(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】情報出力装置及び情報出力方法
(51)【国際特許分類】
H04N 5/765 20060101AFI20240307BHJP
H04N 23/60 20230101ALI20240307BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20240307BHJP
G07C 5/00 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
H04N5/765
H04N23/60 500
H04N23/60 300
H04N7/18 J
H04N7/18 U
G07C5/00 Z
(21)【出願番号】P 2022548255
(86)(22)【出願日】2021-08-11
(86)【国際出願番号】 IB2021000531
(87)【国際公開番号】W WO2022053862
(87)【国際公開日】2022-03-17
【審査請求日】2023-03-06
(31)【優先権主張番号】P 2020152214
(32)【優先日】2020-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】草柳 佳紀
(72)【発明者】
【氏名】柳 拓良
【審査官】川中 龍太
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-105174(JP,A)
【文献】特開2019-191828(JP,A)
【文献】特開2019-009498(JP,A)
【文献】国際公開第2020/129182(WO,A1)
【文献】特開2017-194950(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0030645(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/765
H04N 23/60
H04N 7/18
G07C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車内又は車外において発生したイベントを検出するイベント検出部と、
前記イベントを検出した時に前記イベントを知覚することが可能な人物を第1メンバとして特定するメンバ特定部と、
検出した前記イベントに関するイベントデータを前記第1メンバに関連付けて記憶するイベント記憶部と、
前記イベント記憶部に記憶されている前記イベントデータを自動的に出力するデータ出力部と、
を備える情報出力装置であって、
前記メンバ特定部は、前記データ出力部から出力される前記イベントデータを視聴することが可能な人物を第2メンバとして特定し、
前記情報出力装置は、
前記第2メンバに前記第1メンバ以外の人物が含まれているか否かを判断し、
前記第2メンバに前記第1メンバ以外の人物が含まれていると判断した場合、前記データ出力部が前記イベントデータを自動的に出力することを禁止する出力制御部を更に備える
ことを特徴とする情報出力装置。
【請求項2】
前記出力制御部は、前記第2メンバに前記第1メンバ以外の人物が含まれていないと判断した場合、前記データ出力部が前記イベントデータを自動的に出力することを許可する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報出力装置。
【請求項3】
前記出力制御部は、前記第2メンバに前記第1メンバ以外の人物が含まれ、かつ前記第2メンバに前記第1メンバの人物が少なくとも1人以上含まれていると判断した場合、前記イベント検出部によって前記イベント記憶部に前記イベントデータとして記憶されている前記イベントと類似する他のイベントが検出された時に前記イベントデータの出力可否を前記第2メンバに含まれる前記第1メンバに問い合わせる
ことを特徴とする請求項1または2に記載の情報出力装置。
【請求項4】
前記メンバ特定部は、前記イベントを検出した時に前記車両に乗車していた前記第1メンバ及び前記車両に乗車している前記第2メンバを特定する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の情報出力装置。
【請求項5】
前記メンバ特定部は、前記イベントを検出した時に前記車両に乗車していた前記第1メンバ及び前記車両に乗車している前記第2メンバに加え、前記イベントを検出した時に通信手段を介して前記車両と接続していた前記第1メンバ及び前記車両と接続している前記第2メンバを特定する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の情報出力装置。
【請求項6】
前記メンバ特定部は、前記イベントを検出した時に前記車両に乗車していた前記第1メンバ及び前記車両に乗車している前記第2メンバに加え、前記車両とは異なる他車両が、通信手段を介して前記車両と接続し、前記車両から予め定められた距離の範囲内で走行している場合、前記イベントを検出した時に前記他車両に乗車していた前記第1メンバ及び前記他車両に乗車している前記第2メンバを特定する
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の情報出力装置。
【請求項7】
前記メンバ特定部は、前記データ出力部から出力される前記イベントデータを理解することが可能な人物を前記第2メンバとして特定する
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の情報出力装置。
【請求項8】
前記出力制御部は、前記イベント記憶部に記憶された前記イベントデータの中から前記第2メンバに関する情報が記憶されたイベントデータを抽出し、前記第2メンバにリストとして提示する
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の情報出力装置。
【請求項9】
前記出力制御部は、前記第2メンバに前記第2メンバに関する情報が記憶されたイベントデータをリストとして提示する場合、前記リストとして提示する各々のイベントデータに記憶された前記第1メンバに対して前記第2メンバが占める割合を算出し、前記各々のイベントデータを前記割合が高い順に提示する
ことを特徴とする請求項8に記載の情報出力装置。
【請求項10】
前記出力制御部は、前記イベント検出部が前記イベント記憶部に前記イベントデータとして記憶されている前記イベントと類似する他のイベントを検出し、かつ、前記第2メンバに前記第1メンバ以外の人物が含まれていないと判断した場合、前記データ出力部が前記イベントデータを自動的に出力することを許可する
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の情報出力装置。
【請求項11】
車両の車内又は車外において発生したイベントを検出し、
前記イベントを検出した時に前記イベントを知覚することが可能な人物を第1メンバとして特定し、
検出した前記イベントに関するイベントデータを前記第1メンバに関連付けて記憶し、
記憶されている前記イベントデータを自動的に出力する
情報出力方法であって、
出力される前記イベントデータを視聴することが可能な人物を第2メンバとして特定し、
前記第2メンバに前記第1メンバ以外の人物が含まれているか否かを判断し、
前記第2メンバに前記第1メンバ以外の人物が含まれていると判断した場合、前記イベントデータを自動的に出力することを禁止する
ことを特徴とする情報出力方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報出力装置及び情報出力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車内の映像データ及び音声データ(AVデータ)を自動で取得するとともに、AVデータを取得した際の日時、目的地、走行経路、及び乗車者に関する情報である各種情報を取得して記録し、記録したAVデータを車内で再生する画像音声記録再生装置が知られている(特許文献1参照)。特許文献1に記載された発明は、取得したAVデータを前記した各種情報と関連付けて記録することで、ユーザにより各種情報に基づいた条件が指定された場合に、当該条件に対応するAVデータを容易に抽出し、再生することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された画像音声記録再生装置は、記録されたAVデータを再生する際に、当該AVデータが誰に視聴されるのかを考慮していない。そのため、記録されたAVデータに、当該AVデータを記録した時の乗車者以外の他者には知られたくないユーザのプライバシ情報が含まれている場合、当該AVデータの再生により、ユーザのプライバシ情報が前記した他者に漏洩してしまう可能性がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、イベントデータに含まれるユーザのプライバシ情報を保護しつつ、イベントデータを自動的に出力する情報出力装置及び情報出力方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係わる情報出力装置は、イベント検出部、メンバ特定部、イベント記憶部、データ出力部を備え、更に出力制御部を備える。イベント検出部が車両の車内又は車外において発生したイベントを検出した時に、メンバ特定部はイベントを知覚することが可能な人物を第1メンバとして特定し、イベント記憶部は検出したイベントに関するイベントデータを第1メンバに関連付けて記憶する。メンバ特定部はイベントデータを視聴することが可能な人物を第2メンバとして特定する。出力制御部は第2メンバに第1メンバ以外の人物が含まれているか否かを判断し、第2メンバに第1メンバ以外の人物が含まれていると判断した場合、イベントデータを自動的に出力することを禁止する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、イベントデータに含まれるユーザのプライバシ情報を保護しつつ、イベントデータを自動的に出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る情報出力装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る情報出力装置がイベントデータを記憶する動作を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る情報出力装置がイベントデータを出力する動作を示すフローチャートである。
【
図4A】
図4Aは、第1実施形態に係る情報出力装置がイベントデータの出力可否を判断する時のメンバ構成を示す模試図である。
【
図4B】
図4Bは、第1実施形態に係る情報出力装置がイベントデータの出力可否を判断する時のメンバ構成を示す模試図である。
【
図4C】
図4Cは、第1実施形態に係る情報出力装置がイベントデータの出力可否を判断する時のメンバ構成を示す模試図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態に係る情報出力装置の構成を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態に係る情報出力装置がイベントデータを記憶する動作を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、第2実施形態に係る情報出力装置がイベントデータを出力する動作を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、第3実施形態に係る情報出力装置の構成を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、第3実施形態に係る情報出力装置がイベントデータを記憶する動作を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、第3実施形態に係る情報出力装置がイベントデータを出力する動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面を参照して、実施形態を説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0010】
(第1実施形態)
[情報出力装置の構成]
図1を参照して、本実施形態に係る情報出力装置の全体構成を説明する。情報出力装置は、出力するイベントデータを視聴することが可能な人物である第2メンバに、車両の車内又は車外において発生したイベントを検出した時にイベントを知覚することが可能な人物(第1メンバ)以外の人物が含まれている場合に、イベントデータを自動的に出力することを禁止することにより、ユーザのプライバシを保護しつつ、イベントデータを自動出力する装置である。
【0011】
情報出力装置は、コントローラ1を主体に構成されている。また、情報出力装置は、車両の車外を撮影するカメラ11、車内に設けられたマイク12、車両の車内を撮影するカメラ13、GPS受信機14、イベント記憶部30、データ出力部50を備えている。
【0012】
コントローラ1は、CPU(中央処理装置)、メモリ、及び入出力部を備える汎用のマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータには、情報出力装置として機能させるためのコンピュータプログラムがインストールされている。コンピュータプログラムを実行することにより、マイクロコンピュータは、情報出力装置が備える複数の情報処理回路として機能する。なお、本実施形態では、ソフトウェアによって情報出力装置が備える複数の情報処理回路を実現する例を示すが、もちろん、以下に示す各情報処理を実行するための専用のハードウェアを用意して、情報処理回路を構成することも可能である。また、複数の情報処理回路を個別のハードウェアにより構成してもよい。
【0013】
コントローラ1は、複数の情報処理回路として、イベント検出部10と、メンバ特定部20と、出力制御部40とを備えている。
【0014】
イベント検出部10は、カメラ11と、マイク12と、カメラ13と、GPS受信機14とから出力されたデータを取得し、車両の車内又は車外において発生したイベントを検出する。イベント検出部10は、イベントを知覚することが可能な人物(第1メンバ)の思い出となる事象が発生したことを検出する。第1メンバには、車両の乗員が含まれる。
【0015】
カメラ11は、車室内部又は外部に配置され、車両の前方、側方、後方に複数設けられている。カメラ11は、車両の周囲の状況を撮像し、車外の映像データとして出力する。カメラ11は、自動運転装置ならびに運転支援装置で用いられるステレオカメラ及び単眼カメラを利用することもできる。
【0016】
マイク12は、車両の車室内部に配置され、車両に乗車している人物の音声を収音し、車内の音声データとして出力する。
【0017】
カメラ13は、車室内に配置され、車両に乗車している人物、特に人物の顔を撮像し、車内の映像データとして出力する。
【0018】
GPS受信機14は、車両の車内に設置され、人工衛星からの電波を受信することにより、地上における車両の位置情報(緯度及び経度情報を含む)を出力する。GPS受信機14は、ナビゲーション機能に用いられているものを使用することができる。当該実施形態では、GPS受信機14は、車両の車内に設置されているが、車外のラジオアンテナ及び他の通信機器と通信するためのアンテナと一緒に設置されていてもよい。
【0019】
イベント検出部10は、マイク12及びカメラ13から出力された車内の音声データ及び映像データと、カメラ11から出力された車外の映像データと、GPS受信機によって検出された車両の位置情報に基づいて、車両の車内又は車外において発生したイベントを検出する。イベント検出部と類似する機能を有する装置として、例えば、イベントレコーダがある。イベントレコーダは、車両に設置され、車両に備わる装置の動作状況から交通事故(イベント)が発生したか否かを判断する。以下にて、イベント検出部10が発生したイベントを検出する方法について具体的に説明する。
【0020】
イベント検出部10は、マイク12から出力された車内の音声データを解析し、車両に乗車しているメンバの会話が盛り上がっていると判断した時に、イベントを検出したと判断する。具体的には、イベント検出部10は、音声認識機能を備えることにより、乗車しているメンバの会話を特定することができる。これにより、イベント検出部10は、乗車しているメンバの会話に、予め定められた会話が盛り上がっていると判断するための話題が含まれている否かを判断することができ、当該会話における当該話題の出現率を算出することができる。イベント検出部10は、乗車しているメンバの会話に、予め定められた会話が盛り上がっていると判断するための話題が含まれ、当該会話における当該話題の出現率が高いと判断した時に、車内のメンバの会話が盛り上がっていると判断し、イベントを検出したと判断する。予め定められた会話が盛り上がっていると判断するための話題としては、例えば、天候、景色、観光地があげられる。イベント検出部10は、車内の音声データから、車内のメンバの会話の音量が大きくなったことを検出した時に、車内のメンバの会話が盛り上がっていると判断し、イベントを検出したと判断してもよい。
【0021】
イベント検出部10は、カメラ11から出力された車外の映像データ、及びカメラ13から出力された車内の映像データを解析し、車両から見える景色に乗車しているメンバが反応していると判断した時に、イベントを検出したと判断する。具体的には、先ず、イベント検出部10は、カメラ11から出力された車外の映像データから、海、山、川、日の出、日の入り、花火を含む、予め定められた景色と類似する景色が検出されたか否かを判断する。次に、イベント検出部10は、予め定められた景色と類似する景色が検出された時に、カメラ13から出力された車内の映像データを解析し、車両に乗車しているメンバが、検出された景色に反応しているか否かを判断する。車両に乗車しているメンバが検出された景色に反応しているか否かを判断する手段として、映像データから人物を特定し、特定された人物の顔の向きを特定する顔認識機能を用いることができる。これにより、イベント検出部10は、乗車している人物各々が検出された景色の方向を向いているか否かを判断し、一定の割合以上の乗員が景色の方向を向いている場合、車両に乗車しているメンバが、検出された景色に反応していると判断することができる。これにより、イベント検出部10は、車両に乗車しているメンバが検出された景色に反応しているか否かを判断することができ、イベントを検出したと判断することができる。
【0022】
イベント検出部10は、GPS受信機14によって検出された車両の位置情報を取得し、現在の車両の位置が観光地として有名な場所の付近であることを判断した時に、イベントを検出したと判断する。
【0023】
さらに、イベント検出部10は、GPS受信機14よって検出された車両の位置情報に加え、GPS受信機14が受信した日時情報を取得し、イベントを検出したと判断した時の車両の位置、及び日時を特定する。イベントを検出したと判断した時の日時はGPS受信機14が受信する日時情報を利用することで、正確な日時を特定することができる。
【0024】
メンバ特定部20は、イベント検出部10によってイベントが検出された時に、マイク12から出力された車内の音声データ、及びカメラ13から出力された車内の映像データを取得する。メンバ特定部20は、取得した車内の音声データ及び車内の映像データを解析することにより、車両に乗車し、当該イベントを知覚することが可能な人物である第1メンバを特定する。具体的には、メンバ特定部20は、マイク12から出力された車内の音声データから、人物によって異なる声の音響的特徴を抽出し、抽出した音響的特徴に基づいて音声を識別する話者識別機能を備えることにより、車両に乗車している人物を特定することができる。
【0025】
また、メンバ特定部20は、カメラ13から出力された映像データを取得する。メンバ特定部20は、映像データから人物各々の顔を検出し、検出した顔のパーツの相対位置や大きさ、目や鼻やあごの形の特徴から人物各々の顔を識別する顔認識機能を備えることにより、車両に乗車している人物を特定することができる。また、メンバ特定部20は、顔の特徴から年齢を推定してもよい。さらに、顔認識機能は特定された人物各々の顔の向き、目や口の開度を検出することができる。これにより、メンバ特定部20は、特定された人物各々が検出されたイベントの方向を向いているか否か、及び寝ているか否かを判断することができ、検出されたイベントを知覚することが可能な人物である第1メンバを特定することができる。
【0026】
なお、メンバ特定部20は、特定された第1メンバに情報出力装置のユーザがいるか否かを判断してもよい。情報出力装置のユーザとは、情報出力装置のメインのユーザとして、情報出力装置に予めユーザとして登録された人物のことである。具体的には、メンバ特定部20は、予め取得した、カメラ11にて撮像した情報出力装置のユーザの顔データ、及びマイク12にて収音した情報出力装置のユーザの音声データに基づいて、第1メンバの中に情報出力装置のユーザがいるか否かを判断することができる。
【0027】
また、メンバ特定部20は、第1メンバを特定した時と同様の方法で、車両に乗車している人物であって、出力されるイベントデータを視聴することが可能な人物である第2メンバを特定する。イベントデータとは、検出されたイベントに関するデータであり、イベント検出部10がイベントを検出した時の、カメラ11、13、及びマイク12によって取得された車両の車内及び車外の音声及び映像を含むデータのことである。
【0028】
メンバ特定部20は、出力されるイベントデータを視聴することが可能な人物であって、出力されるイベントデータを理解することが可能な人物を第2メンバとして特定する。具体的には、メンバ特定部20は、顔認識機能を備えることにより、出力されるイベントデータを視聴することが可能な人物各々の年齢を推定することができる。これにより、メンバ特定部20は、出力されるイベントデータを視聴することが可能なメンバの中に、イベントデータに含まれる言語及び文字を理解することができない年齢の子供が含まれているか否かを判断することができる。メンバ特定部20は、出力されるイベントデータを視聴することが可能なメンバの中から、言語及び文字を理解することができない人物を除外することにより、出力されるイベントデータを理解することが可能な人物を第2メンバと特定することができる。
【0029】
イベント記憶部30は、ハードディスクドライブ、及びオンラインストレージ含む情報記憶装置で構成される。イベント記憶部30は、イベント検出部10によって特定されたイベント検出時の車両の位置、及び日時に加え、カメラ11、13、及びマイク12によって取得された車両の車内及び車外の音声及び映像を含むイベントデータを記憶する。イベント記憶部30は、記憶するイベントデータをメンバ特定部20によって特定された第1メンバに関連付けて記憶する。具体的には、イベント記憶部30は、特定された第1メンバの人物各々を記憶し、記憶された人物各々に対して検出されたイベントデータを紐づけて記憶する。または、イベント記憶部30は、イベントデータに対して特定された第1メンバの人物各々を紐づけて記憶してもよい。
【0030】
出力制御部40は、類似イベント判定部41と、メンバ比較部42と、再生可否判断部43とで構成され、イベント記憶部30に記憶されているイベントデータの出力可否を判断する。
【0031】
類似イベント判定部41は、イベント検出部10によって他のイベントが検出された場合に、検出された他のイベントが、イベント記憶部30にイベントデータとして記憶されているイベントと類似する他のイベントであるか否かを判断する。具体的には、イベント検出部10がイベントを検出したと判断した時の、車両に乗車しているメンバの会話の内容、車両から見える景色、及び車両の位置の少なくも1つが、イベントデータに記憶されたメンバの会話の内容、車両から見える景色、及び車両の位置と類似しているか否かを判断する。例えば、車両に乗車しているメンバの会話に、イベントデータに記憶された会話の話題が含まれているか否か、車内から見える景色に、イベントデータに記憶された景色(例えば、海、山、川、日の出、日の入り、花火)の一部が含まれているか否かで、類似しているか否かを判断する。
【0032】
メンバ比較部42は、検出された他のイベントが、類似イベント判定部41によってイベント記憶部30にイベントデータとして記憶されているイベントと類似していると判断された場合に、第2メンバと第1メンバとを比較する。具体的には、メンバ比較部42は、イベント記憶部30に記憶された類似していると判断されたイベントデータと紐づけられて記憶された第1メンバを抽出し、メンバ特定部20によって特定された第2メンバと抽出された第1メンバとを比較する。そして、メンバ比較部42は、第2メンバに第1メンバ以外の人物が含まれているか否かを判断する。
【0033】
なお、第2メンバと第1メンバとを比較し、第2メンバに第1メンバ以外の人物が含まれているか否かを判断する処理は、イベント記憶部30に記憶されているイベントデータと類似する他のイベントを検出した時でなくてもよい。例えば、メンバ比較部42は、車両に乗車している人物であって、出力されるイベントデータを視聴することが可能な人物である第2メンバが特定された場合に、第2メンバと第1メンバとを比較し、第2メンバに第1メンバ以外の人物が含まれているか否かを判断してもよい。具体的には、メンバ比較部42は、イベント記憶部30に記憶された各々のイベントデータと紐づけられて記憶された第1メンバを抽出し、メンバ特定部20によって特定された第2メンバと各々のイベントデータに紐づけられた第1メンバとをイベントデータごとに比較する。これにより、第2メンバに各々のイベントデータに紐づけられた第1メンバ以外の人物が含まれているか否かをイベントデータごとに判断することができる。
【0034】
再生可否判断部43は、メンバ比較部42によって第2メンバに第1メンバ以外の人物が含まれていると判断された場合、イベントデータを自動的に出力することを禁止する。
【0035】
再生可否判断部43は、メンバ比較部42によって第2メンバに第1メンバ以外の人物が含まれていないと判断された場合、イベントデータを自動的に出力することを許可する。
【0036】
再生可否判断部43は、メンバ比較部42によって第2メンバに第1メンバ以外の人物が含まれ、かつ第2メンバに第1メンバの人物が少なくとも1人以上含まれていると判断された場合、類似する他のイベントが検出された時にイベントデータの出力可否を第2メンバに含まれる第1メンバに問い合わせる。なお、再生可否判断部43は、メンバ特定部20によって第2メンバに含まれる第1メンバの中に情報出力装置のユーザがいると判断された場合、イベントデータの出力可否を情報出力装置のユーザに問い合わせてもよい。
【0037】
具体的には、再生可否判断部43は、イベントデータの出力可否を第2メンバに含まれる第1メンバに問い合わせるために、スピーカ51にイベントデータの出力可否を問い合わせるメッセージを音声データとして出力する。または、再生可否判断部43は、ディスプレイ52にイベントデータの出力可否を問い合わせるメッセージを文字データとして出力する。第2メンバに含まれる第1メンバに再生可否を問い合わせるメッセージは、スピーカ51、またはディスプレイ52のいずれか一方から出力してもよいし、スピーカ51とディスプレイ52の両方から共に出力してもよい。
【0038】
再生可否判断部43は、マイク12によって収音された再生可否の回答を取得する。または、再生可否判断部43は、車内に設けられたディスプレイ52に入力された再生可否の回答を取得する。再生可否判断部43は、取得した回答が第2メンバに含まれる第1メンバの回答である場合、第2メンバに含まれる第1メンバの回答に基づいてイベントデータの出力可否を決定する。取得した回答が第2メンバに含まれる第1メンバの回答であるか否かは、メンバ特定部20によって判断される。
【0039】
ここで、
図4A、
図4B、
図4Cを参照して、出力制御部40によるイベントデータの出力可否の判断について、第2メンバと第1メンバとを示して模式的に説明する。
【0040】
図4Aは、イベントが検出された時の車内の状況を示しており、人物P1、人物P2、人物P3、人物P4が乗車している。人物P1、人物P2、人物P3、人物P4は、検出されたイベントを知覚することが可能と判断された第1メンバである。人物P1は情報出力装置のユーザである。当該イベントが検出された時のイベントデータは、人物P1、人物P2、人物P3、人物P4に関連付けて記憶される。
【0041】
図4Bは、
図4Aとは異なる時刻における車内の状況の一例を示しており、人物P1、人物P2、人物P3、人物P5が乗車している。人物P1、人物P2、人物P3、人物P5は、出力されるイベントデータを視聴することが可能と判断された第2メンバである。メンバ比較部42は、イベント記憶部30に記憶された各々のイベントデータと紐づけられて記憶された第1メンバを抽出し、第2メンバと各々のイベントデータに紐づけられた第1メンバとをイベントデータごとに比較する。メンバ比較部42が、
図4Aに示す状況にて記憶されたイベントデータを抽出した場合、当該第2メンバには、第1メンバ以外の人物P5が含まれている。そのため、メンバ比較部42は、第2メンバに第1メンバ以外のメンバが含まれていると判断し、再生可否判断部43は、
図4Aに示す状況にて記憶されたイベントデータを自動的に出力することを禁止する。
【0042】
なお、再生可否判断部43は、類似する他のイベントが検出され、検出された他のイベントが、イベント記憶部30にイベントデータとして記憶されているイベントと類似していると判断された場合に、イベントデータの出力可否を判断してもよい。
【0043】
図4Bに示された第2メンバには、
図4Aに示す第1メンバ以外の人物P5が含まれているが、第1メンバの人物である人物P1、人物P2、人物P3が含まれている。そのため、再生可否判断部43は、イベントデータの出力可否を第2メンバに含まれる第1メンバの人物P1、人物P2、人物P3に問い合わせる。なお、人物P1は、第1メンバの人物であって情報出力装置のユーザである。再生可否判断部43は、第2メンバに含まれる第1メンバの中に情報出力装置のユーザがいる場合、情報出力装置のユーザにイベントデータの出力可否を問い合わせてもよい。そして、再生可否判断部43は取得した第2メンバに含まれる第1メンバの人物の回答に基づいて、イベントデータの出力可否を決定する。
【0044】
図4Cは、類似する他のイベントが検出された時の
図4Aとは異なる時刻における車内の状況の他の例を示しており、人物P1、人物P2、人物P3が乗車している。人物P1、人物P2、人物P3は、出力されるイベントデータを視聴することが可能と判断された第2メンバである。
図4Aに示す状況にて記憶されたイベントデータと類似する他のイベントが検出された場合、メンバ比較部42によって第2メンバと第1メンバとが比較される。当該第2メンバには、第1メンバ以外の人物が含まれていない。そのため、メンバ比較部42は、第2メンバに第1メンバ以外のメンバが含まれていないと判断し、再生可否判断部43は、イベントデータを自動的に出力することを許可する。
【0045】
以上説明したように、出力制御部40は第2メンバに第1メンバ以外の人物が含まれているか否かを判断し、イベントデータの出力可否を判断することができる。
【0046】
また、出力制御部40は、イベント記憶部30に記憶されたイベントデータの中から第2メンバに関する情報が記憶されたイベントデータを抽出し、第2メンバにリストとして提示してもよい。
【0047】
具体的には、メンバ比較部42は、イベントデータと紐づけられて記憶された第1メンバと第2メンバとを比較する。そして、メンバ比較部42が、第1メンバと第2メンバが同一人物であると判断した場合に、第1メンバに紐づけられたイベントデータを抽出する。これにより、第2メンバに第2メンバに関する情報が記憶されたイベントデータをリストとして提示することができる。
【0048】
また、出力制御部40は、第2メンバに第2メンバに関する情報が記憶されたイベントデータをリストとして提示する場合、リストとして提示する各々のイベントデータに記憶された第1メンバに対して第2メンバが占める割合を算出し、各々のイベントデータを割合が高い順に第2メンバに提示してもよい。
【0049】
データ出力部50は、スピーカ51と、ディスプレイ52から構成され、車両に乗車しているメンバが視聴可能な位置に設置されている。データ出力部50は、再生可否判断部43によってイベントデータの出力が許可された場合、イベントデータに記憶された音声データをスピーカ51から出力し、イベントデータに記憶された映像データをディスプレイ52から出力する。
【0050】
[情報記憶方法]
次に、
図2を参照して、
図1に示した情報出力装置がイベントデータを記憶する方法について説明する。
図2のフローチャートに示す情報出力装置の動作は、車両の電源がON(IGN:ON)になると同時に開始され、車両の電源がOFF(IGN:OFF)となったことを検出した時点で処理を終了する。
【0051】
ステップS10において、イベント検出部10は、車両の車内の音声データ及び映像データと、車外の映像データと、GPS受信機によって検出された車両の位置情報に基づいて、車両の車内又は車外において発生したイベントを検出したか否かを判断する。イベントが検出されたと判断されていない場合(ステップS10でNO)、ステップS10に滞留し、イベントの検出処理を継続して実行する。
【0052】
イベント検出部10によってイベントが検出されたと判断された場合(ステップS10でYES)、ステップS20に進む。ステップS20において、メンバ特定部20は、取得した車内の音声データ及び車内の映像データを解析することにより、車両に乗車し、当該イベントを知覚することが可能な人物である第1メンバを特定する。
【0053】
ステップS30に進み、イベント検出部10は、GPS受信機14によって検出された位置情報を取得し、イベントを検出した時の車両の位置を特定する。ステップS40に進み、イベント検出部10は、GPS受信機14が受信した日時情報を取得し、イベントを検出した時の日時を特定する。
【0054】
ステップS50に進み、イベント記憶部30は、イベント検出部10によって特定されたイベント検出時の車両の位置、及び日時に加え、カメラ11、13、及びマイク12によって取得された車両の車内及び車外の音声及び映像を含むイベントデータを記憶する。イベント記憶部30は、記憶するイベントデータをメンバ特定部20によって特定された第1メンバに関連付けて記憶する。
【0055】
ステップS60に進み、情報出力装置が備えるシャットダウン判定部(
図1には不図示)が車両の電源がOFF(IGN:OFF)となったことを検出していない場合(ステップS60でNO)、ステップS10に戻り処理を継続する。シャットダウン判定部が車両の電源がOFF(IGN:OFF)となったことを検出した時点で(ステップS60でYES)、処理を終了する。
【0056】
以上説明した処理を実行することにより、情報出力装置は、イベントが検出された時の車内又は車外の音声及び映像を含むイベントに関するイベントデータを第1メンバに関連付けて記憶することができる。
【0057】
[情報出力方法]
次に
図3を参照して、
図1に示した情報出力装置がイベントデータを出力する方法について説明する。
図3のフローチャートに示す情報出力装置の動作は、車両の電源がON(IGN:ON)になると同時に開始され、車両の電源がOFF(IGN:OFF)となったことを検出した時点で処理を終了する。
【0058】
ステップS70において、類似イベント判定部41は、イベント検出部10によって他のイベントが検出された場合に、検出された他のイベントが、イベント記憶部30にイベントデータとして記憶されているイベントと類似する他のイベントであるか否かを判断する。検出されたイベントが類似する他のイベントでない場合(ステップS70でNO)、ステップS70に滞留し、検出された他のイベントが類似する他のイベントであるか否かを判断する処理を継続して実行する。
【0059】
ステップS70において、検出された他のイベントが類似するイベントであると判断された場合(ステップS70でYES)、ステップS80に進む。ステップS80において、メンバ比較部42は、イベントデータと紐づけられて記憶された第1メンバを抽出する。
【0060】
ステップS90に進み、メンバ特定部20は、出力されるイベントデータを視聴することが可能な人物を第2メンバとして特定する。
【0061】
ステップS100に進み、メンバ比較部42は、第2メンバと第1メンバとを比較する。ステップS110に進み、メンバ比較部42は、第2メンバに第1メンバ以外のメンバが含まれているか否かを判断する。メンバ比較部42が、第2メンバに第1メンバ以外のメンバが含まれていると判断した場合(ステップS110でNO)、ステップS150に進む。ステップS150に進んだ時点で、再生可否判断部43はイベントデータを自動的に出力することを禁止する。
【0062】
ステップS110において、メンバ比較部42が、第2メンバに第1メンバ以外のメンバが含まれていないと判断した場合(ステップS110でYES)、ステップS120に進み、再生可否判断部43はイベントデータを自動的に出力することを許可する。
【0063】
ステップS150において、メンバ比較部42は、第2メンバに第1メンバの人物が少なくとも1人以上含まれているか否か、または第2メンバに第1メンバの人物であって情報出力装置のユーザが含まれているか否かを判断する。メンバ比較部42が、第2メンバに第1メンバの人物が1人も含まれていないと判断した場合(ステップS150でNO)、ステップS180に進み、再生可否判断部43はイベントデータの出力を禁止する。
【0064】
ステップS150において、メンバ比較部42が、第2メンバに第1メンバの人物が少なくとも1人以上含まれている、または第2メンバに第1メンバの人物であって情報出力装置のユーザが含まれていると判断した場合(ステップS150でYES)、ステップS160に進む。
【0065】
ステップS160において、再生可否判断部43は、スピーカ51またはディスプレイ52に、第2メンバに含まれる第1メンバまたは第2メンバに含まれる第1メンバの人物であって情報出力装置のユーザにイベントデータの出力可否を問い合わせるメッセージを出力する。
【0066】
ステップS170に進み、再生可否判断部43は、車内に設けられたマイク12またはディスプレイ52から取得した、第2メンバに含まれる第1メンバまたは第2メンバに含まれる第1メンバの人物であって情報出力装置のユーザの回答に基づいて、イベントデータの出力可否を決定する。再生可否判断部43は、マイク12またはディスプレイ52から取得した回答がイベントデータの出力を禁止と判断した場合(ステップS170でNO)、ステップS180に進み、再生可否判断部43によってイベントデータの出力が禁止される。
【0067】
ステップS170において、再生可否判断部43は、マイク12またはディスプレイ52から取得した回答がイベントデータの出力を許可と判断した場合(ステップS170でYES)、ステップS120に進み、再生可否判断部43によって、イベントデータの出力が許可される。
【0068】
ステップS130に進み、再生可否判断部43は、イベントデータの出力が終了したか否かを判断する。再生可否判断部43が、イベントデータの出力が終了したと判断していない場合(ステップS130でNO)、ステップS130に滞留し、イベントデータの出力が終了したか否かを判断する処理を継続して実施する。
【0069】
ステップS130において、再生可否判断部43が、イベントデータの出力が終了したと判断した場合(ステップS130でYES)、ステップS140に進む。ステップS140において、情報出力装置が備えるシャットダウン判定部(
図1には不図示)が車両の電源がOFF(IGN:OFF)となったことを検出していない場合(ステップS60でNO)、ステップS70に戻り処理を継続する。
【0070】
シャットダウン判定部が車両の電源がOFF(IGN:OFF)となったことを検出した時点で(ステップS60でYES)、処理を終了する。
【0071】
以上説明したように第1実施形態によれば以下の作用効果が得られる。
【0072】
情報出力装置は、出力されるイベントデータを視聴することが可能な第2メンバに、イベントデータを検出した時の第1メンバ以外のメンバ人物が含まれていると判断した場合、イベントデータの出力を禁止する。これにより、イベントデータを検出した時の第1メンバ以外のメンバに、第1メンバのプライバシ情報が知られてしまうことを防止して、第1メンバのプライバシ情報を保護することができる。
【0073】
情報出力装置は、出力されるイベントデータを視聴することが可能な第2メンバに、イベントデータを検出した時の第1メンバ以外のメンバが含まれていないと判断した場合、イベントデータの出力を許可する。これにより、イベントデータを記憶した時の第1メンバ以外のメンバに、第1メンバのプライバシ情報が知られてしまうことを防止して、第1メンバのプライバシ情報を保護しつつ、イベントデータを自動的に出力することができる。
【0074】
情報出力装置は、第2メンバに第1メンバ以外の人物が含まれ、かつ第2メンバに第1メンバ以外のメンバが少なくとも1人以上含まれていると判断した場合、類似する他のイベントが検出された時にイベントデータの出力可否を第2メンバに含まれる第1メンバに問い合わせる。これにより、第2メンバに含まれる第1メンバがイベントデータの出力可否を決定することができ、第2メンバに含まれる第1メンバが第1メンバ以外の第2メンバにユーザのプライバシ情報を開示してもよいと考えている場合、第1メンバのプライバシ情報が含まれたイベントデータを出力することができる。
【0075】
情報出力装置は、イベントを検出した時に車両に乗車していた第1メンバ及び車両に乗車している第2メンバを特定することにより、車両に乗車している第2メンバに対して、イベントデータの出力の可否を判断することができる。
【0076】
情報出力装置は、出力されるイベントデータを理解することが可能な人物を第2メンバとして特定することにより、出力されるイベントデータを理解することができない人物を除外して、イベントデータの出力可否を判断することができる。これにより、第1メンバのプライバシ情報を保護しつつ、第2メンバにイベントデータを出力することができる。
【0077】
情報出力装置は、イベント記憶部30に記憶されたイベントデータの中から第2メンバに関する情報が記憶されたイベントデータを抽出し、第2メンバにリストとして提示する。これにより、第2メンバは、第2メンバに関する情報が記憶されたイベントデータをリストの中から選択し、出力することができる
【0078】
情報出力装置は、第2メンバに第2メンバに関する情報が記憶されたイベントデータをリストとして提示する場合、リストとして提示する各々のイベントデータに記憶された第1メンバに対して第2メンバが占める割合を算出する。そして、情報出力装置は、各々のイベントデータを第1メンバに対して第2メンバが占める割合が高い順に第2メンバに提示する。これにより、第2メンバは、第2メンバとの関連性が高いイベントデータを選択し、出力させることができる。
【0079】
情報出力装置は、イベント検出部がイベント記憶部30にイベントデータとして記憶されているイベントと類似する他のイベントを検出し、かつ、第2メンバに第1メンバ以外の人物が含まれていないと判断した場合、データ出力部50がイベントデータを自動的に出力することを許可する。これにより、イベントデータとして記憶されているイベントと類似する他のイベントが検出された場合に、第2メンバにイベントデータを自動的に出力することができる。
【0080】
(第2実施形態)
[情報出力装置の構成]
図5を参照して、第2実施形態に係る情報出力装置の構成について説明する。第1実施形態との相違点は通信部60のみである。よって、通信部60で実施される処理についてのみ説明し、その他の共通する構成については説明を省略する
【0081】
情報出力装置は、第1実施形態に示す構成に加え、通信部60をさらに備えており、イベントを検出した時に通信手段を介して車両と接続していた第1メンバ及び車両と接続している第2メンバをさらに特定する。通信部60は、通信相手特定部61を備える。
【0082】
通信部60は、通信手段を介して車両と接続している人物に車両の車内の音声データ及び映像データと、車外の映像データを送信する。通信手段の具体的な例として、携帯電話、スマートフォン、インターネットに接続が可能なPC,タブレットなどがある。これら通信機器は、音声データ、または映像データを再生することができる。
【0083】
通信相手特定部61は、通信手段を介して車両と接続している人物を特定する。通信手段を介して、車内の音声データ及び映像データと、車外の映像データを視聴することができる人物は、イベントを知覚することが可能な人物である。具体的には、通信相手特定部61は、車両と接続している通信機器の電話番号、及び通信IDを特定することにより通信相手を特定することができる。これにより、情報出力装置は、イベントを検出した時に通信手段を介して車両と接続していた人物を第1メンバとして特定することができ、車両に接続している人物を第2メンバとして特定することができる。
【0084】
[情報記憶方法]
次に、
図6を参照して、
図5に示した情報出力装置がイベントデータを記憶する方法について説明する。第1実施形態との相違点はステップS21、ステップS22、ステップS23の処理のみである。よって、当該相違点の処理ステップについてのみ説明し、その他の共通する処理については説明を省略する。
【0085】
ステップS21において、通信相手特定部61は、通信手段を介して車両と接続している人物がいるか否かを判断する。通信相手特定部61が、通信手段を介して車両と接続している人物がいないと判断した場合(ステップS21にてNO)、ステップS30に進む。
【0086】
ステップS21において、通信相手特定部61が、通信手段を介して車両と接続している人物がいると判断した場合(ステップS21にてYES)、ステップS22に進む。
【0087】
ステップS22において、通信相手特定部61は、通信手段を介して車両と接続している人物を特定し、ステップS23に進む。
【0088】
ステップS23において、通信相手特定部61は、特定した人物をメンバ特定部20に転送する。メンバ特定部20は、イベントを検出した時に車両に乗車していた第1メンバに加え、イベントを検出した時に通信機器を介して車両と接続していたメンバを第1メンバとして特定する。
【0089】
[情報出力方法]
次に、
図7を参照して、
図5に示した情報出力装置がイベントデータを出力する方法について説明する。第1実施形態との相違点はステップS121からステップS124までの処理のみである。よって、当該相違点の処理ステップについてのみ説明し、その他の共通する処理については説明を省略する。
【0090】
ステップS121において、通信相手特定部61は、通信手段を介して車両と接続している人物がいるか否かを判断する。通信相手特定部61が、通信手段を介して車両と接続している人物がいないと判断した場合(ステップS121にてNO)、ステップS130に進む。
【0091】
ステップS121において、通信相手特定部61は、通信手段を介して車両と接続している人物がいると判断した場合(ステップS121にてYES)、ステップS122に進む。
【0092】
ステップS122において、通信相手特定部61は、通信手段を介して車両と接続している人物を特定し、メンバ特定部20に転送する。メンバ特定部20は、車両に乗車している第2メンバに加え、通信機器を介して車両と接続している人物を第2メンバとして特定することができる。
【0093】
ステップS123に進み、メンバ比較部42は、通信機器を介して車両と接続している第2メンバと第1メンバとを比較し、通信機器を介して車両と接続している第2メンバに第1メンバ以外のメンバが含まれているか否かを判断する。メンバ比較部42が、通信機器を介して車両と接続している第2メンバに第1メンバ以外のメンバが含まれていると判断した場合(ステップS123でNO)、ステップS190に進む。ステップS190に進んだ時点で、再生可否判断部43は通信機器を介して車両と接続している第2メンバに対してイベントデータを自動的に出力することを禁止する。ステップS190からS220までの処理は、第1実施形態のステップS150からステップS180までの処理と同様である。
【0094】
ステップS123において、メンバ比較部42が、通信機器を介して車両と接続している第2メンバに第1メンバ以外のメンバが含まれていないと判断した場合(ステップS123でYES)、ステップS124に進む。
【0095】
ステップS124において、通信部60は、通信機器を介して車両と接続している第2メンバにイベントデータを送信する。
【0096】
以上説明したように第2実施形態によれば以下の作用効果が得られる。
【0097】
情報出力装置は、イベントを検出した時に車両に乗車していた第1メンバ及び車両に乗車している第2メンバに加え、イベントを検出した時に通信手段を介して車両に接続していた第1メンバ及び車両と接続している第2メンバを特定する。これにより、通信手段を介して接続している第2メンバに対して、イベントデータの出力可否を判断することができる。
【0098】
(第3実施形態)
[情報出力装置の構成]
図8を参照して、第3実施形態に係る情報出力装置の構成について説明する。第2実施形態との相違点は通信部60の構成のみである。よって、通信部60で実施される処理についてのみ説明し、その他の共通する構成については説明を省略する
【0099】
情報出力装置は、他車両が通信手段を介して車両と接続し、車両から予め定められた距離の範囲内で走行していると判断した場合、イベントを検出した時に他車両に乗車していた第1メンバ及び他車両に乗車している第2メンバをさらに特定する。通信部60は、通信相手特定部61と、車間距離判定部62と、映像・音声受信部63とを備える。
【0100】
通信部60は、通信手段を介して車両と接続している他車両に車両の車内の音声データ及び映像データと、車外の映像データとを送信する。通信手段の具体的な例としては、インターネット通信がある。これにより、他車両に乗車しているメンバ(人物)は、イベントを知覚し、イベントデータを視聴することができる。
【0101】
通信相手特定部61は、他車両が通信手段を介して車両と接続しているか否かを判断し、他車両の車両番号(VIN)等から接続している他車両を特定する。
【0102】
車間距離判定部62は、車両と他車両との距離が予め定められた距離の範囲内であるか否かを判断する。具体的には、車間距離判定部62は、自動運転装置、及び運転支援装置で用いられるステレオカメラや測距レーダによって測定された車両と他車両との距離を取得し、車両と他車両との距離が予め定められた距離の範囲内であるか否かを判断する。
【0103】
映像・音声受信部63は、車両と接続している他車両の車内の映像、及び音声を、通信手段を介して受信する。映像・音声受信部63は、車両と接続している他車両の車内の映像、及び音声をメンバ特定部20に転送する。メンバ特定部20は、他車両に乗車している乗員を特定する。これにより、情報出力装置は、イベントを検出した時に他車両に乗車していた人物を第1メンバとして特定し、他車両に乗車している人物を第2メンバとして特定することができる。
【0104】
[情報記憶方法]
次に、
図9を参照して、
図8に示した情報出力装置がイベントデータを記憶する方法について説明する。第2実施形態との相違点はステップS201からステップS204までの処理のみである。よって、当該相違点の処理ステップについてのみ説明し、その他の共通する処理については説明を省略する。
【0105】
ステップS201において、通信相手特定部61は、通信手段を介して車両と接続している他車両があるか否かを判断する。通信相手特定部61が、通信手段を介して車両と接続している他車両がいないと判断した場合(ステップS201にてNO)、ステップS30に進む。
【0106】
ステップS201において、通信相手特定部61が、通信手段を介して車両と接続している他車両がいると判断した場合(ステップS201にてYES)、ステップS202に進む。
【0107】
ステップS202において、車間距離判定部62は、車両と他車両との距離を測定する。ステップS203に進み、車間距離判定部62は、測定した車両と他車両との距離が予め定められた距離の範囲内であるか否かを判断する。車間距離判定部62が、他車両との距離が予め定められた距離の範囲内でないと判断した場合(ステップS203でNO)、ステップS30に進む。
【0108】
ステップS203において、車間距離判定部62は、他車両との距離が予め定められた距離の範囲内であると判断した場合(ステップS203でYES)、ステップS204に進む。
【0109】
ステップS204おいて、映像・音声受信部63は、車両と接続している他車両からインターネット通信を介して他車両の車内の映像、及び音声データを受信する。そして、映像・音声受信部63は、受信した他車両の車内の映像、及び音声データをメンバ特定部20に転送する。これにより、メンバ特定部20は、イベントを検出した時に車両に乗車していた第1メンバに加え、イベントを検出した時に他車両に乗車していた第1メンバを特定することができる。
【0110】
[情報出力方法]
次に、
図10を参照して、
図8に示した情報出力装置がイベントデータを出力する方法について説明する。第2実施形態との相違点はステップS1201からステップS1205までの処理のみである。よって、当該相違点の処理ステップについてのみ説明し、その他の共通する処理については説明を省略する。
【0111】
ステップS1201において、通信相手特定部61は、通信手段を介して車両と接続している他車両があるか否かを判断する。通信相手特定部61が、通信手段を介して車両と接続している他車両がいないと判断した場合(ステップS1201にてNO)、ステップS130に進む。
【0112】
ステップS1201において、通信相手特定部61が、通信手段を介して車両と接続している他車両がいると判断した場合(ステップS1201にてYES)、ステップS1202に進む。
【0113】
ステップS1202において、車間距離判定部62は、車両と他車両との距離を測定する。
【0114】
ステップS1203に進み、車間距離判定部62は、車両と他車両との距離が予め定められた距離の範囲内であるか否かを判断する。車間距離判定部62が、他車両との距離が予め定められた距離の範囲内でないと判断した場合(ステップS1203でNO)、ステップS130に進む。
【0115】
ステップS1203において、車間距離判定部62は、車両と他車両との距離が予め定められた距離の範囲内であると判断した場合(ステップS1203でYES)、ステップS1204に進む。
【0116】
ステップS1204において、映像・音声受信部63は、車両と接続している他車両の車内の映像、及び音声を、通信手段を介して受信し、メンバ特定部に転送する。これにより、メンバ特定部20は、車両に乗車している第2メンバに加え、他車両に乗車している第2メンバを特定することができる。
【0117】
ステップS1205に進み、メンバ比較部42は、通信機器を介して車両と接続している他車両に乗車している第2メンバと第1メンバとを比較し、他車両に乗車している第2メンバに第1メンバ以外のメンバが含まれているか否かを判断する。メンバ比較部42が、他車両に乗車している第2メンバに第1メンバ以外のメンバが含まれていると判断した場合(ステップS1205でNO)、ステップS190に進む。ステップS190に進んだ時点で、再生可否判断部43は、他車両に乗車している第2メンバに対してイベントデータを自動的に出力することを禁止する。ステップS190からS220までの処理は、第1実施形態のステップS150からステップS180までの処理と同様である。
【0118】
ステップS1205において、メンバ比較部42が、通信機器を介して車両と接続している他車両の第2メンバに第1メンバ以外のメンバが含まれていないと判断した場合(ステップS123でYES)、ステップS124に進む。
【0119】
以上説明したように第3実施形態によれば以下の作用効果が得られる。
【0120】
情報出力装置は、イベントを検出した時に車両に乗車していた第1メンバ及び車両に乗車している第2メンバを特定する。さらに、車両とは異なる他車両が、通信手段を介して車両と接続し、車両から予め定められた距離の範囲内で走行している場合、イベントを検出した時に他車両に乗車していた第1メンバ及び他車両に乗車している第2メンバを特定する。これにより、他車両に乗車している第2メンバに対してイベントデータの出力可否を判断することができる。さらに、他車両が、車両から予め定められた距離の範囲内で走行していることを条件とすることにより、イベントを検出した時に他車両に乗車していた第1メンバがイベントを知覚することが可能な状態にあると判断することができる。また、イベントデータが出力された場合に、他車両に乗車している第2メンバがなぜ当該イベントデータが出力されたのかを理解することができる。
【0121】
上記のように、本発明の実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0122】
特願2020-152214号(出願日:2020年9月10日)の全内容はここに援用される。
【符号の説明】
【0123】
10 イベント検出部
20 メンバ特定部
30 イベント記憶部
40 出力制御部
50 データ出力部