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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】スクリュースピンドルポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04C 2/18 20060101AFI20240307BHJP
   F04C 2/16 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
F04C2/18 311D
F04C2/16 A
【請求項の数】 17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022197438
(22)【出願日】2022-12-09
(65)【公開番号】P2023088300
(43)【公開日】2023-06-26
【審査請求日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】10 2021 133 109.9
(32)【優先日】2021-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515051102
【氏名又は名称】ライストリッツ プムペン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン・メッツ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティン・リッセク
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン・ポップ
【審査官】山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0132070(US,A1)
【文献】国際公開第2017/135008(WO,A1)
【文献】特開2021-088988(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 2/18
F04C 2/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動スピンドル(3)と前記駆動スピンドル(3)に噛み合った少なくとも1つの走行スピンドル(4)とが、スピンドルホール(29,30)に収容されているスピンドルハウジングに収容されているスピンドルハウジング(2)であって、軸方向の流体入口及び軸方向の流体出口を備えるスピンドルハウジング(2)と、
前記スピンドルハウジング(2)を包み込む外側ハウジング(7)と、を備えるスクリュースピンドルポンプにおいて、
プラスチックから成る前記スピンドルハウジング(2)の前記流体出口の領域において、前記走行スピンドル(4)を軸方向に支える、軸方向に突出した支持ピン(21)を含む支持装置(19)が備えられていること、又は、前記外側ハウジング(7)の上に設置されて前記外側ハウジング(7)を軸方向に閉鎖する、プラスチックから成るハウジングプレート(35)に、前記走行スピンドル(4)を軸方向に支える、軸方向に突出した支持ピン(21)を含む支持装置(19)が備えられており、
全ての前記走行スピンドル(4)が前記支持装置(19)によって支持されており、
前記スピンドルハウジング(2)は、前記支持装置(19)の反対側において軸方向に開口しており、開口した端部領域において、前記駆動スピンドル(3)及び前記1つ又は前記2つの走行スピンドル(4)を軸方向に支える支持要素(18)を有しており、前記支持要素(18)を固定するための把持手段が備えられているか、又は、前記支持要素(18)は、前記スピンドルハウジング(2)の正面と前記外側ハウジング(7)の軸方向のハウジング壁(33)との間に収容されていること、を特徴する、スクリュースピンドルポンプ。
【請求項2】
前記駆動スピンドル(3)の両側に配置された2つの走行スピンドル(4)が備えられており、前記支持装置(19)は2つの支持ピン(21)を含むか、又は、それぞれ1つの支持ピン(21)を含む2つの支持装置(19)が備えられていることを特徴とする、請求項1に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項3】
前記1つ又は前記2つの支持ピン(21)は、円形、楕円形、又は、多角形の断面を有していることを特徴とする、請求項1又は2に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項4】
前記スピンドルハウジング(2)に成形された支持装置(19)が、少なくとも1つ又は少なくとも2つのブリッジ(20)を備え、1つの又は各前記ブリッジ(20)は、前記走行スピンドル(4)を収容するスピンドルホール(30)に重なり、1つの又は各前記ブリッジ(20)に1つの支持ピン(21)が備えられていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項5】
前記支持装置(19)は、駆動モータの駆動シャフト(27)が貫通する軸受孔(24)であって、前記駆動シャフト(27)を支える軸受孔(24)を備えることを特徴とする、請求項4に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項6】
前記支持装置(19)は、前記軸受孔(24)が設けられた中央の環状区域(23)を備え、前記環状区域(23)から、前記ブリッジ(20,25)が側方に延びていることを特徴とする、請求項5に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項7】
前記ハウジングプレート(35)は、前記スピンドルハウジング(2)の前記流体出口から流れる流体が流入する鍋形の凹部(38)を備え、前記1つ又は前記2つの支持装置(19)は、前記凹部(38)の底部において軸方向に延びた状態で備えられていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項8】
前記1つ又は前記2つの支持装置(19)はそれぞれ、前記底部に成形されたベース(39)を備え、前記ベース(39)において、前記ベース(39)よりも細い支持ピン(21)が突出していることを特徴とする、請求項7に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項9】
前記底部は、駆動モータの駆動シャフト(27)が貫通する軸受孔(24)であって、前記駆動シャフト(27)を支える軸受孔(24)を備えることを特徴とする、請求項7又は8に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項10】
前記把持手段は、互いに対向し合う2つの貫通孔(31)の形で、前記スピンドルハウジング(2)に形成されており、前記貫通孔(31)に、フェザーキー(18)の形の前記支持要素が係合することを特徴とする、請求項に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項11】
前記駆動スピンドル(3)及び前記走行スピンドル(4)によって前記スピンドルハウジング(2)を通って搬送される流体用の前記軸方向の流体出口は、前記スピンドルハウジング(2)と前記外側ハウジング(7)との間に形成された360度にわたって延びる流体室(16)と連通しており、前記流体室(16)は、前記外側ハウジングの径方向の流体出口接続部(10)と連通していることを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項12】
前記流体室(16)は、前記スピンドルホール(29,30)の少なくとも半分の長さにわたって延びていることを特徴とする、請求項11に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項13】
前記ハウジングプレート(35)の凹部(38)は、前記スピンドルハウジング(2)の前記流体出口から来た流体を、前記流体室(16)の方に方向転換させる方向転換用キャビティとして機能することを特徴とする、請求項11又は12に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項14】
前記外側ハウジング(7)の上に設置された駆動モータ(30)のハウジング(34)に、前記スピンドルハウジング(2)の前記流体出口から来た流体を、前記流体室(16)の方に方向転換させる方向転換用キャビティが設けられていることを特徴とする、請求項1~12のいずれか1項に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項15】
前記方向転換用キャビティは、環状溝又は鍋形の凹部(38)であり、前記環状溝又は鍋形の凹部(38)は、溝又は凹部の底の領域が丸みを帯びて構成されていることを特徴とする、請求項13又は14に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項16】
求項1~15のいずれか1項に記載のスクリュースピンドルポンプ(1)の、自動車において作動液を搬送するための使用。
【請求項17】
前記スクリュースピンドルポンプ(1)は、具体的にはエネルギー貯蔵装置の冷却に作用する冷媒を搬送するための冷媒ポンプとして使用されることを特徴とする、請求項16に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動スピンドルとこれに噛み合った少なくとも1つの走行スピンドルとがスピンドルホール内に収容されて、軸方向の流体入口及び軸方向の流体出口を備えるスピンドルハウジングと、スピンドルハウジングを包み込む外側ハウジングと、を備えるスクリュースピンドルポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
このようなスクリュースピンドルポンプは、流体を搬送するように機能し、非常に様々な領域において使用されている。例としては、自動車の燃料、又は他の作動液若しくは供給液、例えば冷媒若しくは洗剤、の搬送が挙げられる。他の陸上車、又は、例えば飛行機若しくはドローンといった航空機においても、このようなスクリュースピンドルポンプが使用可能であり、その適用可能例は限定されない。このようなスクリュースピンドルポンプは、スピンドルハウジングを備える。スピンドルハウジングは、内側ハウジングとも呼ぶことが可能であり、その中に、少なくとも2つのスピンドル、すなわち1つの駆動スピンドル及び1つの走行スピンドルがそれぞれ、互いに隣り合っているが交差したスピンドルホール内に収容されている。駆動スピンドル及び走行スピンドルは、いずれも1つのスピンドルプロファイルを備え、これら両方のスピンドルプロファイルは互いに噛み合っている。駆動スピンドルは、駆動モータと接続されており、能動的に回転されることが可能であるので、走行スピンドルが噛み合いながら回転することになる。スピンドルの回転により、流体が搬送される搬送容積が、スピンドルの縦軸方向に連続的に移動される。スピンドルハウジングは、外側ハウジング内に収容されている。外側ハウジングは、例えば鍋形であることが可能であり、一方の面は軸壁を介して閉鎖されていることが可能であり、他方の面には例えば駆動モータがフランジ接続されている。しかしながら、外側ハウジングが複数の部品から成り、円筒形のベース部を有していることも想定可能である。このベース部は、一方の面が蓋を介して閉鎖されており、他方の面には同じく駆動モータがフランジ接続されている。外側ハウジングは、供給管を接続可能な入口接続部を備え、これによって吸引側が規定される。さらに、同じく供給管を接続可能な出口接続部が設けられており、これによって加圧側が規定される。搬送された流体は、ここから、ポンプによって生成可能な各圧力によって排出される。このようなポンプは、例えばドイツ国第10 2018 131 587 A1号公報に記載されている。スピンドルハウジング自体は、吸引側に軸方向の流体入口を備え、流体入口を通って、搬送対象の流体が接続パイプからスピンドルハウジングに流入し、その後スピンドルハウジングを通って、一体化しているスピンドルによって搬送され、軸方向の流体出口を介してスピンドルハウジングを出て、その後そこから出口パイプに流れて排出される。
【0003】
流体を搬送するためには、駆動スピンドルを規定の方向に回転させて、搬送容積を吸引側から加圧側に移動させる必要がある。圧力比が存在するため、吸引側において、両方のスピンドル、又は、3スピンドルのポンプの場合は1つの駆動スピンドル及び2つの走行スピンドルを、スピンドルがその正面側で当接可能な、例えばフェザーキー等の支持要素によって軸方向に支えることが知られている。回転方向を転換することを短期で行うことが好ましい場合があるが、これは困難である。たしかに駆動スピンドルには、いわば支持機能を有するモータの駆動シャフトが係合しているので、駆動スピンドルは、加圧側に対して軸方向に支えられているが、走行スピンドルは、軸方向に支えられていない。したがって、このような回転方向を転換する際に、望ましくないスピンドルの位置ずれが生じ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、これに対して改善されたスクリュースピンドルポンプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題を解決するために、本発明によれば、導入部分において記載したようなスクリュースピンドルポンプが提供される。このスクリュースピンドルポンプでは、プラスチックから成るスピンドルハウジングの流体出口の領域において、少なくとも1つの走行スピンドルを軸方向に支える、軸方向に突出した支持ピンを含む支持装置が備えられているか、又は、外側ハウジングの上に設置されて外側ハウジングを軸方向に閉鎖する、プラスチックから成るハウジングプレートに、少なくとも1つの走行スピンドルを軸方向に支える、軸方向に突出した支持ピンを含む支持装置が備えられている。
【0006】
まず、本発明によれば、走行スピンドルの所定の軸方向の支持は、加圧側においても、そこに備えられた支持装置によって行われる。支持装置は、軸方向に突出した、所定の構造状況に応じて短い又は長い、軸方向の支持ピンの形に実現される。本発明によれば、この支持装置は、基本的に2つの異なる形態において提供可能である。
【0007】
第1の発明代替例によれば、支持装置は、1つの部品として、プラスチックから製造されたスピンドルハウジングに設けられていることが可能であり、より正確に言えば一体成形されていることが可能である。すなわち、この1つの部品又は1つの材料から成るスピンドルハウジングは、スピンドルをスピンドルホールに収容するだけでなく、同時に、この1つのスピンドルのため、又は、2つの走行スピンドルの場合は両方の走行スピンドルのための軸方向の支持軸受も有している。スピンドルハウジングがプラスチックから製造されているので、対応する支持装置の形成、より正確に言えば成形は、適したプラスチック射出成型によって容易に実施可能である。駆動モータは、直接、外側ハウジングの上に設置され、これを対応するモータプレートによって軸方向に閉鎖する。
【0008】
第2の代替例によれば、支持装置は、軸方向に外側ハウジングの上に設置された、外側ハウジングをこの側において閉鎖する、同じくプラスチックから成るハウジングプレートに設けられている。このハウジングプレートは、中間プレート又は取付プレートとも呼ぶことが可能である。このハウジングプレートの上に、駆動モータが設置されると共にフランジ接続される。第2の代替例では、外側ハウジングがハウジングプレートによって閉鎖されるので、この変形例では、支持装置をハウジングプレートに一体成形することが都合がよい。すなわち、ハウジングプレートには、軸方向に突出した支持ピンが、1つの部品として又は1つの材料で成形されている。ハウジングプレートはプラスチック部材であり、対応する形状を好適なプラスチック射出成型において容易に実現可能であるため、支持ピンの成形は容易に実施可能である。
【0009】
したがって、本発明に係るスクリュースピンドルポンプでは、全てのスピンドルが両側で軸方向に支持される。これによって、スピンドルが両方向に回転すること、すなわち、右-左-走行が可能になる。すなわち、一方において、もちろん一般的な搬送運転が可能であるが、他方では必要に応じて、スピンドル回転方向を短時間で切り替えることが可能であり、この際に、許容できないスピンドルの位置ずれが生じることはない。
【0010】
記載したように、2スピンドルポンプでは、1つの駆動スピンドル及び1つの走行スピンドルだけが設けられており、そのため、最終的には、走行スピンドルに割り当てられる支持ピンも1つだけ設けられている。代替的に、スクリュースピンドルポンプは、3スピンドルポンプとして実施されていてもよい。この場合、駆動スピンドルの両側に配置された2つの走行スピンドルが設けられており、支持装置は、2つの支持ピンを含むか、又は、それぞれ1つの支持ピンを含む2つの支持装置が備えられる。
【0011】
スピンドルハウジングは、記載したように、対応するスピンドルホールを有している。2スピンドルポンプの場合は、1つの駆動スピンドルホール及び1つの走行スピンドルホールが設けられており、3スピンドルポンプの場合は、1つの中央の駆動スピンドルホールと側方にある2つの走行スピンドルホールとが設けられている。記載したように、当該1つの又は各支持ピンは、走行スピンドルを、中心線ですなわちスピンドル縦軸線において、軸方向に支えている必要がある。これを可能とするために、有効な一発展形態では、スピンドルハウジングに成形された支持装置が、少なくとも1つ又は少なくとも2つのブリッジを備えており、当該1つの又は各ブリッジは、走行スピンドルを収容するスピンドルホールに重なり、1つの又は各ブリッジに1つの支持ピンが備えられている。このブリッジの構成によって、1つの又は各支持ピンを走行スピンドルホールの中心に単純に形成及び配置することが可能になる。なぜならば、ブリッジは側方のハウジング位置から、いわば、走行スピンドルホールを横切って延びており、支持ピンは、孔中心に成形されるからである。
【0012】
1つの又は各支持ピンは、丸い断面を有していることが都合がよい。これは特に製造技術的な観点から有利である。ピンの直径自体は、当然、走行スピンドルのスピンドルコアのコア直径よりもかなり小さいので、可能な限り小さい接触面又は摩擦面が提供される。代替的に、この断面は楕円形又は多角形であってもよい。ピンの先端が球状に実施されて、スピンドル正面に対するいわば点接点が提供されることが好ましい。ピンの先端を球状に実施する代わりに、スピンドル正面がわずかに球状を有し、その反対にピン表面は平坦であってもよい。
【0013】
記載したように、支持装置は、加圧側、すなわち駆動モータが設けられている側に設けられている。スピンドルハウジングに成形された支持装置の場合の有効な一発展形態では、支持装置が、駆動モータの駆動シャフトが貫通する軸受孔であって、駆動シャフトを支える軸受孔を備える。すなわち支持装置は、追加的に駆動シャフト用の軸受け機能にも適しており、したがって、このためにさらなる軸受手段を、駆動モータ自体の外側の別の位置に設ける必要はない。直接スピンドルハウジング上に設置された駆動モータの駆動シャフトは、モータ、より正確に言えばモータプレートから、駆動スピンドルを駆動シャフトに結合させる結合装置まで延びている。この経路に沿って、駆動シャフトは、軸方向の位置において、支持装置軸受孔の中を誘導されるので、駆動シャフトの駆動スピンドルへの正確な位置合わせが提供されるだけでなく、場合によっては生じるアンバランスや同様のものを回避する永久的なシャフト誘導が提供される。
【0014】
軸受孔を実現するために、支持装置は、軸受孔が設けられた中央の環状区域を備え、環状区域から、ブリッジが側方に延びていてもよい。したがって、スピンドルハウジングの一端では、いわば開口したかご状又は格子状の構造物が形成される。一方では、これを通って対応する流体が貫通して流れることが確保され、他方では、ブリッジによって対応して安定した構成が実現可能であり、例えば、対応する支持ピンをブリッジに形成可能であり、最終的には対応する軸受も容易に実現可能である。
【0015】
支持装置をスピンドルハウジングに配置することに対して代替的に、1つ又は複数の支持装置は、記載したように、ハウジングプレートに設けられていてもよい。この場合、ハウジングプレートは、スピンドルハウジングの流体出口から流れる流体が流入する鍋形の凹部を備え、1つ又は両方の支持装置は、凹部の底部において軸方向に延びた状態で備えられていてもよい。ハウジングプレートに形成された凹部は、一方では、加圧下にある流体が、通常は外側ハウジングに径方向に突出した本来の出口パイプに流れる前に、最初に流入する十分に大きい流出スペースを、スピンドルハウジングの流体出口の領域において実現するために都合がよい。例えば、外周領域において円形断面に形成され、角や縁を有さないこの凹部によって、一方では、流体技術的に有利に流体を径方向外側に誘導することが可能であり、その後流体は、そこから出口パイプに流れる。また、極めて騒音が少ないポンプの運転も実現可能である。ここで、凹部の底部に1つ又は複数の支持装置、より正確に言えば1つ又は複数の支持ピンが成形されている。この成形は容易に実現可能であり、この変形例では、支持ピンを走行スピンドル縦軸線の位置に対して容易に位置決め可能であり、この場合、垂直形状のいかなる把持装置等も必要ない。
【0016】
当該又は各支持装置は、底部に成形されたベースを備え、ベースにおいて、ベースよりも細い支持ピンが突出していてもよい。記載したように、凹部の形状に基づき、ハウジングプレートの底部は、軸方向にみて、各走行スピンドルの正面から一定の距離だけ離間されている。すなわち、支持装置は、底部から走行スピンドルまで所定の軸方向の距離だけ橋渡ししている必要がある。支持ピン自体は、比較的小さい直径を有していることが好ましい。支持ピンが、凹部の底部に十分に安定して連結されるためには、底部側において、まず、軸方向に延びる明らかに直径が大きい対応するベースが設けられており、そしてベースに、これよりも明らかに狭い又は薄い支持ピンが成形される。これによって、支持ピンに何らかの形状的変化が生じることが回避される。この何らかの形状的変化は、場合によっては、すなわち、この極めて薄いピンが凹部の底部に直接成形され、走行スピンドルまで延びているような場合に起こり得ることである。
【0017】
記載したように、ハウジングプレートは、直接、外側ハウジングの上に設置され、これを軸方向に閉鎖する。駆動モータは、ハウジングプレートの上に設置される。駆動モータの駆動シャフトを駆動スピンドルまで誘導することを可能とするために、ハウジングプレートは、底部側に対応する軸受孔を備えており、この軸受孔を通って、モータの駆動シャフトが延びている。
【0018】
記載したように、スピンドルは、吸引側でも同様に、例えばフェザーキーといった好適な支持要素によって軸方向に支えられている。この支持要素は、様々な方法で配置されていてもよい。第1の代替例によれば、スピンドルハウジングは、支持装置の反対側において軸方向に開口しており、この第1の変形例では、開口した端部領域において、駆動スピンドル及び1つ又は2つの走行スピンドルを軸方向に支える支持要素、つまり例えばフェザーキーを固定するための把持手段が備えられている。ここで、すなわち支持要素、より正確に言えばフェザーキーは、スピンドルハウジング自体に配置及び固定されている。代替的に、軸方向に開口したスピンドルハウジングでは、支持要素をスピンドルハウジングの正面と外側ハウジングの軸方向のハウジング壁との間に収容することが想定可能である。したがってここで、支持要素、より正確に言えばフェザーキーは、スピンドルハウジングと軸方向の外側ハウジング壁の間に収容される。つまり固定は、いわば、支持要素をスピンドルハウジングと外側ハウジングとの間に対応して引っ掛けることによって行われる。ここで両方の変形例では、外側ハウジングを鍋形に形成し、円筒形のハウジングの部分と、これに連結した軸方向のハウジング壁とを備え、このハウジング壁に、例えば軸方向の流入パイプが設けられるように実施可能である。代替的に、外側ハウジングを、2つの部品、例えば、流入パイプが設けられた蓋状の軸方向のハウジング壁が設置された、円筒形のハウジング部分から構成することも可能である。
【0019】
しかしながら最終的に、支持要素、より正確に言えばフェザーキーが、この場合は2つの部品から成る外側ハウジングの別個の蓋状のハウジング壁に、設けられていることも想定可能であり、例えば、この別個のハウジング壁の内壁に形成された、対応する留め溝又は同様のものの中に設けられていることも想定可能である。
【0020】
支持要素、より正確に言えばフェザーキーをスピンドルハウジング自体に固定する場合、ハウジングの把持手段は、フェザーキーの形の支持要素が係合する対向し合う2つの貫通孔の形で、スピンドルハウジングに形成されていることが都合がよい。これによって、フェザーキーは、外側から1つの貫通孔を通って別の貫通孔まで動かされ、ここで、例えば自己保持のための簡単な留め座部が得られる。
【0021】
記載したように、スピンドルハウジングは、プラスチックから成ることが好ましい。こうすることによって、第1の基本的な発明変形例の範囲において、支持装置をスピンドルハウジングに容易に直接成形することが可能になる。加えて、第2の変形例においても、スピンドルハウジングを容易に製造することや、可能な限りポンプ重量を低減するという点から都合がよい。公知のスクリュースピンドルポンプでは、多くの場合、径方向の出口接続部が設けられている。すなわち、搬送された流体がスピンドルハウジング自体から直接径方向に出て、出口パイプに向かって開口した小さい部屋に流入する。スピンドルハウジングを軸方向に出て行く場合も同様に、径方向の出口パイプまでの対応する流体誘導が必要である。スピンドルハウジングの内部では、圧力勾配、つまり、低い流体圧力の吸引側から高い流体圧力の加圧側に向かって、圧力勾配が存在する。これは、プラスチックから製造されたスピンドルハウジングの場合、大きな圧力勾配により、プラスチックから成るスピンドルハウジングに形状変化が生じる場合があり、スピンドルハウジングが、特に流体出口の方向においてわずかに広くなり得る。これは、効率、より正確に言えばポンプ効率に悪影響する。これに対処するために、本発明の有効な一発展形態では、駆動スピンドル及び走行スピンドルによってスピンドルハウジングを通って反動される流体用の軸方向の流体出口は、スピンドルハウジングと外側ハウジングとの間に形成された360度にわたって延びる流体室と連通しており、流体室は、外側ハウジングの径方向の流体出口接続部と連通している。これによれば、スピンドルハウジングと外側ハウジングとの間に、スピンドルハウジングを円周方向に延びる環状溝として取り囲む径方向の流体室が設けられる。圧力室とも呼ぶことが可能なこの環状の流体室は、加圧側にある。なぜなら、流体室には、スピンドルハウジングから出た加圧下にある流体が誘導されるからである。この流体はスピンドルハウジングから軸方向に流出する、すなわち、対応する大きさの軸方向の流体排出口がスピンドルハウジングに設けられている。この領域には、記載したような1つの部品より成る構成の場合には、支持装置が設けられている。加圧下にある流体は排出口から流出し、対応して方向転換し、径方向外側に流体室に導かれ、その後加圧下にある流体は流体室に入る。有利にもこの流体室が環状の形状をしていることにより、スピンドルハウジングの周りの全面に対応するポンプ圧力が印加される。すなわち、最終的にほぼ対称の圧力比が、スピンドルハウジングに与えられる、より正確に言えば、重なり合った領域において、対称の圧力がこれに印加される。これによって、一方では、非対称の圧力分布により生じるような局所的な過剰圧力が回避される。他方で、スピンドルハウジングにおいても形成される流体圧力によって、わずかではあるが生じるスピンドルハウジングの変形も回避される。なぜなら、スピンドルハウジングに、径方向外側から流体圧力が印加されるので、スピンドルハウジングが安定化されるからである。すなわち、本発明によれば、対応する径方向圧力を形成する流体被覆が実現される。これは、一方においてスピンドルハウジングを柔らかいプラスチック材料から容易に製造することを可能にし、他方において対応する高いポンプ圧力を生成することも可能にする。
【0022】
本発明に従って提供される流体室は、スピンドルホールが設けられたスピンドルハウジング、より正確に言えばハウジング領域の軸方向の長さの少なくとも一部にわたって延びていることが好ましい。この場合、流体室は、スピンドルホール、より正確に言えばスピンドルハウジングの少なくとも半分の長さ、場合によってはそれ以上、例えば、スピンドルホール、より正確に言えばスピンドルハウジングの長さの約2/3にわたって延びている必要がある。流体室が、スピンドルホール又はスピンドルハウジングの全長にわたって延びていることも想定可能である。特に、場合によっては生じる流体騒音を低減させるために有効である、流体がスピンドルハウジングから軸方向に流出することと、流体が流体室の方向に方向転換する必要があることとにより、流体室は結局、スピンドルハウジングの加圧側の端部において始まり、そして軸方向にみて吸引側の端部に向かって延びる。流体室は、当然、好適な方法で対応して密封されており、流体が意図せずに吸引側に流れることが回避され、流体は最終的に、径方向の出口接続部を通って流出することが可能である。
【0023】
記載したように、流体はスピンドルハウジングから軸方向に流出するが、流体室は、いわば加圧側から吸引側の方向に延びているので、加圧下にある流体を方向転換し、軸方向に、いわば再び戻すように誘導する必要がある。これを可能とするために、ハウジングプレートの凹部は、スピンドルハウジングの流体出口から流出する流体を流体室の方に方向転換させる方向転換用キャビティとして機能し得る。したがって、径方向側方に比較的長く延びるこの凹部により、流体を軸方向に見て再び戻すように誘導することが可能となる。ここで、凹部は、当然環状の流体室と連通している。この構成に対して代替的に、ハウジングプレートが設けられていない場合、外側ハウジングの上に設置された駆動モータのハウジングにも、スピンドルハウジングの流体出口から来る流体を流体室の方に方向転換させる方向転換用キャビティが設けられていてもよい。つまりここで、外側ハウジングをモータ側において軸方向に閉鎖するモータハウジング壁が、その凹部により、軸方向に見て流体を流体室に戻すように誘導する方向転換手段として機能する。
【0024】
この場合、方向転換用キャビティは、ハウジングプレート、すなわち中間部材に設けられていようが、モータの壁に設けられていようが、環状溝又は鍋形の凹部として実施されていることが可能である。環状溝又は鍋形の凹部は、上述のように、1つ又は2つの支持装置が備えられ、溝又は凹部の底の領域が丸みを帯びて構成されている。この丸みを帯びた構成によって、騒音が少ない径方向及び軸方向の方向転換が可能になる。
【0025】
スクリュースピンドルポンプ自体に加えて、本発明はさらに、上述した種類のスクリュースピンドルポンプの、自動車において作動液を搬送するための使用に関する。この作動液は、任意の性質のものであり得る。これは例えば、ポンプによって搬送される洗浄液、例えばガラス洗浄液であり得る。代替的に、かつ、本発明に係る好ましい一用途は、スクリュースピンドルポンプの、冷媒を搬送する冷媒ポンプとしての使用である。このような冷媒とは、冷却対象物を冷却するための任意の流体であり得る。この使用は、具体的には、エネルギー貯蔵装置の冷却に作用する冷媒を搬送するための使用に関する。このようなエネルギー貯蔵装置は、電動式に駆動される自動車に益々使用されており、対応する形状の牽引用電池又は駆動電池の形で設けられている。このエネルギー貯蔵装置は、冷媒による対応する冷却を必要とする。この冷媒は、本発明に係るスクリュースピンドルポンプによって、必要な量だけ単純かつ容易に搬送可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明のさらなる利点及び詳細を、以下の実施形態に基づき、かつ、添付の図面を参照することにより説明する。
図1】第1の実施形態の本発明に係るスクリュースピンドルポンプの原理を示す断面図である。
図2】駆動スピンドル及び走行スピンドルが収容され、支持装置が成形されたスピンドルハウジングを示す断面図である。
図3図2のスピンドルハウジングの、斜視断面図である。
図4】第2の実施形態の本発明に係るスクリュースピンドルポンプの原理を示す断面図である。
図5】スピンドルが設置された図4のスクリュースピンドルポンプを、流体の流れと共に示す図である。
図6図5の構成のハウジングプレートの領域の一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、本発明に係るスクリュースピンドルポンプ1を示す図である。スクリュースピンドルポンプ1は、図示される実施形態では2つのスピンドル、つまり、1つのスピンドルプロファイルを有する1つの駆動スピンドル3と1つのスピンドルプロファイルを有する1つの走行スピンドル4とが収容されたスピンドルハウジング2を備える。両方のスピンドルプロファイル、より正確に言えばスピンドル3、4は、公知の方法で互いに噛み合う。このスピンドルパッケージの駆動は、ここでは詳細に図示しない駆動モータ又はその駆動シャフトに結合された駆動スピンドル3によって行われる。このために、駆動シャフトの結合ピン用の差込収容部6を備える結合要素5が利用されており、結合要素5は回転不能に駆動スピンドル3に結合されている。駆動モータは、外側ハウジング7の上又は外側ハウジング7に当接して設置され、これとネジ留めされる。ここで、ほぼ中空円筒形の外側ハウジング7は、図1が示すように、スピンドルハウジング2を完全に収容している。外側ハウジング7は、詳細には図示されていない駆動モータ、より正確に言えばモータハウジングによって、軸方向に見てこの面において閉鎖される。反対側では、蓋部材8が軸方向に外側ハウジング7の上に設置されて、外側ハウジング7及びしたがってポンプ内部をこの面において閉鎖している。好ましくはプラスチック部材である蓋部材8は、軸方向の流体入口接続部9を備えている。すなわちこの吸引側において、搬送対象の流体は、軸方向に吸引される、より正確に言えば導入される。蓋部材8はさらに、横方向に、つまり90度回転した位置に、流体入口接続部9に対して横方向に突出した流体出口接続部10を備える。これによって、加圧下にある流体が横方向に排出される。当然、外側ハウジング7と駆動モータ、より正確に言えばモータハウジングとの間の接続部が、1つ又は複数の密封要素によって対応して密封されているように、蓋部材8の外側ハウジング7との接続部や、スピンドルハウジング2との接続部も密封されている。このために、蓋部材8では、環状フランジ11に軸方向の収容溝12が設けられている。収容溝12の中には、詳細には図示されていない第1の密封要素が配置される。この密封要素は、スピンドルハウジング2の環状フランジ13に対して軸方向に密封するものである。外側ハウジング7に対する密封も同様に、外側ハウジング7に形成され径方向に開口した収容溝14に収容された、詳細には図示されていない密封手段によって行われ、ここでこの収容溝14は、蓋部材8のフランジ15によって径方向に覆われている。このようにして、一方では外側ハウジングの完全な密封と、他方ではスピンドル空間の完全な密封とが実現されているので、加圧下にある容積が吸引領域に還流することは不可能である。外側ハウジング7の上に設置された駆動モータは、これが直接外側ハウジング上に設置されている場合、この面、したがってスピンドル空間のこの面を軸方向に閉鎖するモータプレートを備えている。代替的に、ハウジングプレートが間に配置されていてもよい。これについては後述する。いずれの場合も、この面には、詳細には図示されていない対応する密封要素が設けられる。
【0028】
スピンドルハウジング2と外側ハウジング7との間には、スピンドルハウジング2を360度包囲する流体室16が形成されており、この流体室16に、スピンドルハウジング2から軸方向に、すなわち駆動モータの方向に流出した流体が方向転換して流入する。すなわち、スピンドルハウジング側の流体出口が、流体室と連通している。流体室16は、流体室側から再び流体出口接続部10と連通し、このため、対応する開口部17が蓋部材8に設けられている。この開口部17は、流体室16に向かって開口している。流体室16は、既に加圧下にある流体で充填されるので、この流体は、スピンドルハウジング2の周囲に、場合によっては生じるスピンドルハウジング2の形状変化に反作用する対応する圧力を印加し得る。方向転換は、対応する方向転換用キャビティによって行われる。方向転換用キャビティは、モータハウジングが直接外側ハウジング7上に設置される場合には、ポンプスペースを閉鎖するモータハウジングのハウジング壁に形成されるか、又は、外側ハウジング7とモータハウジングとの間に配置される中間ハウジングプレートに形成される。このハウジングプレートについては、後に、図4図6を参照して詳細に説明する。
【0029】
両方のスピンドル3、4は、軸方向の吸引側において、つまりスピンドルハウジング2への流体入口が設けられている蓋部材8において、フェザーキーの形の支持部材18によって軸方向に支えられているので、ここには、規定のカウンター軸受が形成される。反対方向では、駆動スピンドル3は、モータの駆動シャフトに軸方向に支持される。走行スピンドル4を軸方向に支持するために、プラスチックのスピンドルハウジング2に、ブリッジ20を含む支持装置19が一体成形されている。ブリッジ20には、軸方向に突出した支持ピン21が軸方向に走行スピンドル4に向かって突出している。この軸方向の支持ピン21に対して、走行スピンドル4は、その軸方向の正面22で当接すること、より正確に言えばこれに対して支持されていることが可能である。支持装置19は、記載したように、プラスチックのスピンドルハウジング2に一体成形されている。つまり、スピンドルハウジング2は1つの材料から成る部材であり、本来のスピンドルハウジングを形成するだけでなく、さらに支持装置19も含む。1つの走行スピンドル4だけが備えられているので、このような支持装置19も1つだけ備えられている、より正確に言えば、このような支持ピン21も1つだけ備えられている。
【0030】
また同様に、軸受孔24を有する中央の環状区域23がスピンドルハウジング2に一体成形されている。軸受孔24を通って、詳細には図示されていないモータ側の駆動シャフトが延びており、この駆動シャフトは軸受孔24において径方向に支えられる。この中央の環状区域23から、一方ではブリッジ20がハウジング壁に向かって延びており、他方で、中央の環状区域23をハウジング側において連結する幾つかのさらなるブリッジ25が設けられている。駆動シャフトを収容する軸受孔24は、駆動スピンドル3を収容するスピンドルホールの中心軸線に正確に揃えられているので、駆動シャフト軸受けとスピンドル軸との間、したがって、両方の部材の結合部の内部には、公差が存在しない。したがってアンバランスが生じず、極めて静か、かつ、騒音を生じさせないスピンドルの運動が実現される。
【0031】
図2は、スピンドルハウジング2を、互いに噛み合っていることが明確に示される駆動スピンドル3及び走行スピンドル4と共に示す断面図である。さらに、スピンドルハウジング2に一体成形された支持装置19が、同一のハッチングで示されている。ブリッジ20と軸方向に突出する支持ピン21とが示されている。支持ピン21は、走行スピンドル4に対して軸方向に突出している。さらに、軸受孔24が形成された環状区域23をスピンドルハウジング2に連結する、少なくとも1つのさらなるブリッジ26が示されている。また、駆動シャフト27が原理的に示されている。駆動シャフト27は、ここには詳細には図示されていない駆動モータから軸受孔24を通って延び、結合要素5の中の挿入ピン28に係合している。
【0032】
図3の斜視断面図には、もう一度スピンドルハウジング2が示されているが、ここでは、両方のスピンドルは省かれている。良好に視認できるのは、両方のスピンドルホールであり、一方のスピンドルホール29は駆動スピンドル3を収容するものであり、他方のスピンドルホール30は走行スピンドル4を収容するものである。ここでは、図示されるブリッジ20において、支持ピン21が良好に視認できる。さらなるブリッジ26と軸受孔24を有する中央の環状区域23とがさらに示されている。
【0033】
さらにフェザーキー18が示されている。これについては図2を参照されたい。フェザーキー18をスピンドルハウジング2に固定するために、スピンドルハウジング2は、フェザーキー18が押し込まれる2つの貫通孔31を備えている。貫通孔の中で、フェザーキー18は好ましくは容易に留め固定される。取り付け状態では(図2を参照)、両方のスピンドル3、4は、一方側、つまり吸引側において、フェザーキー18に軸方向に支持される。別の側、つまり加圧側では、駆動スピンドル3は、駆動シャフト27に軸方向に支持されるが、走行スピンドル4は、支持ピン21に支持される。
【0034】
図4は、本発明に係るスクリュースピンドルポンプ1のさらなる実施形態を示す図である。この図では、同一の部材には同一の参照符号が使用されている。この実施形態でも同様に、スピンドルハウジング2が設けられており、その中に、図示される例では3つのスピンドルが収容される。これらはすなわち(図5を参照)、中央に配置された1つの駆動スピンドル3、及び、横方向に180度ずらして配置された2つの走行スピンドル4である。図4では詳細に図示していないが、これらのスピンドルは、それぞれのスピンドルホール29又は30に収容される。
【0035】
さらに、外側ハウジング7も設けられている。外側ハウジング7は、ここでは1つの部品から成る鍋形の外側ハウジングであり、ハウジング壁33によって閉鎖される円筒形の区域32を有している。ハウジング壁33には、軸方向に見て中央に位置する入口接続部9が設けられている。外側ハウジング7には、径方向側方に突出した出口接続部10も設けられている。
【0036】
ここでも、流体室16が設けられている。流体室16は、スピンドルハウジング2と外側ハウジング7との間で、周方向に延びる環状の圧力室として形成され、スピンドルハウジング2、より正確に言えばスピンドルホール29、30の全長にわたって延びている。この流体室16も、出口接続部10と連通すると共に、スピンドルハウジング2の流体出口と連通しているので、流体室16の中に加圧下にある流体が流入し、径方向の圧力がスピンドルハウジング2に加わる。
【0037】
この構成では、外側ハウジング7は、フランジ34を備え、フランジ34にはハウジングプレート35が軸方向に配置されており、ハウジングプレート35の後ろには、詳細には図示されていない駆動モータが配置され、ここでこの構成は、対応する固定ネジ36によってネジ留めされる。ハウジングプレート35は、軸方向に延びる環状フランジ37を備えており、環状フランジ37によって、ハウジングプレート35は外側ハウジング7の円筒形の開口部に係合する。これに関して、鍋形の凹部38がハウジングプレート35に形成されており、その底部には、駆動シャフト27が貫通する軸受孔24が形成されている。凹部38の底部から軸方向に、走行スピンドル4に向かって軸方向に延びる2つの支持装置19が突出している。各支持装置19は、プラスチックから製造されたハウジングプレート35に一体成形されており、比較的幅広の円筒形のベース39を有する。ベース39において、いずれも1つの薄い支持ピン21が軸方向に突出している。支持ピン21上を、各走行スピンドル4が軸方向に走行可能である。この構成は、図6の詳細な拡大断面図に示されている。図6だけでなく図5からも分かるように、凹部38は鍋形に実施されており、底部領域において、丸みを帯びて構成されている。これは、この凹部38によって、軸方向にスピンドルハウジング2の流体出口から流出した流体が、径方向側方に、かつ、軸方向に見て流体室16に還流することになるからである。この丸みを帯びた凹部の構成は、流体エッジや対応する角が存在しないため、径方向外側への誘導及び方向転換を騒音無しに行う場合に有効である。
【0038】
流体の流れは、図5において矢印Pによって示されている。流入は入口パイプ9を介して行われる。流体は、スピンドルパッケージによって軸方向に搬送され、軸方向の加圧側において、方向転換用キャビティとして機能する凹部38の方向に出る。凹部内において、流体(流れ矢印Pを参照)は側方に方向転換し、軸方向に還流することが可能である。ここで流体は、流体室16の軸方向の境界を定めるスピンドルハウジング2の径方向フランジ41に形成された対応する貫通孔40を介して、流体室16に流入することが可能である。ここから流体は、出口接続部10に流れる(流れ矢印Pを参照)。
【0039】
図4図6の構成についてさらに留意すべきは、ここでは、フェザーキー18が軸方向において、スピンドルハウジング2の正面とハウジング壁33の内壁との間に留め固定されており、もちろん、位置ずれ防止手段も周方向に設けられていることである。フェザーキー18は、ここでは十字形に実施されている。これは、径方向側方の出口接続部10を空間的に配置する必要がある場合に、必要に応じてスピンドルハウジング2、したがってスピンドルの向きも、外側ハウジング7に対して90度位置をずらして配置することが可能になる。これは、スピンドル3、4を可能な限り水平に横たえて配置して、スピンドル軸が水平面に平行になるようにするためであり、出来る限り効率の良い搬送運転のために有効である。
【0040】
図4図6の構成でも、駆動スピンドル3及び両方の走行スピンドル4は、軸方向の両側から支えられる。一方の側ではフェザーキー18によって、他方の側では、駆動スピンドル3の場合は駆動シャフト27によって、走行スピンドル4の場合は両方の支持装置19、より正確に言えば支持ピン21によって支えられる。
【0041】
本発明に従って提供される走行スピンドル4の両側の支持は、2スピンドルポンプであろうと3スピンドルポンプであろうと、必要に応じてスピンドルの回転方向を転換することも可能にする。つまり、元の搬送運転において、搬送容積を吸引側から加圧側に搬送する回転方向から、反対の回転方向に切り替えることが可能である。この切替は、様々な運転状態において必要となる場合がある。両側から軸方向に支持することにより、ここでは、各走行スピンドルの軸方向のスピンドルの位置ずれを心配する必要はない。
【0042】
なお、最後に、詳細には図示されていない駆動モータとは、乾式メータ又は湿式メータであり得る。駆動モータが乾式メータである場合、ここでは、単に典型例として示される駆動シャフト27は、軸受孔24内に配置された軸シールに収容され、そのため、流体は駆動シャフト27に沿って流れず、駆動モータに到達し得ない。この面におけるその他の密封は、記載するように、モータのハウジング壁自体、又は、ハウジングプレート35を介して行われる。駆動モータが、流体によって冷却される湿式メータである場合、軸受孔24において駆動シャフト27の周りに軸シールは設けられない。そのため、流体は駆動シャフト27自体に沿って流れることが可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6