(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-07
(45)【発行日】2024-03-15
(54)【発明の名称】冷凍装置
(51)【国際特許分類】
F25D 17/02 20060101AFI20240308BHJP
【FI】
F25D17/02 302
(21)【出願番号】P 2023216749
(22)【出願日】2023-12-22
【審査請求日】2023-12-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】393027729
【氏名又は名称】株式会社カンネツ
(74)【代理人】
【識別番号】100080746
【氏名又は名称】中谷 武嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100217881
【氏名又は名称】中谷 由美
(72)【発明者】
【氏名】荒木 努
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0212048(US,A1)
【文献】特開2013-061090(JP,A)
【文献】特開2004-361056(JP,A)
【文献】中国実用新案第217839062(CN,U)
【文献】特開2006-129739(JP,A)
【文献】特開2008-070035(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 3/36
F25D 9/00
F25D 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
低温の冷却液(A)を収容する液体槽(1)と、上記液体槽(1)内の底部に、水平状に配設された円盤(2)を、備え、
上記円盤(2)がモーター(3)と連結されて第1鉛直軸心(L
1 )廻りに回転自在であって、
上記円盤(2)上に、飲食物(E)を挿入して保持するための複数の飲食物保持体(4)を備え、上記飲食物(E)を上記飲食物保持体(4)に挿入して、上記円盤(2)を上記第1鉛直軸心(L
1 )廻りに回転させつつ、上記飲食物(E)を冷凍するように構成し
、
複数の上記飲食物保持体(4)の各々を、該飲食物保持体(4)の第2鉛直軸心(L
2
)廻りに、非強制的に回転自在に構成したことを特徴とする冷凍
装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、低温(例えば-30℃前後)の冷却液(エチルアルコール水溶液)中に食品を設置して冷凍する冷凍装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1記載の冷凍装置は、飲食物を充分長時間をかけて過冷却してから冷却液中に設置するので、全体として、手間と時間がかかるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、短時間にて冷凍完了することができる冷凍装置を提供することを目的とする。また、複数の飲食物を、効率良く冷凍することができる冷凍装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る冷凍装置は、低温の冷却液を収容する液体槽と、上記液体槽内の底部に、水平状に配設された円盤を、備え、上記円盤がモーターと連結されて第1鉛直軸心廻りに回転自在であって、上記円盤上に、飲食物を挿入して保持するための複数の飲食物保持体を備え、上記飲食物を上記飲食物保持体に挿入して、上記円盤を上記第1鉛直軸心廻りに回転させつつ、上記飲食物を冷凍するように構成し、複数の上記飲食物保持体の各々を、該飲食物保持体の第2鉛直軸心廻りに、非強制的に回転自在に構成したものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の冷凍装置によれば、短時間にて冷凍完了することができる。また、複数の飲食物を、効率良く冷凍することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明
と関係が深い参考例を示す断面正面図である。
【
図3】
本発明の実施の
一形態を示す断面正面図である。
【
図4】
本発明と関係が深い他の参考例を示す断面正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図示の実施の形態に基づいて本発明を詳説する。
図1・
図2は、本発明
と関係が深い参考例(参考例1)を示す。
本発明の冷凍装置は、飲食物E(例えば、瓶入液体N)を冷凍するものであって、低温の冷却液Aを収容する液体槽1と、液体槽1内の底部に、水平状に配設された円盤2を、備える。低温の冷却液Aは、例えば、-35℃以上―25℃以下のエチルアルコール水溶液(アルコール濃度60%)である。円盤2がモーター3と連結されて第1鉛直軸心L
1 廻りに回転自在である。モーター3の回転軸22と、円盤2の回転軸17とが、軸継手21(例えば、電磁カップリング)にて連結されている。
【0010】
具体的には、下側固定テーブル9と、上側回転テーブル10(円盤2)と、固定テーブル9と回転テーブル10の間に転動自在に介在する複数の球体11と、を備える。固定テーブル9と回転テーブル10の各々は、球体11を転動自在に案内する円周凹溝12を、有する。上下の円周凹溝12内に、複数の球体11が配設される。
【0011】
円盤2上に、飲食物Eを挿入して保持するための複数(
図2の例では、8個)の飲食物保持体4を、備える。すなわち、複数の飲食物保持体4が、円盤2に固着されている。飲食物Eを飲食物保持体4に挿入して、円盤2を第1鉛直軸心L
1 廻りに回転させつつ、飲食物Eを冷凍するように構成する。飲食物保持体4は、多数の孔付きの受皿状が、好ましい。
【0012】
飲食物Eが瓶入液体Nの場合、飲食物保持体4が、瓶Bが倒れるのを防止する円筒状横倒防止網体5を備える。
【0013】
載置台6内に、冷却液Aを冷却するための冷却機と、冷却液Aを収容するタンクと、冷却液Aを液体槽1内へ送出すポンプとを、配設する(冷却機、タンク、ポンプは、図示省略)。冷却液Aを、液体槽1と冷却機との間で、(タンク、ポンプ、図示省略の配管を介して)循環させる。液体槽1が、冷却液Aと外部との熱の移動を抑制するための断熱材7を有する。断熱材7は、例えば、発泡ウレタンから成る。液体槽1を開閉自在として施蓋する蓋体8を備える。
【0014】
円盤2の回転速度を、6rpm 以上60rpm 以下に設定する。回転速度が、6rpm 未満の場合、飲食物Eと冷却液Aとの間の熱伝達効率が僅かしか上がらず、冷凍時間の短縮効果がほとんど得られない。回転速度が、60rpm を超える場合、飲食物転倒の虞がある。
【0015】
次に、
図1・
図2に於て、
参考例1の冷凍装置による飲食物Eの冷凍方法の一例について説明する。低温の冷却液A中に飲食物Eを(瓶入液体Nの場合、鉛直状に)設置して飲食物Eを冷凍する。具体的には、飲食物Eを飲食物保持体4に挿入して、円盤2を第1鉛直軸心L
1 廻りに連続的に回転させることにより、飲食物Eを第1鉛直軸心L
1 廻りに回転させて、飲食物Eから熱を奪いつつ冷凍する。飲食物Eと冷却液Aとの間に、相対的な流れが生じることにより、熱伝達効率が上がり、飲食物Eの冷凍に要する時間が短縮される。なお、円盤2を第1鉛直軸心L
1 廻りに、正回転と逆回転を交互に繰り返しつつ、回転させるも良い。
【0016】
参考例1の冷凍装置による飲食物Eの冷凍方法の他例について説明する。飲食物Eを飲食物保持体4に挿入して、円盤2を第1鉛直軸心L1 廻りに間欠的に回転させることにより、飲食物Eを第1鉛直軸心L1 廻りに回転させて、飲食物Eから熱を奪いつつ冷凍する。例えば、正回転、停止、正回転、停止を繰返す。或いは、正回転、停止、逆回転、停止を繰返すも良い。
【0017】
図3は、
本発明の実施の
一形態を示す。複数の飲食物保持体4の各々を、飲食物保持体4の第2鉛直軸心L
2 廻りに回転自在に構成する。具体的には、飲食物保持体4を、第2鉛直軸心L
2 廻りに、非強制的に回転自在に構成する(フリー回転構造とする)。具体的には、小固定テーブル13が円盤2上に固着される。下側小固定テーブル13と、上側小回転テーブル14と、小固定テーブル13と小回転テーブル14の間に転動自在に介在する複数の球体15と、を備える。小固定テーブル13と小回転テーブル14の各々は、球体15を転動自在に案内する小円周凹溝16を、有する。上下の小円周凹溝16内に、複数の球体15が配設される。その他の構成は、
参考例1と同様である。
【0018】
次に、
図3に於て、
本発明の冷凍装置による飲食物Eの冷凍方法について説明する。低温の冷却液A中に飲食物Eを(瓶入液体Nの場合、鉛直状に)設置して飲食物Eを冷凍する。具体的には、飲食物Eを飲食物保持体4に挿入して、円盤2を第1鉛直軸心L
1 廻りに連続的に回転させることにより、飲食物Eを第1鉛直軸心L
1 廻りに回転させて、飲食物Eから熱を奪いつつ冷凍する。飲食物保持体4が、第2鉛直軸心L
2 廻りに非強制的に回転する(自由に回転する)。なお、円盤2を、第1鉛直軸心L
1 廻りに間欠的に回転させるも良い。
【0019】
図4・
図5は、
本発明と関係が深い他の参考例(参考例2)を示す。飲食物保持体4を、遊星ギア機構により、第2鉛直軸心L
2 廻りに強制的に回転(自転)させるように構成する。具体的には、モーター3に(回転軸17を介して)連結された太陽歯車18と、太陽歯車18に噛合する遊星歯車19と、遊星歯車19と噛合する内歯車20によって、飲食物保持体4に、自転と公転とを、強制的に行わせる。その他の構成は、
参考例1と同様である。
【0020】
次に、
図4・
図5に於て、
参考例2の冷凍装置による飲食物Eの冷凍方法について説明する。低温の冷却液A中に飲食物Eを(瓶入液体Nの場合、鉛直状に)設置して飲食物Eを冷凍する。具体的には、飲食物Eを飲食物保持体4に挿入して、円盤2を第1鉛直軸心L
1 廻りに連続的に回転させることにより、飲食物Eを第1鉛直軸心L
1 廻りに回転(公転)させて、飲食物Eから熱を奪いつつ冷凍する。飲食物保持体4が、第2鉛直軸心L
2 廻りに強制的に回転(自転)する。なお、円盤2を、第1鉛直軸心L
1 廻りに間欠的に回転させるも良い。
【0021】
なお、飲食物Eは、(真空パックされた)肉、魚等を含むあらゆる飲食物であっても良い。例えば、瓶入液体Nは、日本酒、ワイン、焼酎、招興酒、ソフトドリンク、ノンアルコール飲料、味醂、醤油等の調味料類等でも良い。また、飲食物保持体4の形状・構造は、(多数の孔付きの受皿状に限らず、)飲食物Eの形状・性質に合わせたものとする。
【0022】
本発明は、設計変更可能であって、例えば、飲食物保持体4の個数は、増減自在である。また、円筒状横倒防止網体5を省略するも良い。
【0023】
以上のように、本発明は、低温の冷却液Aを収容する液体槽1と、上記液体槽1内の底部に、水平状に配設された円盤2を、備え、上記円盤2がモーター3と連結されて第1鉛直軸心L1 廻りに回転自在であって、上記円盤2上に、飲食物Eを挿入して保持するための複数の飲食物保持体4を備え、上記飲食物Eを上記飲食物保持体4に挿入して、上記円盤2を上記第1鉛直軸心L1 廻りに回転させつつ、上記飲食物Eを冷凍するように構成したので、飲食物Eと冷却液Aとの間の熱伝達効率が上がり、短時間にて冷凍完了することができる。また、複数の飲食物Eを、効率良く冷凍することができる。
【0024】
また、複数の上記飲食物保持体4の各々を、該飲食物保持体4の第2鉛直軸心L2 廻りに回転自在に構成したので、一層短時間にて冷凍完了することができる。特に、飲食物Eを、均一に冷凍することが可能となる。
また、上記飲食物保持体4を、上記第2鉛直軸心L2 廻りに、非強制的に回転自在に構成したので、簡素な構造とすることができる。
また、上記飲食物保持体4を、遊星ギア機構により、上記第2鉛直軸心L2 廻りに強制的に回転させるように構成したので、飲食物保持体4に、確実に所定の回転をさせることができる。
また、上記飲食物Eが瓶入液体Nであって、上記飲食物保持体4が、瓶Bが倒れるのを防止する円筒状横倒防止網体5を備えたので、瓶Bが倒れるのを防止しつつ、瓶入液体Nを確実に冷凍することができる。
【符号の説明】
【0025】
1 液体槽
2 円盤
3 モーター
4 飲食物保持体
5 (円筒状)横倒防止網体
A 冷却液
B 瓶
E 飲食物
L1 第1鉛直軸心
L2 第2鉛直軸心
N 瓶入液体
【要約】
【課題】短時間にて冷凍完了することができる冷凍装置を提供する。
【解決手段】低温の冷却液Aを収容する液体槽1と、液体槽1内の底部に、水平状に配設された円盤2を、備える。円盤2がモーター3と連結されて第1鉛直軸心L
1 廻りに回転自在である。円盤2上に、飲食物Eを挿入して保持するための複数の飲食物保持体4を備える。飲食物Eを飲食物保持体4に挿入して、円盤2を第1鉛直軸心L
1 廻りに回転させつつ、飲食物Eを冷凍するように構成する。
【選択図】
図1