(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-07
(45)【発行日】2024-03-15
(54)【発明の名称】電動工具システム
(51)【国際特許分類】
B25B 23/14 20060101AFI20240308BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
B25B23/14 620J
B25B23/14 640Z
B25B23/14 610B
G05B19/418 Z
(21)【出願番号】P 2021025689
(22)【出願日】2021-02-19
【審査請求日】2023-01-23
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 貴之
【審査官】城野 祐希
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-229210(JP,A)
【文献】特開2017-140681(JP,A)
【文献】特開2019-076980(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102012219871(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 23/14
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
締付部品を保持する保持部、前記保持部に駆動力を伝えることで作業対象に前記締付部品を締め付ける締付作業を行う駆動部、前記締付作業の締付トルク値をトルク測定値として測定する測定部、及び前記保持部の少なくとも一部を撮像することで撮像画像を生成する撮像部を有する
複数台の電動工具装置と、
前記トルク測定値と前記撮像画像とが紐づけられている履歴情報を記憶する履歴記憶部と、
前記複数台の電動工具装置と通信可能である通信装置と、
前記通信装置と通信可能であるセンター装置と、を備え、
前記通信装置が、前記トルク測定値及び前記撮像画像の各データを、前記複数台の電動工具装置から受信して、前記センター装置へ送信し、
前記センター装置は、前記履歴記憶部を有し、
前記通信装置は、通信装置記憶部を備え、
前記通信装置記憶部は、前記複数台の電動工具装置のそれぞれから受信した前記トルク測定値及び前記撮像画像を、前記複数台の電動工具装置の前記締付作業ごとに作業結果として記憶し、
前記通信装置は、予め決められた送信条件を満たした場合、前記送信条件を満たすまでの間に前記通信装置記憶部に一時的に記憶されている前記作業結果を前記センター装置へ送信する
電動工具システム。
【請求項2】
前記撮像部は、前記駆動部が前記締付作業を完了した後に前記保持部の少なくとも一部を撮像することで、前記撮像画像を生成する
請求項1に記載の電動工具システム。
【請求項3】
前記撮像部は、時系列的に異なる複数のタイミングで前記保持部の少なくとも一部を撮像することで、前記複数のタイミングごとの前記撮像画像を生成し、
前記履歴記憶部は、前記複数の撮像画像を前記トルク測定値と紐づけて記憶する
請求項1に記載の電動工具システム。
【請求項4】
前記複数のタイミングは、前記駆動部が前記締付作業を開始する第1タイミング、及び前記駆動部が前記締付作業を完了する第2タイミングである
請求項3に記載の電動工具システム。
【請求項5】
前記送信条件は、前記通信装置が前記作業結果を前記センター装置へ前回送信した後、予め設定された時間が経過することである
請求項1-4のいずれか1項に記載の電動工具システム。
【請求項6】
前記送信条件は、前記通信装置記憶部に記憶された前記作業結果の数が、予め設定された数に達することである
請求項1-4のいずれか1項に記載の電動工具システム。
【請求項7】
前記締付作業は、複数あり、
前記送信条件は、前記通信装置記憶部が、前記複数の締付作業のうち予め設定された締付作業の作業結果を記憶することである
請求項1-4のいずれか1項に記載の電動工具システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、電動工具システムに関する。より詳細には、本開示は、作業対象に締付部品を締め付ける電動工具システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、制御装置及びそれを用いた作業管理システムが開示されている。この制御装置は、締付部品を締め付ける作業に用いられる工具との間と、作業が行われる作業箇所を撮像する撮像装置との間と、でそれぞれ通信を行う。よって、工具により締付部品に与えられる締付トルク値と、撮像装置により撮像された撮像画像と、を紐づけて記憶する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の撮像装置(撮像部)の撮像範囲は、制御装置を装着する作業者の視界とほぼ一致するように設けられている。そのため、作業対象の締付対象箇所が作業者の目視できない局所位置だった場合、締付対象箇所に締め付けられる締付部品は撮像装置の撮像範囲に入らない。すなわち、作業対象によって履歴情報を残すことができないという問題があった。
【0005】
本開示の目的とするところは、作業対象に係らず履歴情報を残すことができる電動工具システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る電動工具システムは、複数台の電動工具装置と、履歴記憶部と、通信装置と、センター装置と、を備える。前記複数台の電動工具装置は、保持部、駆動部、測定部、及び撮像部を有する。前記保持部は、締付部品を保持する。前記駆動部は、前記保持部に駆動力を伝えることで作業対象に前記締付部品を締め付ける締付作業を行う。前記測定部 は、前記締付作業の締付トルク値をトルク測定値として測定する。前記撮像部は、前記保持部の少なくとも一部を撮像することで撮像画像を生成する。前記履歴 記憶部は、前記トルク測定値と前記撮像画像とが紐づけられている履歴情報を記憶する。前記通信装置は、前記複数台の電動工具装置と通信可能である。前記センター装置は、通信装置と通信可能である。前記通信装置が、前記トルク測定値及び前記撮像画像の各データを、前記複数台の電動工具装置から受信して、前記センター装置へ送信する。前記センター装置は、前記履歴記憶部を有する。前記通信装置は、通信装置記憶部を備える。前記通信装置記憶部は、前記複数台の電動工具装置のそれぞれから受信した前記トルク測定値及び前記撮像画像を、前記複数台の電動工具装置の前記締付作業ごとに作業結果として記憶する。前記通信装置は、予め決められた送信条件を満たした場合、前記送信条件を満たすまでの間に前記通信装置記憶部に一時的に記憶されている前記作業結果を前記センター装置へ送信する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、作業対象に係らず履歴情報を残すことができる電動工具システムを提供するという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係る電動工具システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、同上の電動工具システムの概略構成を示す模式図である。
【
図3】
図3Aは、同上の電動工具システムが備える電動工具装置における第1方向からの外観斜視図である。
図3Bは、同上の電動工具システムが備える電動工具装置における第2方向からの外観斜視図である。
【
図4】
図4は、同上の電動工具システムの動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態)
(1)概要
以下、一実施形態に係る電動工具システム100の概要について、
図1を参照して説明する。
【0010】
本実施形態に係る電動工具システム100は、
図1に示すように、電動工具装置1と、履歴記憶部61と、を備える。本実施形態の電動工具システム100は、例えば、工場における製品組み立て作業を行う組立ラインに用いられる。電動工具システム100の使用用途は、上記の組立ラインに限らず、他の使用用途であってもよい。
【0011】
電動工具装置1は、作業者が作業対象(電化製品、家具等)に締付部品(ネジ、ボルト、ナット等)を締め付ける作業に用いられる場合を想定する。より詳細には、作業対象は締付対象箇所(ネジ孔等)を複数有しており、作業者が電動工具装置1を用いて複数の締付対象箇所の各々に締付部品を締め付ける締付作業を行うことを想定する。すなわち、作業者が1つの作業対象に対して複数の締付作業を行うことを想定している。
【0012】
電動工具装置1は、保持部112、駆動部11、測定部13、及び撮像部14を有する。保持部112は、締付部品を保持する。駆動部11は、保持部112に駆動力を伝えることで作業対象に締付部品を締め付ける締付作業を行う。測定部13は、締付作業の締付トルク値をトルク測定値として測定する。撮像部14は、保持部112の少なくとも一部を撮像することで撮像画像を生成する。
【0013】
本実施形態では、撮像部14は、電動工具装置1に収容されており、締付作業が完了した保持部112の少なくとも一部を撮像することで、撮像画像を生成する。撮像部14は電動工具装置1に含まれているため、作業者が目視できないような局所位置での作業を行った場合でも、撮像部14は締付作業が完了した保持部112を撮像することが可能である。局所位置での作業とは、例えば、後述する電動工具装置1の胴体部21のみが入ることができるほどの限られたスペースでの作業や、作業者の目線の位置を締付対象箇所の位置に合わせることができない作業等である。
【0014】
履歴記憶部61は、トルク測定値と撮像画像とが紐づけられている履歴情報を記憶する。締付作業を管理する管理者は、作業者が作業を行った後に履歴記憶部61に記憶されている作業履歴を確認し、締付部品が目標の締付トルク値を与えられ、正しい位置に取り付けられたことを確認することが可能である。
【0015】
以上から、本実施形態の電動工具システム100は、作業対象の締付対象箇所が作業者の目視できない局所位置である場合でも保持部112の撮像画像を入手できるため、作業対象に係らず履歴情報を残すことができるという利点がある。
【0016】
(2)詳細な構成
(2-1)全体の構成
以下に、本実施形態の電動工具システム100の詳細な構成について
図1~
図3を参照して説明する。
【0017】
本実施形態の電動工具システム100は、
図2に示すように、複数台の電動工具装置1と、複数台の電動工具装置1と通信可能である通信装置5と、通信装置5と通信可能であるセンター装置6と、を備える。
【0018】
(2-2)電動工具装置
電動工具装置1は、
図1に示すように、駆動部11と、インパクト機構12と、測定部13と、撮像部14と、工具通信部15と、通知部16と、電池パック17と、ハウジング2と、工具記憶部3と、工具制御部4と、を備える。
【0019】
以下の説明では、後述する胴体部21とグリップ部22とが並んでいる方向を上下方向と規定し、グリップ部22から見て胴体部21側を上と規定し、胴体部21から見てグリップ部22側を下と規定する。また、胴体部21と保持部112とが並んでいる方向を前後方向と規定し、胴体部21から見て保持部112側を前と規定し、保持部112から見て胴体部21側を後と規定する。ただし、これらの規定は、電動工具装置1の使用方向を規定する趣旨ではない。
【0020】
ハウジング2は、
図3A及び3Bに示すように、筒形状の胴体部21と、胴体部21の周面から径方向に突出するグリップ部22と、電池パック17が着脱自在に装着される装着部23と、を有する。
【0021】
駆動部11は、胴体部21に収容されている。駆動部11は、モータを有しており、動力源である電池パック17から供給される電力を動力として回転動作するように構成されている。胴体部21の軸方向における一端側からは出力軸111が突出している(
図3A及び3B参照)。出力軸111は、駆動部11の回転動作によって回転するように構成されている。出力軸111には、締付部品(ネジ、ナット等)を保持するための保持部112が着脱自在に取り付けられる。例えば、保持部112はソケットである。締付部品がネジである場合は、ソケットは、ネジのネジ頭を覆うようにネジと嵌め合い、ネジを保持する。また、締付部品がナットである場合は、ソケットは、ナットの全体を覆うようにナットと嵌め合い、ナットを保持する。出力軸111に取り付けられるソケットのサイズは、作業者によって締付部品のサイズに合わせて適宜選択される。駆動部11は、出力軸111が回転することで、保持部112に駆動力を伝える。そのため、電動工具装置1は、駆動部11の回転動作によって出力軸111が回転することにより、保持部112に保持された締付部品を締め付ける又は緩めるといった作業が可能となる。
【0022】
また、保持部112は、ソケットの代わりにソケットアンビルに装着されたビット(例えばドライバビット等)であってもよい。この場合、ソケットアンビルを介してビット(例えばドライバビット等)の装着が可能となる。締付部品がネジである場合は、ビットは、ネジのネジ穴に嵌まり、ネジを保持する。すなわち、保持部112は、締付部品を締め付ける又は緩めるために締付部品に接触して、締付部品に駆動力を伝えるものであればよい。
【0023】
インパクト機構12は、駆動部11に打撃力を与えるように構成されている。より詳細には、インパクト機構12は、締付トルク(作業値)が所定レベルを超えると、出力軸111の回転方向に打撃力を加えるように構成されている。これにより、締付部品に対して、より大きな締付トルクを与えることが可能となる。
【0024】
グリップ部22は、作業者が作業を行う際に握る部分であり、トリガスイッチ221、及び正逆切替スイッチ222が設けられている。トリガスイッチ221は、駆動部11の回転動作のオン/オフを制御するためのスイッチであり、引込量に応じて駆動部11の回転数の調整が可能である。正逆切替スイッチ222は、出力軸111の回転方向を正転と逆転とに切り替えるスイッチである。グリップ部22における胴体部21と反対側の端部には装着部23が設けられている。
【0025】
装着部23は、扁平な矩形体状に形成されており、グリップ部22と反対側の一面に電池パック17が着脱自在に装着される。電池パック17は、矩形体状に形成された樹脂製のケース171(
図3A,3B参照)を有しており、ケース171の内部に充電池(例えば、リチウムイオン電池)を収納している。電池パック17は、駆動部11、工具制御部4、撮像部14等に電力を供給する。
【0026】
また、装着部23には、操作パネル231が設けられている。操作パネル231は、例えば、複数の押ボタンスイッチ232、及び複数のLED233(Light Emitting Diode)を備えており、電動工具装置1の種々の設定、状態確認等を行うことができる。作業者は、例えば、操作パネル231(例えば、押ボタンスイッチ232)を操作することにより、電動工具装置1の電源状態の切替、又は通信装置5との接続状況の確認等を行うことができる。また、装着部23には、発光部234が設けられている。発光部234は、例えば、LEDで構成されている。発光部234は、作業時において作業対象に向けて光を照射するように配置されている。発光部234のオン/オフは、操作パネル231の操作で行うことができる。また、発光部234は、トリガスイッチ221がオンした際に点灯するように構成されていてもよい。
【0027】
また、装着部23には、工具制御部4が収納されている。工具制御部4は、例えば、コンピュータシステムを備えることが好ましい。コンピュータシステムでは、CPU(Central Processing Unit)、又はMPU(Micro Processing Unit)などのプロセッサがメモリに記憶されているプログラムを読み出して実行する。このため、駆動制御部41、測定制御部42、撮像制御部43、記憶制御部44、通信制御部45、通知制御部46、等の機能が実現される。コンピュータシステムは、プログラムに従って動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、プログラムを実行することによって機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、半導体集積回路(IC)、又はLSI(Large Scale Integration)を含む一つ又は複数の電子回路で構成される。ここでは、ICやLSIと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、若しくはULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれるものであってもよい。LSIの製造後にプログラムされる、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、又はLSI内部の接合関係の再構成又はLSI内部の回路区画のセットアップができる再構成可能な論理デバイスも同じ目的で使うことができる。複数の電子回路は、一つのチップに集積されてもよいし、複数のチップに設けられてもよい。複数のチップは一つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に備えられていてもよい。
【0028】
同様に、装着部23には、工具記憶部3が更に収納されている。工具記憶部3は、例えば磁気コアメモリや半導体メモリ等で構成されており、測定記憶部31及び画像記憶部32の機能を有する。なお、本実施形態では、測定記憶部31及び画像記憶部32が1つのメモリで構成されているが、複数のメモリで構成されていてもよい。また、工具記憶部3は、電動工具装置1に対して着脱自在なメモリカードであってもよい。
【0029】
駆動制御部41は、駆動部11を制御するように構成されている。より詳細には、駆動制御部41は、締付トルク値が後述するトルク設定値となるように、駆動部11を制御するように構成されている。駆動制御部41は、締付トルク値の大きさを推定するトルク推定機能を有している。具体的には、駆動制御部41は、締付トルクの推定値がトルク着座値に達するまでは、インパクト機構12の打撃間における駆動部11が有するモータの回転速度、回転量変化等に基づいて締付トルクの大きさを推定する。トルク着座値とは、締付部品が締付対象に着座すると予測される締付トルク値である。次に、駆動制御部41は、締付トルクの推定値がトルク着座値に達すると、インパクト機構12の打撃数に基づいて締付トルクの大きさを推定する。駆動制御部41は、インパクト機構12の打撃数が、トルク設定値に基づいた閾値回数に達すると、締付トルクがトルク設定値に達したと判断してモータを停止させる。なお、電動工具装置1は加速度センサを更に有し、トルク推定機構は加速度センサの検出値から締付トルクの大きさを推定するものであってもよい。
【0030】
測定制御部42は、測定部13を制御するように構成されている。測定部13は、締付トルク値の最大値をトルク測定値として測定する。より詳細には、測定部13は、インパクト機構12が出力軸111を介して締付部品に与えた締付トルク値の最大値をトルク測定値として測定する。例えば、測定部は、トルクセンサである。記憶制御部44は、複数の締付作業のそれぞれにおいて、測定部13が測定したトルク測定値を測定記憶部31に記憶させる。
【0031】
撮像制御部43は、撮像部14を制御するように構成されている。本実施形態では、撮像部14は、撮像素子とレンズを有するカメラで構成されており、少なくとも保持部112が撮像範囲に収まるようにハウジング2の胴体部21に収容されている。より詳細には、本実施形態の撮像部14は、保持部112が撮像範囲に収まるように、出力軸111から出力軸111の径方向に離れた位置に、胴体部21から見て保持部112側の方向(前方向)を撮像方向にして配置されている。具体的には、撮像部14は、撮像部14が有するレンズの光軸が保持部112を通るように、胴体部21におけるグリップ部22とは反対側の部分(上部)に設けられている。なお、撮像部14は、撮像する方向を胴体部21から見て保持部112側の方向(前方向)にして、胴体部21の下部又は側部に設けられていてもよい。本実施形態の撮像部14は、駆動部11が締付作業を完了した後に保持部112を撮像することで、撮像画像を生成する。より詳細には、撮像部14は、駆動部11が締付作業を完了し、記憶制御部44がトルク測定値を測定記憶部31に記憶させた後に、保持部112を撮像する。また、撮像部14は、保持部112と締付部品とを撮像してもよい。例えば、保持部112が例えばドライバビット等のビットである場合は、保持部112が締付部品の全体を覆わず締付部品と嵌め合うため、撮像部14は、保持部112と締付部品とを撮像することが可能である。記憶制御部44は、複数の締付作業のそれぞれにおいて、この締付作業中に測定記憶部31が記憶したトルク測定値と紐づけて、撮像部14が生成した撮像画像を画像記憶部32に記憶させる。
【0032】
通信制御部45は、工具通信部15を制御するように構成されている。工具通信部15は、後述する通信装置5の第1通信部51と通信可能に構成されており、ハウジング2に収納されている。工具通信部15は、例えば、Wi-Fi(登録商標)等の通信規格に準拠した無線通信が可能な通信モジュールである。なお、有線LAN(Local Area Network)等の通信規格に準拠した有線通信が可能な通信モジュールであってもよい。通信制御部45は、工具記憶部3に記憶されているトルク測定値及び撮像画像を締付作業ごとに第1通信部51へ送信するように、工具通信部15を制御する。また、通信制御部45は工具通信部15を制御し、工具通信部15は電動工具装置1が起動したことを示す起動信号を第1通信部51へ送信する。
【0033】
通知制御部46は、電動工具装置1に設けられた通知部16を制御するように構成されている。通知部16は、例えば、LEDで構成されている。通知部16は、作業者が作業中に通知部16を目視しやすいように、ハウジング2の胴体部21における出力軸111とは反対側の端部(後部)に設けられている(
図3B参照)。例えば、通知制御部46は、工具通信部15が第1通信部51へトルク測定値及び撮像画像を送信した場合、通知部16を点灯させる。作業者は、通知部16が点灯していることを目視することによって、工具通信部15が第1通信部51へトルク測定値及び撮像画像を送信したことを認識することができる。
【0034】
(2-3)通信装置
通信装置5は、
図1に示すように、第1通信部51と、第2通信部52と、通信装置制御部53と、通信装置記憶部54と、を備える。本実施形態の通信装置5が、締付トルク測定値及び撮像画像の各データを、複数台の電動工具装置1から受信して、センター装置6へ送信する。
【0035】
第1通信部51は複数台の電動工具装置1の工具通信部15と通信可能に構成されており、第2通信部52は後述するセンター装置6のセンター装置通信部62と通信可能に構成されている。例えば、第1通信部51及び第2通信部52は、Wi-Fi(登録商標)等の通信規格に準拠した無線通信が可能な通信モジュールである。なお、第1通信部51及び第2通信部52は、有線LAN(Local Area Network)等の通信規格に準拠した有線通信が可能な通信モジュールであってもよい。
【0036】
通信装置記憶部54は、
図1に示すように、設定記憶部541と、作業結果記憶部542と、を有する。通信装置記憶部54は、例えば、磁気コアメモリや半導体メモリ等で構成されている。
【0037】
設定記憶部541は、作業者が電動工具装置1を用いて行う締付作業の設定情報を記憶する。締付作業の設定情報とは、締付作業に応じたトルク設定値、センター装置6へ送信する送信条件等である。また、締付作業が複数ある場合は、締付作業の設定情報に、締付作業の作業順番が含まれてもよい。例えば、通信装置5が締付作業の設定情報を入力される設定入力部55を更に有し、通信装置制御部53が設定入力部55から入力された設定情報を設定記憶部541に記憶させる。なお、通信装置5に設定機器が接続される接続部を更に有し、通信装置制御部53が設定機器から入力された設定情報を設定記憶部541に記憶させてもよい。また、通信装置制御部53がセンター装置6を介して入力された設定情報を設定記憶部541に記憶させてもよい。
【0038】
通信装置制御部53は、設定記憶部541から設定情報を抽出できるように構成されている。より詳細には、通信装置制御部53は、第1通信部51が工具通信部15から起動信号を受信したことを確認し、設定記憶部541から最初の締付作業に係る設定情報を抽出できるように構成されている。また、後述する作業結果記憶部542が締付作業の作業結果を記憶したことを確認し、設定記憶部541から次の締付作業に係る設定情報を抽出できるようにも構成されている。通信装置制御部53は、抽出した設定情報を工具通信部15へ送信するように第1通信部51を制御する。よって、駆動制御部41は、設定情報の一部であるトルク設定値に基づいて、駆動部11を制御する。
【0039】
通信装置記憶部54は、複数台の電動工具装置1のそれぞれから受信したトルク測定値及び撮像画像を、複数台の電動工具装置1の締付作業ごとに作業結果として記憶する。より詳細には、作業結果記憶部542が、複数台の電動工具装置1のそれぞれから受信したトルク測定値及び撮像画像を、複数台の電動工具装置1の締付作業ごとに作業結果として記憶する。本実施形態では、通信装置制御部53が、第1通信部51で複数台の電動工具装置1のそれぞれから受信したトルク測定値及び撮像画像を、複数台の電動工具装置1の締付作業ごとに作業結果として記憶するように、作業結果記憶部542を制御する。作業結果記憶部542は、設定記憶部541に記憶された送信条件を満たすまでの間、一時的に作業結果を記憶する。その結果、通信装置5とセンター装置6との間の通信回数を少なくすることができる。
【0040】
通信装置5は、予め決められた送信条件を満たした場合、通信装置記憶部54に記憶されている作業結果をセンター装置6へ送信する。より詳細には、通信装置制御部53は、予め決められた送信条件を満たした場合、作業結果記憶部542に記憶されている作業結果をセンター装置6のセンター装置通信部62へ送信するように、第2通信部52を制御する。本実施形態では、締付作業が複数あり、送信条件は、作業結果記憶部542が複数の締付作業のうち予め設定された締付作業の作業結果を記憶することである。具体的には、1つの作業対象に対して締付作業A及び締付作業Bがあり、締付作業Aが完了した後に同じ作業対象に対して締付作業Bを行う場合、送信条件は作業結果記憶部542が締付作業Bの作業結果を記憶することである。
【0041】
通信装置制御部53は、コンピュータシステムを備えることが好ましい。コンピュータシステムでは、CPU(Central Processing Unit)、又はMPU(Micro Processing Unit)などのプロセッサがメモリに記憶されているプログラムを読み出して実行することによって、通信装置制御部53の一部又は全部の機能が実現される。コンピュータシステムは、プログラムに従って動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、プログラムを実行することによって機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、半導体集積回路(IC)、又はLSI(Large Scale Integration)を含む一つ又は複数の電子回路で構成される。ここでは、ICやLSIと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、若しくはULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれるものであってもよい。LSIの製造後にプログラムされる、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、又はLSI内部の接合関係の再構成又はLSI内部の回路区画のセットアップができる再構成可能な論理デバイスも同じ目的で使うことができる。複数の電子回路は、一つのチップに集積されてもよいし、複数のチップに設けられてもよい。複数のチップは一つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に備えられていてもよい。
【0042】
(2-4)センター装置
センター装置6は、
図1に示すように、履歴記憶部61と、センター装置通信部62と、センター装置制御部63と、を備える。
【0043】
センター装置通信部62は、第2通信部52と通信可能に構成される。例えば、Wi-Fi(登録商標)等の通信規格に準拠した無線通信が可能な通信モジュールである。なお、有線LAN(Local Area Network)等の通信規格に準拠した有線通信が可能な通信モジュールであってもよい。
【0044】
センター装置制御部63は、履歴記憶部61及びセンター装置通信部62を制御する。センター装置制御部63は、コンピュータシステムを備えることが好ましい。コンピュータシステムでは、CPU(Central Processing Unit)、又はMPU(Micro Processing Unit)などのプロセッサがメモリに記憶されているプログラムを読み出して実行することによって、通信装置制御部53の一部又は全部の機能が実現される。コンピュータシステムは、プログラムに従って動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、プログラムを実行することによって機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、半導体集積回路(IC)、又はLSI(Large Scale Integration)を含む一つ又は複数の電子回路で構成される。ここでは、ICやLSIと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、若しくはULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれるものであってもよい。LSIの製造後にプログラムされる、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、又はLSI内部の接合関係の再構成又はLSI内部の回路区画のセットアップができる再構成可能な論理デバイスも同じ目的で使うことができる。複数の電子回路は、一つのチップに集積されてもよいし、複数のチップに設けられてもよい。複数のチップは一つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に備えられていてもよい。
【0045】
センター装置制御部63が、トルク測定値と撮像画像とが紐づけられている履歴情報を履歴記憶部61に記憶させる。本実施形態では、記憶制御部44がトルク測定値と紐づけて撮像画像を画像記憶部32に記憶しているため、履歴記憶部61は、測定部13が測定したトルク測定値と、撮像部14が生成した撮像画像と、が紐づけられた履歴情報を記憶することができる。履歴記憶部61は、例えば、磁気コアメモリや半導体メモリ等で構成されている。
【0046】
(3)動作
(3-1)履歴情報を記憶するまでの動作
本実施形態の電動工具システム100が締付作業の履歴情報を記憶するまでの動作を
図4のシーケンス図を用いて説明する。本実施形態では、1つの作業対象が2つの締付対象箇所を有しており、作業者が1つの作業対象に対して締付作業A及び締付作業Bを行う。より詳細には、作業者が、締付作業Aが完了した後に、締付作業Aと同じ作業対象に対して締付作業Bを行う。
【0047】
作業を行う前に、締付作業を管理する管理者が、通信装置5の設定入力部55に締付作業の設定情報を入力する。そして、通信装置制御部53が設定記憶部541に締付作業の設定情報を記憶させる(S01)。締付作業の設定情報は、締付作業の作業順番と、トルク設定値と、送信条件と、である。より具体的には、本実施形態での作業順番は、1つの作業対象に対して締付作業A及び締付作業Bがあり、締付作業Aの完了後に締付作業Bを行うという順番である。また、本実施形態でのトルク設定値は締付作業A及び締付作業Bの各々に応じた締付トルク値である。本実施形態での送信条件は、締付作業Bの作業結果B3が作業結果記憶部542に記憶されることである。
【0048】
まずは、作業者は電動工具装置1を起動させる(S02)。これによって、トリガスイッチ221の操作に基づき駆動部11の回転動作を開始することが可能になる。通信制御部45は、電動工具装置1が起動すると、工具通信部15を制御する。その結果、工具通信部15は、電動工具装置1が起動したことを示す起動信号を第1通信部51へ送信する(S03)。通信装置制御部53は、第1通信部51が起動信号を受信すると、最初の締付作業である締付作業Aに係る設定情報A0を設定記憶部541から抽出する(S04)。本実施形態では、設定情報A0は締付作業Aのトルク設定値である。その後、通信装置制御部53は、設定情報A0を送信するように第1通信部51を制御する(S05)。
【0049】
そして、駆動制御部41は、工具通信部15が受信した設定情報A0に基づき、駆動部11を制御し締付作業Aを行う(S06)。より詳細には、駆動制御部41は、締付トルクの推定値が工具通信部15で受信した締付作業Aのトルク設定値に達するように、駆動部11を制御し締付作業Aを行う。そして、測定制御部42は、インパクト機構12が締付部品に与えた締付トルク値の最大値をトルク測定値A1として測定するように測定部13を制御する。記憶制御部44は、測定部13が測定したトルク測定値A1を測定記憶部31に記憶する(S07)。そして、撮像部14は、締付作業が完了した保持部112を撮像し、撮像画像A2を生成する。記憶制御部44は、既に測定記憶部31に記憶しているトルク測定値A1と紐づけて、撮像部14が生成した撮像画像A2を画像記憶部32に記憶する(S08)。その後、通信制御部45は、トルク測定値A1及び撮像画像A2を第1通信部51へ送信するように工具通信部15を制御する(S09)。
【0050】
第1通信部51がトルク測定値A1及び撮像画像A2を受信した後に、通信装置制御部53は、トルク測定値A1及び撮像画像A2を締付作業Aの作業結果A3として作業結果記憶部542に記憶させる(S10)。その後、通信装置制御部53は、次の締付作業である締付作業Bに係る設定情報B0を設定記憶部541から抽出する(S11)。本実施形態では、設定情報B0は締付作業Bのトルク目標値である。そして、通信装置制御部53は、設定情報B0を送信するように第1通信部51を制御する(S12)。
【0051】
締付作業Aと同様に、駆動制御部41は、工具通信部15が受信した設定情報B0に基づき、駆動部11及びインパクト機構12を制御し締付作業Bを行う(S13)。測定制御部42は、インパクト機構12が締付部品に与えた締付トルク値の最大値をトルク測定値B1として測定するように測定部13を制御する。記憶制御部44は、測定部13が測定したトルク測定値B1を測定記憶部31に記憶する(S14)。そして、撮像部14は、締付作業が完了した保持部112を撮像し、撮像画像B2を生成する。記憶制御部44は、既に測定記憶部31に記憶しているトルク測定値B1と紐づけて、撮像部14が生成した撮像画像B2を画像記憶部32に記憶する(S15)。その後、通信制御部45は、トルク測定値B1及び撮像画像B2を第1通信部51へ送信するように工具通信部15を制御する(S16)。
【0052】
第1通信部51がトルク測定値B1及び撮像画像B2を受信した後に、通信装置制御部53は、トルク測定値B1及び撮像画像B2を締付作業Bの作業結果B3として作業結果記憶部542に記憶させる(S17)。このとき、締付作業Bの作業結果B3が作業結果記憶部542に記憶されたため、設定記憶部541に記憶された送信条件が満たされる。そのため、通信装置制御部53は、作業結果記憶部542に記憶されている作業結果A3及び作業結果B3をセンター装置通信部62へ送信する(S18)。センター装置制御部63は、作業結果A3及び作業結果B3を履歴情報として記憶するように履歴記憶部61を制御する。また、作業結果A3では、記憶制御部44によって既にトルク測定値A1と撮像画像A2とが紐づけられている。同様に、作業結果B3では、記憶制御部44によって既にトルク測定値B1と撮像画像B2とが紐づけられている。そのため、電動工具システム100は、撮像部14が生成した撮像画像を、測定部13が測定したトルク測定値と紐づけられた履歴情報を履歴記憶部61に記憶することができる(S19)。
【0053】
図4のシーケンス図は、本実施形態の電動工具システム100の動作の一例に過ぎず、その処理の順序が適宜入れ替わっていてもよいし、いずれかの処理について適宜省略されてもよい。
【0054】
(4)変形例
上述の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上述の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下の変形例は、適宜組み合わせて実現されていてもよい。
【0055】
上述の実施形態では、センター装置6が履歴記憶部61を有しているが、通信装置5が有する作業結果記憶部542が履歴記憶部61を兼用してもよい。また、電動工具装置1が有する工具記憶部3が履歴記憶部61を兼用してもよい。
【0056】
上述の実施形態では、撮像部14が電動工具装置1に設けられているが、撮像部14は、電動工具装置1とは別体になっており、電動工具装置1に取り付けられてもよい。
【0057】
また、上述の実施形態では、記憶制御部44が既に記憶しているトルク測定値と紐づけて撮像画像を画像記憶部32に記憶しているが、トルク測定値と撮像画像とを紐づけるタイミングはいつでもよい。例えば、トルク測定値と撮像画像とが作業結果記憶部542に作業結果として記憶されるタイミングで紐づけられてもよいし、履歴記憶部61に記憶されるタイミングでもよい。
【0058】
上述の実施形態では、撮像部14は締付作業を完了した後に保持部112を撮像することで撮像画像を生成しているが、撮像部14は時系列的に異なる複数のタイミングで保持部112を撮像することで、複数のタイミングごとの撮像画像を生成してもよい。この場合、履歴記憶部61は、複数の撮像画像をトルク測定値と紐づけて記憶する。例えば、複数のタイミングは、駆動部11が締付作業を開始する第1タイミング、及び駆動部が締付作業を完了する第2タイミングであってもよい。
【0059】
一態様に係る送信条件は、通信装置5が作業結果をセンター装置6へ前回送信した後、予め設定された時間が経過することであってもよい。より詳細には、送信条件は、第2通信部52が作業結果をセンター装置通信部62へ前回送信した後、予め設定された時間が経過することであってもよい。
【0060】
同様に、一態様に係る送信条件は、通信装置記憶部54に記憶された作業結果の数が、予め設定された数に達することであってもよい。より詳細には、送信条件は、作業結果記憶部542に記憶された作業結果の数が、予め設定された数に達することであってもよい。
【0061】
また、一態様の通信装置記憶部54は、電動工具装置1が締付対象箇所を特定するための教師画像を記憶していてもよい。より詳細には、設定記憶部541は、駆動制御部41が締付対象箇所を特定するための教師画像を、トルク設定値と紐づけて、締付作業ごとの設定情報として記憶していてもよい。
【0062】
この場合、通信装置制御部53は設定記憶部541から設定情報を抽出し、第1通信部51は設定情報を工具通信部15へ送信する。その後、駆動制御部41は、締付作業を開始するタイミングで撮像部14が撮像した撮像画像と、工具通信部15が受信した教師画像と、に基づき、締付対象箇所を特定する。その結果、駆動制御部41は、締付トルク値が教師画像に紐づけられたトルク設定値になるように、駆動部11を制御する。
【0063】
また、一態様の通信制御部45は、工具記憶部3が記憶したトルク測定値及び撮像画像を複数の締付作業ごとに一括して第1通信部51へ送信するように、工具通信部15を制御してもよい。このとき、通信装置記憶部54は、複数の締付作業において駆動部11が締め付ける締付部品の締付本数についての情報を、設定情報として更に記憶している。より詳細には、設定記憶部541は、複数の締付作業において駆動部11が締め付ける締付部品の締付本数についての情報を、設定情報として更に記憶している。
【0064】
この場合、通信装置制御部53は設定記憶部541から締付本数についての情報を抽出し、第1通信部51は締付本数についての情報を工具通信部15へ送信する。その後、通信制御部45は、締付本数についての情報に基づき、工具通信部15を制御する。その結果、工具通信部15は、駆動部11が複数の締付作業を完了するまでに、工具記憶部3が記憶したトルク測定値及び撮像画像を、一括して第1通信部51へ送信する。
【0065】
また、一態様に係る測定部13は、インパクト機構12が出力軸111を介して締付部品に与えた締付トルク値の平均値をトルク測定値として測定してもよい。また、締付トルク値がトルク設定値に達したと駆動制御部41が判断するときの締付トルク値を、測定部13はトルク測定値として測定してもよい。
【0066】
(5)まとめ
以上述べたように、第1の態様に係る電動工具システム(100)は、電動工具装置(1)と、履歴記憶部(61)と、を備える。電動工具装置(1)は、保持部(112)、駆動部(11)、測定部(13)、及び撮像部(14)を有する。保持部(112)は、締付部品を保持する。駆動部(11)は、保持部(112)に駆動力を伝えることで作業対象に前記締付部品を締め付ける締付作業を行う。測定部(13)は、締付作業の締付トルク値をトルク測定値として測定する。撮像部(14)は、保持部(112)の少なくとも一部を撮像することで撮像画像を生成する。履歴記憶部(61)は、トルク測定値と撮像画像とが紐づけられている履歴情報を記憶する。
【0067】
この態様によれば、作業対象に係らず保持部(112)を撮像できる、という利点がある。
【0068】
第2の様態に係る電動工具システム(100)では、第1の態様において、撮像部(14)は、駆動部(11)が締付作業を完了した後に保持部(112)の少なくとも一部を撮像することで、撮像画像を生成する。
【0069】
この態様によれば、撮像画像を確認することで、締付部品が正しい位置に取り付けられたことを確認することができる、という利点がある。
【0070】
第3の様態に係る電動工具システム(100)では、第1の態様において、撮像部(14)は、時系列的に異なる複数のタイミングで保持部(112)の少なくとも一部を撮像することで、複数のタイミングごとの撮像画像を生成する。履歴記憶部(61)は、複数の撮像画像をトルク測定値と紐づけて記憶する。
【0071】
この態様によれば、締付部品に緩み等の不具合が確認された場合に、締付作業の時系列が異なる複数の撮像画像を確認することで、不具合の原因が追究できる、という利点がある。
【0072】
第4の様態に係る電動工具システム(100)では、第3の態様において、複数のタイミングは、駆動部(11)が締付作業を開始する第1タイミング、及び駆動部(11)が締付作業を完了する第2タイミングである。
【0073】
この態様によれば、締付部品に緩み等の不具合が確認された場合に、締付作業の前後の撮像画像を確認することで、不具合の原因が追究できるという利点がある。
【0074】
第5の様態に係る電動工具システム(100)では、第1~第4のいずれかの態様において、電動工具装置(1)は、複数台である。電動工具システム(100)は、複数台の電動工具装置(1)と通信可能である通信装置(5)と、通信装置(5)と通信可能であるセンター装置(6)と、を更に備える。通信装置(5)が、トルク測定値及び撮像画像の各データを、複数台の電動工具装置(1)から受信して、センター装置(6)へ送信する。センター装置は、履歴記憶部(61)を有する。
【0075】
この態様によれば、センター装置(6)で締付作業の履歴情報を一括して保存しているため、締付部品に緩み等の不具合が確認された場合に、センター装置(6)のみで不具合の原因が追究できるという利点がある。
【0076】
第6の様態に係る電動工具システム(100)では、第5の態様において、通信装置(5)は、通信装置記憶部(54)を備える。通信装置記憶部(54)は、複数台の電動工具装置(1)のそれぞれから受信したトルク測定値及び撮像画像を、複数台の電動工具装置(1)の締付作業ごとに作業結果として記憶する。通信装置(5)は、予め決められた送信条件を満たした場合、通信装置記憶部(54)に記憶されている作業結果をセンター装置(6)へ送信する。
【0077】
この態様によれば、通信装置(5)とセンター装置(6)との間の通信回数を少なくすることができる、という利点がある。
【0078】
第7の様態に係る電動工具システム(100)では、第6の態様において、送信条件は、通信装置(5)が作業結果をセンター装置(6)へ前回送信した後、予め設定された時間が経過することである。
【0079】
この態様によれば、予め設定された時間が経過する度に、通信装置(5)がセンター装置(6)へトルク測定値及び撮像画像を送信することができる、という利点がある。
【0080】
第8の様態に係る電動工具システム(100)では、第6の態様において、送信条件は、通信装置記憶部(54)に記憶された作業結果の数が、予め設定された数に達することである。
【0081】
この態様によれば、予め設定された数の作業結果が通信装置記憶部(54)に記憶される度に、通信装置(5)がセンター装置(6)へトルク測定値及び撮像画像を送信することができる、という利点がある。
【0082】
第9の様態に係る電動工具システム(100)では、第6の態様において、締付作業は、複数ある。送信条件は、通信装置記憶部(54)が、複数の締付作業のうち予め設定された締付作業の作業結果を記憶することである。
【0083】
この態様によれば、予め設定された締付作業の作業結果が通信装置記憶部(54)に記憶される度に、通信装置(5)がセンター装置(6)へトルク測定値及び撮像画像を送信することができる、という利点がある。
【0084】
第2~9の態様に係る構成については、第1の態様に係る電動工具システム(100)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0085】
100 電動工具システム
1 電動工具装置
11 駆動部
112 保持部
13 測定部
14 撮像部
5 通信装置
54 通信装置記憶部
6 センター装置
61 履歴記憶部