(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-07
(45)【発行日】2024-03-15
(54)【発明の名称】内燃エンジンの排ガスを後処理する方法及び内燃エンジン
(51)【国際特許分類】
F01N 3/10 20060101AFI20240308BHJP
F01N 3/08 20060101ALI20240308BHJP
B01J 23/10 20060101ALI20240308BHJP
B01J 23/28 20060101ALI20240308BHJP
B01J 23/835 20060101ALI20240308BHJP
B01J 23/83 20060101ALI20240308BHJP
B01J 23/889 20060101ALI20240308BHJP
B01J 23/63 20060101ALI20240308BHJP
B01J 29/70 20060101ALI20240308BHJP
B01J 23/755 20060101ALI20240308BHJP
B01D 53/94 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
F01N3/10 A
F01N3/08 B
B01J23/10 A
B01J23/28 A
B01J23/835 A
B01J23/83 A
B01J23/889 A
B01J23/63 A
B01J29/70 A
B01J23/755 A
B01D53/94 280
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019204914
(22)【出願日】2019-11-12
【審査請求日】2022-05-13
(31)【優先権主張番号】10 2018 128 152.8
(32)【優先日】2018-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510153962
【氏名又は名称】マン・エナジー・ソリューションズ・エスイー
【氏名又は名称原語表記】MAN ENERGY SOLUTIONS SE
【住所又は居所原語表記】Stadtbachstr.1 86153 Augsburg,GERMANY
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス・デーリング
【審査官】増岡 亘
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-505985(JP,A)
【文献】特表2018-507104(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0055138(US,A1)
【文献】Jie CHENG et al.,“Catalytic combustion of methane over cobalt doped lanthanum stannate pyrochlore oxide”,Catalysis Communications,2008年03月,Vol. 9, No. 5,p.690-695,DOI: 10.1016/J.CATCOM.2007.08.005
【文献】Tae Hwan LIM et al.,“Effect of Co/Ni ratios in cobalt nickel mixed oxide catalysts on methane combustion”,Applied Catalysis A: General,2015年09月,Vol. 505,p.62-69,DOI: 10.1016/J.APCATA.2015.07.040
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/10
F01N 3/08
B01J 23/10
B01J 23/28
B01J 23/835
B01J 23/83
B01J 23/889
B01J 23/63
B01J 29/70
B01J 23/755
B01D 53/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス燃料を燃焼させる内燃エンジン(1)の、すなわちガス燃料運転モードで運転されるガスエンジン又は二元燃料エンジンの、排ガスを後処理するための方法であって、
前記排ガスが、CH
4酸化のために、したがって触媒活性化合物として、パイロクロアと、ベータ多形A型(BEA)ゼオライトと、コバルト-ニッケル化合物と、の少なくとも1つを含むCH
4酸化触媒コンバーター(7)を介して運ばれ、
前記CH
4酸化触媒コンバーターを介して運ばれる
、前記CH
4
酸化触媒コンバーターの上流の前記排ガスが、窒素酸化物の合計比率に対して少なくとも15%のNO
2比率を有
し、
前記パイロクロア及び前記ベータ多形A型(BEA)ゼオライトの少なくとも1つの元素が、希土類元素と、鉄と、コバルトと、ニッケルと、銅の少なくとも1つの金属で置換されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記CH
4酸化触媒コンバーター(7)を介して運ばれる、
前記CH
4酸化触媒コンバーター(7)の上流の
前記排ガスが、窒素酸化物の合計比率に対して少なくとも30%のNO
2比率を有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
CH
4酸化のための
前記CH
4酸化触媒コンバーター(7)が、パイロクロアを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記パイロクロアが、以下の群:
Sm
2Zr
2O
7、Sm
2Mo
2O
7、La
2Ti
2O
7、La
2Co
xSn
2-xO
7-δ、La
2Co
xZr
2-xO
7-δ、Mn
2Co
xZr
2-xO
7-δ、Pr
2Ru
2O
7、ZrTiGd
2O
7、Pr
2Co
2O
7、及びPr
2Co
xZr
2-xO
7-δ(式中、0≦δ≦2)
から選択される少なくとも1種のパイロクロアを含むことを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
CH
4酸化のための
前記酸化触媒コンバーター(7)が、コバルト-ニッケル化合物CO
xNi
y
(式中、1≦x≦10、
式中、
0<y≦9、)
を、その酸化形態で含むことを特徴とする、請求項1から
4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
x+y≦10であることを特徴とする、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
前記排ガスのNO
2比率が、ガス燃料を燃焼させる
前記内燃エンジン(1)の、少なくとも1つの燃焼パラメーターによって調節されること、及び
前記CH
4酸化触媒コンバーター(7)の上流の
前記排ガスのNO
2比率が、NO酸化触媒コンバーター(8)を介して調節されること
の少なくとも1つが実施されることを特徴とする、請求項1から
6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記CH
4酸化触媒コンバーター(7)の下流の
前記排ガスが、SCR触媒コンバーター(9)を介して運ばれ、
前記CH
4酸化触媒コンバーター(7)の下流で、且つ
前記SCR触媒コンバーター(9)の上流で、
前記排ガスにNH
3又はNH
3前駆物質が導入されることを特徴とする、請求項1から
7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ガス燃料が燃焼性であるシリンダー(3)を備え、
排ガスを運ぶことができるCH
4酸化触媒コンバーター(7)であって、CH
4酸化のために、
したがって触媒活性化合物として、パイロクロアと、ベータ多形A型(BEA)ゼオライトと、
コバルト-ニッケル化合物との少なくとも1つを含むCH
4酸化触媒コンバーター(7)を備える内燃エンジン(1)であって、
内燃エンジンと、
前記CH
4酸化触媒コンバーター(7)の上流のNO酸化触媒コンバーター(8)と、の少なくとも1つが、
前記CH
4酸化触媒コンバーター(7)を介して運ばれる
、前記CH
4
酸化触媒コンバーター(7)の上流の前記排ガスにおけるNO
2比率を、窒素酸化物の合計比率に対して少なくとも15%に調節
し、
前記パイロクロア及び前記ベータ多形A型(BEA)ゼオライトの少なくとも1つの元素が、希土類元素と、鉄と、コバルトと、ニッケルと、銅と、の少なくとも1つの金属で置換されることを特徴とする、
内燃エンジン。
【請求項10】
CH
4酸化のための
前記CH
4酸化触媒コンバーター(7)が、パイロクロアを含み、
前記パイロクロアが、特に以下の群:
Sm
2Zr
2O
7、Sm
2Mo
2O
7、La
2Ti
2O
7、La
2Co
xSn
2-xO
7-δ、La
2Co
xZr
2-xO
7-δ、Mn
2Co
xZr
2-xO
7-δ、Pr
2Ru
2O
7、ZrTiGd
2O
7、Pr
2Co
2O
7、及びPr
2Co
xZr
2-xO
7-δ(式中、0≦δ≦2)
から選択される少なくとも1種のパイロクロアを含むことを特徴とする、請求項
9に記載の内燃エンジン。
【請求項11】
CH
4酸化のための
前記CH
4酸化触媒コンバーター(7)が、コバルト-ニッケル化合物Co
xNi
y
(式中、1≦x≦10、
式中、
0<y≦9、
式中、x+y≦10)
を、その酸化形態で含むことを特徴とする、請求項
9又は
10に記載の内燃エンジン。
【請求項12】
前記CH
4酸化触媒コンバーター(7)の下流に配置されるSCR触媒コンバーター(9)と、
前記CH
4酸化触媒コンバーター(7)の下流に、且つ
前記SCR触媒コンバーター(9)の上流に配置される、
前記排ガスにNH
3又はNH
3前駆物質を導入するための導入装置(10)と、を特徴とする、請求項
9から
11のいずれか一項に記載の内燃エンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス燃料を燃焼させる内燃エンジン、すなわち、ガス燃料運転モードで運転されるガスエンジン又は二元燃料エンジンの排ガスを後処理する方法に関連する。更に、本発明は、内燃エンジン、すなわち、ガスエンジン又は二元燃料エンジンに関連する。
【背景技術】
【0002】
ガス燃料運転モードの、ガスエンジン及び二元燃料エンジンにおいて、例えば、天然ガス等のガス燃料を燃焼させる。こうしたガス燃料を燃焼させる内燃エンジンでは、望ましくないCH4(メタン)の排出が、ガス燃料の不完全燃焼のために生じることがある。メタンは、強力な温室効果ガスを示すので、環境へのCH4排出は、ガス燃料を燃焼させる内燃エンジンで、可能な限り低く保たねばならない。
【0003】
CH4酸化触媒コンバーターでCH4を置き換えるために、ガス燃料を燃焼させる内燃エンジンのシリンダーから出る排ガスを、CH4酸化触媒コンバーターを介して運ぶことが、慣行から既に知られている。慣行から知られている内燃エンジンにおいて、CH4酸化触媒コンバーターで、特に白金及び/又はパラジウムが、CH4酸化のために、したがって白金族の金属を含む触媒活性化合物として用いられる。典型的には、CH4酸化触媒コンバーターへの、白金族の金属の投入は、典型的には、慣行から知られている内燃エンジンのCH4酸化触媒コンバーターの容積1リットル当たり、白金及び/又はパラジウム7グラムよりも多い量になる。
【0004】
これにより、高い費用がかかる。更に、CH4酸化触媒コンバーターの領域に入ることができる硫黄酸化物が、白金金属族の触媒活性化合物を不活性化することがあるので、慣行から知られているこうしたCH4酸化触媒コンバーターの運転時間は、比較的短い。この理由で、CH4排出削減の実現性は、慣行から知られている内燃エンジンでは制限される。
【0005】
独国特許出願第102015001495号より、ガス燃料を燃焼させる内燃エンジンを運転する方法が知られている。排ガスは、CH4酸化触媒コンバーターの上流で、排ガスの全窒素酸化物中のNO2比率が、少なくとも15%の量になるように、排ガスのNO2比率を調節するCH4酸化触媒コンバーターを介して運ばれる。
【0006】
独国特許出願第102015001495号のCH4酸化触媒コンバーターは、CH4酸化のために、活性成分として、各構造MOR、FER、PER、NFI、LTL、LAU、CHI、又はCHKのゼオライトマトリックスに優先的に組み込まれた、Cer及び/又はコバルト及び/又は銅及び/又は鉄を優先的に含む。
【0007】
ガス燃料で運転される内燃エンジンのCH4排出を削減するために、排ガスのCH4の分解を更に改善する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、ガス燃料を燃焼させる内燃エンジンの排ガスを後処理する新規の方法、及び対応する内燃エンジンを作り出すという目的に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、請求項1に記載の方法によって解決される。
【0011】
本発明によれば、排ガスは、CH4酸化のために、したがって触媒活性化合物で、パイロクロア及び/又はベータ多形A型(BEA)ゼオライト及び/又はコバルト-ニッケル酸化物を含むCH4酸化触媒コンバーターを介して運ばれる。
【0012】
本発明によれば、CH4酸化触媒コンバーターを介して運ばれる排ガスは、窒素酸化物の合計比率に対して少なくとも15%のNO2比率を有する。
【0013】
ここで示された発明で、ガス燃料を燃焼させる内燃エンジンの排ガスは、CH4排出削減のために、定められたNO2比率で、CH4酸化のために、したがって触媒活性化合物として、パイロクロア及び/又はBEAゼオライト及び/又はコバルト-ニッケル酸化物を含むCH4酸化触媒コンバーターを介して運ばれる。ここで、本発明は、こうしたCH4酸化触媒コンバーターで、すなわち、特に、CH4酸化触媒コンバーターを介して運ばれる排ガスの、すなわち、CH4酸化触媒コンバーターの上流のNO2比率が、窒素酸化物の合計比率に対して少なくとも15%の量になるとき、CH4が、上記触媒活性化合物の少なくとも1種を用いて、最適に分解され得ることの実現に基づく。
【0014】
有利なさらなる発展形態によれば、CH4酸化触媒コンバーターは、したがってCH4酸化のために、触媒活性化合物としてパイロクロアを含む。優先的には、パイロクロアは、以下の群:Sm2Zr2O7、Sm2Mo2O7、La2Ti2O7、La2CoxSn2-xO7-δ、La2CoxZr2-xO7-δ、Mn2CoxZr2-xO7-δ、Pr2Ru2O7、ZrTiGd2O7、Pr2Co2O7、及びPr2CoxZr2-xO7-δ(式中、0≦δ≦2)から選択される少なくとも1種のパイロクロアを含む。CH4酸化触媒コンバーターの上流で、規定の通りに調節される、排ガスのNO2比率と組み合わせた、こうしたCH4酸化触媒コンバーターは、CH4の最適な分解をもたらす。
【0015】
有利なさらなる発展形態によれば、パイロクロア及び/又はベータ多形A型(BEA)ゼオライトの元素は、希土類元素及び/又は鉄及び/又はコバルト及び/又はニッケル及び/又は銅の金属で置換される。これはまた、CH4酸化触媒コンバーターでの、CH4の最適な分解にも役立つ。
【0016】
有利なさらなる発展形態によれば、CH4酸化触媒コンバーターは、好ましくは、CH4酸化のための酸化物として、したがって触媒活性化合物として、コバルト-ニッケル化合物CoxNiy(式中、1≦x≦10、好ましくは1≦x≦4、式中、0≦y≦9、好ましくは1≦y≦4、式中、優先的にはx+y≦10、好ましくはx+y≦8、特に好ましくはx+y≦6)を含む。CH4酸化触媒コンバーターに触媒活性化合物としてこうしたコバルト-ニッケル酸化物を用いて、すなわち特に、CH4酸化触媒コンバーターの上流の排ガスのNO2比率が、窒素酸化物の合計比率に対して少なくとも15%の量になるとき、やはりCH4を最適に分解することができる。
【0017】
有利なさらなる発展形態によれば、排ガスのNO2比率は、ガス燃料を燃焼させる内燃エンジンの、少なくとも1つの燃焼パラメーターによって、及び/又はCH4酸化触媒コンバーターの上流の、NO酸化触媒コンバーターを介して調節される。これによって、排ガスのNO2比率は、CH4酸化触媒コンバーターの上流で、特に有利に調節することができる。
【0018】
有利なさらなる発展形態によれば、CH4酸化触媒コンバーターの上流の排ガスは、SCR触媒コンバーターを介して運ばれ、CH4酸化触媒コンバーターの下流で、且つSCR触媒コンバーターの上流で、排ガスにNH3又はNH3前駆物質が導入される。SCR触媒コンバーターによって、引き続いて、CH4酸化触媒コンバーターを介して既に運ばれた排ガスにおいて、窒素酸化物比率を減らすことができる。
【0019】
本発明の内燃エンジンは、請求項10に定められる。
【0020】
本発明の好ましいさらなる発展形態は、従属請求項及び以下の記述から得られる。本発明の例示的な実施形態は、図面によってより詳細に説明されるが、これに制限されるわけではない。以下に、図面の簡単な説明を示す。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】内燃エンジンの排ガスを後処理する、本発明の方法を説明するための、本発明の内燃エンジンを高度に図式化した図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、ガス燃料を燃焼させる内燃エンジンに関連する。更に、本発明は、ガス燃料を燃焼させる内燃エンジンの排ガスを後処理する方法に関連する。
【0023】
図1は、本発明の内燃エンジン1の、高度に図式化された図を示す。内燃エンジン1は、シリンダー3を具備した、少なくとも1個のシリンダーブロック2を備える。内燃エンジン1のシリンダー3において、ガス燃料、例えば天然ガス等を燃焼させる。内燃エンジン1は、ガス燃料運転モード運転される、ガスエンジン又は二元燃料エンジンのいずれかである。
【0024】
図1は、ガス燃料、特に、装填空気及びガスの混合物が、内燃エンジンのシリンダー3に供給される供給4と共に視覚化する。排出5は、燃焼中に生じた排ガスが、シリンダー3から廃棄され、内燃エンジン1の排ガス後処理システム6を介して運ばれることを視覚化する。
【0025】
排ガス後処理システム6は、CH4酸化触媒コンバーター7を備える。CH4酸化触媒コンバーターは、CH4酸化のために、したがって触媒活性化合物として、パイロクロア及び/又はベータ多形A型(BEA)ゼオライト及び/又はコバルト-ニッケル酸化物を含む。
【0026】
CH4酸化触媒コンバーター7を介して運ばれる排ガスは、排ガスの窒素酸化物の合計比率に対して少なくとも15%の、好ましくは少なくとも30%の、特に好ましくは少なくとも50%のNO2比率を含む。
【0027】
示された例示的な実施形態において、排ガス後処理システム6は、内燃エンジン1のシリンダー3から出る排ガスを、NO酸化触媒コンバーター8を介して初めに運ぶために、CH4酸化触媒コンバーター7の上流にNO酸化触媒コンバーター8を備え、NO酸化触媒コンバーター8を用いて、排ガスのNO2比率を、排ガスの窒素酸化物の合計比率に対して少なくとも15%、好ましくは少なくとも30%、特に好ましくは少なくとも50%に調節する。
【0028】
NO酸化触媒コンバーター8に対して代替的に又は追加的に、排ガスのNO2比率を、ガス燃料を燃焼させる内燃エンジン1の、1つの燃焼パラメーターによって調節することもできる。
【0029】
本発明の、有利なさらなる発展形態によれば、CH4酸化触媒コンバーターは、CH4酸化のために、少なくともパイロクロアを含む。
【0030】
ここで、パイロクロアは、以下の群:
Sm2Zr2O7、
Sm2Mo2O7、
La2Ti2O7、
La2CoxSn2-xO7-δ、
La2CoxZr2-xO7-δ、
Mn2CoxZr2-xO7-δ、
Pr2Ru2O7、
ZrTiGd2O7、
Pr2Co2O7、及び
Pr2CoxZr2-xO7-δ
(式中、0≦δ≦2)
から選択される少なくとも1種のパイロクロアを含む。
【0031】
本発明の、有利なさらなる発展形態によれば、CH4酸化触媒コンバーターは、パイロクロアに追加して、又は代替的に、ベータ多形A型(BEA)ゼオライトを含む。
【0032】
特に、CH4酸化触媒コンバーターが、CH4酸化のために、したがって触媒活性化合物として、パイロクロア及び/又はBEAゼオライトを含むとき、パイロクロア及び/又はBEAゼオライトの元素は、優先的には、希土類元素の金属で、及び/又は鉄で、及び/又はコバルトで、及び/又はニッケルで、及び/又は銅で置換される。更に、パイロクロア及び/又はBEAゼオライトは、Rh、Ru、Ir、Os、Bi、Zn、Gdで富化されることがあり、その点でこれらの元素は、パイロクロア及び/又はBEAゼオライトで用いられる。
【0033】
更に、アルカリ金属及びアルカリ土類金属を加えることによって、CH4酸化触媒コンバーター7の熱安定性を増すことができる。したがって、パイロクロア及び/又はBEAゼオライトに加えて、CH4酸化触媒コンバーター7は、アルカリ金属及びアルカリ土類金属も含むことができる。
【0034】
本発明の、更に有利なさらなる発展形態によれば、CH4酸化触媒コンバーター7は、CH4酸化のために、したがって触媒活性化合物として、コバルト-ニッケル化合物CoxNiyを含み、但し、酸化形態が有利であることが明らかになった。
【0035】
以下は、コバルト-ニッケル化合物CoxNiyに適用される:
1≦x≦10、好ましくは1≦x≦4、
0≦y≦9、好ましくは1≦y≦4、
x+y≦10、好ましくはx+y≦8、特に好ましくはx+y≦6。
【0036】
コバルト-ニッケル化合物CoxNiy、特にその酸化物は、パイロクロア及び/又はベータ多形A型(BEA)ゼオライトに対して、代替的に又は追加的に含まれ得る。
【0037】
前述された触媒活性成分用の基質として、Al2O3、TiO2、SiO2、及びWo3は、単独であっても、組み合わされていてもよい。
【0038】
例示的な実施形態において、SCR触媒コンバーター9は、CH4酸化触媒コンバーターの下流に配置され、CH4酸化触媒コンバーター7から出る排ガスがCH4酸化触媒コンバーターを介して運ばれて、排ガスの窒素酸化物比率を減らす。そこで、SCR触媒コンバーター9の領域で排ガスの窒素酸化物を効率的に取り除くか、又は減らすために、排ガスにNH3又はNH3前駆物質を導入するための導入装置10が、排ガスの流れ方向に見られるように、CH4酸化触媒コンバーター7の下流及びSCR触媒コンバーター9の上流に配置される。
【0039】
ここに示された発明で、すなわちCH4酸化触媒コンバーターの領域で、白金金属族の金属、例えば、白金及び/又はパラジウム等を用いることを必要とせず、ガス燃料を燃焼させる内燃エンジンの排ガスのCH4の効率的な分解が可能である。
【0040】
CH4の分解に用いられる触媒活性成分の、白金及びパラジウムの比率は、それぞれの場合で、5%よりも小さく、好ましくは3%よりも小さく、最も好ましくは1%よりも小さい。有利なさらなる発展形態によれば、CH4分解に用いられる活性成分の、白金及びパラジウムの合計の比率は、5%よりも小さく、有利なことには3%よりも小さく、最も有利なことには1%よりも小さい。
【符号の説明】
【0041】
参照番号の一覧
1 内部燃焼エンジン
2 シリンダーブロック
3 シリンダー
4 供給
5 廃棄
6 排ガス後処理システム
7 CH4酸化触媒コンバーター
8 NO酸化触媒コンバーター
9 SCR触媒コンバーター
10 導入装置