(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】スクリュースピンドルポンプ
(51)【国際特許分類】
F04C 2/18 20060101AFI20240307BHJP
F04C 2/16 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
F04C2/18 311C
F04C2/16 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022197440
(22)【出願日】2022-12-09
【審査請求日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】10 2021 133 112.9
(32)【優先日】2021-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515051102
【氏名又は名称】ライストリッツ プムペン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン・メッツ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティン・リッセク
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン・ポップ
【審査官】山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-542605(JP,A)
【文献】特開2021-088988(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0262465(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 2/18
F04C 2/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリュースピンドルポンプであって、
駆動スピンドル(3)と前記駆動スピンドル(3)に噛み合った少なくとも1つの走行スピンドル(4)とがスピンドルホール(28)の中に収容されているスピンドルハウジング(2)と、
前記スピンドルハウジング(2)を包み込み、軸方向の入口接続部(6)及び径方向の出口接続部(9)を備える外側ハウジング(5)と、を備える、スクリュースピンドルポンプにおいて、
前記スピンドルハウジング(2)は、前記駆動スピンドル(3)及び前記走行スピンドル(4)によって前記スピンドルハウジング(2)中を搬送された流体用の軸方向の流体排出部を備え、前記流体排出部は、前記スピンドルハウジング(2)と前記外側ハウジング(5)との間に形成された360度にわたって延びる流体室(10)と連通しており、前記流体室(10)は、前記径方向の出口接続部(9)と連通している、スクリュースピンドルポンプ。
【請求項2】
前記流体室(10)は、前記スピンドルホール(28)の少なくとも半分の長さにわたって延びていることを特徴とする、請求項1に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項3】
前記流体室(10)は、2つの径方向フランジ(16,19)であって、一方の前記径方向フランジ(19)が前記流体室(10)を前記スピンドルハウジング(2)の前記流体排出部に接続する多数の軸方向の貫通孔(15)を備えている、2つの径方向フランジ(16,19)によって軸方向に境界が定められているか、又は、前記流体室は、一方において、前記流体室(10)を前記スピンドルハウジング(2)の前記流体排出部に接続する多数の軸方向の貫通孔(15)を備える1つの径方向フランジ(19)と、他方において蓋部材(40)と、によって軸方向に境界が定められていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項4】
前記外側ハウジング(5)の上に設置され、駆動モータ(11)を接続するように構成された中間部材(33)が設けられており、前記中間部材(33)には、前記スピンドルハウジング(2)の前記流体排出部から来た流体を前記流体室(10)の方に方向転換する1つ又は複数の方向転換用キャビティ(14)が設けられていることを特徴とする
、請求項
1~3のいずれか1項に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項5】
前記外側ハウジング(5)の上に設置された駆動モータ(11)のハウジング(23)に、前記スピンドルハウジング(2)の前記流体排出部から来た流体を前記流体室(10)の方に方向転換する1つ又は複数の方向転換用キャビティ(14)が設けられていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項6】
前記1つの方向転換用キャビティ(14)は、環状溝又は鍋形凹部であり、前記環状溝又は鍋形凹部は、溝又は凹部の床の領域が丸みを帯びて構成されていることを特徴とする、請求項4又は5に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項7】
前記流体室(10)は、1つ又は複数の密封要素(18,20,36,43,45)によって、外側ハウジング(5)に対して密封されていることを特徴とする
、請求項
1~6のいずれか1項に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項8】
第1の密封要素(18)が、前記入口接続部(6)に隣接した前記スピンドルハウジング(2)又は前記外側ハウジング(5)の前記径方向フランジ(16)に形成された収容溝(25)の中に収容され、前記スピンドルハウジング(2)を前記外側ハウジング(5
)に対して密封すると共に、第2の密封要素(20)が、前記中間部材(33)の収容溝(36)の中に収容され、前記中間部材(33)を外側ハウジング(5)に対して密封しているか、又は、第2の密封要素(20)が、前記駆動モータ(11)のモータハウジング(23)の収容溝(32)の中に収容され、前記モータハウジング(23)を前記外側ハウジング(5)に対して密封していることを特徴とする、請求項3、及び請求項4、5、又は6、及び請求項7に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項9】
第1の密封要素(43)が、前記スピンドルハウジング(2)又は前記蓋部材(40)に形成された収容溝(42)の中に収容され、前記スピンドルハウジング(2)を前記蓋部材(40)に対して密封し、第2の密封要素が、前記外側ハウジング(5)又は前記蓋部材(40)に形成された収容溝(44)に収容され、前記外側ハウジング(5)を前記蓋部材(40)に対して密封すると共に、第3の密封要素(20)が、前記中間部材(33)又は前記外側ハウジング(5)の収容溝(36)に収容され、前記中間部材(33)を前記外側ハウジング(5)に対して密封しているか、又は、第3の密封要素(20)が、前記駆動モータ(11)のモータハウジング(23)の収容溝(32)の中に収容され、前記モータハウジング(23)を前記外側ハウジング(5)に対して密封していることを特徴とする、請求項3、及び請求項4、5、又は6、及び請求項7に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項10】
前記スピンドルハウジング(2)、前記外側ハウジング(5)、前記中間部材(33)、及び/又は、前記蓋部材(40)は、プラスチックから成ることを特徴とする
、請求項
1~9のいずれか1項に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項11】
駆動モータ(11)が設けられており、前記駆動モータ(11)は、駆動シャフト(12)により前記駆動スピンドル(3)に結合され、前記駆動モータ(11)は、前記駆動シャフト(12)が軸シールによって径方向に密封された乾式メータとして実施されているか、又は、前記スピンドルハウジング(2)から軸方向に排出された流体の一部が前記駆動シャフト(12)に沿って前記駆動モータ(11)に流入する湿式メータとして実施されていることを特徴とする
、請求項
1~10のいずれか1項に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項12】
1つの中央の駆動スピンドル(3)と、前記駆動スピンドル(3)の両側に配置された2つの走行スピンドル(4)とが設けられていることを特徴とする、請求項
1~11のいずれか1項に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項13】
前記入口接続部(6)は、前記駆動スピンドル(3)及び1つ又は2つの前記走行スピンドル(4)を含むスピンドルパッケージの中心軸線に揃えて配置されていることを特徴とする
、請求項
1~12のいずれか1項に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項14】
請求項
1~13のいずれか1項に記載のスクリュースピンドルポンプ(1)の、自動車において作動液を搬送するための使用。
【請求項15】
前記スクリュースピンドルポンプ(1)は、具体的にはエネルギー貯蔵装置の冷却に作用する冷媒を搬送するための冷媒ポンプとして使用されることを特徴とする、請求項14に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動スピンドルとこれに噛み合った少なくとも1つの走行スピンドルとがスピンドルホール内に収容されているスピンドルハウジングと、スピンドルハウジングを包み込み、軸方向の入口接続部及び径方向の出口接続部が設けられた外側ハウジングと、を備えるスクリュースピンドルポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
このようなスクリュースピンドルポンプは、流体を搬送するように機能し、非常に様々な領域において使用されている。例としては、自動車の燃料、又は他の作動液若しくは供給液、例えば冷媒若しくは洗剤、の搬送が挙げられる。他の陸上車、又は、例えば飛行機若しくはドローンといった航空機においても、このようなスクリュースピンドルポンプが使用可能であり、その適用可能例は限定されない。このようなスクリュースピンドルポンプは、スピンドルハウジングを備える。スピンドルハウジングは、内側ハウジングとも呼ぶことが可能であり、その中に、少なくとも2つのスピンドル、すなわち1つの駆動スピンドル及び1つの走行スピンドルがそれぞれ、互いに隣り合っているが交差したスピンドルホール内に収容されている。駆動スピンドル及び走行スピンドルは、いずれも1つのスピンドルプロファイルを備え、これら両方のスピンドルプロファイルは互いに噛み合っている。駆動スピンドルは、駆動モータと接続されており、能動的に回転されることが可能であるので、走行スピンドルが噛み合いながら回転することになる。スピンドルの回転により、流体が搬送される搬送容積が、スピンドルの縦軸方向に連続的に移動される。スピンドルハウジングは、外側ハウジング内に収容されている。外側ハウジングは、例えば鍋形であることが可能であり、一方の面は軸壁を介して閉鎖されていることが可能であり、他方の面には例えば駆動モータがフランジ接続されている。しかしながら、外側ハウジングが複数の部品から成り、円筒形のベース部を有していることも想定可能である。このベース部は、一方の面が蓋を介して閉鎖されるが、他方の面には同じく駆動モータがフランジ接続される。外側ハウジングは、軸方向の入口接続部、つまり供給管を接続可能な対応する接続パイプを有しており、これによって吸引側が規定される。さらに、径方向の出口接続部、つまり対応する出口パイプが備えられており、これによって加圧側が規定される。搬送された流体は、ここから、ポンプによって生成可能な各圧力によって排出される。このようなポンプは、例えばドイツ国第10 2018 131 587 A1号公報に記載されている。
【0003】
この公知のポンプには、外側ハウジングの外側中心に設けられた軸方向の入口接続部が備えられており、この入口接続部を介して流入が行われる。そして流体は、まず横方向にスピンドルハウジングの軸方向の流入口の方向に流れ、これを通って搬送され、スピンドルハウジングを径方向のハウジング孔から出る。ここから、流体は、スピンドルハウジングと外側ハウジングの間の狭い接続スペースを介して径方向の出口接続部に流れる。スピンドルハウジングの径方向の排出孔の領域、及び狭い連結スぺース、つまり蓋側の領域において、搬送された流体には対応する高いポンプ圧力が印加され、このため局所的に高い圧力が、スピンドルハウジング、より正確に言えば、狭い連結スぺースが配置された中間ハウジング領域に加わる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、これに対して改善されたスクリュースピンドルポンプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題を解決するために、本発明によれば、導入部分に記載のスクリュースピンドルポンプが提供される。このスクリュースピンドルポンプでは、スピンドルハウジングが、駆動スピンドル及び走行スピンドルによってスピンドルハウジング中を搬送された流体用の軸方向の流体排出部を備え、流体排出部は、スピンドルハウジングと外側ハウジングとの間に形成された360度にわたって延びる流体室と連通しており、この流体室は、径方向の出口接続部と連通している。
【0006】
本発明に係るスクリュースピンドルポンプの特に有利な点は、径方向の流体室がスピンドルハウジングと外側ハウジングとの間に設けられており、360度にわたってスピンドルハウジングの周りを延びて、つまり環状室としてスピンドルハウジングを包囲している点である。この環状の流体室は加圧側にあり、流体室にはスピンドルハウジングから流出した加圧下にある流体が供給されるため、流体室は、つまり圧力室である。この流体はスピンドルハウジングから軸方向に流出する、すなわち、対応する大きさの軸方向の流体排出口がスピンドルハウジングに設けられているので、スピンドルパッケージに軸方向に沿って搬送された流体は、容易に軸方向に流出することができる。いかなる径方向孔又は同様の構成も、スピンドルハウジング側に設ける必要はない。スピンドルハウジングの軸方向の流体排出部は、径方向の流体室、すなわち圧力室と連通している。これは、加圧下にある流体が、好適に方向転換されて、径方向の流体室に供給されることを意味している。
【0007】
記載したようにこの径方向の流体室又は圧力室が、内側ハウジングを完全に、つまり360度にわたって包囲しているので、内側ハウジングの周りの全ての面に、対応するポンプ圧力が印加される点が特に有利である。すなわち、最終的にほぼ対称の圧力比が、スピンドルハウジングに与えられる、より正確に言えばこれに印加される。これによって、一方では、従来技術から公知のような、非対称の圧力分布により生じるような局所的な過剰圧力が回避される。他方で、スピンドルハウジングにおいても形成される流体圧力によって、わずかではあるが生じるスピンドルハウジングの変形も回避される。なぜなら、スピンドルハウジングには、上述のように径方向外側に、流体室において生じる流体圧力が印加されるので、スピンドルハウジングが安定化されるからである。すなわち、本発明の特に有利な点は、内側ハウジングを安定化させる対応する径方向圧力を形成する流体被覆が実現される点である。これは、具体的にはスピンドルハウジングが柔らかい材料、例えばプラスチックから製造されている場合に都合がよい。これは、小型であるがそれでも対応して高いポンプ圧力を生成可能なスクリュースピンドルポンプの場合に当てはまる。
【0008】
本発明によれば、提供される流体室は、一方では上述のように、360度にわたってスピンドルハウジングの周りを延びている。他方で、流体室は、スピンドルハウジングをその軸方向の長さの少なくとも一部にわたって包囲している必要がある。ここで流体室は、スピンドルホール、より正確に言えばスピンドルハウジングの少なくとも半分の長さ、場合によってはそれ以上にわたって延びており、例えばスピンドルホール、より正確に言えばスピンドルハウジングの長さの約2/3にわたって延びている。流体室がスピンドルホール又はスピンドルハウジングの全長にわたって延びていることも想定可能である。特に、場合によっては生じる流体騒音を低減させるために有効である、流体がスピンドルハウジングから軸方向に流出することと、流体が流体室の方向に方向転換する必要があることとにより、流体室は結局、スピンドルハウジングの加圧側の端部において始まり、そして軸方向にみて吸引側の端部に向かって延びている。ここで流体室は、スピンドルハウジングの少なくとも半分の長さ、好ましくはそれ以上にわたって延びている。
【0009】
スピンドルハウジングは、外側ハウジング内に対応して配置されている必要があると共に、当然ながら流体室が、軸方向に見て対応して密封されていなければならない。これに対して、異なる構成選択肢も想定可能である。第1の代替例によれば、流体室は、2つの径方向フランジであって、そのうちの一方の径方向フランジが、流体室をスピンドルハウジングの流体排出部と接続する多数の軸方向の貫通孔を備えている、2つの径方向フランジによって軸方向に境界が定められていることが可能である。これらの径方向フランジによって、スピンドルハウジングは外側ハウジング内に収容され、径方向に支持される。加圧側に設けられた径方向フランジは、対応する貫通孔を有している。貫通孔により、スピンドルハウジングから軸方向に流出する流体が、その方向転換後に軸方向にいわば戻るように流体室に流入可能となる。この面における密封は当然不要である。その反対に、他方のいわば吸引側に設けられた径方向フランジは、密封する機能を有し、このため、この領域において、スピンドルハウジングを外側ハウジングに対して密封する1つ又は複数の好適な密封手段が設けられている。したがって、流体室もこの吸引側端部に対して密封される。
【0010】
2つの径方向フランジを形成することに対する代替案として、流体室を、一方において、流体室をスピンドルハウジングの流体排出部に接続する複数の軸方向の貫通孔を有する径方向フランジと、他方において蓋部材とによって、軸方向に境界付けることも想定可能である。ここでは、上述の実施形態のように軸方向の貫通孔を有する、加圧側に設けられた径方向フランジだけを使用して、搬送された加圧下にある流体を流体室に還流させることを可能とする。流体室の別の側は、外側ハウジングの円筒形のベース部の上に設置された蓋部材により閉鎖される、より正確に言えば境界が定められている。第1の変形例では、吸引側の径方向フランジが流体室の境界を定める機能を有しているが、第2の変形例では、軸方向の流体室の境界を定めることは、蓋部材によって実現される。
【0011】
記載したように、スピンドルハウジングから軸方向に流出する流体を方向転換させ、径方向外側に向けて流体室に還流させる必要がある。流体排出部は、最終的に、外側ハウジングに、好ましくは中心で、より正確に言えば芯揃えされて収容されたスピンドルハウジングの軸方向に開口した側に形成されている。容易に方向転換及び還流を実現するために、有効な一発展形態では、外側ハウジングの上に設置され、駆動モータを接続するように構成された中間部材を配置することが提供される。ここで、中間部材には、スピンドルハウジングの流体排出部から来た流体を流体室の方に方向転換する1つ又は複数の方向転換用キャビティが設けられる。この中間部材は、アダプタ又はアダプタフランジとも呼ぶことが可能であり、一方では外側ハウジングの上に軸方向に設置され、これに固定される。他方で、この中間部材は、中間部材の上に軸方向に設置された駆動モータ用の取付インターフェースも形成する。駆動モータは、駆動シャフトが中間部材を通って延び、駆動シャフトをスピンドルパッケージの駆動スピンドルと結合させる好適な結合部まで延びている。この中間部材には、本発明によれば、1つ又は複数の方向転換用キャビティ、つまり1つ又は複数のリセス又は凹部又はスペースが設けられている。1つ又は複数の方向転換用キャビティには、スピンドルハウジングから軸方向に流れる流体が流入し、当該方向転換用キャビティは、ほぼ径方向外側に延び、再び流体室と、例えばスピンドルハウジングの加圧側の径方向フランジに形成された複数の貫通孔を介して連通している。この1つ又は複数の方向転換用キャビティにより、軸方向に流出する流体が、ほぼ全周にわたって径方向外側に方向転換し、軸方向に再び流体室の方に方向転換することが可能になり、その結果、流体室への流入が局所的でなく、最終的には流体室の全周で行われる。
【0012】
ここで中間部材は、駆動モータに対して、より正確に言えば、中間部材を通って延びる駆動シャフトに対して、密封されていることが可能である。これは、軸シールによって可能であるので、駆動モータを冷却するために流体を駆動モータに流すことは行われない。この場合、駆動モータは乾式メータである。密封されていない場合、すなわち軸シールが設けられていない場合、流体のわずかな部分が駆動モータに流入し、そこを循環し、再び還流することが可能であり、これによって同時にモータを冷却することが可能である。この場合、駆動モータは湿式メータである。
【0013】
しかしながら、このような中間部材を間に配置することは必須ではない。なぜならば、代替的に、外側ハウジングの上に設置される駆動モータのハウジングに、スピンドルハウジングの流体排出部から来る流体を流体室に方向転換する1つ又は複数の方向転換用キャビティを設けてもよいからである。この場合、モータハウジングは、直接外側ハウジングに設置され、これと連結され、スピンドルハウジングから流出する流体は直接、1つ又は複数の方向転換用キャビティが形成されたモータハウジングに対して流れる。ここでも、駆動モータを乾式メータとして実施することが可能であり、この場合、モータハウジングから導かれる駆動シャフトは、この面において軸シールによって密封される。湿式メータとして実施する際には、そこに軸シールは設けられず、流体のわずかな部分が冷却目的で駆動モータに流入することが可能である。
【0014】
好ましくは、環状溝又は鍋形凹部の形の方向転換用キャビティが設けられており、環状溝又は鍋形凹部は、溝又は凹部の床の領域が丸みを帯びて構成されている。すなわち、中間部材、又は、モータハウジングの正面は、全面における流体の方向転換を可能にする、対応する環状の、360度にわたって周方向に延びる環状溝又は窪んだ、より正確に言えばドーム状の凹部を有して構成されている。これによって、流体室に流体が対称に流れることを容易に確保可能である。当然ながら、軸方向及び径方向に延びるブリッジが、例えば安定化の目的で設けられている場合には、溝又は凹部は、このようなブリッジによって個々の溝区域に分割されることも可能である。
【0015】
上述のように、流体室自体は、1つ又は複数の密封要素によって、外側ハウジングに対して密封されている。この1つ又は複数の密封要素は、ハウジング構成に応じて異なる位置に設けられていてもよい。流体室の境界が、軸方向の吸引側端部において、スピンドルハウジングの径方向フランジによって定められている場合、第1の密封要素が、入口接続部に隣接するスピンドルハウジング又は外側ハウジングの径方向フランジの収容溝に収容され、スピンドルハウジングを外側ハウジングに対して密封することが可能である。第2の密封要素は、加圧側を密封するように機能する。ここでは異なる変形例を想定可能である。したがって、第2の密封要素は、中間部材の収容溝に収容され、中間部材を外側ハウジングに対して密封することが可能である。このような密封要素を使用せず、駆動モータを直接外側ハウジングにフランジ接続する場合、第2の密封要素は、駆動モータのモータハウジングの収容溝の中に収容され、モータハウジングを外側ハウジングに対して密封することが可能である。密封要素としては、好適なエラストマーから成るガスケットが使用されることが都合がよい。
【0016】
吸引側において、密封又は軸方向の境界付けが径方向フランジではなく、蓋部材を介して行われる場合、代替的な一ポンプ形態では、第1の密封要素が、スピンドルハウジング又は蓋部材に形成された収容溝に収容され、スピンドルハウジングを蓋部材に対して密封することが可能である。これによって、蓋部材とスピンドルハウジングとの間に第1の密封平面が実現される。さらに、第2の密封要素が、外側ハウジング又は蓋部材に形成された収容溝の中に収容されて、外側ハウジングを蓋部材に対して密封することが可能である。これによって、蓋部材と外側ハウジングとの間に第2の密封平面が実現される。
【0017】
加圧側を密封するためには、先行する実施形態に関して既に説明したように、ここでも2つの変形例を想定可能である。第3の密封要素が、中間部材又は外側ハウジングの収容溝の中に収容され、中間部材を外側ハウジングに対して密封することが可能である。このような中間部材を使用しない場合、第3の密封要素は、駆動モータのモータハウジングの収容溝に収容され、モータハウジングを外側ハウジングに対して密封することが可能である。
【0018】
上述のように、本発明によれば、流体室によって実現された流体被覆又は圧力被覆により、スピンドルハウジングに全面的な径方向の安定化圧力を、狙いを定めて生成することが可能になり、スピンドルハウジングにおける公差の拡大、又は、運転に応じて場合によっては生じるわずかな形状変動が回避される。これは具体的には、本発明による構成のように、スピンドルハウジングがプラスチックから製造されている場合であり得る。追加的又は代替的に、外側ハウジング、中間部材、又は、蓋部材を、プラスチックから製造することも想定可能である。すなわち、全てのハウジングに関連する部品をプラスチックから製造することが可能であり、さらに、スピンドル自体をプラスチックから製造することも基本的には可能である。しかしながら、少なくともスピンドルは金属から成ることが好ましい。
【0019】
上述のように、スクリュースピンドルポンプは、駆動モータを有していることが可能である。駆動モータは、駆動シャフトが駆動スピンドルに結合されており、駆動スピンドルが軸シールによって径方向に密封された乾式メータとして実施されているか、又は、スピンドルハウジングから軸方向に排出された流体の一部が駆動シャフトに沿って駆動モータに流入する湿式メータとして実施されている。
【0020】
スクリュースピンドルポンプは、1つの駆動スピンドル及びこの横に配置された1つの走行スピンドルだけを含む2スピンドルポンプであり得る。代替的に、スクリュースピンドルポンプが、中央に配置された1つの駆動スピンドルとその両側に180度ずらして配置された2つの走行スピンドルとを含む3スピンドルポンプであることも想定可能である。本発明に係る流体室すなわち圧力室が内側ハウジングの周りに形成された、異なる種類のポンプも実現可能である。
【0021】
さらに、入口接続部が、駆動スピンドル及び1つ又は2つの走行スピンドルを含むスピンドルパッケージの中心軸線に揃えられて配置されていてもよい。すなわち、入口パイプが、スピンドルパッケージの中心軸線のほぼ軸方向の延長部分に配置されている。2スピンドルのスクリュースピンドルポンプでは、この中心軸線は、最終的には、駆動スピンドルと走行スピンドルとの間の真ん中にある。3スピンドルポンプの場合には、この中心軸線は、中央に配置された駆動スピンドルの長手方向軸線上にある。この構成により、流入して軸方向に吸引された流体を、外側ハウジングの内部で、場合によっては流体騒音を伴ってスピンドルハウジングの方に方向転換させる必要が無いことが特に有利な点である。むしろ、入口接続部からスピンドルハウジングに直接軸方向に流入させることが可能である。
【0022】
スクリュースピンドルポンプ自体に加えて、本発明はさらに、上述した種類のスクリュースピンドルポンプの、自動車において作動液を搬送するための使用に関する。この作動液は、任意の性質のものであり得る。これは例えば、ポンプによって搬送される洗浄液、例えばガラス洗浄液であり得る。代替的に、かつ、本発明に係る好ましい一用途は、スクリュースピンドルポンプの、冷媒を搬送する冷媒ポンプとしての使用である。冷媒とは、任意の流体冷媒であり得る。この使用は、具体的には、エネルギー貯蔵装置の冷却に作用する冷媒を搬送するための使用に関する。このようなエネルギー貯蔵装置は、電動式に駆動される自動車において益々使用されており、対応する形状の牽引用電池又は駆動電池の形で設けられている。このエネルギー貯蔵装置は、対応する冷媒による冷却を必要とする。この冷媒は、本発明に係るスクリュースピンドルポンプによって、必要な量だけ単純かつ容易に搬送可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明のさらなる利点及び詳細を、以下の実施形態に基づき、かつ、添付の図面を参照することにより説明する。以下の図面は概略図である。
【
図1】第1の実施形態の本発明に係るスクリュースピンドルポンプの原理を示す断面図である。
【
図2】流れ矢印を記入した、
図1のスクリュースピンドルポンプを示す図である。
【
図3】
図1及び
図2のスクリュースピンドルポンプを示す分解図である。
【
図4】さらなる一実施形態の本発明に係るスクリュースピンドルポンプの一部を示す部分斜視断面図である。
【
図5】この実施形態において設けられる中間部材を示す、
図4の構成の一部の縦断面図である。
【
図7】さらなる一実施形態の本発明に係るスクリュースピンドルポンプの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、第1の実施形態における、本発明に係るスクリュースピンドルポンプ1を示す図である。スクリュースピンドルポンプ1は、スピンドルハウジング2を含み、スピンドルハウジング2内には、図示される例では3つのスピンドル、すなわち1つの駆動スピンドル3と、駆動スピンドル3の隣に横方向に180度ずらして配置された2つの走行スピンドル4とが、互いに交差した対応するスピンドルホール内に収容されている。
図1に示されるように、全てのスピンドルは、互いに係合すると共に互いに噛合する対応するスピンドルプロファイルを有している。
【0025】
スピンドルハウジング2は、鍋形の外側ハウジング5内に収容されており、外側ハウジング5には、ここでは中央に、駆動スピンドル3の長手方向軸線に揃えて配置された、ここでは1つの入口接続部6、つまり対応する接続用パイプが設けられている。外側ハウジング5又はその径方向フランジ7に対して、駆動スピンドル3と走行スピンドル4とから成るスピンドルパッケージが軸方向に、支持要素、ここではフェザーキー8を介して支持されている。
【0026】
外側ハウジング5には、さらに、径方向の出口接続部9、ここでも接続用パイプが設けられている。入口接続部6を介して吸引され加圧された状態にある流体は、この出口接続部9を介して再び径方向に排出される。
【0027】
図1に明示されるように、スピンドルハウジング2は、その構成要素と共に、鍋形の外側ハウジング5の内部に収容されている。内側ハウジング2の外壁と外側ハウジング5の内壁との間には、周方向に360度延びる流体室10が設けられている。流体室10は、
図1に示されるように、スピンドルハウジング2の、より正確に言えばスピンドルホールの長さの半分以上にわたって延びている。この流体室10には、スピンドルハウジング2の軸方向の流体排出部を出た加圧下にある流体が到達する、すなわち、スピンドルハウジング2の左側端部にある軸方向の流体排出部は、流体室10と連通している。流体室10は、流体室側から再び出口接続部9と連通している。
【0028】
さらに、ここでは単に典型例として示される駆動モータ11が設けられている。駆動モータ11は、ここでは、外側ハウジング5の上に直接設置され、そこで好適な固定ネジによって固定されている。同じく単に典型例として示される駆動シャフト12によって、駆動モータ11は、結合要素13を介して駆動スピンドル3と結合されている。そのため、駆動スピンドル3は、駆動モータ11を介して能動的に回転されることが可能であり、これによってスピンドルパッケージ全体が回転し、入口接続部6において吸引された流体を軸方向に搬送する。
【0029】
上述のように、流体は、この構成では加圧側端部が単純に軸方向に開口しているスピンドルハウジングの軸方向の流体排出部から流出する。流体が、搬送方向に対して軸方向に戻る位置にある流体室の中に到達し得るために、図示される例では、方向転換用キャビティ14が設けられている。方向転換用キャビティ14は、図示される例では、駆動モータ11の、スピンドルハウジング2に対向するハウジング壁に直接形成されている。後に詳細に説明するこの方向転換用キャビティ14は、例えば、周方向に延びる環状溝として形成されており、床側において湾曲して又は丸みを帯びて実施されているので、ほぼ中央に流入した流体は、横方向に向かって径方向外側に方向転換し、戻る方向に搬送される。こうして流体は、スピンドルハウジング2の径方向フランジ19に形成された対応する貫通孔15を介して、流体室10に入ることが可能である。
【0030】
流体室10は、吸引側端部において、スピンドルハウジング2の径方向フランジ16によって軸方向に境界が定められている。径方向フランジ16は、一方では外側ハウジングのハウジング肩部17に軸方向に支えられている。他方で、径方向フランジ16は、外側ハウジング5の内壁まで延びており、これに対して密封要素18を介して密封されているので、流体室10は、この端部では閉鎖及び密封されている。反対側の加圧側端部にも同様に、径方向フランジ19が設けられているが、この径方向フランジ19には、上述の貫通孔15が形成されているので、流体室10は、この加圧側に向かって開口しており、加圧下にある流体は方向転換用キャビティ14を介して流体室10の中に流入可能である。この面における密封は、外側ハウジング5とモータハウジングとの間において、好適な密封要素20によって行われ、全体として流体密封されたカプセル化が実現される。
【0031】
動作中は、駆動スピンドル3が駆動モータ11によって駆動されて、スピンドルパッケージ全体が回転する。入口接続部6を介して吸引された流体は、スピンドル3、4のスピンドルプロファイルが互いに噛み合うことによって軸方向に搬送され、その結果、軸方向に移送される搬送容積が生成され、スピンドルパッケージに沿った流体の搬送が可能になる。
【0032】
この流体は、スピンドルハウジング2の加圧側端部において軸方向に流れ出る。これは、目立った流体騒音が生じないため、可能な限り騒音が少ない運転であるという点において都合がよい。その後、流体は、上述の例えば環状溝又は窪んだ凹部のような方向転換用キャビティ14の中に直接流入し、これによって、一方では径方向外側に方向転換して軸方向に戻る、すなわちスピンドルパッケージの搬送方向の反対方向に方向転換する。流体は、貫通孔15を介して、流体室10の中に流入し、これを介して出口接続部9に入り、そこから排出される。
【0033】
流体室10には、記載したようにポンプ圧力が存在する。すなわち、このスピンドルハウジング2の全面を包囲する流体室10において、スクリュースピンドルポンプ1によって生成され得る排出圧力が存在する。スピンドルハウジング2が圧力室とも呼ぶことが可能な流体室10によって包囲されている範囲において、この圧力は、スピンドルハウジング2の全ての面に径方向に作用する。上述のように、この流体室10は、少なくともスピンドルハウジング2の半分の長さ、好ましくはそれ以上にわたって延びているので、スピンドルハウジング2の、場合によっては生じる圧力による形状変化、より正確に言えば公差外れに対する可能な限りの安定性が提供される。これは、具体的には、スピンドルハウジング2がプラスチック、つまり金属よりも少々柔らかい材料から製造されている場合に当てはまる。
【0034】
図2は、
図1と同じ図であるが、ここでは、流体の流れを示すために、対応する流れ矢印が記入されている。
図2が示すように、流体、例えば、水、燃料、冷媒、又は同様のものは、入口接続部6において吸引され、スピンドルパッケージによって、軸方向にスピンドルハウジング2を通って搬送される。流体は、開口されたスピンドルハウジング2の加圧側の端部において流出して方向転換用キャビティ14に到達し、そこで流体は、上述した底部側が丸みを帯びた方向転換用キャビティの形状に支援されて、径方向外側に、かつ、流入方向に対向して方向転換される。したがって流体は、貫通孔15を通って軸方向に流体室10の中に還流することができ、流体室10は全面を流体で充填される。そしてこの流体室10から、流体は出口接続部9に到達し、そこから加圧された状態で流出する。
【0035】
図3は、
図1及び
図2のスクリュースピンドルポンプ1を示す分解図である。右から、軸方向の入口接続部6と径方向の出口接続部9とを備える外側ハウジング5が示されており、外側ハウジング5は、取付状態において、駆動モータ11に対向する端部に取付フランジ21を備える。取付フランジ21は、駆動モータのモータハウジング23における対応する取付フランジ22に好適な固定ネジ24で固定される。
【0036】
続いて、駆動スピンドル3及び走行スピンドル4が軸方向に支持された、ここでは十字形のフェザーキー8が示されている。フェザーキー8を十字形に構成することにより、スピンドルハウジング2を、外側ハウジング5に対して90度ずれた2つの向きに取り付けることが可能となり、両方の取付位置のそれぞれにおいて、スピンドル3、4はフェザーキー8に軸方向に支持される。
【0037】
さらに、径方向フランジ16を備えるスピンドルハウジング2が示されている。径方向フランジ16には、密封要素18が収容される対応する収容溝25が形成されている。密封要素18は、取り付け状態において、外側ハウジング5に対して密封する。スピンドルハウジング2を外側ハウジング5に接続することは、対応する接続ネジ26によって行われる。接続ネジ26は、径方向フランジ16に形成された対応する孔27に係合し、外側ハウジング5の詳細には示されていないネジ孔にねじ込まれる。
【0038】
さらに、
図3に示されるように互いに交差したスピンドルホール28に挿入される、駆動スピンドル3及び両方の走行スピンドル4が示されている。
【0039】
さらに、結合要素13が示されている。結合要素13は、駆動スピンドル3の軸方向の正面にある対応する収容部に回転不能に設置され、駆動モータ11の駆動シャフト12の差込ピン29が係合する対応する差込収容部28を有しており、そのため、駆動シャフト12と駆動スピンドル3との回転不能な接続が提供される。さらに、軸方向に突出したピンの形をした2つの支持軸受30が示されている。支持軸受30は、モータハウジング23に設けられている。これらの支持軸受30は、両方の走行スピンドル4を軸方向に支持するように、より詳細に言えば軸受けするように機能する。さらに、モータハウジング23に形成された軸方向フランジ31が示されている。軸方向フランジ31は、外側ハウジング5に対して密封する密封要素20が挿入される対応する径方向溝32を備える。
【0040】
流体室10は、記載したように、吸引側において径方向フランジ16によって境界が定められている。径方向フランジ19も示されている。しかし、径方向フランジ19は貫通孔15を介して開口しているので、流体は、モータハウジング23において簡略に示されている方向転換用キャビティ14から流体室10の中に流入可能である。
【0041】
図4は、さらなる一実施形態の本発明に係るスクリュースピンドルポンプの一部を示す図であり、この構造は
図1~
図3の構成に対応している。ここでも、軸方向の入口接続部6と径方向の出口接続部9とを備える外側ハウジング5、及び、駆動スピンドル3と2つの走行スピンドル4とが中に備えられたスピンドルハウジング2が設けられている。また同様に、流体室10も、内側ハウジング2と外側ハウジング5との間に構成されている。流体室10は、スピンドルハウジング2の周りを360度にわたって、かつ、軸方向に見てスピンドルハウジングの長さの少なくとも半分にわたって延びている。また、吸引側では対応する径方向フランジ16と、溝25内に収容された密封要素18とによって、密封が行われている。
【0042】
上述した構成と異なり、ここでは、モータハウジング23が直接外側ハウジング5の取付フランジ21の上に設置されているのではなく、この変形例では、取付フランジ21と取付フランジ22との間に設置された中間プレートの形の中間部材33が設けられている。この中間部材33は、中間部材33を外側ハウジング5に軸方向に係合させる対応する軸方向フランジ34を備え、中間部材33には、環状溝又はドーム状の形の方向転換用キャビティ14が形成されている。駆動モータ11は、その駆動シャフト12が、この中間部材に形成された対応する孔を貫通し、上述したように、結合要素13を介して駆動スピンドル3と結合されている。
【0043】
したがって、この発明変形例では、流体の方向転換は、方向転換用キャビティ14が形成されたプレート状の中間部材33によって実現される。方向転換用キャビティ14はここでも、流体が径方向外側に搬送され、供給方向に対して方向転換するように形成されており、これによって、流体がスピンドルハウジング2の径方向フランジ19に形成された対応する貫通孔15を通って流体室10に流入可能であり、流体室10において対応する安定化圧力を形成可能になっている。
【0044】
図5及び
図6は、プレート状の中間部材33を示す、90度ずらした2つの断面図である。この中間部材は、図示されるように、対応する固定ネジ35によって外側ハウジング5の取付フランジ21にネジ留めされており、この構成では、密封要素20が、軸方向フランジ34に形成された対応する環状溝36の中に収容されており、径方向に外側ハウジング5に対して密封している。
【0045】
さらに、駆動シャフト12が係合する中央の孔37が示されている。ここでも、中間部材33はモータ軸受けの機能を有している。この機能に従い、駆動シャフトは最終的にこの孔37の中でも支持される、より正確に言えば誘導される。この孔37に軸シールの形の密封要素が設けられている場合、方向転換用キャビティ14の中に流入する流体が、駆動シャフト12に沿って軸方向に流されることが回避され、この場合、駆動モータ11は乾式メータであり得る。孔37の中に軸シールが無い場合、流体のわずかな部分が軸方向に駆動シャフト12に沿って駆動モータ11に流入し、これを冷却することが可能である。
【0046】
図5に示される断面図では、流体の方向転換を促す丸みを帯びた床面38を有する環状又はドーム状の方向転換用キャビティ14が明確に視認できる。ここで、この断面は駆動スピンドル3を通って延びているが、走行スピンドル4は通っていない。
【0047】
90度回転させた断面図が
図6に示されている。ここで、この断面は走行スピンドル4を通って延びている。この断面図は、支持ピンの形の2つの支持軸受30を示しており、これらの支持軸受30は、ここでは中間部材33に一体成型されている。各支持軸受30には、1つの走行スピンドル4が軸方向に支えられている。
【0048】
最後に
図7は、本発明に係るスクリュースピンドルポンプ1の第3の実施形態を示している。このスクリュースピンドルポンプ1は、円筒形のベース部39とその上に軸方向に設置された蓋部材40とから成る外側ハウジング5を含む。蓋部材40は、吸引側において外側ハウジング5を閉鎖する。反対側の加圧側では、駆動モータ11が配置される。駆動モータ11は、上述したように、直接ベース部39にネジ留めされるか又は中間部材33を介してネジ留めされてもよい。
【0049】
また、スピンドルハウジング2が設けられている。スピンドルハウジング2は、ここでは1つの駆動スピンドル3及び1つの走行スピンドル4だけが収容されている。これはつまり、
図1~
図6に記載の構成とは異なり、2スピンドルポンプである。しかしながら、基本的な機能原理は同じである。
【0050】
本構成では、入口接続部6は蓋部材40に形成されており、同じく出口接続部9も蓋部材40に形成されている。すなわち蓋部材40は、一方において軸方向の端部を形成し、他方において入口接続部6及び出口接続部9を有している。
【0051】
ここで密封のために、軸方向フランジ41が、環状溝42を備える蓋部材40に形成されている。環状溝42の中にガスケットの形の密封要素43が挿入されている。これによって、スピンドルハウジング2に対する軸方向の密封が行われる。
【0052】
さらなる密封平面が、蓋部材40とベース部39との間に設けられている。ベース部39にも、径方向に開口した環状溝44が形成されており、環状溝44には、蓋部材40に対して径方向に密封するガスケットの形の密封要素45が収容される。
【0053】
この密封構造により、本変形例でも、スピンドルハウジング2を包囲する流体室10は、吸引側において軸方向に境界が定められ密封される。流体室10は、本変形例では、スピンドルハウジング2の全長にわたって延びている。なぜなら、上述の実施形態に関して既に説明したように、流体は軸方向に開口したスピンドルハウジング2の加圧側の端部において軸方向に流出し、方向転換用キャビティ14によって再び方向転換して、流体室10に還流するように誘導されるからである。記載したように、方向転換用キャビティ14は、直接モータハウジング23の対応する床壁に形成されていてもよいし、又は、プレート状の中間部材33に形成されていてもよい。
【0054】
いずれの場合も、流体室10の内部には、ここでも、スピンドルハウジング2に径方向全面に作用する対応する圧力が生成される。流体室10は、当然ここでも、
図7に明示される通り出口接続部9と連通している。