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特許7450472滅菌状態を維持することを意図される物品のための二重包装
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-07
(45)【発行日】2024-03-15
(54)【発明の名称】滅菌状態を維持することを意図される物品のための二重包装
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/04 20060101AFI20240308BHJP
   B65D 81/20 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
B65D77/04 A
B65D81/20 H
【請求項の数】 6
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020111950
(22)【出願日】2020-06-29
(65)【公開番号】P2021011316
(43)【公開日】2021-02-04
【審査請求日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】1907412
(32)【優先日】2019-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505003193
【氏名又は名称】アー レイモンド エ シー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マキシム クラヴェル
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-197274(JP,A)
【文献】実開平03-123412(JP,U)
【文献】特開2019-051993(JP,A)
【文献】特表2020-519538(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0095308(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0112781(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0074118(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 77/04
B65D 81/20
A61J 1/00
A45D 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
好ましくは使用するまで滅菌状態を維持することを意図される物品(1)のための二重包装(100)であって、前記二重包装(100)は、
概して縦軸(X)方向に延在し、第1の閉止端(11)、第2の開放端(12)、および第1端(11)と第2端(12)とを連結する壁部(13)を含み、第2端(12)は、閉止システムにより閉止されることを意図されている中空外側容器(10)と、
外側容器(10)の内側に配置され、中空本体(21)とキャップ(22)とを含み、物品(1)を前記中空本体(21)中に受容することを意図する内側容器(20)と
を含み、
外側容器(10)は、第1端(11)に近接して、圧力が印加される際に変形することができる膜(14)を含み、
膜(14)は、外側面(14a)と内側面(14b)とを有し、閉止システムが存在しないときに、縦軸(X)に沿って外側面(14a)に圧力を印加され、その内側面(14b)を内側容器(20)に押しつけ、内側容器(20)が外側容器(10)の第2端(12)のレベルから出てくるように設計されており、
内側容器(20)のキャップ(22)は、本体(21)内に物品(1)を固定すること意図する物品ホルダ(23)を有して提供されている
ことを特徴とする二重包装(100)。
【請求項2】
外側容器(10)の壁部(13)は、内側表面に少なくとも第1のリブ(16)を含み、前記第1のリブ(16)は、膜(14)に圧力が印加されていない際に、外側容器(10)内に楔留めされる内側容器(20)を維持することに適合しており、第1のリブ(16)は、外側容器(10)の第1端(11)の近傍に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の二重包装(100)。
【請求項3】
膜(14)は、圧力が印加される際に、弾性的に変形でき、および、膜(14)の外側面(14a)は、膜(14)に圧力が印加されていない際に、凸形状、概半球形状または概半楕円体形状を有することを特徴とする請求項1または2に記載の二重包装(100)。
【請求項4】
膜(14)の内側面(14b)は、少なくとも第2のリブを有し、第2のリブは、膜(14)に圧力が印加されていない際に、外側容器(10)内に楔留めされる内側容器(20)を保持することに適合していることを特徴とする請求項1に記載の二重包装(100)。
【請求項5】
物品ホルダ(23)は、柔軟性または剛直性の可塑性材料から形成され、物品(1)を収容するためのハウジングを画定する概ね管状の形状を有することを特徴とする請求項1に記載の二重包装(100)。
【請求項6】
膜(14)は、オーバーモールドまたはバイインジェクションにより外側容器(10)の壁部(13)に固定されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の二重包装(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用または移植まで滅菌状態を維持すること意図される物品に特に好適な包装の分野に関する。具体的には、本発明は、たとえば歯科用または整形外科用の移植型物品のための二重包装に関する。
【背景技術】
【0002】
包装の技術水準は、物品、特に滅菌された医療部品を収容する、バッグまたは二重シェル型の外部および内部の二重エンベロープの形態で提供されている。非滅菌区域(貯蔵領域)の出発から滅菌区域(たとえば、手術室)の到着までに、包装は、外側エンベロープのレベルにおいて汚染される。したがって、この外側エンベロープと内側エンベロープとの間、さらには外側エンベロープと物品そのものとの間の直接または間接的接触による汚染の危険を回避することが重要である。
【0003】
この点について、滅菌区域内で第1の操作者が外側エンベロープを開き、内側エンベロープを作業面に落とし、次いで第2の操作者が内側エンベロープを開いて、滅菌された物品を取り出すことが知られている。この方法の不利な点は、内側エンベロープ、したがってそれが収容する物品が、誤って地面に落下しやすく、したがって衝突により衝撃を受け、かつ、地面に存在する異物により汚染されることである。
【0004】
別の方法によれば、第1の操作者が外側エンベロープを開いてそれを保持し、次いで外側エンベロープに接触しないように注意しながら第2の操作者が内側エンベロープを把持する。これは、たとえば国際公開第2012/172215号の文書で提案されている方法である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこれら先行技術の手段の代替案を提供する。本発明は、たとえば整形外科用移植片または歯科用移植片である、使用時まで滅菌状態を維持することを意図される物品のための二重包装を提供し、前記二重包装は、物品を収容する内側容器を外側容器中に保持し、前記単純な内側容器を引き抜き、滅菌要件を満たすことができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、好ましくは使用するまで滅菌状態を維持することを意図される物品のための二重包装に関し、当該二重包装は、以下を含む。
- 概して縦軸方向に延在し、第1の閉止端、第2の開放端、および第1端と第2端とを連結する壁部を含み、第2端は、閉止システムにより閉止されることを意図されている中空外側容器、
- 外側容器の内側に配置され、中空本体とキャップとを含み、物品を本体中に受容することを意図する内側容器。
【0007】
二重包装は、以下の点において注目に値する。
- 外側容器は、第1端に近接して、圧力が印加される際に変形することができる膜を含む点。
- 膜は、外側面と内側面とを有し、閉止システムが存在しないときに、縦軸に沿ってその外側面に圧力を印加され、その内側面を内側容器に押しつけ、内側容器が外側容器の第2端のレベルから出てくるように設計されている点。
【0008】
本発明の別の有利かつ非制限的な特徴によれば、以下のそれぞれを単独で、または技術的に実現可能な組み合わせで有する。
- 外側容器の壁部は、その中心軸が前記縦軸であり、正方形、長方形、多角形、円形または楕円形の断面を有する管形状を画定する。
- 外側容器の壁部は、内側表面に少なくとも第1のリブを含み、前記第1のリブは、膜に圧力が印加されていない際に、外側容器内に付着した内側容器を保持することに適合する。
- (少なくとも1つの)第1のリブは、外側容器の第1端の側面、または前記第1端の近傍に配置される。
- 膜は、圧力が印加される際に、弾性的に変形しやすい。
- 膜の外側面は、膜に圧力が印加されていない際に凸形状を有する。
- 膜は、半球形または半楕円体形の概略形状を有する。
- 膜の内側面は、少なくとも第2のリブを有し、第2のリブは、膜に圧力が印加されていない際に、外側容器内に付着した内側容器を保持することに適合する。
- 内側容器のキャップは、本体内に物品を固定すること意図する物品ホルダを有して提供される。
- 物品ホルダは、柔軟性または剛直性の可塑性材料から形成され、その中に物品を保持するためのハウジングを画定する概ね管状の形状を有する
- 外側容器の壁部および内側容器の本体は、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンとポリカーボネートとの混合物(ABS-PC)、ポリエステルまたはコポリエステル、またはポリプロピレン(PP)のような剛直性の可塑性材料から形成される。
- 内側容器のキャップは、熱可塑性エラストマー(TPE)、ポリスチレン-b-ポリエチレン-ブチレン-b-ポリスチレン(SEBS)、およびシリコーンから選択される柔軟性の可塑性材料、あるいは、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンとポリカーボネートとの混合物(ABS-PC)、ポリエステルまたはコポリエステル、またはポリプロピレン(PP)のような剛直性の可塑性材料から形成される。
- 外側容器の膜は、熱可塑性エラストマー(TPE)、ポリスチレン-b-ポリエチレン-ブチレン-b-ポリスチレン(SEBS)、およびシリコーンから選択される材料から形成される。
- 膜は、オーバーモールドまたはバイインジェクションにより、外側容器の壁部に固定される。
- 二重包装は、閉止システムを含み、閉止システムは、封止、熱溶接、または接着により第2端において外側容器の壁部に固定されているカバーから形成される。
- カバーは、耐水性または多孔性である。
【0009】
本発明の別の特徴および利点は、添付の図面を参照しつつ、以下の発明の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0010】
図面は、可読性の目的のために、必ずしも一定の縮尺にはない概略図である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明にしたがう二重包装の透視図である。
図2a】本発明にしたがう二重包装の透視図である。
図2b】本発明にしたがう二重包装の断面図である。
図3a】外側容器の膜に圧力を印加して物品を受容する内側容器を引き出す際の、本発明にしたがう二重包装の透視図である。
図3b】外側容器の膜に圧力を印加して物品を受容する内側容器を引き出す際の、本発明にしたがう二重包装の断面図である。
図4】本発明にしたがう二重包装の透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、好ましくは使用時まで滅菌状態を維持することを意図される物品1(図2bの断面図において視認できる)のための二重包装100に関する。物品1は、たとえば、医療用品、整形外科用移植片または歯科用移植片からなることができる。
【0013】
図1に例示するように、二重包装100は、概して縦軸Xに沿って延在する中空外側容器10を含む。外側容器10は、第1の閉止端11,第2の開放端12、および第1端11と第2端12とを連結する壁部13を含む。第2端12は、閉止システム(不図示)による密閉様式にて封止されることが意図される。
【0014】
外側容器10の壁部は、その中心軸が縦軸Xである、管形状を画定する。外側容器10の断面は、任意の形状、たとえば、正方形、長方形、多角形、円形または楕円形を有することができる。例示される実施例において、外側容器10の断面は、実質的に正方形であり、図2aおよび図4に見出すことができるように、その外側表面に切り落とし角(broken angle)を有する。この切り落とし角は、外側容器をより人間工学的にし、特に位置15(図2a)において、外側容器10の壁部13上のラベルの装着を容易にする。
【0015】
外側容器10の壁部13の外側面上のラベルの配置の別法は、図4に例示されるように、壁部13の内部のノッチ18の配置である。ノッチ18は、ラベルまたは小さいブックレットを収容するように適合する。これらのノッチは、その中にラベルまたはラベルホルダが導入される滑り面を形成する。この別法は、二重包装100の貯蔵中のラベルの喪失および損傷を回避し、使用時まで滅菌媒体中に前記ラベルを保存する点において有利である。
【0016】
外側容器10の第1端11を閉止するために、外側容器10は、圧力が印加される際に変形することができる膜14を含む。膜14は、柔軟性かつ変形可能な材料から形成される。有利なことには、圧力の効果のもとで弾性変形することができ、圧力がもはや印加されなくなったときにその初期形状を回復することができる。あるいはまた、膜14を、初期形状を回復することなしに、圧力が印加される際に塑性変形することができる材料で形成して、引き続く再使用を排除することができる。
【0017】
膜14は、外側面14aと内側面14bとを有する。この膜14の形状およびそれを作製するために好ましい材料については後述する。
【0018】
また、二重包装100は、内側容器20を含み、内側容器20は、中空本体21およびキャップ22を有し、物品1を前記本体21中に受容することが意図される。好ましくは、キャップ22は、本体21の開放端に圧力嵌めで取り付けられる。あるいはまた、回し締めまたは挟み締めすることができ、あるいは、キャップ22を本体21の端部に密封されるシールの形態とすることができる。
【0019】
内側容器20の形状および寸法は、壁部13の内側表面に対する過剰な摩擦なしに、外側容器10の内部に配置することができるように適合される。
【0020】
外側容器10内に内側容器20が配置される際に、内側容器20は、その中に完全に収容され、第2端12から突出しない(図2aおよび図2b)。よって、外側容器10の壁部に接して第2端12に閉止システムを配置して、外側容器10を閉止して、閉止および密封された二重包装100を形成できること、使用時に閉止システムが除去されるまで、閉止および密封された二重包装100が滅菌された物品1を収容することができることが理解できる。
【0021】
有利な実施形態によれば、閉止システムは、第2端12において外側容器10の壁部13に固定されるカバーにより形成される。具体的には封止、熱封止、または接着方法を含む、種々の固定方法を用いることができる。カバーは、たとえばアルミニウム、プラスチック、多成分複合材料、タイベック(商標)、ポリエチレン繊維からなる不織布のような種々の材料から形成することができる。
【0022】
別の実施形態によれば、閉止システムは、回し締め栓、挟み締め栓、圧力嵌め栓により形成される。
【0023】
滅菌プロセスに依存して、閉止システムを形成する材料は、耐水性または多孔性であることを選択できる。
【0024】
実際、外側容器10に挿入されている内側容器20内に物品1を配置し、閉止システムは壁部13の定位置にある際に、二重包装100を、たとえばγ線による滅菌プロセスにかけることができる。γ線は、2つの容器10および20を通過し、外側容器10内、内側容器20内、物品1上および可能性がある物品1内の、可能性のある細菌、ウイルス、または他の生存細胞を死滅させる。この滅菌工程の後に、たとえば滅菌手術室内で使用されるまで、二重包装100は貯蔵される。この滅菌工程に関して、有利なことには、閉止システムは、密封されていることを選択される。
【0025】
あるいはまた、エチレンオキシド(EO)による滅菌またはオートクレーブ滅菌を、閉止システムを伴う二重包装100に適用することができる。この場合、前記閉止システムの材料は、ガスまたは水蒸気の通過を許すが、液体または他の汚染物質の通過を許さないように、多孔性であることを選択される。また、内側容器20のキャップ22も多孔性であること(たとえば、本体21に密封されるシールの形態)が選択される。たとえば、この場合の外側容器10の閉止システムおよび内側容器20のキャップ22は、タイベックからなる蓋の形態であってもよい。
【0026】
図1を参照して、内側容器20のキャップ22は、本体21内部に物品1を固定することを意図する物品ホルダ23とともに提供される。物品ホルダ23は、物品1を保持するための種々の形状および種々の固定方法を有することができる。
【0027】
有利な実施形態においては、物品ホルダ23は、たとえば、熱可塑性エラストマー(TPE)、ポリスチレン-b-ポリエチレン-ブチレン-b-ポリスチレン(SEBS)、およびシリコーンから選択される、柔軟性かつ変形可能な材料から形成される。物品ホルダ23は、概ね管状の形状を有し、その中に物品を保持する楕円形の断面のハウジングを画定する。物品ホルダ23の一端は、キャップ22と一体的に保持される。物品ホルダ23の他端は開放されており、物品1にアクセスすることができる。物品1は、(図2bまたは図3bに例示されているように)物品ホルダ23の開放端から突出してもよいし、あるいはまた、物品ホルダ23により形成されるハウジング内に完全に収容されてもよい。物品ホルダ23の材料、厚さおよび寸法は、物品ホルダ23が物品1に押しつけられ、重力による、または二重包装100が揺動させられた際の、物品1のハウジングからの抜け落ちを摩擦により防止するように選択される。たとえば、物品ホルダ23により画定されるハウジングの楕円形の断面は、物品1の直径以下の小さい直径を有し、それによって物品1を物品ホルダ23の内側壁に押しつけて保持してもよい。
【0028】
別の実施形態によれば、物品ホルダ23は、たとえば可塑性材料であり、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、ポリカーボネート(PC)、ABS-PC、前述の化合物の混合物、ポリエステルまたはコポリエステル、またはポリプロピレン(PP)のような剛直性材料から形成される。物品ホルダ23は、概ね管状の形状を有し、その中に物品1を保持するハウジングを画定する。物品ホルダ23の一端は、キャップ22と一体的に保持される。物品ホルダ23の他端は開放されており、たとえばねじ込みにより物品1を維持することを可能にする。物品1は、ねじり戻しによりこの端部からアクセスすることができる。
【0029】
前述のように、膜14の説明に戻って、膜14は、外側面14aと内側面14bとを有する。さらに、膜14は、縦軸Xに沿って外側面14aに印加される圧力(図3aおよび図3bにおいて、白色の矢印により図式的に示される)が、内側面14bを内側容器20(具体的には本体21の端部)に対して押し込むように設計される。この推力(図3bにおいて、黒色の矢印により図式的に示される)は、外側容器10の内部に向かって進む方向に膜14の変形を可能にする。閉止システムが存在しない場合、前記推力は、外側容器10の第2端12から内側容器20を抜け出させる。
【0030】
物品1を使用すべき際に、二重包装100は、外側容器10の外側表面を把持する第1の操作者により滅菌室内に導入される、外側容器10の表面は、二重包装100のための貯蔵区域の位置のために汚染されている。滅菌室内で、第1の操作者は、閉止システムを除去(たとえば、密封されたカバーの除去)を行い、外側容器10の第2端12を開口させる。次いで、第1の操作者は、縦軸Xに沿って膜14の外側面14aに圧力を印加し、次いで、膜14の内側面14bが内側容器20の本体21の端部と接触し、開放端12(図3aおよび図3b)を介して、内側容器20を外側容器10から押出す。次いで、第2の操作者(滅菌済)が、外側容器10の第2端12から突出しているキャップ22のレベルにおいて、完全に滅菌されている内側容器20を把持する。
【0031】
本発明にしたがう二重包装100は、第2の操作者が、外側容器10の汚染された外側表面に接触することを防止する。また、衝撃、または不慮の落下および汚染の危険なしに、第1の操作者(未滅菌)により第2の操作者(滅菌済)に対して内側容器20を提供することを容易にする。内側容器20は、滅菌条件にある第2の操作者のみによって取り扱われ、次いで、第2の操作者は、キャップ22を開封し、物品ホルダ23から物品1を取り出すことができる。有利な形態において前述したように物品ホルダ23が柔軟性かつ変形可能な材料から形成されている場合、物品ホルダ23からの物品1の取り出しは、
物品ホルダ23の側壁に対する単純な圧力により実施することができる。実際、物品ホルダ23への圧力は、物品ホルダ23を変形させて広げ、それによって物品1を開放すること可能にする。
【0032】
有利なことには、外側容器10の壁部13は、少なくとも、内側表面上の第1のリブ16を含む(図2bおよび図3b)。第1のリブ16(少なくとも1つ)は、外側容器10の第1端11の側または近傍に配置される。この第1のリブ16は、膜14に圧力が印加されていない際に、第1のリブ16と内側容器20の壁との間の機械的摩擦力により、外側容器10に楔止めされる内側容器20を保持するのに適合される。第1のリブ16(少なくとも1つ)は、縦軸Xに平行に延在してもよいし、縦軸Xに対してゼロではない角度を形成する軸に沿って延在してもよい。好ましくは、複数の第1のリブを、壁部13の内表面にわたって均一に分布させる。
【0033】
この第1のリブの存在により、外側容器10の第2端12のレベルにおいて内側容器20を取り出すために、膜14に圧力を印加して内側容器を押出して、内側容器20を開放することが必須となる。これは、閉止システムが除去され、外側容器10の第2開放端12が故意ではなく下を向いた際に、外側容器10から内側容器20が不意に離れる危険を回避する。
【0034】
膜14は、種々の形状を有することができる。有利なことには、添付の図面に例示されるように、膜14の外側面14aは、その「休止」状態において、すなわち膜14に圧力が印加されていない際に、凸形状を有する。外側面14aは、概ね半球形または半楕円体形の形状を有することができる。好ましくは、図2bに例示されるように、外側容器10内に内側容器20が完全に配置され、かつ膜14が休止状態にある際に、本体21の端部は、膜14の内側面14bの全部または一部と接触している。
【0035】
膜14の内側面14bが少なくとも第2のリブを有してもよいことに注意されたい。
第2のリブは、膜14に圧力が印加されていない際(すなわち、その休止状態にある際)に、第2のリブと内側容器20の壁と間の摩擦により、外側容器10に楔止めされる内側容器20を保持するのに適合される。第2のリブ(少なくとも1つ)は、第1のリブ(少なくとも1つ)とともに、または第1のリブを伴わずに提供されてもよい。
【0036】
外側容器10の膜14は、熱可塑性エラストマー(TPE)、ポリスチレン-b-ポリエチレン-ブチレン-b-ポリスチレン(SEBS)、およびシリコーンから選択される材料から形成することができる。
【0037】
外側容器10の壁部13および内側容器20の本体21は、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、ポリカーボネート(PC)、ABS-PC、前述の化合物の混合物、ポリエステルまたはコポリエステル、またはポリプロピレン(PP)のような剛直性の可塑性材料から形成することができる。
【0038】
内側容器20のキャップ22は、熱可塑性エラストマー(TPE)、ポリスチレン-b-ポリエチレン-ブチレン-b-ポリスチレン(SEBS)、およびシリコーンから選択される柔軟性材料、またはアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、ポリカーボネート(PC)、ABS-PC、前述の化合物の混合物、ポリエステルまたはコポリエステル、またはポリプロピレン(PP)のような剛直性の可塑性材料から形成することができる。キャップ22および物品ホルダ23を同一の材料から形成する場合、2つの組み立て品としてではなく、一体として形成することができる。
【0039】
有利なことには、膜14は、可塑性材料から作製される部品の製造に関してよく知られている技術であるオーバーモールドまたはバイインジェクションにより、外側容器10の壁部13に固定される。
【0040】
もちろん、本発明は、記載された実施形態および実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に規定される発明の範囲から乖離することなしに変形の実施形態を作成することが可能である。
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図4