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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-07
(45)【発行日】2024-03-15
(54)【発明の名称】ソフトウェア更新システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 8/65 20180101AFI20240308BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
G06F8/65
H04Q9/00 301D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020052949
(22)【出願日】2020-03-24
(65)【公開番号】P2021152756
(43)【公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼溝 将輝
(72)【発明者】
【氏名】八木 政彦
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智之
【審査官】武田 広太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-206390(JP,A)
【文献】特開2019-144959(JP,A)
【文献】特開2007-164371(JP,A)
【文献】特開2002-190088(JP,A)
【文献】特開2000-137607(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 8/65
H04Q 9/00
G06F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに通信ケーブルを介して接続される住宅設備機器と当該住宅設備機器を遠隔操作可能なリモコンとの夫々で利用されるソフトウェアを更新するソフトウェア更新システムであって、
前記リモコンとネットワークを介して接続されるサーバに設けられ、前記リモコン及び前記住宅設備機器で利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルを更新ファイルとして記憶する更新ファイル記憶部と、
前記サーバに設けられ、予め設定された時間毎に、前記更新用ソフトウェアがある場合は前記リモコンに前記更新ファイルを配信し、前記更新用ソフトウェアがない場合は前記リモコンに前記更新ファイルがないことを示す情報を配信する配信部と、
前記リモコンに設けられ、前記配信部と通信を行う通信部と、
前記通信部による前記配信部との通信状況を示す通信状況情報を記憶する通信状況情報記憶部と、
前記通信状況情報記憶部に記憶された前記通信状況情報に基づいて、前記配信部から前記通信部への通信するタイミングを設定する通信タイミング設定部と、
を備え
前記通信状況情報は、前記通信部と前記配信部との通信の成功及び失敗を示す情報であるソフトウェア更新システム。
【請求項2】
前記通信タイミング設定部は、1日における、前記通信部と前記配信部との通信が失敗する時間帯を避けるように前記タイミングを設定する請求項1に記載のソフトウェア更新システム。
【請求項3】
前記通信タイミング設定部は、1カ月における、前記通信部と前記配信部との通信が失敗する曜日を避けるように前記タイミングを設定する請求項1又は2に記載のソフトウェア更新システム。
【請求項4】
前記通信タイミング設定部は、予め設定された期間にわたって前記通信部と前記配信部との通信が失敗していた場合は、前記通信部と前記配信部との通信が復帰したときを前記タイミングとして設定する請求項1から3のいずれか一項に記載のソフトウェア更新システム。
【請求項5】
前記住宅設備機器で利用される更新用ソフトウェアは、所定のサイズに分割して前記配信部から配信される請求項1から4のいずれか一項に記載のソフトウェア更新システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに通信ケーブルを介して接続される住宅設備機器と当該住宅設備機器を遠隔操作可能なリモコンとの夫々で利用されるソフトウェアを更新するソフトウェア更新システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅において給湯器や燃料電池等の住宅設備機器が設けられてきた。これらの住宅設備機器は、遠隔操作を行うことができるように住宅設備機器とセットでリモコンも設けられる。一方、これらの住宅設備機器やリモコンは、動作を制御するためにソフトウェアが組み込まれ、適宜、ソフトウェアの更新が行われる。このようなソフトウェアの更新に係る技術として、例えば下記に出典を示す特許文献1-3に記載のものがある。
【0003】
特許文献1には、燃料電池システムが開示されている。この燃料電池システムは、構成装置の制御ソフトウェアの更新中における構成装置の運転形態を制約するように構成されている。
【0004】
特許文献2には、コントローラが開示されている。このコントローラは、第1の領域に記憶されている制御ソフトウェアを実行することによる制御中に、外部から新たな制御ソフトウェアを受信した場合に、新たな制御ソフトウェアを第2の領域に記憶してから、データの出力を停止し、第1の領域に記憶されている制御ソフトウェアから第2の領域に記憶されている制御ソフトウェアに切り替えるリセット処理を実行した後、第2の領域に記憶されている新たな制御ソフトウェアを実行するように構成されている。
【0005】
特許文献3には、燃料電池システムが開示されている。この燃料電池システムは、制御プログラムを記憶する第1領域と更新された制御プログラムを記憶する第2領域とを含むメモリを備え、燃料電池の運転状況に応じて、第1領域に記憶された制御プログラムから第2領域に記憶された制御プログラムに切り替えるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第6280778号公報
【文献】特開2018-22367号公報
【文献】特開2018-73546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ソフトウェアの配信中に、例えば、一時的に通信状況が悪化すると、配信中のソフトウェアの一部が欠損し、適切にソフトウェアを更新することができなくなる。また、ユーザによっては、インターネットを利用する場合のみ、インターネット回線機器(ONUやモデム)や、無線LAN親機の電源を入れたり、無線LAN親機のスケジューリング機能により夜間は自動的に電源を落としたりすることもある。また、ユーザによっては、持ち運びのできるモバイルルータを利用していることもある。係る場合、時間帯によっては住宅設備機器がサーバに接続できない時間帯が存在し、ソフトウェアの更新が失敗する可能性がある。また、周囲で電子レンジ等を使用している場合は干渉により通信が失敗する可能性もある。
【0008】
そこで、ソフトウェアの更新を適切に行うことが可能なソフトウェア更新システムが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るソフトウェア更新システムの特徴構成は、互いに通信ケーブルを介して接続される住宅設備機器と当該住宅設備機器を遠隔操作可能なリモコンとの夫々で利用されるソフトウェアを更新するソフトウェア更新システムであって、前記リモコンとネットワークを介して接続されるサーバに設けられ、前記リモコン及び前記住宅設備機器で利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルを更新ファイルとして記憶する更新ファイル記憶部と、前記サーバに設けられ、予め設定された時間毎に、前記更新用ソフトウェアがある場合は前記リモコンに前記更新ファイルを配信し、前記更新用ソフトウェアがない場合は前記リモコンに前記更新ファイルがないことを示す情報を配信する配信部と、前記リモコンに設けられ、前記配信部と通信を行う通信部と、前記通信部による前記配信部との通信状況を示す通信状況情報を記憶する通信状況情報記憶部と、前記通信状況情報記憶部に記憶された前記通信状況情報に基づいて、前記配信部から前記通信部への通信するタイミングを設定する通信タイミング設定部と、を備え、前記通信状況情報は、前記通信部と前記配信部との通信の成功及び失敗を示す情報である点にある。
【0010】
このような特徴構成とすれば、過去における通信部による配信部との通信状況に応じて、将来における配信部から通信部への通信するタイミングを設定できるので、ソフトウェアの更新を適切に行うことが可能となる。
【0011】
また、前記通信タイミング設定部は、1日における、前記通信部と前記配信部との通信が失敗する時間帯を避けるように前記タイミングを設定すると好適である。
【0012】
このような構成とすれば、過去の1日における通信が成功する時間帯において、配信部から通信部への通信が行われるので、ソフトウェアの更新の失敗を抑制できる。
【0013】
また、前記通信タイミング設定部は、1カ月における、前記通信部と前記配信部との通信が失敗する曜日を避けるように前記タイミングを設定すると好適である。
【0014】
このような構成とすれば、過去の1カ月における通信が成功する曜日において、配信部から通信部への通信が行われるので、ソフトウェアの更新の失敗を抑制できる。
【0015】
また、前記通信タイミング設定部は、予め設定された期間にわたって前記通信部と前記配信部との通信が失敗していた場合は、前記通信部と前記配信部との通信が復帰したときを前記タイミングとして設定すると好適である。
【0016】
このような構成とすれば、例えばこれまでに通信が失敗していた期間にソフトウェアの更新があった場合でも適切に更新することが可能となる。
【0017】
また、前記住宅設備機器で利用される更新用ソフトウェアは、所定のサイズに分割して前記配信部から配信されると好適である。
【0018】
このような構成とすれば、リモコンから住宅設備機器に更新用ソフトウェアを配信する通信ケーブルの通信速度が遅く、通信に時間を要する場合であっても、住宅設備機器で利用される更新用ソフトウェアについてはサーバから細かく分割して配信されるので、必要に応じて割り込み処理を行うことにより、リモコンの処理が滞ることを抑制できる。また、リモコンに設ける住宅設備機器で利用される更新用ソフトウェアを記憶する領域(リモコン側記憶部)のサイズも低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】ソフトウェア更新システムの構成を示すブロック図である。
図2】1日における通信状況の一例を示す図である。
図3】曜日毎の通信状況の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係るソフトウェア更新システムは、互いに通信ケーブルを介して接続される住宅設備機器と当該住宅設備機器を遠隔操作可能なリモコンとの夫々で利用されるソフトウェアを更新することができるように構成される。以下、本実施形態のソフトウェア更新システム1について説明する。
【0021】
図1は、ソフトウェア更新システム1の構成を模式的に示したブロック図である。図1に示されるように、ソフトウェア更新システム1は、リモコン2、住宅設備機器3、及びサーバ4を備えて構成される。
【0022】
住宅設備機器3とは、住宅に備えられる設備の機器であって、具体的には、住宅に設けられる給湯器、コンロ、ファンヒータ、警報器、エアコン、蓄電池等の住宅設備が挙げられる。もちろん、これら以外の住宅設備であっても良い。リモコン2は、住宅設備機器3を遠隔操作するための操作機器にあたり、住宅設備機器3と通信ケーブル10を介して接続される。この通信ケーブル10は、基本的にリモコン2から住宅設備機器3に対する操作指令の伝達に利用されることから、後述するインターネット回線による通信よりも低速な通信のみ行うことができるものである。したがって、リモコン2と住宅設備機器3との間では、リモコン2と住宅設備機器3との間における操作指令の伝達に支障をきたさないよう大容量の電子ファイルの伝達は行わないように構成される。
【0023】
リモコン2は、通信部21、通信状況情報記憶部22、通信タイミング設定部23、リモコン側記憶部24、リモコン側ファイル送信部25を備えて構成される。住宅設備機器3は、本体側記憶部31、要求部32を備えて構成される。サーバ4は、リモコン2と、例えばインターネット回線等のネットワークを介して接続され、更新ファイル記憶部41、配信部42を備えて構成される。これらの各機能部は、ソフトウェアの更新に係る処理を行うために、CPUを中核部材としてハードウェア又はソフトウェア或いはその両方で構築されている。
【0024】
更新ファイル記憶部41は、リモコン2及び住宅設備機器3で利用される更新用ソフトウェアを構成する電子ファイルを更新ファイルとして記憶する。リモコン2で使用される更新用ソフトウェアとは、リモコン2に組み込まれたソフトウェアを更新するソフトウェアである。住宅設備機器3で使用される更新用ソフトウェアとは、住宅設備機器3に組み込まれたソフトウェアを更新するソフトウェアである。このような更新用ソフトウェアは電子ファイルの形態で更新ファイル記憶部41に記憶される。本ソフトウェア更新システム1においては、リモコン2で利用される更新用ソフトウェアの電子ファイルはリモコン用ファイル91と称され、住宅設備機器3で利用される更新用ソフトウェアの電子ファイルは本体用ファイル92と称される。リモコン用ファイル91及び本体用ファイル92は、例えば数MBのファイルサイズからなる。
【0025】
配信部42は、予め設定された時間毎に、更新用ソフトウェアがある場合はリモコン2に更新ファイルを配信し、更新用ソフトウェアがない場合はリモコン2に更新ファイルがないことを示す情報を配信する。予め設定された時間とは、例えば1時間毎に設定された時間である。更新用ソフトウェアがある場合とは、リモコン用ファイル91及び本体用ファイル92の少なくともいずれか一方が更新ファイル記憶部41に記憶されている場合である。本実施形態では、配信部42は、リモコン用ファイル91が更新ファイル記憶部41に記憶されている場合には、リモコン2に対してリモコン用ファイル91を分割することなく、単一の電子ファイルとしてそのまま送信する(一括配信する)。また、配信部42は、本体用ファイル92が更新ファイル記憶部41に記憶されている場合には、本体用ファイル92を、例えば数kB程度のファイルサイズからなる分割本体用ファイル93に分割し、インターネット回線を通じて、リモコン2に送信する。詳細は後述するが、配信部42からリモコン2への分割本体用ファイル93の送信は、本体側記憶部31に分割本体用ファイル93が記憶される毎に、一つずつ送信される。
【0026】
一方、更新用ソフトウェアがない場合とは、リモコン用ファイル91及び本体用ファイル92の双方が更新ファイル記憶部41に記憶されていない場合である。この場合には、配信部42はリモコン2に対して、リモコン用ファイル91及び本体用ファイル92の双方が更新ファイル記憶部41に記憶されていないことを示す情報を送信する。
【0027】
通信部21は、配信部42と通信を行う。通信部21は、上述したインターネット回線を通じて、配信部42と接続される。これにより、通信部21は配信部42と通信可能に構成される。通信部21が配信部42と通信を行って受信したリモコン用ファイル91及び本体用ファイル92は、リモコン側記憶部24に記憶される。
【0028】
通信状況情報記憶部22は、通信部21による配信部42との通信状況を示す通信状況情報を記憶する。通信部21による配信部42との通信状況とは、リモコン用ファイル91及び本体用ファイル92の少なくともいずれか一方が更新ファイル記憶部41に記憶されている場合に、当該少なくともいずれか一方を通信部21が受信した状況、及び、リモコン用ファイル91及び本体用ファイル92の双方が更新ファイル記憶部41に記憶されていない場合に、リモコン用ファイル91及び本体用ファイル92の双方が更新ファイル記憶部41に記憶されていないことを示す情報を受信した状況が含まれる。したがって、通信状況情報記憶部22は、リモコン用ファイル91や本体用ファイル92の有無にかかわらず、通信部21が配信部42と通信を行った状況を示す情報である通信状況情報を記憶する。
【0029】
リモコン側記憶部24は、配信部42から配信されるリモコン用ファイル91を記憶する。上述したように、更新ファイル記憶部41にリモコン用ファイル91が記憶されている場合に、配信部42は更新ファイル記憶部41に記憶されている数MBのファイルサイズからなるリモコン用ファイル91を、インターネット回線を通じて一括送信する。リモコン側記憶部24は、このリモコン用ファイル91を記憶する。このため、リモコン側記憶部24には、リモコン用ファイル91を記憶するための記憶領域として数MBの空き容量が設けられる。
【0030】
また、リモコン側記憶部24は、配信部42から配信される分割本体用ファイル93を記憶する。上述したように、更新ファイル記憶部41に本体用ファイル92が記憶されている場合に、配信部42は、更新ファイル記憶部41に記憶されている本体用ファイル92を、数kBのファイルサイズからなる複数の分割本体用ファイル93に分割して、インターネット回線を通じて送信する。リモコン側記憶部24は、この分割本体用ファイル93を記憶する。このため、リモコン側記憶部24は、上述したリモコン用ファイル91を記憶するための記憶領域とは別に、分割本体用ファイル93を記憶するための記憶領域として数kBの空き容量が設けられる。
【0031】
リモコン側ファイル送信部25は、リモコン側記憶部24に記憶された分割本体用ファイル93を、通信ケーブル10を介して住宅設備機器3に送信する。上述したように、分割本体用ファイル93は、配信部42から配信され、リモコン側記憶部24に記憶されている。通信ケーブル10とは、リモコン2と住宅設備機器3とを互いに接続し、リモコン2から住宅設備機器3に対する操作指令の伝達に利用される、インターネット回線による通信よりも低速な通信のみ行うことができるケーブルである。したがって、リモコン側ファイル送信部25は、配信部42から配信され、リモコン側記憶部24に記憶されている分割本体用ファイル93を、リモコン2と住宅設備機器3とを互いに接続し、リモコン2から住宅設備機器3に対する操作指令の伝達に利用される、インターネット回線による通信よりも低速な通信のみ行うことができる通信ケーブル10を通じて、住宅設備機器3に送信する。
【0032】
本体側記憶部31は、リモコン側ファイル送信部25からの分割本体用ファイル93を順次記憶する。上述したように、リモコン側ファイル送信部25は、リモコン側記憶部24に記憶されている分割本体用ファイル93を、通信ケーブル10を通じて送信する。本体側記憶部31は、この分割本体用ファイル93を記憶する。ここで、分割本体用ファイル93は数kB程度のファイルサイズであるが、本体側記憶部31には全ての分割本体用ファイル93が記憶されるだけの空き容量が設けられる。
【0033】
以上のように本実施形態では、住宅設備機器3で利用される更新用ソフトウェアは、所定のサイズに分割して配信部42から配信される。これにより、リモコン2から住宅設備機器3に更新用ソフトウェアを配信する通信ケーブル10の通信速度が遅く、通信に時間を要する場合であっても、住宅設備機器3で利用される更新用ソフトウェアについてはサーバ4から細かく分割して配信されるので、必要に応じて割り込み処理を行うことにより、リモコン2の処理が滞ることを抑制できる。また、リモコン2に設ける住宅設備機器3で利用される更新用ソフトウェアを記憶する領域(リモコン側記憶部24)のサイズは、分割本体用ファイル93のサイズで良いので、大容量の記憶領域を確保する必要がない。
【0034】
また、本実施形態にあっては、リモコン側記憶部24にリモコン用ファイル91を記憶している状態で、リモコン側記憶部24への分割本体用ファイル93の記憶及び当該分割本体用ファイル93の住宅設備機器3への送信が行われる。すなわち、本ソフトウェア更新システム1によれば、サーバ4からリモコン2に対する当該リモコン2で利用される更新用ソフトウェアの配信と、サーバ4からリモコン2を介した住宅設備機器3に対する当該住宅設備機器3で利用される更新用ソフトウェアの配信とを同時に(すなわち「リアルタイム処理で」)行われる。
【0035】
要求部32は、本体側記憶部31に分割本体用ファイル93が記憶される毎に、リモコン2を介して、次の分割本体用ファイル93の配信を配信部42に要求する。分割本体用ファイル93は、配信部42から配信されるが、配信部42から1つの分割本体用ファイル93が配信されてから、リモコン側記憶部24及びリモコン側ファイル送信部25を介して本体側記憶部31に記憶されるまでは、配信部42から次の分割本体用ファイル93は配信されないように構成されている。すなわち、インターネット回線、リモコン2、通信ケーブル10にあっては、複数の分割本体用ファイル93が存在しないように構成される。そこで、本体側記憶部31に分割本体用ファイル93が記憶されると、記憶されたことを示す情報が要求部32に伝達され、要求部32はこの情報を受けて、通信ケーブル10、リモコン2、インターネット回線を介して、配信部42に、次の分割本体用ファイル93の配信を要求する。
【0036】
配信部42は、要求部32から要求を受けると、次の分割本体用ファイル93を、インターネット回線を通して、上述したように配信する。このような要求と配信を継続して行って、全ての分割本体用ファイル93が本体側記憶部31に記憶される。この時、最後の分割本体用ファイル93の配信する際に、最後の分割本体用ファイル93であることを示す情報も配信されるように構成すると良い。また、複数の分割本体用ファイル93を一つの本体用ファイル92に復元する復元用ファイルを送信するように構成しても良い。
【0037】
本体側記憶部31に本体用ファイル92を分割した全ての分割本体用ファイル93が記憶された場合に、本体用ファイル92に復元する。これにより、本体側記憶部31において住宅設備機器3で利用される更新用ソフトウェアを、住宅設備機器3に配信することが可能となる。
【0038】
通信タイミング設定部23は、通信状況情報記憶部22に記憶された通信状況情報に基づいて、配信部42から通信部21への通信するタイミングを設定する。通信状況情報記憶部22に記憶された通信状況情報とは、リモコン用ファイル91や本体用ファイル92の有無にかかわらず、通信部21が配信部42と通信を行った状況を示す情報である。配信部42から通信部21への通信するタイミングとは、上述した配信部42が予め設定された時間(例えば1時間毎に設定された時間)毎に通信部21と通信するタイミングであって、通信タイミング設定部23はこのタイミングを必要に応じて変更する。
【0039】
図2には、1日毎の通信部21と配信部42との通信状況が示される。図2では、「1日」~「5日」までであって、通信が成功した場合は「〇」で示され、通信が失敗した場合は「×」で示される。通信が成功した場合とは、更新ファイル記憶部41に更新用ソフトウェアがある場合は配信部42から配信された更新ファイルが通信状況情報記憶部22に記憶され、更新ファイル記憶部41に更新用ソフトウェアがない場合は配信部42から更新ファイルがないことを示す情報が通信状況情報記憶部22に記憶された場合をいう。通信が失敗した場合とは、更新ファイル記憶部41に更新用ソフトウェアがあるか否かに関わらず、配信部42から配信された更新ファイルも更新ファイルがないことを示す情報も通信状況情報記憶部22に記憶されない場合をいう。
【0040】
図2の例では、「1日」~「5日」のいずれも配信部42は1時間毎に配信を試み、いずれの日も「1時」~「6時」にあっては通信が失敗し、「7時」~「0時」までは通信が成功している。そこで、通信タイミング設定部23は、1日における、通信部21と配信部42との通信が失敗する時間帯を避けるようにタイミングを設定すると好適である。すなわち、通信タイミング設定部23は、1日における、通信が失敗する時間帯である「1時」~「6時」を避け、通信が成功する時間帯である「7時」~「0時」までの間を配信部42から通信部21への通信するタイミングに設定する。通信タイミング設定部23は、このようなタイミングを設定するにあたり、例えば過去の所定期間にわたって失敗する割合が所定値より多い場合に避けるようにすると良い。
【0041】
また、通信タイミング設定部23は、1カ月における、通信部21と配信部42との通信が失敗する曜日を避けるようにタイミングを設定するように構成しても良い。図3には、ある月の「1日」~「21日」までの所定時間毎の通信部21と配信部42との通信状況が示される。また、図3には、曜日毎の通信成功の個数及び確率と、通信失敗の個数及び確率とが示される。図3の例では、土曜日及び日曜日に通信成功の確率が通信失敗の確率に対して高いことから、通信タイミング設定部23は、土曜日や日曜日に通信するタイミングとして設定すると良い。また、曜日毎の通信成功の確率が予め設定した値より大きい場合に通信タイミング設定部23は通信するタイミングとして設定しても良いし、曜日毎の通信失敗の確率が予め設定した値より大きい場合に通信タイミング設定部23はこの曜日を避けて通信するタイミングとして設定しても良い。
【0042】
また、図示はしないが、例えば停電や工事等によって、予め設定された期間にわたって通信部21と配信部42との通信が失敗する場合もある。係る場合、通信タイミング設定部23は、通信部21と配信部42との通信が復帰したときをタイミングとして設定すると好適である。このようなタイミングで通信を行うことにより、例えば通信が失敗していた期間にソフトウェアの更新があった場合でも適切に更新することが可能となる。
【0043】
〔その他の実施形態〕
上記実施形態では、住宅設備機器3に通信ケーブル10を介して接続されるリモコン2が1つである場合の例を挙げて説明した。例えば、1つの住宅設備機器3に対して、複数のリモコン2が設けられる場合もある。具体的には、住宅設備機器3が給湯器である場合に、キッチン及び浴室の夫々にリモコン2が設けられることがある。係る場合、ソフトウェア更新システム1は、キッチンのリモコン2に対して更新用ソフトウェアを構成するリモコン用ファイル91を配信すると共に、浴室のリモコン2に対しても更新用ソフトウェアを構成するリモコン用ファイル91を配信するように構成することが可能である。係る場合、夫々の更新用ソフトウェアは、互いに異なるものであっても良いし、互いに同じものであっても良い。また、キッチンのリモコン2と浴室のリモコン2とは、住宅設備機器3からの通信ケーブル10を所定の位置で分岐して接続されるように構成することも可能であるし、キッチンのリモコン2と浴室のリモコン2と住宅設備機器3とが、所謂デイジーチェーン型で接続されるように構成しても良い。
【0044】
上記実施形態では、リモコン2がネットワークを介してサーバ4に接続されるとして説明したが、住宅設備機器3がネットワークを介してサーバ4に接続されるように構成することも可能である。係る場合、住宅設備機器3からリモコン2へは、リモコン用ファイル91を分割して配信するように構成すると良い。
【0045】
上記実施形態では、住宅設備機器3で利用される更新用ソフトウェアは、所定のサイズに分割して配信部42から配信されるとして説明したが、住宅設備機器3で利用される更新用ソフトウェアは、所定のサイズに分割することなく配信部42から配信されるように構成することも可能である。
【0046】
上記実施形態では、通信状況情報記憶部22及び通信タイミング設定部23がリモコン2に設けられている場合の例を挙げて説明したが、通信状況情報記憶部22及び通信タイミング設定部23がサーバ4に設けられていても良い。係る場合、リモコン2からサーバ4に対して通信が成功した結果を伝達するように構成すると良い。更には、通信状況情報記憶部22及び通信タイミング設定部23の一方がサーバ4に設けられていても良い。
【0047】
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、互いに通信ケーブルを介して接続される住宅設備機器と当該住宅設備機器を遠隔操作可能なリモコンとの夫々で利用されるソフトウェアを更新するソフトウェア更新システムに用いることが可能である。
【符号の説明】
【0049】
1:ソフトウェア更新システム
2:リモコン
3:住宅設備機器
4:サーバ
10:通信ケーブル
21:通信部
22:通信状況情報記憶部
23:通信タイミング設定部
41:更新ファイル記憶部
42:配信部
図1
図2
図3