(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-07
(45)【発行日】2024-03-15
(54)【発明の名称】有機金属化合物とそれを含む有機発光素子及び診断用組成物
(51)【国際特許分類】
C07F 15/00 20060101AFI20240308BHJP
C07C 49/17 20060101ALI20240308BHJP
C07D 215/06 20060101ALI20240308BHJP
C09K 11/06 20060101ALI20240308BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20240308BHJP
H05B 33/22 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
C07F15/00 E CSP
C07C49/17 Z
C07D215/06
C09K11/06 660
H05B33/14 B
H05B33/22 A
H05B33/22 C
(21)【出願番号】P 2019082002
(22)【出願日】2019-04-23
【審査請求日】2022-03-22
(31)【優先権主張番号】10-2018-0046990
(32)【優先日】2018-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0046949
(32)【優先日】2019-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】郭 允 鉉
(72)【発明者】
【氏名】李 善 英
(72)【発明者】
【氏名】李 貞 仁
(72)【発明者】
【氏名】李 智 娟
(72)【発明者】
【氏名】ジョン アラム
(72)【発明者】
【氏名】具 賢
(72)【発明者】
【氏名】荒谷 介和
(72)【発明者】
【氏名】石原 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】チョ 裕 利
(72)【発明者】
【氏名】崔 炳 基
(72)【発明者】
【氏名】洪 錫 煥
【審査官】安田 周史
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第103694277(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107459535(CN,A)
【文献】特表2015-530982(JP,A)
【文献】特開2011-144300(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F 15/00
C07C 49/17
C07D 215/06
C09K 11/06
H05B 33/22
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表されることを特徴とする有機金属化合物。
【化1】
前記化学式1で、R
1ないしR
12、及びR
19は、それぞれ独立して、水素、重水素、-F
、シアノ基
、置換若しくは非置換のC
1-C
60アルキル基、置換若しくは非置換のC
2-C
60アルケニル基
、置換若しくは非置換のC
1-C
60アルコキシ基、置換若しくは非置換のC
3-C
10シクロアルキル基
、置換若しくは非置換のC
6-C
60アリール基、置換若しくは非置換のC
6-C
60アリールオキシ基、置換若しくは非置換のC
6-C
60アリールチオ基、置換若しくは非置換のC
1-C
60ヘテロアリール基、置換若しくは非置換の一価非芳香族縮合多環基、置換若しくは非置換の一価非芳香族ヘテロ縮合多環基、-N(Q
1)(Q
2)、-Si(Q
3)(Q
4)(Q
5)、-Ge(Q
3)(Q
4)(Q
5)、-B(Q
6)(Q
7)、-P(=O)(Q
8)(Q
9)、及び-P(Q
8)(Q
9)のうちから選択され、
前記R
3ないしR
5のうちの少なくとも一つは、それぞれ独立して、下記化学式2で表される基のうちから選択され、
【化2】
前記化学式2に含まれる炭素の個数は、4以上であり、
前記化学式2で、R
13は、水素、重水素、C
1-C
20アルキル基、重水素含有C
1-C
20アルキル基、C
3-C
10シクロアルキル基、又は重水素含有C
3-C
10シクロアルキル基であり、
前記化学式2で、R
14及びR
15は、互いに独立して、C
1-C
20アルキル基、重水素含有C
1-C
20アルキル基、C
3-C
10シクロアルキル基、又は重水素含有C
3-C
10シクロアルキル基であり、
但し、R
13、R
14、及びR
15は、同時にメチル基ではなく、
前記*は、隣接原子との結合サイトであり、
前記置換されたC
1-C
60アルキル基、置換されたC
2-C
60アルケニル基
、置換されたC
1-C
60アルコキシ基、置換されたC
3-C
10シクロアルキル基
、置換されたC
6-C
60アリール基、置換されたC
6-C
60アリールオキシ基、置換されたC
6-C
60アリールチオ基、置換されたC
1-C
60ヘテロアリール基、置換された一価非芳香族縮合多環基、及び置換された一価非芳香族ヘテロ縮合多環基の置換基のうちの少なくとも一つは、
重水素、-F
、-CD
3、-CD
2H、-CDH
2、-CF
3、-CF
2H、-CFH
2
、シアノ基
、C
1
-C
60アルキル基、C
2-C
60アルケニル基
、及びC
1-C
60アルコキシ基;
重水素、-F
、-CD
3、-CD
2H、-CDH
2、-CF
3、-CF
2H、-CFH
2、
及びシアノ基
、のうちの少なくとも一つで置換された、C
1-C
60アルキル基、C
2-C
60アルケニル基
、及びC
1-C
60アルコキシ基;
C
3-C
10シクロアルキル基
、C
6
-C
60アリール基、C
6-C
60アリールオキシ基、C
6-C
60アリールチオ基、C
1-C
60ヘテロアリール基、一価非芳香族縮合多環基、及び一価非芳香族ヘテロ縮合多環基;
重水素、-F
、-CD
3、-CD
2H、-CDH
2、-CF
3、-CF
2H、-CFH
2
、シアノ基
、C
1
-C
60アルキル基、C
2-C
60アルケニル基
、C
1
-C
60アルコキシ基、C
3-C
10シクロアルキル基、C
1-C
10ヘテロシクロアルキル基、C
3-C
10シクロアルケニル基、C
1-C
10ヘテロシクロアルケニル基、C
6-C
60アリール基、C
6-C
60アリールオキシ基、C
6-C
60アリールチオ基、C
1-C
60ヘテロアリール基、一価非芳香族縮合多環基、
及び一価非芳香族ヘテロ縮合多環基
、のうちの少なくとも一つで置換された、C
3-C
10シクロアルキル基
、C
6
-C
60アリール基、C
6-C
60アリールオキシ基、C
6-C
60アリールチオ基、C
1-C
60ヘテロアリール基、一価非芳香族縮合多環基、及び一価非芳香族ヘテロ縮合多環基;並びに
-N(Q
31)(Q
32)、-Si(Q
33)(Q
34)(Q
35)、-Ge(Q
33)(Q
34)(Q
35)、-B(Q
36)(Q
37)、-P(=O)(Q
38)(Q
39)、及び-P(Q
38)(Q
39);のうちから選択され、
Q
1ないしQ
9、及びQ
33ないしQ
35は、それぞれ独立して、
-CH
3、-CD
3、-CD
2H、-CDH
2、-CH
2CH
3、-CH
2CD
3、-CH
2CD
2H、-CH
2CDH
2、-CHDCH
3、-CHDCD
2H、-CHDCDH
2、-CHDCD
3、-CD
2CD
3、-CD
2CD
2H、及び-CD
2CDH
2;
n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、フェニル基、及びナフチル基;並びに
重水素、C
1-C
10アルキル基、及びフェニル基のうちから選択される少なくとも一つで置換された、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、フェニル基、及びナフチル基;のうちから選択され、
前
記Q
31
、Q
32及びQ
36ないしQ
39は、それぞれ独立して、水素、重水素、C
1-C
60アルキル基、及びC
6-C
60アリール基のうちから選択される。
【請求項2】
前記R
1ないしR
12、及びR
19は、それぞれ独立して、
水素、重水素、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、3-ペンチル基、sec-イソペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、sec-ヘキシル基、tert-ヘキシル基、n-ヘプチル基、イソヘプチル基、sec-ヘプチル基、tert-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、sec-ノニル基、tert-ノニル基、n-デシル基、イソデシル基、sec-デシル基、tert-デシル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、アダマンタニル基、ノルボルナニル基
、ビシクロ[1.1.1]ペンチル基、ビシクロ[2.1.1]ヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、ピリジニル基、ピリミジニル基、カルバゾリル基、フルオレニル基、ジベンゾシロリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、又は-Si(Q
3)(Q
4)(Q
5);
少なくとも一つの重水素で置換された、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、3-ペンチル基、sec-イソペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、sec-ヘキシル基、tert-ヘキシル基、n-ヘプチル基、イソヘプチル基、sec-ヘプチル基、tert-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、sec-ノニル基、tert-ノニル基、n-デシル基、イソデシル基、sec-デシル基、又はtert-デシル基;或いは
重水素及びC
1-C
10アルキル基のうちの少なくとも一つで置換された、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、アダマンタニル基、ノルボルナニル基
、ビシクロ[1.1.1]ペンチル基、ビシクロ[2.1.1]ヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、ピリジニル基、ピリミジニル基、カルバゾリル基、フルオレニル基、ジベンゾシロリル基、ジベンゾフラニル基、又はジベンゾチオフェニル基;のうちから選択されることを特徴とする請求項1に記載の有機金属化合物。
【請求項3】
1)R
3は、前記化学式2で表される基であり、R
1、R
2、及びR
4ないしR
6は、水素であるか、
2)R
4は、前記化学式2で表される基であり、R
1ないしR
3、R
5、及びR
6は、水素であるか、
3)R
5は、前記化学式2で表される基であり、R
1ないしR
4、及びR
6は、水素であるか、
4)R
4は、前記化学式2で表される基であり、R
5は、置換若しくは非置換のC
1-C
60アルキル基、置換若しくは非置換のC
3-C
10シクロアルキル基、フェニル基、ビフェニル基、又は-Si(Q
3)(Q
4)(Q
5)であり、R
1、R
2、R
3、及びR
6は、水素であるか、
5)R
5は、前記化学式2で表される基であり、R
3は、置換若しくは非置換のC
1-C
60アルキル基、置換若しくは非置換のC
3-C
10シクロアルキル基、フェニル基、ビフェニル基、又は-Si(Q
3)(Q
4)(Q
5)であり、R
1、R
2、R
4、及びR
6は、水素であるか、
6)R
4は、前記化学式2で表される基であり、R
6は、置換若しくは非置換のC
1-C
60アルキル基、置換若しくは非置換のC
3-C
10シクロアルキル基、フェニル基、ビフェニル基、又は-Si(Q
3)(Q
4)(Q
5)であり、R
1、R
2、R
3、及びR
5は、水素であるか、或いは
7)R
3は、前記化学式2で表される基であり、R
5は、置換若しくは非置換のC
1-C
60アルキル基、置換若しくは非置換のC
3-C
10シクロアルキル基、フェニル基、ビフェニル基、又は-Si(Q
3)(Q
4)(Q
5)であり、R
1、R
2、R
4、及びR
6は、水素であることを特徴とする請求項1に記載の有機金属化合物。
【請求項4】
前記R
7ないしR
9のうちの少なくとも一つは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のC
1-C
60アルキル基、置換若しくは非置換のC
3-C
10シクロアルキル基、又は置換若しくは非置換のC
6-C
60アリール基であることを特徴とする請求項1に記載の有機金属化合物。
【請求項5】
前記化学式2で、R
13は、水素又は重水素であることを特徴とする請求項1に記載の有機金属化合物。
【請求項6】
前記化学式2で、R
13は、C
1-C
20アルキル基、重水素含有C
1-C
20アルキル基、C
3-C
10シクロアルキル基、又は重水素含有C
3-C
10シクロアルキル基であることを特徴とする請求項1に記載の有機金属化合物。
【請求項7】
前記化学式2で、R
14とR
15とは、互いに異なることを特徴とする請求項1に記載の有機金属化合物。
【請求項8】
前記化学式2で、
R
13は、水素、重水素、-CH
3、-CDH
2、-CD
2H、又は-CD
3であり、
R
14及びR
15は、互いに独立して、
メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、3-ペンチル基、sec-イソペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、sec-ヘキシル基、tert-ヘキシル基、n-ヘプチル基、イソヘプチル基、sec-ヘプチル基、tert-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、sec-ノニル基、tert-ノニル基、n-デシル基、イソデシル基、sec-デシル基、tert-デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ビシクロ[1.1.1]ペンチル基、ビシクロ[2.1.1]ヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、又はビシクロ[2.2.2]オクチル基;或いは
少なくとも一つの重水素で置換された、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、3-ペンチル基、sec-イソペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、sec-ヘキシル基、tert-ヘキシル基、n-ヘプチル基、イソヘプチル基、sec-ヘプチル基、tert-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、sec-ノニル基、tert-ノニル基、n-デシル基、イソデシル基、sec-デシル基、tert-デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ビシクロ[1.1.1]ペンチル基、ビシクロ[2.1.1]ヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、又はビシクロ[2.2.2]オクチル基;であることを特徴とする請求項1に記載の有機金属化合物。
【請求項9】
前記化学式1のR
10及びR
12のうちの少なくとも一つは、互いに独立して、下記化学式3で表される基であることを特徴とする請求項1に記載の有機金属化合物。
【化3】
前記化学式3で、
R
16ないしR
18は、それぞれ独立して、
水素、重水素、C
1-C
20アルキル基、C
3-C
10シクロアルキル基、C
6-C
60アリール基、及びC
1-C
60ヘテロアリール基;並びに
重水素及びC
1-C
20アルキル基のうちの少なくとも一つで置換された、C
1-C
20アルキル基、C
3-C
10シクロアルキル基、C
6-C
60アリール基、及びC
1-C
60ヘテロアリール基;のうちから選択され、
*は、隣接原子との結合サイトである。
【請求項10】
前記化学式1のR
10とR
12とは、互いに同一であることを特徴とする請求項1に記載の有機金属化合物。
【請求項11】
前記化学式1のR
10とR
12とは、互いに異なることを特徴とする請求項1に記載の有機金属化合物。
【請求項12】
前記化学式1及び2のR
10、R
12、及びR
14のうちの少なくとも一つは、それぞれ独立して、C
3-C
10シクロアルキル基又は重水素含有C
3-C
10シクロアルキル基であることを特徴とする請求項1に記載の有機金属化合物。
【請求項13】
下記化合物1~8、10~18、及び20のうちの一つであることを特徴とする請求項1に記載の有機金属化合物。
【化1-8(10-18)20】
【請求項14】
第1電極と、
第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に配置されて発光層を含む有機層と、を備え、
前記有機層は、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の有機金属化合物を1種以上含むことを特徴とする有機発光素子。
【請求項15】
前記第1電極は、アノードであり、
前記第2電極は、カソードであり、
前記有機層は、前記第1電極と前記発光層との間に配置された正孔輸送領域、及び前記発光層と前記第2電極との間に配置された電子輸送領域を更に含み、
前記正孔輸送領域は、正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、バッファ層、又はその任意の組み合わせを含み、
前記電子輸送領域は、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層、又はその任意の組み合わせを含むことを特徴とする請求項14に記載の有機発光素子。
【請求項16】
前記有機金属化合物は、前記発光層に含まれることを特徴とする請求項14に記載の有機発光素子。
【請求項17】
前記発光層は、赤色光を放出することを特徴とする請求項16に記載の有機発光素子。
【請求項18】
前記発光層は、ホストを更に含み、
前記発光層におけるホストの含量は、前記発光層における有機金属化合物の含量よりも多いことを特徴とする請求項16に記載の有機発光素子。
【請求項19】
請求項1乃至13のいずれか1項に記載の有機金属化合物を1種以上含むことを特徴とする診断用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機金属化合物、それを含む有機発光素子、及びそれを含む診断用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光素子(organic light emitting device)は、自発光型素子であり、視野角、応答時間、輝度、駆動電圧、及び応答速度などの特性に優れ、多色化が可能である。
【0003】
一例によると、有機発光素子は、アノード、カソード、及びアノードとカソードとの間に配置されて発光層を含む有機層を含む。アノードと発光層との間には正孔輸送領域が具備され、発光層とカソードとの間には電子輸送領域が具備される。アノードから注入された正孔は正孔輸送領域を経由して発光層に移動し、カソードから注入された電子は電子輸送領域を経由して発光層に移動する。正孔及び電子は、発光層領域で再結合されて励起子(exciton)を生成する。励起子が励起状態から基底状態に変わりながら光が生成される。
【0004】
一方、各種細胞、タンパク質のような生物学的物質のモニタリング、センシング、検出などにも、発光化合物、例えばリン光発光化合物が使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、有機金属化合物、それを用いた有機発光素子、及びそれを用いた診断用組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による有機金属(organometallic)化合物は、下記化学式1で表される。
【化1】
前記化学式1で、R
1ないしR
12、及びR
19は、それぞれ独立して、水素、重水素、-F、-Cl、-Br、-I、-SF
5、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボン酸基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、リン酸基又はその塩、置換若しくは非置換のC
1-C
60アルキル基、置換若しくは非置換のC
2-C
60アルケニル基、置換若しくは非置換のC
2-C
60アルキニル基、置換若しくは非置換のC
1-C
60アルコキシ基、置換若しくは非置換のC
3-C
10シクロアルキル基、置換若しくは非置換のC
1-C
10ヘテロシクロアルキル基、置換若しくは非置換のC
3-C
10シクロアルケニル基、置換若しくは非置換のC
1-C
10ヘテロシクロアルケニル基、置換若しくは非置換のC
6-C
60アリール基、置換若しくは非置換のC
6-C
60アリールオキシ基、置換若しくは非置換のC
6-C
60アリールチオ基、置換若しくは非置換のC
1-C
60ヘテロアリール基、置換若しくは非置換の一価非芳香族縮合多環基、置換若しくは非置換の一価非芳香族ヘテロ縮合多環基、-N(Q
1)(Q
2)、-Si(Q
3)(Q
4)(Q
5)、-Ge(Q
3)(Q
4)(Q
5)、-B(Q
6)(Q
7)、-P(=O)(Q
8)(Q
9)、及び-P(Q
8)(Q
9)のうちから選択され、
前記R
1ないしR
6のうちの少なくとも一つは、それぞれ独立して、下記化学式2で表される基のうちから選択され、
【化2】
前記化学式2に含まれる炭素の個数は、4以上であり、
前記化学式2で、R
13は、水素、重水素、C
1-C
20アルキル基、重水素含有C
1-C
20アルキル基、C
3-C
10シクロアルキル基、又は重水素含有C
3-C
10シクロアルキル基であり、
前記化学式2で、R
14及びR
15は、互いに独立して、C
1-C
20アルキル基、重水素含有C
1-C
20アルキル基、C
3-C
10シクロアルキル基、又は重水素含有C
3-C
10シクロアルキル基であり、
但し、R
13、R
14、及びR
15は、同時にメチル基ではなく、
前記*は、隣接原子との結合サイトであり、
前記化学式1のR
1ないしR
9、及びR
19のうちの2以上は、選択的に、それぞれ結合され、少なくとも一つのR
1aで置換されたか若しくは置換されないC
5-C
30炭素環式基、又は少なくとも一つのR
1aで置換されたか若しくは置換されないC
2-C
30ヘテロ環式基を形成し、
前記R
1aに関する説明は、前記R
7に関する説明を参照し、
前記置換されたC
1-C
60アルキル基、置換されたC
2-C
60アルケニル基、置換されたC
2-C
60アルキニル基、置換されたC
1-C
60アルコキシ基、置換されたC
3-C
10シクロアルキル基、置換されたC
1-C
10ヘテロシクロアルキル基、置換されたC
3-C
10シクロアルケニル基、置換されたC
1-C
10ヘテロシクロアルケニル基、置換されたC
6-C
60アリール基、置換されたC
6-C
60アリールオキシ基、置換されたC
6-C
60アリールチオ基、置換されたC
1-C
60ヘテロアリール基、置換された一価非芳香族縮合多環基、及び置換された一価非芳香族ヘテロ縮合多環基の置換基のうちの少なくとも一つは、
重水素、-F、-Cl、-Br、-I、-CD
3、-CD
2H、-CDH
2、-CF
3、-CF
2H、-CFH
2、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボン酸基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、リン酸基又はその塩、C
1-C
60アルキル基、C
2-C
60アルケニル基、C
2-C
60アルキニル基、及びC
1-C
60アルコキシ基;
重水素、-F、-Cl、-Br、-I、-CD
3、-CD
2H、-CDH
2、-CF
3、-CF
2H、-CFH
2、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボン酸基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、リン酸基又はその塩、C
3-C
10シクロアルキル基、C
1-C
10ヘテロシクロアルキル基、C
3-C
10シクロアルケニル基、C
1-C
10ヘテロシクロアルケニル基、C
6-C
60アリール基、C
6-C
60アリールオキシ基、C
6-C
60アリールチオ基、C
1-C
60ヘテロアリール基、一価非芳香族縮合多環基、一価非芳香族ヘテロ縮合多環基、-N(Q
11)(Q
12)、-Si(Q
13)(Q
14)(Q
15)、-Ge(Q
13)(Q
14)(Q
15)、-B(Q
16)(Q
17)、-P(=O)(Q
18)(Q
19)、及び-P(Q
18)(Q
19)のうちの少なくとも一つで置換された、C
1-C
60アルキル基、C
2-C
60アルケニル基、C
2-C
60アルキニル基、及びC
1-C
60アルコキシ基;
C
3-C
10シクロアルキル基、C
1-C
10ヘテロシクロアルキル基、C
3-C
10シクロアルケニル基、C
1-C
10ヘテロシクロアルケニル基、C
6-C
60アリール基、C
6-C
60アリールオキシ基、C
6-C
60アリールチオ基、C
1-C
60ヘテロアリール基、一価非芳香族縮合多環基、及び一価非芳香族ヘテロ縮合多環基;
重水素、-F、-Cl、-Br、-I、-CD
3、-CD
2H、-CDH
2、-CF
3、-CF
2H、-CFH
2、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボン酸基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、リン酸基又はその塩、C
1-C
60アルキル基、C
2-C
60アルケニル基、C
2-C
60アルキニル基、C
1-C
60アルコキシ基、C
3-C
10シクロアルキル基、C
1-C
10ヘテロシクロアルキル基、C
3-C
10シクロアルケニル基、C
1-C
10ヘテロシクロアルケニル基、C
6-C
60アリール基、C
6-C
60アリールオキシ基、C
6-C
60アリールチオ基、C
1-C
60ヘテロアリール基、一価非芳香族縮合多環基、一価非芳香族ヘテロ縮合多環基、-N(Q
21)(Q
22)、-Si(Q
23)(Q
24)(Q
25)、-Ge(Q
23)(Q
24)(Q
25)、-B(Q
26)(Q
27)、-P(=O)(Q
28)(Q
29)、及び-P(Q
28)(Q
29)のうちの少なくとも一つで置換された、C
3-C
10シクロアルキル基、C
1-C
10ヘテロシクロアルキル基、C
3-C
10シクロアルケニル基、C
1-C
10ヘテロシクロアルケニル基、C
6-C
60アリール基、C
6-C
60アリールオキシ基、C
6-C
60アリールチオ基、C
1-C
60ヘテロアリール基、一価非芳香族縮合多環基、及び一価非芳香族ヘテロ縮合多環基;並びに
-N(Q
31)(Q
32)、-Si(Q
33)(Q
34)(Q
35)、-Ge(Q
33)(Q
34)(Q
35)、-B(Q
36)(Q
37)、-P(=O)(Q
38)(Q
39)、及び-P(Q
38)(Q
39);のうちから選択され、
前記Q
1ないしQ
9、Q
11ないしQ
19、Q
21ないしQ
29、及びQ
31ないしQ
39は、それぞれ独立して、水素、重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボン酸基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、リン酸基又はその塩、C
1-C
60アルキル基、C
2-C
60アルケニル基、C
2-C
60アルキニル基、C
1-C
60アルコキシ基、C
3-C
10シクロアルキル基、C
1-C
10ヘテロシクロアルキル基、C
3-C
10シクロアルケニル基、C
1-C
10ヘテロシクロアルケニル基、C
6-C
60アリール基、C
1-C
60アルキル基とC
6-C
60アリール基とのうちの少なくとも一つで置換された、C
6-C
60アリール基、C
6-C
60アリールオキシ基、C
6-C
60アリールチオ基、C
1-C
60ヘテロアリール基、一価非芳香族縮合多環基、及び一価非芳香族ヘテロ縮合多環基のうちから選択される。
【0008】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による有機発光素子は、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に配置されて発光層を含む有機層と、を備え、前記有機層は、前記有機金属化合物を1種以上含む。
【0009】
前記有機金属化合物は、前記有機層の発光層に含まれ、該発光層に含まれる有機金属化合物は、ドーパントの役割を行い得る。
【発明の効果】
【0010】
本発明の有機金属化合物は、優秀な電気的特性及び熱的安定性を有し、有機金属化合物を用いた有機発光素子は、優秀な駆動電圧、電流密度、外部量子発光効率、ロールオフ比、及び寿命特性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一具現例による有機発光素子を概略的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態の具体例を詳細に説明する。
【0013】
本発明の有機金属化合物は、下記化学式1で表される。
【0014】
【0015】
上記化学式1で、R1ないしR12、及びR19は、それぞれ独立して、水素、重水素、-F、-Cl、-Br、-I、-SF5、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボン酸基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、リン酸基又はその塩、置換若しくは非置換のC1-C60アルキル基、置換若しくは非置換のC2-C60アルケニル基、置換若しくは非置換のC2-C60アルキニル基、置換若しくは非置換のC1-C60アルコキシ基、置換若しくは非置換のC3-C10シクロアルキル基、置換若しくは非置換のC1-C10ヘテロシクロアルキル基、置換若しくは非置換のC3-C10シクロアルケニル基、置換若しくは非置換のC1-C10ヘテロシクロアルケニル基、置換若しくは非置換のC6-C60アリール基、置換若しくは非置換のC6-C60アリールオキシ基、置換若しくは非置換のC6-C60アリールチオ基、置換若しくは非置換のC1-C60ヘテロアリール基、置換若しくは非置換の一価非芳香族縮合多環基(non-aromatic condensed polycyclic group)、置換若しくは非置換の一価非芳香族ヘテロ縮合多環基(non-aromatic condensed heteropolycyclic group)、-N(Q1)(Q2)、-Si(Q3)(Q4)(Q5)、-Ge(Q3)(Q4)(Q5)、-B(Q6)(Q7)、-P(=O)(Q8)(Q9)、及び-P(Q8)(Q9)のうちから選択される。Q1ないしQ9に関する説明は、本明細書に記載された箇所を参照する。
【0016】
例えば、R1ないしR12、及びR19は、それぞれ独立して、
水素、重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボン酸基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、リン酸基又はその塩、-SF5、C1-C20アルキル基、及びC1-C20アルコキシ基;
重水素、-F、-Cl、-Br、-I、-CD3、-CD2H、-CDH2、-CF3、-CF2H、-CFH2、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボン酸基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、リン酸基又はその塩、C1-C10アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、アダマンタニル基、ノルボルナニル基、ノルボルネニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、ビシクロ[1.1.1]ペンチル基(bicyclo[1.1.1]pentyl)、ビシクロ[2.1.1]ヘキシル基(bicyclo[2.1.1]hexyl)、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナプチル基、ピリデ-ニルギ、及びピリミデ-ニルギのうちの少なくとも一つで置換された、C1-C20アルキル基及びC1-C20アルコキシ基;
シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、アダマンタニル基、ノルボルナニル基、ノルボルネニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、ビシクロ[1.1.1]ペンチル基、ビシクロ[2.1.1]ヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基(bicyclo[2.2.1]heptyl)、ビシクロ[2.2.2]オクチル基(bicyclo[2.2.2]octyl)、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、フェナントレニル基、アントラセニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ピロリル基、チオフェニル基、フラニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、ピリジニル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、イソインドリル基、インドリル基、インダゾリル基、プリニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ベンゾキノリニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、カルバゾリル基、フェナントロリニル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、イソベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、イソベンゾオキサゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、オキサジアゾリル基、トリアジニル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、ベンゾカルバゾリル基、ジベンゾカルバゾリル基、イミダゾピリジニル基、及びイミダゾピリミジニル基;
重水素、-F、-Cl、-Br、-I、-CD3、-CD2H、-CDH2、-CF3、-CF2H、-CFH2、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボン酸基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、リン酸基又はその塩、C1-C20アルキル基、C1-C20アルコキシ基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、アダマンタニル基、ノルボルナニル基、ノルボルネニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、ビシクロ[1.1.1]ペンチル基、ビシクロ[2.1.1]ヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、フェナントレニル基、アントラセニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ピロリル基、チオフェニル基、フラニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、ピリジニル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、イソインドリル基、インドリル基、インダゾリル基、プリニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ベンゾキノリニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、カルバゾリル基、フェナントロリニル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、イソベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、イソベンゾオキサゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、オキサジアゾリル基、トリアジニル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、ベンゾカルバゾリル基、ジベンゾカルバゾリル基、イミダゾピリジニル基、イミダゾピリミジニル基、及び-Si(Q33)(Q34)(Q35)のうちから選択される少なくとも一つで置換された、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、アダマンタニル基、ノルボルナニル基、ノルボルネニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、ビシクロ[1.1.1]ペンチル基、ビシクロ[2.1.1]ヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、フェナントレニル基、アントラセニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ピロリル基、チオフェニル基、フラニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、ピリジニル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、イソインドリル基、インドリル基、インダゾリル基、プリニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ベンゾキノリニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、カルバゾリル基、フェナントロリニル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、イソベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、イソベンゾオキサゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、オキサジアゾリル基、トリアジニル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、ベンゾカルバゾリル基、ジベンゾカルバゾリル基、イミダゾピリジニル基、及びイミダゾピリミジニル基;並びに
-N(Q1)(Q2)、-Si(Q3)(Q4)(Q5)、-Ge(Q3)(Q4)(Q5)、-B(Q6)(Q7)、-P(=O)(Q8)(Q9)、及び-P(Q8)(Q9);のうちから選択され、
Q1ないしQ9、及びQ33ないしQ35は、それぞれ独立して、
-CH3、-CD3、-CD2H、-CDH2、-CH2CH3、-CH2CD3、-CH2CD2H、-CH2CDH2、-CHDCH3、-CHDCD2H、-CHDCDH2、-CHDCD3、-CD2CD3、-CD2CD2H、及び-CD2CDH2;
n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、フェニル基、及びナフチル基;並びに
重水素、C1-C10アルキル基、及びフェニル基のうちから選択される少なくとも一つで置換された、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、フェニル基、及びナフチル基;のうちから選択される。
【0017】
一具現例によると、R1ないしR9、及びR19は、それぞれ独立して、水素、重水素、置換若しくは非置換のC1-C60アルキル基、置換若しくは非置換のC3-C10シクロアルキル基、又は-Si(Q3)(Q4)(Q5)である。Q3ないしQ5に関する説明は、それぞれ本明細書に記載された箇所を参照する。
【0018】
他の具現例によると、R1ないしR12、及びR19は、それぞれ独立して、
水素、重水素、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、3-ペンチル基、sec-イソペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、sec-ヘキシル基、tert-ヘキシル基、n-ヘプチル基、イソヘプチル基、sec-ヘプチル基、tert-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、sec-ノニル基、tert-ノニル基、n-デシル基、イソデシル基、sec-デシル基、tert-デシル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、アダマンタニル基、ノルボルナニル基、ノルボルネニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、ビシクロ[1.1.1]ペンチル基、ビシクロ[2.1.1]ヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、ピリジニル基、ピリミジニル基、カルバゾリル基、フルオレニル基、ジベンゾシロリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、又は-Si(Q3)(Q4)(Q5);
少なくとも一つの重水素で置換された、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、3-ペンチル基、sec-イソペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、sec-ヘキシル基、tert-ヘキシル基、n-ヘプチル基、イソヘプチル基、sec-ヘプチル基、tert-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、sec-ノニル基、tert-ノニル基、n-デシル基、イソデシル基、sec-デシル基、又はtert-デシル基;或いは
重水素及びC1-C10アルキル基のうちの少なくとも一つで置換された、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、アダマンタニル基、ノルボルナニル基、ノルボルネニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、ビシクロ[1.1.1]ペンチル基、ビシクロ[2.1.1]ヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、ピリジニル基、ピリミジニル基、カルバゾリル基、フルオレニル基、ジベンゾシロリル基、ジベンゾフラニル基、又はジベンゾチオフェニル基;である。Q3ないしQ5に関する説明は、それぞれ本明細書に記載された箇所を参照する。
【0019】
更に他の具現例によると、R1ないしR12、及びR19は、それぞれ独立して、水素、重水素、-F、シアノ基、ニトロ基、-SF5、-CH3、-CD3、-CD2H、-CDH2、-CF3、-CF2H、-CFH2、下記化学式9-1~9-66で表される基、下記化学式9-1~9-66のうちの少なくとも一つの水素が重水素で置換された基、下記化学式10-1~10-249で表される基、下記化学式10-1~10-249のうちの少なくとも一つの水素が重水素で置換された基、又は-Si(Q3)(Q4)(Q5)(但し、上述のQ3ないしQ5に関する説明は、それぞれ本明細書に記載された箇所を参照する)であるが、それらに限定されるものではない。
【0020】
【0021】
【化(10-1)-(10-66)】
【化(10-67)-(10-109)】
【化(10-110)-(10-144)】
【化(10-145)-(10-209)】
【化(10-210)-(10-249)】
【0022】
上記化学式9-1~9-66、及び化学式10-1~10-249で、*は、隣接原子との結合サイトであり、Phは、フェニル基であり、TMSは、トリメチルシリル基である。
【0023】
上記「化学式9-1~9-66のうちの少なくとも一つの水素が重水素で置換された基」は、例えば下記化学式9-501~9-552のうちの一つで表される基である。
【0024】
【0025】
上記「化学式10-1~10-249のうちの少なくとも一つの水素が重水素で置換された基」は、例えば下記化学式10-501~10-510のうちの一つで表される基である。
【0026】
【0027】
上記化学式1のR1ないしR6のうちの少なくとも一つは、それぞれ独立して、下記化学式2で表される基のうちから選択される。
【0028】
【0029】
上記化学式2に含まれる炭素の個数は、4以上(例えば、4~20、4~15、又は4~10)であり、
上記化学式2で、R13は、水素、重水素、C1-C20アルキル基、重水素含有C1-C20アルキル基、C3-C10シクロアルキル基、又は重水素含有C3-C10シクロアルキル基であり、
上記化学式2で、R14及びR15は、互いに独立して、C1-C20アルキル基、重水素含有C1-C20アルキル基、C3-C10シクロアルキル基、又は重水素含有C3-C10シクロアルキル基であり、
*は、隣接原子との結合サイトである。
【0030】
本明細書において、「重水素含有C1-C20アルキル基」及び「重水素含有C3-C10シクロアルキル基」という用語は、それぞれ少なくとも一つの重水素で置換された、C1-C20アルキル基及びC3-C10シクロアルキル基を意味する。例えば、重水素含有メチル基とは、-CDH2、-CD2H、及び-CD3を示す。
【0031】
本明細書において、「C1-C20アルキル基」の例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、3-ペンチル基、sec-イソペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、sec-ヘキシル基、tert-ヘキシル基、n-ヘプチル基、イソヘプチル基、sec-ヘプチル基、tert-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、sec-ノニル基、tert-ノニル基、n-デシル基、イソデシル基、sec-デシル基、tert-デシル基などが挙げられるが、それらに限定されるものではない。
【0032】
本明細書において、「C3-C10シクロアルキル基」の例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、アダマンタニル基、ノルボルナニル基、ビシクロ[1.1.1]ペンチル基、ビシクロ[2.1.1]ヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基などが挙げられるが、それらに限定されるものではない。
【0033】
一具現例によると、上記化学式1のR2ないしR5のうちの一つは、上記化学式2で表される基である。
【0034】
他の具現例によると、上記化学式1のR2ないしR5のうちの一つは、上記化学式2で表される基であり、上記化学式2で表される基ではない残りのR1ないしR6は、水素である。
【0035】
更に他の具現例によると、上記化学式1で、
1)R2は、上記化学式2で表される基であり、R1、及びR3ないしR6は、水素であるか、
2)R3は、上記化学式2で表される基であり、R1、R2、及びR4ないしR6は、水素であるか、
3)R4は、上記化学式2で表される基であり、R1ないしR3、R5、及びR6は、水素であるか、
4)R5は、上記化学式2で表される基であり、R1ないしR4、及びR6は、水素であるか、
5)R4は、上記化学式2で表される基であり、R5は、置換若しくは非置換のC1-C60アルキル基、置換若しくは非置換のC3-C10シクロアルキル基、フェニル基、ビフェニル基、又は-Si(Q3)(Q4)(Q5)であり、R1、R2、R3、及びR6は、水素であるか、
6)R5は、上記化学式2で表される基であり、R3は、置換若しくは非置換のC1-C60アルキル基、置換若しくは非置換のC3-C10シクロアルキル基、フェニル基、ビフェニル基、又は-Si(Q3)(Q4)(Q5)であり、R1、R2、R4、及びR6は、水素であるか、
7)R2は、上記化学式2で表される基であり、R5は、置換若しくは非置換のC1-C60アルキル基、置換若しくは非置換のC3-C10シクロアルキル基、フェニル基、ビフェニル基、又は-Si(Q3)(Q4)(Q5)であり、R1、R3、R4、及びR6は、水素であるか、
8)R4は、上記化学式2で表される基であり、R6は、置換若しくは非置換のC1-C60アルキル基、置換若しくは非置換のC3-C10シクロアルキル基、フェニル基、ビフェニル基、又は-Si(Q3)(Q4)(Q5)であり、R1、R2、R3、及びR5は、水素であるか、
9)R3は、上記化学式2で表される基であり、R5は、置換若しくは非置換のC1-C60アルキル基、置換若しくは非置換のC3-C10シクロアルキル基、フェニル基、ビフェニル基、又は-Si(Q3)(Q4)(Q5)であり、R1、R2、R4、及びR6は、水素であるか、或いは
10)R2は、上記化学式2で表される基であり、R4及びR5は、互いに独立して、置換若しくは非置換のC1-C60アルキル基、置換若しくは非置換のC3-C10シクロアルキル基、フェニル基、ビフェニル基、又は-Si(Q3)(Q4)(Q5)であり、R1、R3、及びR6は、水素であるが、それらに限定されるものではない。
【0036】
更に他の具現例によると、上記化学式1のR7ないしR9のうちの少なくとも一つは、水素ではない。
【0037】
更に他の具現例によると、上記化学式1のR7ないしR9のうちの少なくとも一つは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のC1-C60アルキル基、置換若しくは非置換のC3-C10シクロアルキル基、又は置換若しくは非置換のC6-C60アリール基である。
【0038】
更に他の具現例によると、上記化学式1のR7ないしR9のうちの少なくとも一つは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のC2-C60アルキル基、置換若しくは非置換のC3-C10シクロアルキル基、又は置換若しくは非置換のC6-C60アリール基である。
【0039】
更に他の具現例によると、
1)上記化学式1のR7及びR9は、水素ではなく、R8及びR19は、水素であるか、
2)上記化学式1のR7及びR8は、水素ではなく、R9及びR19は、水素であるか、
3)上記化学式1のR7ないしR9は、水素ではなく、R19は、水素であるか、或いは
4)上記化学式1のR7は、水素ではなく、R8、R9、及びR19は、水素であるが、それらに限定されるものではない。
【0040】
更に他の具現例によると、上記化学式1のR19は、水素である。
【0041】
更に他の具現例によると、上記化学式1のR7及びR9は、水素ではなく、R7及びR9は、互いに同一である。
【0042】
更に他の具現例によると、上記化学式1のR7及びR9は、水素ではなく、R7及びR9は、互いに異なる。
【0043】
更に他の具現例によると、上記化学式1のR7及びR9は、水素ではなく、R7及びR9は、互いに異なり、R7に含まれる炭素の個数は、R9に含まれる炭素の個数よりも多い。
【0044】
他の具現例によると、上記化学式2で、R13は、水素又は重水素である。
【0045】
更に他の具現例によると、上記化学式2で、R13は、C1-C20アルキル基、重水素含有C1-C20アルキル基、C3-C10シクロアルキル基、又は重水素含有C3-C10シクロアルキル基である。
【0046】
更に他の具現例によると、上記化学式2で、R14とR15とは、互いに異なる。
【0047】
更に他の具現例によると、上記化学式2で、
R13は、水素、重水素、-CH3、-CDH2、-CD2H、又は-CD3であり、
R14及びR15は、互いに独立して、
メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、3-ペンチル基、sec-イソペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、sec-ヘキシル基、tert-ヘキシル基、n-ヘプチル基、イソヘプチル基、sec-ヘプチル基、tert-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、sec-ノニル基、tert-ノニル基、n-デシル基、イソデシル基、sec-デシル基、tert-デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ビシクロ[1.1.1]ペンチル基、ビシクロ[2.1.1]ヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、又はビシクロ[2.2.2]オクチル基;或いは
少なくとも一つの重水素で置換された、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、3-ペンチル基、sec-イソペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、sec-ヘキシル基、tert-ヘキシル基、n-ヘプチル基、イソヘプチル基、sec-ヘプチル基、tert-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、sec-ノニル基、tert-ノニル基、n-デシル基、イソデシル基、sec-デシル基、tert-デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ビシクロ[1.1.1]ペンチル基、ビシクロ[2.1.1]ヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、又はビシクロ[2.2.2]オクチル基;である。
【0048】
更に他の具現例によると、上記化学式2で、R14及びR15は、互いに独立して、-CH3、-CDH2、-CD2H、-CD3、上記化学式9-1~9-33で表される基、上記化学式9-1~9-33のうちの少なくとも一つの水素が重水素で置換された基、上記化学式10-1~10-10で表される基、及び上記化学式10-1~10-10のうちの少なくとも一つの水素が重水素で置換された基のうちから選択されるが、それらに限定されるものではない。
【0049】
更に他の具現例によると、上記化学式2で、R13ないしR15がいずれも同一である場合は、除外される。更に他の具現例によると、上記化学式2で、R13ないしR15は、互いに異なる。
【0050】
更に他の具現例によると、上記化学式2で、R13ないしR15がいずれもメチル基である場合は、除外される。
【0051】
一方、上記化学式1のR10及びR12のうちの少なくとも一つは、互いに独立して、下記化学式3で表される基である。
【0052】
【0053】
上記化学式3で、R16ないしR18は、それぞれ独立して、
水素、重水素、C1-C20アルキル基、C3-C10シクロアルキル基、C6-C60アリール基、及びC1-C60ヘテロアリール基;並びに
重水素及びC1-C20アルキル基のうちの少なくとも一つで置換された、C1-C20アルキル基、C3-C10シクロアルキル基、C6-C60アリール基、及びC1-C60ヘテロアリール基;のうちから選択され、
*は、隣接原子との結合サイトである。
【0054】
例えば、上記化学式3で、R16ないしR18は、それぞれ独立して、水素又は重水素である。
【0055】
他の例として、上記化学式3で、R16ないしR18のうちの1個以上は、水素及び重水素ではない。即ち、上記化学式3は、2個以下のbenzylic protonを有する。
【0056】
更に他の例として、上記化学式3で、R16ないしR18のうちの2個以上は、水素及び重水素ではない。即ち、上記化学式3は、1個以下のbenzylic protonを有する。
【0057】
更に他の例として、上記化学式3で、R16ないしR18は、いずれも水素及び重水素ではない。
【0058】
一具現例によると、上記化学式3で、
R16ないしR18は、それぞれ独立して、水素又は重水素であるか、
R16ないしR18は、それぞれ独立して、メチル基又は重水素含有メチル基であるか、
R16及びR17は、互いに独立して、水素又は重水素であり、R18は、メチル基又は重水素含有メチル基であるか、
R16及びR17は、互いに独立して、水素又は重水素であり、R18は、C2-C20アルキル基又は重水素含有C2-C20アルキル基であるか、
R16は、水素又は重水素であり、R17及びR18は、互いに独立して、メチル基又は重水素含有メチル基であるか、
R16は、水素又は重水素であり、R17及びR18は、互いに独立して、C2-C20アルキル基又は重水素含有C2-C20アルキル基であるか、
R16は、メチル基又は重水素含有メチル基であり、R17及びR18は、互いに独立して、C2-C20アルキル基又は重水素含有C2-C20アルキル基であるか、或いは
R16及びR17は、互いに独立して、メチル基又は重水素含有メチル基であり、R18は、C2-C20アルキル基又は重水素含有C2-C20アルキル基である。
【0059】
「C2-C20アルキル基又は重水素含有C2-C20アルキル基」の例としては、
エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、3-ペンチル基、sec-イソペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、sec-ヘキシル基、tert-ヘキシル基、n-ヘプチル基、イソヘプチル基、sec-ヘプチル基、tert-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、sec-ノニル基、tert-ノニル基、n-デシル基、イソデシル基、sec-デシル基、及びtert-デシル基;並びに
少なくとも一つの重水素で置換された、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、3-ペンチル基、sec-イソペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、sec-ヘキシル基、tert-ヘキシル基、n-ヘプチル基、イソヘプチル基、sec-ヘプチル基、tert-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、sec-ノニル基、tert-ノニル基、n-デシル基、イソデシル基、sec-デシル基、及びtert-デシル基;が挙げられるが、それらに限定されるものではない。
【0060】
他の具現例によると、上記化学式1のR10とR12とは、互いに同一である。
【0061】
更に他の具現例によると、上記化学式1のR10とR12とは、互いに異なる。
【0062】
例えば、上記化学式1のR10は、エチル基であり、R12は、メチル基、n-プロピル基、又はiso-プロピル基であるが、それらに限定されるものではない。
【0063】
更に他の具現例によると、上記化学式1及び2のR10、R12、及びR14のうちの少なくとも一つは、それぞれ独立して、C3-C10シクロアルキル基又は重水素含有C3-C10シクロアルキル基であるが、それらに限定されるものではない。
【0064】
上記化学式1のR1ないしR9、及びR19のうちの2以上は、選択的に、それぞれ結合され、少なくとも一つのR1aで置換されたか若しくは置換されないC5-C30炭素環式基、又は少なくとも一つのR1aで置換されたか若しくは置換されないC2-C30ヘテロ環式基を形成する。
【0065】
例えば、化学式1のR1ないしR9、及びR19のうちの2以上は、選択的に、それぞれ結合され、少なくとも一つのR1aで置換されたか若しくは置換されない、シクロペンタジエン基、シクロヘキサン基、シクロヘプタン基、アダマンタン基、ビシクロ-ヘプタン(bicyclo-heptanes)基、ビシクロ-オクタン基、ベンゼン基、ピリジン基、ピリミジン基、ピラジン基、ピリダジン基、ナフタレン基、アントラセン基、テトラセン基、フェナントレン基、ジヒドロナフタレン基、フェナレン基、ベンゾフラン基、ベンゾチオフェン基、ベンゾセレノフェン基、インドール基、インデン基、ベンゾシロール基、アザベンゾフラン基、アザベンゾチオフェン基、アザベンゾセレノフェン基、アザインドール基、アザインデン基、及びアザベンゾシロール基などが形成されるが、それらに限定されるものではない。
【0066】
R1aに関する説明は、本明細書において、R7に関する説明を参照する。
【0067】
一具現例によると、上記化学式1で表される有機金属化合物は、下記<条件1>~<条件6>のうちの少なくとも一つを満足する。
【0068】
<条件1>
【0069】
化学式1のR1ないしR3、R5及びR6のうちの少なくとも一つは、水素ではない。
【0070】
<条件2>
【0071】
化学式1のR7ないしR9のうちの少なくとも一つは、それぞれ独立して、2以上の炭素を有する基である。
【0072】
<条件3>
【0073】
上記化学式1のR7ないしR9のうちの少なくとも一つは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のC2-C60アルキル基、置換若しくは非置換のC3-C10シクロアルキル基、又は置換若しくは非置換のC6-C60アリール基である。
【0074】
<条件4>
【0075】
上記化学式1のR10及びR12のうちの少なくとも一つは、互いに独立して、上記化学式3で表される基であり、上記化学式3で、R16ないしR18は、いずれも水素ではない。
【0076】
<条件5>
【0077】
上記化学式1のR10及びR12のうちの少なくとも一つは、互いに独立して、上記化学式3で表される基であり、上記化学式3のR16ないしR18のうちの少なくとも一つは、それぞれ独立して、C2-C20アルキル基、C3-C10シクロアルキル基、又はC6-C60アリール基、或いは重水素及びC1-C20アルキル基のうちの少なくとも一つで置換された、C2-C20アルキル基、C3-C10シクロアルキル基、又はC6-C60アリール基である。
【0078】
<条件6>
【0079】
上記化学式1のR10及びR12のうちの少なくとも一つは、互いに独立して、置換若しくは非置換のC3-C10シクロアルキル基である。
【0080】
更に他の具現例によると、有機金属化合物は、下記化合物1~20のうちの一つであるが、それらに限定されるものではない。
【0081】
【0082】
上記化合物1~20で、TMSは、トリメチルシリル基である。
【0083】
上記化学式1は、本明細書に記載した構造を有するが、R1ないしR6のうちの少なくとも一つは、それぞれ独立して、下記化学式2で表される基のうちから選択される。
【0084】
【0085】
上記化学式2に含まれる炭素の個数は、4以上であり、R13は、水素、重水素、C1-C20アルキル基、重水素含有C1-C20アルキル基、C3-C10シクロアルキル基、又は重水素含有C3-C10シクロアルキル基であり、R14及びR15は、互いに独立して、C1-C20アルキル基、重水素含有C1-C20アルキル基、C3-C10シクロアルキル基、又は重水素含有C3-C10シクロアルキル基であり、*は、隣接原子との結合サイトである。
【0086】
即ち、上記化学式2で表される基は、benzylic proton個数が1個以下であるアルキル基又はその誘導体である。
【0087】
特定理論によって限定されるものではないが、benzylic protonは、benzylic protonではないprotonに比べて、化学的反応性が高く、多様な形態の中間体生成による副反応引き起こしの原因になる。しかし、上記化学式1のR1ないしR6のうちの少なくとも一つは、それぞれ独立して、benzylic proton個数が1個以下であるアルキル基又はその誘導体である上記化学式2で表される基であるため、上記化学式1で表される有機金属化合物は、合成の前後、副反応発生が最小化された安定した化学構造を有し、同時に、それを用いた電子素子(例えば、有機発光素子)の駆動中、有機金属化合物分子間の相互作用が最小化される。それにより、上記化学式1で表される有機金属化合物を用いた電子素子、例えば有機発光素子の駆動電圧、電流密度、外部量子発光効率、ロールオフ比、及び寿命特性が向上する。
【0088】
また、上記化学式2で、R13、R14、及びR15は、同時にメチル基ではない。即ち、上記化学式2は、t-ブチル基ではない。特定理論によって限定されるものではないが、素子駆動時、t-ブチル基は、化学式1のキノリン環から分離され、t-ブチルradical(又は、t-ブチルcation)になり、それは、素子寿命低下の原因になる。しかし、上記化学式2は、t-ブチル基ではないため、上記化学式1で表される有機金属化合物を用いた電子素子、例えば有機発光素子の寿命は、実質的に低下しない。
【0089】
上記化学式1で表される有機金属化合物の合成方法は、後述する合成例を参照して、当業者が認識することができる。
【0090】
従って、上記化学式1で表される有機金属化合物は、有機発光素子の有機層、例えば、前記有機層において、発光層のドーパントとしての使用に適する。他の側面によると、第1電極と、第2電極と、第1電極と第2電極との間に配置されて発光層を含み、上記化学式1で表される有機金属化合物を少なくとも1種以上含む有機層と、を備える有機発光素子が提供される。
【0091】
有機発光素子は、上記化学式1で表される有機金属化合物を含む有機層を具備することにより、向上した駆動電圧、電流密度、外部量子発光効率、ロールオフ比、及び寿命特性を有する。
【0092】
上記化学式1で表される有機金属化合物は、有機発光素子の1対の電極間に使用される。例えば、上記化学式1で表される有機金属化合物は、発光層に含まれる。このとき、有機金属化合物は、ドーパントの役割を行い、発光層は、ホストを更に含む(即ち、発光層において、上記化学式1で表される有機金属化合物の含量は、ホストの含量よりも少ない)。
【0093】
一具現例によると、発光層は、赤色光を放出する。
【0094】
本明細書において、「(有機層が)有機金属化合物を1種以上含む」とは、「(有機層が)上記化学式1の範疇に属する1種の有機金属化合物、又は上記化学式1の範疇に属するそれぞれ異なる2種以上の有機金属化合物を含む」と解釈される。
【0095】
例えば、有機層は、有機金属化合物として、上記化合物1のみを含む。このとき、上記化合物1は、有機発光素子の発光層に存在する。或いは、有機層は、有機金属化合物として、上記化合物1と化合物2とを含む。このとき、上記化合物1と化合物2とは、同一層に存在(例えば、上記化合物1と化合物2とは、いずれも発光層に存在する)する。
【0096】
第1電極は、正孔注入電極であるアノードであり、第2電極は、電子注入電極であるカソードであるか、或いは第1電極は、電子注入電極であるカソードであり、第2電極は、正孔注入電極であるアノードである。
【0097】
例えば、有機発光素子において、第1電極は、アノードであり、第2電極は、カソードであり、有機層は、第1電極と記発光層との間に配置された正孔輸送領域、及び発光層と第2電極との間に配置された電子輸送領域を更に含み、正孔輸送領域は、正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、バッファ層、又はその任意の組み合わせを含み、電子輸送領域は、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層、又はその任意の組み合わせを含む。
【0098】
本明細書において、「有機層」は、有機発光素子において、第1電極と第2電極との間に配置された単一及び/又は複数の層を示す用語である。「有機層」は、有機化合物のみならず、金属を含む有機金属錯体なども含む。
【0099】
図1は、本発明の一具現例による有機発光素子10の断面図を概略的に示したものである。以下、
図1を参照し、本発明の一具現例による有機発光素子の構造及び製造方法について説明すると、次の通りである。有機発光素子10は、第1電極11、有機層15、及び第2電極19が順に積層された構造を有する。
【0100】
第1電極11の下部又は第2電極19の上部には、基板が追加して配置される。基板としては、一般的な有機発光素子で使用される基板が使用されるが、機械的強度、熱安定性、透明性、表面平滑性、取り扱い容易性、及び防水性に優れるガラス基板又は透明プラスチック基板が使用される。
【0101】
第1電極11は、例えば基板上部に第1電極用物質を、蒸着法又はスパッタリング法などを利用して提供することによって形成される。第1電極11は、アノードである。第1電極用物質は、正孔注入が容易であるように、高い仕事関数を有する物質のうちから選択される。第1電極11は、反射型電極、半透過型電極、又は透過型電極である。第1電極用物質としては、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)などが使用される。或いは、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、アルミニウム-リチウム(Al-Li)、カルシウム(Ca)、マグネシウム-インジウム(Mg-In)、マグネシウム-銀(Mg-Ag)のような金属が使用される。
【0102】
第1電極11は、単一層構造、又は2以上の層を含む多層構造を有する。例えば、第1電極11は、ITO/Ag/ITOの3層構造を有するが、それに限定されるものではない。
【0103】
第1電極11の上部には、有機層15が配置される。
【0104】
有機層15は、正孔輸送領域(hole transport region)、発光層(emission layer)、及び電子輸送領域(electron transport region)を含む。
【0105】
正孔輸送領域は、第1電極11と発光層との間に配置される。
【0106】
正孔輸送領域は、正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、バッファ層、又はその任意の組み合わせを含む。
【0107】
正孔輸送領域は、正孔注入層のみを含むか又は正孔輸送層のみを含む。或いは、正孔輸送領域は、第1電極11から順に積層された正孔注入層/正孔輸送層、又は正孔注入層/正孔輸送層/電子阻止層の構造を有する。
【0108】
正孔輸送領域が正孔注入層を含む場合、正孔注入層(HIL)は、第1電極11の上部に、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB(Langmuir-Blodgett)法のような多様な方法を利用して形成される。
【0109】
真空蒸着法によって正孔注入層を形成する場合、その蒸着条件は、正孔注入層材料として使用する化合物、目的とする正孔注入層の構造、熱的特性などによって異なるが、例えば蒸着温度約100~約500℃、真空度約10-8~約10-3torr、蒸着速度約0.01~約100Å/secの範囲から選択されるが、それらに限定されるものではない。
【0110】
スピンコーティング法によって正孔注入層を形成する場合、コーティング条件は、正孔注入層材料として使用する化合物、目的とする正孔注入層の構造、及び熱的特性によって異なるが、約2,000rpm~約5,000rpmのコーティング速度、コーティング後の溶媒除去のための熱処理温度は、約80℃~200℃の温度範囲から選択されるが、それらに限定されるものではない。
【0111】
正孔輸送層及び電子阻止層の形成条件は、正孔注入層形成条件を参照する。
【0112】
正孔輸送領域は、例えば、m-MTDATA、TDATA、2-TNATA、NPB、β-NPB、TPD、spiro-TPD、spiro-NPB、methylated-NPB、TAPC、HMTPD、4,4’,4”-トリス(N-カルバゾリル)トリフェニルアミン(TCTA)、ポリアニリン/ドデシルベンゼンスルホン酸(Pani/DBSA)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4-スチレンスルホネート)(PEDOT/PSS)、ポリアニリン/カンファースルホン酸(Pani/CSA)、ポリアニリン/ポリ(4-スチレンスルホネート)(PANI/PSS)、下記化学式201で表される化合物、及び下記化学式202で表される化合物のうちの少なくとも一つを含む。
【0113】
【0114】
【0115】
【0116】
上記化学式201で、Ar101及びAr102は、互いに独立して、
フェニレン基、ペンタレニレン基、インデニレン基、ナフチレン基、アズレニレン基、ヘプタレニレン基、アセナフチレン基、フルオレニレン基、フェナレニレン基、フェナントレニレン基、アントラセニレン基、フルオランテニレン基、トリフェニレニレン基、ピレニレン基、クリセニレニレン基、ナフタセニレン基、ピセニレン基、ペリレニレン基、及びペンタセニレン基;並びに
重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボン酸基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、リン酸基又はその塩、C1-C60アルキル基、C2-C60アルケニル基、C2-C60アルキニル基、C1-C60アルコキシ基、C3-C10シクロアルキル基、C3-C10シクロアルケニル基、C1-C10ヘテロシクロアルキル基、C1-C10ヘテロシクロアルケニル基、C6-C60アリール基、C6-C60アリールオキシ基、C6-C60アリールチオ基、C1-C60ヘテロアリール基、一価非芳香族縮合多環基、及び一価非芳香族ヘテロ縮合多環基のうちの少なくとも一つで置換された、フェニレン基、ペンタレニレン基、インデニレン基、ナフチレン基、アズレニレン基、ヘプタレニレン基、アセナフチレン基、フルオレニレン基、フェナレニレン基、フェナントレニレン基、アントラセニレン基、フルオランテニレン基、トリフェニレニレン基、ピレニレン基、クリセニレニレン基、ナフタセニレン基、ピセニレン基、ペリレニレン基、及びペンタセニレン基;のうちから選択される。
【0117】
上記化学式201で、xa及びxbは、互いに独立して、0~5の整数、又は0、1、若しくは2である。例えば、xaは、1であり、xbは、0であるが、それらに限定されるものではない。
【0118】
上記化学式201及び202で、R101ないしR108、R111ないしR119、及びR121ないしR124は、それぞれ独立して、
水素、重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボン酸基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、リン酸基又はその塩、C1-C10アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基など)、及びC1-C10アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基など);
重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボン酸基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、及びリン酸基又はその塩のうちの一つ以上で置換された、C1-C10アルキル基及びC1-C10アルコキシ基;
フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フルオレニル基、及びピレニル基;並びに
重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボン酸基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、リン酸基又はその塩、C1-C10アルキル基、及びC1-C10アルコキシ基のうちの一つ以上で置換された、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フルオレニル基、及びピレニル基;のうちから選択されるが、それらに限定されるものではない。
【0119】
上記化学式201で、R109は、
フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、及びピリジニル基;並びに
重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボン酸基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、リン酸基又はその塩、C1-C20アルキル基、C1-C20アルコキシ基、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、及びピリジニル基のうちの一つ以上で置換された、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、及びピリジニル基;のうちから選択される。
【0120】
一具現例によると、上記化学式201で表される化合物は、下記化学式201Aで表されるが、それに限定されるものではない。
【0121】
【0122】
上記化学式201Aで、R101、R111、R112、及びR109に関する詳細な説明は、上述の箇所を参照する。
【0123】
例えば、上記化学式201で表される化合物、及び上記化学式202で表される化合物は、下記化合物HT1~HT20を含むが、それらに限定されるものではない。
【0124】
【0125】
正孔輸送領域の厚みは、約100Å~約10,000Å、例えば約100Å~約1,000Åである。正孔輸送領域が正孔注入層及び正孔輸送層のうちの少なくとも1層を含む場合、正孔注入層の厚みは、約100Å~約10,000Å、例えば約100Å~約1,000Åであり、正孔輸送層の厚みは、約50Å~約2,000Å、例えば約100Å~約1,500Åである。正孔輸送領域、正孔注入層、及び正孔輸送層の厚みが上述のような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに、満足すべき正孔輸送特性が得られる。
【0126】
正孔輸送領域は、上述のような物質以外に、導電性向上のために電荷生成物質を更に含む。電荷生成物質は、正孔輸送領域内に均一又は不均一に分散される。
【0127】
電荷生成物質は、例えばp-ドーパントである。p-ドーパントは、キノン誘導体、金属酸化物、及びシアノ基含有化合物のうちの一つであるが、それらに限定されるものではない。例えば、p-ドーパントの非制限的な例としては、テトラシアノキノジメタン(TCNQ)及び2,3,5,6-テトラフルオロ-テトラシアノ-1,4-ベンゾキノンジメタン(F4-TCNQ)のようなキノン誘導体;タングステン酸化物及びモリブデン酸化物のような金属酸化物;並びに下記化合物HT-D1のようなシアノ基含有化合物などが挙げられるが、それらに限定されるものではない。
【0128】
【0129】
正孔輸送領域は、バッファ層を更に含む。
【0130】
バッファ層は、発光層から放出される光の波長による光学的共振距離を補償し、効率を上昇させる役割を行う。
【0131】
正孔輸送領域の上部に、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB法のような方法を利用して、発光層(EML)を形成する。真空蒸着法及びスピンコーティング法によって発光層を形成する場合、その蒸着条件及びコーティング条件は、使用する化合物によって異なるが、一般的に、正孔注入層の形成と略同一条件範囲から選択される。
【0132】
一方、正孔輸送領域が電子阻止層を含む場合、電子阻止層材料は、上述のような正孔輸送領域に使用される物質及び後述するホスト物質のうちから選択されるが、それらに限定されるものではない。例えば、正孔輸送領域が電子阻止層を含む場合、電子阻止層材料として、後述するmCPが使用される。
【0133】
発光層は、ホスト及びドーパントを含み、ドーパントは、上記化学式1で表される有機金属化合物を含む。
【0134】
ホストは、下記のTPBi、TBADN、ADN(「DNA」ともいう)、CBP、CDBP、TCP、Mcp、化合物H50、及び化合物H51のうちの少なくとも一つを含む。
【0135】
【0136】
或いは、ホストは、下記化学式301で表される化合物を更に含む。
【0137】
【0138】
上記化学式301で、Ar111及びAr112は、互いに独立して、
フェニレン基、ナフチレン基、フェナントレニレン基、及びピレニレン基;並びに
フェニル基、ナフチル基、及びアントラセニル基のうちの一つ以上で置換された、フェニレン基、ナフチレン基、フェナントレニレン基、及びピレニレン基;のうちから選択される。
【0139】
上記化学式301で、Ar113ないしAr116は、それぞれ独立して、
C1-C10アルキル基、フェニル基、ナフチル基、フェナントレニル基、及びピレニル基;並びに
フェニル基、ナフチル基、及びアントラセニル基のうちの一つ以上で置換された、フェニル基、ナフチル基、フェナントレニル基、及びピレニル基;のうちから選択される。
【0140】
上記化学式301で、g、h、i、及びjは、それぞれ独立して、0~4の整数であり、例えば0、1、又は2である。
【0141】
上記化学式301で、Ar
113ないしAr
116は、それぞれ独立して、
フェニル基、ナフチル基、及びアントラセニル基のうちの一つ以上で置換されたC
1-C
10アルキル基;
フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ピレニル基、フェナントレニル基、及びフルオレニル基;
重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボン酸基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、リン酸基又はその塩、C
1-C
60アルキル基、C
2-C
60アルケニル基、C
2-C
60アルキニル基、C
1-C
60アルコキシ基、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ピレニル基、フェナントレニル基、及びフルオレニル基のうちの一つ以上で置換された、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ピレニル基、フェナントレニル基、及びフルオレニル基;並びに
のうちから選択されるが、それらに限定されるものではない。
【0142】
或いは、ホストは、下記化学式302で表される化合物を含む。
【0143】
【0144】
上記化学式302で、Ar122ないしAr125に関する詳細な説明は、上記化学式301のAr113に関する説明を参照する。
【0145】
上記化学式302で、Ar126及びAr127は、互いに独立して、C1-C10アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、又はプロピル基)である。
【0146】
上記化学式302で、k及びlは、互いに独立して、0~4の整数である。例えば、k及びlは、0、1、又は2である。
【0147】
有機発光素子がフルカラー有機発光素子である場合、発光層は、赤色発光層、緑色発光層、及び青色発光層にパターニングされる。或いは、発光層は、赤色発光層、緑色発光層、及び/又は青色発光層が積層された構造を有することにより、白色光を放出するというように、多様な変形例が可能である。
【0148】
発光層がホスト及びドーパントを含む場合、ドーパントの含量は、一般的に、ホスト約100重量部を基準にして、約0.01~約15重量部の範囲から選択されるが、それに限定されるものではない。
【0149】
発光層の厚みは、約100Å~約1,000Å、例えば約200Å~約600Åである。発光層の厚みが上述のような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに、優秀な発光特性を示す。
【0150】
次に、発光層上部に、電子輸送領域が配置される。
【0151】
電子輸送領域は、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層、又はその任意の組み合わせを含む。
【0152】
例えば、電子輸送領域は、正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層、又は電子輸送層/電子注入層の構造を有するが、それらに限定されるものではない。電子輸送層は、単一層構造、又は2以上のそれぞれ異なる物質を含む多層構造を有する。
【0153】
電子輸送領域の正孔阻止層、電子輸送層、及び電子注入層の形成条件は、正孔注入層の形成条件を参照する。
【0154】
電子輸送領域が正孔阻止層を含む場合、正孔阻止層は、例えば下記BCP、Bphen、及びBalqのうちの少なくとも一つを含むが、それらに限定されるものではない。
【0155】
【0156】
正孔阻止層の厚みは、約20Å~約1,000Å、例えば約30Å~約300Åである。正孔阻止層の厚みが上述のような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに、優秀な正孔阻止特性が得られる。
【0157】
電子輸送層は、上述のBCP、Bphen、並びに下記のAlq3、Balq、TAZ、及びNTAZのうちの少なくとも一つを更に含む。
【0158】
【0159】
或いは、電子輸送層は、下記化合物ET1~ET25のうちの少なくとも一つを含むが、それらに限定されるものではない。
【0160】
【0161】
電子輸送層の厚みは、約100Å~約1,000Å、例えば約150Å~約500Åである。電子輸送層の厚みが上述のような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに、満足すべき電子輸送特性が得られる。
【0162】
電子輸送層は、上述のような物質以外に金属含有物質を更に含む。
【0163】
金属含有物質は、Li錯体を含む。Li錯体は、例えば下記化合物ET-D1(LiQ)又はET-D2を含む。
【0164】
【0165】
また、電子輸送領域は、第2電極19から電子の注入を容易にする電子注入層(EIL)を含む。
【0166】
電子注入層は、LiF、NaCl、CsF、Li2O、及びBaOのうちから選択される少なくとも一つを含む。
【0167】
電子注入層の厚みは、約1Å~約100Å、例えば約3Å~約90Åである。電子注入層の厚みが上述のような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに、満足すべき電子注入特性が得られる。
【0168】
有機層15の上部には、第2電極19が具備される。第2電極19は、カソードである。第2電極19用物質としては、相対的に低い仕事関数を有する金属、合金、電気伝導性化合物、及びそれらの組み合わせが使用される。具体的な例としては、リチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、アルミニウム-リチウム(Al-Li)、カルシウム(Ca)、マグネシウム-インジウム(Mg-In)、マグネシウム-銀(Mg-Ag)などを第2電極19形成用物質として使用する。或いは、前面発光素子を得るために、ITO、IZOを使用して、透過型第2電極19を形成するというように、多様な変形が可能である。
【0169】
以上、有機発光素子について、
図1を参照して説明したが、それらに限定されるものではない。
【0170】
更に他の側面によると、上記化学式1で表される有機金属化合物を1種以上含む診断用組成物が提供される。
【0171】
上記化学式1で表される有機金属化合物は、高発光効率を提供するため、有機金属化合物を含む診断用組成物は、高い診断効率を有する。
【0172】
診断用組成物は、各種診断用キット、診断試薬、バイオセンサ、バイオマーカーなどに多様に応用される。
【0173】
本明細書において、C1-C60アルキル基は、炭素数1~60の線状又は分枝状の飽和脂肪族炭化水素一価基を意味し、具体的な例には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、iso-アミル基、ヘキシル基などが含まれる。本明細書において、C1-C60アルキレン基は、C1-C60アルキル基と同一構造を有する二価基を意味する。
【0174】
本明細書において、C1-C60アルコキシ基は、-OA101(ここで、A101は、C1-C60アルキル基である)の化学式を有する一価基を意味し、その具体的な例には、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基などが含まれる。
【0175】
本明細書において、C2-C60アルケニル基は、C2-C60アルキル基の中間又は末端に、1以上の炭素・炭素二重結合を含む構造を有し、その具体的な例には、エテニル基、プロぺニル基、ブテニル基などが含まれる。本明細書において、C2-C60アルケニレン基は、C2-C60アルケニル基と同一構造を有する二価基を意味する。
【0176】
本明細書において、C2-C60アルキニル基は、C2-C60アルキル基の中間又は末端に1以上の炭素・炭素三重結合を含む構造を有し、その具体的な例には、エチニル基、プロピニル基などが含まれる。本明細書において、C2-C60アルキニレン基は、C2-C60アルキニル基と同一構造を有する二価基を意味する。
【0177】
本明細書において、C3-C10シクロアルキル基は、C3-C10一価飽和炭化水素単環基又は多環基を意味し、その具体例は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基などを含む。本明細書において、C3-C10シクロアルキレン基は、C3-C10シクロアルキル基と同一構造を有する二価基を意味する。
【0178】
本明細書において、C1-C10ヘテロシクロアルキル基は、N、O、P、Si、及びSのうちから選択される少なくとも一つのヘテロ原子を環形成原子として含むC1-C10一価単環基を意味し、その具体例は,テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオフェニル基などを含む。本明細書において、C1-C10ヘテロシクロアルキレン基は、C1-C10ヘテロシクロアルキル基と同一構造を有する二価基を意味する。
【0179】
本明細書において、C3-C10シクロアルケニル基は、C3-C10一価単環基として、環内に少なくとも一つの炭素・炭素二重結合を有するが、芳香族性(aromaticity)を有さない基を意味し、その具体例は、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基などを含む。本明細書において、C3-C10シクロアルケニレン基は、C3-C10シクロアルケニル基と同一構造を有する二価基を意味する。
【0180】
本明細書において、C1-C10ヘテロシクロアルケニル基は、N、O、P、Si、及びSのうちから選択される少なくとも一つのヘテロ原子を環形成原子として含むC1-C10一価単環基として、環内に少なくとも一つの二重結合を有する。C1-C10ヘテロシクロアルケニル基の具体例は、2,3-ジヒドロフラニル基、2,3-ジヒドロチオフェニル基などを含む。本明細書において、C1-C10ヘテロシクロアルケニレン基は、C1-C10ヘテロシクロアルケニル基と同一構造を有する二価基を意味する。
【0181】
本明細書において、C6-C60アリール基は、C6-C60炭素環式芳香族系を有する一価基を意味し、C6-C60アリーレン基は、C6-C60炭素環式芳香族系を有する二価基を意味する。C6-C60アリール基の具体例は、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、ピレニル基、クリセニル基などを含む。C6-C60アリール基、及びC6-C60アリーレン基が2以上の環を含む場合、2以上の環は、それぞれ融合される。
【0182】
本明細書において、C1-C60ヘテロアリール基は、N、O、P、Si、及びSのうちから選択される少なくとも一つのヘテロ原子を環形成原子として含み、C1-C60ヘテロ芳香族系を有する一価基を意味し、C1-C60ヘテロアリーレン基は、N、O、P、Si、及びSのうちから選択される少なくとも一つのヘテロ原子を環形成原子として含み、C1-C60ヘテロ芳香族系を有する二価基を意味する。C1-C60ヘテロアリール基の具体例は、ピリジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基などを含む。C1-C60ヘテロアリール基及びC1-C60ヘテロアリーレン基が2以上の環を含む場合、2以上の環はそれぞれ融合される。
【0183】
本明細書において、C6-C60アリールオキシ基は、-OA102(ここで、A102は、C6-C60アリール基である)を示し、C6-C60アリールチオ基は、-SA103(ここで、A103は、C6-C60アリール基である)を示す。
【0184】
本明細書において、一価非芳香族縮合多環基は、2以上の環がそれぞれ縮合されており、環形成原子として炭素のみを含み、分子全体が非芳香族性(non-aromaticity)を有する一価基(例えば、8~60の炭素数である)を意味する。一価非芳香族縮合多環基の具体例は、フルオレニル基などを含む。本明細書において、二価非芳香族縮合多環基は、一価非芳香族縮合多環基と同一構造を有する二価基を意味する。
【0185】
本明細書において、一価非芳香族ヘテロ縮合多環基は、2以上の環がそれぞれ縮合されており、環形成原子として、炭素以外に、N、O、P、Si、及びSのうちから選択されるヘテロ原子を含み、分子全体が非芳香族性を有する一価基(例えば、1~60の炭素数である)を意味する。一価非芳香族ヘテロ縮合多環基は、カルバゾリル基などを含む。本明細書において、二価非芳香族ヘテロ縮合多環基は、一価非芳香族ヘテロ縮合多環基と同一構造を有する二価基を意味する。
【0186】
本明細書において、C5-C30炭素環式基は、環形成原子として、5~30個の炭素のみを有する飽和又は不飽和の環式基を示す。C5-C30炭素環式基は、単環基又は多環基である。
【0187】
本明細書において、C1-C30ヘテロ環式基は、環形成原子として、1~30個の炭素以外に、N、O、P、Si、及びSのうちから選択されるヘテロ原子を少なくとも一つ有する飽和又は不飽和の環式基を示す。C1-C30ヘテロ環式基は、単環基又は多環基である。
【0188】
置換されたC5-C30炭素環式基、置換されたC2-C30ヘテロ環式基、置換されたC1-C60アルキル基、置換されたC2-C60アルケニル基、置換されたC2-C60アルキニル基、置換されたC1-C60アルコキシ基、置換されたC3-C10シクロアルキル基、置換されたC1-C10ヘテロシクロアルキル基、置換されたC3-C10シクロアルケニル基、置換されたC1-C10ヘテロシクロアルケニル基、置換されたC6-C60アリール基、置換されたC6-C60アリールオキシ基、置換されたC6-C60アリールチオ基、置換されたC1-C60ヘテロアリール基、置換された一価非芳香族縮合多環基、及び置換された一価非芳香族ヘテロ縮合多環基の置換基は、
重水素、-F、-Cl、-Br、-I、-CD3、-CD2H、-CDH2、-CF3、-CF2H、-CFH2、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボン酸基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、リン酸基又はその塩、C1-C60アルキル基、C2-C60アルケニル基、C2-C60アルキニル基、及びC1-C60アルコキシ基;
重水素、-F、-Cl、-Br、-I、-CD3、-CD2H、-CDH2、-CF3、-CF2H、-CFH2、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボン酸基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、リン酸基又はその塩、C3-C10シクロアルキル基、C1-C10ヘテロシクロアルキル基、C3-C10シクロアルケニル基、C1-C10ヘテロシクロアルケニル基、C6-C60アリール基、C6-C60アリールオキシ基、C6-C60アリールチオ基、C1-C60ヘテロアリール基、一価非芳香族縮合多環基、一価非芳香族ヘテロ縮合多環基、-N(Q11)(Q12)、-Si(Q13)(Q14)(Q15)、-Ge(Q13)(Q14)(Q15)、-B(Q16)(Q17)、-P(=O)(Q18)(Q19)、及び-P(Q18)(Q19)のうちの少なくとも一つで置換された、C1-C60アルキル基、C2-C60アルケニル基、C2-C60アルキニル基、及びC1-C60アルコキシ基;
C3-C10シクロアルキル基、C1-C10ヘテロシクロアルキル基、C3-C10シクロアルケニル基、C1-C10ヘテロシクロアルケニル基、C6-C60アリール基、C6-C60アリールオキシ基、C6-C60アリールチオ基、C1-C60ヘテロアリール基、一価非芳香族縮合多環基、及び一価非芳香族ヘテロ縮合多環基;
重水素、-F、-Cl、-Br、-I、-CD3、-CD2H、-CDH2、-CF3、-CF2H、-CFH2、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボン酸基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、リン酸基又はその塩、C1-C60アルキル基、C2-C60アルケニル基、C2-C60アルキニル基、C1-C60アルコキシ基、C3-C10シクロアルキル基、C1-C10ヘテロシクロアルキル基、C3-C10シクロアルケニル基、C1-C10ヘテロシクロアルケニル基、C6-C60アリール基、C6-C60アリールオキシ基、C6-C60アリールチオ基、C1-C60ヘテロアリール基、一価非芳香族縮合多環基、一価非芳香族ヘテロ縮合多環基、-N(Q21)(Q22)、-Si(Q23)(Q24)(Q25)、-Ge(Q23)(Q24)(Q25)、-B(Q26)(Q27)、-P(=O)(Q28)(Q29)、及び-P(Q28)(Q29)のうちの少なくとも一つで置換された、C3-C10シクロアルキル基、C1-C10ヘテロシクロアルキル基、C3-C10シクロアルケニル基、C1-C10ヘテロシクロアルケニル基、C6-C60アリール基、C6-C60アリールオキシ基、C6-C60アリールチオ基、C1-C60ヘテロアリール基、一価非芳香族縮合多環基、及び一価非芳香族ヘテロ縮合多環基;並びに
-N(Q31)(Q32)、-Si(Q33)(Q34)(Q35)、-Ge(Q33)(Q34)(Q35)、-B(Q36)(Q37)、-P(=O)(Q38)(Q39)、及び-P(Q38)(Q39);のうちから選択される。
【0189】
本明細書において、Q1ないしQ9、Q11ないしQ19、Q21ないしQ29、及びQ31ないしQ39は、それぞれ独立して、水素、重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボン酸基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、リン酸基又はその塩、C1-C60アルキル基、C2-C60アルケニル基、C2-C60アルキニル基、C1-C60アルコキシ基、C3-C10シクロアルキル基、C1-C10ヘテロシクロアルキル基、C3-C10シクロアルケニル基、C1-C10ヘテロシクロアルケニル基、C6-C60アリール基、C1-C60アルキル基とC6-C60アリール基とのうちの少なくとも一つで置換された、C6-C60アリール基、C6-C60アリールオキシ基、C6-C60アリールチオ基、C1-C60ヘテロアリール基、一価非芳香族縮合多環基、及び一価非芳香族ヘテロ縮合多環基のうちから選択される。
【0190】
以下、合成例及び実施例を挙げ、本発明の一具現例による化合物及び有機発光素子について更に具体的に説明するが、本発明は、下記の合成例及び実施例に限定されるものではない。下記合成例において、「『A』の代わりに『B』を使用した」という表現において、「B」の使用量と「A」の使用量とは、モル当量基準で同一である。
【0191】
〔実施例〕
【0192】
<合成例1(化合物2)>
【0193】
【0194】
<中間体2-Bの合成>
【0195】
出発物質2-A 4g(17.48mmol)をテトラヒドロフラン(THF)72mLと混合した後、0℃まで冷却させた後、THF溶液中の1M LiAlH4 29mLを滴加した。その後、反応物の温度を室温に上げ、一晩還流させた。そこから得られた反応物に水1mL追加し、50% NaOH(aq)2mLを追加した後、酢酸エチレン(EA)を入れて有機層を分離した。得られた有機層を乾燥させた後、カラムクロマトグラフィを遂行し、中間体2-B 3.0g(収率82%)を得た。
【0196】
<中間体2-Eの合成>
【0197】
中間体2-B 3g(19.04mmol)、中間体2-C 4.23g(28.55mmol)、RuCl2(PPh3)3 0.18g(0.190mmol)、及びKOH 1.92g(34.26mmol)を、トルエン53mLと混合し、120℃で一晩還流させた。そこから得られた結果物の温度を室温まで冷却させた後、水で洗浄し、カラムクロマトグラフィを遂行し、中間体2-E 4.4g(収率48%)を得た。得られた化合物は、LC-MS(liquid chromatography-mass spectrometry)分析を介して確認した。
LC-MS m/z=268.14(M+H)+
【0198】
<中間体2-Gの合成>
【0199】
中間体2-E 4.4g(16.43mmol)、中間体2-F 1.81g(18.08mmol)、Pd(OAc)2 0.37g(1.64mmol)、K2CO3 6.81g(49.30mmol)、及び2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2‘,6’-ジメトキシビフェニル(Sphos)2.70g(3.29mmol)を、ジオキサン154mL及びH2O 38mLと混合させ、90℃で一晩還流させた。そこから得られた結果物の温度を室温まで冷却させた後、水と塩化メチレンとで洗浄し、カラムクロマトグラフィを遂行し、中間体2-G 3.8g(収率80%)を得た。得られた化合物は、LC-MS分析を介して確認した。
LC-MS m/z=288.28(M+H)+
【0200】
<中間体2-Hの合成>
【0201】
中間体2-G 1.8g(6.26mmol)をメタノールと混合し、0.36gのパラジウム炭素(Pd on carbon)を入れた。そこから得られた反応物に対して、水素ガスを6hr以上バブリングした。反応終了後、MeOHを除去した後、H2Oと塩化メチレンとで洗浄し、カラムクロマトグラフィを遂行し、中間体2-H 0.8g(収率44%)を得た。得られた化合物は、LC-MS分析を介して確認した。
LC-MS m/z=290.20(M+H)+
【0202】
<中間体2-Iの合成>
【0203】
中間体2-H 0.74g(2.55mmol)に、IrCl3・4H2O 0.40g(1.13mmol)、2-エトキシエタノール14mL、及びH2O 4.5mLを追加し、120℃で一晩還流させた。そこから得られた結果物の温度を室温まで冷却させた後、フィルタとメタノールと洗浄して乾燥させ、中間体2-I 0.65gを得た。
【0204】
<化合物2の合成>
【0205】
中間体2-I 0.65g(0.40mmol)、2,2,6,6-テトラメチルヘプタン-3,5-ジオン0.74g(4.04mmol)、及びK2CO3 0.56g(4.04mmol)を2-エトキシエタノール22mLと混合し、室温で一晩撹拌した。そこから得られた結果物を、酢酸エチレンとH2Oとで洗浄した後、カラムクロマトグラフィを遂行し、化合物2 0.43g(収率57%)を得た。得られた化合物は、LC-MS分析を介して確認した。
LC-MS m/z=953.27(M+H)+
【0206】
<合成例2(化合物1)>
【0207】
【0208】
<中間体1-Cの合成>
【0209】
出発物質1-A 3.70g(18.67mmol)、出発物質1-B 2.94g(19.61mmol)、Pd(PPh3)4 1.08g(0.93mmol)、及びK2CO3 6.45g(46.68mmol)を、THF 60mL及びH2O 30mLと混合し、90℃で一晩還流させた。そこから得られた結果物の温度を室温まで冷却させた後、水と塩化メチレンとで洗浄し、カラムクロマトグラフィを遂行し、中間体1-C 4.00g(収率80%)を得た。得られた化合物は、LC-MS分析を介して確認した。
LC-MS m/z=268.12(M+H)+
【0210】
<中間体1-Eの合成>
【0211】
中間体1-C 4.00g(14.96mmol)、中間体1-D 1.79g(18.95mmol)、Pd(OAc)2 0.17g(0.75mmol)、K2CO3 5.17g(37.40mmol)、及びSphos 0.61g(1.50mmol)を、THF 50mLとH2O 25mLと混合し、90℃で一晩還流させた。そこから得られた結果物の温度を室温まで冷却させた後、水と塩化メチレンとで洗浄し、カラムクロマトグラフィを遂行し、中間体1-E 2.20g(収率51%)を得た。得られた化合物は、LC-MS分析を介して確認した。
LC-MS m/z=288.22(M+H)+
【0212】
<中間体1-Fの合成>
【0213】
中間体1-E 2.20g(7.60mmol)をメタノールと混合し、0.24gのPd on carbonを入れた。そこから得られた反応物に対して、水素ガスを6hr間以上バブリングした。反応終了後、MeOHを除去した後、H2Oと塩化メチレンとで洗浄し、カラムクロマトグラフィを遂行し、中間体1-F 1.55g(収率70%)を得た。得られた化合物は、LC-MS分析を介して確認した。
LC-MS m/z=290.22(M+H)+
【0214】
<中間体1-Gの合成>
【0215】
中間体1-F 1.58g(5.47mmol)に、IrCl3・4H2O 0.96g(2.73mmol)、2-エトキシエタノール10mL、及びH2O 3.5mLを追加し、120℃で一晩還流させた。そこから得られた結果物の温度を室温まで冷却させた後、フィルタとメタノールとで洗浄して乾燥させ、中間体1-G 1.35gを得た。
【0216】
<化合物1の合成>
【0217】
中間体1-G 1.35g(0.86mmol)、ペンタン-2,4-ジオン0.89g(8.64mmol)、及びNa2CO3 0.91g(8.64mmol)を2-エトキシエタノール17mLと混合し、一晩還流させた。そこから得られた結果物を、酢酸エチレンとH2Oとで洗浄した後、カラムクロマトグラフィを遂行し、化合物1 0.50g(収率33%)を得た。得られた化合物は、LC-MS分析を介して確認した。
LC-MS m/z=869.36(M+H)+
【0218】
<合成例3(化合物5)>
【0219】
【0220】
<中間体5-Bの合成>
【0221】
出発物質2-Aの代わりに、出発物質5-A 4.00g(18.52mmol)を使用したという点を除いては、上記合成例1の中間体2-Bの合成方法と同一方法を利用し、中間体5-B 3.33g(収率89%)を得た。
【0222】
<中間体5-Eの合成>
【0223】
中間体2-Bの代わりに、中間体5-B 3.33g(16.48mmol)を使用し、中間体2-Cの代わりに、中間体5-C 3.66g(24.72mmol)を使用したという点を除いては、上記合成例1の中間体2-Eの合成方法と同一方法を利用し、中間体5-E 3.09g(収率60%)を得た。
【0224】
<中間体5-Gの合成>
【0225】
中間体2-Eの代わりに、中間体5-E 3.00g(9.61mmol)を使用し、中間体2-Fの代わりに、中間体5-F 1.06g(10.57mmol)を使用したという点を除いては、上記合成例1の中間体2-Gの合成方法と同一方法を利用し、中間体5-G 2.26g(収率82%)を得た。得られた化合物は、LC-MS分析を介して確認した。
LC-MS m/z=288.28(M+H)+
【0226】
<中間体5-Hの合成>
【0227】
中間体2-Gの代わりに、中間体5-G 2.2g(7.65mmol)を使用したという点を除いては、上記合成例1の中間体2-Hの合成方法と同一方法を利用し、中間体5-H1.22g(収率55%)を得た。得られた化合物は、LC-MS分析を介して確認した。
LC-MS m/z=290.20(M+H)+
【0228】
<中間体5-Iの合成>
【0229】
中間体2-Hの代わりに、中間体5-H 1.22g(4.22mmol)を使用したという点を除いては、上記合成例1の中間体2-Iの合成方法と同一方法を利用し、中間体5-I 1.00gを得た。
【0230】
<化合物5の合成>
【0231】
中間体2-Iの代わりに、中間体5-I 1.00g(0.97mmol)を使用し、2,2,6,6-テトラメチルヘプタン-3,5-ジオンの代わりに、ペンタン-2,4-ジオンを使用したという点を除いては、上記合成例1の合成方法と同一方法を利用し、化合物5 0.72g(収率55%)を得た。得られた化合物は、LC-MS分析を介して確認した。
LC-MS m/z=869.40(M+H)+
【0232】
<合成例4(化合物12)>
【0233】
【0234】
2,2,6,6-テトラメチルヘプタン-3,5-ジオンの代わりに、3,7-ジエチル-3,7-ジメチルノナン-4、6-ジオンを使用したという点を除いては、上記合成例1の化合物2の合成方法と同一方法を利用し、化合物12(1.10g、収率65%)を合成した。
LC-MS m/z=1008.61(M+H)+
【0235】
<実施例1>
【0236】
アノードとして、ITO/Ag/ITOが70/1,000/70Å厚に蒸着されたガラス基板を50mm×50mm×0.5mmサイズに切り、イソプロピルアルコールと純水とを使用してそれぞれ5分間超音波洗浄した後、30分間紫外線を照射してオゾンに露出させて洗浄し、真空蒸着装置に設けた。
【0237】
アノード上に2-TNATAを真空蒸着して600Å厚の正孔注入層を形成し、正孔注入層上に4、4’-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(NPB)を真空蒸着して1,350Å厚の正孔輸送層を形成した。
【0238】
次に、正孔輸送層上にCBP(ホスト)及び化合物2(ドーパント)を98:2の重量比で共蒸着して400Å厚の発光層を形成した。
【0239】
その後、発光層上にBCPを真空蒸着して50Å厚の正孔阻止層を形成した後、正孔阻止層上にAlq3を真空蒸着して350Å厚の電子輸送層を形成した後、電子輸送層上にLiFを真空蒸着して10Å厚の電子注入層を形成し、電子注入層上にMg及びAgを90:10の重量比で共蒸着して120Å厚のカソードを形成することにより、有機発光素子(赤色光放出)を作製した。
【0240】
【0241】
<実施例2~4、及び比較例A~F>
【0242】
発光層の形成時、ドーパントとして、化合物2の代わりに、表1に記載した化合物をそれぞれ使用したという点を除いては、実施例1と同一方法を利用して有機発光素子を作製した。
【0243】
<評価例1:有機発光素子の特性評価>
【0244】
実施例1~4、及び比較例A~Fで製造されたそれぞれの有機発光素子に対して、駆動電圧、電流密度、最大外部量子発光効率(Max EQE)、ロールオフ比、ELスペクトルにおける発光ピークの半値幅、最大発光波長、及び寿命(LT97)を評価し、その結果を表1に示した。評価装置として、電流・電圧計(Keithley 2400)及び輝度計(Minolta Cs-1000A)を使用し、寿命(LT97)(at 3,500nit)は、初期輝度100%対比で97%輝度になるのにかかる時間を評価した。ロールオフ比は、下記数式20によって計算した。
【0245】
〔数20〕
roll-off ratio={1-(効率(at 3,500nit)/最大発光効率)}×100%
【0246】
【0247】
【0248】
上記化合物Aにおいて、n-Hexは、n-ヘキシル基を意味する。
【0249】
上記表1から、実施例1~4の有機発光素子は、比較例A~Fの有機発光素子に比べて、向上した駆動電圧、電流密度、外部量子発光効率、ロールオフ比、及び寿命特性を有することが確認される。
【0250】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0251】
本発明の、有機金属化合物、それを含む有機発光素子、及びそれを含む診断用組成物は、例えば診断関連の技術分野に効果的に適用可能である。
【符号の説明】
【0252】
10 有機発光素子
11 第1電極
15 有機層
19 第2電極