(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-07
(45)【発行日】2024-03-15
(54)【発明の名称】抗エンテロウイルス剤
(51)【国際特許分類】
A01N 65/36 20090101AFI20240308BHJP
A01N 59/00 20060101ALI20240308BHJP
A01P 1/00 20060101ALI20240308BHJP
A61K 36/752 20060101ALI20240308BHJP
A61K 33/00 20060101ALI20240308BHJP
A61P 31/02 20060101ALI20240308BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20240308BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
A01N65/36
A01N59/00 C
A01P1/00
A61K36/752
A61K33/00
A61P31/02
A61P31/14
A61P43/00 121
(21)【出願番号】P 2020025428
(22)【出願日】2020-02-18
【審査請求日】2022-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000112853
【氏名又は名称】フマキラー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂口 剛正
(72)【発明者】
【氏名】赤坂 隆志
(72)【発明者】
【氏名】進藤 智弘
【審査官】前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-292736(JP,A)
【文献】特開2019-167328(JP,A)
【文献】特開2011-042579(JP,A)
【文献】特開2007-320924(JP,A)
【文献】特開2015-143224(JP,A)
【文献】Molecules,2015年,20,P.16320-16333
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N 65/
A01N 59/
A01P 1/
A61K 36/
A61K 33/
A61P 31/
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グレープフルーツ種子抽出物、アルコール及びアルカリ電解水を含有
し、
前記グレープフルーツ種子抽出物の含有量は0.3重量%以上10.0重量%以下の範囲であることを特徴とする抗エンテロウイルス剤。
【請求項2】
請求項1に記載の抗エンテロウイルス剤において、
前記アルコールの含有量は40%以上60%以下の範囲であることを特徴とする抗エンテロウイルス剤。
【請求項3】
請求項1に記載の抗エンテロウイルス剤において、
前記アルカリ電解水の含有量は40%以上60%以下の範囲であることを特徴とする抗エンテロウイルス剤。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載の抗エンテロウイルス剤において、
前記グレープフルーツ種子抽出物の含有量は0.5質量%以上であることを特徴とする抗エンテロウイルス剤。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載の抗エンテロウイルス剤において、
全体のpHが11.5~14とされていることを特徴とする抗エンテロウイルス剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンテロウイルスの感染を予防するための抗エンテロウイルス剤に関する。
【背景技術】
【0002】
エンテロウイルスは、腸管ウイルスとも呼ばれており、小児麻痺をおこすポリオウイルス、手足口病、ヘルパンギーナ、結膜炎、無菌性髄膜炎、脳炎、出血性結膜炎、筋炎、心筋炎などをおこすコクサッキーウイルス、エコーウイルスなどが含まれる。非特許文献1には、エンテロウイルスの耐性について記載されており、70%エタノール、イソプロパノール、希釈リゾール、および第4アンモニウム化合物を含む多くの一般的な実験用消毒薬に対して比較的耐性があり、また、エーテルやクロロホルムなどの脂質溶媒にも反応しないとの説明がある。一方、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、強酸、次亜塩素酸ナトリウム、および遊離残留塩素は、エンテロウイルスを不活性化するとの説明もある。
【0003】
また、特許文献1には、エンテロウイルス属の非エンペローブウイルスに対する抗ウイルス剤として、タンニンを含有するカキノキ属(Diospyros)の植物の果実の搾汁または抽出液を加熱またはアルコールで処理することによりその中に含有されていた当該カキノキ属の植物に由来する酵素を失活させて得られたカキ抽出物処理物を有効成分とするものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【文献】デイビッド・M・ナイプら編、「Fields Virology」、第6版、Lippincott Williams & Wilkins社、2013年出版、Chapter17
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、非特許文献1に開示されているように、エンテロウイルスの耐性は強く、よく用いられているアルコール除菌剤等では不活化効果が十分ではなく、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、強酸、次亜塩素酸ナトリウム、および遊離残留塩素のような剤でなければ十分に不活化することができない。ところが、これら剤は、安定性、安全性、取り扱い難さの観点から、日常生活で一般的に使用することは難しい。
【0007】
特に塩素製剤(二酸化塩素等)はエンテロウイルスに対する効果が高いと考えられるが、経時的な安定性に問題があるとともに、例えば布などに付着すると脱色してしまうという問題がある。また、調理器具や調理台、食器などにおいて、次亜塩素酸ナトリウムを用いた場合、酸性洗剤等との混合による塩素ガスの発生といった問題が起きるおそれがあった。また、金属類、特にアルミ製や銅製品の食器などに使用した際には、腐食の問題がある。また、次亜塩素酸ナトリウムは液と被処理物とを1~5分以上接触させることが必要であり、使用性はもとより前記腐食や脱色のことを考慮すると問題点は多い。さらに、摂取による人体への悪影響などを考慮すると、使用後の洗浄を十分に行なう必要があり、このため、次亜塩素酸ナトリウムを用いる場合には、細心の注意を払う必要がある。また、薄めた状態では性能的に不安定になりやすく、経時的に機能が損なわれる可能性が高いため、実際にウイルス用消毒剤として使用する濃度よりも高い濃度に調製された高濃度状態で販売されていることが多く、その用途によって使用者が濃度を調整する必要があり、取り扱いが極めて面倒なものであった。
【0008】
そこで、特許文献1の柿タンニンを含有する抗ウイルス剤を使用することが考えられるが、タンニンは被処理物を着色してしまうという問題があり、必然的に被処理物が選ばれることになる。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、被処理物への着色や被処理物の脱色の問題がなく、安全性・安定性に優れるとともにエンテロウイルスに卓効を示す抗エンテロウイルス剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明では、グレープフルーツ種子抽出物、アルコール及びアルカリ電解水を含有する抗エンテロウイルス剤とした。
【0011】
この構成によれば、被処理物への着色のおそれ、金属を腐食させるおそれがないとともに、被処理物の脱色のおそれもなく、また、安全性・安定性の高い抗エンテロウイルス剤が得られる。しかも、エンテロウイルスに対して高い不活化効果が得られる。
【0012】
第2の発明は、前記アルコールの含有量は40%以上60%以下の範囲であることを特徴とする。
【0013】
第3の発明は、前記アルカリ電解水の含有量は40%以上60%以下の範囲であることを特徴とする。
【0014】
アルコールの含有量及びアルカリ電解水の含有量を40%以上60%以下の範囲にすることで、エンテロウイルスに対して高い不活化効果が得られる。
【0015】
第4の発明は、前記グレープフルーツ種子抽出物の含有量は0.5質量%以上であることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、エンテロウイルスを確実に不活化することができる。
【0017】
第5の発明は、全体のpHが11.5~14とされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、グレープフルーツ種子抽出物、アルコール及びアルカリ電解水を含有しているので、被処理物への着色や被処理物の脱色等の問題がなく、安全性・安定性に優れるとともにエンテロウイルスに対して高い不活化効果を発揮してエンテロウイルスへの感染を予防することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施例と比較例1~5の製剤による効力を比較したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0021】
本実施形態に係る抗エンテロウイルス剤は、グレープフルーツ種子抽出物、アルコール及びアルカリ電解水を少なくとも含有している。抗エンテロウイルス剤は、、グレープフルーツ種子抽出物、アルコール及びアルカリ電解水以外にも、例えばイオン交換水等を含有していてもよい。
【0022】
抗エンテロウイルス剤中のグレープフルーツ種子抽出物の濃度は、0.1質量%以上10.0質量%以下の範囲で設定することができる。また、グレープフルーツ種子抽出物の濃度の下限値は、0.15質量%とするのが好ましく、より好ましいのは0.2質量%である。また、グレープフルーツ種子抽出物の濃度の上限値は、3.0質量%とするのが好ましく、より好ましいのは、2.0質量%である。
【0023】
グレープフルーツ種子抽出物は、グレープフルーツの果実の種子から抽出精製されたものであって、一般に食品添加物として認められたものである。グレープフルーツ種子抽出物をグレープフルーツから得る場合には、収穫したグレープフルーツから種子を取り出し、取り出した種子を粉砕し、その粉砕したものから抽出することができる。このとき、未乾燥状態の粉砕物からグレープフルーツ種子抽出物を抽出してもよいし、凍結乾燥させた状態の粉砕物からグレープフルーツ種子抽出物を抽出してもよい。
【0024】
グレープフルーツ種子抽出物を抽出する際には、水やアルコール等の溶液を用いることができる。抽出用の溶媒として用いるアルコールは、例えばエタノール等を挙げることができる。グレープフルーツ種子抽出物を抽出する際、種子を例えば30℃以上に加温してもよい。グレープフルーツ種子抽出物には、脂肪酸やフラボノイド等が含有されている。グレープフルーツ種子抽出物は、食品グレードのものが好ましいが、必ずしも食品グレードで無くてもよい。
【0025】
上記アルカリ電解水としては、薄食塩水等の電解質水溶液を電気分解した際、陰極側に生成されるものであり、このアルカリ電解水にあっては、通常洗浄用途に使用されるpHが8~14のものである。このアルカリ電解水は、細菌に対しての殺菌力は遅効性であり、これまで細菌やウイルスの対策品として注目されてこなかった。なお、通常殺菌用途に使用されるpHが7以下の酸性電解水や中性電解水では、液中に次亜塩素酸が含まれるため、殺菌効果が高く、残留性がなく安全性が高いとされていたが、後述するようにエンテロウイルスを不活化あるいは殺滅させる効果は低かった。また、これらの酸性電解水や中性電解水は経時的な効果の低下が著しく、生成後すぐに使用しないと効果が保てないという欠点がある。
【0026】
上記アルコールとしては、エタノール(エチルアルコール)やイソプロピルアルコール等が挙げられる。このエタノールには、糖蜜、サトウキビ等の糖質やトウモロコシ、サツマイモ、ジャガイモ等のでんぷん質を原料として作られる発酵アルコールと、エチレンに水を付加させる等して製造される合成アルコールとがある。これらアルコールのいずれを用いてもよく、複数種のアルコールを混合してもよい。
【0027】
上記アルカリ電解水を含有して、その全体のpHを11.5~14としたものに、グレープフルーツ種子抽出物を含有させることができる。具体的には、上記アルカリ電解水を含有しつつ、そこにアルコールを混合して、全体のpHを11.5~14としたものに、グレープフルーツ種子抽出物を混合して、その全体のpHを11.5~14としたものを抗エンテロウイルス剤とすることができる。
【0028】
上述したように、抗エンテロウイルス剤は、アルコールにアルカリ電解水及びグレープフルーツ種子抽出物を含有させたものであるため、使用時において人に対して無害であり、安全性が極めて高く、また、塩素などを含んでいないため、腐食や脱色などの問題をなくし、特に手を洗う場合、手が荒れてしまうといった問題を解消することができる。
【0029】
次に、この抗エンテロウイルス剤の実際の使用状態を説明する。例えば、噴霧用レバーを操作することによって噴霧口より前方に内容物が噴霧される噴霧機構付き容器を用いて、この噴霧機構付き容器の内部に当該抗エンテロウイルス剤を収容する。ただし、これは一例であって、手に使用するときなどは手押しポンプ式の容器を用いて、置いて使えるようにしたり、あるいは、その他の使用場所に応じた各種の容器を使用することができる。
【0030】
そして、この噴霧機構付き容器の内部に収容した抗エンテロウイルス剤を、噴霧口より噴霧し、被処理物、即ち、例えばまな板や包丁などの調理器具、調理台、食器、ふきんやタオルなどに直接噴きかける。これによって、たとえまな板や包丁などの調理器具、調理台、食器、ふきんやタオルなどにエンテロウイルスが付着していても、このエンテロウイルスを不活化させることができ、エンテロウイルスの感染を予防することができる。
【0031】
また、手を洗う場合でも、噴霧機構付き容器を用いて、内部に収容した抗エンテロウイルス剤を手に噴霧することで、エンテロウイルスを不活化させることができ、エンテロウイルスの感染を予防することができる。
【0032】
さらに、エンテロウイルスに感染した患者が収容された病院などの医療機関にあっては、患者に接する医師や看護士などが手を洗う際に手に噴きかけたり、あるいは、その患者の周囲、具体的にはベッドや室内などの手摺り、トイレ内などに、抗エンテロウイルス剤を噴霧することにより、これらの場所に存在しているエンテロウイルスを不活化あるいは殺滅させて、二次感染が起こらないようにすることができる。なお、病院に限らず、各家庭内での手洗い等に使用可能であるのは勿論である。
【0033】
また、この抗エンテロウイルス剤にあっては、調理器具、調理台、食器、ふきんやタオルなどに直接噴きかける、または、手に噴きかけたりして、エンテロウイルスを不活化あるいは殺滅させて、感染を抑えるようにするが、使用状況としては、これに限定されるものでなく、例えば、食品自体に直接噴きかけたり、調理器具や食品を浸漬したりして、エンテロウイルスの不活化あるいは殺滅させるようにしてもよい。また、抗エンテロウイルス剤を布やスポンジ等に取り、これを被処理物に塗り広げるようにして使用することもできる。
【0034】
(エンテロウイルスに対する効力試験結果)
【表1】
【0035】
表1は、本発明の実施例及び比較例1~5(供試剤)の組成、感染価及び細胞障害性を示すものである。
図1は、本発明の実施例及び比較例1~5の感染価及び細胞障害性を示すグラフである。
図1において塗りつぶしで表したものは感染価であり、破線で表したものは細胞障害性である。尚、供試剤の種類によってはウイルスの培養細胞に障害が生じてしまい、感染価の正確な算出ができないため、供試剤によって検出限界が異なっている。
【0036】
実施例は、アルコール60%、アルカリ電解水40%の混合液に対してグレープフルーツ種子抽出物が1.0質量%になるように配合したものである。比較例1は、精製水100%である。比較例2は、60%エタノールであり、99%エタノール60.60gと、イオン交換水39.40gを混合したものである。比較例3はアルコール製剤であり、アルコール、クエン酸、緑茶抽出物を含有したものである。比較例4は、二酸化塩素製剤である。比較例5は、次亜塩素酸水であり、濃度は200ppmである。
【0037】
ここで、上記各供試剤による処理前後のウイルス感染価測定試験について説明する。ウイルス感染価測定試験を行う際、まず、細胞増殖培地を用いて、細胞を細胞培養用マイクロプレート(96穴)内で単層培養する。細胞はFL細胞である。その後、この単層培養細胞に、コクサッキーウイルス(CoV)を希釈したウイルス浮遊液を接種させ、37℃プラスマイナス1℃の炭酸ガスインキュベーター(CO2濃度:5%)内で1時間、細胞に吸着させた後に、ウイルス接種液を除いて細胞維持培地を加えて4~7日間培養する。そして、アミドブラック染色し、細胞の生死を確認して、Reed-Muench法により50%組織培養感染価(TCID50/ml)を算出する。この値が低いほど感染力は低い。
【0038】
比較例2のアルコールのみの製剤及び比較例3のアルコール製剤では、エンテロウイルスを99.9%不活化することができたのに対し、同じ処理時間で比較したとき、実施例の製剤では99.99%以上の不活化が可能であった。また、比較例5の次亜塩素酸水と比較しても、実施例の製剤の方が高い効力が得られた。
【0039】
実施例及び比較例1~5の中で検出限界まで至っていたものは、実施例と比較例4の二酸化塩素製剤のみであったが、比較例4の二酸化塩素製剤の場合、布に付着したときに退色の原因になるが、実施例ではそのような問題が生じない。つまり、99.99%以上の不活化効果を発揮し、被処理物への悪影響が殆どない製剤は実施例のみであった。
【0040】
アルカリ電解水を用いて、全体のpHが8~14となったものは、ウイルスの不活化効果が高いのに対し、pHが1から7以下の酸性電解水や中性電解水を用いたものでは、ウイルスの不活化効果が低いという結果がでた。これについては、アルカリにおける強力なタンパク変性作用により、これがウイルスのカプシドに作用して、ウイルスを感染できない状態にする、要するに、ウイルスを不活化させていると考えられる。よって、アルカリ電解水を用いて、その全体のpHを11.5~14としたものが特に高い効力を得られる。
【0041】
また、グレープフルーツ種子抽出物の含有量が、0.5重量%以上となると、ウイルスのRNAの分解・消失が10分程度で起こるようになり、1.0重量%となると、ウイルスのRNAの分解・消失が2分程度で起こり、これは次亜塩素酸水と比較しても極めて高い効力である。これは、アルカリ電解水及びグレープフルーツ種子抽出物がウイルスの核酸自体に作用し、分解・消滅させた結果であり、エンテロウイルスを完全に殺滅させた結果であると予想される。なお、グレープフルーツ種子抽出物の含有量は、多ければ効果は高くなるものと予想されるが、使用後のベタツキなどが残りやすくなることから、10.0重量%以下が好ましい。尚、グレープフルーツ種子抽出物については、その含有量を0.3重量%としたものであっても、次亜塩素酸水と比較して極めて高い効力が得られる。
【0042】
また、上記抗エンテロウイルス剤、すなわち、アルカリ電解水、アルコール及びグレープフルーツ種子抽出物を含有したものは、これら含有物の相互作用により、ウイルスの中でも薬剤耐性が強いとされるコクサッキーウイルスを含むエンテロウイルスだけでなく、ノロウイルス、ロタウイルスなどのウイルスは勿論のこと、他の細菌やウイルスに対しても極めて強力な効果を示す。また、その効果は、エンベロープを持たないウイルスに対して、ウイルスの不活化のみならず、ウイルス核酸自体を分解・消失でき、これにより、ウイルスを確実に殺滅させることができる。しかも、その使用時において安全性が高く、対象物を腐食、脱色せず、短時間で効果を発揮するため、その使用性が非常によい。
【0043】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0044】
以上説明したように、本発明に係る抗エンテロウイルス剤は、例えばコクサッキーウイルス等のエンテロウイルスの感染予防に利用することができる。