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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-07
(45)【発行日】2024-03-15
(54)【発明の名称】バルブ
(51)【国際特許分類】
   F16K 27/02 20060101AFI20240308BHJP
【FI】
F16K27/02
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021548765
(86)(22)【出願日】2020-09-08
(86)【国際出願番号】 JP2020033936
(87)【国際公開番号】W WO2021059963
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2023-08-02
(31)【優先権主張番号】P 2019177873
(32)【優先日】2019-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】100183380
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 裕司
(72)【発明者】
【氏名】中村 伸夫
(72)【発明者】
【氏名】近藤 研太
(72)【発明者】
【氏名】中田 知宏
(72)【発明者】
【氏名】篠原 努
【審査官】冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-291481(JP,A)
【文献】特開平10-148272(JP,A)
【文献】特開2007-24384(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項4】
前記第1流入路は、その断面積が前記流入口から前記環状溝に向かって増加する、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のバルブ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体製造装置等に用いるバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスの流入路となる第1側溝およびガスの流出路となる第2側溝が形成された弁箱を有するバルブが提案されている。第1側溝は、弁室付近で、その径が拡大するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平08-511853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ガスの流路を増加させるために、特許文献1のバルブのように、第1側溝の径を弁室付近で拡大させることがあるが、これだけでは流量を十分に増加させることができない。
【0005】
そこで本開示は、大流量を実現可能なボディを備えるバルブを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を解決するために、本開示の一態様であるバルブは、弁室、第1流入路、第2流入路、流出路、および環状溝が形成され、弁座が設けられたボディと、前記弁座に当接および前記弁座から離間することにより、前記第2流入路と前記流出路とを連通および遮断するダイヤフラムと、を備え、前記第2流入路の端部は、前記弁室に開口し、前記弁座は、前記弁室と前記第2流入路とが連通する箇所の周縁に設けられ、前記環状溝は、前記弁室に開口し、前記第2流入路の周囲に形成され、前記流出路の端部は、前記環状溝に開口し、前記第1流入路は、一つの流入口と複数の流出口とからなる複数の流路を有し、各流出口は前記環状溝に開口している。
【0007】
前記ボディは、前記流入口と前記環状溝の中心軸との間に位置し、前記第1流入路を複数の流路に分岐する分岐部を有してもよい。
【0008】
前記第1流入路の流入口および前記第2流入路の流入口は、前記ボディの同一面に開口し、各流入口の径が互いに異なってもよい。
【0009】
前記第1流入路は、その断面積が前記流入口から前記環状溝に向かって増加してもよい。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、大流量を実現可能なボディを備えるバルブを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る開状態にあるバルブの断面図である。
図2図1のII-II線に沿ったボディの断面図である。
図3】変形例に係るボディの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の一実施形態に係るバルブ1について、図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本実施形態に係る開状態にあるバルブ1の断面図である。
図2は、図1のII-II線に沿ったボディ11の断面図である。
【0014】
図1に示すように、バルブ1は、ボディ部10と、アクチュエータ20と、を備える。本実施形態に係るバルブ1は、いわゆる三方弁である。なお、以下の説明において、バルブ1の、アクチュエータ20側を上側、ボディ部10側を下側として説明する。
【0015】
[ボディ部10]
ボディ部10は、ボディ11と、弁座であるシート12と、ボンネット13と、ダイヤフラム14と、押えアダプタ15と、ダイヤフラム押え16と、ホルダ17と、圧縮コイルスプリング18と、を備える。
【0016】
ボディ11は、略立方体をなし、上面である第1面11Aと、下面である第2面11Bと、側面であり互いに対向する第3面11Cおよび第4面11Dとを有する。ボディ11には、弁室11eと、第1流入路11f、第2流入路11g、流出路11h、および環状溝11iが形成されている。
【0017】
弁室11eは、第1面11Aに向かって開口するように形成されている。第2流入路11gは、図1において略逆L字状をなし、一端が第3面11Cに開口し、他端が弁室11eに開口している。樹脂製のシート12は、環状をなし、ボディにおいて、弁室11eと第2流入路11gとが連通する箇所の周縁に設けられている。
【0018】
環状溝11iは、上端が弁室11eに開口し、第2流入路11gの上下方向に延びる部分の周囲に形成されている。流出路11hは、一端が環状溝11iに開口し、他端が第4面11Dに開口している。流出路11hは、第2流入路11gの上下方向に延びる部分を挟むように、第1流入路11fに対して反対側に位置している。なお、ボディ11の第4面11Dにおいて流出路11hの他端に対応する部分には、配管2が接続されている。
【0019】
第1流入路11fは、第2流入路11gの水平方向(図1の左右方向)に延びる部分の上側に位置している。図2に示すように、第1流入路11fは、一つの流入口11jと複数の流出口11kとからなる複数の流路を有し、各流出口11kは環状溝11iに開口している。本実施形態では、第1流入路11fは、一つの流入口11jと2つの流出口11kとにより構成されている。すなわち、第1流入路11fは、2本の流路に分岐している。ボディ11は、第1流入路11fの流入口11jと環状溝11iの中心Cとの間に位置する分岐部11Lを有する。分岐部11Lにより第1流入路11fは、2本の流路に分岐している。分岐部11Lは、平面視(断面)が略二等辺三角形状の略三角柱形状をなしている。
【0020】
第1流入路11fの流入口11jは、第3面11Cに開口している。よって、第2流入路11gの一端と、第1流入路11fの流入口11jとは、同一面に開口している。第1流入路11fの流入口11jの径(開口面積)は、第2流入路11gの一端(流入口)の径(開口面積)よりも小さく構成されている。すなわち、第1流入路11fの流入口11jの径と、第2流入路11gの一端(流入口)の径とは互いに異なる。第1流入路11fは、その断面積が流入口11jから環状溝11iに向かって増加している。
【0021】
図1に示すように、ボンネット13は、有蓋の略円筒状をなし、その下端部をボディ11に螺合させることにより、弁室11eを覆うようにボディ11に固定されている。
【0022】
弁体であるダイヤフラム14は、ボンネット13の下端に配置された押えアダプタ15とボディ11の弁室11eを形成する底面とにより、その外周縁部が挟圧され保持されている。ダイヤフラム14がシート12に対し離間および当接(圧接)することによって、流体通路の開閉が行われる。
【0023】
ダイヤフラム押え16は、ダイヤフラム14の上側に設けられ、ダイヤフラム14の中央部を押圧可能に構成されている。ダイヤフラム押さえ16はホルダ17に嵌合されている。
【0024】
ホルダ17は、略円柱状をなし、ボンネット13内に上下移動可能に配置されている。後述のステム25は、ホルダ17の上部に対し螺合されている。
【0025】
圧縮コイルスプリング18は、ボンネット13内に設けられ、ホルダ17を常に下側に付勢している。バルブ1は、圧縮コイルスプリング18によって、通常時(アクチュエータ20の非作動時)は閉状態に保たれる。
【0026】
[アクチュエータ20]
アクチュエータ20は、エア駆動式であり、全体で略円柱形状をなし、ケーシング21と、仕切ディスク22と、第1ピストン23と、第2ピストン24と、ステム25を備える。
【0027】
ケーシング21は、下ケーシング21Aと、下端部が下ケーシング21Aの上端部に螺合された上ケーシング21Bとを有する。下ケーシング21Aは、略段付き円筒状をなしている。下ケーシング21Aの下端部の外周が、ボンネット13の貫通孔の内周に螺合されている。上ケーシング21Bは、有蓋の略円筒状をなしている。上ケーシング21Bの上端部には、流体導入路21cが形成されている。
【0028】
下ケーシング21Aの下端部の外周には、ナット26が螺合されている。ナット26は、ボンネット13に当接して、下ケーシング21Aのボンネット13に対する回動を抑制する。
【0029】
仕切ディスク22は、略円盤状をなし、ケーシング21内に移動不能に設けられ、中央部をステム25が貫通している。
【0030】
第1ピストン23は、略円盤状をなし、中央部をステム25が貫通している。第1ピストン23および下ケーシング21Aにより、第1圧力室P1が形成される。
【0031】
第2ピストン24は、略円盤状をなし、中央部をステム25が貫通している。第2ピストン24、仕切ディスク22、および上ケーシング21Bにより、第2圧力室P2が形成される。
【0032】
ステム25は、略円柱状をなし、上下方向に移動可能に設けられ、ボンネット13から、 下ケーシング21Aを通って、上ケーシング21Bまで延びている。ステム25の下端部は、ホルダ17に螺合されている。
【0033】
ステム25には、その上半分部分に、上下方向に延びる流体流路25aが形成され、さらに流体流路25aを横切る第1,2流体流出孔25b,25cが形成されている。流体流路25aの上端は、ステム25の上面で開口している。第1流体流出孔25bは、第1圧力室P1に連通している。第2流体流出孔25cは、第1流体流出孔25bの上側に位置し、第2圧力室P2に連通している。
【0034】
ステム25は、複数の段差部を有し、当該段差部が、第1ピストン23の上面および第2ピストン24の上面に当接している。これにより、第1ピストン23および第2ピストン24が上側に移動すると、ステム25およびホルダ17が上側に移動する。
【0035】
[バルブ1の開閉動作]
次に、本実施形態に係るバルブ1の開閉動作について説明する。
【0036】
本実施形態のバルブ1では、第1、2圧力室P1、P2に駆動流体が流入していない状態では、ホルダ17およびステム25は圧縮コイルスプリング18の付勢力によって下死点にあり(ボディ11に近接し)、ダイヤフラム押え16によりダイヤフラム14が押され、ダイヤフラム14の下面がシート12に圧接されてバルブ1は閉状態となっている。つまり、バルブ1は、通常状態(駆動流体が供給されていない状態)では閉状態である。
【0037】
そして、図示せぬ駆動流体供給源からバルブ1へ駆動流体が流れる状態にする。これにより、バルブ1へ駆動流体が供給される。駆動流体は、図示せぬエアチューブおよび管継手を介して、流体導入路21c、流体流路25a、および第1,2流体流出孔25b,25cを通過して、第1、2圧力室P1、P2に流入する。これにより、第1、2ピストン23、24が、圧縮コイルスプリング18の付勢力に抗して上昇する。この結果、ホルダ17およびステム25は上死点に移動してボディ11から離間し、ダイヤフラム14の弾性力および流体(ガス)の圧力によってダイヤフラム押え16が上側に移動し、第2流入路11gと流出路11hとが環状溝11iを介して連通し、バルブ1は開状態となる。
【0038】
バルブ1を開状態から閉状態にするには、図示せぬ三方弁を、駆動流体がバルブ1のアクチュエータ20(第1、2圧力室P1、P2)から外部へ排出する流れに切り替える。これにより、第1、2圧力室P1、P2内の駆動流体が、第1、2流体流入孔25b,25c、流体流路25a、および流体導入路21cを介して、外部へ排出される。これにより、ホルダ17およびステム25は圧縮コイルスプリング18の付勢力によって下死点に移動し、バルブ1は閉状態となる。
【0039】
第1流入路11fは、環状溝11iを介して、流出路11hに常に連通している。例えば、バルブ1を閉状態にして、図示せぬ流体供給源から第1流入路11fへ流体(ガス)が流れる状態にする。これにより、バルブ1へ流体(ガス)が供給され、第1流入路11fの流入口11jへ流入した流体(ガス)は、分岐部11Lで分岐し、2つの流出口11kを介して、環状溝11iへ流れ、流出路11hから流出する。第1流入路11fへ供給される流体(ガス)は、第2流入路11gへ供給される流体(ガス)と異なってもよいし、同じであってもよい。
【0040】
以上説明した本実施形態のバルブ1によれば、第1流入路11fは、一つの流入口11jと複数の流出口11kとからなる複数の流路を有し、各流出口11kは環状溝11iに開口している。かかる構成により、バルブ1の一次側の流路断面積を大きくすることができるので、バルブ1を流れる流体(ガス)の流量を増加させることができる。よって、大流量を実現可能なボディ11を備えるバルブ1を提供することができる。
【0041】
ボディ11は、流入口11jと環状溝11iの中心軸Cとの間に位置し、第1流入路11fを複数の流路に分岐する分岐部11Lを有する。このため、第1流入路11fへ流入した流体が、乱れることなく環状溝11iへ流入する。よって、バルブ1を流れる流体(ガス)の流量を増加させることができる。
【0042】
第1流入路11fの流入口11jおよび第2流入路11gの流入口は、ボディ11の同一面(第3面11C)に開口し、各流入口の径が互いに異なっている。例えば、第1流入路11fの流入口11jの径が、第2流入路11gの流入口の径より小さい場合であっても、第1流入路11fは、上記のように構成されているので、バルブ1の一次側の流路断面積を大きくすることができ、バルブ1を流れる流体(ガス)の流量を増加させることができる。
【0043】
第1流入路11fは、その断面積が流入口11jから環状溝11kに向かって増加するので、バルブ1の一次側の流路断面積を大きくすることができ、バルブ1を流れる流体(ガス)の流量を増加させることができる。
【0044】
なお、本開示は、上述した実施例に限定されない。当業者であれば、本開示の範囲内で、種々の追加や変更等を行うことができる。
【0045】
図3に示すように、第1流入路11fの流入口11j、第2流入路11gの一端、および流出路11hの他端が、第2面11Bに開口するように構成してもよい。そして、第1流入路11fは、図3に示すように、環状溝11iの中心軸に対して傾斜するように構成されていればよい。
【0046】
上記実施形態の第1流入路11fは、図2に示すように、平面視で2つの流路に分岐していたが、側面視で2つの流路に分岐してもよい。なお、第1流入路11fは、平面視よび側面視に限らず、複数の流路に分岐していればよい。分岐部11Lの形状は、上記実施形態の形状に限らず、流体の流れを乱すことがなければどのような形状であってもよい。
【符号の説明】
【0047】
1:バルブ
11:ボディ
11B:第2面
11C:第3面
11e:弁室
11f:第1流入路
11g:第2流入路
11h:流出路
11i:環状溝
11j:流入口
11k:流出口
11L:分岐部
12:シート
14:ダイヤフラム

図1
図2
図3