(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】光学モジュール及び医用レーザ装置
(51)【国際特許分類】
G02B 27/09 20060101AFI20240307BHJP
A61B 18/20 20060101ALI20240307BHJP
G02B 26/08 20060101ALI20240307BHJP
G02B 3/00 20060101ALI20240307BHJP
G02B 3/06 20060101ALI20240307BHJP
G02B 13/00 20060101ALI20240307BHJP
G02B 13/18 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
G02B27/09
A61B18/20
G02B26/08 C
G02B26/08 E
G02B3/00 A
G02B3/06
G02B13/00
G02B13/18
(21)【出願番号】P 2022557804
(86)(22)【出願日】2020-08-11
(86)【国際出願番号】 CN2020108508
(87)【国際公開番号】W WO2022021476
(87)【国際公開日】2022-02-03
【審査請求日】2022-11-11
(31)【優先権主張番号】202010757215.3
(32)【優先日】2020-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】511309609
【氏名又は名称】西安炬光科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】FOCUSLIGHT TECHNOLOGIES INC.
【住所又は居所原語表記】56 Zhangba 6th Road,High-Tech Zone,Xi’an,Shaanxi,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カイ レイ
(72)【発明者】
【氏名】リウ シンシェン
【審査官】河村 麻梨子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107030401(CN,A)
【文献】特開2011-203739(JP,A)
【文献】特開2002-280325(JP,A)
【文献】特表2020-503108(JP,A)
【文献】特開平08-330660(JP,A)
【文献】特表2012-518813(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 26/08、27/09
A61B 18/20
B23K 26/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学モジュールであって、主光軸に沿い順次配列された第1レンズ、第2レンズ及びアレイレンズを備え、前記第1レンズが前記主光軸から見て第1方向沿いでビームを整形し、前記第2レンズが前記主光軸から見て第2方向沿いで前記ビームを整形し、前記アレイレンズが、前記主光軸から見て第2方向に沿い配列されたアレイを有する光学モジュールであり、レーザビームが前記第1レンズ通過後に前記第2レンズに入射し、そのレーザビームがその第2レンズにて前記第2方向沿いで拡散され且つその第2方向にてガウス分布からフラットトップ分布へと変換され、その後そのレーザビームが前記アレイレンズを通じ出射される光学モジュールであり、前記第1方向と前記第2方向とが互いに垂直
であり、
前記第1方向は、速軸又は遅軸であり、
前記第1方向が速軸である場合、前記第1レンズは速軸円柱レンズであり、前記第2レンズは遅軸円柱レンズであり、前記アレイレンズのアレイ方向は遅軸方向に揃えられ、
前記第1方向が遅軸である場合、前記第1レンズは遅軸円柱レンズであり、前記第2レンズは速軸円柱レンズであり、前記アレイレンズのアレイ方向は速軸方向に揃えられる、
光学モジュール。
【請求項2】
請求項1に係る光学モジュールであって、更に、前記第2レンズ・前記アレイレンズ間に所在する第3レンズを備え、その第3レンズが前記主光軸から見て第2方向沿いでビームを整形する光学モジュール。
【請求項3】
請求項1に係る光学モジュールであって、前記アレイレンズが、前記第2方向に沿い連続的に形成された鋸歯状面又は複数個の第1弧状面を備え、その鋸歯状面又は第1弧状面がそのアレイレンズの入射面又は出射面上に所在する光学モジュール。
【請求項4】
請求項
3に係る光学モジュールであって、前記アレイレンズの入射面が平坦面、凸面又は凹面でありそのアレイレンズの出射面が前記鋸歯状面又は複数個の前記第1弧状面で形成されているか、或いは、前記アレイレンズの入射面が前記鋸歯状面又は複数個の前記第1弧状面で形成されておりそのアレイレンズの出射面が平坦面、凸面又は凹面である光学モジュール。
【請求項5】
請求項
3に係る光学モジュールであって、前記アレイレンズが、更に、前記第1方向に沿い配列された鋸歯状面又は複数個の第2弧状面を備え、その鋸歯状面又は第2弧状面がそのアレイレンズの入射面又は出射面上に所在する光学モジュール。
【請求項6】
請求項
5に係る光学モジュールであって、前記アレイレンズの入射面又は出射面が、前記第2方向に沿い連続的に形成された複数個の第1弧状面を備え、且つそのアレイレンズの入射面又は出射面が、更に、複数個の前記第1弧状面を踏まえ前記第1方向に沿い連続的に配列された複数個の第2弧状面を備えているか、或いは、
前記アレイレンズの入射面が、前記第1方向に沿い配列された鋸歯状面であり、且つそのアレイレンズの出射面が、前記第2方向に沿い配列された複数個の前記第1弧状面で形成されているか、或いは、
前記アレイレンズの入射面が、前記第2方向に沿い配列された複数個の前記第1弧状面で形成されており、且つそのアレイレンズの出射面が、前記第1方向に沿い配列された鋸歯状面であるか、或いは、
前記アレイレンズの入射面が鋸歯状面であり且つそのアレイレンズの出射面が鋸歯状面である、
光学モジュール。
【請求項7】
請求項
5に係る光学モジュールであって、前記アレイレンズが第1アレイレンズ及び第2アレイレンズを備え、その第1アレイレンズの入射面又は出射面上及び/又は第2アレイレンズの入射面又は出射面上に前記第1弧状面又は前記鋸歯状面が所在する光学モジュール。
【請求項8】
請求項
3~
7のうち何れか一項に係る光学モジュールであって、前記アレイレンズを、鋸歯配列方向に沿い往復運動させること又は前記主光軸を巡る方向に沿い回動させることが可能な光学モジュール。
【請求項9】
請求項
3~
7のうち何れか一項に係る光学モジュールであって、前記鋸歯の歯面が湾曲を有する光学モジュール。
【請求項10】
請求項1に係る光学モジュールであって、前記第1レンズが前記主光軸の方向に沿い可動であり、それにより前記アレイレンズの出射面の光出射レンジを変化させうる光学モジュール。
【請求項11】
請求項
2に係る光学モジュールであって、前記第2レンズ・前記第3レンズ間に更に反射鏡が設けられている光学モジュール。
【請求項12】
請求項1
1に係る光学モジュールであって、前記反射鏡
は、前記反射鏡に入射する前の主光軸と前記反射鏡を出射した後の主光軸とを含む平面に対して垂直な軸周りに回動し、その反射鏡の回動角が0°~90°であり、ひいてはその回動角の範囲内で光スポットを走査運動させうる光学モジュール。
【請求項13】
医用レーザ装置であって、レーザと請求項1~1
0のうち何れか一項に係る光学モジュールとがその内部に設けられたケーシングを備え、その光学モジュールがそのレーザの出射方向に配列されている医用レーザ装置。
【請求項14】
請求項1
3に係る医用レーザ装置であって、前記ケーシングがハンドル及びレンズバレルを備え、前記レーザがそのハンドル内に配列されており、前記光学モジュールが前記レンズバレル内に配列されており、前記レンズバレルと前記ハンドルとが互いに可着脱連結されており、そのレンズバレルが可換ヘッドを備え、前記アレイレンズがその可換ヘッド内に所在しており、その可換ヘッドと前記レンズバレルとが可着脱連結されている医用レーザ装置。
【請求項15】
請求項1
3に係る医用レーザ装置であって、更に第1モータ及び/又は第2モータを備え、それら第1モータ,第2モータがそれぞれ前記第1レンズ,前記アレイレンズに連結されている医用レーザ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願への相互参照]
本願では、「光学モジュール及び医用レーザ装置」(Optical Module and Medical Laser Device)と題し2020年7月31日付で中国国家知識産権局に提出された中国特許出願第202010757215.3号に基づく優先権を主張し、参照によりその全容を本願に繰り入れる。
【0002】
[技術分野]
本願は光スポット印加の技術分野、とりわけ光学モジュール及び医用レーザ装置に関する。
【背景技術】
【0003】
レーザスポット印加に際しては、半導体レーザにより放射されたときの元々のガウス分布を、フラットトップ分布(平頂分布)へと変換することが必要となる。現在広く用いられている方法では、複数個のレンズ部材を用いているため、システムの総体積が大きめとなっている。更に、大面積の点状/線状スポットを得るため、既存のドットマトリクステクノロジでは、不効率な単一点走査方法の使用を余儀なくされている。
【0004】
アレイレンズには光を点状/ライン状に切り分けられる効果があるけれども、レーザ医療処置への応用に際しては、直接レーザ分布がガウス分布であり且つ軸方向サイズが小さいため、レンズアレイでは直接変換することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願の目的は、レーザビーム元来のガウス分布からフラットトップ分布への変換を実現でき、且つその光学モジュールの体積が小さい、光学モジュール及び医用レーザ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の諸実施形態は以下の通り実現される。
【0007】
本願のある態様に係る実施形態では、主光軸に沿い順次配列された第1レンズ、第2レンズ及びアレイレンズを備え、第1レンズがその主光軸から見て第1方向沿いでビームを整形し、第2レンズがその主光軸から見て第2方向沿いでそのビームを整形し、そのアレイレンズが、その主光軸から見て第2方向に沿い配列されたアレイを有する光学モジュールであり、レーザビームが第1レンズ通過後に第2レンズに入射し、そのレーザビームが第2レンズにて第2方向沿いで拡散され且つ第2方向にてガウス分布からフラットトップ分布へと変換され、その後そのレーザビームがそのアレイレンズを通じ出射される光学モジュールであり、第1方向と第2方向とが互いに垂直なものが、提供される。
【0008】
オプション的には、第1レンズを楕円体レンズ、第2レンズを双曲面レンズとする。
【0009】
オプション的には、更に、第2レンズ・アレイレンズ間に所在する第3レンズを備え、その第3レンズが主光軸から見て第2方向沿いでビームを整形するものとする。
【0010】
オプション的には、アレイレンズを、第2方向に沿い連続的に形成された鋸歯状面又は複数個の第1弧状面を備えるものとし、その鋸歯状面又は第1弧状面をそのアレイレンズの入射面又は出射面上に所在させる。
【0011】
オプション的には、アレイレンズの入射面を平坦面、凸面又は凹面とし且つそのアレイレンズの出射面を鋸歯状面又は複数個の第1弧状面で形成するか、或いは、アレイレンズの入射面を鋸歯状面又は複数個の第1弧状面で形成し且つそのアレイレンズの出射面を平坦面、凸面又は凹面とする。
【0012】
オプション的には、アレイレンズを、更に、第1方向に沿い配列された鋸歯状面又は複数個の第2弧状面を備えるものとし、その鋸歯状面又は第2弧状面をそのアレイレンズの入射面又は出射面上に所在させる。
【0013】
オプション的には、アレイレンズの入射面又は出射面を、第2方向に沿い連続的に形成された複数個の第1弧状面を備えるものとし、そのアレイレンズの入射面又は出射面を更に、複数個の第1弧状面を踏まえ第1方向に沿い連続的に配列された複数個の第2弧状面を備えるものとするか、或いは、アレイレンズの入射面を、第1方向に沿い配列された鋸歯状面とし、そのアレイレンズの出射面を、第2方向に沿い配列された複数個の第1弧状面で形成するか、或いは、アレイレンズの入射面を、第2方向に沿い配列された複数個の第1弧状面で形成し、そのアレイレンズの出射面を、第1方向に沿い配列された鋸歯状面とするか、或いは、アレイレンズの入射面を鋸歯状面としそのアレイレンズの出射面を鋸歯状面とする。
【0014】
オプション的には、アレイレンズを、第1アレイレンズ及び第2アレイレンズを備えるものとし、第1アレイレンズの入射面又は出射面上及び/又は第2アレイレンズの入射面又は出射面上に第1弧状面又は鋸歯状面を所在させる。
【0015】
オプション的には、アレイレンズをアレイ反射鏡とし、第2方向に沿い配された複数個の第1弧状面又は鋸歯をそのアレイ反射鏡の反射面上に連続的に形成する。
【0016】
オプション的には、アレイレンズを、鋸歯配列方向沿いで往復運動させること又は主光軸方向周りで回動させることが可能なものとする。
【0017】
オプション的には、その鋸歯の歯面に湾曲を持たせる。
【0018】
オプション的には、第1レンズを主光軸方向に沿い可動とし、それによりアレイレンズの出射面の光出射レンジを変化させうるようにする。
【0019】
オプション的には、第2レンズ・第3レンズ間に更に反射鏡を設ける。
【0020】
オプション的には、その反射鏡を主光軸周りで可回動なものとし、その反射鏡の回動角を0°~90°とすることで、その回動角の範囲内で光スポットを走査運動させうるようにする。
【0021】
本願の別の態様に係る実施形態では、レーザと上述の光学モジュールとがその内部に設けられたケーシングを備え、その光学モジュールがそのレーザの出射方向に配列されている医用レーザ装置が提供される。
【0022】
オプション的には、そのケーシングを、ハンドル及びレンズバレルを備えるものとし、レーザをそのハンドル内に配列し、光学モジュールをそのレンズバレル内に配列し、それらレンズバレル及びハンドルを互いに可着脱連結し、そのレンズバレルを、可換ヘッドを備えるものとし、アレイレンズをその可換ヘッド内に所在させ、その可換ヘッドとレンズバレルとを可着脱連結する。
【0023】
オプション的には、更に第1モータ及び/又は第2モータを備えるものとし、それら第1モータ,第2モータをそれぞれ第1レンズ,アレイレンズに連結する。
【発明の効果】
【0024】
本願の諸実施形態の有益効果には以下のものがある。
【0025】
本願の諸実施形態により提供される光学モジュールでは、第1レンズ、第2レンズ及びアレイレンズが主光軸に沿い順次配列される。第1レンズは、光源から放射された光ビームを圧縮し、収束させ且つ平行化する。光源から放射されたそのレーザビームは、第2レンズを通じガウス光からフラットトップ光へと変換される。アレイレンズの出射面は、光を放射しその光スポットを切り分けるように構成される。第1レンズはその光ビームを主光軸から見て第1方向沿いで整形し、第2レンズはその光ビームを主光軸から見て第2方向沿いで整形する。アレイレンズのアレイは主光軸から見て第2方向に沿い配列される。第1レンズ、第2レンズ及びアレイレンズは組み合わされ且つ整合化され、そのレーザビームが第1レンズ通過後に第2レンズへと入射するよう構成される。第2レンズはそのレーザビームを拡張し、そのレーザビームをガウス分布からフラットトップ分布へと変換し、そしてそれを、アレイレンズを通じ放射させる。三種類の光学素子を配列することにより、そのレーザビームを、元来のガウス分布からフラットトップ分布へと変換することができ、その光学モジュールのサイズが小さくなる。
【0026】
本願の諸実施形態における技術的解決策をより明瞭に描出するため、諸実施形態にて用いねばならない図面について、以下簡略に紹介する。ご理解頂くべきことに、以下の図面は本願の幾つかの実施形態を示しているに過ぎず、従って技術範囲に対する限定事項として解されるべきではない。本件技術分野に習熟した者(いわゆる当業者)であれば、他の関連諸図面を、創作的努力なしでこれら図面に従い得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本願のある実施形態により提供される光学モジュールの遅軸(遅相軸)の第1構造概略図である。
【
図2】本願のある実施形態により提供される光学モジュールの遅軸の第1光路図である。
【
図3】本願のある実施形態により提供される光学モジュールの速軸(進相軸)の構造概略図である。
【
図4】本願のその実施形態により提供される光学モジュールの遅軸出射光スポットの第1形状図である。
【
図5】本願のその実施形態により提供される光学モジュールの遅軸の第2構造概略図である。
【
図6】本願のその実施形態により提供される光学モジュールの遅軸出射光スポットの第2形状図である。
【
図7】本願のその実施形態により提供される光学モジュールの遅軸出射光スポットの第3形状図である。
【
図8】本願のその実施形態により提供される光学モジュールの遅軸の第3構造概略図である。
【
図9】本願のその実施形態により提供される光学モジュールの遅軸の第2光路図である。
【
図10】本願のその実施形態により提供される光学モジュールの遅軸出射光スポットの第4形状図である。
【
図11】本願のその実施形態により提供される光学モジュールの遅軸出射光スポットの第5形状図である。
【
図12】本願のその実施形態により提供される光学モジュールの遅軸出射光スポットの第6形状図である。
【
図13】本願のその実施形態により提供される光学モジュールの遅軸出射光スポットの第7形状図である。
【
図14】本願のある実施形態により提供される光学モジュールのアレイレンズの構造概略図である。
【
図15】本願のある実施形態により提供される光学モジュールのアレイレンズの光路図である。
【
図16】本願のその実施形態により提供される光学モジュールの遅軸の第4構造概略図である。
【
図17】本願のその実施形態により提供される光学モジュールの遅軸の第5構造概略図である。
【
図18】本願のその実施形態により提供される光学モジュールの速軸の第2構造概略図である。
【
図19】本願のその実施形態により提供される光学モジュールの遅軸の第6構造概略図である。
【
図20】本願のある実施形態により提供される医用レーザ装置の第1構造概略図である。
【
図21】本願のある実施形態により提供される医用レーザ装置の第2構造概略図である。
【
図22】本願のある実施形態により提供される光学モジュールの遅軸のデフォーカス光路図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本願の諸実施形態の目的、技術的解決策及び利点をより明瞭にするため、本願の諸実施形態における技術的解決策を、本願の諸実施形態における図面を参照し、以下、明瞭且つ完全に記述する。自明な通り、記述される諸実施形態は本願の諸実施形態のうち一部であり全てではない。総じて、本願の諸実施形態の構成部材のうち本願の図面にて記述及び描出されているものを、様々な別構成の態で配列及び設計することができる。
【0029】
即ち、図中に提示されている本願の諸実施形態についての後掲の詳細記述は、本願の技術的範囲であり特許請求の範囲に記載されているそれを限定する意図のものではなく、単に本願の選りすぐりの実施形態を表しているに過ぎない。本願の諸実施形態を踏まえ、いわゆる当業者が創造的努力なしに得られる他の何れの実施形態も、本願の保護範囲内にあるものとする。
【0030】
注記されるべきことに、類似する参照番号及び符号により後掲の図面中の類似事物を指し示しているので、ある図中でひとたび定義された事物を、後続の図中で再定義及び説明する必要はない。
【0031】
図1に係る実施形態は、主光軸に沿い順次配列された第1レンズ100、第2レンズ201、第3レンズ202及びアレイレンズ300を備える光学モジュールであり、その第1レンズ100が光ビームを主光軸から見て第1方向沿いで整形し、第2レンズ201がその光ビームを主光軸から見て第2方向沿いで整形し、第3レンズ202がその光ビームを主光軸から見て第2方向沿いで整形するものを提供している。アレイレンズ300のアレイは主光軸から見て第2方向に沿い配列されている。そのレーザビームは、第1レンズ100を通過した後に第2レンズ201へと入射する。そのレーザビームは、第2レンズ201により拡散され且つガウス分布からフラットトップ分布へと変換され、その上でアレイレンズ300を通じ出射される。
【0032】
光源から放射されたレーザ光は、順に、第1レンズ100、第2レンズ201、第3レンズ202及びアレイレンズ300を通過する。それら光源、第1レンズ100、第2レンズ201、第3レンズ202及びアレイレンズ300はそれぞれ光軸上にある。
【0033】
光源がレーザ光源、第1方向が速軸(進相軸)である場合、第1レンズ100を速軸円柱レンズ、第2レンズ201を遅軸円柱レンズ、第3レンズ202を遅軸円柱レンズとすることができる;アレイレンズ300のアレイ方向は遅軸方向沿いに揃える。
【0034】
第1方向が遅軸(遅相軸)である場合は、第1レンズ100を遅軸円柱レンズ、第2レンズ201を速軸円柱レンズ、第3レンズ202を速軸円柱レンズとし、アレイレンズ300のアレイ方向を速軸方向沿いに揃える。
【0035】
更に、第1レンズ100は楕円面レンズである;即ち、第1レンズ100が速軸円柱レンズである場合はそれを速軸楕円面レンズとすることができ、第1レンズ100が遅軸円柱レンズである場合はそれを遅軸楕円面レンズとすることができる。
【0036】
第2レンズ201を双曲面レンズ、その入射面を双曲面とすることで、単一のレンズにより、光ビーム拡張を実現するだけでなくガウス光からフラットトップ光への変換を実現することが可能となり、光学的構造が単純化される。
【0037】
アレイレンズ300のアレイは主光軸から見て第2方向に沿い配列される;即ち、第2レンズ201が遅軸円柱レンズであるときにはアレイレンズ300のアレイ方向を遅軸方向沿いに揃え、第2レンズ201が速軸円柱レンズであるときにはアレイレンズ300のアレイ方向を速軸方向沿いに揃える。
【0038】
光学モジュール内の各レンズの速軸及び遅軸は入れ替え可能である。
図1に示されている通り、本実施形態のある具体的構成では、第1レンズ100が速軸円柱レンズ、第2レンズ201が遅軸双曲面鏡、第3レンズ202が遅軸円柱レンズとされる。第1レンズ100の出射面は凸面、第2レンズ201の入射面は双曲面、第3レンズ202の出射面は凸面である。その光路図が
図2に示されている。
【0039】
速軸と遅軸とを入れ替える場合、即ち第1レンズ100を遅軸円柱レンズとする場合には、第2レンズ201を速軸双曲面レンズ、第3レンズ202を速軸円柱レンズとする。その光路図が
図3に示されている。
【0040】
第1レンズ100の機能は光源により放射された光ビームを圧縮、集光及び平行化することであり、第2レンズ201においては、その光源放射レーザビームをある単一の方向、即ち速軸又は遅軸に沿い拡張し、ガウス光からフラットトップ光への変換を実現している。第3レンズ202はその光ビームを平行化し、同時にエッジビームの補正を完遂する。アレイレンズ300の出射面は、光を放射しその光スポットを切り分けるように構成されている。その光ビーム、即ち第1レンズ100、第2レンズ201及び第3レンズ202を順次通過した後出射されたそれが、点及び/又は線からなる光スポット複合体へと遅軸上で切り分けられ、それにより光スポットが光出射方向に形成される。
【0041】
本実施形態により提供される光学モジュールでは、第1レンズ100、第2レンズ201及びアレイレンズ300が主光軸に沿い順次配列されている。第1レンズ100は、光源により放射された光ビームを圧縮し、収束させ且つ平行化する。第2レンズ201においては、その光源出射レーザビームがガウス光からフラットトップ光へと変換される。アレイレンズ300の出射面は、光を放射しその光スポットを切り分けるように構成されている。第1レンズ100はそのビームを主光軸から見て第1方向沿いで整形し、第2レンズ201はそのビームを主光軸から見て第2方向沿いで整形する。アレイレンズ300のアレイは主光軸から見て第2方向に沿い配列されている。これら第1レンズ100、第2レンズ201及びアレイレンズ300は、組み合わされ且つ整合化され、そのレーザビームが第1レンズ100通過後に第2レンズ201へと入射するよう構成される。第2レンズ201ではそのレーザビームが拡張され、そのレーザビームがなすガウス分布がフラットトップ分布へと変換され、その上でそれが、アレイレンズ300を通じ出射される。三種類の光学素子を配列することで、そのレーザビーム元来のガウス分布からフラットトップ分布への変換を実現することができるため、その光学モジュールの体積が小さくなる。
【0042】
本実施形態にて提供される光学モジュールを、別形状の光スポットを放射するものとすることもできる。
【0043】
既存の光学モジュールによる光スポット形成の場合、1個の光学モジュールからは、単一形態の光スポットしか出射させえない。例えば、その出射光スポットを、単一点状の光スポット、点カラム(列)状光スポット群、点マトリクス(行列)状光スポット群、ライン(線)状光スポット、面状光スポット及びストリップ(条片)状光スポットのうち一つにしかすることができない。このように一種類の光スポットしか出射しない光学モジュールは、一種類の産業需要向けにしか最適化させえない。しかしながら、新規需要が生じたときには、その新規需要を充足させるために新たな光学システムが必要となる。既存の光学モジュールで出射される一種類の光スポットは、使用条件を満たすべくその新規需要に対応させることしかできないし、業界横断的用途では、元々の光学モジュールをその新規産業の需要に適用することができず、従って不首尾となる。業界横断的用途である場合、新規セットの光学モジュールを再設計する必要がある。元々の光学モジュールと比較すると、個々の光学部材が大きく変わるし、元々の光学モジュールの全体構造を変えるので実施コストが高くなるし、またその変えたものを使えるのは元々の産業のみである。即ち、そうした光学モジュールは応用性が貧弱で、修正コストが高く、光スポットを相互変換することができない。新規需要発生時には、元々の光学モジュールでは不首尾となろうし、応用性が貧弱であるし、走査プロセス中に光プロセスを変化させえないため走査形態が単一となる。
【0044】
これを踏まえ、本願により提供される光学モジュールでは、その光学モジュール内の光学素子を僅かに調整することで、ロー(行)状の点群、アレイ状の点群、ライン状、面状又はストリップ状等、様々な形状を有する光スポットを形成可能としている。光スポットの形態が多様であり且つ相互変換可能であるため応用性が高く、産業横断的アウトプットに使用できて様々な需要に適合させることができ、機能がパワフルで高柔軟性、低コスト、小型、単純な構造となり、また医療美容(皮膚若返り、繊毛除去及び脂肪質分解)にて用いることができる。そのマトリクス状出射光を3D認識、能動走査光源、レーザ印刷その他の分野で用いることができる。
【0045】
アレイレンズ300の出射面の光出射レンジを変えることで、その出射光により形成される光スポットを変えて、様々な形状の光スポットを出射することができる。
【0046】
アレイレンズ300の出射面の光出射レンジを変えることで、様々な形状の光スポットを放射することができるため、光スポット変換なる目的を1個の光学モジュールで達成することが可能となる。このように、現実用途上、本光学モジュールは高い応用性で以て産業横断的に適用することができ、また1個の光学モジュールを様々な事例にて用い様々な需要を充足させることができる。
【0047】
具体的には、この光スポット変換(変形)は以下の諸実施形態を通じ実現される。
【0048】
アレイレンズ300は、第2方向に沿い連続的に形成された鋸歯状面又は複数個の第1弧状面を備え、その鋸歯状面又は第1弧状面がそのアレイレンズ300の入射面又は出射面上に所在するものとされる。
【0049】
アレイレンズ300は、更に、第1方向に沿い配列された鋸歯状面又は複数個の第2弧状面を備え、その鋸歯状面又は第2弧状面がそのアレイレンズの入射面又は出射面上に所在するものともされる。
【0050】
例えば、
図1に示されている例では、アレイレンズ300の出射面に、第2方向に沿い連続的に形成された複数個の第1弧状面が備わっており、それら第1弧状面が光出射方向に向かい凸状となっているので、アレイレンズ300の出射面の働きで、複数連接ストリップのパターンを形成してそのストライプ状光スポットを放射することができる。
【0051】
図1及び
図2に示されている例では、第2レンズ201が遅軸円柱レンズ、第1方向が遅軸方向とされている;即ち、複数個の第1弧状面が、アレイレンズ300の出射面上に、遅軸方向に沿い連続的に形成されており、
図4に示されているストライプ状光スポットを放射することができる。
【0052】
アレイレンズ300の入射面は平坦面、凸面又は凹面とされ、アレイレンズ300の出射面は鋸歯状面又は複数個の第1弧状面で形成される。或いは、アレイレンズ300の入射面が鋸歯状面又は複数個の第1弧状面で形成され、アレイレンズ300の出射面が平坦面、凸面又は凹面とされる。
【0053】
例えば、アレイレンズ300の入射面を、
図1及び
図5に示されている通り平坦面とすることができる。アレイレンズ300の入射面を、
図14に示されている通り鋸歯状面とすることもできる。
図16に示されている例ではその入射面が鋸歯状面とされている。その入射面の鋸歯は第2方向に沿い配列されている。第3レンズ202の出射面から放射された光ビームは、
図15に示されている通り二次元点アレイ状に切り分けられ、それにより点アレイ状光スポット分布をなす角度空間が形成される。第3レンズ202をアレイレンズ300と一体化させることもできる;即ち、アレイレンズ300の入射面が
図19に示す通り凸面であれば、第3レンズ202とそのアレイレンズ300とを一体化可能であると見なすことができる。このやり方でも同じ出射効果を達成することができ、それでいて、その光学モジュールに備わる光学部材の個数を減らして光学モジュール構造を単純化することができる。
【0054】
アレイレンズ300の入射面又は出射面は、第2方向に沿い連続的に形成された複数個の第1弧状面を備えるものとされる。アレイレンズ300の入射面又は出射面は、更に、それら複数個の第1弧状面を踏まえ第1方向に沿い連続的に配列された複数個の第2弧状面を有するものともされる。
【0055】
例えば、
図5に示されている例では、アレイレンズ300の出射面を、第2方向に沿い連続的に形成された複数個の第1弧状面を備えるものとし、またそのアレイレンズ300の出射面を、それら複数個の第1弧状面を踏まえ第1方向に沿い連続的に配列された複数個の第2弧状面をも備えるものとすることで、アレイレンズ300の出射面にて、複数個の交差する垂直なグリットを形成しており、またそれら複数個のグリッドの出射面を、やはり光出射方向に向かい凸状としている。即ち、アレイレンズ300の出射面に、アレイをなす凸状部分群が形成されており、そこからロー内点状光スポット又はアレイ内点状光スポットが放射されるようになっている。
【0056】
第1弧状面と第2弧状面とを互いに交差させることで、グリッド状出射面を形成することができる。各グリッドでは相応して1個の点状光スポットを放射することができるので、光学モジュールでは点状光スポットのアレイが放射されることとなる。
【0057】
その出射面に、第1弧状面の形成を踏まえ第2弧状面を形成することで、
図6に示されている通り、放射光スポットを、元々のストリップ状光スポットから点状光スポットの単一ローへと変えることができる。
【0058】
アレイレンズ300の入射面の面タイプ及び出射面の面タイプも互いに入れ替え可能である。上掲の
図5に示されている例では、配列をなすグリッド群が出射面に形成されているが、これに代えそれらグリッドを入射面上に配置することもできる。
図17に示されている例では、アレイレンズ300の入射面が、第2方向に沿い連続的に形成された複数個の第1弧状面を有している。その第1弧状面が光源方向に向かい凸状とされている。そのアレイレンズ300の出射面が鋸歯状面とされている。その鋸歯状面の鋸歯が第1方向に沿い配列されている。
【0059】
アレイレンズ300の入射面を第1方向に沿い配列された鋸歯状面とし、そのアレイレンズ300の出射面を第2方向に沿い配列された複数個の第1弧状面で形成することもできる。
【0060】
これに代え、
図16に示されている通り、アレイレンズ300の入射面を鋸歯状面とすることができ、そのアレイレンズ300の出射面を鋸歯状面とすることもできる。同時に、それら鋸歯状面は第1方向に沿い配列することができ、第2方向に沿い配列することもできる。
【0061】
アレイレンズ300の入射面と出射面とを入れ替えることで、様々な光スポットが形成される。
【0062】
アレイレンズ300をアレイ反射鏡とし、複数個の第1弧状面又は鋸歯を、第2方向に沿いそのアレイ反射鏡の反射面上に、連続的に形成してもよい。鋸歯は第2方向に沿い配列する。
【0063】
更に、アレイレンズ300を鋸歯配列方向に沿い往復運動させることや、主光軸方向周りで回動させることができる。
図18に示されている例は速軸方向のものである;即ち、第1レンズ100が遅軸円柱レンズ、第2レンズ201が速軸円柱レンズ、第3レンズ202が速軸円柱レンズとされ、アレイレンズ300のアレイ方向(即ち鋸歯のアレイ方向)が速軸方向沿いに揃えられている。アレイレンズ300を鋸歯配列方向に沿い往復運動させるで、そのアレイレンズ300の光出射レンジを変化させて、様々な光スポットを形成することができる。
【0064】
アレイレンズ300を2個のレンズアレイに分け、それらにそれぞれ複数個の第1弧状面及び鋸歯状面を持たせ、それらの面をそれぞれ第1方向に沿い連続的に形成し且つ互いに垂直なものとすることもできる。即ち、そのアレイレンズ300を、第1アレイレンズ及び第2アレイレンズを備えるものとし、第1アレイレンズの入射面又は出射面上及び/又は第2アレイレンズの入射面又は出射面上に第1弧状面又は鋸歯状面を所在させる。
【0065】
即ち、第1弧状面又は鋸歯状面を第1アレイレンズの入射面上に所在させ、或いは第1弧状面又は鋸歯状面を第1アレイレンズの出射面上に所在させ、或いは第1弧状面又は鋸歯状面を第2アレイレンズの入射面上に所在させ、或いは第1弧状面又は鋸歯状面を第2アレイレンズの出射面上に所在させ、或いは第1アレイレンズの入射面及び出射面と第2アレイレンズの入射面及び出射面を第1弧状面及び鋸歯状面のうち何れか一方とすることができ、またその第1弧状面及び鋸歯状面をランダムに組み合わせてそれら2個のアレイレンズの入射面又は出射面上に配列することができる。
【0066】
例えば、
図17に示されている例では、第1アレイレンズの入射面に、第2方向に沿い連続的に形成された複数個の第1弧状面が備わっている。それら第1弧状面は光源の方に向かい凸状となっており、第2アレイレンズの出射面は鋸歯状面とされている。その鋸歯状面の鋸歯配列方向は第2方向に対し垂直である。
【0067】
この場合、例えば
図18に示されている通り、鋸歯の歯面に湾曲を持たせる。
【0068】
第1レンズ100を主光軸に沿い可動とすることで、アレイレンズ300の出射面の光出射レンジを変化させうるようにすることができる。アレイレンズ300の出射面の光出射レンジを変えた場合、形成される光スポットの形状も変わる。
【0069】
主光軸に沿い第1レンズ100を動かすことで、第1レンズ100・光源間距離が変わり、その一方で第1レンズ100・第2レンズ201間距離も相応に変わるので、光源により放射された光ビームの第1レンズ100通過を経て、その光ビームの光出射レンジが変わることとなり、最終的にはアレイレンズ300の出射面を通じ様々な光スポットが形成されうることとなる。
【0070】
例えば、
図2に示されている光学モジュールは、
図4に示されている通りストリップ状の光スポットを放射可能なものである。第1レンズ100・光源間距離を短くし、ひいては第1レンズ100・第2レンズ201間距離を長くすると、光源光の第1レンズ100通過を経て、その光の光出射レンジが大きくなる。アレイレンズ300の出射面により元々形成されていたストリップ状光スポットの面積が増え、徐々にそれが、長方形光スポットへ、更には正方形光スポットと変化する。
【0071】
図6に示されている通り、第1レンズ100・光源間距離を徐々に長くし光出射レンジを徐々に小さくすることで、元々形成されていたストリップ状光スポットを、ローをなす点状光スポットへと変化させることができる。
【0072】
図7に示されている通り、第1レンズ100・光源間距離を徐々に短くするにつれ光出射レンジが徐々に大きくなるので、元々放射されていた点状光スポットの単一ローが、徐々に点状光スポットのロー複数本、即ち光スポットのアレイになる。
【0073】
第1レンズ100・光源間距離が短いほど、光源光が第1レンズ100を通過した後の、その光の光出射レンジが大きくなり、形成光スポットレンジが大きくなる。
【0074】
第2レンズ201・アレイレンズ300間に反射鏡400を設けてもよい。
図8及び
図9に示されている通り、第3レンズ202が設けられている場合は反射鏡400を第2レンズ201・第3レンズ202間に所在させる。その反射鏡400により、その光の光出射方向を変化させることができる。
【0075】
反射鏡400を回動させない場合、その反射鏡400によりその光の光出射方向を変化させることができるが、それにより形成される光スポットは変わらない。
【0076】
反射鏡400が主光軸周りで可回動であれば、それにより光スポットを走査運動させることで、アレイレンズ300の出射面の光出射レンジを変化させること、ひいてはその光スポットに様々なバリエーションを持たせることができ、またその反射鏡400の回動角を0°~90°とすることで、その回動角の範囲内で光スポットを連続的に回動及び走査運動させることができる。
【0077】
例えば、反射鏡400を回動させない場合、
図6に示されている通りストリップ状光スポット又は点状光スポットが形成されうる。アレイレンズ300の出射面が複数個の第1弧状面で形成されていれば、その働きでストリップ状光スポットを形成することができる。アレイレンズ300の出射面に、複数個の第1弧状面を踏まえ複数個の第2弧状面をも設け、その働きで点状光スポットを形成することもできる。このとき、反射鏡400により変えられるのはその光の光出射方向のみであるので、光スポットが形成される位置は変わりうるものの、形成される光スポットの形状は変わらない。
【0078】
反射鏡400を回動させることで走査運動させる場合、その反射鏡400の主光軸周り回動によって、より広いレンジ内で光スポットを形成することができる。例えば、
図10に示されている通り、点状光スポットの単一ローが分散されてその両側に点状光スポットのローが1本現れ、最終的には点状光スポットのアレイが形成される。或いは、
図12に示されている通り、単一ストライプをなす光スポットが両側へと分散され、最終的には光スポットのストライプ複数本が形成される。反射鏡400の回動角を増大させれば、
図11に示されている通り点状光スポットのアレイが形成され、両側へと分散されて、より大きなレンジの点状光スポットアレイが形成される。或いは、
図13に示されている通り、面状光スポットがその両側へと分散(拡散)され、それによってより大面積の面状光スポットが形成される。
【0079】
反射鏡400の回動角が大きいほど、その反射鏡400により走査される光出射レンジが大きくなり、より多くのアレイ構成点を有する光スポット又はより大きな面積を有する面状光スポットをも形成することができる。
【0080】
反射鏡400を回動させることで、より大きなレンジの光スポットを走査し、様々な形状の光スポットを形成することができる。このとき、第1レンズ100・光源間距離を変えてもよいし変えなくてもよい。第1レンズ100・光源間距離を変えない場合、その反射鏡400を回動させるだけでより広いレンジの光スポットを走査することができ、それにより光スポット変換を果たすことができる。第1レンズ100・光源間距離を変化させ、且つ反射鏡400をも回動させる場合、反射鏡400を回動させることでより大きなレンジの光スポットが走査されることを踏まえれば、第1レンズ100・光源間距離が変化するのであるから、出射光スポットのレンジが変化する。これら二通りの作用が共に働くので、最終的に果たされるスポット変換の効果は相乗的である;即ち、より多様な光スポット変換形態がもたらされ、より多くの種類及び形状の光スポットを形成することが可能となる。
【0081】
変換版の光スポットをデフォーカスにより形成することもできる。デフォーカスには、その光学モジュールを具体的に実用に適用した場合に、その光学モジュールによる形成される光スポットがその作業面に作用する、という意味がある。その作業面とその光スポットが形成される焦点との間の距離を適宜選択することで、光スポットの変換を果たすことができる。この光スポット(変換)変形を用いることで、対応するアプリケーションがその作業面を通じて完遂される。
【0082】
要するに、様々な光スポットを出射し光スポット変換なる目的を果たすため、第1レンズ100・光源間距離(動き変数N1)、アレイレンズ300の出射面の形状(切換変数N2)、デフォーカス(デフォーカス変数N3)及び反射鏡400の回動走査(走査変数N4)を変化させて、様々なバリエーションで以て光スポットを形成することができる。
【0083】
上述した光スポット変換諸手法は、単独で用いることも組合せで用いることもできる。組合せで用いる場合、それらを部分的に組み合わせることも完全に組み合わせることもできる。上述した光スポット変換諸手法を組合せで用いる場合、変換対象光スポットの種類はN1*N2*N3*N4通りとなる。
【0084】
例えば、アレイレンズ300の出射面が
図8に示されている通りグリッド状突起である場合、
図7に示されている点状光スポットのローを形成することができ、その上で、第1レンズ100・光源間距離を調整することで、形成された点状光スポットのローのレンジを変化させて、
図7に示されている通り単一ローをなす点又は複数本のローをなす点を形成し、ひいては点状光スポットのアレイとすることができる。
【0085】
点状光スポットによる複数本のローは光スポットのアレイであり、点状光スポットのローは点状光スポットのアレイの一種と見なすことができる。
【0086】
これを踏まえ反射鏡400を回動させることもでき、その反射鏡400を回動させることによって、形成される光スポットを走査運動させることで、その光出射レンジを更に変化させ光スポット変換を果たすことができる。
【0087】
図10及び
図11に示されているところの、点状光スポットの単一ロー又は点状光スポットのアレイのレンジを、反射鏡400の回動方向へと更に拡張し、例えばストライプ状光スポットを形成することができる。
図12及び
図13に示されている例では、走査されるストライプ状光スポットのレンジが更に拡張されている。
【0088】
要するに、光スポットの形状を、アレイレンズ300の形状を変化させること、第1レンズ100・光源間距離を変化させること、反射鏡400を回動させること、或いはデフォーカスによって、変化させることができる。上述した様々な組合せ形態によれば、様々な光スポットを形成することができ、それにより光スポット変換なる目的を果たすこと、ひいては形成される光スポットに多様性を持たせることができる。
【0089】
上掲の諸実施形態を具体的な状況、例えば医療産業に適用した場合、
図20及び
図21に示されている通り、その実施形態によって、ケーシング、そのケーシング内に配列されたレーザ501、並びにそのレーザ501の出射方向に沿い配列された上述実施形態の光学モジュールを有する、医用レーザ装置が提供される。
【0090】
レーザ501はケーシング内に配列されており、そのレーザ501により放射されるレーザ光が光源として用いられている。光学モジュールを通じ、可変換な光スポットが放射され、様々な形状の光スポットが様々な処置に適用される。
【0091】
具体的には、そのケーシングに、ハンドル503、スペーサ504及びレンズバレル506が備わっている。ハンドル503は、使用者が保持するのに至便なものである。レーザ501はスペーサ504内に配列されており、光学モジュールがレンズバレル506内に配列されており、それらレンズバレル506及びスペーサ504が可着脱連結されている。
【0092】
スペーサ504内にはヒートシンク502が設けられ、それがレーザ501につながっているので、そのレーザ501から熱を逃がすことができる。
【0093】
可着脱連結によって、レンズバレル506の交換を容易化することができる。様々なレンズバレル506があるなか、それを、反射鏡400や第3レンズ202を設けるか否か等、その光学モジュールにおける様々な組合せに対応付けることができる。
【0094】
更に、レンズバレル506の前端には可換ヘッド5061が設けられており、その可換ヘッド5061がそのレンズバレル506に可着脱連結されており、またその可換ヘッド5061内にアレイレンズ300が所在していることによっても、別のアレイレンズ300への交換が容易化されている。
【0095】
これには第1モータ505A及び第2モータ505Bも備わっている。第1モータ505A,第2モータ505Bはそれぞれ第1レンズ100,アレイレンズ300に連結されている。第1モータ505Aにより第1レンズ100を駆動して主光軸上で動かすことができ、それにより第1レンズ100・レーザ501間距離を変化させることができる。第2モータ505Bによりアレイレンズ300を駆動して並進させることができる。
【0096】
図19に示されている通り、その光学モジュールに反射鏡400が備わっている場合、更に第3モータ505Cを設け、その第3モータ505Cを反射鏡400に連結し、それによりその反射鏡400を駆動して回動させることができる。
【0097】
図20に示されている通りアレイレンズ300により形成される光スポットは、処置その他の作業に用いることができ、またその作業面とアレイレンズ300の焦点との間の距離を、調整することができる。
【0098】
図22に示されている通り、作業面がアレイレンズ300の焦点位置Gにあるときには、皮膚若返り処置を実行することができる。作業面がアレイレンズ300の焦点位置から遠く離れていて、例えばデフォーカスと呼ばれるG1位置にあるときには、そのデフォーカス位置に形成される光スポットは焦点におけるそれとは異なるものとなるので、デフォーカスを別の光スポット変換手法とすることができ、脱毛処置や脂肪分解処置をそのデフォーカス位置にて実行することができる。
【0099】
この医用レーザ装置は、前掲の諸実施形態におけるそれらと同じ構造及び有益効果を有している。その光学モジュールの構造及び有益効果については前掲の諸実施形態にて詳述したので、ここでは反復しない。
【0100】
以上は専ら本願の好適諸実施形態を提示しており、本願を限定する趣旨のものではない。いわゆる当業者であれば、本願に、様々な修正及び改変を施すことができる。本願の神髄及び原理の枠内でなされる修正、等価的置換又は改善は、何れも、本願の保護範囲によりカバーされることとなる。
【符号の説明】
【0101】
100 第1レンズ、201 第2レンズ、202 第3レンズ、300 アレイレンズ、400 反射鏡、501 レーザ、502 ヒートシンク、503 ハンドル、504 スペーサ、505A 第1モータ、505B 第2モータ、505C 第3モータ、506 レンズバレル、5061 可換ヘッド。