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特許7450137生産計画表示方法および生産計画表示システムならびに生産計画表示プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-07
(45)【発行日】2024-03-15
(54)【発明の名称】生産計画表示方法および生産計画表示システムならびに生産計画表示プログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20240308BHJP
   H05K 13/00 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
H05K13/00 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020002173
(22)【出願日】2020-01-09
(65)【公開番号】P2021111092
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】竹原 裕起
【審査官】堀内 亮吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-179336(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
H05K 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
台車に配置された部品供給装置が供給する部品を基板に実装する部品実装装置を備えた複数の部品実装ラインにより複数の品種の実装基板を生産する生産計画を表示する生産計画表示方法であって、
生産する部品実装ラインと、対応する段取り計画を特定する情報をロット毎に含む生産計画を取得する工程と、
台車の部品供給装置の配置を変更する段取り作業の種類を含む前記段取り計画を取得する工程と、
前記生産計画を前記部品実装ライン毎に、前記段取り計画を段取り作業のライン毎に、時系列に沿って同じ画面に表示する工程と、
前記画面に表示された前記生産計画または前記段取り計画の選択を受け付ける工程と、
前記選択された生産計画または段取り計画と、前記選択された生産計画で使用する台車の段取り計画または前記選択された段取り計画で段取り作業を行った台車を使用する生産計画の表示を変更する工程と、を含
前記選択された生産計画と同じ台車を使用する生産計画と、前記選択された生産計画で使用する台車を直前に使用した生産計画と、前記選択された段取り計画で段取り作業を行った台車を直前に使用した生産計画の少なくともいずれかの表示を変更する工程を、さらに含む、生産計画表示方法。
【請求項2】
前記選択された生産計画または段取り計画の詳細情報をテキスト形式で前記画面に表示する工程を、さらに含む、請求項1に記載の生産計画表示方法。
【請求項3】
前記生産計画の詳細情報または前記段取り計画の詳細情報をリスト形式で前記画面に表示する工程と、
前記選択された生産計画の詳細情報または前記選択された段取り計画の詳細情報の表示を変更する工程と、をさらに含む、請求項1または2に記載の生産計画表示方法。
【請求項4】
台車に配置された部品供給装置が供給する部品を基板に実装する部品実装装置を備えた複数の部品実装ラインにより複数の品種の実装基板を生産する生産計画を表示する生産計画表示システムであって、
生産する部品実装ラインと、対応する段取り計画を特定する情報をロット毎に含む生産計画を取得する生産計画取得部と、
台車の部品供給装置の配置を変更する段取り作業の種類を含む前記段取り計画を取得する段取り計画取得部と、
前記生産計画を前記部品実装ライン毎に、前記段取り計画を段取り作業のライン毎に、時系列に沿って同じ画面に表示する表示部と、
前記画面に表示された前記生産計画または前記段取り計画の選択を受け付ける選択受け付け部と、を備え、
前記表示部は、前記選択された生産計画または段取り計画と、前記選択された生産計画で使用する台車の段取り計画または前記選択された段取り計画で段取り作業を行った台車を使用する生産計画の表示を変更
前記選択された生産計画と同じ台車を使用する生産計画と、前記選択された生産計画で使用する台車を直前に使用した生産計画と、前記選択された段取り計画で段取り作業を行った台車を直前に使用した生産計画の少なくともいずれかの表示を変更する生産計画表示システム。
【請求項5】
台車に配置された部品供給装置が供給する部品を基板に実装する部品実装装置を備えた複数の部品実装ラインにより複数の品種の実装基板を生産する生産計画をコンピュータに表示させる生産計画表示プログラムであって、
生産する部品実装ラインと、対応する段取り計画を特定する情報をロット毎に含む生産計画を取得するステップと、
台車の部品供給装置の配置を変更する段取り作業の種類を含む前記段取り計画を取得するステップと、
前記生産計画を前記部品実装ライン毎に、前記段取り計画を段取り作業のライン毎に、時系列に沿って同じ画面に表示するステップと、
前記画面に表示された前記生産計画または前記段取り計画の選択を受け付けるステップと、
前記選択された生産計画または段取り計画と、前記選択された生産計画で使用する台車の段取り計画または前記選択された段取り計画で段取り作業を行った台車を使用する生産計画の表示を変更するステップと、を含
前記選択された生産計画と同じ台車を使用する生産計画と、前記選択された生産計画で使用する台車を直前に使用した生産計画と、前記選択された段取り計画で段取り作業を行った台車を直前に使用した生産計画の少なくともいずれかの表示を変更するステップを、さらに含む、生産計画表示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品実装ラインにおける実装基板の生産計画を表示する生産計画表示方法および生産計画表示システムならびに生産計画表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
基板に部品を実装する部品実装装置を備えて実装基板を生産する部品実装ラインでは、複数の種類の実装基板が順番に生産される。部品実装ラインが生産する実装基板の種類を変更する際は、部品実装装置に配置された部品の種類を変更する段取り替えが実行される。部品実装装置には、部品を供給する複数の部品供給装置を配置した台車を着脱して使用するものがある(例えば、特許文献1参照)。この部品実装装置を備える部品実装ラインで生産する実装基板の種類を変更する際は、前の実装基板の生産中に部品実装ライン外で次の実装基板用の部品供給装置を予備の台車に配置する外段取りが実行され、部品実装ラインで部品実装装置に装着されている台車と交換する内段取りが実行される。
【0003】
複数の品種の実装基板を生産する生産計画を作成する際は、部品実装ラインでの実装基板の生産や内段取り作業の計画である生産計画と、部品実装ライン外での外段取り作業の計画である段取り計画が一緒に作成される。特許文献1に記載の計画管理方法では、生産計画と段取り計画(準備計画)を容易に把握できるように、部品実装ライン毎の生産計画と台車毎の段取り計画を同じ画面に時系列で表示する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-179336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1を含む従来技術では、遅れが発生すると予測された生産計画の要因解析などを実行する際に、生産計画の遅れの要因と段取り計画との相関関係の把握が困難で、生産計画と段取り計画の因果関係を一目で把握するには更なる改善の余地があった。
【0006】
そこで本発明は、生産計画と段取り計画の因果関係を容易に把握することができる生産計画表示方法および生産計画表示システムならびに生産計画表示プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の生産計画表示方法は、台車に配置された部品供給装置が供給する部品を基板に実装する部品実装装置を備えた複数の部品実装ラインにより複数の品種の実装基板を生産する生産計画を表示する生産計画表示方法であって、生産する部品実装ラインと、対応する段取り計画を特定する情報をロット毎に含む生産計画を取得する工程と、台車の部品供給装置の配置を変更する段取り作業の種類を含む前記段取り計画を取得する工程と、前記生産計画を前記部品実装ライン毎に、前記段取り計画を段取り作業のライン毎に、時系列に沿って同じ画面に表示する工程と、前記画面に表示された前記生産計画または前記段取り計画の選択を受け付ける工程と、前記選択された生産計画または段取り計画と、前記選択された生産計画で使用する台車の段取り計画または前記選択された段取り計画で段取り作業を行った台車を使用する生産計画の表示を変更する工程と、を含む。
【0008】
本発明の生産計画表示システムは、台車に配置された部品供給装置が供給する部品を基板に実装する部品実装装置を備えた複数の部品実装ラインにより複数の品種の実装基板を生産する生産計画を表示する生産計画表示システムであって、生産する部品実装ラインと、対応する段取り計画を特定する情報をロット毎に含む生産計画を取得する生産計画取得部と、台車の部品供給装置の配置を変更する段取り作業の種類を含む前記段取り計画を取得する段取り計画取得部と、前記生産計画を前記部品実装ライン毎に、前記段取り計画を段取り作業のライン毎に、時系列に沿って同じ画面に表示する表示部と、前記画面に表示された前記生産計画または前記段取り計画の選択を受け付ける選択受け付け部と、を備え、前記表示部は、前記選択された生産計画または段取り計画と、前記選択された生産計画で使用する台車の段取り計画または前記選択された段取り計画で段取り作業を行った台車を使用する生産計画の表示を変更する。
【0009】
本発明の生産計画表示プログラムは、台車に配置された部品供給装置が供給する部品を基板に実装する部品実装装置を備えた複数の部品実装ラインにより複数の品種の実装基板を生産する生産計画をコンピュータに表示させる生産計画表示プログラムであって、生産する部品実装ラインと、対応する段取り計画を特定する情報をロット毎に含む生産計画を取得するステップと、台車の部品供給装置の配置を変更する段取り作業の種類を含む前記段取り計画を取得するステップと、前記生産計画を前記部品実装ライン毎に、前記段取り計画を段取り作業のライン毎に、時系列に沿って同じ画面に表示するステップと、前記画面に表示された前記生産計画または前記段取り計画の選択を受け付けるステップと、前記選択された生産計画または段取り計画と、前記選択された生産計画で使用する台車の段取り計画または前記選択された段取り計画で段取り作業を行った台車を使用する生産計画の表示を変更するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、生産計画と段取り計画の因果関係を容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施の形態の部品実装システムの構成説明図
図2】本発明の一実施の形態の部品実装システムが備える部品実装ラインの構成説明図
図3】本発明の一実施の形態の部品実装ラインが備える部品実装装置の平面図
図4】本発明の一実施の形態の部品実装ラインが備える部品実装装置の部分断面図
図5】本発明の一実施の形態の管理コンピュータ(生産計画表示システム)の構成を示すブロック図
図6】本発明の一実施の形態の管理コンピュータ(生産計画表示システム)で使用される生産計画情報の一例の説明図
図7】本発明の一実施の形態の管理コンピュータ(生産計画表示システム)で使用される段取り計画情報の一例の説明図
図8】本発明の一実施の形態の管理コンピュータ(生産計画表示システム)が備える表示部に表示された計画表示画面の一例の説明図
図9】本発明の一実施の形態の管理コンピュータ(生産計画表示システム)が備える表示部に表示された計画表示画面の一例の説明図
図10】本発明の一実施の形態の管理コンピュータ(生産計画表示システム)が備える表示部に表示された計画表示画面の一例の説明図
図11】本発明の一実施の形態の管理コンピュータ(生産計画表示システム)が備える表示部に表示された計画表示画面の一例の説明図
図12】本発明の一実施の形態の管理コンピュータ(生産計画表示システム)が備える表示部に表示された計画表示画面の一例の説明図
図13】本発明の一実施の形態の管理コンピュータ(生産計画表示システム)が備える表示部に表示された計画表示画面の一例の説明図
図14】本発明の一実施の形態の生産計画表示方法のフロー図
図15】本発明の一実施の形態の生産計画表示方法の他の実施例のフロー図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、部品実装システム、部品実装ライン、部品実装装置などの仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図3、及び後述する一部では、水平面内で互いに直交する2軸方向として、基板搬送方向のX方向(図3における左右方向)、基板搬送方向に直交するY方向(図3における上下方向)が示される。図4では、水平面と直交する高さ方向としてZ方向(図4における上下方向)が示される。Z方向は、部品実装装置が水平面上に設置された場合の上下方向または直交方向である。
【0013】
まず図1を参照して、部品実装システム1の構成を説明する。部品実装システム1は、フロアFに配置された3本の部品実装ラインL1~L3を通信ネットワーク2によって接続し、管理コンピュータ3によって管理する構成となっている。部品実装ラインL1~L3は、フロアFに設けられた生産エリアApに配置されている。各部品実装ラインL1~L3は、後述するようにスクリーン印刷装置、部品実装装置を含む複数の生産設備を連結して構成され、基板に部品を実装した実装基板(製品)を生産する機能を有している。なお、部品実装システム1が備える部品実装ラインL1~L3は3本である必要はなく、2本および4本以上でも良い。
【0014】
フロアFに設けられた生産エリアApとは異なる準備エリアAsには、配置作業支援装置4が配置されている。配置作業支援装置4は、通信ネットワーク2を介して管理コンピュータ3に接続されている。配置作業支援装置4には、後述する配置作業の対象となる交換用の台車5が接続される。準備エリアAsには、配置作業の実行前、実行中、または実行後など、多様な状態の複数の台車5が保管されている。また、準備エリアAsには、フロアFに配置された生産設備で共用される複数のスクリーンマスク、テープフィーダ9、実装ヘッド12、吸着ノズル12b、リール17(図4参照)などの着脱可能な要素が保管されている。
【0015】
図1において、配置作業支援装置4に接続された台車5には、これから部品実装ラインL1~L3において生産する実装基板の品種に対応する作業指示に従った配置作業が行われる。作業者は配置作業として、指示された部品を供給する複数のテープフィーダ9やリール17などを台車5から外す作業、台車5の指示された位置に取り付ける作業などを実行する。配置作業支援装置4に接続された台車5を含む準備エリアAsにある台車5には、部品実装ラインL1~L3における実装基板の生産と並行して配置作業を実行することができる。以下、台車5に対する配置作業を含む、部品実装ラインL1~L3外での品種変更のための準備作業を外段取り作業と称する。
【0016】
部品実装ラインL1~L3において生産する実装基板の品種を変更する際、作業者は準備エリアAsにおいて配置作業が終了した台車5を部品実装ラインL1~L3まで移動させ、部品実装装置に装着されている台車5と交換する品種切替作業を実行する。また品種切替作業では、作業者は準備エリアAsに保管されている交換用のスクリーンマスク、テープフィーダ9、実装ヘッド12、吸着ノズル12b、リール17などを部品実装ラインL1~L3まで移動させて交換する。以下、台車5を交換する品種切替作業を含む、部品実装ラインL1~L3内での品種変更のための準備作業を内段取り作業と称する。
【0017】
次に図2を参照して、部品実装ラインL1~L3の詳細な構成を説明する。部品実装ラインL1~L3は同様の構成をしており、以下、部品実装ラインL1について説明する。部品実装ラインL1は、基板搬送方向の上流側(紙面左側)から下流側(紙面右側)に向けて、基板供給装置M1、スクリーン印刷装置M2、部品実装装置M3~M6、リフロー装置M7、基板回収装置M8などの生産設備を直列に連結して構成されている。なお、部品実装ラインL1は通信ネットワーク2を介して接続される生産設備群であって、物理的に生産設備同士が連結されていなくてもよい。
【0018】
基板供給装置M1、スクリーン印刷装置M2、部品実装装置M3~M6、リフロー装置M7、基板回収装置M8は、通信ネットワーク2を介して管理コンピュータ3に接続されている。基板供給装置M1は、複数の基板を収納するラック等の収納部を備え、収納部から取り出した基板を下流側の装置に供給する基板供給作業を実行する。スクリーン印刷装置M2は、印刷作業部に装着されたスクリーンマスクを介して上流側から搬入された基板に半田を印刷する半田印刷作業を実行する。なお、部品実装ラインL1は、スクリーン印刷装置M2と並設して、もしくはスクリーン印刷装置M2の代わりにディスペンサを用いて半田を基板に塗布する半田塗布装置を備えてもよい。スクリーン印刷装置M2および半田塗布装置は、基板に半田を堆積させる印刷装置である。
【0019】
部品実装装置M3~M6は、半田が堆積された基板に部品を実装ヘッド12で実装する部品実装作業を実行する。なお、部品実装ラインL1は、部品実装装置M3~M6が4台の構成に限定されることなく、部品実装装置M3~M6が1~3台であっても5台以上であってもよい。リフロー装置M7は、装置内に搬入された基板を基板加熱部によって加熱して基板上の半田を融解させ、さらに半田を硬化させて基板の電極部と部品とを接合する基板加熱作業を実行する。基板回収装置M8は、複数の基板を収納するラック等の収納部を備え、上流側の装置が搬出する基板を受け取って収納部に回収する基板回収作業を実行する。
【0020】
次に図3図4を参照して、部品実装装置M3~M6の構成を説明する。部品実装装置M3~M6は同様の構成であり、ここでは部品実装装置M3について説明する。部品実装装置M3は、部品Dを基板Bに実装する機能を有している。図3において、基台6の中央には、基板搬送機構7がX方向に設置されている。基板搬送機構7は、上流側から搬入された基板BをX方向へ搬送し、以下に説明する実装ヘッド12による実装作業位置に位置決めして保持する。また、基板搬送機構7は、部品実装作業が完了した基板Bを下流側に搬出する。基板搬送機構7の両側方には、部品供給部8が設置されている。
【0021】
部品供給部8には、それぞれ複数のテープフィーダ9がX方向に並列に装着された台車5が取り付けられている。テープフィーダ9は、部品Dを格納するポケットが形成されたキャリアテープを部品供給部8の外側から基板搬送機構7に向かう方向(テープ送り方向)にピッチ送りすることにより、実装ヘッド12が部品Dをピックアップする部品取出し位置に部品Dを供給する。すなわち、テープフィーダ9は、部品Dを供給する部品供給装置である。なお、部品供給装置はテープフィーダ9の他、トレイに載置した部品Dを供給するトレイフィーダ、中空のスティックに整列保持した部品Dを供給するスティックフィーダなどを使用してもよい。
【0022】
図3において、基台6の上面におけるX方向の両端部には、リニア駆動機構を備えたY軸テーブル10が配置されている。Y軸テーブル10には、同様にリニア機構を備えたビーム11がY方向に移動自在に結合されている。ビーム11には、実装ヘッド12がX方向に移動自在に装着されている。実装ヘッド12は、複数(ここでは8つ)のノズルユニット12aを備えている。実装ヘッド12は、ノズルユニット12aの数などが異なる複数の種類が準備されている。
【0023】
図4において、各ノズルユニット12aの下端部には、部品Dを真空吸着して保持する吸着ノズル12bが装着されている。吸着ノズル12bは、吸着する部品Dのサイズや形状などに対応して、ノズルの形状などが異なる複数の種類が準備されている。
【0024】
図3において、Y軸テーブル10およびビーム11は、実装ヘッド12を水平方向(X方向、Y方向)に移動させる実装ヘッド移動機構13を構成する。実装ヘッド移動機構13および実装ヘッド12は、部品供給部8に装着されているテープフィーダ9の部品取出し位置から部品Dを吸着ノズル12bによって吸着してピックアップする。そして、実装ヘッド移動機構13は、基板搬送機構7に保持された基板Bの実装位置に実装ヘッド12を移送して実装する部品実装作業を実行する。
【0025】
実装ヘッド12がテープフィーダ9から部品Dを取り出して基板Bに実装するまでの時間は、台車5におけるテープフィーダ9の位置(部品実装装置の構成)に依存する。例えば、基板Bに実装される実装点数が多い部品Dを供給するテープフィーダ9を台車5の中心付近に配置することで、実装ヘッド12の移動距離を縮小して実装時間を短縮することができる。
【0026】
図3図4において、ビーム11には、ビーム11の下面側に位置して実装ヘッド12とともに一体的に移動するヘッドカメラ14が装着されている。実装ヘッド12が移動することにより、ヘッドカメラ14は基板搬送機構7の実装作業位置に位置決めされた基板Bの上方に移動して、基板Bに設けられた基板マーク(図示せず)を撮像して基板Bの位置を認識する。
【0027】
部品供給部8と基板搬送機構7との間には、部品認識カメラ15が設置されている。部品認識カメラ15は、部品供給部8から部品Dを取り出した実装ヘッド12が上方を移動する際に、吸着ノズル12bに保持された部品Dを撮像して保持位置などを認識する。実装ヘッド12による部品Dの基板Bへの部品実装作業では、ヘッドカメラ14による基板Bの認識結果と部品認識カメラ15による部品Dの認識結果とを加味して実装位置の補正が行われる。
【0028】
図4において、台車5の前側には、部品Dを収納するキャリアテープ16が巻回されたリール17が保持されている。テープフィーダ9は、リール17に収納されているキャリアテープ16をテープ送り方向に搬送して実装ヘッド12による部品取出し位置に部品Dを供給する。テープフィーダ9は、搬送するキャリアテープ16の幅に対応して幅などが異なる複数の種類が準備されている。
【0029】
このように、部品実装ラインL1~L3は、台車5に配置されたテープフィーダ9(部品供給装置)が供給する部品Dを基板Bに実装する部品実装装置M3~M6を備えている。各部品実装装置M3~M6には、部品種の異なる部品Dを供給する複数のテープフィーダ9(部品供給装置)が配置された台車5が2台ずつ装着されている。すなわち、部品実装装置M3~M6を4台備える部品実装ラインL1~L3には、それぞれ8台の台車5が装着されている。以下、実装基板を生産するために部品実装ラインL1~L3に装着される複数の台車5のグループを「台車群」と称する。
【0030】
次に図5を参照して、管理コンピュータ3の構成について説明する。図5には、管理コンピュータ3が備える機能のうち、表示部24に生産計画と段取り計画を表示させる機能に関する構成が記載されている。管理コンピュータ3は、処理部20、記憶装置である生産計画記憶部21、段取り計画記憶部22の他、入力部23、表示部24を備えている。処理部20はCPUなどの情報処理装置であり、内部処理部として生産計画取得部25、段取り計画取得部26、遅延検索部27、待ち時間抽出部28、入力処理部29、表示処理部30を備えている。
【0031】
なお、管理コンピュータ3は、ひとつのコンピュータで構成する必要はなく、複数のデバイスで構成してもよい。例えば、記憶装置の全て、若しくは一部をサーバを介してクラウドに備えてもよい。入力部23は、キーボード、タッチパネル、マウスなどの入力装置であり、操作コマンドやデータ入力時などに用いられる。表示部24は液晶パネルなどの表示装置であり、各記憶部が記憶する各種データを表示する他、入力部23による操作のための計画表示画面などの各種情報を表示する。
【0032】
図5において、生産計画記憶部21には、生産計画情報21aなどが記憶されている。生産計画情報21aには、生産される実装基板のロットを特定するロット番号毎に、実装基板を生産する部品実装ラインL1~L3を特定する情報、部品実装ラインL1~L3外で台車5にロットに対応するテープフィーダ9を配置する外段取り作業の段取り計画を特定する情報、生産に関する日時の情報などを含む生産計画が記憶されている。
【0033】
ここで図6を参照して、生産計画情報21aの例について説明する。生産計画情報21aには、ロット番号31、品種番号32、生産枚数33、ライン番号34、生産開始日時35、生産終了日時36、品種切替時間37、生産開始可能日38、生産納期39、段取り番号40などが含まれている。ロット番号31は、部品実装ラインL1~L3において生産される実装基板のロットを特定する情報である。品種番号32は、実装基板の品種を特定する情報である。生産枚数33は、ロットにおける実装基板の生産枚数である。
【0034】
ライン番号34は、実装基板を生産する部品実装ラインL1~L3を特定する情報である。「L1」は部品実装ラインL1を、「L2」は部品実装ラインL2を、「L3」は部品実装ラインL3を、それぞれ示している。なお、部品実装ラインL1~L3が、並行して部品実装作業が可能な複数のレーンを備えている場合は、ライン番号34に加えて、レーン番号も記憶される。
【0035】
図6において、生産開始日時35は、ロットの実装基板の生産を開始する予定日時である。生産終了日時36は、ロットの実装基板の生産を終了する予定日時である。品種切替時間37は、部品実装ラインL1~L3で生産する実装基板の品種を変更するにあたり、台車5は交換せずに台車5に載置されているテープフィーダ9を交換する内段取り作業などの品種切替作業に要する時間である。例えば、ロット番号31が「D」で品種番号32が「X3」の部品実装ラインL2において、ロット番号31が「E」で品種番号32が「X4」のロットを生産するには「1時間5分」の品種切替作業が必要となる。
【0036】
生産開始可能日38は、フロアFに部品Dなどが揃い、後工程を考慮して生産が開始可能となる日である。なお、生産が開始可能となる日に代わり、日時を記憶するようにしてもよい。生産納期39は、実装基板の生産を完了しなければならない日時である。段取り番号40は、対応する外段取り作業の段取り計画を特定する情報である。以下、ロット番号31が「A」のロットを単に「ロットA」と、品種番号32が「X1」の品種を単に「品種X1」と、段取り番号40が「P2」の段取り計画を「段取りP2」などと称する。
【0037】
図5において、段取り計画記憶部22には、段取り計画情報22a、台車情報22bなどが記憶されている。段取り計画情報22aには、外段取り作業における作業の種類、作業に関する日時、台車群を特定する情報などを含む段取り計画が記憶されている。台車情報22bは、台車5を特定する情報、台車5が属する台車群を特定する情報などが記憶されている。
【0038】
ここで図7を参照して、段取り計画情報22aの例について説明する。段取り計画情報22aには、段取り番号40、作業種類41、作業人数42、段取り開始日時43、段取り終了日時44、台車群番号45などが含まれている。作業種類41は、段取り作業の種類を特定する情報である。ここでは、段取り作業のラインを特定する情報が記憶されている。段取り作業のラインは、例えば、準備エリアAsに配置された配置作業支援装置4毎に設定される。また、段取り計画を台車5からテープフィーダ9を外す作業毎、台車5にテープフィーダ9を取り付ける作業毎に作成した場合は、作業種類41に段取り作業を特定する「外し」「付け」なども一緒に記憶される。
【0039】
作業人数42は、段取り作業に割り当てられた作業者の人数である。段取り開始日時43は、段取り作業を開始する予定日時である。段取り終了日時44は、段取り作業を終了する予定日時である。台車群番号45は、台車群を特定する情報である。この例では、生産エリアApでは、「G1」から「G4」の4つの台車群が使用されている。以下、台車群番号45が「G1」の台車群を単に「台車群G1」などと称する。
【0040】
このように、生産計画情報21aには、生産する部品実装ラインL1~L3と対応する段取り計画を特定する情報(段取り番号40)をロット毎に含む生産計画が記憶されている。また、段取り計画情報22aには、台車5の部品供給装置(テープフィーダ9)の配置を変更する段取り作業の種類(作業種類41)を含む段取り計画が記憶されている。生産計画情報21aと段取り計画情報22aは、ロット番号31、生産枚数33、生産開始可能日38、生産納期39などを含む製品計画、ロット番号31、ライン番号34、サイクルタイム、品種切替時間37、段取り番号40などを含む生産条件、段取り番号40、必要台車数などを含む段取り条件などに基づいて、生産計画作成システムなどによって予め作成されて、生産計画記憶部21と段取り計画記憶部22に記憶されている。
【0041】
図5において、表示部24に計画表示画面を表示させるにあたり、生産計画取得部25は生産計画情報21aから生産計画を取得する。段取り計画取得部26は段取り計画情報22aから段取り計画を取得する。なお、生産計画取得部25と段取り計画取得部26は、製品計画、生産条件、段取り条件などから生産計画と段取り計画を取得してもよい。表示処理部30は、内部処理部として時系列表示処理部30a、リスト表示処理部30b、テキスト表示処理部30c、遅延表示処理部30d、待ち時間表示処理部30eを備えている。表示処理部30は、表示部24に計画表示画面を表示させる。
【0042】
ここで図8を参照して、表示処理部30が表示部24に表示させた計画表示画面50の例について説明する。図8図13に示す生産計画画面は、図6に示す生産計画情報21aと図7に示す段取り計画情報22aに基づいて表示されている。
【0043】
図8において、計画表示画面50には、「オプション設定」領域51、「時系列生産計画表示」領域52、「時系列段取り計画表示」領域53、「表示リスト選択」領域54、「リスト表示」領域55が表示されている。「オプション設定」領域51には、「段取り区切り」スイッチ、「内段取り」スイッチ、「遅延表示」スイッチ、「選択詳細表示」スイッチが表示されている。作業者が入力部23で各スイッチが備えるボタンを「ON」または「OFF」にスライドさせると、入力処理部29によって各オプションの選択が受けられる。
【0044】
「時系列生産計画表示」領域52には、表示処理部30の時系列表示処理部30aによって生産計画が部品実装ラインL1~L3毎に生産時刻56に沿って表示されている。「時系列段取り計画表示」領域53には、表示処理部30の時系列表示処理部30aによって段取り計画が段取り作業のラインS1毎に生産時刻56に沿って表示されている。表示する生産時刻56の範囲は、図示省略する「表示時間指定」ボタンによって、月単位、週単位、日単位などと指定される。
【0045】
図8において、「表示リスト選択」領域54には、「リスト表示」領域55にリスト形式で表示される詳細情報を選択させる「生産計画」ボタン、「外段取り計画」ボタン、「内段取り計画」ボタンが表示されている。作業者が入力部23でいずれかのボタンを操作すると、入力処理部29によってリスト形式で表示される詳細情報の選択が受けられる。ここでは、「生産計画」が選択されている。
【0046】
「リスト表示」領域55には、表示処理部30のリスト表示処理部30bによって、生産計画の詳細情報、外段取り計画(段取り計画)、内段取り計画の詳細情報がリスト形式で表示されている。作業者が入力部23でスクロールバー55a、55bをスライドさせると、「リスト表示」領域55に表示されるリストが上下左右にスクロールする。
【0047】
このように、表示部24は、生産計画を部品実装ラインL1~L3毎に、段取り計画を段取り作業のラインS1毎に、時系列(生産時刻56)に沿って同じ画面(計画表示画面50)に表示する。また、表示部24は、生産計画の詳細情報または段取り計画(外段取り計画)の詳細情報をリスト形式で画面(計画表示画面50)に表示する。すなわち、管理コンピュータ3は、台車5に配置された部品供給装置(テープフィーダ9)が供給する部品Dを基板Bに実装する部品実装装置M3~M6を備えた複数の部品実装ラインL1~L3により複数の品種の実装基板を生産する生産計画を表示部24に表示する生産計画表示システムである。
【0048】
次に図9を参照して、「段取り区切り」オプションが選択された計画表示画面57の例について説明する。図9は、図8に示す計画表示画面50において、「オプション設定」領域の「段取り区切り」スイッチ58が「ON」に設定された状態を示している。「段取り区切り」オプションが選択されると、時系列表示処理部30aは同じ段取り番号40の生産計画を1つにまとめた生産計画として「時系列生産計画表示」領域59に表示する。これによって、同じ外段取り作業が行われた台車群G1~G4毎に生産計画を容易に把握することができる。
【0049】
図6においてロットBとロットCは同じ段取りP5であり、図9において「時系列生産計画表示」領域59の部品実装ラインL1に1つの生産計画60として表示される。同様に、ロットD、ロットE、ロットFは同じ段取りP3であり、「時系列生産計画表示」領域59の部品実装ラインL2に1つの生産計画61として表示される。同様に、ロットIとロットJは同じ段取りP6であり、「時系列生産計画表示」領域59の部品実装ラインL3に1つの生産計画62として表示される。
【0050】
次に図10を参照して、「内段取り」オプションが選択された計画表示画面63の例について説明する。図10は、図8に示す計画表示画面50において、「オプション設定」領域の「内段取り」スイッチ64が「ON」に設定された状態を示している。「段取り区切り」オプションが選択されると、時系列表示処理部30aは部品実装ラインL1~L3において実施される内段取り作業などの品種切替作業の時間を「時系列生産計画表示」領域65に表示する。すなわち、表示部24は、計画表示画面63に表示された生産計画に、部品実装ラインL1~L3が備える部品実装装置M3~M6に対する段取り計画(内段取り計画)を表示する。これによって、部品実装ラインL1~L3における品種切替作業の発生時期と発生箇所を容易に把握することができる。
【0051】
図6において、品種X3のロットDから品種X4のロットEへの変更では、「1時間5分」の品種切替作業が予定されている。そこで時系列表示処理部30aは、「時系列生産計画表示」領域65において、品種X4に切り替えるための品種切替作業の時間66を部品実装ラインL2のロットEの生産計画の前に表示させる。同様に、品種X7のロットIから品種X8のロットJへの「46分」の品種切替作業の時間67が、「時系列生産計画表示」領域65の部品実装ラインL3のロットJの生産計画の前に表示されている。時系列表示処理部30aは、生産時間との区別が容易なように、品種切替作業の時間66,67の色や模様を生産時間と変えて表示する。図10では、品種切替作業の時間66,67に斜線のハッチングが付されている。
【0052】
次に図11を参照して、表示されている生産計画が選択された計画表示画面68の例について説明する。図11は、図8に示す計画表示画面50において、「時系列生産計画表示」領域のロットBの生産計画が選択された状態を示している。作業者が入力部23でロットBの生産計画の表示を操作すると、入力処理部29によってロットBの生産計画の選択が受け付けられる。ロットBの生産計画の選択が受けられると、時系列表示処理部30aは、「時系列生産計画表示」領域69の部品実装ラインL1に表示されているロットBの生産計画70の表示を変更(強調表示)させる。図11では、時系列表示処理部30aは、ロットBの生産計画70に斜線格子のハッチングを付している。
【0053】
また、時系列表示処理部30aは、「時系列段取り計画表示」領域71の段取り作業のラインS1に表示されている選択されたロットBを生産するための段取りP5の段取り計画72の表示を変更(強調表示)させる。図11では、時系列表示処理部30aは、段取りP5の段取り計画72に斜線のハッチングを付している。また、時系列表示処理部30aは、「時系列生産計画表示」領域69の部品実装ラインL1に表示されているロットBと同じ段取りP5の台車群G1を使用するロットCの生産計画73の表示を変更(強調表示)させる。図11では、時系列表示処理部30aは、ロットCの生産計画73に斜線のハッチングを付している。
【0054】
また、時系列表示処理部30aは、「時系列生産計画表示」領域69の部品実装ラインL3に表示されている段取りP5の台車群G1を直前に使用したロットGの生産計画74の表示を変更(強調表示)させる。具体的には、時系列表示処理部30aは、図7に示す段取り計画情報22aにおいて段取りP5の台車群G1に対する直前の外段取り作業として段取りP1を抽出する。次いで時系列表示処理部30aは図6に示す生産計画情報21aにおいて段取りP1を使用する最後のロットであるロットGを抽出して、「時系列生産計画表示」領域69のロットGの生産計画74の表示を変更する。図11では、時系列表示処理部30aは、ロットGの生産計画74に斜線のハッチングを付している。
【0055】
図11において、リスト表示処理部30bは、「リスト表示」領域75に表示されているロットBの生産計画70の詳細情報76の表示を変更(強調表示)させる。図11では、リスト表示処理部30bは、ロットBの生産計画70の詳細情報76の表示を白黒反転させている。
【0056】
このように、入力部23と入力処理部29は、計画表示画面68に表示された生産計画70の選択を受け付ける選択受け付け部である。表示部24は、選択された生産計画70と、選択された生産計画70で使用する台車5(台車群G1)の段取り計画72の表示を変更する。また、表示部24は、選択された生産計画70と同じ台車5を使用する生産計画73と、選択された生産計画70で使用する台車5を直前に使用した生産計画74の表示を変更する。また、表示部24は、選択された生産計画70の詳細情報76のリスト形式の表示を変更する。
【0057】
これによって、選択された生産計画70と段取り計画72や関連する生産計画73,74との因果関係を容易に把握することができる。なお、表示部24は、上述した関連する生産計画73,74と詳細情報76の全ての表示を変更する必要はなく、変更するのは関連する生産計画73,74や詳細情報76の一部の表示であってもよい。また、選択受け付け部(入力部23、入力処理部29)が「リスト表示」領域75の詳細情報76の選択を受け付けて、その選択をトリガに「時系列生産計画表示」領域69の生産計画70,73,74と「時系列段取り計画表示」領域71の段取り計画72の表示を変更するようにしてもよい。
【0058】
次に図12を参照して、「選択詳細表示」オプションが選択された状態で表示されている段取り計画が選択された計画表示画面77の例について説明する。図12は、図8に示す計画表示画面50において、「オプション設定」領域の「選択詳細表示」スイッチ78が「ON」に設定された状態で、「時系列段取り計画表示」領域の段取りP5の段取り計画が選択された状態を示している。作業者が入力部23で段取りP5の段取り計画の表示を操作すると、入力処理部29によって段取りP5の段取り計画の選択が受けられる。
【0059】
段取りP5の段取り計画の選択が受け付けられると、時系列表示処理部30aは、「時系列段取り計画表示」領域79の段取り作業のラインS1に表示されている選択された段取りP5の段取り計画80の表示を変更(強調表示)させる。図12では、時系列表示処理部30aは、段取りP5の段取り計画80に斜線格子のハッチングを付している。また、時系列表示処理部30aは、「時系列生産計画表示」領域81の部品実装ラインL1に表示されている選択された段取り計画80で段取り作業を行った台車群G1を使用するロットBの生産計画82の表示を変更(強調表示)させる。
【0060】
図12において、時系列表示処理部30aは、「時系列生産計画表示」領域81の部品実装ラインL3に表示されている段取りP5の台車群G1を直前に使用したロットGの生産計画83の表示を変更(強調表示)させる。図12では、時系列表示処理部30aは、ロットBの生産計画82とロットGの生産計画83に斜線のハッチングを付している。
【0061】
さらにリスト表示処理部30bは、「リスト表示」領域84に表示されているロットBの生産計画82の詳細情報85とロットGの生産計画83の詳細情報86の表示を変更(強調表示)させる。図12では、リスト表示処理部30bは、詳細情報85,86の表示を白黒反転させている。なお、リスト表示処理部30bは、「表示リスト選択」領域の「外段取り計画」ボタンが選択されている場合は、「リスト表示」領域84に表示される段取りP5の段取り計画80の詳細情報の表示を変更させる。
【0062】
図12において、表示処理部30のテキスト表示処理部30cは、選択された段取り計画80の詳細情報をテキスト形式で表示する「テキスト表示」枠87を計画表示画面77に重ねて表示させる。「テキスト表示」枠87には、段取り計画80の詳細情報として、段取り計画情報22aに記憶されている段取り番号40(P5)、台車群番号(G1)、作業人数42(2人)、段取り開始日時43(12/11 11:50)、段取り終了日時44(12/11 13:30)の他、段取り開始日時43と段取り終了日時44から算出される段取り時間(1:40)がテキスト形式で表示されている。なお、テキスト表示処理部30cは、生産計画が選択されると、選択された生産計画の詳細情報を「テキスト表示」枠87に表示する。
【0063】
このように、入力部23と入力処理部29は、計画表示画面77に表示された段取り計画80の選択を受け付ける選択受け付け部である。表示部24は、選択された段取り計画80と、選択された段取り計画80で段取り作業(段取りP5)を行った台車5(台車群G1)を使用する生産計画82の表示を変更する。また、表示部24は、選択された段取り計画80で段取り作業を行った台車5を直前に使用した生産計画83の表示を変更する。また、表示部24は、選択された段取り計画80(または生産計画)の詳細情報(「テキスト表示」枠87)をテキスト形式で計画表示画面77に表示する。これによって、段取り計画80と関連する生産計画82,83の因果関係を容易かつ詳細に把握することができる。
【0064】
次に図13を参照して、「遅延表示」オプションが選択された計画表示画面88の例について説明する。図13は、図8に示す計画表示画面50において、「オプション設定」領域の「遅延表示」スイッチ89が「ON」に設定された状態を示している。「遅延表示」オプションが選択されると、遅延検索部27は、生産計画が納期より遅延する遅延ロットを検索する。具体的には、遅延検索部27は、生産計画情報21aの生産終了日時36が生産納期39より遅いロットを検索する。図6の生産計画情報21aでは、ロットJの生産終了日時36が「12/11 21:50」と予想されており、「12/11 20:00」の生産納期39より遅く、遅延検索部27はロットJを遅延ロットとして検出する。
【0065】
図13において、遅延ロットが検出されると、表示処理部30の遅延表示処理部30dは、「時系列生産計画表示」領域90の部品実装ラインL3に表示されている遅延ロットであるロットJの生産計画91の表示を変更(強調表示)させる。図13では、ロットJの生産計画91に斜線格子のハッチングが付されている。また、遅延表示処理部30dは、「時系列段取り計画表示」領域92の段取り作業のラインS1に表示されているロットJの生産で使用する台車群G2の段取りP6の段取り計画93の表示を変更(強調表示)させる。図13では、段取りP6の段取り計画93に斜線のハッチングが付されている。
【0066】
待ち時間抽出部28は、遅延ロット(ロットJ)を生産する部品実装ラインL3において実装基板の生産が行われていない時間のうち、遅延ロットの生産で使用する台車5(台車群G2)の段取り作業(段取りP6)が終わっていないため実装基板の生産が開始できない待ち時間94を抽出する。具体的には、遅延ロットと同じ段取りP6のロットIが生産を開始する時間(生産開始日時35)と、部品実装ラインL3においてロットIの前に生産されるロットHが生産を終了する時間(生産終了日時36)の間の時間(14:36から15:40まで)は、実装基板の生産が行われない空き時間である。また、ロットIの生産開始日時35までに段取りP6が終了しないため、待ち時間抽出部28はロットHの生産終了からロットIの生産開始までの空き時間を待ち時間94として抽出する。
【0067】
図13において、待ち時間94が抽出されると、表示処理部30の待ち時間表示処理部30eは、「時系列生産計画表示」領域90の部品実装ラインL3に待ち時間94を表示させる。その際、待ち時間表示処理部30eは、生産時間との区別が容易なように、待ち時間94の色や模様を生産時間と変えたり、点滅させて表示させる。図13では、待ち時間94に斜線のハッチングが付されている。
【0068】
このように、表示部24は、計画表示画面88に表示された生産計画のうち、遅延ロット(ロットJ)の生産計画91の表示を変更し、計画表示画面88に表示された段取り計画のうち、遅延ロットの生産で使用する台車5(台車群G2)の段取り計画93の表示を変更する。また、表示部24は、計画表示画面88の「時系列生産計画表示」領域90に待ち時間94を表示する。これによって、遅延ロットの生産計画91と関連する段取り計画93、および待ち時間94の因果関係を容易に把握することができる。
【0069】
次に図14のフローに沿って、図8図11図12を参照しながら、生産計画表示システム(管理コンピュータ3)によって表示部24に複数の部品実装ラインL1~L3により複数の品種の実装基板を生産する生産計画を表示する生産計画表示方法(生産計画表示プログラム)について説明する。図14において、まず、生産計画取得部25が生産する部品実装ラインL1~L3と、対応する段取り計画を特定する情報(段取り番号40)をロット毎(ロット番号31)に含む生産計画を取得する(ST1:生産計画取得工程)。
【0070】
次いで段取り計画取得部26が、台車5のテープフィーダ9(部品供給装置)の配置を変更する段取り作業の種類(作業種類41)を含む段取り計画を取得する(ST2:段取り計画取得工程)。次いで時系列表示処理部30aが、生産計画を部品実装ラインL1~L3毎に(図8の「時系列生産計画表示」領域52)、段取り計画を段取り作業のラインS1毎に(図8の「時系列段取り計画表示」領域53)、時系列(生産時刻56)に沿って同じ計画表示画面50に表示する(ST3:時系列表示工程)。
【0071】
図14において、また、リスト表示処理部30bが、生産計画の詳細情報または段取り計画の詳細情報をリスト形式で計画表示画面50に表示する(ST4:リスト表示工程)(図8の「表示リスト選択」領域54)。次いで選択受け付け部(入力部23、入力処理部29)が計画表示画面50に表示された生産計画または段取り計画の選択を受け付ける(ST5:選択受け付け工程)。
【0072】
図11の計画表示画面68では、ロットBの生産計画70が選択されており(ST5においてYes)、時系列表示処理部30aが選択された生産計画70と、選択された生産計画70で使用する台車5の段取り計画72(段取りP5)の表示を変更(強調表示)させる(ST6:選択計画表示変更工程)。またリスト表示処理部30bが、「リスト表示」領域75に表示されている選択された生産計画70の詳細情報76の表示を変更(強調表示)させる(ST7:リスト表示変更工程)。さらに時系列表示処理部30aが、選択された生産計画70と同じ台車5(台車群G1)を使用する生産計画73と、選択された生産計画70で使用する台車5を直前に使用した生産計画74の表示を変更(強調表示)させる(ST8:関連計画表示変更工程)。
【0073】
図12の計画表示画面77では、選択受け付け工程(ST5)において段取り計画80が選択されており(Yes)、選択計画表示変更工程(ST6)において、時系列表示処理部30aが選択された段取り計画80と、選択された段取り計画80で段取り作業を行った台車5(台車群G1)を使用する生産計画82の表示を変更(強調表示)させる。さらに関連計画表示変更工程(ST8)において、時系列表示処理部30aが選択された段取り計画80で段取り作業を行った台車5を直前に使用した生産計画83の表示を変更(強調表示)させる。
【0074】
なお、「外段取り計画」ボタンが操作されて「リスト表示」領域84に外段取り計画の詳細がリスト形式で表示されている場合は、リスト表示変更工程(ST7)において、リスト表示処理部30bが、「リスト表示」領域84に表示されている選択された段取り計画80の詳細情報の表示を変更(強調表示)させる。
【0075】
図14において、次いでテキスト表示処理部30cが、選択された生産計画または段取り計画80の詳細情報をテキスト形式で計画表示画面77に表示させる(ST9:テキスト表示工程)。テキスト表示工程(ST9)は、「選択詳細表示」スイッチ78が「ON」で「選択詳細表示」オプションが選択されている場合に実行される。図12において、計画表示画面77では「選択詳細表示」オプションが選択されており、選択受け付け工程(ST5)において段取り計画80が選択されたため、テキスト表示処理部30cが段取り計画80の詳細情報をテキスト形式で「テキスト表示」枠87に表示している。
【0076】
このように、図14に示す生産計画表示方法(生産計画表示プログラム)は、生産計画取得工程(ST1)、段取り計画取得工程(ST2)、時系列表示工程(ST3)、選択受け付け工程(ST5)、選択計画表示変更工程(ST6)を含んでいる。これによって、表示部24に計画表示画面68,77が表示され、生産計画と段取り計画の因果関係を容易に把握することができる。
【0077】
次に図15のフローに沿って、図8図13を参照しながら、生産計画表示システム(管理コンピュータ3)によって生産計画を表示する生産計画表示方法(生産計画表示プログラム)の他の実施例について説明する。他の実施例は、計画表示画面において「遅延表示」スイッチが「ON」に選択されるところが図14の生産計画表示方法と異なる。以下、図14のフローと同じ工程には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0078】
まず、生産計画取得工程(ST1)、段取り計画取得工程(ST2)、時系列表示工程(ST3)、リスト表示工程(ST4)が実行される。これにより、表示部24に図8に示す計画表示画面50が表示される。次いで選択受け付け部(入力部23、入力処理部29)が、計画表示画面88に表示された「遅延表示」スイッチ89が「OFF」から「ON」に変更される「遅延表示」オプションの選択を受け付ける(ST10:遅延表示オプション受け付け工程)。図13の計画表示画面88では、「遅延表示」スイッチ89が「ON」になっている。
【0079】
「遅延表示」オプションを受け付けると(ST10においてYes)、遅延検索部27が生産計画が納期より遅延する遅延ロットを検索する(ST11:遅延ロット検索工程)。遅延ロットが見つかると、遅延表示処理部30dが計画表示画面88に表示された生産計画のうち、遅延ロット(ロットJ)の生産計画91の表示を変更(強調表示)させる(ST12:遅延ロット表示変更工程)。さらに遅延表示処理部30dは、計画表示画面88に表示された段取り計画のうち、遅延ロットの生産で使用する台車5(台車群G2)の段取り計画93の表示を変更(強調表示)させる(ST13:遅延段取り表示変更工程)。
【0080】
図15において、次いで待ち時間抽出部28が、遅延ロットを生産する部品実装ラインL3において実装基板の生産が行われていない時間のうち、遅延ロットの生産で使用する台車5の段取り作業(段取りP6)が終わっていないため実装基板の生産が開始できない待ち時間94を抽出する(ST14:待ち時間抽出工程)。次いで待ち時間表示処理部30eは、計画表示画面88に待ち時間94を表示させる(ST15:待ち時間表示工程)。その後、遅延ロットの生産計画91の情報などを詳細に調査する場合は、作業者が入力部23で計画表示画面88に表示されている遅延ロットの生産計画91などを選択することで、図14に示す選択受け付け工程(ST5)からテキスト表示工程(ST9)が実行される。
【0081】
このように、図15に示す生産計画表示方法(生産計画表示プログラム)は、生産計画取得工程(ST1)、段取り計画取得工程(ST2)、時系列表示工程(ST3)、遅延ロット検索工程(ST11)、遅延ロット表示変更工程(ST12)、遅延段取り表示変更工程(ST13)を含んでいる。これによって、表示部24に表示されている計画表示画面88の遅延ロットの生産計画91と遅延ロットの生産で使用する台車5の段取り計画93の表示が変更され、生産計画と段取り計画の因果関係を容易に把握することができる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明の生産計画表示方法および生産計画表示システムならびに生産計画表示プログラムは、生産計画と段取り計画の因果関係を容易に把握することができるという効果を有し、部品を基板に実装する分野において有用である。
【符号の説明】
【0083】
3 管理コンピュータ(生産計画表示システム)
5 台車
9 テープフィーダ(部品供給装置)
B 基板
D 部品
L1~L3 部品実装ライン
M3~M6 部品実装装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15