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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-07
(45)【発行日】2024-03-15
(54)【発明の名称】篭体及び土留め構造
(51)【国際特許分類】
   E02D 17/20 20060101AFI20240308BHJP
   E02B 3/08 20060101ALI20240308BHJP
   E02D 29/02 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
E02D17/20 103G
E02B3/08 301
E02D29/02 308
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2020095604
(22)【出願日】2020-06-01
(65)【公開番号】P2021188397
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-04-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000231110
【氏名又は名称】JFE建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 流
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-302954(JP,A)
【文献】特開昭56-153022(JP,A)
【文献】特開2001-303577(JP,A)
【文献】特開2007-070997(JP,A)
【文献】登録実用新案第3012088(JP,U)
【文献】特開2011-006910(JP,A)
【文献】特表2013-524054(JP,A)
【文献】特開2000-328539(JP,A)
【文献】特開2012-092612(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 17/20
E02B 3/08
E02D 29/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に中詰材を詰めて施工箇所に載置される篭体であって、
前記中詰材を収容する箱状の篭枠と、
前記篭枠の外面に取り付けられ、前記外面に取り付けられた状態で前記外面から突出し、他の前記篭体と隣接して配置された場合に、隣接する他の前記篭体の側面と対向するズレ止め材と、
を備え
前記外面は、
長尺の板状に形成された第1外面材を複数有し、
複数の前記第1外面材は、
それぞれ並列して配列されており、
前記ズレ止め材は、
少なくとも2本以上の前記第1外面材に架け渡されて固定されている篭体。
【請求項2】
内部に中詰材を詰めて施工箇所に載置される篭体であって、
前記中詰材を収容する箱状の篭枠と、
前記篭枠の外面に取り付けられ、前記外面に取り付けられた状態で前記外面から突出し、他の前記篭体と隣接して配置された場合に、隣接する他の前記篭体の側面と対向するズレ止め材と、
を備え、
前記外面は、
長尺の板状に形成された第1外面材を複数有し、
複数の前記第1外面材は、
それぞれ並列して配列されており、
少なくとも2本以上の前記第1外面材には、前記ズレ止め材が固定される固定側第1貫通孔が形成されており、
前記固定側第1貫通孔は、
前記第1外面材の長手方向に沿って長い長孔である篭体。
【請求項3】
内部に中詰材を詰めて施工箇所に載置される篭体であって、
前記中詰材を収容する箱状の篭枠と、
前記篭枠の外面に取り付けられ、前記外面に取り付けられた状態で前記外面から突出し、他の前記篭体と隣接して配置された場合に、隣接する他の前記篭体の側面と対向するズレ止め材と、
を備え、
前記ズレ止め材は、
第1固定部材によって前記外面に固定されるものであり、
前記ズレ止め材は、
矩形の板状に形成されており、前記第1固定部材によって前記外面に固定される設置部と、
矩形の板状に形成されており、前記設置部の側縁から立ち上がる係止部と、
を備え、
前記設置部には、
前記第1固定部材が挿通される取付側第1貫通孔が形成されており、
前記取付側第1貫通孔は、
前記係止部が設けられた前記側縁の延びる方向に沿って、前記設置部の長手方向に延びるように形成された長孔である篭体。
【請求項4】
前記ズレ止め材は、
前記篭枠の上面に取り付けられる請求項1~3のいずれか1項に記載の篭体。
【請求項5】
前記ズレ止め材は、
前記篭枠の下面に取り付けられ、下方に突出している請求項1~4のいずれか1項に記載の篭体。
【請求項6】
前記ズレ止め材は、
前記篭枠の側面に取り付けられ、上下方向に延びるように配置されている請求項1~のいずれか1項に記載の篭体。
【請求項7】
前記ズレ止め材は、
第1固定部材によって前記外面に固定される請求項1又は2に記載の篭体。
【請求項8】
なくとも2本以上の前記第1外面材には、前記ズレ止め材が固定される固定側第1貫通孔が形成されている請求項に記載の篭体。
【請求項9】
前記外面は、
長尺の板状に形成された第1外面材を複数有し、
複数の前記第1外面材は、
それぞれ並列して配列されており、
少なくとも2本以上の前記第1外面材には、前記ズレ止め材が固定される固定側第1貫通孔が形成されている請求項に記載の篭体。
【請求項10】
前記固定側第1貫通孔は、
前記第1外面材の長手方向に沿って長い長孔である請求項8又は9に記載の篭体。
【請求項11】
前記ズレ止め材は、
垂直断面がL字形状に形成されている請求項1~10のいずれか1項に記載の篭体。
【請求項12】
前記ズレ止め材は、
矩形の板状に形成されており、前記第1固定部材によって前記外面に固定される設置部と、
矩形の板状に形成されており、前記設置部の側縁から立ち上がる係止部と、
を備えた請求項に記載の篭体。
【請求項13】
前記設置部には、
前記第1固定部材が挿通される取付側第1貫通孔が形成されている請求項12に記載の篭体。
【請求項14】
前記取付側第1貫通孔は、
前記係止部が設けられた前記側縁の延びる方向に沿って、前記設置部の長手方向に延びるように形成された長孔である請求項13に記載の篭体。
【請求項15】
前記係止部には、
隣接する他の前記篭体の外面と固定するために用いられる第2固定部材が挿通される取付側第2貫通孔が形成されている請求項3、12~14のいずれか1項に記載の篭体。
【請求項16】
前記外面は、
長尺の板状に形成された第2外面材を有し、
前記第2外面材には、隣接する他の前記篭体に取り付けられた前記ズレ止め材との固定に用いられる固定側第2貫通孔が形成されている請求項1~15のいずれか1項に記載の篭体。
【請求項17】
前記ズレ止め材は、
前記篭枠に複数取り付けられている請求項1~16のいずれか1項に記載の篭体。
【請求項18】
前記ズレ止め材は、
短尺状の第1ズレ止め材と、長尺状の第2ズレ止め材とを有する請求項1~17のいずれか1項に記載の篭体。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか1項に記載の篭体を上下方向に複数積み上げて構成される土留め構造であって、
上下に隣り合った2つの前記篭体は、
傾斜面の谷側に向かう方向において、
下側に配置された前記篭体の上面に取り付けられた前記ズレ止め材が、上側に配置された前記篭体の側面と対向するように配置される土留め構造。
【請求項20】
請求項1~18のいずれか1項に記載の篭体を上下方向に複数積み上げて構成される土留め構造であって、
上下に隣り合った2つの前記篭体は、
傾斜面の谷側に向かう方向において、
上側に配置された前記篭体の下面に取り付けられて下方に突出している前記ズレ止め材が、下側に配置された前記篭体の側面と対向するように配置される土留め構造。
【請求項21】
請求項1~18のいずれか1項に記載の篭体を上下方向に複数積み上げて構成される土留め構造であって、
上下に隣り合った2つの前記篭体は、
傾斜面の谷側に向かう方向において、
下側に配置された前記篭体の上面に取り付けられた前記ズレ止め材が、上側に配置された前記篭体の側面と対向するように配置され、
上側に配置された前記篭体の下面に取り付けられて下方に突出している前記ズレ止め材が、下側に配置された前記篭体の側面と対向するように配置される土留め構造。
【請求項22】
請求項1~18のいずれか1項に記載の篭体を横方向に連続して複数配置されて構成される土留め構造であって、
横方向に隣り合った2つの前記篭体は、
傾斜面の谷側に向かう方向において、
他方の前記篭体よりも谷川に位置する前記篭体の側面に取り付けられて上下方向に延びるように配置された前記ズレ止め材が、他方の前記篭体の側面と対向するように配置される土留め構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土木工事において土留め或いは堰堤等に用いられる篭体及び篭体を使用した土留め構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、土留め或いは堰堤等を目的として、篭体の内部に石等の中詰材を詰めて現場の施工領域に設置する篭工が知られている。篭工は、護岸工、水制工等の河川工事をはじめ、渓間、山腹、道路際の災害復旧工事及び軟弱地盤対策工事等に用いられている。篭工において用いられる篭体は、一般的には直方体状に形成されている。このような篭体の各面は、縦材と横材とを用いて格子状に形成されており、或いは、ワイヤー等を用いて網目状に形成されている(例えば、特許文献1参照)。石等の中詰材を詰めた篭体は、施工領域に横方向に並んで設置されると共に、施工領域の斜面地に沿って縦方向に積み重ねて設置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-70997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、特許文献1に記載されているようなふとん篭と呼ばれる篭体は、積み上げられた上下段の篭体同士の土圧によるすべりを抑制するため、上段の篭体と下段の篭体とを刺し鉄筋により繋ぐことによりせん断方向への抵抗力を向上させている。しかし、上段の篭体と下段の篭体とを刺し鉄筋により繋ぐ方法は、中詰材を充填してから設置箇所に設置する吊タイプの篭体では、鉄筋を篭体に刺すことが出来ない。そのため、中詰材を充填してから設置箇所に設置する吊タイプの篭体では、隣接する篭体同士のせん断方向への抵抗力を向上させることができず、土圧による篭体のすべりを抑制することができない。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するものであり、中詰材を充填してから設置箇所に設置する篭体であっても、隣接する篭体同士のせん断方向への抵抗力を向上させることができる篭体及び土留め構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る篭体は、内部に中詰材を詰めて施工箇所に載置される篭体であって、中詰材を収容する箱状の篭枠と、篭枠の外面に取り付けられ、外面に取り付けられた状態で外面から突出し、他の篭体と隣接して配置された場合に、隣接する他の篭体の側面と対向するズレ止め材と、を備え、外面は、長尺の板状に形成された第1外面材を複数有し、複数の第1外面材は、それぞれ並列して配列されており、ズレ止め材は、少なくとも2本以上の第1外面材に架け渡されて固定されている
【0007】
本発明に係る土留め構造は、上記構成の篭体を上下方向に複数積み上げて構成される土留め構造であって、上下に隣り合った2つの篭体は、傾斜面の谷側に向かう方向において、下側に配置された篭体の上面に取り付けられたズレ止め材が、上側に配置された篭体の側面と対向するように配置される。
【発明の効果】
【0008】
篭体及び土留め構造は、篭枠の外面に取り付けられ、外面に取り付けられた状態で外面から突出し、他の篭体と隣接して配置された場合に、隣接する他の篭体の側面と対向するズレ止め材を備えている。そのため、篭体は、外面に取り付けられるズレ止め材を、隣接する篭体と対向させることができ、ズレ止め材と隣接する篭体とが当接することによって、篭体同士の土圧によるすべりを抑制することができる。その結果、中詰材を充填してから設置箇所に設置する篭体であっても、隣接する篭体同士のせん断方向への抵抗力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態1に係る篭体の平面図である。
図2図1の篭体の正面図である。
図3図1の篭体の側面図である。
図4図1の篭体の底面図である。
図5】天面材の平面図である。
図6】底面材の平面図である。
図7図1のズレ止め材の平面図である。
図8図1のズレ止め材の正面図である。
図9図1のズレ止め材の側面図である。
図10】篭体の変形例の正面図である。
図11】従来の篭体の設置状態を概念的に示す正面図である。
図12】従来の篭体の設置状態を概念的に示す側面図である。
図13】実施の形態2に係る篭体の天面材の平面図である。
図14】天面材に取り付けられたズレ止め材の平面図である。
図15】篭体の設置状態を示す平面図である。
図16】実施の形態3に係る篭体のズレ止め材の平面図である。
図17】天面材に取り付けられたズレ止め材の平面図である。
図18】実施の形態3に係る篭体の変形例のズレ止め材の平面図である。
図19】天面材に取り付けられた変形例のズレ止め材の平面図である。
図20】実施の形態4に係る篭体の正面図である。
図21】実施の形態4に係る篭体の側面図である。
図22】ズレ止め材と、縦材との固定の一例を概念的に示した正面図である。
図23】ズレ止め材と、縦材との固定の一例を概念的に示した平面図である。
図24】実施の形態5に係る篭体の側面図である。
図25】実施の形態6に係る篭体の正面図である。
図26】実施の形態7に係る篭体の平面図である。
図27】実施の形態7に係る篭体の正面図である。
図28】実施の形態8に係る土留め構造の平面図である。
図29】実施の形態8に係る土留め構造の正面図である。
図30】実施の形態8に係る土留め構造の側面図である。
図31】実施の形態9に係る土留め構造の側面図である。
図32】実施の形態10に係る土留め構造の側面図である。
図33】実施の形態11に係る土留め構造の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態に係る篭体100及び土留め構造200等について図面等を参照しながら説明する。なお、図1を含む以下の図面では、各構成部材の相対的な寸法の関係及び形状等が実際のものとは異なる場合がある。また、以下の図面において、同一の符号を付したものは、同一又はこれに相当するものであり、このことは明細書の全文において共通することとする。また、理解を容易にするために方向を表す用語(例えば、上、下、左、右、前、後、表及び裏等)を適宜用いるが、それらの表記は、説明の便宜上の記載であり、篭体100及び土留め構造200、或いは、構成部品等の配置、方向及び向きを限定するものではない。
【0011】
実施の形態1.
[篭体100]
図1は、本発明の実施の形態1に係る篭体100の平面図である。図2は、図1の篭体100の正面図である。図3は、図1の篭体100の側面図である。図4は、図1の篭体100の底面図である。篭体100は、護岸工、水制工等の河川工事をはじめ、渓間、山腹、道路際の災害復旧工事及び軟弱地盤対策工事等の工事において、内部に中詰材80を詰めて施工箇所に載置される。なお、図面において中詰材80は一部のみ記載している。
【0012】
篭体100は、中詰材80を収容する箱状の篭枠10と、篭枠10の外面に取り付けられ、この外面に取り付けられた状態で外面から突出し、他の篭体100と隣接して配置された場合に、隣接する他の篭体100の側面と対向するズレ止め材70と、を有する。
【0013】
<篭枠10>
図1~4に示すように、篭枠10は、六面体であり、略直方体の箱状に形成されている。なお、実施の形態の篭枠10は、六面体であるが、六面体に限定されるものではなく、六面体以外の多面体であってもよい。また、篭枠10は、箱状に形成されていればよく、略直方体に限定されるものではない。
【0014】
実施の形態1の以下の説明において、図1~4に示すように、篭枠10の長手方向を長手方向X、長手方向Xに直交し、長手方向Xに対する短手方向を短手方向Yとし、長手方向X及び短手方向Yのそれぞれに直交する上下方向を上下方向Zとする。長手方向Xにおいて、篭枠10に対して右方向を右方向X1とし、篭枠10に対して左方向を左方向X2とする。短手方向Yにおいて、篭枠10に対して前方向を前方向Y1とし、篭枠10に対して背面方向を後方向Y2とする。また、上下方向において、篭枠10に対して、篭体100が設置される設置側を下方向Z2とし、下方向Z2と反対側であり、篭体100が積み上げられる方向を上方向Z1とする。下方向Z2は、例えば重力方向である。
【0015】
篭枠10は、内部に中詰材80を有している。中詰材80は、例えば、石或いは土砂等である。篭枠10は、内部に詰められた中詰材80を有することによって、篭体100を安定して設置することができると共に、施工区域の環境になじませられる。
【0016】
篭枠10は、それぞれが格子状に形成された、正面壁部1、背面壁部2、右側壁部3、及び左側壁部4の4つ側面を構成する壁部を有している。篭枠10は、この4つの壁部の端部同士が連結されて平面視において矩形状の枠を形成している。
【0017】
篭枠10は、対向する一対の壁部である正面壁部1及び背面壁部2のそれぞれの下端部の間に底面材52が架け渡されて底部5が形成されている。また、篭枠10は、正面壁部1及び背面壁部2のそれぞれの上端部の間に天面材62が架け渡されて天井部6が形成されている。
【0018】
すなわち、篭枠10は、正面壁部1、背面壁部2、右側壁部3、左側壁部4、底部5、及び、天井部6を備えている。正面壁部1、背面壁部2、右側壁部3、左側壁部4、底部5、及び天井部6は、篭枠10の外面を構成する。この篭枠10の外面には、ズレ止め材70が取り付けられている。
【0019】
(正面壁部1)
図2に示すように、正面壁部1は、底部材11と、複数の縦材12と、複数の横材13と、上面部材15とを有し、篭枠10の4側面のうち、1側面の壁部を構成する。正面壁部1は、縦材12と、底部材11、横材13及び上面部材15と、によって、格子状に形成されている。底部材11、縦材12、横材13、及び上面部材15により構成される格子形状の各格子の大きさは、均一な大きさに設定されるのが望ましい。
【0020】
底部材11は、一方向に長尺な板材から構成されている。底部材11は、篭枠10の底部5の一部を構成するものであり、施工領域の面上に設置される部分である。
【0021】
縦材12は、底部材11に立設されている。縦材12は、棒状の部材である。縦材12は、断面が円形状の鉄筋等で構成されている。複数の縦材12は、それぞれ所定の間隔をあけて配置され、例えば溶接によって底部材11に接合されている。また、縦材12は、例えば溶接によって上面部材15と接合されている。縦材12は、横材13と直交し、横材13と直交する方向に長尺に形成されている。
【0022】
横材13は、縦材12に直交すると共に、底部材11及び上面部材15と略平行に配置されている。横材13は、一方向に長尺な板材から構成されている。横材13には、縦材12を挿通する孔が形成されている。横材13は、この孔に縦材12が挿通された後、例えば溶接によって縦材12と接合されている。複数の横材13は、縦材12の立設方向(延在方向)に沿って所定の間隔をおいて配置され、複数の横材13のそれぞれが縦材12と接合されている。
【0023】
上面部材15は、例えば溶接等によって、縦材12の上端部に取り付けられている。上面部材15は、一方向に長尺な板材から構成されている。上面部材15は、底部材11及び横材13と、同じ長さに形成されている。上面部材15は、底部材11及び横材13と略平行に配置されている。上面部材15は、篭枠10の天井部6の一部を構成するものである。
【0024】
(背面壁部2)
背面壁部2は、正面壁部1と同様な構成になっている。すなわち、背面壁部2は、底部材11、縦材12、横材13、及び上面部材15を組み合わせて構成されており、篭枠10の4側面のうち、1側面の壁部を構成する。背面壁部2は、正面壁部1と対向した位置の壁部を構成する。
【0025】
(右側壁部3及び左側壁部4)
図3に示すように、右側壁部3は、正面壁部1及び背面壁部2と同様な構成になっている。すなわち、右側壁部3は、底部材11、縦材12、横材13、及び上面部材15を組み合わせて構成されており、篭枠10の4側面のうち、1側面の壁部を構成する。右側壁部3は、水平方向における正面壁部1及び背面壁部2の一方の端部側において、正面壁部1と背面壁部2との間の壁部を構成する。実施の形態1に係る篭体100において、右側壁部3は、正面壁部1及び背面壁部2に対し、篭枠10の底部5の外縁に沿った長さが短く形成されているが、その長さは適宜設定することができる。
【0026】
左側壁部4は、右側壁部3と同様な構成になっている。すなわち、左側壁部4は、底部材11、縦材12、横材13、及び上面部材15を組み合わせて構成されており、篭枠10の4側面のうち、1側面の壁部を構成する。左側壁部4は、水平方向における正面壁部1及び背面壁部2の他方の端部側において、正面壁部1と背面壁部2との間の壁部を構成する。実施の形態1に係る篭体100において、左側壁部4は、正面壁部1及び背面壁部2に対し、篭枠10の底部5の外縁に沿った長さが短く形成されているが、その長さは適宜設定することができる。
【0027】
図1~3に示すように、正面壁部1、背面壁部2、右側壁部3、及び左側壁部4は、垂直に立設され、それぞれの水平方向の端部において互いに連結させることによって、篭枠10の側面部が形成されている。
【0028】
(底部5)
図4に示すように、底部5は、正面壁部1、背面壁部2、右側壁部3、及び左側壁部4の各底部材11と、正面壁部1の底部材11と背面壁部2の底部材11との間に架け渡された底面材52とを有している。すなわち、正面壁部1、背面壁部2、右側壁部3、及び左側壁部4の各底部材11は、正面壁部1、背面壁部2、右側壁部3、及び左側壁部4の一部を構成すると共に、底部5の一部としても構成されている。篭枠10は、正面壁部1、背面壁部2、右側壁部3、及び左側壁部4の各底部材11によって、底部5の外縁が形成される。
【0029】
図4に示すように、底部5は、複数の底面材52を有する。底面材52は、篭体100の第1外面材である。底面材52は、一方向に長尺の板状部材である。複数の底面材52は、篭体100の長手方向Xに沿って、それぞれ並列して配列されている。複数の底面材52は、底部5において、正面壁部1の底部材11と背面壁部2の底部材11との間に掛け渡されている。底面材52は、篭枠10において、短手方向Yに延びている。
【0030】
底面材52の一方の端部は、正面壁部1の底部材11に連結されており、底面材52の他方の端部は、背面壁部2の底部材11に連結されている。底面材52は、両端部が正面壁部1の底部材11と背面壁部2の底部材11とに固定されている。底面材52と底部材11との固定は、例えば溶接、或いは、ボルトを締結させる等の手段で行われる。
【0031】
複数の底面材52は、底部5において、正面壁部1の底部材11及び背面壁部2の底部材11の長手方向Xに沿って、所定の間隔をおいて配置されている。複数の底面材52は、互いに平行に配置されている。複数の底面材52は、それぞれ厳格に平行な関係に配置された構成に限定されるものではなく、互いに略平行な関係に配置されていればよい。
【0032】
複数の底面材52は、例えば、正面壁部1及び背面壁部2に対して垂直に配置されており、右側壁部3及び左側壁部4に対して平行に配置されている。なお、底面材52は、正面壁部1及び背面壁部2に対して略垂直に配置されていればよく、厳密に垂直でなくてもよい。また、底面材52は、右側壁部3及び左側壁部4に対して略平行に配置されていればよく、厳密に平行でなくともよい。
【0033】
(天井部6)
天井部6は、正面壁部1、背面壁部2、右側壁部3、及び左側壁部4の各上面部材15と、正面壁部1の上面部材15と背面壁部2の上面部材15との間に架け渡された天面材62とを有している。すなわち、正面壁部1、背面壁部2、右側壁部3、及び左側壁部4の各上面部材15は、正面壁部1、背面壁部2、右側壁部3、及び左側壁部4の一部を構成すると共に、天井部6の一部としても構成されている。篭枠10は、正面壁部1、背面壁部2、右側壁部3、及び左側壁部4の各上面部材15によって、天井部6の外縁が形成される。
【0034】
図1に示すように、天井部6は、複数の天面材62を有する。天面材62は、篭体100の第1外面材である。天面材62は、一方向に長尺の板状部材である。複数の天面材62は、篭体100の長手方向Xに沿って、それぞれ並列して配列されている。複数の天面材62は、天井部6において、正面壁部1の上面部材15と背面壁部2の上面部材15との間に掛け渡されている。天面材62は、篭枠10において、短手方向Yに延びている。
【0035】
天面材62の一方の端部は、正面壁部1の上面部材15に連結されており、天面材62の他方の端部は、背面壁部2の上面部材15に連結されている。天面材62は、両端部が正面壁部1の上面部材15と背面壁部2の上面部材15とに固定されている。天面材62と上面部材15との固定は、例えば溶接、或いは、ボルトを締結させる等の手段で行われる。
【0036】
複数の天面材62は、天井部6において、正面壁部1の上面部材15及び背面壁部2の上面部材15の長手方向Xに沿って、所定の間隔をおいて配置されている。複数の天面材62は、互いに平行に配置されている。複数の天面材62は、それぞれ厳格に平行な関係に配置された構成に限定されるものではなく、互いに略平行な関係に配置されていればよい。
【0037】
複数の天面材62は、例えば、正面壁部1及び背面壁部2に対して垂直に配置されており、右側壁部3及び左側壁部4に対して平行に配置されている。なお、天面材62は、正面壁部1及び背面壁部2に対して略垂直に配置されていればよく、厳密に垂直でなくてもよい。また、天面材62は、右側壁部3及び左側壁部4に対して略平行に配置されていればよく、厳密に平行でなくともよい。
【0038】
図5は、天面材62の平面図である。天面材62には、ズレ止め材70が固定される固定側第1貫通孔62aが形成されている。固定側第1貫通孔62aは、後述する第1固定部材78が挿通される貫通孔である。
【0039】
図6は、底面材52の平面図である。底面材52には、ズレ止め材70が固定される固定側第1貫通孔52aが形成されてもよい。固定側第1貫通孔52aは、後述する第1固定部材78が挿通される貫通孔である。
【0040】
<ズレ止め材70>
図7は、図1のズレ止め材70の平面図である。図8は、図1のズレ止め材70の正面図である。図9は、図1のズレ止め材70の側面図である。篭体100は、ズレ止め材70を有している。ズレ止め材70は、隣接する篭体100との関係において篭体100のズレを抑止するものである。より詳細には、ズレ止め材70は、ズレ止め材70を有する篭体100に対して、この篭体100に隣接する篭体100の水平方向の変位を抑止するものである。すなわち、ズレ止め材70は、ズレ止め材70を有する篭体100に対して、この篭体100に隣接する篭体100が篭体100の面に沿った方向に移動することを規制するものである。例えば、ズレ止め材70は、傾斜面において、ズレ止め材70が取り付けられた篭体100に対して山側に配置された他の篭体100の側面を谷側から支持することによって山側に配置された篭体100のズレを抑止する。
【0041】
ズレ止め材70は、篭枠10の何れか1つ以上の外面に取り付けられる。すなわち、ズレ止め材70は、正面壁部1、背面壁部2、右側壁部3、左側壁部4、底部5、及び天井部6のいずれか1つ以上に取り付けられる。ズレ止め材70は、この外面に取り付けられた状態で外面から突出する。
【0042】
ズレ止め材70が取り付けられた篭体100と、他の篭体100とが、上下或いは横方向に隣接して配置された場合に、ズレ止め材70は、隣接する他の篭体100の側面と対向する。ズレ止め材70は、例えば、隣接する篭体100に加わる土砂等による圧力の方向において、隣接する他の篭体100の側面と対向する。すなわち、篭体100は、隣接する篭体100に加わる土砂等による圧力の方向において、ズレ止め材70が隣接する他の篭体100の側面と対向するように配置される。
【0043】
ズレ止め材70は、例えば、図1に示すように、篭枠10の上面に取り付けられる。ズレ止め材70は、少なくとも2本以上の天面材62に固定される。ズレ止め材70は、少なくとも2本以上の底面材52に固定されてもよい。
【0044】
ズレ止め材70は、中詰材80が収容された状態の篭枠10に取り付けられる。ズレ止め材70は、篭枠10に中詰材80が収容されていない状態で、予め篭枠10に取り付けられていてもよい。また、ズレ止め材70は、予め天面材62に取り付けられており、ズレ止め材70が取り付けられた天面材62が上面部材15に取り付けられてもよい。また、ズレ止め材70は、予め底面材52に取り付けられており、ズレ止め材70が取り付けられた底面材52が底部材11に取り付けられてもよい。
【0045】
ズレ止め材70は、一方向に長尺なアングルである。ズレ止め材70は、垂直断面がL字形状に形成されたアングルであり、L字に成形された鋼材等でもよい。ズレ止め材70は、設置部71と、設置部71に対してほぼ垂直に立てられた係止部72とを有する。
【0046】
(設置部71)
設置部71は、後述する第1固定部材78によって、篭体100の外面に固定される部分である。設置部71は、一方向に長尺な平板状に形成されている。設置部71は、矩形の板状に形成されている。設置部71には、板面に対して垂直方向に貫通した取付側第1貫通孔71aが形成されている。
【0047】
図7では、長手方向Xに沿って、設置部71に2つの取付側第1貫通孔71aが形成されているが、設置部71に形成される取付側第1貫通孔71aの数は、2つに限定されるものではない。取付側第1貫通孔71aは、ズレ止め材70の長さによって、長手方向Xに沿って3つ以上形成されてもよい。また、実施の形態1の篭体100は、ズレ止め材70の短手方向Yにおいて取付側第1貫通孔71aが1つ形成されている。取付側第1貫通孔71aは、ズレ止め材70の短手方向Yの幅の大きさによって、短手方向Yに沿って複数形成されてもよい。
【0048】
設置部71は、図1に示すように、篭体100において、天面材62と当接し、天面材62に固定される。ズレ止め材70の設置部71と天面材62との固定は、例えば、図1に示すように、ボルト等の第1固定部材78によって、設置部71と天面材62とを締結させることによって行われる。すなわち、ズレ止め材70は、第1固定部材78によって、外面である天井部6に固定される。
【0049】
第1固定部材78は、天面材62の固定側第1貫通孔62aと設置部71の取付側第1貫通孔71aとに挿通される。なお、ズレ止め材70の設置部71と天面材62との固定は、例えば溶接等の手段で行われてもよい。
【0050】
また、設置部71は、篭体100において、底面材52と当接し、底面材52に固定されてもよい。ズレ止め材70の設置部71と底面材52との固定は、例えば、ボルト等の第1固定部材78によって、設置部71と底面材52とを締結させることによって行われる。第1固定部材78は、底面材52の固定側第1貫通孔52aと設置部71の取付側第1貫通孔71aとに挿通される。この場合、ズレ止め材70は、第1固定部材78によって、外面である底部5に固定される。ズレ止め材70の設置部71と底面材52との固定は、例えば溶接等の手段で行われてもよい。
【0051】
設置部71は、図1に示すように、篭体100において、右側壁部3又は左側壁部4に固定されてもよい。ズレ止め材70の設置部71と縦材12又は横材13との固定は、例えば第1固定部材78、或いは、溶接等の手段で行われてもよい。
【0052】
(係止部72)
係止部72は、他の篭体と隣接して配置された場合に、隣接する篭体100に加わる土砂等による圧力の方向において、隣接する他の篭体100の側面と対向する部分である。係止部72は、設置部71の延びる方向に沿って長尺な平板状に形成されている。係止部72は、矩形の板状に形成されているが、当該形状に限定されるものではない。係止部72は、設置部71の長手方向Xに沿った側縁71bに設けられている。係止部72は、設置部71の側縁71bから立ち上がるように形成されている。係止部72は、設置部71に対して垂直に延びている。
【0053】
複数の篭体100が設置された場合、係止部72は、ズレ止め材70を有する篭体100に対して隣接する篭体100の正面壁部1、背面壁部2、右側壁部3、及び左側壁部4のいずれか1つと対向する壁を構成する。
【0054】
(篭体100の設置例)
篭体100を吊り上げる場合、篭体100を吊り上げる前に、作業者は、篭体100の上面の天面材62に穴あけ加工を行い、固定側第1貫通孔62aを形成する。その後、作業者は、ズレ止め材70を設置した状態で中詰材80を充填し、篭体100を吊り上げて施工箇所に篭体100を設置する。なお、当該設置例は一例であり、例えば、天面材62の固定側第1貫通孔62aは、施工箇所に運搬する前に予め形成されてもよい。
【0055】
(変形例)
図10は、篭体100の変形例の正面図である。なお、図10に示す変形例の篭体100の底面図は、図1に示す篭体100の平面図と同様である。ズレ止め材70は、図10に示すように、篭枠10の下面に取り付けられてもよい。すなわち、ズレ止め材70は、上述したように、底面材52に取り付けられてもよい。変形例の篭体100は、ズレ止め材70が、底部5のみに取り付けられてもよいし、図10に示すように、篭枠10の天井部6と底部5とに取り付けられてもよい。
【0056】
[篭体100の作用効果]
図11は、従来の篭体100Lの設置状態を概念的に示す正面図である。図12は、従来の篭体100Lの設置状態を概念的に示す側面図である。図11及び図12に示すように、従来の篭体100Lは、積み上げられた上下段の篭体100L同士の土圧によるすべりを抑制するため、上段の篭体100Lと下段の篭体100Lとを刺し鉄筋110Lにより繋ぐことによりせん断方向への抵抗力を向上させている。しかし、上段の篭体100Lと下段の篭体100Lとを刺し鉄筋110Lにより繋ぐ方法は、中詰材を充填してから設置箇所に設置する吊タイプの篭体100Lでは、鉄筋を篭体100Lに刺すことができない。そのため、中詰材を充填してから設置箇所に設置する吊タイプの篭体100Lでは、隣接する篭体100L同士のせん断方向への抵抗力を向上させることができず、土圧による篭体100Lのすべりを抑制することができない。
【0057】
これに対し、本発明の篭体100は、篭枠10の外面に取り付けられ、外面に取り付けられた状態で外面から突出し、他の篭体100と隣接して配置された場合に、隣接する他の篭体100の側面と対向するズレ止め材70を備えている。そのため、篭体100は、傾斜面の谷側に向かう方向において、外面に取り付けられるズレ止め材70を、隣接する篭体100の篭枠10と対向させることができ、ズレ止め材70と隣接する篭体100とが当接することによって、隣接する篭体100同士の土圧によるすべりを抑制することができる。その結果、中詰材80を充填してから設置箇所に設置する篭体100であっても、隣接する篭体100同士のせん断方向への抵抗力を向上させることができる。そのため、篭体100は、従来の篭工の優れた特長を生かしながら、永久構造物としての機能を兼ね備えることができる。
【0058】
実施の形態1に係る篭体100は、予めズレ止め材70を設置することにより、篭体100を設置した後の刺し鉄筋等の設置作業を無くすことができる。そのため、篭体100は、刺し鉄筋を設置できないような状況でも刺し鉄筋が発揮するせん断抵抗力を発揮することができる。篭体100の中詰材80は、一般的に割栗石、砕石等が用いられるが、中詰めした後に設置可能な吊タイプの篭体100によって、設置箇所で作業ができないような特殊な条件の現場においても篭体100の施工が可能となる。
【0059】
また、ズレ止め材70は、中詰材80が収容された状態の篭枠10に取り付けることができる。そのため、中詰材80を充填してから設置箇所に設置する篭体100であっても、隣接する篭体100同士のせん断方向への抵抗力を向上させることができる。
【0060】
また、ズレ止め材70は、篭枠10の上面に取り付けられる。篭体100は、傾斜面の谷側に向かう方向において、上面に取り付けられるズレ止め材70を、この上面に載置された篭体100の篭枠10と対向させることができ、ズレ止め材70と隣接する篭体100とが当接することによって、隣接する篭体100同士の土圧によるすべりを抑制することができる。その結果、中詰材80を充填してから設置箇所に設置する篭体100であっても、隣接する篭体100同士のせん断方向への抵抗力を向上させることができる。
【0061】
また、ズレ止め材70は、篭枠10の下面に取り付けられてもよい。篭体100は、傾斜面の谷側に向かう方向において、下面に取り付けられるズレ止め材70を、この下面に載置された篭体100の篭枠10と対向させることができ、隣接する篭体100同士の土圧によるすべりを抑制することができる。その結果、中詰材80を充填してから設置箇所に設置する篭体100であっても、隣接する篭体100同士のせん断方向への抵抗力を向上させることができる。また、篭体100は、傾斜面の谷側に向かう方向において、下面に取り付けられるズレ止め材70を、この下面に載置された篭体100の篭枠10と対向させることができ、篭体100の転倒を抑止することができる。
【0062】
また、ズレ止め材70は、垂直断面がL字形状に形成されている。そのため、ズレ止め材70は、ズレ止め材70が固定される篭体100と、ズレ止め材70が固定される外面に当接し、当該篭体100に隣接して配置される篭体100と、に当接することができる。そのため、篭体100は、傾斜面の谷側に向かう方向において、外面に取り付けられるズレ止め材70を、隣接する篭体100の篭枠10と対向させることができ、隣接する篭体100同士の土圧によるすべりを抑制することができる。
【0063】
また、ズレ止め材70は、第1固定部材78によって篭体100の外面に固定される。篭体100は、ズレ止め材70を設置するボルト等の第1固定部材78の数、或いは、第1固定部材78の径によって、期待できるせん断抵抗力を調整することができる。
【0064】
また、ズレ止め材70は、設置部71と、係止部72とを有する。そのため、ズレ止め材70は、ズレ止め材70が固定される篭体100と、ズレ止め材70が固定される外面に当接し、当該篭体100に隣接して配置される篭体100と、に当接することができる。そのため、篭体100は、傾斜面の谷側に向かう方向において、外面に取り付けられるズレ止め材70を、隣接する篭体100の篭枠10と対向させることができ、隣接する篭体100同士の土圧によるすべりを抑制することができる。
【0065】
また、設置部71には、第1固定部材78が挿通される取付側第1貫通孔71aが形成されている。作業者は、取付側第1貫通孔71aを利用することによって、篭体100の設置個所において、第1固定部材78を用いて容易にズレ止め材70を篭枠10に取り付けることができる。
【0066】
また、ズレ止め材70は、少なくとも2本以上の第1外面材に固定されている。そのため、ズレ止め材70は、篭枠10に安定して確実に固定することができる。また、作業者は、固定側第1貫通孔62aを利用することによって、篭体100の設置個所において、第1固定部材78を用いて容易にズレ止め材70を篭枠10に取り付けることができる。
【0067】
また、篭体100は、篭枠10にズレ止め材70が複数取り付けられている。篭体100は、複数のズレ止め材70を有することによって、隣接する篭体100の移動を規制する抵抗力を向上させることができる。また、篭体100は、複数のズレ止め材70を有することによって、隣接する篭体100の設置の位置、あるいは、隣接する篭体100の設置の向きに対応することができる。
【0068】
実施の形態2.
図13は、実施の形態2に係る篭体100の天面材62の平面図である。なお、図1図12の篭体100等と同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。実施の形態2に係る篭体100は、天面材62の構成を更に特定するものである。
【0069】
固定側第1貫通孔62a1は、天面材62の長手方向に沿って長い長孔である。固定側第1貫通孔62a1は、孔の形状以外の構成が実施の形態1の固定側第1貫通孔62aの構成と同様である。なお、図示は省略するが、底面材52に形成されている固定側第1貫通孔62a1は、底面材52の長手方向に沿って長い長孔であってもよい。すなわち、固定側第1貫通孔62a1は、第1外面材の長手方向に沿って長い長孔である。
【0070】
図14は、天面材62に取り付けられたズレ止め材70の平面図である。ズレ止め材70は、固定側第1貫通孔62a1の長孔を利用することによって、平面視において、天面材62の長手方向に対して斜めに向いた状態で、天面材62に取り付けることができる。同様に、ズレ止め材70は、固定側第1貫通孔62a1の長孔を利用することによって、平面視において、底面材52の長手方向に対して斜めに向いた状態で、底面材52に取り付けることができる。
【0071】
[篭体100の作用効果]
図15は、篭体100の設置状態を示す平面図である。なお、図15に示す篭体100aは、下段に設置された篭体100であり、篭体100bは、上段に設置された篭体100である。また、白抜き矢印は、傾斜面における谷側の方向を示している。篭体100は、直線状に配置されるだけではなく、設置個所の地形等の条件によって、図15に示すように、曲線状に配置される場合がある。
【0072】
篭体100は、固定側第1貫通孔62a1が第1外面材の長手方向に沿って長い長孔であるため、ズレ止め材70を斜めに取り付けることができる。そのため、配置された複数の篭体100が曲線状に配置された場合でも、傾斜面の谷側に向かう方向において、上段の篭体100の側面とズレ止め材70とを、当接させることができる。その結果、中詰材80を充填してから設置箇所に設置する篭体100であっても、隣接する篭体100同士のせん断方向への抵抗力を向上させることができる。
【0073】
実施の形態3.
図16は、実施の形態3に係る篭体100のズレ止め材70の平面図である。なお、図1図15の篭体100等と同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。実施の形態3に係る篭体100は、ズレ止め材70の構成を更に特定するものである。
【0074】
取付側第1貫通孔71a1は、係止部72が設けられた側縁71bの延びる方向に沿って、設置部71の長手方向Xに延びるように形成された長孔である。取付側第1貫通孔71a1は、例えば、貫通孔であること、あるいは、形成数等、孔の形状以外の構成が実施の形態1の取付側第1貫通孔71aの構成と同様である。
【0075】
図17は、天面材62に取り付けられたズレ止め材70の平面図である。ズレ止め材70は、取付側第1貫通孔71a1の長孔を利用することによって、平面視において、天面材62の長手方向に対して斜めに向いた状態で、天面材62に取り付けることができる。同様に、ズレ止め材70は、取付側第1貫通孔71a1の長孔を利用することによって、平面視において、底面材52の長手方向に対して斜めに向いた状態で、底面材52に取り付けることができる。
【0076】
図18は、実施の形態3に係る篭体100の変形例のズレ止め材70の平面図である。実施の形態3に係る篭体100のズレ止め材70に形成された、取付側第1貫通孔71a1は、長手方向Xに延びる長孔であるが、取付側第1貫通孔71a1は、短手方向Yに延びる長孔でもよい。以下の説明では、短手方向Yに延びる取付側第1貫通孔71a1を取付側第1貫通孔71a2として説明する。
【0077】
取付側第1貫通孔71a2は、係止部72が形成されている側の一方の側縁71bと、係止部72が形成されていない側の他方の側縁71cとの間に延びるように形成された長孔である。取付側第1貫通孔71a2は、例えば、貫通孔であること、あるいは、形成数等、孔の形状以外の構成が実施の形態1の取付側第1貫通孔71aの構成と同様である。
【0078】
図19は、天面材62に取り付けられた変形例のズレ止め材70の平面図である。ズレ止め材70は、取付側第1貫通孔71a2の長孔を利用することによって、平面視において、天面材62の長手方向に対して斜めに向いた状態で、天面材62に取り付けることができる。同様に、ズレ止め材70は、取付側第1貫通孔71a2の長孔を利用することによって、平面視において、底面材52の長手方向に対して斜めに向いた状態で、底面材52に取り付けることができる。
【0079】
[篭体100の作用効果]
篭体100は、取付側第1貫通孔71a1又は取付側第1貫通孔71a2が長孔であるため、ズレ止め材70を第1外面材に対して斜めに取り付けることができる。そのため、図15に示す場合と同様に、配置された複数の篭体100が曲線状に配置された場合でも、傾斜面の谷側に向かう方向において、上段の篭体100の側面とズレ止め材70とを、当接させることができる。その結果、中詰材80を充填してから設置箇所に設置する篭体100であっても、隣接する篭体100同士のせん断方向への抵抗力を向上させることができる。
【0080】
実施の形態4.
図20は、実施の形態4に係る篭体100の正面図である。図21は、実施の形態4に係る篭体100の側面図である。なお、図1図19の篭体100等と同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。実施の形態4に係る篭体100は、ズレ止め材70の取付位置を更に特定するものである。
【0081】
ズレ止め材70は、図20及び図21に示すように、篭枠10の側面に取り付けられてもよい。すなわち、篭体100は、ズレ止め材70が、右側壁部3に取り付けられてもよく、左側壁部4に取り付けられてもよい。
【0082】
実施の形態4の篭体100の場合、設置部71は、例えば、縦材12に沿って配置される。また、設置部71は、板面が横材13と当接することが望ましい。設置部71と横材13とが当接することで、ズレ止め材70が縦材12に対して回転することが抑止できる。
【0083】
図22は、ズレ止め材70と、縦材12との固定の一例を概念的に示した正面図である。図23は、ズレ止め材70と、縦材12との固定の一例を概念的に示した平面図である。第1固定部材78は、例えば、Uボルトである。ズレ止め材70は、Uボルトのような第1固定部材78によって、縦材12に固定されてもよい。なお、ズレ止め材70と右側壁部3との固定は、当該態様に限定されるものではない。
【0084】
[篭体100の作用効果]
本発明の篭体100は、篭枠10の側面に取り付けられ、側面に取り付けられた状態で外面から突出し、他の篭体100と隣接して配置された場合に、隣接する他の篭体100の側面と対向するズレ止め材70を備えている。そのため、篭体100は、傾斜面の谷側に向かう方向において、外面に取り付けられるズレ止め材70を、水平方向に隣接する篭体100の篭枠10と対向させることができ、隣接する篭体100同士の土圧によるすべりを抑制することができる。その結果、中詰材80を充填してから設置箇所に設置する篭体100であっても、水平方向に隣接する篭体100同士のせん断方向への抵抗力を向上させることができる。
【0085】
実施の形態5.
図24は、実施の形態5に係る篭体100の側面図である。なお、図1図23の篭体100等と同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。実施の形態5に係る篭体100は、ズレ止め材70の取付態様を更に特定するものである。
【0086】
図24に示すように、右側壁部3は、複数の側面材32を有する。側面材32は、篭体100の第1外面材である。側面材32は、一方向に長尺の板状部材である。複数の側面材32は、篭体100の上下方向Zに沿って、それぞれ並列して配列されている。複数の側面材32は、右側壁部3において、複数の縦材12に掛け渡されている。側面材32は、篭枠10において、短手方向Yに延びている。
【0087】
側面材32は、例えば、縦材12と固定されている。側面材32と縦材12との固定は、溶接によって行われているが、側面材32と縦材12との固定は、溶接に限定されるものではない。なお、側面材32は、横材13、底部材11、或いは、上面部材15に固定されてもよい。
【0088】
側面材32は、横材13に対して平行に配置されている。なお、側面材32は、横材13に対して略平行に配置されていればよく、厳密に平行でなくてもよい。
【0089】
側面材32には、天面材62と同様に、ズレ止め材70が固定される固定側第1貫通孔62a(図示は省略)が形成されている。
【0090】
ズレ止め材70は、図24に示すように、篭枠10の側面に取り付けられてもよい。すなわち、篭体100は、ズレ止め材70が、右側壁部3に取り付けられてもよく、左側壁部4に取り付けられてもよい。
【0091】
[篭体100の作用効果]
本発明の篭体100は、篭枠10の側面に取り付けられ、側面に取り付けられた状態で外面から突出し、他の篭体100と隣接して配置された場合に、隣接する他の篭体100の側面と対向するズレ止め材70を備えている。そのため、篭体100は、実施の形態4と同様の効果を発揮させることができる。
【0092】
実施の形態6.
図25は、実施の形態6に係る篭体100の正面図である。なお、図1図24の篭体100等と同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。実施の形態6に係る篭体100は、ズレ止め材70の取付態様を更に特定するものである。
【0093】
図25に示すように、正面壁部1は、側面材33を有する。側面材33は、篭体100の第2外面材である。側面材33は、一方向に長尺の板状部材である。側面材33は、正面壁部1の下端部に沿って設けられている。側面材33は、正面壁部1において、複数の縦材12に掛け渡されている。側面材33は、篭枠10において、長手方向Xに延びている。
【0094】
側面材33は、例えば、縦材12と固定されている。側面材33と縦材12との固定は、溶接によって行われているが、側面材33と縦材12との固定は、溶接に限定されるものではない。なお、側面材33は、底部材11、上面部材15、或いは、横材13に固定されてもよい。
【0095】
側面材33は、横材13に対して平行に配置されている。なお、側面材33は、横材13に対して略平行に配置されていればよく、厳密に平行でなくてもよい。
【0096】
第2外面材である側面材33には、隣接する他の篭体100に取り付けられたズレ止め材70との固定に用いられる固定側第2貫通孔33aが形成されている。すなわち、固定側第2貫通孔33aは、隣接する他の篭体100に取り付けられたズレ止め材70との固定に用いられる。
【0097】
なお、第2外面材である側面材33は、隣接する他の篭体100の係止部72と対向するように、背面壁部2の上端部に取り付けられてもよい。また、第2外面材である側面材33は、右側壁部3、又は、左側壁部4に設けられてもよい。
【0098】
ズレ止め材70の係止部72には、隣接する他の篭体100の固定側第2貫通孔33aと連通し、隣接する他の篭体100の第2外面材である側面材33と固定するために用いられる第2固定部材79が挿通される取付側第2貫通孔72aが形成されている。すなわち、取付側第2貫通孔72aは、隣接する他の篭体100の外面と固定するために用いられる。
【0099】
[篭体100の作用効果]
第2外面材である側面材33には、固定側第2貫通孔33aが形成されている。また、係止部72には、第2固定部材79が挿通される取付側第2貫通孔72aが形成されている。そのため、篭体100は、ズレ止め材70と、隣接する篭体100の側面材33とを第2固定部材79によって固定することができる。そのため、篭体100は、隣接する篭体同士を固定することができ、更に隣接する篭体100同士の水平方向の移動を抑制することができる。
【0100】
実施の形態7.
図26は、実施の形態7に係る篭体100の平面図である。図27は、実施の形態7に係る篭体100の正面図である。なお、図1図25の篭体100等と同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。実施の形態7に係る篭体100は、ズレ止め材70の構成を更に特定するものである。
【0101】
実施の形態7に係る篭体100のズレ止め材70は、短尺状の第1ズレ止め材70Aと、長尺状の第2ズレ止め材70Bとを有する。
【0102】
[篭体100の作用効果]
実施の形態7に係る篭体100は、長さの異なる2つのズレ止め材70を有している。篭体100は、2つのズレ止め材70の設置数、或いは、2つのズレ止め材70の設置位置等を変更することによって、隣接する篭体100の寸法に対応することができる。
【0103】
実施の形態8.
図28は、実施の形態8に係る土留め構造200の平面図である。図29は、実施の形態8に係る土留め構造200の正面図である。図30は、実施の形態8に係る土留め構造200の側面図である。図28及び図30に示す白抜き矢印は、傾斜面における谷側の方向を示している。なお、図1図27の篭体100等と同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。実施の形態8は、実施の形態1~7に係る篭体100を用いた土留め構造200である。
【0104】
土留め構造200は、護岸工、水制工等の河川工事をはじめ、渓間、山腹、道路際の災害復旧工事及び軟弱地盤対策工事等に用いられる。土留め構造200は、例えば、図30に示すような傾斜面を形成する設置個所300に設置される。
【0105】
土留め構造200は、実施の形態1~7に係る篭体100を上下方向に複数積み上げて構成される。なお、図28及び図29では、3個の篭体100を示しているが、篭体100の数は限定されるものではない。また、図28図30に示す篭体100aは、下段に設置された篭体100であり、篭体100bは、上段に設置された篭体100である。
【0106】
上下に隣り合った2つの篭体100は、傾斜面の谷側に向かう方向において、下側に配置された篭体100aの上面に取り付けられたズレ止め材70が、上側に配置された篭体100bの側面と対向するように配置される。
【0107】
[土留め構造200の作用効果]
土留め構造200は、篭枠10の外面に取り付けられ、外面に取り付けられた状態で外面から突出し、他の篭体100と隣接して配置された場合に、隣接する他の篭体100の側面と対向するズレ止め材70を有する篭体100を備えている。そのため、土留め構造200は、外面に取り付けられるズレ止め材70を、隣接する篭体100の篭枠10と対向させることができ、ズレ止め材70と隣接する篭体100とが当接することによって、隣接する篭体100同士の土圧によるすべりを抑制することができる。その結果、土留め構造200は、中詰材80を充填してから設置箇所に設置する篭体100を有しても、隣接する篭体100同士のせん断方向への抵抗力を向上させることができる。
【0108】
また、土留め構造200は、実施の形態1~7に係る篭体100を有している。そのため、土留め構造200は、篭体100と同様の効果を発揮させることができる。
【0109】
実施の形態9.
図31は、実施の形態9に係る土留め構造200の側面図である。図31に示す白抜き矢印は、傾斜面における谷側の方向を示している。なお、図1図27の篭体100及び図28図30の土留め構造200等と同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。実施の形態9は、ズレ止め材70の設置位置が実施の形態8の土留め構造200に用いられる篭体100と異なる篭体100を用いた土留め構造200である。
【0110】
実施の形態9に係る土留め構造200では、上下に隣り合った2つの篭体100は、傾斜面の谷側に向かう方向において、上側に配置された篭体100bの下面に取り付けられたズレ止め材70が、下側に配置された篭体100aの側面と対向するように配置される。
【0111】
[土留め構造200の作用効果]
篭体100は、傾斜面の谷側に向かう方向において、下面に取り付けられるズレ止め材70を、この下面に載置された篭体100の篭枠10と対向させることができ、隣接する篭体100同士の土圧によるすべりを抑制することができる。その結果、中詰材80を充填してから設置箇所に設置する篭体100であっても、隣接する篭体100同士のせん断方向への抵抗力を向上させることができる。また、篭体100は、傾斜面の谷側に向かう方向において、下面に取り付けられるズレ止め材70を、この下面に載置された篭体100の篭枠10と対向させることができ、例えば、傾斜面側の土砂等が削れたとしても、篭体100の転倒を抑止することができる。
【0112】
また、土留め構造200は、実施の形態1~8に係る篭体100を有している。そのため、土留め構造200は、篭体100と同様の効果を発揮させることができる。
【0113】
実施の形態10.
図32は、実施の形態10に係る土留め構造200の側面図である。図32に示す白抜き矢印は、傾斜面における谷側の方向を示している。なお、図1図27の篭体100及び図28図31の土留め構造200等と同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。実施の形態10は、ズレ止め材70の設置位置が実施の形態8の土留め構造200に用いられる篭体100と異なる篭体100を用いた土留め構造200である。
【0114】
土留め構造200は、実施の形態1~9に係る篭体100を上下方向に複数積み上げて構成される。なお、図32では、3個の篭体100を示しているが、篭体100の数は限定されるものではない。また、図32に示す篭体100aは、篭体100bに対して下段に設置された篭体100であり、篭体100bは、篭体100aに対して上段に設置された篭体100である。さらに、図32に示す篭体100bは、篭体100cに対して下段に設置された篭体100であり、篭体100cは、篭体100bに対して上段に設置された篭体100である。
【0115】
実施の形態10に係る土留め構造200は、以下の構成を有する。上下に隣り合った2つの篭体100は、傾斜面の谷側に向かう方向において、下側に配置された篭体100aの上面に取り付けられたズレ止め材70が、上側に配置された篭体100bの側面と対向するように配置されている。また、上側に配置された篭体100cの下面に取り付けられたズレ止め材70が、下側に配置された篭体100bの側面と対向するように配置される。
【0116】
[土留め構造200の作用効果]
篭体100は、傾斜面の谷側に向かう方向において、下面に取り付けられるズレ止め材70を、この下面に載置された篭体100の篭枠10と対向させることができ、隣接する篭体100同士の土圧によるすべりを抑制することができる。その結果、中詰材80を充填してから設置箇所に設置する篭体100であっても、隣接する篭体100同士のせん断方向への抵抗力を向上させることができる。また、篭体100は、傾斜面の谷側に向かう方向において、下面に取り付けられるズレ止め材70を、この下面に載置された篭体100の篭枠10と対向させることができ、例えば、傾斜面側の土砂等が削れたとしても、篭体100の転倒を抑止することができる。
【0117】
また、土留め構造200は、実施の形態1~9に係る篭体100を有している。そのため、土留め構造200は、篭体100と同様の効果を発揮させることができる。
【0118】
実施の形態11.
図33は、実施の形態11に係る土留め構造200の側面図である。図33に示す白抜き矢印は、傾斜面における谷側の方向を示している。なお、図1図27の篭体100及び図28図32の土留め構造200等と同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。実施の形態11は、ズレ止め材70の設置位置が実施の形態8の土留め構造200に用いられる篭体100と異なる篭体100を用いた土留め構造200である。
【0119】
土留め構造200は、実施の形態1~10に係る篭体100を横方向に連続して複数配置されて構成される。なお、図33では、2個の篭体100を示しているが、篭体100の数は限定されるものではない。図33に示す篭体100dは、篭体100eに対して左側に設置された篭体100であり、篭体100eは、篭体100dに対して右側に設置された篭体100である。
【0120】
実施の形態11に係る土留め構造200は、以下の構成を有する。横方向に隣り合った2つの篭体100は、傾斜面の谷側に向かう方向において、他方の篭体100eよりも谷川に位置する篭体100dの側面に取り付けられたズレ止め材70が、他方の篭体100eの正面側の側面と対向するように配置される。
【0121】
[土留め構造200の作用効果]
土留め構造200は、外面に取り付けられるズレ止め材70を、隣接する篭体100の篭枠10と対向させることができ、隣接する篭体100同士の土圧によるすべりを抑制することができる。その結果、土留め構造200は、中詰材80を充填してから設置箇所に設置する篭体100を有しても、隣接する篭体100同士のせん断方向への抵抗力を向上させることができる。
【0122】
また、土留め構造200は、実施の形態1~10に係る篭体100を有している。そのため、土留め構造200は、篭体100と同様の効果を発揮させることができる。
【0123】
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0124】
1 正面壁部、2 背面壁部、3 右側壁部、4 左側壁部、5 底部、6 天井部、10 篭枠、11 底部材、12 縦材、13 横材、15 上面部材、32 側面材、33 側面材、33a 固定側第2貫通孔、52 底面材、52a 固定側第1貫通孔、62 天面材、62a 固定側第1貫通孔、62a1 固定側第1貫通孔、70 ズレ止め材、70A 第1ズレ止め材、70B 第2ズレ止め材、71 設置部、71a 取付側第1貫通孔、71a1 取付側第1貫通孔、71a2 取付側第1貫通孔、71b 側縁、71c 側縁、72 係止部、72a 取付側第2貫通孔、78 第1固定部材、79 第2固定部材、80 中詰材、100 篭体、100L 篭体、100a 篭体、100b 篭体、100c 篭体、100d 篭体、100e 篭体、110L 鉄筋、200 土留め構造、300 設置個所、X 長手方向、X1 右方向、X2 左方向、Y 短手方向、Y1 前方向、Y2 後方向、Z 上下方向、Z1 上方向、Z2 下方向。
図1
図2
図3
図4
図5
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