(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-07
(45)【発行日】2024-03-15
(54)【発明の名称】ガイド管ボルト抜き工具およびそのガイド管ボルト抜き工具を用いたガイド管ボルト抜き方法。
(51)【国際特許分類】
H02G 1/06 20060101AFI20240308BHJP
H02G 9/06 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
H02G1/06
H02G9/06
(21)【出願番号】P 2020034529
(22)【出願日】2020-02-29
【審査請求日】2023-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】598132727
【氏名又は名称】株式会社インテ
(74)【代理人】
【識別番号】100130144
【氏名又は名称】前田 健壱
(72)【発明者】
【氏名】家永 義次
【審査官】東 昌秋
(56)【参考文献】
【文献】実開平4-34582(JP,U)
【文献】実公昭43-12923(JP,Y1)
【文献】実開平5-93639(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/00- 1/10
H02G 9/00- 9/12
B25B 25/00-33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中電線管路からマンホール地下室内に敷設された電力ケーブルの外周面を覆う2つ割れのケーブルガイド管の取り換えを容易にするガイド管ボルト抜き工具であって、
2つ割れのケーブルガイド管の間にケーブルを挟み込んだ状態で、2つ割れの該ケーブルガイド管同士を結合するために該ケーブルガイド管のボルト挿入孔に挿入されたボルトに
該ボルト挿入孔の軸方向の押圧力を付与するボルト押圧力付与手段と、
該ボルト押圧力付与手段の先端部に着脱自在に取り付けられ、先端から
前記ボルト挿入孔に挿入可能な形状で、前記ボルト押圧力付与手段の押圧力によりボルトを押圧するボルト押圧ピンと、を有し、
前記ケーブルガイド管が腐食し
前記ボルト挿入孔に挿入されたボルトが引き抜きにくくなった場合でも、前記ボルト押圧ピンによりボルトが押圧されることにより、
該ボルト挿入孔からボルトの引き抜きが容易になることを特徴とするガイド管ボルト抜き工具。
【請求項2】
前記ボルト押圧力付与手段の先端部に着脱自在に取り付けられ、先端部がボルト挿入孔口より大きな面積の形状で、前記ボルト押圧力付与手段の押圧力によりボルトを押圧するヘッドキャップと、を有し、
前記ボルト押圧力付与手段の先端部には、前記ボルト押圧ピンもしくは前記ヘッドキャップが取り付けられることを特徴とする請求項1記載のガイド管ボルト抜き工具。
【請求項3】
側方が
前記ケーブルガイド管の
前記ボルト挿入孔が形成された箇所の外面に係止可能な形状で形成されたガイド管支持部材を、さらに有し、
前記ボルト押圧ピンは、前記ガイド管支持部材が
前記ケーブルガイド管の
前記ボルト挿入孔が形成された箇所の外面に係止されることにより、
該ケーブルガイド管の
該ボルト挿入孔に挿入されたボルトの軸先端方向の位置になることを特徴とす
る請求項2記載のガイド管ボルト抜き工具。
【請求項4】
前記ボルト押圧力付与手段は、油圧ポンプからの油圧力によりシリンダ内のピストンに結合されたピストンロッドが
該シリンダ外方向に移動され、該ピストンロッドによりボルトに
前記ボルト挿入孔の軸方向の押圧力を付与することを特徴とする請求項3記載のガイド管ボルト抜き工具。
【請求項5】
地中電線管路からマンホール地下室内に敷設された電力ケーブルの外周面を覆う2つ割れの
前記ケーブルガイド管の取り換えを容易にするガイド管ボルト抜き工具を用いたガイド管ボルト抜き方法であって、
前記ケーブルガイド管の
前記ボルト挿入孔に挿入されたボルトからナットを取外すナット取外工程と、
前記ボルト押圧力付与手段の先端部に前記ヘッドキャップを取り付けるヘッドキャップ取付工程と、
前記ケーブルガイド管の
前記ボルト挿入孔が形成された箇所の外面に側方から前記ガイド管支持部材を係止させるガイド管支持部材設置工程と、
前記ボルト押圧力付与手段の先端部に取り付けられた前記ヘッドキャップよりボルトを押圧するヘッドキャップボルト押圧工程と、
前記ボルト押圧力付与手段の先端部に取り付けられた前記ヘッドキャップを取り外し、前記ボルト押圧ピンを取り付けるボルト押圧ピン取付工程と、
前記ボルト押圧力付与手段の先端部に取り付けられた前記ボルト押圧ピンよりボルトを押圧するボルト押圧ピンボルト押圧工程と、を有し、
前記ヘッドキャップボルト押圧工程によりボルトの先端が押圧され、ボルトの先端が
前記ボルト挿入孔口に略到着した後に、前記ボルト押圧ピンボルト押圧工程が実施されることを特徴とする請求項4記載のガイド管ボルト抜き工具を用いたガイド管ボルト抜き方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中電線管路からマンホール地下室内に敷設された電力ケーブルの外周面を覆う2つ割れのケーブルガイド管の取り換えを容易にするガイド管ボルト抜き工具およびそのガイド管ボルト抜き工具を用いたガイド管ボルト抜き方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、地中電線管路101からマンホール地下室内に敷設された電力ケーブルWの外周面を覆うケーブルガイド管102が知られている(
図12参照)。このケーブルガイド管102は、地中電線管路101からマンホールへのケーブル延び出し部を支持するため、地中電線管路口101の直前に配置されている(例えば、特許文献1)。すなわち、ケーブルガイド管102は、CVケーブルの電力ケーブルWが電流負荷や気温によりケーブルの軸方向に熱伸縮することから、地中電線管路101からマンホールへのケーブル延び出し部を支持するために設けられている。ここで、
図12は、従来のケーブルガイド管が設置された地中電線管路を示す概略図である。
【0003】
このケーブルガイド管102は、二つ割れの構造で、その二つ割れのケーブルガイド管102の間にCVケーブルが挟み込まれた後、ケーブルガイド管102のボルト挿入孔にボルトを挿入し、そのボルトをナットで締め付けることにより、CVケーブルの外周面方向にケーブルガイド管102が取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ケーブルガイド管は、アルミニウムを材質として形成されているため、CVケーブルの外周面を覆うケーブルガイド管が長年使用されると、アルミ製のケーブルガイド管が腐食(電食含む)することにより、ケーブルガイド管とボルト(ナットを含む)が固着し、ケーブルガイド管の取換工事を行うことが困難になるという問題があった。このように、ケーブルガイド管が腐食することにより、ケーブルガイド管からボルトを引き抜くことが困難であったので、ケーブルガイド管の取換工事において、グラインダー等を用いてケーブルガイド管を切断して、ケーブルガイド管を取り換える必要があったが、グラインダー等を用いてケーブルガイド管を切断すると、グラインダー等の歯によりCVケーブルが損傷する場合があり、CVケーブルが損傷するとその損傷したCVケーブルを修復または交換せざるを得なくなるという大きな問題が生じていた。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、地中電線管路からマンホール地下室内に敷設された電力ケーブルに用いられる2つ割れのケーブルガイド管の取り換えを容易にするとともに、ケーブルガイド管取換工事において、電力ケーブルが損傷することがなく、電力ケーブルの安全性を向上させることができるガイド管ボルト抜き工具およびそのガイド管ボルト抜き工具を用いたガイド管ボルト抜き方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決し上記目的を達成するために、本発明のうち第1の態様に係るものは、地中電線管路からマンホール地下室内に敷設された電力ケーブルの外周面を覆う2つ割れのケーブルガイド管の取り換えを容易にするガイド管ボルト抜き工具であって、2つ割れのケーブルガイド管の間にケーブルを挟み込んだ状態で、2つ割れの該ケーブルガイド管同士を結合するためにケーブルガイド管のボルト挿入孔に挿入されたボルトにボルト挿入孔の軸方向の押圧力を付与する
ボルト押圧力付与手段と、ボルト押圧力付与手段の先端部に着脱自在に取り付けられ、先端からボルト挿入孔に挿入可能な形状で、ボルト押圧力付与手段の押圧力によりボルトを押圧するボルト押圧ピンと、を有し、ケーブルガイド管が腐食しボルト挿入孔に挿入されたボルトが引き抜きにくくなった場合でも、ボルト押圧ピンによりボルトが押圧されることにより、ボルト挿入孔からボルトの引き抜きが容易になることを特徴とするものである。
【0008】
本発明によれば、先端からボルト挿入孔に挿入可能な形状のボルト押圧ピンでボルトの先端を押圧させることにより、ボルト挿入孔からボルトが引き抜きやすくすることができ、地中電線管路からマンホール地下室内に敷設された電力ケーブルの外周面を覆う2つ割れのケーブルガイド管の取り換えを容易にすることができる。
【0009】
本発明のうち第2の態様に係るものは、第1の態様に係るガイド管ボルト抜き工具であって、ボルト押圧力付与手段の先端部に着脱自在に取り付けられ、先端部がボルト挿入孔口より大きな面積の形状で、ボルト押圧力付与手段の押圧力によりボルトを押圧するヘッドキャップと、を有し、ボルト押圧力付与手段の先端部には、ボルト押圧ピンもしくはヘッドキャップが取り付けられることを特徴とするものである。
【0010】
本発明によれば、ボルト押圧力付与手段の先端部にボルト押圧ピンもしくはヘッドキャップのいずれかが取り付けられるので、まず、先端部がボルト挿入孔口より大きな面積のヘッドキャップによりボルトの先端を押圧させることにより、大きな面積でボルトを確実に押圧させ、そして、ボルトの先端がボルト挿入孔口に略到着した後に、先端からボルト挿入孔に挿入可能な形状のボルト押圧ピンでボルトの先端を押圧させることにより、ボルト押圧ピンをボルト挿入孔に挿入させてボルトの先端を押圧させることができる。これにより、ボルトがボルト挿入孔から引き抜きやすくなり、地中電線管路内に敷設された電力ケーブルの外周面を覆うケーブルガイド管の取り換えを容易にすることができる。
【0011】
本発明のうち第3の態様に係るものは、第2の態様に係るガイド管ボルト抜き工具であって、側方がケーブルガイド管のボルト挿入孔が形成された箇所の外面に係止可能な形状で形成されたガイド管支持部材を、さらに有し、 ボルト押圧ピンは、ガイド管支持部材がケーブルガイド管のボルト挿入孔が形成された箇所の外面に係止されることにより、ケーブルガイド管のボルト挿入孔に挿入されたボルトの軸先端方向の位置になることを特徴とするものである。
【0012】
本発明によれば、側方がケーブルガイド管のボルト挿入孔が形成された箇所の外面に係止可能な形状で形成されたガイド管支持部材を有しているので、ガイド管支持部材をケーブルガイド管のボルト挿入孔が形成された箇所の外面に係止されることにより、ボルト押圧ピンをケーブルガイド管のボルト挿入孔に挿入されたボルトの軸先端方向の位置にすることができ、ボルト押圧ピンをケーブルガイド管のボルト挿入孔に確実に挿入させることができる。
【0013】
本発明のうち第4の態様に係るものは、第3の態様に係るガイド管ボルト抜き工具であって、ボルト押圧力付与手段は、油圧ポンプからの油圧力によりシリンダ内のピストンに結合されたピストンロッドがシリンダ外方向に移動され、ピストンロッドによりボルトにボルト挿入孔の軸方向の押圧力を付与することを特徴とするものである。
【0014】
本発明によれば、油圧ポンプからの油圧力によりシリンダ内のピストンに結合されたピストンロッドがシリンダ外方向に移動され、ピストンロッドによりボルトにボルト挿入孔の軸方向の押圧力が付与されるので、油圧によるより強い押圧力でボルトを押圧させることができる。これにより、ケーブルガイド管が腐食しケーブルガイド管とボルトが固着していても、ボルトがボルト挿入孔から引き抜きやすくなり、地中電線管路からマンホール地下室内に敷設された電力ケーブルの外周面を覆う2つ割れのケーブルガイド管の取り換えを容易にすることができる。
【0015】
本発明のうち第5の態様に係るものは、第4の態様に係るガイド管ボルト抜き工具を用いたガイド管ボルト抜き方法であって、地中電線管路からマンホール地下室内に敷設された電力ケーブルの外周面を覆う2つ割れのケーブルガイド管の取り換えを容易にするガイド管ボルト抜き工具を用いたガイド管ボルト抜き方法であって、ケーブルガイド管のボルト挿入孔に挿入されたボルトからナットを取外すナット取外工程と、ボルト押圧力付与手段の先端部にヘッドキャップを取り付けるヘッドキャップ取付工程と、ケーブルガイド管のボルト挿入孔が形成された箇所の外面に側方からガイド管支持部材を係止させるガイド管支持部材設置工程と、ボルト押圧力付与手段の先端部に取り付けられたヘッドキャップよりボルトを押圧するヘッドキャップボルト押圧工程と、ボルト押圧力付与手段の先端部に取り付けられたヘッドキャップを取り外し、ボルト押圧ピンを取り付けるボルト押圧ピン取付工程と、ボルト押圧力付与手段の先端部に取り付けられたボルト押圧ピンよりボルトを押圧するボルト押圧ピンボルト押圧工程と、を有し、ヘッドキャップボルト押圧工程によりボルトの先端が押圧され、ボルトの先端がボルト挿入孔口に略到着した後に、ボルト押圧ピンボルト押圧工程が実施されることを特徴とするものである。
【0016】
本発明によれば、ヘッドキャップボルト押圧工程によりボルトの先端が押圧され、ボルトの先端がボルト挿入孔口に略到着した後に、ボルト押圧ピンボルト押圧工程が実施されるので、ヘッドキャップボルト押圧工程により先端部がボルト挿入孔口より大きな面積のヘッドキャップによりボルトが押圧され、そして、ボルトの先端がボルト挿入孔口に略到着した後に、ボルト押圧ピンボルト押圧工程によりボルト押圧ピンをボルト挿入孔に挿入させてボルトの先端が押圧されることにより、ケーブルガイド管が腐食しケーブルガイド管とボルトが固着していても、ボルト挿入孔からボルトを確実に引き抜くことができ、地中電線管路からマンホール地下室内に敷設された電力ケーブルの外周面を覆う2つ割れのケーブルガイド管の取り換えを容易にすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のガイド管ボルト抜き工具およびそのガイド管ボルト抜き工具を用いたガイド管ボルト抜き方法によれば、ケーブルガイド管が腐食しケーブルガイド管とボルトが固着していても、ボルト挿入孔からボルトを確実に引き抜くことができ、地中電線管路からマンホール地下室内に敷設された電力ケーブルに用いられる2つ割れのケーブルガイド管の取り換えを容易にするとともに、ケーブルガイド管取換工事において、電力ケーブルが損傷することがなく、電力ケーブルの安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態におけるケーブルガイド管が設置されたマンホール地下室内を示す概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態におけるマンホール地下室内に設置されたケーブルガイド管を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態におけるガイド管ボルト抜き工具の下方斜視図である。
【
図5】同ガイド管ボルト抜き工具の上方斜視図である。
【
図6】同ガイド管ボルト抜き工具を分解した状態を示す図である。
【
図7】同ガイド管ボルト抜き工具と油圧ポンプが結合された状態を示す図である。
【
図8】(a)同ガイド管ボルト抜き工具のボルト押圧ピンの下部斜視図である。 (b)同ガイド管ボルト抜き工具のヘッドキャップの下部斜視図である。
【
図9】本発明の一実施形態におけるガイド管ボルト抜き工具を用いたガイド管ボルト抜き方法のフローチャートである。
【
図10】同ガイド管ボルト抜き工具のヘッドキャップによりボルトを押圧する状況を示す図である。
【
図11】同ガイド管ボルト抜き工具のボルト押圧ピンによりボルトを押圧する状況を示す図である。
【
図12】従来のケーブルガイド管が設置された地中電線管路を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
まず、ケーブルガイド管が設置された地中電線管路について説明する。ここで、
図1は本発明の一実施形態におけるケーブルガイド管が設置されたマンホール地下室内を示す概略図であり、
図2は本発明の一実施形態におけるマンホール地下室内に設置されたケーブルガイド管を示す図であり、
図3は同ケーブルガイド管の斜視図である。
【0020】
図1に示すように、地中電線管路1内にはCVケーブルからなる電力ケーブル(電線)2が敷設され、地中電線管路1のマンホール地下室3a内では左右の電力ケーブル(電線)2がケーブル接続部4により接続されている。そして、マンホール3内の電力ケーブル(電線)2は、電流負荷や気温により軸方向に熱伸縮するため、地中電線管路1の管路口1aからケーブル接続部4までの電力ケーブル2はS字形状(オフセット部)で配置され、その電力ケーブル2の長さ方向の熱伸縮を吸収できるようにされている。また、地中電線管路1の管路口1aのマンホール3側と、マンホール3内でケーブル接続部4の左右側には、ケーブルガイド管5が設けられている。そして、そのケーブルガイド管5により、電力ケーブル2が長さ方向に熱伸縮した場合でも、電力ケーブル2が所定の位置になるように電力ケーブル2が案内(ガイド)され、地中電線管路1の管路口1aからケーブル接続部4までの電力ケーブル2が適切な位置に配置されるようになっている。このケーブル接続部4の左右のケーブルガイド管5は、マンホール地下室3a内のサポート6に設置された支持材6aに取り付けられ、地中電線管路1の管路口1aのマンホール3側のケーブルガイド管5は、地中電線管路1の管路口1aのマンホール3側の壁面に設置された支持材6aに取り付けられている。そのケーブルガイド管5の取付けは、ケーブルガイド管5下部のガイド管設置ボルト挿入孔5a(
図3参照)にガイド管設置ボルト8(
図2参照)を挿入し、そのガイド管設置ボルト8をガイド管設置ナット(図示略)で締め付けることにより支持材6aに取り付けられる。ここで、ケーブルガイド管5は、2つ割れ形状で形成され、2つ割れのケーブルガイド管5の間に電力ケーブル2を挟み込んだ後に、ケーブルガイド管5のボルト挿入孔5bにボルト7aを挿入させ、ボルト7aの先端からナット7bで締め付けることにより、電力ケーブル2の外周面にケーブルガイド管5が取り付けられる(
図2、
図3参照)。また、ケーブルガイド管5の内径は、電力ケーブル2の外径より大きく形成されているので、電力ケーブル2が軸方向に熱伸縮した場合でも、ケーブルガイド管5内を電力ケーブル2の長さ方向に自由に移動することができる。
【0021】
次に、本発明の一実施形態におけるガイド管ボルト抜き工具9について具体的に説明する。ここで、
図4は本発明の一実施形態におけるガイド管ボルト抜き工具の下方斜視図であり、
図5は同ガイド管ボルト抜き工具の上方斜視図であり、
図6は同ガイド管ボルト抜き工具を分解した状態を示す図であり、
図7は同ガイド管ボルト抜き工具と油圧ポンプが結合された状態を示す図であり、
図8(a)は同ガイド管ボルト抜き工具のボルト押圧ピンの下部斜視図であり、
図8(b)は同ガイド管ボルト抜き工具のヘッドキャップの下部斜視図である。
【0022】
ガイド管ボルト抜き工具9は、地中電線管路1からマンホール地下室3a内に敷設された電力ケーブル(電線)2の外周面を覆う2つ割れのケーブルガイド管5の取り換えを容易にするものである。具体的には、マンホール地下室3a内に敷設された電力ケーブル(電線)2の外周面を覆うケーブルガイド管5の取り外しに用いられる。ガイド管ボルト抜き工具9は、ジャッキ部10と、ガイド管支持部材11と、ボルト押圧ピン12と、ヘッドキャップ13と、を有している。そして、ジャッキ部10は、油圧ホース14を介し油圧ポンプ15と結合されている(
図7参照)。
【0023】
ジャッキ部10は、シリンダ10a内にピストン10bが備えられ、そのピストン10bにピストンロッド10c(ボルト押圧力付与手段)が結合されている(
図6参照)。また、ジャッキ部10の先端には係合凸部10dが形成され、その係合凸部10dの外面には雄螺子が形成されている。さらに、ピストンロッド10cの先端にはピストンロッド先端凹部10eが形成され、そのピストンロッド先端凹部10eの内面には雌螺子が形成されている。
【0024】
ジャッキ部10は、油圧ポンプ15からの油圧力によりシリンダ10a内のピストン10bに結合されたピストンロッド10cがシリンダ10a外方向に移動され、そのピストンロッド10cによりボルト7aにボルト挿入孔5bの軸方向の押圧力が付与される(
図6、
図7参照)。具体的には、油圧ポンプ15から作動油が油圧ホース14に送られ、その油圧ポンプ15から油圧ホース14を介し送られてきた作動油により、シリンダ10a内のピストン10bに結合されたピストンロッド10cがシリンダ10a外方向に移動され、そして、そのピストンロッド10cによりボルト7aにボルト挿入孔5bの軸方向の押圧力が付与される。なお、本実施形態では、ピストンロッド10cをボルト押圧力付与手段としたが、これに限らず、ジャッキ部10全体をボルト押圧力付与手段としてもよく、また、ケーブルガイド管5のボルト挿入孔5bに挿入されたボルト7aにボルト挿入孔5bの軸方向の押圧力を付与するものであれば、他の構成からなるものをボルト押圧力付与手段としてもよい。
【0025】
ガイド管支持部材11は、上部に外径50mm、内径42mmの上方中空部11aが形成され、その上方中空部11aの下部に上方中空部11aと連通して内径28mmの中間中空部11bが形成され、その下部は中間中空部11bと連通して内径21mmの下方中空部11cが形成されている(
図6参照)。そして、ガイド管支持部材11の中間中空部11bは、側方がケーブルガイド管5のボルト挿入孔5bが形成された箇所の外面に係止可能な形状で形成されている。すなわち、中間中空部11bは、その側方からケーブルガイド管5のボルト挿入孔5bが形成された箇所の外面が挿入され、この状態で、ボルト挿入孔5bに挿入されたボルト7aの頭部が下方中空部11cに挿入された状態となる(
図10、
図11参照)。そして、中間中空部11bの内周面とケーブルガイド管5のボルト挿入孔5bが形成された箇所の外面が接しながら、ガイド管支持部材11がケーブルガイド管5のボルト挿入孔5bが形成された箇所の外面に係止される。このように、ガイド管支持部材11がケーブルガイド管5のボルト挿入孔5bが形成された箇所の外面に係止されることにより、ボルト押圧ピン12をケーブルガイド管5のボルト挿入孔5bに挿入されたボルト7aの軸先端方向の位置にすることができる。ここで、ケーブルガイド管5のボルト挿入孔5bに挿入されたボルト7aの軸先端方向の位置というのは、ケーブルガイド管5のボルト挿入孔5bに挿入されているボルト7aの先端からボルト7a軸の延長上の位置という意味である。また、ガイド管支持部材11の上方中空部11aには、ジャッキ部10下部の係合凸部10dが挿入され、ガイド管支持部材11の上方中空部11a内面の雌螺子とジャッキ部10下部の係合凸部10d外面の雄螺子が螺合することにより、ジャッキ部10とガイド管支持部材11とが結合される。さらに、ガイド管支持部材11のボルト挿入孔5bが形成された箇所の外面が挿入される側の反対面には、使用者がガイド管支持部材11を把持するためのガイド管支持部材把持部11dが形成されている。
【0026】
ボルト押圧ピン12は、先端からケーブルガイド管5のボルト挿入孔5bに挿入可能な形状で、ピストンロッド10cの先端部に着脱自在に取り付けられ、ピストンロッド10cの押圧力によりボルト7aを押圧するものである。具体的には、ボルト押圧ピン12は、先方が外径9mm、長さ30mmの円柱形状のボルト押圧ピン先方部12aで、後方が外径20mm、長さ18mmの円柱形状のボルト押圧ピン後方部12bで構成されている(
図8(a)参照)。このように、ボルト押圧ピン12は、ボルト押圧ピン先方部12aの外径が9mmで、ボルト押圧ピン後方部12bの外径が20mmであるので、ガイド管支持部材11の上方中空部11a(内径42mm)から中間中空部11b(内径28mm)を介し下方中空部11c(内径21mm)まで貫通させることができる。また、ボルト押圧ピン12は、ピストンロッド10cの先端に形成されたピストンロッド先端凹部10eにボルト押圧ピン後方部12bが挿入され、ピストンロッド先端凹部10e内面の雌螺子とボルト押圧ピン後方部12b外面の雄螺子が螺合することにより、ピストンロッド10cとボルト押圧ピン12とが結合される。
【0027】
ヘッドキャップ13は、先端部がボルト挿入孔口(ボルト挿入孔5bの入口)より大きな面積の形状で、ピストンロッド10cの先端部に着脱自在に取り付けられ、ピストンロッド10cの押圧力によりボルト7aを押圧するものである。具体的には、ヘッドキャップ13は、外径25mm、長さ18mmの円柱形状で構成されている(
図8(b)参照)。また、ヘッドキャップ13は、ヘッドキャップ13の後方からピストンロッド10cの先端に形成されたピストンロッド先端凹部10eに挿入され、ピストンロッド先端凹部10e内面の雌螺子とヘッドキャップ13外面の雄螺子が螺合することにより、ピストンロッド10cとヘッドキャップ13とが結合される。
【0028】
次に、マンホール地下室3a内に敷設された電力ケーブル(電線)2の外周面を覆う2つ割れのケーブルガイド管5からボルトを抜き取るガイド管ボルト抜き方法について説明する。ここで、
図9は本発明の一実施形態におけるガイド管ボルト抜き工具を用いたガイド管ボルト抜き方法のフローチャートであり、
図10は同ガイド管ボルト抜き工具のヘッドキャップによりボルトを押圧する状況を示す図であり、
図11は同ガイド管ボルト抜き工具のボルト押圧ピンによりボルトを押圧する状況を示す図である。ここで、「ケーブルガイド管5からボルトを抜き取る」とは、ボルト全体がケーブルガイド管5から抜き取られる場合のみならず、ボルトの一部がケーブルガイド管5から抜き取られる場合も含まれる。
【0029】
まず、S1において、ナット取外工程が実施される。ナット取外工程では、ケーブルガイド管5のボルト挿入孔5bに挿入されたボルト7aからナット7bが取り外される。具体的には、ボルト7aに螺合されているナット7bをスパナなどを用いて外される。そして、S2に進む。
【0030】
S2において、ヘッドキャップ取付工程が実施される。このヘッドキャップ取付工程では、ピストンロッド10cの先端部にヘッドキャップ13が取り付けられる。具体的には、ピストンロッド10cの先端に形成されたピストンロッド先端凹部10eにヘッドキャップ13の後方部が挿入され、ヘッドキャップ13を回転させることにより、ピストンロッド先端凹部10eの内面に形成された雌螺子とヘッドキャップ13の後方外面に形成された雄螺子が螺合され、ピストンロッド10cの先端部にヘッドキャップ13が取り付けられる。そして、S3に進む。
【0031】
S3において、ガイド管支持部材設置工程が実施される。このガイド管支持部材設置工程では、ケーブルガイド管5のボルト挿入孔5bが形成された箇所の外面に側方からガイド管支持部材11が係止される。具体的には、ガイド管支持部材11の中間中空部11bの側方からケーブルガイド管5のボルト挿入孔5bが形成された箇所の外面が挿入されると、そのボルト挿入孔5bに挿入されたボルト7aの頭部が下方中空部11cに挿入された状態となり、ケーブルガイド管5のボルト挿入孔5bが形成された箇所の外面に側方からガイド管支持部材11が係止される。このように、ガイド管支持部材11の側方がケーブルガイド管5のボルト挿入孔5bが形成された箇所の外面に係止されるので、ボルト押圧ピン12をケーブルガイド管5のボルト挿入孔5bに挿入されたボルト7aの軸先端方向の位置にすることができ、ボルト押圧ピン12をケーブルガイド管5のボルト挿入孔5bに確実に挿入させることができるようになる。そして、S4に進む。
【0032】
S4において、ヘッドキャップボルト押圧工程が実施される。このヘッドキャップボルト押圧工程では、ピストンロッド10cの先端部に取り付けられたヘッドキャップ13よりボルト7aが押圧される(
図9参照)。具体的には、油圧ポンプ15から作動油が油圧ホース14に送られ、その油圧ポンプ15から油圧ホース14を介し送られてきた作動油により、シリンダ10a内のピストン10bに結合されたピストンロッド10cがシリンダ10a外方向に移動され、そして、そのピストンロッド10cの先端部に取り付けられたヘッドキャップ13によりケーブルガイド管5のボルト挿入孔5bに挿入されたボルト7aが押圧される。これにより、ヘッドキャップ13の先端部はボルト挿入孔口(ボルト挿入孔5bの入口)より大きな面積を有しているので、そのヘッドキャップ13によりボルト7aの先端を確実に押圧させることができる。そして、S5に進む。
【0033】
S5において、ボルトの先端がボルト挿入孔口(ボルト挿入孔5bの入口)に略到着したかが判断される。具体的には、ヘッドキャップ13よりボルト7aが押圧されることにより、ボルト7aの先端がケーブルガイド管5のボルト挿入孔5bの内部方向に移動するので、そのボルト7aの先端がケーブルガイド管5のボルト挿入孔5bの入口付近まで移動したかが判断される。そして、S5で「NO」と判断された場合は、S5で「YES」と判断されるまで、S5→S4→S5の処理が継続して実施される。また、S5で「YES」と判断された場合はS6に進む。
【0034】
S6において、ボルト押圧ピン取付工程が実施される。このボルト押圧ピン取付工程では、ピストンロッド10cの先端部に取り付けられたヘッドキャップ13が取り外され、ボルト押圧ピン12が取り付けられる。具体的には、ヘッドキャップ13を回転させて、ピストンロッド10cの先端部からヘッドキャップ13が取り外され、そして、ピストンロッド10cの先端内に形成されたピストン摺動部先端凹部10eにボルト押圧ピン12のボルト押圧ピン後方部12bが挿入され、ボルト押圧ピン12を回転させることにより、ピストン摺動部先端凹部10e内面に形成された雌螺子とボルト押圧ピン後方部12b外面に形成された雄螺子が螺合され、ピストンロッド10cの先端部にボルト押圧ピン12が取り付けられる。そして、S7に進む。
【0035】
S7において、ボルト押圧ピンボルト押圧工程が実施される。このボルト押圧ピンボルト押圧工程では、ボルト押圧ピン取付工程によって取り付けられたボルト押圧ピン12よりボルト7aが押圧される(
図11参照)。具体的には、油圧ポンプ15から油圧ホース14を介し送られてきた作動油により、シリンダ10a内のピストン10bに結合されたピストンロッド10cがシリンダ10a外方向に移動され、そして、そのピストンロッド10cの先端部に取り付けられたボルト押圧ピン12よりボルト7aが押圧される。そして、ボルト押圧ピン12は、ボルト挿入孔5bに挿入可能な寸法で形成されているので、先端からボルト挿入孔5bに挿入され、ボルト7aの先端が押圧される。以上により、「ガイド管ボルト抜き方法」が完了する。なお、上述した工程によりガイド管ボルト抜き方法は構成されるが、ガイド管ボルト抜き方法が完了した後には、通常、ガイド管取外工程→ガイド管装着工程が実施される。以下において、上述した工程(S1~S7)に「ガイド管取外工程」と「ガイド管装着工程」を付加した「ケーブルガイド管取換方法」についても説明する。
【0036】
ガイド管取外工程は、ボルト押圧ピンボルト押圧工程によりボルト7aが押圧され、ケーブルガイド管5が2つに分割可能になった後に、2つ割れのケーブルガイド管5が電力ケーブル2から取り外され、そして、ケーブルガイド管5が支持材6a(
図1参照)から取り外される。具体的には、ボルト押圧ピンボルト押圧工程により2つ割れのケーブルガイド管5がボルト7aにより締結されている箇所(2つに分割されたケーブルガイド管5が合わさっている箇所)までボルト7aが押圧され、ケーブルガイド管5が2つに分割可能になった後に、ケーブルガイド管5を2つに分離させ、2つ割れの上部のケーブルガイド管5が電力ケーブル2から取り外される。そして、ケーブルガイド管5は、支持材6aに取り付けられていることから、ガイド管設置ボルト挿入孔5a(
図3参照)に挿入されているガイド管設置ボルト8(
図2参照)を取り外すことにより、下部のケーブルガイド管5が支持材6aから取り外される。なお、電力ケーブル2は、2つ割れのケーブルガイド管5がボルト7aにより締結されている箇所までボルト7aが押圧されれば、2つ合わさっているケーブルガイド管5を分離できるので、ケーブルガイド管5のボルト挿入孔5bからボルト7aが引き抜かれる前に、ケーブルガイド管5を電力ケーブル2から取り外してもよい。また、地中電線管路1の管路口1aのマンホール3側のケーブルガイド管5も同様の方法で取り外される。
【0037】
ガイド管装着工程は、ガイド管取外工程により取り外されたケーブルガイド管5の箇所に、新たなケーブルガイド管5が装着される。具体的には、ガイド管取外工程により取り外されたケーブルガイド管5が取り付けられていた箇所の支持材6aに新たな2つに分割されたケーブルガイド管5の下方のケーブルガイド管5を位置させ、その下方のケーブルガイド管5のガイド管設置ボルト挿入孔5a(
図3参照)にガイド管設置ボルト8(
図2参照)を挿入しガイド管設置ナット(図示略)を締め付けることにより、下方のケーブルガイド管5が支持材6aに装着される。そして、下方のケーブルガイド管5の上部に電力ケーブル(電線)2と上方のケーブルガイド管5を重ね合わせることにより、2つに分割されたケーブルガイド管5の間に電力ケーブル(電線)2が挟み込まれ、そして、ケーブルガイド管5のボルト挿入孔5bにボルト7aを挿入させ、そのボルト7aをナット7bにより締め付けることにより、新たなケーブルガイド管5が装着される。これにより、ケーブルガイド管取換方法が終了する。
【0038】
以上説明したように、先端からボルト挿入孔5bに挿入可能な形状のボルト押圧ピン12でボルト7aの先端を押圧させることにより、ボルト挿入孔5bからボルト7aを引き抜きやすくすることができる。これにより、ケーブルガイド管5が腐食しケーブルガイド管5とボルト7aが固着していても、ボルト挿入孔5bからボルト7aを確実に引き抜くことができ、地中電線管路1からマンホール地下室3a内に敷設された電力ケーブル2の外周面を覆う2つ割れのケーブルガイド管5の取り換えを容易にすることができる。
【0039】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。さらに本発明の範囲は、上記した説明ではなく特許請求の範囲の記載によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0040】
1 地中電線管路
1a 管路口
2 電力ケーブル
3 マンホール
3a マンホール地下室
4 ケーブル接続部
5 ケーブルガイド管
5a ガイド管設置ボルト挿入孔
5b ボルト挿入孔
6 サポート
6a 支持材
7a ボルト
7b ナット
8 ガイド管設置ボルト
9 ガイド管ボルト抜き工具
10 ジャッキ部
10a シリンダ
10b ピストン
10c ピストンロッド
10d 係合凸部
10e ピストンロッド先端凹部
11 ガイド管支持部材
11a 上方中空部
11b 中間中空部
11c 下方中空部
11d ガイド管支持部材把持部
12 ボルト押圧ピン
12a ボルト押圧ピン先方部
12b ボルト押圧ピン後方部
13 ヘッドキャップ
14 油圧ホース
15 油圧ポンプ