(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-07
(45)【発行日】2024-03-15
(54)【発明の名称】便座装置及び便器装置
(51)【国際特許分類】
A47K 13/24 20060101AFI20240308BHJP
【FI】
A47K13/24
(21)【出願番号】P 2020045631
(22)【出願日】2020-03-16
【審査請求日】2023-01-04
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】森川 雄大
(72)【発明者】
【氏名】前田 真治
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-71018(JP,A)
【文献】特開2008-93185(JP,A)
【文献】実開平6-29495(JP,U)
【文献】特開2011-172789(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 13/00 - 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器の上部に設置される便座と、
便座に対して回転自在に接続され、前記便座が前記便器の上部に設置された場合において、前記便座の上部を覆う閉状態と前記便座の上部を開放する開状態とを有する便蓋と、
前記便蓋の裏面に設けられ、前記閉状態において前記便座の外周に沿って当接するゴム足と、
を備え
、
前記ゴム足は、前記便蓋の先端部に設けられる、
便座装置。
【請求項2】
前記ゴム足は、
前記便蓋の幅方向の中心に設けられた連結部と、
前記幅方向における前記連結部の左側及び右側に設けられ、前記連結部によって連結された2つの当接部と、
を有し、
前記当接部は、前記便座と当接する当接面を有する、
請求項
1に記載の便座装置。
【請求項3】
前記連結部は、前記便座と当接しない、
請求項
2に記載の便座装置。
【請求項4】
前記便蓋は、便蓋の先端から下方に延在するアンダー部を有し、
アンダー部は、便蓋の前記先端から後方に向かって突出している、
請求項1から請求項
3のうちいずれか一項に記載の便座装置。
【請求項5】
請求項1から請求項
4のうちいずれか一項に記載の便座装置を備える、
便器装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、便座装置及び便器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、便蓋の裏面にはゴム足が設けられ、便蓋を閉止した場合の便座と便蓋との衝突の衝撃が緩衝される。例えば、下記の特許文献1では、便蓋の裏面にゴム足が設けられ、便座と便蓋とが直接衝突するのを防止した構成について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の構成は、便蓋の裏側面におけるゴム足の配置が特定されておらず、便蓋の裏面におけるゴム足の配置によっては便蓋の閉止時に便蓋が安定して支持されない虞があった。
【0005】
上記事情を踏まえ、本開示は、裏面にゴム足が設けられる便蓋が便座を覆う閉止状態において、便蓋が便座に対して安定して支持される便座装置及び便器装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の態様に係る便座装置は、便器の上部に設置される便座と、便座に対して回転自在に接続され、前記便座が前記便器の上部に設置された場合において、前記便座の上部を覆う閉状態と前記便座の上部を開放する開状態とを有する便蓋と、前記便蓋の裏面に設けられ、前記閉状態において前記便座の外周に連続的に当接するゴム足と、を備え、前記ゴム足は、前記便蓋の先端部に設けられる。
【0007】
また、本開示の第二の態様に係る便器装置は、上記態様の便座装置を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の実施形態による便座装置の一例を示す斜視図である。
【
図2】同便座装置の便蓋の裏面から見た平面図である。
【
図5】本開示の実施形態による便蓋の別の一例を示す裏面から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態による便座装置1について、
図1~
図4に基づいて説明する。
図1に示すように、実施形態による便座装置1は、便器11の上に設置されている。すなわち、便座装置1は、便器11上に設置され、便器装置Tを構成する。便座装置1は、機能部21を収容した本体部2と、使用者が着座する便座3と、便鉢12を覆う便蓋4と、を有している。
【0010】
以下では、便器11に便座装置1が設置された状態において、便座3が配置される側を前後方向の前側、本体部2が配置される側を後側と言う。前後方向に直交する水平方向を幅方向と言う。幅方向については、後側から前側に向かって見たときの左側を左方向とし、右側を右方向と言う。
【0011】
便座3が立ち上がり使用されない状態を便座未使用状態とし、便座3が便器11の上面と略平行に設置された状態を便座使用状態と言う。便蓋4が立ち上がり便鉢12を開放した状態を開状態とし、便蓋4が便座使用状態の便座3を挟んで便鉢12を覆う状態を閉状態と言う。便座3及び便蓋4の各部の形状の説明においては、特に断らない限り、便座使用状態及び閉状態を前提として、各方向を用いる。
【0012】
図1に示すように、便座装置1の本体部2は、便器11の上部の後方に設置されている。本体部2は、各種機能を備えた機能部21と、機能部21を収容するケース22と、を有している。
【0013】
機能部21は、便座3を回転させるための便座回転ユニット、便蓋4を回転させるための便蓋回転ユニット、局部洗浄装置、脱臭装置などの各種機能装置を有している。機能部21は、各種機能装置を制御する制御部を有している。機能部21は、各種機能装置に電源を供給する電源部を有している。
【0014】
ケース22は、機能部21の上下方向、前後方向、及び幅方向の左右両側を覆っている。ケース22は、機能部21の幅方向の左右両側を覆っているケース側板部225を有している。ケース側板部225は、機能部21の幅方向の両側に一対配置される。ケース側板部225からは、幅方向に軸(不図示)が突出している。軸には、便座3及び便蓋4が連結されている。
【0015】
便座3は、本体部2に回転自在に取り付けられている。便座3は、後側の端部の幅方向の両端部がケース側板部225から突出した軸に接続される。便座3は、軸回りに回転自在である。
【0016】
便座3は、便鉢12を臨む開口が形成された略円環状に形成されている。便座3は、円環状の内周側に形成される内側面3iと、内側面3iと連続して形成され内側面3iの外側に形成されている外側面3oと、を有している。内側面3i及び外側面3oは、前側の端部が前方に凸の半環状であり、水平方向にカーブしている。
【0017】
図3に示すように、内側面3iは、便座3の内側ほど下方に傾斜している。内側面3iは、便座3の内側ほど傾斜が急である。外側面3oは、内側に、閉状態において略水平である平坦部3fを有している。外側面3oは、便座3の外側ほど下方に傾斜している。外側面3oは、便座3の外側ほど傾斜が急である。外側面3oは、外周に対応する。
【0018】
便蓋4は、本体部2に回転自在に取り付けられている。便蓋4は、便鉢12の上部を開閉する。便蓋4は、後側の端部の幅方向の両端部がケース側板部225から突出した軸に接続される。便蓋4は、平面視において、後側が略長方形状であり、前側が前方に丸みを有して凸状に湾曲形成されている。便蓋4は、軸回りに回転自在である。便蓋4が便鉢12の上部を閉じた状態では、便蓋4と便器11との間に便座3が配置される。
【0019】
図1、
図2に示すように、便蓋4は、便鉢12を覆う蓋板4pと、蓋板4pの前側の先端の縁4fから蓋板4pの裏面4b側に突出する板状のアンダー部4uと、蓋板4pの後側の幅方向の縁4eから裏面4b側に突出する側板部4sと、蓋板4pの前側の先端近傍の先端部の裏面4bに接着されるゴム足5と、を有している。蓋板4pの前側の先端部とは、蓋板4pを前後方向に4等分したときの最も前側の部分を言う。蓋板4pの前側の先端部は、前方に丸みを有して凸状に湾曲形成されている。
【0020】
アンダー部4uは、後方に傾斜している。アンダー部4uの傾斜は、便蓋4の後側ほど緩やかになっている。
【0021】
側板部4sは、蓋板4pの板面に略直交する方向に突出している。側板部4sの後側には幅方向内側に接続部材が形成されている。接続部材が本体部2の軸に接続され、便蓋4が本体部2に対して回転自在に設置されている。
【0022】
ゴム足5は、縁4fに沿って、アーチ形に形成されている。ゴム足5は、エラストマーを用いて形成されている。アンダー部4uが傾斜を有するため、開状態における便蓋4の裏面4bに対向する使用者に対し、ゴム足5の縁4f側の端部5aがアンダー部4uに隠れる。
【0023】
ゴム足5は、便蓋4の幅方向の中心線Oを介して対称に設けられ便座3に当接する当接部5cと、当接部5c同士を連結している連結部5mと、を有している。
【0024】
図3は、当接部5cを通る断面による断面図である。当接部5cは、便座3に当接する当接面5fを有している。当接面5fは、便座3の外側面3oに当接する。当接面5fは、平坦部3fに跨って、外側面3oに当接する。当接部5cと便座3とが当接する状態において、当接面5fと平坦部3fとは略平行である。当接面5fは、便座3の外周に、前側の端部の水平方向のカーブに沿って連続的に当接する。当接面5fと便座3とは面接触している。
【0025】
当接部5cは、裏面4bからの高さ寸法が、便蓋4の後側に向かって徐々に大きくなっている。そのため、当接面5fが略水平である状態において、便蓋4の裏面4bが後方ほど上方に傾斜する。当接面5fは、略水平である状態において、便座3と当接する。そのため、当接面5fと便座3とが当接する状態において、当接面5fと平坦部3fとは略水平であり、便蓋4の裏面4bが後方ほど上方に傾斜する。
【0026】
図4に示すように、ゴム足5は、裏面4b側に開口する溝5gを有している。溝5gは、ゴム足5における縁4f側の端部5aと端部5aの前後方向反対側の端部5bとの間に形成されている。溝5gは、当接面5fと反対側の内面5iの縁を一周するように形成される壁部5wと、壁部5wの上部に形成されゴム足5の内側に突出する突出部5pと、に縁どられて形成されている。当接部5cが溝5gを有するため、当接部5cの柔軟性が増し、開状態から閉状態にした場合に当接部5cを介して便座3及び便蓋4に加わる衝撃力及び生じる衝撃音が緩和される。
【0027】
連結部5mは、裏面4bからの高さ寸法が、当接部5cに比べて小さい。連結部5mは、閉状態において便座3に当接しない。連結部5mは便蓋4の幅方向の中心線O上に配置される。連結部5mの左側及び右側において、当接部5cが便座3に当接する。連結部5mは、ゴム足5の意匠性を確保する観点から設けられている。
【0028】
本実施形態の便座装置1によれば、閉状態において、便蓋4の裏面4bに設けられたゴム足5が、便座3の水平方向のカーブに沿って便座3の外周に連続的に当接する。そのため、閉状態において、便蓋4が便座3に対して安定して支持される。
【0029】
便座装置1のゴム足5は、一体に形成されている。そのため、部品点数が抑制でき、施工性が良く、品質が良い。
【0030】
便座装置1のゴム足5は、便蓋4の前側の先端に設けられている。そのため、閉状態において、ゴム足5と本体部2の軸とが便蓋4の前側の先端近傍と後側の端部とを支持するため、便蓋4が安定して支持される。
【0031】
便座装置1のゴム足5は、便蓋4の幅方向の中心線Oを跨いでいる。そのため、便蓋4が幅方向に安定して支持される。
【0032】
便座装置1の便蓋4は、閉状態において便蓋4の先端から下方に延在し、便蓋4の前側の先端から後方に向かって突出するアンダー部4uを有している。便蓋4の前側の先端近傍に設けられたゴム足5の端部5a側の一部が、開状態における便蓋4の裏面4bに対向する使用者に対し、アンダー部4uに隠れる。そのため、ゴム足5を有するために開状態の便蓋4の美観が損なわれることが抑制される。
【0033】
以上、本開示の各実施形態について図面を参照して詳述した。具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせなども含まれる。
【0034】
例えば、便座装置は、
図5に示すように、便蓋4の側板部4sまで延在する当接部5Acを有するゴム足5Aを有していてもよい。
【0035】
便座装置は、ゴム足が、連結部5mを有さず、当接部5cのみから構成されていてもよい。便座装置は、ゴム足が、一体でなく、左右に別体で設置されていても良い。便座装置は、ゴム足が、複数の部材が接合されて形成されていてもよい。
【0036】
便座装置は、ゴム足が、便蓋4の幅方向の中心線Oを跨がず、中心線Oの左側と右側との一方のみに設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1…便座装置、2…本体部、3…便座、3i…内側面、3o…外側面、3f…平坦部、4…便蓋、4b…裏面、4e…縁、4f…縁、4p…蓋板、4s…側板部、4u…アンダー部、5,5A…ゴム足、5a…端部、5b…端部、5c,5Ac…当接部、5f…当接面、5g…溝、5i…内面、5m…連結部、5w…壁部、5p…突出部、11…便器、12…便鉢、13…便器本体、21…機能部、22…ケース、225…ケース側板部、O…中心線、T…便器装置