(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-07
(45)【発行日】2024-03-15
(54)【発明の名称】モバイルエネルギー貯蔵インターネットシステム
(51)【国際特許分類】
F28D 20/02 20060101AFI20240308BHJP
F28F 23/02 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
F28D20/02 Z
F28D20/02 D
F28F23/02 C
(21)【出願番号】P 2023521300
(86)(22)【出願日】2021-02-01
(86)【国際出願番号】 CN2021074608
(87)【国際公開番号】W WO2022105061
(87)【国際公開日】2022-05-27
【審査請求日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】202011286498.4
(32)【優先日】2020-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510033929
【氏名又は名称】南京工▲業▼大学
【氏名又は名称原語表記】NANJING UNIVERSITY OF TECHNOLOGY
【住所又は居所原語表記】5 Xinmofan Road,Nanjing,Jiangsu,210009 China
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】凌祥
(72)【発明者】
【氏名】朱▲暁▼磊
(72)【発明者】
【氏名】李▲慶▼生
(72)【発明者】
【氏名】黄▲シン▼
(72)【発明者】
【氏名】王航
(72)【発明者】
【氏名】▲陸▼禺
(72)【発明者】
【氏名】杜明▲勝▼
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-075968(JP,A)
【文献】特開平04-076203(JP,A)
【文献】中国実用新案第206623727(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 20/02
F28F 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散型エネルギー収集装置、移動型蓄冷/蓄熱装置、エネルギーシステム手配監視センター、冷房/暖房端末、
搬送手段を含み、分散型エネルギー収集装置は、工業廃棄冷却エネルギー/熱エネルギーを収集し、エネルギーシステム手配監視センターは、分散型エネルギー収集装置の余剰エネルギー状況と、冷房/暖房端末のエネルギー需要状況とをそれぞれ監視し、移動型蓄冷/蓄熱装置を、
前記搬送手段によって分散型エネルギー収集装置に移動させて余剰エネルギーを貯蔵するか、又は、冷房/暖房端末に移動させて貯蔵された余剰エネルギーを放出するように
し、
前記移動型蓄冷/蓄熱装置は、箱体構造又は缶体構造を用い、前記箱体構造及び前記缶体構造は、いずれも外部の安全箱体又は缶体、内部の熱交換板アレイ/管束、流動管路、監視システム及び電気制御システムを含み、ここで、安全箱体/缶体は、移動型蓄冷/蓄熱装置の柔軟な移動を実現するために、移動式キャリアに固定的に取り付ける必要があり、熱交換板アレイ/管束は、相変化材料と熱交換作業物質との間で熱交換を行う機器であり、安全箱体/缶体内に固定され、相変化材料は、安全箱体/缶体と熱交換板アレイ/管束との間に置かれるか、又は熱交換板アレイ/管束の内部に封入され、流動管路は、熱交換作業物質の流動経路を制約し、安全箱体/缶体の外部にインタフェースを留保し、監視システムは、移動型蓄冷/蓄熱装置の各位置の圧力、流量、温度データを測定して、ディスプレイに表示するとともに、電気制御システムにフィードバックして、各位置のバルブの動作状況を制御し、
異なる適用場所の温度要件を満たすために、前記移動型蓄冷/蓄熱装置内に4つの異なるタイプの相変化材料を充填することができ、室内の暖房又は給湯には、改質酢酸ナトリウム三水和物、パラフィン又はヘキサデカン酸相変化材料を用いることができ、室内の冷房又は乾燥・除湿には、テトラデカン又はペンタデカン相変化材料を用い、冷蔵庫の冷却には、グリセロール/塩化ナトリウム混合水溶液相変化材料又は塩化アンモニウム/アクリル酸混合物相変化材料を用い、蒸気供給には、高密度のポリエチレン又はエリスリトール相変化材料を用いる、
ことを特徴とするモバイルエネルギー貯蔵インターネットシステム。
【請求項2】
前記分散型エネルギー収集装置は、異なる複数の余剰エネルギー収集点に取り付けられて、工業廃棄冷却エネルギー/熱エネルギーを収集し、エネルギーシステム手配監視センターは、各余剰エネルギー収集点の余剰エネルギーのタイプ及び収量を監視し、必要に応じて、異なるタイプの移動型蓄冷/蓄熱装置を割り当てて、
前記搬送手段によって、該当する収集点に移動させて収集された廃棄冷却エネルギー/熱エネルギーを貯蔵するようにし
、移動型蓄冷/蓄熱装置は、エネルギーシステム手配監視センターに戻り、エネルギーシステム手配監視センターは、冷房/暖房端末の冷房/暖房の負荷要件に応じて、要件に適合する移動型蓄冷/蓄熱装置を選別して、
前記搬送手段によって、それを冷房/暖房端末がある場所に搬送し、冷房/暖房端末は、移動型蓄冷/蓄熱装置から必要なエネルギーを取得し、エネルギーを放出した後の移動型蓄冷/蓄熱装置は、
前記搬送手段によって、再度余剰エネルギー収集点に移動して、余剰エネルギーを収集して貯蔵し、上記の過程を繰り返して、動的サイクルを実現する、
ことを特徴とする請求項1に記載のモバイルエネルギー貯蔵インターネットシステム。
【請求項3】
前記モバイルエネルギー貯蔵インターネットシステムは、ピーク電力メカニズムを利用でき、オフピーク電力時間帯に冷却機又は加熱機を用いて、オフピーク電力電気エネルギーを冷却エネルギー又は熱エネルギーに変換して貯蔵し、ピーク電力時間帯に放出して利用する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のモバイルエネルギー貯蔵インターネットシステム。
【請求項4】
前記分散型エネルギー収集装置は、複数の独立の余剰エネルギー供給点に分散し、各供給点の廃棄冷却エネルギー/熱エネルギーを収集し、収集されたエネルギーを移動型蓄冷/蓄熱装置に貯蔵することを担当し、前記分散型エネルギー収集装置は、熱交換器構造を用いて、冷却エネルギー/熱エネルギーの収集を実現し、
前記分散型エネルギー収集装置は、石油化学、冶金、建材工場内に取り付けられて、工業廃熱の収集に用いられることができ、前記分散型エネルギー収集装置は、空気分離、液化天然ガス工場内に取り付けられて、廃棄冷却エネルギーの収集に用いられ、前記分散型エネルギー収集装置は、再生可能エネルギー発電所又は原子力発電所内に取り付けられて、風力発電所内の捨て風、太陽光発電所の捨て光、小型水力発電所の捨て水、又は原子力発電所の滞電を利用して、冷却又は加熱を実現し、生成された冷却エネルギー/熱エネルギーを収集する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のモバイルエネルギー貯蔵インターネットシステム。
【請求項5】
前記エネルギーシステム手配監視センターは、全ての余剰エネルギー収集点の余剰エネルギーのタイプ、収量及び各冷房/暖房端末の必要な冷却エネルギー/熱エネルギー負荷を受信及び貯蔵し、余剰エネルギーのタイプ、収量及び各冷房/暖房端末の必要な負荷に応じて、移動型蓄冷/蓄熱装置の合理的な割り当てを行い、時間、距離、エネルギー種類、負荷の大きさを総合的に考慮して、移動型蓄冷/蓄熱装置の最適経路を計画する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のモバイルエネルギー貯蔵インターネットシステム。
【請求項6】
前記冷房/暖房端末は、収集された余剰エネルギーの最終消費対象であり、冷房/暖房端末の対象には、住居区域、病院、オフィスビル、冷蔵庫、機械室、食堂、ホテル又は銭湯場所が含まれ、冷房/暖房端末は、必要な冷却エネルギー/熱エネルギー温度要件に応じて、室内の暖房/給湯、冷蔵庫の冷却、室内の冷房又は乾燥・除湿、又は蒸気供給の4つのタイプに分けられる、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のモバイルエネルギー貯蔵インターネットシステム。
【請求項7】
前記モバイルエネルギー貯蔵インターネットシステムの手配領域範囲は、150キロメートル以内である、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のモバイルエネルギー貯蔵インターネットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、具体的には、モバイルエネルギー貯蔵インターネットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
中国のエネルギー消費量は、全世界の約20%を占めて、全世界の第一であるが、エネルギー利用率は低く、単位GDP当たりのエネルギー消費は、アメリカの約2.2倍、日本の約2.7倍、ドイツの約2.9倍、イギリスの約4倍であり、中国のエネルギー利用レベルは先進国とは程遠く、省エネルギー優先は、中国の長期発展の主要な戦略の1つになっている。
【0003】
プロセス工業は、高エネルギー消費産業であり、中国エネルギー消費総量の約1/3を占めるが、そのエネルギー利用率は60%程度に過ぎず、省エネルギーの可能性が極めて大きく、例えば、2.5%を向上させることができ、三峡ダム1年分の発電量を節約することができる。プロセス産業において、中高温余熱の利用率は高いが、250℃以下の低温余熱及び一部の廃棄冷却エネルギーは、エネルギーのグレードが低いため、効果的に利用できない。建築産業では、暖房と冷房に適用するための低グレードのエネルギーを大量に必要とし、ここで、暖房熱媒の温度は60℃で、冷却には7℃の冷凍水が使用され、且つ、建築産業のエネルギー消費は中国のエネルギー消費総量の約30%を占めるほど膨大であるが、全体の省エネルギー達成率は10%未満となっている。中国のプロセス工業の余剰エネルギー排出総量は、年間約7.4億トン標準石炭であり、建築産業では、暖房・換気及び空調のエネルギー消費総量は、年間約7億トンであり、プロセス工業に存在する大量の低グレードの余剰エネルギーを建築産業の暖房や冷房に使用できれば、建築産業のエネルギー消費を著しく低減することができ、重大な省エネルギーの意義と社会利益を有する。
【0004】
上記の構想を実現しようとする場合、プロセス工業の低グレードの熱源と建築用エネルギーとの橋を架設し、エネルギーの貯蔵と搬送技術は、低グレードのエネルギー利用の鍵となる技術である。
【0005】
しかし、既存の従来の低グレードの余剰エネルギーの回収と利用、即ち再利用は、一般に、パイプライン搬送を介して行われる。パイプラインでの回収と利用方式には、高い投資コスト、深刻なエネルギー損失、限られた距離など、いくつかの欠点があり、余剰エネルギーの回収と利用は、狭い範囲内でしか行うことができず、余剰エネルギーを十分に利用できず、再利用率が低い。ますます増加する各タイプの再生可能エネルギー発電所内で、電力網に対する衝撃を避けるために、例えば風力発電所の捨て風、太陽光発電所の捨て光、小型水力発電所の捨て水、原子力発電所の滞電など、電力を捨てる現象が依然として大量に存在し、この部分のエネルギーを効果的に利用することができず、莫大なエネルギー浪費を招く。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、各種の廃棄工業余剰エネルギー、再生可能エネルギー発電所及び原子力発電所の滞電を十分に利用でき、配管のない網、遠隔冷房/暖房を実現し、建築産業のエネルギー消費を低減するモバイルエネルギー貯蔵インターネットシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の技術案は、下記のとおりである。
【0008】
本発明にて提供されるモバイルエネルギー貯蔵インターネットシステムは、分散型エネルギー収集装置、移動型蓄冷/蓄熱装置、エネルギーシステム手配監視センター、冷房/暖房端末を含む。分散型エネルギー収集装置は、工業廃棄冷却エネルギー/熱エネルギーを収集し、エネルギーシステム手配監視センターは、分散型エネルギー収集装置の余剰エネルギー状況と、冷房/暖房端末のエネルギー需要状況とをそれぞれ監視し、移動型蓄冷/蓄熱装置を、分散型エネルギー収集装置に移動させて余剰エネルギーを貯蔵するか、又は、冷房/暖房端末に移動させて貯蔵された余剰エネルギーを放出するようにする。
【0009】
低グレードの余剰エネルギーを大量生成する異なるタイプの工場及び各タイプの再生可能エネルギー発電所又は原子力発電所内に、検出装置及び分散型エネルギー収集装置が取り付けられており、分散型エネルギー収集装置は、石油化学、冶金、建材工場内に取り付けられて、工業廃熱を収集するために用いられ、分散型エネルギー収集装置は、空気分離、LNG等の工場内に取り付けられて、廃棄冷却エネルギーを収集するために用いられ、分散型エネルギー収集装置は、風力発電所、太陽光発電所、小型水力発電所等の再生可能エネルギー発電所内又は原子力発電所内に取り付けられて、風力発電所内の捨て風、太陽光発電所の捨て光、小型水力発電所の捨て水、又は原子力発電所の滞電を利用して、実際のニーズに応じて、冷却又は加熱を行い、生成された冷却エネルギー/熱エネルギーを収集し、分散型エネルギー収集装置は熱交換器構造を用いて冷却エネルギー/熱エネルギーの収集を実現する。
【0010】
さらに、エネルギーシステム手配監視センターは、各余剰エネルギー収集点の余剰エネルギーのタイプ及び収量を受信及び貯蔵し、異なる余剰エネルギー収集点の余剰エネルギータイプに応じて、該当するタイプの移動型蓄冷/蓄熱装置を選択し、各余剰エネルギー収集点の実際の稼働状態に応じて、該当する数の移動型蓄冷/蓄熱装置を割り当てて、該当する収集点に移動させて収集された廃棄冷却エネルギー/熱エネルギーを貯蔵するようにする。
【0011】
さらに、充電後の移動型蓄冷/蓄熱装置は、エネルギーシステム手配監視センターに戻って待機し、エネルギーシステム手配監視センターは、冷房/暖房端末の暖房又は冷房の負荷要件に応じて、要件に適合する移動型蓄冷/蓄熱装置を選択し、時間、距離、エネルギー種類、負荷の大きさを総合的に考慮して、移動型蓄冷/蓄熱装置の最適経路を計画し、選別した移動型蓄冷/蓄熱装置は、計画した経路にしたがって冷房/暖房端末がある場所に移動する。熱交換装置により、貯蔵されている冷却エネルギー/熱エネルギーの放出と利用が実現される。
【0012】
さらに、冷房/暖房端末がエネルギーを放出した後の移動型蓄冷/蓄熱装置は、エネルギーシステム手配監視センターに戻って待機し、エネルギーシステム手配監視センターの手配下で、再度余剰エネルギー収集地点に移動して、余剰エネルギーを貯蔵し、上記の過程を繰り返して、動的サイクルを実現する。
【0013】
前記モバイルエネルギー貯蔵インターネットシステムは、ピーク電力メカニズムを利用でき、オフピーク電力時間帯に冷却機又は加熱機を利用して、オフピーク電力の電気エネルギーを冷却エネルギー又は熱エネルギーに変換して貯蔵し、オンピーク電力時間帯に、貯蔵された冷却エネルギー又は熱エネルギーを放出して、生産稼働コストを低下させる。
【0014】
前記移動型蓄冷/蓄熱装置は、箱体構造又は缶体構造を用い、内部に相変化エネルギー貯蔵材料が充填され、前記箱体構造及び前記缶体構造は、いずれも外部の安全箱体又は缶体、内部熱交換板/管束、流動管路、監視システム及び電気制御システムからなる。ここで、安全箱体/缶体は、移動型蓄冷/蓄熱装置の柔軟な移動を実現するために、移動式キャリアに固定的に取り付ける必要があり、熱交換板/管束は、相変化材料と熱交換作業物質との間で熱交換を行う機器であり、安全箱体/缶体内に固定され、相変化材料は、安全箱体/缶体と熱交換板アレイとの間に置かれるか、又は熱交換板アレイ内に封入され、流動管路は、必要な作業物質(熱交換作業物質)の流動経路を制約し、安全箱体/缶体の外部にインタフェースを留保し、監視システムは、移動型蓄冷/蓄熱装置の各位置の圧力や温度等のデータを測定して、ディスプレイに表示するとともに、電気制御システムにフィードバックして、各位置のバルブの動作状況を制御する。
【0015】
さらに、異なる適用場所の温度要件を満たすために、前記移動型蓄冷/蓄熱装置内に4つの異なるタイプの相変化材料を充填することができる。室内の暖房又は給湯に使用される場合、改質酢酸ナトリウム三水和物、パラフィン、ヘキサデカン酸等の相変化材料を充填し、室内の冷房又は乾燥・除湿に使用される場合、テトラデカン、ペンタデカン相変化材料を充填し、冷蔵庫の冷却に使用される場合、グリセロール/塩化ナトリウム混合水溶液、塩化アンモニウム/アクリル酸混合物等の複合相変化材料を用い、蒸気を供給する場合、高密度のポリエチレン、エリスリトール等の相変化材料を用いる。
【0016】
前記冷房/暖房端末は、収集された余剰エネルギーの最終消費対象であり、必要な冷却エネルギー/熱エネルギー温度要件に応じて、冷房/暖房端末を、冷蔵庫の冷却、室内の冷房又は乾燥・除湿、室内の暖房又は給湯、及び蒸気供給の4つのタイプに分けることができる。改質酢酸ナトリウム三水和物等の相変化材料が充填された移動型蓄冷/蓄熱装置は、住居区域、病院、オフィスビル等の場所の暖房及び給湯に使用でき、テトラデカン等の相変化材料が充填された移動型蓄冷/蓄熱装置は、住居区域、病院、オフィスビル等の場所の冷房又は乾燥・除湿に使用でき、グリセロール/塩化ナトリウム混合水溶液が充填された移動型蓄冷/蓄熱装置は、冷蔵庫の冷却に使用でき、高密度のポリエチレン等の相変化材料が充填されたものは、食堂、ホテル、銭湯等の場所の蒸気供給に使用できる。
【0017】
前記モバイルエネルギー貯蔵インターネットシステムの手配領域範囲は、150キロメートル以内である。
【0018】
本発明のモバイルエネルギー貯蔵インターネットシステムは、各種の廃棄工業余剰エネルギー、再生可能エネルギー発電所及び原子力発電所の滞電を十分に利用でき、配管のない網、遠隔冷房及び暖房を実現し、建築産業エネルギー消費を低減する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明のモバイルエネルギー貯蔵インターネットシステムの図である。
【
図2】本発明の移動型蓄冷/蓄熱装置の箱体構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の理解を深めるために、実施例及び図面を参照しながら、本発明を一層詳細に説明し、当該実施例は、全部の実施例ではなく、本発明の実施例の一部である。
【0021】
図1~
図2に示すように、本実施例のモバイルエネルギー貯蔵インターネットシステムは、分散型エネルギー収集装置1、移動型蓄冷/蓄熱装置2、エネルギーシステム手配監視センター3、冷房/暖房端末4を含み、当該モバイルエネルギー貯蔵インターネットシステムで余剰エネルギーと、各タイプの消費端末とを相互に接続して、余剰エネルギーの効率的で、迅速で、低コストの利用を実現する。分散型エネルギー収集装置1は、複数の異なる余剰エネルギー収集地点に取り付けられて、工業廃棄冷却エネルギー/熱エネルギーを収集し、手配監視センター3は、各余剰エネルギー収集点の余剰エネルギーのタイプ及び収量を監視し、必要に応じて、異なるタイプの移動型蓄冷/蓄熱装置2を割り当てて、該当する収集点に移動させて収集された廃棄冷却エネルギー/熱エネルギーを貯蔵するようにし、充電後の移動型蓄冷/蓄熱装置2は、手配監視センター3に戻り、手配監視センター3は、冷房/暖房端末4の冷房/暖房の負荷要件に応じて、要件に合致する移動型蓄冷/蓄熱装置2を選別して、それを冷房/暖房端末4がある場所まで搬送し、冷房/暖房端末4は、移動型蓄冷/蓄熱装置2から必要なエネルギーを取得し、エネルギーを放出した後の移動型蓄冷/蓄熱装置2は再び余剰エネルギー収集点に移動して、貯蔵された余剰エネルギーを収集し、上記の過程を繰り返して、動的サイクルを実現する。
【0022】
ここで、分散型エネルギー収集装置1は、熱交換器構造を用い、それぞれ異なるタイプの工場内に取り付けられ、異なるタイプの工業余剰エネルギーを収集するために用いられる。分散型エネルギー収集装置1は、石油化学、冶金、建材等の工場内に取り付けられ、中間熱交換媒体の循環水又は熱伝導油を介して、煙道ガス等の低グレードの熱源と熱交換を行い、熱交換媒体は、煙道ガス中の低グレードの余熱を吸収するか、又は、分散型エネルギー収集装置1は、空気分離、LNG等の工場内に取り付けられ、中間熱交換媒体の冷却剤を介して、液化空気及び液化天然ガスと熱交換を行い、熱交換媒体が低グレードの冷却エネルギーを吸収するか、又は、分散型エネルギー収集装置1は、風力発電所、太陽光発電所、小型水力発電所及び原子力発電所内に取り付けられ、冷却機又は加熱機を利用して風力発電所内の捨て風、太陽光発電所の捨て光、小型水力発電所の捨て水、原子力発電所の滞電を、必要に応じて冷却エネルギー又は熱エネルギーに変換した後、生成された冷却エネルギー又は熱エネルギーを収集する。
【0023】
エネルギーシステム手配監視センター3は、分散型エネルギー収集装置1が取り付けられている収集点を監視し、各余剰エネルギー収集点の余剰エネルギーのタイプ及び収量を受信及び貯蔵し、各余剰エネルギー収集点の実際の稼働状態に応じて分析及び計算を行い、異なる収集点に必要な移動型蓄冷/蓄熱装置2のタイプ及び数を決定するとともに、対応する移動型蓄冷/蓄熱装置2を割り当てて、該当する収集点に移動させて収集された廃棄冷却エネルギー/熱エネルギーを貯蔵するようにする。
【0024】
移動型蓄冷/蓄熱装置2は、箱体構造又は缶体構造を用い、
図2に示すように、箱体構造の内部に相変化エネルギー貯蔵材料が充填される。箱体構造は、外部の安全箱体5、内部の熱交換板アレイ6、流動管路7、監視装置8及び電気制御システム9を含み、安全箱体5は、フレーム式構造に設けられ、安全箱体5には、熱交換板アレイ6、流動管路7、監視装置8及び電気制御システム9が設けられている。ここで、安全箱体5は、移動型蓄冷/蓄熱装置2の柔軟な移動を実現するために、移動式キャリアに固定的に取り付ける必要があり、熱交換板アレイ6は、相変化材料と、作業物質(水、熱伝導油又は冷却剤のような熱交換作業物質)との間で熱交換を行う機器であり、且つ、安全箱体5/缶体内に固定され、相変化材料は、安全箱体5/缶体と熱交換板アレイ6との間に置かれるか、又は熱交換板アレイ6内に封入され、流動管路7は、必要な作業物質(熱交換作業物質)の流動経路を制約し、安全箱体5/缶体の外部にインタフェースを留保し、監視装置8は、移動型蓄冷/蓄熱装置2の各位置の圧力や温度等のデータを測定して、ディスプレイに表示するとともに、電気制御システム9にフィードバックして、各位置のバルブの動作状況を制御する。
【0025】
移動型蓄冷/蓄熱装置2の具体的な構造も、特許ZL202010013869.5の移動型相変化蓄熱蓄冷装置を参照できる。
【0026】
具体的には、移動型蓄冷/蓄熱装置2として、移動可能コンテナ又は缶体を用い、通常、トラックに取り付けられ、トラックで搬送し、それにより、配管のない網、遠隔冷房/暖房を実現する。
【0027】
移動型蓄冷/蓄熱装置2は、充填された相変化材料によっては、(1)室内の暖房又は給湯のための、改質酢酸ナトリウム三水和物、パラフィン、ヘキサデカン酸等の相変化材料が充填されたものと、(2)室内の冷房又は乾燥・除湿のための、テトラデカン、ペンタデカン等の相変化材料が充填されたものと、(3)、冷蔵庫の冷却のための、グリセロール/塩化ナトリウム混合水溶液、塩化アンモニウム/アクリル酸混合物等の相変化材料が充填されたものと、(4)蒸気供給のための、高密度のポリエチレン、エリスリトール等の相変化材料が充填されたものとの、4つのタイプに分けられる。
【0028】
テトラデカン相変化材料が充填された移動型蓄冷/蓄熱装置2は、空気分離やLNG液化工場内に移動して、-30℃~0℃温度範囲内の冷却剤と熱交換を行い、冷却エネルギーを吸収して貯蔵し、グリセロール、塩化ナトリウム混合水溶液が充填された移動型蓄冷/蓄熱装置2は、空気分離やLNG液化工場内に移動して、-30℃より低い冷却剤と熱交換を行い、冷却剤の極低温冷却エネルギーを吸収して貯蔵し、改質酢酸ナトリウム三水和物相変化材料が充填された移動型蓄冷/蓄熱装置2は、化学プラント、鉄鋼プラント、発電所内に移動して、循環水と熱交換を行って、熱エネルギーを吸収して貯蔵し、高密度のポリエチレン相変化材料が充填された移動型蓄冷/蓄熱装置2は、化学プラント、鉄鋼プラント、発電所内に移動して、熱伝導油と熱交換を行って、熱を吸収して貯蔵する。エネルギー貯蔵を完了した後の移動型蓄冷/蓄熱装置2は、エネルギーシステム手配監視センター3に戻り、手配監視センター3によるさらなる割り当てを待つ。
【0029】
冷房/暖房端末4の主な対象には、住居区域、病院、オフィスビル、冷蔵庫、機械室、食堂、ホテル、銭湯等の場所が含まれ、必要な各端末の冷却エネルギー/冷却エネルギーの温度要件に従って、室内の暖房及び給湯、室内の冷房、冷蔵庫の冷却及び蒸気供給の4つのタイプに分けられる。エネルギー手配監視センター3は、各冷房/暖房端末4の暖房又は冷房タイプ要件及び該当する負荷の大きさを受信して、要件に適合する移動型蓄冷/蓄熱装置2を選択し、時間、距離、エネルギー種類、負荷の大きさを総合的に考慮して、移動型蓄冷/蓄熱装置2の最適経路を計画する。エネルギー手配監視センター3は、テトラデカン相変化材料が充填された移動型蓄冷/蓄熱装置2を割り当てて、住居区域、病院、オフィスビルに移動させて、現地の冷房要件を満たし、エネルギー手配監視センター3は、グリセロール、塩化ナトリウム混合水溶液が充填された移動型蓄冷/蓄熱装置2を割り当てて、冷蔵庫に移動させて、冷蔵庫の冷却消費を低減し、エネルギー手配監視センター3は、改質酢酸ナトリウム三水和物相変化材料が充填された移動型蓄冷/蓄熱装置2を割り当てて、住居区域、病院、オフィスビルに移動させて、現地の暖房及び給湯要件を満たし、エネルギー手配監視センター3は、高密度のポリエチレン相変化材料が充填された移動型蓄冷/蓄熱装置2を割り当てて、食堂、ホテル、銭湯に移動させて、現地の蒸気供給要件を満たす。エネルギーの放出が完了した後の移動型蓄冷/蓄熱装置2は、エネルギー手配監視センター3に戻って待機し、エネルギー手配監視センター3による手配と割り当てにより、再度対応する余剰エネルギー収集地点に移動して、余剰エネルギーを収集し、上記の過程を繰り返して、動的サイクルを実現する。
【0030】
本実施例のモバイルエネルギー貯蔵インターネットシステムは、ピーク電力メカニズムを利用でき、オフピーク電力時間帯に、冷却機又は加熱機を用いてオフピーク電力電気エネルギーを冷却エネルギー又は熱エネルギーに変換して貯蔵し、且つ、オンピーク電力時間帯に放出して利用する。オフピーク電力時間帯に、冷却機又は加熱機を用いてオフピーク電力電気エネルギーを冷却エネルギー又は熱エネルギーに変換し、分散型エネルギー収集装置1により、変換された冷却エネルギー又は熱エネルギーを収集し、それを移動型蓄冷/蓄熱装置2に貯蔵し、オンピーク電力時間帯に、充電後の移動型蓄冷/蓄熱装置2は、冷房/暖房端末4に移動して、貯蔵された冷却エネルギー又は熱エネルギーを放出する。
【0031】
本実施例のモバイルエネルギー貯蔵インターネットシステムの手配領域範囲は、150キロメートル以内である。
【符号の説明】
【0032】
1…分散型エネルギー収集装置、2…移動型蓄冷/蓄熱装置、3…手配監視センター、4…冷房/暖房端末、5…安全箱体、6…熱交換板アレイ、7…流動管路、8…監視装置、9…電気制御システム。