(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】低表面エネルギー基材を湿潤化する方法及びそのためのシステム
(51)【国際特許分類】
C08J 7/02 20060101AFI20240307BHJP
【FI】
C08J7/02 Z CES
C08J7/02 CET
C08J7/02 CEV
(21)【出願番号】P 2023101816
(22)【出願日】2023-06-21
(62)【分割の表示】P 2021572086の分割
【原出願日】2020-06-05
【審査請求日】2023-06-21
(32)【優先日】2019-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー エル.アガーポブ
【審査官】加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-510455(JP,A)
【文献】特開平6-128783(JP,A)
【文献】特開昭60-255137(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
低表面エネルギー基材を高表面張力液体で湿潤化する方法
の改善を測定する方法であって、少なくとも
15~45mN/mの範囲の表面エネルギーを有する低表面エネルギー基材と、25mN/mを超えて70mN/mまでの範囲の表面張力を有する高表面張力液体と、10~25mN/mの範囲の表面張力を有する低表面張力流体とを提供する工程、
該低表面エネルギー基材を該高表面張力液体と接触させる工程、
(i)該低表面エネルギー基材と該高表面張力液体との界面及び(ii)該高表面張力液体と蒸気との界面の間の接触角を測定する工程、
該低表面エネルギー基材及び該高表面張力液体のうちの少なくとも1つを、該低表面エネルギー基材と該高表面張力液体との該接触前、該接触と同時又は該接触後に、蒸気としての該低表面張力流体と接触させる工程、
蒸気としての該低表面張力流体蒸気と接触したときの(i)低表面エネルギー基材と高表面張力液体との界面及び(ii)高表面張力液体と蒸気(雰囲気)との界面の間の接触角を測定する工程、並びに
(i)該低表面エネルギー基材と該高表面張力液体との界面及び(ii)該高表面張力液体と蒸気との界面の間の接触角と、蒸気としての該低表面張力流体蒸気と接触したときの(i)低表面エネルギー基材と高表面張力液体との界面及び(ii)高表面張力液体と蒸気(雰囲気)との界面の間の接触角と、の間の接触角の低下として、湿潤化する方法の改善を測定する工程
を含んでなる方法。
【請求項2】
蒸気としての前記低表面張力流体と接触した後に、前記低表面エネルギー基材から前記低表面張力流体を除去する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
低表面エネルギー基材を高表面張力液体で湿潤化する方法の改善を測定する方法であって、少なくとも
15~45mN/mの範囲の表面エネルギーを有する低表面エネルギー基材と、25mN/mを超えて70mN/mまでの範囲の表面張力を有する高表面張力液体と、10~25mN/mの範囲の表面張力を有する低表面張力流体とを提供する工程、
該低表面エネルギー基材を該高表面張力液体と接触させる工程、
該低表面エネルギー基材及び該高表面張力液体のうちの少なくとも1つを、該低表面エネルギー基材と該高表面張力液体との該接触前、該接触と同時又は該接触後に、蒸気としての該低表面張力流体と接触させる工程、並びに
該低表面エネルギー基材及び該高表面張力液体のうちの少なくとも1つを、該低表面エネルギー基材と該高表面張力液体との該接触前、該接触と同時又は該接触後に、蒸気としての該低表面張力流体と接触させたときの、膜が不透明から半透明へ移行する所要時間を測定する工程
を含んでなる方法。
【請求項4】
蒸気としての前記低表面張力流体と接触した後に、前記低表面エネルギー基材から前記低表面張力流体を除去する工程をさらに含む、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記低表面エネルギー基材は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン-コ-テトラフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン-コ-ヘキサフルオロプロピレン、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)を含むポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン及びポリ(パラキシリレン)を含む群から選ばれる1つ以上である、請求項1
又は3記載の方法。
【請求項6】
前記高表面張力液体は、1つ以上の高表面張力液体成分を含む液体組成物である、請求項1
又は3記載の方法。
【請求項7】
前記1つ以上の高表面張力液体成分は、水、ジヨードメタン、ホルムアミド、グリセロール、2,2'-チオビスエタノール、2-フランメタノール、エチレングリコール、2-アミノエタノール、1,3-ブタンジオール、プロピレングリコール、1,2,3-トリブロモプロパン、1,5-ペンタンジオール、N-メチル-2-ピロリジン、アニリン、2-アミノエタノール、ジメチルスルホキシド、プロピレンカーボネート、アントラニル酸エチルエステル、アントラニル酸メチルエステル、ベンジルアルコール、ベンジルベンゼノエート、ブロモホルム、キノリン、1,3-ジヨードメタン、ジエチレングリコール、フルフラール、ヘキサクロロブタジエン、ヨードベンゼン、m-ニトロトルエン、メチルナフタレン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ニトロベンゼン、ニトロメタン、o-ニトロトルエン、フェニルイソチオシアネート、フタル酸ジエチルエステル、ポリエチレングリコール、ピリジン、3-ピリジルカルビノール、ピロール、テトラブロモエタン、トリクレシルホスフェート、α-ブロモナフタレン、α-クロロナフタレン、1,2-ジクロロエタン、1,4-ジオキサン、二硫化炭素、クロロベンゼン、シクロヘキサノール、シクロペンタノール、デカリン、ジプロピレングリコール、ドデシルベンゼン、フマル酸ジエチルエステル、ニトロエタン、ニトロプロパン、アセトニトリル、プロパン酸、キシレン及びその異性体、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トルエン、ブチロニトリル、酢酸、クロロホルム、アクリロニトリル、2-ブトキシエタノール、テトラクロロメタン、2-ヘプタノン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、ヘキサノール又はその異性体、ヘプタノール及びその異性体、オクタノール及びその異性体、並びにイソバレロニトリルを含む群から選ばれる、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記液体組成物は、トリフルオロエタノール、ジエチルエーテル、ジメトキシメタン、四塩化ケイ素、ブチルクロリド及びその異性体、プロパノール及びその異性体、エタノール、メタノール、ブタノール及びその異性体、ペンタノール及びその異性体、アセトン、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、酢酸プロピル、メチルエチルケトン、メチルメタクリレート、酢酸メチル、アセトン、メチルクロロホルム、エタナール、プロパナール、ブタナール、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン及びペンチルアミンを含む群の1つ以上から選ばれる低表面張力液体成分を含む、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記低表面張力流体は、アルデヒド、アルコール、アミン、ケトン、エーテル、環状エーテル、エステル及び有機ハロゲン化物から選ばれる1つ以上の化合物から選ばれ、ただし、前記化合物は表面張力が10~25mN/mの範囲である、請求項1
又は3記載の方法。
【請求項10】
前記低表面張力流体は、2,2,2-トリフルオロエタノール、1-ブタノール、酢酸エチル及びジエチルエーテルを含む群の1つ以上から選ばれる、請求項1
又は3記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本文書は、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)などの低表面エネルギー基材を、水/アルコール混合物などの高表面張力液体で湿潤化する方法に関する。湿潤化は、低表面張力流体で処理することによって達成される。高表面張力液体は、コーティング方法において基材上に堆積されるコーティング材料のためのキャリア液体として使用することができ、該コーティング方法は、例えば、スルホン化ペルフルオロビニルエーテル基を含むテトラフルオロエチレンベースのポリマーを多孔質ePTFE基材上に堆積させてプロトン交換膜燃料電池用の膜を製造するための方法である。そのような方法のためのシステムも開示されている。
【背景技術】
【0002】
湿潤化は、液体が固体表面との接触を維持する能力を表す現象であり、2つの材料間の分子相互作用に関連する。固体の表面エネルギーと比較して液体の表面エネルギーが高いほど、湿潤化能は低くなり、通常、2つの相間の接触は少なくなる。その結果、低表面エネルギー基材などの低表面エネルギー固体、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及び延伸PTFE(ePTFE)などのポリマーから形成されたものは、水溶液又はほぼ水溶液などの高表面エネルギー液体(高表面張力液体とも呼ばれる)によってあまり湿潤化されない。
【0003】
したがって、コーティング、含浸、吸着又は吸収に関連するプロセスなど、低表面エネルギー基材と高表面張力液体との間の接触を必要とするプロセスで問題が生じる。そのようなプロセスは、固体の液体による湿潤化が欠如し及び/又は固体の液体による湿潤化の速度が許容できないほど遅いために、実施するのが難しいことがある。したがって、そのため、低表面エネルギー基材を高表面張力液体で湿潤化する改善方法及びその対応するシステムを提供する必要性が存在する。
【0004】
この問題は、界面活性剤及び液体の表面張力を低下させることができる他の化合物などの、高表面張力液体への添加剤を導入することによって軽減でき、それによって低表面エネルギー基材の液体による湿潤化能力を改善することができる。しかしながら、そのような添加剤は、その表面張力を低下させることに加えて、液体の他の特性を破壊する可能性がある。
【0005】
例えば、コーティングプロセスにおいて、コーティング材料を含むキャリア液体を固体と接触させて、コーティング材料を固体の表面に堆積させることができる。キャリア液体が高表面張力液体であるときに、それを別の液体又は固体などの添加剤で処理して、その表面張力を低下させ、低表面エネルギー固体との湿潤性を改善することができる。しかしながら、高表面張力キャリア液体中の添加剤の存在は、キャリア液体の他の特性、キャリア液体中のコーティング材料の安定性を変える可能性があり、又は、添加剤は、溶媒が除去された後に、コーティング材料とともに固体上に残る可能性がある。
【0006】
例えば、添加剤の存在は、例えば、キャリア液体中のキャリア材料の溶解性又は分散性を低下させることによって、キャリア液体中のコーティング材料の最大装填量を低下させる可能性がある。これは、堆積されうるコーティング材料の最大濃度の減少をもたらし、その結果、面積負荷あたりのコーティング質量又は密度など、固体上で所望の量のコーティング材料を達成するためにコーティングプロセスを繰り返さなければならない可能性がある。さらに、添加剤の存在はまた、例えば、キャリア材料のゲル化を引き起こし、キャリア液体の粘度を増加させ、コーティングプロセスを複雑化することによって、キャリア液体の粘度を変化させる可能性がある。
【0007】
さらに、キャリア液体の表面張力を低下させるために導入される界面活性剤などの添加剤は、キャリア液体の除去時にコーティング材料とともに固体上に堆積する可能性がある。
【0008】
したがって、改善されたコーティング方法、特に低表面エネルギー基材を高表面張力液体でコーティングする改善された方法を提供する必要性が存在する。そのような方法は、その粘度又はコーティング材料の最大装填量など、高表面張力液体の1つ以上の他の特性(すなわち、高表面張力液体の表面張力以外)の変化を最小限に抑えるか、又は基材上の望ましくない添加剤の堆積を回避する。代替的又は追加的に、そのような方法は、低表面エネルギー基材の高表面張力液体によるコーティングの速度を加速することができる。
【発明の概要】
【0009】
第一の態様において、低表面エネルギー基材を高表面張力液体で湿潤化する方法であって、
15~45mN/mの範囲の表面エネルギーを有する低表面エネルギー基材、25mN/mを超えて70mN/mまでの範囲の表面張力を有する高表面張力液体、及び、10~25mN/mの範囲の表面張力を有する低表面張力流体を提供すること、
前記低表面エネルギー基材を前記高表面張力液体と接触させること、
前記低表面エネルギー基材及び前記高表面張力液体のうちの少なくとも1つを、前記低表面エネルギー基材と前記高表面張力液体との該接触前、該接触と同時又は該接触後に、蒸気としての前記低表面張力流体と接触させること、及び、
蒸気としての前記低表面張力流体と接触した後に、前記低表面エネルギー基材から前記低表面張力流体を除去すること、
の工程を少なくとも含む、方法が提供される。
【0010】
低表面エネルギー基材の表面エネルギーは、高表面張力液体の表面張力よりも低くてよい。低表面エネルギー基材の表面エネルギーが高表面張力液体の表面張力以上であるならば、低表面エネルギー基材は高表面張力液体で自発的に湿潤化されうる。
【0011】
両方の接触工程(同時であってもそうでなくてもよい)の完了により、高表面張力液体で湿潤化された低表面エネルギー基材が提供される。
【0012】
低表面エネルギー基材及び高表面張力液体のうちの少なくとも1つと蒸気としての低表面張力流体との接触は、幾つかの順列で行われることができる。このような接触工程は、低表面エネルギー基材と高表面張力液体との接触前、接触と同時又は接触後に、行われることができる。
【0013】
1つの実施形態において、低表面エネルギー基材及び高表面張力液体のうちの少なくとも1つと、蒸気としての低表面張力流体との接触は、低表面エネルギー基材を蒸気としての低表面張力流体と接触させて、接触された低表面エネルギー基材を提供し、その後、接触された低表面エネルギー基材を高表面張力液体と接触させて、接触された低表面エネルギー基材が高表面張力液体で湿潤化されたものなど、高表面張力液体で湿潤化された低表面エネルギー基材を提供することを含む。
【0014】
別の実施形態において、低表面エネルギー基材及び高表面張力液体のうちの少なくとも1つと、蒸気としての低表面張力流体との接触は、高表面張力液体を蒸気としての低表面張力流体と接触させて、接触された高表面張力液体を提供し、その後、接触された高表面張力液体と低表面エネルギー基材を接触させて、接触された高表面張力液体で低表面エネルギー基材が湿潤化されたものなど、高表面張力液体で湿潤化された低表面エネルギー基材を提供することを含む。
【0015】
別の実施形態において、低表面エネルギー基材及び高表面張力液体のうちの少なくとも1つと、蒸気としての低表面張力流体との接触は、低表面エネルギー基材及び高表面張力液体の両方を、蒸気としての低表面張力流体と接触させて、接触された低表面エネルギー基材及び接触された高表面張力液体を提供し、その後、接触された低表面エネルギー基材を、接触された高表面張力液体と接触させて、接触された低表面エネルギー基材が、接触された高表面エネルギー液体で湿潤化されたものなど、高表面エネルギー液体で湿潤化された低表面エネルギー基材を提供することを含む。
【0016】
例えば、低表面エネルギー基材及び高表面張力液体のうちの少なくとも1つと、蒸気としての低表面張力流体との接触は、低表面エネルギー基材を蒸気としての低表面張力流体と接触させて、接触された低表面エネルギー基材を提供すること、及び、高表面張力液体を、蒸気としての低表面張力流体と接触させて、接触された高表面張力液体を提供し、その後、接触された低表面エネルギー基材を、接触された高表面張力液体と接触させて、接触された低表面エネルギー基材が、接触された高表面張力液体で湿潤化されたものなど、高表面張力液体で湿潤化された低表面エネルギー基材を提供することを含む。
【0017】
別の実施形態において、低表面エネルギー基材と高表面張力液体との接触は、低表面エネルギー基材及び高表面張力液体のうちの少なくとも1つが蒸気としての低表面張力流体と接触する前に起こることができる。例えば、低表面エネルギー基材を高表面張力液体と接触させて、高表面張力液体と接触された低表面エネルギー基材を提供することができる。その後、次いで、高表面張力液体と接触された低表面エネルギー基材を蒸気としての低表面張力流体と接触させて、接触された低表面エネルギー基材が、接触された高表面張力液体で湿潤化されたものなど、高表面張力液体で湿潤化された低表面エネルギー基材を提供することができる。
【0018】
別の実施形態において、低表面エネルギー基材及び高表面張力液体のうちの少なくとも1つと、蒸気としての低表面張力流体との接触は、低表面エネルギー基材と高表面張力液体との接触と同時に、低表面エネルギー基材及び高表面張力液体の両方を、蒸気としての低表面張力流体と接触させ、接触された低表面エネルギー基材が、接触された高表面張力液体で湿潤化されたものなど、高表面張力液体で湿潤化された低表面エネルギー基材を提供することを含む。
【0019】
低表面エネルギー基材は、15~45mN/mの範囲、典型的には18~45mN/mの表面エネルギーを有する基材である。
【0020】
低表面エネルギー基材は、好ましくは、有機ハロゲン化物ポリマー、炭化水素ポリマー及び有機ハロゲン化物ポリマーを含むコポリマーを含む群から選ばれた1つ以上であることができるが、ただし、基材は15~45mN/mの範囲の表面エネルギーを有することを条件とする。有機ハロゲン化物ポリマーの例としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル及びポリ塩化ビニルが挙げられる。有機ハロゲン化物ポリマーを含むコポリマーは、有機ハロゲン化物ポリマーと炭化水素ポリマーとのコポリマーであることができる。そのようなコポリマーの例としては、ポリエチレン-コ-テトラフルオロエチレン及びポリテトラフルオロエチレン-コ-ヘキサフルオロプロピレンが挙げられる。炭化水素ポリマーの例としては、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)を含むポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン及びポリパラキシリレンが挙げられる。
【0021】
別の実施形態において、低表面エネルギー基材が有機ハロゲン化物ポリマーであるときに、それは延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)である。ePTFEは厚さが0.5~500μmであることができる。ePTFEはバブルポイントが10~2000kPaであることができる。ePTFEは面積あたりの質量が0.1~500g/m2であることができる。ePTFEは見掛け密度が0.1~1g/ccであることができる。例えば、ePTFEは面積あたりの質量が4.7g/m2、厚さが14μm、見掛け密度が0.34g/cc、バブルポイントが324kPa(47.0psi)であることができる。
【0022】
別の実施形態において、低表面エネルギー基材が炭化水素ポリマーであるときに、それは膨張ポリプロピレン(ePP)である。ePPは厚さが0.5~500μmであることができる。ePPはバブルポイントが10~2000kPaであることができる。ePPは面積あたりの質量が0.1~500g/m2であることができる。ePPは見掛け密度が0.05~0.5g/ccであることができる。例えば、ePPは面積あたりの質量が17g/m2、厚さが110μm、見掛け密度が0.15g/cc、バブルポイントが103kPa(15.0psi)であることができる。
【0023】
別の実施形態において、低表面エネルギー基材は低表面エネルギー多孔質基材である。
【0024】
高表面張力液体は表面張力が25mN/mを超えて70mN/mまでの範囲である。以下の実験のセクションで記載されるように、高表面張力液体の表面張力は、ASTMD1331-14に従って測定することができる。
【0025】
高表面張力液体は、周囲温度又は本明細書に記載の方法が実施され又は本明細書に記載のシステムが使用される温度で液相にある。
【0026】
高表面張力液体は、1つ以上の成分を含む液体組成物であることができる。液体組成物が25mN/mを超えて70mN/mまでの表面張力を有する限り、1つ以上の成分は任意の表面張力値を有することができる。
【0027】
1つ以上の成分は、1つ以上の高表面張力液体成分、及び、場合により、1つ以上のさらなる成分を含むことができる。
【0028】
1つ以上のさらなる成分は、低表面張力流体成分、界面活性剤、分散剤及びコーティング材料又はコーティング材料の混合物のうちの1つ以上、好ましくは、低表面張力液体成分、コーティング材料又はコーティング材料の混合物のうちの1つ以上から選ばれることができる。
【0029】
1つ以上の高表面張力液体成分は、水、ジヨードメタン、ホルムアミド、グリセロール、2,2'-チオビスエタノール、2-フランメタノール、エチレングリコール、2-アミノエタノール、1,3-ブタンジオール、プロピレングリコール、1,2,3-トリブロモプロパン、1,5-ペンタンジオール、N-メチル-2ピロリジン、アニリン、2-アミノエタノール、ジメチルスルホキシド、プロピレンカーボネート、アントラニル酸エチルエステル、アントラニル酸メチルエステル、ベンジルアルコール、ベンジルベンゼノエート、ブロモホルム、キノリン、1,3-ジヨードメタン、ジエチレングリコール、フルフラール、ヘキサクロロブタジエン、ヨードベンゼン、m-ニトロトルエン、メチルナフタレン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ニトロベンゼン、ニトロメタン、o-ニトロトルエン、p-ニトロトルエン、フェニルイソチオシアネート、フタル酸ジエチルエステル、ポリエチレングリコール、ピリジン、3-ピリジルカルビノール、ピロール、テトラブロモエタン、トリクレシルホスフェート、α-ブロモナフタレン、α-クロロナフタレン、1,2-ジクロロエタン、1,4-ジオキサン、二硫化炭素、クロロベンゼン、シクロヘキサノール、シクロペンタノール、デカリン、ジプロピレングリコール、ドデシルベンゼン、フマル酸ジエチルエステル、ニトロエタン、ニトロプロパン、アセトニトリル、プロパン酸、キシレン及びその異性体、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トルエン、ブチロニトリル、酢酸、クロロホルム、アクリロニトリル、2-ブトキシエタノール、テトラクロロメタン、2-ヘプタノン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、ヘキサノール又はその異性体、ヘプタノール及びその異性体、オクタノール及びその異性体、及び、イソバレロニトリルを含む群から選択されうる。上記のリストにおける高表面張力液体成分は、25mN/mを超えた表面張力を有し、水を除いて、25mN/mを超えて70mN/mまでの範囲の表面張力を有する。1つ以上の高表面張力液体成分は、高表面張力液体組成物が25mN/mを超えて70mN/mまでの範囲の表面張力を有する限り、約72mN/mの表面張力を有する水などの高表面張力液体に必要とされる上限70mN/mを超える表面張力を有することができる。
【0030】
高表面張力液体組成物はまた、1つ以上の低表面張力液体成分(水に対して)を含むこともでき、25mN/mを超えて70mN/mまでの液体組成物に必要な表面張力を、場合により、コーティング材料及びコーティング材料混合物の一方又は両方と組み合わせて提供することができる。
【0031】
1つ以上の低表面張力液体成分は、アルデヒド、アルコール、アミン、ケトン、エーテル、環状エーテル、エステル、有機ハロゲン化物から選ばれる1つ以上の化合物を含む群から選ばれ、好ましくは、それらから選ばれることができるが、ただし、上記のリストにある低表面張力液体成分は、10~25mN/mの範囲の表面張力を有する。
【0032】
1つ以上の低表面張力液体成分は、トリフルオロエタノール、ジエチルエーテル、ジメトキシメタン、四塩化ケイ素、ブチルクロリド及びその異性体、プロパノール及びその異性体、エタノール、メタノール、ブタノール及びその異性体、ペンタノール及びその異性体、アセトン、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、酢酸プロピル、メチルエチルケトン、メチルメタクリレート、酢酸メチル、アセトン、メチルクロロホルム、エタナール、プロパナール、ブタナール、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン及びペンチルアミンを含む群から選ばれた1つ以上であることができる。上記のリストにある低表面張力液体成分は10~25mN/mの範囲の表面張力を有する。
【0033】
1つの実施形態において、高表面張力液体組成物は、水及びエタノールを含み、ただし、組成物は、25mN/mを超えて70mN/mまでの範囲の表面張力を有する。例えば、高表面張力液体組成物は、水中に1wt%~65wt%のエタノールを含むことができる。
【0034】
任意選択的なコーティング材料は無機又は有機材料であることができる。コーティング材料は粒子又は溶質であることができる。コーティング材料は、スルホン化ペルフルオロビニルエーテル基を含むテトラフルオロエチレンベースのポリマーなどのイオン伝導性又はイオン交換材料(IEM)であることができる。適切なイオン交換材料としては、例えば、ペルフルオロスルホン酸ポリマー、ペルフルオロカルボン酸ポリマー、ペルフルオロホスホン酸ポリマー、スチレンイオン交換ポリマー、フルオロスチレンイオン交換ポリマー、スルホン化ポリエーテルエーテルケトンイオン交換ポリマー、ポリアリールエーテルケトンイオン交換ポリマー、ポリスルホンイオン交換ポリマー、ビス(フルオロアルキルスルホニル)イミド、(フルオロアルキルスルホニル)(フルオロスルホニル)イミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリマーを含む又は含まない金属塩、及びそれらの混合物が挙げられる。例示的な実施形態において、イオン交換材料は、テトラフルオロエチレンとペルフルオロスルホニルビニルエステルとの共重合によって作製されたペルフルオロスルホン酸(PFSA)ポリマーでプロトン形態に転化されたものを含む。燃料電池用途で使用するのに適したペルフルオロスルホン酸ポリマーの例としては、Nafion(登録商標)(EI DuPont de Nemours, Inc., Wilmington, Del., US)、Flemion(登録商標)(Asahi Glass Co. Ltd., Tokyo, JP)、Aciplex(登録商標)(Asahi Kasei Corporation Tokyo, JP)、Aquivion(登録商標)(Solvay Solexis S.P.A., Italy)及び3MTM(3M Innovative Properties Company, USA)が挙げられ、これらは市販のペルフルオロスルホン酸コポリマーである。燃料電池用途で使用するのに適したペルフルオロスルホン酸ポリマーの他の例としては、米国特許第5,463,005号明細書に記載されているものなどの過フッ素化スルホニル(コ)ポリマーが挙げられる。
【0035】
1つの実施形態において、高表面張力液体は、低表面張力流体の非存在下では、低表面エネルギー基材を自発的に湿潤化させない。1つの実施形態において、高表面張力液体は、低表面エネルギー基材の表面エネルギーよりも4mN/m以上、好ましくは7mN/m以上、より好ましくは10mN/m以上、さらにより好ましくは15mN/m以上だけ大きい表面張力を有することができる。
【0036】
別の実施形態において、高表面張力液体は、低表面エネルギー基材を濡らすことができるが、湿潤化速度は低表面張力流体の添加によって増加される。
【0037】
低表面張力流体は、液体の形態にあるときに、表面張力が10~25mN/mの範囲にある。以下の実験のセクションで記載されるように、低表面張力流体の表面張力は、液体の形態にあるときに、ASTMD1331-14に従って測定することができる。
【0038】
蒸気としての低表面張力流体などの低表面張力流体は、好ましくは、アルデヒド、アルコール、アミン、ケトン、エーテル、環状エーテル、エステル及び有機ハロゲン化物から選ばれる1つ以上の化合物から選ばれることができるが、ただし、前記化合物は表面張力が10~25mN/mの範囲である。
【0039】
蒸気としての低表面張力流体などの低表面張力流体は、トリフルオロエタノール、ジエチルエーテル、ジメトキシメタン、四塩化ケイ素、ブチルクロリド及びその異性体、プロパノール及びその異性体、エタノール、メタノール、ブタノール及びその異性体、ペンタノール及びその異性体、アセトン、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、酢酸プロピル、メチルエチルケトン、メチルメタクリレート、酢酸メチル、アセトン、メチルクロロホルム、エタナール、プロパナール、ブタナール、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン及びペンチルアミンを含む群から選ばれる1つ以上であることができる。上記のリストにある低表面張力流体は10~25mN/mの範囲の表面張力を有する。
【0040】
蒸気としての低表面張力流体などの低表面張力流体は、さらにより好ましくは、2,2,2-トリフルオロエタノール、1-ブタノール、酢酸エチル及びジエチルエーテルを含む群の1つ以上から選ばれることができる。そのような好ましい低表面張力流体は、液体の形態にあるときに、10~25mN/mの範囲の表面張力を有する。
【0041】
別の実施形態において、低表面張力流体は、約17mN/mの表面張力を有する2,2,2-トリフルオロエタノールである。
【0042】
別の実施形態において、低表面張力流体の蒸気又は液体などの低表面張力流体を低表面エネルギー基材から除去する工程は、高表面張力液体の除去、すなわち、低表面張力流体(蒸気又は液体として)及び高表面張力液体の除去をさらに含むことができる。
【0043】
第二の態様において、第一の態様の方法及びその実施形態は、コーティング材料を含む高表面張力液体で低表面エネルギー基材をコーティングする方法であり、この方法は、
15~45mN/mの範囲の表面エネルギーを有する低表面エネルギー基材、10~25mN/mの範囲の表面張力を有する低表面張力流体、及び、25mN/mを超えて70mN/mまでの範囲の表面張力を有する高表面張力液体を提供すること、ここで、前記高表面張力液体はコーティング材料を含む、
前記低表面エネルギー基材を、前記コーティング材料を含む前記高表面張力液体と接触させること、
前記低表面エネルギー基材と、前記コーティング材料を含む前記高表面張力液体のうちの少なくとも1つを、前記低表面エネルギー基材と前記高表面張力液体との該接触前、該接触と同時又は該接触後に、蒸気としての前記低表面張力流体と接触させること、及び、
蒸気としての前記低表面張力流体と接触した後に、前記低表面エネルギー基材から前記低表面張力流体を除去すること、
の工程を少なくとも含む。
【0044】
両方の接触工程(同時であってもそうでなくてもよい)の完了は、コーティング材料を含む高表面張力液体でコーティングされた低表面エネルギー基材を提供する。
【0045】
第二の態様の方法及びその実施形態のうちの1つの実施形態において、この方法は、低表面エネルギー基材から高表面張力液体を除去して、コーティング材料でコーティングされた低表面エネルギー基材を提供する工程をさらに含む。
【0046】
別の実施形態において、コーティング材料は、上記で規定されたように、イオン交換材料(IEM)である。
【0047】
第二の態様の方法及びその実施形態のうちの別の実施形態において、低表面エネルギー基材は、燃料電池用途のための多孔質ePTFE膜である。
【0048】
第二の態様の方法及びその実施形態のうちの別の実施形態において、コーティング材料は、スルホン化ペルフルオロビニルエーテル基を含むテトラフルオロエチレンベースのポリマーなどのイオン交換材料である。ペルフルオロビニルエーテル基を含むテトラフルオロエチレンベースのポリマーを含浸させた多孔質ePTFE膜は、プロトン交換膜燃料電池にとって望ましい膜材料である。
【0049】
別の実施形態において、第一又は第二の態様の方法及びそれらの実施形態は、ロールツーロールプロセスなどの連続プロセス、又はバッチ様式プロセスなどの不連続プロセスであることができる。
【0050】
第三の態様において、低表面エネルギー基材を高表面エネルギー液体で湿潤化させるためのシステムは提供され、該システムは、
15~45mN/mの範囲の表面エネルギーを有する低表面エネルギー基材を高表面張力液体に接触するための、25mN/mを超えて70mN/mまでの範囲の表面張力を有する高表面張力液体を含む高表面張力液体アプリケータ、
低表面エネルギー基材と高表面張力液体との該接触前、該接触と同時又は該接触後に、、低表面エネルギー基材及び高表面張力液体のうちの少なくとも1つを、蒸気としての低表面張力流体と接触させるための、10~25mN/mの範囲の表面張力を有する低表面張力流体を含む低表面張力流体蒸気アプリケータ、
低表面張力流体との接触後に、低表面張力流体を低表面エネルギー基材から分離するためのセパレータ、
を含む。
【0051】
第三の態様のシステムは、第一及び第二の態様の方法ならびにそれらの実施形態とともに使用することができる。
【0052】
第三の態様のシステムは、連続的又は非連続的に操作されうる。連続システムの例は、以下で記載されるようなロールツーロールシステムである。あるいは、不連続システムの例はバッチ様式のシステムである。
【0053】
本明細書で使用されるときに、高表面張力液体アプリケータは、高表面張力液体を低表面エネルギー基材に接触させるか、又は接触させるための手段であるか、又は接触するように適合させることができる。高表面張力液体アプリケータは、スプレイアプリケータ、ジェットコーター、ロールツーロールリリースライナーアプリケータ、ディップコーター、フォワード又はリバースロールコーター、ダイレクト又はオフセットグラビアロール、スクイーズロールコーター、コンマ、ロッド、エアナイフコーター、ナイフオーバーロールコーター、マルチキャビティスロットダイを含むスロットダイ及びスライドダイを含む群から選ばれた1つ以上であることができる。
【0054】
本明細書で使用されるときに、低表面張力流体蒸気アプリケータは、低表面エネルギー基材及び高表面張力液体の一方又は両方と、蒸気としての低表面張力流体と接触するか、又は接触するための手段であるか、又は接触するように適合されうる。低表面張力流体蒸気アプリケータは、蒸発器及び減圧弁を含む群から選ばれる1つ以上であることができる。低表面張力流体が周囲温度及び圧力で液体であるときに、蒸発器を使用することができる。低表面張力流体が周囲温度及び圧力で気体であり、例えば加圧液体として圧力下で貯蔵されるときに、減圧弁を使用することができる。
【0055】
本明細書で使用されるときに、セパレータは、低表面エネルギー基材から低表面張力流体を除去するか、又は除去するための手段であるか、又は除去するように適合させることができる。1つの実施形態において、セパレータは、高表面張力流体を低表面エネルギー基材からさらに分離する。
【0056】
好ましくは、セパレータは、低表面エネルギー基材から低表面張力流体及び高表面張力液体を除去する。コーティング材料が存在しないならば、セパレータは機械的セパレータであることができる。あるいは、特にコーティング材料が存在するならば、セパレータは、圧力を低下させ及び/又は温度を上昇させて、低表面張力流体及び場合により高表面張力液体を気化させることができる。好ましくは、セパレータは、対流式オーブン、熱風送風機又はIRランプなどの加熱デバイスである。
【0057】
システムの1つの実施形態において、低表面エネルギー基材及び高表面張力液体のうちの少なくとも1つを低表面張力流体蒸気と接触させるための接触チャンバは提供される。接触チャンバは、少なくとも低表面張力流体蒸気アプリケータを含む。幾つかの実施形態において、接触チャンバは、高表面張力液体アプリケータをさらに含む。
【0058】
システムの別の実施形態において、高表面張力液体アプリケータは、
高表面張力液体を含むリリースライナー、ここで、前記リリースライナーは高表面張力液体を可逆的に吸収することができる、及び、
低表面エネルギー基材を、高表面張力液体を含むリリースライナーと接触させるための接触器、
を含む。
【0059】
本明細書で使用されるときに、接触器は、低表面エネルギー基材をリリースライナーと接触させるか、接触させるための手段であるか、又は接触するように適合させることができる。
【0060】
システムの1つの実施形態において、接触器は、リリースライナー及び接触手段を含む回転要素デバイスである。回転要素デバイスは、第一のローラ及び第二のローラなどの少なくとも第一の接触回転要素及び第二の接触回転要素を含むことができる。高表面張力液体を含むリリースライナーは、少なくとも第一のリリースライナー回転要素及び第二のリリースライナー回転要素を用いて、低表面エネルギー基材と接触されうる。
【0061】
別の実施形態において、回転要素デバイスは、リリースライナーを圧縮し、それから高表面張力液体を分離し、それを低表面エネルギー基材に転写するために、少なくとも1つ、好ましくは2つの圧縮回転要素をさらに含むことができる。
【0062】
第三の態様の別の実施形態において、システムは、少なくとも低表面張力流体及び場合により高表面張力液体を、湿潤化された低表面エネルギー基材から除去するためのセパレータを含む分離チャンバをさらに含む。分離チャンバは、低表面張力流体及び場合により高表面張力液体を気化させるために、低表面張力流体及び場合により高表面張力液体を減圧又は高温(周囲と比較して)の一方又は両方の下に置くことができる。分離チャンバは、対流式オーブン、熱風送風機又はIRランプなどのヒータを含むことができる。
【0063】
システムの別の実施形態において、高表面張力液体は、低表面エネルギー基材上に堆積されるコーティング材料を含む。
【図面の簡単な説明】
【0064】
本発明及びその利点をさらに説明するために、以下の図によって示される以下の実施形態を参照して、より詳細な説明が提供される。これらの図は、本発明の典型的な実施形態及びその利点に関連しており、したがって、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲を限定するものと考えられるべきではないことを理解されたい。
【0065】
【
図1】
図1A及び1Bは、固液界面と気液界面との間の接触角の概略図を示している。これは、液体による固体の濡れの程度を表している。
図1Bは、
図1Aよりも低い接触角を示しており、濡れが改善されていることを示している。
【0066】
【
図2】
図2は、本明細書に記載の方法で使用できるシステムの概略図を示している。
【0067】
【
図3】
図3は、本明細書に記載の方法で使用できる別のシステムの概略図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0068】
本明細書に開示されるのは、低表面エネルギー基材を高表面張力液体で湿潤化するための方法及びシステムである。この方法及びシステムは、低表面張力流体を蒸気として利用して、湿潤化を促進し及び/又は湿潤化を加速する。
【0069】
「湿潤化」という用語は、基材の表面などの固体表面と接触したときに液体が広がる能力を指す。この接触は、液体と固体が一緒になったときのその間の分子相互作用に起因する。湿潤化の程度、したがって液体と固体との間の接触の程度は、液体と固体との間の接着力と、液体内又は固体内の原子又は分子の相互引力から生じる凝集力とのバランスによって決定される。
【0070】
この接着力と凝集力のバランスは接触角θを決定する。これは、液気界面が固液界面と出会う角度である。90°未満の低い接触角は濡れ度が高いことを示す。90°~180°未満の接触角は濡れ度が低いことを示す。
図1A及び1Bは、固体10、液体20及び雰囲気(蒸気)30の間の接触角θの2つの例を示している。
図1Aは、
図1Bに示された接触角θ
2よりも大きい接触角θ
1を示しており、より低い湿潤化は、
図1Bの場合と比較して、
図1Aの固体10と液体20との間で発生する。
【0071】
本関係において、接触角は、高表面張力液体-雰囲気界面が低表面エネルギー基材-高表面張力液体界面と出会う角度である。
【0072】
接触角は、静的又は動的固定液滴法、ペンダント液滴法、単繊維ウィルヘミー法又は単繊維メニスカス法など、当該技術分野で知られている幾つかの方法によって測定することができる。
【0073】
本明細書に開示される方法及びシステムは、低表面張力流体蒸気を使用して、高表面張力液体と低エネルギー張力基材との間の接触を増加させる。この接触の増加は、接触角の減少(低表面張力流体の非存在下での高表面張力液体と低表面エネルギー基材の間の接触角と比較して)に反映される。
【0074】
液体中の原子又は分子間の凝集力は、液体の表面張力によって特性化できる。これは液面の弾性傾向であり、可能な限り最小の表面積を獲得することを可能にする。液体の表面上の原子又は分子は、バルクの原子又は分子と同じ環境を経験しない。というのは、これは、表面上の原子又は分子がすべての面に液体分子を有しないために、内側引張力を経験するからである。表面張力は、単位長さあたりの力の次元(mN/mなど)を有し、単位面積あたりのエネルギーとして表すこともできる。ここでは、前者の単位長さあたりの力の次元を使用する。液体の表面張力という用語は、表面エネルギーと交換可能に使用されうる。本明細書で使用されるときに、表面張力は液体及び蒸気に関連して使用され、一方、表面エネルギーは固体に使用される。
【0075】
同様に、固体の表面エネルギーは、表面が作成されるときに発生する分子間結合の破壊を反映している。
【0076】
固体表面の濡れ度は、液体と接触したときの固体の表面エネルギーの変化を反映している。固体の表面エネルギーが低く、液体の表面張力が高いほど、濡れの程度は低くなる。
【0077】
固体は、例えばコロナ処理、プラズマ処理又は酸エッチングによって、湿潤化性を高めるために表面処理することができる。このような処理は固体の表面エネルギーを増加させる。しかしながら、そのような処理は、固体に適合しない可能性があり、又は固体の表面エネルギーを恒久的に変化させる可能性があり、特定の目的に必要な固体の特性を所望せずに変化させる可能性がある。
【0078】
同様に、液体は、例えば、界面活性剤などの添加剤の添加によって、湿潤化性を高めるように処理されうる。界面活性剤を添加すると、液体の表面張力を下げることができる。しかしながら、そのような添加剤は、液体から又は液体と接触した固体から除去するのが難しいという問題を有することがある。例えば、コーティング材料が液体キャリア中に存在するコーティングプロセスにおいて、界面活性剤などの添加剤は、液体キャリアの除去時に、コーティング材料に加えて固体上にも堆積する可能性がある。そのような添加剤は蒸気圧が低い可能性があり、したがって、特にコーティング材料も除去せずに、固体から除去するのが難しいことがある。
【0079】
本明細書に開示される方法及びシステムは、基材の表面処理及び/又は液体への界面活性剤の添加を必要とせずに、低い表面エネルギーを有する基材を高い表面張力を有する液体で湿潤化させることを可能にする。したがって、本明細書に開示される方法及びシステムは、高表面張力液体による低表面エネルギー基材の湿潤化の改善を提供する。
【0080】
低表面エネルギー基材を高表面張力液体で湿潤化する方法は、低表面エネルギー基材の高表面張力液体での湿潤化方法を改善する方法であることができる。このような改善は、低表面張力流体蒸気の非存在下での(i)低表面エネルギー基材と高表面張力液体との界面及び(ii)高表面張力液体と蒸気(雰囲気)との界面の間の接触角と比較したときに、低表面張力流体蒸気と接触したときの(i)低表面エネルギー基材と高表面張力液体との界面及び(ii)高表面張力液体と蒸気(雰囲気)との界面の間の接触角の低下によって測定することができる。
【0081】
あるいは、湿潤化の改善は、以下の実施例で使用される基材清澄化方法によって測定されうる。
【0082】
低表面エネルギー基材を高表面張力液体で湿潤化する方法は、代替的又は追加的に、低表面エネルギー基材を高表面張力液体で湿潤化する速度を増加させる方法であることができる。
【0083】
本明細書に開示される方法の1つの工程において、低表面エネルギー基材を、高表面張力液体と接触させる。
【0084】
本明細書で使用されるときに、「接触する」という用語は、高表面張力液体が低表面エネルギー基材と接触し、それらが境を接することを意味することが意図されている。記載される方法及びシステムは、低表面張力流体の非存在下での接触度と比較して、高表面張力液体と低表面エネルギー基材との間の接触度を改善することができる。
【0085】
低表面エネルギー基材
本明細書で使用されるときに、「低表面エネルギー基材」という用語は、15~45mN/m、典型的には18~45mN/mの範囲の表面エネルギーを有する基材を指す。好ましくは、低表面エネルギー基材は、15~40mN/m、典型的には18~40mN/mの範囲の表面エネルギーを有する。より好ましくは、低表面エネルギー基材は、15~35mN/m、典型的には18~35mN/mの範囲の表面エネルギーを有する。さらにより好ましくは、低表面エネルギー基材は、15~30mN/m、典型的には18~30mN/mの範囲の表面エネルギーを有する。以下の実験のセクションで記載されるように、基材の表面エネルギーは、ASTMD7490-13に従って測定されうる。
【0086】
低表面エネルギー基材は、フィルム、膜又はテープを含む群の1つ以上の形態であることができる。
【0087】
本明細書で使用されるときに、テープは、幅又は長さよりも少なくとも1桁小さい厚さを有する基材である。
【0088】
低表面エネルギー基材は、厚さが0.5~500μm、0.5~250μm、0.5~100μm、0.5~50μm、5~30μm又は3~20μmの範囲であることができる。
【0089】
低表面エネルギー基材は、面積あたりの質量が0.1~500g/m2、0.1~250g/m2、0.1~100g/m2、0.1~50g/m2、0.1~25g/m2、0.1~10g/m2、0.5~6g/m2又は1~5g/m2の範囲であることができる。
【0090】
低表面エネルギー基材は、好ましくは、有機ハロゲン化物ポリマー、炭化水素ポリマー及び有機ハロゲン化物ポリマーを含むコポリマーを含む群から選ばれる1つ以上であることができる。有機ハロゲン化物ポリマーの例としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル及びポリ塩化ビニルが挙げられる。有機ハロゲン化物ポリマーを含むコポリマーは、有機ハロゲン化物ポリマーと炭化水素ポリマーとのコポリマーであることができる。そのようなコポリマーの例としては、ポリエチレン-コ-テトラフルオロエチレン及びポリテトラフルオロエチレン-コ-ヘキサフルオロプロピレンが挙げられる。炭化水素ポリマーの例としては、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)を含むポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン及びポリパラキシリレンが挙げられる。
【0091】
低表面エネルギー基材は、ポリトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン及びポリジメチルシロキサン、アイソタクチックポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリブチルメタクリレート、ポリイソブチルメタクリレート、ポリtertブチルメタクリレート、ポリヘキシルメタクリレート、ポリテトラメチレンオキシド、ポリカーボネート、線状ポリエチレン、分岐ポリエチレン、ポリ-α-メチルスチレン、ポリフッ化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチルアクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンオキシド、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド-12及びポリエーテルエーテルケトンを含む群から選ばれる1つ以上であることができる。そのような低表面エネルギー基材は、18~45mN/mの範囲の表面エネルギーを有する。
【0092】
低表面エネルギー基材は、好ましくは、ポリトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン及びポリジメチルシロキサン、アイソタクチックポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリブチルメタクリレート、ポリイソブチルメタクリレート、ポリtertブチルメタクリレート、ポリヘキシルメタクリレート、ポリテトラメチレンオキシド、ポリカーボネート、線状ポリエチレン、分岐ポリエチレン、ポリ-α-メチルスチレン、ポリフッ化ビニリオン、ポリ酢酸ビニル、ポリエチルアクリレート及びポリエチルメタクリレートを含む群から選ばれる1つ以上であることができる。そのような好ましい低表面エネルギー基材は、18~40mN/mの範囲の表面エネルギーを有する。
【0093】
低表面エネルギー基材は、より好ましくは、ポリトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン及びポリジメチルシロキサン、アイソタクチックポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリブチルメタクリレート、ポリイソブチルメタクリレート、ポリtertブチルメタクリレート、ポリヘキシルメタクリレート、ポリテトラメチレンオキシド及びポリカーボネートを含む群から選ばれる1つ以上であることができる。そのような好ましい低表面エネルギー基材は、18~35mN/mの範囲の表面エネルギーを有する。
【0094】
低表面エネルギー基材は、さらにより好ましくは、ポリトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン及びポリジメチルシロキサンを含む群から選ばれる1つ以上であることができる。そのような好ましい低表面エネルギー基材は、18~30mN/mの範囲の表面エネルギーを有する。
【0095】
最も好ましくは、低表面エネルギー基材は、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)である。ePTFEは、厚さが0.5~500μmであることができる。ePTFEは、バブルポイントが10~2000kPaであることができる。ePTFEは、面積あたりの質量が0.1~500g/m2であることができる。ePTFEは、見掛け密度が0.1~1g/ccであることができる。例えば、ePTFEは、面積あたりの質量が4.7g/m2、厚さが14μm、見掛け密度が0.34g/cc、バブルポイントが324kPa(47.0psi)であることができる。
【0096】
高表面張力液体
本明細書で使用されるときに、「高表面張力液体」という用語は、25mN/mを超えて70mN/mまでの範囲の表面張力を有する液体を指す。好ましくは、高表面張力液体は、35~50mN/mの範囲の表面張力を有する。好ましくは、高表面張力液体は、25mN/mを超えて70mN/mまで、より好ましくは25mN/mを超えて65mN/mまで、さらにより好ましくは25mN/mを超えて60mN/mまでの範囲の表面張力を有する。あるいは、高表面張力液体は、好ましくは30~60mN/m、より好ましくは30~50mN/mの範囲の表面張力を有する。以下の実験のセクションで記載されるように、高表面張力液体の表面張力は、ASTMD1331-14に従って測定されうる。
【0097】
高表面張力液体は、1つ以上の成分を含む液体組成物であることができる。液体組成物が25mN/mを超えて70mN/mまでの範囲の表面張力を有する限り、1つ以上の成分は、いかなる表面張力値を有してもよい。
【0098】
1つ以上の成分は、1つ以上の高表面張力液体成分及び場合により1つ以上のさらなる成分を含むことができる。
【0099】
1つ以上のさらなる成分は、低表面張力液体成分、コーティング材料及びコーティング材料の混合物のうちの1つ以上から選択されうる。コーティング材料又はコーティング材料の混合物が高表面張力液体組成物中に存在するときに、低表面張力液体成分は、コーティング材料のための共溶媒として作用しうる。
【0100】
高表面張力液体成分は、水、ジヨードメタン、ホルムアミド、グリセロール、2,2'-チオビスエタノール、2-フランメタノール、エチレングリコール、2-アミノエタノール、1,3-ブタンジオール、プロピレングリコール、1,2,3-トリブロモプロパン、1,5-ペンタンジオール、N-メチル-2-ピロリジン、アニリン、2-アミノエタノール、ジメチルスルホキシド、プロピレンカーボネート、アントラニル酸エチルエステル、アントラニル酸メチルエステル、ベンジルアルコール、ベンジルベンゼノエート、ブロモホルム、キノリン、1,3-ジヨードメタン、ジエチレングリコール、フルフラール、ヘキサクロロブタジエン、ヨードベンゼン、m-ニトロトルエン、メチルナフタレン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ニトロベンゼン、ニトロメタン、o-ニトロトルエン、フェニルイソチオシアネート、フタル酸ジエチルエステル、ポリエチレングリコール、ピリジン、3-ピリジルカルビノール、ピロール、テトラブロモエタン、トリクレシルホスフェート、α-ブロモナフタレン、α-クロロナフタレン、1,2-ジクロロエタン、1,4-ジオキサン、二硫化炭素、クロロベンゼン、シクロヘキサノール、シクロペンタノール、デカリン、ジプロピレングリコール、ドデシルベンゼン、フマル酸ジエチルエステル、ニトロエタン、ニトロプロパン、アセトニトリル、プロパン酸、キシレン及びその異性体、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トルエン、ブチロニトリル、酢酸、クロロホルム、アクリロニトリル、2-ブトキシエタノール、テトラクロロメタン、2-ヘプタノン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、ヘキサノール又はその異性体、ヘプタノール及びその異性体、オクタノール及びその異性体、及び、イソバレロニトリルを含む群から選ばれる1つ以上であることができる。上記のリスト中の高表面張力液体成分は、25mN/mを超える表面張力を有する。
【0101】
高表面張力液体成分は、好ましくは、水、ジヨードメタン、ホルムアミド、グリセロール、2,2'-チオビスエタノール、2-フランメタノール、エチレングリコール、2-アミノエタノール、1,3-ブタンジオール、プロピレングリコール、1,2,3-トリブロモプロパン、1,5-ペンタンジオール、N-メチル-2ピロリジン、アニリン、2-アミノエタノール、ジメチルスルホキシド、プロピレンカーボネート、アントラニル酸エチルエステル、アントラニル酸メチルエステル、ベンジルアルコール、ベンジルベンゼノエート、ブロモホルム、キノリン、1,3-ジヨードメタン、ジエチレングリコール、フルフラール、ヘキサクロロブタジエン、ヨードベンゼン、m-ニトロトルエン、メチルナフタレン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ニトロベンゼン、ニトロメタン、o-ニトロトルエン、フェニルイソチオシアネート、フタル酸ジエチルエステル、ポリエチレングリコール、ピリジン、3-ピリジルカルビノール、ピロール、テトラブロモエタン、トリクレシルホスフェート、α-ブロモナフタレン及びα-クロロナフタレン、1,2-ジクロロエタン、1,4-ジオキサン、二硫化炭素、クロロベンゼン、シクロヘキサノール、シクロペンタノール、デカリン、ジプロピレングリコール、ドデシルベンゼン、フマル酸ジエチルエステル、ニトロエタンを含む群から選ばれる1つ以上であることができる。上記のリストにおいて、水を除く高表面張力液体成分は、30~70mN/mの範囲内の表面張力を有する。
【0102】
1つ以上の高表面張力液体成分は、高表面張力液体組成物が25mN/mを超えて70mN/mまでの範囲の表面張力を有する限り、約72mN/mの表面張力を有する水など、高表面張力液体に必要とされる上限70mN/mを超える表面張力を有することができる。
【0103】
高表面張力液体成分は、さらにより好ましくは、水、エチレングリコール、2-アミノエタノール、1,3-ブタンジオール、プロピレングリコール、1,2,3-トリブロモプロパン、1,5-ペンタンジオール、N-メチル-2ピロリジン、アニリン、2-アミノエタノール、ジメチルスルホキシド、プロピレンカーボネート、アントラニル酸エチルエステル、アントラニル酸メチルエステル、ベンジルアルコール、ベンゼンベンゼノエート、ブロモホルム、キノリン、1,3-ジヨードメタン、ジエチレングリコール、フルフラール、ヘキサクロロブタジエン、ヨードベンゼン、m-ニトロトルエン、メチルナフタレン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ニトロベンゼン、ニトロメタン、o-ニトロトルエン、フェニルイソチオシアネート、フタル酸ジエチルエステル、ポリエチレングリコール、ピリジン、3-ピリジルカルビノール、ピロール、テトラブロモエタン、トリクレシルホスフェート、α-ブロモナフタレン及びα-クロロナフタレン、1,2-ジクロロエタン、1,4-ジオキサン、二硫化炭素、クロロベンゼン、シクロヘキサノール、シクロペンタノール、デカリン、ジプロピレングリコール、ドデシルベンゼン、フマル酸ジエチルエステル及びニトロエタンを含む群から選ばれる1つ以上であることができる。上記のリストにおいて、水を除く高表面張力液体成分は、30~50mN/mの範囲内の表面張力を有する。
【0104】
低表面張力液体成分は、トリフルオロエタノールジエチルエーテル、ジメトキシメタン、四塩化ケイ素、ブチルクロリド及びその異性体、プロパノール及びその異性体、エタノール、メタノール、ブタノール及びその異性体、ペンタノール及びその異性体、アセトン、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、酢酸プロピル、メチルエチルケトン、メチルメタクリレート、酢酸メチル、アセトン、メチルクロロホルム、エタナール、プロパナール、ブタナール、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン及びペンチルアミンを含む群から選ばれる1つ以上であることができる。上記のリスト中の低表面張力液体成分は、10~25mN/mの範囲の表面張力を有する。
【0105】
したがって、高表面張力液体組成物は、水及びエタノールを含むことができ、ここで、液体組成物は25mN/mを超え70mN/mまでの範囲の表面張力を有する。例示的な高表面張力液体組成物は、水中の約1~約65wt%のエタノールを含む。
【0106】
コーティング材料は、スルホン化ペルフルオロビニルエーテル基を含むテトラフルオロエチレンベースのポリマーなどのイオン交換材料(IEM)であることができる。適切なイオン交換材料については、以下で詳しく記載する。
【0107】
蒸気としての低表面張力流体(本明細書では低表面張力流体蒸気と同義で使用される)は、低表面エネルギー基材及び/又は高表面張力液体を処理するために使用される。
【0108】
本明細書で使用されるときに、「低表面エネルギー基材及び高表面張力液体のうちの少なくとも1つを蒸気としての低表面張力流体で処理する」という用語は、低表面エネルギー基材及び高表面張力液体の一方又は両方が蒸気としての低表面張力流体と接触されて、それらが境を接していることを意味することが意図されている。例えば、低表面張力流体蒸気による低表面エネルギー基材の処理は、低表面張力流体の低表面エネルギー基材上への凝縮をもたらすことができる。この凝縮は吸着及び/又は吸収プロセスを含むことができる。1つの実施形態において、凝縮された低表面張力流体の単層が、低表面エネルギー基材上、特に基材の表面上及び基材の任意の細孔内に形成される。
【0109】
同様に、高表面張力液体と低表面張力流体蒸気との接触は、少なくとも高表面張力液体-雰囲気界面への低表面張力流体の吸着及び/又は吸収を含むことができ、それにより、界面での高表面張力液体の表面張力を低下させる。しかしながら、高表面張力液体の表面張力の低下を達成する必要はないが、高表面張力液体のバルクへの低表面張力流体の導入は排除されない。
【0110】
低表面張力流体蒸気は、接触中に液体に凝縮する可能性があるが、固相で存在することはなく、その後、低表面エネルギー基材から除去される。1つの実施形態において、低表面張力流体は、両方の接触工程の完了後に、低表面エネルギー基材から実質的に除去される。別の実施形態において、低表面張力流体は、両方の接触工程の完了後に、低表面エネルギー基材から完全に除去される。
【0111】
理論に拘束されることを望まないが、低表面張力流体は、低表面エネルギー基材の表面エネルギーと高表面張力液体の表面張力の一方又は両方を変えることができる。例えば、低表面エネルギー基材を低表面張力流体蒸気と接触させると、低表面エネルギー基材の表面を液体としての低表面張力流体と接触させ、基材の表面エネルギーを増加させることができる。高表面張力液体と低表面張力流体蒸気との接触は、低表面張力流体を、雰囲気と高表面張力液体の界面に導入し、高表面張力液体の表面張力を低下させることができる。接触された低表面エネルギー基材の表面エネルギーのそのような増加及び/又は接触された高表面張力液体の表面張力の減少は、液体による基材の湿潤化を改善することができる。
【0112】
本明細書で使用されるときに、「接触された低表面エネルギー基材」という用語は、低表面張力流体蒸気と接触された低表面エネルギー基材を意味する。そのような接触された低表面エネルギー基材は、基材上の低表面張力流体蒸気の凝縮から形成された低表面張力流体液体を含むことができる。低表面張力流体液体は、低表面エネルギー基材の表面上に存在することができる。低表面エネルギー基材が多孔質材料であるときに、低表面張力流体液体は基材の細孔内に存在することができる。
【0113】
本明細書で使用されるときに、「接触された高表面張力液体」という用語は、低表面張力流体蒸気と接触された高表面張力液体を意味する。そのような接触された高表面張力液体は混合物であることができ、そして1つ以上の低表面張力流体を含むことができる。低表面張力流体液体は、高表面張力液体と雰囲気との界面に存在することができる。
【0114】
低表面張力流体
本明細書で使用されるときに、「低表面張力流体」という用語は、液体形態にあるときに、10~25mN/mの範囲の表面張力を有する流体を指す。好ましくは、液体形態のときに、低表面張力流体は、10~20mN/mの範囲、より好ましくは15~20mN/mの範囲の表面張力を有する。あるいは、低表面張力流体は、液体形態のときに、好ましくは15~25mN/mの範囲、より好ましくは20~25mN/mの範囲の表面張力を有する。以下の実験のセクションで記載されるように、低表面張力流体の表面張力は、液体形態のときに、ASTMD1331-14に従って測定することができる。
【0115】
接触は、蒸気として低表面張力流体を使用して実行される。本明細書で使用されるときに、「蒸気」という用語は、分子気体又は気体と液体の分子混合物を含むことが意図されている。例えば、エアロゾルは、液滴を含む部分的に凝縮されたガスであり、したがって、本明細書で使用される蒸気という用語の意味に含まれる。
【0116】
蒸気としての低表面張力流体などの低表面張力流体は、好ましくは、アルデヒド、アルコール、アミン、ケトン、エーテル、環状エーテル、エステル及び有機ハロゲン化物から選ばれる1つ以上の化合物から選ばれることができ、ただし、前記化合物は表面張力が10~25mN/mの範囲である。
【0117】
蒸気としての低表面張力流体などの低表面張力流体は、トリフルオロエタノール、ジエチルエーテル、ジメトキシメタン、四塩化ケイ素、ブチルクロリド及びその異性体、プロパノール及びその異性体、エタノール、メタノール、ブタノール及びその異性体、ペンタノール及びその異性体、アセトン、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、酢酸プロピル、メチルエチルケトン、メチルメタクリレート、酢酸メチル、アセトン、メチルクロロホルム、エタナール、プロパナール、ブタナール、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン及びペンチルアミンを含む群から選ばれる1つ以上であることができる。
【0118】
蒸気としての低表面張力流体などの低表面張力流体は、より好ましくは、2,2,2-トリフルオロエタノール、1-ブタノール、酢酸エチル及びジエチルエーテルを含む群から選ばれる1つ以上であることができる。そのような好ましい低表面張力流体は、液体の形態のときに、10~25mN/mの範囲の表面張力を有する。
【0119】
低表面張力流体蒸気などの低表面張力流体は、約17mN/mの表面張力を有する2,2,2-トリフルオロエタノールであることができる。
【0120】
両方の接触工程の後に、蒸気又は液体として存在することができる低表面張力流体などの低表面張力流体は、低表面エネルギー基材から除去される。低表面張力流体のこの除去は能動的又は受動的であることができる。
【0121】
低表面張力流体蒸気又は液体などの低表面張力流体を低表面エネルギー基材から除去する工程は受動的であることができる。例えば、低表面張力流体は、低表面エネルギー基材上又は高表面張力液体の表面上に液体として存在するときに、周囲の温度及び圧力下で気化させることができる。典型的には、低表面張力流体は、受動的除去を可能にするのに十分に高い蒸気圧を有することができる。
【0122】
あるいは、低表面張力流体蒸気又は液体などの低表面張力流体を低表面エネルギー基材から除去する工程は能動的であることができる。
【0123】
低表面張力流体蒸気又は液体などの低表面張力流体を低エネルギー基材から除去する工程は、例えば、選択的に圧力を低減し又は温度を上昇させることの一方又は両方による分別蒸留によって高表面張力液体を除去することなく起こりうる。これにより、低表面張力流体を高表面張力液体から分離することが可能になり、その結果、例えば、本明細書の方法において、それをリサイクル及び再利用することができる。
【0124】
例えば、低表面張力流体及び高表面張力液体を順次除去し、ここで、低表面張力流体を最初に除去し、次に高表面張力液体を除去することができる。これは、圧力を低減させること及び温度を十分に上げることの一方又は両方によって達成でき、これにより、2つの化合物のうちの揮発性の高い低表面張力流体が蒸気中により高度に集中し、高表面張力液体を液体状態で残す。続いて、圧力を低減し又は温度をさらに上昇させることの一方又は両方で、高表面張力液体を気化させることができる。低表面エネルギー基材から高表面張力液体(蒸気として)を分離した後に、蒸気を凝縮して高表面張力液体を提供することができる。これにより、低表面張力流体及び高表面張力液体の両方を互いに分離させることができ、その結果、それぞれを本明細書に開示される方法でリサイクル及び再利用することができる。
【0125】
あるいは、低表面張力流体蒸気又は液体などの低表面張力流体を低表面エネルギー基材から除去する工程は、高表面張力液体の除去、すなわち低表面張力流体(蒸気又は液体として)及び高表面張力液体の除去をさらに含むことができる。典型的には、高表面張力液体は、低表面張力流体(蒸気又は液体として)の除去と同時に、低表面エネルギー基材から除去されうる。例えば、低表面張力流体の少なくとも一部は、高表面張力液体中に存在しうる。
【0126】
低表面張力流体を、場合により高表面張力液体とともに低表面エネルギー基材から除去する工程は、低表面張力流体の低表面エネルギー基材からの気化及び機械的分離の一方又は両方を含むことができる。
【0127】
低表面張力流体を、場合により高表面張力液体とともに低表面エネルギー基材から気化させることは、温度を上げること及び圧力を下げることの一方又は両方、例えば、低表面エネルギー基材の表面又はその周辺の圧力を下げることで、低表面張力流体を、場合により高表面張力液体とともに気化させることによって達成させることができる。温度は、オーブン、熱風送風機、IRランプなどの任意の適切な加熱手段によって上昇させることができる。
【0128】
低表面張力流体を、場合により高表面張力液体とともに機械的分離することは、プレス、拭き取り又は吸収によって達成することができる。例えば、凝縮されるか、又は高表面張力液体の一部であることができる(場合により、高表面張力液体とともに)低表面張力流体は、低表面エネルギー基材の表面から拭き取られるか、又は、低表面エネルギー基材の表面から吸収性材料上へ吸収されるか、又は膜などの低表面エネルギー基材は、圧縮されることができる。
【0129】
次に、吸収された低表面張力流体を、場合により高表面張力液体とともに有する吸収性材料を、低表面エネルギー基材から分離することができる。さらなる任意選択的な工程において、低表面張力流体は、場合により高表面張力液体とともに、例えば、加熱、圧力の低下及び吸収性材料の圧縮のうちの1つ以上によって、吸収性材料から解放されうる。
【0130】
低表面エネルギー基材からの低表面張力流体の除去の後に、低表面張力流体をリサイクルする工程を続けることができ、その結果、例えば、連続的又はバッチ的方法で再利用することができる。低表面張力流体が高表面張力液体とともに存在するときに、低表面張力流体をリサイクルさせる工程は、低表面張力流体を高表面張力液体から分離することを含むことができる。
【0131】
例えば、低表面張力流体及び高表面張力液体が液相で存在するときに、例えば、気相から凝縮した後に、又はそれが高表面張力液体の一部として除去されるならば、それらは分別蒸留によって分離され、低表面張力流体蒸気を提供することができる。
【0132】
あるいは、低表面張力流体及び高表面張力液体が気化によって低表面エネルギー基材から除去されるならば、低表面張力流体を蒸気として維持しながら、高表面張力液体を液化温度未満に冷却することによって、高表面張力液体を選択的に凝縮することができる。
【0133】
コーティング
コーティング材料は、しばしば、液体キャリア中の固体コーティング材料の分散液又は懸濁液として、又は、コーティング材料が液体キャリア中に可溶である場合には溶液として、液体キャリアから基材上に堆積される。したがって、コーティング材料と液体キャリアとの間の適合性は重要である。例えば、水などの極性液体キャリアは、例えば、液体分子間の水素結合のために、高い表面張力を有することができる。すでに論じたように、そのような高表面張力液体は、低表面エネルギー基材を不十分に湿潤化させる可能性があり、その結果、高表面張力液体から低表面エネルギー基材へのキャリア材料の堆積は、高表面張力液体を除去すると、基材上のコーティング材料の不均一な分布を提供しうるか、又は、基材の表面内の細孔に到達できないことがある。本明細書に記載の湿潤化方法及びシステムを使用して、高表面張力液体中で輸送されるコーティング材料を低表面エネルギー基材上に堆積させ、コーティング材料の分布に関して、そのようなコーティング材料の堆積を特に改善し、そして、基材の表面の任意の細孔へのコーティング材料の分布を改善することができる。
【0134】
本明細書に開示される方法は、高表面張力液体がコーティング材料を含むときに、低表面エネルギー基材上にコーティング材料を適用するために使用することができる。このようにして、接触は、コーティング材料を含む高表面張力液体でコーティングされた低表面エネルギー基材を提供する。
【0135】
そのような方法は、コーティング材料でコーティングされた低表面エネルギー基材を提供するために、低表面エネルギー基材から高表面張力液体を除去する工程をさらに含むことができる。
【0136】
本明細書で使用されるときに、「コーティング」又は「コーティングされた」という用語は、基材に適用される被覆を示すことが意図されている。被覆は、基材の表面を含み、細孔などの表面開口部を通って基材の内部に広がることができる。コーティングは、基材の表面全体を被覆することができ、又は、表面の一部のみ及び細孔などの基材の内部への開口部を含む基材の一部のみを被覆することができる。
【0137】
コーティング材料は、上記のものなどのイオン交換材料(IEM)を含む群から選ばれる1つ以上の化合物、特にスルホン化ペルフルオロビニルエーテル基を含むテトラフルオロエチレンベースのポリマーであることができる。適切なイオン交換材料としては、例えば、ペルフルオロスルホン酸ポリマー、ペルフルオロカルボン酸ポリマー、ペルフルオロホスホン酸ポリマー、スチレンイオン交換ポリマー、フルオロスチレンイオン交換ポリマー、スルホン化ポリエーテルエーテルケトンイオン交換ポリマー、ポリアリールエーテルケトンイオン交換ポリマー、ポリスルホンイオン交換ポリマー、ビス(フルオロアルキルスルホニル)イミド、(フルオロアルキルスルホニル)(フルオロスルホニル)イミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリマーを含む又は含まない金属塩及びそれらの混合物が挙げられる。例示的な実施形態において、イオン交換材料は、テトラフルオロエチレンとペルフルオロスルホニルビニルエステルとの共重合によって作製されたペルフルオロスルホン酸(PFSA)ポリマーをプロトン形態に転化させたものを含む。燃料電池用途で使用するのに適したペルフルオロスルホン酸ポリマーの例としては、Nafion(登録商標)(E. I. DuPont de Nemours, Inc., Wilmington, Del., US)、Flemion(登録商標)(Asahi Glass Co. Ltd., Tokyo, JP)、Aciplex(登録商標)(Asahi Kasei Corporation, Tokyo, JP)、Aquivion(登録商標)(SolvaySolexis S.P.A., Italy)、及び3MTM(3M Innovative Properties Company, USA)が挙げられ、それらは市販のペルフルオロスルホン酸コポリマーである。燃料電池用途で使用するのに適したペルフルオロスルホン酸ポリマーの他の例としては、米国特許第5,463,005号明細書中に記載されているものなどの過フッ素化スルホニル(コ)ポリマーが挙げられる。
【0138】
典型的には、低表面エネルギー基材は、燃料電池用の多孔質ePTFE膜であることができる。
【0139】
好ましくは、コーティング材料は、スルホン化ペルフルオロビニルエーテル基を含むテトラフルオロエチレンベースのポリマーなどのイオン交換材料である。ペルフルオロビニルエーテル基を含むテトラフルオロエチレンベースのポリマーで含浸された多孔質ePTFE膜は、プロトン交換膜燃料電池にとって望ましい膜材料である。
【0140】
図2は、システム100の概略図、及び、低表面エネルギー基材110を高表面張力液体で湿潤化するための方法を示している。ロールツーロールタイプの連続処理方法が示されているが、他の連続方法又はバッチ様式プロセスなどの不連続方法も使用できる。
【0141】
多孔質フルオロポリマー、例えばePTFEなどの低表面エネルギー基材110は、基材供給ロール105上に提供されうる。
【0142】
膜又はフィルムなどのePTFE基材は、Goreの米国特許第8,757,395号明細書中に教示されている方法によって製造することができる。この方法で形成された多孔質ePTFEは、フィブリルによって相互接続されたノードの微細構造を有し、未延伸PTFEよりも高い強度を示し、未延伸PTFEの化学的不活性及び広い有用温度範囲を保持する。したがって、それはプロトン交換膜燃料電池のための膜材料の基礎として有用である。
【0143】
基材供給ロール105は、モータによって駆動されうるか又は自由に回転可能でありうる基材供給回転要素115上に取り付けられることができる。低表面エネルギー基材110、例えばePTFEは、円運動で供給ロール105から基材の巻き出しを誘発し、低表面エネルギー基材110を回転可能な弾性キャリアベルト125上に案内する第一の基材回転要素120によって、基材供給ロール105から解放されうる。回転可能な弾性キャリアベルト125は、処理中に低表面エネルギー基材110を支持する。回転可能な弾性キャリアベルト125は、低表面エネルギー基材110が供給される第一の端部140と、コーティング材料225でコーティングされた低表面エネルギー基材が取り出される第二の端部145とを有する。
【0144】
回転可能な弾性キャリアベルト125の第二の端部145にある第二の基材回転要素150は、コーティング材料でコーティングされた低表面エネルギー基材を、コーティング材料でコーティングされた低表面エネルギー基材を含む、コーティングされた基材製品ロール155に案内する。第一及び第二の基材回転要素120、150は一緒になって、処理中に低表面エネルギー基材を平坦な状態に保つ。これは、低表面エネルギー基材を低張力、例えば50N/m未満に維持することで実現できる。
【0145】
回転可能な弾性キャリアベルト125は、第一及び第二のキャリア回転要素130、135によって回転される弾性キャリアベルトのループであることができる。第一及び第二のキャリア回転要素130、135は、第一及び第二の基材回転要素120、150とともに、電気モータなどの1つ以上のモータによって独立して又は同期して駆動されうる。
【0146】
低表面エネルギー基材110は、弾性キャリアベルト125によって接触チャンバ160に引き込まれることができる。接触チャンバ160は、高表面張力液体アプリケータ165及び低表面張力流体蒸気アプリケータ180を含む。
【0147】
高表面張力液体アプリケータ165は、高表面張力液体を低表面エネルギー基材、特にその表面に適用するための任意の適切な手段であることができる。
図2は、高表面張力液体アプリケータ165としてのスプレイヘッドを示している。スプレイヘッドは、高表面張力液体供給ライン170を介して高表面張力液体タンク175と流体連通している。スプレイヘッドを通して高表面張力液体を押し出すのに十分な圧力は、高表面張力液体ポンプ(図示せず)によって、又は、高表面張力液体タンク175を重力的にスプレイヘッドの上方に配置することによって提供することができる。高表面張力液体ポンプは、スプレイヘッドの下に引かれる低表面エネルギー基材110上の高表面張力液体の正確な投与量を計量することができる。このようにして、低表面エネルギー基材110の表面は高表面張力液体210と接触される。高表面張力液体は、例えば、1~65wt%のエタノールを含む高度に水性の混合物などの水/エタノール混合物であることができる。
【0148】
コーティング材料が低表面エネルギー基材110に適用されるときに、コーティング材料は高表面張力液体中に存在する。例えば、コーティング材料は、適切な量で高表面張力液体タンク175に添加されうる。コーティング材料は、スルホン化ペルフルオロビニルエーテル基を含むテトラフルオロエチレンベースのポリマーなどのイオン交換材料であることができる。
【0149】
ePTFE基材は多孔質であるが、約19~20mN/mの表面エネルギーを有する。高表面張力を有する液体は、ePTFE基材の細孔を通過できない。水は約72mN/mの表面張力を有するため、ePTFE基材の細孔に入ることができない。
【0150】
同様に、25mN/mを超える表面張力を有する、65wt%以下のエタノールを含む水/エタノール混合物も、ePTFE基材の不十分な湿潤化性を示す。したがって、水又は水/エタノール混合物がePTFEのコーティング材料のための液体キャリアとして使用されるときに、水中で輸送されるコーティング材料は、細孔に入らず、及び/又は基材を十分に湿潤化させず、及び/又は基材を許容できないほど遅く湿潤化させる。
【0151】
高表面張力液体210と接触される低表面エネルギー基材110の湿潤化性を改善するために、そして特に高表面張力液体が基材の細孔に浸透することを可能にするために、基材及び液体の一方又は両方を低表面張力流体蒸気と接触させることができる。
【0152】
低表面張力流体蒸気は、低表面張力流体蒸気アプリケータによって供給され、これは、低表面張力流体を蒸気として低表面エネルギー基材110及び高表面張力液体の一方又は両方に適用するのに適した任意の手段であることができる。
図2は、低表面張力流体蒸気アプリケータ180としての蒸発器を示している。蒸発器は、低表面張力流体供給ライン185を介して低表面張力流体タンク190と流体連通している。低表面張力流体は低表面張力流体供給タンク185中に液体として貯蔵され、低表面張力流体供給ライン185に沿って液体として蒸発器に移送されることができる。液相中の低表面張力流体を供給タンクから蒸発器に通すために、低表面張力流体ポンプ(図示せず)を設けることができる。蒸発器には、液体として供給される低表面張力流体を加熱及び気化させるための加熱要素195が取り付けられている。このようにして、接触チャンバ160内の雰囲気は、低表面張力流体蒸気を含む。幾つかの実施形態において、接触チャンバ160内の雰囲気は、低表面張力流体蒸気で飽和させることができる。低表面張力流体は、例えば、2,2,2-トリフルオロエタノール、酢酸エチル、ジエチルエーテル又は1-ブタノールであることができる。2,2,2-トリフルオロエタノールは沸点が74℃、表面張力が約16.5mN/mであるため、低表面張力流体として理想的である。
【0153】
低表面エネルギー基材110及び高表面張力液体210は、接触チャンバ160内で低表面張力流体蒸気に暴露される。
【0154】
低表面張力流体蒸気は、接触チャンバ160内の高表面張力液体アプリケータ165の上流に位置し、したがって高表面張力液体210と接触されていない低表面エネルギー基材の部分205に接触することができる。接触チャンバ内の低表面張力流体蒸気は、低表面エネルギー基材の部分205の表面上で凝縮して、凝縮された低表面張力流体を含む、接触された低表面エネルギー基材を提供することができる。低表面エネルギー基材と低表面張力流体との接触は、基材の表面エネルギーを増加させ、及び/又は界面エネルギーを低下させ、その後の高表面張力液体による基材の湿潤化を改善することができる。
【0155】
低表面張力流体蒸気はまた、高表面張力液体210と接触することができる。接触チャンバ160内の低表面張力流体蒸気は、液体-雰囲気界面で、高表面張力液体によって吸収及び/又は吸着されることができ、スプレイヘッドを離れるとき又は低表面エネルギー基材110に接触した後に高表面張力液体の液滴として吸収及び/又は吸着されることができる。理論に拘束されることを望まないが、高表面張力液体と低表面張力流体との接触は、高表面張力液体の表面張力を低下させ、接触された高表面張力液体による低表面エネルギー基材110の湿潤化性を改善する。
【0156】
したがって、接触チャンバ160は、接触された高表面張力液体215で湿潤化された、接触された低表面エネルギー基材を提供する。次に、接触された高表面張力液体215で湿潤化された、接触された低表面エネルギー基材を分離チャンバ220に通すことができる。分離チャンバ160は、好ましくは高表面張力液体とともに、そして湿潤化された低表面張力基材から低表面張力流体を除去するためのセパレータを含む。典型的には、分離チャンバ160を(周囲と比較して)高温及び/又は減圧に保持し、高表面張力液体及び低表面張力流体を気化させる。セパレータは、好ましくはIRランプである。
【0157】
分離チャンバ160は、ポンプ(図示せず)に接続された出口など、気化された高表面張力液体及び低表面張力流体をチャンバから除去するための手段をさらに含むことができる。次に、気化された高表面張力液体及び低表面張力流体蒸気をリサイクルすることができる(図示せず)。例えば、気化された高表面張力液体は、それを低表面張力流体蒸気から分離するために優先的に凝縮され、高表面張力液体タンク175に渡されることができる。次に、残りの低表面張力流体蒸気は、凝縮され、低表面張力流体タンク190に液体として渡されることができる。
【0158】
図2に戻ると、高表面張力液体がコーティング材料を含むならば、分離チャンバは、高表面張力液体及び低表面張力流体を除去して、コーティング材料225でコーティングされた低表面エネルギー基材を提供する。低表面エネルギー基材がePTFEなどの多孔質であるならば、コーティング材料は、典型的に、基材の細孔に浸透する。
【0159】
次に、コーティング材料225でコーティングされた低表面エネルギー基材は、第二の基材回転要素150によって回転可能な弾性キャリアベルト125から除去され、コーティング済み基材回転要素230に渡され、そこで巻かれ、コーティング済み基材製品ロール155を提供することができる。
【0160】
図3は、本明細書に開示される方法で使用するための代替システム300の概略図を示す。
図2と同等又は同じ
図3の特徴部には、同一の参照番号が割り当てられている。
【0161】
図3のシステムは、高表面張力液体アプリケータ365の点で
図2のシステムとは異なる。高表面張力液体アプリケータ365は、スプレイヘッドではなく、高表面張力液体を含むリリースライナー370、リリースライナー370を案内するための第一、第二及び第三のリリースライナー回転要素375、390及び395、及び、低表面エネルギー基材110を、高表面張力液体を含むリリースライナー370と接触させるための接触器を含む。接触器は、第一及び第二の接触器回転要素380、385を含むことができる。
【0162】
リリースライナーはループとして構成されうる。第三のリリースライナー回転要素395は、リリースライナー370を、高表面張力液体タンク410中に貯蔵された高表面張力液体405中に浸漬させる。高表面張力液体は、1~65wt%のエタノールを含む水性混合物などの水/エタノール混合物であることができる。好ましくは、高表面張力液体は、スルホン化ペルフルオロビニルエーテル基を含むテトラフルオロエチレンベースのポリマーなどのイオン交換材料などのコーティング材料を含む。
【0163】
リリースライナーは、多孔質織布及び不織布ウェブなどの吸収性材料であることができる。高表面張力液体405中に浸漬されると、リリースライナー370は、高表面張力液体及びその中に含まれる任意のコーティング材料を吸収する。次に、高表面張力液体を含むリリースライナーは、第一のリリースライナー回転要素370によって低表面エネルギー基材へと案内される。次に、第一及び第二の接触回転要素380、385は、高表面張力液体を含むリリースライナーを低表面エネルギー基材110に接触させる。
【0164】
次に、高表面張力液体370及び任意のコーティング材料を含むリリースライナーと接触された低表面エネルギー基材110は、接触チャンバ160に通される。接触チャンバ160は、
図2の実施形態で記載されたものと同様の低表面張力流体蒸気アプリケータ180を含む。低表面張力流体蒸気アプリケータ180は、接触チャンバ160内に低表面張力流体蒸気を含む雰囲気を提供するために、液相における低表面張力流体のための蒸発器を含む。低表面張力流体は、例えば、2,2,2-トリフルオロエタノール、酢酸エチル、ジエチルエーテル又は1-ブタノールであることができる。
【0165】
したがって、接触チャンバ160内にある、高表面張力液体及び任意のコーティング材料を含むリリースライナーの部分420は低表面張力流体蒸気に暴露される。したがって、低表面張力流体は、接触チャンバ160内の低表面エネルギー基材110に接触しているリリースライナー上に保持された高表面張力液体と接触する。低表面張力流体蒸気は、高表面張力液体と雰囲気との間の界面に吸収及び/又は吸着することができる。次に、低表面張力流体は、高表面張力液体-低表面エネルギー基材界面に又はその近くに拡散して、高表面張力液体の表面張力を低下させ、それにより、液体と基材との間の接触及び湿潤化を増加させることができる。
【0166】
第二の接触回転要素385は、圧縮回転要素400と組み合わせて使用して、接触された高表面張力液体をリリースライナーから低表面エネルギー基材110上に解放することができる。接触された高表面張力液体を含むリリースライナーを、第二の接触回転要素385及び圧縮回転要素400の間に供給して圧縮し、それにより、接触された高表面張力液体を押し出すことができる。したがって、第二の接触回転要素385及び圧縮回転要素400は、回転可能な弾性キャリアベルト125、低表面エネルギー基材110及び高表面張力液体を含むリリースライナーを圧縮して、高表面張力液体をリリースライナーから分離し、分離された高表面張力液体210を低表面エネルギー基材に送ることができる。第二の接触回転要素385と圧縮回転要素400との間の圧縮は、高表面張力液体を含むリリースライナーを圧縮して、低表面張力流体210と接触された高表面張力液体を解放する。
【0167】
リリースライナー370から放出され、低表面エネルギー基材110に接触する高表面張力液体210はまた、接触チャンバ160内の低表面張力流体蒸気に暴露される。したがって、低表面張力流体蒸気は、リリースライナーから解放された高表面張力液体210に接触する。
【0168】
接触チャンバ160内の低表面張力流体蒸気は、すでに論じたように、液体-雰囲気界面で高表面張力液体によって吸収及び/又は吸着されうる。
【0169】
低表面張力流体と接触された高表面張力液体は、低表面エネルギー基材110を湿潤化させる。したがって、接触チャンバ160は、高表面張力液体215で湿潤化された低表面エネルギー基材を提供する。
【0170】
図3に示されていない代替の実施形態において、第一及び第二の接触回転要素380、385は、両方とも接触チャンバの内部に配置されうる。そのような実施形態において、低表面エネルギー基材の一部は、リリースライナー上の高表面張力液体と接触される前に、低表面張力流体蒸気に暴露されうる。このように、低表面エネルギー基材を低表面張力流体蒸気と接触させ、その後に、リリースライナーと接触させ、続いて高表面張力液体を低表面張力流体蒸気と接触させることができる。
【0171】
本発明の他の態様及び実施形態は、「含む」という用語が「からなる」という用語に置き換えられた上記の態様及び実施形態、及び、「含む」という用語が「から本質的になる」という用語に置き換えられた上記の態様及び実施形態を提供する。
【0172】
本出願は、文脈上別段の要求がない限り、上記の態様及び実施形態のいずれかのすべての互いの組み合わせを開示することを理解されたい。同様に、本出願は、文脈上別段の要求がない限り、好ましい及び/又は場合により存在する特徴のすべての組み合わせを、単独で又は他の態様のいずれかと一緒に開示する。
【0173】
本明細書で言及されるすべての文書は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0174】
本明細書で使用される「及び/又は」という用語は、2つの特定の特徴又は構成要素のそれぞれの特定の開示として解釈されるべきであり、他方の特徴又は構成要素を含む又は含まない。例えば、「A及び/又はB」又は「A及びBの一方又は両方」は、それぞれを個別に示しているかのように、(i)A、(ii)B、及び、(iii)A及びBのそれぞれの具体的な開示として解釈される。
【0175】
本発明の特定の態様及び実施形態を例として説明する。
【0176】
例で使用されている試験手順及び測定プロトコル
バブルポイント
バブルポイントをASTMF316-86の手順に従って測定した。試験片の細孔を充填するための湿潤化流体としてイソプロピルアルコールを使用した。バブルポイントは、ミクロポーラスポリマーマトリックスを覆うイソプロピルアルコールの層を通過するバブルの上昇によって検出可能な最初の連続バブル流を作成するために必要な空気の圧力である。この測定は、最大細孔サイズの推定値を提供する。
【0177】
ガーレー数
ガスフローバリア特性を、ASTMD-726-58によるガーレーデンソメータ(Gurley Densometer)を使用して測定した。手順は、ガーレーデンソメータの通気性プレート間にサンプルをクランプすることを含む。次に、自由にスライドすることができる既知の質量の内筒を解放する。ガーレー数は、解放された内筒がサンプル材料を通してデンソメータ内の特定の体積の空気を変位させるのにかかる秒単位としての時間として定義される。
【0178】
ガス透過性(ATEQ)
ATEQ Corp.のプレミアDコンパクトフローテスターを使用して、1.2kPa(12mbar)の差圧でチャレンジしたときに、各ミクロポーラスポリマー構造を通過する空気の流速(リットル/時間)を測定した。サンプルは、流路に2.9cm2の断面積を画定するようにして2つのプレートの間にクランプされた。
【0179】
非接触厚
ミクロポーラスポリマー構造のサンプルを平らで滑らかな金属アンビルの上に置き、しわを取り除くために張力をかけた。アンビル上のミクロポーラスポリマー構造の高さを、非接触のKeyence LS-7010Mデジタルマイクロメータを使用して測定しそして記録した。次に、ミクロポーラスポリマーマトリックスを含まないアンビルの高さを記録した。ミクロポーラスポリマー構造の厚さを、アンビルにミクロポーラス構造が存在する場合と存在しない場合のマイクロメータの読み取り値の差として採用した。
【0180】
面積あたりの質量
各ミクロポーラスポリマー構造を十分に歪ませてしわをなくし、次にダイを使用して10cm2のピースを切り出した。10cm2のピースを従来の実験室スケールで計量した。次に、面積あたりの質量(M/A)を、測定された質量と既知の面積の比率として計算した。この手順を2回繰り返し、M/Aの平均値を算出した。
【0181】
ミクロポーラス層の見掛け密度
ミクロポーラスポリマー構造の見掛け密度を、非接触厚及び面積あたりの質量のデータを使用して、次の式を使用して計算した。
【0182】
【0183】
イオン交換材料(IEM)の溶液の固形分濃度
本明細書において、「溶液」及び「分散液」という用語は、IEMを指すときに交換可能に使用される。この試験手順は、IEMがプロトンの形であり、他の固形分の量が無視できる量で存在している溶液に適している。2立方センチメートルの体積のIEM溶液をシリンジに吸引し、溶液を含むシリンジの質量を、固形分分析装置(CEM Corporation, USAから入手)の天びんにより測定した。2つのガラス繊維紙(CEM Corporation, USAから入手)の質量も測定しそして記録した。次に、IEM溶液をシリンジから2層のガラス繊維紙内に堆積させた。アイオノマー溶液を含むガラス繊維紙を固体分析装置に入れ、160℃まで加熱して溶媒液体を除去した。ガラス繊維紙及び残留固形物の質量が温度及び時間の増加に対して変化しなくなったら、それを記録した。残留IEMには水が含まれていないと仮定している(つまり、0%RHに対応するアイオノマーの質量である)。その後、空になったシリンジの質量を、以前と同じ天びんを使用して測定及び記録した。溶液中のアイオノマー固形分を、次の式に従って計算した。
【0184】
【0185】
IEMの当量(EW)
以下の試験手順は、プロトンの形態(すなわち、無視できる量の他のカチオンを含む)であり、プロトン酸及び解離性塩を含む、無視できる他のイオン種を含む溶液である単一のアイオノマー樹脂又はアイオノマー樹脂の混合物を含むIEMに適している。これらの条件が満たされないならば、試験前に、当業者に知られている適切な手順に従って溶液をイオン性不純物から精製しなければならず、又は、不純物を特性化しなければならずそして、EW試験に対するその影響を補正しなければならない。
【0186】
本明細書で使用されるときに、IEMのEWは、IEMが0%RHでそのプロトン形態であり、不純物が無視できる場合を指す。IEMは、プロトン形態の単一のアイオノマー又はアイオノマーの混合物を含むことができる。0.2グラムの固形物を含む上記のように決定された固形物濃度を有する量のIEM溶液をプラスチックカップ中に注いだ。アイオノマー溶液の質量を、従来の実験室スケール(Mettler Toledo, LLC, USAから入手)により測定した。次に、5mlの脱イオン水及び5mlの200プルーフ変性エタノール(SDA 3C, Sigma Aldrich, USA)をカップ内のアイオノマー溶液に添加する。次に、55mlの2N塩化ナトリウム水溶液をIEM溶液に加えた。次に、サンプルを15分間一定の攪拌下で平衡化させた。平衡化工程の後に、サンプルを1N水酸化ナトリウム溶液で滴定した。サンプル溶液をpH値7に中和するために必要な1N水酸化ナトリウム溶液の量を記録した。IEMのEW(EWIEM)を次のように計算した。
【0187】
【数3】
複数のIEMを組み合わせて複合膜を作成したときに、複合膜内のIEMの平均EWを、次の式を使用して計算した。
【0188】
【0189】
式中、各IEMの質量分率は、すべてのIEMの合計量に対するものである。この式を、アイオノマーブレンドを含む複合膜及びアイオノマー層を含む複合膜の両方に使用した。
【0190】
固体の表面エネルギー
固体の表面エネルギーは、25℃の標準温度でASTMD7490-13に従って測定できる。
【0191】
【0192】
多孔質膜#3、多孔質ポリプロピレン、在庫管理ユニット(sku)PP022005は、米国のSterlitech Corporationから購入した。
【0193】
液体の表面張力
液体の表面張力は、ASTMD1331-14に従って標準温度25℃で測定することができる。
【0194】
【0195】
比較例1
比較例1.1~1.7は以下の手順で作成した。上記の表1に規定されているとおりの低表面張力膜基材1~7を、しわをなくすために手で歪ませた。次に、各膜を、内径2.5cm、外径3.4cm、高さ0.5cmの円筒形PVCプラスチックフレームの片側に巻き付けた。次に、プラスチックフレーム上に拘束された多孔質膜の上にゴム製O-リングを配置して、膜をフレームに固定した。次に、約72mN/mの表面張力を有する0.1mlの脱イオン水を、直径約12cmの円のパターンで7つの別々の場所でガラスシートに適用した。ポリプロピレンピペットを使用して水コーティングを行い、0.1mLの液体を液滴としてガラスシートに供給した。コーティングがまだ湿っている間に、事前にプラスチックフレームに拘束されていた低表面エネルギー多孔質膜のそれぞれを、別々の水滴の上に置き、水と膜のラミネート構造を提供した。内径2cm、外径4.5cmの22.5グラムの金属ワッシャーをPVCフレームの上部に配置し、ラミネート構造を維持した。ラミネートを直径20cm、高さ10cmのガラスビーカーで覆い、内部を周囲条件(22℃、相対湿度40%)に置いた。ガラスビーカーには、上部外側にマグネチック撹拌プレートが取り付けられ、上面内側にマグネチック撹拌バーがあり、アルミホイルが巻き付けられてプロペラを形成していた。攪拌プレートにスイッチを入れて、攪拌バーを200rpmで回転させた。この構造により、ガラスビーカー内の雰囲気の循環が可能になった。60分後に、多孔質低表面エネルギー膜基材に浸透する水液体の兆候は観察されず、多孔質膜は不透明なままであった。
【0196】
比較例2
比較例2.1~2.7を以下の手順で作成した。上記の表1に規定されているとおりの低表面張力膜基材1~7を、しわをなくすために手で歪ませた。次に、各膜を、内径2.5cm、外径3.4cm、高さ0.5cmの円筒形PVCプラスチックフレームの片側に巻き付けた。次に、プラスチックフレーム上に拘束された多孔質膜の上にゴム製のO-リングを配置して、膜をフレームに固定した。次に、表面張力が48mN/mである、90質量%の水及び10質量%のエタノールの組成を有する水-エタノール混合物の液滴を、直径が約12cmの円のパターンで7つの別々の場所でガラスシートに適用した。ポリプロピレンピペットを使用して液体コーティングを行い、0.1mLの液体をガラスシートに供給した。コーティングがまだ湿っている間に、事前にプラスチックフレームに拘束されていた低表面エネルギー多孔質膜を別々の液滴の上に置いて、液体と膜のラミネート構造を提供した。内径2cm、外径4.5cmの22.5グラムの金属ワッシャーをPVCフレームの上部に配置し、ラミネート構造を維持した。ラミネートを直径20cm、高さ10cmのガラスビーカーで覆い、内部を周囲条件(22℃、相対湿度40%)に置いた。ガラスビーカーは、上部外側にマグネチック撹拌プレートが取り付けられ、上面内側にマグネチック撹拌バーがあり、アルミホイルが巻き付けられてプロペラを形成していた。攪拌プレートのスイッチを入れて、攪拌バーを200rpmで回転させた。この構造により、ガラス容器内の雰囲気の循環が可能になった。60分後に、多孔質低表面エネルギー膜基材に水-エタノールの混合物が浸透する兆候は観察されず、多孔質の膜は不透明なままであった。
【0197】
比較例3
比較例3.1~3.7を以下の手順で作成した。上記の表1に規定されているとおりの低表面張力膜基材1~7を、しわをなくすために手で歪ませた。次に、各膜を、内径2.5cm、外径3.4cm、高さ0.5cmの円筒形PVCプラスチックフレームの片側に巻き付けた。次に、プラスチックフレーム上に拘束された多孔質膜の上にゴム製のO-リングを配置して、膜をフレームに固定した。次に、表面張力が32mN/cmで、アイオノマーがEW=810g/モル当量のIEM溶液の液滴(Asahi Glass Companyから入手、製品番号IW100-800)であって、61.6質量%の水、26.4質量%のエタノール、12質量%の固形分を含む液滴を、7つの別々の場所で直径約12cmの円のパターンでガラスシートに適用した。IEMコーティングを、ポリプロピレンピペットを使用して行い、0.1mLのIEM溶液を液滴としてガラスシート上に供給した。コーティングがまだ湿っている間に、事前にプラスチックフレームに拘束されていた低表面エネルギー多孔質膜をIEM溶液の別々の液滴の上に置き、溶液及び膜のラミネート構造を提供した。ラミネートを有するPVCフレームの上に、内径2cm、外径4.5cmの22.5グラムの金属ワッシャーを配置し、ラミネート構造を維持した。ラミネートを直径20cm、高さ10cmのガラスビーカーで覆い、内部を周囲条件(22℃、相対湿度40%)に置いた。ガラスビーカーは、上部外側にマグネチック撹拌プレートが取り付けられ、上面内側にマグネチック撹拌バーがあり、アルミホイルが巻き付けられてプロペラを形成していた。攪拌プレートのスイッチを入れて、攪拌バーを200rpmで回転させた。この構造により、ガラス容器内の雰囲気の循環が可能になった。60分後に、IEM液体が多孔質低表面エネルギー膜基材に浸透する兆候は観察されず、多孔質膜は不透明なままであった。
【0198】
比較例4
比較例4.1~4.7を以下の手順に従って作成した。上記の表1で規定されているとおりの低表面張力膜1~7は、しわをなくすために手で歪ませた。次に、各膜を、内径2.5cm、外径3.4cm、高さ0.5cmの円筒形PVCプラスチックフレームの片側に巻き付けた。次に、プラスチックフレーム上に拘束された多孔質膜の上にゴム製のO-リングを配置して、膜をフレームに固定した。次に、表面張力が29mN/mのアセトニトリル0.1mlを、直径約12cmの円のパターンで7つの別々の場所でガラスシートに適用した。アセトニトリルコーティングを、ポリプロピレンピペットを使用して行い、0.1mLの溶液を液滴としてガラスシート上に供給した。コーティングがまだ湿っている間に、事前にプラスチックフレームに拘束されていた各低表面エネルギー多孔質膜を、アセトニトリルの別々の液滴の上に配置して、アセトニトリルと膜のラミネート構造を提供した。内径2cm、外径4.5cmの22.5グラムの金属ワッシャーをPVCフレームの上部に配置し、ラミネート構造を維持した。ラミネートを直径20cm、高さ10cmのガラスビーカーで覆い、内部を周囲条件(22℃、相対湿度40%)に置いた。ガラスビーカーは、上部外側にマグネチック撹拌プレートが取り付けられ、上面内側にマグネチック撹拌バーがあり、アルミホイルが巻き付けられてプロペラを形成していた。攪拌プレートのスイッチを入れて、攪拌バーを200rpmで回転させた。この構造により、ガラスビーカー内の雰囲気の循環が可能になった。アセトニトリルは多孔質膜#3の表面エネルギーよりも低い表面張力を有するため、膜の視覚的清澄化によって証明されるように、アセトニトリルはポリプロピレン製の多孔質膜#3に自発的に浸透した。膜の視覚的清澄化は、不透明な白色の膜から半透明の湿潤化された膜への移行として表された。アセトニトリルは、PTFE製の多孔質膜#1、2及び4~7に浸透しなかった。これは、3600秒後の膜の視覚的清澄化の欠如から明らかなように、多孔質膜は不透明なままであった。
【0199】
例1
例1.1~1.7を次の手順に従って作成した。上記の表1に規定されているとおりの低表面張力膜基材1~7を、しわをなくすために歪ませた。次に、各膜を、内径2.5cm、外径3.4cm、高さ0.5cmの円筒形PVCプラスチックフレームの片側に巻き付けた。次に、プラスチックフレーム上に拘束された多孔質膜の上にゴム製のO-リングを配置して、膜をフレームに固定した。次に、90質量%の水及び10質量%のエタノールの組成を有する0.1mlの水-エタノール混合物を、直径約12cmの円のパターンで7つの別々の場所でガラスシートに適用した。水-エタノールコーティングを、ポリプロピレンピペットを使用して行い、0.1mLの液体混合物を液滴としてガラスシート上に供給した。コーティングがまだ湿っている間に、事前にプラスチックフレームに拘束されていた低表面エネルギー多孔質膜のそれぞれを、エタノール-水混合物の別々の液滴の上に置き、混合物と膜のラミネート構造を提供した。内径2cm、外径4.5cmの22.5グラムの金属ワッシャーをPVCフレームの上部に配置し、ラミネート構造を維持した。次に、室温で、高さ5cm、上部直径3cmのセラミックるつぼを、ラミネートによって規定される円の中心に配置した。実験用ティッシュペーパー(キムワイプ、キンバリークラーク)を手でくしゃくしゃにして、るつぼに入れた。次に、2,2,2-トリフルオロエタノールの1mlサンプルを、目盛り付きシリンジを介してワイプに供給した。ラミネートとるつぼを直径20cm、高さ10cmのガラスビーカーで覆い、2,2,2-トリフルオロエタノール蒸気を内部に置いた周囲条件(22℃、相対湿度40%)で放置した。ガラスビーカーは、上部外側にマグネチック撹拌プレートが取り付けられ、上面内側にマグネチック撹拌バーがあり、アルミホイルが巻き付けられてプロペラを形成していた。攪拌プレートのスイッチを入れて、攪拌バーを200rpmで回転させた。この構造により、ガラスビーカー内に2,2,2-トリフルオロエタノール蒸気を含む雰囲気を循環させることが可能になった。膜の視覚的清澄化により証明されるように、90質量%の水と10質量%のエタノールの混合物は、低表面張力流体2,2,2-トリフルオロエタノールの蒸気の助けを借りて、PTFE及びポリプロピレンから作られた多孔質膜#1~7に浸透した。膜の視覚的清澄化は、不透明な白色の膜から半透明の湿潤化された膜への移行として示された。各ラミネートのPVCフレームの内径2.5cmで規定される膜の全領域を清澄化するまでの時間を表3に示す。
【0200】
【0201】
例2
例2.1~2.7を、次の手順に従って作成した。上記の表1に規定されているとおりの低表面張力膜基材1~7を、しわをなくすために手で歪ませた。次に、各膜を、内径2.5cm、外径3.4cm、高さ0.5cmの円筒形PVCプラスチックフレームの片側に巻き付けた。次に、プラスチックフレーム上に拘束された多孔質膜の上にゴム製のO-リングを配置して、膜をフレームに固定した。次に、EW=810g/モル当量のIEM溶液の液滴(Asahi Glass Companyから入手、製品番号IW100-800)は、61.6質量%の水、26.4質量%のエタノール、12質量%の固形分を含み、それを7つの別々の場所で直径約12cmの円のパターンでガラスシートに適用した。IEM溶液のコーティングを、ポリプロピレンピペットを使用して行い、0.1mLのIEM溶液を液滴としてガラスシート上に供給した。コーティングがまだ湿っている間に、事前にプラスチックフレームに拘束されていた低表面エネルギー多孔質膜のそれぞれを、IEM溶液の別々の液滴の上に置いて、混合物及び膜のラミネート構造を提供した。内径2cm、外径4.5cmの22.5グラムの金属ワッシャーをPVCフレームの上部に配置し、ラミネート構造を維持した。次に、室温で、高さ5cm、上部直径3cmのセラミックるつぼを、ラミネートによって規定される円の中心に配置した。実験用ティッシュペーパー(キムワイプ、キンバリークラーク)を手でくしゃくしゃにして、るつぼに入れた。次に、2,2,2-トリフルオロエタノールの1mlサンプルを、目盛り付きシリンジを介してワイプに供給した。ラミネートとるつぼを直径20cm、高さ10cmのガラスビーカーで覆い、内部に2,2,2-トリフルオロエタノール蒸気を含む周囲条件(22℃、相対湿度40%)で放置した。ガラスビーカーは、上部外側にマグネチック撹拌プレートが取り付けられ、上面内側にマグネチック撹拌バーがあり、アルミホイルが巻き付けられてプロペラを形成していた。攪拌プレートのスイッチを入れて、攪拌バーを200rpmで回転させた。この構造により、ガラスビーカー内に2,2,2-トリフルオロエタノール蒸気を含む雰囲気を循環させることが可能になった。IEM溶液は、膜の視覚的清澄化によって証明されたように、低表面張力流体2,2,2-トリフルオロエタノールの蒸気の助けを借りて、PTFE及びポリプロピレンで作られた多孔質膜#1~7に浸透した。膜の視覚的清澄化は、不透明な白色の膜から半透明の湿潤化された膜への移行として示された。各ラミネートのPVCフレームの内径2.5cmで規定される膜の全領域を清澄化するまでの時間を表4に示す。
【0202】
【0203】
例3
例3.1~3.7を、次の手順に従って作成した。上記の表1に規定されているとおりの低表面張力膜基材1~7を、しわをなくすために手で歪ませた。次に、各膜を、内径2.5cm、外径3.4cm、高さ0.5cmの円筒形PVCプラスチックフレームの片側に巻き付けた。次に、プラスチックフレーム上に拘束された多孔質膜の上にゴム製のO-リングを配置して、膜をフレームに固定した。次に、90質量%の水及び10質量%のエタノールの組成を有する水-エタノール混合物の液滴を、直径約12cmの円のパターンで7つの別々の場所でガラスシートに適用した。水-エタノール混合物のコーティングを、ポリプロピレンピペットを使用して行い、0.1mLの水-エタノール混合物を液滴としてガラスシート上に供給した。コーティングがまだ湿っている間に、事前にプラスチックフレームに拘束されていた低表面エネルギー多孔質膜のそれぞれを、水とエタノールの混合物の別々の液滴の上に置き、混合物と膜のラミネート構造を提供した。内径2cm、外径4.5cmの22.5グラムの金属ワッシャーをPVCフレームの上部に配置し、ラミネート構造を維持した。次に、室温で、高さ5cm、上部直径3cmのセラミックるつぼを、ラミネートによって規定される円の中心に配置した。実験用ティッシュペーパー(キムワイプ、キンバリークラーク)を手でくしゃくしゃにして、るつぼに入れた。次に、1-ブタノールの1mlサンプルを目盛り付きシリンジを介してワイプに供給した。ラミネート及びるつぼを直径20cm、高さ10cmのガラスビーカーで覆い、内部に1-ブタノール蒸気を含む周囲条件(22℃、相対湿度40%)で放置した。ガラスビーカーは、上部外側にマグネチック撹拌プレートが取り付けられ、上面内側にマグネチック撹拌バーがあり、アルミホイルが巻き付けられてプロペラを形成していた。攪拌プレートのスイッチを入れて、攪拌バーを200rpmで回転させた。この構造により、ガラスビーカー内の1-ブタノール蒸気を含む雰囲気の循環が可能になった。膜の視覚的に清澄化によって証明されたように、水とエタノールの混合物は、低表面張力流体1-ブタノールの蒸気の助けを借りて、PTFE及びポリプロピレンで作られた多孔質膜#1~7に浸透した。膜の視覚的正澄化は、不透明な白色の膜から半透明の湿潤化された膜への移行として示された。各ラミネートのPVCフレームの内径2.5cmで規定される膜の全領域を清澄化するまでの時間を表5に示す。
【0204】
【0205】
例4
例4.1~4.7を、次の手順に従って作成した。上記の表1に規定されているとおりの低表面張力の膜基材1~7を、しわをなくすために手で歪ませた。次に、各膜を、内径2.5cm、外径3.4cm、高さ0.5cmの円筒形PVCプラスチックフレームの片側に巻き付けた。次に、プラスチックフレーム上に拘束された多孔質膜の上にゴム製のO-リングを配置して、膜をフレームに固定した。次に、EW=810g/モル当量のIEM溶液の液滴(Asahi Glass Companyから入手、製品番号IW100-800)は、61.6質量%の水、26.4質量%のエタノール、12質量%の固形分を含み、それを7つの別々の場所で直径約12cmの円のパターンでガラスシート上に適用した。IEM溶液のコーティングを、ポリプロピレンピペットを使用して行い、0.1mLのIEM溶液を液滴としてガラスシートに供給した。コーティングがまだ湿っている間に、事前にプラスチックフレームに拘束されていた低表面エネルギー多孔質膜のそれぞれを、IEM溶液の別々の液滴の上に置いて、混合物及び膜のラミネート構造を提供した。内径2cm、外径4.5cmの22.5グラムの金属ワッシャーをPVCフレームの上部に配置し、ラミネート構造を維持した。次に、室温で、高さ5cm、上部直径3cmのセラミックるつぼを、ラミネートによって規定される円の中心に配置した。実験用ティッシュペーパー(キムワイプ、キンバリークラーク)を手でくしゃくしゃにして、るつぼに入れた。次に、1-ブタノールの1mlサンプルを、目盛り付きシリンジを介してワイプに供給した。ラミネート及びるつぼを直径20cm、高さ10cmのガラスビーカーで覆い、内部に1-ブタノール蒸気を含む周囲条件(22℃、相対湿度40%)で放置した。ガラスビーカーは、上部外側にマグネチック撹拌プレートが取り付けられ、上面内側にマグネチック撹拌バーがあり、アルミホイルが巻き付けられてプロペラを形成していた。攪拌プレートのスイッチを入れて、攪拌バーを200rpmで回転させた。この構造により、ガラスビーカー内の1-ブタノール蒸気を含む雰囲気の循環が可能になった。膜の視覚的清澄化によって証明されたように、IEM溶液は、低表面張力流体1-ブタノールの蒸気の助けを借りて、PTFE及びポリプロピレンで作られた多孔質膜#1~7に浸透した。膜の視覚的清澄化は、不透明な白色の膜から半透明の湿潤化された膜への移行として示された。各ラミネートのPVCフレームの内径2.5cmで規定される膜の全領域を清澄化するまでの時間を表6に示す。
【0206】
【0207】
例5
例5.1~5.7を、次の手順に従って作成した。上記の表1に規定されているとおりの低表面張力膜基材1~7を、しわをなくすために手で歪ませた。次に、各膜を、内径2.5cm、外径3.4cm、高さ0.5cmの円筒形PVCプラスチックフレームの片側に巻き付けた。次に、プラスチックフレーム上に拘束された多孔質膜の上にゴム製のO-リングを配置して、膜をフレームに固定した。次に、90質量%の水及び10質量%のエタノールの組成を有する水-エタノール混合物の液滴を、直径約12cmの円のパターンで7つの別々の場所でガラスシート上に適用した。水-エタノール混合物のコーティングを、ポリプロピレンピペットを使用して行い、0.1mLの水-エタノール混合物を液滴としてガラスシート上に供給した。コーティングがまだ湿っている間に、事前にプラスチックフレームに拘束されていた低表面エネルギー多孔質膜のそれぞれを、水-エタノール混合物の別々の液滴の上に置き、混合物と膜のラミネート構造を提供した。内径2cm、外径4.5cmの22.5グラムの金属ワッシャーをPVCフレームの上部に配置し、ラミネート構造を維持した。次に、実験の直前にオーブンで100℃の温度に加熱した、高さ5cm、上部直径3cmのセラミックるつぼを、ラミネートによって規定される円の中心に配置した。実験用ティッシュペーパー(キムワイプ、キンバリークラーク)を手でくしゃくしゃにして、るつぼに入れた。次に、1-ブタノールの1mlサンプルを、目盛り付きシリンジを介してワイプに供給した。ラミネート及びるつぼを直径20cm、高さ10cmのガラスビーカーで覆い、内部に1-ブタノール蒸気を残した。ガラスビーカーは、上部外側にマグネチック撹拌プレートが取り付けられ、上面内側にマグネチック撹拌バーがあり、アルミホイルが巻き付けられてプロペラを形成していた。攪拌プレートのスイッチを入れて、攪拌バーを200rpmで回転させた。この構造により、ガラスビーカー内の1-ブタノール蒸気を含む雰囲気の循環が可能になった。水-エタノール混合物は、膜の視覚的清澄化によって証明されたように、低表面張力流体の1-ブタノールの蒸気の助けを借りて、PTFE及びポリプロピレンで作られた多孔質膜#1~7に浸透した。膜の視覚的清澄化は、不透明な白色の膜から半透明の湿潤化された膜への移行として示された。各ラミネートのPVCフレームの内径2.5cmで規定される膜の全領域を清澄化するまでの時間を表7に示す。
【0208】
【0209】
例6
例6.1~6.7を、次の手順に従って作成した。上記の表1に規定されているとおりの低表面張力の膜基材1~7を、しわをなくすために手で歪ませた。次に、各膜を、内径2.5cm、外径3.4cm、高さ0.5cmの円筒形PVCプラスチックフレームの片側に巻き付けた。次に、プラスチックフレーム上に拘束された多孔質膜の上にゴム製のO-リングを配置して、膜をフレームに固定した。次に、EW=810g/モル当量のIEM溶液の液滴(Asahi Glass Companyから入手、製品番号IW100-800)は、61.6質量%の水、26.4質量%のエタノール、12質量%の固形分を含み、それを7つの別々の場所で直径約12cm円のパターンでガラスシート上に適用した。IEM溶液のコーティングを、ポリプロピレンピペットを使用して行い、0.1mLのIEM溶液を液滴としてガラスシート上に供給した。コーティングがまだ湿っている間に、事前にプラスチックフレームに拘束されていた低表面エネルギー多孔質膜のそれぞれを、IEM溶液の別々の液滴の上に置き、混合物と膜のラミネート構造を提供した。内径2cm、外径4.5cmの22.5グラムの金属ワッシャーをPVCフレームの上部に配置し、ラミネート構造を維持した。次に、室温で、高さ5cm、上部直径3cmのセラミックるつぼを、ラミネートによって規定される円の中心に配置した。実験用ティッシュペーパー(キムワイプ、キンバリークラーク)を手でくしゃくしゃにして、るつぼに入れた。次に、1-ブタノールの1mlサンプルを、目盛り付きシリンジを介してワイプに供給した。ラミネート及びるつぼを直径20cm、高さ10cmのガラスビーカーで覆い、内部に酢酸エチル蒸気を含む周囲条件(22℃、相対湿度40%)で放置した。ガラスビーカーは、上部外側にマグネチック撹拌プレートが取り付けられ、上面内側にマグネチック撹拌バーがあり、アルミホイルが巻き付けられてプロペラを形成していた。攪拌プレートのスイッチを入れて、攪拌バーを200rpmで回転させた。この構造により、ガラスビーカー内の酢酸エチル蒸気を含む雰囲気の循環が可能になった。IEM溶液は、膜の視覚的清澄化によって証明されたように、低表面張力流体酢酸エチルの蒸気の助けを借りて、PTFE及びポリプロピレンで作られた多孔質膜#1~7に浸透した。膜の視覚的清澄化は、不透明な白色の膜から半透明の湿潤化された膜への移行として示された。各ラミネートのPVCフレームの内径2.5cmで規定される膜の全領域を清澄化するまでの時間を表8に示す。
【0210】
【0211】
例7
例7.1~7.7を、次の手順に従って作成した。上記の表1に規定されているとおりの低表面張力の膜基材1~7を、しわをなくすために手で歪ませた。次に、各膜を、内径2.5cm、外径3.4cm、高さ0.5cmの円筒形PVCプラスチックフレームの片側に巻き付けた。次に、プラスチックフレーム上に拘束された多孔質膜の上にゴム製のO-リングを配置して、膜をフレームに固定した。次に、EW=810g/モル当量のIEM溶液の液滴(Asahi Glass Companyから入手、製品番号IW100-800)は、61.6質量%の水、26.4質量%のエタノール、12質量%の固形分を含み、それを7つの別々の場所で直径約12cmの円のパターンでガラスシート上に適用した。IEM溶液のコーティングを、ポリプロピレンピペットを使用して行い、0.1mLのIEM溶液を液滴としてガラスシート上に供給した。コーティングがまだ湿っている間に、事前にプラスチックフレームに拘束されていた低表面エネルギー多孔質膜のそれぞれを、IEM溶液の別々の液滴の上に置いて、混合物及び膜のラミネート構造を提供した。内径2cm、外径4.5cmの22.5グラムの金属ワッシャーをPVCフレームの上部に配置し、ラミネート構造を維持した。次に、室温で、高さ5cm、上部直径3cmのセラミックるつぼを、ラミネートによって規定される円の中心に配置した。実験用ティッシュペーパー(キムワイプ、キンバリークラーク)を手でくしゃくしゃにして、るつぼに入れた。次に、ジエチルエーテルの1mlサンプルを、目盛り付きシリンジを介してワイプに供給した。ラミネート及びるつぼを直径20cm、高さ10cmのガラスビーカーで覆い、ジエチルエーテル蒸気を内部に含む周囲条件(22℃、相対湿度40%)に放置した。ガラスビーカーは、上部外側にマグネチック撹拌プレートが取り付けられ、上面内側にマグネチック撹拌バーがあり、アルミホイルが巻き付けられてプロペラを形成していた。攪拌プレートのスイッチを入れて、攪拌バーを200rpmで回転させた。この構造により、ガラスビーカー内にジエチルエーテル蒸気を含む雰囲気を循環させることが可能になった。IEM溶液は、膜の視覚的清澄化によって証明されたように、低表面張力流体ジエチルエーテルの蒸気の助けを借りて、PTFE及びポリプロピレンで作られた多孔質膜#1~7に浸透した。膜の視覚的清澄化は、不透明な白色の膜から半透明の湿潤化された膜への移行として示された。各ラミネートのPVCフレームの内径2.5cmで規定される膜の全領域を清澄化するまでの時間を表9に示す。
【0212】
【0213】
上述の比較例1~4は、PTFE及びPPなどの低表面エネルギー基材が、水及び水/エタノール又は水/エタノール/IEM混合物などの高表面張力液体で自発的に湿潤化されないことを示す。比較例4は、同等の表面張力液体であるアセトニトリルによる低表面エネルギーPP基材の自発的な湿潤化を示している。
【0214】
上述の例1~7は、2,2,2-トリフルオルエタノール、1-ブタノール、酢酸エチル及びジエチルエーテルなどの低表面張力流体を使用して、PTFE及びPPなどの低表面エネルギー基材の水/エタノール及び水/エタノール/IEM混合物などの高表面張力液体での湿潤化を促進させることを示す。
【0215】
上記の実施形態の変更、さらなる実施形態及びその変更は、本開示を読むことで当業者に明らかであり、したがって、これらは、添付の特許請求の範囲によって規定されるとおりの本発明の範囲内である。以下、本発明の態様を列挙する。
(態様1)
低表面エネルギー基材を高表面張力液体で湿潤化する方法であって、少なくとも
15~45mN/mの範囲の表面エネルギーを有する低表面エネルギー基材と、25mN/mを超えて70mN/mまでの範囲の表面張力を有する高表面張力液体と、10~25mN/mの範囲の表面張力を有する低表面張力流体とを提供する工程、
該低表面エネルギー基材を該高表面張力液体と接触させる工程、
該低表面エネルギー基材及び該高表面張力液体のうちの少なくとも1つを、該低表面エネルギー基材と該高表面張力液体との該接触前、該接触と同時又は該接触後に、蒸気としての該低表面張力流体と接触させる工程、及び
蒸気としての該低表面張力流体と接触した後に、該低表面エネルギー基材から該低表面張力流体を除去する工程
を含んでなる方法。
(態様2)
前記低表面エネルギー基材及び前記高表面張力液体のうちの少なくとも1つと、蒸気としての前記低表面張力流体との前記接触は、前記低表面エネルギー基材を前記高表面張力液体と接触させる前に、前記低表面エネルギー基材を蒸気としての前記低表面張力流体と接触させることを含む、態様1記載の方法。
(態様3)
前記低表面エネルギー基材及び前記高表面張力液体のうちの少なくとも1つと、蒸気としての前記低表面張力流体との前記接触は、前記低表面エネルギー基材を前記高表面張力液体と接触させる前に、前記高表面張力液体を蒸気としての前記低表面張力流体と接触させることを含む、態様1又は2記載の方法。
(態様4)
前記低表面エネルギー基材及び前記高表面張力液体のうちの少なくとも1つと、蒸気としての前記低表面張力流体との前記接触は、前記低表面エネルギー基材を前記高表面張力液体と接触させるのと同時に、前記低表面エネルギー基材及び前記高表面張力液体の両方を、蒸気としての前記低表面張力流体と接触させることを含む、態様1記載の方法。
(態様5)
前記低表面エネルギー基材及び前記高表面張力液体のうちの少なくとも1つと、蒸気としての前記低表面張力流体との前記接触は、前記低表面エネルギー基材を前記高表面張力液体と接触させた後に、前記低表面エネルギー基材及び前記高表面張力液体の両方を、蒸気としての前記低表面張力流体と接触させることを含む、態様1記載の方法。
(態様6)
前記低表面エネルギー基材は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン-コ-テトラフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン-コ-ヘキサフルオロプロピレン、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)を含むポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン及びポリ(パラキシリレン)を含む群から選ばれる1つ以上である、態様1~5のいずれか1項記載の方法。
(態様7)
前記高表面張力液体は、1つ以上の高表面張力液体成分を含む液体組成物である、態様1~6のいずれか1項記載の方法。
(態様8)
前記1つ以上の高表面張力液体成分は、水、ジヨードメタン、ホルムアミド、グリセロール、2,2'-チオビスエタノール、2-フランメタノール、エチレングリコール、2-アミノエタノール、1,3-ブタンジオール、プロピレングリコール、1,2,3-トリブロモプロパン、1,5-ペンタンジオール、N-メチル-2-ピロリジン、アニリン、2-アミノエタノール、ジメチルスルホキシド、プロピレンカーボネート、アントラニル酸エチルエステル、アントラニル酸メチルエステル、ベンジルアルコール、ベンジルベンゼノエート、ブロモホルム、キノリン、1,3-ジヨードメタン、ジエチレングリコール、フルフラール、ヘキサクロロブタジエン、ヨードベンゼン、m-ニトロトルエン、メチルナフタレン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ニトロベンゼン、ニトロメタン、o-ニトロトルエン、フェニルイソチオシアネート、フタル酸ジエチルエステル、ポリエチレングリコール、ピリジン、3-ピリジルカルビノール、ピロール、テトラブロモエタン、トリクレシルホスフェート、α-ブロモナフタレン、α-クロロナフタレン、1,2-ジクロロエタン、1,4-ジオキサン、二硫化炭素、クロロベンゼン、シクロヘキサノール、シクロペンタノール、デカリン、ジプロピレングリコール、ドデシルベンゼン、フマル酸ジエチルエステル、ニトロエタン、ニトロプロパン、アセトニトリル、プロパン酸、キシレン及びその異性体、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トルエン、ブチロニトリル、酢酸、クロロホルム、アクリロニトリル、2-ブトキシエタノール、テトラクロロメタン、2-ヘプタノン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、ヘキサノール又はその異性体、ヘプタノール及びその異性体、オクタノール及びその異性体、並びにイソバレロニトリルを含む群から選ばれる、態様7記載の方法。
(態様9)
前記液体組成物は、トリフルオロエタノール、ジエチルエーテル、ジメトキシメタン、四塩化ケイ素、ブチルクロリド及びその異性体、プロパノール及びその異性体、エタノール、メタノール、ブタノール及びその異性体、ペンタノール及びその異性体、アセトン、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、酢酸プロピル、メチルエチルケトン、メチルメタクリレート、酢酸メチル、アセトン、メチルクロロホルム、エタナール、プロパナール、ブタナール、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン及びペンチルアミンを含む群の1つ以上から選ばれる低表面張力液体成分を含む、態様8記載の方法。
(態様10)
前記低表面張力流体は、アルデヒド、アルコール、アミン、ケトン、エーテル、環状エーテル、エステル及び有機ハロゲン化物から選ばれる1つ以上の化合物から選ばれ、ただし、前記化合物は表面張力が10~25mN/mの範囲である、態様1~9のいずれか1項記載の方法。
(態様11)
前記低表面張力流体は、2,2,2-トリフルオロエタノール、1-ブタノール、酢酸エチル及びジエチルエーテルを含む群の1つ以上から選ばれる、態様1~10のいずれか1項記載の方法。
(態様12)
前記湿潤化する方法は、コーティング材料を含む前記高表面張力液体で前記低表面エネルギー基材をコーティングする方法であって、少なくとも
低表面エネルギー基材、低表面張力流体、及び、コーティング材料を含む高表面張力液体を提供する工程、
前記低表面エネルギー基材を、前記コーティング材料を含む前記高表面張力液体と接触させる工程、
前記低表面エネルギー基材と、前記コーティング材料を含む前記高表面張力液体のうちの少なくとも1つを、前記低表面エネルギー基材と、前記コーティング材料を含む前記高表面張力液体との該接触前、該接触と同時又は該接触後に、蒸気としての前記低表面張力流体と接触させる工程、及び
前記低表面エネルギー基材から前記低表面張力流体を除去する工程
を含んでなる、態様1~11のいずれか1項記載の方法。
(態様13)
前記低表面エネルギー基材から前記高表面張力液体を除去して、前記コーティング材料でコーティングされた低表面エネルギー基材を提供する工程をさらに含む、態様12記載の方法。
(態様14)
前記低表面エネルギー基材は多孔質ePTFE膜であり、かつ、前記コーティング材料は、スルホン化ペルフルオロビニルエーテル基を含むテトラフルオロエチレン系ポリマーなどのイオン交換材料である、態様12又は13記載の方法。
(態様15)
低表面エネルギー基材を高表面エネルギー液体で湿潤化するためのシステムであって、
15~45mN/mの範囲の表面エネルギーを有する低表面エネルギー基材を、25mN/mを超えて70mN/mまでの範囲の表面張力を有する高表面張力液体に接触するための、該高表面張力液体を含む高表面張力液体アプリケータ、
該低表面エネルギー基材と該高表面張力液体との該接触前、該接触と同時又は該接触後に、該低表面エネルギー基材及び該高表面張力液体のうちの少なくとも1つを、10~25mN/mの範囲の表面張力を有する低表面張力流体の蒸気と接触させるための、該低表面張力流体を含む低表面張力流体蒸気アプリケータ、及び
該低表面張力流体との接触後に、該低表面張力流体を該低表面エネルギー基材から分離するためのセパレータ、
を含んでなるシステム。
(態様16)
前記セパレータは、前記高表面張力流体を前記低表面エネルギー基材からさらに分離させる、態様15記載のシステム。
(態様17)
前記高表面張力液体アプリケータは、
前記高表面張力液体を含むリリースライナーであって、前記高表面張力液体を可逆的に吸収することができるリリースライナー、及び
前記低表面エネルギー基材を、前記高表面張力液体を含む前記リリースライナーと接触させるための接触器
を含む、態様15又は16記載のシステム。
(態様18)
前記高表面張力液体は、前記低表面エネルギー基材上に堆積されるべきコーティング材料を含む、態様15~17のいずれか1項記載のシステム。