(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-07
(45)【発行日】2024-03-15
(54)【発明の名称】射出装置及び射出装置のメンテナンス方法
(51)【国際特許分類】
B29C 45/07 20060101AFI20240308BHJP
B29C 45/17 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
B29C45/07
B29C45/17
(21)【出願番号】P 2020065112
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2022-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】田中 良忠
【審査官】北澤 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-009033(JP,A)
【文献】実開昭62-045118(JP,U)
【文献】特開2017-170799(JP,A)
【文献】実開平05-012118(JP,U)
【文献】特開昭50-100156(JP,A)
【文献】特開2004-001279(JP,A)
【文献】特開2017-159549(JP,A)
【文献】実開平03-031921(JP,U)
【文献】特開2015-182361(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00-45/84
B22D 15/00-17/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダと、
前記シリンダを着脱自在に固定するサポートと、
前記サポートから取り外された前記シリンダを旋回させるシリンダ旋回装置と、を備え
、
前記シリンダ旋回装置は、
前記シリンダを支持する支持部を有する旋回ベースと、
前記旋回ベースを旋回可能な旋回装置と、を有する、
射出装置。
【請求項2】
前記シリンダ旋回装置は、
前記旋回ベースを昇降可能な昇降装置を更に有する、
請求項
1に記載の射出装置。
【請求項3】
前記サポートは、
上方が開放されるシリンダ取付部を有する、
請求項1
または請求項
2に記載の射出装置。
【請求項4】
シリンダと、
前記シリンダを着脱自在に固定するサポートと、
前記サポートから取り外された前記シリンダを旋回させるシリンダ旋回装置と、を備え
、
前記サポートは、
前記シリンダを挿通する穴部を有する、
射出装置。
【請求項5】
シリンダと、
前記シリンダを挿通する穴部を有し、前記シリンダを着脱自在に固定するサポートと、前記シリンダを旋回させるシリンダ旋回装置と、を備える、射出装置のメンテナンス方法であって、
前記サポートから前記シリンダを取り外す工程と、
前記サポートから取り外された前記シリンダを前記シリンダ旋回装置で旋回させる工程と、を有
し、
前記シリンダを取り外す工程は、
前記サポートを後退させて、前記サポートから前記シリンダを引き抜く、
射出装置のメンテナンス方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出装置及び射出装置のメンテナンス方法に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形機の射出装置は、シリンダと、シリンダ内に配置されるスクリュと、を備えている。スクリュのメンテナンスの際、シリンダからスクリュを引き抜いてメンテナンスが行われる。
【0003】
特許文献1には、射出成形機の加熱シリンダからの射出スクリユ引き抜き方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、特許文献1では、射出装置全体を旋回させることによりスクリュを射出成形機の外に向けてシリンダからスクリュを引き抜く。しかしながら、特許文献1の構成では、射出装置全体を旋回させるために、構造が複雑になり、コストが上昇するという課題がある。
【0006】
そこで、本発明は、コストを低減する射出装置及び射出装置のメンテナンス方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の一態様の射出装置は、シリンダと、前記シリンダを着脱自在に固定するサポートと、前記サポートから取り外された前記シリンダを旋回させるシリンダ旋回装置と、を備え、前記シリンダ旋回装置は、前記シリンダを支持する支持部を有する旋回ベースと、前記旋回ベースを旋回可能な旋回装置と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、コストを低減する射出装置及び射出装置のメンテナンス方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態による射出装置が搭載される射出成形機の側面図である。
【
図2】第1実施形態による射出装置が搭載される射出成形機の内部構造の側面図である。
【
図3】第1実施形態による射出装置が搭載される射出成形機の上面図である。
【
図4】第1実施形態に係る射出装置のシリンダと前方サポートとの取り付け構造を示す断面図である。
【
図5】第2実施形態に係る射出装置のシリンダと前方サポートとの取り付け構造を示す断面図である。
【
図6】第3実施形態に係るシリンダ旋回装置の支持部とシリンダとの取り付け構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。各図面において、同一の又は対応する構成については同一の又は対応する符号を付して説明を省略する。
【0011】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態による射出装置が搭載される射出成形機の側面図である。
図2は、第1実施形態による射出装置が搭載される射出成形機の内部構造の側面図である。
図3は、第1実施形態による射出装置が搭載される射出成形機の上面図である。各図面において、X方向、Y方向およびZ方向は互いに垂直な方向であり、X方向はシリンダ41の軸方向、Y方向はフレームFrにおけるガイドGdの固定面に対し平行な方向、Z方向はフレームFrにおけるガイドGdの固定面に対し垂直な方向である。なお、
図2及び
図3において、後述するシリンダ旋回装置10の図示を省略している。
【0012】
射出成形機は、フレームFrと、射出装置40と、制御装置90とを有する。以下、充填時のスクリュ43の移動方向(
図1および
図2中左方向)を前方とし、計量時のスクリュ43の移動方向(
図1および
図2中右方向)を後方として説明する。
【0013】
射出装置40は、フレームFrに対し進退自在とされ、金型装置に対し進退自在とされる。射出装置40は、金型装置にタッチされ、金型装置内のキャビティ空間に成形材料を充填する。キャビティ空間に充填された成形材料を冷却固化させることで、成形品が得られる。射出装置40は、例えば、シリンダ41、ノズル42、スクリュ43、計量モータ45、射出モータ46、荷重検出器47、加熱器48、および温度検出器49などを有する。
【0014】
シリンダ41は、供給口41aから内部に供給された成形材料を加熱する。供給口41aはシリンダ41の後部に形成される。なお、シリンダ41の後部には、水冷シリンダなどの冷却器(図示せず)が設けられる。冷却器よりも前方において、シリンダ41の外周には、バンドヒータなどの加熱器48と温度検出器49とが設けられる。
【0015】
シリンダ41は、シリンダ41の軸方向(
図1および
図2中左右方向)に複数のゾーンに区分される。各ゾーンに加熱器48と温度検出器49とが設けられる。ゾーン毎に、温度検出器49の実測温度が設定温度になるように、制御装置90が加熱器48を制御する。シリンダ41の後端部が、前方サポート51に取付けられる。前方サポート51が取付けられる前方スライダ52は、フレームFrに固定されるガイドGdに沿って滑動する。
【0016】
ノズル42は、シリンダ41の前端部に設けられ、金型装置に対し押し付けられる。ノズル42の外周には、加熱器48と温度検出器49とが設けられる。ノズル42の実測温度が設定温度になるように、制御装置90が加熱器48を制御する。
【0017】
スクリュ43は、シリンダ41内において回転自在に且つ進退自在に配設される。スクリュ43を回転させると、スクリュ43の螺旋状の溝に沿って成形材料が前方に送られる。成形材料は、前方に送られながら、シリンダ41からの熱によって徐々に溶融される。液状の成形材料がスクリュ43の前方に送られシリンダ41の前部に蓄積されるにつれ、スクリュ43が後退させられる。その後、スクリュ43を前進させると、スクリュ43前方の成形材料がノズル42から射出され、金型装置内に充填される。スクリュ43が特許請求の範囲に記載の射出部材に対応する。
【0018】
計量モータ45は、スクリュ43を回転させる。計量モータ45は、
図2に示すように、計量モータ45の出力軸61を回転自在に支持する軸受62を保持する軸受ホルダ63と共に、後方サポート53に取付けられる。後方サポート53が取付けられる後方スライダ54は、前方スライダ52よりも後方において、ガイドGdに沿って滑動する。計量モータ45が特許請求の範囲に記載の回転駆動部に対応する。
【0019】
計量モータ45の出力軸61は、スクリュ43の延長軸と同一直線上に配される。計量モータ45の出力軸61は、軸受62の前方に、スクリュ43の延長軸を嵌合する嵌合部61aを有する。嵌合部61aは、スクリュ43の延長軸が挿入される挿入穴を有し、スクリュ43の延長軸よりも大きい直径を有する。
【0020】
射出モータ46は、スクリュ43を進退させる。射出モータ46は、
図1に示すように前方サポート51に取付けられる。射出モータ46の回転運動は、運動変換機構55によって前方サポート51に対する後方サポート53の直線運動に変換される。射出モータ46が特許請求の範囲に記載の進退駆動部に対応する。
【0021】
運動変換機構55は、ねじ軸56と、ねじ軸56に螺合するねじナット57とを有する。ねじ軸56と、ねじナット57との間には、ボールまたはローラが介在してよい。
【0022】
図1では、ねじ軸56が射出モータ46の出力軸に連結され、ねじナット57が後方サポート53に固定されている。射出モータ46を駆動してその出力軸を回転させると、ねじ軸56が回転し、ねじナット57が進退することで、後方サポート53やスクリュ43が進退する。
【0023】
尚、ねじ軸56とねじナット57の配置は、
図1の配置に限定されない。ねじ軸56とねじナット57の配置としては、
図1の配置の他に、例えば、下記(1)の配置や下記(2)の配置が挙げられる。
【0024】
(1)前方サポート51に固定される射出モータ46の出力軸にねじナット57が固定され、ねじ軸56が後方サポート53に固定されていてもよい。この場合、射出モータ46を駆動してその出力軸を回転させると、ねじナット57が回転し、ねじ軸56が進退することで、後方サポート53やスクリュ43が進退する。
【0025】
(2)前方サポート51に固定される射出モータ46の出力軸にねじ軸56の前端部がスプライン結合され、ねじ軸56の後端部が後方サポート53に回転自在に支持され、ねじナット57が前方サポート51に固定されていてもよい。この場合、射出モータ46を駆動してその出力軸を回転させると、ねじ軸56が回転しながら進退することで、後方サポート53やスクリュが進退する。
【0026】
尚、本実施形態の射出モータ46は、前方サポート51に取付けられるが、後方サポート53に取付けられてもよい。射出モータ46の配置に応じて、ねじ軸56とねじナット57の配置が適宜変更されてよい。
【0027】
尚、本実施形態の射出モータ46の出力軸は、ねじ軸56やねじナット57と同一直線上に配されるが、ずらして配されてもよい。この場合、射出モータ46の回転運動は、ベルトやプーリなどの回転伝達部材を介して運動変換機構55に伝達される。
【0028】
射出モータ46や運動変換機構55は、
図3に示すように、複数組で用いられてよく、シリンダ41を挟む両側に設けられてよい。尚、射出モータ46や運動変換機構55の組の数は、特に限定されず、例えば1つでもよい。
【0029】
荷重検出器47は、射出モータ46とスクリュ43との間の力の伝達経路に設けられ、スクリュ43に作用する荷重を検出する。例えば成形材料からスクリュ43に作用する荷重は、スクリュ43の延長軸や計量モータ45の出力軸61、軸受62、軸受ホルダ63などを介して荷重検出器47に伝達される。一方、スクリュ43を進退させる射出モータ46の駆動力は、運動変換機構55や後方サポート53などを介して荷重検出器47に伝達される。
【0030】
荷重検出器47は、その検出結果を示す信号を制御装置90に送る。荷重検出器47の検出結果は、スクリュ43が成形材料から受ける圧力、スクリュ43に対する背圧、スクリュ43から成形材料に作用する圧力などの制御や監視に用いられる。
【0031】
制御装置90は、
図1や
図2に示すようにCPU(Central Processing Unit)91と、メモリなどの記憶媒体92と、入力インターフェイス93と、出力インターフェイス94とを有する。制御装置90は、記憶媒体92に記憶されたプログラムをCPU91に実行させることにより、各種の制御を行う。また、制御装置90は、入力インターフェイス93で外部からの信号を受信し、出力インターフェイス94で外部に信号を送信する。制御装置90は、充填工程、保圧工程、計量工程などを制御する。
【0032】
充填工程では、射出モータ46を駆動してスクリュ43を設定速度で前進させ、スクリュ43の前方に蓄積された液状の成形材料を金型装置内のキャビティ空間に充填させる。スクリュ43の位置や速度は、例えば射出モータ46のエンコーダ46aを用いて検出する。エンコーダ46aは、射出モータ46の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置90に送る。スクリュ43の位置が設定位置に達すると、充填工程から保圧工程への切替(所謂、V/P切替)が行われる。スクリュ43の設定速度は、スクリュ43の位置や時間などに応じて変更されてよい。
【0033】
尚、充填工程においてスクリュ43の位置が設定位置に達した後、その設定位置にスクリュ43を一時停止させ、その後にV/P切替が行われてもよい。V/P切替の直前において、スクリュ43の停止の代わりに、スクリュ43の微速前進または微速後退が行われてもよい。
【0034】
保圧工程では、射出モータ46を駆動してスクリュ43を設定圧力で前方に押し、金型装置内のキャビティ空間に充填された成形材料に圧力をかける。冷却収縮による不足分の成形材料が補充できる。成形材料の圧力は、例えば荷重検出器47を用いて検出する。
【0035】
保圧工程ではキャビティ空間の成形材料が徐々に冷却され、保圧工程完了時にはキャビティ空間の入口が固化した成形材料で塞がれる。この状態はゲートシールと呼ばれ、キャビティ空間からの成形材料の逆流が防止される。保圧工程後、冷却工程が開始される。冷却工程では、キャビティ空間内の成形材料の固化が行われる。成形サイクルの短縮のため、冷却工程中に計量工程が行われてよい。
【0036】
計量工程では、計量モータ45を駆動してスクリュ43を設定回転数で回転させ、スクリュ43の螺旋状の溝に沿って成形材料を前方に送る。これに伴い、成形材料が徐々に溶融される。液状の成形材料がスクリュ43の前方に送られシリンダ41の前部に蓄積されるにつれ、スクリュ43が後退させられる。スクリュ43の回転数は、例えば計量モータ45のエンコーダ45aを用いて検出する。エンコーダ45aは、その検出結果を示す信号を制御装置90に送る。
【0037】
計量工程では、スクリュ43の急激な後退を制限すべく、射出モータ46を駆動してスクリュ43に対して設定背圧を加えてよい。スクリュ43に対する背圧は、例えば荷重検出器47を用いて検出する。スクリュ43が設定位置まで後退し、スクリュ43の前方に所定量の成形材料が蓄積されると、計量工程が終了する。
【0038】
また、射出装置40は、シリンダ旋回装置10を備えている。シリンダ旋回装置10は、射出成形機のメンテナンス時において、シリンダ41を前方サポート51から取り外し、シリンダ41を旋回させる際に用いることができる。
【0039】
シリンダ旋回装置10は、ベース11と、昇降装置12と、旋回装置13と、旋回ベース14と、支持部15と、を有する。
【0040】
ベース11は、フレームFr上に設けられる。昇降装置12は、旋回装置13及び旋回ベース14を鉛直方向(Z方向)に昇降する。旋回装置13は、鉛直方向(Z方向)を回転軸として、旋回ベース14を旋回することができるように構成されている。旋回ベース14には、シリンダ41を支持する支持部15が設けられている。
【0041】
また、シリンダ旋回装置10は、前方サポート51に片持ち支持されるシリンダ41を前方側で支持する支持台として用いられていてもよい。
【0042】
例えば、支持部15にローラ(図示せず)が設けられ、射出装置40が金型装置に対して進退する際に、射出装置40の移動を妨げないように構成されていてもよい。なお、シリンダ旋回装置10は、メンテナンスの際に支持部15で支持されるシリンダ41が軸方向に動くことを防止する固定機構(図示せず)を備えていてもよい。
【0043】
また、例えば、シリンダ旋回装置10はベース11とフレームFrとの間にガイド(図示せず)及びスライダ(図示せず)が設けられ、射出装置40が金型装置に対して進退する際に、射出装置40と共に進退することで、射出装置40の移動を妨げないように構成されていてもよい。なお、シリンダ旋回装置10は、メンテナンスの際にベース11がフレームFrに対して動くことを防止する固定機構(図示せず)を備えていてもよい。
【0044】
<シリンダと前方サポートとの着脱構造>
シリンダ41の後端部は、前方サポート51に着脱可能に取り付けられている。シリンダ41と前方サポート51との取り付け構造について
図4を用いて説明する。
図4は、第1実施形態に係る射出装置40のシリンダ41と前方サポート51との取り付け構造を示す断面図である。
図4(a)はXZ平面で切断した断面図であり、
図4(b)はシリンダ41の軸を通るYZ平面で切断した断面図である。
【0045】
前方サポート51は、上方が開放される略U字形状のシリンダ取付部51aを有する。また、前方サポート51は、シリンダ取付部51aの上方を閉じる固定部材51bと、固定部材取付部51cと、を有する。
【0046】
シリンダ41の後端部の外周には、拡径する拡径部41bを有する。また、拡径部41bよりも後端側には、ねじ部41cを有する。
【0047】
シリンダ41は、前方サポート51の上方からシリンダ取付部51aに配置される。シリンダ41の拡径部41bは、前方サポート51の前面と当接する。シリンダ41のねじ部41cには、ナット41dが螺合する。ナット41dを締め付けることにより、ナット41dが前方サポート51の後面と当接する。これにより、シリンダ41は、前方サポート51に取り付けられる。
【0048】
また、固定部材51bは、前方サポート51の固定部材取付部51cに取り付けられる。これにより、シリンダ取付部51aは、上方が閉じられ、シリンダ41がシリンダ取付部51aから浮き上がることを防止する。
【0049】
<メンテナンス>
次に、シリンダ旋回装置10を用いてメンテナンスの一例について説明する。
【0050】
まず、作業者は、シリンダ旋回装置10を準備する。例えば、作業者は、シリンダ41と支持部15とを固定し、ベース11とフレームFrとを固定する。
【0051】
次に、作業者は、スクリュ43の後端と嵌合部61aとの接続を解除する。
【0052】
次に、作業者は、シリンダ41と前方サポート51との固定を解除する。具体的には、作業者は、前方サポート51の固定部材取付部51cから固定部材51bを取り外す。また、作業者は、ナット41dを緩める。
【0053】
次に、作業者は、シリンダ旋回装置10の昇降装置12を動作させる。昇降装置12の動作によって、旋回ベース14は、シリンダ41を上昇させる。これにより、支持部15で支持されたシリンダ41は、略U字形状のシリンダ取付部51aから取り外される。
【0054】
次に、作業者は、シリンダ旋回装置10の旋回装置13を動作させる。旋回装置13の動作によって、旋回ベース14は、シリンダ41を旋回させる。これにより、支持部15で支持されたシリンダ41は、旋回する。
【0055】
これにより、作業者は、シリンダ41からスクリュ43を引き抜くことができる。
【0056】
第1実施形態に係る射出装置40によれば、シリンダ41からスクリュ43を引き抜くために、前方サポート51からシリンダ41を取り外して、シリンダ41及びその内部に配置されるスクリュ43を旋回させることができる。ここで、射出装置40全体を旋回させる構成では、旋回装置の構造が複雑となり、コストも上昇する。これに対し、第1実施形態に係る射出装置40によれば、シリンダ旋回装置10の構造を単純化することができ、コストを低減することができる。また、旋回させる重量が減少するので、作業性が向上する。また、旋回させる部材の旋回半径を小さくすることができる。
【0057】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る射出装置40について説明する。第2実施形態に係る射出装置40は、シリンダ41と前方サポート51との取り付け構造が異なっている。シリンダ41と前方サポート51との取り付け構造について
図5を用いて説明する。
図5は、第2実施形態に係る射出装置40のシリンダ41と前方サポート51との取り付け構造を示す断面図である。
図5(a)はXZ平面で切断した断面図であり、
図5(b)はシリンダ41の軸を通るYZ平面で切断した断面図である。
【0058】
前方サポート51は、シリンダ41が挿通する穴部51dを有している。
【0059】
シリンダ41の後部の外周には、水冷シリンダ41eが設けられている。水冷シリンダ41eとシリンダ41とは、割りフランジ41fで固定されている。水冷シリンダ41eと前方サポート51は、ボルト41gで固定されている。
【0060】
<メンテナンス>
次に、シリンダ旋回装置10を用いてメンテナンスの一例について説明する。
【0061】
まず、作業者は、シリンダ旋回装置10を準備する。例えば、作業者は、シリンダ41と支持部15とを固定し、ベース11とフレームFrとを固定する。
【0062】
次に、作業者は、スクリュ43の後端と嵌合部61aとの接続を解除する。
【0063】
次に、作業者は、シリンダ41と前方サポート51との固定を解除する。具体的には、作業者は、水冷シリンダ41eと前方サポート51とを固定しているボルト41gを取り外す。水冷シリンダ41eは、前方サポート51との固定が解除される。
【0064】
次に、作業者は、図示しない駆動機構を動作させて前方サポート51を後退させる。上述の通り、シリンダ41と前方サポート51との固定は、解除されており、シリンダ41は、シリンダ旋回装置10に固定されている。シリンダ41は、前方サポート51の後退によって、前方サポート51の穴部51dから引き抜かれる。
【0065】
次に、作業者は、シリンダ旋回装置10の旋回装置13を動作させて、旋回ベース14を旋回させる。これにより、支持部15で支持されたシリンダ41は、旋回する。
【0066】
これにより、作業者は、シリンダ41からスクリュ43を引き抜くことができる。
【0067】
第2実施形態に係る射出装置40によれば、シリンダ41からスクリュ43を引き抜くために、前方サポート51からシリンダ41を取り外して、シリンダ41及びその内部に配置されるスクリュ43を旋回させることができる。ここで、射出装置40全体を旋回させる構成では、旋回装置の構造が複雑となり、コストも上昇する。これに対し、第2実施形態に係る射出装置40によれば、シリンダ旋回装置10の構造を単純化することができ、コストを低減することができる。また、旋回させる重量が減少するので、作業性が向上する。また、旋回させる部材の旋回半径を小さくすることができる。
【0068】
なお、第2実施形態に係る射出装置40において、シリンダ旋回装置10は、第1実施形態と同様に、ベース11と、昇降装置12と、旋回装置13と、旋回ベース14と、支持部15と、を備えていてもよい。また、昇降装置12は、なくてもよい。
【0069】
以上、射出装置40の実施形態等について説明したが、本発明は上記実施形態等に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。
【0070】
シリンダ旋回装置10は、射出装置40に対して、着脱可能に設けられてもよい。即ち、ベース11はフレームFrと着脱可能に設けられ、支持部15はシリンダ41と着脱可能に設けられてもよい。
【0071】
図6は、第3実施形態に係るシリンダ旋回装置10の支持部15とシリンダ41との取り付け構造を示す断面図である。
図6(a)はXZ平面で切断した断面図であり、
図6(b)はシリンダ41の軸を通るYZ平面で切断した断面図である。シリンダ41の外側には、カバー44が設けられている。カバー44は、シリンダ41の周囲を囲むように設けられ、その下部が開口する。シリンダ41の下方には、カバー44の開口に対応する位置にシリンダ支持台座41hが設けられている。シリンダ支持台座41hは、ボルト41i等でシリンダ41に固定されている。
【0072】
シリンダ旋回装置10の支持部15とシリンダ支持台座41hとは、ボルト15aで固定される。
【0073】
このような構成により、シリンダ旋回装置10を用いる際には、ボルト15aで支持部15とシリンダ支持台座41hとを固定することにより、支持部15とシリンダ41とが固定される。本実施形態においては、カバー44を取り外すことなく、シリンダ旋回装置10をシリンダ41に取り付けることができる。メンテナンス性が向上する。また、シリンダ旋回装置10を射出装置40から取り外す際には、ボルト15aを抜くことにより、支持部15とシリンダ41との固定が解除される。
【0074】
なお、図示は省略するが、ベース11とフレームFrとは、ボルト等で固定されるようになっていてもよい。
【符号の説明】
【0075】
10 シリンダ旋回装置
11 ベース
12 昇降装置
13 旋回装置
14 旋回ベース
15 支持部
15a ボルト
40 射出装置
41 シリンダ
41a 供給口
41b 拡径部
41c ねじ部
41d ナット
41e 水冷シリンダ
41f 割りフランジ
41g ボルト
41h シリンダ支持台座
41i ボルト
42 ノズル
43 スクリュ
44 カバー
51 前方サポート(サポート)
51a シリンダ取付部
51b 固定部材
51c 固定部材取付部
51d 穴部
Fr フレーム