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特許7450133映像配信システム、中継装置、接続管理装置、中継方法および接続管理方法
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  • 特許-映像配信システム、中継装置、接続管理装置、中継方法および接続管理方法 図1
  • 特許-映像配信システム、中継装置、接続管理装置、中継方法および接続管理方法 図2
  • 特許-映像配信システム、中継装置、接続管理装置、中継方法および接続管理方法 図3
  • 特許-映像配信システム、中継装置、接続管理装置、中継方法および接続管理方法 図4
  • 特許-映像配信システム、中継装置、接続管理装置、中継方法および接続管理方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】映像配信システム、中継装置、接続管理装置、中継方法および接続管理方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 61/2503 20220101AFI20240307BHJP
【FI】
H04L61/2503
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2024007219
(22)【出願日】2024-01-22
【審査請求日】2024-01-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000153443
【氏名又は名称】株式会社 日立産業制御ソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】岸 正太
(72)【発明者】
【氏名】井上 貴博
【審査官】和平 悠希
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-147025(JP,A)
【文献】特開2006-031522(JP,A)
【文献】特開2005-327150(JP,A)
【文献】特開2004-030524(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/00-12/66
H04L 41/00-101/695
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のネットワークと、第2のネットワークと、前記第1および第2のネットワークとの間に挿入され前記第1のネットワークにおける第1のアドレスと前記第2のネットワークにおける第2のアドレスとの相互変換を行うNAT装置と、を介して各々が映像信号を送信する複数の配信装置と、
前記第2のネットワークを介して、端末装置から何れかの前記映像信号の配信を要求する配信要求信号を受信する配信要求受信部と、前記配信要求信号を受信したか否かを問い合わせる照会信号を受信する照会信号受信部と、前記配信要求信号を受信しているか否かを示すとともに、受信している場合は配信要求された前記映像信号を指定する回答信号を前記照会信号に対応して返信する回答信号送信部と、前記配信要求信号に対応する前記映像信号を、何れかの前記配信装置から受信し、前記第2のネットワークを介して前記端末装置に送信する映像信号転送部と、を備える中継装置と、
前記中継装置に対して、前記照会信号を繰り返し送信する照会信号送信部と、前記中継装置から前記回答信号を受信する回答信号受信部と、前記回答信号において何れかの前記映像信号が指定されている場合には、指定された前記映像信号を出力する前記配信装置に対して、前記映像信号の配信を指令する配信指令を送信する配信指令送信部と、を備える接続管理装置と、を備える
ことを特徴とする映像配信システム。
【請求項2】
第1のネットワークと、第2のネットワークと、前記第1および第2のネットワークとの間に挿入され前記第1のネットワークにおける第1のアドレスと前記第2のネットワークにおける第2のアドレスとの相互変換を行うNAT装置と、を介して各々が映像信号を送信する複数の配信装置の何れかから前記映像信号を受信すると、受信した前記映像信号を端末装置に転送する映像信号転送部と、
前記第2のネットワークを介して、前記端末装置から何れかの前記映像信号の配信を要求する配信要求信号を受信する配信要求受信部と、
前記配信要求信号を受信したか否かを問い合わせる照会信号を受信する照会信号受信部と、
前記配信要求信号を受信しているか否かを示すとともに、受信している場合は配信要求された前記映像信号を指定する回答信号を前記照会信号に対応して返信する回答信号送信部と、を備える
ことを特徴とする中継装置。
【請求項3】
第1のネットワークと、第2のネットワークと、前記第1および第2のネットワークとの間に挿入され前記第1のネットワークにおける第1のアドレスと前記第2のネットワークにおける第2のアドレスとの相互変換を行うNAT装置と、を介して、中継装置に対して、複数の映像信号のうち何れかの配信を要求する配信要求信号を受信しているか否かを照会する照会信号を繰り返し送信する照会信号送信部と、
前記中継装置から、前記照会信号に対応して、前記配信要求信号を受信しているか否かを示すとともに、受信している場合は配信要求された前記映像信号を指定する回答信号を受信する回答信号受信部と、
前記回答信号において何れかの前記映像信号が指定されている場合には、前記第1のネットワークに接続され指定された前記映像信号を出力する配信装置に対して、前記映像信号の配信を指令する配信指令を送信する配信指令送信部と、を備える
ことを特徴とする接続管理装置。
【請求項4】
第1のネットワークと、第2のネットワークと、前記第1および第2のネットワークとの間に挿入され前記第1のネットワークにおける第1のアドレスと前記第2のネットワークにおける第2のアドレスとの相互変換を行うNAT装置と、を介して各々が映像信号を送信する複数の配信装置の何れかから前記映像信号を受信すると、受信した前記映像信号を端末装置に転送する映像信号転送過程と、
前記第2のネットワークを介して、前記端末装置から何れかの前記映像信号の配信を要求する配信要求信号を受信する配信要求受信過程と、
前記配信要求信号を受信したか否かを問い合わせる照会信号を受信する照会信号受信過程と、
前記配信要求信号を受信しているか否かを示すとともに、受信している場合は配信要求された前記映像信号を指定する回答信号を前記照会信号に対応して返信する回答信号送信過程と、をコンピュータに実行させる
ことを特徴とする中継方法。
【請求項5】
第1のネットワークと、第2のネットワークと、前記第1および第2のネットワークとの間に挿入され前記第1のネットワークにおける第1のアドレスと前記第2のネットワークにおける第2のアドレスとの相互変換を行うNAT装置と、を介して、中継装置に対して、複数の映像信号のうち何れかの配信を要求する配信要求信号を受信しているか否かを照会する照会信号を繰り返し送信する照会信号送信過程と、
前記中継装置から、前記照会信号に対応して、前記配信要求信号を受信しているか否かを示すとともに、受信している場合は配信要求された前記映像信号を指定する回答信号を受信する回答信号受信過程と、
前記回答信号において何れかの前記映像信号が指定されている場合には、前記第1のネットワークに接続され指定された前記映像信号を出力する配信装置に対して、前記映像信号の配信を指令する配信指令を送信する配信指令送信過程と、をコンピュータに実行させる
ことを特徴とする接続管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像配信システム、中継装置、接続管理装置、中継方法および接続管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、下記特許文献1の請求項1には、「ローカルエリアネットワークに属する撮像装置と、当該ローカルエリアネットワーク以外のネットワークに属する端末装置と、それぞれ通信可能に構成されたサーバであって、前記撮像装置から定期的に送信される当該撮像装置に対する接続要求の有無の問い合わせを受信する手段と、前記撮像装置からの問い合わせを受信した場合に、前記端末装置から前記撮像装置に対する接続要求を受信しているか否かを判定し、当該判定結果が是であることを条件に、前記問い合わせに基づいて確立した前記撮像装置との間の接続を維持する手段と、前記維持された接続を利用して前記撮像装置から送信される前記撮像装置が撮像した撮像データを受信する手段と、前記受信した前記撮影データを前記端末装置へ送信する手段と、を備えることを特徴とするサーバ。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5025694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した技術において、一層適切な映像配信を実現したいという要望がある。
この発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、適切な映像配信を実現できる映像配信システム、中継装置、接続管理装置、中継方法および接続管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため本発明の映像配信システムは、第1のネットワークと、第2のネットワークと、前記第1および第2のネットワークとの間に挿入され前記第1のネットワークにおける第1のアドレスと前記第2のネットワークにおける第2のアドレスとの相互変換を行うNAT装置と、を介して各々が映像信号を送信する複数の配信装置と、前記第2のネットワークを介して、端末装置から何れかの前記映像信号の配信を要求する配信要求信号を受信する配信要求受信部と、前記配信要求信号を受信したか否かを問い合わせる照会信号を受信する照会信号受信部と、前記配信要求信号を受信しているか否かを示すとともに、受信している場合は配信要求された前記映像信号を指定する回答信号を前記照会信号に対応して返信する回答信号送信部と、前記配信要求信号に対応する前記映像信号を、何れかの前記配信装置から受信し、前記第2のネットワークを介して前記端末装置に送信する映像信号転送部と、を備える中継装置と、前記中継装置に対して、前記照会信号を繰り返し送信する照会信号送信部と、前記中継装置から前記回答信号を受信する回答信号受信部と、前記回答信号において何れかの前記映像信号が指定されている場合には、指定された前記映像信号を出力する前記配信装置に対して、前記映像信号の配信を指令する配信指令を送信する配信指令送信部と、を備える接続管理装置と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、適切な映像配信を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態による映像配信システムのブロック図である。
図2】コンピュータのブロック図である。
図3】第1実施形態において実行される処理の一例を示すフローチャートである。
図4】第2実施形態による映像配信システムのブロック図である。
図5】比較例において実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1実施形態]
〈第1実施形態の構成〉
図1は、第1実施形態による映像配信システム101のブロック図である。
映像配信システム101は、複数の(N台の)カメラ14-1~14-Nと、配信装置12-1~12-Nと、NAT装置16と、中継装置22(コンピュータ)と、を備えている。なお、以下の説明において、同一または類似の機能、意義を有する複数の構成要素や情報等を、例えば「カメラ14-1,14-N」のように、同一の符号に「-」と英数字を付して、表記する場合がある。但し、これら複数の構成要素等を区別する必要がない場合には、例えば「カメラ14」のように、「-」と英数字を省略して表記する場合がある。
【0009】
各カメラ14は、例えば工場である監視対象設備10に設置されている。配信装置12-1~12-Nは例えばサーバ機であり、監視対象設備10内に設けられた、IPプロトコルのプライベート・ネットワーク18(第1のネットワーク)に接続されている。そして、配信装置12-1~12-Nは、必要に応じて、カメラ14-1~14-Nが撮影した映像を、それぞれ映像信号V-1~V-Nとして、プライベート・ネットワーク18を介して出力する。
【0010】
中継装置22および端末装置24は、例えばインターネットである、IPプロトコルのパブリック・ネットワーク20(第2のネットワーク)に接続されている。中継装置22は、例えばクラウドサービスを提供するサーバ装置である。また、端末装置24は、例えばユーザによって操作されるパーソナルコンピュータ、携帯情報端末等である。
【0011】
NAT装置16は、プライベート・ネットワーク18と、パブリック・ネットワーク20と、の間に挿入され、プライベート・ネットワーク18におけるプライベートIPアドレスと、パブリック・ネットワーク20におけるグローバルIPアドレスと、を相互に変換するNAT(Network Address Translation)機能を備えている。さらに、NAT装置16は、IPアドレスに加えてポート番号も相互変換するNAPT(Network Address Port Translation)機能を備える。
【0012】
ユーザは、端末装置24において映像配信を受けたい場合、映像信号V-1~V-Nのうち一または複数のものを指定して、中継装置22に対して配信要求信号DMを送信する。そして、中継装置22は、受信した配信要求信号DMを受信時刻とともに記憶する。
【0013】
配信装置12-1(コンピュータ、接続管理装置)は、映像送信部126と、照会信号送信部132(照会信号送信過程)と、回答信号受信部134(回答信号受信過程)と、配信指令送信部136(配信指令送信過程)と、を備えている。照会信号送信部132は、NAT装置16を介して、所定周期で、中継装置22に対して、照会信号IQを繰り返し送信する。この照会信号IQは、上述した配信要求信号DMを中継装置22が受信したか否かを問い合わせる信号である。
【0014】
回答信号受信部134は、照会信号IQに対して中継装置22が返信した回答信号ASを受信する。回答信号ASは、中継装置22が回答信号ASを前回送信したタイミング以降、端末装置24から新たな配信要求信号DMを受信したか否かを示す信号である。また、中継装置22が新たな配信要求信号DMを受信した場合、回答信号ASには、配信要求された一または複数の映像信号V-k(但し、1≦k≦N)を指定する情報が含められる。
【0015】
配信装置12-1における映像送信部126は、回答信号ASに映像信号V-1の指定が含まれる場合に、中継装置22を介して、映像信号V-1を出力する。ここで、回答信号ASには、映像信号V-1以外の指定、すなわち映像信号V-2~V-Nのうち一または複数の指令が含まれている場合がある。配信指令送信部136は、この場合に、これら指定に対応する配信装置12-2~12-Nに対して、それぞれ映像配信を指令する配信指令VCを出力する。
【0016】
配信装置12-2(コンピュータ)は、配信指令受信部124と、映像送信部126と、を備えている。配信指令受信部124は、自機宛の配信指令VCを受信する。また、映像送信部126は、自機宛の配信指令VCに対応して、映像信号V-2を出力する。配信装置12-3~12-N(コンピュータ)の構成については図示を省略するが、これらは配信装置12-2と同様に構成されている。すなわち、配信装置12-k(但し、2≦k≦N)の配信指令受信部124が自機宛の配信指令VCを受信すると、配信装置12-kの映像送信部126は、映像信号V-kの出力を開始する。
【0017】
中継装置22は、配信要求受信部222と、照会信号受信部224と、回答信号送信部226と、映像信号転送部228と、を備える。配信要求受信部222は、パブリック・ネットワーク20を介して端末装置24から供給された配信要求信号DMを受信し、受信した配信要求信号DMを記憶する。照会信号受信部224は、NAT装置16を介して、配信装置12-1から照会信号IQを受信する。
【0018】
回答信号送信部226は、照会信号受信部224が照会信号IQを受信した場合に、配信要求受信部222に記憶されている配信要求信号DMに基づいて、配信装置12-1に回答信号ASを出力する。映像信号転送部228は、配信装置12-1~12-Nから供給された映像信号V-1~V-Nを受信し、端末装置24に転送する。
【0019】
図2は、コンピュータ980のブロック図である。
図1に示した配信装置12、中継装置22、端末装置24および後述する第2実施形態における接続管理装置13(図4参照)は、何れも図2に示すコンピュータ980を、1台または複数台備えている。図2において、コンピュータ980は、CPU981と、記憶部982と、通信I/F(インタフェース)983と、入出力I/F984と、メディアI/F985と、を備える。ここで、記憶部982は、RAM982aと、ROM982bと、SSD(Solid State Drive)982cと、を備える。
【0020】
通信I/F983は、通信回路986に接続される。入出力I/F984は、入出力装置987に接続される。メディアI/F985は、記録媒体988からデータを読み書きする。ROM982bには、CPUによって実行されるIPL(Initial Program Loader)等が格納されている。SSD982cには、アプリケーションプログラムや各種データ等が記憶されている。CPU981は、SSD982cからRAM982aに読み込んだアプリケーションプログラム等を実行することにより、各種機能を実現する。
【0021】
〈第1実施形態の動作〉
端末装置24のユーザは、映像信号V-1~V-Nのうち何れかの配信を希望する場合には、希望する映像信号V-k(但し、1≦k≦N)を指定する配信要求信号DMを、パブリック・ネットワーク20を介して中継装置22に送信する。中継装置22は、受信した配信要求信号DMを記憶する。
【0022】
配信装置12-1は、映像信号V-1を配信する機能とともに、中継装置22と各配信装置12との接続関係を管理する機能も有する。すなわち、配信装置12-1は、NAT装置16を介して、所定周期で、中継装置22に対して、照会信号IQを送信する。この照会信号IQは、中継装置22が何らかの配信要求信号DMを受信したか否かを問い合わせる信号である。中継装置22は、照会信号IQを受信すると、NAT装置16を介して、配信装置12-1に回答信号ASを出力する。
【0023】
回答信号ASは、中継装置22が回答信号ASを前回送信したタイミング以降、新たな配信要求信号DMを受信したか否かを示す信号である。また、配信要求信号DMを受信している場合、回答信号ASには、配信要求された一または複数の映像信号Vを指定する情報が含められる。配信装置12-1は、回答信号ASを受信すると、回答信号ASにおいて何れかの映像信号Vが指定されているか否かを判定する。そして、回答信号ASに映像信号V-1の指定が含まれている場合には、自機内の映像送信部126に対して、映像信号V-1の出力を指令する配信指令VCを供給する。また、回答信号ASに、映像信号V-2~V-Nのうち何れかの指定が含まれている場合には、配信装置12-2~12-Nのうち、対応するものに対して、映像信号Vの出力を指令する配信指令VCを出力する。
【0024】
配信指令VCを受信した配信装置12-k(但し、1≦k≦N)は、NAT装置16を介して、中継装置22にコネクション接続要求を送信する。これにより、配信装置12-kと中継装置22との間に、新たなコネクションが接続される。また、中継装置22は、端末装置24にコネクション接続要求を送信する。これにより、中継装置22と端末装置24との間に、新たな他のコネクションが接続される。次に、配信装置12-kは、これら新たに接続されたコネクションによって、中継装置22を介して、端末装置24に対して映像信号V-kを配信する。
【0025】
図3は、第1実施形態において実行される処理の一例を示すフローチャートである。
図3のステップS2において、配信装置12-1は、中継装置22に対して、照会信号IQを送信する。ここで、中継装置22は、回答信号ASを前回送信したタイミング(図示せず)以降、新たな配信要求信号DMを受信していなかったとする。この場合、ステップS4において、中継装置22は、「配信要求は無い」旨の回答信号ASを配信装置12-1に送信する。
【0026】
その後、ステップS10において、端末装置24から、映像信号V-3の配信を要求する配信要求信号DMが中継装置22に送信されたとする。この場合、中継装置22は、この配信要求信号DMを記憶する。その後、ステップS12において、配信装置12-1が、中継装置22に対して、照会信号IQを再び送信したとする。
【0027】
この場合、中継装置22は、回答信号ASを前回送信したタイミング(ステップS4)以降、ステップS10において、新たな配信要求信号DMを受信している。従って、ステップS14において、中継装置22は、「映像信号V-3について配信要求がある」旨の回答信号ASを配信装置12-1に送信する。
【0028】
配信装置12-1は、当該回答信号ASを受信すると、指定された映像信号V-3に対応する配信装置12-3に対して、ステップS20において配信指令VCを出力する。配信装置12-3は、この配信指令VCが供給されると、ステップS22において、中継装置22に対してコネクション接続要求を送信する。これにより、配信装置12-3は、配信装置12-3と中継装置22との間に、新たなコネクションを接続させる。
【0029】
次に、ステップS24において、中継装置22は、端末装置24にコネクション接続要求を送信する。これにより、中継装置22は、中継装置22と端末装置24との間に新たな他のコネクションを接続させる。次に、ステップS26において、配信装置12-3は、これら新たに接続されたコネクションによって、中継装置22を介して、端末装置24に対して映像信号V-3を配信する。
【0030】
[第2実施形態]
図4は、第2実施形態による映像配信システム102のブロック図である。なお、以下の説明において、上述した第1実施形態の各部に対応する部分には同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
映像配信システム102は、第1実施形態の映像配信システム101と同様に、複数の(N台の)カメラ14-1~14-Nと、配信装置12-1~12-Nと、NAT装置16と、中継装置22と、を備えている。さらに、映像配信システム102は、接続管理装置13(コンピュータ)を備えている。
【0031】
上述の第1実施形態のものと同様に、配信装置12-1は、映像信号V-1を配信する機能を備える。但し、第2実施形態においては、中継装置22と各配信装置12との接続関係を管理する機能は、接続管理装置13が担う。すなわち、本実施形態において、配信装置12-1の構成は、他の配信装置12-2~12-Nの機能と同様であり、上述した配信指令受信部124と、映像送信部126と、を備えている。
【0032】
一方、本実施形態の配信装置12-1には、照会信号送信部132、回答信号受信部134、配信指令送信部136は設けられておらず、これらの構成要素は、接続管理装置13に含まれている。これにより、接続管理装置13に設けられた照会信号送信部132は、NAT装置16を介して、所定周期で、中継装置22に対して、照会信号IQを繰り返し送信する。中継装置22は、照会信号IQを受信すると、NAT装置16を介して、接続管理装置13に回答信号ASを出力する。
【0033】
接続管理装置13の回答信号受信部134は、当該回答信号ASを受信する。そして、回答信号ASにおいて何れかの映像信号V-k(但し、1≦k≦N)が指定されている場合には、接続管理装置13の配信指令送信部136は、対応する配信装置12-kに対して、映像信号V-kの配信を指令する配信指令VCを出力する。上述した以外の映像配信システム102の構成は、第1実施形態の映像配信システム101のもの(図1参照)と同様である。
【0034】
第2実施形態の動作も第1実施形態のもの(図3参照)と同様である。但し、第2実施形態においては、ステップS2,S4,S12,S14の通信は、接続管理装置13および中継装置22の間の通信になる。また、ステップS20において、配信装置12-3に配信指令VCを送信する送信元は、接続管理装置13になる。
【0035】
[比較例]
次に、本実施形態の効果を明確にするため、比較例について説明する。なお、この比較例は、上述した特許文献1に記載の技術を応用したものである。
比較例のハードウエア構成は、上述の第1実施形態のもの(図1参照)と同様である。但し、本比較例において、配信装置12-1~12-Nは、それぞれ中継装置22に対して、照会信号IQ-1~IQ-N(図5参照)を出力する点が異なる。本比較例における照会信号IQ-1~IQ-Nは、各映像信号V-1~V-Nに対する配信要求が生じているか否かを個別に問い合わせる信号である。また、中継装置22は、照会信号IQ-1~IQ-Nのそれぞれに応答して、回答信号AS-1~AS-Nを出力する。
【0036】
図5は、本比較例において実行される処理の一例を示すフローチャートである。
図5のステップS102において、配信装置12-1は、中継装置22に対して、照会信号IQ-1を送信する。ここで、中継装置22は、回答信号AS-1を前回送信したタイミング(図示せず)以降、映像信号V-1に対する新たな配信要求信号DMを受信していなかったとする。この場合、ステップS104において、中継装置22は、「映像信号V-1の配信要求は無い」旨の回答信号AS-1を配信装置12-1に送信する。
【0037】
以後、同様に、ステップS106~S122において、配信装置12-k(但し、2≦k≦N)は、中継装置22に対して、照会信号IQ-kを送信する。ここで、中継装置22は、回答信号AS-kを前回送信したタイミング(図示せず)以降、映像信号V-kに対する新たな配信要求信号DMを受信していなかったとする。この場合、中継装置22は、「映像信号V-kの配信要求は無い」旨の回答信号AS-kを配信装置12-kに送信する。
【0038】
その後、ステップS130において、端末装置24から、映像信号V-3の配信を要求する配信要求信号DMが中継装置22に送信されたとする。この場合、中継装置22は、この配信要求信号DMを記憶する。その後、ステップS132において、配信装置12-3が、中継装置22に対して、照会信号IQ-3を再び送信したとする。
【0039】
この場合、中継装置22は、回答信号AS-3を前回送信したタイミング(ステップS110)以降、ステップS130において、映像信号V-3の配信を要求する新たな配信要求信号DMを受信している。従って、ステップS134において、中継装置22は、「映像信号V-3について配信要求がある」旨の回答信号AS-3を配信装置12-3に送信する。
【0040】
配信装置12-3は、この回答信号AS-3を受信すると、ステップS132,S134で用いたコネクションと同一のコネクションを用いて映像信号V-3を配信する。すなわち、配信装置12-3は、中継装置22を介して、端末装置24に対して映像信号V-3を配信する。
【0041】
このように、本比較例においては、各々の配信装置12-1~12-Nが中継装置22との間で、照会信号IQ-1~IQ-Nおよび回答信号AS-1~AS-Nをやりとりする。このため、中継装置22によって選択可能な映像信号Vの数(N)が多い場合には、配信装置12と中継装置22との間で、照会信号IQおよび回答信号ASのトラフィックが大きくなるという問題がある。
【0042】
[実施形態の効果]
以上のように上述した第1,第2実施形態によれば、映像配信システム101,102は、
第1のネットワーク(18)と、第2のネットワーク(20)と、第1および第2のネットワーク18,20との間に挿入され第1のネットワーク(18)における第1のアドレスPAと第2のネットワーク(20)における第2のアドレスGAとの相互変換を行うNAT装置16と、を介して各々が映像信号Vを送信する複数の配信装置12と、
第2のネットワーク(20)を介して、端末装置24から何れかの映像信号Vの配信を要求する配信要求信号DMを受信する配信要求受信部222と、配信要求信号DMを受信したか否かを問い合わせる照会信号IQを受信する照会信号受信部224と、配信要求信号DMを受信しているか否かを示すとともに、受信している場合は配信要求された映像信号Vを指定する回答信号ASを照会信号IQに対応して返信する回答信号送信部226と、配信要求信号DMに対応する映像信号Vを、何れかの配信装置12から受信し、第2のネットワーク(20)を介して端末装置24に送信する映像信号転送部228と、を備える中継装置22と、
中継装置22に対して、照会信号IQを繰り返し送信する照会信号送信部132と、中継装置22から回答信号ASを受信する回答信号受信部134と、回答信号ASにおいて何れかの映像信号Vが指定されている場合には、指定された映像信号Vを出力する配信装置12に対して、映像信号Vの配信を指令する配信指令VCを送信する配信指令送信部136と、を備える接続管理装置(12-1,13)と、を備える。
【0043】
このように、各実施形態における中継装置22の回答信号送信部226は、配信要求された映像信号Vを指定する回答信号ASを照会信号IQに対応して返信する。また、接続管理装置(12-1,13)の配信指令送信部136は、指定された映像信号Vを出力する配信装置12に対して、映像信号Vの配信を指令する配信指令VCを送信する。これにより、中継装置22と配信装置12との間のトラフィックを抑制できるため、適切な映像配信を実現できる。
【0044】
[変形例]
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。上述した実施形態は本発明を理解しやすく説明するために例示したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について削除し、もしくは他の構成の追加・置換をすることが可能である。また、図中に示した制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上で必要な全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。上記実施形態に対して可能な変形は、例えば以下のようなものである。
【0045】
(1)上記実施形態における配信装置12、接続管理装置13、中継装置22のハードウエアは一般的なコンピュータによって実現できるため、上述した各フローチャートに対応する処理、その他上述した各種処理を実行するプログラム等を記憶媒体(プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体)に格納し、または伝送路を介して頒布してもよい。
【0046】
(2)上記実施形態における配信装置12、接続管理装置13、中継装置22、端末装置24が何れも備える、コンピュータ980におけるSSD982cは、HDD(Hard Disk Drive)等の磁気ディスク、USBフラッシュドライブやメモリーカード等のフラッシュメモリ、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)等の光学ディスク、LTO(Linear Tape-Open)等の磁気テープ等の記憶媒体に置き換えてもよい。また、これら記憶媒体の組合せによって、1台のコンピュータ980が複数の記憶媒体を備えていてもよい。
【0047】
(3)上述した各ブロック図、各フローチャートに対応する処理、その他上述した各種処理は、上記実施形態ではプログラムを用いたソフトウエア的な処理として説明したが、その一部または全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit;特定用途向けIC)、あるいはFPGA(Field Programmable Gate Array)等を用いたハードウエア的な処理に置き換えてもよい。
【0048】
(4)上記各実施形態において、各配信装置12-1~12-Nは、各々1系統の映像信号V-1~V-Nを出力するものであったが、1台の配信装置12が複数系統の映像信号Vを出力するようにしてもよい。
【0049】
(5)上記各実施形態において、各配信装置12-1~12-Nは、各々1台のカメラ14-1~14-Nと接続されるものであったが、1台の配信装置12が複数台のカメラ14と接続されるようにしてもよい。
【0050】
(6)上記各実施形態において、配信装置12に接続されるカメラ14は、監視用途向けのカメラのみならず、携帯情報端末が備えるカメラ、ヘルメットやゴーグル等に装着することによって身体に纏うことができるウエアラブルカメラ、ドローン(遠隔操縦や自律的飛行が可能な無人航空機)が備えるカメラ、車両に搭載する車載カメラ等であってもよい。
【0051】
(7)上記各実施形態において、映像信号V-1~V-Nは、カメラ14によって撮影されたものであったが、映像信号V-1~V-Nは、例えば録画された映像等であってもよい。
【符号の説明】
【0052】
12 配信装置(コンピュータ)
12-1 配信装置(コンピュータ、接続管理装置)
13 接続管理装置(コンピュータ)
16 NAT装置
18 プライベート・ネットワーク(第1のネットワーク)
20 パブリック・ネットワーク(第2のネットワーク)
22 中継装置(コンピュータ)
24 端末装置
101,102 映像配信システム
132 照会信号送信部(照会信号送信過程)
134 回答信号受信部(回答信号受信過程)
136 配信指令送信部(配信指令送信過程)
222 配信要求受信部(配信要求受信過程)
224 照会信号受信部(照会信号受信過程)
226 回答信号送信部(回答信号送信過程)
228 映像信号転送部(映像信号転送過程)
V 映像信号
AS 回答信号
DM 配信要求信号
PA 第1のアドレス(プライベートIPアドレス)
GA 第2のアドレス(グローバルIPアドレス)
IQ 照会信号
VC 配信指令
【要約】
【課題】適切な映像通信を実現できる映像配信システムを提供する。
【解決手段】第2のネットワーク20を介して、端末装置24から何れかの映像信号Vの配信を要求する配信要求信号DMを受信する配信要求受信部222と、配信要求信号DMを受信したか否かを問い合わせる照会信号IQを受信する照会信号受信部224と、配信要求信号DMを受信しているか否かを示すとともに、受信している場合は配信要求された映像信号Vを指定する回答信号ASを照会信号IQに対応して返信する回答信号送信部226と、配信要求信号DMに対応する映像信号Vを、何れかの配信装置12から受信し、第2のネットワーク20を介して端末装置24に送信する映像信号転送部228と、を備える中継装置22を、映像配信システム101に設けた。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5