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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】肌処理装置
(51)【国際特許分類】
   B26B 19/42 20060101AFI20240307BHJP
   A61N 5/06 20060101ALN20240307BHJP
【FI】
B26B19/42
A61N5/06 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022078515
(22)【出願日】2022-05-12
(65)【公開番号】P2023167370
(43)【公開日】2023-11-24
【審査請求日】2022-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000114628
【氏名又は名称】ヤーマン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】木部 陽一
(72)【発明者】
【氏名】前田 一憲
【審査官】マキロイ 寛済
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-524040(JP,A)
【文献】特開2015-073744(JP,A)
【文献】特開2018-147857(JP,A)
【文献】特開2012-186087(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B 19/42
A61N 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、
ユーザのターゲット部位に接触可能なヘッド部と、
前記本体部と前記ヘッド部とを着脱可能に機械的に接続する機械的な接続構造と、
前記本体部と前記ヘッド部とを電気的に接続する電気的な接続構造とを備え
前記機械的な接続構造は、前記ヘッド部を前記本体部に対して変位可能に支持する支持機構を含む、肌処理装置。
【請求項2】
前記本体部と前記ヘッド部は、前記電気的な接続構造を介して、エネルギ又は信号の供給を実現する、請求項1に記載の肌処理装置。
【請求項3】
前記電気的な接続構造は、前記本体部から前記ヘッド部が離脱した状態では、電気的に切り離される、請求項1に記載の肌処理装置。
【請求項4】
前記電気的な接続構造は、伸縮可能な導電性のばね要素を含む、請求項1項に記載の肌処理装置。
【請求項5】
本体部と、
ユーザのターゲット部位に接触可能なヘッド部と、
前記本体部と前記ヘッド部とを着脱可能に機械的に接続する機械的な接続構造と、
前記本体部と前記ヘッド部とを電気的に接続する電気的な接続構造とを備え、
前記機械的な接続構造は、前記ヘッド部を前記本体部に対して揺動可能に支持する第1揺動支持機構を含む、肌処理装置。
【請求項6】
前記電気的な接続構造は、前記本体部に前記ヘッド部が装着された状態において、前記本体部に対して前記ヘッド部が前記第1揺動支持機構を介して揺動した場合でも、前記本体部と前記ヘッド部との間の電気的な接続状態を維持する、請求項5に記載の肌処理装置。
【請求項7】
前記電気的な接続構造は、
前記本体部に設けられる伸縮可能な導電性の第1ばね要素と、
前記本体部に設けられ、前記第1ばね要素の一端に接続される接点要素とを含み、
前記第1揺動支持機構は、前記本体部に対して揺動可能に支持される第1ホルダ部を含み、
前記第1ホルダ部は、前記第1ばね要素の軸方向に沿って前記接点要素を移動可能に支持しつつ、前記第1ばね要素の軸方向の一方側へと前記第1ばね要素により付勢される、請求項6に記載の肌処理装置。
【請求項8】
前記電気的な接続構造は、前記ヘッド部に設けられる伸縮可能な導電性の第2ばね要素を含み、
前記接点要素は、前記本体部に前記ヘッド部が装着された状態において、前記第1ばね要素の軸方向の一方側端部が前記第2ばね要素に接続される、請求項7に記載の肌処理装置。
【請求項9】
本体部と、
ユーザのターゲット部位に接触可能なヘッド部と、
前記本体部と前記ヘッド部とを着脱可能に機械的に接続する機械的な接続構造と、
前記本体部と前記ヘッド部とを電気的に接続する電気的な接続構造とを備え、
前記ヘッド部は、ヘッド本体部と、電力に基づいて動作する動作部を保持する第2ホルダ部と、を有し、
前記ヘッド本体部に対して前記第2ホルダ部を揺動可能に支持する第2揺動支持機構を更に備え、
前記電気的な接続構造は、前記本体部と前記動作部とを電気的に接続する接続構造を含み、
前記電気的な接続構造は、前記ヘッド本体部に対して前記第2ホルダ部が前記第2揺動支持機構を介して揺動した場合でも、前記本体部と前記動作部との間の電気的な接続状態を維持する、肌処理装置。
【請求項10】
前記電気的な接続構造は、伸縮可能な導電性の第3ばね要素を含み、
前記ヘッド本体部に一端が接続され、他端が前記第2ホルダ部に保持される前記動作部に接続される、請求項9に記載の肌処理装置。
【請求項11】
前記ヘッド部は、種類ごとに肌に対する異なる機能又は作用を有する態様で、複数種類用意される、請求項1に記載の肌処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、肌処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
イオン導入デバイスをヘッド部に設けた電気シェーバの形態の肌処理装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2010-510821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、ヘッド部と本体部との間の脱着可能な構造としつつ、本体部からヘッド部に電気的なエネルギ等を供給できる接続構造を実現できないため、利便性等を高める余地が残る。
【0005】
そこで、本開示は、ヘッド部と本体部との間の脱着可能な構造としつつ、本体部からヘッド部に電気的なエネルギ等を供給できる接続構造を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一局面によれば、本体部と、
ユーザのターゲット部位に接触可能なヘッド部と、
前記本体部と前記ヘッド部とを着脱可能に機械的に接続する機械的な接続構造と、
前記本体部と前記ヘッド部とを電気的に接続する電気的な接続構造とを備える、肌処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ヘッド部と本体部との間の脱着可能な構造としつつ、本体部からヘッド部に電気的なエネルギ等を供給できる接続構造を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施例1による電気シェーバの一例を概略的に示す正面図である。
図2】実施例1による加熱手段の好ましい例を説明する概略的な構成図である。
図2A】実施例1による本体部における電気系の一例を示す概略図である。
図3】実施例1による加温効果の原理の説明図である。
図4】実施例1による制御部により実行される処理の一例を示す概略的なフローチャートである。
図5】実施例1による制御部により実行される処理の他の一例を示す概略的なフローチャートである。
図6】実施例1によるヘッド部の全体の分解斜視図である。
図7】実施例1によるヘッド部の一部の分解斜視図である。
図8】実施例1によるメインホルダ部単体を示す斜視図である。
図9図6から図8に示す電気シェーバの加温効果の説明図(その1)である。
図10図6から図8に示す電気シェーバの加温効果の説明図(その2)である。
図11図6から図8に示す電気シェーバの加温効果の説明図(その3)である。
図12】実施例1によるフィルムヒータを概略的に示す平面図である。
図13】実施例1によるヘッド部における配線構造の一例を示す図である。
図14】実施例1によるヘッド部における配線構造の一例を示す図である。
図15】実施例1による基部の被保持部を示す斜視図である。
図16】実施例2による電気シェーバのヘッド部の斜視図である。
図17】実施例2による電気シェーバのヘッド部の別の斜視図である。
図18】実施例2による電気シェーバの基部の斜視図である。
図19】実施例2による本実施例の配線構造の説明図である。
図19A】実施例2による枠部の下側からの斜視図である。
図20】実施例2による電気シェーバの電気的接続構造の斜視図である。
図21】実施例2によるシェーバホルダの特徴部を拡大した斜視図である。
図22】実施例2による電気シェーバの光照射部等の配置を示す斜視図である。
図23】実施例2による電気シェーバのカッタユニットの取り外し方法の説明図である。
図24】実施例2による電気シェーバの枠部の斜視図である。
図25】実施例2によるヘッド部と本体部との間の接続部を下側から示す斜視図である。
図26】実施例2による本体部の接続部位の斜視図である。
図26A】実施例2による本体部の接続部位の別の斜視図である。
図27】実施例2によるヘッド部の接続部位の斜視図である。
図28】実施例2による第2連結手段を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら各実施例について詳細に説明する。
【0010】
[実施例1]
図1は、本実施例による肌処理装置の一形態である電気シェーバ1の一例を概略的に示す正面図である。以下、ユーザとは、電気シェーバ1のユーザを指し、ユーザのターゲット部位とは、電気シェーバ1の接触が可能な任意の部位であり、典型的には、剃毛の対象となる毛が存在する部位に対応する。また、以下では、除毛効率とは、電気シェーバ1による剃毛に係る除毛効率を意味する。
【0011】
電気シェーバ1は、図1に示すように、本体部10と、ヘッド部20とを含む。
【0012】
本体部10は、電気モータ11やバッテリ12を収容する。電気モータ11は、電気シェーバ1を駆動する駆動源であり、バッテリ12からの電力に基づいて動作する。電気モータ11は、磁気リニアモータ等により実現されてもよい。バッテリ12は、外部から充電可能なバッテリであり、内部電源として機能する。なお、変形例では、電気モータ11は、内部のバッテリ12に代えて又は加えて、外部電源によって動作可能であってもよい。
【0013】
なお、本体部10には、電気シェーバ1に対するユーザによる各種入力が可能なユーザインターフェース15が設けられてよい。なお、ユーザインターフェース15は、機械式ボタンやタッチスイッチ等を含んでよい。また、本体部10には、トリマー(図示せず)が設けられてもよい。
【0014】
ヘッド部20は、ユーザのターゲット部位に接触可能な形態である。ヘッド部20は、本体部10に対して着脱可能に取り付けられてよい。ヘッド部20が本体部10に対して着脱可能である場合、ヘッド部20の清掃等が容易となる。
【0015】
ヘッド部20は、本体部10に対して変位可能に支持されてよい。ヘッド部20が本体部10に対して変位可能である場合、ユーザのターゲット部位に対してヘッド部20を密着させることが容易となり、除毛効率を効果的に高めることができる。なお、ヘッド部20は、本体部10に対して多様な自由度で変位可能であってよい。例えば、ヘッド部20は、本体部10に対して軸部材13を介して支持されてよく、この場合、ヘッド部20は、軸部材13の軸方向に垂直な任意の方向まわりに所定角度範囲内で傾斜可能又は回転可能であってもよい。なお、ヘッド部20と本体部10との間の接続構造には、ボールジョイントが利用されてもよい。
【0016】
ヘッド部20には、カッタユニット21と、加熱手段22とが設けられる。
【0017】
カッタユニット21は、ヘッド部20がユーザのターゲット部位に接触している状態で、ターゲット部位に接触するようにヘッド部20に設けられる。すなわち、カッタユニット21は、ヘッド部20におけるユーザのターゲット部位に接触する部位を形成する。なお、通常の剃毛用の使用態様では、ヘッド部20のうちの、ユーザのターゲット部位に接触する部位は、カッタユニット21のみであってもよい。
【0018】
カッタユニット21は、電気モータ11により駆動される電動式である。カッタユニット21は、動作(駆動)時に毛をカット可能な刃を有する。従って、ヘッド部20がユーザのターゲット部位に接触した状態でカッタユニット21が動作すると、当該ターゲット部位に存在しうる毛がカッタユニット21によりカットされる(すなわち剃毛が実現される)。
【0019】
なお、カッタユニット21は、電動式であればよく、動き方は任意である。例えば、カッタユニット21は、回転式であってもよいし、振動式(線形振動)であってもよいし、これらの組み合わせであってもよい。
【0020】
加熱手段22は、カッタユニット21が接触するユーザのターゲット部位を加熱する。加熱手段22は、カッタユニット21が接触するユーザのターゲット部位を加熱することで、ユーザのターゲット部位の状態(特に毛の状態)を、剃毛に適した状態に至るように補助できる。例えば、加熱手段22は、蒸しタオルでターゲット部位を加温したときと同様の効果を実現する。以下、このような加熱手段22による効果を、「加温効果」とも称する。
【0021】
加熱手段22は、バッテリ12からの電力に基づいて動作する。すなわち、加熱手段22用の電源電圧は、バッテリ12に基づいて生成される。なお、変形例では、加熱手段22は、内部のバッテリ12に代えて又は加えて、外部電源によって動作可能であってもよい。
【0022】
加熱手段22は、ターゲット部位を加熱できる構成であれば任意であり、例えば直流電流を流すことで発熱する発熱素子(例えば、電熱線)を含んでよい。この場合、加熱手段22は、フィルムヒータやニクロム線ヒータ等の形態であってよい。
【0023】
あるいは、加熱手段22は、後述するような対の電極221を利用して高周波をターゲット部位に印加する手段であってもよい。また、加熱手段22は、マイクロ波(超短波)のような電波をターゲット部位に照射する手段により実現されてもよい。
【0024】
加熱手段22は、好ましくは、ヘッド部20がユーザのターゲット部位に接触している状態で、ターゲット部位のうちの比較的広い範囲を加熱できるように、ヘッド部20のうちの、比較的広い範囲にわたり設けられる。この場合、加熱手段22は、ヘッド部20におけるユーザのターゲット部位に接触する部位のうちの、カッタユニット21を除く部分の大部分を占めるように配置されてもよい。例えば、加熱手段22は、カッタユニット21を囲繞するように設けられてもよい。
【0025】
加熱手段22は、好ましくは、カッタユニット21とターゲット部位との間の密着性を阻害しない態様で、ヘッド部20に設けられる。例えば、加熱手段22は、カッタユニット21に対して本体部10側にわずかにオフセットした構成(図1のΔ1参照)であってよい。これにより、加熱手段22に起因してカッタユニット21とターゲット部位との間の密着性が低下する可能性を低減できる。
【0026】
図2は、加熱手段22の好ましい例を説明する概略的な構成図である。図2Aは、本体部10における電気系の一例を示す概略図である。図2には、加熱手段22と制御部300との間の電気的な接続態様が併せて示されている。なお、配線は実線で模式的に示されている。図3は、加温効果の原理の説明図であり、高周波電圧印加時にターゲット部位900において生じる電界(高周波電流)を模式的に示す断面図である。図3には、対の電極221とともに、ターゲット部位900における3本の毛901が模式的に示されている。また、図3には、高周波電圧印加によりターゲット部位900において発生する電界の様子が模式的に点線Eで示されている。
【0027】
加熱手段22は、好ましくは、図2に示すように、対の電極221を含み、対の電極221を介して高周波電圧をユーザのターゲット部位900に印加する。この場合、対の電極221間を介してターゲット部位900に高周波に係る電界が形成され、ターゲット部位900において誘電加温及び/又はジュール熱による加温が実現される。
【0028】
このような加熱手段22を用いる場合、高周波に係る電界は、ターゲット部位900の比較的深部(表面より毛穴に近い側)まで作用できる。従って、毛穴を効果的に開かせるとともに、毛根にも熱が伝わり、毛901を柔らかくできる。このようにして対の電極221への高周波電圧印加に基づく加温を行うことで、直流電流を流すことで発熱する発熱素子を用いる場合に比べて、ユーザのターゲット部位900の状態(特に毛の状態)を、剃毛に適した状態に効率的に至らせることが容易となる。すなわち、加温効果を効率的に高めることができる。
【0029】
なお、加熱手段22が対の電極221を含む場合、対の電極221の一方は、カッタユニット21を形成する構成要素(後述するように外刃部2131)により実現されてもよい。
【0030】
図2に示す例では、ヘッド部20側の対の電極221は、本体部10側の電気接点19とヘッド部20側の電気接点29との間の電気的な接続を介して、本体部10側の制御部300(及び、図2では図示しないバッテリ12)に電気的に接続されている。この場合、ヘッド部20側に制御部300やバッテリ(例えばバッテリ12とは別のバッテリ)を配置する必要がなくなるので、ヘッド部20の洗浄等が可能である。なお、電気接点19及び電気接点29は、対の電極221に対応して対で設けられてよい。
【0031】
電気接点19及び電気接点29は、例えばヘッド部20と本体部10との間の接続部分に配置されてもよい。例えば、本体部10におけるヘッド部20を脱着可能に保持する保持部又はその近傍に、本体部10側の電気接点19が設けられ、ヘッド部20における被保持部又はその近傍に、ヘッド部20側の電気接点29が設けられてよい。この場合、電気接点19及び電気接点29は、ヘッド部20が本体部10に接続(装着)されると、それに伴い電気的に接続され、ヘッド部20が本体部10から離脱されると、それに伴い電気的に切り離れる。
【0032】
また、電気接点19及び電気接点29は、ヘッド部20と本体部10との間の接続部分以外(上述した保持部から離れた位置)に配置されてもよい。例えば、電気接点19及び電気接点29は、ヘッド部20が本体部10に接続(装着)されると接触状態となるマグネット接点により実現されてもよい。あるいは、電気接点19及び電気接点29の間の通電は、無接点通電(非接触型の通電)により実現されてもよい。あるいは、電気接点19が省略され、電気接点29は、外部電源に接続可能であってもよい。この場合、電気接点29と外部電源との電気的な接続は、USB(Universal Serial Bus)接続等により実現されてもよい。
【0033】
本実施例において、制御部300は、図2Aに示すように、電気モータ11と並列な関係で、バッテリ12に電気的に接続されてよい。このようにして、電気モータ11用の電源であるバッテリ12の電力を利用して、加熱手段22を動作させることができる。なお、図2Aにおいて、スイッチSWは、電気モータ11をオンさせる毛剃スイッチ(ユーザインターフェース15の一要素)である。
【0034】
図4は、制御部300により実行される処理の一例を示す概略的なフローチャートである。
【0035】
図4に示す例では、加熱手段22は、カッタユニット21の動作と常に連動して動作する。具体的には、毛剃スイッチ(図示せず)がオンされる(ステップS400のYES)と、電気モータ11及び制御部300への電力供給が開始される。この場合、電気モータ11の作動によりカッタユニット21が回転されると、制御部300は、加熱手段22に係る対の電極221に高周波電圧を印加し始める(ステップS402)。この場合、ユーザは、特に加熱手段22に対して特別な操作を行うことなく、カッタユニット21による毛剃を行う際に加熱手段22を動作させることができ、操作性が良好となる。なお、毛剃スイッチ(図示せず)がオフされると(ステップS404のYES)、バッテリ12からの電力供給が遮断されることで、電気モータ11及び加熱手段22が停止する。すなわち、電気モータ11の停止によりカッタユニット21が停止されるととともに、加熱手段22に係る対の電極221への高周波電圧の印加が停止される。
【0036】
なお、図4に示す例では、電気モータ11の動作が開始するのと実質的に同じタイミングで加熱手段22の動作が開始するが、電気モータ11の動作の開始タイミングと加熱手段22の動作の開始タイミングとの間には有意なずれが設定されてもよい。例えば、加温された後のターゲット部位において剃毛が実現されるように、加熱手段22の動作の開始タイミングは、電気モータ11の動作の開始タイミングよりも有意に早められてもよい。
【0037】
図5は、制御部300により実行される処理の他の一例を示す概略的なフローチャートである。
【0038】
図5に示す例では、加熱手段22は、カッタユニット21の動作とは独立して動作可能である。具体的には、ステップS500にて、制御部300は、加熱手段22の作動開始条件が成立したか否かを判定する。加熱手段22の作動開始条件は、任意であり、多様でありうる。例えば、加熱手段22の作動開始条件は、加熱スイッチ(図示せず)がオンされることで満たされてもよい。かかる構成では、加熱スイッチ(図示せず)が毛剃スイッチ(図2AのスイッチSW参照)とは別に設けられる場合、加熱手段22は、毛剃スイッチがオンされることで作動する電気モータ11とは独立に動作できる。
【0039】
制御部300は、加熱手段22の作動開始条件が成立(ステップS500のYES)することで加熱手段22を作動させ始めると、その後、加熱手段22の作動終了条件が成立したか否かを判定する(ステップS502)。加熱手段22の作動終了条件は、任意であり、多様でありうる。例えば、加熱手段22の作動終了条件は、加熱スイッチ(図示せず)がオフされることで満たされてもよい。加熱手段22の作動終了条件が(ステップS504のYES)すると、制御部300は、加熱手段22に係る対の電極221への高周波電圧の印加を停止する(ステップS506)。
【0040】
あるいは、他の実施例では、多様な動作モードを有してもよい。例えば、複数の動作モードは、電気モータ11だけが作動する毛剃単独モード、電気モータ11及び加熱手段22がともに作動する毛剃&加熱モード、及び、加熱手段22だけが作動する加熱単独モードを含んでもよい。
【0041】
また、他の実施例では、ヘッド部20は、加熱手段22又はターゲット部位の温度を検出する温度センサを備えてもよく、この場合、制御部300は、温度センサからの温度情報に基づいて、加熱手段22を制御してもよい。例えば、制御部300は、温度センサからの温度情報の示す温度が所定の目標値に一致するように、加熱手段22を制御してもよい。この場合、所定の目標値は、一定であってもよいし、複数段階のうちの1つをユーザが選択可能であってもよいし、ユーザにより調整(カスタマイズ)可能であってもよい。
【0042】
また、他の実施例では、ヘッド部20又は本体部10に電流センサを設けてもよい。この場合、温度又は電流が所定の閾値を超える場合に、加熱手段22による加熱の程度を弱めても加熱を停止するようにしてもよく、また、反対に別の閾値を下回る場合は、加熱手段22による加熱の程度を強めるようにしてもよい。温度センサ又は電流センサは、ヘッド部20に異物が付着したことを検知可能であってもよく、所望の肌質改善を得られない時には、電気シェーバ1の運転の程度を弱めてもよく、停止してもよい。
【0043】
また、他の実施例では、ヘッド部20は、ターゲット部位との間の接触又は近接を検出する接触又は近接センサを備えてもよく、この場合、制御部300は、接触又は近接センサからのセンサ情報に基づいて、加熱手段22を制御してもよい。例えば、制御部300は、接触又は近接センサからのセンサ情報がヘッド部20とターゲット部位との間の接触又は近接を示す場合のみ、加熱手段22を作動させてもよい。
【0044】
ところで、本実施例では、ヘッド部20に加熱手段22が設けられるので、加熱手段22の動作状態等をユーザに伝達できる構成が有用となりうる。特に、図5に示したような加熱手段22と電気モータ11とが互いに連動せずに動作しうる構成においては、加熱手段22の動作状態等をユーザに伝達できると利便性が高くなる。
【0045】
そこで、本実施例において、ヘッド部20には、光照射部70(図1参照)が設けられてもよい。光照射部70は、情報伝達用の光を照射するように構成されてもよい。例えば、図5を参照して上述したように複数の動作モードを有する場合、光照射部70は、動作モードごとに異なる色で発光してもよい。なお、光照射部70は、発光ダイオード等により実現されてよい。また、光照射部70は、照射する光の周波数に応じて肌に光刺激を与えるようにしてもよく、可視光を照射して処理する肌の状態をユーザが目視できるように、配置されてもよい。
【0046】
あるいは、光照射部70は、加熱手段22と別の加熱手段として機能してもよい。あるいは、光照射部70は、毛根にダメージを与えるように作用する周波数の光を照射してもよい。この場合、光照射部70のオン/オフやオン時の出力は、ユーザにより調整(カスタマイズ)可能であってもよい。
【0047】
次に、図6以降を参照して、ヘッド部20の一例ついて詳細に説明する。
【0048】
図6は、ヘッド部20の全体の分解斜視図であり、図7は、ヘッド部20の一部の分解斜視図である。図8は、メインホルダ部231単体を示す斜視図である。図6から図8には、右手座標系で、直交する3軸(X軸、Y軸、及びZ軸)が示されている。
【0049】
図6から図8に示す例では、ヘッド部20は、カッタユニット21と、加熱手段22とを含み、カッタユニット21及び加熱手段22は、それぞれ3組設けられる。なお、変形例では、3組以外の組数(例えば1組、2組や4組以上)であってもよい。図6から図8に示す例では、加熱手段22の対の電極221は、後述するように、外刃部2131及び枠部224により形成される。なお、3組の加熱手段22と制御部300(及びバッテリ12)との間の電気的な接続は、図2に示したような電気接点19、29により実現されてよく、この場合、3組の加熱手段22に係る合計6つの電極221に対して、6組の電気接点19、29が設けられてもよいが、好ましくは、2組の電気接点19、29が設けられる。2組の電気接点19、29の場合、3組の加熱手段22に係る6つの電極221は、共通に動作する。この場合、本体部10とヘッド部20との間の電気接点構造を簡略化できる。
【0050】
また、図6から図8に示す例では、ヘッド部20は、基部230と、メインホルダ部231(ホルダ部の一例)と、シェーバホルダ232とを含む。図6から図8に示す例では、シェーバホルダ232は、後述する枠部224とともに、3組のカッタユニット21に対応して、3組設けられる。図6では、3組のうちの、1組だけがメインホルダ部231から分解して示されている。3組のそれぞれは、同様の構成であってよく、以下では特に言及しない限り、任意の1組について説明する。
【0051】
基部230は、本体部10(図1参照)に着脱可能に接続できる。なお、上述したようにヘッド部20が本体部10に対して変位可能となる態様で、基部230が本体部10に対して支持されてよい。
【0052】
基部230は、電気モータ11からの回転に伴い回転する回転軸部2301を有する。回転軸部2301は、カッタユニット21ごとに設けられてもよい。従って、図6から図8に示す例では、回転軸部2301は、3つ設けられる。なお、回転軸部2301のそれぞれは、電気モータ11の回転軸とともに一体回転する軸部材13(図1参照)に対して、ギアのような動力伝達機構(図示せず)を介して動力伝達可能に連結されてよい。
【0053】
メインホルダ部231は、シェーバホルダ232を介してカッタユニット21及び枠部224を保持する。メインホルダ部231は、シェーバホルダ232が配置される開口部2310を有する。
【0054】
メインホルダ部231は、基部230に取り付けられる。メインホルダ部231は、基部230に対して固定されてもよいが、好ましくは、基部230に対して着脱可能又は開閉に支持される。図6から図8に示す例では、メインホルダ部231は、基部230の開閉軸2302まわりに回転可能(開閉可能)に支持されている。この場合、メインホルダ部231は、開閉軸2302まわりに回転することで、基部230に対して開閉可能となる。メインホルダ部231の閉状態は、通常の使用状態であり、メインホルダ部231の開状態は、メインホルダ部231と基部230との間に溜まりうる毛(カットされた毛)を除去するために実現されてよい。
【0055】
シェーバホルダ232は、例えば樹脂等により形成される。シェーバホルダ232は、カッタユニット21及び枠部224を保持する。シェーバホルダ232は、カッタユニット21のY方向負側への移動を規制するストッパ部2321を有してよい。
【0056】
シェーバホルダ232は、図6から分かるように、メインホルダ部231に取り付けられる。シェーバホルダ232は、メインホルダ部231と一体的に固定されてもよいが、好ましくは、メインホルダ部231に対して変位可能に支持される。これにより、ユーザのターゲット部位に対してカッタユニット21を密着させることが容易となり、除毛効率を効果的に高めることができる。図6から図8に示す例では、図8に示すように、メインホルダ部231は、回転軸部2301に垂直な一の方向に延在する回転軸支部2314を有し、シェーバホルダ232を回転軸支部2314まわりに回転可能に支持する。
【0057】
本実施例では、カッタユニット21は、上述したようにシェーバホルダ232を介してメインホルダ部231に支持される。カッタユニット21は、図7に示すように、外刃部2131と、回転式の内刃部2132とを含む。
【0058】
外刃部2131は、Y方向正側にターゲット部位に接触可能な接触表面部21311を有する。接触表面部21311には、毛が入ることができる細かい孔が複数形成されるとともに、当該孔の縁部が外刃を形成する。接触表面部21311は、細かい孔に毛を入れることで、毛を立たせる機能を有する。毛を立たせると、外刃部2131と内刃部2132との組み合わせで毛がカットしやすくなる。図6から図8に示す例では、外刃部2131は、円筒状の周壁部21312を有し、周壁部21312のY方向正側は、接触表面部21311により覆われている。円筒状の周壁部21312の内径側には、内刃部2132が収容される。
【0059】
本実施例では、外刃部2131は、導体であり、導電性の材料により形成される。そして、外刃部2131は、図2及び図3を参照して上述した加熱手段22の対の電極221の一方を形成する。具体的には、外刃部2131は、ターゲット部位900に接触する接触表面部21311が、図2及び図3を参照して上述した加熱手段22の対の電極221の一方を形成する。
【0060】
なお、外刃部2131は、1つ以上の材料により形成されてもよいし、2つ以上の材料により形成されてもよい。例えば、接触表面部21311は、金属のような比較的剛性の高い導電材料により形成され、周壁部21312は、樹脂のような絶縁材料により形成されてもよい。
【0061】
内刃部2132は、回転軸部2301に回転不能に接続され、回転軸部2301とともに一体回転する。内刃部2132は、電気モータ11により回転軸部2301の回転軸まわりに回転駆動される。内刃部2132は、切断エッジを有する複数のカッタブレード21321を有する。複数のカッタブレード21321は、外刃部2131の接触表面部21311にY方向で隣接するように配置される。この場合、内刃部2132が回転すると、接触表面部21311の孔を通る毛901が、外刃と内刃部2132のカッタブレード21321との組み合わせによりカットされる。
【0062】
枠部224は、カッタユニット21まわりに設けられる電極リングを形成する。すなわち、枠部224は、外刃部2131における円筒状の周壁部21312の外径側に配置される。枠部224は、上述したようにシェーバホルダ232を介してメインホルダ部231に支持される。
【0063】
図6から図8に示す例では、枠部224は、導体であり、導電性の材料により形成される。具体的には、枠部224は、図2及び図3を参照して上述した加熱手段22の対の電極221の他方を形成する。すなわち、枠部224は、外刃部2131の接触表面部21311と協動して、図2及び図3を参照して上述した加熱手段22の対の電極221を形成する。
【0064】
このような枠部224と外刃部2131の接触表面部21311とにより加熱手段22の対の電極221を実現することで、ターゲット部位のうちの接触表面部21311と接触する範囲全体にわたって加温効果を付与することができる。
【0065】
枠部224は、外刃部2131との間で電気的な短絡が生じないように、外刃部2131に対してわずかに離間する。図6から図8に示す例では、枠部224は、円筒状の周壁部21312の外径よりも大きい内径を有し、周壁部21312に対して径方向で離間する。また、シェーバホルダ232は、Y方向に突出したリング状の周壁2324を有し、周壁2324は、径方向で枠部224と外刃部2131の間に配置される。これにより、枠部224と外刃部2131との間で電気的な短絡が確実に防止される。
【0066】
図9から図11は、図6から図8に示す例による電気シェーバ1の加温効果の説明図であり、電気シェーバ1の先端部分(Y方向正側の先端部)だけをターゲット部位との関係で模式的に示す断面図である。
【0067】
図9は、電気シェーバ1のヘッド部20をターゲット部位900に接触する直前の状態を示している。なお、図9に示す例では、ターゲット部位900には、剃る対象の毛901が多数生えており、シェービングジェル902が塗布されている。なお、シェービングジェル902に代えてシェービングフォーム、化粧水又はその類が利用されてもよい。シェービングジェル902等を利用することで、高周波電圧印加による加温効果を効率的に高めることができる。また、毛穴が広がり、毛穴や毛穴まわりに水分が浸透することで、毛901が柔らかくなり、毛901が剃りやすくなる(すなわち剃り残しが減る)効果も得られる。また、ターゲット部位900に水分が浸透することで、いわゆる剃り負けを抑制できる。
【0068】
図10は、電気シェーバ1のヘッド部20がターゲット部位900に接触した直後の状態を示している。図6から図8に示す例では、枠部224を外側の電極221とし、且つ、接触表面部21311を内側の電極221として、高周波電圧がターゲット部位900に印加される。なお、図10には、このような高周波電流の経路が矢印R1000で模式的に示されている。
【0069】
図11は、電気シェーバ1のヘッド部20がターゲット部位900に接触し加熱手段22が動作した後の状態を示している。図11には、加温されている範囲がハッチング領域R11で模式的に示されている。このようにして、図6から図8に示す例によれば、高周波電流を、ターゲット部位のうちの接触表面部21311と接触する範囲全体にわたって作用させることが可能となる。この結果、ターゲット部位の比較的広い範囲にわたって加熱手段22による加温効果を効率的に付与できる。また、加熱手段22による高周波電流に基づく電気的な加温効果は、ヒータや光照射などの外部からの加温に比べて、肌の乾燥を起こし難く、肌の潤い維持効果も期待できる。
【0070】
このように図6から図8に示す例によれば、ターゲット部位900を加温する構成を有する電気シェーバ1により、ターゲット部位900の比較的広い範囲にわたって加温効果を効率的に付与できる。これにより、除毛効率を効果的に高めることができる。
【0071】
また、図6から図8に示す例によれば、加熱手段22の対の電極221の一方は、外刃部2131(接触表面部21311)により実現され、対の電極221の他方は、枠部224により実現されるので、比較的少ない部品点数で加熱手段22を実現できる。すなわち、既存の部品である外刃部2131を利用することで、加熱手段22を設けるための追加部品に係る部品点数を低減できる。
【0072】
なお、図6から図8に示す例では、加熱手段22の対の電極221の一方は、接触表面部21311全体により実現されているが、接触表面部21311の一部のみにより実現されてもよい。
【0073】
また、同様に、加熱手段22の対の電極221の他方は、枠部224全体により実現されているが、枠部224の一部により実現されてもよい。例えば、枠部224は、樹脂と金属材料によるインサート成形により形成されてもよい。この場合、金属材料の部位が電極221を形成する。
【0074】
なお、図6から図8に示す例において、図1を参照して上述した光照射部70がカッタユニット21まわり、すなわち枠部224に設けられてもよい。あるいは、光照射部70は、枠部224の外側に設けられてもよい。あるいは、光照射部70は、周壁2324のY方向正側の端部に設けられてもよい。
【0075】
また、図6から図8に示す例において、枠部224には、別の加熱手段22として、図12に平面図で模式的に示すようなフィルムヒータ240が設けられてもよい。この場合、フィルムヒータ240は、枠部224の電極221としての機能を阻害しない態様で、枠部224に配置されてもよい。あるいは、この場合、対の電極221をなくして、フィルムヒータ240が唯一の加熱手段22として機能してもよい。なお、フィルムヒータ240を用いる場合も、バッテリ12又は制御部300からの配線は、図2を参照して上述したとおりであってよい。
【0076】
次に、図13及び図14を参照して、図6から図8に示した例において適用可能なヘッド部20における配線構造90の例について説明する。以下では、区別のため、3つのカッタユニット21のそれぞれを区別する場合は、符号の最後に(1)、(2)、及び(3)を付す。なお、図14では、カッタユニット21の1つが取り外された状態で図示されている。
【0077】
図13及び図14は、ヘッド部20における配線構造90の一例を示す図である。
【0078】
配線構造90は、図2に示した対の電気接点29と対の電極221との間の電気的な接続を実現する電気的接続構造であり、図14に示すように、対の電気接点29を保持する接点保持部290を有する。接点保持部290は、図示しない本体部10側の接点保持部に脱着可能である。この場合、磁石を用いたマグネット接点が実現されてもよい。接点保持部290が本体部10側の接点保持部に取り付けられた状態では、対の電気接点19(図2参照)に対の電気接点29が電気的に接続される。
【0079】
配線構造90は、対の電気接点29の一方に一端が接合される第1配線91(配線の一例)と、対の電気接点29の他方に一端が接合される第2配線92を含む。第1配線91の他端は、対の電極221の一方に接合され、第2配線92の他端は、対の電極221の他方に接合される。
【0080】
第1配線91は、図13に示すように、第1引き出し部910と、2つの第1渡り部911、912(配線部の一例)とを含む。
【0081】
第1引き出し部910は、メインホルダ部231の外部から内部に通される。第1引き出し部910は、図14に示すように、メインホルダ部231の外部側の一端が対の電気接点29の一方に接合され、図13に示すように、内部側の他端が一のカッタユニット21(1)の外刃部2131に接合される。なお、第1引き出し部910は、外刃部2131の下側(Y方向負側)に接合されてよい。
【0082】
第1渡り部911は、図13に示すように、一端が、一のカッタユニット21(1)の外刃部2131に接合され、他端が、他の一のカッタユニット21(2)の外刃部2131に接合される。このようにして、一のカッタユニット21(1)の外刃部2131と、他の一のカッタユニット21(2)の外刃部2131とは、第1渡り部911を介して電気的に接続される。
【0083】
第1渡り部912は、図13に示すように、一端が、他の一のカッタユニット21(2)の外刃部2131に接合され、他端が、更なる他の一のカッタユニット21(3)の外刃部2131に接合される。このようにして、他の一のカッタユニット21(2)の外刃部2131と、更なる他の一のカッタユニット21(3)の外刃部2131とは、第1渡り部912を介して電気的に接続される。
【0084】
このようにして、第1配線91は、第1引き出し部910及び2つの第1渡り部911、912を介して、対の電気接点29の一方を、対の電極221の一方を形成する3つのカッタユニット21のそれぞれの外刃部2131に、電気的に接続する。これにより、対の電気接点29の一方を介して、対の電極221の一方を形成する3つのカッタユニット21を同時に通電できる。
【0085】
同様に、第2配線92は、第2引き出し部920と、2つの第2渡り部921、922とを含む。
【0086】
第2引き出し部920は、メインホルダ部231の外部から内部に通される。第2引き出し部920は、図14に示すように、メインホルダ部231の外部側の一端が対の電気接点29の一方に接合され、図13に示すように、内部側の他端が一のカッタユニット21(3)まわりの枠部224に接合される。なお、第2引き出し部920は、枠部224の下側(Y方向負側)に接合されてよい。
【0087】
第2渡り部921は、図13に示すように、一端が、一のカッタユニット21(3)まわりの枠部224に接合され、他端が、他の一のカッタユニット21(2)まわりの枠部224に接合される。このようにして、一のカッタユニット21(3)まわりの枠部224と、他の一のカッタユニット21(2)まわりの枠部224とは、第2渡り部921を介して電気的に接続される。
【0088】
第2渡り部922は、図13に示すように、一端が、他の一のカッタユニット21(2)まわりの枠部224に接合され、他端が、更なる他の一のカッタユニット21(1)まわりの枠部224に接合される。このようにして、他の一のカッタユニット21(2)まわりの枠部224と、更なる他の一のカッタユニット21(1)まわりの枠部224とは、第2渡り部922を介して電気的に接続される。
【0089】
このようにして、第2配線92は、第2引き出し部920及び2つの第2渡り部921、922を介して、対の電気接点29の他方を、対の電極221の他方を形成する3つの枠部224のそれぞれに、電気的に接続する。これにより、対の電気接点29の他方を介して、対の電極221の他方を形成する3つの枠部224を同時に通電できる。
【0090】
ところで、図6から図8に示した例では、上述したように、各カッタユニット21は、メインホルダ部231に対して変位可能に支持されており、電気シェーバ1の使用時にターゲット部位900の形状等に応じてメインホルダ部231に対して変位しうる。
【0091】
従って、図13及び図14に示す配線構造90では、第1配線91の第1引き出し部910は、好ましくは、メインホルダ部231に対してカッタユニット21が変位した場合でも対の電極221の一方との接合状態を維持するように構成される。具体的には、第1配線91の引き出し部910は、好ましくは、メインホルダ部231に対するカッタユニット21(1)の変位を吸収できるような適度な緩みや可撓性を有する。例えば、第1引き出し部910は、単線又はより線からなる電線や、フラットケーブル、導電性のあるばね等により構成されてもよい。これにより、電気シェーバ1の使用時にカッタユニット21(1)がターゲット部位900の凹凸に合わせて変位した場合でも、安定してターゲット部位900の肌を加熱できる。
【0092】
同様に、図13及び図14に示す配線構造90では、第1配線91の第1渡り部911は、好ましくは、メインホルダ部231に対して2つのカッタユニット21が互いに独立して変位した場合でも、第1渡り部911の両端において対の電極221の一方との接合状態を維持するように構成される。具体的には、第1配線91の第1渡り部911は、好ましくは、メインホルダ部231に対する2つのカッタユニット21の互いに独立した変位を吸収できるような適度な緩みや可撓性を有する。例えば、第1渡り部911は、単線又はより線からなる電線や、フラットケーブル、導電性のあるばね等により構成されてもよい。これにより、電気シェーバ1の使用時に2つのカッタユニット21(1)、(2)がターゲット部位900の凹凸に合わせて互いに独立して変位した場合でも、安定してターゲット部位900の肌を加熱できる。これは、第1渡り部912についても同様である。
【0093】
なお、枠部224は、カッタユニット21とは異なり、メインホルダ部231に対して変位可能でないため、第2配線92は、比較的緩みの少ない又は可撓性の低い構成であってもよい。
【0094】
また、図13及び図14に示す例によれば、第1渡り部911、912及び第2渡り部921、922を有することにより、3つのカッタユニット21を有するヘッド部20においても、3つのカッタユニット21のそれぞれに対応付けて設けられる対の電極221に対して効率的な配線構造90を実現できる。
【0095】
なお、図13及び図14に示す例では、ヘッド部20側の対の電気接点29は、ヘッド部20と本体部10との間の接続部分とは別の接点保持部290に保持されているが、これに限られない。例えば、ヘッド部20側の対の電気接点29は、上述したように、ヘッド部20と本体部10との間の接続部分に設けられてもよい。例えば、図15に示すような基部230の被保持部2304に、ヘッド部20側の対の電気接点29が設けられてもよい。この場合、第1配線91の第1引き出し部910及び第2配線92の第2引き出し部920は、回転軸部2301等を利用して基部230まで引き出されてもよい。この場合、第1配線91の第1引き出し部910の一部及び第2配線92の第2引き出し部920の一部は、インサート成形等により基部230内に埋設されてよい導体部により実現されてもよい。
【0096】
また、図13及び図14に示す例において、第1配線91の一部及び第2配線92の一部は、インサート成形等によりメインホルダ部231に埋設されてよい導体部により実現されてもよい。
【0097】
また、本実施例において、第1配線91及び/又は第2配線92は、ステンレススチール製のワイヤで構成してもよい。また、第1配線91及び/又は第2配線92は、表面をニッケルや亜鉛でメッキしてもよい。また、第1配線91及び/又は第2配線92は、不動態皮膜により表面が腐食しにくく電気抵抗が高いステンレススチールの表面に電気抵抗が低いニッケルメッキをすることにより、錆びにくく電気を通しやすくすることができる。また、水洗いを前提にして、電気も通すことができるため、設計しやすい。また、電気接点19及び/又は電気接点29も同様にステンレススチールにメッキをしてもよい。第1配線91及び/又は第2配線92と電気接点19及び/又は電気接点29の表面材質をニッケルなど同じ材質にしてもよい。異種金属接触腐食による劣化を防ぐことができる。
【0098】
また、本実施例において、第1配線91と第2配線92とは接触して電気短絡しないように、表面に絶縁皮膜を設けてもよいし、配線間の離間距離を広げてもよい。配線間に壁を設けて沿面距離を長くしつつ、ヘッド部20全体が小型化できるようにしてもよい。
【0099】
また、本実施例において、枠部224と外刃部2131との間の絶縁抵抗より、第1配線91及び/又は第2配線92の絶縁抵抗が大きくなるように配置してもよい。例えば距離を広くしてもよい。これにより、第1配線91と第2配線92、枠部224と外刃部2131との間が、水などの液体、ジェルなどの導電物が満たされる場合でも、枠部224と外刃部2131の方により電流が流れやすくすることができる。例えば、第1配線91と第2配線92との絶縁抵抗を乾燥時に1メガオーム以上、ジェルで満たされた時に100オーム以上となるように配置することにより、バッテリ12を小型にしながら高周波による肌加熱を確保することができる。
【0100】
[実施例2]
次に、図16以降を参照して、上述した実施例1に代えて好適に実現可能な実施例2について説明する。以下の実施例2の説明及び図において、上述した実施例1と同様であってよい構成要素について、同様の参照符号を付して説明を省略する場合がある。また、以下の説明において、電気シェーバ1Aの使用状態においてヘッド部20Aにおけるユーザに肌に近い側(すなわちY方向の正側)を「上側」と称し、その逆側、すなわち肌から遠い側(Y方向の負側)を「下側」と称する場合がある。
【0101】
図16は、本実施例の電気シェーバ1Aのヘッド部20Aの斜視図であり、カッタユニット21A及びシェーバホルダ232Aが分解状態で示されている。図17は、本実施例の電気シェーバ1Aのヘッド部20Aの斜視図であり、1つのカッタユニット21A及びシェーバホルダ232Aが取り外された状態で、且つ、1つのカッタユニット21A及びシェーバホルダ232Aが断面視で示されている。図18は、本実施例の電気シェーバ1Aの基部230Aの斜視図である。図19は、本実施例の配線構造90Aの説明図であり、本実施例の電気シェーバ1Aのヘッド部20Aの下面側からの斜視図である。図19では、基部230が取り除かれた状態で示されている。図19Aは、枠部224Aの下側からの斜視図であり、配線構造90Aの一部が併せて示されている。図20は、本実施例の電気シェーバ1Aの電気的接続構造の斜視図である。図21は、シェーバホルダ232Aの特徴部を拡大した斜視図である。図22は、本実施例の電気シェーバ1Aの光照射部70A等の配置を示す斜視図である。図23は、本実施例の電気シェーバ1Aのカッタユニット21Aの取り外し方法の説明図である。図24は、本実施例の電気シェーバ1Aのカッタユニット保持リング223Aの斜視図である。
【0102】
本実施例においても、上述した実施例と同様、ヘッド部20Aのメインホルダ部231Aは、シェーバホルダ232Aを介してカッタユニット21A及び枠部224Aを揺動可能に保持する。具体的には、本実施例においても、シェーバホルダ232Aは、上述した実施例のシェーバホルダ232と同様、カッタユニット21Aがヘッド部20Aに対して揺動可能となるように、カッタユニット21Aを回転可能に支持する。すなわち、本実施例においても、メインホルダ部231Aは、基部230Aの回転軸部2301に垂直な一の方向に延在する回転軸支部2314(図17参照)(第2揺動支持機構の一例)を有し、シェーバホルダ232Aを回転軸支部2314まわりに回転可能に支持する。
【0103】
なお、本実施例では、枠部224Aは、上述した実施例1による枠部224とは異なり、シェーバホルダ232Aの外周部の上側表面に設けられる。枠部224Aは、例えば、シェーバホルダ232Aに嵌合等により固定されてもよいし、インサート成形等により一体成形されてもよい。
【0104】
また、本実施例においても、上述した実施例と同様、カッタユニット21Aの外刃部2131(接触表面部21311)及び枠部224Aが、加熱手段22(動作部の一例)に係る対の電極221を形成する。
【0105】
本実施例では、ヘッド部20Aは、対の電極221への通電を実現する配線構造90Aを収容する。配線構造90Aは、図2に示した対の電気接点29と対の電極221との間の電気的な接続を実現する電気的接続構造である。
【0106】
具体的には、配線構造90Aは、対の電気接点29の一方に一端が接合される第1配線91Aと、対の電気接点29の他方に一端が接合される第2配線92Aを含む。第1配線91Aの他端は、対の電極221の一方に接合され、第2配線92Aの他端は、対の電極221の他方に接合される。
【0107】
第1配線91Aは、図19に示すように、第1引き出し部910Aと、2つの第1渡り部911A、912Aとを含む。
【0108】
第1引き出し部910Aは、メインホルダ部231Aの内側(基部230Aに向かう側)に配置される。第1引き出し部910Aは、図19に示すように、一端が対の電気接点29の一方に電気的に接続される第1電極291Aに接合される。また、第1引き出し部910Aは、図19に示すように、他端が一のカッタユニット21A(1)の外刃部2131(図17参照)に電気的に接続される。この際、第1引き出し部910Aは、一のカッタユニット21A(1)の外刃部2131の下側に配置されるプレッシャープレート2134Aに、通電ばね94A(後述)を介して電気的に接続されてよい。
【0109】
第1渡り部911Aは、図19に示すように、一端が、一のカッタユニット21A(1)の外刃部2131に、通電ばね94A(後述)を介して電気的に接続され、他端が、他の一のカッタユニット21A(2)の外刃部2131に、通電ばね94A(後述)を介して電気的に接続される。このようにして、一のカッタユニット21A(1)の外刃部2131と、他の一のカッタユニット21A(2)の外刃部2131とは、第1渡り部911Aを介して電気的に接続される。
【0110】
第1渡り部912Aは、図19に示すように、一端が、他の一のカッタユニット21A(2)の外刃部2131に、通電ばね94A(後述)を介して電気的に接続され、他端が、更なる他の一のカッタユニット21A(3)の外刃部2131に、通電ばね94A(後述)を介して電気的に接続される。このようにして、他の一のカッタユニット21A(2)の外刃部2131と、更なる他の一のカッタユニット21A(3)の外刃部2131とは、第1渡り部912Aを介して電気的に接続される。
【0111】
このようにして、第1配線91Aは、第1引き出し部910A及び2つの第1渡り部911A、912Aを介して、対の電極221の一方を形成する3つのカッタユニット21Aのそれぞれの外刃部2131に、対の電気接点29の一方を、電気的に接続する。これにより、対の電気接点29の一方を介して、対の電極221の一方を形成する3つのカッタユニット21Aを同時に通電できる。
【0112】
同様に、第2配線92Aは、第2引き出し部920Aと、2つの第2渡り部921A、922Aとを含む。
【0113】
第2引き出し部920Aは、メインホルダ部231Aの内側(基部230Aに向かう側)に配置される。第2引き出し部920Aは、図19に示すように、一端が対の電気接点29の他方に電気的に接続される第2電極292Aに接合される。また、第2引き出し部920Aは、図19に示すように、他端が一のカッタユニット21A(3)まわりの枠部224Aに電気的に接続される。この際、第2引き出し部920Aは、図19Aに示すように、一のカッタユニット21A(1)まわりの枠部224Aの下側に配置される電極部940に、通電ばね94B(後述)を介して電気的に接続されてよい。
【0114】
第2渡り部921Aは、図19に示すように、一端が、一のカッタユニット21A(3)まわりの枠部224Aに、通電ばね94B(後述)を介して電気的に接続され、他端が、他の一のカッタユニット21A(2)まわりの枠部224Aに、通電ばね94B(後述)を介して電気的に接続される。このようにして、一のカッタユニット21A(3)まわりの枠部224Aと、他の一のカッタユニット21A(2)まわりの枠部224Aとは、第2渡り部921Aを介して電気的に接続される。
【0115】
第2渡り部922Aは、図19に示すように、一端が、他の一のカッタユニット21A(2)まわりの枠部224Aに、通電ばね94B(後述)を介して電気的に接続され、他端が、更なる他の一のカッタユニット21A(1)まわりの枠部224Aに、通電ばね94B(後述)を介して電気的に接続される。このようにして、他の一のカッタユニット21A(2)まわりの枠部224Aと、更なる他の一のカッタユニット21A(1)まわりの枠部224Aとは、第2渡り部922Aを介して電気的に接続される。
【0116】
このようにして、第2配線92Aは、第2引き出し部920A及び2つの第2渡り部921A、922Aを介して、対の電極221の他方を形成する3つの枠部224Aのそれぞれに、対の電気接点29の他方を、電気的に接続する。これにより、対の電気接点29の他方を介して、対の電極221の他方を形成する3つの枠部224Aを同時に通電できる。
【0117】
なお、本実施例においても、上述した実施例1と同様、第1配線91A及び/又は第2配線92Aは、ステンレススチール製のワイヤで構成してもよい。また、第1配線91A及び/又は第2配線92Aは、表面をニッケルや亜鉛でメッキしてもよい。また、第1配線91A及び/又は第2配線92Aは、不動態皮膜により表面が腐食しにくく電気抵抗が高いステンレススチールの表面に電気抵抗が低いニッケルメッキをすることにより、錆びにくく電気を通しやすくすることができる。また、水洗いを前提にして、電気も通すことができるため、設計しやすい。また、電気接点19及び/又は電気接点29も同様にステンレススチールにメッキをしてもよい。第1配線91A及び/又は第2配線92Aと電気接点19及び/又は電気接点29の表面材質をニッケルなど同じ材質にしてもよい。異種金属接触腐食による劣化を防ぐことができる。
【0118】
また、本実施例において、第1配線91Aと第2配線92Aとは接触して電気短絡しないように、表面に絶縁皮膜を設けてもよいし、配線間の離間距離を広げてもよい。配線間に壁を設けて沿面距離を長くしつつ、ヘッド部20A全体が小型化できるようにしてもよい。
【0119】
また、本実施例において、枠部224Aと外刃部2131との間の絶縁抵抗より、第1配線91A及び/又は第2配線92Aの絶縁抵抗が大きくなるように配置してもよい。例えば距離を広くしてもよい。これにより、第1配線91Aと第2配線92A、枠部224Aと外刃部2131との間が、水などの液体、ジェルなどの導電物が満たされる場合でも、枠部224Aと外刃部2131の方により電流が流れやすくすることができる。例えば、第1配線91Aと第2配線92Aとの絶縁抵抗を乾燥時に1メガオーム以上、ジェルで満たされた時に100オーム以上となるように配置することにより、バッテリ12を小型にしながら高周波による肌加熱を確保することができる。
【0120】
ここで、本実施例の配線構造90Aは、上述したように、第1渡り部911Aや第2渡り部921A等の端部に、通電ばね94A、94B(伸縮可能な導体要素の一例)を含む。通電ばね94A、94Bは、コイルばねの形態であり、回転軸部2301に沿った方向で伸縮可能であってよい。通電ばね94Aは、カッタユニット21Aにおける外刃部2131に一端が電気的に接続され、他端が電気接点29に電気的に接続される。通電ばね94Bは、枠部224Aに一端が電気的に接続され、他端が後述する配線ばね954A等を介して電気接点29に電気的に接続される。
【0121】
なお、通電ばね94A、94Bは、カッタユニット21Aにおける外刃部2131の下面及び枠部224Aの下面に直接当接する必要はなく、他の部材(導体部材)を介して電気的に接続されていればよい。例えば、通電ばね94Aは、図19に示すように、外刃部2131に、導体のプレッシャープレート2134Aを介して電気的に接続されてよい。また、通電ばね94Bは、図19Aを参照して上述したように、枠部224Aに電極部940を介して電気的に接続されてよい。
【0122】
通電ばね94A、94Bは、メインホルダ部231Aに対するカッタユニット21Aの任意の回転状態においても、カッタユニット21Aにおける外刃部2131及び枠部224Aに電気的に接続された状態が維持されるように構成及び配置される。
【0123】
この場合、シェーバホルダ232Aがメインホルダ部231Aに対して回転した場合でも、通電ばね94A、94Bがそれに対応して伸縮することで、対の電極221である枠部224A及び外刃部2131と通電ばね94A、94Bとの間の電気的な接続状態を維持できる。このように、本実施例では、メインホルダ部231に対するシェーバホルダ232A(及びそれに伴い枠部224A及び外刃部2131)の任意の回転状態においても、ヘッド部20A側の電気接点29と対の電極221(枠部224A及び外刃部2131)との導通状態を維持できる。
【0124】
配線構造90Aは、更に、図18及び図19に示すように、開閉軸2302まわりに設けられる導体のねじりばね950Aを含む。ねじりばね950Aは、対で設けられ、それぞれ、一端が、上述した第1電極291A及び第2電極292Aに電気的に接続される。また、ねじりばね950Aは、図20に示すように、他端が電気接点29(後述する伝達手段294A)に接続される。このような配線構造90Aによれば、図19に示すように、配線構造90Aの実質的にすべてを、ヘッド部20Aの内部(すなわちメインホルダ部231Aの基部230A側)に配置される。従って、ヘッド部20Aが開いた状態では、図18に示すように、基部230A上に配線構造90Aは実質的に配置されていない状態となる。また、図14を参照して上述したような実施例1の接点保持部290のような部材が不要となる。
【0125】
なお、基部230A内には、図22に示すように基部230Aに配置される光照射部70A及び温度測定手段72Aに通電する配線構造90B(図20に一部図示)が配置されてよい。
【0126】
また、本実施例では、カッタユニット保持リング223Aがカッタユニット21Aの外周部に設けられる。カッタユニット保持リング223Aは、ヘッド部20Aに対してカッタユニット21Aを着脱可能に保持する機能を備える。カッタユニット保持リング223Aは、メインホルダ部231A内での配線構造90Aの配置が容易となるように、カッタユニット21Aをシェーバホルダ232Aとの間に挟持する態様で、カッタユニット21Aに対して上側から係止する。カッタユニット保持リング223Aは、カッタユニット21Aの外周側(外刃部2131の円筒状の周壁部21312の外周側)に配置され、カッタユニット21Aを上側からシェーバホルダ232Aに保持させる。カッタユニット保持リング223Aは、カッタユニット21Aの外周部に圧入されてもよく、インサート成形で一体成形されてもよい。カッタユニット保持リング223Aがカッタユニット21Aと一体化される場合、ヘッド部20Aに対するカッタユニット21Aの着脱が容易になる。
【0127】
ここで、従来の電気シェーバでは、カッタユニット21Aの掃除や交換のために取り外す時、ヘッド部20Aの内側に向けてカッタユニット21Aを取り外すようにしている。これに対して、本実施例では、カッタユニット21Aと、加熱手段22に通電する通電ばね94A、94Bにユーザが誤って触れないよう、ヘッド部20Aの内部(すなわちメインホルダ部231A内)に配線している。メインホルダ部231Aからカッタユニット21Aを取り外して掃除、交換する時は、通電ばね94A、94Bが配置されているメインホルダ部231Aの内側(基部230Aに向かう側)ではなく、外側に取り外すようにしている。従って、メインホルダ部231Aを、基部230Aに対して開いた状態にすることなく、カッタユニット21Aをシェーバホルダ232Aから(及びそれに伴いメインホルダ部231Aから)取り外すことができる。これにより、カッタユニット21Aの着脱時に通電ばね94A、94Bにユーザの指等がぶつからないので、狭いヘッド部20A内部の空間を通電ばね94A、94Bの配置のために有効に使うことができる。その結果、ヘッド部20A全体を小さくして使い勝手を良くしながら、通電による上述した肌処理を実現できる。
【0128】
また、本実施例では、カッタユニット保持リング223Aは、略円筒形の形態であり、カッタユニット21Aと同軸に回転するように構成される。カッタユニット保持リング223Aは、カッタユニット21Aの掃除や交換のためにメインホルダ部231からカッタユニット21Aを取り外す時に、カッタユニット着脱手段としても機能できる。具体的には、カッタユニット保持リング223Aは、カッタユニット21Aがシェーバホルダ232A(及びそれに伴いヘッド部20A)に固定される固定角度と、シェーバホルダ232A(及びそれに伴いヘッド部20A)から離脱できる離脱角度との間で、ヘッド部20Aに対して回転可能である。また、カッタユニット保持リング223Aにおける上側(ユーザの肌側)に溝部2231Aを備える。溝部2231Aは、固定角度と離脱角度の角度範囲で回転操作が可能となるように構成されている。
【0129】
ここで、従来の電気シェーバでは、カッタユニットの掃除や交換のために取り外す時に利用されるカッタユニット着脱手段は、ヘッド部の内側から着脱できるように、カッタユニットに近接して、ヘッド部の内側(基部に向かう側)に構成されている。これに対して、本実施例では、カッタユニット保持リング223Aは、カッタユニット21Aと同軸に回転する筒状の形態であり、カッタユニット21Aをヘッド部20Aの上側から着脱可能に固定している。また、カッタユニット保持リング223Aは、ヘッド部20Aの内側ではなく、外側(上側)に溝部2231Aを設けている。この溝部2231Aを時計回りに回転するとカッタユニット21Aが固定され、反時計回りに回転すると離脱するようにしている。カッタユニット保持リング223Aは、ユーザの肌側(上側)からみて、カッタユニット21Aの接触表面部21311、枠部224Aの上側の表面(作用面)、及びカッタユニット保持リング223Aの順に遠くなるように配置しているので、ヘッド部20Aが肌に当接している間に、カッタユニット保持リング223Aの溝部2231Aがユーザの肌に触れることもない。これにより、ヘッド部20Aを介した肌への有用な作用を可能としつつ、不用意にカッタユニット21Aが着脱されるのを防止できる。また、カッタユニット保持リング223Aが筒状で細く、カッタユニット21Aと枠部224Aとの間を狭くすることができるので、それぞれの間に通電する場合も、電気抵抗が小さくなり、有用な作用を最大化できる。このため、ヘッド部20Aを小さくして使い勝手をよくしながら、肌への作用を最適化できる。
【0130】
また、枠部224Aの上側の表面(作用面)は、好ましくは、さらに内側(カッタユニット保持リング223Aに接する側)から外側に向けて、ユーザの肌から遠ざかるように緩やかな曲面で高さが変化する。また、接触表面部21311からカッタユニット21A側面に向けてユーザの髭をカッタユニット21A内に導くスリット219(図17参照)が伸びている。スリット219は、髭が入る線状の穴の形態であってよい。接触表面部21311と枠部224Aの上側の表面との段差及び曲面により、ユーザの肌の複雑な曲面であっても、カッタユニット21内にユーザの髭が取り込まれやすくするとともに、より広い肌に接触表面部21311と枠部224Aの上側の表面を当てることができる。このため、ヘッド部20Aを小さくして使い勝手をよくしながら、肌への作用を最適化できる。また、より望ましくは、接触表面部21311と枠部224Aの上側の表面との段差は0.2mm以上2mm以下にすると、ユーザの肌への肌あたりを良くしながら、有効な髭剃り性能を実現できる。
【0131】
また、本実施例では、ヘッド部20Aを清掃するブラシの形態である清掃手段50を備え、清掃手段50の一部に、カッタユニット保持リング223Aを固定角度から離脱角度に回転させるように、溝部2231Aに対向する突起部52が設けられる。
【0132】
ここで、従来の電気シェーバでは、ヘッド部の内側から着脱できるように枠部に指をかけやすい突起を設ける場合がある。これに対して、本実施例では、カッタユニット21Aを掃除するための清掃手段50にカッタユニット保持リング223Aの溝部2231Aに対向する突起部52を設けているので、清掃手段50の突起部52を溝部2231Aに当てて回転するだけで、ヘッド部20Aに対してカッタユニット21Aを着脱できる。このため、従来の着脱手段のように指をかけるための突起がいらないので、ヘッドを小さく設計できるので、使い勝手も良好となる。
【0133】
また、本実施例では、シェーバホルダ232A(及びそれに伴いカッタユニット21A及び枠部224A)を回転可能に支持するヘッド部20Aのメインホルダ部231Aは、その上側表面に、図17及び図21に示すように、凹部206Aを備えている。凹部206Aは、例えば側面視でV字状の断面を有してよい。凹部206Aは、回転軸支部2314の回転軸に対して垂直な方向で隣接する複数のシェーバホルダ232Aの間に設けられる。凹部206Aは、隣接する各対のシェーバホルダ232A間で、シェーバホルダ232Aが、それぞれ隣接するシェーバホルダ232A側に且つメインホルダ部231A側(下側)に倒れこむことを可能とする。なお、凹部206Aには、シェーバホルダ232A(及びそれに伴いカッタユニット21A及び枠部224A)の過度な回転を係止するストッパ部2061Aが設けられてもよい。
【0134】
ここで、従来の電気シェーバでは、複数のカッタユニットが揺動可能になるようにヘッド部に対して複数のカッタユニットを支持するシェーバホルダを設ける場合、頬やあごなど、肌の凸面にカッタユニットが当たるように、シェーバホルダ側の形状を変更していた。すなわち、シェーバホルダは、隣接するカッタユニットに向かって薄くして、隣接するカッタユニット面が凹面になるように設計されるのが、一般的であった。しかしながら、このようなシェーバホルダは、部分的に薄い部位を有するので、肌処理のための電極(例えば枠部224Aのような電極221)を設けることができない。すなわち、シェーバホルダの厚い部分には電極221を配置できたとしても、薄い部分には電極221を配置できない。薄い部分に電極221を配置できるように、シェーバホルダを厚くすると、カッタユニットを肌の凸面に合わせられず、隙間ができ髭が剃れないという課題がある。これに対して、本実施例では、ヘッド部20Aのメインホルダ部231Aの上側表面は、カッタユニット21Aがそれぞれ隣接する側に、ヘッド部20Aに倒れこむように凹部206Aを備えるので、電極221などの加熱手段22をシェーバホルダ232Aに設けることができる。その結果、ヘッド部20Aを小型にして、使い勝手を良好としつつ、上述したような有効な肌処理と、有効な髭剃り性能との両立を実現できる。
【0135】
次に、前出の図20とともに、図25から図27を参照して、本実施例によるヘッド部20Aと本体部10Aとの間の機械的な接続構造及び電気的な接続構造の詳細について説明する。以下で説明するヘッド部20Aと本体部10Aとの間の機械的な接続構造及び電気的な接続構造は、電気シェーバ1A以外の各種肌処理装置(例えば、美顔器等)にも適用可能である。また、図19等を参照して上述した配線構造90Aについても、電気シェーバ1A以外の各種肌処理装置(例えば、美顔器等)にも適用可能である。
【0136】
図25は、本実施例の電気シェーバ1Aのヘッド部20Aと本体部10Aとの間の接続部を下側から示す斜視図である。図26は、本実施例の電気シェーバ1Aの本体部10Aの接続部位の斜視図であり、図26では、本体部10Aの一部が切断された状態で示されている。図26Aは、本実施例の電気シェーバ1Aの本体部10Aの接続部位の斜視図であり、図26とは別の角度からの斜視図である。図27は、本実施例の電気シェーバ1Aのヘッド部20Aの接続部位の斜視図であり、図27では、ヘッド部20Aの一部が切断された状態で示されている。図28は、第2連結手段67Aを示す斜視図である。
【0137】
本実施例では、ヘッド部20Aは、本体部10Aに対して揺動可能となるように、本体部10Aに第1連結手段66Aによりに回転可能に連結される。第1連結手段66Aは、例えば、本体部10Aに対してヘッド部20Aが、電気モータ11の回転軸に対して直交する2軸まわりに回転可能な態様で、回転可能に連結してよい。
【0138】
具体的には、第1連結手段66Aは、図26及び図27に示すように、本体部10A側の連結部662Aと、ヘッド部20A側の被連結部664Aとを含む。連結部662Aは、図27に示すように、電気モータ11からの軸部材13の上端面に形成される球状の凹面6620Aを有する。なお、軸部材13と電気モータ11の間には、減速機構(図示せず)等が設けられてよい。被連結部664Aは、図27に示すように、カッタユニット21の駆動用の回転シャフト14の下端面に形成される球状の凸面6640Aを有する。ヘッド部20Aが本体部10Aに装着された状態では、連結部662Aの球状の凹面6620Aが、被連結部664Aの球状の凸面6640A内に嵌合される。この場合、連結部662Aの球状の凹面6620Aと被連結部664Aの球状の凸面6640Aとの間の球面同士の摺動を介して、本体部10Aに対するヘッド部20Aの回転が可能となる。
【0139】
なお、連結部662A及び被連結部664A間の連結は、カッタユニット21の駆動用の回転シャフト14(及びそれに伴い回転軸部2301)に電気モータ11からの回転動力が伝達されるように(すなわち軸部材13の軸まわりの相対回転が規制されるように)、実現される。具体的には、連結部662Aは、図26に示すように、軸部材13の軸方向に視て、非円形の外形(軸部材13の軸を基準として径方向内側に向けて3つの角部6621Aを有する外形)を有することで、球状の凹面6620Aの範囲を規制する。また、被連結部664Aは、図27に示すように、軸部材13の軸方向に視て、非円形の外形(軸部材13の軸を基準として径方向内側に向けて3つの角部6641Aを有する外形)を有することで、球状の凸面6640Aの範囲を規制する。
【0140】
また、本実施例において、ヘッド部20Aは、本体部10Aに対して揺動可能となるように、本体部10Aに第2連結手段67A(第1揺動支持機構の一例)によりに回転可能に連結される。第2連結手段67Aは、図28に示すように、互いに直交する2つの回転軸671、672、及び2つの軸受け676、677から形成されてよい。なお、回転軸671、672は、軸部材13に対して直交してよい。この場合、図28に示すように、回転軸671と軸受け676により、ヘッド20Aは、本体10Aに対して、軸部材13及び回転軸671の双方に対して垂直な方向に、揺動可能となる。同様に回転軸672と軸受け677によりヘッド20Aは、本体部10A対して、軸部材13及び回転軸672の双方に対して垂直な方向に、揺動する。このような第2連結手段67Aに係る揺動機構によれば、枠部224Aの表面(作用面)を含むヘッド20Aは、本体部10Aに、前後左右に揺動可能に支持されるとともにその実質的な距離が変わらない。
【0141】
このため、ユーザは、ヘッド20Aと本体10Aを別々に保持する必要がなく、本体10Aだけを持ち、ヘッド20Aを処理したい肌近傍の概略位置に軽くあてるだけで複雑な肌の曲面に合わせて枠部224Aの表面(作用面)を確実にあてることができる。さらにユーザが強い処理、又は刺激を欲する時はヘッド20Aに触れることなく、本体10Aを肌に対して強くあてればたりる。逆に弱い処理、又は刺激を抑制する時は本体10Aを肌に対して弱くあてればたりる。
【0142】
2つの回転軸671、672、及び2つの軸受け676、677は、それぞれ回転しやすいように、回転軸671、672のそれぞれを中心とした径方向に、本実施例では1mmの間隙を有してよい。また、ヘッド20Aは、伝達手段191A(後述のコイルばね)によりあらかじめ肌方向に付勢されている。従って、ヘッド20Aは肌方向に、例えば1mm程度、上下することができる。ユーザが必要以上の力で肌に強くあてた時は、伝達手段121Aが1mmの範囲で縮んで、力を吸収することができ、肌をいためることがない。
【0143】
本実施例では、本体部10A側の電気接点19(図2参照)は、上下方向(例えば、軸部材13の軸方向と平行な方向)に伸縮可能なコイルばねを含んでなる伝達手段191Aを含む。伝達手段191Aは、図20に示すように、一端が本体側に接続され、他端が電気接点19を形成する。この場合、電気接点19は、伝達手段191Aを形成するコイルばね(伸縮可能な導体要素の一例)に支持される導体片の形態であってよい。この場合、導体片は、円筒状又は円柱状の形態であり、伝達手段191Aを形成するコイルばねの上部から一部が突出する態様で、当該コイルばねに固定支持されてよい。
【0144】
本実施例では、電気接点19は、図26図26A及び図28に示すように、接点ホルダ670に対して上下移動可能に支持されている。具体的には、電気接点19は、接点ホルダ670に上端面が当接する位置を上限位置として、接点ホルダ670に対して上下移動可能である。電気接点19は、上述したコイルばねを含んでなる伝達手段191Aにより上向きに付勢される。従って、電気接点19が上限位置にあるとき、接点ホルダ670は、電気接点19を介して、伝達手段191Aにより上向きに付勢される。接点ホルダ670は、上述した第2連結手段67Aの一部を形成する。具体的には、接点ホルダ670は、図28に示すように、回転軸671を有し、サブホルダ678側に取り付く揺動プレート676Aの軸受け676に支持されている。なお、この場合、サブホルダ678は、回転軸671に直交する回転軸672を有し、ブラケット679側の軸受け6776に支持されている。なお、ブラケット679は、本体部10Aに固定される。
【0145】
なお、本実施例では、第2連結手段67Aは、2つの回転軸671、672を含むが、これに限るものではなく、枠部224Aの表面(作用面)と本体部10Aが実質的に同じ距離に保持しかつ揺動可能に支持できる限り、別の連結手段により実現されてもよい。また、本実施例では、第2連結手段67Aに係る揺動機構は、本体部10A側に設けられるが、ヘッド20A側に設けられてもよい。この場合、電気接点29を保持するヘッド20A側の接点ホルダ298は、ヘッド20Aに対して固定されているが、揺動可能に支持されてもよい。
【0146】
また、本実施例では、ヘッド部20A側の電気接点29(図2参照)は、上下方向に伸縮可能なコイルばねを含んでなる伝達手段294Aを含む。伝達手段294Aは、一端(上側の端部)がヘッド部20A側の電気接点29を形成し、他端(下側の端部)が自由端である。ヘッド部20Aが本体部10Aに装着された状態では、伝達手段294Aの下側の端部(コイルばねの下端)は、伝達手段191Aの上側端部(電気接点19)に接続される。この際、導体片の形態の電気接点19の上端が、伝達手段294Aのコイルばねの径方向内側に挿通されることで、電気接点19と電気接点29との間の導通状態が実現される。
【0147】
かかる構成によれば、ヘッド部20Aが本体部10Aに対して回転した場合でも、伝達手段191A及び伝達手段294Aの各コイルばねがそれに対応して伸縮することで、ヘッド部20Aと本体部10Aとの間の電気的な接続(すなわち、電気接点19と電気接点29との間の導通状態)を維持できる。すなわち、本実施例では、電気的な接続構造は、本体部10Aに対するヘッド部20Aの任意の揺動状態においても、本体部10A側の電気接点19とヘッド部20A側の電気接点29との間の電気的な接続状態を維持できる。
【0148】
このようにして、本実施例によれば、ヘッド部20Aを回転可能に本体部10Aに連結する第1連結手段66A及び第2連結手段67A(すなわちヘッド部20Aと本体部10Aとの間の実質的な距離が変わらない態様での回転を可能とする第1連結手段66A及び第2連結手段67A)と、その近傍に配置したばね接点(伸縮可能な伝達手段191A及び伝達手段294A)により、ヘッド部20Aをユーザの肌の凹凸面に合わせて揺動させながら、肌処理を実現できる。すなわち、ヘッド部20Aが揺動しても加熱手段22等への通電を継続できるので、ユーザの肌の曲面に合わせてヘッド部20Aが揺動しても、述したような有効な肌処理を維持できる。従って、手持ち機器の使い勝手を良好としつつ、上述したような有効な肌処理を実現できる。
【0149】
なお、本実施例では、第1連結手段66A(及び後述する連結構造40A)のまわりに4対の伝達手段191A及び伝達手段294Aが設けられてよい。この場合、別の2対の伝達手段191A及び伝達手段294Aは、図20に示すように、光照射部70A用の配線構造90Bに接続されてよい。これにより、加熱手段22用の正極と負極の組み合わせと、光照射部70A用の正極と負極の組み合わせとからなる2つの組み合わせを実現できる。ただし、変形例では、第1連結手段66Aのまわりに1対の伝達手段191A及び伝達手段294A、又は、第1連結手段66Aのまわりに3対以上の伝達手段191A及び伝達手段294Aを設けることで、1組又は3組以上の正極と負極の組み合わせを配置してもよい。
【0150】
なお、本実施例では、図22に示すように、光照射部70Aは、例えばサーミスタのような温度測定手段72Aとともに、3つのカッタユニット21Aで囲まれる中央部のスペースを利用して配置されている。この場合、ヘッド部20Aが照明できるので、ユーザは、肌の状態を常に確認しながら処理を行うことができるので、ユーザが所望する結果を得ることができる。また、温度測定手段72による測定結果に基づいて、加熱手段22を適切に制御できる。
【0151】
本実施例では、ヘッド部20Aは、本体部10Aに対して着脱可能となる態様で、ヘッド部20Aに連結する連結構造40Aを有する。この場合、ヘッド部20Aを外して別の機能のアタッチメント(ヘッド部20Aに代わる別のアタッチメント)を取り付けることも可能である。そして、この場合、別の機能のアタッチメント(例えば美顔器用のアタッチメント)は、複数種類用意することもできる。別の機能のアタッチメントは、ヘッド部20Aと同様の電気接点29を有することで、互換性のある態様で、本体部10Aに装着できる。このようにして、本実施例によれば、本体部10Aは、ヘッド部20Aを回転可能に且つ着脱可能に保持できるので、肌に対して揺動可能且つ各種作用を及ぼすことができる各種アタッチメントの装着(交換)が可能となり、利便性が向上する。
【0152】
各種アタッチメントの装着(交換)が可能な構成においては、本体部10Aの制御部300は、装着状態のアタッチメントの種類を特定(識別)可能であってよい。この場合、アタッチメントの種類の特定(識別)は、電気的な接続構造に係る磁気抵抗値や電気抵抗値をアタッチメントの種類ごとに変えるなどの磁気的又は電気的手段、若しくは、機械的な接続構造に係る接続部の形状をアタッチメントの種類ごとに変えるなどの機構的手段を利用して実現されてもよい。あるいは、本体部10Aの制御部300は、ユーザからの入力情報に基づいて、装着状態のアタッチメントの種類を特定(識別)してもよい。いずれの場合も、制御部300は、装着状態のアタッチメントの種類に基づいて、各々の作用や機能を最大化するように出力(例えば、電気モータ11の回転数や、光刺激、熱刺激、振動刺激、電気刺激等)を制御することが可能である。
【0153】
図示の例では、連結構造40Aは、ヘッド部20A側の被保持部41Aと、本体部10A側の保持部42Aとを含む。この場合、被保持部41Aは、図27に示すように、板ばね等で付勢されてよい凸のツメの形態であってよく、保持部42Aは、図26Aに示すように、被保持部41A(凸のツメの形態)が嵌合可能な凹のツメの形態であってよい。この場合、ツメを利用した嵌合構造を含む連結構造40Aによって、簡単にヘッド部20Aを本体部10Aに対して着脱できる。
【0154】
また、本実施例では、ヘッド部20A側の伝達手段294Aの下端は、伝達手段191Aの上端(電気接点19)に対して離脱可能に接続する。すなわち、ヘッド部20Aと本体部10Aとが互いに対して離脱した状態であるとき、伝達手段294Aの下側他端と、伝達手段191Aの上側端部とは、互いに分離した状態であり、電気接点19と電気接点29とは非導通状態である。従って、例えば、ヘッド部20Aと本体部10Aとが互いに対して分離した状態であるときに、電線等で電気接点29と電気接点19とが接続された状態が維持されるような構成に比べて、配線に係る電線等が邪魔にならず、利便性が向上する。また、上述したような各種アタッチメントの装着(交換)が容易となり、利便性が向上する。
【0155】
また、本実施例では、ヘッド部20Aが本体部10Aに装着された装着状態であるときだけ、伝達手段294Aの下側他端と、伝達手段191Aの上側端部とは、互いに接続された状態となる。すなわち、電気接点19と電気接点29とは導通状態となる。従って、ヘッド部20Aと本体部10Aとが互いに対して分離した状態であるときに、電線等で電気接点29と電気接点19とが接続された状態が維持されるような構成に比べて、ユーザが意図しない作動(離脱した状態のヘッド部20Aの加熱手段22が動作する等の誤作動)を確実に防止できる。
【0156】
なお、本実施例において、制御部300は、ヘッド部20Aが本体部10Aに装着された装着状態と、非装着状態とを判別(検出)可能であってもよい。例えば、制御部300は、電気接点19と電気接点29との間の電気的な接続状態に基づいて、かかる判別を実現してもよい。この場合、制御部300は、ヘッド部20Aが本体部10Aに装着された装着状態が検出されている間だけ、加熱手段22等を作動させることとしてもよい。
【0157】
以上、各実施例について詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、前述した実施例の構成要素を全部又は複数を組み合わせることも可能である。
【0158】
例えば、上述した実施例1(実施例2も同様)では、ヘッド部20が接触するユーザのターゲット部位900に特定作用を与える作用手段の一例として、加熱手段22が開示されているが、ユーザのターゲット部位900に特定作用を与える作用手段は、加熱手段22に限られない。すなわち、加熱手段22に代えて又は加えて、加熱作用以外の特定作用を付与できる作用手段が用いられてもよい。この場合、作用手段は、対の電極221と同様の対の電極であって、ユーザのターゲット部位900に電気刺激を発生する対の電極を備えてよい。この場合も、作用手段は、対の電極が上述した態様で電源から電力供給を受けることで、動作できる。この場合、電気刺激に基づく特定作用は、高周波による加熱作用、筋電気刺激(以下、EMS:Electrical Muscle Stimulation)に係る作用、イオン導入に係る作用、イオン導出に係る作用、又はこれらの任意の組み合わせを含んでよい。この場合、EMSは、ターゲット部位900の引締めとともにたるみケアができる点で有利である。また、イオン導出は、ターゲット部位900において肌の毛穴汚れを除去できる点が有利であり、イオン導入はターゲット部位900において肌を保湿できる点が有利である。このような特定作用は、髭剃り後の肌に対するケアとして好適である。
【0159】
また、上述した実施例2(実施例1も同様)では、伝達手段191A及び伝達手段294Aを介して本体部10Aからヘッド部20Aに電気的なエネルギを供給することで、電気による電熱、振動、光、電気刺激などの有効な肌処理を行うことができるが、供給するエネルギは電気的なエネルギに限られない。電気的なエネルギに代えて、熱的なエネルギ等を供給されてもよい。また、上述した電気接点19及び電気接点29を介して実現される電気的な接続構造は、ヘッド部20Aに設けられてよい各種センサからのセンサ情報(電気的な信号)を、本体部10Aに供給するための通信線として利用されてもよい。この場合、ヘッド部20Aに設けられてよい各種センサは、温度センサ(例えば上述した実施例2で説明した温度測定手段72)や湿度センサ、画像センサ(例えば肌の状態等を測定するための画像センサ)等を含んでよい。また、上述した電気接点19及び電気接点29を介して実現される電気的な接続構造は、本体部10Aに設けられうる他の要素(光照射部70A以外の、電力を動力源とする他の要素)への給電線として利用されてもよい。この場合、他の要素は、ペルチェ素子や通信モジュール等であってもよい。
【0160】
また、上述した実施例2(実施例1も同様)では、電気シェーバ1Aが肌処理装置の一例であったが、上述したように美顔器等の他の肌処理装置にも適用可能である。例えば、美顔器の場合、ヘッド部20Aに対応するヘッド部には、カッタユニット21Aに代えて又は加えて、各種出力波形を肌に印加するための複数の電極が設けられてもよい。この場合、複数の電極と本体部10Aとの間の電気的な接続構造に関して、上述した実施例2による電気的な接続構造が適用されてよい。この場合、複数の電極の一部又は全部は、カッタユニット保持リング223Aと同様の保持リングにより、シェーバホルダ232Aと同様のホルダに、取り外し可能に固定されてもよい。
【符号の説明】
【0161】
1、1A 電気シェーバ
10 本体部
11 電気モータ
12 バッテリ
13 軸部材
15 ユーザインターフェース
19 電気接点(接点要素の一例)
191A 伝達手段(導電性のばね要素の一例、第1ばね要素の一例)
20、20A ヘッド部
21、21A カッタユニット
22 加熱手段
29 電気接点
294A 伝達手段(導電性のばね要素の一例、第2ばね要素の一例)
70、70A 光照射部
230 基部
2301 回転軸部
2302 開閉軸
231、231A メインホルダ部(ヘッド本体部の一例)
2310 開口部
2314 回転軸支部(第2揺動支持機構の一例)
232、232A シェーバホルダ(第2ホルダ部の一例)
2321 ストッパ部
2324 周壁
2131 外刃部
21311 接触表面部
21312 周壁部
2132 内刃部
21321 カッタブレード
221 電極
224 枠部
300 制御部
67A 第2連結手段(第1揺動支持機構の一例)
670 接点ホルダ(第1ホルダ部の一例)
90 配線構造
94A 通電ばね(導電性のばね要素の一例、第3ばね要素の一例)
94B 通電ばね(導電性のばね要素の一例、第3ばね要素の一例)
900 ターゲット部位
901 毛
902 シェービングジェル
図1
図2
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