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特許7450337電力供給システム、電力供給方法及び電力供給プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-07
(45)【発行日】2024-03-15
(54)【発明の名称】電力供給システム、電力供給方法及び電力供給プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20240101AFI20240308BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20240308BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
G06Q50/06
H02J3/00 180
H02J3/38 130
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019034070
(22)【出願日】2019-02-27
(65)【公開番号】P2020140339
(43)【公開日】2020-09-03
【審査請求日】2021-09-22
【審判番号】
【審判請求日】2023-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀧本 勲
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 信
【合議体】
【審判長】佐藤 智康
【審判官】安井 雅史
【審判官】相崎 裕恒
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-65487(JP,A)
【文献】特開2006-286278(JP,A)
【文献】特開2016-85531(JP,A)
【文献】特開2017-17779(JP,A)
【文献】特許第6345333(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-99/00
H02J3/00-5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
事業者により管理され再生可能エネルギーを利用した複数の発電設備と、
前記発電設備の所定の期間の設備容量に対して投資した需要家毎に、前記需要家が投資した前記設備容量に対応する部分が発電した発電量に関する情報をリアルタイムで前記需要家へ報知すると共に、前記発電量を考慮して前記需要家の電力消費量に対する費用請求を行うことが可能な費用請求サーバと、
を備え、
複数の前記発電設備は、前記需要家とは異なるエリアで、かつ日の出及び日の入りに係る時刻が各々異なるエリアに設けられ、
前記費用請求サーバは、前記需要家毎に、前記需要家のエリアにおいて発電で
きない時刻及び発電が難しい気象条件において各前記発電設備が発電した発電量
を考慮して前記需要家の電力消費量に対する費用請求を行うことが可能である
ことを特徴とする電力供給システム。
【請求項2】
前記需要家の電力消費量は、前記発電設備が発電した電力を供給するエリア外に居住する前記需要家が前記発電設備とは異なる発電設備が発電した電力を消費することで計上されるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項3】
前記費用請求サーバは、前記発電設備の発電量に関する情報をリアルタイムで前記需要家へ提供する情報提供手段を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電力供給システム。
【請求項4】
前記発電設備には、前記発電設備が発電した発電量に関する情報を計測可能な発電設備側計測機器が設けられ、
前記費用請求サーバは、前記発電設備側計測機器で計測した計測結果に基づいて、前記発電設備の所定の期間の設備容量に対して投資した需要家毎に、前記発電設備のうち前記需要家が投資した前記設備容量に対応する部分が発電した発電量に関する情報を計算し、
前記情報提供手段は、
前記計算された発電量に関する情報をネットワーク回線を介して前記需要家の需要家側端末へ送信可能なサーバ通信装置を備えていることを特徴とする請求項3に記載の電力供
給システム。
【請求項5】
前記情報提供手段は、日射計による日射量データと、天気予報による天気予報データとを送信可能であることを特徴とする請求項3又は4に記載の電力供給システム。
【請求項6】
前記発電設備には、前記発電設備が発電した電力を貯蔵する貯蔵設備が設けられていることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5に記載の電力供給システム。
【請求項7】
各前記需要家側には、当該需要家の電力消費量に関する情報を計測する需要家側計測機器が設けられ、
前記需要家側計測機器での前記需要家の電力消費量に関する情報の計測結果の表示と、前記発電設備側計測機器での前記需要家が投資した前記設備容量に対応する部分が発電した発電量に関する情報の計測結果の表示とが前記需要家側端末に対して同時に表示可能としたことを特徴とする請求項4に記載の電力供給システム。
【請求項8】
前記費用請求サーバは、
前記需要家の電力消費量から、前記発電設備の前記需要家が投資した前記設備容量に対応する部分が発電した発電量を減算して、請求する料金を計算するものであって、
電力料金の単価が変動せずに一律に設定され、費用請求期間における前記需要家の電力消費量の積算値から、前記発電設備のうち前記需要家が投資した前記設備容量に対応する部分が発電した発電量の積算値を減算したものに基づいて請求金額を計算するようにしたことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7に記載の電力供給システム。
【請求項9】
前記費用請求サーバは、
前記需要家の電力消費量から、前記発電設備の前記需要家が投資した前記設備容量に対応する部分が発電した発電量を減算して、請求する料金を計算するものであって、
電力料金の単価が所定時間毎に変動するように設定され、当該所定時間毎に、当該所定時間における前記需要家の電力消費量の積算値から、前記発電設備のうち前記需要家が投資した前記設備容量に対応する部分が発電した発電量の積算値を減算したものに基づいて料金を計算し、計算した料金の合計を請求金額とすることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7に記載の電力供給システム。
【請求項10】
前記費用請求サーバは、
前記発電設備の前記需要家が投資した前記設備容量に対応する部分が発電した発電量が、前記需要家の電力消費量以下の場合には、前記需要家の電力消費量から、前記需要家が投資した前記設備容量に対応する部分が発電した発電量を減算して前記需要家に請求する料金を計算し、
前記発電設備の前記需要家が投資した前記設備容量に対応する部分が発電した発電量が、前記需要家の電力消費量を超える場合には、その超える分について前記需要家に特典を付与可能としたことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9に記載の電力供給システム。
【請求項11】
前記費用請求サーバは、
前記需要家の電力消費量に応じた金額から、前記発電設備の前記需要家が投資した前記設備容量に対応する部分が発電した発電量に応じた金額を減算して、請求する料金を計算するものであって、
電力料金の単価が変動せずに一律に設定され、費用請求期間における前記需要家の電力消費量の積算値に単価を乗算した金額から、前記発電設備のうち前記需要家が投資した前記設備容量に対応する部分が発電した発電量の積算値に単価を乗算した金額を減算したものに基づいて請求金額を計算するようにしたことを特徴とする請求項1、2、3、4、5
、6又は7に記載の電力供給システム。
【請求項12】
前記費用請求サーバは、
前記需要家の電力消費量に応じた金額から、前記発電設備の前記需要家が投資した前記設備容量に対応する部分が発電した発電量に応じた金額を減算して、請求する料金を計算するものであって、
電力料金の単価が所定時間毎に変動するように設定され、当該所定時間毎に、当該所定時間における前記需要家の電力消費量の積算値に単価を乗算した金額から、前記発電設備のうち前記需要家が投資した前記設備容量に対応する部分が発電した発電量の積算値に単価を乗算した金額を減算したものに基づいて料金を計算し、計算した料金の合計を請求金額とすることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7に記載の電力供給システム。
【請求項13】
前記費用請求サーバは、
前記発電設備の前記需要家が投資した前記設備容量に対応する部分が発電した発電量が、前記需要家の電力消費量以下の場合には、前記需要家の電力消費量に応じた金額から各前記需要家が投資した前記設備容量に対応する部分が発電した発電量に応じた金額を減算して前記需要家に請求する料金を計算し、
前記発電設備の前記需要家が投資した前記設備容量に対応する部分が発電した発電量が、前記需要家の電力消費量を超える場合には、その超える分について前記需要家に特典を付与可能としたことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、11又は12に記載の電力供給システム。
【請求項14】
前記費用請求サーバは、
前記事業者と前記需要家との間の取引対象として電力の代わりに、投資した設備容量の発電量に対応する環境価値を取引可能としたことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又は13に記載の電力供給システム。
【請求項15】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13又は14に記載の電力供給システムを用いて、
前記発電設備の所定の期間の設備容量に対して投資した前記需要家毎に、前記需要家が投資した前記設備容量に応じた発電量に関する情報をリアルタイムで前記需要家へ報知すると共に、前記発電量を考慮して前記需要家の電力消費量に対する費用請求を行う処理をコンピュータが実行することを特徴とする電力供給方法。
【請求項16】
コンピュータを、
事業者により管理され再生可能エネルギーを利用した複数の発電設備の所定の期間の設備容量に対して投資した需要家毎に、前記需要家が投資した前記設備容量に応じた発電量に関する情報をリアルタイムで前記需要家へ報知する報知処理を行い、
前記発電量を考慮して前記需要家の電力消費量に対する費用請求を行い、
複数の前記発電設備が前記需要家とは異なるエリアで、かつ日の出及び日の入りに係る時刻が各々異なるエリアに設けられ、前記需要家毎に、前記需要家のエリアにおいて発電できない時刻及び発電が難しい気象条件において各前記発電設備が発電した発電量を考慮して前記需要家の電力消費量に対する費用請求を行う
ことが可能な制御手段、
として機能させることを特徴とする電力供給プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生可能エネルギー利用発電設備を用いた電力供給システム、電力供給方法、及び電力供給プログラムに関するものである。詳しくは、遠隔地に設けた再生可能エネルギーを利用した発電設備の発電量を需要家が取引する電力供給システム、電力供給方法及び電力供給プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電等の再生可能エネルギーから生まれた電力については、環境負荷を与えないという利点を持つため導入量は増加しているという事実はあるものの、安定供給やコスト面の問題から、その導入ポテンシャルと比較すると実際の導入量は少ないというのが実態であり、導入促進を目的とした種々の取組が検討されている。
【0003】
例えば、既存の発電設備が存在しない地域においてもオフグリッドにて安定的に電力を供給することを可能とした再生可能エネルギー利用発電設備を用いた電力供給システムを提供するものが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
また、例えば、事業者が太陽電池を選択するのに必要な情報を提供し、出資者から資金提供を受け、出資者が選択した太陽電池にて発電システムを設置し、出資者に資金額に応じた証券を発行し、当該発電システムの運転により発電にて利益を得た場合には、出資者に対して利益に応じた配当金を払い戻すとともに、当該証券を市場にて取り引きするものが提案されている(例えば、特許文献2)。
【0005】
ここで、再生可能エネルギーで発電した電気に対して、政府による各種補助金制度や、高価格の買い取り制度が適用されているが、家庭用新規導入では、この買い取り価格も低下してきており、買取期間も事業用に比べて住宅用は短く、特に小規模需要家のメリットが減少している。
【0006】
また、狭小住宅や、集合住宅(マンション・アパート・団地等)、再生可能エネルギーのポテンシャルの低い地域(低日射量、悪風況等)に住む需要家の中には、環境意識が高まっても立地上の制約により再生可能エネルギーを導入したくても導入できない需要家も多数存在することが想定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2016-189691号公報
【文献】特開2003-122924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載された従来技術では、再生可能エネルギーを利用した発電設備の初期投資費用が大きくなると事業者は収益性という点で容易に投資することができない。また、特許文献1に記載された従来技術では、再生可能エネルギー利用発電設備を設けた周辺の需要家だけが対象となり、集合住宅等の立地上の制約により再生可能エネルギーを導入したくても導入できないような需要家を活用することができない。
【0009】
また、特許文献2に記載された従来技術では、出資者に出資した資金額に応じた証券を発行し、それを市場にて取り引きするものであり、リアルタイムで発電量が公開されるものの、当該証券の取引のために公開されるものであって、出資者は、わざわざアクセスしないと、発電量を確認することはできない。
【0010】
本発明は、再生可能エネルギーを利用した発電設備の初期投資費用を抑えることができて、誰もが再生可能エネルギーを購入し参画することができ、再生可能エネルギーの活用を促進することができると共に、リアルタイムで、投資した設備容量による発電量に関する情報を容易に知ることが可能な電力供給システム、電力供給方法及び電力供給プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る電力供給システムは、次の点を特徴とする。すなわち、事業者により管理され再生可能エネルギーを利用した複数の発電設備と、前記発電設備の所定の期間の設備容量に対して投資した需要家毎に、前記需要家が投資した前記設備容量に対応する部分が発電した発電量に関する情報をリアルタイムで前記需要家へ報知すると共に、前記発電量を考慮して前記需要家の電力消費量に対する費用請求を行うことが可能な費用請求サーバと、を備え、複数の前記発電設備は、前記需要家とは異なるエリアで、かつ日の出及び日の入りに係る時刻が各々異なるエリアに設けられ、前記費用請求サーバは、前記需要家毎に、前記需要家のエリアにおいて発電できない時刻及び発電が難しい気象条件において各前記発電設備が発電した発電量を考慮して前記需要家の電力消費量に対する費用請求を行うことが可能である。
【0012】
本発明では、太陽光発電等の再生可能エネルギーを用いた発電設備を新たに作る事業者の初期投資額は、設備容量(電力kW)に対応する金額となり、需要家は、設備容量(電力kW)に対して投資をする。電力量(kWh)に対しての投資ではないため、事業者も電力量(kWh)を保証する必要がない。
【0013】
ここで、仮に電力量(kWh)を保証するとなると、発電設備が再生可能エネルギー(太陽光発電等)という季節要因等の変動幅の大きいものであるのでリスクが大きくなる。
それに対して、本発明は設備容量という電力(kW)に対しての需要家の投資であり、発電設備の発電能力の一部に対しての投資に関するサービスを規定する発明となる。
需要家が投資という手段で事業者の初期投資額の一部を肩代わりしてくれるので発電事業の開始のハードルが下がり、事業者は大きなリスクを背負うことなく、発電事業に参画することができ、事業を開始することができる。
一方、需要家も、自分の家庭の屋根等に家庭用の太陽光発電をこれから設けるような場合と比較して、メガソーラの一部を利用した方がはるかに低コストで長期間、利用することが可能となる。また、狭小住宅、集合住宅(マンション・アパート・団地等)に住む需要家に対して、再生可能エネルギーの利用の道を開くことになる。
【0014】
さらに、本発明によれば、発電設備の所定の期間の設備容量に対して投資した需要家に発電量に関する情報をリアルタイムで報知することで、各需要家はリアルタイムで投資した設備容量による発電量を容易に知ることができる。
【0015】
投資対象の設備容量を所定の期間に設定することで、需要家の投資(購入)や、事業者の設備容量の販売に種々の購入計画や、販売計画を立てることができる。例えば、昼時間と夜時間とで電力系統から購入する電力の電力料金の単価が異なるような設定になっている場合には、需要家は、電力系統から電力を購入すると単価の高い昼時間のみ投資(購入)するようなことが可能となる。逆に事業者は、電力系統から電力を購入すると単価の高い昼時間は、発電設備で発電した電力は自分で消費し、単価の安い夜時間の電力だけ需要家に販売するようなことが可能となる。
なお、「所定の期間の設備容量に対して投資」とは、所定の年度や、所定の月や、所定の日や、所定の曜日や、所定の時間や、これらの組み合わせ、例えば本年度の8月の月曜日から金曜日までの11時から16時までの期間(時間h)の設備容量(kW)に対して投資するようなものが含まれる。すなわち、上述したようなものには、取引対象として、「kWh価値」が含まれるものである。
また、ここで、「設備容量(kW)」は、当該発電設備における単位時間当たりの最大仕事量(kW)を意味するものであり、「所定の期間」には、単位時間も含まれる。すなわち、取引対象として、「kW価値」も含まれるものである。
さらに、後述するように、事業者と需要家との間の取引対象として電力の代わりに、需要家が投資した設備容量に対応する部分が発電した発電量に対応する「環境価値」も含まれるものである。
【0016】
なお、本発明では、発電設備(例えば太陽光発電設備)を備えた一の事業者に対して、一の需要家が投資する「一対一」の関係となることも可能であるが、複数の需要家が投資する「一対多」の関係となることで事業者は大きな投資額を獲得することができる。
また、「前記需要家が投資した前記設備容量に対応する部分が発電した発電量に関する情報」の「発電量に関する情報」には、瞬時の発電電力(発電出力kW)や、発電量(発電電力量kWh)が含まれる。
【0017】
さらに、前記需要家の電力消費量は、前記発電設備が発電した電力を供給するエリア外に居住する前記需要家が前記発電設備とは異なる発電設備が発電した電力を消費することで計上されるようにしたことを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、再生可能エネルギーのポテンシャルの低い地域(低日射量、悪風況等)に住む需要家や、近くに再生可能エネルギーの発電設備の無い地域に居住する需要家であっても、再生可能エネルギーの利用の道を開くことができる。
【0019】
さらに、前記費用請求サーバは、前記発電設備の発電量に関する情報をリアルタイムで前記需要家へ提供する情報提供手段を備えたことを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、発電設備の発電量に関する情報をリアルタイムで需要家へ提供することで、需要家は当該情報に基づいて将来の発電量を予測することが可能となる。
なお、情報提供手段は、発電量に関する情報に代えて又は発電量に関する情報に加えて、将来の発電量を予測するのに必要な情報を需要家へ提供してもよい。これにより、発電量を精度良く予測することが可能となる。
【0021】
さらに、前記発電設備には、前記発電設備が発電した発電量に関する情報を計測可能な発電設備側計測機器が設けられ、前記費用請求サーバは、前記発電設備側計測機器で計測した計測結果に基づいて、前記発電設備の所定の期間の設備容量に対して投資した需要家毎に、前記発電設備のうち前記需要家が投資した前記設備容量に対応する部分が発電した発電量に関する情報を計算し、前記情報提供手段は、前記計算された発電量に関する情報をネットワーク回線を介して前記需要家の需要家側端末へ送信可能なサーバ通信装置を備えていることを特徴とする。
【0022】
本発明によれば、発電設備側計測機器が、発電設備が発電した発電量に関する情報を計測し、費用請求サーバが、発電設備側計測機器で計測した計測結果に基づいて、発電設備の所定の期間の設備容量に対して投資した需要家毎に、発電設備のうち需要家が投資した設備容量に対応する部分が発電した発電量に関する情報を計算し、サーバ通信装置が前記計算された発電量に関する情報をネットワーク回線を介して需要家の需要家側端末へ送信することで、需要家は、発電設備のうち自分が投資した設備容量に対応する部分により発電される正確な発電量に関する情報を知ることができる。
【0023】
さらに、前記情報提供手段は、日射計による日射量データと、天気予報による天気予報データとを送信可能であることを特徴とする。
【0024】
本発明によれば、需要家は、日射量データ及び天気予報データに基づいて将来の発電量のより正確な予測が可能となる。
【0025】
さらに、前記発電設備には、前記発電設備が発電した電力を貯蔵する貯蔵設備が設けられていることを特徴とする。
【0026】
本発明によれば、発電設備に電力を貯蔵する貯蔵設備が設けられていることで、出力抑制(接続拒否)にならないように、又は、出力抑制(接続拒否)になった場合に、発電設備が発電した電力を貯留することができ、効率的な電力供給が可能となる。
【0027】
さらに、各前記需要家側には、当該需要家の電力消費量に関する情報を計測する需要家側計測機器が設けられ、前記需要家側計測機器での前記需要家の電力消費量に関する情報の計測結果の表示と、前記発電設備側計測機器での前記需要家が投資した前記設備容量に対応する部分が発電した発電量に関する情報の計測結果の表示とが前記需要家側端末に対して同時に表示可能としたことを特徴とする。
【0028】
本発明には、需要家側端末に需要家の現在の消費電力と、需要家が投資した部分が現在発電している発電電力とが同時に表示されるようなものが含まれる。
また、本発明には、需要家側端末に所定の期間の需要家の電力消費量と、需要家が投資した部分が所定の期間に発電した発電量とが同時に表示されるようなものが含まれる。
本発明によれば、需要家側端末に例えば消費電力と発電電力とが同時に表示されることで、発電した電力に消費電力を揃えさせるような消費電力の調整をリアルタイムで行うことが可能となる。
【0029】
さらに、前記費用請求サーバは、前記需要家の電力消費量から、前記発電設備の前記需要家が投資した前記設備容量に対応する部分が発電した発電量を減算して、請求する料金を計算するものであって、電力料金の単価が変動せずに一律に設定され、費用請求期間における電力消費量の積算値から、前記発電設備のうち前記需要家が投資した前記設備容量に対応する部分が発電した発電量の積算値を減算したものに基づいて請求金額を計算するようにしたことを特徴とする。
【0030】
本発明によれば、費用請求サーバは電力料金の単価が変動せずに一律のときに対応した請求金額を簡単に計算することができる。
【0031】
さらに、前記費用請求サーバは、前記需要家の電力消費量から、前記発電設備の前記需要家が投資した前記設備容量に対応する部分が発電した発電量を減算して、請求する料金を計算するものであって、電力料金の単価が所定時間毎に変動するように設定され、当該所定時間毎に、当該所定時間における前記需要家の電力消費量の積算値から、前記発電設備のうち前記需要家が投資した前記設備容量に対応する部分が発電した発電量の積算値を減算したものに基づいて料金を計算し、計算した料金の合計を請求金額とすることを特徴とする。
【0032】
本発明によれば、費用請求サーバは電力料金の単価が所定期間毎に変動するときに対応した請求金額を簡単に計算することができる。
【0033】
さらに前記費用請求サーバは、前記発電設備の前記需要家が投資した前記設備容量に対応する部分が発電した発電量が、前記需要家の電力消費量以下の場合には、前記需要家の電力消費量から、前記需要家が投資した前記設備容量に対応する部分が発電した発電量を減算して前記需要家に請求する料金を計算し、前記発電設備の前記需要家が投資した前記設備容量に対応する部分が発電した発電量が、前記需要家の電力消費量を超える場合には、その超える分について前記需要家に特典(具体的には、例えば現金で還元するものや、景品と交換可能なポイント等)を付与可能としたことを特徴とする。
【0034】
本発明によれば、需要家の無駄な電力消費を抑え、全体としての節電効果に寄与することができる。
【0035】
さらに、前記費用請求サーバは、前記需要家の電力消費量に応じた金額から、前記発電設備の前記需要家が投資した前記設備容量に対応する部分が発電した発電量に応じた金額を減算して、請求する料金を計算するものであって、電力料金の単価が変動せずに一律に設定され、費用請求期間における前記需要家の電力消費量の積算値に単価を乗算した金額から、前記発電設備のうち前記需要家が投資した前記設備容量に対応する部分が発電した発電量の積算値に単価を乗算した金額を減算したものに基づいて請求金額を計算するようにしたことを特徴とする。
【0036】
本発明によれば、費用請求サーバは電力料金の単価が変動せずに一律のときに対応した請求金額を簡単に計算することができる。
【0037】
さらに、前記費用請求サーバは、前記需要家の電力消費量に応じた金額から、前記発電設備の前記需要家が投資した前記設備容量に対応する部分が発電した発電量に応じた金額を減算して、請求する料金を計算するものであって、電力料金の単価が所定時間毎に変動するように設定され、当該所定時間毎に、当該所定時間における前記需要家の電力消費量の積算値に単価を乗算した金額から、前記発電設備のうち前記需要家が投資した前記設備容量に対応する部分が発電した発電量の積算値に単価を乗算した金額を減算したものに基づいて料金を計算し、計算した料金の合計を請求金額とすることを特徴とする。
【0038】
本発明によれば、費用請求サーバは電力料金の単価が所定期間毎に変動するときに対応した請求金額を簡単に計算することができる。
【0039】
さらに、前記費用請求サーバは、前記発電設備の前記需要家が投資した前記設備容量に対応する部分が発電した発電量が、前記需要家の電力消費量以下の場合には、前記需要家の電力消費量に応じた金額から各前記需要家が投資した前記設備容量に対応する部分が発電した発電量に応じた金額を減算して前記需要家に請求する料金を計算し、前記発電設備の前記需要家が投資した前記設備容量に対応する部分が発電した発電量が、前記需要家の電力消費量を超える場合には、その超える分について前記需要家に特典を付与可能としたことを特徴とする。
【0040】
本発明によれば、需要家の無駄な電力消費を抑え、全体としての節電効果に寄与することができる。
【0041】
さらに、前記費用請求サーバは、前記事業者と前記需要家との間の取引対象として電力の代わりに、投資した設備容量の発電量に対応する環境価値を取引可能としたことを特徴とする。
具体的には例えば事業者から需要家へ環境価値を購入した証明データを送信するようなものが含まれる。
【0042】
本発明によれば、需要家は再生可能エネルギーの発電設備の設備容量に投資することで環境への負荷を下げる価値である環境価値を得ることができる。再生可能エネルギーの有効利用のインセンティブとなり、再生可能エネルギーの有効利用の環境価値を社会に広めることができる。
【0043】
本発明に係る電力供給方法は、次の点を特徴とする。すなわち、上述したいずれか1つの前記電力供給システムを用いて、前記発電設備の所定の期間の設備容量に対して投資した前記需要家毎に、前記需要家が投資した前記設備容量に応じた発電量に関する情報をリアルタイムで前記需要家へ報知すると共に、前記発電量を考慮して前記需要家の電力消費量に対する費用請求を行う処理をコンピュータが実行することを特徴とする電力供給方法である。
【0044】
本発明によれば、当該電力供給方法を用いることで、上述した電力供給システムで説明したような作用効果を奏することが可能となる。
【0045】
本発明に係る電力供給プログラムは、次の点を特徴とする。すなわち、コンピュータを、事業者により管理され再生可能エネルギーを利用した複数の発電設備の所定の期間の設備容量に対して投資した需要家毎に、前記需要家が投資した前記設備容量に応じた発電量に関する情報をリアルタイムで前記需要家へ報知する報知処理を行い、前記発電量を考慮して前記需要家の電力消費量に対する費用請求を行い、複数の前記発電設備が前記需要家とは異なるエリアで、かつ日の出及び日の入りに係る時刻が各々異なるエリアに設けられ、前記需要家毎に、前記需要家のエリアにおいて発電できない時刻及び発電が難しい気象条件において各前記発電設備が発電した発電量を考慮して前記需要家の電力消費量に対する費用請求を行うことが可能な制御手段、として機能させることを特徴とする電力供給プログラムである。
【0046】
本発明によれば、当該電力供給プログラムを用いることで、再生可能エネルギーを利用した発電設備の初期投資費用を抑えて収益性の改善が見込まれ、集合住宅等の立地上の成約や立地条件の悪い場所に住む需要家等、誰もが再生可能エネルギーを購入し参画することができ、再生可能エネルギーの活用を促進することができ、所定の期間の設備容量に投資することで、リアルタイムで、投資した設備容量に対応する部分が発電する発電量に関する情報等を容易に知ることができる。
【発明の効果】
【0047】
本発明は、再生可能エネルギーを利用した発電設備の初期投資費用を抑えることができて、誰もが再生可能エネルギーを購入し参画することができ、再生可能エネルギーの活用を促進することができ、リアルタイムで、投資した設備容量による発電量を容易に知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】本発明の第1の実施の形態であって、電力供給システムの機能を説明するブロック図である。
図2】本発明の第1の実施の形態であって、図1の費用請求サーバをより具体的に説明するブロック図である。
図3】本発明の第1の実施の形態であって、費用請求サーバの構成例を示すブロック図である。
図4】本発明の第1の実施の形態であって、需要家側端末の構成例を示すブロック図である。
図5】本発明の第1の実施の形態であって、電力供給システムにおける事業者と需要家との間の費用請求の算出処理の流れの一例を説明するフローチャートである。
図6】本発明の第1の実施の形態であって、図5のステップ114の契約期間中処理の流れの一例を説明するフローチャートである。
図7】本発明の第2の実施の形態であって、電力供給システムの機能を説明するブロック図である。
図8】本発明の第3の実施の形態であって、電力供給システムの機能を説明するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、図面を参照して、本発明の電力供給システム10、電力供給方法及び電力供給プログラムを実施するための形態例を詳細に説明する。
【0050】
(第1の実施の形態)
先ず、図1を用いて、本実施の形態に係る電力供給システム10の全体構成を説明する。
本実施の形態に係る電力供給システム10は、事業者Aと、需要家Bとの間に設定されている。
【0051】
事業者Aは、需要家Bに対して費用請求を行うことが可能な費用請求サーバ40と、需要家Bの居住エリアの近隣に設置されて需要家Bに対して電力を供給可能な近隣発電設備20とを備えている。この費用請求サーバ40と、近隣発電設備20とは、具体的には需要家Bの居住するエリアの近隣に配置されているものであって、例えば、需要家Bが関東地域の東京に居住する場合に、同様に関東地域の東京都又は東京都の近隣に設置されている。もちろん、場所は関東地域や東京都に限定されるものではなく、日本全国どの地域であってもよいものであって、費用請求サーバ40と、近隣発電設備20とのうち、少なくとも近隣発電設備20が発電した電力を供給するエリア内に需要家Bが居住するような位置関係にあればよい。
なお、費用請求サーバ40は、必ずしも近隣発電設備20が設置されている場所の近くや、需要家Bの居住する場所の近くに設ける必要はなく、例えば、遠隔発電設備30の近くや、これら以外の場所に設けるようにしてもよい。
【0052】
近隣発電設備20は、上述したように需要家Bの居住するエリアに対して発電した電力を電力系統を介して供給可能な場所に設けられている発電設備であり、発電した電力を電力系統により需要家Bへ供給する。この近隣発電設備20は、特に再生可能エネルギーを利用するものに限定されるものではなく、石炭や石油等の化石燃料を利用した火力発電設備であってもよい。
なお、近隣発電設備20は、必ずしも事業者Aが有するものに限定されるものではなく、事業者A以外の他の事業者であって事業者Aとの契約や取り決め等により電力等の売買契約を成立しているような関係を有して需要家Bに直接、電力を供給するようなものでもよい。
【0053】
さらに事業者Aは、需要家Bが居住する場所や近隣発電設備20が設置されている場所から離れた遠隔地に位置して事業者Aにより管理され再生可能エネルギーを利用した発電設備である遠隔発電設備30と、この遠隔発電設備30が発電した電力を貯蔵する貯蔵設備31と、遠隔発電設備30が発電した発電量に関する情報を計測可能な発電設備側計測機器32と、遠隔発電設備30の運転状態を把握するための計測機器(発電設備側計測機器32を含む)及び当該遠隔地の環境データを計測するための計測機器の計測結果を費用請求サーバ40へネットワーク回線を介して送信可能な遠隔地送信装置33とを有している。
【0054】
本実施の形態に係る費用請求サーバ40は、遠隔発電設備30の所定の期間の設備容量に対して投資した需要家毎に、需要家が投資した設備容量に対応する部分が発電した発電量に関する情報をリアルタイムで需要家へ報知すると共に、発電量を考慮して需要家の電力消費量に対する費用請求を行うことが可能なものである。
この費用請求サーバ40は、発電設備側計測機器32で計測した計測結果に基づいて、遠隔発電設備30の所定の期間の設備容量に対して投資した需要家毎に、遠隔発電設備30のうち需要家が投資した設備容量に対応する部分が発電した発電量に関する情報を計算するように形成されている。この費用請求サーバ40は、具体的には例えば需要家Bが太陽光発電設備のパネル1枚分の設備容量に投資している場合、発電設備側計測機器32で計測した計測結果に基づいて、当該パネル1枚分が発電した発電量に関する情報を計算可能に形成されている。
【0055】
ここで、「遠隔地」とは、需要家Bや近隣発電設備20がある地域からある程度離れた地域であれば好ましいものであって、例えば需要家Bが東京に居住する場合、遠隔地として九州地域や例えば沖縄地域等の離島や、外国の地域等が含まれる。具体的には、「遠隔地」は、遠隔発電設備30で発電した電力を需要家Bへ直接供給することができない程度、離れているものが含まれる。
なお、本実施の形態では、遠隔発電設備30の設置場所は上述したような「遠隔地」であることが好ましいものであるが、必ずしも「遠隔地」に限定されるものではなく、遠隔発電設備30が需要家Bへ直接、電力を供給することができるような同一地域にあるものも含めるようにしてもよい。
本実施の形態に係る遠隔発電設備30は、上述したような九州地域に設置されている太陽光発電等の再生可能エネルギーを利用した発電設備である。
【0056】
再生可能エネルギーは、本実施の形態では、遠隔発電設備30として、太陽光を利用した太陽光発電設備を採用しているが、特にこれに限定されるものではなく、太陽光以外の他の再生可能エネルギーを利用した発電設備であってもよく、例えば地熱、風力、バイオマス、水力等を利用した発電設備であってもよい。この遠隔発電設備30で発電した電力は、直接、需要家Bへ送らずに当該遠隔発電設備30が設置されている地域(例えば九州地域)内で消費され、又は、固定価格買取制度(FIT)を用いて当該地域の電力会社による買い取りを実行する。
【0057】
貯蔵設備31は、本実施の形態では充電及び放電の双方を行うことが可能な二次電池を利用した蓄電池を用いている。もちろん、貯蔵設備31はこれに限定されるものではなく、フライホイールや、揚水発電や、コンデンサ等の他の電力貯蔵技術を利用してもよいものであり、複数種類の電力貯蔵技術を組み合わせて利用するものでもよい。
【0058】
発電設備側計測機器32は、本実施の形態では、遠隔発電設備30である太陽光発電設備が発電した発電量に関する情報を計測可能なものである。
さらに、発電設備側計測機器32は、当該遠隔発電設備30に隣接して設置されて、日射量を測定可能な日射計や、温度を測定可能な温度計、湿度を測定可能な湿度計、気圧を測定可能な気圧計、風速及び風向きを測定可能な風速計等の種々の環境パラメータを測定可能な計測機器を有している。
【0059】
遠隔地送信装置33は、発電設備側計測機器32が計測した発電量に関する情報等の上述した計測結果のデータを、例えば関東地域の東京都にある費用請求サーバ40へネットワーク回線を介して送信するためのものである。
【0060】
需要家Bは、遠隔発電設備30が発電した電力を供給するエリア外であって、事業者Aの近隣発電設備20が発電した電力を供給するエリア内に居住する者である。もちろん、需要家Bの居住地域は、上述したものに限定されるものではなく、例えば、遠隔発電設備30が発電した電力を供給するエリア内の者にすることもできる。
【0061】
需要家Bには、費用請求サーバ40からの情報を表示等するための需要家側端末60と、近隣発電設備20から供給される電力の需要家Bの電力消費量を計測する需要家側計測機器70とが設けられている。
【0062】
需要家側端末60は、需要家側計測機器70での需要家Bの電力消費量に関する情報の計測結果の表示と、発電設備側計測機器32での需要家が投資した設備容量に対応する部分が発電した発電量に関する情報の計測結果の表示とが同時に表示可能に設定されている。
もちろん、「同時に表示」されることに限定されるものではなく、時間差があってもよく、また、需要家の選択操作によって、それぞれ表示されるようにしてもよい。
【0063】
需要家側計測機器70は、具体的には、需要家Bが消費する電力の現在の電流値(アンペア)や、所定の時間間隔(例えば30分間隔や、60分間隔等)毎の電力消費量をデジタルで計測することが可能な情報通信機能を持った高機能電力メーターである、いわゆるスマートメータ等が含まれる。
【0064】
需要家Bの需要家側計測機器70は、当該需要家側計測機器70で計測される需要家Bの電力消費量に関する情報をリアルタイムで需要家側端末60に報知する。需要家Bの電力消費量の情報はリアルタイムで需要家側端末60に表示される。
また、需要家Bの需要家側計測機器70は、当該需要家側計測機器70で計測される需要家Bの電力消費量に関する情報をリアルタイムで事業者Aの費用請求サーバ40に対して送信する。需要家Bの電力消費量に関する情報はリアルタイムで費用請求サーバ40で演算処理される。
【0065】
需要家Bの需要家側端末60には、事業者Aの費用請求サーバ40の後述する情報提供手段50のサーバ通信装置43から遠隔発電設備30の需要家Bが投資した設備容量に対応する部分が発電した発電量に関する種々の情報(データ)がネットワーク回線を介してリアルタイムで送信されて当該需要家側端末60にグラフ等で表示される。これにより、当該種々の情報が需要家Bに報知される。
なお、上述した種々の情報が需要家側端末60に送信されると共にスマートフォン等の携帯端末において作動するアプリケーションソフトをインストールしたスマートフォンに対して、費用請求サーバ40から直接、或いは、需要家側端末60を介して送信されて当該情報が表示されるようにしてもよい。
【0066】
需要家Bは、費用請求サーバ40から送信されてくる種々の情報に基づいて、需要家側端末60から遠隔発電設備30の所定の期間の所定量の設備容量に対して投資をすることが可能である。
「所定の期間」とは、所定の時間単位であって、所定の年度、月、日、曜日、時間や、これらの組み合わせが含まれる。例えば、本年度の7月の月曜から金曜までの10時から15時までのようなものが含まれる。また、「所定量」とは、設備容量全体のうちの例えば太陽光発電パネル1枚分が発電可能な発電量等の所定の数値(kW)を意味する。
【0067】
需要家Bには、需要家Bが居住するエリアに電力を供給可能な近隣発電設備20から電力が供給される。需要家Bの電力消費量は、遠隔発電設備30が発電した電力を供給するエリア外に居住する需要家Bが遠隔発電設備30とは異なる近隣発電設備20により発電された電力を消費することで計上される。
【0068】
費用請求サーバ40から需要家Bに対して、需要家Bが近隣発電設備20から供給された電力を消費した電力消費量に対する費用請求が行われる。その際、費用請求が行われる電力消費量は、需要家Bが投資した遠隔発電設備30の設備容量に応じた発電量が考慮される。
具体的には費用請求サーバ40は、費用請求において、後述する演算処理装置54により需要家Bの電力消費量から、遠隔発電設備30の需要家Bが投資した設備容量に対応する部分が発電した発電量を減算して、請求する料金を計算する。
その際、電力料金の単価が変動せずに一律に設定されているような場合、費用請求サーバ40の後述する演算処理装置54は、費用請求期間における需要家Bの電力消費量の積算値から、遠隔発電設備30のうち需要家Bが投資した設備容量に対応する部分が発電した発電量の積算値を減算したものに基づいて請求金額を計算する。
【0069】
また、電力料金の単価が所定期間毎に変動するように設定されているような場合、費用請求サーバ40の後述する演算処理装置54は、当該所定期間毎に、当該所定期間における需要家Bの電力消費量の積算値から、遠隔発電設備30のうち需要家Bが投資した設備容量に対応する部分が発電した発電量の積算値を減算したものに基づいて料金を計算し、計算した料金の合計を請求金額とする。
なお、近隣発電設備20が設置されている電力料金体系と、遠隔発電設備30が設置されている電力料金体系とが異なる場合には、それぞれの電力料金体系毎に別個に料金が計算される。
【0070】
ここで、費用請求サーバ40の後述する演算処理装置54は、遠隔発電設備30の需要家Bが投資した設備容量に対応する部分が発電した発電量が、需要家Bの電力消費量以下の場合には、需要家Bの電力消費量から需要家Bが投資した設備容量に対応する部分が発電した発電量を減算して需要家Bに請求する料金を計算する。
【0071】
一方、費用請求サーバ40の後述する演算処理装置54は、遠隔発電設備30の需要家Bが投資した設備容量に対応する部分が発電した発電量が、需要家Bの電力消費量を超える場合には、その超える分について需要家Bに特典を付与可能としている。具体的には、この特典は、例えば、ポイントであって、所定数のポイントを貯めることで、事業者Aが販売する商品やサービス等と交換可能なものである。この商品の中には、事業者Aが販売する電力も含めることができ、また、現金を含めることもでき、また、最低発電量等の付帯サービスを含めてもよい。また、上述した特典として、環境への負荷を下げる価値である、いわゆる環境価値であってもよい。具体的には、上述した「超える分」についての発電量をグリーン電力証書化して環境価値として需要家Bへ譲渡する。需要家Bは、グリーン電力証書を環境価値として、第三者に販売することで利益を得ることができるという特典を得ることができる。
【0072】
なお、上述したような請求金額の算出手順では、需要家Bの電力消費量から、遠隔発電設備30の需要家Bが投資した設備容量に対応する部分が発電した発電力を、「減算」しているが、算出手順としては、これに限定されるものではない。具体的には、例えば「減算」する対象を「電力消費量」や、「発電量」ではなく、「電力消費量に応じた金額」や、「発電量に応じた金額」等の「金額」に変換したもの同士を、「減算」する対象にしてもよい。
具体的には、費用請求サーバ40は、費用請求において、後述する演算処理装置54により需要家Bの電力消費量に応じた金額から、遠隔発電設備30の需要家Bが投資した設備容量に対応する部分が発電した発電量に応じた金額を減算して、請求する料金を計算するようにしてもよい。
その際、電力料金の単価が変動せずに一律に設定されているような場合、費用請求サーバ40の後述する演算処理装置54は、費用請求期間における需要家Bの電力消費量の積算値に単価を乗算した金額から、遠隔発電設備30のうち需要家Bが投資した設備容量に対応する部分が発電した発電量の積算値に単価を乗算した金額を減算したものに基づいて請求金額を計算する。
また、電力料金の単価が所定期間毎に変動するように設定されているような場合、費用請求サーバ40の後述する演算処理装置54は、当該所定期間毎に、当該所定期間における需要家Bの電力消費量の積算値に単価を乗算した金額から、遠隔発電設備30のうち需要家Bが投資した設備容量に対応する部分が発電した発電量の積算値に単価を乗算した金額を減算したものに基づいて料金を計算し、計算した料金の合計を請求金額とするようにしてもよい。
なお、近隣発電設備20が設置されている電力料金体系と、遠隔発電設備30が設置されている電力料金体系とが異なる場合には、それぞれの電力料金体系毎に別個に料金が計算される。
【0073】
また同様に、費用請求サーバ40の後述する演算処理装置54は、遠隔発電設備30の需要家Bが投資した設備容量に対応する部分が発電した発電量が、需要家Bの電力消費量以下の場合には、需要家Bの電力消費量に応じた金額から需要家Bが投資した設備容量に対応する部分が発電した発電量に応じた金額を減算して需要家Bに請求する料金を計算する。すなわち、遠隔発電設備30の需要家Bが投資した設備容量に対応する部分が発電した発電量を販売した金額が、需要家Bの電力消費量の金額以下の場合には、需要家Bの電力消費量の電力料金から需要家Bが投資した設備容量に対応する部分が発電した発電量により得られる電力料金を減算した差額が需要家Bに請求されることになる。
【0074】
一方、費用請求サーバ40の後述する演算処理装置54は、遠隔発電設備30の需要家Bが投資した設備容量に対応する部分が発電した発電量に応じた金額が、需要家Bの電力消費量に応じた金額を超える場合には、その超える分について需要家Bに特典を付与可能としてもよい。ここで、この「特典」は、上述した説明と同様の内容のものである。
【0075】
また、上述したように遠隔発電設備30の需要家Bが投資した設備容量に対応する部分が発電した発電量が、需要家Bの電力消費量を超える場合に「超える分」について需要家Bに特典としてのポイントを付与するのではなく、遠隔発電設備30の需要家Bが投資した設備容量に対応する部分が発電した全発電量に対してポイント等の特典を付与するようにしてもよい。
また、遠隔発電設備30の需要家Bが投資した設備容量に対応する部分が発電した当該全発電量をグリーン電力証書化して環境価値として需要家Bへ譲渡するようにしてもよい。すなわち、費用請求サーバ40は、事業者Aと需要家Bとの間の取引対象として電力の代わりに、投資した設備容量の発電量に対応する環境価値を取引するようにしてもよい。
【0076】
なお、上述したようにポイント等を媒介せずに、遠隔発電設備30の需要家Bが投資した設備容量に対応する部分が発電した発電量を販売した金額が、需要家Bの電力消費量の金額を超える場合には、その差額が需要家Bに直接支払われるようにしてもよい。
【0077】
上述の本実施の形態における事業者Aと需要家Bとの間での電力料金の支払いや上述したような差額の料金の支払いや、投資代金等の納入は、ネットワーク回線経由で電子マネー等の電子決済により実行可能になっている。具体的には、費用請求サーバ40と、需要家Bの需要家側端末60との間での金銭のやり取りをするために、費用請求サーバ40のプログラムには、需要家Bの需要家側端末60を介して、需要家Bが口座を有する銀行のオンラインシステムと接続可能であり電子決済により実行可能になっている。
【0078】
なお、上述したようなネットワーク回線経由で電子マネー等の電子決済により行うことに限定されるものではなく、銀行の振り込み等の他の手段で行ってもよい。例えば、需要家Bが投資代金の納入時には需要家Bが銀行振り込みで事業者Aの口座に代金を振り込み、事業者Aから特典としての現金を需要家Bに支払うような場合には、事業者Aが銀行振り込みで需要家Bの口座に現金を振り込むようにしてもよい。この時、費用請求サーバ40が事業者Aに指示して人間経由で需要家Bの口座に振り込むような方法でもよい。また、現金のやり取りのいずれか一方は電子決済で、他方は銀行振り込みにするような組み合わせの形態でもよい。
【0079】
図2に示すように、費用請求サーバ40は、演算処理装置54と、情報提供手段50とを備えている。
演算処理装置54は、遠隔発電設備30の発電量を考慮して需要家Bの電力消費量に対する費用請求等の上述したような種々の演算処理を行うためのものである。
情報提供手段50は、遠隔発電設備30が発電した発電量に関する情報や、費用請求サーバ40により計算された発電量に関する情報等の種々の情報をリアルタイムで需要家Bへ提供するためのものであって、具体的には、基礎情報管理装置53と、サーバ通信装置43とを備えている。
ここで、情報提供手段50は、現在、発電している発電量に関する情報をリアルタイムで提供するだけでなく、蓄積されている過去の発電量に関する情報をグラフ等の見やすい形式で提供することもでき、さらに、現在、過去だけでなく、将来(未来)の発電量に関する情報を予測するのに必要な情報を需要家へ提供することが可能に形成されている。
【0080】
基礎情報管理装置53は、遠隔地送信装置33から送信されてきた遠隔発電設備30の発電量等に関する情報や、気象予報等の情報を取り込んで管理するためのものである。
この基礎情報管理装置53が取り込む情報としては、遠隔発電設備30に設けられた発電設備側計測機器32によって計測される種々の計測結果である。具体的に取り込む情報としては、遠隔発電設備30の全体の発電電力及び発電電力量が含まれ、さらに需要家Bが投資した遠隔発電設備30の設備容量に対応する部分が発電した発電量に関する情報であって、当該対応する部分による発電電力及び発電電力量が含まれる。さらに、発電設備側計測機器32としての種々の計測機器による計測結果データ(日射量、温度、湿度、気圧、風速、風向き等の種々の気象データ)が含まれる。
【0081】
さらに、この基礎情報管理装置53は、遠隔地送信装置33から送信されてきた計測結果データだけでなく、気象庁等がホームページ等で利用可能に公開している予測等も含めた基礎的な気象データを自動的に取り込んでグラフ等に出力可能なプログラムを有しており、当該プログラムにより遠隔発電設備30近辺の基礎的気象データの過去データ及び予測データもデータ情報として有している。
【0082】
サーバ通信装置43は、発電設備側計測機器32で計測して遠隔地送信装置33により送信されてきた計測結果のデータや、インターネット上の気象庁のホームページ等の気象データを受信可能なものである。
また、サーバ通信装置43は、費用請求サーバ40により計算された発電量に関する情報や、演算処理装置54により演算処理された費用請求等をネットワーク回線を介して需要家Bの需要家側端末60へ送信可能なものである。
本実施の形態では、サーバ通信装置43は、上述したような計測結果データをリアルタイムで送信しているが、特にこれに限定されるものではなく、例えば所定時間(例えば30分、15分又は5分間隔等)の間隔で送信するようにしてもよい。
【0083】
図3は、事業者Aが有する費用請求サーバ40の構成例を示す図である。費用請求サーバ40は、制御手段47Aとしてのコンピュータ47を用いて構成される。
【0084】
コンピュータ47は、本実施の形態に係る制御手段47Aの一例であるCPU(Central Processing Unit)44A、ROM(Read Only Memory)44B、RAM(Random Access Memory)44C、不揮発性メモリ44D及び入出力インターフェース(I/O)45を備える。そして、CPU44A、ROM44B、RAM44C、不揮発性メモリ44D、及びI/O45がバス46を介して各々接続されている。不揮発性メモリ44Dとしてはハードディスクの他、例えばフラッシュメモリを利用したSSD(Solid State Driveが用いられる。
【0085】
I/O45には、例えば入力装置41、表示装置42、及びサーバ通信装置43が接続される。
【0086】
入力装置41は、費用請求サーバ40の操作者である事業者Aの指示を受け付けてCPU44Aに通知する装置であり、例えばキーボード、マウス、タッチパネル、及びマイク等が用いられる。
【0087】
表示装置42は、CPU44Aの制御によって生成された情報を画像として表示する装置であり、例えば液晶ディスプレイ、及び有機EL(Electroluminescenceディスプレイ等が用いられる。
【0088】
サーバ通信装置43はネットワーク回線に接続され、遠隔発電設備30の発電量の計測結果を送信する装置との間で電文を送受信する通信プロトコルを備える。すなわち、サーバ通信装置43は、遠隔発電設備30内の発電設備側計測機器32としての電力量計等で計測した計測結果等の遠隔地送信装置33からのデータを受信する受信手段としての機能を有する。
なお、発電設備側計測機器32と費用請求サーバ40とがネットワーク回線により繋がって発電量に関する情報等のデータを常時、費用請求サーバ40へ送信するようにしてもよい。
【0089】
また、サーバ通信装置43は、ネットワーク回線に接続され、需要家Bが投資した設備容量に対応する部分が発電した発電量に関する情報(発電電力を含む)を需要家Bの需要家側端末60へ送信する送信手段としての機能を有する。
【0090】
さらに、サーバ通信装置43はネットワーク回線に接続され、需要家Bの需要家側端末60との間で電文を送受信する通信プロトコルを備える。すなわち、サーバ通信装置43は、需要家側端末60からの需要家側計測機器70が計測した電力消費量に関する情報(消費電力を含む)や、投資条件等の信号を受信する受信手段としての機能を有する。
また、サーバ通信装置43は、需要家側端末60へ、設備容量に対応する部分の購入条件や購入条件に対する承認の信号や、後述する環境価値を購入した証明データ等を送信する送信手段としての機能を有する。
【0091】
本実施の形態では、費用請求サーバ40に電力供給プログラムを有している。この電力供給プログラムは、費用請求サーバ40のコンピュータ47を、事業者Aにより管理され再生可能エネルギーを利用した遠隔発電設備30の所定の期間の設備容量に対して投資した需要家Bに、需要家Bが投資した設備容量に応じた発電量に関する情報をリアルタイムで需要家Bへ報知処理を行い、発電量を考慮して需要家Bの電力消費量に対する費用請求を行うことが可能な制御手段47A、として機能させる。
【0092】
なお、I/O45に接続される装置は図3に例示された装置に限定されない。例えば遠隔発電設備30の発電設備側計測機器32との通信が切断された場合に警報を報知する報知装置を接続してもよい。また、入力装置41及び表示装置42は、必ずしも費用請求サーバ40に必須の装置ではない。
【0093】
図4は、需要家側端末60の構成例を示す図である。需要家側端末60は、制御手段67Aとしてのコンピュータ67を用いて構成される。
【0094】
コンピュータ67は、本実施の形態に係る制御手段67Aの一例であるCPU(Central Processing Unit)64A、ROM(Read Only Memory)64B、RAM(Random Access Memory)64C、不揮発性メモリ64D及び入出力インターフェース(I/O)65を備える。そして、CPU64A、ROM64B、RAM64C、不揮発性メモリ64D、及びI/O65がバス66を介して各々接続されている。不揮発性メモリ64Dとしてはハードディスクの他、例えばフラッシュメモリを利用したSSD(Solid State Driveが用いられる。
【0095】
I/O65には、例えば入力装置61、表示装置62、及び需要家側通信装置63が接続される。
【0096】
入力装置61は、需要家側端末60の操作者である需要家Bの指示を受け付けてCPU64Aに通知する装置であり、例えばキーボード、マウス、タッチパネル、及びマイク等が用いられる。
【0097】
表示装置62は、CPU64Aの制御によって生成された情報を画像として表示する装置であり、例えば液晶ディスプレイ、及び有機EL(Electroluminescenceディスプレイ等が用いられる。
【0098】
需要家側通信装置63はネットワーク回線に接続され、事業者Aの費用請求サーバ40と電文を送受信する通信プロトコルを備える。すなわち、需要家側通信装置63は、費用請求サーバ40から当該需要家Bが投資した設備容量に対応する部分が発電した発電量に関する情報や、遠隔発電設備30の設備容量の購入条件や、所定の設備容量を購入した証明データ等の信号を受信する受信手段としての機能を有する。
また、需要家側通信装置63は、需要家側端末60から費用請求サーバ40への遠隔発電設備30の設備容量の購入条件等の信号を送信する送信手段としての機能を有する。
【0099】
なお、I/O65に接続される装置は図4に例示された装置に限定されない。例えば事業者Aの費用請求サーバ40と需要家側端末60との通信が切断された場合に警報を報知する報知装置を接続してもよい。また、入力装置61及び表示装置62は、必ずしも需要家側端末60に必須の装置ではない。
【0100】
図5は、電力供給システム10における遠隔発電設備30の設備容量を買い取る処理や、買い取った後の流れの一例を説明するフローチャートである。
【0101】
本実施の形態における電力供給システム10では、電力供給プログラムが、費用請求サーバ40のROM44Bに予め記憶されている。CPU44Aは、ROM44Bに記憶される電力供給プログラムを読み込み、電力供給処理を実行する。
【0102】
なお、不揮発性メモリ44Dには、遠隔発電設備30の情報と、需要家Bの情報とが記憶されている。また、遠隔発電設備30の遠隔地送信装置33から送信される発電量に関する情報の受信結果も、不揮発性メモリ44Dの中に、その都度、記憶されて格納される。なお、遠隔発電設備30及び需要家が複数ある場合には、それらのデータも格納される。
【0103】
先ず、ステップ110において、事業者A側から需要家Bへ事業者A側の情報送信処理が行われる。具体的には、遠隔発電設備30の設備容量に関する情報や、遠隔発電設備30の種々の気象データの送信処理が行われる。なお、この気象データには、過去データ、現在データ、気象予報による将来の予測データが含まれる。そして、次のステップ111に進む。
【0104】
ステップ111において、需要家B側からの遠隔発電設備30の所定の設備容量に対する投資要求が有ったか否かが判定される。需要家B側からの遠隔発電設備30の設備容量に対する投資が有ったと判定された場合、次のステップ112に進み、当該投資要求が無かったと判定された場合、ステップ110の前に戻る。
【0105】
ステップ112において、事業者A側からの需要家Bの投資要求に対する承認が有ったか否かが判定される。当該承認が有ったと判定された場合、次のステップ113に進み、当該承認が無かったと判定された場合、ステップ112に戻る。
【0106】
ステップ113において、費用請求サーバ40により、契約成立処理が行われる。具体的には、需要家Bが投資した所定の期間の遠隔発電設備30の設備容量に対応する部分が発電した発電量に関する情報を計測可能となるように発電設備側計測機器32が設定され、種々の情報が需要家Bへ自動的に送信可能となるようにプログラム中のデータが設定されるとともに、契約成立の情報が需要家Bの需要家側端末60へ送信される。そして、次のステップ114に進む。
【0107】
ステップ114において、契約期間中の処理が行われる。なお、当該ステップの内容は後で詳細に説明する(図6参照)。そして、次のステップ115に進む。
ステップ115において、契約により定められた所定の期間中における遠隔発電設備30で需要家Bが投資した設備容量に対応する部分が発電した電力量の積算値と、需要家Bが当該期間中における消費した電力量との電力量の差を算出する演算処理が行われる。
具体的には、例えば需要家Bが遠隔発電設備30に対して本年度の8月の月曜日から金曜日までの11時から16時までの期間の所定の設備容量に対して投資しているような場合、遠隔発電設備30の本年度の8月の月曜日から金曜日までの11時から16時までの期間の所定の設備容量に対応する部分が発電した発電量と、需要家Bが本年度の8月の全期間中において消費した電力量との電力量の差を算出する演算処理が行われる。なお、演算処理の計算手法や計算対象となる期間は上述したものに限定されるものではない。そして、次のステップ116に進む。
【0108】
ステップ116において、費用請求サーバ40により電力量の差に基づく請求処理が行われる。具体的には、発電量が、需要家Bの電力消費量以下の場合には、電力量差に基づいて料金を計算し、当該料金を事業者Aから需要家Bへ請求する処理が行われる。一方、発電量が、需要家Bの電力消費量を超える場合には、電力量差に基づく当該超える分について需要家Bに特典を付与する処理が行われる。そして、当該処理は終了する。
【0109】
図6は、電力供給システム10における契約期間中の処理の流れの一例を説明するフローチャートである。
【0110】
ステップ210において、費用請求サーバ40により、需要家Bの投資における契約期間日か否かの判定が行われる。具体的には、例えば、需要家Bが所定の設備容量に対して所定の年度の8月のみの1ヶ月の期間だけ投資の契約をしているような場合には、当該所定年度の8月1日~31日のいずれかに含まれるか否かが判定される。需要家Bの投資における契約期間日であると判定された場合、次のステップ211に進み、契約期間日でないと判定された場合、当該処理は終了する。
【0111】
ステップ211において、費用請求サーバ40により、需要家Bの投資における契約時間中か否かの判定が行われる。具体的には、例えば、上述した例において需要家Bが所定の設備容量に対して所定年度の所定期間日(8月1日~31日)の11時から16時までの5時間だけ投資の契約をしているような場合には、現在の時間が当該時間(11時から16時まで)であるか否かが判定されるようなものである。契約時間中であると判定された場合は、次のステップ212に進み、契約時間中でないと判定された場合、ステップ210に戻る。
本実施の形態は、上述したように契約期間日及び契約時間のみ、表示させるようにしているが、特にこれに限定されるものではなく、事業者Aと需要家Bとの取り決め等により、当該期間の前後等も表示させるようにしてもよく、また、表示に関しては契約期間に関わらず常に表示させるようにしてもよい。
【0112】
ステップ212において、発電設備側計測機器32により需要家Bが投資した設備容量に対応する部分の発電量に関する情報等の計測処理が行われ、これらの計測結果が遠隔地送信装置33から費用請求サーバ40へ送信される。ここで「発電量に関する情報」には、現在の発電電力が含まれる。なお、当該情報に、その日の発電量や、その週の発電量や、その月の発電量等を含めてもよい。また、当該情報には、その他の計測機器により計測される日射量、温度、湿度、気圧、風速、風向き等の種々の気象データを含めてもよい。そして、次のステップ213に進む。
【0113】
ステップ213において、サーバ通信装置43により発電量に関する情報等の計測結果が、需要家Bの需要家側端末60に送信される。そして、次のステップ214に進む。
【0114】
ステップ214において、需要家Bの需要家側計測機器70により需要家Bの電力消費量に関する情報等の計測処理が行われる。この「需要家Bの電力消費量に関する情報」には、需要家Bの現在の消費電力が含まれる。なお、当該情報にその日の電力消費量や、その週の電力消費量や、その月の電力消費量等を含めてもよい。そして、次のステップ215に進む。
【0115】
ステップ215において、遠隔発電設備30における需要家Bが投資した設備容量に対応する部分の発電量に関する情報等の計測結果と、需要家Bの電力消費量に関する情報等の計測結果との需要家側端末60への表示処理が行われる。
具体的には、例えば、遠隔発電設備30における需要家Bが投資した設備容量に対応する部分の現在の発電出力と、需要家Bの現在の消費電力とが対比可能に需要家側端末60に表示されるようなものが含まれる。
また、例えば、遠隔発電設備30における需要家Bが投資した設備容量に対応する部分の本日の発電量と、需要家Bの本日の電力消費量とが対比可能に需要家側端末60に表示されるようなものが含まれる。
また、例えば、遠隔発電設備30における需要家Bが投資した設備容量に対応する部分の今週の発電量と、需要家Bの今週の電力消費量とが対比可能に需要家側端末60に表示されるようなものが含まれる。
また、例えば、遠隔発電設備30における需要家Bが投資した設備容量に対応する部分の今月の発電量と、需要家Bの今月の電力消費量とが対比可能に需要家側端末60に表示されるようなものが含まれる。
そして、ステップ210に戻る。
【0116】
本実施の形態では、上述したような構成を有することにより、以下に示すような作用及び効果を奏する。
【0117】
本実施の形態では、太陽光発電等の再生可能エネルギーを用いた遠隔発電設備30を新たに作る事業者の初期投資額は、設備容量(電力kW)に対応する金額となり、需要家Bは、設備容量(電力kW)に対して投資をする。電力量(kWh)に対しての投資ではないため、事業者も電力量(kWh)を保証する必要がない。
ここで、仮に電力量(kWh)を保証するとなると、遠隔発電設備30が再生可能エネルギー(太陽光発電等)という季節要因等の変動幅の大きいものであるのでリスクが大きくなる。
それに対して、本実施の形態は設備容量という電力(kW)に対しての投資であり、再生可能エネルギーを用いた遠隔発電設備30の発電能力の一部に対しての投資となる。需要家Bが投資という手段で事業者の初期投資額の一部を肩代わりしてくれるので発電事業の開始のハードルが下がり、事業者Aは大きなリスクを背負うことなく、発電事業に参画することができ、事業を開始することができる。
【0118】
一方、需要家Bも、自分の家庭の屋根等に家庭用の太陽光発電をこれから設けるような場合と比較して、住宅用の太陽光発電設備よりもメガソーラ等の事業用の一部を利用した方が建設コスト等はるかに低コストで長期間、利用することが可能となる。また、狭小住宅、集合住宅(マンション・アパート・団地等)に住む需要家Bに対して、再生可能エネルギーの利用の道を開くことになる。
【0119】
本実施の形態によれば、遠隔発電設備30の所定の期間の設備容量に対して投資した需要家Bに発電量に関する情報をリアルタイムで報知することで、需要家Bはリアルタイムで投資した設備容量による発電量に関する情報を容易に知ることができる。
【0120】
需要家Bの投資や事業者の販売の対象として、再生可能エネルギーを用いた遠隔発電設備30の設備容量を所定の期間に設定することで、需要家Bの投資(購入)や、事業者の設備容量の販売に種々の購入計画や、販売計画を立てることができる。例えば、昼時間と夜時間とで電力系統から購入する電力費用が異なるような設定になっている場合には、需要家Bは、電力系統から電力を購入すると費用の高い昼時間のみ投資(購入)するようなことが可能となる。逆に事業者Aは、電力系統から電力を購入すると費用の高い昼時間は、遠隔発電設備30で発電した電力は自分で消費し、費用の安い夜時間の電力だけ需要家Bに販売するようなことが可能となる。
【0121】
本実施の形態によれば、需要家Bが関東地域に居住し、遠隔発電設備30が需要家Bの関東地域から遠隔地である九州地域に設けてあるような場合では、日の出、日の入りの日照時刻が40分程度、前後にずれることになる。具体的には例えばリアルタイムの時間単位で電力料金を設定するような場合に、需要家Bの関東地域では既に日の入り時刻を過ぎて太陽光発電を有効利用することができないような時間に九州地域では未だ日の入り前で太陽光発電を有効利用することができることになる。投資する時間の契約を適当に調整することで、通常ならば太陽光発電を有効利用することができない夕方に負荷が大きな需要家Bは、太陽光発電を有効利用することができて利益を得ることが可能となる。
【0122】
本実施の形態によれば、日射量が少なく太陽光発電の発電効率が悪い低日射量の地域や、風力が常に弱く、風向きも安定せずに風力発電の稼働効率が低い地域等の再生可能エネルギーのポテンシャルの低い地域に住む需要家Bや、近くに再生可能エネルギーの発電設備の無い地域に居住する需要家Bであっても、遠隔発電設備30の設備容量に投資することで再生可能エネルギーの利用の道を開くことができる。
【0123】
本実施の形態によれば、遠隔発電設備30の発電量に関する情報等をリアルタイムで需要家Bへ提供することで、需要家Bは当該情報に基づいて将来の発電量を予測することが可能となる。
情報提供手段50は、遠隔発電設備30の発電量に関する情報に加えて、将来の発電量を予測するのに必要な他の情報である遠隔発電設備30のある地域の天気予報等の種々の気象データを需要家Bへ提供している。これにより、将来の発電量を精度良く予測することができる。
【0124】
本実施の形態によれば、発電設備側計測機器32が遠隔発電設備30が発電した発電量に関する情報を計測し、費用請求サーバ40が、発電設備側計測機器32で計測した計測結果に基づいて、遠隔発電設備30の所定の期間の設備容量に対して投資した需要家Bに、遠隔発電設備30のうち需要家Bが投資した設備容量に対応する部分が発電した発電量に関する情報を計算する。そして、情報提供手段50のサーバ通信装置43が前記計算された発電量に関する情報をネットワーク回線を介して需要家の需要家側端末60へ送信することで、需要家Bは、遠隔発電設備30のうち自分が投資した設備容量に対応する部分により発電される正確な発電量に関する情報を知ることができる。
【0125】
本実施の形態によれば、需要家は、日射量、温度、湿度、気圧、風速、風向き等のデータ及び天気予報データに基づいて将来の発電量のより正確な予測が可能となる。
【0126】
本実施の形態によれば、遠隔発電設備30に電力を貯蔵する貯蔵設備31が設けられていることで、遠隔発電設備30の発電電力が出力抑制(接続拒否)にならないように、又は、出力抑制(接続拒否)になった場合に、遠隔発電設備30が発電した電力を貯留することができ、効率的な電力供給が可能となる。
【0127】
本実施の形態によれば、需要家側端末60には、需要家Bが消費する消費電力と、需要家Bが遠隔発電設備30に投資した設備容量に対応する部分が発電する発電電力とが同時に表示されることで、電力を消費している機器の作動を調整して発電電力を超えないように消費電力を抑えて発電電力に消費電力を揃えさせるような消費電力の調整をリアルタイムで行うことが可能となる。
【0128】
本実施の形態によれば、電力料金の単価が変動せずに一律に設定されているような場合、費用請求期間における需要家Bの電力消費量の積算値から遠隔発電設備30のうち需要家Bが投資した設備容量に対応する部分が発電した発電量の積算値を減算したものに基づいて請求金額を計算する。これにより、電力料金の単価が時間要因により変動せずに一律のときに対応した請求金額を簡単に計算することができる。
【0129】
また、請求金額の計算手法は、上述した手法に限定されるものではなく、電力料金の単価が変動せずに一律に設定されているような場合、費用請求期間における需要家Bの電力消費量の積算値に単価を乗算した金額から遠隔発電設備30のうち需要家Bが投資した設備容量に対応する部分が発電した発電量の積算値に単価を乗算した金額を減算したものに基づいて請求金額を計算するようにしてもよい。このようにしても、電力料金の単価が時間要因により変動せずに一律のときに対応した請求金額を簡単に計算することができる。
【0130】
本実施の形態によれば、電力料金の単価が所定期間(所定時間)毎に変動するように設定されているような場合、当該所定期間毎に、当該所定期間における電力消費量の積算値から発電量の積算値を減算したものに基づいて料金を計算し、計算した料金の合計を請求金額としている。これにより、電力料金の単価が所定期間毎に変動するときに対応した請求金額を簡単に計算することができる。
【0131】
また、請求金額の計算手法は、上述した手法に限定されるものではなく、電力料金の単価が所定期間(所定時間)毎に変動するように設定されているような場合、当該所定期間毎に、当該所定期間における電力消費量の積算値に単価を乗算した金額から、需要家が投資した前記設備容量に対応する部分が発電した発電量の積算値に単価を乗算した金額を減算したものに基づいて料金を計算し、計算した料金の合計を請求金額としてもよい。このようにしても、電力料金の単価が所定期間毎に変動するときに対応した請求金額を簡単に計算することができる。
【0132】
本実施の形態によれば、費用請求サーバ40は、遠隔発電設備30の需要家Bが投資した設備容量に対応する部分が発電した発電量が、需要家Bの電力消費量以下の場合には、需要家Bの電力消費量から需要家Bが投資した設備容量に対応する部分が発電した発電量を減算して需要家Bに請求する料金を計算し、遠隔発電設備30の需要家Bが投資した設備容量に対応する部分が発電した発電量が、需要家Bの電力消費量を超える場合には、その超える分について需要家Bに景品やポイント等の特典を付与可能としている。これにより、需要家Bの無駄な電力消費を抑え、全体としての節電効果に寄与することができる。
【0133】
また、請求金額の計算手法は、上述した手法に限定されるものではなく、「減算」する対象を、電力消費量や発電量に応じた金額に換算したもので行ってもよい。具体的には、例えば、費用請求サーバ40は、遠隔発電設備30の需要家Bが投資した設備容量に対応する部分が発電した発電量が、需要家Bの電力消費量以下の場合には、需要家Bの電力消費量に応じた金額から、需要家Bが投資した設備容量に対応する部分が発電した発電量に応じた金額を減算して需要家Bに請求する料金を計算し、遠隔発電設備30の需要家Bが投資した設備容量に対応する部分が発電した発電量が、需要家Bの電力消費量を超える場合には、その超える分について需要家Bに景品やポイント等の特典を付与可能としてもよい。このようにしても、需要家Bの無駄な電力消費を抑え、全体としての節電効果に寄与することができる。
【0134】
本実施の形態によれば、費用請求サーバ40は、事業者と需要家との間の取引対象として電力の代わりに、投資した設備容量の発電量に対応する環境価値を取引することで、需要家は再生可能エネルギーの発電設備の設備容量への投資により環境への負荷を下げる価値である環境価値を得ることができる。再生可能エネルギーの有効利用のインセンティブとなり、再生可能エネルギーの有効利用の環境価値を社会に広めることができる。
【0135】
本実施の形態では、上述した電力供給システム10を用いて、遠隔発電設備30の所定の期間の設備容量に対して投資した需要家Bに、需要家Bが投資した設備容量に応じた発電量に関する情報をリアルタイムで需要家Bへ報知すると共に、発電量を考慮して需要家Bの電力消費量に対する費用請求を行うことを特徴とする電力供給方法を提供することができる。本実施の形態によれば、当該電力供給方法を用いることで、上述した電力供給システム10で説明したような作用効果を奏することが可能となる。
【0136】
本実施の形態によれば、費用請求サーバ40の電力供給プログラムを用いることで、再生可能エネルギーを利用した発電設備の初期投資費用を抑えて収益性の改善が見込まれ、集合住宅等の立地上の成約や立地条件の悪い場所に住む需要家等、誰もが再生可能エネルギーを購入し参画することができ、再生可能エネルギーの活用を促進することができ、所定の期間の設備容量に投資することで、リアルタイムで、投資した設備容量に対応する部分が発電する発電量に関する情報等を容易に知ることができる。
【0137】
(第2の実施の形態)
図7は、第2の実施の形態であって、電力供給システム10の機能を説明するブロック図である。
【0138】
本実施の形態では、第1の実施の形態では、一例として、需要家が、需要家Bの一人の場合を説明していたが、本実施の形態では、需要家が、需要家B1、需要家B2・・・需要家Bnと複数存在するものである。
【0139】
本実施の形態では、一の事業者Aの一の遠隔発電設備30(例えば太陽光発電設備)に対して、複数の需要家B1~Bnが投資する「1対多」の関係となることで事業者Aは大きな投資額を獲得することができる。
本実施の形態では、遠隔発電設備30の太陽光発電設備に複数枚の太陽光発電パネルを有しており、例えば各パネル毎に一の需要家が割り当てられ、各需要家が投資していることが含まれる。このように、全てのパネルに需要家がそれぞれ投資することで、事業者Aの初期投資費用を抑えることが可能となる。
もちろん、各パネルと各需要家との対応関係は上述したものに限定されるものではない。遠隔発電設備30に投資したいという需要家の人数が、パネル枚数よりも多い場合には、1枚のパネルをさらに分割して、各分割部分に各需要家を割り当てるようにしてもよい。また、1枚のパネルに複数の需要家を重複して割り当てるようにしてもよい。このように、1枚のパネルに複数の需要家を割り当てることで第1の実施の形態よりも事業者Aの遠隔発電設備30の初期投資費用をさらに抑えることが可能となる。
その他の構成や、作用及び効果は、第1の実施の形態で説明したものと略同様であってそれらの説明を省略する。
【0140】
(第3の実施の形態)
図8は、第3の実施の形態であって、電力供給システム10の機能を説明するブロック図である。
【0141】
本実施の形態は、第1の実施の形態と比べて、第2の実施の形態と同様に需要家が、需要家B1、需要家B2、・・・、需要家Bnと複数存在するものである。さらに、第1の実施の形態では、遠隔発電設備30のある地域が、例えば九州地域の1箇所であったのに対して、本実施の形態では、遠隔発電設備30のある地域が、C1地域、C2地域、・・・、Cm地域と複数の地域に設けてあるものである。具体的には、例えば、C1地域が九州地域であり、C2地域が四国地域であり、・・・、Cm地域が沖縄地域であるようなものが含まれる。
【0142】
本実施の形態では、各地域の遠隔発電設備30毎に第1の実施の形態で説明したものと同様の貯蔵設備31、発電設備側計測機器32、遠隔地送信装置33を有している。
本実施の形態では、費用請求サーバ40は、全ての地域の遠隔発電設備30の発電量に関する情報や、当該地域の気象予報データ等の種々の情報を各需要家に送信する。
そして、各需要家は、それらの情報に基づいて、複数の地域の遠隔発電設備30の中から投資したい遠隔発電設備30を1個又は複数個、自由に選択して投資することができるものである。
【0143】
費用請求サーバ40は、投資した各需要家に対して、第1の実施の形態で説明した内容と同様に、当該遠隔発電設備30の投資した設備容量に対応する部分が発電した発電量に関する情報を、当該遠隔発電設備30に投資した需要家にリアルタイムで報知するものである。
【0144】
本実施の形態によれば、各需要家は、複数の地域にある遠隔発電設備30の設備容量に対して、投資することが可能となる。
本実施の形態のように遠隔発電設備30として太陽光発電設備を用いて、一の需要家が、日本全国の複数の遠隔地に設けられた遠隔発電設備30を複数選択することで、日の出、日の入りの日照時間を最大で2時間程度、前後にずらすようなことが可能となる。
例えばリアルタイムの時間単位で電力料金を設定するような場合に、東端地域では既に日の入り時刻を過ぎて太陽光発電を享受することができないような時間に西端地域では未だ日の入り前で太陽光発電を享受することができることになり、投資する時間の契約を適当に調整することで、通常よりも長時間、太陽光発電を有効利用することが可能となり、需要家に利益を得ることが可能となる。
【0145】
また、例えば、遠隔発電設備30として風力発電設備を用いるような場合、地域によって、風力が強くなる時間がずれるような場合に、それらの地域を適当に組み合わせることによって、風力発電の発電量の総和を安定したものにすることが可能となる。
このように、複数地域の遠隔発電設備30を組み合わせることで、気候要因や地理的要因により変動幅が大きく、有効利用することが難しかった太陽光発電や風力発電等の再生可能エネルギーの出力変動をより均一なものにすることができて有効利用を図ることが可能となる。
その他の構成や、作用及び効果は、第1の実施の形態で説明したものと略同様であって、それらの説明を省略する。
【0146】
以上、実施の形態を用いて本発明について説明したが、本発明は各実施の形態に記載の範囲には限定されない。本発明の要旨を逸脱しない範囲で各実施の形態に多様な変更又は改良を加えることができ、当該変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。例えば、本発明の要旨を逸脱しない範囲で処理の順序を変更してもよい。
【0147】
また、各実施の形態では、一例として費用請求サーバ40での各種処理をソフトウエアで実現する形態について説明したが、図5及び図6に示したフローチャートと同等の処理を、ハードウエアで処理させるようにしてもよい。この場合、各処理をソフトウエアで実行する場合に比べて、処理の高速化が図られる。
【0148】
また、上述した実施の形態では、電力供給プログラムがROM44Bにインストールされている形態を説明したが、これに限定されるものではない。本発明に係る電力供給プログラムは、コンピュータ47が読み取り可能な記録媒体に記録された形態で提供することも可能である。例えば、本発明に係る電力供給プログラムを、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、又はDVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)等の光ディスクに記録された形態で提供してもよい。また、本発明に係る電力供給プログラムを、USBメモリ及びフラッシュメモリ等の半導体メモリに記録された形態で提供してもよい。さらに、通信回線を介して、通信回線に接続される外部装置から本発明に係る電力供給プログラムを取得するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0149】
10 電力供給システム 20 近隣発電設備
30 遠隔発電設備 31 貯蔵設備
32 発電設備側計測機器 33 遠隔地送信装置
40 費用請求サーバ 41 入力装置
42 表示装置 43 サーバ通信装置
44A CPU 44B ROM
44C RAM 44D 不揮発性メモリ
45 I/O 46 バス
47 コンピュータ 47A 制御手段
50 情報提供手段 53 基礎情報管理装置
54 演算処理装置 60 需要家側端末
61 入力装置 62 表示装置
63 需要家側通信装置 64A CPU
64B ROM 64C RAM
64D 不揮発性メモリ 65 I/O
66 バス 67 コンピュータ
67A 制御手段 70 需要家側計測機器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8