、共に、可動子側接触部70とY方向で隣接した部分である。Y方向一方側部81Pは、可動子側接触部70のY方向一方側に位置し、Y方向他方側部81Mは、可動子側接触部70のY方向他方側に位置する。Y方向一方側部81Pは、Y方向一方側の始端80Sを有し、Y方向他方側部81Mは、Y方向他方側の始端80Sを有する。
【0046】
連結部80は、Y方向一方側部81Pから、X方向の一方側と他方側へ向けて分枝しており、それぞれ第一アーム部82Aと第二アーム部82Bとに繋がっている。
Y方向他方側部81Mからも、X方向の一方側と他方側に向けて分枝しており、それぞれ第三アーム部82Cと第四アーム部82Dとに繋がっている。このように、Y方向一方側部81Pは、第一アーム部82Aと第二アーム部82Bの両方に接続されており、Y方向他方側部81Mは、第三アーム部82Cと第四アーム部82Dの両方に接続されている。
【0047】
X方向一方側部83Pでは、Y方向一方側部81Pから分枝した2つのアーム部82A,82BのうちX方向一方側の第一アーム部82Aと、Y方向他方側部81Mから分枝した2つのアーム部82C,82DのうちX方向一方側の第三アーム部82Cとが合流している。
X方向他方側部83Mでは、Y方向一方側部81Pから分枝した2つのアーム部82A,82BのうちX方向他方側の第二アーム部82Bと、Y方向他方側部81Mから分枝した2つのアーム部82C,82DのうちX方向他方側の第四アーム部82Dとが合流している。
このように、X方向一方側部83Pは、第一アーム部82Aと第三アーム部82Cの両方に接続されており、X方向他方側部83Mは、第二アーム部82Bと第四アーム部82Dの両方に接続されている。
【0048】
次に、弾性支持体16と取付部材12との固定について具体的に説明する。
【0049】
図3に示すように、取付部材側接触部90は、連結部80との境界部分である境界部80Eを有する。境界部80Eは、弾性支持体16のうち取付部材12に接触している部分(本実施形態では、フレーム20とカバー50とで挟持された部分)と、接触していない部分(連結部80)との境界の部分をいう。境界部80Eは、Y方向に直線状に延びる部分とされる。境界部80Eは、連結部80の終端80Eと一致する。
【0050】
取付部材側接触部90は、境界部80E(終端80E)とY方向の位置(長さ)が一致する本体部90Hと、本体部90Hに対してY方向外側に位置する一対の延長部90Eと、から構成される。
【0051】
フレーム20のX方向壁22は、取付部材側接触部90が配置される配置面24を有する。配置面24は、法線方向を上方向に向けた平面である。
【0052】
X方向壁22は、配置面24から上方へ向けて突出したピン25を有し、取付部材側接触部90は、ピン25が挿通される貫通孔92を有する。ピン25の形状は円柱形状であり、貫通孔92の形状は円形である。ピン25は、X方向壁22のそれぞれに1本ずつ設けられ、ピン25の位置は、X方向壁22におけるY方向中央位置にある。取付部材側接触部90の貫通孔92は、取付部材側接触部90の本体部90Hに形成される。
【0053】
X方向壁22は、配置面24に対し上方へ向けて突出した係止凸部26を有し、取付部材側接触部90は、係止凸部26に対応する切欠部94を有する。係止凸部26の形状は四角柱状であり、切欠部94の形状は矩形である。係止凸部26は、X方向壁22のそれぞれに2個ずつ設けられ、2個の係止凸部26の位置は、X方向壁22におけるY方向中央位置を挟んで対称となる位置にある。取付部材側接触部90の一対の切欠部94は、一方の延長部90E及び他方の延長部90Eの各々に形成される。切欠部94はX方向内側に開放されており、係止凸部26の位置に切欠部94が配置されることで、取付部材側接触部90がX方向内側へ移動しないように、係止凸部26に係止された状態となる。
【0054】
取付部材12は、一対のカバー50を有する。一対のカバー50は、互いに同一の構造である。
【0055】
カバー50は、X方向壁22の配置面24との間に取付部材側接触部90を挟持する挟持部51を有する。挟持部51は、板厚方向を上下方向に向けた平板状とされ、Y方向を長手方向とする長方形状とされる。挟持部51は、X方向壁22のピン25に対応した円形の貫通孔51Aと、X方向壁22の係止凸部26に対応した切欠部54と、を有する。
【0056】
また、カバー50は、挟持部51よりもX方向外側部分が下方向に向けて曲げられることで形成された第一折曲部52を有し、第一折曲部52は、X方向壁22に形成された溝部に挿入される。
【0057】
また、カバー50は、挟持部51よりもY方向外側部分が下方向に向けて曲げられることで形成された一対の第二折曲部53を有し、第二折曲部53は、X方向壁22に形成された溝部に挿入される。
カバー50がフレーム20に固定されることにより、取付部材側接触部90が配置面24と挟持部51との間に挟持され、これにより、弾性支持体16がフレーム20に固定される。
【0058】
(弾性支持体16の可動子14側の固定について)
次に、弾性支持体16と可動子14との固定について具体的に説明する。
【0059】
弾性支持体16と可動子14との固定は、機械的固定手段による固定と、接着手段による固定とが併用される。
【0060】
(機械的固定手段)
図6に示すように、ヨーク40は凸部45を有し、弾性支持体16は凸部45が挿入される孔部75を有する。可動子14と弾性支持体16との機械的固定手段による固定は、弾性支持体16の孔部75にヨーク40の凸部45を挿入させた状態で(
図4及び
図6参照)、凸部45をカシメることで行う(
図5A及び
図5B参照)。具体的には、弾性支持体16に形成された孔部75に凸部45を挿入させた状態で、パンチ等で凸部45を変形させることで、
図5Bに示すように変形した凸部45dを弾性支持体16の第一板バネ16Aに接触させ、密着させる。
【0061】
図6に示すように、ヨーク40の凸部45は、ヨーク40の天壁部41から上方へ突出するように形成される。凸部45は、所謂ダボ加工により形成され、天壁部41のうち凸部45が形成された位置の下面側には、凹部46が形成される(
図6参照)。凸部45は、円柱形状である。凸部45は2つ形成され、2つの凸部45は、平面視でヨーク40の中心を通る径方向の直線上であってヨーク40の中心を挟んで対称に配置される。具体的には、2つの凸部45は、Y方向に並んで形成される。
【0062】
弾性支持体16の孔部75は、第一板バネ16Aの孔部75Aと、緩衝材16Bの孔部75Bと、第二板バネ16Cの孔部75Cと、から構成される。
【0063】
第一板バネ16Aの孔部75Aの内径(直径)の大きさは、ヨーク40の凸部45の外径(直径)の大きさと略同一であり、凸部45の外径よりも孔部75Aの内径が僅かに大きく形成されている。これにより、孔部75Aに凸部45を容易に挿入でき、凸部45を変形させた後は、変形した凸部45dの外周面45Sが第一板バネ16Aの孔部75Aの内周面に接触し、密着した状態となる(
図5B参照)。
【0064】
第二板バネ16Cの孔部75Cの内径(直径)は、第一板バネ16Aの孔部75Aの内径よりも大きい。緩衝材16Bの孔部75Bの内径(直径)は、第一板バネ16Aの孔部75Aの内径よりも大きく、かつ第二板バネ16Cの孔部75Cの内径よりも大きい。これにより、変形した凸部45dは、緩衝材16Bには接触せず、第二板バネ16Cにも接触しない。
【0065】
図6に示すように、弾性支持体16の孔部75にヨーク40の凸部45が挿入された状態では、弾性支持体16の下面16Lとヨーク40の天壁部41の上平面41Tとが、図示しない接着剤や接着テープ等を介して接触した状態となる。そのため、
図5Bに示すように、凸部45を変形させた後の状態でも、弾性支持体16の下面16Lとヨーク40の天壁部41の上平面41Tとが、接着剤や接着テープ等を介して接触した状態となる。これにより、ヨーク40の天壁部41の上平面41Tのうち略全体が弾性支持体16に接着される。
但し、本開示は、弾性支持体16と可動子14との接着手段による固定が行われるものに限定されない。例えば、弾性支持体16の下面16Lとヨーク40の天壁部41の上平面41Tとの間に接着剤や接着テープ等が配置されず、両者が単に接触した状態となっていてもよい。
【0066】
ヨーク40の天壁部41の上平面41Tの形状は、平面視で略円形であり、弾性支持体16の可動子側接触部70の形状も、同様に平面視で略円形である。
【0067】
図6に示すように、弾性支持体16の孔部75にヨーク40の凸部45が挿入された状態では、凸部45の上面は、弾性支持体16の上面16Uと略同じ高さとされる。これにより、凸部45を変形させた後の状態でも、
図5Bに示すように、変形した凸部45dは、弾性支持体16の孔部75に収まる。換言すると、変形した凸部45dの上端は、弾性支持体16の上面16Uと同じ高さかより低い位置に位置する。
【0068】
凸部45の周囲には、「窪部」としてのザグリ部47が形成される。ザグリ部47は、天壁部41の上平面41Tに対して下方へ窪んだ部分である。ザグリ部47は、凸部45を囲むように形成され、平面視で円形である。ザグリ部47が形成されることで、天壁部41の上平面41T全体に弾性支持体16の第一板バネ16Aが適切に接触する。なぜなら、本実施形態のように、凸部45の大きさ(具体的には直径)と第一板バネ16Aの孔部75Aの大きさ(具体的には直径)とを略同一に形成した場合、ザグリ部47が形成されていないと、凸部45の根元形状の部分が第一板バネ16Aの孔部75Aの縁に干渉し、第一板バネ16Aが上平面41Tに対して浮いてしまう可能性がある。しかし、本実施形態のようにザグリ部47が形成されていると、凸部45が第一板バネ16Aの孔部75Aの縁に干渉することが防止されるので、凸部45と孔部75Aとを略同じ大きさに形成しても、第一板バネ16Aを上平面41Tに確実に接触させることができる。
【0069】
<動作>
以上のように構成されたアクチュエータS1は、可動子14が弾性支持体16に支持され、コイル30に通電していない状態では
図4に示す原点位置にある。可動子14に発生する推力は、基本的にはフレミングの左手の法則に基づいて与えられる推力に準じられる。アクチュエータS1においては、コイル30がフレーム20に固定され、マグネット62等が可動子14に取り付けられているので、コイル30に通電することにより、可動子14にコイル30から発生する力の反力としての推力が発生する。そして、コイル30に交流を通電させることにより、可動子14が重心軸AXに沿って上下方向に振幅し、振動する。
【0070】
<作用効果>
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0071】
本実施形態では、アクチュエータS1は、取付部材12と、取付部材12に対して相対変位する可動子14と、取付部材12に固定されると共に可動子14に機械的固定手段45d,75Aにより固定される弾性支持体16と、を備える。取付部材12は、コイル30を含んで構成され、可動子14は、マグネット62を含んで構成される。
【0072】
ここで、弾性支持体16は、第一板バネ16Aと、第一板バネ16Aに積層された緩衝材16Bと、を備える。このため、本実施形態では、弾性支持体16が第一板バネ16Aのみで構成された態様と比較して、制振性能が向上されている。
更に、弾性支持体16のうち第一板バネ16Aが機械的固定手段45d,75Aにより可動子14に固定され、緩衝材16Bは、機械的固定手段によって固定されていない。このため、本実施形態では、第一板バネ16Aだけでなく緩衝材16Bも併せて機械的固定手段45d,75Aにより固定された態様と比較して、安定した制振性能を実現することが容易である。緩衝材16Bも併せて機械的固定手段45d,75Aにより固定すると、緩衝材16Bが機械的固定手段45d,75Aにより押圧されることで変形してしまい、所望の制振性能を実現できなくなる可能性がある。これに対し、緩衝材16Bを機械的固定手段によって固定しないことで緩衝材16Bの変形を防止でき、安定した制振性能を維持できる。
【0073】
また、本実施形態では、可動子14は凸部45を有し、第一板バネ16Aは孔部75Aを有し、機械的固定手段45d,75Aによる固定は、凸部45が孔部75Aに挿入された状態で変形させられることで行われている。このため、可動子14と弾性支持体16との機械的固定を、可動子14や弾性支持体16以外の第三の部品を用いることなく実現することができる。
【0074】
また、本実施形態では、変形した凸部45dの外周面45Sは、第一板バネ16Aの孔部75Aの内周面に接触している。このため、可動子14の凸部45の外周面45Sと弾性支持体16の孔部75Aの内周面との摩擦により、可動子14と弾性支持体16とをより強固に固定できる。
【0075】
また、本実施形態では、弾性支持体16は、第一板バネ16Aの孔部75Aを含んで構成された孔部75を有し、変形した凸部45dは、弾性支持体16の孔部75内に収まっている。このため、弾性支持体16の孔部75から変形した凸部45dが突出せず、アクチュエータS1を小型化できる。
【0076】
ところで、仮に、凸部45の根元のR形状を大きくすると、第一板バネ16Aの孔部75Aに凸部45を狙いの深さまで挿入できない恐れがある。
本実施形態では、可動子14は、凸部45の周囲に形成された窪部(ザグリ部47)を有するので、凸部45の根元形状が第一板バネ16Aの孔部75Aに干渉することを防止できる。その結果、第一板バネ16Aの孔部75Aに凸部45を狙いの深さまで確実に挿入できる。
【0077】
また、本実施形態では、
図3に示すように、凸部45の中心から可動子側接触部70と連結部80との境界(始端80S)までの距離Lが当該凸部45の直径Dの1.5倍以下の距離に位置する。つまり、凸部45を用いた固定が連結部80の近傍で行われる。このため、連結部80が弾性変形する際に大きな負荷がかかっても、可動子14と弾性支持体16とが剥がれることを防止でき、可動子14に対する弾性支持体16の固定状態が効果的に保持される。
【0078】
また、本実施形態では、弾性支持体16は、第一板バネ16Aとの間に緩衝材16Bを挟む第二板バネ16Cを備える。このため、弾性支持体16は、第一板バネ16A及び第二板バネ16Cにより緩衝材16Bを挟んだ構造であるので、緩衝材16Bが各板バネ16A,16Bから剥がれにくく、制振性能がより一層向上している。
【0079】
また、本実施形態では、可動子14と弾性支持体16とは、接着手段(接着シートや接着剤)によっても固定されている。これにより、可動子14と弾性支持体16との固定の強度がより一層向上され、長期に亘り可動子14を弾性支持体16との固定状態を安定して保持できる。
【0080】
〔第二実施形態〕
次に、
図7を用いて、第二実施形態に係るアクチュエータS2について説明する。
【0081】
第二実施形態のアクチュエータS2が第一実施形態のアクチュエータS1と主に相違する点は、弾性支持体の構造である。第一実施形態では、弾性支持体16が、第一板バネ16A及び第二板バネ16Cによって緩衝材16Bが挟まれた構造であるのに対し、第二実施形態では、弾性支持体162が、第二板バネ16Cを備えない。第二実施形態において第一実施形態と同様の構造、機能を有する構成については、図面に同じ符号を付してその説明は省略する。
【0082】
第二実施形態の弾性支持体162は、第一板バネ16Aと緩衝材16Bとから構成される。弾性支持体162は、第一板バネ16Aの上面側に緩衝材16Bが積層された構造となっている。緩衝材16Bは、第一板バネ16Aよりも低い弾性率を有する部材であり、例えば、片面接着テープである。この片面接着テープは、例えば、シリコーンゴムの層の片面にシリコーン系粘着剤の層を有する2層構造の片面接着テープであり、接着層を利用して第一板バネ16Aと接着される。
【0083】
第一板バネ16Aの孔部75Aの内径(直径)大きさは、ヨーク40の凸部45の外径(直径)の大きさと略同一である。これにより、凸部45を変形させた後は、
図7に二点鎖線で示すように、変形した凸部45dの外周面45Sが第一板バネ16Aの孔部75Aに密着した状態となる。
【0084】
緩衝材16Bの孔部75Bの内径(直径)は、第一板バネ16Aの孔部75Aの内径よりも大きく形成される。これにより、変形した凸部45dは、緩衝材16Bには接触しない。
【0085】
第二実施形態でも、第一実施形態と同様に、弾性支持体16のうち機械的固定手段45d,75Aにより可動子14に固定されているのは、第一板バネ16Aのみである。このため、本実施形態では、第一板バネ16Aだけでなく緩衝材16Bも併せて機械的固定手段45d,75Aにより固定された態様と比較して、安定した制振性能を実現することが容易である。
【0086】
〔第三実施形態〕
次に、
図8A及び
図8Bを用いて、第三実施形態に係るアクチュエータS3について説明する。
【0087】
第三実施形態のアクチュエータS3が第一実施形態のアクチュエータS1と主に相違する点は、可動子と弾性支持体との機械的固定の位置である。第一実施形態では、機械的固定の位置が、可動子側接触部70のうち連結部80に近い位置であるのに対し、第三実施形態では、機械的固定の位置が、可動子側接触部70の中央位置である。第三実施形態において他の実施形態と同様の構造、機能を有する構成については、図面に同じ符号を付してその説明は省略する。
【0088】
ヨーク240の天壁部41の中心に凸部45が形成されている。凸部45の数は、一個である。可動子側接触部70の中心には、凸部45と対応する位置に孔部75が形成される。これにより、可動子143の重心軸AXと一致する位置で、可動子143と弾性支持体163とが機械的固定手段により固定される。また、可動子143と弾性支持体163とは、第一実施形態と同様に、接着手段によっても固定される。
【0089】
第三実施形態でも、第一実施形態と同様に、弾性支持体163のうち機械的固定手段45d,75Aにより可動子143に固定されているのは、第一板バネ16Aのみである。このため、本実施形態では、第一板バネ16Aだけでなく緩衝材16Bも併せて機械的固定手段45d,75Aにより固定された態様と比較して、安定した制振性能を実現することが容易である。
また、第一及び第二実施形態では、2箇所の機械的固定手段の同時カシメを精度よく行うことが難しいので、カシメ回数を2回で行うことが考えられるのに対し、第三実施形態のように、1箇所の機械的固定手段であればカシメが1回で済み、工数削減になる。また、第三実施形態のように、凸部45が1箇所であれば、凸部直径の自由度が増す。
【0090】
〔補足説明〕
なお、上記実施形態では、「コイル」が平面視で円形のコイル30である例を説明したが、本開示の「コイル」はこれに限定されず、平面視で矩形やその他の多角形状であってもよいし、これら以外の形状であってもよい。
【0091】
また、上記実施形態では、フレーム20が、樹脂製である例を説明したが、本開示の「フレーム」はこれに限定されない。例えば、フレーム20は、金属製の部材であってもよいし、金属製の部材と樹脂製の部材とが組み合わされて構成された部材であってもよい。
【0092】
また、上記実施形態では、可動子と弾性支持体との機械的固定手段による固定は、可動子の凸部が第一板バネの孔部に挿入された状態で変形させられることで行われる例を説明したが、本開示の「機械的固定手段」はこれに限定されない。例えば、ネジ締結や溶接であってもよい。
【0093】
また、上記実施形態では、可動子14の凸部45が、ダボ加工により形成された例を説明したが、本開示の凸部はこれに限定されない。例えば、可動子の凸部は、バーリング加工により形成された凸部であってもよい。
【0094】
また、上記実施形態では、弾性支持体として、平板状とされ、自由状態で全体が上下方向に直交する同一平面上に位置する弾性支持体16,162,163を説明したが、本開示の「弾性支持体」はこれに限定されず、平板状でなく、自由状態でも同一平面上に位置しない弾性支持体であってもよい。
【0095】
また、上記実施形態では、変形前の凸部45及び変形後の凸部45dの説明のために、
図5B及び
図6を用いたが、本開示の変形前の凸部及び変形後の凸部は、
図5B及び
図6に示す形状に限定されない。変形前の凸部及び変形後の凸部は、例えば、
図9A及び
図9Bに示す形状であってもよいし、
図10A及び
図10Bに示す形状であってもよい。
【0096】
図9Aは、補足例1に係る変形前の凸部145を示し、
図9Bは、変形後の凸部145dを示す。変形前の凸部145の中央には、凸部145の上面45Tに対して下側へ窪んだ上面凹部145Aが形成されている。上面凹部145Aには、凸部145の上面45Tと上面凹部145Aの底面45A1とを斜めに接続する傾斜面45A2が形成されている。
【0097】
図10Aは、補足例2に係る変形前の凸部245を示し、
図10Bは、変形後の凸部245dを示す。変形前の凸部245の中央には、凸部245の上面45Tに対して下側へ窪んだ上面凹部245Aが形成されている。上面凹部245Aには、凸部245の上面45Tと上面凹部245Aの底面45A1とを垂直に接続する垂直面45A3が形成されている。
【0098】
補足例1及び2では、プレスカシメではなく、スピンカシメにより凸部を変形させる。
【0099】
図9B及び
図10Bに示すように、補足例1の変形した凸部145d及び補足例2の変形した凸部245dによれば、第一板バネ16Aの孔部75Aの縁が、板厚方向である上下方向から挟みこまれるように固定されるので、可動子14に対する第一板バネ16Aの固定強度を上記実施形態での固定強度に比べて向上させることができる。
また、補足例1によれば、上面凹部145Aに、凸部145の上面45Tと上面凹部145Aの底面45A1とを斜めに接続する傾斜面45A2が形成されているので、カシメの際に、凸部145の肉が外側に逃げやすくなり、安定した固定強度を得ることができる。
また、補足例2によれば、上面凹部245Aに、凸部245の上面45Tと上面凹部245Aの底面45A1とを垂直に接続する垂直面45A3が形成されているので、傾斜面45A2が形成される態様(補足例1)に比べて、寸法管理及び形状管理が容易である。
【0100】
なお、補足例1及び補足例2では、上記実施形態のザグリ部47(
図6参照)のようなザグリ部が形成されていないが、ザグリ部が形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0101】
S1,S2,S3 アクチュエータ
12 取付部材
14 可動子
16,162,163 弾性支持体
16A 第一板バネ
16B 緩衝材
16C 第二板バネ
30 コイル
45d,75A 機械的固定手段
45 凸部
45d 変形した凸部(凸部)
45S 外周面
46 凹部
47 ザグリ部(窪部)
62 マグネット
70 可動子側接触部
75 孔部(弾性支持体の孔部)
75A 孔部(第一板バネの孔部)
80 連結部
80S 始端(可動子側接触部と連結部との境界)
90 取付部材側接触部