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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-07
(45)【発行日】2024-03-15
(54)【発明の名称】既設盤現地調査システム
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20240308BHJP
   H02B 3/00 20060101ALN20240308BHJP
【FI】
G05B23/02 Z
G05B23/02 301Z
H02B3/00 M
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021117037
(22)【出願日】2021-07-15
(65)【公開番号】P2023013099
(43)【公開日】2023-01-26
【審査請求日】2023-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 拓磨
【審査官】今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-091002(JP,A)
【文献】特開平9-198416(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラントに設置されている既設盤内部の画像データを取得する画像データ取得手段と、
前記画像データ取得手段の設置位置を検出する位置情報検出手段と、
前記既設盤を構成する装置および機器のそれぞれに対応する複数の構造図を含む第1データベース記憶手段と、
前記画像データおよび前記設置位置のデータを収集して前記画像データに前記設置位置のデータを関連付け、前記画像データにもとづいて、前記装置および前記機器のそれぞれの構造図を前記複数の構造図から検索し抽出して前記設置位置のデータに関連付ける情報処理手段と、
前記情報処理手段によって前記設置位置に関連付けられた前記装置および前記機器のそれぞれの構造図のデータを格納する第2データベース記憶手段と、
を備えた既設盤現地調査システム。
【請求項2】
前記画像データ取得手段は、全方位または広角撮影を可能にする光学素子を含む請求項1記載の既設盤現地調査システム。
【請求項3】
前記画像データ取得手段は、前記情報処理手段によって撮影時の角度を可変できる請求項1または2に記載の既設盤現地調査システム。
【請求項4】
前記複数の構造図は、3D構造図を含む請求項1~3のいずれか1つに記載の既設盤現地調査システム。
【請求項5】
前記複数の構造図は、詳細情報に関するデータをそれぞれ含み、
前記情報処理手段は、前記詳細情報に関するデータに端子情報のデータを入力し、抽出した前記それぞれの構造図に前記端子情報のデータを関連付ける請求項1~4のいずれか1つに記載の既設盤現地調査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、プラント更新エンジニアリング時における既設盤現地調査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
すでに稼働しているプラントでは、設備を入れ替えたり、新たな設備を導入したりすることがある。このようなプラント更新エンジニアリング業務では、そのプラントの最新の展開接続図を入手する。最新の展開接続図といっても、そのときどきに応じて、図面に反映することなく修正や変更等が行われていることが多い。そのため、実際の現場に設置されている盤の状況を調査して、展開接続図をアップデートすることが必要である。
【0003】
従来、展開接続図のアップデートを行うために、技術員や作業員がそのプラントに出かけていって、設置されている盤をカメラで撮影するなどして、現場の状況を調査する。調査によって取得されるデータは、カメラによる画像データのほか、盤の設置位置や寸法等、多岐にわたる。盤の設置位置や寸法等は、現場で採寸等して、手書きメモに採取した寸法等を書き込んでいく。
【0004】
技術員等は、取得したデータを持ち帰って、各データを最新の展開接続図と照合して、更新のある箇所等を確認し、展開接続図をアップデートする。撮影したデータでは読み取れない端子番号等がある場合や、取得し忘れたデータがある場合には、再度、プラントへ出向いて、必要な情報を収集する必要がある。
【0005】
現地調査と展開接続図の更新作業とがオフラインとなっているため、作業効率を向上させることが困難であり、作業の生産性を向上させたいとの要求が強い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2014-93870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の実施形態は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、展開接続図のアップデート作業を効率化できる既設盤現地調査システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態は、プラントに設置されている既設盤内部の画像データを取得する画像データ取得手段と、前記画像データ取得手段の設置位置を検出する位置情報検出手段と、前記既設盤を構成する装置および機器のそれぞれに対応する複数の構造図を含む第1データベース記憶手段と、前記画像データおよび前記設置位置のデータを収集して前記画像データに前記設置位置のデータを関連付け、前記画像データにもとづいて、前記装置および前記機器のそれぞれの構造図を前記複数の構造図から検索し抽出して前記設置位置のデータに関連付ける情報処理手段と、前記情報処理手段によって前記設置位置に関連付けられた前記装置および前記機器のそれぞれの構造図のデータを格納する第2データベース記憶手段と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本実施形態では、展開接続図のアップデート作業を効率化できる既設盤現地調査システムが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る既設盤現地調査システムを例示する模式的な構成図である。
図2図2(a)~図2(c)は、実施形態の既設盤現地調査システムの動作を説明するための模式図である。
図3図3(a)および図3(b)は、実施形態の既設盤現地調査システムの動作を説明するための模式図である。
図4】実施形態の既設盤現地調査システムの動作を説明するためのフローチャートの例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。
【0012】
図1は、実施形態に係る既設盤現地調査システムを例示する模式的な構成図である。
図1に示すように、既設盤現地調査システム100は、カメラ(画像データ取得手段)10と、位置検出装置(位置情報検出手段)12と、携帯型コンピュータ(情報処理手段)20と、データサーバ(第1、第2データベース記憶手段)30と、を備える。カメラ10および携帯型コンピュータ20は、通信可能に接続されている。位置検出装置12および携帯型コンピュータ20は、通信可能に接続されている。携帯型コンピュータ20およびデータサーバ30は、通信可能に接続されている。既設盤現地調査システム100において利用される通信ネットワークは、好ましくは、無線通信ネットワークである。カメラ10、位置検出装置12、携帯型コンピュータ20およびデータサーバ30を相互に接続する通信ネットワークは、同一の通信ネットワークでもよいし、異なる通信ネットワークであってもよい。
【0013】
カメラ10、位置検出装置12および携帯型コンピュータ20は、現地調査を行う技術員や作業員(以下、技術員等という)が携帯し、現地調査を行うプラントの現場にこれらを持ち込んで使用する。データサーバ30は、たとえば、現地調査を行うプラントとは別の場所に設置される。
【0014】
カメラ10は、たとえば三脚等の撮影用治具14に接続されており、撮影場所に静止して設置することが可能である。カメラ10には、位置検出装置12が接続されており、位置検出装置12は、カメラ10が設置された場所の位置情報を生成して出力する。なお、カメラ10および位置検出装置12は、別体のものを接続あるいは近接させて用いてもよいし、一体とされたものでもよい。
【0015】
カメラ10および位置検出装置12は、撮影用治具14によって、既設盤1の付近に設置される。この例では、既設盤1は、内部にI/Oユニット2や端子台4、盤名称が記載された銘板6を有している。カメラ10は、たとえば全方位や広角撮影が可能なレンズ等の光学素子を含むカメラであり、開扉した状態の既設盤1の内部および扉の裏に設けられた銘板6を一度に撮影する。あるいは、カメラ10は、撮影方向を上下左右等に可変する撮影方向制御機構を備えており、携帯型コンピュータ20からの指令により、撮影方向を適宜変更して、所望の画像データを収集することができる。この場合には、位置検出装置12は、ジャイロセンサ等を含むものであり、異なる撮影方向(撮影角度)に応じた位置情報を生成し、送信する。
【0016】
カメラ10および位置検出装置12は、携帯型コンピュータ20の指令にもとづいて、画像データおよび位置情報のデータを携帯型コンピュータ20に送信する。
【0017】
携帯型コンピュータ20は、カメラ10からの画像データおよび位置検出装置12からの位置情報のデータを受信して、受信した画像データに位置情報のデータを関連付けて保存する。携帯型コンピュータ20は、画像処理プログラムおよび画像認識プログラムを有している。携帯型コンピュータ20は、画像処理プログラムによって、保存した画像データを画像処理し、画像認識プログラムによって、展開接続図用の構造図ライブラリを検索する。携帯型コンピュータ20は、構造図ライブラリの中から画像データ中の装置や機器等に対応する構造図を抽出する。携帯型コンピュータ20は、好ましくは、画像処理により、画像データ中の装置や機器等に接続されている端子台の名称や端子番号等を抽出し、受信した画像データに関連付けて保存する。
【0018】
データサーバ30は、データベース32,34を有する。データベース32は、展開接続図中で用いられる装置や機器等の構造図がライブラリとして格納されている。データベース32には、これらの構造図があらかじめ格納されている。装置や機器等の構造図は、展開接続図のためのCADソフトウェアに対応したものとされるが、好ましくは、3D(3次元)構造図とされる。3D構造図をライブラリとすることによって、2D(2次元)構造図では、区別することが難しい外形上の相違を立体形状上の相違として、区別することが可能になる。
【0019】
データベース34には、現地調査によって収集された画像データに関連付けられた情報が格納される。たとえば、ある位置情報に関連付けられた装置に対応する構造図のデータが位置情報とともにデータベース34に格納される。構造図のデータには、位置情報のほか、好ましくは、その構造図に対応する装置や機器等の端子接続に関する情報も格納される。その構造図に実際の装置や機器等の寸法に関する情報を関連付けて格納してもよい。
【0020】
携帯型コンピュータ20は、データサーバ30中のデータベース32にアクセスして、装置や機器等に対応するライブラリから画像データに対応する構造図を検索して、抽出する。携帯型コンピュータ20は、抽出された構造図に位置情報を関連付けして、データベース34に格納する。
【0021】
実施形態の既設盤現地調査システム100の動作について説明する。
図2(a)~図2(c)は、実施形態の既設盤現地調査システムの動作を説明するための模式図である。
図2(a)には、カメラ10で撮影された画像データDIの例が示されている。画像データDIは、画像データDIを取得した場所の位置情報のデータとともに、携帯型コンピュータ20に送信される。
図2(a)に示すように、携帯型コンピュータ20は、受信した画像データDIに位置情報のデータを関連付けて、自己の記憶装置に一旦格納する。
【0022】
画像データDIには、筐体の画像DI1中に、いくつかの装置や機器等の画像が含まれており、画像データDIは、図1に示したI/Oユニット2の画像、端子台4の画像および銘板6の画像を含んでいる。以下説明する例では、複数の画像のうちI/Oユニット2の画像DI2に関する処理を行う場合について説明する。
【0023】
実施形態の既設盤現地調査システム100では、システムを操作する技術員等が画像データから、展開接続図のための構造図に対応する画像を選択する。この例では、技術員等は、位置情報が関連付けられた画像データDI中のI/Oユニット2に対応する画像DI2を選択する。画像DI2の選択は、たとえば携帯型コンピュータ20のタッチパネルインタフェースにより、画像DI2をタップしたり、画像DI2の周りを指で囲う動作をすることにより行われる。
【0024】
携帯型コンピュータ20の画像認識プログラムは、タップ等された画像の輪郭を識別して、画像DI2のデータを抽出する。
【0025】
携帯型コンピュータ20は、データベース32にアクセスし、構造図ライブラリの各構造図LIB1~LIB3から画像DI2のデータと一致するものを検索する。この例では、構造図LIB1が画像DI2のデータと一致するので、構造図LIB1が抽出される。
【0026】
この例では、構造図ライブラリとして、I/Oユニット2のモデルのみが示されているが、構造図ライブラリには、他の装置や機器等の構造図も収容されており、携帯型コンピュータ20は、画像認識プログラムによって、多数の構造図から、I/Oユニットに対応する適切な構造図を抽出する。構造図ライブラリを装置や機器等ごとにあらかじめグループ分けして、データベース32に収容するようにしてもよい。たとえば、データベース32には、「I/Oユニット」、「端子台」のように区分されたグループにそれらに対応する構造図が格納されており、技術員等が画像を選択するときに、グループ名をプルダウンメニュー等から選択するようにしてもよい。このようにすることによって、構造図の選択、抽出作業をより迅速に行うことができるようになる。
【0027】
図2(c)に示すように、携帯型コンピュータ20は、抽出された構造図LIB1aに画像データDIに関連付けられている位置情報のデータを関連付ける。携帯型コンピュータ20は、データベース34にアクセスして、構造図LIB1に対応するデータLIB1aおよび位置情報のデータをデータベース34に格納する。位置情報に関連付けられたデータLIB1aには、携帯型コンピュータ20によって、たとえば、識別のための一連番号が付与される。技術員等が任意の名称を付与できるようにしてもよい。
【0028】
データベース34に格納されるデータは、位置情報に関連付けられており、位置情報は、現地調査した既設盤1の位置を表している。そのため、データベース34に格納されたデータLIB1aは、その既設盤1に設置された装置等に対応するものであるとして、展開接続図用のCADソフトウェアによって利用可能となる。なお、展開接続図にも位置情報のデータが埋め込まれているので、データベース34の位置情報のデータを、展開接続図の位置情報のデータに関連付けることによって、自動的に展開接続図をアップデートすることも可能になる。
【0029】
画像データDIから装置や機器等に対応する画像のうち、さらに詳細な情報を取得する場合について説明する。
図3(a)および図3(b)は、実施形態の既設盤現地調査システムの動作を説明するための模式図である。
図3(a)には、図2(a)で示したI/Oユニットに対応する画像DI2が示されており、端子台に配線が接続されている様子が示されている。複数の端子台のうち、右端の端子台の部分が破線の楕円で囲って示されている。
図3(a)に示すように、技術員等は、破線の楕円で囲われている部分の画面をタップ等することにより選択する。
【0030】
図3(b)には、図3(a)の破線の楕円の部分が拡大されて示されている。携帯型コンピュータ20のタッチパネルインタフェースにより、技術員等が2本の指を広げるように動かす動作をすることによって、選択部分を拡大して表示するようにしてもよい(ピンチアウト動作)。
図3(b)に示すように、携帯型コンピュータ20は、1つの端子台の画像DI20を拡大して表示する。構造図によっては、その装置等の外形のほか、端子情報等の詳細情報を関連付けることが可能となっている。たとえば、上述したI/Oユニットに対応する構造図には、端子情報を関連付けたデータを保存することが可能となっている。
【0031】
携帯型コンピュータ20は、たとえばタップ位置にもとづいて、データLIB1aの詳細情報入力であることを判断する。携帯型コンピュータ20の画像認識プログラムは、タップして拡大した画像DI20の輪郭を認識する。携帯型コンピュータ20は、画像DI20を認識することによって、画像DI20を識別する一連番号を付与し、その一連番号をデータLIB1aに付与された一連番号に関連付ける。また、携帯型コンピュータ20は、たとえば、画面上に、データLIB1aに関する詳細情報を促すための入力用窓を開く。技術員等は、開いた窓に任意の名称や端子情報等を入力することができる。付与された名称は、画像DI20に付与された一連番号に関連付けられる。
【0032】
拡大された画像DI20は、1つの端子に配線名24P1なる配線が接続されていることを示している(画像DI22)。画像DI20は、他の端子に配線名24Z1なる配線が接続されていることを示している(画像DI24)。たとえば、配線名24P1が接続されている端子をタップし、楕円で示された配線名24P1にドラッグして、携帯型コンピュータ20のタッチパネルインタフェースにより、端子とその端子に接続された配線とを関連付けることができる。その後、端子名称入力窓が表示され、任意の名称を入力することによって、端子名称と配線名と端子情報として関連付けることができる。同様にして、他の端子と配線名24Z1とを端子情報として関連付けることができる。
【0033】
このようにして、識別情報が付与された端子台情報には、端子情報が関連付けられる。各種関連付けがされた画像に関するデータは、位置情報に関連付けられて、データベース34に格納される。
【0034】
既設盤や既設盤に収納された装置や機器等のサイズの計測方法について説明する。
図示しないが、たとえば図1に示した既設盤1の筐体のフレームに寸法基準を貼付するなどした後、寸法基準とともにカメラ10で撮影する。撮影された画像データには、寸法基準の画像も撮影されている。携帯型コンピュータ20の画像処理プログラムは、このような画像データを画像処理し、画像認識プログラムは、寸法基準およびフレームの画像にもとづいて、寸法基準が貼付された既設盤のフレームの寸法を算出する。携帯型コンピュータ20は、既設盤1の筐体に対応するモデルに関連付けてデータベース34に格納することができる。
【0035】
サイズ測定の調査対象となる他の装置や機器等にも、それぞれ寸法基準を貼付すれば、携帯型コンピュータ20の画像処理プログラムおよび画像認識プログラムによって、それぞれの寸法が算出される。携帯型コンピュータ20は、算出された寸法を、その装置や機器等に対応するモデルに関連するデータに関連付けて、データベース34に格納する。
【0036】
実施形態の既設盤現地調査システム100の一連の動作をフローチャートを用いて説明する。
図4は、実施形態の既設盤現地調査システムの動作を説明するためのフローチャートの例である。
図4に示すように、ステップS1において、技術員等は、カメラ10および位置検出装置12を所望の地点に設置し動作可能となるように設定する。
【0037】
ステップS2において、カメラ10は、既設盤1を撮影し画像データに変換する。位置検出装置12は、設置された場所の位置を検出して位置情報のデータを生成する。カメラ10および位置検出装置12は、携帯型コンピュータ20の指令にもとづいて、画像データおよび位置情報のデータを携帯型コンピュータ20に送信する。
【0038】
ステップS3において、技術員等は、携帯型コンピュータ20を操作して、構造図を抽出すべき装置や機器等に対応する画像を選択する。携帯型コンピュータ20は、選択された画像の輪郭から検索すべき画像データを設定する。
【0039】
ステップS4において、携帯型コンピュータ20は、データベース32にアクセスする。携帯型コンピュータ20は、選択された設定された画像のデータにもとづいて、データベース32の構造図ライブラリを検索する。携帯型コンピュータ20は、画像のデータに一致する構造図を抽出し、抽出した構造図に位置情報を関連付けて、データLIB1aとして保存する。
【0040】
ステップS5において、技術員等は、携帯型コンピュータ20を操作して、ステップS3で選択した画像のうち、詳細部分を拡大するなどした後、選択する。携帯型コンピュータ20は、選択された部分の詳細情報をデータLIB1aに関連付けて保存する。
【0041】
ステップS6において、携帯型コンピュータ20は、位置情報に関連付けられた構造図LIB1に関するデータLIB1aを位置情報、詳細情報とともにデータベース34に格納する。
【0042】
このようにして、実施形態の既設盤現地調査システム100は、現地調査による既設盤に関する必要なデータを漏れなく収集することを可能にする。
【0043】
実施形態の既設盤現地調査システム100の効果について説明する。
実施形態の既設盤現地調査システム100では、カメラ10とともに位置検出装置12を備えており、携帯型コンピュータ20に通信可能に接続されている。携帯型コンピュータ20は、カメラ10によって取得された画像データに、位置検出装置12によって生成されたカメラ10の設置場所の位置情報のデータを関連付けることができる。アップデートするべき展開接続図には、各既設盤の位置情報のデータが埋め込まれているので、取得した画像データに含まれる情報がプラントのどの既設盤に対応するものであるかが、自動的に判別されることが可能である。したがって、技術員等が、展開接続図をアップデートをすることがきわめて容易になる。
【0044】
既設盤現地調査システム100は、携帯型コンピュータ20を備えており、携帯型コンピュータ20は、画像処理プログラムおよび画像認識プログラムを導入している。画像処理プログラムは、カメラ10で撮影し、取得された画像データを画像処理し、画像認識プログラムは、画像処理されたデータから検索対象の装置等を設定することができる。携帯型コンピュータ20は、設定された検索対象にもとづいて、ライブラリから対象の構造図を抽出することができる。
【0045】
携帯型コンピュータ20の画像認識プログラムは、画像データから選択された部分の輪郭を認識して、その部分の画像のデータを検索対象として設定することができる。画像認識プログラムは、設定した検索対象のデータにもとづいて、ライブラリを検索して対象の構造図を抽出することができる。そのため、調査をしている現場で既設盤を構成する装置等の構造図を決定することができ、取得したデータを持ち帰って、展開接続図の対象の構造図と照合する必要がない。
【0046】
携帯型コンピュータ20の画像認識プログラムは、既設盤に収納されている装置等の端子接続情報等を取得することもできる。そのため、現実に収納されている装置の端子接続等の詳細情報をより自動化した形式で収集することができる。
【0047】
携帯型コンピュータ20は、位置情報に関連付けられた抽出した構造図に対応するデータに、端子接続情報やサイズ等の情報を関連付けてデータベースとして格納することができるので、展開接続図をアップデートする際に、必要なデータを網羅することができる。そのため、何度もプラントへ出向いて現地調査を行う必要がなくなり、プラント更新エンジニアリング業務の生産性を向上させることができる。
【0048】
上述した具体例では、取得した画像データ中の装置等に対応する部分を技術員等が選択する場合について説明した。これに限らず、機械学習により装置等の外観を十分に学習させることによって、取得した画像データから装置等に対応する部分を自動的に判別するようにしてもよい。
【0049】
また、上述の具体例では、カメラ10、位置検出装置12および携帯型コンピュータ20を別体のものとして、説明したが、これに限るものではない。携帯型コンピュータが、カメラおよび位置検出機能を備えている場合には、携帯型コンピュータのこれらの機能を用いて、システムを構築してももちろんかまわない。
【0050】
さらに、携帯型コンピュータの記憶容量に応じて、データサーバの機能を取り込んでもよい。つまり、技術員等は、1台の携帯型コンピュータを携帯してプラントへ出向くことで、通信環境によらずに現地調査の作業を行うことができる。
【0051】
以上説明した実施形態によれば、展開接続図のアップデート作業を効率化できる既設盤現地調査システムを実現することができる。
【0052】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他のさまざまな形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明およびその等価物の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 既設盤、2 I/Oユニット、4 端子台、6 銘板、10 カメラ、12 位置検出装置、14 撮影用治具、20 携帯型コンピュータ、30 データサーバ、32,34 データベース、100 既設盤現地調査システム
図1
図2
図3
図4