(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/28 20060101AFI20240307BHJP
H01L 23/48 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
H01L23/28 J
H01L23/48 F
H01L23/48 N
(21)【出願番号】P 2022181139
(22)【出願日】2022-11-11
(62)【分割の表示】P 2020548551の分割
【原出願日】2019-09-18
【審査請求日】2022-11-11
(31)【優先権主張番号】P 2018174815
(32)【優先日】2018-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【氏名又は名称】小淵 景太
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 光俊
【審査官】豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-147433(JP,A)
【文献】特開2007-073743(JP,A)
【文献】特開平08-097333(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L23/28-23/31
H01L23/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ方向において互いに反対側を向く素子主面および素子裏面と、前記素子裏面に配置された第1電極と、前記素子主面に配置された第2電極とを有する半導体素子と、
前記半導体素子の前記第1電極が接合される搭載部主面、および、前記厚さ方向において前記搭載部主面とは反対側を向く搭載部裏面を有する搭載部と、前記搭載部を介して前記第1電極に電流を流す第1端子とを有する第1リードと、
前記第2電極と導通する第2端子を有する第2リードと、
前記第1リードおよび前記第2リードの各々の一部と、前記半導体素子とを覆う封止樹脂と、
を備え、
前記第1端子および前記第2端子は、前記封止樹脂から突出し、
前記封止樹脂は、前記厚さ方向において互いに反対側を向く樹脂主面および樹脂裏面と、前記樹脂主面および前記樹脂裏面を繋ぎ、かつ、前記第1端子および前記第2端子が突出する方向を向く樹脂端面と、前記樹脂主面および前記樹脂裏面を繋ぎ、かつ、前記樹脂端面に繋がる1対の樹脂側面とを備え、
前記搭載部裏面は前記樹脂裏面から露出し、
前記封止樹脂は、前記樹脂裏面側において、前記第
2端子の前記封止樹脂から露出した部分と前記封止樹脂との境界と、前記搭載部裏面との間に、凹部を備え
、
前記凹部は、前記1対の樹脂側面の一方にのみ達している、
る、半導体装置。
【請求項2】
前記封止樹脂は、前記樹脂端面とは反対側を向く樹脂第2端面をさらに備え、
前記第1リードは、前記樹脂第2端面から露出しない、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記凹部は、前記厚さ方向視において、前記第1リードに重ならない、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記凹部は、前記樹脂側面に平行な断面が四角形状である、請求項1ないし
3のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記凹部は、平坦な単一の底面を含む、請求項1ないし
4のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1リードは、前記搭載部と前記第1端子とに繋がる連結部を備え、前記連結部は、前記搭載部および前記第1端子に対して傾斜している、請求項1ないし
5のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記封止樹脂は、前記樹脂主面から前記樹脂裏面まで貫通する樹脂貫通孔を備え、前記搭載部は、前記搭載部主面から前記搭載部裏面まで貫通する搭載部貫通孔を備え、前記樹脂貫通孔は前記搭載部貫通孔の内側に位置する、請求項1ないし
6のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項8】
前記封止樹脂は、前記樹脂端面から突出する端面凸部を備え、前記第2端子は、前記端面凸部から突出する、請求項1ないし
7のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項9】
前記封止樹脂は、前記端面凸部から離間し、かつ、前記樹脂端面から突出する第2の端面凸部を備え、前記第1端子は、前記第2の端面凸部から突出する、請求項
8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記半導体素子は、ダイオードである、請求項1ないし
9のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項11】
第3リードをさらに備える構成において、
前記半導体素子は、前記素子主面に配置された第3電極を備え、前記第3リードは、前記第3電極と導通する第3端子を備える、請求項1ないし
9のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項12】
前記封止樹脂は、前記樹脂裏面側において、前記第3端子と前記樹脂端面との境界と、前記搭載部裏面との間に、第2の凹部を備え、
前記凹部と前記第2の凹部とは、前記1対の樹脂側面が並ぶ方向において離間している、請求項
11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記凹部は、前記第3端子と前記樹脂端面との境界と、前記搭載部裏面との間まで延びる、請求項
11に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記半導体素子は、トランジスタである、請求項
11ないし
13のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項15】
第4リードをさらに備える構成において、
前記半導体素子は、第4電極を備え、前記第4リードは、前記第4電極と導通する第4端子を備える、請求項
11に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体装置は、様々な構成が提案されている。たとえば特許文献1には、従来の半導体装置の一例が開示されている。同文献に開示された半導体装置は、半導体素子、ダイパッド(表面にNiめっき膜)、複数のリード(ドレインリード、ソースリード、ゲートリード)および封止樹脂を備えている。半導体素子の主面にはソース電極およびゲート電極が形成されており、裏面にはドレイン電極が形成されている。半導体素子は、ドレイン電極がダイパッドと導通した状態で、当該ダイパッドの主面に搭載されている。ドレインリードは、ダイパッドと一体形成されており、ドレイン電極に導通している。ソースリードおよびゲートリードは、それぞれソース電極およびゲート電極に対しワイヤを介して接続されている。封止樹脂は、各リードの一部および半導体素子を覆っている。ダイパッドの裏面は、封止樹脂から露出している。
【0003】
上述したような構成を有する半導体装置において、ドレインリードとソースリードとの間に高電圧(たとえば数千V)が印加されると、封止樹脂の表面で且つダイパッドの露出裏面とソースリードとの間において放電が起こり、ドレインリードとソースリードとが短絡する場合がある。そのため従来の半導体装置は、高耐電圧化を図るという側面において、未だ改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した事情のもとにおいて、本開示は、高耐電圧化を図ることができる半導体装置を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示によって提供される半導体装置は、半導体素子、第1リード、第2リード、および封止樹脂を備える。前記半導体素子は、厚さ方向において互いに反対側を向く素子主面および素子裏面と、前記素子裏面に配置された第1電極と、前記素子主面に配置された第2電極とを有する。前記第1リードは、前記半導体素子の前記第1電極が接合される搭載部主面、および、前記厚さ方向において前記搭載部主面とは反対側を向く搭載部裏面を有する搭載部と、前記搭載部を介して前記第1電極と導通する第1端子とを有する。前記第2リードは、前記第2電極と導通する第2端子を有する。前記封止樹脂は、前記第1リードおよび前記第2リードの各々の一部と、前記半導体素子とを覆う。前記第1端子および前記第2端子は、前記封止樹脂から突出している。前記封止樹脂は、前記厚さ方向において互いに反対側を向く樹脂主面および樹脂裏面と、前記樹脂主面および前記樹脂裏面を繋ぎ、かつ、前記第1端子および前記第2端子が突出する方向を向く樹脂端面と、前記樹脂主面および前記樹脂裏面を繋ぎ、かつ、前記樹脂端面に繋がる1対の樹脂側面とを備える。前記搭載部裏面は前記樹脂裏面から露出する。前記封止樹脂は、前記樹脂裏面側において、前記第2端子と前記樹脂端面との境界と、前記搭載部裏面との間に、前記樹脂裏面から前記厚さ方向に離れた部分を有する裏面変位部を備える。
【発明の効果】
【0007】
上記半導体装置において、前記封止樹脂は、前記樹脂裏面側において、前記第2端子と前記樹脂端面との境界と、前記搭載部裏面との間に、前記樹脂裏面から前記厚さ方向に離れた部分を有する裏面変位部を備える。これにより、前記第2端子の前記封止樹脂からの露出部分と前記搭載部裏面とを前記封止樹脂の表面に沿って結んだ距離である沿面距離を延長させることができる。この沿面距離が長いほど、耐電圧を高めることが可能である。したがって、本開示にかかる半導体装置は、高耐電圧化を図ることができる。
【0008】
本開示のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態にかかる半導体装置を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す半導体装置の反対側を示す斜視図である。
【
図4】
図1に示す半導体装置の平面図であり、封止樹脂を透過している。
【
図7】
図3のVII-VII線に沿う断面図である。
【
図8】
図3のVIII-VIII線に沿う断面図である。
【
図9】第2実施形態にかかる半導体装置を示す底面図である。
【
図10】第3実施形態にかかる半導体装置を示す右側面図である。
【
図11】第4実施形態にかかる半導体装置を示す底面図である。
【
図12】第5実施形態にかかる半導体装置を示す右側面図である。
【
図13】第6実施形態にかかる半導体装置を示す底面図である。
【
図14】第7実施形態にかかる半導体装置を示す底面図である。
【
図15】第8実施形態にかかる半導体装置を示す平面図であり、封止樹脂を透過している。
【
図16】第8実施形態にかかる半導体装置を示す底面図である。
【
図17】第8実施形態にかかる半導体装置の変形例を示す底面図である。
【
図18】第9実施形態にかかる半導体装置を示す平面図であり、封止樹脂を透過している。
【
図19】第9実施形態にかかる半導体装置を示す底面図である。
【
図20】第9実施形態にかかる半導体装置の変形例を示す底面図である。
【
図21】第10実施形態にかかる半導体装置を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の好ましい実施形態につき、添付図面を参照して具体的に説明する。まず、
図1~
図8に基づき、本開示の第1実施形態にかかる半導体装置A1について説明する。
図4に示すように、半導体装置A1は、複数のリード、半導体素子5、ボンディングワイヤ71、および封止樹脂8を備える。本実施形態において、複数のリードは、2つのリード、すなわち、第1リード1および第2リード2であるが、本開示がこれに限定されるわけではない。リードの本数は、たとえば、半導体素子5の種類(具体的にはたとえば電極の数)によって定まり、本数を3または4、あるいは5以上とすることも可能である。
【0011】
図1は、半導体装置A1を示す斜視図である。
図2は、半導体装置A1を示す斜視図であり、底面側を示している。
図3は、半導体装置A1を示す平面図である。
図4は、半導体装置A1を示す平面図であり、理解の便宜上、封止樹脂8(二点鎖線参照)を透過している。
図5は、半導体装置A1を示す底面図である。
図6は、半導体装置A1を示す右側面図である。
図7は、
図3のVII-VII線に沿う断面図である。
図8は、
図3のVIII-VIII線に沿う断面図である。
【0012】
半導体装置A1は、たとえば、電子機器を構成する回路基板に実装される装置であるが、本開示がこれに限定されるわけではない。説明の便宜上、互いに直交する3つの方向、すなわちx方向、y方向およびz方向を参照する。z方向は、半導体装置A1の厚さ方向に対応する。y方向は、半導体装置A1の各端子(120、220)が延びる方向に対応する。封止樹脂8のz方向視の形状は略矩形状である。半導体装置A1の大きさは特に限定されない。一例として、本実施形態においては、封止樹脂8のx方向寸法が15mm程度、y方向寸法が20mm程度、z方向寸法が5mm程度である。封止樹脂8から突出した各端子の長さは20mm程度である。
【0013】
第1リード1および第2リード2は、半導体素子5と導通し、半導体装置A1が回路基板に実装されたときに、半導体素子5と回路配線との導通経路を構成する。第1リード1および第2リード2は、たとえば、金属板に打ち抜き加工や折り曲げ加工等を施すことにより形成されている。リード1~3は、金属からなり、好ましくはCuおよびNiのいずれか、またはこれらの合金や42アロイなどからなる。本実施形態においては、第1リード1および第2リード2が、Cuからなる場合を例に説明する。本実施形態においては、第1リード1および第2リード2の厚さは、たとえば0.5~1mm程度である。
【0014】
第1リード1は、半導体素子5を支持するとともに、半導体素子5と導通している。第1リード1は、搭載部110、第1端子120、および連結部130を備える。
【0015】
搭載部110は、半導体素子5を搭載する部分であり、z方向視略矩形状である。搭載部110は、搭載部主面111および搭載部裏面112を有する。搭載部主面111および搭載部裏面112は、z方向において互いに反対側を向いている。搭載部主面111は、
図6~
図8の左側を向く面である。搭載部主面111は、半導体素子5が搭載される面である。搭載部裏面112は、
図6~
図8の右側を向く面である。搭載部裏面112は、封止樹脂8から露出して、裏面端子になる。また、搭載部110は、搭載部主面111から搭載部裏面112までz方向に平行に貫通する搭載部貫通孔113を有する。搭載部貫通孔113は、搭載部110のx方向中央で、かつ、y方向の一方端寄り(
図4においては上側寄り)に配置され、z方向視円形状である。搭載部貫通孔113の位置および形状は、図示の例には限定されない。
【0016】
第1端子120は、y方向に延び、一部が封止樹脂8から露出する。第1端子120は、連結部130および搭載部110を介して半導体素子5に導通している。
【0017】
連結部130は、搭載部110および第1端子120に繋がっており、搭載部110と第1端子120とを連結する。
図8に示すように、搭載部110と第1端子120とはz方向での位置が異なり、第1端子120は搭載部110より、
図8における左側に位置する。したがって、連結部130は、搭載部110および第1端子120に対して傾斜している。搭載部主面111と、第1端子120の搭載部主面111と同じ側の面とで、z方向での位置が同じであれば、連結部130は傾斜する必要はない。連結部130は、全体にわたって封止樹脂8に覆われている。
【0018】
第1端子120および連結部130の厚さ(z方向の寸法)は同じであり、搭載部110の厚さより薄い。第1端子120および連結部130は、たとえばハーフエッチング処理により形成される。搭載部110の厚さは、第1端子120および連結部130の厚さと同じであってもよい。
図4に示すように、連結部130および第1端子120は、搭載部110のy方向下側で、x方向左寄りに配置されている。
図4に示すように、本実施形態においては、第1端子120の中心線をy方向に延長した仮想線C1(一点鎖線)は、半導体素子5および搭載部貫通孔113とは交差しない。第1端子120のx方向での位置は、図示の例に限定されない。
【0019】
第2リード2は、半導体素子5と導通している。第2リード2は、第1リード1から離間して配置され、
図4に示すように、第1リード1の搭載部110のy方向下側で、x方向右寄りに配置されている。第2リード2は、ワイヤボンディング部210および第2端子220を備える。
【0020】
ワイヤボンディング部210は、ボンディングワイヤ71がボンディングされる部分であり、z方向視においてx方向に長い矩形状である。
図7に示すように、ワイヤボンディング部210は、ワイヤボンディング部主面211およびワイヤボンディング部裏面212を有する。ワイヤボンディング部主面211およびワイヤボンディング部裏面212は、z方向において互いに反対側を向いている。ワイヤボンディング部主面211は、
図6~
図8の左側を向く面である。ワイヤボンディング部主面211は、ボンディングワイヤ71がボンディングされる面である(
図4参照)。ワイヤボンディング部裏面212は、
図6~
図8の右側を向く面である。ワイヤボンディング部210は、全体にわたって封止樹脂8に覆われている。
【0021】
第2端子220は、ワイヤボンディング部210に繋がっており、y方向に延びて一部が封止樹脂8から露出する。第2端子220は、ワイヤボンディング部210およびボンディングワイヤ71を介して半導体素子5に導通している。
【0022】
ワイヤボンディング部210および第2端子220の厚さ(z方向の寸法)は同じであり、第1リード1の第1端子120および連結部130の厚さと同じである。第1端子120の封止樹脂8から露出した部分と、第2端子220の封止樹脂8から露出した部分とは同様の形状になっており、第1端子120の先端(連結部130に繋がる部分とは反対側の端部)と、第2端子220の先端(ワイヤボンディング部210に繋がる部分とは反対側の端部)とは、y方向において同様の位置にある。
図4に示すように、本実施形態においては、第2端子220の中心線をy方向に延長した仮想線C2(一点鎖線)は、半導体素子5および搭載部貫通孔113とは交差しない。第2端子220のx方向での位置は、図示の例に限定されない。第1端子120と第2端子220とは、x方向において離れている方が望ましい。
【0023】
半導体素子5は、半導体装置A1の電気的機能を発揮する要素である。本実施形態では、半導体素子5は、ダイオードである。半導体素子5は、素子本体50、素子主面51、素子裏面52、第1電極53および第2電極54を備える。
【0024】
図8に示すように、素子主面51および素子裏面52は、z方向において互いに反対側を向いている。素子主面51は、
図6~
図8の左側を向く面である。素子裏面52は、
図6~
図8の右側を向く面である。第1電極53は、素子裏面52に配置されている。第2電極54は、素子主面51に配置されている。本実施形態においては、第1電極53はカソード電極であり、第2電極54はアノード電極である。
【0025】
図4に示すように、半導体素子5は、搭載部主面111のx方向中央で、かつ、z方向視において搭載部貫通孔113にかからない位置に搭載されている。
図8に示すように、半導体素子5は、素子裏面52を搭載部主面111に向けて、導電性の接合材59を介して、搭載部主面111に搭載される。これにより、半導体素子5の第1電極53は、接合材59によって搭載部主面111に接合され、第1リード1に電気的に接続されている。接合材59としては、たとえばTiNiAg系はんだやSnAgCu系はんだ、焼成Agを用いて形成された導電性接合材などがあげられる。
図4に示すように、ボンディングワイヤ71は、半導体素子5の第2電極54と、第2リード2のワイヤボンディング部210とに接続されている。これにより、半導体素子5の第2電極54は、第2リード2に電気的に接続されている。ボンディングワイヤ71の材質は特に限定されず、本実施形態においては、たとえばAlからなるワイヤが用いられている。また、ボンディングワイヤ71の数は限定されない。第1電極53に導通する第1リード1の第1端子120が半導体装置A1のカソード端子として機能し、第2電極54に導通する第2リード2の第2端子220が半導体装置A1のアノード端子として機能する。
【0026】
封止樹脂8は、第1リード1および第2リード2の一部ずつと、半導体素子5と、ボン ディングワイヤ71とを覆っている。封止樹脂8は、たとえば黒色のエポキシ樹脂からなる。
【0027】
封止樹脂8は、樹脂主面81、樹脂裏面82、樹脂側面83、および樹脂端面84を有する。樹脂主面81と樹脂裏面82とは、z方向において互いに反対側を向いている。樹脂主面81は、
図6~
図8の左側を向く面であり、樹脂裏面82は、
図6~
図8の右側を向く面である。
図2、
図5、
図7および
図8に示すように、第1リード1の搭載部裏面112は、全体にわたって樹脂裏面82から露出しており、樹脂裏面82と搭載部裏面112とは互いに面一になっている。
【0028】
樹脂側面83は、樹脂主面81および樹脂裏面82を繋ぐ面であり、x方向を向く一対の面である。一対の樹脂側面83は互いに反対側を向いている。各樹脂側面83は、第1側面831および第2側面832を備える。
図1および
図2に示すように、各第1側面831は、樹脂主面81に繋がっており、樹脂主面81に向かうほど互いに近づくように傾斜している。各第2側面832は、樹脂裏面82に繋がっており、樹脂裏面82に向かうほど互いに近づくように傾斜している。本実施形態では、第1側面831と第2側面832との境界は、樹脂裏面82寄りである。
【0029】
樹脂端面84は、樹脂主面81および樹脂裏面82を繋ぐ面であり、第1端子120および第2端子220が突出する方向を向く面(
図3においてはy方向下側を向く面)である。樹脂端面84は、一対の樹脂側面83にそれぞれ繋がっている。樹脂端面84は、第1端面841および第2端面842を備える。
図1、
図2および
図6に示すように、樹脂端面84の第1端面841は、樹脂主面81に繋がっており、樹脂主面81に向かうほど封止樹脂8の中心に近づくように傾斜している。また、第2端面842は、樹脂裏面82に繋がっており、樹脂裏面82に向かうほど封止樹脂8の中心に近づくように傾斜している。つまり、封止樹脂8のうち1対の第1側面831および第1端面841に囲まれる部分は、xy平面での断面積が樹脂主面81に向かうほど小さくなるテーパ形状であり、1対の第2側面832および第2端面842に囲まれる部分は、xy平面での断面積が樹脂裏面82に向かうほど小さくなるテーパ形状である。
【0030】
本実施形態では、封止樹脂8は、樹脂貫通孔891、側面凹部892、端面凸部85,86、および裏面溝部87を備える。
【0031】
樹脂貫通孔891は、樹脂主面81から樹脂裏面82までz方向に平行に貫通する貫通孔である。樹脂貫通孔891は、封止樹脂8のx方向中央で、かつ、y方向の一方端寄り(
図3においては上側寄り)に配置され、z方向視円形状である。本実施形態においては、樹脂貫通孔891の中心は、搭載部貫通孔113の中心と同一である。樹脂貫通孔891の直径は、搭載部貫通孔113の直径よりも小さい。したがって、
図2および
図5に示すように、樹脂貫通孔891は搭載部貫通孔113の内側に位置し、樹脂貫通孔891の孔壁は、全て封止樹脂8によって形成されている。つまり、樹脂貫通孔891の孔壁からは搭載部110が露出しない。樹脂貫通孔891は、ねじなどの締結部材を挿通させて、半導体装置A1に放熱部材を取り付けるためなどに用いられる。搭載部裏面112が、電気絶縁シートなどを介して、放熱部材に接続されることで、半導体素子5から発生した熱が搭載部110および放熱部材を介して放出される。
【0032】
側面凹部892は、樹脂側面83の第1側面831および樹脂主面81から凹む凹部であり、各第1側面831にそれぞれ形成されている。本実施形態では、各側面凹部892は、z方向視半円形状であり、樹脂貫通孔891を挟むように形成されている。
図1および
図3に示すように、第1リード1の搭載部主面111の一部は、側面凹部892によって、封止樹脂8から露出している。
図6および
図7に示すように、各側面凹部892は、 xy平面での断面積が樹脂主面81に向かうほど大きくなる形状である。側面凹部892の形状および配置位置は、図示の例に限定されない。
【0033】
端面凸部85,86は、樹脂端面84からy方向に突出した部位であり、略直方体形状である。端面凸部85,86の形状は特に限定されず、たとえば円柱形状などであってもよい。端面凸部85と端面凸部86とは、x方向に互いに離間して配置されている。端面凸部85からは第1リード1の第1端子120が突出し、端面凸部86からは、第2リード2の第2端子220が突出している。端面凸部86が本開示の「端面凸部」の一例であり、端面凸部85が本開示の「第2の端面凸部」の一例である。
【0034】
裏面溝部87は、樹脂裏面82から凹むように形成された、x方向に沿って延びる溝であり、yz平面での断面は四角形状である。第1側面831または第2側面832に平行な断面も四角形状である。
図2、
図5および
図6に示すように、裏面溝部87は、溝部底面871および一対の溝部側面872を備える。溝部底面871は、樹脂裏面82に平行な面であり、樹脂裏面82より樹脂主面81側に位置している。一対の溝部側面872は、それぞれ溝部底面871および樹脂裏面82に繋がっており、互いに向かい合う面である。裏面溝部87は、xy平面での断面積が樹脂裏面82に向かうほど大きくなる形状である。一対の溝部側面872は、それぞれ、xz平面に対して3~5°程度傾斜している。溝部側面872の傾斜度合いは図示の例に限定されず、傾斜していなくてもよい。裏面溝部87の深さ(z方向の寸法)はたとえば1mm程度であり、裏面溝部87の幅(y方向の寸法)はたとえば1mm程度である。
【0035】
裏面溝部87は、z方向視において、樹脂裏面82のy方向の一方端縁(
図5においては下方端縁)と搭載部裏面112との間に配置されている。裏面溝部87は、一方端が第2端子220側の樹脂側面83まで延びており、当該樹脂側面83に開口している。裏面溝部87の他方端は、樹脂裏面82のx方向中央付近まで延びている。図示の例では、裏面溝部87は、x方向にそって長状であるが、第1リード1の手前で終端している。本実施形態において、裏面溝部87は、第2端子220と樹脂端面84との境界と、搭載部裏面112との間に配置されている。裏面溝部87は、z方向視において、第1リード1に重ならない。裏面溝部87は、z方向の位置が樹脂裏面82から樹脂主面81側に離間した溝部底面871を有している。裏面溝部87は、本開示の「裏面変位部」の一例である。
【0036】
次に、半導体装置A1の作用効果について説明する。
【0037】
本実施形態によると、封止樹脂8は、樹脂裏面82から凹む裏面溝部87を備えている。これにより、第2端子220の封止樹脂8からの露出部分と搭載部裏面112との間の沿面距離(封止樹脂8の表面に沿って測った距離)を、裏面溝部87が無い場合よりも長くすることができる。この沿面距離が長いほど、第2端子220と搭載部裏面112との間の耐電圧を高めることが可能である。したがって、半導体装置A1は、高耐電圧化を図ることができる。
【0038】
本実施形態によると、封止樹脂8は樹脂端面84から突出した端面凸部86を備え、第2端子220は端面凸部86から突出している。これにより、第2端子220の封止樹脂8からの露出部分と搭載部裏面112との沿面距離を、端面凸部86のy方向の寸法だけ延長させることができる。したがって、第2端子220と搭載部裏面112との間の耐電圧をさらに高めることが可能である。また、端面凸部86は、第1端子120と第2端子220との沿面距離も延長させることができる。これにより、第1端子120と第2端子220との間の耐電圧を高めることが可能である。さらに、本実施形態によると、封止樹脂8は樹脂端面84から突出した端面凸部85を備え、第1端子120は端面凸部85から突出している。これにより、第1端子120と第2端子220との沿面距離を、端面凸部85のy方向の寸法だけさらに延長させることができる。したがって、第1端 子120と第2端子220との間の耐電圧をさらに高めることが可能である。
【0039】
図9に基づき、第2実施形態にかかる半導体装置A2について説明する。
図9において、先述した半導体装置A1と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
図9は、半導体装置A2を示す底面図であり、第1実施形態にかかる半導体装置A1の
図5に対応する。
【0040】
半導体装置A2は、裏面溝部87の形状が半導体装置A1と異なる。本実施形態では、裏面溝部87のx方向の寸法が小さい。裏面溝部87の一方端は、第2端子220側の樹脂側面83まで延びておらず、裏面溝部87は当該樹脂側面83に開口していない。裏面溝部87の他方端は、樹脂裏面82のx方向中央付近まで延びておらず、第1実施形態と比べて、第2端子220側の樹脂側面83寄りの位置までしか伸びていない。裏面溝部87は、第2端子220から裏面溝部87を迂回して搭載部裏面112に至る(
図9において破線で示す)沿面距離が、裏面溝部87を横断した場合(
図9において一点鎖線で示す)の沿面距離より長くなるように形成されている。
【0041】
本実施形態においても、第2端子220の封止樹脂8からの露出部分と、搭載部裏面112との沿面距離を延長させることができる。したがって、本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。なお、第2端子220から裏面溝部87を迂回して搭載部裏面112に至る沿面距離が、裏面溝部87を横断した場合の沿面距離より短くなる場合でも、裏面溝部87が形成されていない場合と比べて、第2端子220の封止樹脂8からの露出部分と、搭載部裏面112との沿面距離を延長させることができる。したがって、このような場合でも、裏面溝部87は、半導体装置A2の高耐電圧化に寄与する。
【0042】
図10に基づき、第3実施形態にかかる半導体装置A3について説明する。
図10において、先述した半導体装置A1と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
図10は、半導体装置A3を示す右側面図であり、第1実施形態にかかる半導体装置A1の
図6に対応する。
【0043】
半導体装置A3は、裏面溝部87の形状が半導体装置A1と異なる。本実施形態では、裏面溝部87のyz平面での断面は三角形状である。本実施形態においても、第2端子220の封止樹脂8からの露出部分と、搭載部裏面112との沿面距離を延長させることができる。したがって、本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。裏面溝部87のyz平面での断面形状は図示の例に限定されず、他の形状であってもよい。例えば半円形状であってもよい。
【0044】
図11に基づき、本開示の第4実施形態にかかる半導体装置A4について説明する。
図11において、先述した半導体装置A1と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
図11は、半導体装置A4を示す底面図であり、第1実施形態にかかる半導体装置A1の
図5に対応する。
【0045】
半導体装置A4は、裏面溝部87を2個備えている点で半導体装置A1と異なる。本実施形態では、封止樹脂8が、y方向に並ぶように配置された2個の裏面溝部87を備えている。本実施形態によると、第2端子220の封止樹脂8からの露出部分と、搭載部裏面112との沿面距離を、裏面溝部87が1個の場合よりさらに延長させることができる。したがって、本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏 することができる。裏面溝部87の数は限定されず、3個以上であってもよい。
【0046】
図12に基づき、第5実施形態にかかる半導体装置A5について説明する。
図12において、先述した半導体装置A1と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
図12は、半導体装置A5を示す右側面図であり、第1実施形態にかかる半導体装置A1の
図6に対応する。
【0047】
半導体装置A5は、裏面溝部87に代えて、裏面凸部88を備えている点で半導体装置A1と異なる。
【0048】
裏面凸部88は、樹脂裏面82から突出するように形成されており、x方向に長く延びる形状である。裏面凸部88は、yz平面での断面が四角形状である。また、裏面凸部88は、第1側面831または第2側面832に平行な断面形状も四角形である。裏面凸部88は、凸部主面881および一対の凸部側面882を備える。凸部主面881は、樹脂裏面82に平行な面であり、樹脂裏面82を基準として樹脂主面81の反対側に位置している。一対の凸部側面882は、それぞれ凸部主面881および樹脂裏面82に繋がっており、互いに反対側を向く面である。裏面凸部88は、xy平面での断面積が樹脂裏面82から離れるほど小さくなるテーパ形状である。一対の凸部側面882は、それぞれ、xz平面に対して3~5°程度傾斜している。凸部側面882の傾斜度合いは、図示の例に限定されず、傾斜していなくてもよい。裏面凸部88の高さ(z方向の寸法)はたとえば1mm程度であり、裏面凸部88の幅(たとえば、y方向の寸法の平均値、最大値、または最小値)は、たとえば1mm程度である。
【0049】
裏面凸部88のx方向の寸法およびz方向視における配置位置は、第1実施形態の裏面溝部87と同様である。すなわち、裏面凸部88は、z方向視において、樹脂裏面82のy方向の一方端縁と搭載部裏面112との間に配置されている。裏面凸部88は、一方端が第2端子220側の樹脂側面83まで延びており、他方端が樹脂裏面82のx方向中央付近まで延びている。すなわち、裏面凸部88は、第2端子220と樹脂端面84との境界と、搭載部裏面112との間に配置されている。裏面凸部88は、z方向視において第1リード1に重ならない。裏面凸部88は、z方向の位置が樹脂裏面82から樹脂主面81とは反対側に離間した凸部主面881を有している。裏面凸部88は、本開示の「裏面変位部」の一例である。
【0050】
本実施形態によると、封止樹脂8は、樹脂裏面82から突出するように形成された裏面凸部88を備えている。これにより、第2端子220の封止樹脂8からの露出部分と、搭載部裏面112との沿面距離を延長させることができる。したがって、本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0051】
裏面凸部88のyz平面での断面形状は限定されず、他の形状であってもよい。例えば、三角形状であってもよいし、半円形状であってもよい。封止樹脂8は、y方向に並ぶように配置された複数の裏面凸部88を備えていてもよい。
【0052】
図13に基づき、本開示の第6実施形態にかかる半導体装置A6について説明する。
図13において、半導体装置A1と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
図13は、半導体装置A6を示す底面図であり、半導体装置A1の
図5に対応する。
【0053】
半導体装置A6は、端面凸部85,86を備えていない点で、半導体装置A1と異なる。本実施形態において、第1端子120および第2端子220は、樹脂端面84から突出している。
【0054】
本実施形態においても、封止樹脂8は裏面溝部87を備えているので、第2端子220の封止樹脂8からの露出部分と、搭載部裏面112との沿面距離を延長させることができる。したがって、半導体装置A6も、高耐電圧化を図ることができる。
【0055】
図14に基づき、第7実施形態にかかる半導体装置A7について説明する。
図14において、半導体装置A1と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
図14は、半導体装置A7を示す底面図であり、半導体装置A1の
図5に対応する。
【0056】
半導体装置A7は、端面凸部85を備えていない点で、半導体装置A1と異なる。本実施形態において、第1端子120は、樹脂端面84から突出している。
【0057】
本実施形態においても、封止樹脂8は裏面溝部87を備えているので、第2端子220の封止樹脂8からの露出部分と、搭載部裏面112との沿面距離を延長させることができる。したがって、半導体装置A6も、高耐電圧化を図ることができる。また、本実施形態においても、封止樹脂8は端面凸部86を備えているので、第2端子220の封止樹脂8からの露出部分と、搭載部裏面112との沿面距離を延長させることができる。したがって、第2端子220と搭載部裏面112との間の耐電圧をさらに高めることが可能である。端面凸部86は、第1端子120と第2端子220との沿面距離も延長させることができる。これにより、第1端子120と第2端子220との間の耐電圧を高めることが可能である。
【0058】
図15および
図16に基づき、第8実施形態にかかる半導体装置A8について説明する。
図15および
図16において、半導体装置A1と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
図15は、半導体装置A8を示す要部平面図であり、第1実施形態にかかる半導体装置A1の
図4に対応する。
図16は、半導体装置A8を示す底面図であり、半導体装置A1の
図5に対応する。
【0059】
半導体装置A8は、半導体素子5に代えて、半導体素子6を備えている点で、半導体装置A1と異なる。また、半導体装置A8は、半導体素子6の電極の数に合わせて、3つの端子を備えている。半導体装置A8は、第1リード1、第2リード2、第3リード3、半導体素子6、ボンディングワイヤ71,72、および封止樹脂8を備える。
【0060】
第1リード1および第2リード2は、第1実施形態にかかる第1リード1および第2リード2と同様のものであり、半導体素子6と導通し、半導体装置A8が回路基板に実装されたときに、半導体素子6と回路配線との導通経路を構成する。本実施形態にかかる第1リード1の連結部130および第1端子120は、
図15に示すように、搭載部110のy方向下側で、x方向中央に配置されている。本実施形態においては、第1端子120の中心線をy方向に延長した仮想線C1(一点鎖線)は、半導体素子5および搭載部貫通孔113と交差する。また、本実施形態にかかる第2リード2は、
図15に示すように、第1リード1の搭載部110のy方向下側で、x方向右寄りに配置されている。第2端子220の中心線をy方向に延長した仮想線C2(一点鎖線)は、半導体素子5および搭載部貫通孔113とは交差しない。
【0061】
第3リード3も、第1リード1および第2リード2と同様、半導体素子6と導通し、半導体装置A8が回路基板に実装されたときに、半導体素子6と回路配線との導通経路を構成する。第3リード3の材質、寸法および形状は、第2リード2と同様である。
【0062】
第3リード3は、第1リード1および第2リード2から離間して配置され、
図15に示すように、第1リード1の搭載部110のy方向下側で、x方向左寄りに配置されている。第3リード3は、ワイヤボンディング部310および第3端子320を備える。
【0063】
ワイヤボンディング部310は、ボンディングワイヤ72がボンディングされる部分であり、z方向視においてx方向に長い矩形状である。ワイヤボンディング部310は、ワイヤボンディング部主面311およびワイヤボンディング部裏面312を有する。ワイヤボンディング部主面311およびワイヤボンディング部裏面312は、z方向において互いに反対側を向いている。ワイヤボンディング部主面311は、
図15の手前側を向く面である。ワイヤボンディング部主面311は、ボンディングワイヤ72がボンディングされる面である。ワイヤボンディング部裏面312は、
図15の奥側を向く面である。ワイヤボンディング部310は、全体にわたって封止樹脂8に覆われている。
【0064】
第3端子320は、ワイヤボンディング部310に繋がっており、y方向に延びて一部が封止樹脂8から露出する。第3端子320は、ワイヤボンディング部310およびボンディングワイヤ72を介して半導体素子5に導通している。
【0065】
ワイヤボンディング部310および第3端子320の厚さ(z方向の寸法)は同じであり、第2リード2のワイヤボンディング部210および第2端子220と同じである。第3端子320の封止樹脂8から露出した部分は、第1端子120および第2端子220の封止樹脂8から露出した部分と同様の形状になっている。第3端子320の先端(ワイヤボンディング部310に繋がる部分とは反対側の端部)は、y方向において、第1端子120および第2端子220の先端と同様の位置にある。
図15に示すように、本実施形態においては、第3端子320の中心線をy方向に延長した仮想線C3(一点鎖線)は、半導体素子5および搭載部貫通孔113とは交差しない。
【0066】
半導体素子6は、半導体装置A8の電気的機能を発揮する要素である。本実施形態では、半導体素子6は、MOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)などのトランジスタである。半導体素子6は、素子本体60、素子主面61、素子裏面(
図8における素子裏面52に対応)、第1電極(
図8における第1電極53に対応)、第2電極64および第3電極65を有する。
【0067】
素子主面61および素子裏面は、z方向において互いに反対側を向いている。素子主面61は、
図15の手前側を向く面である。素子裏面は、
図15の奥側を向く面である。第1電極は、素子裏面に配置されている。第2電極64および第3電極65は、素子主面61に配置されている。本実施形態においては、第1電極はドレイン電極であり、第2電極64はソース電極であり、第3電極65はゲート電極である。
【0068】
図15に示すように、半導体素子6は、搭載部主面111のx方向中央で、かつ、z方向視において搭載部貫通孔113にかからない位置に搭載されている。半導体素子6は、素子裏面を搭載部主面111に向けて、導電性の接合材59を介して、搭載部主面111に搭載される。これにより、半導体素子6の第1電極は、接合材59によって搭載部主面111に接合され、第1リード1に電気的に接続されている。ボンディングワイヤ71は、半導体素子6の第2電極64と、第2リード2のワイヤボンディング部主面211とに接続されている。これにより、半導体素子6の第2電極64は、第2リード2に電気的に接続されている。ボンディングワイヤ72は、半導体素子6の第3電極65と、第3リード3のワイヤボンディング部主面311とに接続されている。これにより、半導体素子6の第3電極65は、第3リード3に電気的に接続されている。ボンディングワイヤ71,72の材質や太さ、数は限定されない。第1電極に導通する第1リード1の第1端子120が半導体装置A8のドレイン端子として機能し、第2電極64に導通する第2リード2の第2端子220が半導体装置A8のソース端子として機能し、第3電極65に導通する第3リード3の第3端子320が半導体装置A8のゲート端子として機能する。
【0069】
本実施形態にかかる封止樹脂8は、第1実施形態にかかる封止樹脂8と同様であり、さらに端面凸部86'および裏面溝部87'を備える。
【0070】
端面凸部86'は、端面凸部85,86と同様、樹脂端面84からy方向に突出した部位であり、略直方体形状である。
図16に示すように、本実施形態では、第1端子120、第2端子220および第3端子320の配置に合わせて、端面凸部85がx方向中央に配置され、端面凸部86が端面凸部85から離間してx方向左寄りに配置され、端面凸部86'が端面凸部85から離間してx方向右寄りに配置されている。端面凸部86'からは第3リード3の第3端子320が突出している。
【0071】
裏面溝部87'は、裏面溝部87と同様、樹脂裏面82から凹むように形成された、x方向に延びる溝である。裏面溝部87'の形状および構成は、裏面溝部87と同様である。裏面溝部87'は、z方向視において、樹脂裏面82のy方向の一方端縁(
図16においては下方端縁)と搭載部裏面112との間に配置されている。裏面溝部87'は、一方端が第3端子320側の樹脂側面83まで延びており、当該樹脂側面83に開口している。また、裏面溝部87'の他方端は、樹脂裏面82のx方向中央手前まで延びている。なお、本実施形態では、裏面溝部87の他方端も、樹脂裏面82のx方向中央手前までになっている。すなわち、裏面溝部87'は、第3端子320と樹脂端面84との境界と、搭載部裏面112との間に配置されている。また、裏面溝部87'は、z方向視において、第1リード1に重ならない。裏面溝部87'は、z方向の位置が樹脂裏面82から樹脂主面81側に離れるように移動した溝部底面を有しており、本開示の「第2の裏面変位部」の一例である。
【0072】
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、本実施形態によると、封止樹脂8は、樹脂裏面82から凹むように形成された裏面溝部87'をさらに備えている。これにより、第3端子320の封止樹脂8からの露出部分と、搭載部裏面112との沿面距離を延長させることができる。したがって、第3端子320と搭載部裏面112との間の耐電圧を高めることが可能である。
【0073】
また、本実施形態によると、封止樹脂8は樹脂端面84から突出した端面凸部86'をさらに備え、第3端子320は端面凸部86'から突出している。これにより、第3端子320の封止樹脂8からの露出部分と、搭載部裏面112との沿面距離を、端面凸部86のy方向の寸法だけ延長させることができる。したがって、第3端子320と搭載部裏面112との間の耐電圧をさらに高めることが可能である。また、端面凸部86'は、第1端子120と第3端子320との沿面距離も延長させることができる。これにより、第1端子120と第3端子320との間の耐電圧を高めることが可能である。
【0074】
図17に示す変形例のように、裏面溝部87'が設けられるのではなく、裏面溝部87の他方端が延長されて、第3端子320側の樹脂側面83まで延びていてもよい。
【0075】
図18および
図19に基づき、第9実施形態にかかる半導体装置A9について説明する。
図18および
図19において、先述した半導体装置A1と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
図18は、半導体装置A9を示す要部平面図であり、第1実施形態にかかる半導体装置A1の
図4に対応する。
図19は、半導体装置A9を示す底面図であり、第1実施形態にかかる半導体装置A1の
図5に対応する。
【0076】
本実施形態にかかる半導体装置A9は、第1端子120および第3端子320の配置が、第8実施形態にかかる半導体装置A8と異なる。
【0077】
本実施形態にかかる第1リード1の連結部130および第1端子120の配置と、第2リード2の配置とは、第1実施形態にかかる半導体装置A1と同様である。すなわち、第1リード1の連結部130および第1端子120は、
図18に示すように、搭載部110のy方向下側で、x方向左寄りに配置されている。第1端子120の中心線をy方向に延長した仮想線C1(一点鎖線)は、半導体素子5および搭載部貫通孔113と交差しない。また、第2リード2は、
図18に示すように、第1リード1の搭載部110のy方向下側で、x方向右寄りに配置されている。第2端子220の中心線をy方向に延長した仮想線C2(一点鎖線)は、半導体素子5および搭載部貫通孔113とは交差しない。本実施形態にかかる第3リード3は、第1リード1および第2リード2から離間して配置され、
図18に示すように、第1リード1の搭載部110のy方向下側で、x方向中央に配置されている。
【0078】
本実施形態にかかる封止樹脂8は、端面凸部86の形状が第8実施形態の場合と異なり、端面凸部86'を備えていない。また、端面凸部85,86の配置も第8実施形態の場合と異なっている。
図19に示すように、本実施形態では、第1端子120、第2端子220および第3端子320の配置に合わせて、端面凸部85がx方向右側に配置され、端面凸部86が端面凸部85から離間してx方向左側に配置されている。端面凸部86は、x方向の寸法が第8実施形態の場合より大きく、x方向左端から端面凸部85の近くまで延びている。端面凸部86からは第2リード2の第2端子220および第3リード3の第3端子320が突出している。
【0079】
本実施形態にかかる封止樹脂8は、裏面溝部87'を備えていない。裏面溝部87のx方向の寸法は、第8実施形態の場合より大きく、裏面溝部87の他方端は、端面凸部85と端面凸部86との間まで延びている。すなわち、裏面溝部87は、第3端子320と樹脂端面84との境界と、搭載部裏面112との間まで延びている。また、裏面溝部87は、z方向視において、第1リード1に重ならない。
【0080】
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、本実施形態によると、裏面溝部87が端面凸部85と端面凸部86との間まで延びている。これにより、第3端子320の封止樹脂8からの露出部分と、搭載部裏面112との沿面距離を延長させることができる。したがって、第3端子320と搭載部裏面112との間の耐電圧を高めることが可能である。
【0081】
本実施形態によると、第3端子320が端面凸部86から突出している。これにより、第3端子320の封止樹脂8からの露出部分と、搭載部裏面112との沿面距離を、端面凸部86のy方向の寸法だけ延長させることができる。したがって、第3端子320と搭載部裏面112との間の耐電圧をさらに高めることが可能である。端面凸部86は、第1端子120と第3端子320との沿面距離も延長させることができる。これにより、第1端子120と第3端子320との間の耐電圧を高めることが可能である。
【0082】
図20に示す変形例のように、裏面溝部87が延長されるのではなく、裏面溝部87が第2端子220と樹脂端面84との境界と、搭載部裏面112との間に配置され、裏面溝部87'が第3端子320と樹脂端面84との境界と、搭載部裏面112との間に配置されてもよい。この場合、裏面溝部87'は、z方向の位置が樹脂裏面82から樹脂主面81側に離間した溝部底面を有している。裏面溝部87'は、本開示の「第2の裏面変位部」の一例である。
【0083】
図21に基づき、第10実施形態にかかる半導体装置A10について説明する。
図21において、先述した半導体装置A1と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
図21は、半導体装置A10を示す底面図であり、第1実施形態にかかる半導体装置A1の
図5に対応する。
【0084】
本実施形態の半導体装置A10は、第9実施形態の半導体装置A9に対し、以下の点が異なっている。すなわち、半導体装置A10は、4つの電極を有する半導体素子7を備えている。また、半導体装置A10は、これら4つの電極とそれぞれ導通する4つのリードを備えている。具体的には、半導体素子7は、ドレイン電極D、ゲート電極G、ドライバソース電極DSおよびパワーソース電極PSを備えている。
図21に示すように、ドレイン電極Dは、リード1に導通する。同様に、ゲート電極Gはリード2に、ドライバソース電極DSはリード3に、パワーソース電極PSはリード4にそれぞれ導通している。リード1~3は、それぞれ端子120、220、320を有している。同様に、リード4は、端子420を有している。図示の例では、端子220、320、420は、x方向において互いに等間隔に離間している。一方、端子120(ドレイン端子)と端子420(パワーソース端子)との離間距離は、端子320(ドライバソース端子)と端子420(パワーソース端子)との離間距離よりも大きい。もちろんこのような配置は一例であり、本開示がこれに限定されるわけではない。
【0085】
半導体装置A10においても、半導体装置A9(
図19参照)と同様に、封止樹脂8には、x方向に延びる裏面溝部87が形成されている。図に示す例では、裏面溝部87は、封止樹脂8の左側の縁部から連続的に延び、ドレイン端子120の手前で(端面凸部85と端面凸部86との間で)終端している。もちろん、本開示がこの例に限定されるわけではない。たとえば、
図17に示すように、裏面溝部87は、封止樹脂8の左側縁部から右側縁部まで延びていてもよいし、
図20に示すように、互いに離間した複数の部分(
図20の符号87、87'参照)からなるように構成されていてもよい。また、
図21に示す裏面溝部87に加えて、追加の裏面溝部(
図11参照)を封止樹脂8に形成してもよい。あるいは、裏面溝部87に代えて、樹脂裏面82からz方向に突出する裏面凸部(
図12の符号88参照)を設けてもよい。いずれにせよ、4つのリードを有する半導体装置A10においても、封止樹脂8の所定箇所に少なくとも1つの溝部あるいは凸部を設けることにより、上述した各実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0086】
本開示にかかる半導体装置は、上述した実施形態に限定されるものではない。本開示にかかる半導体装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0087】
付記1.
厚さ方向において互いに反対側を向く素子主面および素子裏面と、前記素子裏面に配置された第1電極と、前記素子主面に配置された第2電極とを有する半導体素子と、
前記半導体素子の前記第1電極が接合される搭載部主面、および、前記厚さ方向において前記搭載部主面とは反対側を向く搭載部裏面を有する搭載部と、前記搭載部を介して前記第1電極と導通する第1端子とを有する第1リードと、
前記第2電極と導通する第2端子を有する第2リードと、
前記第1リードおよび前記第2リードの一部ずつと、前記半導体素子とを覆う封止樹脂と、を備え、
前記第1端子および前記第2端子は、前記封止樹脂から突出し、
前記封止樹脂は、厚さ方向において互いに反対側を向く樹脂主面および樹脂裏面と、前記樹脂主面および前記樹脂裏面を繋ぎ、かつ、前記第1端子および前記第2端子が突出する方向を向く樹脂端面と、前記樹脂主面および前記樹脂裏面を繋ぎ、かつ、前記樹脂端面に繋がる1対の樹脂側面とを備え、
前記搭載部裏面は前記樹脂裏面から露出し、
前記封止樹脂は、前記樹脂裏面側において、前記第2端子と前記樹脂端面との境界と、前記搭載部裏面との間に、前記樹脂裏面から前記厚さ方向に離れた部分を有する裏面変位部を備える、半導体装置。
付記2.
前記裏面変位部は、前記厚さ方向視において、前記第1リードに重ならない、付記1に記載の半導体装置。
付記3.
前記裏面変位部は、前記第2端子側の前記樹脂側面まで延びている、付記1または2に記載の半導体装置。
付記4.
前記裏面変位部は、前記樹脂側面に平行な断面が四角形状の溝である、付記1ないし3のいずれか1つに記載の半導体装置。
付記5.
前記裏面変位部は、前記樹脂裏面から突出しており、前記樹脂側面に平行な断面が四角形状である、付記1ないし3のいずれか1つに記載の半導体装置。
付記6.
前記裏面変位部は複数の裏面変位部を含む、付記1ないし5のいずれか1つに記載の半導体装置。
付記7.
前記第1リードは、前記搭載部と前記第1端子とに繋がる連結部をさらに備え、前記連結部は、前記搭載部および前記第1端子に対して傾斜している、付記1ないし6のいずれか1つに記載の半導体装置。
付記8.
前記封止樹脂は、前記樹脂主面から前記樹脂裏面まで貫通する樹脂貫通孔を備え、前記搭載部は、前記搭載部主面から前記搭載部裏面まで貫通する搭載部貫通孔を備え、前記樹脂貫通孔は前記搭載部貫通孔の内側に位置する、付記1ないし7のいずれか1つに記載の半導体装置。
付記9.
前記封止樹脂は、前記樹脂端面から突出する端面凸部を備え、前記第2端子は、前記端面凸部から突出する、付記1ないし8のいずれか1つに記載の半導体装置。
付記10.
前記封止樹脂は、前記端面凸部から離間し、かつ、前記樹脂端面から突出する第2の端面凸部を備え、前記第1端子は、前記第2の端面凸部から突出する、付記9に記載の半導体装置。
付記11.
前記半導体素子は、ダイオードである、付記1ないし10のいずれか1つに記載の半導体装置。
付記12.
第3リードをさらに備える構成において、
前記半導体素子は、前記素子主面に配置された第3電極を備えており、前記第3リードは、前記第3電極と導通する第3端子を備えている、付記1ないし10のいずれか1つに記載の半導体装置。
付記13.
前記封止樹脂は、前記樹脂裏面側において、前記第3端子と前記樹脂端面との境界と、前記搭載部裏面との間に、前記樹脂裏面から前記厚さ方向に離れた部分を有する第2の裏面変位部を備える、付記12に記載の半導体装置。
付記14.
前記裏面変位部は、前記第3端子と前記樹脂端面との境界と、前記搭載部裏面との間まで延びる、付記12に記載の半導体装置。
付記15.
前記半導体素子は、トランジスタである、付記11ないし14のいずれか1つに記載の半導体装置。
付記16.
第4リードをさらに備える構成において、
前記半導体素子は、第4電極を備え、前記第4リードは、前記第4電極と導通する第4端子を備える、付記12に記載の半導体装置。