(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-07
(45)【発行日】2024-03-15
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20240101AFI20240308BHJP
G06Q 10/0637 20230101ALI20240308BHJP
【FI】
G06Q50/06
G06Q10/0637
(21)【出願番号】P 2022062523
(22)【出願日】2022-04-04
【審査請求日】2023-09-12
(31)【優先権主張番号】P 2022005571
(32)【優先日】2022-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521402985
【氏名又は名称】株式会社Sustech
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100154748
【氏名又は名称】菅沼 和弘
(72)【発明者】
【氏名】丹野 裕介
【審査官】上田 威
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-114159(JP,A)
【文献】特開2009-181445(JP,A)
【文献】国際公開第2011/096429(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織における温室効果ガスの排出目標値を取得して、前記排出目標値を第1データベースに記憶させる制御を実行する第1記憶制御手段と、
前記組織についての、再生可能エネルギーの利用量、前記組織が保有する設備についてセンサにより検出される稼働状況、及び当該設備の導入計画に基づいて活動状況を算出することで、当該組織の
当該活動状況を取得する活動状況取得手段と、
排出原単位及び換算係数を用いる所定の演算手法にしたがって、前記組織の前記活動状況についての、前記温室効果ガスの排出量、及び環境価値を算出する算出手段と、
算出された前記環境価値を含む、前記組織が保有する環境価値を第2データベースに記憶させる制御を実行する第2記憶制御手段と、
算出された前記排出量から、前記第2データベースに記憶された前記環境価値のうち少なくとも一部を減算することで、前記組織における温室効果ガスの排出達成値を算出する排出達成値算出手段と、
前記温室効果ガスにおける前記排出達成値と前記排出目標値とを比較することで、前記温室効果ガスの排出の目標達成の可能性を判断する比較判断手段と、
前記比較判断手段による判断の結果に基づ
く、前記第2データベースに記憶された前記環境価値の利用
の制御
として、前記第2記憶制御手段を介して、前記第2データベースに記憶された前記環境価値の少なくとも一部を第三者に提供すると共に、前記組織が取得した環境価値を前記第2データベースに記憶させる制御を実行する制御手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記比較判断手段により前記目標達成が可能と判断された場合には、前記第2データベースに記憶された前記環境価値のうち少なくとも一部を第三者に提供する制御を実行し、
前記比較判断手段により前記目標達成が不可能と判断された場合には、前記第三者から環境価値を取得するための制御を実行する、
請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記環境価値を第三者に提供する制御として、関連組織に優先的に提供する制御を実行する、
請求項
2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、第三者から前記環境価値を取得する制御として、トラッキング付きの環境価値を優先的に取得する制御を実行する、
請求項
2又は3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記組織が再生可能エネルギーを取得した場合、当該再生可能エネルギーから環境価値を分離し、分離した当該環境価値を前記第2データベースに記憶させる制御を実行する、
請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記環境価値の購入を希望する第三者のうち、最高購入価格を提示する者に前記環境価値の少なくとも一部提供する制御を実行する、
請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記環境価値を第三者に提供する制御として、1以上の非化石価値取引市場と1以上のうち再エネ価値取引市場のうち、1以上を選択して当該環境価値を提供する制御を実行する、
請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記制御手段は、トラッキング付き環境価値を取得する場合、地域への寄付と合わせた金額で購入する制御を実行する、
請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記環境価値を、前記組織が発電した電力と組み合わせて提供する制御を実行する、
請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記環境価値を他の価値に変換する制御を実行する、
請求項1項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記環境価値の購入価格が、
前記環境価値の販売価格から取引コストを減算した価格より低い場合、前記第2データベースに記憶された環境価値を販売すると共に、環境価値を購入する制御を実行する、
請求項1項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
情報処理装置が実行する情報処理方法において、
組織における温室効果ガスの排出目標値を取得して、前記排出目標値を第1データベースに記憶させる制御を実行する第1記憶制御ステップと、
前記組織についての、再生可能エネルギーの利用量、前記組織が保有する設備についてセンサにより検出される稼働状況、及び当該設備の導入計画に基づいて活動状況を算出することで、当該組織の
当該活動状況を取得する活動状況取得ステップと、
排出原単位及び換算係数を用いる所定の演算手法にしたがって、前記組織の前記活動状況についての、前記温室効果ガスの排出量、及び環境価値を算出する算出ステップと、
算出された前記環境価値を含む、前記組織が保有する環境価値を第2データベースに記憶させる制御を実行する第2記憶制御ステップと、
算出された前記排出量から、前記第2データベースに記憶された前記環境価値のうち少なくとも一部を減算することで、前記組織における温室効果ガスの排出達成値を算出する排出達成値算出ステップと、
前記温室効果ガスにおける前記排出達成値と前記排出目標値とを比較することで、前記温室効果ガスの排出の目標達成の可能性を判断する比較判断ステップと、
前記比較判断ステップにおける判断処理の結果に基づ
く、前記第2データベースに記憶された前記環境価値の利用
の制御
として、前記第2記憶制御ステップの処理を介して、前記第2データベースに記憶された前記環境価値の少なくとも一部を第三者に提供すると共に、前記組織が取得した環境価値を前記第2データベースに記憶させる制御を実行する制御ステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項13】
コンピュータに、
組織における温室効果ガスの排出目標値を取得して、前記排出目標値を第1データベースに記憶させる制御を実行する第1記憶制御ステップと、
前記組織についての、再生可能エネルギーの利用量、前記組織が保有する設備についてセンサにより検出される稼働状況、及び当該設備の導入計画に基づいて活動状況を算出することで、当該組織の
当該活動状況を取得する活動状況取得ステップと、
排出原単位及び換算係数を用いる所定の演算手法にしたがって、前記組織の前記活動状況についての、前記温室効果ガスの排出量、及び環境価値を算出する算出ステップと、
算出された前記環境価値を含む、前記組織が保有する環境価値を第2データベースに記憶させる制御を実行する第2記憶制御ステップと、
算出された前記排出量から、前記第2データベースに記憶された前記環境価値のうち少なくとも一部を減算することで、前記組織における温室効果ガスの排出達成値を算出する排出達成値算出ステップと、
前記温室効果ガスにおける前記排出達成値と前記排出目標値とを比較することで、前記温室効果ガスの排出の目標達成の可能性を判断する比較判断ステップと、
前記比較判断ステップにおける判断処理の結果に基づ
く、前記第2データベースに記憶された前記環境価値の利用
の制御
として、前記第2記憶制御ステップの処理を介して、前記第2データベースに記憶された前記環境価値の少なくとも一部を第三者に提供すると共に、前記組織が取得した環境価値を前記第2データベースに記憶させる制御を実行する制御ステップと、
を含む制御処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発電方式ごとに電力の取引をするための技術が存在する(例えば、特許文献1参照)。
企業等の組織では、その組織に設定された温室効果ガスの排出量削減目標を達成するため、発電時に温室効果ガスが排出されない発電方式の設備(例えば太陽光発電装置等)を工場等に設置するといったことが行われている。
また例えば、上述の特許文献1等の技術により、組織は、発電時に温室効果ガスを排出しない太陽光発電等の発電方式による電力を利用することで、当該排出目標の達成を目指すこともできる。
このように、再生可能エネルギー等の非化石電源から発電された電気には、化石燃料の燃焼に伴う二酸化炭素等の温室効果ガスを排出しない発電方式による電気として、電気そのものが有するkWh価値等に加えて、環境価値の一種である、化石燃料に依らないといった非化石価値等が存在すると言える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、そもそも一般には環境価値という概念自体が難解であり、環境価値の代表的な取引手段とされる非化石証書やグリーン電力証書、Jクレジット等の浸透が限定的に留まり、現状においては、環境価値は、有効に利用されているとは言えない。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、環境価値を有効に利用することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の情報処理装置は、
組織における温室効果ガスの排出目標値を取得して、前記排出目標値を第1データベースに記憶させる制御を実行する第1記憶制御手段と、
前記組織の活動状況を取得する活動状況取得手段と、
前記組織の前記活動状況についての、前記温室効果ガスの排出量、及び環境価値を算出する算出手段と、
算出された前記環境価値を含む、前記組織が保有する環境価値を第2データベースに記憶させる制御を実行する第2記憶制御手段と、
算出された前記排出量から、前記第2データベースに記憶された前記環境価値のうち少なくとも一部を減算することで、前記組織における温室効果ガスの排出達成値を算出する排出達成値算出手段と、
前記温室効果ガスにおける前記排出達成値と前記排出目標値とを比較することで、前記温室効果ガスの排出の目標達成の可能性を判断する比較判断手段と、
前記比較判断手段による判断の結果に基づいて、前記第2データベースに記憶された前記環境価値の利用を制御する制御手段と、
を備える。
【0007】
また、本発明の一態様の情報処理方法及びプログラムは、上述の本発明の一態様の情報処理装置に対応する方法及びプログラムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、環境価値を有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の情報処理装置の一実施形態が適用される本サービスの概要を示す図である。
【
図2】
図1の本サービスにおいて、電力と環境価値の取得と利用の流れ(流通)を示す図である。
【
図3】
図1の本サービスを提供するための情報処理システムであって、本発明の情報処理装置の一実施形態を含む情報処理システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図4】
図3の情報処理システムのうち、本発明の情報処理装置の一実施形態のサービス提供者サーバのハードウェアの構成を示すブロック図である。
【
図5】
図2の環境価値DBへの情報のインプットとアウトプットを示す図である。
【
図6】
図4のハードウェアを有するサービス提供者サーバの構成機能的構成のうち、少なくとも環境価値を含む取引の処理を実行するための機能的構成を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
まず、
図1を参照して本発明の情報処理装置の一実施形態を含む情報処理システムにより提供されるサービス(以下、「本サービス」と呼ぶ)を説明する。
図1は、本発明の情報処理装置の一実施形態が適用される本サービスの概要を示す図である。以下の説明において、各要素を個々に分けて説明する必要があるときは符号に数値を付与し、まとめて説明する際は数値をとって説明するものとする。例えばユーザU1乃至Umは、まとめてユーザUとする。
【0011】
本サービスは、
図1に示すように、サービス提供者SAから、m(mは1以上の整数値)のユーザU1乃至Umの夫々と、電力会社DKに提供される。
【0012】
ユーザU1乃至Umは、電力を需要して事業等を行っている者(電力需要者又は電力需要家)であり、また同時に電力を供給する事業等を行なっている者(電力供給者)であって、会社等と同様に組織の1つであり、個人の場合もある。
この電力は、電力会社DKから供給されるものの他、ユーザU1乃至Umの夫々により発電され自家消費に充てられるもの、他のユーザUp(pは2乃至mのうちを任意の整数値)から供給される再生可能エネルギーも含んでいる。
この例では、ユーザUは電力需要者または電力需要家であり、かつ電力供給者である例で例示しているが、ユーザUは電力需要者または電力需要化のみ、あるいは電力供給者のみであってもよい。
【0013】
本サービスに関連するものとしては、電力会社DKと、ユーザU1乃至Umの他に、環境価値取引市場KSと、電力市場DSとが存在する。
本サービスは、このような電力会社DKと、ユーザU1乃至Umとの間をサービス提供者SAが脱炭素プラットフォームを用いて仲介し、環境価値取引市場KSでの環境価値と、電力市場DSでの電力とを、個々に取引(売買)を行うことで、環境価値を有効に利用するものである。
【0014】
環境価値は、例えば非化石証書やグリーン電力証書、Jクレジット等と呼ばれるものであり、小売電気事業者及び需要家(企業等のユーザ)は、例えば日本卸電力取引所(JEPX)等の環境価値取引市場KSを通して非化石証書(ゼロエミ価値等)を販売したり購入することができる。
近年、企業の多くは、CO2等の温室効果ガスの排出量・削減量の目標を立て、それに対して削減が不足する場合(CO2の排出をしすぎている場合)には環境価値(非化石証書やグリーン電力証書、Jクレジット等)を購入することにより、排出量目標の達成を実現することができる。
【0015】
サービス提供者SAは、ユーザU1乃至Umの夫々の電力取引の仲介をする。そこで、サービス提供者SAは、電力を蓄積する、蓄電装置TDを有している。
蓄電装置TDは、電力の取引で生じるタイムラグを吸収するためのものである。蓄電装置TDを活用することで、電力を発電した時点と自家消費または売電する時点をずらすことが可能となり、結果として、収益性を向上させることができる。
蓄電装置TDは、例えば蓄電池、水素やアンモニア等の化学物質への変換装置、電気自動車のバッテリ等である。
この例では、蓄電装置TDを1つだけ例示しているが、複数の、蓄電装置TDが分散して配置されていてもよく、また、蓄電装置TDを第三者が管理主体として管理していてもよい。つまり、蓄電装置TDの数や配置、さらには管理主体は問わない。
【0016】
ユーザUk(kは1乃至mのうち任意の整数値)は、電力会社DK等から供給される電力を需要して、自己の事業等を営んでいる。
ただし、ユーザU1乃至Umのうち少なくとも一部は、再生可能エネルギーを生産可能な設備や蓄電装置等を有しており、電力供給者としての一面もある。再生可能エネルギーは、例えば太陽光発電、風力発電、バイオマス発電、水力発電、地熱発電、波力発電、揚水発電等がある。
【0017】
具体的には、ユーザU1乃至Umのうちの、例えばユーザU1等は、太陽光発電をするために、ユーザ発電システムUGS1と、自己の事業を営むための設備SB1(例えば工場で製造設備を稼働させるエンジン等)と、この設備SB1にIoTセンサSE1を介して接続される監視システムWS1と、事業遂行のための情報処理を行うユーザサーバUS1と、を有している。
ユーザ発電システムUGS1と、監視システムWS1と、ユーザサーバUS1とは、社内ネットワーク等を介してデータのやり取りが可能に接続されている。
【0018】
ユーザ発電システムUGS1は、ソーラー発電装置SO1、蓄電装置TK1、制御装置CO1等を含んでいる。
ソーラー発電装置SO1は、太陽光を受けて発電する。ソーラー発電装置SO1により発電された電力は、蓄電装置TK1に蓄電される。
制御装置CO1は、サービス提供者SAからの指示に基づいて、蓄電装置TK1に蓄電された電力、及び保有している環境価値を、サービス提供者SAを通じて他者(例えば環境価値取引市場KSや、電力会社DKや、他のユーザUp(pは2乃至mのうちを任意の整数値))に販売するか、ユーザU1内で役立てるか、電力や環境価値を他から購入するか、といった利用形態を制御する。
【0019】
監視システムWS1は、設備SB1に取り付けられているIoTセンサSE1により設備SB1の稼働状況を監視し、これらの情報を制御装置CO1へ出力する。ここで、設備SB1の稼働状況を監視とは、例えば設備SB1が温室効果ガス(以下「GHG」と称す)をどの程度排出しているか、また設備SB1により消費される電力量(自家消費電力量)がどの程度か等を検出することである。
ユーザサーバUS1には、例えば設備導入計画等のデータが格納されており、事業における省エネ設備の導入計画のデータから算出される将来の温室効果ガス(GHG)の排出削減値を制御装置CO1へ出力する。なお、ユーザU1以外のユーザU2乃至Um等も同様である。
【0020】
続いて、
図2を参照して電力と環境価値の流通について説明する。
図2は、
図1の本サービスにおいて、電力と環境価値の取得と利用の流れ(流通)を示す図である。
図2に示すように、電力会社DKからは非化石電力DRと環境価値KKがサービス提供者SAにより取得され、環境価値DB202に格納される。具体的には、電力会社DKからは電力+環境価値がセットになった100%カーボンオフセット電力が提供される。
ユーザUの夫々のユーザ発電システムUGS-1乃至UGS-mからは、非化石電力DR(太陽光による再生可能エネルギー由来の自家発電の電力)とその電力に応じた環境価値KKがサービス提供者SAにより取得され、環境価値DB202に格納される。
また、ユーザUからは、ユーザUが新たに省エネ設備を導入したり植樹をすることで生じる環境価値KKが入力され、環境価値DB202に格納される。
このようにして環境価値DB202に格納された環境価値KKがサービス提供者SAによって環境価値取引市場KSで売買される。
【0021】
サービス提供者SAは、
図3に示すサービス提供者サーバ1により提供される脱炭素プラットフォームを用いて、電力会社サーバ2と、ユーザシステムUS-1乃至US-mとの電力と環境価値の需給情報を収集し、電力は電力市場サーバ4を通じて売買し、環境価値は環境価値取引市場サーバ3を通じて売買することを支援する。
【0022】
脱炭素プラットフォームは、AI(Artificial Intelligence)を活用し、電力会社DKやユーザUk(UkはU1乃至Umの中の1つ)が発電した電力や環境価値の需給予測を行い、その時々に応じて電力や環境価値を販売すべきか調達すべきかを判断し当該電力や当該環境価値を夫々独立して、又は互いを出所が別のものと組み合わせて各所に最適に取引することができるプラットフォームである。
【0023】
脱炭素プラットフォームは、電力会社DKの非化石電力DRまたはユーザUの夫々のユーザ発電システムUGS-1乃至UGS-mから発電される電力DRを電力市場DSを介して売買し、環境価値を環境価値取引市場KSを介して売買する。この際、電力市場DSや環境価値取引市場KSの動向に基づいて、仕入れ価格と販売価格の差による利益が最も高くなる売買を行う。例えば脱炭素プラットフォームは、安価な環境価値を購入して、価格が高騰したときに販売する等の処理を実行する。
【0024】
具体的には、サービス提供者SAは、例えば2021年12月等に設定されたユーザUにおける温室効果ガス(GHG)の2022年1月~4月の排出目標値を例えば2021年12月に取得して、当該排出目標値をユーザ情報DB201(
図6参照)に記憶させる制御を実行し、例えば2022年1月における再生可能エネルギーの利用、工場設備の稼働状況、省エネ設備の導入の実績または計画等のユーザUの活動状況を取得する。
【0025】
サービス提供者SAは、ユーザUの活動状況についての、例えば2022年1月の温室効果ガス(GHG)の排出量の実績、及び例えば2022年1月にユーザUが産み出した環境価値を算出する。
【0026】
サービス提供者SAは、算出した環境価値を含む、ユーザUが保有する環境価値(組織内で生み出された環境価値+他から取得した環境価値)を環境価値DB202に記憶させる制御を実行し、温室効果ガス(GHG)の排出量から、環境価値DB202に記憶された環境価値のうち少なくとも一部を減算することで、ユーザUにおける例えば2022年1月の温室効果ガス(GHG)の排出達成値を算出する。
【0027】
サービス提供者SAは、温室効果ガス(GHG)における排出達成値と排出目標値とを比較することで、温室効果ガス(GHG)の排出の目標達成の可能性を判断し、この判断の結果に基づいて、環境価値DB202に記憶された環境価値の利用(他に販売したり、自己の排出目標値に対する不足分に更に補填したりする)を制御する。
この結果、環境価値を有効に利用することができるようになる。
【0028】
続いて、
図3を参照して本発明の情報処理装置の一実施形態に係るサービス提供者サーバを含む、情報処理システムについて説明する。
図3は、
図1の本サービスを提供するための情報処理システムであって、本発明の情報処理装置の一実施形態を含む情報処理システムの全体構成を示すブロック図である。
【0029】
図3に示す情報処理システムは、サービス提供者SAが管理するサービス提供者サーバ1と、電力会社サーバ2と、環境価値取引市場サーバ3と、電力市場サーバ4と、ユーザU1乃至Um(
図1参照)の夫々が所持及び管理するユーザシステムUS-1乃至US-m(mはnとは異なる1以上の任意の整数値)の夫々と、を含むように構成されている。
【0030】
サービス提供者サーバ1と、電力会社サーバ2と、環境価値取引市場サーバ3と、電力市場サーバ4と、ユーザ発電システムUGS-1乃至UGS-mとは、インターネット(Internet)等のネットワークNWを介して相互に接続されている。
【0031】
ユーザシステムUS-1乃至US-mのうち、例えばユーザシステムUS-1等は、
図1に示したように、例えばソーラー発電装置SO1、蓄電装置TK1、制御装置CO1等を備え、ユーザU1乃至Umの夫々により運用管理される。
例えばユーザシステムUS-1のユーザU1がサービス提供者SAと脱炭素プラットフォームとの利用契約を結ぶことで、サービス提供者サーバ1から制御装置CO1への指示による環境価値や電力の需給制御(取得した環境価値や生産した電力を販売するか自家消費するか等)が可能である。これはユーザシステムUS-1以外のユーザシステムUS-2乃至US-mについても同様である。
【0032】
電力会社サーバ2は、電力を電力市場DSを通じて売買し、環境価値を環境価値取引市場KSを通じて売買するようにサービス提供者サーバ1に指示を出すものであり、電力会社DKの夫々の担当者により操作される。
【0033】
環境価値取引市場サーバ3は、環境価値を取引する場を提供する。
具体的には、環境価値取引市場サーバ3は、環境価値取引市場KSをインターネット上に提供する。
電力市場サーバ4は、電力を取引する場を提供する。
具体的には、電力市場サーバ4は、電力市場DSをインターネット上に提供する。
【0034】
なお、以下、ユーザ発電システムUGS-1乃至UGS-mの夫々を個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて「ユーザ発電システムUGS」と呼ぶ。
【0035】
サービス提供者サーバ1は、ユーザシステムUSの動作を管理する。サービス提供者サーバ1は、ユーザシステムUS及び電力会社サーバ2に上述の機能を提供すべく、各種各様な処理を実行する。
また、サービス提供者サーバ1は、脱炭素プラットフォーム上で、環境価値取引市場サーバ3及び電力市場サーバ4に対して、ユーザUや電力会社DK等から取得した電力と環境価値との売買処理を実行する。
【0036】
図4は、
図3の情報処理システムのうち、本発明の情報処理装置の一実施形態のサービス提供者サーバのハードウェアの構成を示すブロック図である。
【0037】
サービス提供者サーバ1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memoy)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、出力部16と、入力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20と、を備えている。
【0038】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0039】
CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、出力部16、入力部17、記憶部18、通信部19及びドライブ20が接続されている。
【0040】
出力部16は、液晶等のディスプレイにより構成され、各種画像を表示する。
入力部17は、各種ハードウェア釦等で構成され、操作者の指示操作に応じて各種情報を入力する。
【0041】
記憶部18は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。
通信部19は、インターネットを含むネットワークNWを介して他の装置(電力会社サーバ2、環境価値取引市場サーバ3、電力市場サーバ4等)との間で行う通信を制御する。
【0042】
ドライブ20は、必要に応じて設けられる。ドライブ20には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア21が適宜装着される。ドライブ20によってリムーバブルメディア21から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。また、リムーバブルメディア21は、記憶部18に記憶されている各種データも、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0043】
このような
図4のサービス提供者サーバ1の各種ハードウェアと、各種ソフトウェアとの協働により、サービス提供者サーバ1で後述する各種処理の実行が可能になる。その結果、サービス提供者SAは、ユーザU1乃至Umに対し、後述する各種サービスを提供することができる。
【0044】
続いて、
図5を参照して
図2の環境価値DB(サービスとしては脱炭素プラットフォーム)への具体的な情報のインプットとアウトプットを説明する。
図5は、
図2の環境価値DBへのインプットとアウトプットを示す図である。
【0045】
図5に示すように、サービス提供者サーバ1には、当時の温室効果ガス(GHG)排出量情報(他社連携含)と、過去の利用量から推測される週間の工場稼働情報(予定)と、過去の利用量から推測される工場だけでなく本社や営業所等の本部含む温室効果ガス(GHG)算定ツールへの入力情報とが入力される。温室効果ガス(GHG)算定ツールとは、活動状況取得部102が、ユーザU1乃至Umの夫々の活動状況を取得するための1つの手段を指すが、活動状況取得部102が活動状況を取得する手段はこれ以外であってもよく、組織の活動状況を取得する活動状況取得手段であれば足りる。これらの情報から日時の温室効果ガス(GHG)排出量が算出される。
また、自社の再生可能エネルギー発電等の発電実績(環境価値量)と、目標年間温室効果ガス(GHG)排出量とが入力されると、これら発電実績(環境価値量)と目標年間温室効果ガス(GHG)排出量と、上記で算出された日時の温室効果ガス(GHG)排出量情報とが比較、つまり予測と実績が比較され、比較の結果が環境価値DB202に記憶される。
即ち、サービス提供者サーバ1には、自社がどのくらい温室効果ガス(GHG)を排出しているかといった情報がインプットされる。
【0046】
一方、サービス提供者サーバ1は、環境価値DB202に記憶された情報に基づいて、温室効果ガス(GHG)に関する指示(排出量自体の削減や、環境価値の購入または販売等)を出力する。指示には、例えば各部門に対する排出量抑制のためのアラート指示や担当部門に対する環境価値(非化石証書や、グリーン電力証書屋、Jクレジット等)の購入要請等が含まれる。担当部門に対する環境価値(非化石証書や、グリーン電力証書屋、Jクレジット等)の購入要請は、時系列データを基に推測される。購入要請には、時期・入札価格の指示等も含まれる。なお、オンライン取引開始後はAPIでの購買指示とされる。
【0047】
また、サービス提供者サーバ1は、環境価値DB202に記憶された上述の情報に基づいて、電力価値の部分を販売(自家消費・相対・電力市場含む)と、環境価値の販売とを実行する。ここで、自社の環境価値が目標値よりも超過した際に環境価値を販売し、電力価値が自社の仕入れ値よりも高い場合は、電力を販売する。
【0048】
図6を参照して
図3の情報処理システムのサービス提供者サーバの機能的構成について説明する。
図6は、
図4のハードウェアを有するサービス提供者サーバの構成機能的構成のうち、少なくとも環境価値を含む取引の処理を実行するための機能的構成を示す機能ブロック図である。
【0049】
図6に示すように、サービス提供者サーバ1の記憶部18の一領域には、ユーザ情報DB201と、環境価値DB202と、が設けられている。
【0050】
ユーザU1乃至Umの夫々は、例えば企業、工場、事業部、部門等の組織であり、一例として例えば企業等とする。
ユーザ情報DB201には、ユーザU1乃至Umの夫々の企業の情報が記憶されている他、ユーザU1乃至Umの電力に関する取引コストの情報が取引コスト情報として格納されている。取引コスト情報には、例えばユーザU1等であれば、ユーザU1が電力の売買で生じる取引コストの他、蓄積装置TKの購入価格、土地使用代、系統に載せて電力を送電する託送コスト等が含まれる。
この他、ユーザ情報DB201には、あるタイミング、例えば2021年12月等に取得された、企業における温室効果ガス(GHG)の排出目標値(2021年12月に設定された2022年1月~4月の目標値)が記憶される。
また、ユーザ情報DB201には、ユーザU1乃至Um夫々の企業における活動状況のデータが記憶される。活動状況のデータは、例えば再生可能エネルギーの利用、工場設備の稼働状況、省エネ設備の導入の実績または計画等のデータである。
【0051】
環境価値DB202には、ユーザU1乃至Um夫々の企業において算出された環境価値(組織内で生み出された環境価値)を含む、企業が保有する環境価値(組織内で生み出された環境価値+他から取得した環境価値)が記憶される。
【0052】
具体的には、環境価値DB202には、ユーザU1乃至Um夫々の企業から取得されるCO
2排出量の目標値や、実際にセンサ(
図1のIoTセンサSE1等)によりモニタリングされたCO
2排出量(又はCO
2排出削減量)等のデータがユーザ毎に記憶される。
また、環境価値DB202には、電力会社サーバ2や電力市場サーバ4等から得られた電力の需給及び売買に関する情報が記憶されている。例えば電力市場DSにおける過去の所定時間帯の電力の売買価格(過去の売買実績の情報等)が環境価値DB202に記憶される。
この他、環境価値DB202には、環境価値取引市場の価格データとしての価格シナリオデータ等が記憶されている。
【0053】
また、
図6に示すように、サーバ1のCPU11においては、環境価値に関する処理が実行される場合に、目標値記憶制御部101、活動状況取得部102、GHG排出量及び環境価値算出部103、記憶制御部104、排出達成値算出部105、比較判断部106、制御部107等が機能する。
【0054】
目標値記憶制御部101は、ユーザU1乃至Umの夫々における温室効果ガス(GHG)の排出目標値(例えば2021年12月に設定された2022年1月~4月の目標値等)を例えば2021年12月に取得し、排出目標値をユーザ情報DB201に記憶させる制御を実行する。
【0055】
活動状況取得部102は、ユーザU1乃至Umの夫々の活動状況(例えば2022年1月の活動状況の実績値等)を例えば2022年2月1日に取得する。活動状況取得部102が取得する、ユーザU1乃至Umの夫々の活動状況は、過去の活動実績値に限らず今後の活動計画やリアルタイムでの活動状況であってもよい。
GHG排出量及び環境価値算出部103は、ユーザU1乃至Umの夫々の企業の活動状況に基づく、温室効果ガス(GHG)の排出量(2022年1月の温室効果ガス(GHG)排出量の実績)、及び環境価値(例えば2022年1月に企業が産み出した環境価値)を算出する。
具体的には、活動状況取得部102は、ユーザU1乃至Umの夫々の企業についての、再生可能エネルギーの利用量、企業が保有する工場設備についてIoTセンサSE1(
図1参照)により検出される稼働状況、及び、ユーザシステムUS-1乃至US-mの夫々のユーザサーバ(ユーザシステムUS-1であればユーザサーバUS1(
図1参照))から得られる省エネ設備等の導入実績または計画に基づいて活動状況を算出することで、当該活動状況を取得する。
これにより、ユーザU1乃至Umの夫々の企業についての、再生可能エネルギーの利用量、組織が保有する工場設備(例えばソーラー発電装置SO等)についてセンサ(例えば
図1のIoTセンサSE1等)により検出される稼働状況、及び当該設備の導入実績または計画に基づいて活動状況を詳細に算出するので、活動状況を高精度に得ることができる。
【0056】
GHG排出量及び環境価値算出部103は、活動状況取得部102によって高精度で取得された活動状況に対して、排出原単位及び換算係数を用いる所定の演算手法に従って、温室効果ガス(GHG)の排出量及び所有する環境価値量を算出する。
このように、高精度で取得された実際の活動状況に基づいて温室効果ガス(GHG)の排出量及び環境価値を算出することで、環境価値の算出値の精度を向上することができる。
【0057】
記憶制御部104は、算出された環境価値(企業内で生み出された環境価値)を含む、企業が保有する環境価値(企業内で生み出された環境価値+他から取得した環境価値)を環境価値DB202に記憶させる制御を実行する。
【0058】
排出達成値算出部105は、算出された温室効果ガス(GHG)排出量から、環境価値DB202に記憶された環境価値のうち少なくとも一部を減算することで、組織における温室効果ガス(GHG)の排出達成値(例えば2022年1月の達成値等)を算出する。
【0059】
比較判断部106は、温室効果ガス(GHG)における前記排出達成値と前記排出目標値とを比較することで、温室効果ガス(GHG)の排出の目標達成の可能性を判断する。
【0060】
制御部107は、比較判断部106による判断の結果に基づいて、環境価値DB202に記憶された環境価値の利用を制御する。
【0061】
制御部107は、記憶制御部104を介して、環境価値DB202に記憶された環境価値の少なくとも一部を環境価値取引市場KS等の第三者に提供すると共に、企業が取得した環境価値を環境価値DB202に記憶させる制御を実行する。
このように、環境価値DB202を用いて環境価値をやり取りすることで、環境価値の授受を総合的に管理することができる。
【0062】
制御部107は、比較判断部106により目標達成が可能と判断された場合には、環境価値DB202に記憶された環境価値のうち少なくとも一部を環境価値取引市場KS等の第三者に提供する制御を実行し、比較判断部106により目標達成が不可能と判断された場合には、環境価値取引市場KSから環境価値を取得するための制御を実行する。
このように、温室効果ガス(GHG)の排出目標達成の可否に応じて、環境価値取引市場KSへの環境価値の提供又は取得を制御することで、環境価値を柔軟に利用することができる。
【0063】
制御部107は、環境価値を環境価値取引市場KSに提供する制御として、関連組織(例えば自社と取引のある企業等)に優先的に提供する制御を実行するにより、関連組織との協力関係が得られるようになる。
【0064】
制御部107は、環境価値取引市場KSから環境価値を取得する制御として、トラッキング付きの環境価値を優先的に取得する制御を実行する。このように、環境価値取引市場KSからトラッキング付きの環境価値を優先的に取得することで、環境価値の由来となる発電所等の電源情報が明らかになり、環境価値の信用性を高めることができる。
【0065】
制御部107は、企業が再生可能エネルギーを取得した場合、当該再生可能エネルギーから環境価値を分離し、分離した当該環境価値を環境価値DB202に記憶させる制御を実行する。このように、再生可能エネルギーから環境価値を分離することで、環境価値のみを環境価値取引市場KSへ販売する等、元の販路とは異なる販路で環境価値を販売することができる。
【0066】
制御部107は、環境価値の購入を希望する環境価値取引市場KSで取引を行う者のうち、最高購入価格を提示する者に環境価値の少なくとも一部提供する制御を実行する。これにより、例えばオークションのような市場を形成でき、環境価値をより高値で販売することができる。
【0067】
制御部107は、環境価値を環境価値取引市場KSで取引をする者に提供する制御として、再エネ価値取引市場や高度化法義務達成市場など、1以上の非化石価値取引市場を選択して当該環境価値を提供する制御を実行する。
これにより、再エネ価値取引市場や高度化法義務達成市場など、1つ以上の非化石価値取引市場を選択して販売することができるので、環境価値の販路を広げることができる。
【0068】
制御部107は、トラッキング付き環境価値を取得する場合、地域への寄付と合わせた金額で購入する制御を実行する。このようにすることで、トラッキング付き環境価値を購入する場合、当該地域への寄付と合わせた金額で環境価値を購入することができ、地域へ貢献することができる。
【0069】
制御部107は、環境価値を、企業が発電した電力と組み合わせて提供する制御を実行する。これにより、元の電力の環境価値とは本来は別の電力を環境価値と自由に組み合わせることができるので、例えば環境価値と電力とを特殊な組み合わせにして販売することで、プレミアム価格にて販売する等、環境価値に付加価値を付けて販売することができる。
【0070】
制御部107は、環境価値を他の価値(例えばポイント等)に変換する制御を実行する。このように、環境価値をポイント化することで、温室効果ガス(GHG)排出量から減算する用途以外にも環境価値を活用することができる。
【0071】
制御部107は、環境価値の購入価格が、販売価格から取引コストを減算した価格より低い場合、環境価値DB202に記憶された環境価値を販売すると共に、環境価値を購入する制御を実行する。これにより、自己が保有する環境価値を販売し、必要な環境価値を安価で購入することができる。
【0072】
以上説明したように、本実施形態の情報処理システムのサービス提供者サーバ1によれば、環境価値を電力から分離し、環境価値を必要とする組織に提供することで、環境価値を有効に利用することができる。
【0073】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0074】
上述した実施形態では、目標値記憶制御部101は、企業における2021年12月に設定された2022年1月~4月の温室効果ガス(GHG)排出目標値を2021年12月に取得して、排出目標値をユーザ情報DB201に記憶させる制御を実行したが、これ以外であってもよく、組織における温室効果ガス(GHG)の排出目標値を取得して、前記排出目標値を第1データベースに記憶させる制御を実行する第1記憶制御手段であれば足りる。
【0075】
上述した実施形態では、活動状況取得部102は、企業の2022年1月における再生可能エネルギーの利用、工場設備の稼働状況、省エネ設備等の導入実績または計画等を取得したが、これ以外であってもよく、組織の活動状況を取得する活動状況取得手段であれば足りる。
【0076】
上述した実施形態では、GHG排出量及び環境価値算出部103は、企業の活動状況についての、2022年1月の温室効果ガス(GHG)の排出量の実績、及び2022年1月に企業が産み出した環境価値を算出したが、これ以外であってもよく、組織の前記活動状況についての、前記温室効果ガス(GHG)の排出量、及び環境価値を算出する算出手段であれば足りる。
【0077】
上述した実施形態では、記憶制御部104は、算出された環境価値(組織内で生み出された環境価値)を含む、企業が保有する環境価値(組織内で生み出された環境価値+他から取得した環境価値)を環境価値DB202に記憶させる制御を実行したが、これ以外であってもよく、算出された環境価値を含む、組織が保有する環境価値を第2データベースに記憶させる制御を実行する第2記憶制御手段であれば足りる。
【0078】
上述した実施形態では、排出達成値算出部105は、算出された排出量から、環境価値DB202に記憶された環境価値のうち少なくとも一部を減算することで、企業における温室効果ガス(GHG)の2022年1月の排出達成値を算出したが、これ以外であってもよく、算出された前記排出量から、第2データベースに記憶された環境価値のうち少なくとも一部を減算することで、組織における温室効果ガス(GHG)の排出達成値を算出する排出達成値算出手段であれば足りる。
【0079】
上述した実施形態では、比較判断部106は、温室効果ガス(GHG)における排出達成値と排出目標値とを比較することで、温室効果ガス(GHG)の排出の目標達成の可能性を判断したが、これ以外であってもよく、温室効果ガス(GHG)における排出達成値と排出目標値とを比較することで、温室効果ガス(GHG)の排出の目標達成の可能性を判断する比較判断手段であれば足りる。
【0080】
上述した実施形態では、制御部107は、比較判断部106による判断の結果に基づいて、環境価値DB202に記憶された環境価値の利用を制御したが、これ以外であってもよく、比較判断手段による判断の結果に基づいて、第2データベースに記憶された環境価値の利用を制御する制御手段であれば足りる。
【0081】
また例えば、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
換言すると、例えば
図6の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。
即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理システムに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に
図6の例に限定されない。また、機能ブロック及びデータベースの存在場所も、
図6に特に限定されず、任意でよい。例えば、各種処理の実行に必要となる機能ブロック及びデータベースの少なくとも一部を、他の情報処理装置に移譲させてもよい。逆に情報処理装置の機能ブロック及びデータベースをサーバ等に移譲させてもよい。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0082】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。
また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。
【0083】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される図示せぬリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体等で構成される。
【0084】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものとする。
【0085】
以上を換言すると、本発明が適用される情報処理装置は、次のような構成を有していれば足り、各種各様な実施の形態を取ることができる。
即ち、本発明が適用される情報処理装置(例えば
図4のサービス提供者サーバ1等)は、
組織(例えば企業、工場、事業部、部門等のうち以下では企業とする)における温室効果ガス(GHG)の排出目標値(例えば2021年12月に設定された2022年1月~4月の目標値)を取得して(例えば2021年12月に取得して)、前記排出目標値を第1データベース(例えば
図6のユーザ情報DB201等)に記憶させる制御を実行する第1記憶制御手段(例えば
図6の目標値記憶制御部101等)と、
前記組織(企業等)の活動状況(例えば2022年1月における再生可能エネルギーの利用、工場設備の稼働状況、省エネ設備等の導入実績または計画等)を取得する(例えば2022年2月1日に取得する)活動状況取得手段(例えば
図6の活動状況取得部102等)と、
前記組織(企業等)の前記活動状況についての、前記温室効果ガス(GHG)の排出量(2022年1月の排出量の実績)、及び環境価値(例えば2022年1月に組織(企業等)内で生み出された環境価値)を算出する算出手段(例えば
図6のGHG排出量及び環境価値算出部103等)と、
算出された前記環境価値(組織内で生み出された環境価値)を含む、前記組織(企業等)が保有する環境価値(組織内で生み出された環境価値+他から取得した環境価値)を第2データベース(例えば
図6の環境価値DB202等)に記憶させる制御を実行する第2記憶制御手段(例えば
図6の記憶制御部104等)と、
算出された前記排出量から、前記第2データベース(例えば
図6の環境価値DB202等)に記憶された前記環境価値のうち少なくとも一部を減算することで、前記組織(企業等)における温室効果ガス(GHG)の排出達成値(例えば2022年1月の達成値)を算出する排出達成値算出手段(例えば
図6の排出達成値算出部105等)と、
前記温室効果ガス(GHG)における前記排出達成値と前記排出目標値とを比較することで、前記温室効果ガス(GHG)の排出の目標達成の可能性を判断する比較判断手段(例えば
図6の比較判断部106等)と、
前記比較判断手段(例えば
図6の比較判断部106等)による判断の結果に基づいて、前記第2データベース(例えば
図6の環境価値DB202等)に記憶された前記環境価値の利用を制御する制御手段(例えば
図6の制御部107等)と、
を備える。
これにより、環境価値を有効に利用することができる。
【0086】
前記活動状況取得手段(例えば
図6の活動状況取得部102等)は、前記組織(企業等)についての、再生可能エネルギーの利用量、前記組織(企業等)が保有する工場設備についてセンサにより検出される稼働状況、及び、設備の導入実績または計画に基づいて前記活動状況を算出することで、当該活動状況を取得する。
これにより、ユーザの組織(企業等)についての、再生可能エネルギーの利用量、組織(企業等)が保有する設備(例えばソーラー発電装置SO等)についてセンサ(例えば
図1のIoTセンサSE等)により検出される稼働状況、及び当該設備の導入計画に基づいて活動状況を詳細に算出するので、活動状況を高精度に得ることができる。
【0087】
前記算出手段(例えば
図6のGHG排出量及び環境価値算出部103等)は、前記活動状況取得手段によって高精度に取得された前記活動状況に対して、排出原単位及び換算係数を用いる所定の演算手法に従って、前記温室効果ガス(GHG)の前記排出量及び前記環境価値を算出する。
このように、高精度に取得された前記活動状況に基づいて温室効果ガス(GHG)の排出量及び環境価値を算出することで、環境価値の算出値の精度を向上することができる。
【0088】
前記制御手段(例えば
図6の制御部107等)は、前記第2記憶制御手段(例えば
図6の記憶制御部104等)を介して、前記第2データベース(例えば
図6の環境価値DB202等)に記憶された前記環境価値の少なくとも一部を第三者(例えば環境価値取引市場KS等)に提供すると共に、前記組織(例えば企業等)が取得した環境価値を前記第2でデータベース(例えば
図6の環境価値DB202等)に記憶させる制御を実行する。
このように、第2データベース(例えば
図6の環境価値DB202等)を用いて環境価値をやり取りすることで、環境価値の授受を総合的に管理することができる。
【0089】
前記制御手段(例えば
図6の制御部107等)は、
前記比較判断手段(例えば
図6の比較判断部106等)により前記目標達成が可能と判断された場合には、前記第2データベース(例えば
図6の環境価値DB202等)に記憶された前記環境価値のうち少なくとも一部を第三者(例えば環境価値取引市場KS等)に提供する制御を実行し、
前記比較判断手段(例えば
図6の比較判断部106等)により前記目標達成が不可能と判断された場合には、前記第三者(例えば環境価値取引市場KS等)から環境価値を取得するための制御を実行する。
このように、温室効果ガス(GHG)の排出の目標達成の可否に応じて、第三者(例えば環境価値取引市場KS等)への環境価値の提供又は取得を制御することで、環境価値を柔軟に利用することができる。
【0090】
前記制御手段(例えば
図6の制御部107等)は、前記環境価値を第三者(例えば環境価値取引市場KSで取引を行う者等)に提供する制御として、関連組織(例えば自社と取引のある企業等)に優先的に提供する制御を実行する。
これにより、関連組織との協力関係が得られるようになる。
【0091】
前記制御手段(例えば
図6の制御部107等)は、第三者(例えば環境価値取引市場KS等)から前記環境価値を取得する制御として、トラッキング付きの環境価値を優先的に取得する制御を実行する。
これにより、第三者(例えば環境価値取引市場KS等)からトラッキング付きの環境価値を優先的に取得することで、環境価値の由来となる発電所等の電源情報が明らかになり、環境価値の信用性を高めることができる。
【0092】
前記制御手段(例えば
図6の制御部107等)は、前記組織(企業等)が再生可能エネルギーを取得した場合、当該再生可能エネルギーから環境価値を分離し、分離した当該環境価値を前記第2データベース(例えば
図6の環境価値DB202等)に記憶させる制御を実行する。
このように、再生可能エネルギーから環境価値を分離することで、環境価値のみを第三者(例えば環境価値取引市場KSで取引を行う者等)へ販売する等、元の販路とは異なる販路で環境価値を販売することができる。
【0093】
前記制御手段(例えば
図6の制御部107等)は、前記環境価値の購入を希望する第三者(例えば環境価値取引市場KSで取引を行う者等)のうち、最高購入価格を提示する者に前記環境価値の少なくとも一部提供する制御を実行する。
これにより、例えばオークションのような市場を形成でき、環境価値をより高値で販売することができる。
【0094】
前記制御手段(例えば
図6の制御部107等)は、前記環境価値を第三者(例えば環境価値取引市場KS等を通じて取引する者等)に提供する制御として、1以上の非化石価値取引市場(例えば再エネ価値取引市場や高度化法義務達成市場等)を選択して当該環境価値を提供する制御を実行する。
これにより、1つ以上の非化石価値取引市場(例えば再エネ価値取引市場や高度化法義務達成市場等)を選択して販売することができるので、環境価値の販路を広げることができる。
【0095】
前記制御手段(例えば
図6の制御部107等)は、トラッキング付き環境価値を取得する場合、地域への寄付と合わせた金額で購入する制御を実行する。
このようにすることで、トラッキング付き環境価値を購入する場合、当該地域への寄付と合わせた金額で環境価値を購入することができる。
【0096】
前記制御手段(例えば
図6の制御部107等)は、前記環境価値を、前記組織(企業等)が発電した電力と組み合わせて提供する制御を実行する。
これにより、元の電力の環境価値とは本来は別の電力を環境価値と自由に組み合わせることができるので、例えば環境価値と電力とを特殊な組み合わせにすることでプレミアム価格で販売する等、環境価値に付加価値を付けて販売することができる。
【0097】
前記制御手段(例えば
図6の制御部107等)は、前記環境価値を他の価値(例えばポイント等)に変換する制御を実行する。
このように、環境価値を他の価値に変換(例えばポイント化)することで、温室効果ガス(GHG)排出量から減算する用途以外にも環境価値を活用することができる。
【0098】
前記制御手段(例えば
図6の制御部107等)は、前記環境価値の購入価格が、前記販売価格から取引コストを減算した価格より低い場合、前記第2データベース(例えば
図6の環境価値DB202等)に記憶された環境価値を販売すると共に、環境価値を購入する制御を実行する。
これにより、自己が保有する環境価値を販売し、必要な環境価値を安価で購入することができる。
【0099】
情報処理装置(例えば
図4のサービス提供者サーバ1等)が実行する情報処理方法において、
組織(例えば企業、工場、事業部、部門等のうち以下では企業とする)における温室効果ガス(GHG)の排出目標値(例えば2021年12月に設定された2022年1月~4月の目標値)を取得して(2021年12月に取得して)、前記排出目標値を第1データベース(例えば
図6のユーザ情報DB201等)に記憶させる制御を実行する第1記憶制御ステップと、
前記組織(企業等)の活動状況(例えば2022年1月における再生可能エネルギーの利用、工場設備の稼働状況、省エネ設備等の導入実績または計画等)を取得する(例えば2022年2月1日に取得する)活動状況取得ステップと、
前記組織(企業等)の前記活動状況についての、前記温室効果ガス(GHG)の排出量(例えば2022年1月の排出量の実績)、及び環境価値(例えば2022年1月に企業内で生み出された環境価値)を算出する算出ステップと、
算出された前記環境価値(例えば組織内で生み出された環境価値)を含む、前記組織(企業等)が保有する環境価値(例えば組織内で生み出された環境価値+他から取得した環境価値)を第2データベース(例えば
図6の環境価値DB202等)に記憶させる制御を実行する第2記憶制御ステップと、
算出された前記排出量から、前記第2データベース(例えば
図6の環境価値DB202等)に記憶された前記環境価値のうち少なくとも一部を減算することで、前記組織(企業等)における温室効果ガス(GHG)の排出達成値(例えば2022年1月の達成値)を算出する排出達成値算出ステップと、
前記温室効果ガス(GHG)における前記排出達成値と前記排出目標値とを比較することで、前記温室効果ガス(GHG)の排出の目標達成の可能性を判断する比較判断ステップと、
前記比較判断ステップによる判断の結果に基づいて、前記第2データベース(例えば
図6の環境価値DB202等)に記憶された前記環境価値の利用を制御する制御ステップと、
を含む。
これにより、環境価値を有効に利用することができる。
【0100】
コンピュータに、
組織(例えば企業、工場、事業部、部門等のうち以下では企業とする)における温室効果ガス(GHG)の排出目標値(2021年12月に設定された2022年1月~4月の目標値)を取得して(例えば2021年12月に取得して)、前記排出目標値を第1データベース(例えば
図6のユーザ情報DB201等)に記憶させる制御を実行する第1記憶制御ステップと、
前記組織(企業等)の活動状況(例えば2022年1月における再生可能エネルギーの利用、工場設備の稼働状況、省エネ設備等の導入実績または計画等)を取得する(2022年2月1日に取得する)活動状況取得ステップと、
前記組織(企業等)の前記活動状況についての、前記温室効果ガス(GHG)の排出量(2022年1月の排出量の実績)、及び環境価値(例えば2022年1月に企業等内で生み出された環境価値)を算出する算出ステップと、
算出された前記環境価値(組織内で生み出された環境価値)を含む、前記組織(企業等)が保有する環境価値(組織内で生み出された環境価値+他から取得した環境価値)を第2データベース(例えば
図6の環境価値DB202等)に記憶させる制御を実行する第2記憶制御ステップと、
算出された前記排出量から、前記第2データベース(例えば
図6の環境価値DB202等)に記憶された前記環境価値のうち少なくとも一部を減算することで、前記組織(企業等)における温室効果ガス(GHG)の排出達成値(例えば2022年1月の達成値)を算出する排出達成値算出ステップと、
前記温室効果ガス(GHG)における前記排出達成値と前記排出目標値とを比較することで、前記温室効果ガス(GHG)の排出の目標達成の可能性を判断する比較判断ステップと、
前記比較判断ステップによる判断の結果に基づいて、前記第2データベース(例えば
図6の環境価値DB202等)に記憶された前記環境価値の利用を制御する制御ステップと、
を含む制御処理を実行させることにより、環境価値を有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0101】
1・・・サービス提供者サーバ、2・・・電力会社サーバ、3・・・環境価値取引市場サーバ、4・・・電力市場サーバ、11・・・CPU、12・・・ROM、13・・・RAM、14・・・バス、15・・・入出力インターフェース、16・・・出力部、17・・・入力部、18・・・記憶部、19・・・通信部、101・・・目標値記憶制御部、102・・・活動状況取得部、103・・・GHG排出量及び環境価値算出部、104・・・記憶制御部104、105・・・排出達成値算出部、106・・・比較判断部、107・・・制御部、201・・・ユーザ情報DB、201・・・環境価値DB