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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】制御装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/689 20150101AFI20240307BHJP
   E05F 15/79 20150101ALI20240307BHJP
【FI】
E05F15/689
E05F15/79
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023505144
(86)(22)【出願日】2022-01-06
(86)【国際出願番号】 JP2022000204
(87)【国際公開番号】W WO2022190604
(87)【国際公開日】2022-09-15
【審査請求日】2023-02-28
(31)【優先権主張番号】P 2021036090
(32)【優先日】2021-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】中村 俊季
(72)【発明者】
【氏名】阿部 真
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-023972(JP,U)
【文献】特開2017-124726(JP,A)
【文献】特開2006-125099(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00-15/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられ選択的に操作可能な第1操作対象及び第2操作対象のうちのいずれか一方を利用者が選択する選択操作を受け付ける選択入力部と、
前記第1操作対象及び前記第2操作対象のうちの前記選択操作によって選択された選択操作対象を利用者が操作する操作入力を受け付ける操作入力部と、
前記選択入力部に行われる前記選択操作と前記操作入力部に行われる前記操作入力とに応じて前記選択操作対象を動作させる制御部であって、前記操作入力部に前記操作入力が行われている間だけ前記選択操作対象を動作させる第1操作入力と、前記選択操作対象の動作量が最大になる最大動作量、又は、前記選択操作対象の動作量が最小になる最小動作量まで1回の前記操作入力で前記選択操作対象を連続的に動作させる第2操作入力とのいずれか一方に応じて前記選択操作対象を動作させる制御部と
を含み、
前記制御部は、前記第2操作入力に応じて前記第1操作対象を前記最大動作量又は前記最小動作量まで連続的に動作させているときに、前記第2操作対象を選択する前記選択操作が行われると、又は、前記第2操作対象を選択する前記選択操作が行われて前記第2操作対象について前記第1操作入力又は前記第2操作入力が行われると、前記第1操作対象の連続的な動作を変化させ
前記第1操作対象及び前記第2操作対象は、前記制御部によって開閉動作の制御がそれぞれ行われる前記車両の第1窓及び第2窓であり、
前記制御部は、前記第2操作入力に応じて前記第1窓を全閉状態又は全開状態まで連続的に動作させているときに、前記第2窓を選択する前記選択操作が行われて前記第2窓について前記第1窓の開閉方向とは反対方向についての前記第1操作入力又は前記第2操作入力が行われると、前記第1窓の連続的な動作を停止させる、制御装置。
【請求項2】
車両に設けられ選択的に操作可能な第1操作対象及び第2操作対象のうちのいずれか一方を利用者が選択する選択操作を受け付ける選択入力部と、
前記第1操作対象及び前記第2操作対象のうちの前記選択操作によって選択された選択操作対象を利用者が操作する操作入力を受け付ける操作入力部と、
前記選択入力部に行われる前記選択操作と前記操作入力部に行われる前記操作入力とに応じて前記選択操作対象を動作させる制御部であって、前記操作入力部に前記操作入力が行われている間だけ前記選択操作対象を動作させる第1操作入力と、前記選択操作対象の動作量が最大になる最大動作量、又は、前記選択操作対象の動作量が最小になる最小動作量まで1回の前記操作入力で前記選択操作対象を連続的に動作させる第2操作入力とのいずれか一方に応じて前記選択操作対象を動作させる制御部と
前記操作入力部に前記第1操作対象についての前記第2操作入力が行われてから、前記第2操作対象を選択する前記選択操作が行われて前記第2操作対象について前記第1操作入力又は前記第2操作入力が行われるまでの経過時間を計測する計測部と
を含み、
前記制御部は、前記第2操作入力に応じて前記第1操作対象を前記最大動作量又は前記最小動作量まで連続的に動作させているときに、前記第2操作対象を選択する前記選択操作が行われると、又は、前記第2操作対象を選択する前記選択操作が行われて前記第2操作対象について前記第1操作入力又は前記第2操作入力が行われると、前記第1操作対象の連続的な動作を変化させ
前記第1操作対象及び前記第2操作対象は、前記制御部によって開閉動作の制御がそれぞれ行われる前記車両の第1窓及び第2窓であり、
前記制御部は、前記第2操作入力に応じて前記第1窓を全閉状態又は全開状態まで連続的に動作させているときに、前記第1窓についての前記第2操作入力が行われてから、前記第2窓についての前記第1操作入力又は前記第2操作入力が行われるまでに前記計測部によって計測される経過時間が所定時間よりも長い場合には、前記第1窓の連続的な動作を許可する、制御装置。
【請求項3】
車両に設けられ選択的に操作可能な第1操作対象及び第2操作対象のうちのいずれか一方を利用者が選択する選択操作を受け付ける選択入力部と、
前記第1操作対象及び前記第2操作対象のうちの前記選択操作によって選択された選択操作対象を利用者が操作する操作入力を受け付ける操作入力部と、
前記選択入力部に行われる前記選択操作と前記操作入力部に行われる前記操作入力とに応じて前記選択操作対象を動作させる制御部であって、前記操作入力部に前記操作入力が行われている間だけ前記選択操作対象を動作させる第1操作入力と、前記選択操作対象の動作量が最大になる最大動作量、又は、前記選択操作対象の動作量が最小になる最小動作量まで1回の前記操作入力で前記選択操作対象を連続的に動作させる第2操作入力とのいずれか一方に応じて前記選択操作対象を動作させる制御部と
を含み、
前記制御部は、前記第2操作入力に応じて前記第1操作対象を前記最大動作量又は前記最小動作量まで連続的に動作させているときに、前記第2操作対象を選択する前記選択操作が行われると、又は、前記第2操作対象を選択する前記選択操作が行われて前記第2操作対象について前記第1操作入力又は前記第2操作入力が行われると、前記第1操作対象の連続的な動作を変化させ
前記第1操作対象及び前記第2操作対象は、前記制御部によって開閉動作の制御がそれぞれ行われる前記車両の第1窓及び第2窓であり、
前記選択入力部及び前記操作入力部は、前記第1窓に隣接する第1座席に設けられており、
前記第2窓に隣接する第2座席における着座者の有無を検出する着座者検出部をさらに含み、
前記制御部は、前記第2操作入力に応じて前記第2窓を全閉状態又は全開状態まで連続的に動作させているときに、前記着座者検出部によって前記着座者がいないことが検出された場合には、前記第1窓を選択する前記選択操作が行われて前記第1窓について前記第1操作入力又は前記第2操作入力が行われると、前記第2窓の全閉状態又は全開状態までの連続的な動作を許可する、制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第2操作入力に応じて前記第1操作対象を前記最大動作量又は前記最小動作量まで連続的に動作させているときに、前記第2操作対象を選択する前記選択操作が行われると、又は、前記第2操作対象を選択する前記選択操作が行われて前記第2操作対象について前記第1操作入力又は前記第2操作入力が行われると、前記第1操作対象の連続的な動作を停止させる、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第2操作入力に応じて前記第1窓を全閉状態まで連続的に動作させているときに、前記第2窓を選択する前記選択操作が行われると、又は、前記第2窓を選択する前記選択操作が行われて前記第2窓について前記第1操作入力又は前記第2操作入力が行われると、前記第1窓の全閉状態までの連続的な動作を停止させる、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第2操作入力に応じて前記第1窓を全閉状態又は全開状態まで連続的に動作させているときに、前記第1窓についての前記第2操作入力が行われてから、前記第2窓についての前記第1操作入力又は前記第2操作入力が行われるまでに前記計測部によって計測される経過時間が所定時間以下である場合には、前記第1窓の連続的な動作を停止させる、請求項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第2操作入力に応じて前記第2窓を全閉状態又は全開状態まで連続的に動作させているときに、前記着座者検出部によって前記着座者がいることが検出された場合には、前記第1窓を選択する前記選択操作が行われて前記第1窓について前記第1操作入力又は前記第2操作入力が行われると、前記第2窓の全閉状態又は全開状態までの連続的な動作を停止させる、請求項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記第1窓は、前記車両の前席のサイドウィンドウであり、前記第2窓は、前記車両の後席のサイドウィンドウである、請求項乃至のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項9】
前記第1窓は、前記車両の運転席のサイドウィンドウであり、前記選択入力部及び前記操作入力部は前記運転席に設けられる、請求項に記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両の前後左右の4枚のサイドウィンドウを操作するパワーウィンドウスイッチがある。このパワーウィンドウスイッチは、右側のサイドウィンドウを操作するスイッチと、左側のサイドウィンドウを操作するスイッチと、前席のサイドウィンドウの選択、前後席のサイドウィンドウの選択、又は後席のサイドウィンドウの選択が可能な選択スイッチと、タイマ部とを含む。タイマ部は、選択スイッチによって前後のサイドウィンドウの選択、又は、後側のサイドウィンドウの選択が行われた場合にオンになり、所定時間が経過するとオフになる。タイマ部がオフになると、前側のサイドウィンドウのみを操作可能な状態に復帰する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-125099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来のパワーウィンドウスイッチでは、例えば選択スイッチで前席用のサイドウィンドウが選択されている状態において前席のサイドウィンドウを全閉にするオート操作の最中に、選択スイッチが切り替えられて後席用のサイドウィンドウが選択されて後席のサイドウィンドウが操作されると、オート操作で閉動作中の前席のサイドウィンドウを止めることはできない。これでは使い勝手が悪化するおそれがある。また、この従来のパワーウィンドウスイッチのように操作対象を切り替えるスイッチがある場合には、操作対象がパワーウィンドウ以外の場合においても同様の問題が生じるおそれがある。
【0005】
そこで、使い勝手が良好な切替式の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態の制御装置は、車両に設けられ選択的に操作可能な第1操作対象及び第2操作対象のうちのいずれか一方を利用者が選択する選択操作を受け付ける選択入力部と、前記第1操作対象及び前記第2操作対象のうちの前記選択操作によって選択された選択操作対象を利用者が操作する操作入力を受け付ける操作入力部と、前記選択入力部に行われる前記選択操作と前記操作入力部に行われる前記操作入力とに応じて前記選択操作対象を動作させる制御部であって、前記操作入力部に前記操作入力が行われている間だけ前記選択操作対象を動作させる第1操作入力と、前記選択操作対象の動作量が最大になる最大動作量、又は、前記選択操作対象の動作量が最小になる最小動作量まで1回の前記操作入力で前記選択操作対象を連続的に動作させる第2操作入力とのいずれか一方に応じて前記選択操作対象を動作させる制御部とを含み、前記制御部は、前記第2操作入力に応じて前記第1操作対象を前記最大動作量又は前記最小動作量まで連続的に動作させているときに、前記第2操作対象を選択する前記選択操作が行われると、又は、前記第2操作対象を選択する前記選択操作が行われて前記第2操作対象について前記第1操作入力又は前記第2操作入力が行われると、前記第1操作対象の前記連続的な動作を変化させる。
【発明の効果】
【0007】
使い勝手が良好な切替式の制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】車両10を示す平面図である。
図2】パワーウィンドウスイッチ50を示す図である。
図3】実施形態の制御装置100を示す図である。
図4】制御部110が実行する第1処理を示すフローチャートである。
図5】制御部110が実行する第2処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の制御装置を適用した実施形態について説明する。
【0010】
<実施形態>
図1は、車両10を示す平面図である。車両10には実施形態の制御装置100が搭載される。車両10は、窓ガラス11WS、11FR、11FL、11RR、11RL、11RGと、座席12FR、12FL、12RR、12RLと、着座センサ20FR、20FL、20RL、20RRと、パワーウィンドウスイッチ50と、制御部110とを有する。パワーウィンドウスイッチ50と、制御部110とは、制御装置100を構成する。着座センサ20RL、20RRは、着座者検出部の一例である。
【0011】
窓ガラス11WS(Windshield)は車両のフロントガラスであり、窓ガラス11FRは車両10の右前のサイドガラスであり、窓ガラス11FLは車両10の左前のサイドガラスである。窓ガラス11RRは車両10の右後ろのサイドガラスであり、窓ガラス11RLは車両10の左後ろのサイドガラスであり、窓ガラス11RGは車両10のリアガラスである。
【0012】
車両10は、一例として進行方向(図1における上方向)における右側にハンドルが位置する右ハンドル車である。座席12FRは右前の座席(運転席)であり、座席12FLは左前の座席(助手席)であり、座席12RRは右後ろの座席であり、座席12RLは左後ろの座席である。座席12FRは窓ガラス11FRに隣接する座席であり、座席12FLは窓ガラス11FLに隣接する座席であり、座席12RRは窓ガラス11RRに隣接する座席であり、座席12RLは窓ガラス11RLに隣接する座席である。
【0013】
ここで、車両10の前席の窓ガラス11FR、11FLと、後席の窓ガラス11RR、11RLとについては、前席の窓ガラス11FR、11FLの各々が第1操作対象及び第1窓の一例である場合には、後席の窓ガラス11RR、11RLの各々が第2操作対象及び第2窓の一例である。これとは逆に、後席の窓ガラス11RR、11RLの各々が第1操作対象及び第1窓の一例である場合には、前席の窓ガラス11FR、11FLの各々が第2操作対象及び第2窓の一例である。また、第1窓に隣接する座席は第1座席の一例であり、第2窓に隣接する座席は第2座席の一例である。
【0014】
パワーウィンドウスイッチ50は、座席12FR(運転席)に設けられ、車両10のサイドウィンドウである4つの窓ガラス11FR、11FL、11RR、11RLの開閉を操作可能なスイッチである。パワーウィンドウスイッチ50は、一例として座席12FRのドアの内貼りに設けられている。なお、座席12FL、12RR、12RLには、隣接する窓ガラス11FL、11RR、11RLのみを操作可能なパワーウィンドウスイッチがそれぞれ設けられているが、ここでは図示を省略する。
【0015】
制御部110は、車両10に搭載され、車両10のパワーウィンドウを制御するECU(Electronic Control Unit:車両制御装置)である。制御部110の詳細については、図3を用いて後述する。
【0016】
着座センサ20FR、20FL、20RL、20RRは、座席12FR、12FL、12RL、12RRの内部の座面又は背もたれに相当する部分に設けられており、着座者の有無を検出する。着座センサ20FR、20FL、20RL、20RRは、例えば、座面又は背もたれに掛かる圧力を検出する圧力センサ、又は、着座者の有無による静電容量の変化を検出する静電センサ等を用いることができる。着座センサ20FR、20FL、20RL、20RRは、着座者の有無を表すセンサ信号を後述する制御部に出力する。
【0017】
図2は、パワーウィンドウスイッチ50を示す図である。パワーウィンドウスイッチ50は、筐体50A、スイッチ51R、51L、選択スイッチ52、及びロックスイッチ53を有する。選択スイッチ52は、選択的に操作可能な第1操作対象及び第2操作対象のうちのいずれか一方を利用者が選択する選択操作を受け付ける選択入力部の一例である。第1操作対象及び第2操作対象のうち、選択スイッチ52に対する選択操作によって選択された操作対象は、選択操作対象の一例である。また、第1操作対象及び第2操作対象のうち、選択スイッチ52に対する選択操作によって選択されなくなった操作対象は、非選択操作対象の一例である。スイッチ51R、51Lは、選択操作によって選択された選択操作対象を利用者が操作する操作入力を受け付ける操作入力部の一例である。
【0018】
スイッチ51R、51L、選択スイッチ52、ロックスイッチ53は、どのような形式のスイッチであってもよく、例えば、利用者の押圧操作や引き上げ操作に伴って動くプッシュ・プル型のスイッチやシーソー型のロッカースイッチ等の機械的なスイッチであってもよいし、静電センサ等で利用者のタッチ操作やジェスチャー操作を検出するスイッチであってもよい。ここでは一例として、機械的なスイッチである形態について説明する。
【0019】
筐体50Aは、パワーウィンドウスイッチ50の筐体であり、スイッチ51R、51L、選択スイッチ52、ロックスイッチ53を収容する。
【0020】
選択スイッチ52は、前席(FRONT)の窓ガラス11FR、11FLと、後席(REAR)の窓ガラス11RR、11RLとのいずれか一方を利用者が選択する選択操作を受け付けるスイッチである。選択操作は、選択スイッチ52を操作することであり、ここでは一例として選択スイッチ52を押圧する押圧操作を行うことである。選択スイッチ52に選択操作を行うことにより、前席(FRONT)の窓ガラス11FR、11FLと、後席(REAR)の窓ガラス11RR、11RLとのいずれを選択操作対象とするかを切り替えることができる。
【0021】
ロックスイッチ53は、運転席以外の窓ガラス11FL、11RR、11RLについて、座席12FL、12RR、12RLに設けられているパワーウィンドウスイッチでの操作の許可と禁止(ロック)を切り替えるスイッチである。
【0022】
スイッチ51Rは、右側の窓ガラス11FR、11RRの開閉を操作するためのスイッチである。選択スイッチ52で前席(FRONT)が選択されている状態では、スイッチ51Rで窓ガラス11FRの操作が可能であり、選択スイッチ52で後席(REAR)が選択されている状態では、スイッチ51Rで窓ガラス11RRの操作が可能である。
【0023】
スイッチ51Lは、左側の窓ガラス11FL、11RLの開閉を操作するためのスイッチである。選択スイッチ52で前席(FRONT)が選択されている状態では、スイッチ51Lで窓ガラス11FLの操作が可能であり、選択スイッチ52で後席(REAR)が選択されている状態では、スイッチ51Lで窓ガラス11RLの操作が可能である。
【0024】
このように、スイッチ51R、51Lは、選択スイッチ52への選択操作によって選択された操作対象を利用者が操作する操作入力を受け付ける。
【0025】
ここでは、一例として、窓ガラス11FR、11RR、11FL、11RLについては、スイッチ51R、51Lで非オート操作とオート操作とが可能である。非オート操作は、スイッチ51R又は51Lに操作が行われている間だけ窓ガラス11FRを開閉動作させる操作であり、第1操作入力の一例である。また、オート操作は、スイッチ51R又は51Lに対する1回の操作で全開状態又は全閉状態まで窓ガラス11FR、11RR、11FL、11RLを連続的に動作させる操作であり、第2操作入力の一例である。また、全開は動作量が最大になる最大動作量の一例であり、全閉は動作量が最小になる最小動作量の一例である。
【0026】
パワーウィンドウスイッチ50は、座席12FR(運転席)に設けられ、選択スイッチ52で前席(FRONT)又は後席(REAR)を選択することにより、スイッチ51R、51Lで4つの窓ガラス11FR、11FL、11RR、11RLの開閉を操作可能なスイッチである。選択スイッチ52を設けることにより、スイッチ51R、51Lの数を減らして省スペース化、低コスト化を図っている。
【0027】
図3は、実施形態の制御装置100を示す図である。図3には、制御装置100に加えて、モータ30FR、30FL、30RR、30RLと、駆動回路40とを示す。モータ30FR、30FL、30RR、30RLは、それぞれ、窓ガラス11FR、11FL、11RR、11RLを駆動するモータである。モータ30FR、30FL、30RR、30RLは、駆動回路40を介して制御装置100に接続されている。
【0028】
制御装置100は、パワーウィンドウスイッチ50と、制御部110と、着座センサ20FR、20FL、20RL、20RRとを含む。制御部110には、着座センサ20FR、20FL、20RL、20RRとパワーウィンドウスイッチ50が接続されている。
【0029】
制御部110は、車両10のパワーウィンドウを制御するECUであり、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、入出力インターフェース、及び内部バス等を含むコンピュータ又はマイクロコンピュータによって実現される。
【0030】
制御部110は、主制御部111、操作検出部112、カウンタ113、駆動制御部114、及びメモリ115を有する。カウンタ113は、計測部の一例である。主制御部111、操作検出部112、カウンタ113、駆動制御部114は、制御部110が実行するプログラムの機能(ファンクション)を機能ブロックとして示したものである。また、メモリ115は、制御部110のメモリを機能的に表したものである。
【0031】
主制御部111は、制御部110の制御処理を統括する処理部であり、操作検出部112、カウンタ113、駆動制御部114が実行する処理以外の処理を実行する。
【0032】
操作検出部112は、パワーウィンドウスイッチ50のスイッチ51R、51L、選択スイッチ52、ロックスイッチ53への操作を検出し、操作内容を表す操作信号をカウンタ113、駆動制御部114、及びメモリ115に伝送する。
【0033】
カウンタ113は、選択操作対象の窓ガラスについてオート操作があったときにカウントを開始し、選択スイッチ52で選択操作対象が切り替えられて新たな選択操作対象の窓ガラスについてオート操作又は非オート操作が行われるまでの時間を計測する。カウンタ113は、計測を完了すると完了したことを表す完了信号を駆動制御部114に伝送する。なお、カウンタ113は、計測を完了して完了信号を駆動制御部114に伝送すると、カウント時間をゼロにリセットする。
【0034】
駆動制御部114は、操作検出部112から受け取る操作信号に基づいてモータ30FR、30FL、30RR、30RLの駆動制御を行う。また、駆動制御部114は、モータ30FR、30FL、30RR、30RLの駆動制御を行う際に、操作検出部112から受け取る操作信号と、カウンタ113から受け取る完了信号と、着座センサ20RL、20RRから受け取るセンサ信号とを利用した制御処理を実行する。
【0035】
メモリ115は、操作検出部112、カウンタ113、駆動制御部114が処理を実行する際に必要なプログラムやデータ等を格納する。
【0036】
以上のような制御部110の駆動制御部114は、操作検出部112から窓ガラス11FR、11FL、11RR、11RLについての非オート操作による開閉操作を表す操作信号を受け取ると、操作信号に従ってモータ30FR、30FL、30RR、30RLを駆動して窓ガラス11FR、11FL、11RR、11RLの開閉を行う。これにより、非オート操作による窓ガラス11FR、11FL、11RR、11RLの開閉が行われる。しかしながら、オート操作が行われた場合には、制御部110は、図4に示す処理を実行する。
【0037】
図4は、制御部110が実行する第1処理を示すフローチャートである。図4のスタートからエンドまでに示す処理は、制御部110の電源がオンのときに所定の制御周期で繰り返し実行される。以下で、いずれかの窓ガラスとは、窓ガラス11FR、11FL、11RR、11RLのうちの少なくともいずれか1つをいう。
【0038】
操作検出部112は、いずれかの窓ガラスでオート操作が行われたかどうかを判定する(ステップS1)。操作検出部112は、いずれかの窓ガラスでオート操作が行われた(S1:YES)と判定すると、オート操作が行われたことを表す操作信号をカウンタ113と駆動制御部114に伝送する。
【0039】
駆動制御部114は、オート操作が行われたことを表す操作信号に含まれる窓ガラスを特定する情報に基づいて、その窓ガラスに対応するモータ(30FR、30FL、30RR、30RLのいずれか)を駆動して窓ガラス(11FR、11FL、11RR、11RLのいずれか)のオート操作による開動作又は閉動作を行う(ステップS2A)。駆動制御部114が窓ガラスを特定したオート操作用の駆動指令を駆動回路40に出力することによって、対応するモータが駆動されて窓ガラスのオート操作による開動作又は閉動作が行われる。
【0040】
カウンタ113は、操作検出部112からオート操作が行われたことを表す操作信号を受け取ると、計測を開始する(ステップS2B)。ステップS2Bが終了すると、フローはステップS3に進行する。なお、操作検出部112がいずれかの窓ガラスでオート操作が行われていない(S1:NO)と判定した場合にもフローはステップS3に進行する。
【0041】
主制御部111は、ステップS1でオート操作が行われた窓ガラスがオート操作で閉動作中であるかどうかを判定する(ステップS3)。ステップS3の処理は、主制御部111が駆動制御部114から出力される駆動指令の有無に基づいて判定する処理である。
【0042】
主制御部111がステップS1でオート操作が行われた窓ガラスがオート操作で閉動作中である(S3:YES)と判定すると、操作検出部112は、選択スイッチ52で選択操作対象が切り替えられて新たに選択操作対象になった窓ガラスでオート操作又は非オート操作が行われたかどうかを判定する(ステップS4)。オート操作が行われた後に、選択スイッチ52によって選択操作対象が前の窓ガラス11FR、11FLと、後ろの窓ガラス11RR、11RLとで切り替えられると、オート操作で閉動作を行っている非選択操作対象としての窓ガラスについての操作を即座に行えない状況が生じうる。このため、ステップS4では、選択スイッチ52で選択操作対象が切り替えられて新たに選択操作対象について操作が行われたことを条件としている。
【0043】
操作検出部112は、新たに選択操作対象になった窓ガラスでオート操作又は非オート操作が行われた(S4:YES)と判定すると、開動作であるかどうかを判定する(ステップS5)。オート操作で閉動作中である窓ガラスが非選択操作対象になっているときに、新たに選択された選択操作対象である窓ガラスに対して、非選択操作対象の開閉方向とは反対方向の動作が行われたことは、非選択操作対象になった窓ガラスに対して行った閉動作が利用者の意図に反して行われた可能性があるため、開動作であるかどうかを判定することとしたものである。
【0044】
操作検出部112によって開動作である(S5:YES)と判定されると、駆動制御部114は、ステップS2Aでオート操作による閉動作を開始した窓ガラスを停止させる(ステップS6)。より具体的には、駆動制御部114は、ステップS2Aでオート操作による閉動作を開始した窓ガラスに対応するモータへの駆動指令の出力を停止する。これにより、ステップS2Aでオート操作による閉動作を開始した窓ガラスの閉動作が停止される。
【0045】
ステップS6において、ステップS2Aでオート操作による閉動作を開始した窓ガラスを停止させるのは、新たに選択された選択操作対象である窓ガラスに対して行われた動作が非選択操作対象についてのオート操作での閉動作と反対方向であり、非選択操作対象になった窓ガラスに対して操作対象の切替前に行った閉動作が利用者の意図に反して行われた可能性があるため、非選択操作対象についてのオート操作での閉動作を停止させることとしたものである。
【0046】
また、操作検出部112によって開動作ではない(S5:NO)と判定されると、駆動制御部114は、カウンタ113によって計測される時間が所定時間以下であるかどうかを判定する(ステップS7)。
【0047】
駆動制御部114は、カウンタ113によって計測される時間が所定時間以下である(S7:YES)と判定すると、フローをステップS6に進行させて、ステップS2Aでオート操作による閉動作を開始した窓ガラスを停止させる(ステップS6)。所定時間は、例えば2秒程度である。
【0048】
カウンタ113によって計測される時間は、選択操作対象の窓ガラスについてオート操作があってから、選択操作対象が切り替えられて新たな選択操作対象の窓ガラスについてオート操作又は非オート操作が行われるまでの経過時間である。カウンタ113によって計測される時間が所定時間以下であることは、新たな選択操作対象の窓ガラスについてのオート操作又は非オート操作は、以前の選択操作対象の窓ガラスについての操作と誤ってなされたものであり、意図されていない可能性があると考えられ、カウンタ113によって計測される時間が所定時間よりも長いことは、新たな選択操作対象の窓ガラスについてのオート操作又は非オート操作が十分に考慮された(意図された)ものであると考えられる。
【0049】
このため、ステップS7の判定を設け、カウンタ113によって計測される時間が所定時間以下である場合には、非選択操作対象の窓ガラスについてのオート操作による動作を停止させることとしている。また、ステップS7においてカウンタ113によって計測される時間が所定時間よりも長い場合には、非選択操作対象の窓ガラスについてのオート操作による動作を許可し、ステップS8の判定を行うこととしている。
【0050】
駆動制御部114は、ステップS7において、カウンタ113によって計測される時間が所定時間よりも長い(S7:NO)と判定すると、非選択操作対象の窓ガラスが後ろの窓ガラス11RR又は11RLであって、着座センサ20R又は20Lの検出結果が着座者がいることを示しているかどうかを判定する(ステップS8)。
【0051】
駆動制御部114は、非選択操作対象の窓ガラスが後ろの窓ガラス11RR又は11RLであって、着座センサ20R又は20Lの検出結果が着座者がいることを示している(S8:YES)と判定すると、フローをステップS6に進行させて、ステップS2Aでオート操作による閉動作を開始した窓ガラスを停止させる(ステップS6)。
【0052】
後ろの窓ガラス11RR又は11RLについてオート操作での閉動作が行われた後に後ろの窓ガラス11RR又は11RLが非選択操作対象になり、かつ、オート操作での閉動作が行われた後ろの窓ガラス11RR又は11RLに隣接する座席12RR又は12RLに着座者がいる場合に、新たに選択操作対象になった前の窓ガラス11FR又は11FLについてオート操作又は非オート操作が行われた場合には、着座者がいる後ろの座席に隣接する窓ガラスについてのオート操作での閉動作が停止される。すなわち、着座者がいる後ろの座席に隣接する窓ガラスについてのオート操作での閉動作を停止させることとしたものである。例えば着座者が子供である場合等に安全を確保するためである。ステップS8の処理は、後ろの窓ガラス11RR又は11RLに隣接する座席12RR又は12RLに着座者がいる場合に、後ろの座席に隣接する窓ガラスについてのオート操作での閉動作を停止させるためのステップである。
【0053】
ステップS8において、駆動制御部114によって、非選択操作対象の窓ガラスが後ろの窓ガラス11RR又は11RLではない、又は、非選択操作対象の窓ガラスが後ろの窓ガラス11RR又は11RLであるが、着座センサ20R又は20Lの検出結果が着座者がいることを示していない(S8:NO)と判定されると、非選択操作対象についてのオート操作での動作を許可する。非選択操作対象の窓ガラスが後ろの窓ガラス11RR又は11RLではない場合には、ステップS8の対象外であるため、非選択操作対象についてのオート操作での動作を許可する。また、非選択操作対象の窓ガラスが後ろの窓ガラス11RR又は11RLであっても着座者がいない場合には、非選択操作対象についてのオート操作での動作を許可する。着座者がいないため、オート操作を継続しても安全だからである。
【0054】
駆動制御部114がステップS8でNOと判定すると、主制御部111は一連の処理を終了する(エンド)。そして、次の制御周期において、図4に示す処理がスタートからエンドまで繰り返し実行される。
【0055】
なお、ステップS4において、操作検出部112が新たに選択操作対象になった窓ガラスでオート操作又は非オート操作が行われていない(S4:NO)と判定した場合には、駆動制御部114は、オート操作での閉動作を継続させる(ステップS9)。新たに選択操作対象になった窓ガラスについての操作が行われていないので、ステップS1でオート操作が行われた窓ガラスについてのオート操作による閉動作を引き続き行うためである。
【0056】
また、主制御部111は、ステップS3において、ステップS1でオート操作が行われた窓ガラスがオート操作で閉動作中ではない(S3:NO)と判定した場合にも一連の処理を終了する(エンド)。オート操作での閉動作が終了しているため、次のオート操作に備えるためである。
【0057】
なお、以上では、ステップS3においてオート操作で閉動作中であるかどうかを判定する形態について説明したが、ステップS3においてオート操作で開動作中であるかどうかを判定してもよい。この場合には、ステップS5では、開動作の反対方向である閉動作であるかどうかを判定すればよく、ステップS6ではオート操作による開動作を開始した窓ガラスを停止させればよい。また、ステップS8では、後ろの窓ガラス11RR又は11RLに隣接する座席12RR又は12RLに着座者がいる場合に、後ろの座席に隣接する窓ガラスについてのオート操作での開動作を停止させるためのステップである。開動作であっても、例えば着座者が子供である場合等に安全を確保するためである。また、ステップS8では、後ろの窓ガラス11RR又は11RLに隣接する座席12RR又は12RLに着座者がいる形態について説明したが、座席12FLに着座者がいる形態としてもよい。
【0058】
以上のように、第1処理によれば、オート操作に応じて選択操作対象の窓ガラスに閉動作又は開動作を行っているときに、選択操作対象を切り替える選択操作が行われて新たな選択操作対象について非オート操作又はオート操作が行われると、非選択操作対象についてのオート操作による動作を停止させる。このように、新たな選択操作対象について非オート操作又はオート操作があった場合には、即座に操作を行うことが困難な非選択操作対象の動作を停止させる。
【0059】
したがって、使い勝手が良好な切替式の制御装置100を提供することができる。また、新たな選択操作対象としての窓ガラスについて非オート操作又はオート操作があった場合には非選択操作対象としての窓ガラスの動作を停止させるので、安全性を確保した制御装置100を提供することができる。
【0060】
なお、以上では、非選択操作対象としての窓ガラスのオート操作での動作を停止させる形態について説明したが、例えば、オート操作での窓ガラスの動作速度を低下させるように、オート操作による動作を変化させてもよい。新たな選択操作対象について非オート操作又はオート操作があった場合に、即座に操作を行うことが困難な非選択操作対象の動作速度を低下させることにより、例えば、利用者にパワーウィンドウスイッチ50を操作する時間的余裕を与えることや、オート操作で動作する窓ガラスに隣接する座席の乗員に、ゆっくりと動く窓ガラスに対応する時間的余裕を与えることができて、使い勝手を良好にすることができるからである。
【0061】
また、以上では、ステップS4において、選択スイッチ52で選択操作対象が切り替えられて新たに選択操作対象になった窓ガラスについてオート操作又は非オート操作が行われたかどうかを判定し、ステップS5、S7、又はS8を経てステップS6に進行する形態について説明した。しかしながら、ステップS4において、選択スイッチ52で選択操作対象が切り替えられたかどうかを判定し、切り替えられた(S4:YES)の場合に、ステップS6に進行するようにしてもよい。この場合には、例えば、ステップS5、S7、及びS8の処理を行わない処理にすればよい。
【0062】
また、オート操作に応じて選択操作対象の窓ガラスに閉動作を行っているときに、選択操作対象を切り替える選択操作が行われて新たな選択操作対象について非オート操作又はオート操作が行われると、非選択操作対象についてのオート操作による閉動作を停止させる。このように、非選択操作対象の窓ガラスについてのオート操作での閉動作を停止させるので、手等の挟み込みを抑制でき、安全性を向上させることができる。
【0063】
また、新たに選択操作対象になった窓ガラスについて、非選択操作対象についてのオート操作での閉動作又は開動作とは反対方向の操作がオート操作又は非オート操作によって行われると、非選択操作対象についてのオート操作による閉動作又は開動作を停止させる。新たに選択された選択操作対象である窓ガラスに対して行われた操作が非選択操作対象についてのオート操作での操作と反対方向であり、選択対象の切替前に非選択操作対象になった窓ガラスに対して行われたオート操作が利用者の意図に反していた可能性があるからである。したがって、非選択操作対象に切り替わった窓ガラスに対して選択対象の切替前に行われたオート操作が利用者の意図に反していた可能性がある場合に、非選択操作対象の窓ガラスについてのオート操作による動作を停止させることにより、使い勝手を向上させた切替式の制御装置100を提供することができる。
【0064】
また、選択操作対象の窓ガラスについてオート操作があってから、選択操作対象が切り替えられて新たな選択操作対象の窓ガラスについてオート操作又は非オート操作が行われるまでにカウンタ113で計測される経過時間が所定時間よりも長い場合には、新たな選択操作対象の窓ガラスについてのオート操作又は非オート操作は、十分に考慮された(意図された)ものであると考えられるため、非選択操作対象の窓ガラスについてのオート操作での動作を許可する。また、カウンタ113で計測される経過時間が所定時間よりも長い場合には、新たな選択操作対象の窓ガラスについてのオート操作又は非オート操作は、意図されていない可能性があると考えられるため、非選択操作対象の窓ガラスについてのオート操作での動作を停止する。したがって、カウンタ113で計測される時間に応じて、利用者の意図を汲んで非選択操作対象の窓ガラスへのオート操作による動作を制御できることで、使い勝手を向上させた切替式の制御装置100を提供することができる。
【0065】
また、非選択操作対象が後ろの窓ガラスであってオート操作で閉動作又は開動作が行われているときに、非選択操作対象が後ろの窓ガラスに隣接する座席に着座者がいる場合には、非選択操作対象である後ろの窓ガラスについてのオート操作での閉動作又は開動作を停止させるため、子供等の乗員の安全を確保することで、使い勝手を向上させた切替式の制御装置100を提供することができる。また、非選択操作対象が前の窓ガラスである場合や、非選択操作対象が後ろの窓ガラスであっても隣接する座席に着座者がいない場合には、非選択操作対象である後ろの窓ガラスについてのオート操作での閉動作又は開動作を許可するため、状況に応じて非選択操作対象の窓ガラスへのオート操作による動作を許可することができることで、使い勝手を向上させた切替式の制御装置100を提供することができる。
【0066】
また、以上では、パワーウィンドウスイッチ50で操作する窓ガラス11FR、11FL、11RR、11RLが操作対象である形態について説明したが、操作対象はパワーウィンドウの窓ガラス11FR、11FL、11RR、11RLに限られるものではない。操作対象は、例えば、パワーシートの電動スライド機構又は電動リクライニング機構、エアコンの風量調整機構や温度調整機構、オーディオの音量調整機構やバランス調整機構等であってもよい。
【0067】
例えば、パワーシートの電動スライド機構と電動リクライニング機構との操作量を最大動作量又は最小動作量にオート操作することができる場合に、電動スライド機構と電動リクライニング機構とを選択スイッチ52で選択できるようになっていて、非選択操作対象についてオート操作が行われているときに選択操作対象が切り替えられた場合に、上記と同様の制御を制御装置100で行ってもよい。
【0068】
また、例えば、エアコンの風量調整機構と温度調整機構との操作量を最大動作量又は最小動作量にオート操作することができる場合に、風量調整機構と温度調整機構とを選択スイッチ52で選択できるようになっていて、非選択操作対象についてオート操作が行われているときに選択操作対象が切り替えられた場合に、上記と同様の制御を制御装置100で行ってもよい。
【0069】
また、例えば、オーディオの音量調整機構とバランス調整機構との操作量を最大動作量又は最小動作量にオート操作することができる場合に、音量調整機構とバランス調整機構とを選択スイッチ52で選択できるようになっていて、非選択操作対象についてオート操作が行われているときに選択操作対象が切り替えられた場合に、上記と同様の制御を制御装置100で行ってもよい。
【0070】
したがって、例えば、操作対象がパワーシートの電動スライド機構又は電動リクライニング機構、エアコンの風量調整機構や温度調整機構、オーディオの音量調整機構やバランス調整機構等である場合にも、使い勝手が良好な切替式の制御装置100を提供することができる。
【0071】
また、以上では、すべての窓ガラス11FR、11RR、11FL、11RLについてオート操作が可能な形態について説明したが、オート操作が可能な窓ガラスは、運転席の窓ガラス11FRだけであってもよい。この場合には、後ろの窓ガラス11RR、11RLについてオート操作がされた場合を対象としたステップS8の処理は行わなくてよく、車両10には着座センサ20RR、20RLが設けられていなくてよい。
【0072】
また、図4に示す第1処理の代わりに、図5に示す第2処理を行ってもよい。図5は、制御部110が実行する第2処理を示すフローチャートである。第2処理は、第1処理の代わりに実行可能な処理である。図5のスタートからエンドまでに示す処理は、制御部110の電源がオンのときに所定の制御周期で繰り返し実行される。以下で、いずれかの窓ガラスとは、窓ガラス11FR、11FL、11RR、11RLのうちの少なくともいずれか1つをいう。
【0073】
主制御部111は、いずれかの窓ガラスがオート操作で開動作中又は閉動作中であるかどうかを判定する(ステップS11)。
【0074】
主制御部111によって、いずれかの窓ガラスがオート操作で開動作中又は閉動作中である(S11:YES)と判定されると、駆動制御部114は、選択スイッチ52及びロックスイッチ53の操作と、オート操作で開動作中又は閉動作中の窓ガラス以外の窓ガラスについてのスイッチ51R、51Lでの操作とを無効化する(ステップS12)。
【0075】
駆動制御部114は、ステップS11においてオート操作で開動作中又は閉動作中と判定された窓ガラスについてのオート操作による開動作又は閉動作が終了したかどうかを判定する(ステップS13)。ステップS13の処理は、ステップS11においてオート操作で開動作中又は閉動作中と判定された窓ガラスに対応するモータに対して駆動制御部114がオート操作での開動作又は閉動作を行う駆動指令の出力を終了したかどうかを判定することによって行えばよい。
【0076】
駆動制御部114は、オート操作で開動作又は閉動作が終了した(S13:YES)と判定すると、ステップS12において無効化した操作を実行する(ステップS14)。ステップS12で操作を無効化する際に、無効化する操作の内容をメモリ115に格納しておき、格納した操作の内容を駆動制御部114がステップS14で読み出して自動的に実行すればよい。ステップS14の処理が終わると、主制御部111は一連の処理を終了する(エンド)。そして、次の制御周期において、図5に示す処理がスタートからエンドまで繰り返し実行される。なお、ステップS14では、ステップS12で無効化した操作を自動的に実行するのではなく、再度の操作が行われた場合に実行するようにしてもよい。
【0077】
なお、ステップS13において駆動制御部114がオート操作で開動作又は閉動作が終了していない(S13:NO)と判定した場合にも、主制御部111は一連の処理を終了する(エンド)。終了していないオート操作での閉動作を次の制御周期においても行うためである。
【0078】
また、ステップS11において主制御部111がいずれかの窓ガラスがオート操作で開動作中又は閉動作中ではない(S11:NO)と判定した場合にも、主制御部111は一連の処理を終了する(エンド)。ステップS11の処理にリターンするためである。
【0079】
以上のように、第2処理によれば、いずれかの窓ガラスがオート操作で開動作中又は閉動作中である場合には、選択スイッチ52及びロックスイッチ53の操作と、オート操作で開動作中又は閉動作中の窓ガラス以外の窓ガラスについてのスイッチ51R、51Lでの操作とを無効化し、オート操作での開動作又は閉動作が終了したときに、無効化した動作を実行する(有効化する)。このため、オート操作で開動作中又は閉動作中の窓ガラスに対して、オート操作での開動作中又は閉動作中は、いつでも操作を変更することができる。
【0080】
したがって、使い勝手が良好な切替式の制御装置100を提供することができる。また、オート操作での開動作中又は閉動作中は、いつでも操作を変更できるので、安全性を確保した制御装置100を提供することができる。
【0081】
以上、本発明の例示的な実施形態の制御装置について説明したが、本発明は、具体的に開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【0082】
なお、本国際出願は、2021年3月8日に出願した日本国特許出願2021-036090に基づく優先権を主張するものであり、その全内容は本国際出願にここでの参照により援用されるものとする。
【符号の説明】
【0083】
10 車両
11FR、11FL、11RR、11RL 窓ガラス
12FR、12FL、12RR、12RL 座席
20FL、20FR、20RL、20RR 着座センサ
50 パワーウィンドウスイッチ
51R、51L スイッチ
52 選択スイッチ
100 制御装置
110 制御部
111 主制御部
112 操作検出部
113 カウンタ
114 駆動制御部
115 メモリ
図1
図2
図3
図4
図5