(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】ピリミジン誘導体の優位な塩形およびその結晶形
(51)【国際特許分類】
C07D 471/04 20060101AFI20240307BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20240307BHJP
A61P 31/16 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
C07D471/04 106C
C07D471/04 CSP
A61K31/506
A61P31/16
(21)【出願番号】P 2022501196
(86)(22)【出願日】2020-06-24
(86)【国際出願番号】 CN2020097967
(87)【国際公開番号】W WO2021012864
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2022-01-11
(31)【優先権主張番号】201910660153.1
(32)【優先日】2019-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519010293
【氏名又は名称】広東衆生睿創生物科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUANGDONG RAYNOVENT BIOTECH CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 501, Building D, No.288, Shenzhou Road, Huangpu District, Guangzhou, Guangdong510700 China
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】陳小新
(72)【発明者】
【氏名】劉呈武
(72)【発明者】
【氏名】劉卓偉
(72)【発明者】
【氏名】譚珍友
(72)【発明者】
【氏名】劉志強
(72)【発明者】
【氏名】程志偉
(72)【発明者】
【氏名】龍超峰
(72)【発明者】
【氏名】黄嘉駿
(72)【発明者】
【氏名】周光強
【審査官】早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-519698(JP,A)
【文献】カナダ国特許出願公開第03035680(CA,A1)
【文献】BERGE,S. M., et al.,JOURNAL OF PHARMACEUTICAL SCIENCES,米国,AMERICAN PHARMACEUTICAL ASSOCIATION,1977年,Vol. 66,No. 1,pp. 1-19
【文献】川口洋子ら,医薬品と結晶多形,生活工学研究,2002年,Vol.4, No.2,p.310-317
【文献】"新医薬品の規格及び試験方法の設定について",医薬審発第568号,2001年05月01日
【文献】大島寛,結晶多形・擬多形の析出挙動と制御,PHARM STAGE,2007年01月15日,Vol.6, No.10,p.48-53
【文献】高田則幸,創薬段階における原薬Formスクリーニングと選択,PHARM STAGE,Vol.6, No.10,2007年01月15日,p.20-25
【文献】山野光久,医薬品のプロセス研究における結晶多形現象への取り組み,有機合成化学協会誌,2007年09月01日,Vol.65, No.9,p.907(69)-913(75)
【文献】BYRN S,PHARMACEUTICAL SOLIDS: A STRATEGIC APPROACH TO REGULATORY CONSIDERATIONS,PHARMACEUTICAL RESEARCH,米国,KLUWER ACADEMIC PUBLISHERS,1995年07月01日,V12 N7,P945-954
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K 31/
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶形Iを有する、化合物1:
の結晶であって、
前記化合物1の前記結晶形Iは、XRPDスペクトルにお
ける回折ピークが下表:
のように示されることを特徴とする、結晶。
【請求項2】
前記化合物1の前記結晶形Iは、DSCスペクトルにおいて、51.6、158.2、335.9±3℃に吸熱ピークの開始点を持ち、230.4±3℃に発熱ピークの開始点を持つことを特徴とする、請求項
1に記載の結晶。
【請求項3】
前記化合物1の前記結晶形IのTGAスペクトルにおいて200℃で12.06±1%減量することを特徴とする、請求項1
または2に記載の結晶。
【請求項4】
前記化合物1の前記結晶形Iは、100℃で5.85±1%減量し、そして、200℃でさらに6.21±1%減量することを特徴とする、請求項
3に記載の結晶。
【請求項5】
結晶形IIを有する、化合物1:
の結晶であって、
前記化合物1の前記結晶形IIは、XRPDスペクトルにお
ける回折ピークが下表:
のように示されることを特徴とする、結晶。
【請求項6】
前記化合物1の前記結晶形IIは、DSCスペクトルにおいて335.9±3℃に吸熱ピークの開始点を持つことを特徴とする、請求項
5に記載の結晶。
【請求項7】
前記化合物1の前記結晶形IIのTGAスペクトルにおいて300℃になる前に有意に減量していないことを特徴とする、請求項
5または6に記載の結晶。
【請求項8】
結晶形IIIを有する、化合物1:
の結晶であって、
前記化合物1の前記結晶形IIIは、XRPDスペクトルにお
ける回折ピークが下表:
のように示されることを特徴とする、結晶。
【請求項9】
前記化合物1の前記結晶形IIIは、DSCスペクトルにおいて33.5、329.0±3℃に吸熱ピークの開始点を持ち、272.1±3℃に発熱ピークの開始点を持つことを特徴とする、請求項
8に記載の結晶。
【請求項10】
前記化合物1の前記結晶形IIIのTGAスペクトルにおいて200℃で11.40±1%減量することを特徴とする、請求項
8または9に記載の結晶。
【請求項11】
結晶形IVを有する、化合物1:
の結晶であって、
前記化合物1の前記結晶形IVは、XRPDスペクトルにお
ける回折ピークが下表:
のように示されることを特徴とする、結晶。
【請求項12】
前記化合物1の前記結晶形IVは、DSCスペクトルにおいて326.3±3℃に吸熱ピークの開始点を持つことを特徴とする、請求項
11に記載の結晶。
【請求項13】
前記化合物1の前記結晶形IVのTGAスペクトルにおいて300℃になる前に有意に減量していないことを特徴とする、請求項
11または12に記載の結晶。
【請求項14】
結晶形Vを有する、化合物1:
の結晶であって、
前記化合物1の前記結晶形Vは、XRPDスペクトルにお
ける回折ピークが下表:
のように示されることを特徴とする、結晶。
【請求項15】
前記化合物1の前記結晶形Vは、DSCスペクトルにおいて339.1±3℃に吸熱ピークの開始点を持つことを特徴とする、請求項
14に記載の結晶。
【請求項16】
前記化合物1の前記結晶形VのTGAスペクトルにおいて75℃になる前に1.26±1%減量することを特徴とする、請求項
14または15に記載の結晶。
【請求項17】
結晶形VIIを有する、化合物1:
の結晶であって、
前記化合物1の前記結晶形VIIは、XRPDスペクトルにお
ける回折ピークが下表:
のように示されることを特徴とする、結晶。
【請求項18】
前記化合物1の前記結晶形VIIは、DSCスペクトルにおいて71.8±3℃、327.4±3℃に吸熱ピークの開始点を持ち、252.0±3℃に発熱ピークの開始点を持つことを特徴とする、請求項
17に記載の結晶。
【請求項19】
前記化合物1の前記結晶形VIIのTGAスペクトルにおいて200℃で9.18±1%減量することを特徴とする、請求項
17または18に記載の結晶。
【請求項20】
結晶形VIIIを有する、化合物1:
の結晶であって、
前記化合物1の前記結晶形VIIIは、XRPDスペクトルにお
ける回折ピークが下表:
のように示されることを特徴とする、結晶。
【請求項21】
前記化合物1の前記結晶形VIIIは、DSCスペクトルにおいて44.8±3℃、132.8±3℃、323.6±3℃に吸熱ピークの開始点を持ち、255.7±3℃に発熱ピークの開始点を持つことを特徴とする、請求項
20に記載の結晶。
【請求項22】
前記化合物1の前記結晶形VIIIのTGAスペクトルにおいて200℃で12.15±1%減量することを特徴とする、請求項
20または21に記載の結晶。
【請求項23】
請求項1~
22のいずれか1項に記載の化合物1の結晶形を少なくとも1種類含むことを特徴とする、化合物1および/またはWX-216および/またはWX-216の他の塩形を含む原薬。
【請求項24】
請求項
23に記載の原薬と、薬学的に許容される医薬品添加剤とより構成されることを特徴とする、医薬組成物。
【請求項25】
前記薬学的に許容される医薬品添加剤は、充填剤、接着剤、崩壊剤、および滑沢剤からなる群より選択される少なくとも1種類を含むことを特徴とする、請求項
24に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品化学分野に属し、特に、一連のピリミジン誘導体の優位な塩形およびその結晶形、上記の優位な塩形およびその結晶形の調製方法、ならびに該優位な塩形およびその結晶形を含む原薬および医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
流行性感冒ウイルス、すなわちインフルエンザウイルス(influenza virus,IFV)とは、ヒトや動物にインフルエンザを発症させる分節型一本鎖アンチセンスRNA ウイルスを指す。インフルエンザの大流行では、幾千幾万の人が命を落として、社会的パニックを引き起こすと同時に、社会の不安定要因をもたらしてしまう。
【0003】
インフルエンザは、生産性の損失や関連医療資源による直接コストおよび予防手段の間接コストを発生させる。米国では、インフルエンザによる損失が毎年ほぼ100億ドルになってしまい、ある推定によると未来のインフルエンザ大流行が数千億ドルの直接と間接コストを招いてしまう。インフルエンザは、予防コストも非常に高く、世界中の各国政府が大流行のおそれがあるH5N1鳥インフルエンザのため数十億ドルも用意し、そのコストが医薬品やワクチンの購入、および防災訓練の展開や国境管理の強化などの対策と関連している。
【0004】
現在、インフルエンザ治療の選択肢は、ワクチンの接種と抗ウイルス薬による化学療法や化学的予防を含む。抗ウイルス薬は、インフルエンザの治療にも用いられ、ここで、オセルタミビル(タミフル)のようなノイラミニダーゼ阻害薬がA型インフルエンザウイルスに明らかに有用であるが、臨床的観察によると、このようなノイラミニダーゼ阻害薬に耐性のウイルス株が発見された。抗インフルエンザウイルス分野において、A型インフルエンザの予防・治療のために、単剤によるA型インフルエンザの治療をサポート可能、または登場されている他のメカニズムである抗インフルエンザウイルス薬を併用可能にするように、臨床上新たなメカニズムの抗インフルエンザウイルス薬が必要になる。
【0005】
特許WO2018041263では、一連のピリミジン誘導体を開示した。インビトロ活性データによると、一部の化合物がインフルエンザウイルス複製を阻害する試験で肯定的な効果を示し、更なる動物試験で、一部の化合物もA型インフルエンザウイルスH1N1のマウス感染モデルに有意な治療効果を示し、ここで、化合物WX-216(実施例4)の総合性能が相対的に優れているため、創薬に良い見込みがあると考えられる。
【0006】
特許WO2019170067は、WX-216の一連の結晶形、塩形および塩形の結晶形を開示し、該一連の塩形/結晶形が良い安定性および生産/臨床上の応用見込みを持ち、原薬の大規模生産および医薬製品の下流プロセス(例えば、製剤プロセス)に多種類の中間体および/または原薬の選択肢を与える。
塩形と結晶形のスクリーニングは、医薬品開発の重要なリンクの1つであって、所定の化合物について、その遊離状態、各種の塩形および対応する結晶形の物理化学的特性の優劣がいずれも不明であり、その創薬可能性への更なる考えに基づいて、適当な塩形およびその対応する優位な結晶形を探し、その後の医薬品開発に多種類の中間体および/または原薬の選択肢を与えることが医薬品開発にとって重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、初めてWX-216のナトリウム塩(化合物1)を開示し、また、初めて良い創薬可能性(例えば、安定性、流動性、圧縮性など)を持ち、その後の医薬品開発に多種類の原薬の選択を与えることを示す一連の化合物1の結晶形を提供した。
【0008】
具体的に、WX-216は、カルボキシル基含有のピリミジン誘導体であって、当業者にとって、WX-216でナトリウム塩を形成可能なことが周知であり、さらに、実験研究によると、化合物1がWX-216の一ナトリウム塩であって、すなわち、当該技術分野に公知の造塩方法を用いて1分子のWX-216と1分子のNa+をナトリウム塩に結合することが、当該技術分野に公知の有機化合物で金属ナトリウム塩を作製することであり、本発明に係る化合物1の一連の結晶形は、化合物1の無溶媒和物および溶媒和物を含むがこれに限定されなく、上記の「無溶媒和物および溶媒和物」のうち、「溶媒」は、水と、当該技術分野に周知のメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、アセトン、ブタノン、アセトニトリル、ジクロロメタン、トリクロロメタン、酢酸エチルなどを含むがこれに限定されない有機溶媒とを含む。
【0009】
化合物1の結晶形の特性評価に対しては、当業者は、特定化合物の特定結晶形について、特性評価プロセスに計器設備、操作方法、試料純度、人的要因などの影響を受けるため、そのX線粉末回折パターン(XRPD)のうち、各回折ピークの2θ角が繰り返し実験に変動範囲(誤差範囲)が通常±0.2°にあるようにある程度変動することと、X線粉末回折パターンにおける各回折ピークの2θ角、吸収強度(ピーク高さ)などの要因を統合すると、回折ピークの安定性や再現性が影響され、具体的に、吸収強度が強いほど、よく分離され、また、2θ角の小さい回折ピークほど、よい安定性や再現性を持ち、該特定結晶形の特性評価に用いられることを理解しやすく、大きい2θ角および/または悪い分離および/または弱い相対強度の回折ピークについて、計器設備、操作方法、試料純度、人的要因などの影響を受けるため、大きく変動し、また、繰り返し実験において再現しない可能性もあり、そのため、当業者にとって、このような吸収ピークは、当該結晶形を特性評価するのに必要な回折ピークではなく、より具体的に、本発明において当該技術分野における結晶形の特性評価に対するコンセンサスに準拠する場合、2θ角、吸収強度(ピーク高さ)などの要因を統合して考慮しながら回折ピークを選択すると共に、安定性と再現性に従ってグループ分けする。
【0010】
当業者は、同様に、試料の示差走査熱量曲線(DSC)や熱重量分析曲線(TGA)について、その同一バッチおよび/またはバッチ間の試料が同様に計器設備、検出条件、インスペクターなどの影響を受けるため、検出結果が変動することを理解しやすいために、本発明において当該技術分野における結晶形の特性評価に対するコンセンサスに準拠する場合、DSCスペクトルにおける吸熱ピーク、発熱ピーク開始点の変動範囲を±3℃とし、TGAスペクトルにおける減量値の変動範囲を±1%とする。
【0011】
例えば、特に断りのない限り、本発明において、「室温」とは25±5℃を意味し、熱重量分析曲線(TGA)における「減量を有意に示していない」とは、終点温度を検出する前に≦1%減量することを意味する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第一の目的は、化合物1の良い創薬可能性を示す結晶形Iおよびその調製方法を提供することにある。
【0013】
具体的に、上記の化合物1の結晶形Iは、XRPDスペクトルにおいて2θが6.4、9.8、12.8、15.8、16.2、17.8、18.7、19.3、20.3、24.0、24.6、27.6、28.1±0.2°の箇所に安定した回折ピークを持ち、
さらに、2θが9.0、15.3、17.4、23.1、28.4±0.2°の箇所にも回折ピークを持ち、
さらに、本発明のいくつかの実施形態において、上記の化合物1の結晶形Iは、XRPDスペクトルの回折ピークが下表のように示され、
さらに、本発明のいくつかの実施形態において、上記の化合物1の結晶形Iは、XRPDスペクトルが基本的に、
図1のように示される。
【0014】
上記の化合物1の結晶形Iは、示差走査熱量曲線(DSC)において51.6、158.2、335.9±3℃に吸熱ピークの開始点を持ち、230.4±3℃に発熱ピークの開始点を持ち、
さらに、本発明のいくつかの実施形態において、上記の化合物1の結晶形Iは、DSCスペクトルが基本的に
図2のように示される。
【0015】
上記の化合物1の結晶形Iは、熱重量分析曲線(TGA)において200℃に12.06±1%減量し、具体的に、100℃に5.85±1%減量し、そして、200℃に6.21±1%さらに減量し、
さらに、本発明のいくつかの実施形態において、上記の化合物1の結晶形Iは、TGAスペクトルが基本的に
図3のように示される。
【0016】
本発明の第二の目的は、化合物1の良い創薬可能性を示す結晶形IIおよびその調製方法を提供することにある。
【0017】
具体的に、上記の化合物1の結晶形IIは、XRPDスペクトルにおいて2θが5.8、9.3、10.0、11.6、13.7、17.0、18.9、22.8、24.2±0.2°の箇所に安定した回折ピークを持ち、
さらに、2θが12.4、17.7、21.0、22.2、30.1±0.2°の箇所にも回折ピークを持ち、
さらに、本発明のいくつかの実施形態において、上記の化合物1の結晶形IIは、XRPDスペクトルの回折ピークが下表のように示され、
さらに、本発明のいくつかの実施形態において、上記の化合物1の結晶形IIは、XRPDスペクトルが基本的に
図5のように示される。
【0018】
上記の化合物1の結晶形IIは、示差走査熱量曲線(DSC)において335.9±3℃に吸熱ピークの開始点を持ち、
さらに、本発明のいくつかの実施形態において、上記の化合物1の結晶形IIは、DSCスペクトルが基本的に
図6のように示される。
【0019】
上記の化合物1の結晶形IIは、熱重量分析曲線(TGA)において300℃になる前に減量を有意に示していなく、
さらに、本発明のいくつかの実施形態において、上記の化合物1の結晶形IIは、TGAスペクトルが基本的に
図7のように示される。
【0020】
本発明の第三の目的は、化合物1の良い創薬可能性を示す結晶形IIIおよびその調製方法を提供することにある。
【0021】
具体的に、上記の化合物1の結晶形IIIは、XRPDスペクトルにおいて2θが4.6、5.4、7.1、9.7、10.8、12.4、15.1、17.0、17.8、18.9、19.6、20.7、21.8、23.7、25.0±0.2°の箇所に安定した回折ピークを持ち、
さらに、2θが13.6、14.1、20.1、21.3、24.3、26.1、26.5、28.4、30.0±0.2°の箇所にも回折ピークを持ち、
さらに、本発明のいくつかの実施形態において、上記の化合物1の結晶形IIIは、XRPDスペクトルの回折ピークが下表のように示され、
さらに、本発明のいくつかの実施形態において、上記の化合物1の結晶形IIIは、XRPDスペクトルが基本的に
図9のように示される。
【0022】
上記の化合物1の結晶形IIIは、示差走査熱量曲線(DSC)において33.5、329.0±3℃に吸熱ピークの開始点を持ち、272.1±3℃に発熱ピークの開始点を持ち、
さらに、本発明のいくつかの実施形態において、上記の化合物1の結晶形IIIは、DSCスペクトルが基本的に
図10のように示される。
【0023】
上記の化合物1の結晶形IIIは、熱重量分析曲線(TGA)において200℃に11.40±1%減量し、
さらに、本発明のいくつかの実施形態において、上記の化合物1の結晶形IIIは、TGAスペクトルが基本的に
図11のように示される。
【0024】
本発明の第四の目的は、化合物1の良い創薬可能性を示す結晶形IVおよびその調製方法を提供することにある。
【0025】
具体的に、上記の化合物1の結晶形IVは、XRPDスペクトルにおいて2θが5.7、6.9、9.3、12.3、14.3、16.7、17.8、18.7、19.3、20.6、23.8、28.4±0.2°の箇所に安定した回折ピークを持ち、
さらに、2θが18.2、18.9、19.5、21.6、27.2、30.5±0.2°の箇所にも回折ピークを持ち、
さらに、本発明のいくつかの実施形態において、上記の化合物1の結晶形IVは、XRPDスペクトルの回折ピークが下表のように示され、
さらに、本発明のいくつかの実施形態において、上記の化合物1の結晶形IVは、XRPDスペクトルが基本的に
図13のように示される。
【0026】
上記の化合物1の結晶形IVは、示差走査熱量曲線(DSC)において326.3±3℃に吸熱ピークの開始点を持ち、
さらに、本発明のいくつかの実施形態において、上記の化合物1の結晶形IVは、DSCスペクトルが基本的に
図14のように示される。
【0027】
上記の化合物1の結晶形IVは、熱重量分析曲線(TGA)において300℃になる前に減量を有意に示していなく、
さらに、本発明のいくつかの実施形態において、上記の化合物1の結晶形IVは、TGAスペクトルが基本的に
図15のように示される。
【0028】
本発明の第五の目的は、化合物1の良い創薬可能性を示す結晶形Vおよびその調製方法を提供することにある。
【0029】
具体的に、上記の化合物1の結晶形Vは、XRPDスペクトルにおいて2θが7.1、9.4、12.3、15.5、18.8、19.8、20.9、25.5、27.1±0.2°の箇所に安定した回折ピークを持ち、
さらに、2θが12.8、16.0、16.3、16.5、20.0、21.4、22.2、22.5、23.3、24.7、25.7、26.5、31.2±0.2°の箇所にも回折ピークを持ち、
さらに、本発明のいくつかの実施形態において、上記の化合物1の結晶形Vは、XRPDスペクトルの回折ピークが下表のように示され、
さらに、本発明のいくつかの実施形態において、上記の化合物1の結晶形Vは、XRPDスペクトルが基本的に
図16のように示される。
【0030】
上記の化合物1の結晶形Vは、示差走査熱量曲線(DSC)において339.1±3℃に吸熱ピークの開始点を持ち、
さらに、本発明のいくつかの実施形態において、上記の化合物1の結晶形Vは、DSCスペクトルが基本的に
図17のように示される。
【0031】
上記の化合物1の結晶形Vは、熱重量分析曲線(TGA)において75℃になる前に1.26±1%減量し、
さらに、本発明のいくつかの実施形態において、上記の化合物1の結晶形Vは、TGAスペクトルが基本的に
図18のように示される。
【0032】
本発明の第六の目的は、化合物1の結晶形VIおよびその調製方法を提供することにある。
【0033】
具体的に、上記の化合物1の結晶形VIは、XRPDスペクトルにおいて2θが6.9、9.2、12.0、15.2、16.0、18.5、19.5、25.4、26.6、28.2、32.4±0.2°の箇所に安定した回折ピークを持ち、
さらに、2θが21.0、21.9、24.6、27.1±0.2°の箇所にも回折ピークを持ち、
さらに、本発明のいくつかの実施形態において、上記の化合物1の結晶形VIは、XRPDスペクトルの回折ピークが下表のように示され、
さらに、本発明のいくつかの実施形態において、上記の化合物1の結晶形VIは、XRPDスペクトルが基本的に
図20のように示される。
【0034】
上記の化合物1の結晶形VIは、示差走査熱量曲線(DSC)において25.6、330.9±3℃に吸熱ピークの開始点を持ち、
さらに、本発明のいくつかの実施形態において、上記の化合物1の結晶形VIは、DSCスペクトルが基本的に
図21のように示される。
【0035】
上記の化合物1の結晶形VIは、熱重量分析曲線(TGA)において200℃に3.45±1%減量し、
さらに、本発明のいくつかの実施形態において、上記の化合物1の結晶形VIは、TGAスペクトルが基本的に
図22のように示される。
【0036】
本発明の第七の目的は、化合物1の良い創薬可能性を示す結晶形VIIおよびその調製方法を提供することにある。
【0037】
具体的に、上記の化合物1の結晶形VIIは、XRPDスペクトルにおいて2θが4.6、5.8、7.3、7.8、11.3、14.6、18.4±0.2°の箇所に安定した回折ピークを持ち、
さらに、本発明のいくつかの実施形態において、上記の化合物1の結晶形VIIは、XRPDスペクトルの回折ピークが下表のように示され、
さらに、本発明のいくつかの実施形態において、上記の化合物1の結晶形VIIは、XRPDスペクトルが基本的に
図23のように示される。
【0038】
上記の化合物1の結晶形VIIは、示差走査熱量曲線(DSC)において71.8±3℃、327.4±3℃に吸熱ピークの開始点を持ち、252.0±3℃に発熱ピークの開始点を持ち、
さらに、本発明のいくつかの実施形態において、上記の化合物1の結晶形VIIは、DSCスペクトルが基本的に
図24のように示される。
【0039】
上記の化合物1の結晶形VIIは、熱重量分析曲線(TGA)において200℃に9.18±1%減量し、
さらに、本発明のいくつかの実施形態において、上記の化合物1の結晶形VIIは、TGAスペクトルが基本的に
図25のように示される。
【0040】
本発明の第八の目的は、化合物1の良い創薬可能性を示す結晶形VIIIおよびその調製方法を提供することにある。
【0041】
具体的に、上記の化合物1の結晶形VIIIは、XRPDスペクトルにおいて2θが6.0、7.0、7.6、11.0、12.2、14.1、14.4、15.4、18.7、20.0、27.8±0.2°の箇所に安定した回折ピークを持ち、
さらに、2θが4.6、9.3、15.7、21.8、22.2、25.0、28.5±0.2°の箇所にも回折ピークを持ち、
さらに、本発明のいくつかの実施形態において、上記の化合物1の結晶形VIIIは、XRPDスペクトルの回折ピークが下表のように示され、
さらに、本発明のいくつかの実施形態において、上記の化合物1の結晶形VIIIは、XRPDスペクトルが基本的に
図27のように示される。
【0042】
上記の化合物1の結晶形VIIIは、示差走査熱量曲線(DSC)において44.8±3℃、132.8±3℃、323.6±3℃に吸熱ピークの開始点を持ち、255.7±3℃に発熱ピークの開始点を持ち、
さらに、本発明のいくつかの実施形態において、上記の化合物1の結晶形VIIIは、DSCスペクトルが基本的に
図28のように示される。
【0043】
上記の化合物1の結晶形VIIIは、熱重量分析曲線(TGA)において200℃に12.15±1%減量し、
さらに、本発明のいくつかの実施形態において、上記の化合物1の結晶形VIIIは、TGAスペクトルが基本的に
図29のように示される。
【0044】
本発明の第九の目的は、本発明に記載の化合物1の結晶形I~結晶形VIIIのうちの少なくとも1種類を含む原薬を提供することにある。上記の結晶形を含む原薬は、上記の本発明に記載の化合物1の結晶形I~結晶形VIIIの有益な効果に基づいて、結晶形に基本的に一致する有益な効果(例えば、安定性、水溶性など)をも示し、具体的に、化合物1でもよいし、WX-216および/またはWX-216の他の塩形でもよく、上記のWX-216の他の塩形は、例えばカリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、トリエチルアミン塩などのアルカリと形成される塩、および、例えば塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩などの酸と形成される塩を含むがこれに限定されない当該技術分野によく見られる医薬塩であっでもよく、より具体的に、上記の原薬に含まれる化合物Iおよび/または化合物IIおよび/または化合物IIIおよび/または化合物IVおよび/または化合物Vおよび/または化合物VIおよび/または化合物VIIおよび/または化合物VIIIの質量百分率が、0.01~99.99%の任意の値であって、さらに、上記の原薬に含まれる化合物Iおよび/または化合物IIおよび/または化合物IIIおよび/または化合物IVおよび/または化合物Vおよび/または化合物VIおよび/または化合物VIIおよび/または化合物VIIIの質量百分率が、1.00~99.00%の任意の値である。
【0045】
本発明の第十の目的は、上記の原薬と充填剤、接着剤、崩壊剤、滑沢剤などのうちの少なくとも1種類を含むがこれに限定されない薬学的に許容される医薬品添加剤とより構成される医薬組成物を提供することにあり、具体的に、上記の本発明に記載の化合物1の結晶形I~結晶形VIIIに基づく有益な効果は、最終的に医薬組成物に反映され、より具体的に、上記の医薬組成物に含まれる上記の原薬の質量百分率が1.00~99.00%の任意の値、さらに、上記の医薬組成物に含まれる上記の原薬の質量百分率が5.00~95.00%の任意の値、よりさらに、上記の医薬組成物に含まれる上記の原薬の質量百分率が10.00~90.00%の任意の値である。
【0046】
以上のことから、本発明に係る化合物1の結晶形I~結晶形VIIIは、創薬に一定の見込みが立つために、検出手段により、化合物1の結晶形I~結晶形VIIIが上記の原薬および/または医薬組成物にあることが証明される場合に、本発明による化合物1の結晶形I~結晶形VIIIが用いられたと見なされる。上記の検出手段は、以上言及されたX線粉末回折法のほか、示差走査熱量法(DSC)、赤外分光法(IR)、ラマン分光法(Raman)、固体核磁気共鳴法(SSNMR)などの方法および他の本発明に記載の化合物1の結晶形I~結晶形VIIIの利用を単独または統合に裏付けることができるいかなる検出方法をさらに含むことができ、また、当業者にとって一般的な方法、例えば差引き図法などを採用して、例えば医薬品添加剤などによる影響を除去することができる。
【0047】
本発明は、従来の技術よりも、以下のような利点や有益な効果を有する。
1、WX-216のナトリウム塩であって、可溶性の点でWX-216に対する優位性が当業者の合理的予測を超えた化合物1を初めて開示した。
2、初めて化合物1の結晶形Iおよびその調製方法を開示し、当該結晶形は高安定性などの特徴を持ち、創薬にかなりの見込みがある。
3、初めて化合物1の結晶形IIおよびその調製方法を開示し、当該結晶形は高安定性などの特徴を持ち、創薬にかなりの見込みがある。
4、初めて化合物1の結晶形IIIおよびその調製方法を開示し、当該結晶形は高安定性などの特徴を持ち、創薬にかなりの見込みがある。
5、初めて化合物1の結晶形IVおよびその調製方法を開示し、当該結晶形は高安定性などの特徴を持ち、創薬にかなりの見込みがある。
6、初めて化合物1の結晶形Vおよびその調製方法を開示し、当該結晶形は高安定性などの特徴を持ち、創薬にかなりの見込みがある。
7、初めて化合物1の結晶形VIおよびその調製方法を開示し、それは原薬の大規模生産および医薬製品の下流プロセス(例えば、製剤プロセス)に多種類の中間体および/または原薬の選択肢を与える。
8、初めて化合物1の結晶形VIIおよびその調製方法を開示し、当該結晶形は高安定性などの特徴を持ち、創薬にかなりの見込みがある。
9、初めて化合物1の結晶形VIIIおよびその調製方法を開示し、当該結晶形は高安定性などの特徴を持ち、創薬にかなりの見込みがある。
10、本発明に記載の化合物1の結晶形I~結晶形VIIIのうちの少なくとも1種類を含み、本発明に記載の化合物1の結晶形I~結晶形VIIIに基本的に一致する有益な効果を示す原薬を提供した。
11、本発明に記載の原薬と薬学的に許容される医薬品添加剤とより構成され、本発明に記載の化合物1の結晶形I~結晶形VIIIに基本的に一致する有益な効果を持つ医薬組成物を提供した。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】
図1は、化合物1の結晶形IのXRPDスペクトルである。
【
図2】
図2は、化合物1の結晶形IのDSCスペクトルである。
【
図3】
図3は、化合物1の結晶形IのTGAスペクトルである。
【
図4】
図4は、化合物1の結晶形IのXRPD比較図である。
【
図5】
図5は、化合物1の結晶形IIのXRPDスペクトルである。
【
図6】
図6は、化合物1の結晶形IIのDSCスペクトルである。
【
図7】
図7は、化合物1の結晶形IIのTGAスペクトルである。
【
図8】
図8は、化合物1の結晶形IIのXRPD比較図である。
【
図9】
図9は、化合物1の結晶形IIIのXRPDスペクトルである。
【
図10】
図10は、化合物1の結晶形IIIのDSCスペクトルである。
【
図11】
図11は、化合物1の結晶形IIIのTGAスペクトルである。
【
図12】
図12は、化合物1の結晶形IIIのXRPD比較図である。
【
図13】
図13は、化合物1の結晶形IVのXRPDスペクトルである。
【
図14】
図14は、化合物1の結晶形IVのDSCスペクトルである。
【
図15】
図15は、化合物1の結晶形IVのTGAスペクトルである。
【
図16】
図16は、化合物1の結晶形VのXRPDスペクトルである。
【
図17】
図17は、化合物1の結晶形VのDSCスペクトルである。
【
図18】
図18は、化合物1の結晶形VのTGAスペクトルである。
【
図19】
図19は、化合物1の結晶形VのXRPD比較図である。
【
図20】
図20は、化合物1の結晶形VIのXRPDスペクトルである。
【
図21】
図21は、化合物1の結晶形VIのDSCスペクトルである。
【
図22】
図22は、化合物1の結晶形VIのTGAスペクトルである。
【
図23】
図23は、化合物1の結晶形VIIのXRPDスペクトルである。
【
図24】
図24は、化合物1の結晶形VIIのDSCスペクトルである。
【
図25】
図25は、化合物1の結晶形VIIのTGAスペクトルである。
【
図26】
図26は、化合物1の結晶形VIIのXRPD比較図である。
【
図27】
図27は、化合物1の結晶形VIIIのXRPDスペクトルである。
【
図28】
図28は、化合物1の結晶形VIIIのDSCスペクトルである。
【
図29】
図29は、化合物1の結晶形VIIIのTGAスペクトルである。
【
図30】
図30は、化合物1の結晶形IX、結晶形VIIおよび結晶形VIIIのXRPDスペクトル比較である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本発明は、実施例と図面に合わせてさらに詳しく説明されるが、実施形態がこれに限られない。
【0050】
検出条件
X線粉末回折
X線粉末回折計: Bruker D8 Advance、
2θスキャン角度:3°から45°、
スキャンステップ:0.02°、
露光時間:0.2秒、
ライトチューブの電圧と電流:40KV、40mA。
【0051】
示差走査熱量分析
示差走査熱量分析計:TA Discovery 2500(TA、US)、
加熱速度:10℃/min、
検出方法:試料を、正確に計量後DSC Tzero試料パンに入れ、350℃に加熱して、炉内窒素パージ速度を50mL/minとした。
【0052】
熱重量分析
熱重量分析計:TA Discovery 55(TA、US)、
検出方法:試料を、バランスの取れた開口したアルミニウム製試料パンに入れて、加熱炉で自動に計量した。試料を、10℃/minの速度で400℃に加熱して、試料における窒素パージ速度が60mL/minであって、天秤における窒素パージ速度が40mL/minであった。
【0053】
実施例1 化合物1の調製方法
特許WO2018041263における実施例4に記載の方法を参照してWX-216を調製した。
【0054】
WX-216を5g取って250mLのナス型フラスコに入れて、THF(100 mL)を加えるとともに、NaOH水溶液(0.477g、1mL水に溶解した)を添加し、30℃で12時間攪拌後、固体をろ過して、ろ過ケークを40℃で真空乾燥することによって、化合物1が得られた。
【0055】
実施例2 化合物1の結晶形Iの調製方法
実施例1の方法で調製された化合物1を10mg量り取って1mLアセトンの中で懸濁し、固体が完全に溶解するまで60℃で溶媒150μLを滴下し、次に、室温に冷却して3時間攪拌後、遠心によって固液分離し、固体が室温で真空乾燥されることによって、化合物1の結晶形Iが得られ、その結晶形Iは、XRPDスペクトルが
図1のように示され、DSCスペクトルが
図2のように示され、TGAスペクトルが
図3のように示された。
【0056】
実施例3 化合物1の結晶形Iの調製方法
実施例1の方法で調製された化合物1を適量に量り取ってエチレングリコールモノメチルエーテル飽和溶液に調製し、室温で飽和溶液150μLを拡散溶媒アセトンの雰囲気に入れて3日間静置後、固体が析出して、遠心によって固液分離し、固体が室温で真空乾燥されることによって、化合物1の結晶形Iが得られた。
得られた結晶形Iは、XRPDスペクトルの比較が
図4のように示された。
【0057】
実施例4 化合物1の結晶形IIの調製方法
実施例2の方法で調製された化合物1の結晶形Iを白金るつぼに10mg量り取って、10℃/minの速度で300℃に加熱して、0.5分間恒温し、自然冷却で室温に冷却すると、化合物1の結晶形IIが得られ、そのXRPDスペクトルが
図5のように示され、DSCスペクトルが
図6のように示され、TGAスペクトルが
図7のように示された。
【0058】
実施例5 化合物1の結晶形IIの調製方法
実施例1の方法で調製された化合物1を適量に量り取ってジメチルホルムアミド飽和溶液に調製し、室温で飽和溶液150μLを拡散溶媒アセトンの雰囲気に入れて3日間静置後、固体が析出して、遠心によって固液分離し、固体が室温で真空乾燥されることによって、化合物1の結晶形IIが得られた。
得られた結晶形IIは、XRPDスペクトルの比較が
図8のように示された。
【0059】
実施例6 化合物1の結晶形IIIの調製方法
実施例2の方法で調製された化合物1の結晶形Iを80mg量り取って3.5mL純水に入れ、60℃で懸濁物を19時間攪拌後ろ過して、ろ過ケークを室温で真空乾燥することによって、化合物1の結晶形IIIが得られ、そのXRPDスペクトルが
図9のように示され、DSCスペクトルが
図10のように示され、TGAスペクトルが
図11のように示された。
【0060】
実施例7 化合物1の結晶形IIIの調製方法
実施例2の方法で調製された化合物1の結晶形Iを500mg量り取ってエタノール1.5mLと水7.5mLとから調製された混合溶液に入れて、60℃で4時間懸濁してパルプ化すると、室温に冷却後ろ過して、室温で真空乾燥することによって、化合物1の結晶形IIIが得られた。
得られた結晶形IIIは、XRPDスペクトルの比較が
図12のように示された。
【0061】
実施例8 化合物1の結晶形IVの調製方法
実施例6の方法で調製された化合物1の結晶形IIIを白金るつぼに10mg量り取って、10℃/minの速度で280℃に加熱して、0.5分間恒温し、自然冷却で室温に冷却すると、化合物1の結晶形IVが得られ、そのXRPDスペクトルが
図13のように示され、DSCスペクトルが
図14のように示され、TGAスペクトルが
図15のように示された。
【0062】
実施例9 化合物1の結晶形Vの調製方法
実施例1の方法で調製された化合物1を適量に量り取ってメタノールに溶解することにより飽和溶液に調製し、室温で、得られた化合物1のメタノール飽和溶液200 μLを攪拌状態にある酢酸イソプロピル1.5mLに滴下して、室温で19時間攪拌後、遠心によって固液分離して、室温で真空乾燥することによって、化合物1の結晶形Vが得られ、そのXRPDスペクトルが
図16のように示され、DSCスペクトルが
図17のように示され、TGAスペクトルが
図18のように示された。
【0063】
実施例10 化合物1の結晶形Vの調製方法
実施例1の方法で調製された化合物1を適量に量り取ってメタノールに溶解することにより飽和溶液に調製し、室温で飽和溶液150μLを拡散溶媒アセトニトリルの雰囲気に入れて5日間静置後、固体が析出して、遠心によって固液分離し、固体が室温で真空乾燥されることによって、化合物1の結晶形Vが得られた。
得られた結晶形Vは、XRPDスペクトルの比較が
図19のように示された。
【0064】
実施例11 化合物1の結晶形VIの調製方法
実施例2の方法で調製された化合物1の結晶形Iを50mg量り取ってメタノール1mLに入れて、室温で70時間懸濁してパルプ化すると、化合物1の結晶形VIがろ過によって得られ、そのXRPDスペクトルが
図20のように示され、DSCスペクトルが
図21のように示され、TGAスペクトルが
図22のように示された。
【0065】
実施例12 化合物1の結晶形VIIの調製方法
実施例1の方法で調製された化合物1を適量に量り取って水に溶解することにより飽和溶液に調製し、室温で飽和溶液200μLを攪拌状態にあるアセトニトリル1.5mLに滴下して、室温で19時間攪拌後、遠心によって固液分離して、得られた固体を検出したところ、該固体のXRPDが新たな結晶形IXであることを示し、そして、得られた固体が室温で真空乾燥されることによって、化合物1の結晶形VIIが得られ、そのXRPDスペクトルが
図23のように示され、DSCスペクトルが
図24のように示され、TGAスペクトルが
図25のように示された。
【0066】
実施例13 化合物1の結晶形VIIの調製方法
実施例2の方法で調製された化合物1の結晶形Iを10mg量り取ってアセトニトリル1mLに懸濁し、固体が完全に溶解するまで60℃で水を200μL滴下し、次に、室温に冷却して3時間攪拌後、遠心によって固液分離し、得られた固体を検出したところ、該固体のXRPDが新たな結晶形IXであることを示し、そして、得られた固体が室温で真空乾燥されることによって、化合物1の結晶形VIIが得られた。
得られた結晶形VIIは、XRPDスペクトルの比較が
図26のように示された。
【0067】
実施例14 化合物1の結晶形VIIIの調製方法
実施例1の方法で調製された化合物1を適量に量り取って水に溶解することにより飽和溶液に調製し、室温で飽和溶液1mLを攪拌状態にあるアセトニトリル1.5mLに滴下して、室温で19時間攪拌後常圧でろ過して、得られた濡れろ過ケークを検出したところ、結果として、XRPDが新たな結晶形IXであることを示し、ろ過ケークを室温でエアブラストで乾燥させることによって、化合物1の結晶形VIIIが得られ、そのXRPDスペクトルが
図27のように示され、DSCスペクトルが
図28のように示され、TGAスペクトルが
図29のように示された。
結晶形VII、結晶形VIII、結晶形IXのXRPDスペクトル比較は、
図30のように示された。
【0068】
実施例15 化合物1の溶解性
室温下での19種類の溶媒における化合物1の溶解度を測定し、具体的に、実施例1で得られた化合物1を試料とし、そのメタノール、エタノール、水、アセトニトリル、ジオキサンなどの溶媒における溶解度を測定して、結果が表1のように示された。
【0069】
【0070】
以上の結果から、化合物1の可溶性は、WX-216に比べて全体的に有意に優れたことを示した。具体的に、化合物1は、水、メタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドに良い溶解度を持つが、他の溶媒に溶解性が比較的に悪く、その可溶性の優位性が当業者の合理的予測を超えたことを示した。
【0071】
実施例16 安定性の検討
測定される試料を、特定量量り取って時計皿に入れ、それぞれ高温(60℃)、高湿度(25℃、92.5%RH)、照明(25℃、4500Lux)、加速条件(40℃、75%RH)において14日間置くと、サンプリングしてXRPDを特性評価した。
Form I、Form II、Form IIIに対して、それぞれ高温(60℃)、高湿度(25℃、92.5%RH)、照明(25℃、4500Lux)、加速条件(40℃、75%RH)における安定性検討を行い、結果が表2のように示された。
【0072】
【0073】
結果から、結晶形I~IIIは、いずれも高温、高湿度、照明と加速条件において高安定性を持つことを示し、
また、結晶形I、結晶形IIIの作用は、中間体結晶形として、さらに、一部の本発明に記載の他の安定結晶形を調製することができることであり、
なお、発明者は、実験過程や更なる検討にさらに以下のことに気づいた。
【0074】
結晶形IVは、結晶形IIIが加熱されることで一部の結晶水が奪われて冷却することによって得られるものであって、XRD結果によれば、DVS測定後結晶形が変化していなく、高安定性を持つことを考えている。
【0075】
結晶形Vは、メタノール/酢酸イソプロピル系において室温で長時間攪拌・析晶することにより得られ、当業者の立場から、結晶形Vが高安定性を持つことを理解すべきである。
【0076】
結晶形VIは、非安定な結晶形であって、後処理プロセス(常温真空乾燥)において結晶転移を起こすことにより、結晶形Vになることから、結晶形Vが中間準安定結晶形(結晶形VI)から転移して最終に得られ、高安定性を持つものと考えている。
【0077】
結晶形VIIと結晶形VIIIは、同様の方法を用いて、異なる後処理手段で得られるものであって、実験過程で形成プロセスにおける中間準安定結晶形(結晶形IX)が捕らえられたため、結晶形VIIと結晶形VIIIが共に中間準安定結晶形(結晶形IX)から転移して最終に得られ、高安定性を持つものであることが分かった。
【0078】
以上のことから、本発明に記載の化合物1の結晶形は、安定性、溶解性などの効果の少なくとも1種類を備え、原薬の大規模生産および医薬製品の下流プロセス(例えば、製剤プロセス)に多種類の中間体および/または原薬の選択肢を与える。
【0079】
上記の実施例は、本発明の好ましい実施形態であるが、本発明の実施形態が上記の実施例に限定されていなく、本発明の要旨や原理を逸脱しない限り、その他のいかなる変更、修飾、置換、組み合わせ、簡略がいずれも等価のものとし、本発明の範囲に含まれる。