(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】クロマトグラフィーカラム床支持体を特定のクロマトグラフィー操作の専用にする方法
(51)【国際特許分類】
B01D 15/10 20060101AFI20240307BHJP
G01N 30/60 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
B01D15/10
G01N30/60 Q
G01N30/60 P
G01N30/60 G
(21)【出願番号】P 2022176287
(22)【出願日】2022-11-02
(62)【分割の表示】P 2020530621の分割
【原出願日】2018-11-29
【審査請求日】2022-11-02
(32)【優先日】2017-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597160510
【氏名又は名称】リジェネロン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】REGENERON PHARMACEUTICALS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ケント、ケビン
(72)【発明者】
【氏名】ガレア、ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ビンガ、ベンジャミン
【審査官】阪▲崎▼ 裕美
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-079896(JP,A)
【文献】特開2008-233018(JP,A)
【文献】国際公開第2015/046566(WO,A1)
【文献】特表2013-514526(JP,A)
【文献】米国特許第5219216(US,A)
【文献】米国特許第8343349(US,B2)
【文献】米国特許第7070959(US,B1)
【文献】特表2003-501089(JP,A)
【文献】米国特許第7303746(US,B2)
【文献】米国特許第7303747(US,B2)
【文献】米国特許第7531173(US,B2)
【文献】特表2009-540001(JP,A)
【文献】特表2016-520616(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0356371(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0035670(US,A1)
【文献】特表2017-536391(JP,A)
【文献】特表2014-530226(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0149310(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0356372(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 15/00-15/42
B01J 20/281-20/292
G01N 30/00-30/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のクロマトグラフィーカラム床支持体を特定のクロマトグラフィー操作の専用にする方法であって、
前記一対のクロマトグラフィーカラム床支持体を使用する前記特定のクロマトグラフィー操作に従って、クロマトグラフィーカラムを作動させることと、
前記クロマトグラフィーカラムを作動させた後に、前記クロマトグラフィーカラムから前記一対のクロマトグラフィーカラム床支持体を取り外すことと、
前記一対のクロマトグラフィーカラム床支持体を再利用可能なクロマトグラフィーカラム床支持体ケースに保管することとを含み、前記ケースが、
開口部を備える本体、前記開口部を介してアクセス可能な前記本体の内部、及び前記開口部を覆うように構成された蓋を有するハウジングと;
並列配置で前記内部に適合するように構成された2つの取り外し可能なインサートであって、各インサートが、前記一対のクロマトグラフィーカラム床支持体のうちの1つを保持するように構成された空洞を含む、前記インサートと;
前記インサートの間に配置された取り外し可能な仕切りと;を含み、
各前記インサートの前記空洞が、少なくとも2つの寸法を前記クロマトグラフィーカラム床支持体と共有し、各前記インサートが、前記空洞の
外周を超えて伸びる凹部をさらに含み、前記凹部が前記空洞より深い、方法。
【請求項2】
前記特定のクロマトグラフィー操作の1つ以上の繰り返しを実行した後、前記クロマトグラフィーカラムを分解して、洗浄することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記一対のクロマトグラフィーカラム床支持体を前記再利用可能なクロマトグラフィーカラム床支持体ケースに保管する前に、前記一対のクロマトグラフィーカラム床支持体を洗浄及び/又は殺菌することをさらに含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記特定のクロマトグラフィー操作が、高速液体クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、ミックスモードクロマトグラフィー、またはアフィニティークロマトグラフィーである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記仕切りは前記インサートを分離するようにサイズ設定されかつ構成されており、前記インサート及び前記仕切りのそれぞれが、中心に位置する貫通孔を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記貫通孔が互いに同軸である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ハウジングがポリエチレンボックスであり、前記蓋がヒンジを介して前記ハウジングに取り付けられる、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
クロマトグラフィーカラム床支持体を特定のクロマトグラフィー操作の専用にする方法であって、
前記クロマトグラフィーカラム床支持体を使用する前記特定のクロマトグラフィー操作に従って、クロマトグラフィーカラムを作動させることと、
前記クロマトグラフィーカラムから前記クロマトグラフィーカラム床支持体を取り外すことと、
前記クロマトグラフィーカラム床支持体を再利用可能なクロマトグラフィーカラム床支持体ケースに保管することとを含み、前記ケースが、
開口部を備える本体、前記開口部を介してアクセス可能な前記本体の内部、及び前記開口部を覆うように構成された蓋を有するハウジングと;
並列配置で前記内部に適合するように構成されたインサートであって、前記クロマトグラフィーカラム床支持体を収容する空洞と、前記空洞の外周を超えて伸びる凹部とを含むインサートを含み、
前記凹部が前記空洞より深いことで、ユーザが前記クロマトグラフィーカラム床支持体の下に手を届かせることが可能である、方法。
【請求項9】
前記クロマトグラフィーカラム床支持体が、第1のクロマトグラフィーカラム床支持体であり、前記特定のクロマトグラフィー操作が、第1の特定のクロマトグラフィー操作であり、
第2のクロマトグラフィーカラム床支持体を使用する、第2の特定のクロマトグラフィー操作に従って、前記クロマトグラフィーカラムを作動させることをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記再利用可能なクロマトグラフィーカラム床支持体ケースが、第1の再利用可能なクロマトグラフィーカラム床支持体ケースであり、
前記第2のクロマトグラフィーカラム床支持体を、第2の再利用可能なクロマトグラフィーカラム床支持体ケースに保管することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第2のクロマトグラフィーカラム床支持体及び前記第1のクロマトグラフィーカラム床支持体が、同じサイズである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記クロマトグラフィーカラム床支持体を前記再利用可能なクロマトグラフィーカラム床支持体ケースに保管する前に、前記クロマトグラフィーカラム床支持体を洗浄及び/又は殺菌することをさらに含む、請求項8~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記蓋が、固定機構によって前記ハウジングに取り外し可能に取り付けられ、前記固定機構が、ラッチ、留め金、かぎホック留め、つなぎ留め、弾性留めおよび接着剤からなる群から選択される、請求項8~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第1及び前記第2の特定のクロマトグラフィー操作が、高速液体クロマトグラフィー操作である、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の特定のクロマトグラフィー操作と前記第2の特定のクロマトグラフィー操作とが、異なるクロマトグラフィー操作である、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年12月13日出願の米国特許仮出願第62/598,091号の優先権の利益を主張するものであり、そのすべてが参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示の態様は、クロマトグラフィーカラム床支持体を管理するための装置、システム及び方法に関する。更に具体的には、本開示の実施形態は、クロマトグラフィーカラム床支持体専用の製品を使用し、再利用し、保管する装置、システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
カラムクロマトグラフィーは、生物学的製剤の製造で重要な役割を果たしている。生物学的製剤の製造に関与する、または更に一般的にいえば、クロマトグラフィー操作の実行に関係する施設は、多種多様なこのような操作を実行するように装備されたカラムを有することができる。異なるクロマトグラフィー操作は、それぞれの操作の目的に応じて、しばしば異なる材料及び方法(例えば、異なる固定相及び移動相、緩衝剤、洗浄剤、溶離剤など)の使用を含む。
【0004】
クロマトグラフィー操作の違い、ならびに各クロマトグラフィーカラム及び操作の整合性、清潔度ならびに効果を維持する必要性のため、1つの物理的クロマトグラフィーカラムを特定の操作の専用にすることが、望ましい場合がある。しかし、いくつかの例で、カラムクロマトグラフィーを実施する施設には、施設で利用可能な物理的クロマトグラフィーカラムの数より多くの操作を含む、クロマトグラフィーの操作のカタログ、目録またはスケジュールがあり得る。例えば、施設は、施設が実施する操作ごとの専用のクロマトグラフィーカラムに適合するのに十分な予算または十分に大きな物理的スペースを有することができない。あるいはまたは更に、クロマトグラフィー操作のスケジュールは、新しいカラムを得る施設の能力より速い場合がある。また、施設が実施するクロマトグラフィー操作は、例えば、異なる分子を精製するもしくは異なる製品を製造するために変化する必要性、いくつかの異なるクロマトグラフィー操作を実行して単一分子を精製する必要性、またはいくつかの異なる種類のクロマトグラフィー操作を試験する必要性に基づいて、時間とともに変化し得る。したがって、クロマトグラフィーカラムを、複数のクロマトグラフィー操作のそれぞれのクロマトグラフィー操作の専用にすることは、実用的ではない場合がある。
【発明の概要】
【0005】
本開示のいくつかの実施形態は、クロマトグラフィーカラム床支持体ケースに関する。ケースは、特に、開口部を備える本体と、開口部を介してアクセス可能な本体の内部と、開口部を覆うように構成された蓋と、を有する容器を含むことができる。ケースは、並列配置で内部に収まるように構成された、2つの(または、それより多くの)取り外し可能なインサートであって、各インサートが、クロマトグラフィーカラム床支持体を収容するように構成された空洞を含む、インサートと、インサートの間に配置される取り外し可能な仕切りと、を更に含むことができ、そこで、仕切りは、インサートを分離するようにサイズ設定されて、構成されることができる。
【0006】
いくつかの実施形態で、インサート及び仕切りは、内部の一端から内部の反対端まで延在するようにサイズ設定されて、構成されることができる。いくつかの実施形態で、インサート及び仕切りのそれぞれは、互いから正反対に配置される2つの対称の刻み目を含むことができる。更なる実施形態で、ケースは、1つのインサートの面と容器との間に配置された複数のスペーサパッドを含むことができる。いくつかの実施形態で、インサート及び仕切りのそれぞれは、中心に位置する貫通孔を含むことができ、貫通孔は同軸であり得る。
【0007】
いくつかの実施形態で、各インサートの空洞は、少なくとも2つの寸法をクロマトグラフィーカラム床支持体と共有できる。いくつかの実施形態で、各インサートは、空洞の端に位置する凹部を含むことができ、そこで、凹部は空洞より深い。いくつかの実施形態で、蓋は、固定機構によって容器に取り外し可能に取り付けられることができる。固定機構は、これらに限定されないが、ラッチ、留め金、かぎホック留め、つなぎ留め、弾性留めまたは接着剤を含む、現在周知であるまたは後に開発される、任意の好適な機構を含むことができる。いくつかの実施形態では、容器及び仕切りはポリエチレンを含有する。
【0008】
本開示は、複数のクロマトグラフィーカラム床支持体ケースを含む、保管システムも含み、それは、同じまたは様々なサイズ及び形状でもよい。
本開示の実施形態は更に、クロマトグラフィーカラム床支持体を保管する方法にも関し、方法は、本明細書に開示されるクロマトグラフィーカラム床支持体ケースに、クロマトグラフィーカラム床支持体を入れることを含む。
【0009】
本開示の実施形態は更に、一対のクロマトグラフィーカラム床支持体を特定のクロマトグラフィー操作の専用にする方法にも関する。方法は、一対のクロマトグラフィーカラム床支持体を使用する特定のクロマトグラフィー操作に従って、クロマトグラフィーカラムを作動させることと、クロマトグラフィーカラムを作動させた後に、一対のクロマトグラフィーカラム床支持体を再利用可能なクロマトグラフィーカラム床支持体ケースに保管することと、を含むことができる。ケースは、内部及び蓋を有する容器と、内部にある2つの並行したインサートであって、そこで各インサートは、一対のクロマトグラフィーカラム床支持体のうちの1つを保持するように構成される空洞を含む、インサートと、2つのインサートの間に位置するまたはそこに配置される仕切りと、を含む。
【0010】
いくつかの実施形態で、一対のクロマトグラフィーカラム床支持体は、第1の対のクロマトグラフィーカラム床支持体のでもよく、特定のクロマトグラフィー操作は第1の特定のクロマトグラフィー操作でもよく、方法は、第2の対のクロマトグラフィーカラム床支持体を使用して、第2の特定のクロマトグラフィー操作に従って、クロマトグラフィーカラムを作動させることを更に含むことができる。いくつかの実施形態で、再利用可能なクロマトグラフィーカラム床支持体ケースは、第1の再利用可能なクロマトグラフィーカラム床支持体ケースでもよく、方法は、第2の対のクロマトグラフィーカラム床支持体を、第2の再利用可能なクロマトグラフィーカラム床支持体ケースに保管することを更に含むことができる。更なる実施形態で、第2の対のクロマトグラフィーカラム床支持体及び第1の対のクロマトグラフィーカラム床支持体は、同じサイズでもよい。更に他の実施形態で、第1及び/または第2の特定のクロマトグラフィー操作は、高速液体クロマトグラフィー操作でもよい。いくつかの実施形態で、容器及び仕切りはポリエチレンから製造され得る。
【0011】
本開示の実施形態は更に、特定のクロマトグラフィー操作の専用である、複数のクロマトグラフィーカラム床支持体を管理する方法も含む。方法は、各クロマトグラフィーカラム床支持体を再利用可能なクロマトグラフィーカラム床支持体ケースに保管することを含み得る。ケースは、特に、開口部と、開口部を介してアクセス可能な内部と、蓋と、を有する容器を含むことができる。ケースは更に、内部に並行構成で配置される複数のインサートも含むことができ、そこで、各インサートは、クロマトグラフィーカラム床支持体を保持するように構成される空洞を含むことができる。ケースは、複数のインサートのそれぞれの間に配置される仕切りも含むことができる。方法は更に、クロマトグラフィーカラムを作動させる前に、クロマトグラフィーカラム床支持体ケースからクロマトグラフィーカラム床支持体を取り出すことと、クロマトグラフィーカラム床支持体をクロマトグラフィーカラムに取り付けることと、も含むことができる。いくつかの実施形態で、方法は更に、複数のクロマトグラフィーカラム床支持体を複数の再利用可能なクロマトグラフィーカラム床支持体ケースのそれぞれに保管することも含むことができる。いくつかの実施形態で、容器はポリエチレンボックスを含むことができ、蓋はヒンジを介して容器に取り付けられることができる。
【0012】
本明細書に組み込まれ、その一部をなす添付図面は、開示した実施形態を示し、詳細な説明とともに開示した実施形態の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示の種々の実施形態が実施され得る、代表的なクロマトグラフィーカラムを概略図で示す。
【
図2】
図2A~
図2Eは、本開示の態様による代表的なカラム床支持体ケースを概略図で示す。
【
図3】本開示の態様によるカラム床支持体ケース及びその内部の断面図を概略的に示す。
【
図4】
図4A及び
図4Bは、本開示の態様による、カラム床支持体ケースのインサートの図を示す。
【
図5】
図5A及び
図5Bは、本開示の態様による、カラム床支持体ケースの仕切りの図を示す。
【
図6】
図6A~
図6Cは、本開示の態様による、カラム床支持体ケースのインサートの図を示す。
【
図7】
図7A~
図7Cは、本開示の態様による、カラム床支持体ケースの別のインサートの図を示す。
【
図8】本開示の態様による、専用のカラム床支持体を管理する方法の工程をフローチャート形式で示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
所与のクロマトグラフィーカラムまたはクロマトグラフィーカラムの一部を特定のクロマトグラフィー操作の専用にすることは、複数のクロマトグラフィー操作を実施する施設にとって有益であり得る。これにより、例えば、クロマトグラフィー操作の間の汚染を最小化することと、カラム及びカラムの一部などを洗浄し殺菌することに費やされる時間を低減することと、を補助できる。しかし、いくつかの例で、クロマトグラフィーカラム全体を1つのクロマトグラフィー操作の専用にすることは、予算の制限、空間の制限もしくは他の考慮事項のため、実用的ではない場合がある、それができない場合がある、またはそれが好ましくない場合がある。代替の解決策として、1つ以上のクロマトグラフィーカラム床支持体を特定のクロマトグラフィー操作の専用にすることは、例えば、特定のクロマトグラフィー操作のため、残りのクロマトグラフィーカラムと組み合わせて使用することと、カラムが異なる操作のために必要とされる間、カラムからそれらを取り外して保管することと、により可能であり得る。このようにカラム床支持体を特定の操作の専用にすることは、いくつかの利点を提供できる。例えば、容易にアクセス可能ではない場合がある大量の表面積を提供するカラム床支持体上の多孔性またはメッシュ型表面のため、カラム床支持体は、異なるクロマトグラフィー操作の間に洗浄し、殺菌し、定量化するのが困難であり得る(例えば、その表面積に関して)。カラム床支持体を特定の操作の専用にすることによって、操作の間の、例えば、固定相、移動相、洗浄剤、緩衝剤などの相互汚染のための危険度は小さくなる。特定の操作に専用のカラム床支持体を維持することは、例えば、特定の動作の後、使用したカラム床支持体を廃棄して、カラムが別の操作で必要とされるとき、新しいものに置き換えるよりもはるかにむだではない可能性がある。更に、増大する施設で、新規なカラム床支持体のストックを手元にもつことは容易であり、新しいカラムのストックを保持するまたは管理するより、それが拡張されたときに新規のクロマトグラフィー操作の専用にすることができる。
【0015】
本明細書で開示される装置、システム及び方法は、限られた数のクロマトグラフィーカラムを使用して様々な異なるクロマトグラフィー操作を実施するのを支援できる。具体的には、本明細書で開示される装置、システム及び方法は、複数のクロマトグラフィー操作のために専用のクロマトグラフィーカラム床支持体を管理、保管及び使用するのを支援できる。例えば、本明細書で開示される装置は、それらがカラムにないとき、専用のカラム床支持体を保管するためのケースを含むことができる。このような装置は、損傷または汚染の危険度を最小化すると共に、カラム床支持体の効果的かつ安全な保管を確実にするために、特に設計かつ構築されることができる。本明細書で開示されるシステムは、複数のカラム床支持体及び少なくとも1つのカラムと関連して使用するための、カラム床支持体の保管ケースの群を含むことができる。本明細書で開示される方法は、カラムの特定のクロマトグラフィー操作を実行することと、カラムからカラム床支持体を取り外すことと、カラム床支持体をカラム床支持体の保管ケースに保管することと、別のクロマトグラフィー操作のために別のカラム床支持体のセットをカラムに取り付けることと、を含むことができる。
【0016】
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術及び科学用語は、本発明が属する当業者により一般に理解されるものと同じ意味を有する。材料、方法及び実施例は、例示にすぎず、制限することを意図していない。当業者であれば、開示された材料、方法及び実施例の通例的な変化は、不要な実験を行わずに可能であると認めるであろう。本明細書に記載の出版物、特許出願、特許及び他の参考文献はすべて、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。矛盾する場合、定義を含む本明細書が優先する。
【0017】
本明細書で使用する場合、「含む(comprises)」「含んでいる(comprising)」「含む(includes)」「含んでいる(including)」という用語またはそれに類する語は、非排他的包含も含むことが意図されており、その結果、構成要素の一覧を含むプロセス、方法、物品または装置は、その構成要素のみを含むのではなく、明確には列挙されていない他の要素、またはそのようなプロセス、方法、物品または装置に固有な要素も含むことができる。「代表的(exemplary)」という用語は、「理想の」というよりも「例示の」の意味で使用される。このような用語ならびに「例えば」及び「など」という用語、ならびにその文法的に等価な用語に関して、明確に言及されない限り、「これらに限定されない」という句があとに続くと理解される。本明細書で使用する場合、「約」という用語及び「~」という記号は、実験誤差による変動を考慮することを意味する。本明細書で報告されるすべての測定値は、明確に言及されない限り、その用語が明確に使用されているかを問わず、「約」という用語よって修正されると理解される。本明細書で使用する場合、単数形の「a」「an」及び「the」は、文脈で明らかにそうではないことを記載する場合を除いて、複数の対象を含む。更に、特許請求の範囲で、値、限度及び/または他の範囲は、特に明記しない限り、値、限度及び/または範囲の+/-10%を意味する。
【0018】
本明細書で使用する場合、「生物製剤」という用語は、細胞などの生物系で作成される大きな分子(例えば、30kDaより大きいサイズを有する)を指すことができる。生物製剤とは、タンパク質(例えば、抗体)、核酸、大きな糖類などを含むことができる。明確な化学構造を有することができる小分子とは異なり、生物製剤は、検査方法によって容易に定量化されることができない非常に複雑な構造を有する場合がある。したがって、特に医療用に意図されるとき、生物製剤の製造での純度、整合性及び品質を達成して、生物学的品質を確実にすることが望ましい場合がある。
【0019】
本明細書で使用する場合、「製剤」という用語は、包装、輸送、送達及び/または患者への投与のための主要なパッケージ構成要素中に配分される、調製された薬物原料の量を意味することができる。製剤は、例えば小分子または生物製剤を含む、任意の活性成分を含むことができる。
【0020】
例えば、いくつかの実施形態で、製剤は、血管内皮増殖因子(VEGF)誘導体を含むことができる。他の態様で、製剤はアフリベルセプトを含むことができ、それは、米国特許第7,070,959号、同第7,303,746号、同第7,303,747号、同第7,306,799号、同第7,374,757号、同第7,374,758号、同第7,531、173号、同第7,608,261号、同第7,972,598号、同第8,029,791号、同第8,092,803号、同第8,343,737号及び同第8,647,842号のうちの1つ以上に記載されており、そのそれぞれはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0021】
他の態様で、製剤は、抗原結合分子を含むことができる。いくつかの態様にて、抗原結合分子は、抗体または抗原結合断片でもよい。いくつかの態様にて、製剤はアリロクマブを含むことができ、それは米国特許出願公開第2014/0356371号及び同第2014/035670号に記載されており、そのそれぞれはその全体が参照により組み込まれる。別の態様には、製剤はサリルマブを含むことができ、それは米国特許出願公開第2016/0152717号、同第2014/0302053号及び同第2013/0149310号に記載されており、そのそれぞれはその全体が参照により組み込まれる。別の態様には、製剤はデュピルマブを含むことができ、それは米国特許出願公開第2014/0356372号に記載されており、それはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。別の態様にて、製剤は、エボロクマブ、ベバシズマブ、ラニビズマブ、トシリズマブ、セルトリズマブ、エタネルセプト、アダリムマブ、アバタセプト、インフリキシマブ、リツキシマブ、アナキンラ、トラスツズマブ、ペグフィルグラスチム、インターフェロンβ-1a、インスリングラルギン[rDNA起源]注射、エポエチンアルファ、ダーベポエチン、フィルグラスチム及びゴリムマブからなる群から選択される、任意の分子を含むことができる。
【0022】
本明細書で使用する場合、「クロマトグラフィー」または「カラムクロマトグラフィー」という用語は、任意の予備または分析カラムクロマトグラフィー法を指すことができる。本開示の多くが生物製剤の精製のための予備的な充填床クロマトグラフィーに関連して提供されているが、本明細書に開示するシステム及び方法は、多種多様なクロマトグラフィー操作に適用され得ることが想到されている。「クロマトグラフィー操作」「クロマトグラフィー処理」及び「クロマトグラフィープログラム」という用語は、クロマトグラフィーカラムを使用する方法で使用される、一まとまりの特定の工程及び材料を指す。
【0023】
本明細書で使用する場合、「施設」という用語は、クロマトグラフィーが実行される任意の場所を指すことができる。例えば、施設は、生物学的製剤の生産のための製造工場、研究センター、臨床センターまたは他の実験環境を含むことができる。
【0024】
ここで添付図面について、詳細に言及する。可能な限り、これらの図面を通して、同じ参照番号を使用して、同じまたは類似する部分を言及する。
図1は、本開示の種々の実施形態が実施され得る、代表的なクロマトグラフィーカラム100を概略図で示す。カラム100は、移動相供給部102、材料注入供給部104、カラムフレーム106、移動相導管108、カラムカバー110、カラム本体112、上部カラム床支持体114、下部カラム床支持体116、及び移動相放出口118を含むことができる。
【0025】
カラム100は、施設のクロマトグラフィーシステムの一部であり得る。このようなクロマトグラフィーシステムの例は、例えば、Chromaflow(GE Healthcare)及びAxichrom(GE Healthcare)を含むことができる。場合によっては、カラム100はクロマトグラフィースキッドの一部でもよく、それは、追加の部分(例えば、コントローラ、ディスプレイ、移動相の供給部、洗浄剤及び緩衝剤)を含むことができる。カラム100は、様々な種類のクロマトグラフィー(例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)、逆相クロマトグラフィー、ミックスモードクロマトグラフィー、またはアフィニティークロマトグラフィー)のうちのいずれかを実行するように構成され得る。カラム100は、例えば、原料混合物中の生物製剤を分離する、1つの種類の生物製剤を単離及び/または精製する、及び/または混合物から汚染物質を除去するために使用できる。場合によっては、カラム100は、製剤の製造システム(例えば、生物製剤(例えば、抗体)を含有する製剤を製造するシステム)の一部でもよい。
【0026】
移動相供給部102は、移動相導管108を介したカラム本体112への移動相の任意の好適な供給であり得る。移動相供給部102は1つ以上の貯蔵容器に接続され、材料注入供給部104によってカラム本体112に注入される原材料を運ぶために使用する移動相液(複数可)を保持できる。移動相供給部102は、移動相液(複数可)に圧力を加えるように構成される、1つ以上のポンプを含むことができる、またはそれらに接続され得る。いくつかの実施形態で、移動相供給部102に接続されているポンプは、移動相供給部102を介して移動相導管108に混合した液体を供給する前に、所望の比率で2つ以上の溶媒(例えば、2つ以上の貯蔵容器から)を混合するように構成されることができる。いくつかの実施形態で、移動相供給部102は、移動相導管108を介してカラム本体112に第1の移動相を供給し、次に第1の移動相の所望の量が供給された後、移動相導管108を介してカラム本体112に第2の移動相を供給するように構成されることができる。移動相供給部102は、例えば処理コントローラによって、または人的相互作用によって制御されることができる。
【0027】
材料注入供給部104は、カラム本体112で分離及び/または精製を必要とする原材料の任意の好適な供給を含むことができる。いくつかの実施形態で、材料注入供給部104は、1つ以上の生物製剤、汚染物質、溶媒及び/または他の材料を含有する原材料を含むことができる。更なる実施形態で、材料注入供給部104は、1つ以上の製剤、または製剤の製造で使用される1つ以上の材料を含むことができる。いくつかの実施形態で、材料注入供給部104は、1つ以上の貯蔵容器を含み、カラム本体112で分離及び/または精製される材料を保持することができる。
【0028】
カラムフレーム106は、移動相供給部102、材料注入供給部104、移動相導管108、カラムカバー110、カラム本体112、上部カラム床支持体114、下部カラム床支持体116及び移動相放出口118のうちの1つ以上に適合して支持するように、サイズ設定されかつ構成されることができる。いくつかの実施形態で、カラムフレーム106は、カラム本体112の周囲に開放型ハウジングを形成する、一般に円筒状で配置される一連の調節可能な支柱を含むことができる。カラムフレーム106は組み立てられて、完全にまたは部分的に分解されるように構成されることができ、その結果、カラム100の他の部分は取り外れ、洗浄され、及び/または交換されることができる。いくつかの実施形態で、カラムフレーム106は、可搬性を可能にするための車輪または他の移動特性を含むことができる。
【0029】
移動相導管108は、移動相供給部102、カラム本体112及び/またはカラムカバー110に流体連通することができ、その結果、移動相供給部102を通って提供される流体は、移動相導管を通ってカラム本体112に送られることができる。このような流体連通には、例えば、カップリング(例えば、ねじカップリング)、1つ以上のガスケットまたは他の封止材などを含むことができる。いくつかの実施形態で、移動相導管108は、カラムフレーム106の様々なカラム高さに適合するように調整可能な長さでもよい。
【0030】
カラムカバー110は、カラム本体112の上面を覆うことができ、カラム本体112の上端または上部を閉じる及び/または保護するための1つ以上の特徴を含むことができる。例えば、カラムカバー110は調節可能な封止材(例えば、ガスケットシール)を含んで、カラム100が組み立てられるとき、カラム本体112の上端または上部の周囲にそれ自体を封着することができる。カラムカバー110は、移動相導管108が移動相を移動相供給102からカラム本体112へ送達し得る、開口部を含むことができる。いくつかの実施形態で、カラムカバー110は、カラムカバー110の下に、カラム本体112の上端またはその近くの適所に上部カラム床支持体114を保持する、1つ以上の固定要素を含むことができる。
【0031】
カラム本体112は、カラムフレーム106での取り付けに適した任意のカラム本体でもよい。カラム本体112は、カラムフレーム106での上部カラム床支持体114及び/または下部カラム床支持体116との組み立てのために構成されることができ、クロマトグラフィー操作に適した固定相を充填されることができる。当業者であれば、カラム本体112が、多種多様なサイズ(例えば、約30cm~約1500cmの範囲の直径)のいずれかを有することができ、多種多様な固定相のいずれかを充填され得ることを理解するであろう。カラム本体112のサイズ、形状及び充填は、材料供給104の材料の組成物、量、化学的特性、機械的特性、電荷、pH及び/または他の特性を含む種々の要因、ならびにクロマトグラフィー実行の所望の結果を考慮して選択されることができる。
【0032】
上部カラム床支持体114及び下部カラム床支持体116は、カラム本体112の充填の上下に適合するようにサイズ設定されかつ構成されることができる。上部カラム床支持体114及び下部カラム床支持体116は、固定相が最小限に移動するまたは位置を変えるのを確実にする固定相の抑制、及び/またはカラム本体112を通って進む流体の濾過を含む、いくつかの機能を有することができる。両方のカラム床支持体は、流体(例えば、移動相)が通過できる多孔性またはメッシュ要素を含むことができる。両方のカラム床支持体の多孔性またはメッシュ要素の開口のサイズは、クロマトグラフィーの実行で、移動相の通過を可能にするように十分大きくてもよく、更に固定相の移動を防ぐように十分小さくてもよい。カラム床支持体のいずれかまたは両方は、任意の好適な材料(例えば、金属、金属合金またはポリマー)から作製され得る。例えばカラム床支持体は、鋼、ニッケル及び/またはチタンから製造されることができる。上部カラム床支持体114及び下部カラム床支持体116は、カラム本体112と一致する寸法(例えば、長さ及び幅、または直径)を有して、カラム本体112の固定相の位置及び適合性を維持するのを補助することができる。いくつかの実施形態で、上部カラム床支持体114はカラム本体112内にぴったり適合するようにサイズ設定されかつ構成されることができ、下部カラム床支持体116は直径をカラム本体112と共有するようにサイズ設定されかつ構成されることができ、その結果、それはカラム本体112の下端を閉じることができる。各カラム床支持体114、116はまた、物理的支持を充填カラムに提供するのに適している深さまたは厚さを有し、更に移動相の通過を可能にすることができる。いくつかの実施形態では、上部カラム床支持体114及び下部カラム床支持体116は、通常、ディスク形状であり得る。この開示が使用できるカラム床支持体の1つの代表的なブランドは、AxiChrom(登録商標)であり、GE Healthcare Life Sciencesより入手できる。
【0033】
移動相放出口118は、下部カラム床支持体116の下で、カラム本体112の下端の開口部に流体連通することができる。クロマトグラフィー操作を実施する間、移動相放出口118はまた、例えばコレクターに流体連通することができる。いくつかの実施形態にて、1つ以上の検出器は、カラムから出る流体の1つ以上の特徴を検出するように配置され得る。
【0034】
図2A~
図2Eは、本開示の態様による代表的なカラム床支持体ケース200を概略図で示す。
図2Aはケース200の上面図を表し、
図2Bは第1の側面図を表し、
図2Cは正面図を表し、
図2Dは第2の側面図を表し、
図2Eは底面図を表す。ケース200は、開閉可能な前面202、ケース本体204、複数の外部ハンドル206、207、208、209、はめ込みハンドル210、ラッチ212、214、支持棒201、203、補強バンド205、211、及び角ガード216、218、220、222、224、226、228、230を含む。
【0035】
ケース200は、1つ以上のカラム床支持体(例えば、上部カラム床支持体114及び/または下部カラム床支持体116)を収容するのに適している、任意の形状またはサイズでもよい。例えば、ケース200は、約20cmと約150cmの間(例えば、約30cm、約40cm、約50cm、約60cm、約70cm、約80cm、約90cm、約100cm、約110cm、約120cm、約130cm、約140cmまたは約150cm)の直径を有する、1つ以上のカラム床支持体を収容するのに適しているサイズ及び形状でもよい。これらのサイズは例示であり、ケース200は、約20cmより小さいまたは約150cmより大きい寸法を有する、1つ以上のカラム床支持体を収容するのに適しているサイズ及び形状でもよい。いくつかの実施形態では、ケース200は、長さ(縦)、幅(横)、ならびに長さ及び幅より短い深さを有する矩形の箱でもよい。
図2A~
図2Eで示すように、ケース200は正方形を形成する長さ及び幅を有することができ、その結果、ケース200の内部はディスク状カラム床支持体を収容できる。ケース200はまた、ディスク状カラム床支持体の比較的平坦な形状に対応するために、長さ及び幅より短い深さを含むことができる。代替的な実施形態で、ケース200は、その幅または深さより長い長さを有することができる、または他の形状(例えば、円筒形(例えば、円形断面を備える))を有することができる。
【0036】
ケース200に適した代表的な外形寸法の表を、下に示す。
【0037】
【0038】
表1からわかるように、カラム床支持体の厚さが必ずしもその直径に対応して増加できるわけではないので、ケース200の深さは、必ずしも適合性のあるカラム床支持体に連動して変化しなくてもよい。しかし、ケース200の長さ及び幅は、ケースの適合性のあるカラム床支持体のサイズに合うように特に調整されることができる。
【0039】
ケース200は、開閉可能な前面202からなる外部ハウジング、及びケース本体204を有し得る。開閉可能な前面202はケースの長さ及び幅と同等の長さ及び幅を有することができ、その結果、それはケース200の前面全体を含む(例えば、
図2Cで示す面)。開閉可能な前面202は、多くの方法によって(例えば、ケース200の片側のラッチ212、214によって)ケース本体204に取り付けられることができる。いくつかの実施形態で、開閉可能な前面202及びケース本体204は、ラッチ212、214の反対側のケース200の側面に、1つ以上のヒンジによって互いに移動可能に取り付けられ得る。代替的実施形態で、ケース200は、ケースの長さ及び深さと同等の長さ及び幅を有する開閉可能な面を有することができ、その結果、ケース200の開閉可能な面は、ケース200の狭い面のうちの1つである。このような実施形態で、ケース200の開閉可能な面及びケース本体は更に、ラッチ212、214及び/またはケース200の開閉可能な面とケース本体の間の連結部に位置する1つ以上のヒンジを介して、取り外し可能に及び/または移動可能に互いに取り付けられることができる。
【0040】
ケース200は、その形状を維持して、ケースの内容物への損傷を防ぐまたはそれを低減するのに十分な強くかつ硬い、任意の材料から製造され得る。例えば、ケース200は、硬質プラスチック、金属、またはプラスチックと金属の組み合わせから製造されることができる。いくつかの実施形態で、ケース200は、例えば規制もしくは製造規格によって定まる、毒性をほとんど有さないまたは低い毒性を有する材料から製造されることができる。いくつかの実施形態で、材料は、1つ以上の規制基準(例えば、米国薬局方(USP)によって定められる基準)に従って製造され得る。例えば、いくつかの実施形態で、材料はUSPクラスVIの材料であり得る。いくつかの実施形態で、ケース200は、ポリエチレン材料(例えば、低密度ポリエチレン材(例えば、LD45))から製造されることができる。代替的実施形態で、ケース200は、金属(例えば、アルミニウム、鋼、チタン、ニッケル及び/またはこれらの金属のうちの1つ以上の合金)から製造されることができる。更に別の実施形態で、ケース200は、金属とポリエチレンの組み合わせ(例えば、ポリエチレンでコーティングした金属)から製造されることができる。
【0041】
ケース200(開閉可能な前面202及びケース本体204を含む)のハウジングは、ほぼ均一な全体の厚さを有することができる。例えば、ケース200が低密度ポリエチレン(例えば、LD45)から製造される場合、ケース200のハウジングは、約1.0cm~約4.0cm(例えば、約1.0cm~約3.0cmまたは約1.2cm~約2.0cm)の範囲のほぼ均一な厚さを有することができる。例えば、ケース200のハウジングは、約1.0cm、約1.1cm、約1.25cm、約1.3cm、約1.35cm、約1.4cm、約1.5cmまたは約1.6cmのほぼ均一な厚さを有することができる。
【0042】
外部ハンドル206、207、208、209は、ケース200の1つ以上の面にあることができる。図示のように、外部ハンドル206、207、208、209は、ケース200の対向する面に一対で位置することができ、ユーザがケース200を持って運ぶのを可能にするようにサイズ設定されかつ構成されることができる。外部ハンドル206、207、208、209は、運搬に適した任意のハンドル(例えば、正方形のハンドル、丸いハンドル、ループ、回転可能なヒンジ結合したハンドル、折り畳み式ハンドルなど)でもよい。それらは、任意の適切に強力な材料(例えば、ポリマーまたは金属材料)からも製造され得る。いくつかの実施形態で、それらは、低密度ポリエチレン材料から製造され得る。更なる実施形態にて、それらは、鋼、ニッケル、アルミニウム、チタンまたはこれらの金属のうちの1つ以上を含む合金から製造され得る。いくつかの実施形態で、外部ハンドル206、207、208、209は、使用中の快適さを可能にするために、補強されるまたは覆われることができる。例えば、いくつかの実施形態で、外部ハンドル206、207、208、209は、ポリマースリーブもしくはコーティングで完全にまたは部分的に覆われた金属から製造されることができる。
【0043】
はめ込みハンドル210は、例えば、ケース200の一面(例えば、
図2Eで示すケース200の底面)の端に開口から形成されることができる。代替的実施形態で、はめ込みハンドル210は、ケース200の任意の面の端に形成され得る。はめ込みハンドル210は、手がケース200を把持して保持し、例えばケース200を引っぱるまたは持ち上げるのを可能にするようにサイズ設定されかつ構成されることができる。いくつかの実施形態で、はめ込みハンドル210は、ケース200の2つの交差する面(例えば、
図2Eに示す、ケース200の底面及びケース200の背面)の開口から形成されて、ケース200に空洞を形成することができる。いくつかの実施形態で、ケース(例えば、ケース200)は、例えばケース200の反対面または隣接する面の1つ以上のはめ込みハンドルを含むことができる。いくつかの実施形態で、はめ込みハンドル210の端は、材料の追加の縁により強化されて、補強されることができる。このような補強材は、例えば、任意の適切な材料(例えば、接着剤(例えば、グルー)、1つ以上のねじ、グロメットもしくはリベット、溶接接続、またはこれらの方法のいずれかの組み合わせ)により、ケース200に取り付けられ得る。
【0044】
支持棒(例えば、支持棒201、203)は、ケース200の1つ以上の面にあることができ、ケース200、ケース200上の補強バンドまたはその両方に取り付けられ得る。支持棒201、203は、例えば、ケース200が静置する表面またはケース200に隣接した表面から離れる方向にケース200を支持するようにサイズ設定されかつ構成され得る。支持棒201、203は、ケース200の上面の端に均等な間隔で置かれて示されている。代替的実施形態で、支持棒は任意の数で、ケース200の任意の数の面に配置されることができる。
【0045】
補強バンド(例えば、補強バンド205、211)は、ケース200の1つ以上の端にまたはその周囲に取り付けられることができる。このような補強バンドは、例えば、ケース200の端及び隅を摩損から保護することによって、ケース200の耐久性を強化するのに役立つことができる。
図2A~
図2Eで示すように、バンド205、211などの補強バンドは、ケース200のすべての角度のある端に存在し得る。代替的実施形態にて、補強バンドは、いくつかの端にのみ存在してもよい。更に別の実施形態で、補強バンドは、まったく存在しなくてもよい。
【0046】
角ガード216、218、220、222、224、226、228、230は、ケース200の隅(例えば、ケース200の2つ以上の面が一点で交わる箇所)に取り付けられ得る。このような角ガードは、ケース200、ケース200を取り扱うユーザ、及びケース200が扱われる環境を、損傷及び/または互いにから損傷を受けることから保護するのを支援できる。角ガードはまた、表面に沿ってケース200を摺動させるのを容易にすることによって、ケース200の移動を容易にすることができる。
【0047】
図2A~
図2Eで示すように、開閉可能な前面202の側面は、ラッチ212、214によってケース本体204に取り外し可能に取り付けられる。ラッチ212、214は、当技術分野において周知の任意の適切なラッチまたは留め金(例えば、圧縮ばねラッチ、ツイストラッチ、施錠錠可能なラッチ、ドローラッチ、通気ラッチ、キーパーラッチ、ロングキャッチラッチなど)でもよい。開閉可能な前面202は、ラッチ212、214の反対側のケース200の側面の1つ以上のヒンジによって、ケース本体204に移動可能に取り付けられ得る。他の実施形態にて、開閉可能な前面202は、ヒンジの代わりにまたはそれに加えて、ケース200の2つ以上の面のラッチまたは留め金によってケース本体204に取り付けられ得る。更なる代替的実施形態にて、開閉可能な前面202は、他の任意の好適な方法により(例えば、1つ以上のクリップ、つなぎ留め、弾性留め、ストラップ、バックル、留め金、ジッパー、ボタンなどにより)ケース本体204に取り付けられ得る。
【0048】
ケース200の要素(例えば、ハンドル206、207、208、209、ラッチ212、214、角ガード216、218、220、222、224、226、228、230、補強バンド205、211、支持棒201、203、及びはめ込みハンドル210の補強された縁のうちのいくつかまたはすべて)は、様々な適切な材料のいずれかから製造され得る。適切な材料は、例えば、金属(例えば、アルミニウム、鋼、チタン、ニッケルまたはこのような金属の合金)を含むことができる。適切な材料は、それらの構造を維持し、それらの機能を実行するのに十分な硬度及び強度のポリマーならびにコポリマー(例えば、低密度ポリエチレン(例えば、LD45))も含むことができる。いくつかの実施形態で、これらの要素のうちの1つ以上は、ポリマー外被したもしくはポリマーでコーティングした金属または金属合金から製造され得る。
【0049】
ケース200の要素(例えば、ハンドル206、207、208、209、ラッチ212、214、角ガード216、218、220、222、224、226、228、230、補強バンド205、211、支持棒201、203、及びはめ込みハンドル210の補強された縁)は、ケース200に及び/またはお互いに、ケース200を安全で再利用可能に使用するのを可能にする、任意の適切に強力な方法によって取り付けられ得る。例えば、ハンドル206、207、208、209は、ケース200がハンドルによって運搬されるのを可能にする方法によって、ケース200に取り付けられ得る。例えば、ケース200の外側の要素は、接着剤(例えば、グルー)、1つ以上のねじ、リベットもしくはグロメット、溶接接続、またはこれらの方法のいずれかの組み合わせによりケース200に取り付けられ得る。
【0050】
ケース200が、いくつかの特徴(例えば、ハンドル206、207、208、209、ラッチ212、214、角ガード216、218、220、222、224、226、228、230、補強バンド205、211、支持棒201、203及びはめ込みハンドル210)を有するとして
図2A~
図2Eに示されるが、本開示によるケースが、必ずしもこれらの特徴のうちの1つ以上を有するわけではないことは想到されている。例えば、本開示によるケースは、ハンドルまたは角ガードを含まなくてもよい。別の例として、本開示によるケースは、補強バンド(例えば、補強バンド205、211)または支持棒(例えば、支持棒201、203)を含まなくてもよい。
【0051】
図3は、本開示の態様による、ケース200の代表的な内部の断面図を示す。
図3に示すケース200の視野角は、
図2Dに示されるものと同じである。
図3に示すように、ケース本体204及び開閉可能な前面202は、仕切り340により分離されるインサート320、330を含む、複数の積み重ねられた内容物を囲むことができる。インサート320は、3つのスペーサ360によって開閉可能な前面202から離間配置されることができる。
【0052】
図3で示すように、ケース200は、1つ以上のインサート及び仕切りにぴったりと嵌合するようにサイズ設定されかつ構成されることができる。例えば、ケース200は、円形のディスク状カラム床支持体を収容するように順次サイズ設定されかつ構成され、およそ正方形のインサート及び仕切りに合うようにサイズ設定されかつ構成されることができる。
【0053】
各インサート320、330は、カラム床支持体を保持するように構成されることができる。仕切り340は、インサート320、330の間にならびにそれらが保持できるカラム床支持体の間に、分離及びパッドを形成するように構成されることができる。スペーサ360は、インサートの1つ(または、両方)とケース200のハウジングの間に分離、パッド及び充填を提供するように構成されることができる。
図3に示すように、ケース200のこれらの内容物を合わせた深さは、ケース200の内部の深さにほぼ等しい。ケース200の内容物のきちんとした積み重ねは、押し合い、輸送またはケース200の他の移動に起因する、カラム床支持体への損傷への可能性を最小化するのを補助し得る。インサート、仕切り及びスペーサの特定の構成が
図3のケース200に示されるが、インサート、仕切り及びスペーサが他の順番で配置され得ることが想到されている。例えば、仕切りは、インサート(例えば、インサート330)とケース200の内部との間に配置され得る。いくつかの実施形態で、仕切りは、各インサートの両側に配置されて、例えば、各インサートに収容されるカラム床支持体の更なる保護を提供できる。別の例として、ケース200は、1つのインサートだけを保持するようにサイズ設定されかつ構成されることができる。更なる例として、ケース200は、2つ以上のインサート(例えば、4、6、8または10つのインサート)を保持するようにサイズ設定されかつ構成されることができる。
【0054】
図3に示す、ケース200の内部の要素のそれぞれを、下に詳述する。
図4A及び
図4Bは、本開示の態様による、カラム床支持体ケース(例えば、ケース200)で使用するための矩形のスペーサ(例えば、スペーサ360)の2つの図を示す。図示するように、スペーサ360は、ケース(例えば、ケース200)の内部とインサート(例えば、インサート320またはインサート330)との間に配置したブロックでもよい。スペーサ360は、インサート320、330及び仕切り340より短い長さならびに幅を備え得る。スペーサ360は取り外し可能であり得る、または、例えば、接着剤または本明細書で開示する他の固定方法のいずれかによって、例えば、ケース(例えば、ケース200)の内部に取り付けられ得る。インサート320、330及び仕切り340がケース200内で位置を変えて、インサート320、330で保持するカラム床支持体を場合によっては取り外すのを防ぐために、スペーサ360は、ケース200の深さがどのくらい空であっても満たすように特にサイズ設定されることができる。任意の数のスペーサ360は、インサート320、330を固定するのを補助するために、ケース200の内部に存在し得る。例えば、ケース200は、2、4、6または8つのスペーサ360を含むことができる。
【0055】
図5A及び
図5Bは、本開示の態様による、カラム床支持体ケースの仕切り(例えば、仕切り340)の図を示す。仕切り340は、ケース200の内部の長さ及び幅全体に延在することができ、ケース200のインサート(例えば、インサート320、330)の間に配置されることができる。仕切り340は、ケース200のインサートが移動する、落下する、互いに衝突する、または互いを押すのを防ぐのに役立つことができる。ハンドルくぼみ344は、仕切り340の1つ以上の面に配置され得て、仕切り340を持ち上げて移動させるのを補助できる。いくつかの実施形態で、仕切り340の両面は、ハンドルくぼみ344を含むことができる。仕切り340は、貫通孔342も含むことができる。仕切り340が例えばインサート320、330に対して位置を変えるまたは移動するのを防ぐために、合わせ釘または他の装置を貫通孔342内に入れることができる。いくつかの実施形態で、仕切り340は、インサート320、330の間の大部分の領域をカバーすることができる。他の実施形態にて、仕切り340は小さい表面積を有することができる。仕切り340が、ケース200に嵌合する、2つ以上のインサートを互いから分離する、またはインサートをケース(例えば、ケース200)の内壁から分離する、任意の形状またはサイズを有し得ると想到されている。例えば、仕切り340は、円形、X字形、十字形または格子形でもよい。
【0056】
仕切り340は、その形状を維持して、インサートとケース200の他の部分またはその要素の間の分離を維持するのに十分強くかつ硬い、任意の材料から製造され得る。例えば、仕切り340は、硬質プラスチック、金属、またはプラスチックと金属の組み合わせから製造されることができる。いくつかの実施形態で、仕切り340は、防水性または耐水性材料から製造され得る。いくつかの実施形態で、仕切り340は、例えば規制もしくは製造規格によって定まる、毒性をほとんど有さないまたは低い毒性を有する材料から製造されることができる。いくつかの実施形態で、材料は、1つ以上の規制基準(例えば、米国薬局方(USP)によって定められる基準)に従って製造され得る。例えば、いくつかの実施形態で、材料はUSPクラスVIの材料であり得る。いくつかの実施形態で、仕切り340は、ポリエチレン材料(例えば、低密度ポリエチレン材(例えば、LD45))から製造されることができる。他の実施形態にて、仕切り340は、1つ以上の他のポリマー(例えば、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS))から製造されることができる。代替的実施形態で、仕切り340は、金属(例えば、アルミニウム、鋼、チタン、ニッケル及び/またはこれらの金属のうちの1つ以上の合金)から製造されることができる。更に別の実施形態で、仕切り340は、金属とポリマーの組み合わせ(例えば、ポリマーでコーティングした金属)から製造されることができる。
【0057】
図6A~
図6Cは、本開示の態様による、カラム床支持体ケースのインサート(例えば、インサート320)の図を示す。インサート320は、空洞322、空洞322周囲の1つ以上の凹部324、貫通孔326、及び1つ以上のハンドルくぼみ328を含むことができる。インサート320は、特定のサイズ及び/または種類のカラム床支持体を空洞322に収容するようにサイズ設定されかつ構成されることができる。例えば、いくつかの実施形態で、インサート320は、一対のカラム床支持体のうちの1つ(例えば、上部カラム支持体(例えば、
図1に示す上部カラム床支持体114))を収容するようにサイズ設定されかつ構成されることができる。
【0058】
図7A~
図7Cは、本開示の態様による、カラム床支持体ケースの第2のインサート(例えば、インサート330)の図を示す。インサート320のように、インサート330は、空洞332、空洞332周囲の1つ以上の凹部324、貫通孔336、及び1つ以上のハンドルくぼみ338を含むことができる。いくつかの実施形態で、インサート330は、一対を形成するカラム床支持体がインサート320に収容されるカラム床支持体と適合するようにサイズ設定されかつ構成されることができる。例えば、インサート320がクロマトグラフィーカラムの所与のサイズ用の上部カラム床支持体を収容するようにサイズ設定されかつ構成される場合、インサート330は、同じサイズのクロマトグラフィーカラム用の下部カラム床支持体を保持するようにサイズ設定されかつ構成され得る。したがってインサート330は、インサート320の空洞322より大きい空洞332を有することができる。いくつかの実施形態で及び
図7A~
図7Cで示すように、空洞332は、ハンドルくぼみ338に部分的に延在するように十分に大きくてもよい。
【0059】
空洞322、332はインサート320、330に部分的に延在することができ、それぞれ1つのカラム床支持体を収容するように調整した寸法(例えば、直径、深さ、容積など)を有することができる。図示するように、空洞322、332は一般的に円形断面を有することができ、一般的に円筒状でもよいが、それらが、カラム床支持体を収容するように調整した任意の形状を有し得ると想到されている。いくつかの実施形態で、空洞322、332は、それらが収容するのを意図するカラム床支持体と類似の寸法を有することができ、その結果、空洞322、332に保管されるカラム床支持体は、ケース320内で移動し、他の要素に衝突する過剰な空間を有さない、及び/または損傷を受けないもしくは汚染されない。
【0060】
凹部324、334は、それぞれ空洞322、332周囲に位置できる。
図6A~
図6C及び
図7A~
図7Cで示すように、凹部324、334は、空洞322、332と同じ方向でインサート320、330に延在することができるが、空洞322、332よりわずかに遠くに延在することができる。凹部324、334は、空洞322、332内でのカラム床支持体の設置及び取り外しを可能にするようにサイズ設定されかつ構成されることができる。したがって、凹部324、334は、空洞322、332に収容されるカラム床支持体の隣に及びその下に手、指または他のツールを滑り入れるのに適している、任意のサイズならびに構成であってもよい。凹部324、334は円形断面を備える一般的な円筒形を有するものとして示されるが、凹部324、334は、他の形状(例えば、楕円形または矩形)を有することができると想到されている。4つの凹部324、334が図で示されるが、当業者であれば、より多いまたはより少ない数の凹部がインサート320、330に提供され得ることを容易に認識するであろう。
【0061】
インサート320、330は、貫通孔326、336を含むことができる。仕切り340の貫通孔342と同様に、インサート320、330がケース200内部で位置を変える、または移動するのを防ぐために、合わせ釘または他の装置を貫通孔326、336内に入れることができる。これは、インサート320、330に収容されたカラム床支持体の場合に適切であり得て、それは貫通孔も含んでよく、その結果、1つの合わせ釘、棒または他の装置は、インサート320、330、仕切り340及びインサート320、330に収容されるカラム床支持体のそれぞれを通って固定されることができる。
【0062】
仕切り340のハンドルくぼみ344と同様に、ハンドルくぼみ328、338は、インサート320、330のそれぞれのうちの1つ以上の面にあることができ、各インサートを持ち上げて運ぶのを補助できる。いくつかの実施形態で、インサート320、330の両面は、それぞれハンドルくぼみ328、338を含むことができる。ハンドルくぼみ328、338、344が湾曲状の角を有する一般的な矩形形状を有するものとして示されるが、各ハンドルくぼみは、手、指またはツールが仕切り340、インサート320及びインサート330を握って持ち上げるのに適した任意のサイズならびに形状を有することができる。図示するように、空洞(例えば、空洞332)は、空洞またはハンドルくぼみのいずれかの構造及び/または機能を過度に損なうことなく、ハンドルくぼみ(例えば、ハンドルくぼみ338)内に延在できる。
【0063】
インサート320、330は、カラム床支持体を収容するのに適している、任意の非毒性材料から製造され得る。いくつかの実施形態で、例えば、インサート320、330は、例えば規制もしくは製造規格によって定まる、毒性をほとんど有さないまたは低い毒性有する材料から製造されることができる。いくつかの実施形態で、材料は、1つ以上の規制基準(例えば、米国薬局方(USP)によって定められる基準)に従って製造され得る。例えば、いくつかの実施形態で、材料はUSPクラスVIの材料であり得る。いくつかの実施形態で、インサート320、330は、ポリエチレン材料(例えば、低密度ポリエチレン材(例えば、LD45))から製造されることができる。他の実施形態にて、インサート320、330は、1つ以上の他のポリマー(例えば、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS))から製造されることができる。更なる実施形態にて、
図6A~
図6C及び
図7A~
図7Cに示されるように、第2の金属の補強裏層321、331を有するインサート320、330は、1つの金属で製造されることができる。例えば、インサート320、330は、主に低密度ポリエチレン(例えば、LD45)、または他のプラスチックもしくはフォーム材料から製造されることができ、より硬い材料(例えば硬質ポリマー(例えば、ADS)または金属)から製造される補強裏層(それぞれ、層321、331)も含み得る。代替的実施形態で、インサート320、330の一部または全部は、フォーム、金属(例えば、アルミニウム、鋼、チタン、ニッケル及び/またはこれらの金属のうちの1つ以上の合金)または金属とポリマーの組み合わせ(例えば、ポリマーで被覆した金属)から製造されることができる。更に別の実施形態で、仕切り340は、金属とポリマーの組み合わせ(例えば、ポリマーでコーティングした金属)から製造されることができる。
【0064】
上述のように、ケース200の内部、スペーサ360、インサート320、330及び仕切り340の寸法は、特定のサイズ及び形状のカラム床支持体をぴったりと保持するようにサイズ設定されかつ構成されることができる。3つのカラム床支持体それぞれのサイズ(例えば、カラム床支持体製造業者により識別されたカラム床支持体のおよその直径)を与えられたとして、下記の表2は、これらの要素の寸法の3つの代表的なセットを列挙する。
【0065】
【0066】
【0067】
公差(例えば、製造公差)は、以下のとおりであり得る。
【0068】
【0069】
上述の寸法は例示的なものであり、寸法の他の多くの組み合わせが、ケース(例えば、ケース200またはその変形)及びその要素に適し得る。
図8は、本開示の態様による、専用のカラム床支持体を管理する方法800の工程をフローチャート形式で示す。工程802によれば、第1のクロマトグラフィーカラム床支持体は、クロマトグラフィーカラムに取り付けられることができる。工程804によれば、第1の操作は、第1のカラム床支持体を使用してクロマトグラフィーカラムで実施され得る。工程806によれば、第1のクロマトグラフィーカラム床支持体は、第1の保管ケースに保管されることができる。工程808によれば、第2のカラム床支持体は、クロマトグラフィーカラムに取り付けられることができる。工程810によれば、第2のクロマトグラフィー操作は、第2のクロマトグラフィーカラム床支持体を使用してクロマトグラフィーカラムで実施され得る。工程812によれば、第2のクロマトグラフィーカラム床支持体は、第2の保管ケースに保管されることができる。工程812は、例えば、第1操作及び第1カラム床支持体ならびに第2操作及び第2カラム床支持体によって、及び/または第3、第4、第5もしくは追加の操作ならびに第3、第4、第5もしくは追加のカラム床支持体によって、追加の回数を繰り返してもよい。
【0070】
工程802によれば、第1のクロマトグラフィーカラム床支持体は、クロマトグラフィーカラムに取り付けられることができる。これは、多くの確立した経験及び手順に従って達成され得る。例えば、第1のカラム床支持体116は、例えば、カラム本体112に取り付けられることができる。いくつかの実施形態で、第1のクロマトグラフィーカラム床支持体は、新規のカラム床支持体でもよい。他の実施形態にて、第1のカラム床支持体は、例えば、確立したクロマトグラフィー操作のために以前に使用されていてもよい。いくつかの実施形態で、一対の第1のクロマトグラフィーカラム床支持体(例えば、上部カラム床支持体114及び下部カラム床支持体116)は、クロマトグラフィーカラムに取り付けられることができる。
【0071】
工程804によれば、第1の操作は、第1のカラム床支持体(または、一対の第1のカラム床支持体)を使用してクロマトグラフィーカラムで実施され得る。第1の操作は、例えば、第1のクロマトグラフィーカラム床支持体(または、第1対のクロマトグラフィーカラム床支持体)の使用を必要とする、クロマトグラフィー操作を含むことができる。第1の操作は、特定のカラムパック(例えば、特定の固定相)、特定の移動相及び/または特定の一連の洗浄剤及び/または緩衝剤も必要とし得る。いくつかの実施形態で、第1の操作は、製剤の製造プロセスの一部として実施されるように構成されることができる。更なる実施形態で、第1の操作は、試験プロトコルの一部として実施されるように構成されることができる。
【0072】
工程806によれば、第1のカラム床支持体(または、一対のカラム床支持体)は、クロマトグラフィーカラムから取り外されて、第1の保管ケース(例えば、ケース200)に保管されることができる。いくつかの実施形態で、この工程は、クロマトグラフィーカラムを分解して、洗浄することを含むことができる。いくつかの実施形態で、例えば、これは、第1のクロマトグラフィー操作のうちの1つ以上の繰り返しの後、実行され得る。いくつかの実施形態で、第1のカラム床支持体または一対のカラム床支持体は、第1の保管ケースに保管される前に洗浄されるまたを殺菌されることができる。いくつかの実施形態では、第1の保管ケースを、第1のカラム床支持体(または、一対のカラム床支持体)を保管するための専用の保管容器として標識またはマークできる。
【0073】
工程808によれば、第2のカラム床支持体は、クロマトグラフィーカラムに取り付けられることができる。第1のカラム床支持体と同様に、第2のカラム床支持体は、新規なカラム床支持体でもよい。いくつかの実施形態で、第2のカラム床支持体は、例えば、第1のクロマトグラフィー操作と異なる確立したクロマトグラフィー操作のために以前に使用されていてもよい。いくつかの実施形態で、工程808は、一対の第2のクロマトグラフィーカラム床支持体をクロマトグラフィーカラムに取り付けることを含み得る。
【0074】
工程810によれば、第2のクロマトグラフィー操作は、第2のクロマトグラフィーカラム床支持体(または、一対の第2のカラム床支持体)を使用して、クロマトグラフィーカラムで実施され得る。第2の操作は、例えば、第1のクロマトグラフィー操作で必要とされるものとは異なる、特定のカラムパック(例えば、特定の固定相)、特定の移動相及び/または特定の一連の洗浄剤及び/または緩衝剤を含むことができる。いくつかの実施形態で、第1のクロマトグラフィー操作のように、第2のクロマトグラフィー操作は、製剤の製造プロセスの一部として実施されるように構成され得る。このような実施形態で、第2のクロマトグラフィー操作に関与する製剤は、第1のクロマトグラフィー操作に関与する製剤と異なってもよい。更なる実施形態で、第1及び第2のクロマトグラフィー操作は、同じ製剤の製造または精製で異なる工程を構成できる。更なる実施形態で、第2の操作は、第1の操作を実施する試験プロトコルまたは研究/開発プログラムとは異なる、試験プロトコルまたは研究及び/または開発プログラムの一部として実施されるように構成され得る。
【0075】
工程812によれば、第2のクロマトグラフィーカラム床支持体は、第2の保管ケースに保管されることができる。いくつかの実施形態で、この工程は、クロマトグラフィーカラムを分解して、洗浄することを含むことができる。いくつかの実施形態で、例えば、これは、第2のクロマトグラフィー操作のうちの1つ以上の繰り返しの後、実行され得る。いくつかの実施形態で、第2のカラム床支持体または一対のカラム床支持体は、第2の保管ケースに保管される前に洗浄またを殺菌されることができる。いくつかの実施形態では、第2の保管ケースを、第2のカラム床支持体(または、一対のカラム床支持体)を保管するための専用の保管容器として標識またはマークできる。それからカラムは、再度の第1のカラム床支持体(もしくは、一対のカラム床支持体)の使用、または第3のカラム床支持体もしくは一対のカラム床支持体の使用に利用され得る。
【0076】
図8は、一方向で配置される方法の工程のフローチャートを示すが、本開示は、工程が加えられ、削除され及び/または示される方法の順番がばらばらに実行され得ることを意図している。
図8の工程は更に、1つ以上の精製プロセス、製剤製造プロセス及び/または研究、開発または試験プロセスの一部として、反復して順番に複数回実行されることもできる。
図8の工程は、より大きなクロマトグラフィー管理システムの一部として利用されることができ、そこで、カラム床支持体及びカラム床支持体を保管するためのケースは、通常の、断続的またはまれな使用のための目録に標識化され、分類され、及び保管されることができる。
【0077】
当業者であれば、本開示が基づいている概念が、本開示のいくつかの目的を実施する他の装置、方法及びシステムを設計するための基礎として容易に使用できることを理解するであろう。したがって特許請求の範囲は、上述の説明によって制限されるとみなされるべきではない。