(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-07
(45)【発行日】2024-03-15
(54)【発明の名称】表面改質されたガス-生成ナノ粒子を用いた脂肪分解用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 33/10 20060101AFI20240308BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20240308BHJP
A61K 9/51 20060101ALI20240308BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20240308BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20240308BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20240308BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20240308BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20240308BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240308BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20240308BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20240308BHJP
A61K 8/85 20060101ALI20240308BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20240308BHJP
A61Q 90/00 20090101ALI20240308BHJP
C07K 7/06 20060101ALN20240308BHJP
C07K 7/08 20060101ALN20240308BHJP
C07K 14/00 20060101ALN20240308BHJP
【FI】
A61K33/10 ZNA
A61P3/04
A61K9/51
A61K47/34
A61K47/36
A61K47/42
A61K47/32
A61K47/38
A61K47/10
A61K8/19
A61K8/73
A61K8/85
A61K8/86
A61Q90/00
C07K7/06
C07K7/08
C07K14/00
(21)【出願番号】P 2022538223
(86)(22)【出願日】2020-08-03
(86)【国際出願番号】 KR2020010187
(87)【国際公開番号】W WO2021125488
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-08-09
(31)【優先権主張番号】10-2019-0171012
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522244078
【氏名又は名称】スーパーノヴァ バイオ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SUPERNOVA BIO CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョン、ウン ジュ
(72)【発明者】
【氏名】ソ、イェ ラン
【審査官】三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0359751(US,A1)
【文献】特表2014-510758(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0079244(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00- 33/44
A61P 1/00- 43/00
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00- 47/69
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00- 99/00
C07K 7/06
C07K 7/08
C07K 14/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
PubMed
Science Direct
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面改質されたガス-生成ナノ粒子を含む脂肪分解用薬学組成物であって、
脂肪細胞標的指向性又は細胞透過性ペプチドにより表面改質された生体適合性高分子;及び
前記生体適合性高分子の内部に封入された細粒炭酸カルシウム(Fine-grained Calcium Carbonate)結
晶を含
み、
前記ペプチドは、配列番号1~6のうちいずれか一つで記載されるアミノ酸配列からなることを特徴とする、脂肪分解用薬学組成物。
【請求項2】
前記表面改質されたガス-生成ナノ粒子は、脂肪細胞内に選択的に移入された後に脂肪細胞を死滅させることを特徴とする、請求項1に記載の脂肪分解用薬学組成物。
【請求項3】
前記表面改質されたガス-生成ナノ粒子は、脂肪細胞を除外した他の細胞を死滅させないことを特徴とする、請求項1に記載の脂肪分解用薬学組成物。
【請求項4】
前記表面改質は、前記生体適合性高分子末端アミン基と前記ペプチド末端アミン基のカルボジイミド結合によることを特徴とする、請求項1に記載の脂肪分解用薬学組成物。
【請求項5】
前記生体適合性高分子は、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、ポリラクチド-ポリグリコリド共重合体(PLGA)、澱粉、グリコーゲン、キチン、ペプチドグリカン、リグノスルホネート、タンニン酸、リグニン、ペクチン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド-ポリプロピレンオキシドブロック共重合体、セルロース、ヘミセルロース、ヘパリン、ヒアルロン酸、デキストラン及びアルジネートからなる群より選択された構造を有する重合体であることを特徴とする、請求項1に記載の脂肪分解用薬学組成物。
【請求項6】
前記ペプチド及び前記生体適合性高分子のモル比は、0.05:1~1:1であることを特徴とする、請求項1に記載の脂肪分解用薬学組成物。
【請求項7】
前記薬学組成物内の前記細粒炭酸カルシウム結晶の濃度は、0.01(w/v)%~10(w/v)%であることを特徴とする、請求項1に記載の脂肪分解用薬学組成物。
【請求項8】
前記薬学組成物は、注射剤又は経皮投与剤の形態であることを特徴とする、請求項1に記載の脂肪分解用薬学組成物。
【請求項9】
表面改質されたガス-生成ナノ粒子を含む脂肪分解用化粧料組成物であって、
脂肪細胞標的指向性又は細胞透過性ペプチドにより表面改質された生体適合性高分子;及び
前記生体適合性高分子の内部に封入された細粒炭酸カルシウム(Fine-grained Calcium Carbonate)結
晶を含
み、
前記ペプチドは、配列番号1~6のうちいずれか一つで記載されるアミノ酸配列からなることを特徴とする、脂肪分解用化粧料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、最適ペプチドにより表面改質されたガス-生成ナノ粒子を用いた脂肪分解用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
身体輪郭術市場の需要が巨大で且つ毎年継続して成長しているため、多様な方式の脂肪吸引及び脂肪分解方法が開発されている。製造会社は、過去に施行された脂肪吸引術が直面した短所を考慮して、体重調節及び身体輪郭術分野で、その主要関心を伝統的な脂肪吸引から最小侵襲性及び非侵襲性脂肪分解方法の開発に集中している。
【0003】
非侵襲性脂肪分解方法として、脂肪分解剤は、ダイエットと運動を通じて脂肪が非常にゆっくり落ちるか皮下にセルライト(変性脂肪)が形成されて脂肪減量がほとんど行われない部位に薬物又はガスを注入してセルライトを溶かして脂肪組織の収縮とリンパ球の循環を誘導して該当部位の脂肪減量を促進させる方法であって、主に注射剤又は経皮吸収剤として適用される。
【0004】
ただし、既存の脂肪分解剤は、脂肪細胞に局所的に注入された以後、脂肪分解過程で脂肪細胞周辺の脂肪成分を含有する神経細胞、筋肉細胞、骨細胞などに対しても影響を与えて多様な副作用を誘発する問題点があった。
【0005】
【0006】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】大韓民国登録特許公報第10-1613606号(2016.04.12)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、脂肪細胞内に選択的に移入された後、脂肪細胞を効果的で且つ安全に死滅させるためのものであって、脂肪細胞標的指向性又は細胞透過性ペプチドにより表面改質されたガス-生成ナノ粒子を含む脂肪分解用組成物などを提供しようとする。
【0009】
しかし、本発明が達成しようとする技術的課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及しなかったまた他の課題は、下の記載から当業者に明確に理解されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、脂肪細胞標的指向性又は細胞透過性ペプチドにより表面改質された生体適合性高分子;及び前記生体適合性高分子の内部に封入された細粒炭酸カルシウム(Fine-grained Calcium Carbonate)結晶を含有する表面改質されたガス-生成ナノ粒子を含有する脂肪分解用薬学組成物を提供する。
【0011】
前記表面改質されたガス-生成ナノ粒子は、脂肪細胞内に選択的に移入された後に脂肪細胞を死滅させ得る。
【0012】
前記表面改質されたガス-生成ナノ粒子は、脂肪細胞を除外した他の細胞を死滅させないことができる。
【0013】
前記ペプチドは、配列番号1~6のうちいずれか一つで記載されるアミノ酸配列からなり得る。
【0014】
前記表面改質は、前記生体適合性高分子の末端アミン基と前記ペプチドの末端アミン基のカルボジイミド結合によるものであってもよい。
【0015】
前記生体適合性高分子は、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、ポリラクチド-ポリグリコリド共重合体(PLGA)、澱粉、グリコーゲン、キチン、ペプチドグリカン、リグノスルホネート、タンニン酸、リグニン、ペクチン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド-ポリプロピレンオキシドブロック共重合体、セルロース、ヘミセルロース、ヘパリン、ヒアルロン酸、デキストラン及びアルジネートからなる群より選択された構造を有する重合体であってもよい。
【0016】
前記ペプチド及び前記生体適合性高分子のモル比は、0.05:1~1:1であってもよい。
【0017】
前記薬学組成物内の前記細粒炭酸カルシウム結晶の濃度は、0.01(w/v)%~10(w/v)%であってもよい。
【0018】
前記薬学組成物は、注射剤又は経皮投与剤の形態であってもよい。
【0019】
本発明の一具現例として、脂肪細胞標的指向性又は細胞透過性ペプチドにより表面改質された生体適合性高分子;及び前記生体適合性高分子の内部に封入された細粒炭酸カルシウム(Fine-grained Calcium Carbonate)結晶を含有する表面改質されたガス-生成ナノ粒子を含む脂肪分解用化粧料組成物を提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明による脂肪分解用組成物は、脂肪細胞標的指向性又は細胞透過性ペプチドにより表面改質された生体適合性高分子;及び前記生体適合性高分子の内部に封入された細粒炭酸カルシウム(Fine-grained Calcium Carbonate)結晶を含有する表面改質されたガス-生成ナノ粒子を含むことを特徴とするところ、脂肪細胞内に選択的に移入された後、凝縮ガスの爆発により脂肪細胞を効果的に死滅させ得るので、脂肪分解用途、ひいては肥満予防、改善又は治療用途として有用に活用され得る。また、本発明による脂肪分解用組成物は、脂肪細胞以外に、脂肪前駆細胞、繊維母細胞、筋肉細胞などを死滅させないので、副作用を最小化し得る利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、最適ペプチド(P1-P5、P7)により表面改質されたPLGAガス-生成ナノ粒子の脂肪細胞内移入効果を蛍光顕微鏡で観察した写真である。
【0022】
【
図2】
図2は、最適ペプチド(P1)により表面改質されたPLGAガス-生成ナノ粒子の脂肪細胞内選択的移入効果を共焦点顕微鏡で観察した写真である。
【0023】
【
図3】
図3は、最適ペプチド(P1-P5)により表面改質されたPLGAガス-生成ナノ粒子(GNP)の単回処理による3T3-L1細胞死滅効果をスキャナで確認した写真である。
【0024】
【
図4】
図4は、最適ペプチド(P1、P3、P7)により表面改質されたPLGAガス-生成ナノ粒子(GNP)の多回処理による3T3-L1細胞死滅効果を確認したグラフである。
【0025】
【
図5】
図5は、様々なモル比の最適ペプチド(P1)により表面改質されたPLGAガス-生成ナノ粒子(GNP)の3T3-L1細胞死滅効果を確認したグラフである。
【0026】
【
図6】
図6は、細粒炭酸カルシウム結晶の様々な濃度による3T3-L1細胞死滅効果を確認したグラフである。
【0027】
【
図7】
図7は、最適ペプチド(P1)により表面改質されたPLGAガス-生成ナノ粒子(GNP)の選択的な3T3-L1細胞死滅効果を確認したグラフである。
【0028】
【
図8】
図8は、食餌誘導された肥満マウスでの最適ペプチド(P1)により表面改質されたPLGAガス-生成ナノ粒子(GNP)の脂肪減少効果を確認したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明者らは、ガス-生成ナノ粒子の表面に最適ペプチドとして脂肪細胞標的指向性又は細胞透過性ペプチドを導入させたことを特徴とする、表面改質されたガス-生成ナノ粒子を製造した。これは脂肪細胞内に選択的に移入された後、脂肪細胞を効果的に死滅させ得ることを確認して、本発明を完成した。
【0030】
【0031】
本発明は、脂肪細胞標的指向性又は細胞透過性ペプチドにより表面改質された生体適合性高分子;及び前記生体適合性高分子の内部に封入された細粒炭酸カルシウム(Fine-grained Calcium Carbonate)結晶を含有する表面改質されたガス-生成ナノ粒子を含む脂肪分解用薬学組成物を提供する。
【0032】
あるいは、本発明は、脂肪細胞標的指向性又は細胞透過性ペプチドにより表面改質された生体適合性高分子;及び前記生体適合性高分子の内部に封入された細粒炭酸カルシウム(Fine-grained Calcium Carbonate)結晶を含有する表面改質されたガス-生成ナノ粒子を含む肥満予防又は治療用薬学組成物を提供する。
【0033】
【0034】
まず、本発明で用いられるガス-生成ナノ粒子は、生体適合性高分子;及び前記生体適合性高分子の内部に封入された細粒炭酸カルシウム(Fine-grained Calcium Carbonate)結晶を含有することを特徴とする。
【0035】
本明細書内の「細粒炭酸カルシウム(Fine-grained Calcium Carbonate)結晶」は、化学的加工により製造された沈降性炭酸カルシウム(Precipitated Calcium Carbonate)とは区分されるものであって、一般的に高純度の結晶質石灰石を機械的に粉砕して分級して製造したものを意味する。
【0036】
また、本明細書内の「生体適合性高分子」は、生体組織又は血液と接触して組織を破壊させるか血液を凝固させない組織適合性(tissue compatibility)及び抗凝血性(blood compatibility)を有する高分子を意味し、エマルジョン工法によって細粒炭酸カルシウム結晶が封入された硬質-皮膜(hard shell)の球形状構造体を形成し得る高分子を意味する。具体的に、前記生体適合性高分子は、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、ポリラクチド-ポリグリコリド共重合体(PLGA)、澱粉、グリコーゲン、キチン、ペプチドグリカン、リグノスルホネート、タンニン酸、リグニン、ペクチン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド-ポリプロピレンオキシドブロック共重合体、セルロース、ヘミセルロース、ヘパリン、ヒアルロン酸、デキストラン及びアルジネートからなる群より選択された構造を有する重合体であってもよい。
【0037】
前記ガス-生成ナノ粒子は、生体適合性高分子が形成する硬質-皮膜(hard shell)の球形状構造体の内部に細粒炭酸カルシウム結晶が流動なしに差し込まれている形態であり、前記球形状構造体の中心から外部表面に至るまで分布確率上の有意差がなく均一に差し込まれている構造を意味する。
【0038】
前記ガス-生成ナノ粒子で、前記細粒炭酸カルシウム結晶及び前記生体適合性高分子の重量比は、0.001:1~1:1であってもよく、0.005:1~0.5:1であることが好ましく、0.005:1~0.05:1であることがより好ましいが、これに限定されない。前記ガス-生成ナノ粒子で、前記細粒炭酸カルシウム結晶の含量が過度に低い場合には、二酸化炭素気体の発生が不十分であるという問題点があり、前記生体適合性高分子の含量が過度に低い場合には、硬質-皮膜(hard shell)の球形状構造体が堅固ではないという問題点がある。
【0039】
前記ガス-生成ナノ粒子は、酸性環境で前記生体適合性高分子の内部に封入された細粒炭酸カルシウムが二酸化炭素気体を生成する反応を起こすことになる。すなわち、細粒炭酸カルシウム結晶が二酸化炭素気体を発生させる場合、前記ガス-生成ナノ粒子の内部圧力が漸進的に増加し、最終的に前記ガス-生成ナノ粒子の爆発を誘導することになる。このような凝縮ガス爆発により細胞を効果的に死滅させ得る。ただし、前記ガス-生成ナノ粒子の表面に最適ペプチドの導入なしには、無分別な細胞死滅による副作用が問題となる。
【0040】
前記ガス-生成ナノ粒子は、前記生体適合性高分子の内部に公知の脂肪分解剤又は肥満治療剤を追加で封入させることによって炭酸カルシウム結晶と上昇効果を発生させ得る。
【0041】
【0042】
これによって、本発明による脂肪分解用あるいは肥満予防又は治療用薬学組成物は、表面改質されたガス-生成ナノ粒子を含むが、前記表面改質されたガス-生成ナノ粒子は、前記ガス-生成ナノ粒子の表面に最適ペプチドとして脂肪細胞標的指向性又は細胞透過性ペプチドを導入させたことを特徴とする。
【0043】
これによって、前記表面改質されたガス-生成ナノ粒子は、脂肪細胞内に選択的に移入された後に脂肪細胞を死滅させ得る。一方、前記表面改質されたガス-生成ナノ粒子は、脂肪細胞を除いた他の細胞(脂肪前駆細胞、繊維母細胞、筋肉細胞など)を死滅させないか死滅を最小化することができる。したがって、脂肪分解用途、ひいては肥満予防、改善又は治療用途で有用に活用され得る。
【0044】
前記表面改質は、前記生体適合性高分子末端アミン基と前記ペプチド末端アミン基のカルボジイミド結合により行われ得る。このとき、前記生体適合性高分子末端アミン基は、前記生体適合性高分子に存在するカルボキシル基の活性化を通じて導入され得、前記ペプチド(システイン)末端アミン基と反応してカルボジイミド結合を成すことができる。
【0045】
前記最適ペプチドとして、脂肪細胞標的指向性又は細胞透過性ペプチドを用いたことを特徴とするが、配列番号1~6のうちいずれか一つで記載されるアミノ酸配列からなるものであってもよい。
【0046】
具体的に、前記最適ペプチドとして、配列番号1又は2で記載されるアミノ酸配列からなる脂肪細胞標的指向性ペプチド単独;配列番号3又は4で記載されるアミノ酸配列からなる細胞透過性ペプチド単独;配列番号5又は6で記載されるアミノ酸配列からなる脂肪細胞標的指向性ペプチド及び細胞透過性ペプチドの線形;又は配列番号7で記載されるアミノ酸配列からなる脂肪細胞標的指向性ペプチド及び細胞透過性ペプチドの組み合わせ型(このとき、モル比=1:100~100:1、好ましいモル比=1:10~10:1)が用いられ得る。特に、前記最適ペプチドは、配列番号1で記載されるアミノ酸配列からなるものが脂肪細胞の死滅効果を最大化させる側面で好ましいが、これに限定されない。
【0047】
前記ペプチド及び前記生体適合性高分子のモル比は、0.05:1~1:1であってもよく、0.5:1~1:1であることが好ましいが、これに限定されない。前記ペプチドの含量が増加するに従い脂肪細胞の死滅効果を増加させ得るという利点がある。ただし、前記ペプチドは、前記生体適合性高分子の末端作用基を通じて導入され得るので、前記ペプチド及び前記生体適合性高分子の最大モル比は、1:1であってもよい。さらに、前記ペプチドが配列番号3又は4で記載されるアミノ酸配列からなる場合、前記ペプチドの含量が増加するに従い生成された表面-改質されたガス-生成ナノ粒子が凝集して安定性が大きく低下する問題点がある。
【0048】
【0049】
前記表面改質されたガス-生成ナノ粒子の直径は、100nm~250nmであってもよく、120nm~250nmであることが好ましく、150nm~250nmであることがより好ましく、160nm~230nmであることが最も好ましいが、これに限定されない。このような直径の範囲で脂肪細胞を効果的に死滅させ得る。
【0050】
【0051】
前記薬学組成物内の前記細粒炭酸カルシウム結晶の濃度は、0.01(w/v)%~10(w/v)%であってもよく、0.05(w/v)%~10(w/v)%であることが好ましいが、これに限定されない。このように前記薬学組成物内の前記細粒炭酸カルシウム結晶の濃度が増加するに従い、脂肪細胞の死滅効果を増加させ得る。
【0052】
前記薬学組成物は、それぞれ通常の方法によって経口剤又は非経口剤の形態で剤形化され得、局所部位(例えば、脂肪パッド)に注入する注射剤形態やマイクロニードル又はパッチを用いて注入する経皮投与剤形態で剤形化されることが好ましいが、これに限定されない。前記薬学組成物が注射剤形態又は経口投与剤形態で剤形化される場合、従来カーボキシセラピー(carboxytherapy)手術、メソセラピー(mesotherpy)、ホスファチジルコリン注射、デオキシコリン注射、貯蔵性脂肪溶解注射などを代替し得るという利点がある。
【0053】
このような剤形化のために、前記薬学組成物の製造に通常的に用いられる適切な担体、賦形剤又は希釈剤を含むことができる。
【0054】
前記担体又は、賦形剤又は希釈剤としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、澱粉、アカシアガム、アルジネート、ゼラチン、カルシウムホスフェート、カルシウムシリケート、セルロース、メチルセルロース、未晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、タルク、マグネシウムステアレート及び鉱物油などを含む多様な化合物あるいは混合物が挙げられる。
【0055】
特に、非経口剤形態(特に、注射剤形態)には、滅菌された水溶液、非水溶性剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、坐剤が含まれる。非水性溶剤、懸濁剤としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性油、エチルオレートのような注射可能なエステルなどを用いることができる。坐剤の基材としては、ウィテブソル(witepsol)、マクロゴール、ツイン(tween)61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロールゼラチンなどを用いることができる。
【0056】
前記薬学組成物の好ましい投与量は、患者の状態、体重、疾病の程度、薬物形態、投与経路及び期間によって異なるが、当業者により適切に選択され得る。しかし、好ましい効果のためには、1日0.0001~2,000mg/kgで投与することがよく、好ましくは、0.001~2,000mg/kgで投与することがよい。投与は、一日一回投与してもよく、数回に分けて投与してもよい。ただし、前記投与量によって本発明の範囲を限定するものではない。
【0057】
前記薬学組成物は、ラット、マウス、家畜、ヒトなどの哺乳動物に多様な経路で投与することができる。投与の全ての方式は、例えば、経口、皮膚、脂肪パッド、直腸又は静脈、筋肉、皮下、子宮内硬膜又は脳血管内(intracerebroventricular)注射により投与することができる。
【0058】
【0059】
また、本発明は、脂肪細胞標的指向性又は細胞透過性ペプチドにより表面改質された生体適合性高分子;及び前記生体適合性高分子の内部に封入された細粒炭酸カルシウム(Fine-grained Calcium Carbonate)結晶を含有する表面改質されたガス-生成ナノ粒子を含む脂肪分解用化粧料組成物を提供する。
【0060】
あるいは、本発明は、脂肪細胞標的指向性又は細胞透過性ペプチドにより表面改質された生体適合性高分子;及び前記生体適合性高分子の内部に封入された細粒炭酸カルシウム(Fine-grained Calcium Carbonate)結晶を含有する表面改質されたガス-生成ナノ粒子を含む肥満予防又は改善用化粧料組成物を提供する。
【0061】
【0062】
本発明による化粧料組成物は、水溶性ビタミン、脂溶性ビタミン、高分子ペプチド、高分子多糖、スフィンゴ脂質及び海草エキスからなる群より選択された組成物を含むが、これに限定されない。
【0063】
前記水溶性ビタミンとしては、化粧品に配合可能なものであれば、いずれも使用可能であるが、好ましくは、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ピリドキシン、ピリドキシン塩酸、ビタミンB12、パントテン酸、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、葉酸、ビタミンC、ビタミンHなどが挙げられ、それらの塩(チアミン塩酸塩、アスコルビン酸ナトリウム塩など)や誘導体(アスコルビン酸-2-リン酸ナトリウム塩、アスコルビン酸-2-リン酸マグネシウム塩など)を含むが、これに限定されない。
【0064】
前記脂溶性ビタミンとしては、化粧品に配合可能なものであれば、いずれも使用可能であるが、好ましくは、ビタミンA、カロチン、ビタミンD2、ビタミンD3、ビタミンE(dl-αトコフェロール、d-αトコフェロール)及び、それらの誘導体(パルミチン酸アスコルビン、ステアリン酸アスコルビン、ジパルミチン酸アスコルビン、酢酸dl-αトコフェロール、ニコチン酸dl-αトコフェロールビタミンE、DL-パントテニルアルコール、D-パントテニルアルコール、パントテニルエチルエーテルなど)を含むが、これに限定されない。
【0065】
前記高分子ペプチドとしては、化粧品に配合可能なものであれば、いずれも使用可能であるが、コラーゲン、加水分解コラーゲン、ゼラチン、エラスチン、加水分解エラスチン又はケラチンが好ましいが、これに限定されない。
【0066】
前記高分子多糖としては、化粧品に配合可能なものであれば、いずれも使用可能であるが、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガム、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸又はその塩(ナトリウム塩など)が好ましいが、これに限定されない。
【0067】
前記スフィンゴ脂質としては、化粧品に配合可能なものであれば、いずれも使用可能であるが、セラミド、フィトスフィンゴシン、スフィンゴ糖脂質が好ましいが、これに限定されない。
【0068】
前記海草エキスとしては、化粧品に配合可能なものであれば、いずれも使用可能であるが、褐藻エキス、紅藻エキス又は緑藻エキスが好ましく、これらの海草エキスから精製されたカラギナン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム又はアルギン酸カルシウムが好ましいが、これに限定されない。
【0069】
前記化粧料組成物には、前記必須成分と共に、必要に応じて通常化粧料に配合される他の成分を配合し得る。前記他の成分としては、油脂成分、保湿剤、エモリエント剤、界面活性剤、有機及び無機顔料、有機粉体、紫外線吸収剤、防腐剤、殺菌剤、酸化防止剤、植物抽出物、pH調整剤、アルコール、色素、香料、血行促進剤、冷感剤、制汗剤又は精製水が好ましいが、これに限定されない。
【0070】
前記油脂成分としては、エステル系油脂、炭化水素系油脂、シリコーン系油脂、フッ素系油脂、動物油脂又は植物油脂が好ましいが、これに限定されない。エステル系油脂としては、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、2-エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸エチル、パルミチン酸オクチル、イソステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、リノレン酸エチル、リノレン酸イソプロピル、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソステアリル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソスステアリン酸イソセチル、セバシン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル、ネオペンタン酸イソアルキル、トリ(カプリル、カプリン酸)グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、カプリル酸セチル、ラウリン酸デシル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸デシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、オレイン酸デシル、リシノオレイン酸セチル、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、パルミチン酸イソセチル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸イソデシル、オレイン酸オクチルドデシル、リノレン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、2-エチルヘキサン酸セトステアリル、2-エチルヘキサン酸ステアリル、イソステアリン酸ヘキシル、ジオクタン酸エチレングリコール、ジオレイン酸エチレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジ(カプリル、カプリン酸)プロピレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、トリカプリル酸グリセリル、トリウンデシル酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、オクタン酸イソステアリル、イソノナン酸オクチル、ネオデカン酸ヘキシルデシル、ネオデカン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸オクチルデシル、ポリグリセリンオレイン酸エステル、ポリグリセリンイソステアリン酸エステル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリイソアルキル、クエン酸トリイソオクチル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、乳酸オクチルデシル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリオクチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ヒドロキシステアリン酸2-エチルヘキシル、コハク酸ジ2-エチルヘキシル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジオクチル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、オレイン酸ジヒドロコレステリル、イソステアリン酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソセチル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸ステアリル又は12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソステアイルなどのエステル系が好ましいが、これに限定されない。
【0071】
前記炭化水素系油脂としては、スクワラン、流動パラフィン、α-オレフィンオリゴマー、イソパラフィン、セレシン、パラフィン、流動イソパラフィン、ポリブテン、マイクロクリスタリンワックス又はワセリンなどの炭化水素系油脂が好ましいが、これに限定されない。
【0072】
前記シリコーン系油脂としては、ポリメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルポリシロキサン、デカメチルポリシロキサン、ドデカメチルシクロシロキサン、ジメチルシロキサンメチルセチルオキシシロキサン共重合体、ジメチルシロキサンメチルステアロキシシロキサン共重合体、アルキル変性シリコーンオイル又はアミノ変性シリコーンオイルが好ましいが、これに限定されない。
【0073】
前記フッ素系油脂としては、パーフルオロポリエーテルが好ましいが、これに限定されない。
【0074】
前記動物又は植物油脂としては、アボカド油、アーモンド油、オリーブ油、ゴマ油、コメヌカ油、サフラワー油、大豆油、トウモロコシ油、ナタネ油、杏仁油、パーム核油、パーム油、ヒマシ油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、綿実油、ヤシ油、ククイナッツ油、小麦胚芽油、コメ胚油、シアバター、月見草オイル、マカデミアナッツ油、メドウフォーム油、卵黄油、牛脂、ウマ油、ミンク油、オレンジラッフィー油、ホホバ油、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、液状ラノリン又は硬化ヒマシ油などの動物又は植物油脂が好ましいが、これに限定されない。
【0075】
前記保湿剤としては、水溶性低分子保湿剤、脂溶性低分子保湿剤、水溶性高分子又は脂溶性高分子が好ましいが、これに限定されない。水溶性低分子保湿剤としては、セリン、グルタミン、ソルビトール、マンニトール、ピロリドン-カルボン酸ナトリウム、グリセリン、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコールB(重合度n=2以上)、ポリプロピレングリコール(重合度n=2以上)、ポリグリセリンB(重合度n=2以上)、乳酸又は乳酸塩が好ましいが、これに限定されない。脂溶性低分子保湿剤としては、コレステロール又はコレステロールエステルが好ましいが、これに限定されない。水溶性高分子としては、カルボキシビニルポリマー、ポリアスパラギン酸塩、トラガカント、キサンタンガム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、水溶性キチン、キトサン又はデキストリンが好ましいが、これに限定されない。脂溶性高分子としては、ポリビニルピロリドンエイコセン共重合体、ポリビニルピロリドンヘキサデセン共重合体、ニトロセルローズ、デキストリン脂肪酸エステル又は高分子シリコーンが好ましいが、これに限定されない。エモリエント剤としては、長鎖アシルグルタミン酸コレステリルエステル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、12-ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸、ロジン酸又はラノリン脂肪酸コレステリルエステルが好ましいが、これに限定されない。
【0076】
前記界面活性制としては、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤又は両性界面活性剤が好ましいが、これに限定されない。非イオン性界面活性剤としては、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、POE(ポリオキシエチレン)ソルビタン脂肪酸エステル、POEソルビット脂肪酸エステル、POEグリセリン
【0077】
脂肪酸エステル、POEアルキルエーテル、POE脂肪酸エステル、POE硬化ヒマシ油、POEヒマシ油、POEPOP(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン)共重合体、POEPOPアルキルエーテル、ポリエーテル変性シリコーン、ラウリン酸アルカノールアミド、アルキルアミンオキシド又は水素添加大豆リン脂質が好ましいが、これに限定されない。陰イオン性界面活性剤としては、脂肪酸石鹸、α-アシルスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、POEアルキルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩、アルキルリン酸塩、POEアルキルリン酸塩、アルキルアミドリン酸塩、アルキロイルアルキルタウリン塩、N-アシルアミノ酸塩、POEアルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルスルホ酢酸ナトリウム、アシル化加水分解コラーゲンペプチド塩又はパーフルオロアルキルリン酸エステルが好ましいが、これに限定されない。陽イオン性界面活性剤としては、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セトステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、臭化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド又はラノリン誘導体第4級アンモニウム塩が好ましいが、これに限定されない。両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン型、アミドベタイン型、スルホベタイン型、ヒドロキシスルホベタイン型、アミドスルホベタイン型、ホスホベタイン型、アミノカルボン酸塩型、イミダゾリン誘導体型又はアミドアミン型などの両性界面活性剤が好ましいが、これに限定されない。
【0078】
前記有機及び無機顔料としては、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、タルク、セリサイト、マイカ、カオリン、ベンガラ、クレー、ベントナイト、チタン被膜雲母、オキシ塩化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化鉄、群青、酸化クロム、水酸化クロム、カラミン及びこれらの複合体などの無機顔料;ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ジビニルベンゼンスチレン共重合体、シルクパウダー、セルロース、CIピグメントイエロー、CIピグメントオレンジなどの有機顔料及びこれらの無機顔料と有機顔料の複合顔料が好ましいが、これに限定されない。
【0079】
前記有機粉体としては、ステアリン酸カルシウムなどの金属石鹸;セチルリン酸亜鉛ナトリウム、ラウリルリン酸亜鉛、ラウリルリン酸カルシウムなどのアルキルリン酸金属塩;N-ラウロイル-β-アラニンカルシウム、N-ラウロイル-β-アラニン亜鉛、N-ラウロイルグリシンカルシウムなどのアシルアミノ酸多価金属塩;N-ラウロイル-タウリンカルシウム、N-パルミトイル-タウリンカルシウムなどのアミドスルホン酸多価金属塩;N-ε-ラウロイル-L-リジン、N-ε-パルミトイルリジン、N-αパルミトイルオルニチン、N-α-ラウロイルアルギニン、N-α-硬化牛脂脂肪酸アシルアルギニンなどのN-アシル塩基性アミノ酸;N-ラウロイルグリシルグリシンなどのN-アシルポリペプチド;α-アミノカプリル酸、α-アミノラウリン酸などのα-アミノ脂肪酸;又はポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ジビニルベンゼンスチレン共重合体、四フッ化エチレンが好ましいが、これに限定されない。
【0080】
前記紫外線吸収剤としては、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エチル、パラアミノ安息香酸アミル、パラアミノ安息香酸オクチル、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸フェニル、サリチル酸オクチル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸ブチルフェニル、サリチル酸ホモメンチル、ケイ皮酸ベンジル、パラメトキシケイ皮酸-2-エトキシエチル、パラメトキシケイ皮酸オクチル、ジパラメトキシケイ皮酸モノ-2-エチルヘキサングリセリル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、ジイソプロピルジイソプロピルケイ皮酸エステル混合物、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、ヒドロキシメトキシベンゾフェノン、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸及びその塩、ジヒドロキシメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、2、4、6-トリアニリノ-p-(カルボ-2’-エチルヘキシル-1’-オキシ)-1、3、5-トリアジン又は2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾールが好ましいが、これに限定されない。
【0081】
前記殺菌剤としては、ヒノキチオール、トリクロサン、トリクロロヒドロキシジフェニルエーテル、クロルヘキシジングルコン酸塩、フェノキシエタノール、レゾルシン、イソプロピルメチルフェノール、アズレン、サリチル酸、ジンクピリチオン、塩化ベンザルコニウム、感光素301号、モノニトログアヤコールナトリウム又はウンデシレン酸が好ましいが、これに限定されない。
【0082】
前記酸化防止剤としては、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸プロピル又はエリソルビン酸が好ましいが、これに限定されない。
【0083】
前記pH調整剤としては、クエン酸、クエン酸ナトリウム、リンゴ酸、リンゴ酸ナトリウム、フマル酸、フマル酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸ナトリウム、水酸化ナトリウム又はリン酸一水素ナトリウムが好ましいが、これに限定されない。
【0084】
前記アルコールとしては、セチルアルコールなどの高級アルコールが好ましいが、これに限定されない。
【0085】
また、それ以外に添加しても良い配合成分は、これに限定されるものではなく、また前記全ての成分は本発明の目的及び効果を損傷させない範囲内で配合可能であるが、総重量に対して0.01~5%重量百分率で配合することが好ましく、0.01~3%重量百分率で配合することがより好ましいが、これに限定されない。
【0086】
前記化粧料組成物は、溶液、乳化物又は粘性型混合物の形状を取ることができるが、これに限定されない。
【0087】
前記化粧料組成物に含まれる成分は、有効成分として前記化合物以外に化粧料組成物に通常的に用いられる成分を含むことができ、安定化剤、溶解化剤、ビタミン、顔料及び香料のような通常的な補助剤及び担体を含むことができるが、これに限定されない。
【0088】
前記化粧料組成物は、当業界で通常的に製造されるいずれの剤形でも製造され得、乳液、クリーム、化粧水、パック、ファウンデーション、ローション、美容液又は毛髪化粧料として製造され得るが、これに限定されない。具体的に、前記化粧料組成物は、スキンローション、スキンソフナー、スキントナー、アストリンゼント、ローション、ミルクローション、モイスチャーローション、栄養ローション、マッサージクリーム、栄養クリーム、モイスチャークリーム、ハンドクリーム、ファウンデーション、エッセンス、栄養エッセンス、パック、石鹸、クレンジングフォーム、クレンジングローション、クレンジングクリーム、ボディローション又はボディクレンザーの剤形を含むが、これに限定されない。
【0089】
前記剤形がペースト、クリーム又はゲルである場合には、担体成分として動物繊維、植物繊維、ワックス、パラフィン、澱粉、トラカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、シリカ、タルク又は酸化亜鉛が用いられ得るが、これに限定されない。
【0090】
前記剤形がパウダー又はスプレーである場合には、担体成分としてラクトース、タルク、シリカ、アルミニウムヒドロキシド、カルシウムシリケート又はポリアミドパウダーが用いられ得、特に、スプレーである場合には、追加的にクロロフルオロヒドロカボン、プロパン/ブタン又はジメチルエーテルのような推進体を含むことができるが、これに限定されない。
【0091】
前記剤形が溶液又は乳濁液である場合には、担体成分として溶媒、溶媒化剤又は乳濁化剤が用いられ、水、エタノール、イソプロパノール、エチルカーボネート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチルグリコールオイル、グリセロール脂肪族エステル、ポリエチレングリコール又はソルビンタンの脂肪酸エステルが用いられ得るが、これに限定されない。
【0092】
前記剤形が懸濁液である場合には、担体成分として水、エタノール又はプロピレングリコールのような液状希釈剤、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステル及びポリオキシエチレンソルビタンエステルのような懸濁剤、微小結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、アガー又はトラカントが用いられ得るが、これに限定されない。
【0093】
前記剤形が界面活性剤含有クレンジングである場合には、担体成分として脂肪族アルコールスルフェート、脂肪族アルコールエーテルスルフェート、スルホコハク酸モノエステル、イセチオネート、イミダゾリニウム誘導体、メチルタウレート、サルコシネート、脂肪酸アミドエーテルスルフェート、アルキルアミドベタイン、脂肪族アルコール、脂肪酸グリセリド、脂肪酸ジエタノールアミド、植物性油、リノリン誘導体又はエトキシル化グリセロール脂肪酸エステルが用いられ得るが、これに限定されない。
【0094】
【0095】
上述したように、本発明による脂肪分解用組成物は、脂肪細胞標的指向性又は細胞透過性ペプチドにより表面改質された生体適合性高分子;及び前記生体適合性高分子の内部に封入された細粒炭酸カルシウム(Fine-grained Calcium Carbonate)結晶を含有する表面改質されたガス-生成ナノ粒子を含むことを特徴とするところ、脂肪細胞内に選択的に移入された後、脂肪細胞を効果的に死滅させ得るので、脂肪分解用途、ひいては肥満予防、改善又は治療用途で有用に活用され得る。また、本発明による脂肪分解用組成物は、脂肪細胞以外に、脂肪前駆細胞、繊維母細胞、筋肉細胞などを死滅させないので、副作用を最小化し得るという利点がある。
【0096】
【0097】
また、本発明は、脂肪細胞標的指向性又は細胞透過性ペプチドにより表面改質された生体適合性高分子;及び前記生体適合性高分子の内部に封入された細粒炭酸カルシウム(Fine-grained Calcium Carbonate)結晶を含有する表面改質されたガス-生成ナノ粒子を、脂肪分解用薬学組成物に用いるための用途を提供する。
【0098】
また、本発明は、脂肪細胞標的指向性又は細胞透過性ペプチドにより表面改質された生体適合性高分子;及び前記生体適合性高分子の内部に封入された細粒炭酸カルシウム(Fine-grained Calcium Carbonate)結晶を含有する表面改質されたガス-生成ナノ粒子を、脂肪分解用化粧料組成物に用いるための用途を提供する。
【0099】
また、本発明は、脂肪細胞標的指向性又は細胞透過性ペプチドにより表面改質された生体適合性高分子;及び前記生体適合性高分子の内部に封入された細粒炭酸カルシウム(Fine-grained Calcium Carbonate)結晶を含有する表面改質されたガス-生成ナノ粒子を個体に投与する段階を含む脂肪分解方法を提供する。
【0100】
本発明で「個体」とは、疾病の治療を必要とする対象を意味し、より具体的には、ヒト又は非ヒトである霊長類、マウス(mouse)、ラット(rat)、イヌ、ネコ、ウマ及びウシなどの哺乳類を意味する。
【実施例】
【0101】
【0102】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示する。しかし、下記の実施例は本発明をより容易に理解するために提供されるものであって、下記実施例によって本発明の内容が限定されるものではない。
【0103】
【0104】
<実施例>
【0105】
実施例1:最適ペプチド(P1-P7)により表面改質されたPLGA(poly(lactide-co-glycolide)ガス-生成ナノ粒子(GNP)の製造
【0106】
大韓民国登録特許公報第10-1613606号の実施例2に開示した方法によってPLGAガス-生成ナノ粒子を準備した。準備されたPLGAガス-生成ナノ粒子と最適ペプチド(P1-P7)をカルボジイミド結合反応させて表面を改質した。
【0107】
具体的に、PLGAガス-生成ナノ粒子(0.5mM)を0.1M MESバッファー(pH7.0)に懸濁し、PLGAガス-生成ナノ粒子に存在する末端カルボキシル基を活性化させるためにEDC(0.5mM)/sulfo-NHS(0.5mM)を添加した。活性化PLGAガス-生成ナノ粒子は、一日間エチレンジアミン(0.5mM)と反応させた後、脱イオン水で3回洗浄した後にMESバッファー(pH7.0)に再懸濁した。1次アミン基で機能化PLGAガス-生成ナノ粒子が懸濁された溶液にEDC/sulfo-NHS及び下記表1に記載した最適ペプチド(最適ペプチド:PLGAのモル比=1:1)を添加して反応させた後、脱イオン水で洗浄した後に凍結乾燥した。
【0108】
【0109】
【0110】
実施例2:3T3-L1細胞の培養及び分化
【0111】
3T3-L1未分化細胞をコンフォーカルディッシュ(confocal dish)又は96wellプレートに培養させ、10%仔ウシ血清(BCS、Bovine Calf Serum)を含有するDMEM(Dulbecco's modified Eagle's medium)で37℃、5% CO2下で培養した。3T3-L1細胞がコンフルエンス(confluence)を成した以後、2日目(Day0)まで成長させ、10%ウシ胎芽血清(FBS、Fetal bovine serum)が含有された成長培地にMDI(0.5μMメチルイソブチルキサンチン、1μMデキサメタゾン及び10mg/Lインスリン)が含まれた培地で2日間処理した。その後、10mg/Lインスリンが単独で含有された成長培地で追加で2日間処理した後、成長培地を2日ごとに交換しながら培養し、分化誘導後7日目に全ての実験を始めた。
【0112】
【0113】
実施例3:最適ペプチド(P1-P5、P7)により表面改質されたPLGAナノ粒子(PNP)の3T3-L1細胞内移入分析
【0114】
最適ペプチドにより表面改質されたPLGAナノ粒子の3T3-L1細胞内移入を分析するために、最適ペプチド[P1-P5、P7(このとき、P1及びP3の組み合わせ型;モル比=1:1)]により表面改質されたPLGAナノ粒子の表面に蛍光物質を導入させた。
【0115】
具体的に、蛍光物質(Cy5)が導入され、最適ペプチド[P1-P5、P7(このとき、P1及びP3の組み合わせ型;モル比=1:1)]により表面改質されたPLGAナノ粒子を0.5mg/mlの濃度で6時間の間3T3-L1細胞に処理し、3T3-L1細胞内移入を確認するためにリソソームを染色するLysoTracker Green DND-26を添加した。培地を除去してPBSで3回洗浄した後、4%ホルムアルデヒドで固定してDAPIを用いて核を染色してマウントをし、蛍光顕微鏡(TE2000-E)(Nikon)で観察した(
図1)。
【0116】
図1に示したように、脂肪細胞標的指向性又は細胞透過性ペプチド[P1-P5、P7(このとき、P1及びP3の組み合わせ型;モル比=1:1)]により表面改質されたPLGAナノ粒子は、表面改質されていないPLGAナノ粒子に比べて3T3-L1細胞内移入効果が全て向上したことが確認される。これは、PLGAナノ粒子に脂肪細胞標的指向性又は細胞透過性ペプチドの導入が細胞内伝達能を向上させたことを意味する。
【0117】
一方、脂肪細胞標的指向性ペプチド及び細胞透過性ペプチドが組み合わせ型[P7(このとき、P1及びP3の組み合わせ型;モル比=1:1)]で導入されて表面改質されたPLGAナノ粒子は、脂肪細胞標的指向性ペプチド及び細胞透過性ペプチドが線形(P5)で導入されて表面改質されたPLGAナノ粒子に比べてより高い共存(colocalization)様相を示すところ、3T3-L1細胞内移入効果が向上したと判断できる。
【0118】
【0119】
一方、3T3-L1細胞と、3T3-L1前駆細胞、NIH3T3繊維母細胞及びC2C12筋肉細胞に蛍光物質(Hoechst、Alexa 488、Lysotracker)が導入され、最適ペプチド(P1)により表面改質されたPLGAナノ粒子を0.5mg/mlの濃度で24時間の間処理し、細胞内移入を確認するためにリソソームを染色するLysoTracker Red DND-99を添加した。培地を除去してPBSで3回洗浄した後、4%ホルムアルデヒドで固定し、Hoechstを用いて核を染色してマウントをし、共焦点顕微鏡(TCS SP5)(Leica)で観察した(
図2)。
【0120】
図2に示したように、脂肪細胞標的指向性ペプチド(P1)により表面改質されたPLGAナノ粒子の場合、3T3-L1細胞内への伝達能は高かったが、3T3-L前駆細胞、NIH3T3繊維母細胞、C2C12筋肉細胞内へはほとんど伝達されないことが確認される。これは、脂肪細胞表面に多く発現されたプロヒビチンに特異的に結合する脂肪細胞標的指向性ペプチド(P1)により3T3-L1細胞にのみ選択的に伝達されたと判断できる。
【0121】
【0122】
実施例4:最適ペプチド(P1-P5)により表面改質されたPLGAガス-生成ナノ粒子(GNP)の単回処理による3T3-L1細胞の死滅効果の確認
【0123】
24ウェルプレートで3T3-L1細胞に最適ペプチド(P1-P5)により表面改質されたPLGAガス-生成ナノ粒子を0.5mg/mlの濃度で1回処理した後、培地を交替して計5日間培養した。3T3-L1細胞の分解効果は、3T3-L1細胞のグリセロールを染色する染色法であるOil Red O染色を通じて確認した。3T3-L1細胞は、PBSで3回洗浄した後4%ホルムアルデヒドで最小1時間以上固定し、再びPBSで3回洗浄した後に濾過されたOil Red O(0.3%)溶液で20分間染色させた後、蒸溜水で3回以上洗浄した後にスキャナを用いてイメージを収集した(
図3)。
【0124】
図3に示したように、Oil Red O染色を通じて残った脂肪を観察した結果、脂肪細胞標的指向性又は細胞透過性ペプチド(P1-P5)により表面改質されたPLGAガス-生成ナノ粒子は、表面改質されないPLGAナノ粒子又は表面改質されないPLGAガス-生成ナノ粒子に比べて3T3-L1細胞で脂肪減少が観察された。
【0125】
【0126】
実施例5:最適ペプチド(P1、P3、P7)により表面改質されたPLGAガス-生成ナノ粒子(GNP)の多回処理による3T3-L1細胞の死滅効果の確認
【0127】
96ウェルプレートで3T3-L1細胞に最適ペプチド[P1、P3、P7(このとき、P1及びP3の組み合わせ型;モル比=1:1)]により表面改質されたPLGAガス-生成ナノ粒子を0.005~0.1(w/v)%の薬物(=細粒炭酸カルシウム結晶)濃度で8日間計2回処理して薬物処理による脂肪細胞の死滅効果を確認した。3T3-L1細胞の死滅効果は、MTS(3-(4,5-dimethylthiazol-2-yl)-5-(3-carboxy-methoxyphenyl)-2-(4-sulfophenyl)-2H-tetrazolium、inner salt、MTS)溶液を各ウェルに20μlを入れて1時間の間培養した後、490nmで吸光度を測定して求め、その結果は、未処理の対照群に対する生存細胞の総百分率で表現した(
図4)。
【0128】
図4に示したように、脂肪細胞標的指向性又は細胞透過性ペプチド[P1、P3、P7(このとき、P1及びP3の組み合わせ型;モル比=1:1)]により表面改質されたPLGAガス-生成ナノ粒子は、表面改質されないPLGAガス-生成ナノ粒子に比べて2回処理を通じた3T3-L1細胞の死滅効果に優れていることが確認される。特に、脂肪細胞標的指向性ペプチド(P1)により表面改質されたPLGAガス-生成ナノ粒子の場合、2回処理を通じた3T3-L1細胞の死滅効果が特に優れていることが確認される。
【0129】
【0130】
実施例6:様々なモル比の最適ペプチド(P1)により表面改質されたPLGAガス-生成ナノ粒子(GNP)の3T3-L1細胞の死滅効果の確認
【0131】
最適ペプチド(P1)のモル比を様々にして(最適ペプチド:PLGAのモル比=0.05:1~1:1)、PLGAガス-生成ナノ粒子(GNP)の表面を改質した後、これを96ウェルプレートで3T3-L1細胞に0.05(w/v)%の薬物(=細粒炭酸カルシウム結晶)濃度で8日間、計2回処理して薬物処理による3T3-L1細胞の死滅効果を確認した(
図5)。
【0132】
図5に示したように、脂肪細胞標的指向性ペプチド(P1)のモル比が増加するに従い、3T3-L1細胞の死滅効果が増加することが確認され、脂肪細胞標的指向性ペプチド(P1)及びPLGAの最適モル比は、0.5:1~1:1であると判断できる。
【0133】
【0134】
実施例7:最適ペプチド(P1)により表面改質されたPLGAガス-生成ナノ粒子(GNP)の様々な濃度による3T3-L1細胞の死滅効果の確認
【0135】
最適ペプチド(P1)により表面改質されたPLGAガス-生成ナノ粒子(GNP)を96ウェルプレートで3T3-L1細胞に0.0~1.0(w/v)%の様々な薬物(=細粒炭酸カルシウム結晶)濃度で8日間、計2回処理して薬物処理による3T3-L1細胞の死滅効果を確認した(
図6)。
【0136】
図6に示したように、細粒炭酸カルシウム結晶の濃度が増加するに従い、3T3-L1細胞死滅効果が増加することが確認され、その最適濃度は、0.05(w/v)%以上であると判断できる。
【0137】
【0138】
実施例8:最適ペプチド(P1)により表面改質されたPLGAガス-生成ナノ粒子(GNP)の選択的な3T3-L1細胞の死滅効果の確認
【0139】
最適ペプチド(P1)により表面改質されたPLGAガス-生成ナノ粒子(GNP)を96ウェルプレートで3T3-L1細胞と、3T3-L1前駆細胞、NIH3T3繊維母細胞及びC2C12筋肉細胞に0.05(w/v)%の薬物(=細粒炭酸カルシウム結晶)濃度で8日間、計2回処理して薬物処理による3T3-L1細胞の死滅効果を確認した(
図7)。
【0140】
図7に示したように、脂肪細胞標的指向性ペプチド(P1)により表面改質されたPLGAガス-生成ナノ粒子(GNP)の場合、3T3-L1細胞の死滅効果は優れたが、3T3-L1前駆細胞、NIH3T3繊維母細胞、C2C12筋肉細胞の死滅効果は、些細なレベルであることが確認されたところ、3T3-L1細胞のみ選択的に死滅させ得る。
【0141】
【0142】
実施例9:食餌誘導された肥満マウスでの最適ペプチド(P1)により表面改質されたPLGAガス-生成ナノ粒子(GNP)の脂肪減少効果の確認
【0143】
5週齢の雄C57BL/6 male mouseをオリエントバイオ(Korea)から購入した。マウスは、2週間の順化期間と4週間の高脂肪食餌の適応期間後、7週から60kcal%の高脂肪食餌のみで飼育した。食餌誘導された肥満マウスは、気候が調節された環境で12時間light-dark cycleで飼育し、食餌と飲料水は自由に摂取するようにした。
【0144】
具体的に、食餌誘導された肥満マウスの右側鼠径部の脂肪パッドにPLGAガス-生成ナノ粒子(GNP)及び最適ペプチド(P1)により表面改質されたPLGAガス-生成ナノ粒子(GNP)(1(w/v)%)を100μlずつ2週間5回注射した。陽性対照群としては、同一体積のPBSを用いた。最終注射の一週間後に食餌誘導された肥満マウスを犠牲とし、薬物が注射された右側と損傷されない左側の脂肪パッドを摘出して重量を測定した。食餌誘導された肥満マウスの相対的脂肪パッド減少量は、損傷されない左側の脂肪パッドに対して薬物が注射された右側の脂肪パッドの重量比を通じて求めた(
図8)。
【0145】
図8に示したように、脂肪細胞標的指向性ペプチド(P1)により表面改質されたPLGAガス-生成ナノ粒子(GNP)を投与した群の場合、個体の体重減少なしに有意味な脂肪の減少効果を示すことが確認される。
【0146】
【0147】
上述した本発明の説明は例示に過ぎず、本発明が属する技術分野の通常の知識を有した者は、本発明の技術的思想や必須的な特徴を変更せずに他の具体的な形態に容易に変形が可能であることを理解すべきである。したがって、以上で記述した実施例は、全ての面で例示的なものであり、限定的ではないと理解しなければならない。
【配列表】