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特許7450379医療情報装置、医療情報システム、及び医療情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-07
(45)【発行日】2024-03-15
(54)【発明の名称】医療情報装置、医療情報システム、及び医療情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 15/00 20180101AFI20240308BHJP
   G06F 3/0481 20220101ALI20240308BHJP
【FI】
G16H15/00
G06F3/0481
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019224994
(22)【出願日】2019-12-13
(65)【公開番号】P2020115326
(43)【公開日】2020-07-30
【審査請求日】2022-11-29
(31)【優先権主張番号】16/236,204
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518032971
【氏名又は名称】コニカ ミノルタ ヘルスケア アメリカズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】窪田 寛之
【審査官】今井 悠太
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-053632(JP,A)
【文献】特開2009-078050(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0184206(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
G06F 3/0481
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1一時領域と、第2一時領域と、第3一時領域とを含む記憶部と、
プロセッサーと、を備え
プロセッサーは、
クライアント装置に前記第1一時領域と関連付けられる第1入力範囲と前記第2一時領域と関連付けられる第2入力範囲とを有する第1医療レポートテンプレートを表示させ、
表示された前記第1医療レポートテンプレート上で、前記第1入力範囲に入力された第1内容を受け付けて、前記第2入力範囲に入力された第2内容を受け付け、
前記第1内容を前記第1一時領域に記憶し、前記第2内容を前記第2一時領域に記憶し、
前記クライアント装置に前記第1医療レポートテンプレートの表示から前記第1一時領域に関連付けられた第3入力範囲と前記第3一時領域に関連付けられた第4入力範囲とを有する第2医療レポートテンプレートの表示へ切り替えさせ、
前記第2医療レポートテンプレートが表示された際に、前記第2医療レポートテンプレートの第3入力範囲に関連付けられた前記第1一時領域が前記1内容を含むか確認し、
前記第1一時領域が前記第1内容を含む場合、前記第1内容を前記第1一時領域から読み出し、前記第3入力範囲に表示する、
医療情報装置。
【請求項2】
前記プロセッサーは、
前記第2医療レポートテンプレートが表示された場合、前記第2一時領域が前記第2医療レポートテンプレートのいずれの入力範囲と関連付けられていないかを確認し、
前記第2一時領域が前記第2医療レポートテンプレートのいずれの入力範囲と関連付けられていないと確認した場合、前記第2一時領域に含まれる前記第2内容が削除される、
請求項1に記載の医療情報装置。
【請求項3】
前記プロセッサーは、
前記第2医療レポートテンプレートが表示された場合、前記第2医療レポートテンプレートの前記第4入力範囲と関連付けられている前記第3一時領域が第3内容を含むかを確認し、
前記第3一時領域が前記第3内容を含む場合、前記第3一時領域から前記第3内容を読み出して、前記第4入力範囲に表示する、
請求項1に記載の医療情報装置。
【請求項4】
前記プロセッサーは、
前記クライアント装置に前記第2医療レポートテンプレートの表示から、前記第2一時領域と関連付けられる第5入力範囲と、前記第3一時領域と関連付けられる第6入力範囲とを有する第3医療レポートテンプレートの表示へ切り替え、
前記第2一時領域が前記第2内容を含む場合、前記第2内容を前記第2一時領域から読み出して前記第5入力範囲に表示し、
前記第3一時領域が第3内容を含む場合、前記第3一時領域から前記第3内容を読み出して前記第6入力範囲に表示する、
請求項1に記載の医療情報装置。
【請求項5】
前記第1一時領域、前記第2一時領域、及び前記第3一時領域に含まれるそれぞれの内容はいったん医療レポートが発行されると削除される、
請求項1に記載の医療情報装置。
【請求項6】
前記記憶部は、第1参照領域、第2参照領域、及び第3参照領域を有し、
前記第1参照領域、前記第2参照領域、及び前記第3参照領域のそれぞれが、
医療コードシステム数値と、
前記医療コードシステム数値により識別される医療コードシステムにおいて定義される医療コード数値と、
前記医療コード数値をテキスト形式で説明する医療コード説明と、を有し、
前記第1参照領域、前記第2参照領域、及び前記第3参照領域は、それぞれ前記第1一時領域、前記第2一時領域、及び前記第3一時領域に関連付けられる、
請求項1に記載の医療情報装置。
【請求項7】
前記プロセッサーは、入力が完了したとの指示を受け取った場合、前記プロセッサーは医療レポートファイルを作成し、
医療レポートにおける前記第1内容、前記第2内容、及び第3内容のそれぞれが、
前記医療コードシステム数値と、
前記医療コード数値と、
前記医療コード説明と、を含む、
請求項6に記載の医療情報装置。
【請求項8】
少なくとも一つの前記第1内容、前記第2内容、及び第3内容は、医療画像サーバーに記憶される医療画像へのリンクとして記憶される前記医療画像である、請求項1に記載の医療情報装置。
【請求項9】
請求項1に記載の医療情報装置と、
前記医療情報装置から受信した情報に基づいて表示を行うクライアント装置と、
を備える医療情報システム。
【請求項10】
プロセッサーが、記憶部の第1一時領域と関連付けられる第1入力範囲と前記記憶部の第2一時領域と関連付けられる第2入力範囲とを有する第1医療レポートテンプレートを表示するステップと
プロセッサーが、表示された前記第1医療レポートテンプレート上で、前記第1入力範囲に入力された第1内容を受け付けて、前記第2入力範囲に入力された第2内容を受け付けるステップと
プロセッサーが、前記第1内容を前記第1一時領域に記憶させ、前記第2内容を前記第2一時領域に記憶させるステップと
プロセッサーが、クライアント装置に前記第1医療レポートテンプレートの表示から前記第1一時領域に関連付けられた第3入力範囲と記憶部の第3一時領域に関連付けられた第4入力範囲とを有する第2医療レポートテンプレートの表示へ切り替えるステップと
プロセッサーが、前記第2医療レポートテンプレートが表示された際に、前記第2医療レポートテンプレートの第3入力範囲に関連付けられた前記第1一時領域が前記1内容を含むか確認するステップと
プロセッサーが、前記第1一時領域が前記第1内容を含む場合、前記第1内容を前記第1一時領域から読み出し、前記第3入力範囲に表示するステップと
を含む医療情報の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
医療画像及びその他の医療データを含む電子医療記録は患者の診断において重要な役割を担う。医療施設(例えば病院等)では、医療記録を電子的に記憶することの利点が理解されるようになった。医療画像及びその他のデータを電子化することによって、ユーザーが容易に医療画像や医療データにアクセスできるようになるだけでなく、これらの画像及びデータが複数の医療施設において容易に共用できるようになる。
【0002】
医療業界において、医療画像及びレポートを利便性が高くなるように記録し、アクセスできるようにするため、PACS(PictureArchivingandCommunicationsSystem、医療用画像システム)として知られるシステムを用いることが人気となりつつある。一般に、PACSは協働して動作する複数の装置によって構成され、CT、MRI、PET、超音波、X線などの様々な撮影モダリティーによって生成される医療画像を電子的に、撮影、記録、管理、配布及び表示する。PACSを用いることによって、内外で撮影又は作成されたあらゆる種類の画像及びレポートを様々な医療施設にわたって共用することができる。
【0003】
通常、これらの医療画像にもとづく医療レポートはコンピューターに記憶される複数の医療レポートテンプレートから選択された医療レポートテンプレートを用いて作成される。医療レポートを作成する際、医療レポート作成者は最初に選択した医療レポートテンプレートの表示から別の医療レポートテンプレートの表示に切り替えることがある。これは病気の他の原因の可能性に気付いた場合や、医療画像に対する見解を変えた場合等に起こる。医療レポートテンプレートを切り替える場合、ユーザーは新しい医療レポートテンプレートに基づいて始めから医療レポートを作成する必要がある。このように再び最初からレポートを作成する処理は負担となり、また、ユーザーが誤った処理を行う可能性が高まり、これにより、直前の医療レポートテンプレートに基づいて作成されたレポートに記載された重要な情報が失われうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一以上の実施形態によれば、ユーザーがより適切な医療レポートを作成することを補助する、医療情報装置、医療情報システム及び医療情報処理方法が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一以上の実施形態によれば、医療情報装置は、第1一時領域と、第2一時領域と、第3一時領域とを含む記憶部と、プロセッサーと、を備えプロセッサーは、クライアント装置に前記第1一時領域と関連付けられる第1入力範囲と前記第2一時領域と関連付けられる第2入力範囲とを有する第1医療レポートテンプレートを表示させ、表示された前記第1医療レポートテンプレート上で、前記第1入力範囲に入力された第1内容を受け付けて、前記第2入力範囲に入力された第2内容を受け付け、前記第1内容を前記第1一時領域に記憶し、前記第2内容を前記第2一時領域に記憶し、前記クライアント装置に前記第1医療レポートテンプレートの表示から前記第1一時領域に関連付けられた第3入力範囲と前記第3一時領域に関連付けられた第4入力範囲とを有する第2医療レポートテンプレートの表示へ切り替えさせ、前記第2医療レポートテンプレートが表示された際に、前記第2医療レポートテンプレートの第3入力範囲に関連付けられた前記第1一時領域が前記1内容を含むか確認し、前記第1一時領域が前記第1内容を含む場合、前記第1内容を前記第1一時領域から読み出し、前記第3入力範囲に表示する。
【0006】
前記プロセッサーは、前記第2医療レポートテンプレートが表示された場合、前記第2一時領域が前記第2医療レポートテンプレートのいずれの入力範囲と関連付けられていないかを確認し、前記第2一時領域が前記第2医療レポートテンプレートのいずれの入力範囲と関連付けられていないと確認した場合、前記第2一時領域に含まれる前記第2内容が削除される。
【0007】
前記プロセッサーは、前記第2医療レポートテンプレートが表示された場合、前記第2医療レポートテンプレートの前記第4入力範囲と関連付けられている前記第3一時領域が第3内容を含むかを確認し、前記第3一時領域が前記第3内容を含む場合、前記第3一時領域から前記第3内容を読み出して、前記第4入力範囲に表示する。
【0008】
前記プロセッサーは、前記クライアント装置に前記第2医療レポートテンプレートの表示から、前記第2一時領域と関連付けられる第5入力範囲と、前記第3一時領域と関連付けられる第6入力範囲とを有する第3医療レポートテンプレートの表示へ切り替え、前記第2一時領域が前記第2内容を含む場合、前記第2内容を前記第2一時領域から読み出して前記第5入力範囲に表示し、前記第3一時領域が第3内容を含む場合、前記第3一時領域から前記第3内容を読み出して前記第6入力範囲に表示する。
【0009】
前記第1一時領域、前記第2一時領域、及び前記第3一時領域に含まれるそれぞれの内容はいったん医療レポートが発行されると削除される。
【0010】
前記記憶部は、第1参照領域、第2参照領域、及び第3参照領域を有し、前記第1参照領域、前記第2参照領域、及び前記第3参照領域のそれぞれが、医療コードシステム数値と、前記医療コードシステム数値により識別される医療コードシステムにおいて定義される医療コード数値と、前記医療コード数値をテキスト形式で説明する医療コード説明と、を有し、前記第1参照領域、前記第2参照領域、及び前記第3参照領域は、それぞれ前記第1一時領域、前記第2一時領域、及び前記第3一時領域に関連付けられる。
【0011】
前記プロセッサーは、入力が完了したとの指示を受け取った場合、前記プロセッサーは医療レポートファイルを作成し、医療レポートにおける前記第1内容、前記第2内容、及び第3内容のそれぞれが、前記医療コードシステム数値と、前記医療コード数値と、前記医療コード説明と、を含む。
【0012】
少なくとも一つの前記第1内容、前記第2内容、及び第3内容は、医療画像サーバーに記憶される医療画像へのリンクとして記憶される前記医療画像である。
【0013】
一以上の実施形態によれば、医療情報システムは、上述の実施形態にもとづく医療情報装置と、前記医療情報装置から受信した情報に基づいて表示を行うクライアント装置と、を備える。
【0014】
一以上の実施形態によれば、医療情報の処理方法は、プロセッサーが、記憶部の第1一時領域と関連付けられる第1入力範囲と前記記憶部の第2一時領域と関連付けられる第2入力範囲とを有する第1医療レポートテンプレートを表示するステップとプロセッサーが、表示された前記第1医療レポートテンプレート上で、前記第1入力範囲に入力された第1内容を受け付けて、前記第2入力範囲に入力された第2内容を受け付けるステップとプロセッサーが、前記第1内容を前記第1一時領域に記憶させ、前記第2内容を前記第2一時領域に記憶させるステップとプロセッサーが、クライアント装置に前記第1医療レポートテンプレートの表示から前記第1一時領域に関連付けられた第3入力範囲と記憶部の第3一時領域に関連付けられた第4入力範囲とを有する第2医療レポートテンプレートの表示へ切り替えるステップとプロセッサーが、前記第2医療レポートテンプレートが表示された際に、前記第2医療レポートテンプレートの第3入力範囲に関連付けられた前記第1一時領域が前記1内容を含むか確認するステップとプロセッサーが、前記第1一時領域が前記第1内容を含む場合、前記第1内容を前記第1一時領域から読み出し、前記第3入力範囲に表示するステップと、を含む
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は一以上の実施形態における医療情報システムを示す。
図2図2は一以上の実施形態における医療情報装置のハードウェアを示す。
図3図3は一以上の実施形態における医療情報装置の記憶部の記憶領域を示す。
図4図4は記憶部の参照領域の例示的な構成を示す。
図5図5は一以上の実施形態における医療情報システムのシーケンスを示す。
図6図6はクライアント装置の表示装置に表示される画面画像の一例を示す。
図7図7はクライアント装置の表示装置に表示される画面画像の一例を示す。
図8図8はクライアント装置の表示装置に表示される画面画像の一例を示す。
図9図9は一以上の実施形態における医療情報装置のテンプレートチェック処理に関するフローチャートを示す。
図10図10はクライアント装置の表示装置に表示される画面画像の一例を示す。
図11図11はクライアント装置の表示装置に表示される画面画像の一例を示す。
図12図12はレポート領域の例示的な構成を示す。
図13図13は一以上の実施形態における医療情報装置の改良されたテンプレートチェック処理に関するフローチャートを示す。
図14図14は一以上の実施形態における医療情報システムのシーケンスを示す。
図15図15は一以上の実施形態におけるネットワークを用いない医療情報装置の別の活用法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面を参照しながら本発明における実施形態について詳細に説明する。一貫性を保つため、図面における同じ要素には同じ符号が付される。
【0017】
以下に説明する本発明の実施形態においては、本発明の理解を深めるためにいくつかの具体的な説明がなされる。しかし、これらの具体的な説明がなくとも本発明を実施することが可能であることは同業者にとって明らかである。また、説明が不必要に複雑になることを避けるため、公知の特徴については詳細な説明がなされていない。
【0018】
[医療情報システム]
図1は一以上の実施形態における医療情報システム1を示す。図1に示すように、医療情報システム1は医療情報装置100及び表示クライアント装置210を備え、クライアント装置210は医療情報装置100から受信する情報に基づいて表示装置(図示略)に画面画像を表示する。医療情報システム1はさらに、医療画像サーバー206、及び医療撮影装置204を備えうる。
ユーザーはクライアント装置210を操作してネットワーク170を介して医療情報装置100にアクセスし、医療レポートを作成する。クライアント装置210の表示装置としてLCD(液晶表示)ディスプレイ、OLED(有機発光ダイオード)ディスプレイ、CRT(ブラウン管)ディスプレイ、又は投影型のディスプレイを用いうる。
【0019】
医療撮影装置204はCT、MRI、PET、超音波、X線等による画像を撮影することができる機器を含みうる。医療撮影装置204は撮影された画像を医療画像サーバー206へ送信し、撮影された画像を記憶する。医療画像サーバー206に記憶される医療画像は固有識別コードによって識別されうる。固有識別コードを用いることによって表示クライアント装置210上の医療レポートの一部として医療画像サーバー206に記憶される医療画像の参照又は読み出しをすることができる。
【0020】
[医療情報装置]
図2は一以上の実施形態における医療情報装置100のハードウェアを示す。図2に示すように、医療情報装置100は、記憶部300、CPU(中央処理装置)121、揮発性メモリー122、不揮発性メモリー124、通信インターフェース123を備える情報処理装置である。記憶部300は、例えばハードディスクやフラッシュメモリーなどの不揮発性メモリーであり、医療レポートを記憶しうる。揮発性メモリー122として例えばRAM(ランダムアクセスメモリー)やキャッシュメモリー等があげられる。不揮発性メモリー124として例えばROM(リードオンリーメモリー)、フラッシュメモリー又はハードディスク等があげられる。通信インターフェース123は例えばクライアント装置210等の他の装置との通信を行うためにネットワーク170に接続する。後述の説明において、CPU121、揮発性メモリー122、不揮発性メモリー及び通信インターフェース123はまとめてプロセッサー120と称する。しかし、プロセッサー120はCPU121のみを含む場合やCPU121並びに揮発性メモリー122、不揮発性メモリー及び通信インターフェース123のうちの一つ以上を含む場合がある。
【0021】
図3は一以上の実施形態における医療情報装置100の記憶部300における記憶領域を示す。記憶部300は内容記憶部301及び参照記憶部302を含む。内容記憶部301は第1一時領域T1、第2一時領域T2、及び第3一時領域T3等の一時領域310を有する。参照記憶部302は第1医療テンプレートP1、第2医療テンプレートP2、及び第3医療テンプレートP3を有する。参照記憶部302は任意の数の医療テンプレートを有しうる。ユーザーは参照記憶部302に記憶される医療テンプレートの中から適切な医療テンプレートを選択し、医療画像に基づく情報を入力しうる。第1医療テンプレートP1、第2医療テンプレートP2、第3医療テンプレートP3等のそれぞれの医療テンプレートは第1参照領域R1、第2参照領域R2、及び第3参照領域R3等の参照領域320を有しうる。具体的には、例えば、第1医療テンプレートP1は第1参照領域R1及び第2参照領域R2を有する。第2医療テンプレートP2は第1参照領域R1及び第3参照領域R3を有する。第3医療テンプレートP3は第2参照領域R2及び第3参照領域R3を有する。第1参照領域R1、第2参照領域R2、及び第3参照領域R3はそれぞれ第1一時領域T1、第2一時領域T2、及び第3一時領域T3と対応付けられる。よって、一時領域はそれぞれ対応する参照領域に記憶される情報によって識別することができる。記憶部300はさらに完成された医療レポートを記憶するレポート領域330をさらに有する。図3において内容記憶部301は不揮発性記憶部としての記憶部300に存在するが、内容記憶部301はRAM等の揮発性記憶部にも存在しうる。
【0022】
図4は記憶部300における参照領域320の例示的な構成を示す。それぞれの第1参照領域R1、第2参照領域R2、及び第3参照領域R3は情報種類321、キャプション322、医療コードシステム数値323、医療コード数値324、及び医療コード説明325を含む。情報種類321は、レポートが完成した後に一時領域310に記憶される内容がどのように表示されるかに関連しうる。つまり、情報種類321として「数字」、「画像」、「テキスト」、「ラジオボタン」、又は「コンボボックス」等があげられる。キャプション322は医療レポートが表示される際に内容とともに表示される。医療コード数値324は一時領域310に記憶される内容と対応し、医療コードシステム数値323によって医療コードシステム上で識別される。医療コードシステムは公的に一般的に定義されるシステムか、ユーザーや医療施設において私的に定義されるシステムである。医療コード説明325は医療コード数値324が何を示すかを説明するテキストデータとすることができ、内容とともに表示することができる。
【0023】
[医療情報システムの動作]
図5は一以上の実施形態における医療情報システム1のシーケンスを示す。シーケンスに示されるように、ユーザーの操作により、まずクライアント装置210は、第1医療レポートテンプレートP1が選択されたことを医療情報装置100のプロセッサー120へ送信する(ステップS101)。第1医療レポートテンプレートP1が選択されたことをプロセッサー120が受け付けると、プロセッサー120は第1医療レポートテンプレートP1を参照記憶部302から読み出し、クライアント装置210へ第1医療レポートテンプレートを送信して表示する(ステップS102)。第1医療レポートテンプレートP1を受信したクライアント装置210はクライアント装置210の表示装置に第1医療レポートテンプレートP1を表示する。図面では、紙面の都合上、「医療レポートテンプレート」は単に「テンプレート」と記載される。
【0024】
図6はクライアント装置210の表示装置に表示される第1医療レポートテンプレートP1の画面画像を示す。上述のように、第1医療テンプレートP1は第1参照領域R1及び第2参照領域R2を有する。図6に示すように、第1医療レポートテンプレートP1の第1参照領域R1は第1一時領域T1と関連付けられた第1入力範囲411を有しうる。第1医療レポートテンプレートP1の第2参照領域R2は第2一時領域T2と関連付けられた第2入力領域412を有しうる。画像入力範囲413は医療画像の入力に用いうる。医療画像は医療画像サーバー206に記憶される医療画像のリンクとして記憶部300に記憶しうる。よって、医療情報装置100は医療画像を含む医療レポートを作成するために用いることができる。
【0025】
図6に示すように画像入力範囲413に医療画像を挿入しうる。一方、一以上の実施形態において、画像を内容として挿入するのに第1入力範囲411や第2入力範囲412等のその他の入力範囲を用いることができる。つまり、第1内容及び第2内容のうちの少なくとも一つとして医療画像サーバー206に記憶される医療画像のリンクとして記憶される医療画像を用いることができる。この場合、医療情報装置100を用いて医療画像を含む医療レポートを作成することができる。
【0026】
再び図5を参照して、ユーザーが第1入力範囲411に第1内容を入力し、第2入力範囲412に第2内容を入力した場合、クライアント装置210は第1入力範囲411に第1内容を表示し、第2入力範囲412に第2内容を表示する(ステップS104)。図7は、第1内容及び第2内容がそれぞれ第1入力範囲411及び第2入力範囲412に表示される場合の第1医療レポートテンプレートP1の画面画像を示す。
【0027】
再び図5を参照して、クライアント装置210のユーザーが第1医療レポートテンプレートP1の表示から第2医療レポートテンプレートP2の表示へ切り替えることを要求した場合(ステップS105)、クライアント装置210は第1内容及び第2内容を医療情報装置100のプロセッサー120へ送信する(ステップS106)。プロセッサー120が第1医療レポートテンプレートP1において第1入力範囲411で第1内容を受け取り、第2入力範囲412で第2内容を受け取った場合、プロセッサー120は第1内容を記憶部300の第1一時領域T1に記憶し(ステップS107)、第2内容を記憶部300の第2一時領域T2に記憶する(ステップS108)。
【0028】
プロセッサー120は参照記憶部302から第2医療レポートテンプレートP2を読み出し、第2医療レポートテンプレートP2を送信して、クライアント装置210の表示装置上で、第1医療レポートテンプレートP1の表示から第2医療レポートテンプレートP2の表示へ切り替える(ステップS109)。クライアント装置210が第2医療レポートテンプレートP2を受信した場合、クライアント装置210は第2医療レポートテンプレートP2を表示装置上に表示する(ステップS111)。
【0029】
図8は第2医療レポートテンプレートP2の画面画像を示す。上述のように、第2医療テンプレートP2は第1参照領域R1及び第3参照領域R3を含む。第2医療レポートテンプレートP2の第1参照領域R1は第1一時領域T1に関連付けられた第3入力範囲421を含む。第2医療レポートテンプレートP2の第3参照領域R3は第3一時領域T3に関連付けられた第4入力範囲422を有しうる。第2医療レポートテンプレートP2を送信した後に、医療情報装置100のプロセッサー120はテンプレートチェック処理S200を実行する。
【0030】
図9は一以上の実施形態における医療情報装置100のテンプレートチェック処理S200に関するフローチャートを示す。図9に示すように、まずプロセッサー120は新たな医療レポートテンプレートの入力範囲を指定する、例えば第2医療レポートテンプレートP2の第3入力範囲421(ステップS201)。次に、プロセッサー120は指定された入力範囲と関連付けられた一時領域に内容が含まれるかを確認する。つまり、プロセッサー120は第2医療レポートテンプレートP2の第3入力範囲421に関連付けられた第1一時領域T1が第1内容を含むかを確認する(ステップS202)。第1一時領域T1が内容を含まない場合(ステップS202:NO)、処理はステップS205へ進む。
【0031】
第1一時領域T1が第1内容を含む場合(ステップS202:YES)、プロセッサー120は指定された入力範囲に関連付けられた一時領域に含まれる内容を読み出す。つまり、プロセッサー120は第1一時領域T1から第1内容を読み出し(ステップS203)、読み出した第1内容を送信して第3入力範囲421に表示する(ステップS204)。次のステップS205において、プロセッサーはまだ指定されていない入力範囲が存在するか確認する。まだ指定されていない入力範囲が存在する場合(ステップS205:YES)、プロセッサーはまだ指定されていない次の入力範囲を指定し(ステップS206)、処理はステップS202に戻る。すべての入力範囲が指定された場合(ステップS205:NO)、テンプレートチェック処理S200は終了する。第3入力範囲421に挿入される第一内容を図8の画面画像に示す。
【0032】
図5に戻り、ユーザーが第2医療レポートテンプレートP2の第4入力範囲422に第3内容を入力した場合、クライアント装置210は第4入力範囲422に第3内容を表示する(ステップS114)。図10は第4入力範囲422に第3内容を表示した場合の第2医療レポートテンプレートP2の画面画像を示す。
【0033】
図5に戻り、クライアント装置210のユーザーが第2医療レポートテンプレートP2の表示から第3医療レポートテンプレートP3の表示への切り替えを指示した場合(ステップS115)、クライアント装置210は第1内容及び第3内容を医療情報装置100のプロセッサー120へ送信する(ステップS116)。プロセッサー120は、第2医療レポートテンプレートP2において、第3入力範囲421で第1内容、第4入力範囲422で第3内容を受け付けた場合、プロセッサー120は第1内容を記憶部300の第1一時領域T1に記憶し(ステップS117)、第3内容を記憶部300の第3一時領域T3に記憶する(ステップS118)。
【0034】
プロセッサー120は参照記憶部302から第3医療レポートテンプレートP3を読み出し、第3医療レポートテンプレートP3を送信して、クライアント装置210の表示装置上で第2医療レポートテンプレートP2の表示から第3医療レポートテンプレートP3の表示へ切り替える(ステップS121)。クライアント装置210が第3医療レポートテンプレートP3を受信した場合、クライアント装置210は表示装置に第3医療レポートテンプレートP3を表示する(ステップS122)。
【0035】
図11は第3医療レポートテンプレートP3の画面画像を示す。上述のように、第3医療テンプレートP3は第2参照領域R2及び第3参照領域R3を含む。第3医療レポートテンプレートP2の第2参照領域R2は第2一時領域T2の関連付けられた第5入力範囲431を含みうる。第3医療テンプレートP3の第3参照領域R3は第3一時領域T3と関連付けられた第6入力範囲432を含みうる。第3医療レポートテンプレートP3を送信した後、医療情報装置100のプロセッサー120はテンプレートチェック処理S200を実行する。
【0036】
図9に示すテンプレートチェック処理S200は上述と同様であるため、重複した説明は省略する。テンプレートチェック処理S200を実行した結果、図11の画面画像に示すように、第5入力範囲431に第2内容が挿入され、第6入力範囲432に第3内容が挿入される。よって、ユーザーは直前に利用したテンプレートだけでなく直前に利用したテンプレートより前に利用した過去のテンプレートに含まれる内容を再利用できるので、より効率的に医療レポートを作成できる。
【0037】
図5に戻り、クライアント装置210のユーザーが医療レポートの作成が完了したと指示した場合、第2内容及び第3内容がプロセッサー120に送信される(ステップS127)。プロセッサー120は第2内容や第3内容などの内容と参照領域320に記憶される情報とを組み合わせることで電子ファイルとして医療レポートを作成する。プロセッサー120はレポート領域330に医療レポートを記憶する(ステップS128)。最後に、プロセッサー120はいったん医療レポートが発行されると、第1一時領域T1、第2一時領域T2及び第3一時領域T3に記憶される残りの内容を削除する(ステップS129)。よって、医療情報装置100によれば、ユーザーが古い内容を新規で関連性がない可能性のあるレポートで用いることを防ぐことができ、秘密情報のセキュリティーを保持することができる。
【0038】
図12はレポート領域330の例示的な構成を示す。レポート領域は項目I1及び項目I2等のような複数の項目を含む。複数の項目は表示される順番に配列されうる。項目I1は第2内容及び第2参照領域R2を記憶する領域を含む。項目I2は第3内容及び第3参照領域R3を記憶する領域を含む。レポート領域330はそれぞれの内容の参照領域を項目に属するグループとして有するため、プロセッサー120は参照領域により、内容を表示するか、当該内容をどのように表示するか等を判断する。各参照領域はその対応する内容に隣接して配置されるので、プロセッサー120はレポート領域330を上から又は下から一つの方向に読み出すことによって参照領域を認識しうる。
【0039】
図13は医療情報装置100における修正されたテンプレートチェック処理S250のフローチャートを示す。図9に示すテンプレートチェック処理S200と比較して、ステップS207が図9に示すテンプレートチェック処理S200に追加されているだけであり、その他の行程はテンプレートチェック処理S200と同様である。その他の行程について重複する説明は省略する。修正されたテンプレートチェック処理S250においては、すべての入力領域が指定されると(ステップS205:NO)、プロセッサー120はいずれの指定された入力領域と関連付けられていない一時領域に含まれる内容を削除する。
【0040】
図14は一以上の実施形態における、図13に示す修正されたテンプレートチェック処理S250を用いた医療情報システム1のシーケンス図を示す。ほとんどの処理が図5に示すシーケンス図に示す処理と同様であるため、同様の処理に関する重複する説明は省略される。図14に示すように、第2医療レポートテンプレートP2に関する修正されたテンプレートチェック処理S250では、第2一時領域T2が第2医療レポートテンプレートP2のいずれの入力領域と関連付けられていないと確認された場合、プロセッサー120は第2一時領域T2に含まれる第2内容を削除する(ステップS151)。
【0041】
さらに、第3の医療レポートテンプレートP3が表示される場合に、テンプレートチェック処理S250を実行した結果、第6入力範囲432には第3内容のみが挿入される(S204)。第1一時領域T1は第3医療レポートテンプレートP3のいずれの入力範囲と関連付けられていないと確認された場合、プロセッサー120は第1一時領域T1に含まれる第1内容を削除する(ステップS152)。新しいテンプレートは直前のテンプレートより以前のテンプレートに記憶された古い情報を反映しないので、医療情報装置100によりユーザーが古い内容や誤った内容を用いることを防ぐことができる。ユーザーは第3医療レポートテンプレートP3の第5入力範囲431に第2内容を入力する(ステップS153)。
【0042】
図15は医療情報装置100の他の使用例を示す図である。図1に示す医療情報システム1において、医療情報装置100のプロセッサー120はネットワーク170を介してクライアント装置210へ医療レポートテンプレート及び内容を送信する。しかし、医療情報装置100のプロセッサー120は直接表示装置209へ医療レポートテンプレートを送信し、いずれの通信ネットワークを用いずに医療情報装置100に内蔵されたメモリーから内容を受け付けるような、つまり単独での使用をすることができる。また、医療情報装置100のプロセッサー120はキーボード、マウス、タッチパネル等の入力装置208から内容を受け取ることができる。図15に示す構成によっても同様の有益な効果が得られる。内容記憶部301はフラッシュメモリーや医療情報装置100に内蔵されるハードディスク等の不揮発性メモリーに存在しうる。また、内容記憶部301はRAM等の揮発性メモリーに存在しうる。
【0043】
本発明の一以上の実施形態によればコンピューターの機能性に対する以下のような技術的改良がもたらされる。本発明の一以上の実施形態によれば、医療レポートテンプレートを何度も切り替えても入力された内容を保存することができる。よって、すでにユーザーにより入力された内容が失われないため、ユーザーは簡単により適切な医療レポートテンプレートに切り替えることができる。よって、医療情報装置100によりユーザーがより適切な医療レポートを作成することを補助することができる。また、このようなデータを一以上の実施形態における参照領域320の医療コード、説明、及びその他のデータとして記憶することによって医療情報装置100に新たな医療レポートテンプレートを導入することを容易にする。新たな医療レポートが導入された場合、参照領域320に記憶される情報を用いることにより、医療情報装置100は容易に新たな医療レポートテンプレートの入力範囲を既存の一時領域と関連付けることができる。よって、本発明の一以上の実施形態が容易に新たな医療レポートテンプレートを受け入れることができるので、本発明の一以上の実施形態により、ユーザーがより適切な医療レポートを作成することを補助することができる。さらに、本発明の一以上の実施形態によれば、医療レポートがいったん発行された場合、一時領域に含まれるすべての内容を削除することができるので、より確実に内容を削除することができる。よって、個人情報が確実に守られる。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態が、上記において説明されたが、本明細書により、当業者は本発明の範囲から逸脱することなく、本発明のその他の実施形態を考案しうる。よって、本発明の範囲は添付されたクレームのみによって限定される。
図1
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図15