IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社LIXILグループの特許一覧

<>
  • 特許-ラッチ機構及びドア装置 図1
  • 特許-ラッチ機構及びドア装置 図2
  • 特許-ラッチ機構及びドア装置 図3
  • 特許-ラッチ機構及びドア装置 図4
  • 特許-ラッチ機構及びドア装置 図5
  • 特許-ラッチ機構及びドア装置 図6
  • 特許-ラッチ機構及びドア装置 図7
  • 特許-ラッチ機構及びドア装置 図8
  • 特許-ラッチ機構及びドア装置 図9
  • 特許-ラッチ機構及びドア装置 図10
  • 特許-ラッチ機構及びドア装置 図11
  • 特許-ラッチ機構及びドア装置 図12
  • 特許-ラッチ機構及びドア装置 図13
  • 特許-ラッチ機構及びドア装置 図14
  • 特許-ラッチ機構及びドア装置 図15
  • 特許-ラッチ機構及びドア装置 図16
  • 特許-ラッチ機構及びドア装置 図17
  • 特許-ラッチ機構及びドア装置 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-07
(45)【発行日】2024-03-15
(54)【発明の名称】ラッチ機構及びドア装置
(51)【国際特許分類】
   E05C 1/08 20060101AFI20240308BHJP
   E05B 47/00 20060101ALI20240308BHJP
   E05B 57/00 20060101ALI20240308BHJP
   E05B 65/06 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
E05C1/08
E05B47/00 G
E05B57/00
E05B65/06 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020060341
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2020165299
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2023-01-06
(31)【優先権主張番号】P 2019066148
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】前 健哉
(72)【発明者】
【氏名】真原 裕
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-209530(JP,A)
【文献】特開2017-180027(JP,A)
【文献】特開2006-214173(JP,A)
【文献】特開2007-154499(JP,A)
【文献】特開2010-101125(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-85/28
E05C 1/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体及び該枠体内に開閉可能に設けられたドアのいずれか一方に設けられた凹部側に出没可能なラッチと、
該ラッチと係合して、該ラッチの出没を規制する係合部と、
前記ラッチの係合を解除可能な複数の操作手段と、を備え
前記複数の操作手段は、
電気錠装置、
シリンダー錠と、該シリンダー錠の施解錠操作が可能なサムターンと、を有する施解錠装置、及び
前記ラッチの出没する方向と交差する方向に移動可能なスイッチのうちいずれか2以上であることを特徴とするラッチ機構。
【請求項2】
前記電気錠装置から送信される信号に基づいて、前記係合部を操作する駆動部を備え、
前記ラッチ、前記係合部及び前記駆動部は、同一のケースの内部に収容されている請求項に記載のラッチ機構。
【請求項3】
前記電気錠装置から送信される信号に基づいて、前記係合部を操作する駆動部を備え、
前記ラッチ及び前記係合部は、同一のケースに収容され、
前記駆動部は、前記ケースの外部に配置されている請求項に記載のラッチ機構。
【請求項4】
請求項1からのいずれか一項に記載のラッチ機構を備えることを特徴とするドア装置。
【請求項5】
前記枠体は、
四方枠状に形成されたドア枠と
該ドア枠内に、幅方向の一方側に配置された袖パネルと、を有し、
前記ドアは、前記ドア枠内の前記幅方向の他方側に、前記袖パネルと隣接配置され、
前記ラッチ、前記係合部及び前記操作手段は、前記袖パネルに配置されている請求項に記載のドア装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラッチ機構及びドア装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ドアのハンドル操作に伴って出没可能とされたラッチ機構が知られている。
例えば、特許文献1では、ドア本体から離れた箇所に設けられたハンドルの操作に伴って、ハンドルに接続されたワイヤを介してドア本体に設けられたラッチの係合が解除されるドアが提案されている。このドアでは、ドア本体から離れた位置からドア本体の開閉が可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-226242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記の特許文献1に記載のドアでは、ラッチの係合を解除する開閉操作手段がハンドルに限定されているが、近年、需要者の好みや操作のしやすさ等に応じて、他の開閉操作手段を選択可能とすることが望まれている。
【0005】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ラッチの係合を解除する手段を選択可能なラッチ機構及びドア装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明に係るラッチ機構は、枠体及び該枠体内に開閉可能に設けられたドアのいずれか一方に設けられた凹部側に出没可能なラッチと、該ラッチと係合して、該ラッチの出没を規制する係合部と、前記ラッチの係合を解除可能な複数の操作手段と、を備え、前記複数の操作手段は、電気錠装置、シリンダー錠と、該シリンダー錠の施解錠操作が可能なサムターンと、を有する施解錠装置、及び前記ラッチの出没する方向と交差する方向に移動可能なスイッチのうちいずれか2以上であることを特徴とする。
【0007】
このように構成されたラッチ機構では、ラッチの出没を規制する係合部とラッチとの係合を解除可能な操作手段は複数あるため、利用者は複数の操作手段の中から任意の一の操作手段を選択して、係合部とラッチとの係合を解除することができる。
また、電気錠装置、施解錠装置及びスイッチのうちのいずれか2以上の操作手段の中から、利用者は、任意の一の操作手段を選択して、係合部とラッチとの係合を解除することができる。
【0010】
また、本発明に係るドア装置は、上記のいずれか一に記載のラッチ機構を備えることを特徴とする。
【0011】
このように構成されたドア装置では、ラッチの出没を規制する係合部とラッチとの係合を解除可能な操作手段は複数あるため、利用者は複数の操作手段の中から任意の一の操作手段を選択して、係合部とラッチとの係合を解除することができる。
また、ドアを開閉するハンドルは、操作手段とは構造的に独立しているため、利用者の好み等に応じてハンドルを選択できる。よって、ハンドルの選択の自由度を高めることができる。
【0012】
また、本発明に係るドア装置は、前記枠体は、四方枠状に形成されたドア枠と該ドア枠内に、幅方向の一方側に配置された袖パネルと、を有し、前記ドアは、前記ドア枠内の前記幅方向の他方側に、前記袖パネルと隣接配置され、前記ラッチ、前記係合部及び前記操作手段は、前記袖パネルに配置されていてもよい。
【0013】
このように構成されたドア装置では、ラッチ、係合部及び操作手段は袖パネルに配置されているため、ドアを簡易な構成とすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るラッチ機構及びドア装置によれば、ラッチの係合を解除する手段を選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係るドア装置を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係るラッチ機構の構成を示す斜視図であり、係合部とラッチとが係合している状態を示している。
図3】本発明の一実施形態に係るラッチ機構の構成を示す正面図であり、係合部とラッチとが係合している状態を示している。
図4】本発明の一実施形態に係るラッチ機構の構成を示す正面図であり、係合部とラッチとの係合が解除している状態を示している。
図5図3のA-A線断面図である。
図6図4のB-B線断面図である。
図7】本発明の一実施形態に係るドア装置のドアが閉状態から開状態に移行する様子を示す図である。
図8】本発明の一実施形態に係るドア装置のドアが開状態から閉状態に移行する様子を示す図である。
図9】本発明の一実施形態の変形例1に係るドア装置を示す正面図である。
図10】一実施形態の変形例2に係るラッチ機構の構成を示す斜視図。
図11図10から外側ケーシングを取り外した図。
図12図11からスイッチを取り外した図。
図13】変形例2で、係合部とラッチとが係合している状態を示す図。
図14】変形例2で、係合部とラッチとの係合が解除している状態を示す図。
図15】変形例2で、係合部とラッチとが係合している状態を示す図。
図16】変形例2で、係合部とラッチとの係合が解除している状態を示す図。
図17】変形例2で、ラッチがケースから突出した状態を示す図。
図18】変形例2で、ラッチがケースの内部に収容された状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係るラッチ機構及びドア装置ついて、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るドア装置を示す斜視図である。
図1に示すように、ドア装置100は、枠体(ドア枠)11と、枠体11内に開閉可能に設けられたドア1と、を備えている。
【0017】
枠体11は、四方枠状をなしている。枠体11は、上枠11aと、下枠11bと、戸先側の縦枠11cと、吊元側の縦枠11dと、を有している。
【0018】
ドア1は、戸先側の縦枠11c側と中心として、吊元側の縦枠11dを開放するように開く。
【0019】
ドア1は、ドア本体2と、ラッチ機構3と、を有している。本実施形態のドア1は、屋外用及び屋内用のいずれにも対応可能である。
【0020】
ドア本体2は、板状に形成されている。ドア本体2は、正面視で、上下方向に長い略長方形をなしている。なお、ドア本体2のデザインは、適宜設定可能である。
【0021】
ドア本体2には、利用者が把持可能なハンドル21が設けられている。利用者はハンドル21を把持して、ドア本体2の押し引きが可能である。
【0022】
本実施形態では、ハンドル21は、ドア本体2の幅方向に長い形状をなしている。なお、ハンドル21の形状は、適宜設定可能であり、上下方向に長い形状や、ドアノブ形状であってもよい。
【0023】
なお、以下の説明において、ドア本体2の幅方向(短手方向)を単に幅方向と称し、ドア本体2の戸先側を単に戸先側と称し、ドア本体2の吊元側(戸先側と反対側)を単に吊元側と称し、閉じた状態でのドア本体2の厚さ方向を奥行方向と称し、ドア本体2の長手方向を上下方向と称することがある。
【0024】
ラッチ機構3は、ラッチ装置30と、電気錠装置(操作手段)40と、施解錠装置(操作手段)50と、スイッチ(操作手段)60と、を備えている。
【0025】
図2は、ラッチ装置30の構成を示す斜視図であり、係合部とラッチとが係合している状態を示している。図2では、後述するケース第二板部316(図5参照。以下同じ。)の図示を省略して、ラッチ装置30の内部の構成を示している。
図2に示すように、ラッチ装置30は、ケース310と、ラッチポケット320と、ラッチ制御バー(係合部)330と、ラッチボルト(ラッチ)340と、追従ピン360と、駆動部370と、を備えている。
【0026】
ケース310は、箱状をなしている。ケース310は、ケース第一板部311と、ケース第一板部311の上部に連結されたケース上板部312と、ケース第一板部311の下部に連結されたケース下板部313と、ケース第一板部311の幅方向の両側に連結された一対のケース側板部314,315と、ケース第一板部311と対向配置されたケース第二板部316(図5参照。以下同じ)と、を有している。
【0027】
一対のケース側板部314,315のうちケース側板部314は、図1に示すように、ドア本体2の戸先側の側面22に沿って配置されている。ドア本体2の側面22には取付孔22hが形成され、ケース側板部314は取付孔22hから露出している。
【0028】
図3は、ラッチ装置30の構成を示す図であり、奥行方向から見た図であり、ラッチ制御バー330とラッチボルト340とが係合している状態を示している。図3では、ケース第二板部316の図示を省略して、ラッチ装置30の内部の構成を示している。
図3に示すように、ケース側板部314には、幅方向に貫通するポケット挿通孔314hが形成されている。ポケット挿通孔314hには、後述するラッチポケット320のポケット側板部324が配置されている。
【0029】
ラッチポケット320は、箱状をなしている。ラッチポケット320は、ケース下板部313とケース側板部314との角部に沿って配置されている。
【0030】
ラッチポケット320は、ケース下板部313に沿って配置されたポケット下板部321と、ケース第一板部311に沿って配置されたポケット第一板部322と、ポケット下板部321の上方に配置されたポケット上板部323と、ケース側板部314に沿って配置されたポケット側板部324(二点鎖線参照)と、ポケット側板部324と対向配置されたポケット側板部325と、を有している。
【0031】
図2に示すように、ポケット上板部323には、上下方向に貫通するスリット323sが奥行方向に離間して2箇所に形成されている。スリット323sには、後述するラッチ制御バー330の係合片334が挿通可能とされている。
【0032】
図3に示すように、ポケット側板部324には、幅方向に貫通するラッチ挿通孔324hが形成されている。ラッチ挿通孔324hには、後述するラッチボルト340のラッチ出没体341が挿通されている。
【0033】
ポケット側板部325には、幅方向に貫通するピン挿通孔325hが形成されている。
ピン挿通孔325hには、後述する追従ピン360が挿通されている。
【0034】
図2に示すように、ラッチ制御バー330は、正面視、略L字状をなしている。ラッチ制御バー330は、奥行方向の離間した一対のL板部331を有している。一対のL板部331は、複数箇所で互いに連結されている。
【0035】
L板部331は、幅方向に延びる横板部332と、横板部332の吊元側の端部から下方の延びる縦板部333と、を有している。横板部332と縦板部333とは、一体に形成されている。
【0036】
横板部332の戸先側の下端部には、下方に延びる係合片334が設けられている。係合片334の下端部334dは、戸先側に向かうにしたがって次第に下方に向かうように傾斜している。
【0037】
一対のL板部331の縦板部333の下端部どうしは、下部板部336で連結されている。下部板部336には、下方に延びる受け部337が設けられている。
【0038】
受け部337の奥行方向の両側には、吊元側に向かうにしたがって次第に奥行方向の反対側を向くように傾斜する面337aが設けられている(図5参照)。
【0039】
一対のL板部331の縦板部333の下部の戸先側の端部どうしは、被押圧板部338で連結されている。被押圧板部338は、後述する追従ピン360により押圧可能とされている。
【0040】
ラッチ制御バー330には、上部且つ吊元側に、奥行方向に貫通する軸孔330hが形成されている。ケース310のケース第一板部311及びケース第二板部316に連結された支持軸318が、軸孔330hに挿通されている。ラッチ制御バー330は、支持軸318を中心として揺動可能とされている。
【0041】
図3に示すように、ラッチボルト340は、ラッチポケット320のポケット側板部324に形成されたラッチ挿通孔324hから幅方向に進退可能に設けられている。ラッチボルト340は、縦枠11cに設けられたラッチ溝(凹部)12(図7参照。以下同じ。
)側に出没可能とされている。また、ラッチボルト340は、奥行方向に回転可能とされている。
【0042】
ラッチボルト340は、ラッチポケット320のラッチ挿通孔324hから出没可能なラッチ出没体341と、ラッチポケット320内に収容されたラッチ係合体346と、を有している。ラッチ出没体341とラッチ係合体346とは、一体に形成されている。
【0043】
ラッチ出没体341は、上方から見て、三角形をなしている。図2に示すように、ラッチ出没体341は、第一当たり面342と、第二当たり面343と、を有している。
【0044】
ラッチ制御バー330とラッチボルト340とが係合した状態で、第一当たり面342は、幅方向に沿って配置されている。ラッチ制御バー330とラッチボルト340とが係合した状態で、第二当たり面343は、戸先側に向かうにしたがって次第に第一当たり面342に近接するように傾斜している。
【0045】
ラッチ係合体346は、ラッチポケット320のポケット側板部324(図3参照。以下同じ。)に当接可能な当接部347を有している。ラッチ制御バー330とラッチボルト340とが係合した状態で、当接部347がポケット側板部324に当接して、ラッチボルト340の戸先側への移動が規制されている。
【0046】
ラッチ係合体346には、吊元側に向かうにしたがって次第にポケット第一板部322に近接するように傾斜する傾斜面348が形成されている。
【0047】
ラッチ係合体346の上端部には、下方に凹む係合凹部349が形成されている。図3に示すラッチ制御バー330とラッチボルト340とが係合している状態では、ラッチ制御バー330の係合片334は、ラッチポケット320のスリット323sに挿通され、ラッチボルト340の係合凹部349に収容されている。これにより、ラッチボルト340が、ラッチ係合体346をポケット第一板部322から離間する方向に回転しようとする際に、ラッチボルト340がラッチ制御バー330の係合片334と干渉するため、回転が規制される。
【0048】
図4は、ラッチ機構3の構成を示す図であり、奥行方向から見た図であり、ラッチ制御バー330とラッチボルト340との係合が解除している状態を示している。図4では、ケース第二板部316の図示を省略して、ラッチ装置30の内部の構成を示している。
図4に示すラッチ制御バー330とラッチボルト340との係合が解除している状態では、ラッチ制御バー330の係合片334は、ラッチポケット320のスリット323s内に収まって、ラッチボルト340の係合凹部349には進入していない。この状態では、ラッチボルト340が、ラッチ係合体346をポケット第一板部322から離間する方向に回転可能とされている。
【0049】
図2に示すように、ラッチ係合体346には、戸先側に向かって凹むばね収容凹部350が形成されている。ばね収容凹部350には、ばね押さえ部材351が設けられている。
【0050】
追従ピン360は、ラッチポケット320のポケット側板部325のピン挿通孔325h(図3参照。以下同じ。)に挿通されている。追従ピン360は、円柱状に形成されている。追従ピン360は、幅方向に延びている。
【0051】
追従ピン360の周りには、ピンばね361が巻回されている。ピンばね361の戸先側の端部は、ラッチボルト340に設けられたばね押さえ部材351に当接している。ピンばね361の吊元側の端部は、ラッチポケット320のポケット側板部325に当接している。ピンばね361は、ばね押さえ部材351とポケット側板部325とを互いに離間する方向に付勢している。これにより、ばね押さえ部材351が設けられたラッチボルト340は、戸先側に付勢されている。
【0052】
追従ピン360の戸先側の端部360aには、ラッチボルト340が吊元側に変位した際に、ラッチボルト340に設けられたばね押さえ部材351が当接可能とされている。
【0053】
追従ピン360の吊元側の端部360bは、ラッチ制御バー330の被押圧板部338に当接している。
【0054】
図4に示すラッチ制御バー330とラッチボルト340との係合が解除している状態から、ラッチボルト340が吊元側に変位すると、ラッチボルト340に設けられたばね押さえ部材351が、追従ピン360の端部360aに当接し、追従ピン360を吊元側に押圧する。
【0055】
追従ピン360の端部360bは、ラッチ制御バー330の被押圧板部338に当接している。図3に示すように、ラッチ制御バー330は、追従ピン360に押圧されることにより、支持軸318を中心として揺動する。
【0056】
ラッチボルト340は、ピンばね361の付勢力により、戸先側に付勢され、元の位置に戻る。
【0057】
ラッチ制御バー330の係合片334がラッチポケット320のスリット323sに挿通されラッチボルト340の係合凹部349に収容されて、ラッチ制御バー330とラッチボルト340とが係合し、ラッチボルト340の回転が規制されている。
【0058】
駆動部370は、ケース310の内部に設けられている。ドア本体2の内部に設けられた制御部(不図示。以下同じ。)から送信される解除信号に基づいて、駆動する。
【0059】
駆動部370の下端部には、駆動軸371が設けられている。駆動軸371の下端部は、ラッチ制御バー330の横板部332の幅方向の中間部分に連結されている。本実施形態では、駆動軸371が設けられた駆動部370として、例えばソレノイドモーターが採用されている。
【0060】
図1に示すように、電気錠装置40は、認証部41を有している。認証部41は、ドア本体2の一方側の表面に設けられている。認証部41は、所定の情報を読み取り、読み取った結果を認証信号として制御部に送信する。所定の情報とは、カード情報や、指紋情報、顔情報等適宜設定可能である。
【0061】
制御部は、認証部41から送信される認証信号を判断して、所定の条件の場合に図2に示すラッチ制御バー330とラッチボルト340との係合を解除する解錠信号を駆動部370に送信する。
【0062】
ラッチ制御バー330とラッチボルト340とが係合している状態から、駆動部370が解除信号を受信すると、図4に示すように、駆動部370は、駆動軸371が接続されているラッチ制御バー330を上方に押し上げる方向に駆動する。これにより、ラッチ制御バー330とラッチボルト340との係合が解除する。
【0063】
図1に示すように、施解錠装置50は、シリンダー錠51と、シリンダー錠51の施解錠操作が可能なサムターン52と、シリンダー錠51及びサムターン52の少なくとも一方と接続された第一コントロールケーブル53(図3参照。以下同じ。)と、ラッチ制御バー330に接続された第二コントロールケーブル54(図3参照。以下同じ。)と、を有している。
【0064】
第一コントロールケーブル53と第二コントロールケーブル54とは、磁石等の連結手段55により、分離可能に連結されている。
【0065】
図3に示すラッチ制御バー330とラッチボルト340とが係合している状態から、利用者が、シリンダー錠51(図1参照。以下同じ。)またはサムターン52(図1参照。
以下同じ。)を開設定に操作すると、その動力が、第一コントロールケーブル53、連結手段55により第一コントロールケーブル53に接続された第二コントロールケーブル54及び第二コントロールケーブル54に接続されたラッチ制御バー330へ伝達される。
【0066】
図4に示すように、第二コントロールケーブル54が、ラッチ制御バー330を上方に押し上げる。これにより、ラッチ制御バー330とラッチボルト340との係合が解除する。
【0067】
ラッチ制御バー330とラッチボルト340との係合が解除すると、第一コントロールケーブル53と第二コントロールケーブル54とを連結している連結手段55は分離し、第一コントロールケーブル53と第二コントロールケーブル54とが接続されていない状態となる。
【0068】
この状態で、シリンダー錠51またはサムターン52を閉設定に操作すると、第一コントロールケーブル53が第二コントロールケーブル54側に近接して、第一コントロールケーブル53と第二コントロールケーブル54とは連結手段55により連結され、ラッチ制御バー330とラッチボルト340とは再び係合する。
【0069】
図5は、図3のA-A線断面図である。
図5に示すように、スイッチ60は、ラッチ装置30のケース310の奥行方向の両側にそれぞれ設けられている。各スイッチ60は、スイッチ本体61と、スイッチばね62と、を有している。
【0070】
スイッチ本体61、円柱状に形成され、奥行方向に延びている。各スイッチ本体61は、それぞれケース310のケース第一板部311及びケース第二板部316に挿通されている。
【0071】
スイッチ本体61の一方側の端部61aは、ケース310の外方、つまりドア本体2(図1参照。以下同じ)の外方に突出している。スイッチ本体61の他方側の端部61bは、ケース310の内部に配置され、ラッチ制御バー330の受け部337に当接可能とされている。
【0072】
スイッチばね62は、スイッチ本体61の端部61aが、ケース310の外方に突出するように付勢している。
【0073】
図6は、図4のB-B線断面図である。
図3及び図5に示すラッチ制御バー330とラッチボルト340とが係合している状態から、利用者が、スイッチ60を押すと、図6に示すように、スイッチ60はケース310の内部側に変位する。
【0074】
スイッチ60の端部61bが、ラッチ制御バー330の受け部337の面337aに当接する。受け部337は、スイッチ60に押されて戸先側に変位する。ラッチ制御バー330は、支持軸318を中心として揺動する。これにより、ラッチ制御バー330とラッチボルト340との係合が解除する。
【0075】
次に、上記のドア1の開閉動作について説明する。
電気錠装置40の操作によって、ドア本体2が閉状態から開状態に移行する動作ついて説明する。
施錠状態では、図3に示すように、ラッチ制御バー330とラッチボルト340とが係合して施錠されている。利用者が認証部41に所定の情報を示すと、認証部41は制御部に認証信号を送信する。制御部は、認証信号を判断して、所定の条件の場合に駆動部370に解錠信号を送信する。駆動部370は、解錠信号に基づいて、図4に示すように、ラッチ制御バー330を上方に押し上げる。
【0076】
これにより、ラッチ制御バー330は、係合片334を上方に変位させるように、支持軸318を中心に揺動する。ラッチ制御バー330とラッチボルト340とが係合が解除する。
【0077】
図7は、ドア本体2が閉状態から開状態に移行する様子を示す図である。
利用者がハンドル21を把持して、図7に示すように、ドア本体2を開方向(矢印の方向)に動かすと、ラッチボルト340の第一当たり面342が、縦枠11cのラッチ溝12の面12aに当接する。ラッチボルト340は、面12aに押されて、二点鎖線A1で示すように、開方向と反対方向に傾斜する。
【0078】
ドア本体2を開方向に更に動かすと、ラッチボルト340は、縦枠11cの側面11eに押されて、二点鎖線A2で示すように、吊元側に変位する。
【0079】
ラッチボルト340の吊元側への変位に伴い、ラッチボルト340に設けられたばね押さえ部材351が、追従ピン360を吊元側に押圧する。ラッチ制御バー330は、追従ピン360に押圧されることにより、図3に示すように、係合片334を下方に変位させるように、支持軸318を中心として揺動する。
【0080】
図7に示すように、ドア本体2が更に開方向に動き、ラッチボルト340が縦枠11cから離間すると、ラッチボルト340は、ピンばね361の付勢力により、二点鎖線A3で示すように突出した状態に戻る。この状態では、図3に示すように、ラッチ制御バー330とラッチボルト340とは係合している。
【0081】
なお、制御部から解錠信号が送信されて、駆動部370がラッチ制御バー330とラッチボルト340との係合を解除した後、利用者がドア本体2を開かない場合、一定時間経過後にラッチ制御バー330とラッチボルト340とを係合するように制御部が設定されていてもよい。
【0082】
次に、ドア本体2が開状態から閉状態に移行する動作について説明する。
利用者がハンドル21を把持して、ドア本体2を、図8に示すように、閉方向(矢印の方向)に動かすと、ラッチボルト340の第二当たり面343が縦枠11cの角部11fに当接し、ラッチボルト340が縦枠11cから吊元側に押される。二点鎖線B1に示すように、ラッチボルト340が、吊元側に変位する。
【0083】
ラッチボルト340は、縦枠11cのラッチ溝12に到達すると、二点鎖線B2に示すように、ピンばね361の付勢力により突出した状態に戻る。
【0084】
施解錠装置50及びスイッチ60の操作によっても、ドア本体2は、電気錠装置40の場合と同様に、閉状態から開状態に、閉状態から開状態にそれぞれ移行する。
【0085】
このように構成されたドア装置100では、ラッチ制御バー330とラッチボルト340との係合を解除可能な操作手段は、電気錠装置40、施解錠装置50及びスイッチ60の3種類あるため、利用者は複数の操作手段の中から任意の一の操作手段を選択して、ラッチ制御バー330とラッチボルト340との係合を解除することができる。
【0086】
また、ドア1を開閉するハンドル21は、操作手段とは構造的に独立しているため、利用者の好み等に応じてハンドル21のデザインやハンドル21の取付位置を選択できる。
よって、ハンドル21の選択の自由度を高めることができる。また、ドア本体2の表裏面で、異なるデザインのハンドル21を採用したり、異なる位置にハンドル21と取り付けたりすることができる。
【0087】
また、ラッチ装置30は、ラッチボルト340がドア本体2の側面11eから突出するように配置すれば、ドア本体2の側面11eの上下方向の任意の位置に設置することができる。よって、ラッチボルト340がドア本体2の側面11eの上端部または端部から突出するように設けて、ラッチボルト340が目立たないようにしてもよい。
【0088】
ラッチ制御バー330、ラッチボルト340及び駆動部370は、同一のケース310の内部に配置されているため、ラッチ機構3がコンパクトとなる。
【0089】
(変形例1)
次に、発明の一実施形態の変形例1に係るラッチ機構及びドア装置について、主に図9を用いて説明する。
下記に示す変形例の説明において、前述した部材と同一の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図9は、本発明の一実施形態の変形例1に係るドア装置を示す正面図である。
図9に示すように、本変形例では、枠体11Aは、ドア枠11Bと、袖パネル4と、を有している。
【0090】
ドア枠11Bは、上枠11aと、下枠11bと、戸先側の縦枠11cと、吊元側の縦枠11dと、を有している。
【0091】
ドア枠11B内に、ドア1A及び袖パネル4が、幅方向に隣接配置されている。袖パネル4は、ドア1Aの戸先側に配置されている。
【0092】
ドア1Aは、ドア枠11B内に開閉可能に配置されている。ハンドル21Aは、ドア1Aに取り付けられている。
【0093】
袖パネル4は、ドア枠11Bの上枠11a、下枠11b及び戸先側の縦枠11cに固定されている。ラッチ装置30、電気錠装置40、施解錠装置50及びスイッチ60は、袖パネル4に設けられている。ラッチ装置30のラッチボルト340(図2参照)は、袖パネル4の側端面4aから、ドア1A側に出没可能に設けられている。
【0094】
このように構成されたドア装置100Aでは、ラッチ制御バー330とラッチボルト340との係合を解除可能な操作手段は、電気錠装置40、施解錠装置50及びスイッチ60の3種類あるため、利用者は複数の操作手段の中から任意の一の操作手段を選択して、ラッチ制御バー330とラッチボルト340との係合を解除することができる。
【0095】
また、ラッチボルト340、ラッチ制御バー330、電気錠装置40、施解錠装置50及びスイッチ60は袖パネル4に配置されているため、ドア1Aを簡易な構成とすることができる。
【0096】
(変形例2)
次に、発明の一実施形態の変形例2に係るラッチ機構及びドア装置について、主に図10図18を用いて説明する。
【0097】
上記に示す実施形態では、ケース310の内部に、ラッチポケット320、ラッチ制御バー330、ラッチボルト340、追従ピン360及び駆動部370が収容されている。本変形例では、図11図10から外側ケーシング71を取り外した図)に示すように、駆動部370Aは、ラッチボルト340A等が収容されるケース310Aとは別に配置されている。
【0098】
外側ケーシング71(図10参照。以下同じ。)の内部に、ケース310及び駆動部370Aが配置されている。図12に示すように、ケース310Aの内部に、ラッチボルト340Aが出没可能に収容されるとともに、ラッチ制御バー(係合部)330A(図12の破線参照。以下同じ。)が収容されている。図10に示すように、外側ケーシング71には、スイッチ60Aが露出している。駆動部370Aは、ケース310の外部に配置されている。
【0099】
図12に示すように、駆動部370Aの上端部には、駆動軸371Aが設けられている。駆動軸371Aには、支持部材37が設けられている。駆動軸371Aは支持部材37を介して、ラッチボルト340Aに接続されたラッチ制御バー330Aに接続されている。支持部材37は、第一支持部材38と、第二支持部材39を、を有している。
【0100】
ラッチボルト340Aに接続されたラッチ制御バー330Aは、周知の構造であり、図13に示すように、支持部材37が上方に配置された状態でラッチボルト340Aと係合するように構成され、図14に示すように支持部材37が下方に配置された状態でラッチボルト340Aとの係合が解除されるように構成されている。
【0101】
第一支持部材38は、第一取付腕部381と、第一延出腕部382と、一対の第一上下腕部383と、を有している。第一取付腕部381は、駆動軸371Aに形成された取付凹部372に配置されている。第一取付腕部381は、駆動軸371Aに固定されている。第一延出腕部382は、第一取付腕部381の上端部から奥行方向の両側に延びている。第一延出腕部382は、ケース310Aの下方に配置されている。第一上下腕部383は、第一延出腕部382の奥行方向の両端部からそれぞれ上方に延びている。
【0102】
第二支持部材39は、一対の第二取付腕部391と、第二連結腕部392と、を有している。第二取付腕部391は、上下方向に延びている。各第二取付腕部391の下端部は、第一上下腕部383にそれぞれ連結されている。第二連結腕部392は、一対の第二取付腕部391の上端部どうしを連結している。第二連結腕部392は、ケース310Aに形成された奥行方向に貫通する係止孔319に配置されている。第二連結腕部392は、ラッチ制御バー330Aに接続されている。第二連結腕部392の両端部には、傾斜面393が設けられている。傾斜面393は、ケース310Aの外側に向かうにしたがって次第に下方に向かって傾斜している。
【0103】
図13に示すように、ラッチ制御バー330Aとラッチボルト340Aとが係合している状態から、駆動部370Aが解除信号を受信すると、図14に示すように、駆動部370Aは下方に変位する。これによって、駆動部370Aに設けられた駆動軸371Aに接続された支持部材37が下方に変位し、ラッチ制御バー330Aとラッチボルト340Aとの係合が解除する。
【0104】
図10に示すように、スイッチ60Aは、外側ケーシング71の奥行方向の両側にそれぞれ設けられている。各スイッチ60Aは、スイッチ支持体63Aと、スイッチ本体61Aと、スイッチばね(不図示。以下同じ)と、を有している。
【0105】
スイッチ支持体63Aは、突出環状部631と、支持環状部632と、を有している。突出環状部631は、外側ケーシング71における奥行方向を向く面71aから外方に突出している。突出環状部631は、奥行方向から見て環状に形成されている。支持環状部632は、突出環状部631の端部から径方向の内側に延びている。支持環状部632は、環状に形成されている。
【0106】
図15に示すように、スイッチ本体61Aは、スイッチ被押圧部611と、支持部材操作部612と、を有している。スイッチ被押圧部611は、奥行方向から見て円形状をしている。支持部材操作部612は、スイッチ被押圧部611からケース310Aの内方に延びている。スイッチ被押圧部611の先端部は、外側ケーシング71に形成された不図示の貫通孔に挿通され、ケース310Aの係止孔319の内部に配置されている。スイッチ被押圧部611の先端部は、尖っている。換言すると、スイッチ被押圧部611の先端部の下面613は、ケース310Aの内方に向かうにしたがって次第に上方に傾斜して形成されている。スイッチばねは、一対のスイッチ本体61Aを互いに離間する方向に付勢している。
【0107】
図15に示すラッチ制御バー330Aとラッチボルト340Aとが係合している状態で、スイッチ本体61Aのスイッチ被押圧部611は、スイッチ支持体63Aの支持環状部632に当接配置されている。スイッチ本体61Aの支持部材操作部612の下面613は、支持部材37の傾斜面393の僅かに上方に配置されている。
【0108】
この状態から、利用者が、スイッチ本体61Aを押すと、図16に示すように、スイッチ本体61Aはケース310Aの内部側に変位する。
【0109】
スイッチ本体61Aの支持部材操作部612の下面613が、支持部材37の傾斜面393を下方に押圧する。支持部材37及び駆動部370Aが、一体となって下方に変位する。これによって、ラッチ制御バー330Aとラッチボルト340Aとの係合が解除する。
【0110】
図17に示すように、ラッチボルト340Aと駆動軸371Aとは、接続部材72で接続されている。接続部材72は、第一接続部材73と、第二接続部材74と、第三接続部材75と、を有している。
【0111】
図17に示すラッチボルト340Aがケース310Aから突出した状態で、第一接続部材73は、戸先側に向かうにしたがって次第に上方に向かうように傾斜している。第一接続部材73の吊元側の端部731は、駆動軸371Aの上端部に連結されている。第一接続部材73は、奥行方向を軸線方向とする軸部734回りに回動可能とされている。
【0112】
第二接続部材74は、第二接続下部741と、第二接続上部746と、を有している。第二接続下部741における吊元側の端部742は、第一接続部材73における戸先側の端部732に接続されている。図17に示す状態で、第二接続下部741は、戸先側に向かうにしたがって次第に下方に向かうように傾斜している。第二接続上部746は、第二接続下部741における戸先側の端部から上方に延びている。図17に示す状態で、第二接続上部746は、戸先側に向かうにしたがって次第に上方に向かうように傾斜している。第二接続部材74は、第二接続下部741の戸先側の端部(第二接続上部746の下端部)に設けられ奥行方向を軸線方向とする軸部744回りに回動可能とされている。
【0113】
第三接続部材75は、第二接続上部746の上端部に接続されている。第三接続部材75と第二接続上部746とは、奥行方向を軸線方向とする軸部754回りに回動可能とされている。第三接続部材75には、ラッチボルト340Aが接続されている。
【0114】
次に、ドア本体2が閉状態から開状態に移行する伴う動きについて説明する。
図17に示す状態では、ラッチボルト340Aが突出しつつ、ラッチ制御バー330Aとラッチボルト340Aとの係合が解除されている。この状態では、図7に示すように、ラッチボルト340Aは、縦枠11cのラッチ溝12内に配置されている。
【0115】
利用者がハンドル21を把持して、ドア本体2を開方向に動かすと、上記に示す実施形態と同様に、ラッチボルト340Aは図7の二点鎖線A1から二点鎖線A2に示すように変位してケース310Aの内部に収容されていく。
【0116】
図18に示すように、ラッチボルト340Aが吊元側に変位するにともなって、ラッチボルト340Aに接続された第三接続部材75も吊元側に変位する。第二接続部材74は軸部744及び軸部754を中心に回動して、第二接続下部741の端部742が第一接続部材73の端部732を押し下げる。第一接続部材73は軸部734を中心に回動して、端部731が駆動軸371Aの上端部を上方に押し上げ、ラッチ制御バー330Aとラッチボルト340Aとの係合が解除された状態がリセットされる(ラッチ制御バー330Aとラッチボルト340Aとが係合する)。
【0117】
ドア本体2が更に開方向に動き、ラッチボルト340Aが縦枠11cから離間すると、ラッチボルト340Aは、付勢力により状態に戻る。この状態では、ラッチ制御バー330Aとラッチボルト340Aとは係合している。
【0118】
なお、制御部から解錠信号が送信されて、駆動部370Aがラッチ制御バー330Aとラッチボルト340Aとの係合を解除した後、利用者がドア本体2を開かない場合、一定時間経過後にラッチ制御バー330Aとラッチボルト340Aとを係合するように制御部が設定されていてもよい。
【0119】
次に、ドア本体2が開状態から閉状態に移行する動作について説明する。
利用者がハンドル21を把持して、ドア本体2を、閉方向に動かすと、ラッチボルト340Aは図8の二点鎖線B1から二点鎖線B2に示すように変位して、縦枠11cのラッチ溝12内に配置される。
【0120】
このように構成されたドア装置100では、ラッチ制御バー330Aとラッチボルト340Aとの係合を解除可能な操作手段は、電気錠装置40、施解錠装置50及びスイッチ60Aの3種類あるため、利用者は複数の操作手段の中から任意の一の操作手段を選択して、ラッチ制御バー330Aとラッチボルト340Aとの係合を解除することができる。
【0121】
ラッチボルト340A及びラッチ制御バー330Aが収容された既存のケース310Aの内部に対して、駆動部370Aを後から外付けすることができる。
【0122】
なお、上述した実施の形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0123】
例えば、上記に示す実施形態では、ラッチ溝12が縦枠11cに設けられ、ラッチ機構3はドア1に設けられているが、本発明はこれに限られない。凹溝がドアに設けられ、ラッチ機構が枠体に設けられていてもよい。
【0124】
また、上記に示す実施形態では、操作手段として、電気錠装置40、施解錠装置50及びスイッチ60の3種類が設けられているが、本発明はこれに限られない。操作手段として、電気錠装置、施解錠装置及びスイッチのうち2種類以上が設けられていればよい。
【0125】
また、スイッチとして、上記に示す押込み式以外に、ドアのハンドル付近にセンサが設けられ、センサがドアの開動作を検知して、係合部とラッチとの係合を解除するように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0126】
1…ドア
2…ドア本体
3…ラッチ機構
4…袖パネル
11…枠体
11c…戸先側の縦枠
12…ラッチ溝(凹部)
21…ハンドル
30…ラッチ装置
40…電気錠装置(操作手段)
50…施解錠装置(操作手段)
51…シリンダー錠
52…サムターン
60…スイッチ(操作手段)
100…ドア装置
310…ケース
320…ラッチポケット
330…ラッチ制御バー(係合部)
340…ラッチボルト(ラッチ)
360…追従ピン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18