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特許7450151服薬支援システム、服薬支援方法、並びに、服薬支援プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-07
(45)【発行日】2024-03-15
(54)【発明の名称】服薬支援システム、服薬支援方法、並びに、服薬支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61J 7/00 20060101AFI20240308BHJP
   A61J 7/04 20060101ALI20240308BHJP
   G16H 70/40 20180101ALI20240308BHJP
   G16H 40/00 20180101ALI20240308BHJP
【FI】
A61J7/00 Z
A61J7/04 A
G16H70/40
G16H40/00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020031972
(22)【出願日】2020-02-27
(65)【公開番号】P2021132902
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2023-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】竹内 よし乃
【審査官】岡本 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-175297(JP,A)
【文献】特開2009-042935(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 7/00
A61J 7/04
A61J 1/14
G16H 70/40
G16H 40/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の薬剤包装の服用時期の管理を支援する服薬支援システムであって、
前記薬剤包装には、同一、又は異なる分包機によって包装されたものであって服用者及び服用時期が同じ薬剤が包装された複数の薬剤包装が含まれる場合があり、
それぞれの前記薬剤包装には、読取可能な位置に自己を特定するための情報である薬剤包装特定情報が付されており、
処方に関する情報である処方情報を記憶する記憶手段と、前記薬剤包装特定情報を読み取り可能な読取手段とを有し、
服用者及び服用時期が同じ薬剤が内包された複数の前記薬剤包装のうちの一の前記薬剤包装に付された前記薬剤包装特定情報を読み取ることを条件として、読み取った前記薬剤包装特定情報と前記処方情報に基づき、服用者及び服用時期が同じである前記薬剤包装の数を特定する包数特定動作を実行可能であることを特徴とする服薬支援システム。
【請求項2】
複数の薬剤包装の服用時期の管理を支援する服薬支援システムであって、
それぞれの前記薬剤包装には、読取可能な位置に自己を特定するための情報である薬剤包装特定情報が付されており、
処方に関する情報である処方情報を記憶する記憶手段と、前記薬剤包装特定情報を読み取り可能な読取手段とを有し、
服用者及び服用時期が同じ薬剤が内包された複数の前記薬剤包装のうちの一の前記薬剤包装に付された前記薬剤包装特定情報を読み取ることを条件として、読み取った前記薬剤包装特定情報と前記処方情報に基づき、服用者及び服用時期が同じ前記薬剤包装の数を特定する包数特定動作を実行可能であり、
前記薬剤包装をセットする薬剤セット具を有し、
服用者及び服用時期が同じ薬剤が内包された複数の前記薬剤包装の群である薬剤包装群を対象とした関連包読取動作を実行可能であり、
前記関連包読取動作では、前記薬剤包装群に属する前記薬剤包装のそれぞれに付された前記薬剤包装特定情報を読み取るものであり、
前記薬剤セット具の所定位置に前記薬剤包装群に属する前記薬剤包装を重ねてセットするものであり、前記薬剤セット具に前記薬剤包装を正しくセットしたか否かを判別する配置位置確認動作を実行可能であり、
前記配置位置確認動作では、重ねてセットした前記薬剤包装のうちの一つが識別され、識別された一つの前記薬剤包装が正しい位置にセットされていることを条件として、前記薬剤包装群に属する複数の前記薬剤包装が正しい位置に配置されていると判別することを特徴とする服薬支援システム。
【請求項3】
服用者及び服用時期が同じ薬剤が内包された複数の前記薬剤包装の群である薬剤包装群を対象とした関連包読取動作を実行可能であり、
前記関連包読取動作は、前記薬剤包装群に属する前記薬剤包装のそれぞれに付された前記薬剤包装特定情報を読み取るものであり、
前記関連包読取動作で読み取りの対象となる前記薬剤包装特定情報のいずれかが読み取られていない場合に、その旨を報知する未読取報知動作を実行することを特徴とする請求項1又は2に記載の服薬支援システム。
【請求項4】
一の前記薬剤包装群に対する前記関連包読取動作の実行後、一の前記薬剤包装群に属する前記薬剤包装のうちの一の前記薬剤包装に付された前記薬剤包装特定情報が読み取られたことを条件として、前記薬剤包装群に属するそれぞれの前記薬剤包装に付された前記薬剤包装特定情報が全て読み込まれたか否かを判別し、
当該判別の結果、前記薬剤包装群に属する前記薬剤包装のいずれかに付された前記薬剤包装特定情報が読み取られていない場合に、その旨を報知する未読取報知動作を実行することを特徴とする請求項3に記載の服薬支援システム。
【請求項5】
前記薬剤包装は、分包機によって包装されるものであり、
服用者及び服用時期が同じ薬剤が包装された複数の前記薬剤包装の群を薬剤包装群としたとき、前記薬剤包装群には、同一の分包機で不連続に包装された複数の前記薬剤包装、及び/又は、異なる分包機によってそれぞれ別途包装された複数の前記薬剤包装が含まれるものであり、
前記薬剤包装群に属する複数の前記薬剤包装には、複数の前記薬剤包装に跨って付される薬包関連表示が付されるものであり、
前記薬包関連表示は、前記薬剤包装群に属する複数の前記薬剤包装を並べて配置したとき、一連の図柄を形成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の服薬支援システム。
【請求項6】
複数の前記薬剤包装をセットする薬剤セット具と、撮影手段を有し、
前記薬剤セット具は、一又は複数の前記薬剤包装を収容可能な薬剤収容部を複数有し、
複数の前記薬剤収容部には、それぞれ一又は複数の前記薬剤包装が対応付けられており、それぞれの前記薬剤収容部に対応する前記薬剤包装を収容することで、前記薬剤包装が前記薬剤セット具にセットされ、前記薬剤包装特定情報が外部から読取可能となるものであり、
前記薬剤包装の正しいセット位置に関する情報を正規位置情報として記憶しており、
前記薬剤セット具に前記薬剤包装を正しくセットしたか否かを判別する配置位置確認動作を実行可能であり、
前記配置位置確認動作では、前記薬剤セット具が、それぞれの前記薬剤収容部に収容された前記薬剤包装の前記薬剤包装特定情報を含むように撮影され、それぞれの前記薬剤包装特定情報の読み取りが実行されるものであり、且つ、前記薬剤包装特定情報の読み取りに基づいて識別されたそれぞれの前記薬剤包装と、前記薬剤セット具の相対位置に関する情報が取得され、
それぞれの前記薬剤包装の前記薬剤セット具に対する相対位置に関する情報と、前記正規位置情報とを比較することで、それぞれの前記薬剤収容部に前記薬剤包装が正しく収容されているか否かを判別するものであり、
一の前記薬剤収容部に複数の前記薬剤包装が収容されている場合には、収容された前記薬剤包装のうちの一つが識別され、識別された一つの前記薬剤包装が正しい位置に収容されていることを条件として、複数の前記薬剤包装が正しい位置に収容されていると判断することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の服薬支援システム。
【請求項7】
服用者及び服用時期が同じ薬剤が内包された複数の前記薬剤包装のそれぞれに付された前記薬剤包装特定情報を読み取る関連包読取動作が実行可能であり、
前記関連包読取動作の実行後、服用者及び服用時期が同じ薬剤が内包された前記薬剤包装が追加された場合に、前記関連包読取動作を再度実行するものであり、
再度実行する前記関連包読取動作では、先行して実行した前記関連包読取動作で読み取った複数の前記薬剤包装特定情報のうちの一つと、追加された前記薬剤包装に付された前記薬剤包装特定情報とを読み取ることで、前記関連包読取動作が正常に終了したものと判断することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の服薬支援システム。
【請求項8】
請求項6に記載の服薬支援システムを使用し、前記薬剤セット具の前記薬剤収容部に前記薬剤包装を正しく収容したか否かを確認する服薬支援方法であって、
服用者及び服用時期が同じ薬剤が内包された複数の前記薬剤包装のそれぞれに付された前記薬剤包装特定情報を読み取る事前読取工程と、
服用者及び服用時期が同じ薬剤が包装された複数の前記薬剤包装を重ねて一纏めにする収容準備工程と、
前記薬剤セット具の前記薬剤収容部に対応付けられた前記薬剤包装を収容する薬剤包装収容工程と、
前記薬剤セット具の前記薬剤収容部に前記薬剤包装を正しく収容したか否かを判別する配置位置確認工程を含み、
前記配置位置確認工程では、前記収容準備工程で一纏めにした複数の前記薬剤包装が正しく収容されているか否かを判別するとき、複数の前記薬剤包装のうちの一の前記薬剤包装が正しい位置に収容されていることを条件として、複数の前記薬剤包装が正しい位置に収容されていると判別することを特徴とする服薬支援方法。
【請求項9】
服用時期が同じ薬剤包装の数を特定する動作をコンピュータに実行させるための服薬支援プログラムであって、
コンピュータに、前記薬剤包装に付された自己を特定するための情報である薬剤包装特定情報を読み取る動作と、前記薬剤包装特定情報と処方に関する情報である処方情報を比較する動作と、服用者及び服用時期が同じ薬剤が内包された複数の前記薬剤包装に付されている前記薬剤包装特定情報のいずれか一つを読み取ることで、服用者及び服用時期が同じ前記薬剤包装の数を特定する包数特定動作とを実行させる機能を有することを特徴とする服薬支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者が処方箋通りに間違いなく服薬することを支援する服薬支援システム、服薬支援方法、並びに、服薬支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、患者が処方通りに正しく服薬することを支援するための用具として、お薬カレンダー等と称される薬剤セット具(以下、単にお薬カレンダーとも称する)が知られている。このお薬カレンダーは、複数のポケット部分を有し、それぞれのポケット部分に薬剤包装や目薬等の外用薬を入れて使用する。
【0003】
具体的に説明すると、図10で示されるように、1週間分に服薬に対応する個人用のお薬カレンダー204であれば、例えば、7×4行列状にポケット部分231を配し、各行を「月」、「火」、「水」、「木」、「金」、「土」、「日」の各曜日に対応させる。その一方で、各列を「朝」、「昼」、「夜」、「寝る前」のそれぞれの服用時期に対応させる。そして、行列の(1,1)成分にあるポケット部分231には、月曜日の朝食後に服薬する薬剤包装を入れ、行列の(2,2)成分にあるポケット部分231には、火曜日の昼食後に服薬する薬剤包装を入れるといった具合に運用する。
【0004】
この他、図11で示されるように、所定の曜日(例えば、月曜日)の服薬に対応するお薬カレンダー304であって、5人の患者が属するグループ用のお薬カレンダー304であれば、例えば、5×4行列状にポケット部分331を配する。そして、各行を「佐藤」、「鈴木」、「高橋」、「田中」、「伊藤」といった具合に各患者に対応させ、各列を「朝」、「昼」、「夜」、「寝る前」の服用時期に対応させる。この場合、行列の(1,1)成分にあるポケット部分331には、佐藤さんが月曜日の朝食後に服用する薬剤包装を入れ、行列の(2,2)成分にあるポケットには、鈴木さんが月曜日の昼食後に服用する薬剤包装を入れるといった具合に運用する。
【0005】
このように、一般的なお薬カレンダーでは、複数のポケット部分のそれぞれが服用者と服用時期に基づいて定められる特定の位置に配されている。そして、それぞれのポケット部分に入れられた薬剤包装の服用時期が到来すると、ポケット部分から薬剤包装を取り出して、包装された薬剤を服用する。なお、上記した個人用のお薬カレンダーは、主に在宅介護の現場等で利用され、グループ用のお薬カレンダーは、主に介護施設や入院設備のある病院等で利用されている。
【0006】
このようなお薬カレンダーを運用する場合、ポケット部分に薬剤包装を入れる際に入れ間違えてしまうと、その後に取り出して服用するとき、本来であればその時期に服用しない薬剤を患者が誤って服用したり、或いは介護者等が誤って投薬してしまうおそれがある。
【0007】
そこで、このような問題を解決するための手段として、本件出願人が過去に出願した特許文献1に開示されている薬剤配置確認システムがある。
この薬剤配置確認システムは、コンピュータを主体とする本部装置と、ポケット部分を透明シートで作った投薬カレンダーと、カメラが設けられた携帯端末を有している。また、ポケット部分に収容する薬剤包装には、視認可能な位置に薬剤包装特定情報(二次元バーコード等)を付すものとしている。
【0008】
したがって、複数のポケット部分のそれぞれに薬剤包装を入れると、それぞれのポケット部分において薬剤包装特定情報が外部から透けて見えた状態となる。そして、全ての薬剤包装が投薬カレンダーに正しく収容されているか否かを確認する際には、セットするべき全ての薬剤包装をポケット部分に入れた状態で投薬カレンダーを撮影する。このとき、それぞれのポケット部分に入れた薬剤包装の薬剤包装特定情報が撮影されることとなる。
【0009】
そして、撮影によって得られた薬剤包装の収容位置に係る情報と、本部装置に記憶された薬剤包装の正規位置に係る情報とが比較され、それぞれの薬剤包装の収容位置が正しいか否かが判別される。なお、この薬剤配置確認システムでは、特定の服用者が一回に服用する薬剤の全てを一つの薬剤包装中に内包させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2018-175297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで近年、病院内の薬剤部(薬剤課)等では、薬剤の調剤業務を支援する調剤業務支援システムを導入することがある。このような調剤業務支援システムでは、剤形が異なる薬剤(例えば、散薬と錠剤)が処方された場合、同時期に服薬するものであっても、それぞれ別の分包機で包装する場合がある。この場合、一人の患者が同時期に服用する薬剤が別々の薬剤包装に内包された状態で患者に提供される。
【0012】
また、調剤業務支援システムでは、服用時期と剤形が同じ薬剤であっても、処方した医師が異なる場合、それぞれの薬剤が別々の薬剤包装に内包された状態で患者に提供される場合がある。例えば、一人の患者が異なる診療科(例えば、内科と皮膚科)に属するそれぞれの医師から薬剤を処方された場合、一つ目の診療科で処方された薬剤と、二つ目の診療科で処方された薬剤は、同時期に服薬するものでも別々に包装されることがある。
【0013】
そして、上記した薬剤配置確認システムは、このような場合に収容位置の正誤を正確に判定させるという点において、改善の余地があった。
具体的に説明すると、同時期に服用する薬剤が別々に包装されて患者に提供された場合、投薬カレンダーの一つのポケット部分に複数の薬剤包装を重ねて入れることになる。ところが、このように複数の薬剤包装を重ねて入れると、ポケット部分の最も手前側に位置する薬剤包装は、薬剤包装特定情報の外部からの視認及び撮影が可能であるが、奥側に位置する他の薬剤包装は、薬剤包装特定情報の外部からの視認及び撮影が不可能となる。つまり、撮影によって薬剤包装特定情報が取得できない薬剤包装が存在するため、それぞれの薬剤包装が正しく収容されているか否かを確認できなくなる。
【0014】
以上のことから、一人の患者が同時期に服用する薬剤が別々の薬剤包装に内包されて提供された場合においても、患者が処方箋通りに間違いなく服薬することを支援する支援システムが望まれていた。
【0015】
そこで本発明は、同時期に服用すべき薬剤が複数の薬剤包装に分けられている場合においても、患者が処方箋通りに間違いなく服薬することを支援することが可能な服薬支援システム、並びに、服薬支援プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するための本発明の一つの様相は、複数の薬剤包装の服用時期の管理を支援する服薬支援システムであって、それぞれの前記薬剤包装には、読取可能な位置に自己を特定するための情報である薬剤包装特定情報が付されており、処方に関する情報である処方情報を記憶する記憶手段と、前記薬剤包装特定情報を読み取り可能な読取手段とを有し、服用者及び服用時期が同じ薬剤が内包された複数の前記薬剤包装のうちの一の前記薬剤包装に付された前記薬剤包装特定情報を読み取ることを条件として、読み取った前記薬剤包装特定情報と前記処方情報に基づき、服用者及び服用時期が同じ前記薬剤包装の数を特定する包数特定動作を実行可能であることを特徴とする服薬支援システムである
本様相に関連する様相は、複数の薬剤包装の服用時期の管理を支援する服薬支援システムであって、それぞれの前記薬剤包装には、視認可能な位置に自己を特定するための情報である薬剤包装特定情報が付されており、処方に関する情報である処方情報を記憶する記憶手段と、前記薬剤包装特定情報を読み取り可能な読取手段とを有し、服用者及び服用時期が同じ薬剤が内包された複数の前記薬剤包装のうちの一の前記薬剤包装に付された前記薬剤包装特定情報を読み取ることを条件として、読み取った前記薬剤包装特定情報と前記処方情報に基づき、服用者及び服用時期が同じ前記薬剤包装の数を特定する包数特定動作を実行可能であることを特徴とする服薬支援システムである。
【0017】
本様相の服薬支援システムでは、複数の薬剤包装にそれぞれ自己を特定するための薬剤包装特定情報が付されている。そして、一つの薬剤包装に付された自己を特定するための情報を読み取ることで、服用者及び服用時期が同じ薬剤包装の数を特定する包数特定動作を実行する。このことから、複数の薬剤包装が重ねて配置され、一つの薬剤包装からしか薬剤包装特定情報を読み取れない状態においても、配置された複数の薬剤包装が何包であるのかを特定できるので、複数の薬剤包装が正しく収容されているか否かの確認が可能となる。
【0018】
上記した様相の服薬支援システムは、前記薬剤包装をセットする薬剤セット具を有し、服用者及び服用時期が同じ薬剤が内包された複数の前記薬剤包装の群である薬剤包装群を対象とした関連包読取動作を実行可能であり、前記関連包読取動作では、前記薬剤包装群に属する前記薬剤包装のそれぞれに付された前記薬剤包装特定情報を読み取るものであり、前記薬剤セット具の所定位置に前記薬剤包装群に属する前記薬剤包装を重ねてセットするものであり、前記薬剤セット具に前記薬剤包装を正しくセットしたか否かを判別する配置位置確認動作を実行可能であり、前記配置位置確認動作では、重ねてセットした前記薬剤包装のうちの一つが識別され、識別された一つの前記薬剤包装が正しい位置にセットされていることを条件として、前記薬剤包装群に属する複数の前記薬剤包装が正しい位置に配置されていると判別することが好ましい。
【0019】
この好ましい様相によると、薬剤セット具に複数の薬剤包装が重ねてセットされ、複数の薬剤包装のうちの一つの薬剤包装からしか薬剤包装特定情報を読み取れない状態においても、複数の薬剤包装が正しく収容されているか否かを確認できる。
【0020】
上記した様相の服薬支援システムは、服用者及び服用時期が同じ薬剤が内包された複数の前記薬剤包装の群である薬剤包装群を対象とした関連包読取動作を実行可能であり、前記関連包読取動作は、前記薬剤包装群に属する前記薬剤包装のそれぞれに付された前記薬剤包装特定情報を読み取るものであり、前記関連包読取動作で読み取りの対象となる前記薬剤包装特定情報のいずれかが読み取られていない場合に、その旨を報知する未読取報知動作を実行することが好ましい。
【0021】
本様相によると、関連包読取動作における読み取り忘れの発生を抑制できるので、好ましい。
【0022】
上記した好ましい様相は、一の前記薬剤包装群に対する前記関連包読取動作の実行後、一の前記薬剤包装群に属する前記薬剤包装のうちの一の前記薬剤包装に付された前記薬剤包装特定情報が読み取られたことを条件として、前記薬剤包装群に属するそれぞれの前記薬剤包装に付された前記薬剤包装特定情報が全て読み込まれたか否かを判別し、当該判別の結果、前記薬剤包装群に属する前記薬剤包装のいずれかに付された前記薬剤包装特定情報が読み取られていない場合に、その旨を報知する未読取報知動作を実行することがさらに好ましい。
【0023】
本様相によると、薬剤包装特定情報の読み取り忘れの発生を抑制可能であり、特に、関連包読取動作の実行後に薬剤包装群に属する薬剤包装が追加された場合に、好適に読み取り忘れの発生を抑制できる。
【0024】
上記した様相の服薬支援システムは、前記薬剤包装は、分包機によって包装されるものであり、服用者及び服用時期が同じ薬剤が包装された複数の前記薬剤包装の群を薬剤包装群としたとき、前記薬剤包装群には、同一の分包機で不連続に包装された複数の前記薬剤包装、及び/又は、異なる分包機によってそれぞれ別途包装された複数の前記薬剤包装が含まれるものであり、前記薬剤包装群に属する複数の前記薬剤包装には、複数の前記薬剤包装に跨って付される薬包関連表示が付されるものであり、前記薬包関連表示は、前記薬剤包装群に属する複数の前記薬剤包装を並べて配置したとき、一連の図柄を形成することが好ましい。
【0025】
かかる様相では、複数の薬剤包装が同じ薬剤包装群に属する薬剤包装であることを視覚的に認識できる。
【0026】
上記した様相の服薬支援システムは、複数の前記薬剤包装をセットする薬剤セット具と、撮影手段を有し、前記薬剤セット具は、一又は複数の前記薬剤包装を収容可能な薬剤収容部を複数有し、複数の前記薬剤収容部には、それぞれ一又は複数の前記薬剤包装が対応付けられており、それぞれの前記薬剤収容部に対応する前記薬剤包装を収容することで、前記薬剤包装が前記薬剤セット具にセットされ、前記薬剤包装特定情報が外部から読取可能となるものであり、前記薬剤包装の正しいセット位置に関する情報を正規位置情報として記憶しており、前記薬剤セット具に前記薬剤包装を正しくセットしたか否かを判別する配置位置確認動作を実行可能であり、前記配置位置確認動作では、前記薬剤セット具が、それぞれの前記薬剤収容部に収容された前記薬剤包装の前記薬剤包装特定情報を含むように撮影され、それぞれの前記薬剤包装特定情報の読み取りが実行されるものであり、且つ、前記薬剤包装特定情報の読み取りに基づいて識別されたそれぞれの前記薬剤包装と、前記薬剤セット具の相対位置に関する情報が取得され、それぞれの前記薬剤包装の前記薬剤セット具に対する相対位置に関する情報と、前記正規位置情報とを比較することで、それぞれの前記薬剤収容部に前記薬剤包装が正しく収容されているか否かを判別するものであり、一の前記薬剤収容部に複数の前記薬剤包装が収容されている場合には、収容された前記薬剤包装のうちの一つが識別され、識別された一つの前記薬剤包装が正しい位置に収容されていることを条件として、複数の前記薬剤包装が正しい位置に収容されていると判断することが好ましい。
また、上記した様相の服薬支援システムは、複数の前記薬剤包装をセットする薬剤セット具と、撮影手段を有し、前記薬剤セット具は、一又は複数の前記薬剤包装を収容可能な薬剤収容部を複数有し、複数の前記薬剤収容部には、それぞれ一又は複数の前記薬剤包装が対応付けられており、それぞれの前記薬剤収容部に対応する前記薬剤包装を収容することで、前記薬剤包装が前記薬剤セット具にセットされ、前記薬剤包装特定情報が外部から視認可能となるものであり、前記薬剤包装の正しいセット位置に関する情報を正規位置情報として記憶しており、前記薬剤セット具に前記薬剤包装を正しくセットしたか否かを判別する配置位置確認動作を実行可能であり、前記配置位置確認動作では、前記薬剤セット具が、それぞれの前記薬剤収容部に収容された前記薬剤包装の前記薬剤包装特定情報を含むように撮影され、それぞれの前記薬剤包装特定情報の読み取りが実行されるものであり、且つ、前記薬剤包装特定情報の読み取りに基づいて識別されたそれぞれの前記薬剤包装と、前記薬剤セット具の相対位置に関する情報が取得され、それぞれの前記薬剤包装の前記薬剤セット具に対する相対位置に関する情報と、前記正規位置情報とを比較することで、それぞれの前記薬剤収容部に前記薬剤包装が正しく収容されているか否かを判別するものであり、一の前記薬剤収容部に複数の前記薬剤包装が収容されている場合には、収容された前記薬剤包装のうちの一つが識別され、識別された一つの前記薬剤包装が正しい位置に収容されていることを条件として、複数の前記薬剤包装が正しい位置に収容されていると判断することが好ましい。
【0027】
かかる様相においても、薬剤収容部複数の薬剤包装が重ねてセットされ、複数の薬剤包装のうちの一つの薬剤包装からしか薬剤包装特定情報を読み取れない状態で、複数の薬剤包装が正しく収容されているか否かを確認できる。
【0028】
上記した様相の服薬支援システムは、服用者及び服用時期が同じ薬剤が内包された複数の前記薬剤包装のそれぞれに付された前記薬剤包装特定情報を読み取る関連包読取動作が実行可能であり、前記関連包読取動作の実行後、服用者及び服用時期が同じ薬剤が内包された前記薬剤包装が追加された場合に、前記関連包読取動作を再度実行するものであり、再度実行する前記関連包読取動作では、先行して実行した前記関連包読取動作で読み取った複数の前記薬剤包装特定情報のうちの一つと、追加された前記薬剤包装に付された前記薬剤包装特定情報とを読み取ることで、前記関連包読取動作が正常に終了したものと判断することが好ましい。
【0029】
かかる様相では、再度実行する関連包読取動作を容易に実行できるので、好ましい。
【0030】
本発明の他の様相は、上記した好ましい様相の服薬支援システムを使用し、前記薬剤セット具の前記薬剤収容部に前記薬剤包装を正しく収容したか否かを確認する服薬支援方法であって、服用者及び服用時期が同じ薬剤が内包された複数の前記薬剤包装のそれぞれに付された前記薬剤包装特定情報を読み取る事前読取工程と、服用者及び服用時期が同じ薬剤が包装された複数の前記薬剤包装を重ねて一纏めにする収容準備工程と、前記薬剤セット具の前記薬剤収容部に対応付けられた前記薬剤包装を収容する薬剤包装収容工程と、前記薬剤セット具の前記薬剤収容部に前記薬剤包装を正しく収容したか否かを判別する配置位置確認工程を含み、前記配置位置確認工程では、前記収容準備工程で一纏めにした複数の前記薬剤包装が正しく収容されているか否かを判別するとき、複数の前記薬剤包装のうちの一の前記薬剤包装が正しい位置に収容されていることを条件として、複数の前記薬剤包装が正しい位置に収容されていると判別することを特徴とする服薬支援方法である。
【0031】
本様相の服薬支援方法もまた、薬剤セット具に複数の薬剤包装が重ねてセットされ、複数の薬剤包装のうちの一つの薬剤包装からしか薬剤包装特定情報を読み取れない状態において、複数の薬剤包装が正しく収容されているか否かを確認できる。
【0032】
本発明のさらに他の様相は、服用時期が同じ薬剤包装の数を特定する動作をコンピュータに実行させるための服薬支援プログラムであって、コンピュータに、前記薬剤包装に付された自己を特定するための情報である薬剤包装特定情報を読み取る動作と、前記薬剤包装特定情報と処方に関する情報である処方情報を比較する動作と、服用者及び服用時期が同じ薬剤が内包された複数の前記薬剤包装に付されている前記薬剤包装特定情報のいずれか一つを読み取ることで、服用者及び服用時期が同じ前記薬剤包装の数を特定する包数特定動作とを実行させる機能を有することを特徴とする服薬支援プログラムである。
【0033】
本様相の服薬支援プログラムもまた、上記した様相と同様に、複数の薬剤包装が重ねて配置され、一つの薬剤包装からしか薬剤包装特定情報を読み取れない状態において、配置された複数の薬剤包装が何包であるのかを特定できる。したがって、複数の薬剤包装が正しく収容されているか否かの確認が可能となる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によると、同時期に服用すべき薬剤が複数の薬剤包装に分けられている場合においても、患者が処方箋通りに間違いなく服薬することを支援することが可能な服薬支援システム、並びに、服薬支援プログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の実施形態に係る服薬支援システムを模式的に示す説明図であり、一部を拡大して示す。
図2図1の本部装置及び携帯端末を示すブロック図である。
図3図1の投薬カレンダーを示す平面図であり、薬剤包装を収容していない状態を示す。
図4図1の投薬カレンダーに収容する薬剤包装を示す説明図であって、(a)は、複数の薬剤包装が繋がって形成される薬剤包装帯を示し、(b)は、それぞれ異なる分包機から払い出された薬剤包装帯を示す。また、(c)は、同じ服用者が同時期に服用する薬剤が内包された薬剤包装を並べた状態を示し、(d)は、(a)とは異なる薬剤包装帯を示す。
図5】投薬カレンダーに薬剤包装を収容する際の手順を示す説明図であり、(a)は、事前読取工程において関連包読取動作を実行している様子を示し、(b)は、収容準備工程を実行している様子を示す。
図6】投薬カレンダーに薬剤包装を収容する際の手順を示す説明図であり、配置位置確認工程を行っている様子を示す。
図7】投薬カレンダーに薬剤包装を収容する際、関連包読取動作の実行後に同じ薬剤収容部に収容する薬剤包装が追加され、関連包読取動作を再度実行している様子を示す説明図である。
図8】上記した投薬カレンダーとは異なる投薬カレンダーを示す説明図であり、(a)、(b)はそれぞれ異なる投薬カレンダーを示す。
図9】上記した服薬支援システムとは異なる実施形態に係る服薬支援システムを模式的に示す説明図である。
図10】従来の投薬カレンダーの一形態を示す平面図である。
図11図10とは異なる従来の投薬カレンダーの一形態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0037】
本実施形態の服薬支援システム1は、図1で示されるように、本部装置2(コンピュータ)と、携帯端末3(撮影手段、読取手段、コンピュータ)と、投薬カレンダー4(薬剤セット具)を備えている。この服薬支援システム1は、投薬カレンダー4に対する薬剤包装5の入れ間違いを検出可能なものである。
なお、作図の都合上、一部の薬剤包装5にのみ符号を付し、他への符号を省略する。また同様に、それぞれの図面において、主だった部分が同じものが複数描写される場合、必要に応じて一部の符号を省略するものとする。
【0038】
本部装置2は、図2で示されるように、装置本体10と、装置本体10に付属する表示装置11及び入力装置12を備えたものである。装置本体10は、CPU等の演算部15と、記憶部16(記憶手段であり、本部側記憶手段)と、I/Оポート等の通信部17を備えたものである。本実施形態では、本部装置2にパーソナルコンピュータを採用している。
【0039】
演算部15は、各種入力に基づき、記憶部16に記憶されたプログラムやデータを読み取りつつ実行することで、各種演算や制御信号の生成を行う部分である。
【0040】
記憶部16は、各種プログラムやデータを記憶するROM、各種プログラムを一時的に記憶したり各種データを書き換え自在に記憶したりするRAMからなる主記憶装置を備えており、必要に応じて補助記憶装置がさらに設けられて形成される。なお、補助記憶装置としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等が採用できる。
【0041】
通信部17は、外部の機器に対し、有線又は無線による双方向通信を可能とするインターフェースを有する。また、この通信部17は、バス等の伝送路を介して演算部15と接続されている。すなわち、本部装置2は、この通信部17により、携帯端末3や外部機器(図示しない)と信号の送受信が可能となっている。
【0042】
表示装置11は、服薬支援システム1が実行する各種処理の内容や、各種情報を表示する装置であり、具体的には、液晶、有機EL等のディスプレイ装置である。
入力装置12は、ユーザが本部装置2に対して操作を行う際に使用する装置であり、具体的には、マウスやキーボードである。
【0043】
携帯端末3は、タブレットPC、スマートフォン等を採用可能であり、本実施形態では、スマートフォンを採用している。
すなわち、携帯端末3はコンピュータを内蔵しており、上記した本部装置2と同様に、CPU等の演算部20と、ROM、RAM、補助記憶装置等からなる記憶部21(記憶手段であり、端末側記憶手段)と、通信部22を備えている。加えて、操作表示部25と、撮影装置26、音声出力装置27と、振動発生装置28を有している。これらの構成装置は、バスによって接続されている。また、バスと各構成装置との間には、必要に応じてインターフェースが介在している。
【0044】
操作表示部25は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイといった表示装置と、タッチセンサ等の接触型入力装置とが重畳して形成されるタッチパネルである。すなわち、操作表示部25は、各種情報を表示する表示装置と、ユーザの操作を受け付ける入力装置が一体に形成されたものである。
撮影装置26はカメラであり、音声出力装置27はスピーカであり、振動発生装置28はバイブレータである。すなわち、携帯端末3は、撮影機能と、音声出力機能と、振動機能(バイブレーション機能)を有する。
【0045】
本部装置2と携帯端末3の記憶部16,21には、後述する各種動作を実行するためのプログラム(服薬支援プログラム)と、各種データがそれぞれ記憶されている。つまり、本部装置2、携帯端末3が記憶部16,21に記憶されたプログラムに従って動作することにより、服薬支援システム1の各種動作(各種処理)が実行される。
【0046】
投薬カレンダー4は、お薬カレンダーとも称されるものであり、図3で示されるように、シート状(平面状)の基材30に対し、複数の薬剤収容部31が設けられている。
【0047】
基材30には、左上部の視認可能な位置に、投薬カレンダー4を特定するセット具特定表示33が付されている。セット具特定表示33は、投薬カレンダー4を特定することができる情報(セット具識別情報)が含まれるコード(符号又は暗号)であり、本実施形態では、二次元コードとなっている。
【0048】
薬剤収容部31は、基材30に対して小型の透明シートを取り付け、ポケット状の袋を形成したものである。具体的には、透明シートの左右辺と下辺が基材30に接着され、上辺から内部に物を入れることができる構造となっている。したがって、薬剤収容部31は、内部の収容物が透けて見える構造となっている。
【0049】
本実施形態の投薬カレンダー4は、一のグループに属する複数の服用者を対象とする服用時点別投薬カレンダーであり、主に介護施設等で使用されるものである。したがって、基材30の上部に、服用者が属するグループ名を示すグループ識別表示34として「介護グループG」という文字が記され、服用時期を示す服用時期特定表示35として「4月18日 朝食後」という文字が記されている。
【0050】
そして、投薬カレンダー4は、複数の薬剤収容部31が平面的且つ行列状(マトリックス状)に分布されている。本実施形態では、12人が属するグループを対象としており、4×3行列状に12の薬剤収容部31を設けている。
【0051】
さらに、図3で示されるように、それぞれの薬剤収容部31と隣接する位置に、それぞれの薬剤収容部31に対応する服用者特定情報37が記されている。つまり、隣接する薬剤収容部31と服用者特定情報37が一対一で関連付けられている。
服用者特定情報37は、対応する薬剤収容部31に収容する薬剤包装5(図1参照)が、どの服用者の薬剤包装5であるのかを特定する情報である。つまり、薬剤収容部31に収容される薬剤包装5内の薬剤の服用者を特定する情報である。具体的には、服用者の苗字であり、佐藤、鈴木、・・・・、山田といった12名の苗字が並べられている。
【0052】
すなわち、「佐藤」という服用者特定情報37に対応する薬剤収容部31には、佐藤さんが4月18日の朝食後に服用する薬剤が包装された薬剤包装5が収容される。また、「鈴木」という服用者特定情報37に対応する薬剤収容部31には、鈴木さんが4月18日の朝食後に服用する薬剤が包装された薬剤包装5が収容される。以下同様に、服用者特定情報37に対応する薬剤収容部31に、服用者特定情報37で特定される人が4月18日の朝食後に服用する薬剤が包装された薬剤包装5が全て収容される。なお、服用者特定情報37で特定される人が4月18日の朝食後に服用する薬剤を処方されていない場合は、服用者特定情報37に対応する薬剤収容部31は空の状態となる。
【0053】
そして、4月18日の朝食が終わると、投薬カレンダー4の薬剤収容部31に収容された薬剤包装5がそれぞれの服用者に配られる。すなわち、佐藤さんには、「佐藤」という服用者特定情報37に対応する薬剤収容部31に収容された薬剤包装5の全てが配られ、鈴木さんには、「鈴木」という服用者特定情報37に対応する薬剤収容部31に収容された薬剤包装5の全てが配られるといった具合である。なお、当然のことながら、服用者に対応する薬剤収容部31に薬剤包装5が収容されていない場合には、服用者に薬剤包装5が配られない。例えば、図1で示されるように、「山田」という服用者特定情報37に対応する薬剤収容部31に薬剤包装5が収容されていない場合、山田さんには、薬剤包装5が配られない。
【0054】
そして、薬剤包装5が配られた服用者が服用を終えると、「4月18日 朝食後」に対応する投薬カレンダー4が壁等から外され、「4月18日 昼食後」に対応する投薬カレンダー(図示しない)が用意される。なお、この投薬カレンダー4において、何名の服用者を一単位とするかは任意であり、12名に限らず、10名であっても30名であってもよい。
【0055】
このように、投薬カレンダー4の一つの薬剤収容部31には、服用者と服用時期が同じ一又は複数の薬剤包装5が収容される。つまり、それぞれの薬剤収容部31には、服用者及び服用時期が同じ薬剤包装5が対応付けられており、対応付けられた(予め定められた)一又は複数の薬剤包装5を収容する(図1参照)。
【0056】
薬剤包装5は、公知の薬剤分包装置(分包機、図示せず)によって薬剤を一服用分ずつ包装したものである。なお、薬剤分包装置は、入力された処方データに基づき、散薬供給部や固形薬剤供給部から散薬や固形薬剤を払い出して分包することが可能な装置である。
【0057】
薬剤包装5は、図4(a)、図4(b)で示されるように、帯状に長く繋がった薬剤包装帯40として薬剤分包装置から払い出される。薬剤包装帯40は、複数の薬剤包装5が切り分け可能に繋げられたものである。すなわち、2つの薬剤包装5の境界となる部分にミシン目が形成されており、切り離しが容易となっている。
【0058】
なお、薬剤包装帯40を形成する複数の薬剤包装5には、それぞれに服用者や服用時期が異なる薬剤が包装される場合がある。例えば、図4(a)で示される薬剤包装帯40は、佐藤さんが服用する薬剤が内包された薬剤包装5a,5bと、鈴木さんが服用する薬剤が内包された薬剤包装5cが繋がって形成される薬剤包装帯40となっている。
【0059】
ここで、薬剤包装5は、薬剤の剤形に応じた複数の薬剤分包装置(例えば、散薬分包装置と錠剤分包装置)を備えた調剤業務支援システムによって払い出している。つまり、薬剤包装5は、内包する薬剤が散薬である場合には、散薬分包機によって払い出され、内包する薬剤が錠剤である場合には、錠剤分包機によって払い出されるといった具合に、薬剤の剤形に対応する分包機によって払い出される。
【0060】
したがって、図4(b)で示されるように、同じ服用者が同時期に服用する薬剤であっても、剤形が異なる場合には、それぞれ別の薬剤包装5に包装される場合がある。例えば、図4(b)の例では、所定の日の朝食後に佐藤さんが服用する錠剤が包装された薬剤包装5d,5eが、錠剤分包機から払い出された薬剤包装帯40aに2包含まれている。そして、同じ時期に佐藤さんが服用する散薬が包装された薬剤包装5fが、散薬分包機から払い出された薬剤包装帯40bに1包含まれている。
つまり、同じ服用者が同時期に服用する薬剤がそれぞれ異なる薬剤分包装置で包装された場合、この薬剤を内包する複数の薬剤包装5d,5e,5fが複数の薬剤包装帯40a,40bのそれぞれに散在することとなる。
【0061】
この他、同じ服用者が同時期に服用する剤形が同じ薬剤であっても、薬剤の性質や1包に内包される薬剤量を適量化とする等の理由により、複数の薬剤包装5に分けて包装する場合がある。例えば、上記した図4(a)の例では、所定の日の朝食後に佐藤さんが服用する同じ剤形の薬剤(例えば、散薬)が2包の薬剤包装5a,5bに分けて包装されている。
以下の説明では、同じ服用者が同時期に服用する薬剤を複数包に分けて包装することを分割包装とも称し、分割包装された薬剤を内包する複数包の薬剤包装5の集まりを分割包装群(薬剤包装群)とも称す。
【0062】
薬剤包装5には、図4(a)で示されるように、服用者特定表示43と、服用時期特定表示44と、分割特定表示45と、薬剤包装特定表示46(薬剤包装特定情報)が視認可能な位置に付されている。また、薬剤が分割包装された場合、分割包装群に属するそれぞれの薬剤包装5に薬包関連表示47が付される。
【0063】
服用者特定表示43は、その薬剤包装5に内包された薬剤を服用する服用者の氏名を文字で記す部分であり、図4(a)の最も左側の薬剤包装5を例にあげると、「佐藤一郎様」と記載された(印刷された)部分である。
服用時期特定表示44は、その薬剤包装5に内包された薬剤を服用する時期を文字で示す部分であり、図4(a)の最も左側の薬剤包装5を例にあげると、「朝食後」と記載された(印刷された)部分である。すなわち、この部分には「朝」、「昼」、「夜」、「寝る前」のいずれであるのか、「食前」、「食後」、「食間」のいずれであるのか等、服用時期を特定する文字が付される。なお、服用時期を特定する情報として、この他、年月日(日付)等を特定する情報を記載してもよい。
【0064】
分割特定表示45は、同じ服用者が同時期に服用する薬剤が包装された薬剤包装5の総数(以下、分割数とも称す)と、薬剤包装5の分割番号を示す部分である。
例えば、図4(a)の薬剤包装5a,5bを例に挙げると、それぞれ「1/2」、「2/2」と記載された(印刷された)部分が分割特定表示45に相当する。なお、「1/2」と記載されている場合、「1」が分割番号であり、「2」が分割数である。すなわち、この記載により、この記載が付された薬剤包装5が分割包装された2包あるうちの1包目であることが確認できる。
対して、図4(a)の最も右側の薬剤包装5cのように、同じ服用者が同時期に服用する薬剤が複数包でなく1包で払い出された場合(分割包装されなかった場合)には、分割特定表示45は「1/1」となる(分割数及び分割番号が1となる)。
つまり、薬剤包装5の分割番号は、分割数がnである場合に1以上n以下となる自然数であり、且つ、同じ服用者が同時期に服用する薬剤が包装された一又は複数の薬剤包装5にそれぞれ付される固有の番号である。
【0065】
薬包関連表示47は、図4(a)、図4(c)で示されるように、同じ服用者が同時期に服用する薬剤が包装された薬剤包装が複数存在する場合に付される表示である。
具体的には、分割包装群に属する複数の薬剤包装5に跨って記載される(印刷される)表示であり、本実施形態では、黒色の太線状の図柄が記された部分となっている。
【0066】
具体的には、薬包関連表示47は、分割数が2である場合、開始部特定表示47a、終了部特定表示47bによって形成される表示となる(図4(a)参照)。また、分割数が3以上である場合、開始部特定表示47a、終了部特定表示47b、中間部特定表示47cによって形成される表示となる(図4(b)、図4(c)参照)。すなわち、開始部特定表示47aは、分割番号が最小となる薬剤包装5dに付される表示であり、終了部特定表示47bは、分割番号が最大となる薬剤包装5fに付される表示である。そして、中間部特定表示47cは、分割番号が最小と最大のいずれでもない数となる薬剤包装5がある場合に、分割番号が最小と最大の間の数となる薬剤包装5eに付される表示である。また、開始部特定表示47aと終了部特定表示47bは、それぞれ異なる表示であり、中間部特定表示47cは、開始部特定表示47a及び終了部特定表示47bのいずれとも異なる表示となる。
【0067】
本実施形態の開始部特定表示47aは、薬剤包装5を服用者特定表示43等の文字の上下左右が平面視で正しく上下左右となる向き(以下、正の向きとも称す)としたとき、左右方向の中心側から一方端側(右端側)までの間で延びる直線状の表示である。
対して、終了部特定表示47bは、薬剤包装5を正の向きとしたとき、左右方向の他方端側(左端側)から中心側までの間で延びる直線状の表示である。すなわち、平面視で開始部特定表示47aと左右対称となる表示である。中間部特定表示47cは、薬剤包装5を正の向きとしたとき、左右方向の一方端側から他方端側までの間で延びる直線状の表示であり、詳細には、分割特定表示45が付された部分で断続しつつ延びる直線状の表示である。
【0068】
以上のことから、図4(c)で示されるように、分割包装群に属する薬剤包装5d,5e,5fを並べると、開始部特定表示47a、中間部特定表示47c、終了部特定表示47bが一つの図柄(本実施形態では3包に跨って延びる直線)を形成する。言い換えると、開始部特定表示47a、中間部特定表示47c、終了部特定表示47bは、薬包関連表示47で表示する一つの図柄を3分割したものとなっている。同様に、分割数が2である場合も、図4(a)で示されるように、開始部特定表示47a、終了部特定表示47bが一つの図柄を形成する。この場合、薬包関連表示47で表示する一つの図柄を2分割したものとなる。
【0069】
ここで、図4(d)で示されるように、一の分割包装群に属する複数の薬剤包装5g,5h,5iが同じ薬剤分包装置から一つの薬剤包装帯40で払い出される場合であっても、それぞれの薬剤包装5g,5h,5iが不連続に払い出される場合がある。
この他、一の分割包装群に属する複数の薬剤包装5が同じ薬剤分包装置から2以上の薬剤包装帯40に分けて払い出される場合もある(図示しない)。
これらの場合においても、一の分割包装群に属する薬剤包装5g,5h,5iのそれぞれに薬包関連表示47が付された状態で出力される。
【0070】
このように、薬包関連表示47を付すことで、薬包関連表示47が付された複数の薬剤包装5が関連のある薬剤包装5であること(同じ分割包装群に属する薬剤包装5であること)を直感的に認識できる。すなわち、高齢者のように文字の羅列を認識することが困難なものであっても、分割特定表示45を付して薬包関連表示47を付さない場合とは異なり、視覚的に薬剤包装5の関連性を認識できる。
【0071】
上述した服用者特定表示43、服用時期特定表示44は、表示が付された薬剤包装5に内包される薬剤の服用者と服用時期を人が目視で確認するための部分である。また、分割特定表示45、薬包関連表示47は、表示が付された複数の薬剤包装5の関連性を人が目視で確認するための部分である。
これに対し、薬剤包装特定表示46は、服薬支援システム1の構成機器が情報を取得するための表示となっている。
【0072】
薬剤包装特定表示46は、表示が付された薬剤包装5を特定するための情報が含まれるコード(符号又は暗号)であり、本実施形態では、二次元コードとなっている。
本実施形態の薬剤包装特定表示46から取得可能な情報は、表示が付された薬剤包装5に内包される薬剤の服用者と服用時期を示す情報である。つまり、一つの薬剤包装5に付された薬剤包装特定表示46から取得可能な情報には、表示が付された一つの薬剤包装5に関する情報が含まれる一方で、他の薬剤包装5に関する情報が含まれていない。
【0073】
続いて、図1で示されるように、本実施形態の投薬カレンダー4のそれぞれの薬剤収容部31に薬剤包装5を収容し、投薬カレンダー4を使用可能な状態とする際の手順(各工程)について説明する。また、この各工程において服薬支援システム1が実行する各種動作(各種処理)について説明する。
【0074】
本実施形態の服薬支援システム1では、図5(a)で示されるように、薬剤包装5を薬剤収容部31に収容する前に、薬剤包装5にそれぞれ付された薬剤包装特定表示46から情報を読み取る事前読取工程を行う。この事前読取工程は、薬剤包装5に付された薬剤包装特定表示46を携帯端末3で読み取る読取動作(以下、単に読取動作とも称す)を実行する工程である。本実施形態の携帯端末3は、上記したように撮影装置26を有しており、薬剤包装特定表示46(二次元コード)から情報を読み取る読取装置(スキャナ)として機能させることができる。
【0075】
つまり、投薬カレンダー4のそれぞれの薬剤収容部31に収容される薬剤包装5(図1参照)は、いずれも事前に読取動作を実行された薬剤包装5となる。そして、一つの薬剤収容部31に一つの薬剤包装5を収容する場合は、一つの薬剤包装5に対して読取動作を実行した後に、この薬剤包装5を一つの薬剤収容部31に収容する(詳しくは後述する)。対して、一つの薬剤収容部31に複数の薬剤包装5を収容する場合は、これら複数の薬剤包装5にそれぞれ読取動作を実行した後(図5(a)参照)、これらを一纏めとする(図5(b)参照)。そして、一纏めにした複数の薬剤包装5の束を一つの薬剤収容部31に収容する(詳しくは後述する)。
【0076】
事前読取工程では、それぞれの薬剤収容部31(図1図3等参照)に対応付けられた一又は複数の薬剤包装5毎に、薬剤包装特定表示46を読み取る読取動作を実行していく。すなわち、一の(一つ目の)薬剤収容部31に対応付けられた一又は複数の薬剤包装5に対して読取動作を実行した後、他の一の(二つ目の)薬剤収容部31に対応付けられた一又は複数の薬剤包装5に対して読取動作を実行する。以下同様に、さらに別の(三つ目の)薬剤収容部31に対応付けられた一又は複数の薬剤包装5に対して読取動作を実行する、といった具合である。
【0077】
一の薬剤収容部31(図3等参照)に対応付けられた薬剤包装5が一包(一つ)である場合、対象となる一つの薬剤包装5に対して読取動作を実行する一包読取動作を実行する(図示しない)。そして、一つの薬剤包装5の薬剤包装特定表示46が読み取られたことを条件として、この一の薬剤収容部31に対応付けられた全ての薬剤包装5に対する読取動作が正しく行われたものと判別する。そして、その旨を示す情報が携帯端末3の記憶部21、又は、本部装置2の記憶部16に記憶される。
【0078】
対して、一の薬剤収容部31(図3等参照)に対応付けられた薬剤包装5が複数包である場合、図5(a)のように、一の薬剤収容部31に対応付けられた複数の薬剤包装5に対して読取動作を実行する関連包読取動作を実行する。すなわち、一の薬剤収容部31に収容される一の分割包装群に属するそれぞれの薬剤包装5を対象とし、対象となる薬剤包装5それぞれに対して順に読取動作を実行していくことで、それぞれ付された薬剤包装特定表示46を順に読み取っていく。
【0079】
この関連包読取動作では、例えば、図5(a)で示されるように、一の薬剤収容部31に収容する薬剤包装5d,5e,5fが3包ある場合、この3つの薬剤包装5d,5e,5fにそれぞれ付された3つの薬剤包装特定表示46を一つずつ順に読み取る。このとき3つの薬剤包装5d,5e,5fに対する読み取り順は順不同であってもよい。例えば、3つの薬剤包装5を第一の薬剤包装5d、第二の薬剤包装5e、第三の薬剤包装5fとしたとき、第一、第二、第三の順で読み取りを行ってもよく、第三、第二、第一の順や、第二、第一、第三の順で読み取りを行ってもよい。
【0080】
そして、一の薬剤収容部31に収容する複数の薬剤包装5d,5e,5fのそれぞれに付された薬剤包装特定表示46の全てが所定時間内に連続的に読み取られると、これら全ての薬剤包装5d,5e,5fに対する読取動作が正しく行われたと判別される。すなわち、関連包読取動作が正しく行われたと判別される。そして、関連包読取動作が正しく行われたと判別されると、その旨を示す情報が上記と同様の記憶手段(携帯端末3の記憶部21又は本部装置2の記憶部16)に記憶される。
【0081】
つまり、服薬支援システム1では、一の薬剤収容部31に対応付けられた一又は複数の薬剤包装5に対して読取動作を行うとき、全ての薬剤包装5に対する読取動作が正しく行われたか否かを判別する判別動作(第一の読取判別動作)を実行している。
【0082】
この第一の判別動作において、関連包読取動作が正しく行われたか否かの判別を行う場合、上記したように、対象となる複数の薬剤包装5d,5e,5fのそれぞれに付された薬剤包装特定表示46の全てが所定時間内に連続的に読み取られたか否かを判別する。そして、対象となる薬剤包装特定表示46の全てが所定時間内に連続的に読み取られた場合に、対象となる薬剤包装5d,5e,5fのそれぞれに対する読取動作が正しく行われたと判別する。
したがって、例えば、一つ目の薬剤包装5dに対する読取動作の完了後、残りの薬剤包装5e,5fに対する読取動作が全て終了する前に、他の薬剤包装5に対する読取動作が実行された場合、全ての薬剤包装特定表示46が読み取られていないと判別する。すなわち、薬剤包装5e,5fに付された薬剤包装特定表示46が読み取られておらず、薬剤包装5e,5fに対する読取動作が正しく行われていないものと判別される。
なお、この場合における「他の薬剤包装5」とは、3つの薬剤包装5d,5e,5fとは、服用者と服用時期の少なくとも一つが異なる薬剤が内包された薬剤包装5(分割包装群に属さない薬剤包装5)である。
【0083】
ここで、第一の読取判別動作では、関連包読取動作においていずれかの薬剤包装5に対する読取動作が正しく行われていないと判別された場合に、その旨を報知する未読取報知動作を実行している。
【0084】
この未読取報知動作は、携帯端末3の操作表示部25に警告表示を表示させる警告表示動作と、音声出力装置27から警告音等を発する音声出力動作と、振動発生装置28を動作させて携帯端末3を振動させる端末振動動作の少なくとも一以上を含む動作である。
なお、警告表示は、薬剤包装特定表示46が読み取られていない薬剤包装5に対する読取動作を促す表示である。すなわち、警告表示動作では、「読み取りが行われていない薬剤包装があります」等のメッセージや、人の注意を引く所定の図柄等を警告表示として表示する。
【0085】
ここで、服薬支援システム1は、上記した判別動作(一の薬剤収容部31に対応付けられた一又は複数の薬剤包装5に対する読取動作が正しく行われたか否かを判別する動作)を実行する際に、包数特定動作を実行している。
この包数特定動作は、一の薬剤収容部31に対応付けられた薬剤包装5の数を特定する動作である。そして、この包数特定動作は、上記した一包読取動作や関連包読取動作において、一の薬剤収容部31に対応付けられた一又は複数の薬剤包装5のうち、いずれか一つの薬剤包装5に付された薬剤包装特定表示46が読み取られたことを条件として実行される。
【0086】
この包数特定動作では、薬剤包装5に対して薬剤包装特定表示46の読み取りが実行されたとき、携帯端末3が読み取った情報を示す(表現する)信号を本部装置2に送信する。例えば、上記したように、一つの薬剤収容部31に対応付けられた薬剤包装5d,5e,5fが複数ある場合、一つめの薬剤包装5dに対して薬剤包装特定表示46の読み取りが実行されたとき、携帯端末3が信号を本部装置2に送信する。
【0087】
ここで、本部装置2の記憶部16には、処方データ(処方情報)が記憶されている。処方データは、投薬カレンダー4に収容する全ての薬剤包装5にそれぞれ内包された薬剤の処方に関する情報である。詳細には、処方データには、それぞれの薬剤包装5に内包された薬剤を調剤するために必要な処方の内容に関する情報と、処方自体を識別したり管理したりするための情報が含まれている。
【0088】
処方の内容に関する情報には、例えば、患者の氏名、年齢、性別、身長、体重といった薬剤が処方された患者に関する情報と、薬名、分量、用法、用量、服用期間等の患者に提供される薬剤に関する情報がある。また、処方を識別したり管理したりするための情報として、処方番号、Rp番号(レセプト番号)、処方の発行年月日等がある。
つまり、処方データは、これらの情報のうちで必要なものを含むデータである。
【0089】
本部装置2が携帯端末3からの信号を受信すると、本部装置2は、薬剤包装特定表示46から取得した情報に基づいて処方データを参照し、薬剤包装特定表示46で特定される薬剤包装5に内包された薬剤と服用者及び服用時期が同じ薬剤を特定する。そして、特定した薬剤に関する情報に基づいて、これらが包装された薬剤包装5の数を特定し、包数特定動作が完了する。包数特定動作が完了すると、本部装置2は、特定した薬剤包装5の数(包数特定動作の結果)を示す信号を携帯端末3に送信する。そして、携帯端末3は、受信した情報に基づいて、上記した第一の読取判別動作等の判別動作を実行する。
【0090】
ここで、図5のように、一つの薬剤収容部31に対応付けられた薬剤包装5d,5e,5fが複数包となる場合、複数包の薬剤包装5d,5e,5fのそれぞれに対する読取動作が全て実行された後(関連包読取動作が完了した後)、これらを一纏めにする工程(収容準備工程)を行う。
すなわち、この工程では、図5(b)で示されるように、一つの薬剤収容部31に収容する複数包の薬剤包装5d,5e,5fを重ねて一纏めにし、薬剤包装5d,5e,5fの束を形成している。本実施形態では、ステープラー53を使用して、複数包の薬剤包装5d,5e,5fが離れ離れにならない状態としている。
【0091】
なお、一つの薬剤収容部31に対応付けられた薬剤包装5が一包となる場合には、この一包の(一つの)薬剤包装5と纏められる薬剤包装5が存在しない。したがって、この一包の薬剤包装5を他の薬剤包装5と一纏めにすることはない。
【0092】
つまり、収容準備工程は、投薬カレンダー4に設けられた複数の薬剤収容部31のうち、少なくとも一つの薬剤収容部31に対応付けられた薬剤包装5が複数包である場合に実行される。なお、複数包の薬剤包装5が対応付けられた薬剤収容部31が投薬カレンダー4に複数存在する場合には、当然のことながら、一つの薬剤収容部31に対応付けられた複数の薬剤包装5毎に一纏めにする。例えば、一の薬剤収容部31に3つの薬剤包装5が対応付けられ、他の薬剤収容部31に2つの薬剤包装5が対応付けられている場合、3つの薬剤包装5を一纏めとし、別途2つの薬剤包装5を一纏めにする、といった具合である。
【0093】
続いて、投薬カレンダー4のそれぞれの薬剤収容部31に対し、対応付けられた薬剤包装5を収容する薬剤包装収容工程を行う。この工程は、読取動作が実行された薬剤包装5を対応する薬剤収容部31に収容する工程である。
【0094】
具体的には、一の薬剤収容部31に対応付けられた薬剤包装5が一つである場合、この一の薬剤収容部31に対応する一つの薬剤包装5を入れる。このとき、薬剤収容部31に収容する薬剤包装5は、すでに読取動作が実行された薬剤包装5であり、この薬剤包装5に付された薬剤包装特定表示46が外部から視認可能な状態となるようにする(図1参照)。
【0095】
また、一の薬剤収容部31に対応付けられた薬剤包装5が複数包である場合、収容準備工程によって形成した薬剤包装5の束を薬剤収容部31に入れる。このとき、薬剤包装5の束に属する複数の薬剤包装5は、いずれも薬剤収容部31に対応する薬剤包装5であり、すでに読取動作が実行された薬剤包装5である。そして、薬剤包装5の束に属する薬剤包装5のうち、一つの薬剤包装5に付された薬剤包装特定表示46が外部から視認可能な状態となるようにする(図1等参照)。
【0096】
なお、一の薬剤収容部31に対応する薬剤包装5が無い場合には、その薬剤収容部31を空の状態とする(図6の右下の薬剤収容部31を参照)。つまり、上記した「薬剤収容部31に対応付けられた薬剤包装5を収容する」とは、薬剤収容部31に対応付けられた薬剤包装5が存在しない場合に、この薬剤収容部31を空の状態とすることを含む。
【0097】
本実施形態では、上記した事前読取工程、収容準備工程、薬剤包装収容工程を適宜実行することで、投薬カレンダー4を使用可能な状態(図1参照)とする。すなわち、薬剤包装5に読取動作を行い、必要に応じて複数包の薬剤包装5を一纏めとし、読取動作が実行された薬剤包装5を対応する薬剤収容部31に収容し、投薬カレンダー4を使用可能な状態とする。
投薬カレンダー4が使用可能な状態とは、投薬カレンダー4のそれぞれの薬剤収容部31に正しく薬剤包装5が収容された状態である。すなわち、投薬カレンダー4の薬剤収容部31のうち、対応付けられた薬剤包装5が存在する薬剤収容部31に、対応する一又は複数の薬剤包装5が収容された状態である。
【0098】
なお、事前読取工程、収容準備工程、薬剤包装収容工程を実行するとき、事前読取工程が完了する前に(全ての薬剤包装5に対して読取動作を行なう前に)、すでに読取動作が完了した薬剤包装5を薬剤収容部31に収容してもよい。例えば、一つの薬剤収容部31に対応付けられた一又は複数の薬剤包装5毎に、読取動作を実行する工程と、必要に応じて複数包を一纏めにする工程と、薬剤収容部31に収容する工程を実行してもよい。この場合、まず、一つ目の薬剤収容部31に対応付けられた一又は複数の薬剤包装5に対して読取動作を実行し、必要に応じて一纏めにし、この一又は複数の薬剤包装5を対応付けられた一つ目の薬剤収容部31に収容する。続いて、2つ目の薬剤収容部31に対応付けられた一又は複数の薬剤包装5に対し、読取動作を実行し、必要に応じて一纏めにし、2つ目の薬剤収容部31に収容するという、同じ一連の工程を実行する。以下同様に、それぞれの薬剤収容部31に読取動作を実行した薬剤包装5を収容していく。
【0099】
これに対し、事前読取工程及び収容準備工程を予め全て完了させた後に、薬剤包装収容工程を行ってもよい。
この場合、具体的には、一つ目の薬剤収容部31に対応付けられた一又は複数の薬剤包装5に対して読取動作を実行し、必要に応じて一纏めにする。続いて、2つ目の薬剤収容部31に対応付けられた一又は複数の薬剤包装5に対し、同じ一連の工程を実行する。以下同様に、薬剤収容部31に対応付けられた一又は複数の薬剤包装5毎に、同じ一連の工程を実行していき、事前読取工程及び収容準備工程を完了させる。この後に、一つ目の薬剤収容部31に、対応付けられた一又は複数の薬剤包装5を収容する。以下同様に、それぞれの薬剤収容部31に対し、対応付けられた一又は複数の薬剤包装5を収容していき、薬剤包装収容工程を完了させる、といった具合である。
【0100】
ここで、本実施形態の服薬支援システム1は、図6で示されるように、投薬カレンダー4が使用可能な状態となっているか否かを判別する配置位置確認動作を実行可能となっている。すなわち、配置位置確認動作は、投薬カレンダー4のそれぞれの薬剤収容部31に、対応付けられた薬剤包装5が正しく収容されているか否かを判別する動作である。
【0101】
配置位置確認動作では、投薬カレンダー4を携帯端末3で撮影する動作を実行する。具体的には、投薬カレンダー4の全体、又は、主要部分等の予め定められた部分が、一画面に収まるように正面から撮影する。
例えば、携帯端末3の操作表示部25に枠等を表示させ、この枠内に投薬カレンダー4の定められた部分が収まるように位置合わせする。このとき、携帯端末3に表示される投薬カレンダー4の画像が枠に対して小さくなりすぎないように、ズーム機能等での調整や、撮影距離の調整を行う。そして、携帯端末3の操作表示部25に表示させた撮影実行ボタンを押下する等によって撮影が実行される。
【0102】
ここで、本実施形態では、上記したように、薬剤収容部31が透明シートで形成されており、内部に収容した薬剤包装5の薬剤包装特定表示46が外部から視認可能となっている。そして、上記した投薬カレンダー4の撮影を実行する際、それぞれの薬剤収容部31に収容された薬剤包装5の薬剤包装特定表示46が撮影される。
【0103】
具体的には、一つの薬剤収容部31に一つの薬剤包装5が収容されている場合、当然のことながら、この一つの薬剤包装5に付された薬剤包装特定表示46が撮影され、撮影によって形成される画像に含まれる。
対して、一つの薬剤収容部31に複数の薬剤包装5が収容されている場合、重ねて配置された薬剤包装5のうち、最も手前側の薬剤包装5に付された薬剤包装特定表示46が撮影される。その一方で、奥側に位置する他の薬剤包装特定表示46は撮影されない。つまり、最も手前側の薬剤包装5に付された薬剤包装特定表示46が撮影よって形成される画像に含まれ、他の薬剤包装5に付された薬剤包装特定表示46が画像に含まれない。
【0104】
加えて、投薬カレンダー4のセット具特定表示33も撮影され、撮影によって形成される画像に含まれる。
【0105】
このように投薬カレンダー4の撮影が実行されると、携帯端末3は、本部装置2から正規位置情報を取得する。
【0106】
ここで、本部装置2の記憶部16には、投薬カレンダー4のそれぞれの薬剤収容部31に対応する薬剤包装5が正しく収容された状態のレイアウト(以下、正しいレイアウトとも称す)に関する情報が正規位置情報として記憶されている。
なお、「それぞれの薬剤収容部31に対応する薬剤包装5が正しく収容された状態」とは、一の薬剤収容部31に対応する薬剤包装5が無い場合、この一の薬剤収容部31については、空となる状態(薬剤包装5が収容されていない状態)が正しい状態となる。
【0107】
具体的には、正規位置情報は、複数の投薬カレンダーのそれぞれに対応する正しいレイアウトに関する情報を含む。すなわち、図示しない他の投薬カレンダーを含む複数の投薬カレンダー毎に、それぞれの投薬カレンダーの正しいレイアウトに関する情報が記憶されている。言い換えると、正規位置情報は、薬剤包装5と薬剤包装5が保持される薬剤セット具の組み合わせに関する情報と、組み合わせられた薬剤包装5と薬剤セット具の正しい相対位置に関する情報を含む。
【0108】
正しいレイアウトに関する情報は、薬剤セット具に保持されるべき薬剤包装5の位置に関連する情報であり、言い換えると、薬剤セット具にそれぞれの薬剤包装5が正しく収容された状態における薬剤セット具と薬剤包装5の位置関係に関する情報である。
すなわち、各薬剤収容部31や薬剤包装5同士の距離や角度等の配置の相対位置の他、基材30との位置関係についても記憶されている。また、各薬剤収容部31や各薬剤包装5同士の相対関係だけでなく、各薬剤収容部31と各薬剤包装5の相対関係や、基材30と各薬剤収容部31の相対関係や、基材30と各薬剤包装5の相対関係についても正規位置情報として記憶されている。
つまり、各薬剤収容部31や各薬剤包装5がどの様なマトリックスを構成しているかという点だけでなく、各薬剤収容部31や各薬剤包装5が基材30のどの場所にあるのかが記憶されている。
【0109】
また、正規位置情報は、基材30と薬剤包装5との相対位置関係を示す。基材30の予め定められた位置(例えば、基材30の四隅のいずれか)から薬剤収容部31に収容した状態での薬剤包装5の予め定められた位置(薬剤包装5の四隅のいずれか又は薬剤包装特定表示46等)までの上下方向及び左右方向の距離を示す。この場合、薬剤包装5の予め定められた位置に代えて、薬剤包装5が収容されるべき薬剤収容部31の予め定められた位置(例えば、薬剤収容部31の四隅の何れか)を採用しても良い。薬剤収容部31が空となる場合の情報は、例えば、基材30の予め定められた位置から、空となる薬剤収容部31の予め定められた位置までの上下方向及び左右方向の距離の情報がある。
【0110】
配置位置確認動作の説明に戻ると、携帯端末3が本部装置2から正規位置情報を取得する際には、携帯端末3が撮影されたセット具特定表示33から情報を読み取り、投薬カレンダー4を特定する情報を取得する。そして、投薬カレンダー4を特定する情報を示す信号を本部装置2に送信する。本部装置2は、受信した信号に基づいて、正規位置情報を参照し、送信された信号で特定される投薬カレンダー4に対応する正規位置情報(正しいレイアウトに関する情報)を特定する。すなわち、複数の投薬カレンダーのそれぞれに対応する正しいレイアウトに関する情報の中から、特定された一つの投薬カレンダー4に対応する正しいレイアウトに関する情報を特定する。そして、本部装置2は、特定した正しいレイアウトに関する情報を示す信号を携帯端末3に送信する。
【0111】
その一方、携帯端末3は、撮影された画像から投薬カレンダー4の現実のレイアウトに関する情報を現実位置情報として取得する。すなわち、撮影された投薬カレンダー4において、投薬カレンダー4と、それぞれの薬剤収容部31に収容された薬剤包装5との相対位置に関する情報を取得する。
【0112】
このとき、取得される現実のレイアウトに関する情報は、正規位置情報で記憶される情報と対応する情報である。具体的には、撮影された複数の薬剤包装特定表示46からその配列を検出する。配列は、薬剤包装5(薬剤包装特定表示46)同士の距離や角度等の配置の相対位置の他、各薬剤包装5と各薬剤収容部31との位置関係を含む。また、配列は、各薬剤包装5と基材30との位置関係を含む。すなわち、各薬剤包装5が基材30のどの位置にあるのかという関係を含む。
【0113】
例えば、撮影によって形成された画像を解析し、基材30の予め定められた位置(例えば辺や角)から、薬剤包装5ごとに当該薬剤包装5の位置までの上下方向及び左右方向の距離を特定する。なお、ここでいう薬剤包装5の位置は、例えば、その薬剤包装5に付された薬剤包装特定表示46の画像上の位置である。このとき、携帯端末3は、薬剤包装特定表示46から情報を読み取り、本部装置2から処方データを取得する等により、撮影された複数の薬剤包装5のそれぞれを個別に特定し、それぞれの薬剤包装5が基材30のどの位置にあるかを特定する。
【0114】
ここで、基材30に対する各薬剤包装5の位置を特定するとき、服用者及び服用時期が同じ薬剤が包装された複数の薬剤包装5は、いずれか一つの薬剤包装5の位置を特定することで、特定された位置に複数の薬剤包装5が存在するものと判断する。
すなわち、本実施形態の服薬支援システム1では、上記したように、関連包読取動作の実行後に収容準備工程を実行し、一つの薬剤収容部31に収容する複数の薬剤包装5を一纏めにしている(図5(b)参照)。このため、一纏めにされた複数の薬剤包装5のうち、一つの薬剤包装5の位置が特定されれば、纏められた他の薬剤包装5も同様の位置にあるものと考えられる(同様の位置にある可能性が非常に高い)。したがって、服用者及び服用時期が同じ薬剤が包装されている複数の薬剤包装5は、いずれか一つの薬剤包装5の位置のみを特定することにより、全ての薬剤包装5の位置の特定を行っている。
【0115】
そして、携帯端末3は、現実位置情報と正規位置情報とを比較し、これらが合致したことを条件として、投薬カレンダー4のそれぞれの薬剤収容部31に薬剤包装5が正しく収容されているものと判別する。
【0116】
この際、特に、現実の各薬剤包装5のレイアウトと、正規位置情報の各薬剤包装5と各薬剤収容部31との位置関係を比較する。すなわち、現実の薬剤包装5の基材30に対する位置と、正規位置情報における各薬剤包装5が基材30のどの位置にあるのかという情報とを比較する。そして、撮影されたそれぞれの薬剤包装5の位置と、そこにあるべき薬剤包装5の位置が合致していれば、薬剤収容部31に薬剤包装5が正しく収容されているものと判別する。なお、両者が合致したと判断される基準は、完全合致の場合だけでなく、多少ずれている場合も許容される。なぜならば、薬剤包装5に対して薬剤収容部31が大きい場合、薬剤包装5を正しい薬剤収容部31に収容しても、薬剤包装5の位置が一定にならないためである。
【0117】
またこの際、上記した現実位置情報を取得する際と同様に、一つの薬剤収容部31に複数の薬剤包装5が対応付けられている場合、複数の薬剤包装5のいずれか一つが薬剤収容部31に正しく収容されていることを条件とし、対応付けられた複数の薬剤包装5が全て正しく収容されていると判断する。
【0118】
そして、配置位置確認動作において、それぞれの薬剤収容部31に薬剤包装5が正しく収容されているものと判別された場合、その旨を報知する配置完了報知動作を実行する。
具体的には、配置完了報知動作は、携帯端末3の操作表示部25に「それぞれの薬包は正しく収容されています」等のメッセージを表示する動作である。
【0119】
対して、配置位置確認動作において、それぞれの薬剤収容部31に薬剤包装5が正しく収容されていないと判別された場合、その旨を報知する誤配置報知動作を実行する。
誤配置報知動作は、具体的には、携帯端末3の操作表示部25に、例えば「佐藤さんが服用するお薬が正しく配置されていません」等、薬剤包装5が正しく収容されていない薬剤収容部31を特定可能なメッセージを表示する動作である。また、空となる薬剤収容部31に薬剤包装5が収容されていた場合は、「山田さんが服用するお薬はありません」等、空にすべき薬剤収容部31に薬剤包装5が収容されている旨を表示する。
なお、この誤配置報知動作は、上記した音声出力動作や端末振動動作を伴う動作であってもよい。
【0120】
さらに、本実施形態の服薬支援システム1では、配置位置確認動作を実行する際に、投薬カレンダー4に収容する全ての薬剤包装5に対する読取動作が正しく完了しているか否かを判別する判別動作(第二の読取判別動作)を実行する。すなわち、この第二の読取判別動作は、上記した事前読取工程が正しく完了したか否かを判別する動作である。
【0121】
そして、第二の読取判別動作の結果、いずれかの薬剤包装5に対する読み取りが行われていないと判別された場合に、その旨を報知する未読取報知動作を実行する。
【0122】
具体的には、上記したように投薬カレンダー4を撮影し、それぞれの薬剤収容部31に収容された薬剤包装5の薬剤包装特定表示46が撮影されると、撮影されたそれぞれの薬剤包装特定表示46から情報を取得する。そして、薬剤包装特定表示46から取得した情報により薬剤包装5を特定する。
ここで、本実施形態の服薬支援システム1では、上記したように、事前読取工程において薬剤包装5に対する読取動作が正しく完了したとき、その旨を示す情報を記憶手段に記憶している。このことから、薬剤包装5を特定し、記憶手段に記憶した情報を照会することで、特定した薬剤包装5に対する読取動作が正しく行われたか否かの判別が可能となっている。
【0123】
このとき、一の薬剤収容部31に複数の薬剤包装5が収容されていた場合には、複数の薬剤包装5のうちの一つ(撮影された薬剤包装特定表示46が付された薬剤包装5)を特定する。さらに、特定した薬剤包装5と服用者及び服用時期が同じ残りの薬剤包装5を特定する。そして、特定した複数の薬剤包装5のそれぞれに対し、読取動作が正しく行われたか否かの判別を実行する。
【0124】
このように、配置位置確認動作を実行する際に第二の読取判別動作を実行する構成とすると、投薬カレンダー4に収容する薬剤包装5が後から追加された場合等において、薬剤包装5の入れ忘れを防ぐことができる。
以下、投薬カレンダー4に収容する薬剤包装5が後から追加された場合に実行する各工程(手順)について説明する
【0125】
まず、一の薬剤収容部31に対応付けられた一又は複数の薬剤包装5に対する読取動作(一包読取動作や関連包読取動作)の実行前に、同じ一の薬剤収容部31に対応付けられた薬剤包装5が追加された場合、追加分の薬剤包装5を含めて上記した関連包読取動作を実行する。そして、上記と同様に、収容準備工程を実行し、上記と同様に薬剤包装収容工程を実行する。
【0126】
また、一の薬剤収容部31に一の薬剤包装5が対応付けられ、この一の薬剤包装5に対する一包読取動作の実行後に、同じ一の薬剤収容部31に対応付けられた薬剤包装5が追加された場合には、改めて上記した関連包読取動作を実行する。
すなわち、先行して実行した一包読取動作で読取動作が実行された一の薬剤包装5と、追加分の薬剤包装5を対象として、上記した関連包読取動作を実行する。そして、その後にこれらを一纏めとする収容準備工程を実行し、上記と同様に薬剤包装収容工程を実行する。
【0127】
また、一の薬剤収容部31に複数の薬剤包装5が対応付けられており、この複数の薬剤包装5に対する関連包読取動作の実行後に、同じ一の薬剤収容部31に対応付けられた薬剤包装5が追加された場合には、関連包読取動作を再度実行する。
この場合、図7で示されるように、先行して行った関連包読取動作で読取動作が実行されていた複数の薬剤包装5のうちの一つと、追加分の薬剤包装5を対象として上記した関連包読取動作を実行する。
【0128】
つまり、追加分の薬剤包装5を含む複数の薬剤包装5に対して関連包読取動作を再度実行する場合、全ての薬剤包装5に対して一つ一つ読取動作を実行せず、先行して読取動作を実行していた複数の薬剤包装5のうちの一つと、追加分の薬剤包装5に対してのみ読取動作を実行する。このことにより、図7で示されるように、すでに薬剤包装5の束を形成している状態であっても、再度実行する関連包読取動作を実行し易い。
【0129】
また、配置位置確認動作が実行され、配置完了報知動作を実行された後、いずれかの薬剤収容部31に収容する薬剤包装5が追加される場合が考えられる。
この場合、投薬カレンダー4の使用前(出荷直前)に、投薬カレンダー4に収容する全ての薬剤包装5の読取動作が完了しているか否かを判別する判別動作を実行してもよい。そして、この判別動作の結果、いずれかの薬剤包装5に対する読取動作が実行されていない場合に、その旨を報知する未読取報知動作を実行してもよい。
【0130】
例えば、投薬カレンダー4の使用前(例えば、施設の壁に掛ける前や、薬局から施設に持っていく前)に、携帯端末3に対して、これからこの投薬カレンダー4を使用する旨を通知する入力を行い、この入力が行われたことを条件として、判別動作を実行する構成としてもよい。
具体的に例を挙げると、携帯端末3に対して所定の操作を行うことで、複数の投薬カレンダーから一つの投薬カレンダー4を選択させる画面を携帯端末3に表示させる。そして、この画面で一つの投薬カレンダー4が選択されたとき、「選択された投薬カレンダー4をこれから使用しますか?」というメッセージと、「はい」ボタンと「いいえ」ボタンとが表示された入力画面を表示する。そして、「はい」ボタンが押下されたことを条件として、上記した判別動作を実行し、いずれかの薬剤包装5に対する読取動作が実行されていない場合に、未読取報知動作を実行するといった具合である。
【0131】
また、投薬カレンダー4の使用前に自動で判別動作を実行する構成としてよい。
例を挙げると、予め本部装置2や携帯端末3に対し、投薬カレンダー4の使用開始時期(上記の例では、4月18日の朝食後)を入力し、記憶手段に記憶させておく。そして、入力された使用開始時期よりも所定時間前(例えば、一時間前)になったとき、上記した判別動作が実行される。そして、いずれかの薬剤包装5に対する読取動作が実行されていない場合に、未読取報知動作を実行するといった具合である。
【0132】
上記した実施形態では、薬剤セット具として投薬カレンダー4を採用した例を示したが、本発明はこれに限るものではない。
例えば、薬剤セット具は、所謂配薬トレイ、投薬箱(投薬管理ボックス)、投薬トレイ等であってもよい。すなわち、一又は複数の薬剤包装を配置可能な薬剤収容部を複数有するものであり、一つの薬剤収容部に複数の薬剤包装を重ねて配置可能であって、上記した配置位置確認動作を実行できればよい。
【0133】
また、投薬カレンダーは、上記した例に限らず、図10で示されるような個人用のものでもよく、図11で示されるような所定の曜日に対応するものであってもよい。投薬カレンダーの形態は適宜変更してもよい。
【0134】
上記した実施形態では、薬剤包装特定表示46を二次元コードとし、薬剤包装特定表示46を読み込むことで、対象となる薬剤(薬剤包装特定表示46を付した薬剤包装5に内包される薬剤)の服用者と服用時期を示す情報を取得する構成とした。
しかしながら、本発明はこれに限るものではない。例えば、薬剤包装特定表示46から取得する情報には、例えば薬名といった、対象となる薬剤に関する他の情報が含まれていてもよい。また、対象となる薬剤の処方に関する情報が含まれていてもよく、例えば、処方番号が含まれていてもよい。
【0135】
また、薬剤包装特定表示46に記憶させる情報は、対象となる薬剤包装5に内包された薬剤の服用者と服用時期を示す情報に替わって、特定のID情報でもよい。すなわち、薬剤包装特定表示46には特定のID情報のみを記憶させてもよい。
具体的に説明すると、ここでいう「特定のID情報」とは、例えば、薬剤包装5毎に付される固有の番号(それぞれの薬剤包装5を個別に特定する情報)でもよい。この場合、本部装置2又は携帯端末3の記憶手段に、この特定のID情報と、特定のID情報で特定される薬剤包装5に内包される薬剤に関する情報(服用者や服用時期を示す情報)とを関連付けて(紐づけて)記憶しておく。つまり、処方データ等に基づいて予めデータベースを作成しておき、このデータベースにこれらの情報を関連付けて記憶しておく。
そして、薬剤包装特定表示46の読み取りを実行した後、読み取りで取得した特定のID情報に基づき、本部装置2又は携帯端末3に記憶されたデータベースを参照することで、対象となる薬剤の服用者と服用時期を示す情報を特定する動作を実行する。そして、特定した服用者と服用時期を示す情報に基づいて、上記と同様に、服用者及び服用時期が同じ薬剤を特定し、これらが包装された薬剤包装5の数を特定する。
なお、データベースを本部装置2に記憶した場合には、この動作を実行するとき、本部装置2と携帯端末3の間で適宜信号の送受信を実行する。
【0136】
つまり、一の薬剤包装特定表示46から取得される情報は、その一の薬剤包装特定表示46が付された薬剤包装5又は当該薬剤包装5に包装された薬剤に関する情報であり、且つ、当該薬剤包装5を特定するための情報であれば、適宜変更してかまわない。
なお、「薬剤包装5を特定するための情報」とは、その情報によって薬剤包装5を特定可能な情報、又は、処方データと共に薬剤包装5を特定可能な情報である。すなわち、その情報に基づいて薬剤包装5を特定可能な情報である。
【0137】
上記した実施形態では、事前読取工程において薬剤包装特定表示46から情報を読み取る読取動作を実行した。また、現実位置情報を取得するとき、薬剤包装特定表示46の画像上の位置を基準として、薬剤包装5の位置を特定した。しかしながら、本発明はこれに限るものではない。
例えば、事前読取工程において、薬剤包装特定表示46に替わって、服用者特定表示43と、服用時期特定表示44の文字を文字解析してもよい。すなわち、文字解析により、薬剤包装5を特定してもよい。同様に、現実位置情報を取得するとき、薬剤包装特定表示46に替わって、他の表示の画像上の位置を基準として、薬剤包装5の位置を特定してもよい。
【0138】
上記した実施形態では、携帯端末3を投薬カレンダー4の撮影に使用する撮影手段として機能させ、且つ、薬剤包装特定表示46を読み取る読取手段としても機能させる例について説明した。しかしながら、本発明はこれに限るものではない。
撮影手段と読取手段は、別体でもよく、それぞれデジタルカメラとスキャナを採用してもよい。例えば、携帯端末3に替わって、デジタルカメラ、スキャナ、ノートPCを採用してもよい。この場合、スキャナ(バーコードリーダ)で取得した情報や、デジタルカメラで撮影された映像をノートPCに取り込み、ノートPCと本部装置2の間で信号の送受信を行うことで、上記した各種動作を実行してもよい。
【0139】
上記した実施形態では、薬剤包装特定表示46を二次元コードとしたが、薬剤包装特定表示46に採用する二次元コードの種類は特に限定されるものではなく、例えば、フルスキャンコード(登録商標)であってもよい。また、薬剤包装特定表示46に採用するコードは、二次元コードに限らず、カラーバーコード(例えば、カラービット(登録商標)やカメレオンコード(登録商標))であってもよい。さらには、薬剤包装特定表示46にRFIDを採用してもよい。当然のことながら、読取手段は、採用したコードに応じて適宜変更してもよい。
【0140】
以下、本発明の関連発明について説明する。なお、以下の関連発明の説明では、特に記載がない部分や符号が同じもの等については、上記した実施形態に準じるものとする。
具体的には、上記した実施形態では、配置位置確認動作を実行することで「投薬カレンダー4に収容されるべき薬剤包装5が全て漏れなく収容されているか否か」と、「それぞれの薬剤包装5が正しい位置に収容されているか否か」について判別を行った。すなわち、配置位置確認動作を実行し、投薬カレンダー4の薬剤収容部31に薬剤包装5を正しく収容したか否かを判別する工程(配置位置確認工程)を行った。
これに対し、この関連発明では、「投薬カレンダーに収容されるべき薬剤(薬剤包装)が全て漏れなく収容されているか否か」を判別し、「それぞれの薬剤が正しい位置に収容されているか否か」については判別を行わない点において、上記した実施形態と異なっている。
【0141】
まず、関連発明で採用される投薬カレンダー504(薬剤セット具、図8(a)参照)について説明する。この投薬カレンダー504は、頓服薬用の投薬カレンダー504であり、セット具特定表示33と、服用時期特定表示535と、複数の薬剤収容部31を有する。
【0142】
服用時期特定表示35には、「X月Y日 頓服」という、頓服薬が使用される可能性がある日付を特定する情報が記載されている(Xは月を示す数字、Yは日にちを示す数字)。つまり、それぞれの薬剤収容部31に収容される薬剤包装505は、頓服薬が包装されたものであり、この頓服薬は、X月Y日(特定の日付)に何等かの症状等が出た場合に服薬する薬剤である。
【0143】
複数の薬剤収容部31には、上記したように、それぞれに所定の人物(薬剤の使用者であり、服用者)が対応付けられていなくてもよい。したがって、投薬カレンダー504のいずれか一つの薬剤収容部31に「湯山さん」が使用する薬剤が内包された薬剤包装505を収容させ、他のいずれか一つの薬剤収容部31に「鈴木さん」が使用する薬剤が内包された薬剤包装505を収容させるといった具合に、それぞれの薬剤包装505を収容させていってもよい。最終的に投薬カレンダー504の複数の薬剤収容部31のそれぞれに、この投薬カレンダー504に収容されるべき薬剤包装505が全て収容されればよい。
【0144】
なお、同じ服用者(使用者)を対象とした薬剤包装505が2以上ある場合には、一つの薬剤収容部31に複数の薬剤包装505を重ねて収容する。つまり、一つの薬剤収容部31に複数の薬剤包装505が収容される場合、この複数の薬剤包装505には、同じ服用者(使用者)が服用(使用)する薬剤が内包される。言い換えると、一つの薬剤収容部31は、一人の服用者を対象とした一又は複数の薬剤包装505を収容する部分となる。
【0145】
続いて、この投薬カレンダー504を採用した服薬支援システム(図示しない)が実行する各種動作について説明する。この服薬支援システムは、上記と同様に、本部装置2と、携帯端末3と、投薬カレンダー504を備えている。
なお、本部装置2の記憶部16には、投薬カレンダー504に収容される全ての薬剤包装505を示す情報が正規収容情報として記憶されている。
【0146】
この服薬支援システムでは、投薬カレンダー504に収容されるべき薬剤包装505が全て漏れなく収容されているか否かを判別する収容確認動作を実行可能なものとなっている。すなわち、服薬支援システムは、収容確認動作を実行することで、上記判別を行う収容確認工程を行うことが可能となっている。
【0147】
収容確認動作では、上記した配置位置確認動作と同様に、投薬カレンダー504を携帯端末3で撮影する動作を実行する。すなわち、予め収容準備工程を実施し、上記したように、それぞれの薬剤収容部31に薬剤包装505を収容しておく。なお、一つの薬剤収容部31に複数の薬剤包装505を収容する場合、収容準備工程は実施せず、複数の薬剤包装505を重ねた状態で収容する。そして、薬剤包装505が収容された状態の投薬カレンダー504を撮影する。
このとき、撮影されたセット具特定表示33から、投薬カレンダー504を特定する情報が取得される。さらに、撮影時に投薬カレンダー504に収容されている薬剤包装505が特定され、現実収容情報として取得される。
【0148】
具体的には、投薬カレンダー504を撮影することで、それぞれの薬剤収容部31に収容された薬剤包装505の薬剤包装特定表示46が撮影される。このとき、一つの薬剤収容部31に複数の薬剤包装505が収容されている場合には、最も手前側に位置する薬剤包装505に付された薬剤包装特定表示46が撮影される。
そして、撮影された薬剤包装特定表示46から情報を読み取り、本部装置2から処方データを取得する等により、撮影された複数の薬剤包装5のそれぞれを個別に特定し、特定された薬剤包装505が投薬カレンダー504に収容されていると判断する。このとき、一つの薬剤収容部31に複数の薬剤包装505が収容される場合には、一つの薬剤包装505が収容されていることを条件として、複数の薬剤包装505が全て収容されていると判断する。以上のことから、投薬カレンダー504にどの薬剤包装505が収容されているかが特定される。
【0149】
そして、投薬カレンダー504を特定する情報に基づき、撮影した投薬カレンダー504に対応する正規収容情報が特定される。そして、現実収容情報と正規収容情報とを比較することで、投薬カレンダー504に収容されるべき薬剤包装505が全て収容されているか否かを判別する。
【0150】
この関連発明では、頓服薬用の投薬カレンダー504に替わって外用薬用の投薬カレンダーを採用してもよい。すなわち、複数の薬剤包装の使用時期の管理を支援する薬剤使用支援システムとしてもよい。なお、この薬剤使用支援システムは、複数の薬剤包装の服用時期の管理を支援する服薬支援システムの上位概念である。
この場合、投薬カレンダーに収容される薬剤包装は、外用薬が包装されたものとなる。そして、上記と同様に、必要に応じて、一つの薬剤収容部31に複数の薬剤包装を重ねて配置するものとし、投薬カレンダーに収容されるべき薬剤包装が全て収容されているか否かを判別する動作を可能なものとする。
【0151】
また、上記したように、投薬カレンダーの形態は適宜変更してもよく、投薬カレンダーの収容対象となる薬剤包装は適宜決定することができる。例えば、図8(b)で示されるように、関連発明で採用される投薬カレンダー604をフリーグループに対応するものとしてもよい。
この場合、事前に薬剤の服用者(使用者)をグループ化し、作成したグループを投薬カレンダー604に対応づける。図8(b)の例では、適宜選択した9名の服用者をグループ化し、投薬カレンダー604をグループに属する服用者を対象とした薬剤包装605を収容するものとする。投薬カレンダー604に収容すべき薬剤包装605が決定されると、これらの情報を正規収容情報として記憶しておく。つまり、投薬カレンダー604に収容される全ての薬剤包装505を示す情報を、この投薬カレンダー604に対応する正規収容情報として記憶しておく。そして、上記と同様に、収容確認動作を実行可能なものとする。
【0152】
続いて、本発明の関連発明について、図9を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の関連発明の説明では、特に記載がない部分や符号が同じもの等については、上記した実施形態に準じるものとする。
【0153】
この関連発明の実施形態に係る服薬支援システム701は、図9で示されるように、本部装置2と、携帯端末3と、投薬カレンダー4を備えている。
【0154】
本実施形態の薬剤包装5に付された薬剤包装特定表示46は、ラベリングされたものである。すなわち、予め処方データに基づいて二次元コードが付されたラベルを作成し、別途作製された包装体に対してラベルを貼り付け、薬剤包装5を形成している。言い換えると、本実施形態の服薬支援システム701では、投薬カレンダー4に薬剤包装5を収容する前に、包装体にラベルを貼り付けて薬剤包装5を形成する薬剤包装形成工程を行うものとなっている。
【0155】
また、服薬支援システム701では、上記と同様に、薬剤包装5を収容した状態の投薬カレンダー4を撮影することで、投薬カレンダー4にそれぞれ収容された薬剤包装5に付された薬剤包装特定表示46から情報を取得可能となっている。つまり、複数の薬剤包装特定表示46から情報を一括で読み取ることが可能となっている。
【0156】
また、上記と同様に、複数の薬剤包装特定表示46から情報を一括で読み取る際、それぞれの薬剤包装特定表示46(薬剤包装5)の位置情報を取得することができる。例えば、行列の(1,1)成分にある薬剤収容部31には、湯山さんを対象とした薬剤包装5が収容されている、といった具合である。本実施形態では、薬剤包装特定表示46(薬剤包装5)の位置情報を取得するとき、撮影で形成された画像の座標の情報(X,Y)で取得する。座標の情報は、X軸とY軸(横軸と縦軸)からなる2つの座標軸で表される情報であり、画像上の位置、並びに、画像上の所定の位置からの距離を特定できる情報である。
【0157】
また、本実施形態の服薬支援システム701では、薬剤包装5を収容した状態の投薬カレンダー4を撮影したとき、取得した位置情報と処方データから取得される情報を関連付け、基準収容情報として管理用データベース707に記憶させる動作が可能となっている。基準収容情報は、撮影時における薬剤包装5のセット位置に関する情報であり、どの薬剤包装5がどの薬剤収容部31に収容されているかを特定する情報である。
【0158】
すなわち、本実施形態の服薬支援システム701では、本部装置2の記憶部16(図9では図示しない)に管理用データベース707が記憶されている。この管理用データベース707は、他のデータベースとの連携が可能なものであり、別途記憶された処方データ(処方データに基づいて作成されたデータベース)等と連携可能なものとなっている。
【0159】
また、本実施形態の服薬支援システム701では、投薬カレンダー4を撮影した後、使用直前等に同じ投薬カレンダー4を再度撮影することで、投薬カレンダー4が以前の撮影時と同じ状態であるか否かを判別する収容判別動作を実行可能となっている。
なお、ここでいう「同じ状態」とは、以前の撮影時と再度行った撮影時のそれぞれで、投薬カレンダー4に収容されている薬剤包装5が同じ薬剤包装5であり、且つ、それぞれの薬剤包装5が収容されている薬剤収容部31が同一である状態とする。すなわち、収容される薬剤包装5と、それぞれの薬剤包装5の収容位置とがいずれも同じとなる状態とする。
【0160】
すなわち、投薬カレンダー4の再撮影が実行されると、以前に作成された過去の基準収容情報が本部装置2から携帯端末3に送信される。そして、最撮影によって作成された現在の基準収容情報と、過去の基準収容情報とを比較する動作を実施し、以前と同じ状態であるか否かを判別する。また、判別の結果、以前と異なる場合には、適宜その旨を報知する報知動作を実行する。なお、再撮影によって作成される新たな基準収容情報は、本部装置2に送信され、出荷前の基準収容情報として記憶される。
【0161】
なお、この関連発明においても、一つの薬剤収容部31に複数の薬剤包装5を重ねて収容してもよい。この場合、上記と同様に、一の薬剤収容部31に複数のうちの一つの薬剤包装5に収容されていることを条件として、複数の薬剤包装5が全て一の薬剤収容部31に収容されているものとしてもよい。
【符号の説明】
【0162】
1;服薬支援システム、2;本部装置(コンピュータ)、3;携帯端末(撮影手段、読取手段、コンピュータ)、4;投薬カレンダー(薬剤セット具)、5;薬剤包装、16;記憶部(記憶手段)、21;記憶部(記憶手段)、46;薬剤包装特定表示(薬剤包装特定情報)、47;薬包関連表示
図1
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