(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-07
(45)【発行日】2024-03-15
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E06B 5/16 20060101AFI20240308BHJP
E06B 7/23 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
E06B5/16
E06B7/23 A
(21)【出願番号】P 2020042948
(22)【出願日】2020-03-12
【審査請求日】2023-01-04
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】小宮 朋和
(72)【発明者】
【氏名】北村 真吾
(72)【発明者】
【氏名】加賀 翔大
(72)【発明者】
【氏名】藤田 彩香
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-46749(JP,A)
【文献】特開平5-280259(JP,A)
【文献】特開2019-85835(JP,A)
【文献】特開2015-67975(JP,A)
【文献】特開2019-131972(JP,A)
【文献】特開2015-86670(JP,A)
【文献】特開2014-77309(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 5/16
E06B 7/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体と、
該枠体の内部に配置される第一扉及び第二扉と、を備え、
前記第一扉の戸先と前記第二扉の戸先とは、隙間を有して配置され、
前記第一扉の戸先の屋外側には、
屋外側に延びる親見込み面部、及び前記親見込み面部から見付け方向に沿う前記第二扉側に向かって延びる第一側戸当たり部が設けられ、
前記第二扉の戸先の屋内側には、
屋内側に延びる子見込み面部、及び前記子見込み面部から見付け方向に沿う前記第一扉側に向かって延びる第二側戸当たり部が設けられ、
前記第一側戸当たり部における屋内側を向く見付け面には、第一加熱発泡材が設けられ、
前記第二側戸当たり部における屋外側を向く見付け面には、第二加熱発泡材が設けられている建具。
【請求項2】
前記第一加熱発泡材の少なくとも一部は、前記第一扉の戸先の屋外側の端部と前記第二扉の戸先の屋外側の端部との隙間の見込み方向に沿う屋外側に配置されている請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記第二加熱発泡材の少なくとも一部は、前記第一扉の戸先の屋内側の端部と前記第二扉の戸先の屋内側の端部との隙間の見込み方向に沿う屋内側に配置されている請求項1または2に記載の建具。
【請求項4】
前記第一扉の戸先及び前記第二扉の戸先の少なくともいずれか一方の見込み面の下部には、第三加熱発泡材が設けられ
、
前記第三加熱発泡材の下部は、前記第二加熱発泡材よりも下側に配置されている請求項1から3のいずれか一項に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、防火用建具の両開きドアにおいては、親扉と子扉との間から可燃性ガスの通過を防止するために、親扉及び子扉の召合せ部に加熱発泡材を取り付けることがある。
【0003】
下記の特許文献1には、親扉に屋外側に設けられた煙返しにおける見込み面に加熱発泡材が設けられるとともに、子扉の見付け面にも親扉の加熱発泡材と対向するように加熱発泡材が設けられた両開きドアが提案されている。この両開きドアでは、火災時に、親扉の見込み面に設けられた加熱発泡材が子扉側に向かって幅方向に発泡して、子扉の見込み面に設けられた加熱発泡材が親扉側に向かって幅方向に発泡して、親扉と子扉との隙間を塞ぐようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の両開きドアでは、火災時の火炎によって親扉のような第一扉が屋外側に反ってしまうと、第一扉の見込み面に設けられた加熱発泡材は、第一扉と子扉のような第二扉との隙間から屋外側にずれた位置で発泡して、第一扉と第二扉との隙間を塞ぐことができないという問題点がある。
【0006】
そこで、本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、火災時に第一扉と第二扉との隙間を加熱発泡材で確実に塞ぐことができる建具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る建具は、枠体と、該枠体の内部に配置される第一扉及び第二扉と、を備え、前記第一扉の戸先と前記第二扉の戸先とは、隙間を有して配置され、前記第一扉の戸先の屋外側には、屋外側に延びる親見込み面部、及び前記親見込み面部から見付け方向に沿う前記第二扉側に向かって延びる第一側戸当たり部が設けられ、前記第二扉の戸先の屋内側には、屋内側に延びる子見込み面部、及び前記子見込み面部から見付け方向に沿う前記第一扉側に向かって延びる第二側戸当たり部が設けられ、前記第一側戸当たり部における屋内側を向く見付け面には、第一加熱発泡材が設けられ、前記第二側戸当たり部における屋外側を向く見付け面には、第二加熱発泡材が設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態に係る建具を屋内側から見た正面図。
【
図5】一実施形態に係る建具の第二扉の戸先の見込み面の上部を示す図。
【
図6】一実施形態に係る建具の第二扉の戸先の見込み面の下部を示す図。
【
図8】火災時に第一扉が反った場合の
図3のA部拡大図。
【
図9】一実施形態の変形例に係る建具の
図3のA部拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態に係る建具の一例として両開きドアについて、図面に基づいて説明する。
図1に示すように、両開きドア100は、建築物の外壁の外壁開口部Waに設けられている。両開きドア100は、枠体1と、親扉(第一扉)2と、子扉(第二扉)3と、を備えている。親扉2には後述する親側戸当たり41(
図3参照以下同じ。)が設けられているため、親扉2を屋外側に開けた後に、子扉3を屋外側に開けることが可能となる。
【0010】
以下の説明において、屋外側と屋内側とを結ぶ方向を屋内外方向(見込み方向)と称する。屋内外方向と直交する方向のうち、水平方向に沿う方向を幅方向(見付け方向)と称し、鉛直方向を上下方向と称する。
【0011】
枠体1は、四方枠状に形成されている。枠体1は、上枠11と、下枠12と、一対の縦枠13と、を有している。枠体は、下枠12を有さずに、上枠11及び一対の縦枠13のみを有していて、三方枠状に形成されていてもよい。
【0012】
上枠11及び下枠12は、幅方向に延びている。縦枠13は、上下方向に延びている。各縦枠13は、上枠11の端部と下枠12の端部とを連結している。本実施形態では、枠体1は、アルミニウム等の金属材料で構成されている。
【0013】
一対の縦枠13のうち、屋内側から見て左側(親扉2が配置される側)の縦枠13を縦枠13Xと称し、右側(子扉3が配置される側)の縦枠13を縦枠13Yと称することがある。
【0014】
親扉2は、枠体1の内部に幅方向の一方側に配置されている。子扉3は、枠体1の内部に幅方向の他方側に配置されている。本実施形態では、屋内側から見て、左側に親扉2が配置され、右側に子扉3が配置されているが、屋内側から見て、右側に親扉2が配置され、左側に子扉3が配置されていてもよい。
【0015】
親扉2は縦枠13Xに、不図示の丁番16(
図3参照)を介して屋外側に開閉可能に取り付けられている。
【0016】
親扉2は、親框体20と、親面材29と、を有している。親框体20は、四方枠状に形成されている。親面材29は、親框体20内に嵌め込まれている。
【0017】
親框体20は、親上框21と、親下框22と、親召合せ框23と、親吊元框24と、を有している。本実施形態では、親框体20は、アルミニウム等の金属材料で構成されている。
【0018】
親上框21及び親下框22は、幅方向に延びている。親召合せ框23及び親吊元框24は、上下方向に延びている。親召合せ框23は召合せ側に配置され、親吊元框24は吊元側に配置されている。親召合せ框23及び親吊元框24は、親上框21の端部と親下框22の端部とを連結している。
【0019】
親上框21と上枠11との間には、ドアクローザ26が設けられている。ドアクローザ26は、開いた親扉2と自動的に閉じる機能を有している。
【0020】
親召合せ框23には、ハンドル27が設けられている。ハンドル27によって、親扉2の開閉操作が可能とされている。ハンドルとして、いわゆるプッシュプルハンドルのハンドルやにぎり玉のドアノブ等を採用することもできる。
【0021】
親召合せ框23の後述する親戸先板部233(
図4参照)の上下方向の中間には、ラッチ23aが子扉3側に出没可能に設けられている。ラッチ23aが突出して、後述する子扉3のラッチ受け33aに係止されることで、親扉2と子扉3との仮保持が可能とされている。親召合せ框23には、デッドボルト等の施錠装置28が設けられている。施錠装置28によって、親扉2と子扉3との施錠及び解錠が可能とされている。
【0022】
子扉3は縦枠13Yに、不図示の丁番17(
図3参照)を介して屋外側に開閉可能に取り付けられている。
【0023】
子扉3は、子框体30と、子面材39と、を有している。子框体30は、四方枠状に形成されている。子面材39は、子框体30内に嵌め込まれている。
【0024】
子框体30は、子上框31と、子下框32と、子召合せ框33と、子吊元框34と、を有している。本実施形態では、子框体30は、アルミニウム等の金属材料で構成されている。
【0025】
子上框31及び子下框32は、幅方向に延びている。子召合せ框33及び子吊元框34は、上下方向に延びている。子召合せ框33は召合せ側に配置され、子吊元框34は吊元側に配置されている。子召合せ框33及び子吊元框34は、子上框31の端部と子下框32の端部とを連結している。
【0026】
子召合せ框33の子戸先板部333(
図4参照)には、内方に凹むようにラッチ受け33aが設けられている。親召合せ框23のラッチ23aは、ラッチ受け33aに係止可能とされている。
【0027】
図3に示すように、親扉2の親召合せ框23と子扉3の子召合せ框33との間は、幅方向に隙間s1を有して配置されている。
【0028】
以下、親扉2の親召合せ框23及び子扉3の子召合せ框33に設けられた加熱発泡材について説明する。
【0029】
まず、親召合せ框23の構成について説明する。
図4に示すように、親召合せ框23は、親屋外側板部231と、親屋内側板部232と、親戸先板部(戸先)233と、親中間板部234と、を有している。
【0030】
親屋外側板部231は、板状に形成されている。親屋外側板部231の板面は、屋内外方向を向いている。
【0031】
親屋内側板部232は、板状に形成されている。親屋内側板部232の板面は、屋内外方向を向いている。
【0032】
親戸先板部233は、板状に形成されている。親戸先板部233の板面は、幅方向を向いている。親戸先板部233は、親屋外側板部231の戸先側の端部と親屋内側板部232の戸先側の端部とを連結している。
【0033】
親中間板部234は、板状に形成されている。親中間板部234の板面は、幅方向を向いている。親中間板部234は、親屋外側板部231の戸先側と反対側の端部と親屋内側板部232の戸先側と反対側の端部とを連結している。
【0034】
親屋外側板部231、親屋内側板部232、親戸先板部233及び親中間板部234によって囲まれる内部は、水平断面視矩形状をなし、上下方向に延びる中空t1とされている。
【0035】
親屋外側板部231の戸先側の端部231eは、親戸先板部233よりも幅方向に沿って子扉3側に突出している。
【0036】
親屋外側板部231と親戸先板部233との角部には、親側戸当たり41が設けられている。親側戸当たり41は、親召合せ框23の上下方向の略全長にわたって設けられている。
【0037】
親側戸当たり41は、親見込み面部42と、親見付け面部(第一側戸当たり部)43と、を有している。
【0038】
親見込み面部42は、親屋外側板部231と親戸先板部233との角部から屋外側に延びている。親見込み面部42は、板状に形成されている。親見込み面部42の板面は、幅方向を向いている。
【0039】
親見付け面部43は、親見込み面部42の屋外側の端部から幅方向に沿って子扉3側に延びている。親見付け面部43は、板状に形成されている。親見付け面部43の板面は、屋内外方向を向いている。
【0040】
親屋内側板部232の戸先側の端部には、子扉3側に向かうにしたがって次第に屋外側に向かう傾斜片部232aが設けられている。
【0041】
次に、子召合せ框33の構成について説明する。子召合せ框33は、子屋外側板部331と、子屋内側板部332と、子戸先板部(戸先)333と、子中間板部334と、を有している。
【0042】
子屋外側板部331は、板状に形成されている。子屋外側板部331の板面は、屋内外方向を向いている。
【0043】
子屋内側板部332は、板状に形成されている。子屋内側板部332の板面は、屋内外方向を向いている。
【0044】
子戸先板部333は、板状に形成されている。子戸先板部333の板面は、幅方向を向いている。子戸先板部333は、子屋外側板部331の戸先側の端部と子屋内側板部332の戸先側の端部とを連結している。
【0045】
子中間板部334は、板状に形成されている。子中間板部334の板面は、幅方向を向いている。子中間板部334は、子屋外側板部331の戸先側と反対側の端部と子屋内側板部332の戸先側と反対側の端部とを連結している。
【0046】
子屋外側板部331、子屋内側板部332、子戸先板部333及び子中間板部334によって囲まれる内部は、水平断面視矩形状をなし、上下方向に延びる中空t2とされている。
【0047】
子屋外側板部331の戸先側の端部331eは、子戸先板部333よりも幅方向に沿って親扉2側に突出している。
【0048】
子屋内側板部332の戸先側の端部332eは、子戸先板部333よりも幅方向に沿って親扉2側に突出している。子屋内側板部332の端部332eには、屋外側に向かって折曲された係止片部332fが設けられている。
【0049】
子戸先板部333の屋内側の端部よりも僅かに屋外側には、親扉2側に向かって突出する突出片部333eが設けられている。突出片部333eの端部には、屋内側に向かって折曲された係止片部333fが設けられている。
【0050】
係止片部332f,333fの間には、タイト材50の基部51が係止されている。タイト材50の先端部52は、水平断面視略三角形状をなすとともに、内部が中空に形成されている。
【0051】
親扉2及び子扉3が閉じた状態で、タイト材50の先端部52の傾斜面53は、親扉2の傾斜片部232aに当接している。これによって、親扉2の親屋内側板部232と子扉3の子屋内側板部332の端部332eとの隙間s11及び隙間s11よりも屋内側に、風雨が吹き込むことが防止されている。
【0052】
子屋内側板部332と子戸先板部333との角部には、子側戸当たり46が設けられている。子側戸当たり46は、子召合せ框33の上下方向の略全長にわたって設けられている。
【0053】
子側戸当たり46は、子見込み面部47と、子見付け面部(第二側戸当たり部)48と、を有している。
【0054】
子見込み面部47は、子屋内側板部332と子戸先板部333との角部から屋内側に延びている。子見込み面部47は、板状に形成されている。子見込み面部47の板面は、幅方向を向いている。
【0055】
子見付け面部48は、子見込み面部47の屋内側の端部から幅方向に沿って親扉2側に延びている。子見付け面部48は、板状に形成されている。子見付け面部48の板面は、屋内外方向を向いている。
【0056】
図6に示すように、子側戸当たり46の下端部46dは、子召合せ框33の下端部33dよりもわずかに上方に配置されている。子側戸当たり46の下端部に切り欠きが形成されておらず、子側戸当たり46の下端部が子召合せ框33の下端部33dと略同一の高さに配置されていてもよい。
【0057】
次に、加熱発泡材61~63について説明する。加熱発泡材61~63は、火災時に熱膨張して親扉2と子扉3との隙間を塞ぐためのものである。
【0058】
図4に示すように、加熱発泡材(第一加熱発泡材)61は、親側戸当たり41の親見付け面部(見付け面)43における屋内側を向く面43aに設けられている。
【0059】
加熱発泡材61における幅方向に沿う子扉3側に配置される部分(少なくとも一部)61aは、親扉2の親屋外側板部231の端部231eと子扉3の子屋外側板部331の端部331eとの隙間s12の屋内外方向に沿う屋外側に配置されている。換言すると、加熱発泡材61の部分61aは、隙間s12の屋内外方向の延長線上に配置されている。
【0060】
加熱発泡材61は、シート状に形成されている。加熱発泡材61のシート面は、屋内外方向を向いている。
【0061】
加熱発泡材61は、親側戸当たり41の親見付け面部43の上下方向の略全長にわたって設けられている。
【0062】
加熱発泡材(第二加熱発泡材)62は、子側戸当たり46の子見付け面部(見付け面)48における屋外側を向く面48aに設けられている。加熱発泡材62は、加熱発泡材61の屋内側に加熱発泡材61と対向して配置されている。
【0063】
加熱発泡材62における幅方向に沿う親扉2側に配置される部分(少なくとも一部)62aは、親扉2と子扉3との屋内側の隙間s11の屋内外方向に沿う屋内側に配置されている。換言すると、加熱発泡材62の部分62aは、隙間s11の屋内外方向の延長線上に配置されている。
【0064】
加熱発泡材62は、シート状に形成されている。加熱発泡材62のシート面は、屋内外方向を向いている。
【0065】
加熱発泡材62は、子側戸当たり46の子見付け面部48の上下方向の略全長にわたって設けられている。
【0066】
加熱発泡材(第三加熱発泡材)63は、子戸先板部(見込み面)333における親扉2側を向く面333aに設けられている。
【0067】
加熱発泡材63は、シート状に形成されている。加熱発泡材63のシート面は、幅方向を向いている。
【0068】
図6に示すように、加熱発泡材63は、子戸先板部333の面333aにおいて、下部のフランス落し70を避けた箇所に設けられている。
【0069】
図5及び
図6に示すように、フランス落し70は、子召合せ框33の上部及び下部に設けられている。フランス落し70は、子扉3の開閉をロックする固定錠である。以下、
図6に示す子召合せ框33の下部に設けられてフランス落し70の構成について説明するが、子召合せ框33の上部における場合も同様の構成であり、各部の配置は上下対称になっている。
【0070】
フランス落し70は、ロッド71と、レバー72と、を有している。ロッド71は、子召合せ框33の内部に配置されている。ロッド71は、円柱状の棒である。ロッド71は、上下に昇降可能である。ロッド71が下方に移動した状態では、ロッド71の下端部71dは子召合せ框33の下端部33dよりも下方に突出して下枠12に設けられた凹部(不図示)に嵌入される。
【0071】
レバー72は、子召合せ框33の子戸先板部333の面333aに設けられている。レバー72は、屋内外方向を向く軸線を中心に回動可能とされている。レバー72は、子召合せ框33の内部でスライド機構(不図示)と連結されている。レバー72を上方へ移動させると、ロッド71が下方(子扉3の外側)に移動する。レバー72を下方に移動させると、ロッド71が上方に移動する。
【0072】
加熱発泡材63は、子召合せ框33の子戸先板部333の面333aにおいて、レバー72の下方に設けられている。
図4に示すように、加熱発泡材63は、子召合せ框33の子戸先板部333の面333aにおいて、突出片部333eの屋外側に突出片部333eと僅かに隙間を有して配置されている。加熱発泡材63は、突出片部333eの屋外側に突出片部333eと当接配置されていてもよい。
【0073】
図7(加熱発泡材63の図示を省略している)に示すように、火災時には、火炎の熱によって、子扉3に設けられたタイト材50(
図4参照)は溶けて、親扉2に設けられた加熱発泡材61が発泡する。加熱発泡材61は主に屋内側に発泡するとともに幅方向の子扉3側にも発泡する。また、火炎の熱によって、子扉3に設けられた加熱発泡材62が発泡する。加熱発泡材62は主に屋外側に発泡するとともに幅方向の親扉2側にも発泡する。
【0074】
加熱発泡材61,62どうしが連続するくらい発泡することもあれば、加熱発泡材61,62どうしが連続しない程度に発泡することもある。いずれも場合でも、加熱発泡材61は隙間s12を塞ぐとともに、隙間s1の屋外側の部分を塞ぐ。加熱発泡材62は隙間s11を塞ぐとともに、隙間s1の屋内側の部分を塞ぐ。これによって、親扉2と子扉3との隙間S1が屋内外方向に連通することがない。
【0075】
加熱発泡材61は、親扉2の親側戸当たり41の親見付け面部43と子扉3の子屋外側板部331の端部331eとの間も塞ぐ。加熱発泡材62は、子扉3の子側戸当たり46の子見付け面部48と親扉2の傾斜片部232aとの間も塞ぐ。
【0076】
子扉3に設けられたフランス落し70のロッド71の下端部71dが下枠12の凹部に嵌入されているため、子扉3は屋内外方向に変位することが抑制されている。親扉2の上下方向の中間に設けられたラッチ23aが子扉3のラッチ受け33aに係止されているため、親扉2の上下方向の中央部分では屋内外方向に変位することが抑制されているが、火炎の熱によって親扉2の上部及び下部は屋内外方向に屋外側に変位して(反って)しまうことがある。
図8(加熱発泡材63の図示を省略している)に示すように、親扉2が屋外側に変位した場合にも、親扉2に設けられた加熱発泡材61は隙間s12を塞ぐとともに、隙間s1の屋外側の部分を塞ぐ。子扉3に設けられた加熱発泡材62は隙間s11を塞ぐとともに、隙間s1の屋内側の部分を塞ぐ。これによって、親扉2と子扉3との隙間S1が屋内外方向に連通することがない。
【0077】
火災時には、子扉3に設けられた加熱発泡材63は、主に親扉2側に向かって発泡する。これによって、親扉2と子扉3との隙間s1の下部が塞がれる。
【0078】
このように構成された両開きドア100では、火災時に、親扉2の親側戸当たり41の親見付け面部43における屋内側を向く面43aに設けられた加熱発泡材61が主に屋内側に発泡する。子扉3の子側戸当たり46の子見付け面部48における屋外側を向く面48aに設けられた加熱発泡材62は、主に屋外側に発泡する。これによって、親扉2の親召合せ框23と子扉3の子召合せ框33との隙間s1が屋内外方向に連通することがなく、親扉2と子扉3との隙間s1が確実に塞がれる。火炎の熱によって親扉2が屋外側に変位した場合でも、加熱発泡材61が主に屋内側に発砲するとともに加熱発泡材62が主に屋外側に発泡するため、親扉2と子扉3との隙間s1が確実に塞がれる。親扉2と子扉3との隙間s1が加熱発泡材61,62で塞がれることによって、火炎の煙が隙間s1を通過することがなく、延焼が防止される。
【0079】
加熱発泡材61の部分61aは、親扉2の親屋外側板部231の端部231eと子扉3の子屋外側板部331の端部331eとの隙間s12の屋内外方向に沿う屋外側に配置されている。これによって、火災時に、加熱発泡材61が発泡して、親扉2と子扉3との隙間s12を確実に塞ぐことができる。
【0080】
加熱発泡材62の62aは、親扉2と子扉3との屋内側の隙間s11の屋内外方向に沿う屋内側に配置されている。これによって、火災時に、加熱発泡材62が発泡して、親扉2と子扉3との隙間s11を確実に塞ぐことができる。
【0081】
加熱発泡材63は、子扉3の子戸先板部333における親扉2側を向く面333aに設けられている。これによって、火災時に、加熱発泡材63が発泡して、親扉2と子扉3との隙間s1の下部が塞がれる。子側戸当たり46の下端部46dは、子召合せ框33の下端部33dよりも上方に配置されているため、子扉3の子側戸当たり46に設けられた加熱発泡材62が隙間s1の下部を塞ぎきれなくても、加熱発泡材63によって隙間s1の下部が確実に塞がれる。
【0082】
(変形例)
上記に示す実施形態の変形例に係るドアについて、主に
図9を用いて説明する。下記に示す変形例の説明において、前述した部材と同一の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0083】
図9に示すように、本変形例では、加熱発泡材(第三加熱発泡材)64が、親扉2の親戸先板部(見込み面)233における子扉3側を向く面233aに設けられている。加熱発泡材64は、戸先板部233の面233aの下部に設けられている。
【0084】
加熱発泡材64は、シート状に形成されている。加熱発泡材64のシート面は、幅方向を向いている。
【0085】
このように構成された両開きドア100では、火災時に、親扉2の親側戸当たり41の親見付け面部43における屋内側を向く面43aに設けられた加熱発泡材61が主に屋内側に発泡する。子扉3の子側戸当たり46の子見付け面部48における屋外側を向く面48aに設けられた加熱発泡材62は、主に屋外側に発泡する。これによって、親扉2の親召合せ框23と子扉3の子召合せ框33との隙間s1が屋内外方向に連通することがなく、親扉2と子扉3との隙間s1が確実に塞がれる。火炎の熱によって親扉2が屋外側に変位した場合でも、加熱発泡材61が主に屋内側に発砲するとともに加熱発泡材62が主に屋外側に発泡するため、親扉2と子扉3との隙間s1が確実に塞がれる。親扉2と子扉3との隙間s1が加熱発泡材61,62で塞がれることによって、火炎の煙が隙間s1を通過することがなく、延焼が防止される。
【0086】
加熱発泡材64は、親扉2の親戸先板部233における子扉3側を向く面233aに設けられている。これによって、火災時に、加熱発泡材64が発泡して、親扉2と子扉3との隙間s1の下部が塞がれる。子側戸当たり46の下端部46dは、子召合せ框33の下端部33dよりも上方に配置されているため、子扉3の子側戸当たり46に設けられた加熱発泡材62が隙間s1の下部を塞ぎきれなくても、加熱発泡材64によって隙間s1の下部が確実に塞がれる。
【0087】
なお、上述した実施の形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本開示の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0088】
例えば、上記に示す実施形態では、加熱発泡材61の少なくとも一部は、親扉2と子扉3との隙間s12の屋内外方向に沿う屋外側に配置されているが、これに限られない。加熱発泡材61が、親扉2と子扉3との隙間s12と幅方向にずれた位置に設けられていてもよい。
【0089】
上記に示す実施形態では、加熱発泡材62の少なくとも一部は、親扉2と子扉3との隙間s11の屋内外方向に沿う屋内側に配置されているが、これに限られない。加熱発泡材62が、親扉2と子扉3との隙間s11と幅方向にずれた位置に設けられていてもよい。
【0090】
上記に示す実施形態では子扉3に加熱発泡材63が設けられ、変形例では親扉2に加熱発泡材64が設けられているが、これに限られない。加熱発泡材(第三加熱発泡材)63,64は、設けられていなくてもよい。
【符号の説明】
【0091】
1…枠体、2…親扉(第一扉)、3…子扉(第二扉)、43…親見付け面部(見付け面、第一側戸当たり部)、48…子見付け面部(見付け面、第二側戸当たり部)、61…第一加熱発泡材、62…第二加熱発泡材、63…第三加熱発泡材、233…親戸先板部(戸先)、333…子戸先板部(戸先、見込み面)、s1…隙間、100…建具