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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】アセット追跡装置及びアセット
(51)【国際特許分類】
   B65G 61/00 20060101AFI20240307BHJP
【FI】
B65G61/00 510
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023117062
(22)【出願日】2023-07-18
(62)【分割の表示】P 2021547889の分割
【原出願日】2019-10-18
(65)【公開番号】P2023156305
(43)【公開日】2023-10-24
【審査請求日】2023-07-18
(31)【優先権主張番号】18202422.4
(32)【優先日】2018-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】クンスマン サシャ
(72)【発明者】
【氏名】バッハマイヤー マティアス
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-324067(JP,A)
【文献】特開2005-286809(JP,A)
【文献】特開2016-110358(JP,A)
【文献】特開2006-341979(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 61/00
G06Q 10/00-10/30
H04W 4/029
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の種類の輸送による輸送が開始されたかどうかを判定するためのアセット追跡装置であって、
当該アセット追跡装置が受ける加速度を測定するように構成された加速度センサと、
前記加速度センサにより測定されたデータを分析するように構成されたコントローラと、
送信器と、
を含み、
前記コントローラは、前記加速度センサにより測定されたデータから、当該アセット追跡装置が前記所定の種類の輸送により輸送されているかどうかを判定するように構成され、
前記コントローラが前記加速度センサにより測定されたデータから当該アセット追跡装置が前記所定の種類の輸送により輸送されていると判定した場合に、前記コントローラは、前記所定の種類の輸送による当該アセット追跡装置の輸送が開始されたとの信号を前記送信器に送信させるように構成され、
前記加速度センサは3軸加速度検知を行うように構成され、
前記コントローラは、前記加速度センサの3軸検知データに基づいて前記アセット追跡装置が前記所定の種類の輸送により輸送されているかどうかを判定するように構成され、
前記加速度センサ又は前記コントローラは、所定の期間の3軸に沿った前記検知された加速度の符号変化をカウントするように構成され、
前記コントローラは、前記加速度センサによって測定された3軸に沿った前記検知された加速度のカウントされた符号変化から、当該アセット追跡装置が前記所定の種類の輸送により輸送されているかどうかを判定するように構成され、
当該アセット追跡装置はアセットに取り付けられるように構成され、
前記所定の種類の輸送の少なくとも特徴が記憶された記憶ユニットをさらに含み、
前記コントローラは、前記加速度センサによって測定されたデータを、前記所定の種類の輸送の記憶された特徴と比較することにより、前記アセット追跡装置が前記所定の種類の輸送により輸送されているかどうかを判定するように構成されている、アセット追跡装置。
【請求項2】
前記所定の種類の輸送の特徴は、前記所定の種類の輸送のサスペンション共振周波数、前記所定の種類の輸送の走行ベクトル、前記所定の種類の輸送の典型的な速度、前記所定の種類の輸送の典型的な走行距離の少なくとも1つの測定表現を含む、請求項1に記載のアセット追跡装置。
【請求項3】
前記コントローラは、前記加速度センサによって測定されたデータから、前記アセット追跡装置が前記所定の種類の輸送により輸送されていると前記コントローラが判定した場合にのみ、前記送信器からの信号の送信を許可するように構成されている、請求項1乃至2のいずれか一項に記載のアセット追跡装置。
【請求項4】
前記アセット追跡装置は、前記所定の種類の輸送又は走行速度、走行距離又はモーションパターン等のその分析成分を特定するためにGPS機能又はジャイロスコープ機能を必要としない、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のアセット追跡装置。
【請求項5】
前記所定の種類の輸送による前記アセット追跡装置の輸送が開始されたとの信号は新たな地理的位置を含まず、
前記コントローラは、前記判定時に直ちに前記送信器に前記信号を送信させるように構成されているのではなく、前記アセットの追跡の現在の動きの次の停止が検出された場合にのみ前記送信器に前記信号を送信させるように構成されている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のアセット追跡装置。
【請求項6】
前記コントローラは、所定の最小動作要件が満たされているかどうかを判定するために、前記加速度センサによって測定されたデータを分析するように構成され、
前記所定の最小動作要件は少なくとも、前記アセット追跡装置が少なくとも所定の最小距離初期位置から動かされていることを必要とし且つ前記アセット追跡装置が前記初期位置から離れてから動かされた速度が所定の最低速度を超えていることを必要とし、
前記コントローラは、前記所定の最小動作要件が満たされている場合にのみ、前記送信器に前記アセット追跡装置の新たな地理的位置を表すデータを送信させるように構成されている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のアセット追跡装置。
【請求項7】
前記コントローラは、前記アセット追跡装置が前記所定の種類の輸送により輸送されていると判定した際に停止感知モードに切り替わるように構成され、
前記コントローラは、前記停止感知モードにおいて、前記アセット追跡装置の停止が前記加速度センサによって所定の期間以上測定されているかどうかを検出するように構成されている、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のアセット追跡装置。
【請求項8】
前記アセット追跡装置は、前記加速度センサによって測定されたデータを該データが前記コントローラによって分析される前に前処理するように構成され、
前記加速度センサによって測定されたデータを前処理することは、前記加速度センサによって検出されたデータのうちの、トローリーによって引き起こされたことを示さない部分を補償及び/又は除去することを含む、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のアセット追跡装置。
【請求項9】
前記加速度センサによって測定されたデータを前処理することは、前記アセット追跡装置を移動する車両の衝撃又はブレーキ力に関するデータをフィルタリングすることと、道路の凹凸により生じる力に関するデータをフィルタリングすることと、重力に関するデータをフィルタリングすることのうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項8に記載のアセット追跡装置。
【請求項10】
前記送信器は、前記所定の種類の輸送による前記アセット追跡装置の輸送が開始されたとの信号を、LPWANにおける無線周波数通信により外部装置に送信するように構成されている、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のアセット追跡装置。
【請求項11】
前記アセット追跡装置を取り囲むWiFiホットスポットのアドレスを受信するように構成されたWiFiモジュールをさらに含み、
前記コントローラは、受信したWiFiアドレスを前記アセット追跡装置の新たな地理的位置を表すデータとして前記送信器に送信させるように構成されている、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のアセット追跡装置。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか一項に記載のアセット追跡装置が取り付けられたアセットであって、当該アセットはコンテナ若しくは荷物キャリア又はトローリーである、アセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は低コストアセットの追跡に関する。具体的には、本発明は、アセット追跡装置、アセット、好ましくはアセット追跡装置を備えたコンテナ又は荷物キャリア及びアセット追跡装置の新たな地理的位置を表すデータを送信する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日まで、とりわけ陸、空、海の物流に加えて生産物流において、個々の低コストで、典型的に非動力のアセットの大半を動的に追跡することは、極めて高価な投資及び運営費により可能ではなかった。アセット位置追跡の真のブレークスルーは依然実現されていない。これらの高い投資の一部は、リーダ/レシーバインフラの側にある。これには、RFIDリーダ、近距離通信端末装置若しくは長距離通信ゲートウェイ又は月々の高価なプロバイダ/セルローミング又は国際ローミングコストを伴う基地局を伴う。装置側では、エンドユーザ装置/ゲートウェイへの短距離ペアリングの試みは、アセットが非常に大量の場合には非経済的な試みであり、連続的な動作検知及びリアルタイムデータ通信は、手頃で小さな統合サイズのエネルギー源の使用の妨げとなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そのため、改良されたアセットの追跡を提供することにニーズがあり得る。
【0004】
本発明の目的は、独立請求項の主題によって解決される。本発明のさらなる実施形態及び利点は、従属請求項に組み込まれる。
【0005】
説明する実施形態は同様に、アセット追跡装置、アセット追跡装置を備えたアセット及びアセット追跡装置が所定の種類の輸送手段によって輸送されているかどうかを判定する方法に関連する。詳細には説明していないかもしれないが、実施形態の異なる組み合わせから相乗効果が生じ得る。
【0006】
専門用語は常識的に用いられている。特定の意味が特定の用語に与えられている場合、用語の定義は、その用語が用いられている文脈で以下に示される。とりわけ、アセットは、コンテナ、荷物キャリア、箱又はトローリー(Trolley)として理解され得る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、所定の種類の輸送手段による輸送が開始されたかどうかを判定するためのアセット追跡装置が提供される。この装置は、アセット追跡装置が受ける加速度を測定するための加速度センサと、加速度センサにより測定されたデータを分析するように構成されたコントローラと、送信器とを含む。コントローラは、加速度センサにより測定されたデータから、アセット追跡装置が所定の種類の輸送手段により輸送されているかどうかを判定するように構成され、コントローラが加速度センサにより測定されたデータからアセット追跡装置が所定の種類の輸送手段により輸送されていると判定した場合に、コントローラは、所定の種類の輸送手段によるアセット追跡装置の輸送が開始されたとの信号を送信器に送信させるように構成されている。
【0008】
このアセット追跡装置(以下「トラッカ」ともいう)の有益な結果の1つは、ユーザが「有効な移転」であると考える所定の種類の輸送手段によってアセットが明確に移動している場合にのみ送信/通信されるメッセージが最小限であるため、装置の寿命がそのエネルギー容量に基づいて最大になる点である。そのため、ユーザはどのような種類の輸送手段が前記信号の放射/送信をトリガすべきかを予め選択、すなわち、予め決定できる。どの種類の輸送種類が「有効な移転」を示すかを提供されるトラッカのコントローラにおいて定義することにより、ユーザは前記の種類の輸送手段がこのトラッカを現在輸送していると検出された場合にのみ信号を送信するようにトラッカを個別に設計することができる。これについては、後でより詳細に説明する。
【0009】
トラッカは輸送手段の種類の判定をさらなるデータ又はエネルギーのためにトラッカの外部に又は任意の他の装置又はネットワークにアクセスすることなく決定することができるように、例えばトラック又はフォークリフト等の輸送手段の種類のための特徴である加速度データをトラッカ内に記憶できる。
【0010】
本発明の文脈において、「アセット追跡」とは、物理的なアセット、例えば、物品、製品、機器等が車両を通じて目的地AからBに、例えば、いくつかの異なる物流センターを介して輸送される、例えば物流コンテナ等の物流オブジェクト等の物理的オブジェクトを追跡する方法を意味する。そのような文脈では、物流コンテナを同一の物流センター内でストックXからストックYに移動させる等のミクロな移動(及び対応する場所の変更)は多くの場合関心の対象とならない。アセット/オブジェクトを移動させる必要がある大きな距離を必要とし、アセット/オブジェクトの移動の大きな速度を必要とする大幅な移動のみが時折関心の対象となり得る。
【0011】
なお、本発明の文脈における「追跡」とは、必ずしもアセット/オブジェクトの連続した地理上の流れを記録することではないことを理解すべきである。とりわけ、一部の実施形態ではこれが該当し得るものの本発明の必要な特徴ではない。むしろ、「追跡」とは、本発明が、アセット追跡装置が所定の種類の輸送手段により輸送されるかどうかを、すなわち「有効な移転」を判定することを促進及び可能にするようなものと理解すべきである。これは、例えば、トラック等の車両が、本発明に係るアセット追跡装置が取り付けられた物流コンテナを物流センターAから物流センターBに輸送した場合は該当し得るが、例えば、フォークリフトによってコンテナがビルCからDに運ばれる場合は該当しない。
【0012】
なお、本発明の文脈では、「送信器」及び「送信する」という用語は、少なくとも「発信機(sender)」及び「信号を送信すること(sending signals)」をそれぞれ含むと理解すべきである。しかしながら、これらの用語は、信号及び/又は情報を送信/発信及び受信可能な送受信機も含み得る。さらに、以下において、「送信する」とはアセット追跡装置の外部エンティティに信号/情報を送信することを意味と理解すべきである。
【0013】
さらに、アセット追跡装置が所定の種類の輸送手段により輸送されるかどうかを判定するためのコントローラの構成とは、コントローラはその対応する加速度データの分析の間に又は後でこれを検出できることを意味する。
【0014】
「コントローラ」という用語は、集積回路上の小さなコンピュータとして通常理解されるマイクロコントローラ/マイクロコントローラユニットを含むべきである。現代の用語では、これは、精巧度では劣るものの、システムオンチップ(SoC)と同様である。SoCはマイクロコントローラをその構成要素の1つとして含み得る。マイクロコントローラは、メモリ及びプログラマブル入出力周辺機器と共に、1つ以上のCPUをプロセッサコアとして含み得る。強誘電体RAM、NORフラッシュ又はOTP ROMの形態のプログラムメモリに加えて少量のRAMもしばしばチップ上に含まれる。
【0015】
本明細書で提案されるアセット追跡装置は、動き自体の有効性を判断するため、加速度センサが「動き又は動きがないこと」を示した場合に、メッセージを送信するトリガとしてそれを単に所定の間隔で送信するか又は単に決定する既知のトラッカとは大きく異なる。本明細書で提案されるアセット追跡装置は自身の位置を知る必要がなく、好ましくは自身の位置を知らない。何故なら、本発明者らは、自給可能な装置により取り扱われる通信タイミングと、好ましくはクラウドでなされ得るジオローカリゼーションとを厳格に分離することの利点を見出したからである。本発明者らは、先行技術に記載されているように、車両のハイジャック又は盗難が起こり得る状況でGPSロケーションの更新の頻度を変更するために、走行速度及び走行方向を比較及び判定するだけでなく、「サーバにより予期されているもの」からの偏差を特定することが好ましいことを見出した。
【0016】
これとは対照的に、本発明は、アセット追跡装置及び追跡装置が取り付けられた対応するアセットを現在輸送する所定の種類の輸送手段が、ユーザにとって「有効な移転」を示す輸送手段のタイプ又は種類のものであるかどうか判定することを教示する。これは、アセット追跡装置内の加速度センサが測定するデータに基づいて純粋に行われる。そのため、本発明の装置は、本発明のいくつかの実施形態の文脈で以下でより詳細に説明するようにそれ自体の位置を知る必要がない。
【0017】
すなわち、本明細書に記載のアセット追跡装置は、トラッカの動きがアセットの有効な移転として判断されているかどうかを判断する。例えば、測定された加速度データから導出可能な「輸送の手段」の測定された加速度データのモーションプロファイルがユーザの移動の定義を満たす場合に、例えばモーションパターンについて判定する。通常、長距離アセットは、ある工場から別の工場に又はある物流倉庫から別の倉庫に何キロも移動する。しかしながら、出願人の顧客は、自身のアセット、すなわちトローリー、箱、荷物キャリアの流れを制御し、必要な場所に十分な量のアセットが常に利用できるようにすることを確実にするためにそれらがどこにあるか理解したいと考えている。しかしながら、例えば移動が実際に行われない場合に新たな位置情報に価値を何ら提供しない通信は、例えばLPWA(low-power wide-area)ネットワークの接続性のために顧客にコストを生じさせ、バッテリからの電流消費に起因して装置の寿命を縮める。そのため、輸送の手段の効果的な適格性の確認は、バッテリのサイズ/容量/コストの低減に本質的に寄与するため、非動力アセットに大量のトラッカの設置することを可能にすることに寄与する。
【0018】
このような理由から、本発明者らは、アセットが、例えば同じ物流センター内でホールの一方側から他方側に手で動かされる場合に更新された位置情報を受信することは好ましくないが、一部の顧客は、ある工場ホールから別のホールにフォークリフトにより動かされることは有効なアセットの移転と考えるが、他の顧客はそのように考えないことを見出した。本発明者らは、トラッカが、例えば手により又は例えばフォークリフトにより、電車又は台車により、トラック又はその他の輸送の手段によりそれが動かされていることを理解することが重要であることを見出した。何故なら、本発明のユーザは、自身が何を有効な移転と考えるかを有利に定義することができるからである。そのため、モーションパターンがアセット追跡装置に記憶され、コントローラはそれを測定された加速度データとの比較に用いり得る。一実施形態において、例えば、車両のサスペンション共振周波数、走行ベクトル及び速度並びに車両に関連する走行距離等のこれらの異なる輸送手段の特性を以下でより詳細に説明する。
【0019】
例示の実施形態によれば、移動が有効な移転かどうかの判断は、位置更新メッセージをトリガしない。例示の実施形態によれば、有効な移転が開始されたことをクラウドに単に通知し得る。さらに好ましい実施形態では、このメッセージは車両が運転中ではなく停止したときに通信される。
【0020】
一実施形態では、追跡装置は、位置、走行速度又は方向を得るためにGPS受信機を使用しなくてもよい。移転の有効性に関する全ての判断は、アセット追跡装置で用いられる単純な3軸加速度計からの測定データに基づき得る。
【0021】
送信器により送信される、所定の種類の輸送手段によるアセット追跡装置の輸送が開始された旨の信号は異なるフォーマットを有し得る。いずれの場合も、信号は、予め定義された、すなわち、事前にプログラムされたタイプ/種類の輸送手段がアセット及びそれに取り付けられたトラッカの輸送を開始したとコントローラが特定したことを受信者に示す。好ましい実施形態では、この信号は現在の輸送の次の停止時にのみトラッカにより送出される。以下で詳細に説明するように、この信号を送信する好ましい方法はSigfoxを用いることである。
【0022】
前述の説明から明らかなように、本発明は、パッシブRFIDタグとは異なり、車両追跡とも異なる。
【0023】
好ましい実施形態では、「所定の種類の輸送手段」は、ユーザによる手動輸送(すなわち、手)、フォークリフト、汽車、好ましくは電車、台車、トラック、自動車、自転車、ドローン又はコンテナ、荷物キャリア若しくは箱等のアセットを輸送する輸送手段として当業者に典型的に理解されるその他の手段による手動輸送を含む群から選択され得る。
【0024】
本発明は、所有の総費用の各側面における足かせを閉じることにより(closing the chain)、大量のアセット追跡タスクに必要な極めて高レベルの投資を克服することを有利に可能にする。アセット追跡装置は「消失可能な装置(disappearable device)」として実施してもよく、これは、アセット追跡装置が、装置から最大で100km離れ得るか又は衛星上にあることもある基地局と直接通信するゲートウェイ、エンドユーザ装置とのペアリングを何ら必要とすることなく、ローカルインフラを低コストの追跡装置に抑えることにより、インフラ投資の全体的なコスト及び運用コストを最小限に抑えることを記述する。そのような「消失可能な装置」は、検知及びデバイス通信を絶対的に最小限に抑えるスマートミドルウェアに重点を置き得る。「消失可能な装置」は、Sigfox等のグローバルな低スループットネットワークへの長距離通信を用いてもよく、装置自身を何ら動的にモニタリングすることなしに、アセットに装置を統合/組み立てる際に1つの一意なIDでこのネットワークに登録する。これについては以下でより詳細に説明する。そのため、装置は、それを管理する必要のないユーザから「消える」ように構成することができるため、装置を廃棄でき、大量の装置の投入を可能にする。
【0025】
そのため、一実施形態では、装置は、モーションパターン認識と共に低スループットネットワークを用いることにより寿命が延ばされた「消失可能なアセット追跡装置」として構成される。
【0026】
例示の実施形態によれば、送信器によって送信される信号は、所定の種類の輸送手段による現在の輸送が開始されたことを示す。好ましい実施形態では、この情報のみが信号に含まれる。
【0027】
別の例示の実施形態によれば、加速度センサは3軸加速度検知を行うように構成されている。コントローラは、アセット追跡装置が所定の種類の輸送手段により輸送されるかどうかを、加速度センサの3軸検知データのみに基づいて判定するように構成されている。
【0028】
即ち、このセンサにより生成される加速度データはデータポイントごとの3つの空間座標X、Y、ZのX値、Y値、Z値を含む。すなわち、(装置のハードウェアコストを低減するために)単純な3軸加速度検知のみに基づく強化された動的信号処理アルゴリズムが提示される。
【0029】
これは、物流プロセスの主な特徴を管理する状態マシンに組み込むことができる。
【0030】
本発明者らは驚くべきことに、加速度センサの3軸検知データを用いるだけで、アセット追跡装置が所定の種類の輸送手段によって現在輸送されているかどうかを特定ができることを見出した。これは、3軸加速度センサは比較的安価で、寿命が長く高い信頼性を有するため、有益な解決策を提供する。別の実施形態の文脈でより詳細に説明するように、本発明者らは、そのような3軸加速度センサのデータを用いる新規の計算方法を見出した。
【0031】
センサ情報は、監視すべき装置の少なくとも1点での完全な並進加速状態への結論を可能にすべきである。3次元加速度センサは低電力消費のためにバーストサンプリングモードを提供し得るが、この種の用途のために高周波数分解能力を提供し得る。
【0032】
別の例示の実施形態によれば、加速度センサ又はコントローラは、所定の期間に3軸の全てに沿って検知した加速度の符号変化をカウントするように構成され、コントローラは、加速度センサによって測定された3軸の全てに沿って検知された加速度のカウントされた符号変化から、アセット追跡装置が所定の種類の輸送手段によって輸送されているかどうか判定するように構成されている。
【0033】
加速度センサによって測定された加速度の符号変化のカウント又は検出は、疑似周波数検出として理解できる。複雑でエネルギーを消費する高速フーリエ変換(FFT)を行う代わりに、本発明者らは、所定の期間に3軸の全て又は一部に沿って感知された加速度の符号変化(Change of Sign (COS))を(正から負に及びその逆に)カウントすることにより、トラッカ内で輸送手段の種類を特定することが可能な非常に信頼性の高いデータセットが得られることを見出した。そのため、トラッカ(及びそれが取り付けられているアセット)を所定の種類の輸送手段が現在輸送しているかどうかトラッカ内のコントローラが判定できる。例えば、輸送手段の種類等のための特徴であるモーションパターン又は加速度データのような比較データはトラッカに記憶してもよく、トラッカはそれを用いてデータセットを比較し得る。そして、実際に測定された加速度データと、輸送手段の種類の特徴である前記モーションパターン又は記憶された加速度データとの比較が、この個別のトラッカ及び対応するアセットのために現在用いられている輸送手段の種類/タイプを特定するためにコントローラにより行われ得る。これについては、詳細な実施形態の文脈で以下でより詳細に説明する。
【0034】
別の例示の実施形態によれば、アセット追跡装置は、所定の種類の輸送手段の少なくとも特徴が記憶された記憶装置をさらに含む。さらに、コントローラは、加速度センサによって測定されたデータを所定の種類の輸送手段の記憶された特徴と比較することにより、アセット追跡装置が所定の輸送手段によって輸送されているかどうかを判定するように構成されている。
【0035】
特徴は、アセット追跡装置に記憶された1つ以上のモーションパターンとして理解され、コントローラは測定された加速度データとの比較のためにそれを用いり得る。すなわち、トラック又はフォークリフト等の輸送手段の種類の特徴である加速データがトラッカ内に記憶され、トラッカはデータ又はエネルギーのためにトラッカの外部又は任意の装置若しくはネットワークにアクセスすることなく、輸送手段の種類を判定することができる。
【0036】
別の例示の実施形態によれば、所定の種類の輸送手段の特徴は、所定の種類の輸送手段のサスペンション共振周波数、所定の種類の輸送手段の走行ベクトル、所定の種類の輸送手段の典型的な速度、所定の種類の輸送手段の典型的な走行距離のための測定/パラメータ特徴のうちの少なくとも1つを含む。
【0037】
なお、COSは、車両のサスペンションをおおよそ表すが、厳密なサスペンション共振周波数ではない周波数を特定する簡略化された方法である。
【0038】
そのため、トラッカは、測定された加速度データと所定の種類の輸送手段の特徴との比較に基づいて、所定の輸送手段、例えばトラックがアセット及びそれに取り付けられたトラッカを現在輸送しているかどうか又はフォークリフトによる輸送のみが現在行われているかを判定できる。例示のシナリオでは、トラックによる輸送のみが所定の種類の輸送手段による輸送とみなされるように、コントローラがユーザよってプログラムされるため、フォークリフトによる輸送が特定された場合は有効な移転とはみなされない。そのため、「トラック輸送」が検出された場合にのみ、送信器は有効な移転が開始されたことを示す信号を送信させられる。
【0039】
この理由から、本発明者らは、トラッカが例えば手により又は例えばフォークリフトにより、電車若しくは台車により、トラック又は任意の他の輸送手段により動かされていることを理解することが重要であることを見出した。何故なら、本発明のユーザは、自身が有効な移転と考えるものを有利に定義することができるからである。そのため、モーションパターンがアセット追跡装置に記憶され、コントローラは測定された加速度データとの比較のためにそれを使用し得る。
【0040】
別の例示の実施形態によれば、アセット追跡装置が所定の種類の輸送手段によって輸送されていると加速センサによって測定されたデータからコントローラが判定した場合にのみ、コントローラはエミッタからの信号の送信を可能にするように構成されている。
【0041】
いかなる値も提供しない(有効な移転が行われない場合の)トラッカの通信は、LPWAネットワーク等の使用するネットワークの接続性のためにユーザにコストを生じさせ、バッテリからの電流消費に起因して装置の寿命を短くする。そのため、本実施形態は、単一の決定基準、すなわち、所定の種類の輸送手段が現在用いられているかどうかで送信器の送信の開始/許可されることを確実にする。それ以外の場合には、トラッカは、他の信号送信を抑制するか又は単純に行わない。本実施形態の有益な結果の1つは、アセットが明確に移転された場合にのみメッセージが最小限度で送信/通信されることに起因するそのエネルギー容量に基づき装置の寿命が最大になることである。
【0042】
別の例示の実施形態によれば、アセット追跡装置は、輸送手段の判定をサポートするためにGPS機能又はジャイロスコープ機能を何ら有さない。
【0043】
本発明者らは、先行技術に記載されているように、車両のハイジャック又は盗難が起こり得る状況でGPSロケーションの更新の頻度を変更するため「サーバにより予期されているもの」からの偏差を特定するために走行速度及び走行方向を比較及び判定しないことが好ましいことを見出した。これとは対照的に、本発明は、アセット追跡装置及び追跡装置が取り付けられた対応するアセットを現在輸送する所定の種類の輸送手段が、ユーザにとって「有効な移転」を示す輸送手段のタイプ又は種類のものであるかどうか判定することを教示する。
【0044】
別の例示の実施形態によれば、アセット追跡装置は、輸送手段又は走行速度、走行距離又はモーションパターン等のその分析成分を特定するためにGPS機能又はジャイロスコープ機能を必要としない。
【0045】
別の例示の実施形態によれば、所定の種類の輸送手段によるアセット追跡装置の輸送が開始されたとの信号は新たな地理的位置を含まない。さらに、コントローラは、即座にではなく、すなわち判定時に送信器に前記信号を送信させるのではなく、アセット追跡の現在の動きの次の停止が検出されたときにのみに送信器に前記信号を送信させるように構成されている。
【0046】
すなわち、提示のトラッカは現在の輸送の次の停止が検出されるまで信号送信を待つ。停止が検出された後で初めて信号が送出される。このような停止の間の最短時間を定義する閾値が使用され得る。
【0047】
別の例示の実施形態によれば、コントローラは、所定の最小動作要件が満たされたかどうかを判断するために、加速度センサによって測定されたデータを追加で分析するように構成されている。所定の最小動作要件は、アセット追跡装置が少なくとも所定の最小距離初期位置から動かされたことを少なくとも必要として、アセット追跡装置が初期位置から離れてから動かされる速度が、所定の輸送手段に典型的な所定の最低速度を超えることを必要とする。さらに、コントローラは、所定の最小動作要件が満たされた場合にのみ、アセット追跡装置の新たな地理的位置を表すデータを送信器に送信させるように構成されている。
【0048】
所定の最小動作要件は、アセット追跡装置、ひいては対応するアセットの実質的な又は有意な移転を示すため、本実施形態のアセット追跡装置はこの追加条件を用いて関係のないローカル位置の変化、例えば同一の物流センター内又は倉庫若しくは生産ホール内等での小さな位置の変化と、この条件を満たすため、この実施形態にとって「有効な移転」である位置の変化とを区別することができる。所望により、この実施形態で新たな位置データを送信してもよい。
【0049】
本明細書に記載の「所定の最小動作要件」は、本実施形態が用いられる用途に応じて様々な異なる方法で実施され得る。このようなパラメータは、例えばコントローラの状態マシンにハードコードできるか又は例えばダウンリンクにより更新されたパラメータを受信するためにネットワークからアセット追跡装置によってポーリングすることができる。もちろん、他の実施も可能である。
【0050】
本実施形態の有益な結果の1つは、アセットが明確に移転された場合にのみメッセージが最小限度で送信/通信されることに起因するそのエネルギー容量に基づき装置の寿命が最大になることである。一実施形態では、アセットがその位置を変えていない場合、定義された間隔で、例えば1日1回又は月1回サインオブライフメッセージだけを報告できる。
【0051】
「所定の最低速度」は好ましくは装置内に、例えばコントローラ内又は記憶ユニット内に記憶されるが、装置の外部のどこかに記憶されてもよい速度値として理解され得る。「所定の最短距離」についても同様である。
【0052】
さらに、アセット追跡装置は、本明細書でより詳細に説明するように、装置の状態を継続的にではあるが極めて省エネルギー的に監視するスマートミドルウェアを含み得る。所定の最小動作要件が満たされる意味で「何か」を報告する必要がある場合にのみ、ネットワークに報告され得る。特定の実施形態では、「有効な移転」の開始が(所定の最小動作要件に基づいて)コントローラによって判定されるだけでなく、アセットによって、ひいてはアセット追跡装置によって新たな位置に到達されるという追加要件を満たさなければならない。すなわち、検出/判定された「有効な移転」が完了したという追加要件が満たされなければならない。この実施形態では、アセット及び対応するアセット追跡装置の地理的位置を記述する新たな位置データは、前述したように双方の要件が満たされた場合にのみ送信器によって送信される。なお、本明細書で用いる「地理的位置」という用語は「地理上の位置」という用語と同義的に且つ互換的に用いられる。
【0053】
陸上、空、海上の物流に加えて生産物流におけるアセットは移動の異なるフェーズ及び停止又は休止を有する。装置の検知及び通信を絶対的最小限に抑えることができるようにするために、装置は、好ましくはGPS等の高価な絶対位置センサを除去することにより、最小限の検知及び処理の努力で自身がどのフェーズにあるかを理解できることが好ましい。これについては、特定の実施形態の文脈で以下でより詳細に説明する。典型的に、これらのアセットの取り扱いには手動操作及び仕分け、トローリーやコンテナ、コンベヤベルト、電動リフト又は電動機、フォークリフト、工場列車、空気圧送、二輪車及び三輪車、オートバイ、2つ以上の車軸を有する電気又は燃焼エンジン駆動車両、船舶、航空機、ヘリコプタ、無人機等による移動を含む。
【0054】
本発明の特定の実施形態を記述する他のパラメータは、取り扱いの各フェーズのベースフロアノイズ及び閾値レベル、アセットの移動及び停止の最小/最大継続時間を含み得る。
【0055】
当業者に理解されるように、バッテリ寿命をセーブするために検知が低減されるほど、道路の荒れ、コーナリング力、輸送手段の振動等の検知に対する他の影響により取り扱い速度及び移転距離の推定がより不正確になる。
【0056】
一実施形態によれば、通信伝達又は追加の無線動作の他の手段は装置の電力消費を増大させない。装置は、アセットの状態及び動きを継続的に監視し得るが、アセットが移動している間に追跡を報告しないことにより、必要なエネルギー容量を減少させることに加えて、位置変更が明確に完了した場合にのみ位置を報告して電流の消費を節約する。これは、何も新たに報告すべきものがない場合に固定された間隔で設定されたメッセージのためのバッテリ消費という今日のソリューションの根本的な障害の克服を可能にする。
【0057】
この任意のセンサデータに加えて、温度、地磁気方向、湿度、光強度、電流消費、移転の開始時間、スイッチのプッシュ/リリースイベント、改ざん防止アラーム、落下検出、バッテリ状態、加速度、磁束、音響信号、圧力及び他の信号を送信できる。
【0058】
本発明の例示の実施形態によれば、所定の最小距離は1km、2km又は5kmであり、所定の最低速度は20km/h、40km/h又は50km/hである。
【0059】
これらの値は、提示のアセット追跡装置が、例えば、場所AからBに例えばトローリー等の車両によってオブジェクトが輸送される物流サービスの文脈で用いられる場合にとりわけ好適である。一例としては、コンテナ及びトローリーによる物流オブジェクトの輸送が挙げられる。
【0060】
本発明の例示の実施形態によれば、コントローラは、アセット追跡装置が所定の種類の輸送手段により輸送されると判定した際に停止感知モードに切り替えるように構成されている。さらに、コントローラは、加速センサによってアセット追跡装置の停止が所定の期間よりも長く測定されているかどうかを停止感知モードで検出するように構成されている。
【0061】
この実施形態の場合、「アセット追跡装置が所定の種類の輸送手段により輸送されると判定した際」という用語は、当該要件が満たされたことをコントローラが先に判定した場合に、コントローラがこの停止感知モードに切り替わると理解すべきである。「所定の期間」は、x分、x時間又はx日等の閾値であり得る。
【0062】
好ましい実施形態では、装置は停止感知モードでは低減されたサンプリングレートを用いるように構成されている。
【0063】
本発明の例示の実施形態によれば、コントローラは、所定の期間を超えたアセット追跡装置の停止をコントローラが追加で検出した場合にのみ、アセット追跡装置の新たな地理的位置を表すデータを送信器に送信させるように構成されている。
【0064】
所定の期間を超える停止が検出されることは、所定の種類の輸送手段によるアセット追跡装置の輸送が開始されたとコントローラにより判定された後に起こることが好ましいことを理解すべきである。
【0065】
すなわち、本実施形態では、(アセット追跡装置が所定の種類の輸送手段によって現在輸送されているとの判定に基づいて)「有効な移転」の開始をコントローラが判定するだけでなく、アセット、ひいてはアセット追跡装置が新たな位置に到達したという追加要件が満たされなければならない。すなわち、検出/判定された「有効な移転」が完了したという追加の要件が満たさなければならない。この実施形態では、アセット及び対応するアセット追跡装置の新たな地理的位置を記述する新たな位置データは、前で説明したように双方の要件が満たされた場合にのみ送信器によって送信される。新たな地理的位置を記述する新たな位置データは、特定の実施形態の文脈でさらに以下で詳細に説明するように、起動されたWiFiモジュールによって受信されたWiFiアドレスであり得る。
【0066】
本発明の例示の実施形態によれば、装置は、データがコントローラによって分析される前に加速度センサによって測定されたデータを前処理するように構成されている。加速度センサによって測定されたデータの前処理は、加速度センサによって検出されたコンテナ又はトローリーによって引き起こされたものではない少なくともいくつかの動きを補償及び/又は除去することを含む。
【0067】
典型的なアセット/コンテナ又はトローリーの動きを示す及び/又は特徴でない、加速度及び/又は周波数を有する加速度センサの測定データの一部を取り除くことができる。例えば、電動リフト又はムーバ、フォークリフト、二輪車及び三輪車はアセット及びアセット追跡装置に対して全く異なる加速度及び/又は振動を引き起こす。加速度センサから受信されたデータは、個々のユーザにより検出されることが望ましいコンテナ又はトローリー輸送に由来しないこれらの成分がデータから除去されるか又は補償されるようにフィルタリングされ得る。これに関連して、コントローラは測定したデータを記憶されたモーションパターンと比較し、分析したデータはコンテナ又はトローリーの動きによって引き起こされることを示すかどうか判定し得る。
【0068】
本発明の例示の実施形態によれば、加速度センサによって測定されたデータを前処理することは、アセット追跡装置を移動する車両の衝撃又はブレーキ力に関するデータをフィルタリングすることと、道路の凹凸により生じる力に関するデータをフィルタリングすることと、重力に関するデータをフィルタリングすることのうちの少なくとも1つをさらに含む。
【0069】
このように、測定された加速度データから、例えば地球の中心に向けられた重力の加速度を、例えばベクトルレベルで減算できる。さらに、道路のでこぼこや砂利道の砂利等の道路の凹凸は、加速度センサにおいて特徴的な信号をもたらす。これがコントローラによって検出された場合、そのようなデータが除去されるか又はそのような望ましくない効果を補償するという意味でデータが補正される。
【0070】
本発明の例示の実施形態によれば、送信器は、所定の種類の輸送手段によるアセット追跡装置の輸送が開始されたとの信号を、LPWAN(low-power wide-area network)、とりわけSigfoxにおける無線周波数通信により外部装置に送信するように構成されている。
【0071】
LPWAN又はLPWA(low-power wide-area)ネットワーク又はLPN(low-power network)は、バッテリで駆動するセンサ等のモノ(接続されたオブジェクト)の間で低ビットレートの長距離通信を可能にするように設計された無線通信ワイドエリアネットワークの一種であり、場合によっては「低スループットネットワーク」の例としても説明される。これは当業者に知られている。低電力、低ビットレート及び意図された用途はこのタイプのネットワークを、ユーザ又はビジネスを接続するように設計され、より多くのデータを運び、より多くの電力を使用する無線WANと区別する。LPWANのデータ速度は、チャンネル当たり0.1kbit/s~50kbit/sであり得る。LPWANはプライベート無線センサネットワークを形成するために使用され得るが、第三者によって提供されるサービス又はインフラであってもよく、デバイスの所有者は、ゲートウェイ技術に投資することなくそれらをフィールドに展開させることができる。
【0072】
一実施形態では、送信器は、LPWANに用いられる超狭帯域(UNB)変調技術を用いる。これは、UNBベースの技術であるSigfoxをはじめとする様々な企業により用いられている。Sigfoxは通常100bps、特殊なケースでは600bpsを提供する。Telensa、Nwave、Weightless及びNB-Fiプロトコルにより他の超狭帯域技術が提供されている。
【0073】
好ましい実施形態では、装置は一意の識別子でネットワークに登録される。別の実施形態では、送信器は868MHz及び/又は902MHzで送信するように構成されている。周波数の選択は、世界の地域の無線認証規格に依存することがある。
【0074】
本発明の例示的な実施形態によれば、装置は、アセット追跡装置を取り囲むWiFiホットスポットのアドレスを受信するためのWiFiモジュールをさらに含む。コントローラは、受信したWiFiアドレスをアセット追跡装置の新たな地理的位置を表すデータとして送信器に送信させるように構成されている。
【0075】
所定の種類の輸送手段によるアセット追跡装置の輸送が開始されたとのコントローラによる判定に基づいて「有効な移転」が検出され、それが明らかに完了したことが分かった後で、装置は、例えばSigfox通信チャネルにアドレスが通信されているWifiホットスポットを、クラウドにおける送信されたWiFiアドレスに基づくさらなる地理的位置のために「嗅ぎ出す(sniff)」ように構成されている。そのため、アセット追跡装置の地理的位置を決定するためにWiFiアドレスを用いることによって、GPS等の高価な絶対位置センサを有利に取り除くか又は回避することができる。
【0076】
本発明の例示の実施形態によれば、コントローラは、加速度センサによってアセット追跡装置の停止が所定時間を超えて測定されていることを検出した場合にWiFiモジュールを起動するように構成されている。
【0077】
すなわち、WiFiモジュールは通常オフにされており、「有効な移転」の完了がコントローラによって判定/検出された場合にのみ、WiFiモジュールが起動される。これにより省エネが実現され、エネルギー効率が高く、通信効率の高い装置の提供を可能にする。消費電力をさらに削減するために、WiFiネットワークへの接続及びWiFi通信は行われない。
【0078】
装置側では、エンドユーザ装置/ゲートウェイへの短距離ペアリングの努力は、非常に大量のアセットに対して非経済的な努力を提供し、継続的な動き検知及びリアルタイムのデータ通信は、手頃で小規模なエネルギー源の使用を妨げる。従来技術のこの問題は、本発明のこの実施形態によって回避される。そのため、このアセット追跡装置は、エンドユーザ装置、ゲートウェイ又は基地局に何らペアリングすることなく、ローカルインフラを低コストの追跡装置に抑え、スマートミドルウェアに焦点を合わせて検知及びデバイス通信を絶対的最小限に抑えることにより、インフラ投資の全体費用及び運営費を最小限に抑える。
【0079】
本発明の例示の実施形態によれば、装置は、コントローラにより、送信器が所定の種類の輸送手段によるアセット追跡装置の輸送が開始されたとの信号を送信させられていない限り、送信器をオフにするように構成されている。
【0080】
このように、エネルギー消費が非常に少ないアセット追跡装置を実現する上で別の利点を得ることができる。
【0081】
本発明の例示の実施形態によれば、加速度センサは、250msよりも遅いか、500msよりも遅いか又は1000msよりも遅いサンプリング周期で加速度データを検知するように構成されている。
【0082】
本発明の例示の実施形態によれば、コントローラは、所定の種類の輸送手段による輸送が開始されたかどうかの判定が所定の期間内に、好ましくは1日以内、より好ましくは1ヶ月以内に行われなかった場合に送信器にサインオブライフメッセージを送信させるように構成されている。
【0083】
本発明の別の態様によれば、本明細書に記載の態様及び実施形態のいずれかに係るアセット追跡装置が取り付けられたアセットが提示される。アセットはコンテナ若しくは荷物キャリア又は箱若しくはトローリーであることが好ましい。
【0084】
本発明の別の態様によれば、所定の種類の輸送手段によってアセット追跡装置が輸送されているかどうかを判定する方法が提示される。当該方法は、アセット追跡装置が受ける加速度をアセット追跡装置の加速度センサにより測定するステップ(S1)と、加速度センサにより測定されたデータをアセット追跡装置のコントローラにより分析することにより、アセット追跡装置が所定の種類の輸送手段により輸送されているかどうか及び所定の最低動作要件がみたされたかどうかを判定するステップ(S2)と、加速度センサにより測定されたデータから、アセット追跡装置が所定の種類の輸送手段により輸送されているとコントローラが判定した場合に、所定の種類の輸送手段によるアセット追跡装置の輸送が開始されたとの信号をアセット追跡装置の送信器により送信するステップ(S3)とを含む。
【0085】
この方法は、これまで本明細書で詳述してきたように、例えば本発明に係るアセット追跡装置によって実施及び実行できる。さらに、以下で説明するように、プロセッサ又はコンピュータがそれに従って指示され得る。
【0086】
本発明の別の態様によれば、所定の種類の輸送手段によってアセット追跡装置が輸送されているかどうかを判定するためのプログラム要素が提示される。プログラム要素は、プロセッサにより実行された場合に、
アセット追跡装置が受けた加速度を測定したアセット追跡装置の加速度センサのデータを受信することと、
受信された、加速度センサにより測定されたデータを分析することにより、アセット追跡装置が所定の種類の輸送手段により輸送されているかどうかを判定することと、
加速度センサにより測定されたデータから、アセット追跡装置が所定の種類の輸送手段により輸送されていると判定された場合に、所定の種類の輸送手段によるアセット追跡装置の輸送が開始されたとの信号をアセット追跡装置の送信器に送信させるための制御信号を生成することと、
を行うように適合されている。
【0087】
本発明の別の態様によれば、先の態様に係るコンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ読み取り可能媒体が提示される。
【0088】
コンピュータプログラム要素はコンピュータプログラムの一部であってもよいし、それ自体がプログラム全体であってもよい。例えば、コンピュータプログラム要素は、既に存在するコンピュータプログラムが本発明を得るように更新されるために用いられ得る。
【0089】
コンピュータ読み取り可能媒体は、例えば、USBスティック、CD、DVD、データ記憶装置、ハードディスク又は上述したプログラム要素を記憶可能な他の任意の媒体等の記憶媒体として見られ得る。
【図面の簡単な説明】
【0090】
図1図1は、本発明の例示の実施形態に係る方法のフロー図を概略的に示す。
図2図2は、本発明の例示の実施形態に係るアセット追跡装置において行われる所定の種類の輸送手段によってアセット追跡装置が輸送されているかどうかを判定することを含むモーションアルゴリズムの詳細な説明を概略的に示す。
図3図3は、本発明の実施形態における計算のために使用可能な平均ベクトルVの周囲の点群を概略的に示す。
図4図4は、本発明の実施形態における計算のために使用可能な方向選択性周波数及び振幅取得のための参照ベクトルを概略的に示す。
図5図5は、本発明の実施形態における計算のために使用可能なパラメータ線長(LOL)を概略的に示す。
図6図6は、本発明の実施形態における計算のために使用可能なバースト分類を概略的に示す。
図7図7は、本発明の実施形態における計算のために使用可能な角度対符号の変化(COS)の2Dフィンガープリントを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0091】
図1は、アセット追跡装置が所定の種類の輸送手段により輸送されているかどうかを判定する方法のフロー図を概略的に示す。この方法は、本明細書で詳細に上述したように、例えば本発明に係るアセット追跡装置により実施及び実行できる。図1に示す方法は、アセット追跡装置の加速度センサにより、アセット追跡装置が受ける加速度を測定するステップを含む(S1)。さらに、ステップS2では、アセット追跡装置のコントローラが加速度センサによって測定されたデータを分析することにより、アセット追跡装置が所定の種類の輸送手段により輸送されているかどうかを判定する。さらに、コントローラが、加速度センサにより測定されたデータからアセット追跡装置が所定の種類の輸送手段により輸送されていると判定した場合に、所定の輸送手段によるアセット追跡装置の輸送が開始されたとの信号をアセット追跡装置の送信器により送信することがステップS3で行われる。
【0092】
この方法の有益な結果の1つは、所定の種類の輸送手段によってアセットが明確に移転している場合にのみ送信/通信される信号が最小限であるため、装置の寿命がそのエネルギー容量に基づいて最大になる点である。一実施形態では、アセットが所定の種類の輸送手段により輸送されていない場合は、定義された間隔で、例えば1日1回又は1月に1回サインオブライフメッセージだけを報告できる。
【0093】
図1の文脈で記載された方法は、別段の明示されない限り、以下で詳細に説明する本発明の態様及び実施形態の全てと組み合わせることができる。とりわけ、この方法は、Sigfox等の低スループット通信と合わせて、1つのAサイズ電池だけで、1日の移動が平均で3回で最大10年の寿命で装置を動作させることができる。そのため、もはやバッテリ寿命(装置へのアクセス、他の装置とのペアリング、充電又はバッテリ交換プロセス及びインフラ)又はローカルデータ受信インフラ等を管理する必要がないため、低コストなアセット管理ソリューションが可能となり、ユーザはそれを大量に組み込むことができる。
【0094】
図2は、本発明の例示の実施形態に係るアセット追跡装置の動作原理を概略的に示す。前記アセット追跡装置で用いられるモーションアルゴリズム200の詳細な説明を図2に示し、図1に記載の本発明に比べて多くの追加の及び任意の特徴を含む。そのため、本発明の任意の例示の実施形態に係る移動の妥当性に関する判断を実現するための動作ブロック及びそれらの相互作用の詳細例を提供される。三次元加速度センサ201が示される。センサ情報は、監視すべき装置の少なくとも1点の完全な並進加速状態への結論を可能にすべきである。この動作ブロックは三次元加速度センサによって表される。三次元加速度センサは、低消費電力のためのバーストサンプリングモードを提供するがこの種の用途のために高周波数分解能力を提供する。さらに、図2のブロック202にバーストデータ取得を示す。信号処理ユニットは、時間T毎に生成されるn個のデータ点のバーストのサンプルをサンプリングし、記憶する。そのため、このブロックによるさらなる分析のためにn次元ベクトルアレイが提供される。さらに、ブロック203では、サンプルバースト解析アルゴリズム(S.B.A)が用いられる。サンプルバースト分析アルゴリズムは、周波数領域のパラメータ周波数及び振幅と同様の方法でバーストを特徴付けるスカラ特性のセットにサンプルデータのバーストを移行させる。この文脈では、それは、平均ベクトルVの周りの点群を示す図3を参照する。定義によれば、ベクトルVは、ここでは球体Kとして描かれる点群の中心を指す。サンプル点S(iは[0.....バースト長]からの要素)は点群を通るトレースを定義する(重畳振動のやり方である)。ベクトル計算を用いることにより、微分ベクトルdV=V―Vを計算することにより、そのベクトルVを介して各サンプル点Sへの方向を定義できる。ここで、信号トレースの符号変化(CoS)を検出するために、図4に示すベクトルVrefにより定義される方向を選択するとする。CoSは振動の周波数に近い値であり、この振動を観測される方向にパラメータ化する。特別な方向が分からない場合は、最も高い周波数感度を実現するために、VrefはベクトルdVのセットから最も長いベクトルによって定義されるべきである。
【0095】
これらの方法により分析可能な方向性が定義された振動の特性は以下の通りである。
・CoS:信号の符号変化(擬似周波数)
・PP:所与の方向における振動の最大ピークピーク
・LoL:ライン長-バーストのトレースがどれだけの長さ移動するか
・平均ベクトルV:加速度方向の平均
図4は、方向選択性周波数及び振幅取得のための参照ベクトルの導入を示す。PP又はLoL等のスカラ値は、装置上で平方根が計算されるのを避けるために平方で維持される。
【0096】
図2に示すアセット追跡装置のモーションアルゴリズムは、ブロック204で車両方位推定器(VOE)をさらに含む。LoL(ライン長)と比較した休止分類:すなわち線V2V及びPP(ピークピーク)の二乗長さの合計、すなわち振動ピーク間の二次距離。図5は、前記ライン長に関する詳細を示す。これにより、振動タイプ情報を用いたLOL及びPPの評価に基づいて即座に分類できる。バンプ角(重力に対するバンプ加速度ベクトル)は走行傾斜に関する大まかな情報を与えることができる。図2は、バーストの符号変化(CoS)及びライン長情報を評価する、輸送種類検出のためのブロック205も示す。S.B.A.により提供されるサンプルデータのバーストごとのCoS及びLoL情報に基づいて、輸送手段が例えばトラックであるか否かについての明確で素早い判断を行うことができる。この判断は、何が許容される振動強度のスペクトル定義マップ(モーションパターン)に相当するかというCoSケース毎のLoL閾値に基づく。サンプルのバーストにより表される振動が低すぎるか又は高すぎる振動励起を有する場合(CoS)、非決定的な判断がなされる。この単純な場合では、セクションにつき2点(すなわち、CoS及びLoL値)で有利に判断基準を定式化でき、傾斜パラメータm及び軸切片tにより「トラック」を「非トラック」領域から分離する線形方程式を定義する。境界点は、図2の実施形態で確率により評価される、非決定的な判断に属する領域を定義する。より広いバージョンのTTDでは、アルゴリズムは「非トラック」と「トラック」との間で異なるだけでなく、装置がトラックだけでなく、どの輸送手段が用いられているかを分析する。このために、サンプルバースト分析がさらに分析され、COS等のフィンガープリントの特徴セットの形式で各車両タイプについて記憶されたモーションパターンに対して比較される。
【0097】
図7は、COSに対する角度の2Dフィンガープリントを示す。図7に示すように、非常に信頼性の高い結果は、2段階で動作する、COSに対する角度の2Dフィンガープリントに対するモンテカルロフィンガープリントアプローチを示す。参照テーブルを用いることにより、車両タイプごとに記憶し、フィンガープリントを特定するために必要な計算能力及びメモリは非常に低い。
ステップ1:
・角度を計算し、フィンガープリントにおけるインデックスフィールドを決定
・角度と比較したCoSのフィンガープリントからの確率を取得
ステップ2:
・候補に確率を加える
・競合からの確率を差し引く
図2の実施形態は、有界輸送種類カウンタ(Bounded Transportation Type Counter)206をさらに含む。先に説明した判断手順は、例えば、車両が未舗装の道路を走行する等の異常な走行条件が起きた場合に非決定的な判断につながり得る。主要な判断は、有界輸送種類カウンタを用いた確率決定戦略によりなされる。このアルゴリズムは、分類すべき全ての種類に対してカウンタを用いる。非決定的な判定は無視される。有効な輸送種類分類が利用可能な場合、それぞれのカウンタがインクリメントされる。全てのカウンタの合計が定義された評価閾値よりも大きい場合、他のカウンタはゼロでない場合1減算される。カウンタが判定閾値よりも高い値に達した場合、輸送種類の判定は依然として行われる。判定閾値を超える値のカウンタが複数ある場合は、最も高いカウンタが選択される。判定閾値が評価閾値の半分よりも高い場合、1つのカウンタのみが判定閾値を超えることができ、これがコードを簡素化する。判定閾値は、判定が予想されるサンプルの数を定義する。
【0098】
図2の実施形態は、ブロック207に示すフィルタアルゴリズムをさらに含む。フィルタアルゴリズムは、基本なスカラ積計算を用いて重力方向加速度から現在の平均加速度ベクトルを取り除く。走行方向又は遠心方向が提供された場合、この動作ブロックは、望ましくない加速方向をアナログ方式でフィルタリングするように拡張できる。さらに、図2の実施形態は、ブロック208で妥当性確認をさらに利用する。この動作ブロックは、残りの加速度が、異なる車両のモーションパターンに基づく積分のために考慮されるべき加速度の妥当な範囲内にあるかどうかを確認する。積分器209では、加速ベクトルの時間領域における積分がこの動作ブロックで行われる。リセット入力により、速度及び位置の積分結果をゼロに戻すことができる。この機能ブロックの出力は、位置(移動距離)及び位置速度ベクトルの二乗値である。特定タスク状態マシン210も含まれる。特定タスク状態マシンは、自給可能な装置の挙動を制御し、輸送種類検出、走行距離及び位置速度の結果を用いて、動きを有効な移転として認定する。特定タスク状態マシンは時間積分器の制御及びリセットを行う。
【0099】
さらに、最終制御要素212が含まれる。最終制御要素としては、通常、無線送信器を用いて有効な移転の開始及び終了が顧客に知らされる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7