(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-07
(45)【発行日】2024-03-15
(54)【発明の名称】カッター器具
(51)【国際特許分類】
B26B 3/00 20060101AFI20240308BHJP
B26B 27/00 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
B26B3/00 B
B26B27/00 E
(21)【出願番号】P 2022580702
(86)(22)【出願日】2022-02-14
(86)【国際出願番号】 JP2022005567
(87)【国際公開番号】W WO2022173031
(87)【国際公開日】2022-08-18
【審査請求日】2023-03-07
(32)【優先日】2021-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】305017675
【氏名又は名称】矢口 太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】矢口 太郎
【審査官】須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-049247(JP,A)
【文献】特開平05-137856(JP,A)
【文献】実開平05-060473(JP,U)
【文献】実開平04-102974(JP,U)
【文献】実開平06-000353(JP,U)
【文献】実開平05-095472(JP,U)
【文献】実開平04-093066(JP,U)
【文献】特開2018-117863(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B1/00-11/00
B26B23/00-29/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端にガイド面が形成されてなる本体と、
基端部がこの本体に装着され、先端部を前記ガイド面から突出させてなるカッターと、
前記本体に前記ガイド面及び前記カッターの先端部を挟んで隠すように取り付けられ、少なくとも一方が前記ガイド面を支点としてカッターに対して閉じる方向及び開く方向に移動し、開く方向に移動することで、前記カッターの先端部を露出させる一対のカバー片とを有し、
前記カッターの先端部は尖った先端を有し、このカッターは、前記先端が上記基端部よりもこのカッターの進行方向に沿う前方に突出するように前記本体に傾けて取り付けられており、
前記カバー片には、このカバー片が前記カッターの先端部を挟んで隠した状態で前記先端を外部から目視するためのぞき穴が設けられているものである
ことを特徴とするカッター器具。
【請求項2】
請求項1記載のカッター器具において、
前記カバー片と本体との間には前記カバー片を開閉動作可能にするためのヒンジ部が設けられている
ことを特徴とするカッター器具。
【請求項3】
請求項2記載のカッター器具において、
前記ヒンジ部は、前記カバー片を閉じる方向に付勢するように構成されているものである
ことを特徴とするカッター器具。
【請求項4】
請求項2記載のカッター器具において、
前記カバー片と本体は一体部品として構成されており、
前記ヒンジ部は、このカバー片と本体との境目にスリットを設けることで形成されているものである
ことを特徴とするカッター器具。
【請求項5】
請求項4記載のカッター器具において、
前記スリットは前記ガイド面と平行に設けられている
ことを特徴とするカッター器具。
【請求項6】
請求項1記載のカッター器具において、
前記本体は前記カッターを挟む方向に分離可能な2以上の部品で構成され、前記カッターの基端部を挟んで接合されることで、前記カッターの先端を前記ガイド面から突出させた状態で保持するものである
ことを特徴とするカッター器具。
【請求項7】
請求項1記載のカッター器具において、
前記本体のガイド面は、紙の折り曲げられた頂線を案内するためのものである
ことを特徴とするカッター器具。
【請求項8】
請求項1記載のカッター器具において、
前記カバー片の開き角はカッターを基準にして90度以下に規制されている
ことを特徴とするカッター器具。
【請求項9】
請求項1記載のカッター器具において、
前記カバー片の開き角はカッターを基準にして60度以下に規制されている
ことを特徴とするカッター器具。
【請求項10】
請求項1記載のカッター器具において、
前記カバー片の開き角はカッターを基準にして45度以下に規制されている
ことを特徴とするカッター器具。
【請求項11】
請求項1記載のカッター器具において、
前記1対のカバー片は、閉じた状態で、両者を開かないように着脱自在に結合するファスナー手段を有するものである
ことを特徴とするカッター器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手紙や封筒、包装紙などを所定の折り目に沿って切断するための安全なカッター器具、特にペーパーカッターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、封筒を開封するためのペーパーオープナーと称される商品がある。
【0003】
このペーパーオープナーは、尖った先端部を切断したい紙の部分の裏側に侵入させ、次いで切断したい線に沿って移動させることで、所定の線に沿って紙を切断することができるというものである。
【0004】
しかしながら、これらの製品は紙を切断するカッターの部分が露出しており、使用方法によっては使用者がこのカッターに触れてしまうという危険性があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、前記のような事情に鑑みてなされたものであり、より安全なカッター器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、この発明の主要な観点によれば、以下の発明が提供される。
【0007】
(1) 一端にガイド面が形成されてなる本体と、
前記本体に装着され、前記ガイド面から先端部を突出させたカッターと、
前記本体に前記ガイド面及びカッターを挟んで隠すように取り付けられ、少なくとも一方が前記ガイド面を支点としてカッターに対して閉じる方向及び開く方向に移動し、開く方向に移動することで、前記カッターの先端部を露出させる一対のカバー片とを有する
ことを特徴とするカッター器具。
【0008】
(2) 前記(1)のカッター器具において、
前記カバー片と本体との間には前記カバー片を開閉動作可能にするためのヒンジ部が設けられている
ことを特徴とするカッター器具。
【0009】
(3) 前記(2)のカッター器具において、
前記ヒンジ部は、前記カバー片を閉じる方向に付勢するように構成されているものである
ことを特徴とするカッター器具。
【0010】
(4) 前記(2)のカッター器具において、
前記カバー片と本体は一体部品として構成されており、
前記ヒンジは、このカバー片と本体との境目にスリットを設けることで形成されているものである
ことを特徴とするカッター器具。
【0011】
(5) 前記(4)のカッター器具において、
前記スリットは、前記ガイド面と平行に設けられている
ことを特徴とするカッター器具。
【0012】
(6) 前記(1)のカッター器具において、
前記本体は前記カッターを挟む方向に分離可能な2以上の部品で構成され、前記カッターの基端部を挟んで接合されることで、前記カッターの先端を前記ガイド面から突出させた状態で保持するものである
ことを特徴とするカッター器具。
【0013】
(7) 前記(1)のカッター器具において、
前記本体のガイド面は、紙の折り曲げられた頂線を案内するためのものである
ことを特徴とするカッター器具。
【0014】
(8) 前記(1)のカッター器具において、
前記カバー片の開き角はカッターを基準にして90度以下に規制されている
ことを特徴とするカッター器具。
【0015】
(9) 前記(1)のカッター器具において、
前記カバー片の開き角はカッターを基準にして60度以下に規制されている
ことを特徴とするカッター器具。
【0016】
(10) 前記(1)のカッター器具において、
前記カバー片の開き角はカッターを基準にして45度以下に規制されている
ことを特徴とするカッター器具。
【0017】
(11) 前記(1)のカッター器具において、
前記1対のカバー片は、閉じた状態で、両者を開かないように着脱自在に結合するファスナー手段を有するものである
ことを特徴とするカッター器具。
【0018】
なお、前記に記載された以外の特徴については、以下の実施形態及び図面に開示されている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、この発明の一実施形態を示すペーパーカッターの斜視図。
【0020】
【0021】
【
図3】
図3は、同じく、使用時の形態を示す斜視図。
【0022】
【
図4】
図4は、同じく、ペーパーカッター内部の平面図。
【0023】
【
図5】
図5は、同じく、紙とペーパーカッターの位置関係を示す概略図。
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、この発明の一実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0029】
図1は、この発明のカッター器具としてのペーパーカッターを示す全体構成図である。
【0030】
(構成)
図に1で示すのは、本体である。この本体1は、例えば一面と他面とを有する例えば約2~3mmの厚さを有する平板状の部材である。そして、この本体1には、この本体1と面一かつ一体的に形成され、この本体の外側に向かって開放する一対のカバー片2、2が設けられている。
【0031】
前記本体1の、前記カバー片2、2との接合部に対応する部分には、前記一対のカバー片2、2の間に、切断したい紙を一方向(矢印)に沿って案内するための直線状ガイド面3が形成されている。
【0032】
そして、前記本体1と一対のガイド片2、2の接合部には、
図2に示すように、その外表面に、前記ガイド面3に平行に設けられたスリット4が設けられ、このスリット4の入った部分がヒンジとなって前記カバー片2、2は本体1に対して図に矢印で示すように開閉するようになっている。
【0033】
また、前記本体1は、
図4に示すように2つの部品(
図4はそのうち一方の部品)に分割されて構成され、カッター6(この実施形態では長さ40mmのデザインナイフの刃)が内装されており、基端部を前記本体1の装着溝に保持させた状態で、先端部6aが前記ガイド面3から前記カバー片2、2の間に向かって突出するように設けられている。ここで、カッター6の先端部6aの突出量は前記カバー片2、2が閉じた状態でこのカバー片2、2を超えて外側に延出しない量に設定されている。
【0034】
また、カバー片2、2には、前記カッター6の先端部6aをカバー片2、2の外側から確認するためののぞき穴7が形成されている。こののぞき穴7の径は例えば10mm以下に形成され、ユーザの指がこののぞき穴に入ってしまうことを防止できるようになっている。
【0035】
すなわち、このカバー片2、2を閉じている場合にはカッター6の先端部6aは完全に隠されており、
図3に示すように、このカバー2、2を開くことにより目視可能なように露出させることができるようになっている。
【0036】
なお、この実施例では、前記スリット4の幅及び深さを調整することにより、前記ガイド片2、2の開き角(
図6)は180度以下、若しくは120度以下、若しくは90度以下、若しくは60度以下、若しくは30度以下になるように規制されている。また、前記スリット4の深さなどを調整することにより、このカバー片2、2は閉じる方向に付勢されている。
【0037】
(使用方法)
図5に示すように、本体1と紙10の位置決めをする。ここで、紙10は切断したい線11、すなわち切断線(折り目)で2つ折りにする。そして、切断を開始したい側と、前記ガイド面5とが整列するように対向させる。
【0038】
次に、
図6に示すように、カバー片2、2を若干(例えば約60度)開いて前記折り目11とカッター先端6aを対向させて前記折り目11の裏側の前記紙11の間に挿入する。
【0039】
カッター先端6aを挿入できたならば、
図7に示すように、前記紙10の角度を元に戻し、再び折り目11とガイド面5を整列させる。
【0040】
ついで、本体1を折り目の方向(矢印)に沿って移動させる。このことで紙を切断できる(
図8、
図9)。
【0041】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は前記一実施形態に限定されるものではなく、発明要旨を変更しない範囲で種々変形可能である。
【0042】
例えば、前記一実施形態では、一対のカバー片2、2の両方が動いて開閉するものとしたが、少なくとも一方のみが開閉する構成であっても良い。
【0043】
また、前記実施形態では、前記カバー片2、2はスリット4を形成することでヒンジ部を構成することで開閉かつ閉じる方向に付勢されるものであったが、スリットを設けず部材の弾性だけで同様の動作を奏するように構成しても良い。また、前記ヒンジ部はスリットではなく、物理的・機械的なヒンジ機構で構成しても良い。この場合には、上位本体1とカバー片2は別部品としても良い。また、閉じる方向に付勢するために、前記ヒンジ機構にばね等が取り付けられていても良い。
【0044】
また、カバー片2、2の最大開閉角度は90度(カッター6を基準にすると片側45度)であったが、120度、60度、30度(カッター6を基準にすると片側60度、30度、15度)の角度に規制するものであっても良い。そして、前記カバー片2、2は、開いている状態で離すとヒンジの付勢力(復元力・ばね力)により自然に元の状態に閉じるように構成されていることが好ましく、この場合、例えば、前記のように開く角度を規制せず、本体の表面に当接するまで開くような構造にして、このカバー片2、2と本体とをボタン等のファスナー手段により着脱自在に固定できるようにしても良い。また、前記カバー片2が閉じている状態においては容易に開かないように、開いている状態を保持するためのスナップボタン等(フック等でも良い)のファスナー手段(ば
図4に13で示す)をカバー片2、2の互いに対向する位置に設けて閉じている場合にはこのファスナー手段を係合させるようにしても良い。
【0045】
さらに、前記ガイド面5は直線であったが曲面であっても良い。
【0046】
また、前記実施形態においてはカバー片2にナイフ6の先端部6aと紙との位置合わせをするためののぞき穴7が設けられていたが、これは、例えば保護カバーを透明部材で作製する場合、不要である。また、透明部材で作製しない場合でも単に設けない構成となっていても良い。
【0047】
さらに、カバー片2、2の外形は、閉じたときにカッター6の先端6aを安全に覆うことができる形状であればどのような形状であっても良い。また、カッター6の角度も、前記一実施形態のものに限定されるものではなく、カッター6が前記ガイド面5からほぼ垂直に延出するような構成であっても良い。
【0048】
また、カッターの形状や素材は前記一実施形態したものに限定されるものではなく、例えば、金属製でなくてもセラミック、プラスチックや木材製であっても良い。さらに、上記実施形態では、前記本体は2分割され、その間にカッターを挟んで保持する構成であったが、本体は2分割される必要はなく、また、カッターと本体は一体部品(例えばセラミックやプラスチック)で形成されてカッターの先端部のみが上記ガイド面から突出しているものであっても良い。
【0049】
さらに、この発明のカッター器具はレターオープナーとして用いられるものに限定されるものではなく、他のもの、例えば段ボール箱等を開けるために用いられるものであっても良い。この場合には、上記カバー片を段ボール箱の表面に当接する角度(180度や90度)まで広げて用いるようにすれば良い。
【符号の説明】
【0050】
1…本体
2…カバー片
3…直線状ガイド面
4…スリット
5…ガイド面
6…カッター
7…のぞき穴
10…紙
11…切断線(折り目)