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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】ろ過装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 63/16 20060101AFI20240307BHJP
   B01D 63/04 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
B01D63/16
B01D63/04
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023506412
(86)(22)【出願日】2021-03-15
(86)【国際出願番号】 JP2021010445
(87)【国際公開番号】W WO2022195688
(87)【国際公開日】2022-09-22
【審査請求日】2023-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000176752
【氏名又は名称】三菱化工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大森 一樹
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-005433(JP,A)
【文献】特開平05-309241(JP,A)
【文献】特開昭54-099085(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00140315(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D61/00-71/82
C02F1/44
B01D33/00-33/82
B04B1/00-15/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1流路を有する、回転可能なシャフトと、
内部空間である、ろ室を有し、前記ろ室の内部に前記シャフトが挿入されるハウジングと、
前記第1流路に連通し、前記シャフトが延びる第1方向に直交する平面において、前記シャフトからそれぞれ遠ざかる複数の中間配管と、
前記中間配管に連通する複数の中空糸膜を備え、接続された前記中間配管が延びる方向に交差する方向にそれぞれ延びる複数の中空糸膜モジュールと、
前記複数の中空糸膜モジュールのそれぞれは、前記第1方向に直交する平面において、重ならない位置に配置され、
前記中空糸膜モジュールが延びる方向は、前記第1方向に対して鋭角に傾斜し、
前記第1方向の第1位置の前記シャフトに接続された複数の第1の中間配管にそれぞれ接続される、第1群の中空糸膜モジュールと、
前記第1方向の前記第1位置とは異なる第2位置の前記シャフトに接続された複数の第2の中間配管にそれぞれ接続される第2群の中空糸膜モジュールと、を備え、
前記第1群の中空糸膜モジュールと、前記第2群の中空糸膜モジュールとは、前記第1方向からみて、千鳥配置されている、
ろ過装置。
【請求項2】
第1流路を有する、回転可能なシャフトと、
内部空間である、ろ室を有し、前記ろ室の内部に前記シャフトが挿入されるハウジングと、
前記第1流路に連通し、前記シャフトが延びる第1方向に直交する平面において、前記シャフトからそれぞれ遠ざかる複数の中間配管と、
前記中間配管に連通する複数の中空糸膜を備え、接続された前記中間配管が延びる方向に交差する方向にそれぞれ延びる複数の中空糸膜モジュールと、
前記複数の中空糸膜モジュールのそれぞれは、前記第1方向に直交する平面において、重ならない位置に配置され、
前記シャフトを囲み、前記ろ室の内部の前記第1方向の処理液の移動を抑制する区画壁をさらに備え、
前記第1方向の第1位置の前記シャフトに接続された複数の第1の中間配管にそれぞれ接続される、第1群の中空糸膜モジュールと、
前記第1方向の前記第1位置とは異なる第2位置の前記シャフトに接続された複数の第2の中間配管にそれぞれ接続される第2群の中空糸膜モジュールと、を備え、
前記区画壁は、前記第1群の中空糸膜モジュールと前記第2群の中空糸膜モジュールとの前記第1方向の間を区画し、
前記区画壁の内側と前記シャフトの間には、隙間がある、
ろ過装置。
【請求項3】
前記中空糸膜モジュールが延びる方向は、前記第1方向に対して鋭角に傾斜している、
請求項に記載のろ過装置。
【請求項4】
前記第1方向に直交する平面において、前記ハウジングの内側に収まる最大の内周円の中心と、前記シャフトの回転軸とがずれている、
請求項1からのいずれか1項に記載のろ過装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ろ過装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、回転式の中空糸膜モジュールユニットが記載されている。特許文献1の中空糸膜モジュールユニットによれば、回転によって中空糸膜の表面に堆積した膜面付着物が洗浄、除去されやすいとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-5433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ろ過装置においては、さらに膜面付着物が堆積しにくくなり、ろ過障害が抑制されることが望まれている。
【0005】
本開示は、膜面付着物が堆積しにくくなり、ろ過障害が抑制される、ろ過装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様のろ過装置は、第1流路を有する、回転可能なシャフトと、内部空間である、ろ室を有し、前記ろ室の内部に前記シャフトが挿入されるハウジングと、前記第1流路に連通し、前記シャフトが延びる第1方向に直交する平面において、前記シャフトからそれぞれ遠ざかる複数の中間配管と、前記中間配管に連通する複数の中空糸膜を備え、接続された前記中間配管が延びる方向に交差する方向にそれぞれ延びる複数の中空糸膜モジュールと、前記複数の中空糸膜モジュールのそれぞれは、前記第1方向に直交する平面において、重ならない位置に配置されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、膜面付着物が堆積しにくくなり、ろ過障害が抑制されるろ過装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態1に係る、ろ過装置を模式的に示す構成図である。
図2図2は、実施形態1に係るシャフトが延びる第1方向にみて、中空糸膜モジュールの配置を説明する説明図である。
図3図3は、実施形態1に係る中空糸膜モジュールを模式的に説明する説明図である。
図4図4は、実施形態2に係る、ろ過装置を模式的に示す構成図である。
図5図5は、実施形態3に係る、ろ過装置を模式的に示す構成図である。
図6図6は、実施形態3に係るシャフトが延びる第1方向にみて、中空糸膜モジュールの配置を説明する説明図である。
図7図7は、実施形態4に係る、ろ過装置を模式的に示す構成図である。
図8図8は、実施形態4に係るシャフトが延びる第1方向にみて、区画壁を説明する説明図である。
図9図9は、実施形態5に係る、ろ過装置を模式的に示す構成図である。
図10図10は、実施形態6に係る、中空糸膜モジュールを模式的に示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本開示が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0010】
(実施形態1)
実施形態1に係るろ過装置1は、溶媒中に粒子が分散されたスラリー(懸濁液)を濃縮する装置である。スラリーにおいて分散された抽出対象粒子は、例えば、ナノ粒子などの微粒子、コロイド微粒子、又は微細バイオマス粒子である。溶媒は、例えば水である。なお、ろ過装置1の用途は、特に限定されない。ろ過装置1は、例えば、スラリーに対する抽出に用いられてもよいし、スラリーに対する溶媒置換に用いられてもよいし、スラリーに対する洗浄に用いられてもよい。スラリーは、被処理液とも言う。
【0011】
図1は、実施形態1に係る、ろ過装置を模式的に示す構成図である。図2は、実施形態1に係るシャフトが延びる第1方向にみて、中空糸膜モジュールの配置を説明する説明図である。図3は、実施形態1に係る中空糸膜モジュールを模式的に説明する説明図である。
【0012】
図1に示すように、実施形態1のろ過装置1において、ろ過処理部4が支持筐体11に固定されている。支持筐体11は、支持板12と、モータ固定部13と、シャフト支持部14とを備える。シャフト支持部14は、円筒状であり、支持板12に固定されている。シャフト支持部14の内側には、軸受19を介して、シャフト31が回転可能に支持されている。
【0013】
モータ固定部13は、モータ21を固定している。モータ21の出力軸22は、駆動ベルト23を駆動する。駆動ベルト23は、減速機24を介して、シャフト31に、モータ21の回転を伝達する。つまり、モータ21は、減速機24を介して、シャフト31と接続される。モータ21で生じたトルクが、減速機24によって増大したうえで、シャフト31に伝達される。本実施形態では、モータ21、出力軸22、駆動ベルト23及び減速機24がシャフト31を回転させる駆動部となる。
【0014】
ろ過処理部4は、支持板12に固定されているハウジング40を有している。図1に示すように、ハウジング40は、内部に空間を有する。ハウジング40の内部空間は、ろ室49である。ハウジング40は、シャフト31及びろ過ユニット5を内部に収容する。ハウジング40には、シャフト31が挿入されている。ハウジング40は、ろ室49が封止された上で支持板12に固定される。実施形態1のろ過ユニット5は、複数の中空糸膜モジュール51を有しており、シャフト31の回転軸Axに沿う第1方向に、複数の中空糸膜モジュール51が並んでいる。
【0015】
図1に示すように、原液供給部74は、ハウジング40に取り付けられる。スラリーの原液81は、容器71に貯留されており、原液供給部74を介してろ室49に供給される。原液供給装置72は、原液供給部74の配管経路に設けられる。原液供給装置72は、例えばポンプであって、原液供給部74の配管経路内を加圧することによって、スラリーの原液81を、ろ室49に供給する。原液供給部74の配管経路には、制御弁73が設けられ、制御弁73を閉めることで、ろ室49内から容器71へのスラリーの原液81の逆流を抑制できる。
【0016】
図1に示すように、排出部77は、ハウジング40に取り付けられる。排出部77は、ろ室49で濃縮されたスラリーの処理液83を外部の容器75へ排出する。排出部77の配管経路には、制御弁76が設けられ、制御弁76を開けることで、ろ室49内から容器75へのスラリーの処理液83を排出できる。排出部77の配管にもポンプを介在させて、ろ室49からスラリーの処理液83を排出するようにしてもよい。
【0017】
図1に示すように、ろ液排出部33は、ロータリージョイント32を介して、シャフト31内の第1流路35(図2参照)に連通している。ろ液排出部33は、例えば不図示のポンプによって、ろ液82を第1流路35(図2参照)から排出する。
【0018】
図2に示すように、シャフト31は、ハウジング40の内部に配置される。シャフト31は、ハウジング40に対して例えば方向Rfへ回転できる。シャフト31は、ハウジング40に対して方向Rfの逆方向へも回転できる。シャフト31は、回転軸Axを中心として回転する。回転軸Axは、水平方向と平行である。図1において、紙面の左右方向が水平方向であり、図2において、紙面に垂直な方向が水平方向である。以下の説明において、回転軸Axと平行な方向は、第1方向と記載される。回転軸Axに対して直交する直線と平行な方向は、径方向と記載される。回転軸Axを中心とした円周に沿う方向は、単に周方向と記載される。
【0019】
図2に示すように、シャフト31は、内部に第1流路35を備える。シャフト31は、中空の筒部材である。第1流路35は、シャフト31の第1方向に沿って形成されており、ろ室49とは隔てられている。図2に示すように、第1方向に直交する平面において、ハウジング40の内側に収まる最大の内周円の中心Bxと、シャフト31の回転軸Axとがずれている。実施形態1の中空糸膜モジュール51が回転して描く軌跡の最大径MCは、ハウジング40の内側に収まる最大の内周円の中に収まる。ハウジング40の内側の形状は、円でなくてもよく、例えば矩形や多角形でもよい。
【0020】
実施形態1のろ過ユニット5は、シャフト31に沿って、7つ並んでいる。実施形態1のろ過ユニット5は、同じ第1方向の位置の周方向に、中空糸膜モジュール51を5つ備えている。中空糸膜モジュール51は、中間配管52を介して、シャフト31の第1流路35に接続されている。
【0021】
図3に示すように、シャフト31は、内筒31Aと、外筒31Bとを有している。第1流路35は、内筒31Aの内側であって、かつ第1方向に沿って形成されている。第1流路35は、内筒31Aの貫通孔36を介して、内筒31Aと外筒31Bとの間に形成された貯留部37と連通している。中間配管52の内部には、第2流路521を有している。第2流路521は、貯留部37及び貫通孔36を介して第1流路35に接続されている。第1流路35と第2流路521との間に、第2流路よりも体積の大きな貯留部37が介在することで、第1流路35の脈動が抑制される。
【0022】
図3に示すように、中空糸膜モジュール51は、複数の中空糸膜54を備える。中空糸膜54は、例えば、精密ろ過膜(MF膜(Microfiltation Membrane))が用いられる。中空糸膜54の材料は、ポリフッ化ビニリデンなどが用いられる。実施形態1では、中空糸膜54の膜外側表面がろ過面となっている。このため、中空糸膜54は、外圧型中空糸膜とよばれる。中空糸膜54の一端は、中空糸内部に連通する、ろ液室55に接続されており、中空糸膜54の他端は、閉止部56で閉止されている。中空糸膜モジュール51は、中間配管52に取付部53を介して接続されている。これにより、ろ液室55は、取付部53内の接続流路531を介して、第2流路521に連通する。
【0023】
一般的に、中空糸膜54は、容積当りのろ過面積が膨大で、コンパクトな装置であっても、スラリーの原液81の大量処理が可能である。しかしながら、中空糸膜54の外表面の膜面付着物による、ろ過障害(ファウリングともいう)を抑制する必要がある。
【0024】
実施形態1のろ過装置1は、ろ過障害を抑制するために、シャフト31とともに、ろ過ユニット5を回転させる。ろ過ユニット5の回転により、中空糸膜54の表面に堆積した膜面付着物が除去されやすくなる。ファウリングを抑制する効果が高まる速度領域として、概ね、中空糸膜54の膜面付近の平均速度が2m/Sになるように、ろ過ユニット5の回転速度は、調整されることが望ましい。
【0025】
ここで、特許文献1のように、中空糸膜モジュール51の長手方向が第1方向と平行である比較例について説明する。比較例の中空糸膜モジュール51が回転して描く軌跡は、中空糸膜モジュール51の直径を最大幅とする細いドーナッツ状であって、中空糸膜54の膜面付近の液体に乱流が起こりにくい。
【0026】
これに対して、図2に示すように、実施形態1の中空糸膜モジュール51の長手方向は、径方向に対して傾いている。そして、中空糸膜モジュール51が回転して描く軌跡は、第1方向に直交する平面で、中空糸膜モジュール51の直径よりも大きな幅となるドーナッツ状である。これにより、実施形態1のろ過装置1は、比較例よりも中空糸膜54の膜面付近の液体に乱流が生じやすく、比較例よりもファウリングを抑制する効果が高まる。
【0027】
以上説明したように、実施形態1のろ過装置1は、シャフト31と、ハウジング40と、複数の中間配管52と、複数の中空糸膜モジュール51とを備える。シャフト31は、第1流路35を有し、駆動部により回転可能である。ハウジング40の内部空間には、ろ室49がある。ろ室49には、シャフト31が挿入されている。中間配管52は、ろ室49内において、第1流路35に連通する第2流路521を有する。中間配管52は、シャフト31が延びる第1方向に直交する平面において、シャフト31から遠ざかる方向に延びている。中間配管52の側面には、中空糸膜モジュール51が接続され、中空糸膜モジュール51において、複数の中空糸膜54の内部空間が第2流路521に連通している。第1方向に直交する平面において、中空糸膜モジュール51の長手方向と、中間配管52の長手方向とは、交差している。そして、図2に示すように、複数の中空糸膜モジュール51のそれぞれは、第1方向に直交する平面において、重ならない位置に配置されている。
【0028】
シャフト31が回転軸Axを中心として回転すると、中空糸膜54の膜表面に、スラリーのせん断力及び遠心剥離力が生じて、膜面付着物が堆積しにくくなり、ろ過障害が抑制される。
【0029】
複数の中間配管52は、それぞれ、シャフト31から放射状に延びており、中空糸膜モジュール51は、接続された各中間配管52が延びる方向に直交する方向に延びている。これにより、第1方向に直交する平面に、密な状態で複数の中空糸膜モジュール51を並べることができる。その結果、スラリーにおいて分散された抽出対象粒子の抽出効率を向上させることができる。
【0030】
図2に示すように、第1方向に直交する平面において、ハウジング40の内側に収まる最大の内周円の中心Bxと、シャフト31の回転軸Axとがずれている。このため、シャフト31が回転軸Axを中心として回転すると、中空糸膜モジュール51がろ室49内のスラリーをかき混ぜる。実施形態1の中空糸膜モジュール51が回転して描く軌跡の最大径MCと、ハウジング40との間の空間の大きさが、シャフト31の周方向沿って異なっているので、実施形態1の中空糸膜モジュール51が回転に伴って、ろ室49内に乱流が生じるようになる。その結果、中空糸膜54の膜表面に膜面付着物があったとしても、膜面付着物が剥離しやすい。
【0031】
なお、実施形態1では、ろ室49の内部圧力は、加圧されており、第1流路35の内部圧力よりも大きい。他の態様としては、第1流路35の内部圧力を真空引きするなどにより陰圧することで、ろ室49の内部圧力が、第1流路35の内部圧力よりも相対的に大きくするようにしてもよい。
【0032】
(実施形態2)
図4は、実施形態2に係る、ろ過装置を模式的に示す構成図である。実施形態2の中間配管は、実施形態1と異なり屈曲している。実施形態2では、実施形態1と同じ構成について同じ符号を付して、説明を省略する。
【0033】
実施形態2のろ過ユニット5は、同じ第1方向の位置の周方向に、中空糸膜モジュール51を2つ備えている。図4に示すように、2つの中間配管52は、それぞれ、シャフトの180°反対側に延びている。中間配管52が第1の中間配管とすると、第1の中間配管52に接続される第2の中間配管57がある。第1の中間配管の第2流路は、第2の中間配管57の第2流路と連通しており、中空糸膜モジュール51は、第2の中間配管57に取付部53を介して接続されている。その結果、2つの中空糸膜モジュール51は、互いに平行な方向に延びている。第1の中間配管52と、第2の中間配管57とが1つの中間配管とみなすと、中間配管は、屈曲していることになる。これにより、中空糸膜モジュールは、互いに平行な方向に延びることができる。第1の中間配管52と、第2の中間配管57とが一体で形成され、中間配管がエラストマーなどの柔軟性を有する材料で形成されていてもよい。
【0034】
第1方向に直交する平面において、中空糸膜モジュール51の長手方向と、中間配管52の長手方向とは、交差している。そして、図2に示すように、2つの中空糸膜モジュール51のそれぞれは、第1方向に直交する平面において、重ならない位置に配置されている。そして、シャフト31が回転軸Axを中心として回転すると、中空糸膜54の膜表面に、スラリーのせん断力及び遠心剥離力が生じて、膜面付着物が堆積しにくくなり、ろ過障害が抑制される。
【0035】
(実施形態3)
図5は、実施形態3に係る、ろ過装置を模式的に示す構成図である。図6は、実施形態3に係るシャフトが延びる第1方向にみて、中空糸膜モジュールの配置を説明する説明図である。図6は、中空糸膜モジュールの配置の図5に示すVI-VI矢視断面図である。実施形態3の中空糸膜モジュールは、実施形態1と異なり、中空糸膜モジュールの長手方向が第1方向に対して鋭角に傾斜している。実施形態3では、実施形態1と同じ構成について同じ符号を付して、説明を省略する。
【0036】
図5に示すように、実施形態3のろ過装置1は、第1群の中空糸膜モジュール51A、第2群の中空糸膜モジュール51B、及び第3群の中空糸膜モジュール51Cを有する。第1群の中空糸膜モジュール51A、第2群の中空糸膜モジュール51B、及び第3群の中空糸膜モジュール51Cは、それぞれ周方向に4つの中空糸膜モジュール51を備えている。
【0037】
第1群の中空糸膜モジュール51A、第2群の中空糸膜モジュール51B、及び第3群の中空糸膜モジュール51Cは、第1方向に沿って並んでいる。第1群の中空糸膜モジュール51Aは、第1方向におけるシャフト31の第1位置に接続された第1の中間配管52Aに接続されている。第2群の中空糸膜モジュール51Bは、第1方向におけるシャフト31の第2位置に接続された第2の中間配管52Bに接続されている。第3群の中空糸膜モジュール51Cは、第1方向におけるシャフト31の第3位置に接続された第3の中間配管52Cに接続されている。
【0038】
図6に示すように、周方向に隣り合う第2群の中空糸膜モジュール51Bの間には、第1群の中空糸膜モジュール51Aが配置されている。第1群の中空糸膜モジュール51Aと、第2群の中空糸膜モジュール51Bとは、第1方向からみて、千鳥配置されている。また、図示はしないが、周方向に隣り合う第3群の中空糸膜モジュール51Cの間には、第2群の中空糸膜モジュール51Bが配置されている。第2群の中空糸膜モジュール51Bと、第3群の中空糸膜モジュール51Cとは、第1方向からみて、千鳥配置されている。
【0039】
これにより、第1群の中空糸膜モジュール51A、第2群の中空糸膜モジュール51B、及び第3群の中空糸膜モジュール51Cは、第1方向に直交する平面において、重ならない位置に配置されている。周方向に隣り合う中空糸膜モジュール51の間には、他の中空糸膜モジュール51を配置できるので、ろ室49内に密な状態で複数の中空糸膜モジュール51を並べることができる。
【0040】
(実施形態4)
図7は、実施形態4に係る、ろ過装置を模式的に示す構成図である。図8は、実施形態4に係るシャフトが延びる第1方向にみて、区画壁を説明する説明図である。図8は、区画壁60の図7に示すVIII-VIII矢視断面図である。実施形態4の中空糸膜モジュールは、実施形態1と異なり、第1群の中空糸膜モジュール51Aと第2群の中空糸膜モジュール51Bとの第1方向の間が区画壁60で区画されている。実施形態4では、実施形態1と同じ構成について同じ符号を付して、説明を省略する。
【0041】
第1群の中空糸膜モジュール51A、第2群の中空糸膜モジュール51B、第3群の中空糸膜モジュール51C、第4群の中空糸膜モジュール51D、第5群の中空糸膜モジュール51E、第6群の中空糸膜モジュール51F、及び第7群の中空糸膜モジュール51Gは、第1方向に沿って並んでいる。
【0042】
第1群の中空糸膜モジュール51Aと第2群の中空糸膜モジュール51Bとの第1方向の間が区画壁60で区画されている。同様に、区画壁60は、第1方向に隣り合う中空糸膜モジュール51の各群の間を区画している。
【0043】
図8に示すように、区画壁60は、2つの区画板61に分割されている。区画板61は、ハウジング40(図7参照)に取り付けられたピン62が貫通しており、ピン62よりも直径の大きい止め輪64で、区画板61がピン62から抜けないようになっている。区画板61は、ピン62の周りを回動可能である。2つの区画板61は、固定ボルト63で固定されると、隙間SPを除く、ハウジング40(図7参照)の第1方向に直交する平面を塞ぐことができる。2つの区画板61の内側縁611と、シャフト31との間には、隙間SPができる。図7に示すように、区画壁60は、ハウジング40の内部のろ室を第1区画41から第8区画48まで8つに区画することができる。
【0044】
図7に示すように、原液供給部74は、第1区画41に対応するハウジング40に取り付けられる。排出部77は、第8区画48に対応するハウジング40に取り付けられる。制御弁73が開かれており、スラリーの原液81は、原液供給部74を介して第1区画41に連続的に供給される。ろ室の内部の第1方向の処理液の移動が区画壁60で抑制されているので、処理液が第1区画41から第8区画48のそれぞれに一定時間滞留する。第1区画41に供給されたスラリーの原液81の分、第1区画41に滞留するスラリーは、隙間SPを通じて、第2区画42へ移動する。同様に、第2区画42で抽出対象粒子が一定程度濃縮されたスラリーは、隙間SPを通じて、第3区画43へ移動する。例えば、第1区画41から第8区画48のそれぞれで、スラリーが1%程度濃縮されるとすると、第1区画41から第8区画48へ移動したスラリーは、8%濃縮される。このように、第1区画41から第8区画48へ順に、スラリー中の抽出対象粒子の濃度が高くなる。
【0045】
これによれば、第1区画41から第8区画48のスラリーにおいて、抽出対象粒子の濃度勾配が発生する。したがって、実施形態4のろ過装置1は、排出部77から所定濃度のスラリーの処理液83を連続的に得ることができる。
【0046】
(実施形態5)
図9は、実施形態5に係る、ろ過装置を模式的に示す構成図である。実施形態5の中空糸膜モジュールは、実施形態4と異なり、中空糸膜モジュール51の長手方向が第1方向に対して鋭角に傾斜している。実施形態4では、実施形態1、実施形態3及び実施形態4と同じ構成について同じ符号を付して、説明を省略する。
【0047】
実施形態5の区画壁60は、中空糸膜モジュール51の長手方向が第1方向になす角度に応じて、第1方向に対して鋭角に傾斜している。実施形態5のろ過ユニット5の構造は、実施形態3と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0048】
実施形態5のろ過装置1も、第1区画41から第3区画43のスラリーにおいて、抽出対象粒子の濃度勾配が発生する。したがって、実施形態5のろ過装置1は、排出部77から所定濃度のスラリーの処理液83を連続的に得ることができる。
【0049】
(実施形態6)
図10は、実施形態6に係る、中空糸膜モジュールを模式的に示す構成図である。実施形態6の中空糸膜モジュールは、実施形態1と異なり、中空糸膜54の他端が閉止されていない。実施形態4では、実施形態1と同じ構成について同じ符号を付して、説明を省略する。
【0050】
実施形態6の中空糸膜54の一端及び他端は、中空糸内部に連通する、ろ液室55に接続されており、中間部分で折り返し部58がある。
【0051】
なお、上記した実施の形態は、本開示の理解を容易にするためのものであり、本開示を限定して解釈するためのものではない。本開示は、その趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得るとともに、本開示にはその等価物も含まれる。
【符号の説明】
【0052】
1 ろ過装置
4 ろ過処理部
5 ろ過ユニット
11 支持筐体
12 支持板
13 モータ固定部
14 シャフト支持部
19 軸受
21 モータ
22 出力軸
23 駆動ベルト
24 減速機
31 シャフト
32 ロータリージョイント
33 液排出部
35 第1流路
40 ハウジング
41~48 第1区画~第8区画
49 ろ室
51、51A、51B、51C、51D、51E、51F、51G 中空糸膜モジュール
52 中間配管
52A 第1の中間配管
52B 第2の中間配管
52C 第3の中間配管
53 取付部
54 中空糸膜
55 液室
56 閉止部
57 第2の中間配管
58 折り返し部
60 区画壁
61 区画板
62 ピン
72 原液供給装置
73、76 制御弁
74 原液供給部
71、75 容器
77 排出部
81 原液
83 処理液
521 第2流路
531 接続流路
Ax 回転軸
Bx 中心
SP 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10