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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/86 20060101AFI20240307BHJP
   B65H 5/12 20060101ALN20240307BHJP
【FI】
B65G47/86 H
B65H5/12 B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023538429
(86)(22)【出願日】2022-07-14
(86)【国際出願番号】 JP2022027720
(87)【国際公開番号】W WO2023008211
(87)【国際公開日】2023-02-02
【審査請求日】2023-11-20
(31)【優先権主張番号】P 2021125052
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021184703
(32)【優先日】2021-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591040708
【氏名又は名称】株式会社瑞光
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(74)【代理人】
【識別番号】110001265
【氏名又は名称】弁理士法人山村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 幸彦
(72)【発明者】
【氏名】有馬 卓志
(72)【発明者】
【氏名】河野 考純
(72)【発明者】
【氏名】中村 秀幸
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特許第4054191(JP,B2)
【文献】特開2016-50095(JP,A)
【文献】特開平4-371416(JP,A)
【文献】国際公開第2020/250710(WO,A1)
【文献】特開2005-298193(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/84-47/86
B65G 47/91
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周速度が変速されながら、着用物品の一部を構成するワークWを保持して搬送する複数のパッド20を有する搬送装置であって、
回転中心である軸線Sを有する回転軸41と、
前記回転軸41に対し周速度が変速されながらワークWを保持して搬送する複数のパッド20と、
前記各パッド20を変速させる変速機構2と、
前記パッド20ごとに設けられ、前記各変速機構2を駆動する出力軸M1を有するモータMとを備え、
前記軸線Sのまわりを回転し、前記軸線Sの延びる方向において前記変速機構2と前記モータMとの間に配置された回転体21が設けられ、
ここにおいて、前記各モータMは、
前記回転体21に取り付けられ、
前記回転軸41の軸線Sのまわりに、かつ、前記回転軸41の軸線Sが延びる方向に前記出力軸M1が互いに平行となるように配置されている、搬送装置。
【請求項2】
請求項1において、前記変速機構2は、
前記モータMの出力軸M1からの入力で揺動するクランクアーム22と、前記クランクアーム22の先端部25と前記パッド20とを連結するリンクレバー23とを備える、搬送装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記回転体21は前記回転軸41と一体になって前記軸線Sのまわりを回転するように前記回転軸41に固定されており、前記モータMの出力軸M1は前記クランクアーム22の揺動中心22cに連結されて、前記揺動中心22cを中心として前記クランクアーム22を揺動させるように構成されている、搬送装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記回転体21における前記パッド20が配置された側とは反対の外側面27に前記モータMが取り付けられ、
前記回転体21の前記外側面27とは反対側の内側面26に沿って前記クランクアーム22が配置されている、搬送装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項において、
前記各モータMのうち互いに隣り合うモータMは、前記回転軸41の軸線S方向に互いにオフセットされて配置されている、搬送装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記各モータMは前記出力軸M1に連結された各減速機Gを有しており、
前記各減速機Gのうち互いに隣り合う減速機Gの取付ベースMが前記回転軸41の軸線S方向に互いにオフセットされて配置されている、搬送装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記各モータMのうち1つのモータMの減速機Gの出力軸G1は前記変速機構2に直接連結され、
前記各モータMのうち前記1つのモータMの隣りのモータMの減速機Gの出力軸G1は継手Jを介して前記変速機構2に連結されている、搬送装置。
【請求項8】
請求項1において、前記回転体21は各パッド20ごとに互いに分離されて複数設けられ、
前記各変速機構2は、前記回転軸41と一体に回転する太陽歯車2と、前記回転体21に固定された前記モータMの出力軸M1に連結されて回転する遊星歯車2とを備える、搬送装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項において、
前記回転軸41に駆動力を入力する入力部42を更に備え、
前記入力部42と前記回転体21の内側面26との間に前記複数のパッド20が配置され、
前記回転体21における前記内側面26とは反対側の外側面27に前記モータMが取り付けられて、前記回転体21の内側面26側に前記パッド20が配置され、前記回転体21の外側面27側に前記モータMが配置されている、搬送装置。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか1項において、
前記回転軸41を回転自在に支持する固定ドラム1と、
前記固定ドラム1に対し前記パッド20を回転自在に支持すると共に、前記パッド20の周回を案内する案内部材10とを更に備え、
前記固定ドラム1を貫通するように前記回転軸41が設けられ、
前記回転軸41の軸線方向の一方の第1端部411に前記回転軸41に駆動力を入力する入力部42が取り付けられ、
前記回転軸41の他方の第2端部412に前記回転体21が取り付けられ、
これにより、前記固定ドラム1における前記入力部42が配置された一方の側部とは反対の他方の側部に前記各モータMが配置されている、搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数のパッドが周回しながら、着用物品の一部を構成するワークを各パッドに保持して搬送する着用物品の搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
受取位置においてワークを受け取り、渡し位置においてワークを引き渡すまでにパッドの周速度(角速度)を変速し、互いに隣り合うパッド同士の間の間隔を変化させる搬送装置は周知である(特許文献1~3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2015-530931(FIG.1)
【文献】特許4054191
【文献】特許5347148
【発明の概要】
【0004】
特許文献1には、各パッドごとにモータが配置され、モータにより変速を行うことが開示されている。しかし、変速機構の具体的な構造は開示されていない。
【0005】
特許文献2の発明ではパッドをカムにより変速させている。しかし、カムの形状や構造は固定的であるため、パッド間の間隔の変更の自由度がなく、ワークのサイズ変更や種類の変更に対応するのが難しい。
図8(a)および(b)は、上記特許文献2に開示された変速機構等を示す正面図および断面図である。これらの図において、リンクレバー23を介して図示しないパッドに連結されたクランクアーム22は、その揺動中心220において、カムローラ223が基体部40のカム溝44に嵌り込んでいる。基体部40は回転軸41を支持するもので、システムのフレームに固定されている。
この先行技術ではクランクアーム22は、その揺動中心220において、回転軸41と共に回転する回転体21に揺動可能に嵌り込んで上記カムローラ223が上記カム溝44に沿って回転移動することで揺動する。
このような構造において、クランクアーム22の揺動をモータで駆動させることはできない。
また、上記回転体21にモータを取り付けることも何ら開示も示唆もなされていないし、仮に回転体21にモータを取り付けても当該モータでクランクアーム22を揺動させるようにモータを取り付けることはできない。
【0006】
特許文献3の発明では、パッドごとに設けたプーリにより変速している。モータの出力を受ける前記プーリが搬送装置の径方向および軸方向の双方に突出し搬送装置の大型化する要因となる。
【0007】
したがって、本発明の目的は、搬送装置の大型化を極力抑え、かつ、パッド間の間隔の変更の自由度ひいては、ワークの間隔の変更の自由度が大きい搬送装置を提供することである。
【0008】
本発明の搬送装置は、周速度が変速されながら、着用物品の一部を構成するワークWを保持して搬送する複数のパッド20を有する搬送装置であって、
回転中心である軸線Sを有する回転軸41と、
前記回転軸41に対し周速度が変速されながらワークWを保持して搬送する複数のパッド20と、
前記各パッド20を変速させる変速機構2と、
前記パッド20ごとに設けられ、前記各変速機構2を駆動する出力軸M1を有するモータMとを備え、
前記軸線Sのまわりを回転し、前記軸線Sの延びる方向において前記変速機構2と前記モータMとの間に配置された回転体21が設けられ、
ここにおいて、前記各モータMは、
前記回転体21に取り付けられ、
前記回転軸41の軸線Sのまわりに、かつ、前記回転軸41の軸線Sが延びる方向に前記出力軸M1が互いに平行となるように配置されている。
【0009】
本発明によれば、各パッドごとに設けたモータを変速することにより変速機構を介してパッドの変速を行う。したがって、パッド間の間隔の変更の自由度ひいては、ワークの間隔の変更の自由度が大きい。
【0010】
一方、各モータが回転軸のまわりに、かつ、各モータの出力軸が回転軸の軸線と平行となるように、各モータが配置されているため、軸方向に長いモータを多数配置しても搬送装置が大型化しにくい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は本発明の搬送装置の実施形態1を示す正面図である。
図2図2は同縦断面図である。
図3図3は1つのモータMにおける搬送装置の同部分拡大図である。
図4図4は1つのモータMの隣のモータMにおける搬送装置の部分拡大図である。
図5図5は本発明の搬送装置の実施形態2を示す正面図である。
図6図6は同縦断面図である。
図7図7は同部分拡大図である。
図8図8(a)および(b)は、それぞれ、特許4054191に開示された変速機構を示す正面図および断面図である。
【0012】
図2図3図4図6および図7において、一部の部品については図面を見易くするために断面を示すハッチングに代えてグレーで着色して示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、添付の図面を参考にした以下の好適な実施形態の説明からより明瞭に理解されるであろう。しかしながら、実施形態および図面は単なる図示および説明のためのものであり、本発明の範囲を定めるために利用されるべきものではない。本発明の範囲は請求の範囲のみに基づいて定められる。添付図面において、複数の図面における同一の部品番号は、同一または相当部分を示す。
【0014】
以下、本発明の実施形態が図面にしたがって説明される。図1図4は実施形態1を示す。
図1は本発明の実施形態1にかかる搬送装置T等の概略正面図である。
【0015】
複数の各パッド20は搬送装置Tの周回軌道に沿って変速されながら回転し、受取位置Pにおいて渡しロール50からワークWを受け取り、渡し位置P1において前記ワークWを転写ロール51上に渡す。
【0016】
搬送装置Tは各パッド20ごとに以下に説明する変速機構2を有する。変速機構2はパッド20ごとに設けられたモータMにより駆動される。
【0017】
図2に示すように、搬送装置Tは回転中心である軸線Sを有する中空の回転軸41と、この回転軸41と一体になって回転軸41のまわりを回転する回転体21とを備える。複数の各パッド20は回転軸41に対し周速度(角速度)が変速されながらワークWを保持して搬送する。
【0018】
つぎに、この実施形態の変速機構2の詳細について説明する。
各変速機構2は図2のモータMの出力軸M1からの入力で揺動するクランクアーム22と、図1のクランクアーム22の先端部25とパッド20とを連結するリンクレバー23とを備える。
【0019】
図1に示すように、回転体21には揺動中心22cを中心として揺動する複数個のクランクアーム22が取り付けられている。、複数個のクランクアーム22の揺動中心22cは仮想の円周上に等角度ピッチで配置されている。各クランクアーム22の揺動中心22cの間隔は不変であり、これらクランクアーム22の揺動中心22cは図2の回転体21とともに同じ角速度で回転する。
【0020】
図2において、モータMの出力軸M1はクランクアーム22の揺動中心22cに減速機Gを介して連結されており、往復回転することで、揺動中心22cを中心としてクランクアーム22を揺動させる。
【0021】
図1のクランクアーム22は、一定の角度範囲内で周期的に揺動し、クランクアーム22の先端部25が周期的に揺動する。つまり、図1において、減速中には、クランクアーム22の先端部25がクランクアーム22の揺動中心22cよりも周回方向Rに沿って搬送方向に角αだけ変位し、増速中には前記先端部25が搬送方向とは逆の逆方向に角βだけ変位する。
【0022】
クランクアーム22の先端部25にピン連結されたリンクレバー23、ならびに、リンクレバー23にピン連結された連結ブロック24も、クランクアーム22の先端部25の揺動に連動して、変位する。このクランクアーム22の揺動によって、クランクアーム22の揺動中心22cに対し連結ブロック24が周方向に変位するため、前後の連結ブロック24同士の間隔も変化する。その結果、連結ブロック24に配置された保持パッド20の角速度が変化すると共に、互いに隣り合うパッド20,20同士の周回方向Rの間隔が変化する。
【0023】
クランクアーム22の揺動の範囲(α+β)は、モータMの回転角の範囲で定まる。したがって、モータMの回転角の範囲を制御することにより、揺動の範囲(α+β)、ひいては、隣り合うパッド20,20間の間隔を自由に設定することができる。
【0024】
つぎに、搬送装置Tの更なる詳細について説明する。
【0025】
図2において、回転軸41は固定ドラム1に回転自在に支持されている。固定ドラム1には一対の案内部材10が設けられている。この案内部材10は固定ドラム1に対しパッド20を回転自在に支持すると共に、パッド20の周回を案内する。
なお、固定ドラム1は図示しない設備のフレームに固定されている。
【0026】
回転軸41は固定ドラム1を貫通するように設けられている。回転軸41における固定ドラム1から突出する一方の第1端部411に回転軸41に駆動力を入力する入力部42が取り付けられている。
【0027】
回転軸41の固定ドラム1から突出する他方の第2端部412に回転体21が取り付けられている。回転体21は回転軸41と一体になって軸線Sのまわりを回転するように回転軸41に固定されている。回転体21は軸線Sの延びる方向において変速機構2とモータMとの間に配置されている。
【0028】
各モータMは各減速機Gを介して回転体21に固定されている。こうして、固定ドラム1における入力部42が配置された一方の側部とは反対の他方の側部に各モータMが配置されている。なお、各モータMは減速機Gおよび継手Jを介して回転体21に固定されていてもよい。
【0029】
すなわち、回転体21は内側面26および外側面27を有し、入力部42と回転体21の内側面26との間に複数のパッド20およびパッド20を回転自在に支持する固定ドラム1が配置されている。他方、回転体21における内側面26とは反対側の外側面27に各モータMが取り付けられている。こうして、回転体21の内側面26側に固定ドラム1およびパッド20が配置され、回転体21の外側面27側に各モータMが配置されている。
【0030】
図1において、回転体21に取り付けられた各モータMは、回転軸41(図3)の軸線Sのまわりの仮想の円周上に等角度ピッチで配置されている。また、図2に示すように、回転体21は回転軸41の軸線Sが延びる方向に各モータMの出力軸M1が互いに平行となるように配置されている。こうして、パッド20の吸着用エアの配管材30により生じたデッドスペースに各モータMを効率良く配置することができる。
なお、配管材30を通して吸引されたエアにより、つまり吸着用エアの負圧により各パッド20にワークが吸着保持される。
【0031】
図3および図4は周回方向Rに互いに隣り合うモータMおよび減速機G等を示す。
図3および図4に示すように、各モータMのうち互いに隣り合うモータMは、回転軸41の軸線S方向に互いにオフセット(図2参照)されて配置されている。すなわち、各モータMは出力軸M1に連結された各減速機Gを有しており、前記各減速機Gのうち互いに隣り合う減速機Gの取付ベース(取付フランジ)Mが回転軸41の軸線S方向に互いにオフセットされて配置されている。なお、各減速機Gは取付ベースMを介して回転体21に取り付けられている。
更に詳しくは、図1の前記各モータMのうち1つのモータMは、図3のように、減速機Gの出力軸G1が変速機構2のクランクアーム22に直接連結されている。
一方、図1の各モータMのうち前記1つのモータMの隣りのモータMは、図4のように、減速機Gの出力軸G1が継手Jを介して前記変速機構2のクランクアーム22に連結されている。
ここで、図2に示すように、減速機GはモータMよりも径大で、図1の仮想線で示す略方形状の取付ベースMは、平面視において、互いに隣り合うもの同士が干渉する。そこで、図3および図4のように、互いに隣り合う取付ベースM同士が軸線S方向にオフセット(位置ズレして配置)されていることで、この干渉を防止でき、図1のようにモータMを密に配置して多数のパッド20を設けることができる。
【0032】
図2に示すように、前記各モータMには前記減速機Gが結合されており、互いに結合されたモータMおよび減速機Gはユニットを構成する。全てのユニットは1つのグループに属する第1ユニットU1と別のグループに属する第2ユニットU2とを含む。図1において、上記別のグループに属する第2ユニットU2の減速機G(図2)の取付ベースMはグレーで着色して示す。
【0033】
図1に示すように、前記第1ユニットU1と前記第2ユニットU2とは周方向に互いに隣り合っている。互いに隣り合うユニットの前記取付ベースM図1の正面図において、互いに重なって配置されている。しかし、前述のようにオフセットされているため、互いに隣り合う取付ベースMが互いに干渉し合うことはない。
以下、この点について更に詳しく説明する。
【0034】
図3は複数の第1ユニットU1のうちの1つを代表して図示している。
図3に示す第1ユニットU1はモータM、減速機Gおよびその取付ベースMを含む。この第1ユニットU1のグループにおいて、図示していないが、各モータMは軸線S方向の互いに同じ位置に配置され、各減速機Gは軸線S方向の互いに同じ位置に配置され、各取付ベースMは軸線S方向の互いに同じ位置に配置されている。
【0035】
図4は複数の第2ユニットU2のうちの1つを代表して図示している。
図4に示す第2ユニットU2はモータM、減速機Gおよびその取付ベースMの他に継手Jを含む。この第2ユニットU2のグループにおいて、図示していないが、各モータMは軸線S方向の互いに同じ位置に配置され、各減速機Gは軸線S方向の互いに同じ位置に配置され、各取付ベースMは軸線S方向の互いに同じ位置に配置されている。また、各継手Jは軸線S方向の互いに同じ位置に配置されている。
【0036】
すなわち、図2の第1ユニットU1のモータMと第2ユニットU2のモータMは前記継手Jの長さに相当する分だけ軸線S方向に互いにオフセットされている。また、第1ユニットU1の減速機Gと第2ユニットU2の減速機Gについても、更に、第1ユニットU1の取付ベースMと第2ユニットU2の取付ベースMについても同様にオフセットされている。
【0037】
したがって、図1の互いに重なって見える互いに隣り合う取付ベースMが互いに干渉し合うことはない。
【0038】
ユニットU1,U2のグループが2つである場合、ユニットU1,U2の総数やモータMの数は2の倍数となる。たとえば、本例の場合、これらの数は各々10個になる。
【0039】
グループの数は3つ以上であってもよく、その場合、ユニットの数は2の倍数でも3の倍数でなくてもよい。しかし、軸線S方向の機器の収まり具合や部品点数を考慮すると、グループの数は2つが望ましい。
【0040】
また、本例では図2の継手Jを設けて上記オフセットを実現しているが、軸線S方向の位置をオフセットできるものであればスペーサなどを設けてもよく、あるいはクランクアームの形状を変えてもよい。
【0041】
前述のように、図2の回転体21における前記パッド20が配置された側とは反対の外側面27にモータMが取り付けられている。一方、回転体21の前記外側面27とは反対側の内側面26に沿ってクランクアーム22が配置されている。
モータMの出力軸M1は、減速機Gを介して、クランクアーム22の揺動中心22cに連結されており、揺動中心22cを中心としてクランクアーム22を揺動させる。
【0042】
図1において、本例の場合、パッド20は連結ブロック24に対し、周回方向Rの法線Lのまわりに90°旋回し、ワークWを90°旋回させる。すなわち、図1のパッド20は受取位置Pで渡しロール50からワークWを受け取ると、変速しながら旋回し、渡し位置P1まで周回し、渡し位置においてワークWを転写ロール51上に渡す。
【0043】
この渡し動作後、パッド20は渡し位置P1から周回方向Rに周回する間に変速しながら旋回し、受取位置Pまで周回し、受取位置PにおいてワークWを受け取る。これらの動作を各パッド20が連続的に行うことで、ワークWが次々に搬送される。
【0044】
なお、図3および図4のパッド20が法線Lのまわりに90°旋回する機構は周知の周面カム1cなどを有していてもよい。かかる機構は例えばWO2005/075163に記載されており、ここにその全ての記述が組み込まれる。
【0045】
また、図1のパッド20は受取位置PにおいてワークWを負圧で吸着した後、保持し、周回方向Rに沿って周回して、渡し位置P1よりも上流において負圧を解除する。
【0046】
つぎに、搬送装置Tの搬送時の動作の詳細について説明する。
【0047】
図2において、入力部42からの回転力で、回転軸41が概ね一定の角速度で回転すると、板状の回転体21、モータMおよび図1のクランクアーム22の揺動中心22cも一定の角速度で回転する。
【0048】
図1の受取位置Pから渡し位置P1に至る第1経路(図面上部)においては、各パッド20はワークWを保持しており、この例では各パッド20は減速されながら隣り合うパッド20同士が互いに近づく。一方、図1の渡し位置P1から受取位置Pに至る第2経路(図面下部)においては、各パッド20はワークWを保持しておらず、この例では各パッド20は増速されながら隣り合うパッド20同士が互いに遠ざかる。
【0049】
図1のパッド20の減速時においては、つまり、渡し位置P1に近い上部の第1経路においては、パッド20の周回方向Rに対して、逆方向ΔR1の回転力がクランクアーム22に負荷されるように、モータMが第1方向に回転する。すなわち、クランクアーム22の進み角αが小さくなるように、モータMがクランクアーム22の揺動中心22cに対しマイナスの角加速度を与えるように、第1方向に回転する。
【0050】
一方、図1のパッド20の加速時においては、つまり、受取位置Pに近い下部の第2経路においては、パッド20の周回方向Rと同じ方向ΔR2の回転力がクランクアーム22に負荷されるように、モータMが第2方向に回転する。すなわち、クランクアーム22の遅れ角βが小さくなるように、モータMがクランクアーム22の揺動中心22cに対しプラスの角加速度を与えるように、第2方向に回転する。
【0051】
こうして、クランクアーム22の揺動中心22cが一定の角速度でパッド20の周回方向Rに回転しながら、周回する間に揺動中心22cを中心にクランクアーム22が揺動する。これにより、クランクアーム22の先端部25が加減速すると共に、リンクレバー23および連結ブロック24を介して先端部25に連結されたパッド20も加減速されながら周回する。
【0052】
なお、パッド20は案内部材10(図3)に案内されて円軌道に沿って周回するが、図1の先端部25は円軌道に沿わないため、リンクレバー23が介在している。
【0053】
図5図7は実施形態2を示す。
以下、本実施形態2については実施形態1と異なる構成について主に説明する。
【0054】
前述の実施形態1では、図1の回転体21は周回方向Rに連らなっていたが、本実施形態2では、図5の回転体21は周回方向Rに各パッド20の単位に分離されている。また、前述の実施形態1では、図1の変速機構2はクランクアーム22とリンクレバー23を各パッド20ごとに備えていたが、本実施形態2では、図6の1つの太陽歯車2と各パッド20ごとに設けた遊星歯車2とを備える。以下、これらの詳細について説明する。
【0055】
図6において、太陽歯車2は回転軸41と一体に概ね一定速で回転する。一方、回転体21はパッド20と共に図5の周回方向Rに加減速されながら周回する。
【0056】
図7の拡大図に示すように、各回転体21は固定ドラム1に案内部材10を介して周回軌道が規定されている。各回転体21にはパッド20が法線Lのまわりに旋回できるように支持されている。
【0057】
図7において、各回転体21には、変速用のモータMが固定されている。モータMの出力軸M1は継手Jを介して遊星歯車2に連結されている。遊星歯車2は太陽歯車2に歯合している。
【0058】
本実施形態2の搬送装置Tの動作の概略を説明する。
図5において、今、太陽歯車2が周回方向Rに回転すると、太陽歯車2に歯合している遊星歯車2および回転体21も周回方向Rに周回する。一方、モータMの出力軸M1(図6)が回転体21の周回方向Rと同じ方向に回転すると、遊星歯車2および回転体21の周回の角速度が大きくなる。
【0059】
したがって、モータMの出力軸M1(図6)の回転速度が増減すると、回転体21およびパッド20の回転速度も増減する。
【0060】
たとえば、図5の受取位置Pから渡し位置P1までパッド20が周回する際、モータMの回転速度が大きくなると、回転体21およびパッド20は周回方向Rの周速度が増速され、互いに隣り合うパッド20,20間の間隔が大きくなる。
【0061】
一方、図5の渡し位置P1から受取位置Pに至るまでパッド20が周回する際、モータMの回転速度が小さくなると、回転体21およびパッド20は周回方向Rの周速度が減速され、互いに隣り合うパッド20,20間の間隔が小さくなる。
【0062】
こうして、モータMの出力軸M1(図6)の加減速によりパッド20のリピッチ動作が実現される。
【0063】
以上の実施形態1,2には、以下の具体的発明が含まれる。
【0064】
好ましくは、前記変速機構2は、
前記モータMの出力軸M1からの入力で揺動するクランクアーム22と、前記クランクアーム22の先端部25と前記パッド20とを連結するリンクレバー23とを備える。
この場合、これまで一般的に生産されていた部品や構造が採用でき、詳細設計が容易になる。
【0065】
更に好ましくは、前記回転体21は前記回転軸41と一体になって前記軸線Sのまわりを回転するように前記回転軸41に固定されており、前記モータMの出力軸M1は前記クランクアーム22の揺動中心22cに連結されて、前記揺動中心22cを中心として前記クランクアーム22を揺動させるように構成されている。
この場合、モータMによりクランクアーム22を揺動させる構造を容易に実現できる。
【0066】
更に好ましくは、前記回転体21における前記パッド20が配置された側とは反対の外側面27に前記モータMが取り付けられ、
前記回転体21の前記外側面27とは反対側の内側面26に沿って前記クランクアーム22が配置されている。
この場合、回転体21の2つの側面26,27にモータMとクランクアーム22を取り付けるので、これらを回転体21に取り付け易くなる。
【0067】
好ましくは、前記各モータMのうち互いに隣り合うモータMは、前記回転軸41の軸線S方向に互いにオフセットされて配置されている。
この場合、互いに隣り合うモータM同士が干渉するのを防止でき、多数のパッドを密に配置できる。
【0068】
好ましくは、前記各モータMは前記出力軸M1に連結された各減速機Gを有しており、
前記各減速機Gのうち互いに隣り合う減速機Gの取付ベースMが前記回転軸41の軸線S方向に互いにオフセットされて配置されている。
この場合、モータよりも大きい減速機の取付ベース同士が互いに干渉するのを防止でき、多数のパッドを密に配置できる。
【0069】
好ましくは、前記各モータMのうち1つのモータMの減速機Gの出力軸G1は前記変速機構2に直接連結され、
前記各モータMのうち前記1つのモータMの隣りのモータMの減速機Gの出力軸G1は継手Jを介して前記変速機構2に連結されている。
この場合、継手Jにより減速機Gのオフセットが可能となり、同一形状および構造のモータおよび減速機で上記オフセットが可能となる。
【0070】
好ましくは、前記回転体21は各パッド20ごとに互いに分離されて複数設けられ、
前記各変速機構2は、前記回転軸41と一体に回転する太陽歯車2と、前記回転体21に固定された前記モータMの出力軸M1に連結されて回転する遊星歯車2とを備える。
【0071】
この場合、リピッチの新規な構造が提供できる上、モータMを正逆回転する必要がなく、パッド20の変速がスムースになる。
【0072】
好ましくは、前記回転軸41に駆動力を入力する入力部42を更に備え、
前記入力部42と前記回転体21の内側面26との間に前記複数のパッド20が配置され、
前記回転体21における前記内側面26とは反対側の外側面27に前記モータMが取り付けられて、前記回転体21の内側面26側に前記パッド20が配置され、前記回転体21の外側面27側に前記モータMが配置されている。
【0073】
好ましくは、前記回転軸41を回転自在に支持する固定ドラム1と、
前記固定ドラム1に対し前記パッド20を回転自在に支持すると共に、前記パッド20の周回を案内する案内部材10とを更に備え、
前記固定ドラム1を貫通するように前記回転軸41が設けられ、
前記回転軸41の軸線方向の一方の第1端部411に前記回転軸41に駆動力を入力する入力部42が取り付けられ、
前記回転軸41の他方の第2端部412に前記回転体21が取り付けられ、
これにより、前記固定ドラム1における前記入力部42が配置された一方の側部とは反対の他方の側部に前記各モータMが配置されている。
【0074】
これらの場合、入力部42とは反対の側にモータMを配置でき、モータMの配置が容易になる。
【0075】
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施形態を説明したが、当業者であれば、本明細書を見て、自明な範囲で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。
たとえば、ワークは受取位置から渡し位置に移動する間に、法線を中心に90°回転されてなくてもよい。また、受取位置と渡し位置との間でパッドは減速されてもよいし加速されてもよい。
また、ワークは連続したシートで搬送中にシートを折り畳むものでもよい。
したがって、そのような変更および修正は、請求の範囲から定まる本発明の範囲内のものと解釈される。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は使い捨てパンツやオムツなどの種々の物品の製造の搬送に利用できる。
【符号の説明】
【0077】
1:固定ドラム 1c:周面カム 10:案内部材
2:変速機構 2:太陽歯車 2:遊星歯車
20:パッド 21:回転体 22:クランクアーム 22c:揺動中心
23:リンクレバー 24:連結部 25:先端部
26:内側面 27:外側面 30:配管材
41:回転軸 42:入力部 411:第1端部 412:第2端部
50:渡しロール 51:転写ロール
M:モータ M1:出力軸 M:取付ベース G:減速機 G1:出力軸 J:継手
P:受取位置 P1:渡し位置
R:周回方向 S:軸線 L:法線 W:ワーク
T:搬送装置 α:進み角 β:遅れ角
ΔR1:逆方向 ΔR2:同じ方向
U1:第1ユニット U2:第2ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8