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特許7450389飛行経路および現場動作データを統合するシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-07
(45)【発行日】2024-03-15
(54)【発明の名称】飛行経路および現場動作データを統合するシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20240308BHJP
   B64C 13/18 20060101ALI20240308BHJP
   B64C 27/08 20230101ALI20240308BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20240308BHJP
   F03D 7/04 20060101ALI20240308BHJP
   F03D 17/00 20160101ALI20240308BHJP
   G05D 1/46 20240101ALI20240308BHJP
【FI】
G05B23/02 Z
B64C13/18 Z
B64C27/08
B64C39/02
F03D7/04 Z
F03D17/00
G05D1/46
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019549513
(86)(22)【出願日】2018-02-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-23
(86)【国際出願番号】 US2018018757
(87)【国際公開番号】W WO2018169652
(87)【国際公開日】2018-09-20
【審査請求日】2021-01-26
【審判番号】
【審判請求日】2022-07-27
(31)【優先権主張番号】15/457,410
(32)【優先日】2017-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(74)【代理人】
【識別番号】100207158
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 研二
(74)【代理人】
【識別番号】100133503
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 一哉
(72)【発明者】
【氏名】ノト,ウィリアム ボレア
【合議体】
【審判長】渋谷 善弘
【審判官】田々井 正吾
【審判官】菊地 牧子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/010206(WO,A1)
【文献】特開平09-281230(JP,A)
【文献】特表2016-538635(JP,A)
【文献】特開2016-197980(JP,A)
【文献】特開2018-021491(JP,A)
【文献】特開2016-178769(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/00 - 23/02
B64C 13/00 - 13/50
B64C 27/00 - 27/82
F03D 7/00 - 7/06
F03D 17/00
G05D 1/00 - 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
資産制御装置、1つまたは複数のドローン及び飛行制御装置を備える資産検査システムを用いて資産を検査するための方法であって、
1つまたは複数のドローンが検査を実行するために資産に近づくときに、前記資産の動作を調整するための第1の動作コマンドを前記資産の前記資産制御装置へ前記1つまたは複数のドローンの前記飛行制御装置を介して送信することと、
前記動作コマンドが前記資産によって実行されたことの前記資産制御装置からの確認を前記飛行制御装置において受信することと、
前記資産に関する飛行計画を実行し、前記飛行計画の実行時に検査データを収集するように、前記飛行制御装置によって前記1つまたは複数のドローンに指示することと、
前記飛行計画の完了時に、第2の動作コマンドを前記資産制御装置へ前記飛行制御装置を介して送信することであって、前記第2の動作コマンドの受信時に、前記資産制御装置が前記資産に通常の動作を再開するように指示する、送信することと、
前記飛行計画が完了する前に、前記1つまたは複数のドローンが前記資産を検査するための前記飛行計画を実行している間に前記システムによって前記検査データを分析することと、
前記システムによって前記検査データの分析された結果に基づいて前記飛行計画を修正して、修正された飛行計画を作成することと、
前記第2の動作コマンドを送信する前に、前記1つまたは複数のドローンによって、前記検査データの分析された結果において検出された前記資産の潜在的な問題に関する追加の検査データを収集するための前記修正された飛行計画を実行することと
を含む、
方法。
【請求項2】
前記資産の動作を調整するための前記第1の動作コマンドは動作停止コマンドを含み、前記第2の動作コマンドは動作再始動コマンドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記資産制御装置により前記飛行制御装置へ送信される動作データに基づいて前記飛行計画を調整することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも部分的に現在の環境データを使用して生成されるヨーオフセットマップに基づいて前記飛行計画を調整することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記検査中または前記検査後に前記検査データを検査データリポジトリに送信することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書において開示される主題は、ドローンまたは他の無人車両などの1つまたは複数のロボットエージェントを使用した、システム、デバイス、または設備などの資産の検査に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な団体が、運用の一環として複数の異なる種類の資産を所有または維持している場合がある。そのような資産は、場合によっては電気的および/または化学的側面を有する可能性もある物理的または機械的なデバイス、構造、または設備を含む。このような資産は、様々な目的で使用または維持され得、資本インフラストラクチャ、在庫として、またはコンテキストに応じて他の命名法によって特徴付けられる。例えば、資産は、パイプラインや配電網などの分散型資産、および飛行機、風力タービン発電機、タワー、車両などの個別または離散的な資産を含む。資産は、その運用に影響を与える可能性のある様々なタイプの欠陥(例えば、自然発生的な機械的欠陥、電気的欠陥、および日常的な摩耗)の影響を受ける場合がある。例えば、時間の経過と共に、資産は気象のために腐食もしくは亀裂が発生する可能性があり、または、構成部品の摩耗もしくは故障に起因して性能もしくは効率が低下する場合がある。
【0003】
通常、1人または複数の人間の検査官が資産を検査、保守、および修復する。例えば、検査官は資産の腐食を位置特定することができ、資産のひび割れまたは欠陥を位置特定して定量的または定性的に評価することができ、観測された摩耗度と予測される程度との関係について資産を評価することなどができる。しかしながら、資産の場所、サイズ、および/または複雑さに応じて、1人または複数の人間の検査官が資産の検査を行うと、検査官が他の作業を実行するのに時間がかかる場合があり、普通なら時間および労力がかかる場合があり、普通なら他の場所でより生産的に費やされるはずの人的時間が必要とされる。さらに、一部の検査作業は、退屈で汚い場合があり、または、普通なら人間が実行するには不適切な場合がある。例えば、一部の資産には、高さ、限られたスペースなどに起因して人間がアクセスできない場所がある場合がある。さらに、検査は、時として過剰検査または検査不足をもたらすスケジュールに基づいて実行される場合がある。
【0004】
さらに、一部の資産は、その動作の性質に起因して、移動しているまたはアクセスできない部品などに起因して、動作中に検査または評価することが困難な場合がある。したがって、検査は不完全であるか、または、検査プロセス中に資産をオフラインにする必要があるため、生産的ではない場合がある。このような結果は望ましくない場合がある。さらに、検査プロセスの不確実な性質、すなわち、現在の検査結果が後続のスケジューリングに影響を与える可能性があることに起因して、検査プロセスの影響を最小限に抑えるように資産の休止時間をスケジュールすることは困難である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
原特許請求の開示と範囲が同等の特定の実施形態を以下に要約する。これらの実施形態は、特許請求されている開示の範囲を限定することを意図するものではなく、むしろこれらの実施形態は、本開示の可能な形態の簡単な要約を提供することのみを意図する。実際、実施形態は、以下に記載される実施形態と類似または異なる場合がある様々な形態を包含し得る。
【0006】
一実施形態では、資産検査システムが提供される。この実施形態によれば、資産検査システムは、1つまたは複数の資産に関連する1つまたは複数のパラメータを監視し、1つまたは複数の資産の動作を制御するように構成された資産制御装置と、1つまたは複数のドローンと、1つまたは複数のドローンおよび資産制御装置と通信し、資産の動作を、検査中に1つまたは複数のドローンが従う飛行計画と協調させるように構成された飛行制御装置とを含む。
【0007】
さらなる実施形態では、ドローンベースの検査を開始する方法が提供される。この方法に従って、検査を開始するコマンドが受信される。検査対象の1つまたは複数の資産の現在の環境データまたは現在の動作データの一方または両方が取得される。検査順序は、1つまたは複数の資産の現在の環境データまたは現在の動作データの1つまたは両方、および1つまたは複数の資産の位置データに基づいて計算される。検査順序に基づいて、1つまたは複数のドローンの飛行計画が生成される。ドローンは、1つまたは複数の資産を検査するための飛行計画に従って運用される。
【0008】
追加の実施形態では、資産を検査する方法が提供される。この方法によれば、1つまたは複数のドローンが検査を実行するために資産に近づくときに、資産の動作を調整するための最初の動作コマンドが送信される。動作コマンドが資産によって実行されたという確認が受信される。1つまたは複数のドローンは、資産に関して飛行計画を実行し、飛行計画を実行するときに検査データを収集するように指示される。飛行計画が完了すると、第2の動作コマンドが送信され、資産が通常の動作に戻る。
【0009】
本発明のこれらならびに他の特徴、態様、および利点は、添付の図面を参照しながら以下の詳細な説明を読むとよりよく理解されるようになろう。図面において、同様の符号は図面全体を通じて同様の部分を表す。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の態様による、風力エネルギーを電気エネルギーに変換するように構成された風力タービンシステムを示す図である。
【0011】
図2】本開示の態様による、ドローンベースの検査システムの使用を有する風力システム現場の一実施形態のブロック図である。
【0012】
図3】本開示の態様による、検査開始フローのプロセスフローを示す図である。
【0013】
図4】本開示の態様による、風力タービン発電機の検査開始フローのプロセスフローを示す図である。
【0014】
図5】本開示の態様による、検査フローのプロセスフローを示す図である。
【0015】
図6】本開示の態様による、風力タービン発電機の検査フローのプロセスフローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
1つまたは複数の特定の実施形態を以下に説明する。これらの実施形態の簡潔な説明を提供するために、実際の実施態様のすべての特徴が本明細書に記載されていない場合がある。任意のそのような実際の実施態様の開発においては、任意の立案または設計プロジェクトにおけるように、実施態様ごとに変化する可能性がある、システム関連およびビジネス関連の制約の遵守などの開発者固有の目標を達成するために、実施態様固有の多数の決定がなされなければならないことが諒解されるべきである。さらに、そのような開発試行は複雑で時間がかかるかもしれないが、それにもかかわらず、本開示の利益を有する当業者にとって設計、製作、および製造を引き受ける日常業務であることを理解されたい。
【0017】
本発明の様々な実施形態の要素を紹介するとき、冠詞「a」、「an」、「the」、および「said(前記)」は、それらの要素が1つまたは複数あることを意味することを意図している。用語「備える」、「含む」、および「有する」は包括的であることを意図しており、列挙された要素以外の追加の要素があり得ることを意味する。さらに、以下の説明におけるいかなる数値例も非限定的であることを意図しており、したがって追加の数値、範囲、および百分率が開示されている実施形態の範囲内である。
【0018】
本明細書で説明するように、本手法は、無人航空車両(UAV)、無人潜水車両(USV)、またはドローンもしくはロボットとして特徴付けられる可能性のある他の自律移動車両などの無人またはロボットデバイスを使用した、発電資産、輸送資産、鉱業または地下揚水資産、製造または建設資産などのような1つまたは複数の資産の検査に関する。簡潔にするために、「ドローン」という用語を本明細書において使用するが、この用語は、人間の監視がまったくないかまたは限定されている、プログラム可能な移動が可能なUAV、USV、ロボットデバイスなどのすべての変形を包含することを理解されたい。このようなプログラム可能な移動は、ローカルで生成された経路ウェイポイントもしくは誘導、または遠隔システムによって生成され、ドローンに通信される経路誘導およびウェイポイントのいずれかに基づくことができる。したがって、本明細書で使用される場合、そのようなデバイスは、動作段階または期間中に、完全にもしくは主に直接の人間の介入もしくは制御なしで、および/または人間の介入もしくは監視が限られた状態で動く。本手法によれば、そのようなデバイスは、それに沿ってデバイスが、ビデオもしくは静止画像データ、LIDARデータ、または、飛行計画に沿って移動するデバイスに固定することができるセンサもしくはカメラによって取得することができる他のデータなどの検査データを取得するように動作することができる。
【0019】
本明細書では「飛行計画」という語句が一般的に使用されるが、この語句は空中移動を必要とせず、代わりに、それに沿ってドローンが検査計画の一部として移動する、任意の一次元(1D)(トラックに沿ったものなど)、二次元(2D)(定義済みまたは未定義の平面ルートに沿ったものなど)、または三次元(3D)(空中、水中、または深さや高度も越えることができる構造上での動きなど)、または四次元(4D)(定義済みの時間的態様がある場合など)の経路またはルートに関する。したがって、本明細書で使用する「飛行計画」は、それに沿って、資産のセンサベースの検査を実行するためにドローンまたはロボットなどのデバイスを動かす任意の1D、2D、3D、または4Dのルートまたは経路として特徴付けることができる。そのような経路は、本明細書で説明するように適応的であり得、それに沿ってドローンが順序付けられた方法で進行する1つまたは複数のウェイポイントから構成され、ウェイポイントのシーケンスおよび位置が経路またはルートを定義する。そのような飛行計画は、時間的および/または空間的位置だけでなく、経路に沿った移動および/または所与のウェイポイントにおいて提示するための方向および/または位置整合指示も組み込むことができることを理解されたい。したがって、飛行計画は、ドローンが飛行計画に沿った様々なポイントにおいて提示するためのロール、ピッチ、ヨーなどのパラメータ、および、センサまたはカメラが飛行計画に沿ったポイントを指している方向に関連する可能性がある二次元または三次元の位置整合特性も指定することができる。したがって、飛行計画は、検査現場に対してドローンが存在する場所または時だけでなく、所与の位置またはウェイポイントにおいて、ドローンが向いているかまたは他の様態で方向付けられている方向に対処することができる。
【0020】
本明細書で説明するように、本手法は、それ自体検査する必要があるか、または、普通なら検査プロセスに敵対する環境を生成する可動部品を有する資産など、普通なら動作時には検査することが困難な可能性がある資産の検査を容易にする。本明細書で説明するように、資産の動作データを飛行計画の計画または適合に組み込むことができ、および/または、動作コマンドを飛行計画に従って資産に発行して、必要な検査データの取得を容易にすることができる。
【0021】
説明を容易にし、有用な実世界のコンテキストを提供するために、複数の風力タービン発電機を有するウィンドファームの例を本明細書において説明する。しかしながら、そのような例は単に説明を容易にするためにのみ提供されており、本手法は、広範囲の他の資産および様々な他のタイプの現場での使用に適していることを理解されたい。したがって、本手法は、本例のコンテキストに限定されることを意図していない。
【0022】
上記を念頭におき、図を参照すると、図1は、風力エネルギーを電気エネルギーに変換するように構成された風力タービン発電機10の正面図を示している。風力タービン発電機10は、タワー12、ナセル14、およびブレード16を含む。ブレード16は、ブレード16と共に回転するハブ20によってナセル14内の発電機18に結合されている。ブレード16は、風からの線形空気流を回転運動に変換するように構成される。ブレード16が回転すると、ナセル14内のハブ20と発電機18との間の結合により、発電機18の構成要素が回転するように駆動され、それにより電気エネルギーが生成される。描かれた風力タービン発電機10には3つのブレード16が含まれるが、代替の実施形態は、より多いまたはより少ないブレード16を含むことができる。
【0023】
風力タービン発電機10はまた、風力タービン発電機10の動作を制御するための制御装置26を含むことができる。例えば、制御装置26は、風力タービン発電機10の回転速度(rpm)、ブレード16のピッチ、風力タービン発電機10のヨー、および他の動作パラメータを制御することができる。制御装置26は、プロセッサ30およびメモリ部品32を含み得る制御回路28を含み得る。プロセッサは、データを分析し、プログラムを作動させ、命令を実行し、風力タービン発電機10の動作パラメータを最適化し、風力タービン発電機10の動作パラメータを制御するように構成され得る。メモリ部品32は、任意の非一時的コンピュータ可読媒体であり得る。メモリ部品は、本明細書で説明する本手法を実行するためのプロセッサ命令を含む、データ、プロセッサ命令、プログラム、最適化アルゴリズム、ルックアップテーブル、モデルなどを記憶することができる。風力タービン発電機10の態様として示されているが、以下で説明するように、制御装置26は、所与の現場において複数の風力タービンシステム10の動作を監視および制御する現場レベル(すなわち、ウィンドファーム制御装置)で実装され得る。
【0024】
図示の例では、制御装置26は、オペレータインターフェース34を含むか、それと通信することができる。オペレータインターフェース34は、ディスプレイおよび/またはオペレータ入力を含み得る。オペレータインターフェース34は、風力タービン発電機10がオペレータと通信し、オペレータによって制御されることを可能にし、オペレータが風力タービン発電機10と通信することを可能にする。例示の目的で、制御装置26の様々な構成要素が共通のユニットまたはハウジング内に示されているが、いくつかの実施形態では、様々な構成要素(例えば、制御回路28、プロセッサ30、メモリ32、オペレータインターフェース34、ディスプレイ36、オペレータ入力38、通信回路40など)は、2つ以上のユニットおよび/または位置に配置する(すなわち、分散させる)ことができる。
【0025】
制御装置26は、通信回路40も含むことができる。いくつかの実施形態では、通信回路は、有線通信または無線通信による(例えば、スマートデバイスを介した)制御装置とオペレータとの間の通信を促進することができる。いくつかの実施形態では、通信回路40は、無線または有線接続を介した通信を促進することができる。いくつかの実施形態では、遠隔制御システム46および/またはデータベース48(以下で説明する構成データベースなど)は、接続されたネットワーク44を介して制御装置26と通信することができる。遠隔制御システム46は、コマンドが、1つまたは複数の位置にわたって拡散する1つまたは複数の風力タービンシステム10に遠隔で発行されることを可能にし得る。ネットワーク44は、構成および/または履歴動作データを含む1つまたは複数のデータベース48へのアクセスも提供し得る。
【0026】
図示の例では、ドローン50は、本明細書で説明するように検査データを収集するなどのために、風力タービン発電機10の付近にあるものとして示されている。
【0027】
図2を参照すると、ウィンドファーム80として提供される複数の風力タービンシステム10など、1つまたは複数の資産を検査するのに適したシステムの態様が記載されている。この例では、単一の風力タービン発電機10のコンテキストにおいて前述したように、ウィンドファーム80の風力タービン発電機10は、個別にまたは集合的に制御されるか、制御装置26と通信する。
【0028】
例として、ローカル現場(すなわち、ウィンドファーム80)では、SCADA(監視制御およびデータ取得)プロトコルが、進行中のウィンドファーム80の動作および監視の一部として、制御装置26上で(または他の回路またはプロセッサ実施態様の一部として)実行され得る。そのような実施態様では、SCADAプロトコルまたはルーチンは、実行されると、ファーム80の風力タービン発電機10の各々から動作データを取得し、それぞれの風力タービン発電機10に動作コマンドまたは命令を送信するなどすることによって、個々の風力タービン発電機10の動作を制御することができる。
【0029】
SCADAルーチンによるそのような動作監視および制御を容易にするために、風力タービン発電機10の一部またはすべては、風力タービン発電機10に関連する環境条件および/または気象データ(風速、風向、大気圧、温度、湿度、一定期間の降水量、大気条件など)を測定することができるセンサを含むことができる。センサは、付加的または代替的に、毎分ブレード回転数、温度、振動、トルク、使用時間、電力生産量など、それぞれの風力タービン発電機10の動作に関するパラメータを測定することができる。
【0030】
したがって、所与の風力タービン発電機または風力タービン発電機のファームに関連付けられるSCADAプロトコルは、各発電機のナセルヨー、ブレード角度、動作状態などのような、所与の発電機の動作状態、環境または局所条件、および/または現在の動作パラメータまたは特性の1つまたは複数を決定するように構成することができる。加えて、SCADAプロトコルは、コマンドまたは命令を生成し、関連するファーム80の風力タービン発電機10に送信するように構成されてもよい。そのようなコマンドの例は、ブレードの動き(および対応する発電)を開始および停止するコマンド、および/または、「ラビットイヤー」(3ブレードタービンについて、1つのブレードが下向きで、他の2つのブレードが表面に対して30度の角度など、上向きに角度が付けられる)コマンドなど、既知もしくは指定の構成をとるためのコマンドを含むが、これらに限定されない。
【0031】
図示の例では、制御装置26、および場合によっては、制御装置26上で実行するSCADAルーチンは、構成データベース84と通信する。そのような構成データベース84を使用して、それぞれのウィンドファーム80の風力タービン発電機10の様々な構成データを記憶および/または管理することができる。例えば、各風力タービン発電機10について、構成データベースは、1つまたは複数の構成要素のモデルおよび/またはシリアル番号、ブレード識別子または番号、各ブレードに関連付けられた色分けまたは視覚マーキングなどを含むことができる。
【0032】
図2はまた、ファーム80の風力タービン発電機10の検査など、1つまたは複数のドローン50の動作を調整する役割を果たす飛行制御装置90を示す。一実施形態では、ドローン(複数可)50は、セルラまたはネットワーク接続を搭載しており、少なくとも検査を開始する前に飛行制御装置90と通信することができる。特定の実施態様では、ドローン(複数可)50のセルラまたはネットワーク接続により、検査中の通信が可能になり、検査データが、飛行制御装置90または他の構成要素(例えば、検査データリポジトリ98)に通信されることが可能になり、かつ/または、飛行制御装置が飛行計画の変更を所与のドローン50に通信することが可能になる。
【0033】
図示された例では、飛行制御装置は、1つまたは複数のプロセッサ94とメモリ92とを有するプロセッサベースのシステムとして示されている。例えば、プロセッサ94は、メモリ92に記憶されたルーチンを実行(および/またはメモリ92に記憶されたデータを利用)して、検査プロセスで使用されるドローン50のコマンドまたは飛行計画を生成し得る。図示の例では、飛行制御装置90は、風力タービン制御装置26および/または構成データベース84の一方または両方と通信しており、ドローン50の制御においていずれかのソースから取得した情報を使用することができる。逆に、ドローン(複数可)50から受信した情報またはフィードバックに基づいて、飛行制御装置90は、風力タービン制御装置26および/または構成データベースへの命令を更新または発行することができる。したがって、飛行制御装置90は、特定の実施形態では、ドローン50と、ファーム80の風力タービン発電機10を動作させ監視するために使用されるSCADAプロトコルとの間のインターフェースであり、また、必要に応じて構成データベース84とインターフェースするものとして特徴付けることができる。
【0034】
加えて、飛行制御装置90は、画像リポジトリなどの検査データのデータベース98と通信するように示されている。例として、検査中に1つまたは複数のドローン50によって取得されるビデオ、画像、LIDARデータ、または他の関連するセンサまたはカメラデータは、取得時に、または検査飛行計画が完了した後にバッチとして、検査データのデータベース98にアップロードされ得る。検査データのデータベース内のデータは、その後、検査プロセスの一部として検討または検証され得る。特定の実施態様では、取得した検査データ(例えば、センサ読み値、ビデオ、静止画像)をリアルタイムまたはほぼリアルタイムで評価することができ、その場合、飛行制御装置90は、追加の検査データの取得が必要な場合(例えば、異なる範囲または角度からの追加のビデオまたは画像)、ドローン50の飛行計画をオンザフライで更新することができる。
【0035】
検査または画像データは、検査中の所与のブレードを照合および識別するために使用できる視覚的識別子(例えば、英数字コード、二次元または三次元バーコードなど)を含むタービンブレード16の画像も含み得る。一例として、タービンブレード検査に関する一実施形態では、発電機のいずれのブレードが検査されている(または検査された)かが、ブレードの根元付近など、ブレード上のマーキングを分析するために、光学文字認識(OCR)技法および/またはOCR技法とペイントマッチングまた色分け技法との組み合わせを使用して決定される。例えば、これらの技法を使用すると、以前にキャプチャした画像の保存済みリポジトリと比較して、検査中に取得した画像を使用してブレードを照合することができる。このようにして、検査中に、ドローンは風力タービン発電機のどのブレードがどれであるかを推測することが可能であり得る。
【0036】
図示の例では、タービン制御装置26、飛行制御装置90、構成データベース84、および検査データベース98は、別個の離散的な実体として示されている。しかし、実施態様に応じて、これらの態様のいくつかは、単一または共通のプロセッサベースのシステムによって実行される異なる機能または機能性として提供される場合があることを理解されたい。逆に、描かれた機能は分散または散在する方式で実行されてもよく、特定の態様はウィンドファーム80に対してローカルであり(SCADAまたは風力タービン制御装置26など)、その他はウィンドファーム80から遠隔している(検査データベース98など。そのような分散実施態様では、描写された態様は、1つまたは複数のネットワーク接続などを介して通信可能にリンクされたままであり得る。
【0037】
図3を参照すると、検査動作の開始におけるアルゴリズムステップの例が示されている。そのようなステップは、資産検査プロセスのステップを開始するために、本明細書で説明されるシステムまたは構成要素のプロセッサによって実行することができる。この例では、検査コマンドを発行するために、ユーザが飛行制御装置90またはタービン制御装置26のユーザインターフェースと対話することなどによって、検査を開始するために初期コマンド120を受信することができる。
【0038】
図示の例では、検査コマンド120に応じて、検査対象の1つまたは複数の資産の環境および/または動作データ126を取得するステップ124が実行される。そのような動作データ126は、現在の気象または環境条件、および、検査を受けている1つまたは複数の資産の動作状態に関連するデータを含むことができるが、これらに限定されない。さらに、1つまたは複数の資産の位置データ130(例えば、緯度および経度)を、同じソースから、または別個のデータソースから取得することができる。
【0039】
特定の実施態様では、気象データまたは環境データを含む動作データ126は、後続のプロセスで使用され得るより高レベルの構造に処理または変換され得る。例として、ウィンドファーム現場などの所与の場所について、現場の種々の場所での局所的な状態のマップまたは表現を作成するように、環境データを複数の場所で取得することができる。例えば、ウィンドファームのコンテキストでは、風速計、風向計などを使用して、ウィンドファーム内の場所によって異なる可能性のある局所的な風パターンデータを取得することができる。この局所的な風パターンデータは、飛行計画の生成に使用することができるマップまたは他の空間表現として表され得る。同様に、検査で利用されるドローンの知識に基づく局所的な環境データをさらに処理すると、以下にさらに詳細に論じるような、飛行計画作成において有用であり得る、ヨーオフセットマップなど、特定の種類のマップまたは空間表現を生成することができる。
【0040】
動作データ126および位置130に基づいて、複数の資産を検査する場合、資産の検査順序が計算される(ブロック134)。検査順序から、飛行計画140が生成され得る。上記のように、飛行計画は、1つまたは複数のドローン50が指定された順序および/または指定された時間に移動する一連のウェイポイントから構成されてもよい。上記のように、飛行計画の生成では、局所的な環境条件(風速や風向など)、ならびに/または、局所環境条件およびドローン特性に照らして推定される飛行特性(ヨーオフセットなど)を考慮することができる。
【0041】
飛行計画140上の特定のウェイポイントにおいて、検査データを取得するために1つまたは複数のカメラまたはセンサを作動させることができる。上記のように、飛行計画(または飛行計画のウェイポイント)は、特定のウェイポイントにおいて、またはウェイポイント間で移動中にドローンによって提示される特定の方向を指定することもある。次いで、1つまたは複数のドローンは、検査飛行計画に従って操作され得る(ブロック144)。
【0042】
図3は一般化された飛行計画生成アルゴリズムを表すが、図4は実世界の実施態様、ここでは風力タービン発電機の検査に対応するアルゴリズムのステップに関するものである。この例では、ステップ160において、オペレータは、1つまたは複数の風力タービン発電機の検査を開始するように、ドローン検査マネージャ(DIM)コンピュータ実装ルーチンまたはプログラムに命令する。この指示に応答して、DIMプログラムは、通信(例えば、ネットワーク)インターフェースを介してそれぞれのウィンドファームSCADAからデータを収集する(ステップ164)。1つの実施態様では、SCADAからDIMによって収集されるデータは、現在の動作データ、生成された電力、風速などを含むが、これらに限定されない。収集されたデータに基づいて、DIMプログラムは、タービンの位置ならびに現在の動作データおよび/または環境データに基づいてタービンの検査順序を計算する(ステップ168)。例として、タービンの検査順序は、生産量(すなわち、発電)の損失を最小限に抑えるように計算することができる。タービン検査順序に基づいて、ステップ172において、DIMプログラムは、指定された順序で風力発電タービンを検査するために1つまたは複数のドローンを発射することができる。
【0043】
図5を参照すると、検査動作の実行におけるアルゴリズムステップの例が示されている。ステップの一部または全部は、資産検査プロセスを実施するために、本明細書で説明されるシステムまたは構成要素のプロセッサによって実行することができる。この例では、検査プロセスには、資産とドローンの両方の動作の調整が含まれる。例えば、ステップ190において始まり、検査を実行するドローン50が検査対象の資産に近づくと、通常、動作中に動く構成要素の動きを停止するなどのために、その動作の態様を変更するための動作コマンド190を資産に発行することができる(ブロック194)。描かれた例では、資産、または資産と通信する制御装置は、動作コマンド190が実行されたことの確認を発行し(ブロック198)、特定の実施態様では、様々な構成要素の動きまたは動作状態、可動性であり得る構成要素の位置または方向、資産の電力状態、局所的な環境条件(または局所的な環境条件に由来するヨーオフセットなどの飛行特性)などのような、資産の現在の動作データ202を提供することができる。例として、このステップでは、局所的な風速および方向、または局所的な風の状態について導出された局所的なヨーオフセットが提供されてもよい。
【0044】
送信されている動作コマンド190および/または受信されている確認もしくは動作データ202に基づいて、ドローン(複数可)50と通信する飛行制御装置90は、正当化される場合、飛行計画140を調整し(ブロック206)、変更された飛行計画140をドローン50に伝達することができる。代替的に、特定の実施形態では、ドローン50自体に特定の内蔵ナビゲーション機能を提供することができ、動作データ202の受信に応答して、ドローン自体の構成要素を処理することにより飛行計画調整を行うことができる。一例として、所与のドローンのヨーオフセット、ウェイポイントの位置およびシーケンスなどは、検査現場で取得される最新またはリアルタイムの風データに基づいて更新され得る。そのような一例では、風データ、または、そのような風データについて導出されたヨーオフセットマップが、期待値からの変化および/または偏差についてリアルタイムまたはほぼリアルタイムで監視され得、そのような変化または偏差に応答して(または予測される変化または偏差を予期して)、飛行計画140を定期的にまたはオンザフライで修正することができる。
【0045】
飛行計画140に基づいて、ドローン(複数可)50は、飛行計画140を実行する、すなわち、指定された時間的制約の下で飛行計画に沿って様々なウェイポイントに移動し、飛行計画140に基づいて1つまたは複数のカメラまたはセンサを操作することによって、検査を実施する(ブロック210)。指示に従って飛行計画に沿って移動し、そのセンサおよび/またはカメラを操作することにより、ドローンは検査データのセット214を生成する。一実施形態では、検査データ214は、検査データ214の完全性を判定するため、または、検査データ214が、追加のデータを収集する必要がある潜在的な問題を示すか否かを判定するなどのために、リアルタイムまたはほぼリアルタイムで処理することができる(ブロック218)。そのようなシナリオでは、飛行計画140を更新し、検査を再開して、追加の検査データが必要であれば何でも収集することができる。他の実施態様では、検査データ214は、ドローン(複数可)50がそれらのベース位置に戻るまでダウンロードされず、戻った時点で検査データ214は処理または分析され得る。
【0046】
描かれた例では、検査データ214の取得後、再始動コマンド226を資産に送信することができ(ブロック222)、資産に、動作の何らかの態様が検査のために停止または修正された場合に動作を再開するように指示する(ブロック230)。さらに、追加の資産を検査する場合、ドローン50は、飛行計画140などに従って、次の資産に進むことができる(ブロック234)。そのような状況では、ドローン(複数可)50が資産に近づくと、その動作を停止または変更するために、検査される次の資産に動作コマンド190を発行することができ(ブロック194)、図5に示すプロセスが再び開始される。
【0047】
図5は一般化された検査プロセスフローを表すが、図6は実世界の実施態様、ここでは風力タービン発電機の検査に対応するプロセスフローのステップに関するものである。従来の手法とは異なり、以下で説明するように、本手法は、風力タービン発電機のSCADA動作データを統合して、ドローン接近に基づいて検査ドローンが近づいたとき(飛行中など)にタービンの動作を指令または調整する。この例では、ステップ250において、飛行制御装置90の一部として実装され得るようなドローン検査マネージャ(DIM)ルーチンが、検査される風力タービン発電機10と通信するSCADAに停止コマンドを送信する。それに応答して、ステップ254において、SCADAはそれぞれの風力タービン発電機10に停止コマンドを送信する。停止コマンドを受信すると、風力タービン発電機10は、ラビットイヤーのブレード向きになるなどして、ブレードの回転を停止し(ブロック258)、停止した動作状態を確認する確認をDIMに送信する。図示の例では、風力タービン発電機が停止すると、SCADAはそれぞれの風力タービン発電機のナセルヨーおよびブレード位置を決定し、この情報をDIMに送信する(ブロック262)。SCADAから受信した動作データに基づいて、DIMは、風力タービン発電機を検査する1つまたは複数のドローン50に飛行計画を通信する(ブロック266)。ドローン(複数可)は、飛行計画に従って風力タービン発電機を検査する(ブロック270)。この例では、ドローン(複数可)50は、暗号化されたネットワーク接続などを介してDIMに画像データを送り返す。
【0048】
検査が完了すると、ドローン(複数可)50は風力タービン発電機を離れ(ブロック274)、DIMは再始動コマンドをSCADAに送信する。再始動コマンドに応答して、SCADAは風力タービン発電機に動作を再開するように指示する(ブロック278)。追加の風力タービン発電機を検査する場合、ドローン(複数可)50は次の検査対象に移動し(ブロック282)、プロセスが繰り返される。すべての発電機が検査されると、ドローン(複数可)は基地に戻る。
【0049】
本発明の技術的効果は、風力タービン(または他の資産)からの動作データを統合して飛行経路を調整するか、またはその他の方法で、検査を行うドローンを制御するシステムを含む。ドローンの近接性および検査の状況に基づいて、資産(例えば、風力タービン)の動作も適応または調整され得、資産の動作中に動く部分の検査を容易にする。
【0050】
本明細書では、最良の形態を含む本発明を開示し、また、任意のデバイスまたはシステムを作製および使用し、組み込まれた任意の方法を実行することを含め、当業者が本発明を実施することをも可能にするために、例を使用する。本発明の特許性のある範囲は特許請求の範囲によって定義され、当業者が想起する他の例を含み得る。そのような他の例は、それらが請求項の文字通りの文言と異ならない構造要素を有する場合、またはそれらが請求項の文字通りの文言とほとんど異ならない同等の構造要素を含む場合、請求項の範囲内にあることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6