(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】燃料電池の動作のための流体をろ過するためのフィルタユニット、該フィルタユニットを備える燃料電池システム、および該燃料電池システムの動作方法。
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20240307BHJP
H01M 8/04701 20160101ALI20240307BHJP
H01M 8/04746 20160101ALI20240307BHJP
B01D 53/14 20060101ALI20240307BHJP
H01M 8/12 20160101ALN20240307BHJP
【FI】
H01M8/04 N
H01M8/04701
H01M8/04746
B01D53/14 100
H01M8/12 101
(21)【出願番号】P 2022541916
(86)(22)【出願日】2020-12-28
(86)【国際出願番号】 EP2020087911
(87)【国際公開番号】W WO2021148228
(87)【国際公開日】2021-07-29
【審査請求日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】102020200674.1
(32)【優先日】2020-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】リンゲル,アントン
(72)【発明者】
【氏名】リンゲル,アンドレアス
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-216774(JP,A)
【文献】特開2013-209532(JP,A)
【文献】特開2017-226562(JP,A)
【文献】国際公開第2013/145674(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/04- 8/0668
C01B 3/00- 6/34
B01D 53/14-53/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池(303)の動作のための流体(105)をろ過するためのフィルタユニット(100、301)であって、
シクロデキストリンを含むフィルタ材料(103)が充填された少なくとも1つのフィルタ要素(101)を備え
前記フィルタ材料(103)は、前記シクロデキストリンに加えて、グラファイト、グラフェン、フタロシアニン、シリカ、および発泡セラミックという材料のリストの少なくとも1つの材料を含み、
前記フィルタユニット(100、301)は、真空を印加するための少なくとも1つのインターフェース(200)を備えることを特徴とする、フィルタユニット(100、301)。
【請求項2】
前記フィルタ材料(103)は、アルファシクロデキストリン、ベータシクロデキストリン、ガンマシクロデキストリン、粉末状のシクロデキストリン、ポリマーシクロデキストリン、および圧縮されたシクロデキストリンという材料のリストの少なくとも1つの材料を含むことを特徴とする、請求項1に記載のフィルタユニット(100、301)。
【請求項3】
前記フィルタユニット(100、301)は、前記フィルタ要素(101)の温度を調節するための少なくとも1つの温度調節要素(209)を備えることを特徴とする、請求項1または2に記載のフィルタユニット(100、301)。
【請求項4】
燃料電池システム(300)であって、
-燃料電池スタック(303)と、
-請求項1から3までのいずれか1項に記載の少なくとも1つのフィルタユニット(100、301)と、を備え、
前記少なくとも1つのフィルタユニット(100、301)が、前記燃料電池スタック(303)への流体(105)の供給のための配管に配置され、かつ不純物(107)を取り除いて前記流体(105)を浄化するように構成されている、燃料電池システム(300)。
【請求項5】
前記少なくとも1つのフィルタユニット(100、301)は、減圧器として機能し、かつ流体が前記燃料電池スタック(303)に向かって流れる圧力を予め定められた圧力に低減するように構成されていることを特徴とする、請求項4に記載の燃料電池システム(300)。
【請求項6】
前記燃料電池システム(300)は、固体酸化物形燃料電池システムまたは膜形燃料電池システムであることを特徴とする、請求項4または5に記載の燃料電池システム(300)。
【請求項7】
燃料電池システム(300)の動作方法(400)であって、
-請求項1から3までのいずれか1項に記載の少なくとも1つのフィルタユニットを燃料電池システム(300)に提供するステップ(401)と、
-前記燃料電池システム(300)の動作のための流体(105)が前記少なくとも1つのフィルタユニット(100、301)に送られ、前記少なくとも1つのフィルタユニット(100、301)によって浄化された流体(111)が前記燃料電池システム(300)の燃料電池スタック(303)に送られることにより、前記燃料電池システム(300)を動作させるステップ(403)と、を包含する方法(400)。
【請求項8】
-不純物(107)を取り除いて前記フィルタ材料(103)を浄化するために、前記少なくとも1つのフィルタユニット(100、301)に真空を印加すること、または -前記少なくとも1つのフィルタユニット(100、301)のフィルタ要素(101)を新しいフィルタ要素(101)と取り替えること、をさらに包含することを特徴とする請求項7に記載の方法(400)。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
例えば固体酸化物形燃料電池などの燃料電池は、水素と酸素の反応による化学エネルギーを特徴的な効率で電気エネルギーに変換する。
【0002】
例えば液体有機水素担体を用いて水素を大量に蓄積させ、再び遊離させることができるということが知られている。液体有機水素担体から遊離された大量の水素は、非極性有機不純物、例えば一酸化炭素または炭化水素を含み得る。このような不純物は、燃料電池の触媒を損傷する可能性があり、燃料電池の効率もしくは性能を低下させる可能性がある。
【0003】
したがって、純粋な、もしくは実質的に不純物のない水素を用いた燃料電池の動作が特に有利である。
【発明の概要】
【0004】
提示される発明の範囲内で、それぞれの独立請求項の特徴を有するフィルタユニット、燃料電池システム、および燃料電池システムの動作方法が提示される。本発明の他の特徴および詳細は、それぞれの従属請求項、以下の記載、および図面から明らかになる。その場合、本発明による燃料電池システムとの関連で記載される特徴および詳細は、当然のことながら本発明による燃料電池システムの動作方法との関連でも、ならびにその逆の場合にも当てはまり、それにより個々の発明の態様の開示に関して常に相互参照され、もしくはすることができる。
【0005】
提示される発明は、特に、燃料電池システムの効率的な動作のために最適な流体を提供するために用いられる。
【0006】
したがって、提示される発明の第1の態様では、燃料電池の動作のための流体をろ過するためのフィルタユニットが提示される。フィルタユニットは、シクロデキストリンを含むフィルタ材料が充填された少なくとも1つのフィルタ要素を備える。
【0007】
提示される発明の文脈において、流体をろ過するとは、例えば炭化水素、一酸化炭素、または他の有機物などの不純物を汚染された流体から少なくとも部分的に除去する過程と解されるべきである。
【0008】
文脈において、流体とは、特に水素を含む、燃料電池を動作させるための動作流体と解されるべきである。
【0009】
シクロデキストリンは、シクロデキストリン、すなわち、例えばトウモロコシまたはジャガイモなどのでんぷん含有原料から例えば酵素によって生産されるオリゴ糖を含む材料である。シクロデキストリンは、親水性の外側と親油性の内側とを有する環状の3次元構造を有する。これは、シクロデキストリンがその内部に、親油性分子を可逆的に吸収するのに適した疎水性の空間を形成することを意味する。
【0010】
提示されるフィルタユニットは、シクロデキストリン、すなわち多数のシクロデキストリン分子を含むフィルタ材料をベースとする。提示されるフィルタユニットは、シクロデキストリンによって、水素含有流体中の親油性不純物を結合することができ、それによって、親油性不純物を取り除いて流体を浄化せしめる。したがって、フィルタユニットは、特に有利には液体有機水素担体を使用して貯蔵もしくは輸送された水素含有流体を浄化するのに適している。これは、提示されるフィルタユニットが、純粋水素、もしくは実質的に不純物のない、特に有機非極性不純物のない水素を提供するのに適することを意味する。
【0011】
提示されるフィルタユニットは、技術的に適したあらゆる形態を有することができる。特に、フィルタユニットは、汚染された流体をフィルタ材料に供給可能な複数の入口、およびフィルタ材料によって浄化された流体をフィルタユニットから排出可能な複数の出口を備える。
【0012】
特に、提示されるフィルタユニットは、圧力充填のため、すなわち汚染された流体を大気圧より高い圧力でフィルタユニットに送る充填過程のために最適であり得る。このために、フィルタユニットは、例えば円筒状に形成され得る、および/またはフィルタユイットのひび割れを防止する補強構造を有し得る。
【0013】
特に、提示されるフィルタユニットは、吸入弁と吐出弁とを有する水素タンクであり得る。
【0014】
フィルタユニットのフィルタ材料は、粉末状、固体、特に圧縮された、または技術的に適した他のあらゆる形態であり得る。例えば、フィルタ材料を担体材料上に設けることができ、および/またはメカニズムによってフィルタユニット内で動かすか、もしくは移動させる(umgeschichtet)ことができる。
【0015】
フィルタユニットは、例えばフィルタ材料が貯蔵された、および汚染された流体とフィルタ材料との間で相互作用が生じる反応器などのフィルタ要素を備える。フィルタ要素を、それぞれの汚染された流体とフィルタ材料との間の接触のための接触面積が最大化される、もしくは最大になるように形成することができる。
【0016】
フィルタ材料がアルファシクロデキストリン、ベータシクロデキストリン、ガンマシクロデキストリン、ポリマーシクロデキストリン、粉末状のシクロデキストリン、および圧縮されたシクロデキストリンという材料のリストの少なくとも1つの材料を含むことが企図され得る。
【0017】
一般に、シクロデキストリンのあらゆる形態もしくはあらゆる混合物がフィルタ材料として適し、ベータシクロデキストリンポリマーの浄化性能が特に高いことから、これとの混合物が驚くべき効率の良さを示すことが分かった。当然のことながら、純粋な、もしくは実質的に純粋なシクロデキストリン、特にベータシクロデキストリンポリマーもフィルタ材料として適している。
【0018】
さらに、フィルタ材料が、シクロデキストリンに加えて、グラファイト、グラフェン、フタロシアニン、シリカ、および発泡セラミックという材料のリストの少なくとも1つの材料を含むことが企図され得る。
【0019】
シクロデキストリンを、特に大きい表面構造を有する材料と組み合わせることによって、浄化されるべき流体とシクロデキストリンとの間の接触面積を最大化することができる。その場合、例えばシクロデキストリンでコーティングされたグラファイト、グラフェン、フタロシアニン、ケイ酸塩(Silicate)および/または発泡セラミックを、提示されるフィルタユニットのフィルタ材料として使用することができる。
【0020】
さらに、フィルタユニットが真空を印加するための少なくとも1つのインターフェースを備えることが企図され得る。
【0021】
例えば吸引器によって生成される真空を印加するためのインターフェースを用いて、提示されるフィルタユニットのフィルタ材料に真空を印加することができる。したがって、真空によってフィルタ材料に力が作用し、この力によって、それぞれのシクロデキストリン分子に結合した不純物をシクロデキストリン分子から解離させ、それによって汚染された流体を浄化するためにシクロデキストリン分子を新たに使用することができる。
【0022】
真空を印加するためのインターフェースは、例えば開閉可能な開口、もしくはフィルタ材料と流動技術的に接続されているフィルタユニットの弁であり得る。
【0023】
さらに、フィルタユニットがフィルタ要素の温度を調節するための少なくとも1つの温度調節要素を備えることが企図され得る。
【0024】
例えば加熱器、特に加熱コイル、もしくは加熱回路、および/または冷却器、特に冷却回路などの温度調節要素を用いてフィルタ要素の温度を調節することができ、それに対応して、温度を本発明により企図されるシクロデキストリンへの不純物の結合のために最適化することができる。
【0025】
特に温度調節要素によって、フィルタ要素の温度を、不純物をろ過するためのろ過過程、または不純物を取り除いてフィルタ材料を浄化するための浄化過程のために最適化することができる。
【0026】
第2の態様では、提示される発明は燃料電池システムに関する。燃料電池システムは、燃料電池スタックと提示されるフィルタユニットの少なくとも1つの可能な実施形態とを備える。その場合、少なくとも1つのフィルタユニットは、流体を燃料電池スタックに供給するための配管に配置され、かつ不純物を取り除いて流体を浄化するように構成されている。
【0027】
フィルタユニットが一体化されていることにより、提示される燃料電池システムに汚染された流体を供給することができる。汚染された流体がフィルタユニットによって浄化され、したがって燃料電池システムの燃料電池スタックが効率的、かつ材料を傷めないように動作する。
【0028】
少なくとも1つのフィルタユニットが減圧器として機能し、かつ流体が燃料電池スタックに向かって流れる圧力を予め定められた圧力に低減するように構成されていることが企図され得る。
【0029】
提示される燃料電池システムのフィルタユニットは、例えば、フィルタユニット、特にフィルタ材料を通って流体が流れた場合に動圧が生じるように形成されていてもよい。そのような動圧によって、一方では、浄化された流体がフィルタユニットから流出する出口圧が、フィルタユニットへの入口圧よりも低減され、特に予め定められた値に低減される。他方で、そのような動圧によって、浄化されるべき流体がフィルタユニットを貫流する速度をフィルタユニットへの入口速度よりも低減することができ、特に予め定められた値に低減することができ、それにより、フィルタユニットのフィルタ材料と汚染された流体との間の最小限の接触時間と、それに対応する最小限のフィルタ性能が確保されている。
【0030】
さらに、燃料電池システムが固体酸化物形燃料電池システムまたは膜形燃料電池システムであることが企図され得る。
【0031】
第3の態様では、提示される発明は、燃料電池システムの動作のための流体をろ過するためのシクロデキストリンの使用に関する。
【0032】
第4の態様では、提示される発明は、燃料電池システムの動作方法に関する。方法は、提示されるフィルタユニットの少なくとも1つの可能な実施形態を燃料電池システムに提供する提供ステップと、燃料電池システムの動作のための流体が少なくとも1つのフィルタユニットに送られ、少なくとも1つのフィルタユニットによって浄化された流体が燃料電池システムの燃料電池スタックに送られることにより、燃料電池システムを動作させる動作ステップとを包含する。
【0033】
提示される方法は、特に連続的に実行し、燃料電池システムの効率的かつ材料を傷めない動作を保証することができる。
【0034】
さらに、不純物を取り除いてフィルタ材料を浄化するために、本方法が少なくとも1つのフィルタユニットに真空を印加する印加ステップ、または少なくとも1つのフィルタユニットを少なくとも1つの新しいフィルタユニットと取り替える、もしくはフィルタ要素を新しいフィルタ要素と取り替えてフィルタユニットを再生するための取替ステップを包含することが企図され得る。
【0035】
それぞれのフィルタ材料を浄化することによって、燃料電池システムの特に安価な動作を可能にすることができる。
【0036】
それぞれのフィルタユニットを交換することによって、燃料電池システムの動作時に特に長い保守インターバルを達成することができる。
【0037】
本発明の他の利点、特徴、および詳細は、図面を参照しながら本発明の実施例が詳細に説明される以下の記載から明らかになる。その場合、請求項および明細書で言及される特徴は、それぞれ単独で、または任意の組み合わせで本発明に不可欠であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】提示されるフィルタユニットの可能な実施形態の図である。
【
図2】真空を印加するためのインターフェースを備える
図1によるフィルタユニットの図である。
【
図3】提示される燃料電池システムの可能な実施形態の図である。
【
図4】提示される方法の可能な実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1にフィルタユニット100が示されている。フィルタユニット100は、フィルタ材料103が充填されたフィルタ要素101を備える。
【0040】
フィルタ材料103は、少なくとも部分的にシクロデキストリンからなる。特に、フィルタ材料103は、アルファシクロデキストリン、ベータシクロデキストリン、ガンマシクロデキストリン、粉末状のシクロデキストリン、ポリマーシクロデキストリン、および/または圧縮されたシクロデキストリンを含むことができる。これに加えて、フィルタ材料は、グラファイト、グラフェン、フタロシアニン、シリカ、および/または発泡セラミックを含むことができる。
【0041】
フィルタユニット100は、流体105、ここでは、例えば炭化水素などの不純物107で汚染された水素ガスをろ過もしくは浄化するために用いられる。
【0042】
汚染された流体105を浄化するために、流体105は、矢印109で示されるようにフィルタユニット100に送られる。
【0043】
フィルタ材料103、特にフィルタ材料103中のシクロデキストリンが不純物107を吸収し、浄化された流体111を通過させる。したがって、浄化された流体111がろ過されて、矢印113で示されるようにフィルタユニット100から出て行く。
【0044】
図2において、真空を印加するためのインターフェース200を有するフィルタユニット100が示されている。
【0045】
フィルタ材料103のシクロデキストリンもしくはシクロデキストリン分子は、その環状構造の内部で不純物を可逆的に結合するように構成されている。したがって、例えばフィルタ要素101に真空もしくは負圧を印加するなどの浄化方法によって、不純物で塞がれたシクロデキストリン分子は、不純物107が取り除かれて浄化され、汚染された流体105を新たにろ過するために使用され得る。そのために、例えば外部の吸引器によって提供された真空をフィルタ材料103に作用させることを可能にするように、弁201によってインターフェース200を開くか、または閉じることができる。
【0046】
任意的に、フィルタ材料103、したがってシクロデキストリンへの真空の吸引作用を最大にするために、インターフェース200に真空を印加する場合に閉じることができる遮断弁203および205を設けることができ、それにより不純物107がシクロデキストリンから離れ、矢印207で示されるように、フィルタユニット100から排出され得る。
【0047】
任意的な温度調節要素209を用いて、フィルタ要素101の温度を調節することができ、それにより例えばフィルタ材料103もしくはシクロデキストリンを、結合した不純物107から特に容易に引き離すことができる。このために、温度調節要素209は、加熱器および/または冷却器を備えることができ、あるいは外部の加熱器によって提供される熱エネルギー、または外部の冷却器によって提供される冷エネルギーを、例えば水などの温度調節媒体を介してフィルタ要素101へ送ることができる。
【0048】
図3において、例えば
図1に示されるフィルタユニット100などのフィルタユニット301と燃料電池スタック303とを備える燃料電池システム300が示される。
【0049】
燃料電池システム300を動作させるために、水素含有流体が蓄圧器からフィルタユニット301へ送られ、フィルタユニット301のフィルタ材料を通ってろ過される。これに対応して、フィルタユニット301は、浄化された流体、すなわち純粋な水素または実質的に純粋な水素を燃料電池スタックに供給する。
【0050】
フィルタユニット301の物理的特性にもとづいて、フィルタユニット301は、蓄圧器と燃料電池スタック303との間の減圧器として機能し、それにより燃料電池システムにおける減圧弁を任意的に省略することができる。この場合、燃料電池スタック303に動作流体を供給するために予め定められた動作圧力を調節するために、例えば複数のフィルタユニット301を相前後して配置することができる。
【0051】
特に、燃料電池システム300は、固体酸化物形燃料電池システムまたは膜形燃料電池システムであり得る。
【0052】
図4において、方法400が示されている。方法400は、提示されるフィルタユニットを燃料電池システムに提供するための提供ステップ401と、燃料電池システムの動作のための流体がフィルタユニットに送られ、フィルタユニットによって浄化された流体が燃料電池システムの燃料電池スタックに送られることにより、燃料電池システムを動作させるための動作ステップ403とを包含する。
【0053】
任意的な保守ステップ405において、真空を用いてフィルタユニットを浄化するか、または新しいフィルタユニットと取り替えられる、もしくは新しいフィルタ要素により再生することができる。
【符号の説明】
【0054】
100 フィルタユニット
101 フィルタ要素
103 フィルタ材料
105 流体
107 不純物
109 矢印
111 浄化された流体
113 矢印
200 インターフェース
201 弁
203、205 遮断弁
207 矢印
209 温度調節要素
300 燃料電池システム
301 フィルタユニット
303 燃料電池スタック
400 方法
401 提供ステップ
403 動作ステップ
405 保守ステップ