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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-07
(45)【発行日】2024-03-15
(54)【発明の名称】トンネル非常用設備
(51)【国際特許分類】
   A62C 35/20 20060101AFI20240308BHJP
   A62C 3/00 20060101ALI20240308BHJP
   A62C 13/78 20060101ALI20240308BHJP
   G08B 17/00 20060101ALI20240308BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
A62C35/20
A62C3/00 J
A62C13/78 A
G08B17/00 J
G08B25/00 510M
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020056646
(22)【出願日】2020-03-26
(65)【公開番号】P2020163141
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2023-02-22
(31)【優先権主張番号】P 2019066452
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大西 和之
(72)【発明者】
【氏名】狩山 則之
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 建弥
【審査官】菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-007915(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03059128(EP,A1)
【文献】特開2017-156928(JP,A)
【文献】特開2007-096717(JP,A)
【文献】特開2017-055992(JP,A)
【文献】特開2010-012032(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 35/20
A62C 3/00
A62C 13/78
G08B 17/00
G08B 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
消火機器を収容する筺体と、
前記筺体に取り付けられる表示部であって、火災発生の通報信号を防災受信盤に送信するための通報ボタンを表示するとともに、前記防災受信盤により前記通報信号が受信されたことを通知する応答情報を表示する表示部と
前記筺体に着脱自在に取り付けられるタブレット型端末と
を備え、
前記タブレット型端末は前記表示部と、カメラとを備え、
前記カメラにより撮影された画像データを、前記防災受信盤に送信する送信部をさらに備える非常用設備。
【請求項2】
前記防災受信盤は、前記送信部により送信された画像データから文字認識により文字列を抽出して出力する
ことを特徴とする、請求項に記載の非常用設備。
【請求項3】
消火機器を収容する筺体と、
前記筺体に取り付けられる表示部であって、火災発生の通報信号を防災受信盤に送信するための通報ボタンを表示する表示部と
前記筺体に着脱自在に取り付けられるタブレット型端末と
を備え、
前記タブレット型端末は前記表示部を備え、
前記通報ボタンが選択されたことを契機として、前記筺体から前記タブレット型端末を取り外すことを可能にする機構をさらに備える非常用設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル非常用設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トンネル非常用設備として、消火栓装置が知られている。消火栓装置は、一般に、その筺体内に消火栓と消火器を収容するとともに、押ボタン式通報装置と応答ランプを備えている(例えば、特許文献1参照)。この消火栓装置の押ボタン式通報装置が操作されると、通報信号が防災受信盤に送信され、送信された通報信号が防災受信盤に受信されると、消火栓装置の応答ランプが点灯するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-318972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の消火栓装置では、通報信号が防災受信盤に受信されたことが応答ランプの点灯によってのみ通知されるため、一般の利用者にとっては通報信号が防災受信盤に受信されたことが分かりづらい状態となっていた。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、トンネル非常用設備から防災受信盤に通報信号が送信され、受信された場合に、当該信号が受信されたことを利用者に分かりやすく通知することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明に係る非常用設備は、消火機器を収容する筺体と、前記筺体に取り付けられる表示部であって、火災発生の通報信号を防災受信盤に送信するための通報ボタンを表示するとともに、前記防災受信盤により前記通報信号が受信されたことを通知する応答情報を表示する表示部とを備える。
【0007】
好ましい態様において、前記非常用設備は、前記筺体に着脱自在に取り付けられるタブレット型端末をさらに備え、前記タブレット型端末は前記表示部を備える。
【0008】
さらに好ましい態様において、前記タブレット型端末はカメラをさらに備え、前記非常用設備は、前記カメラにより撮影された画像データを、前記防災受信盤に送信する送信部をさらに備え、前記防災受信盤は、前記送信部により送信された画像データから文字認識により文字列を抽出して出力する。
【0009】
さらに好ましい態様において、前記非常用設備は、前記通報ボタンが選択されたことを契機として、前記筺体から前記タブレット型端末を取り外すことを可能にする機構をさらに備える。
【0010】
さらに好ましい態様において、前記表示部は、赤色表示灯の画像をさらに表示する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、トンネル非常用設備から防災受信盤に通報信号が送信され、受信された場合に、当該信号が受信されたことを利用者に分かりやすく通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】トンネル防災システムの構成の一例を示すブロック図
図2】消火栓装置2の正面の一例を示す図
図3】消火栓装置2の電気的構成の一例を示すブロック図
図4】通報画面の一例を示す図
図5】通報完了画面の一例を示す図
図6】火災通報時の動作の一例を示すシーケンス図
図7】通報画面の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
1.実施形態
本発明の一実施形態に係るトンネル防災システムについて、図面を参照して説明する。
1-1.構成
図1は、本トンネル防災システムの構成の一例を示すブロック図である。同図に示すトンネル防災システムは、トンネル非常用設備として、火災検知器1、消火栓装置2及び防災受信盤3を備える。
【0014】
火災検知器1は、回線を介して消火栓装置2と接続され、火災を検知すると火災信号を消火栓装置2に出力する。火災検知器1は、トンネルの側壁に、例えば50m間隔の検知区間ごとに設置される。
【0015】
消火栓装置2は、光回線Lを介して防災受信盤3に接続され、防災受信盤3との間で光信号を送受信する。消火栓装置2は、トンネルの側壁に、例えば50m間隔の放水区画ごとに設置される。
【0016】
図2は、この消火栓装置2の正面の一例を示す図である。同図に示す消火栓装置2は、大略、筐体21と、この筐体21に着脱自在に取り付けられるタブレット型端末22を備える。
【0017】
筐体21は、直方体の形状を有し、左右に並べられた消火器格納箱211と消火栓格納箱212により構成される。消火器格納箱211は、直方体の形状を有し、正面に矩形の消火器扉2111を有する。この消火器格納箱211は、消火機器として消火器(図示略)を収容し、利用者は消火器扉2111を開くことで消火器を取り出すことができる。一方、消火栓格納箱212は、直方体の形状を有し、正面に矩形の消火栓扉2121を有する。この消火栓格納箱212は、消火機器として、消火栓弁と、消火栓弁開閉レバーと、先端にノズルが装着された消火栓ホースを収容する(いずれも図示略)。利用者は消火栓扉2121を開くことで、これらの消火機器を利用することができる。
【0018】
タブレット型端末22は、ディスプレイ上にタッチパネルを搭載した、指等の指示体で操作可能な携帯情報端末である。上記の消火器扉2111のおもて面には、このタブレット型端末22を収容するための矩形の凹みが形成され、この凹みの開口部には、樹脂製の透明扉が設置される(いずれも図示略)。この矩形の凹みに収容されるタブレット型端末22は、この透明扉を開くことで、操作したり持ち出したりすることが可能になる。なお、上記の凹みには、タブレット型端末22を充電するためのクレードル(図示略)が配置されており、タブレット型端末22はこのクレードルに着脱自在に取り付け可能となっている。
【0019】
図3は、消火栓装置2の電気的構成の一例を示すブロック図である。同図に示すように消火栓装置2の筐体21は、赤色表示灯213、消火栓スイッチ214、無線通信装置215及び信号変換器216を備える。この筐体21において、信号変換器216は、他の構成要素と火災検知器1とに回線を介して接続される。
【0020】
これらの構成要素のうち、無線通信装置215は、無線LANアダプタである。無線通信装置215は、後述するタブレット型端末22の無線通信装置225との間で無線通信を行う。
【0021】
信号変換器216は、プロセッサとメモリを備え、メモリに記憶されるプログラムをプロセッサが実行することにより、以下の6つの動作を行う。
(1)火災検知器1から電気信号として出力される火災信号を光信号に変換して防災受信盤3に出力する。
(2)防災受信盤3から出力される、赤色表示灯213に対する制御信号に従って、赤色表示灯213の点灯を制御する。
(3)消火栓弁開閉レバーが操作されて消火栓スイッチ214が切り替わると、消火ポンプ制御信号を防災受信盤3に出力する。
(4)タブレット型端末22から電気信号として出力される通報信号を光信号に変換して防災受信盤3に出力する。
(5)防災受信盤3から光信号として出力される応答信号を電気信号に変換してタブレット型端末22に出力する。
(6)タブレット型端末22から電気信号として出力される画像データを光信号に変換して防災受信盤3に出力する。
【0022】
一方、図3に示す消火栓装置2のタブレット型端末22は、プロセッサ221、メモリ222、タッチスクリーン223、カメラ224及び無線通信装置225を備える。これらの構成要素のうち、タッチスクリーン223は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の表示部と、この表示部に重ねて配置されるタッチパネルを有する。無線通信装置225は、無線LANアダプタである。無線通信装置225は、筐体21が備える無線通信装置215との間で無線通信を行う。
【0023】
このタブレット型端末22は、メモリ222に記憶されるプログラムをプロセッサ221が実行することにより、以下の5つの動作を行う。
(1)通報画面をタッチスクリーン223に常時表示させる。
図4は、通報画面の一例を示す図である。同図に示す通報画面は、火災発生の通報信号を防災受信盤3に送信するための通報ボタンB1と、この通報ボタンB1の目的を説明する説明メッセージM1を有する。
(2)通報ボタンB1の選択を検出すると、通報信号を信号変換器216に出力する。
(3)信号変換器216から出力される応答信号を受信すると、通報完了画面をタッチスクリーン223に表示させる。
図5は、通報完了画面の一例を示す図である。同図に示す通報完了画面は、上記の通報ボタンB1と、防災受信盤3により通報信号が受信されたことを通知するとともに、火元の撮影を促す応答メッセージ(言い換えると、応答情報)M2と、カメラ起動ボタンB2を有する。
(4)カメラ起動ボタンB2の選択を検出すると、カメラ224を起動させるとともに、撮影画面(図示略)をタッチスクリーン223に表示させる。
(5)火元の撮影後、送信ボタン(図示略)の選択を検出すると、撮影された画像データを信号変換器216に出力する。
以上が、消火栓装置2の構成についての説明である。
【0024】
次に、防災受信盤3は、回線を介して接続される各機器を通じて、トンネル内における火災の監視と、消火のための制御を行う。特に消火栓装置2に関連して、以下の3つの動作を行う。
(1)消火栓装置2から火災信号を受信すると、消火ポンプの制御盤(図示略)に対して起動信号を出力するとともに、赤色表示灯213の点滅を指示する制御信号を、その消火栓装置2に対して出力する。
(2)消火栓装置2から通報信号を受信すると、消火ポンプの制御盤に対して起動信号を出力するとともに、赤色表示灯213の点滅を指示する制御信号を、その消火栓装置2に対して出力する。また、応答信号をその消火栓装置2に対して出力する。
(3)消火栓装置2から画像データを受信し、操作者による当該画像データの表示操作を検出すると、当該画像データを防災受信盤3のディスプレイ(図示略)に表示させる。
この防災受信盤3は、例えば通信機械室に設置される。
【0025】
なお、防災受信盤3は、上記(1)(2)において、上記起動信号の応答として、消火ポンプの制御盤からポンプ運転応答信号を受信すると、赤色表示灯213の点滅を指示する制御信号を、その消火栓装置2に対して出力するようにしてもよい。
【0026】
1-2.動作
以上説明したトンネル防災システムの動作例について説明する。以下では特に、火災通報時の動作の一例について、図6に示すシーケンス図を参照して説明する。
【0027】
消火栓装置2のタブレット型端末22には、通報画面(図4参照)が常時表示されている。この状況においてトンネル内で車両火災が発生し、その発見者により通報画面上の通報ボタンB1が選択されたものと想定する。タブレット型端末22は、この通報ボタンB1の選択を検出すると(ステップS1)、通報信号を信号変換器216に出力する(ステップS2)。この通報信号を受信した信号変換器216は、この通報信号を電気信号から光信号に変換して(ステップS3)防災受信盤3に出力する(ステップS4)。この通報信号を受信した防災受信盤3は、応答信号を信号変換器216に対して出力する(ステップS5)。この応答信号を受信した信号変換器216は、この応答信号を光信号から電気信号に変換して(ステップS6)タブレット型端末22に出力する(ステップS7)。この応答信号を受信したタブレット型端末22は、通報完了画面(図5参照)をタッチスクリーン223に表示させる(ステップS8)。この通報完了画面には、防災受信盤3により通報信号が受信されたことを通知する応答メッセージM2が含まれる。この応答メッセージM2を見た通報者は、自身の通報が防災受信盤3に受信されたこと(言い換えると、自身の通報がトンネルの管理者に受け付けられたこと)を知ることができる。
【0028】
通報信号を受信した防災受信盤3はまた、消火ポンプの制御盤に対して起動信号を出力して消火ポンプを起動させる(ステップS9)。その後、赤色表示灯213の点滅を指示する制御信号を、通報信号を出力した信号変換器216に対して出力する(ステップS10)。この制御信号を受信した信号変換器216は、赤色表示灯213の点灯方法を常時点灯から点滅に切り替える(ステップS11)。赤色表示灯213の点滅は、消火ポンプが運転していることを示す。
【0029】
タブレット型端末22に表示される上記の応答メッセージM2は、火元の撮影を促すメッセージでもある。このメッセージを見た通報者が、タブレット型端末22を消火栓装置2の筐体21から取り外し、通報完了画面上のカメラ起動ボタンB2を選択したと想定する。タブレット型端末22は、このカメラ起動ボタンB2の選択を検出すると(ステップS12)、撮影画面をタッチスクリーン223に表示させる(ステップS13)。この撮影画面が表示されている状態において、通報者がカメラ224のレンズを火元に向けて撮影し、同画面上の送信ボタンを選択したと想定する。タブレット型端末22は、この送信ボタンの選択を検出すると(ステップS14)、撮影された画像データを信号変換器216に出力する(ステップS15)。この画像データを受信した信号変換器216は、この画像データを電気信号から光信号に変換して(ステップS16)防災受信盤3に出力する(ステップS17)。この画像データを受信した防災受信盤3は、その操作者による当該画像データの表示操作を検出すると(ステップS18)、当該画像データをディスプレイに表示させる(ステップS19)。この画像データを見た操作者は、火元の様子を視覚的に確認することができる。
以上が、火災通報時の動作例についての説明である。
【0030】
2.変形例
上記の実施形態は下記のように変形してもよい。下記の変形例は互いに組み合わせてもよい。
【0031】
2-1.変形例1
上記の消火栓装置2の構成は、あくまで一例である。別の構成として、例えば、消火栓装置2の筐体21の形状は直方体以外としてもよい。また、タブレット型端末22は、消火器扉2111ではなく、消火栓扉2121に形成された凹みに収容するようにしてもよい。その場合、消火栓装置2は、消火器格納箱211を必ずしも備えなくてもよい。
【0032】
2-2.変形例2
タブレット型端末22の盗難を防止するための機構として、当該端末を覆う透明扉に電気錠を取り付けてもよい。そして、タブレット型端末22上で通報ボタンB1が選択されたことを契機として電気錠を解錠し、当該端末を筐体21から取り外し可能としてもよい。その場合、透明扉には、この透明扉が閉鎖された状態でも通報ボタンB1を選択可能とするための、通報ボタンB1大の貫通孔が形成される。また、通報ボタンB1が選択されたことを契機として電気錠を解錠するために、消火栓装置2の信号変換器216は、防災受信盤3から応答信号を受信することを契機として電気錠を解錠する。電気錠については、例えば特開2009-270307号公報を参照のこと。
【0033】
2-3.変形例3
タブレット型端末22のカメラ224は、火元を撮影するだけでなく、トンネル非常用設備の点検時に点検対象を撮影するために使用されてもよい。撮影された画像データは防災受信盤3に送信して表示させることで、点検対象の設備の状態を通信機械室の要員と共有することができる。また、通報ボタンB1の操作時に、カメラ224で操作者を撮影して、防災受信盤3に送信して表示させるようにしてもよい。これにより、通報ボタンB1がいたずらで操作された場合に、その操作者を特定することができる。
【0034】
2-4.変形例4
タブレット型端末22は、必ずしもカメラ224を備えなくてもよい。カメラ224を備えない場合には、必ずしも消火栓装置2から取り外し可能である必要はないため、タブレット型端末22は消火栓装置2の筐体21に固定的に取り付けられてもよい。
【0035】
2-5.変形例5
タブレット型端末22と防災受信盤3にVoIPを利用した通話機能を備えさせ、タブレット型端末22の利用者と通信機械室の要員との間で、光回線Lを介した音声通話を可能にしてもよい。
【0036】
2-6.変形例6
タブレット型端末22と信号変換器216の間の通信は、無線LANを利用した通信に代えて、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信としてもよい。
【0037】
2-7.変形例7
防災受信盤3は、消火栓装置2から通報信号を受信したときに、当該装置の設置区画を出火エリアとして特定し、特定した出火エリアと火災発生の事実を通知する火災発生信号を各消火栓装置2に出力するようにしてもよい。この火災発生信号を受信した消火栓装置2の信号変換器216は、この火災発生信号を光信号から電気信号に変換してタブレット型端末22に出力する。電気信号に変換された火災発生信号を受信したタブレット型端末22は、火災発生の事実と出火エリアを通知する火災発生メッセージを通報画面(図4参照)上に表示する。この火災発生メッセージを見た利用者は、火災発生の事実と出火エリアを知ることができる。
なお、防災受信盤3は、火災発生の事実と出火エリアに加えて、最寄りの避難口をタブレット型端末22に表示させるようにしてもよい。
【0038】
また別の態様として、防災受信盤3は、最寄りの避難口に代えて、避難方向をタブレット型端末22に表示させるようにしてもよい。ここで避難方向は、消火栓装置2の設置区画ごとに異なり、消火栓装置2の設置区画から出火エリアに向かう方向とは逆の方向が避難方向として特定される。
【0039】
2-8.変形例8
防災受信盤3は、消火ポンプの起動後に、消火ポンプが起動したことを通知する起動完了信号を各消火栓装置2に出力するようにしてもよい。この起動完了信号を受信した消火栓装置2の信号変換器216は、この起動完了信号を光信号から電気信号に変換してタブレット型端末22に出力する。電気信号に変換された起動完了信号を受信したタブレット型端末22は、消火ポンプが起動したことを通知するポンプ起動メッセージを通報画面(図4参照)上に表示する。このポンプ起動メッセージを見た利用者は、消火ポンプが起動したことを知ることができる。
【0040】
なお、防災受信盤3は、消火ポンプの起動後に、消火ポンプの制御盤への起動信号出力に対する応答として、当該制御盤からポンプ運転応答信号を受信すると、消火ポンプが起動したことを通知する起動完了信号を各消火栓装置2に出力するようにしてもよい。また、上記起動完了信号と、上記赤色表示灯213の点滅を指示する制御信号とは、同一の信号としてもよい。
【0041】
2-9.変形例9
防災受信盤3と信号変換器216の間の通信は、光通信に代えて電気通信としてもよい。
【0042】
2-10.変形例10
上記のトンネル防災システムを構成する火災検知器1、消火栓装置2及び防災受信盤3は、トンネル以外の一般の建物の非常用設備として設置されてもよい。
【0043】
2-11.変形例11
消火栓装置2の信号変換器216は、消火栓弁開閉レバーが操作されて消火栓スイッチ214が切り替わった際に、消火栓の使用方法について説明する動画をタブレット型端末22に表示させてもよい。
【0044】
2-12.変形例12
防災受信盤3は、消火栓装置2から受信した画像データから文字認識により文字列を抽出し、出力するようにしてもよい。具体的には例えば、画像データから事故車両のナンバープレートに記載された文字列を抽出し、出力するようにしてもよい。これにより、事故車両の所有者の特定が容易になる。
【0045】
2-13.変形例13
赤色表示灯213を消火栓装置2に備えさせるのに代えて、赤色表示灯の画像をタブレット型端末22に表示させるようにしてもよい。図7は、この赤色表示灯の画像Gを含む通報画面の一例を示す図である。同図に示す通報画面は、通報ボタンB1と説明メッセージM1に加えて、赤色表示灯画像Gを含んでいる。この通報画面に含まれる赤色表示灯画像Gは、環状の形状を有し、通報ボタンB1を囲むように配置されている。また、この赤色表示灯画像Gは、点灯状態の赤色表示灯を表す画像である。この赤色表示灯画像Gは、図示を省略するが、通報完了画面にも含まれる。
【0046】
この赤色表示灯画像Gの表示を制御するにあたり、信号変換器216は、防災受信盤3から光信号として出力される制御信号を受信すると、この制御信号に従って赤色表示灯213の点灯を制御するのに代えて、この制御信号を電気信号に変換してタブレット型端末22に出力する。タブレット型端末22は、この信号変換器216から出力される制御信号を受信すると、通報完了画面に含まれる赤色表示灯画像Gを点灯状態から点滅状態に変化させる。この表示の変化により、消火ポンプが運転していることを通報者に通知する。
【0047】
以上説明したように、赤色表示灯画像Gをタブレット型端末22に表示させることで、赤色表示灯213を消火栓装置2に備えさせる必要がなくなる。その結果、消火栓装置2の小型化が可能になり、消費電力が低減される。
【0048】
なお、赤色表示灯画像Gの形状及び配置は、必ずしも図7に示した例に限られず、タッチスクリーン223のサイズやその他の表示要素のサイズ及び配置に応じて適宜変更されてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1…火災検知器、2…消火栓装置、3…防災受信盤、21…筐体、22…タブレット型端末、211…消火器格納箱、212…消火栓格納箱、213…赤色表示灯、214…消火栓スイッチ、215…無線通信装置、216…信号変換器、221…プロセッサ、222…メモリ、223…タッチスクリーン、224…カメラ、225…無線通信装置、2111…消火器扉、2121…消火栓扉、B1…通報ボタン、B2…カメラ起動ボタン、G…赤色表示灯画像、L…光回線、M1…説明メッセージ、M2…応答メッセージ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7