(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】車両の燃料補給を準備するための方法
(51)【国際特許分類】
F17C 5/02 20060101AFI20240307BHJP
H01M 8/0438 20160101ALI20240307BHJP
H01M 8/00 20160101ALI20240307BHJP
H01M 8/04313 20160101ALI20240307BHJP
H01M 8/0432 20160101ALI20240307BHJP
H01M 8/04858 20160101ALI20240307BHJP
H01M 8/04228 20160101ALI20240307BHJP
H01M 8/04303 20160101ALI20240307BHJP
【FI】
F17C5/02 Z
H01M8/0438
H01M8/00 Z
H01M8/04313
H01M8/0432
H01M8/00 A
H01M8/04858
H01M8/04228
H01M8/04303
(21)【出願番号】P 2023500025
(86)(22)【出願日】2021-07-05
(86)【国際出願番号】 EP2021068468
(87)【国際公開番号】W WO2022012986
(87)【国際公開日】2022-01-20
【審査請求日】2023-02-14
(31)【優先権主張番号】102020004202.3
(32)【優先日】2020-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】522100316
【氏名又は名称】セルセントリック・ゲーエムベーハー・ウント・コー・カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100090583
【氏名又は名称】田中 清
(74)【代理人】
【識別番号】100098110
【氏名又は名称】村山 みどり
(72)【発明者】
【氏名】オットマール・ゲーリンク
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・バラリン
(72)【発明者】
【氏名】ステッフェン・マオス
(72)【発明者】
【氏名】ジェンス・フランゼン
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-130295(JP,A)
【文献】特開2002-373230(JP,A)
【文献】特開2020-45908(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 5/02
H01M 8/0438
H01M 8/00
H01M 8/04313
H01M 8/0432
H01M 8/04858
H01M 8/04228
H01M 8/04303
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(2)のタンク(2.3)への水素の補給を準備するための方法であって、そのために燃料補給所(5)への接近に備えてタンク圧力が低減され、前記燃料補給所(5)が間もなく行われる補給について通知される、前記方法において、
前記補給が液体水素によって行われ、前記補給の間の前記タンク(2.3)の到達可能な最高圧力レベルと、前記燃料補給所(5)への到着時に予想される前記タンク(2.3)の圧力レベルと、予想される補給量とが前記燃料補給所(5)に伝達されることを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
前記燃料補給所(5)の仕様が、前記燃料補給所(5)から前記車両(2)へ、前記車両(2)のタンクシステムに対して、伝達されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記燃料補給所(5)の選定が、車外サーバ(1)上で予め計画された走行経路に基づいて走行・補給戦略モジュール(3)において行われ、前記燃料補給所(5)および前記車外サーバ(1)に伝達されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記走行・補給戦略モジュール(3)がクラウドによって形成されていることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記走行・補給戦略モジュール(3)が、圧力、温度、および充填量からなるタンク状態のモデルベース予測に基づいて、前記補給のための様々な代替案を算出し、前記タンク(2.3)の圧力および前記燃料補給所(5)の選定に関して最適化された戦略を作成することを特徴とする、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記最適化された戦略では、前記補給後の前記予め計画された走行経路における前記車両(2)の今後の使用も考慮されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記最適な戦略には、少なくとも1つの追加的な外部モジュール(4)からの前記走行経路の状態に関するさらなる外部データが考慮されることを特徴とする、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記最適化された戦略が、前記車両(2)、前記車外サーバ(1)、および前記燃料補給所(5)に伝送される、請求項5から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記圧力の低減が水素を消費することによって行われ、そのために、駆動エネルギーが主に水素によって提供され、および/または走行用バッテリ(2.8)が再充電され、および/または前記車両(2)の電力消費補機が作動されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記圧力の低減が、前記車両(2)の停止状態において、電気エネルギーの生成および電力網への供給によって少なくとも部分的に行われることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に詳しく定義されている種類の車両のタンクへの水素の補給を準備するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水素による燃料補給は、ガソリンやディーゼル等による燃料補給と比べてやや複雑である。これが特に当てはまるのは、水素が圧縮水素として気相で貯蔵され、および/または車両に蓄えられるのではなく、車両のタンクが水素を液体の形でそれに応じて低い温度で蓄えるいわゆる冷凍タンクである場合である。この場合、運転中、特に燃料補給中であっても、タンク圧力が規定された最高圧力を超えて上昇すれば、許容最高圧力を守るために水素を放出しなければならないので危険である。このいわゆるボイル・オフは、回避すべき重大な不都合である。
【0003】
一般的な従来技術から、車両に水素を補給する際の適切な戦略を使用することによって、例えば可能な限り多くの水素の補給が可能になることが原則的に知られている。この目的のために、燃料補給所に接近する際に、駆動エネルギーまたは温度調節等のためのエネルギーであっても、場合によっては車両に設けられているエネルギーを供給するための他のエネルギー源の代わりに水素を意識的により多く利用することができる。これに関連して、本出願人の特許文献1を参照することができる。この文献には、予め計画された走行ルートを最短の補給時間で可能な限り効率的に走破するための相当する戦略が記載されている。
【文献】DE102017006158A1
【0004】
特許文献2には、移動式のタンク装置からの燃料電池車の燃料補給が開示されている。このために、燃料補給が可能な場所に関する相応の通信が移動式のタンク装置の提供者と車両自体との間で行われる。燃料補給対象の車両と定置型の燃料補給所との間の通信は、特許文献3の主題でもあり、気体水素に関して特許文献4の主題でもある。燃料補給所に伝達される車両あるいはそのタンクの所与のデータに基づいて、燃料補給プロセスの終了時の可能な限り正確な温度が予め算定される程度まで燃料補給を最適化することができ、これに対応する記載が特許文献5にある。その他、さらなる従来技術として、特許文献6が挙げられ、この文献には、燃料補給所に接近する際に水素がより多く消費されることによって典型的にタンクの圧力レベルが下げられる、水素による燃料補給の最適化についてかなり全般的に記載されている。
さらに、特許文献7には、水素ステーションで充電される車両自体の水素容器内の水素を用いて走行する複数の水素車と通信ネットワークを介して通信することが可能であるという水素ステーション充電制御ユニットが開示されている。この水素ステーション充電制御ユニットは、通信ネットワークを介して各水素車から各水素容器の水素量を受信する受信器を備えており、この水素量に基づいて水素ステーションに対して各水素車のための水素充填計画が生成される。
特許文献8には、走行中に水素を消費する車両(水素自動車)が水素の補給を確実に受けることを可能にする、コンピュータを利用した水素供給方法および装置が開示されている。さらに、非特許文献1の論文には、公共の燃料補給所における車両への液体水素の補給が開示されている。
【文献】DE102012018515A1
【文献】日本特許第4153690号
【文献】日本特許第5839546号
【文献】日本特許第5740468号
【文献】米国特許第7,352,561号
【文献】DE10241688A1
【文献】特開2002-373230
【文献】International Journal of Hydrogen Energy,Elsevier Science Publishers B.V.,Barking,GB,第26巻,7号,2001年7月1日,777~782ページ,XP004250297,ISSN:S0360-3199,DOI:10.1016/S0360-3199(00)00128-2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の課題は、燃料補給の準備を最適化することを可能にする、請求項1の前文による改善された方法を提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、この課題が、請求項1、ここでは特に請求項1の特徴部分に記載の特徴を備えた方法によって解決される。この方法の有利な構成および展開は、請求項1に従属する下位請求項から明らかになる。
【0007】
本発明による車両のタンクへの水素の補給を準備するための方法では、補給が液体水素によって行われるようになっている。従来技術において同様に知られているように、補給に備えてタンク圧力が低減されることによって、補給時には車両のタンクに流入する液体水素がその際に不可避的に加熱されるにもかかわらず、タンクの最高圧力に到達して補給プロセスの中止および/または気相に変化した水素の放出に至るまでに、可能な限り多くの量の水素を補給することができる。
【0008】
本発明によれば、液体水素による補給が行われ、タンクの最高圧力レベルと、燃料補給所への到着時に予想されるタンクの圧力レベルと、予想される補給量とが燃料補給所に伝達される。それによって、一方では車両側においてタンクの圧力を低減させることによって合理的に補給に備えることができ、他方では燃料補給所が補給に関する予想データを入手しているので、燃料補給所においても既に補給に備えておくことができ、補給を可能な限り迅速かつ効率的に実施することができる。
【0009】
この場合、本発明による方法の非常に有利な展開によれば、燃料補給所の仕様が、燃料補給所から車両へ、車両のタンクシステムに対して、伝達されることが企図されていてもよい。このような車両と燃料補給所との間の調整は、圧力レベルと量とを取り交わすのに理想的に適している。それによって、補給プロセスが概してさらに最適化されるので、補給時間を短縮し、および/または水素の補給量を増加させることができる。
【0010】
この場合、特に、燃料補給所の選定が、車外サーバ、例えば物流管理システム上で予め計画された走行ルートに基づいて、ただしそれ自体は走行・補給戦略モジュールにおいて行われ、燃料補給所および車外サーバに伝達されることが企図されている。それによって、システムに関与する全ての人が、確定した補給戦略および予想される燃料補給所への到着ならびにその時刻、必要な水素量およびタンクの最高圧力レベルについて知ることになる。
【0011】
この場合、この発案の有利な展開によれば、選定は走行・補給戦略モジュールを介してクラウドにおいて行うことができ、好適には、圧力、温度、および充填量からなるタンク状態のモデルベース予測に基づいて補給のための様々な代替案を算出し、タンクの圧力低減および燃料補給所の選定に関して最適化された戦略を作成する。したがって、このような走行・補給戦略モジュールを介して補給のための最適化された戦略を決定することができる。そのために、複数の算出結果を利用して戦略の様々な代替案を作成および検討することができる。この場合、例えば、反復法または他の最適化方法または発見的手法によって最適化を行うことができる。この最適化は、一方では燃料補給所の選定を含み、それとともに究極的にはその燃料補給所までの距離および道路案内を含み、他方では、この経路において、ならびに場合によってはこの経路上に位置する立ち寄り地点において、タンクの圧力レベルを可能な限り適切かつ効率的な方法で低減するための戦略を含む。
【0012】
この場合、圧力の低減は、駆動エネルギーのために水素を消費することによってのみ達成されるのではなく、例えば走行用バッテリを再充電するために、また、運転室の温度調節および/または積み荷の冷却を主に燃料電池によって水素から得られるエネルギーを介して実現するために、水素が利用されることによっても達成される。その他、圧縮空気等の供給を行うことも考えられる。車両の停止状態では同様に、例えば貨物の冷却のために水素から電気エネルギーが生成されるが、圧力を低減するためにこの水素を使い果たさなければならない。この電気エネルギーを、充電ケーブルを介して定置型のエネルギー供給網に供給し、供給網の運営者から報酬を得ることもできる。再生的に生成された水素の場合、このように生成される電流は再生的なものとして評価され、それに応じてより高い報酬がエネルギー供給網の運営者を通して獲得される。
【0013】
この場合、走行・補給戦略モジュールは、燃料補給所までの走行経路における道路および地物のみを考慮するのではなく、この発案の非常に有利な展開によれば、補給プロセス後の予め計画された走行経路における車両の今後の使用も考慮することができる。その使用において、例えば急な下り坂での走行が行われる場合、圧力を低減するために水素を消費する他の可能性が存在する限り、走行用バッテリを再充電しないほうがよく、なぜなら、走行用バッテリはいずれにしてもそのような経路における回復によって非常に効率的に、外部のエネルギーを必要とせずに充電可能であるからである。
【0014】
本発明による方法のさらなる有利な構成は、図面を参照して詳しく説明される実施例からも明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
唯一の添付図面は、方法の基礎をなすシステムのブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下ではこのブロック図を用いて、本発明による方法の可能な詳細な手順を、この方法をそれに限定することなく、図に従って説明する。この場合、第1のステップは、ここでは符号1が付されたボックスにおける物流計画であり、この物流計画は、車両群、特に有用車両群のフリート運営者において行われる。概して、この物流計画1はいわゆる運送管理システムにおいて実施される。この場合、運送依頼が個々の車両2およびその運転者と結びつけられる。さらに、各車両2についての時間・経路計画が実施される。このように物流計画1において生じたデータ・パケットは、通常は経路データ、すなわち個々の区間の座標、発車時間を含む時間計画、積み込み・積み下ろし時間、休憩時間等を含む。また、データ・パケットには、車両2に関する情報、例えば様々な車両パラメータ、車両の装備、車両識別番号等が保管されている。その他、データ・パケットは、運転者に関するデータ、ならびに車両の貨物、そしてここでは特にその重量のデータを含む。
【0017】
このデータ・パケットは、符号1aが付された通信を介して走行・補給戦略モジュール3へ伝送され、そこでデータ・インターフェース3.1を介して受信される。それからこのデータ・パケットは、走行予測モジュール3.3においてさらに処理される。通信1aを介して伝送されたデータ・パケットからの車両2に関する情報に適合して、車両2に関するデータがさらなるインターフェース・モジュール3.2を介して通信2a/2bを介して要求される、あるいは車両2の通信モジュール2.1を利用して読み出される。このデータには、例えば液体ガスタンク2.3の物理的な測定値、例えばタンク制御モジュール2.4によって検出される圧力、温度、および充填量、ならびに場合によっては設けられている走行用バッテリ2.8あるいは他のエネルギー貯蔵装置の充電状態が含まれる。次に、物流計画データ1aおよび車両データ2aを用いて、走行・補給戦略モジュール3の走行予測モジュール3.3が、計画された車両、車両の貨物、車両の液体ガスタンク2.3の測定値等での計画された走行経路における必要なエネルギーならびにさらなる車両状態を算出する。その際、交通の影響、場合によっては運転者、地形、天気、および交通インフラの影響も相応に考慮される。これらの情報は、追加的なモジュール4を介して、例えば気象情報4.1および/または交通情報4.2の形でデータ・パケットとして経路4bを介して要求する、および/または経路4aを介して取り込むことができる。
【0018】
走行予測モジュール3.3の算出結果を用いて、タンク状態予測モジュール3.4は、液体ガスタンク2.3内の液体水素の消費を算出することができ、さらに、圧力、温度、および充填状態に関して液体ガスタンク2.3の今後の状態をも推測的に予め算出することができる。
【0019】
タンク状態予測モジュール3.4のこの結果は、補給戦略モジュール3.5に供給され、補給戦略モジュール3.5はこの結果を使用して最適な補給戦略を決定する。この場合、補給戦略は、計画された走行経路と、車両・時間計画と、液体ガスタンク2.3ならびに場合によってはさらなるエネルギー貯蔵装置2.8内の利用可能な残留エネルギーの予め算出されたエネルギー消費あるいはその消費から得られる航続距離とに基づいた、時刻あるいは適合する燃料補給所5の確定を含む。さらに、燃料補給所5における時間枠の空き状況の確認あるいは予約を、通信5a/5bに従って燃料補給所の運営者に問い合わせることによって行うことができる。
【0020】
場合によっては複数の戦略が一通り算出されて相応に評価されることによって最適な補給戦略が決定されれば、この戦略が物流計画1におけるフリート運営者あるいは管理人、車両2あるいはその運転者、および選定された燃料補給所5の運営者に相応に伝達される。決定された補給戦略が、例えば車両2において運転者に教示するために特にナビゲーション装置およびそれに付属するディスプレイを介して表示される他、補給戦略、すなわち時刻および経路情報が、計画された燃料補給に先立ってインターフェース2.1を介して車両の中央駆動制御装置2.2へさらに転送される。これによって、車両2の運用戦略が規定される。運用戦略は、補給のために燃料補給所5に到着する時点およびその燃料補給所までの既知の走行経路における算出された必要電力を知った上で、燃料補給所5に到着するまでにタンク2.3の圧力が可能な限り低下するように、計画された燃料補給に先立って液体水素の消費を増加させることができる。これは例えば、車両2の燃料電池2.6による燃料消費を適時に増加させることによって行うことができ、バッテリ2.8の充電状態、予想される電力消費補機あるいはそれらのエネルギー需要、および走行によるエネルギー需要を考慮して、自ずと起こり得る。ボックス2.5および2.7は、燃料電池2.6あるいはバッテリ2.8に帰属する制御装置を示す。
【0021】
さらに、タンク2.3の圧力の低減は、他の電力消費機器を介しても、特に車両の駐車中にも行うことができ、あるいは車両2の運転者によって開始することができる。直接または遠隔操作やアプリケーションを介して、または物流計画1を介して間接的にも、車両に影響を及ぼすことができる。例えば、停車状態の間にもバッテリ2.8を充電することによって、車両2の車室温度を予め調節しておく、バッテリ2.8を冷却する、または冷却構造の場合に貨物を冷却するために水素を消費することができる。例えば空気圧縮機のようなさらなる電力消費補機を制御して圧縮空気タンクを満たすことによっても、エネルギーを消費してタンク2.3の圧力を低減させることができる。これらの態様は、当然ながら車両2の走行中にも実施することができる。
【0022】
さらなる選択肢は、車両2の停止状態においてのみ可能であるが、対応する充電プラグを介して車両2を充電ステーションと接続することであり、充電ステーションは電力網と接続されている。車両2あるいはその燃料電池2.6および/またはバッテリ2.8から電力網への充電の戻りを可能にするこの充電ステーションを利用することによって、燃料電池2.6で水素から電力を生成してこの電力を固定電力網に供給することができる。これによっても、タンク2.3の圧力を、例えばさらなる走行の際に立ち寄る燃料補給所5の直前で低減させることができ、それによって補給プロセスが最適化される。この場合、供給された電力に対して、相応に報酬が支払われ得る。補給されたガスが再生的に生成された場合、この電力は再生的に生成された「グリーンな」電気に分類され、供給され、相応に勘定される。
【0023】
補給戦略モジュール3.5における本来の補給戦略の決定のために、様々な最適化方法が考えられ得、なぜなら、それぞれ異なる燃料補給所までの距離を伴う様々な選択肢が、その燃料補給所までにタンク状態予測モジュール3.4および/または走行予測モジュール3.3により予想される消費量および状態に応じて利用され得るからである。最適化の目的は、可能な限り効率的な戦略を、エネルギーおよび時間の損失を可能な限り低減して最適なコストで実現することでなければならない。したがって、例えば燃料補給所の運営者において、および/または物流計画1によって前もって取り込まれた燃料の価格も場合によっては戦略に組み込まれ得る。電気エネルギーを電力網に供給する上述の場合には、獲得可能な供給報酬の大きさもこの戦略に加わり得る。
【0024】
既に述べたように、最適であると確定された補給戦略は、関係者、すなわち物流計画1の管理人、車両2あるいは運転者、および選定された燃料補給所の運営者に相応に伝達される。この場合、伝達は直接または間接的に、例えば車両自体が物流計画1あるいはモジュール3のみと通信し、そこから他の全てのステップが開始されることによって、行うことができる。
【0025】
車両2から選定された燃料補給所の運営者の燃料補給所5へ伝達されるデータは、タンク3.2の実現可能な圧力レベル、すなわち燃料補給時の可能な最高圧力、および予想される補給量を含み、このデータが、モジュール3と車両2との間の通信を介して、ならびにデータの転送によって燃料補給所5に伝送されるので、燃料補給所5において既に補給プロセスの準備をすることができる。それに加えて、例えば燃料補給所5の仕様を車両2に伝送するための逆方向の伝送も考えられ、これも同様に燃料補給の最適化に貢献する。
【図 】