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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-07
(45)【発行日】2024-03-15
(54)【発明の名称】吐出容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/00 20060101AFI20240308BHJP
   B65D 81/32 20060101ALI20240308BHJP
   B05B 11/00 20230101ALI20240308BHJP
【FI】
B65D83/00 K
B65D81/32 S
B05B11/00 101G
B05B11/00 101C
B05B11/00 101F
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020130272
(22)【出願日】2020-07-31
(65)【公開番号】P2022026689
(43)【公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】石塚 徹也
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-022625(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00
B65D 81/32
B05B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1内容物が収容された外容器と、
第2内容物が収容され、前記外容器の内側に配置された内容器と、
前記外容器の内部に、上方付勢状態で下方移動可能に立設されるステムを有するポンプ部と、
前記第1内容物を吐出する第1ノズル孔、及び前記第2内容物を吐出する第2ノズル孔が形成され、前記ステムの上端部に装着された押下ヘッドと、を備え、
前記ポンプ部は、
前記外容器の内側に配設され、前記外容器内に連通する外シリンダと、
前記外シリンダ及び前記内容器に対して連結され、前記内容器内に連通する内シリンダと、
前記ステムの上下動に連係して、前記外シリンダの内部に上下摺動可能に収容された外ピストンと、
前記ステムの上下動に連係して、前記内シリンダの内部に上下摺動可能に収容された内ピストンと、を備え、
前記押下ヘッドには、
前記第1ノズル孔に連通すると共に、前記外ピストンの下方移動に伴って、前記外シリンダ内から前記第1ノズル孔に向けて前記第1内容物を供給する第1吐出通路と、
前記第2ノズル孔に連通すると共に、前記内ピストンの下方移動に伴って、前記内シリンダ内から前記第2ノズル孔に向けて前記第2内容物を供給する第2吐出通路と、が形成され、
前記第1吐出通路及び前記第2吐出通路は、互いに独立して形成され
前記第2吐出通路は、前記ステムの内部及び前記内ピストンの内部を通じて、前記内シリンダ内に連通し、
前記外ピストンは、内部に前記ステムが上下動可能に挿通されると共に、該ステムとの間に前記第1吐出通路に連通する連通路を形成する挿通筒を備え、
前記ステムには、該ステムの径方向外側に張り出して、前記挿通筒の下端に下方から当接し、前記連通路を通じた前記外シリンダ内と前記第1吐出通路内との連通を遮断する当接部が形成され、
前記当接部は、前記ステムの下方移動に伴って前記挿通筒の下端から離間して、前記連通路を前記外シリンダ内に連通させ、
前記押下ヘッドは、前記連通路が前記外シリンダ内に連通した後、前記ステムの下方移動に伴って前記外ピストンを下方に押下げる押下げ部材を備え、
前記押下ヘッドと前記外ピストンとの間には、前記外ピストンを下方に向けて付勢して、前記当接部に対して前記挿通筒の下端を押し付ける付勢部材が設けられていることを特徴とする吐出容器。
【請求項2】
請求項1に記載の吐出容器において、
前記内容器は、前記第2内容物の減少に伴って内容積が減容可能とされている、吐出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示されるように、上方付勢状態で下方移動可能に設けられたステムを有する複数のポンプと、複数のポンプそれぞれのステムの上端部に取付けられた押下ヘッドと、を備えた吐出容器が知られている。
複数のポンプは、並列に設けられていると共に、異なる内容部が収容された収容室内に各別に配置されている。そして押下ヘッドには、複数のステム内に各別に連通する複数の吐出孔が形成されている。
【0003】
これにより、押下ヘッドを押下することで、複数のステムを同時に押下げて各ポンプを作動させることができる。その結果、1回の押下げ操作で効率良く内容物を吐出させることができると共に、例えば異種の内容物を吐出後に混合させることも可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-112406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の吐出容器では、ステムを有する複数のポンプを並列に設ける必要があるので、容器全体のサイズが大型化し易いうえ、外形形状が制約され易く、デザイン性が悪かった。さらにポンプを複数具備する分、部品点数が増えてしまうので、低コスト化を図り難い。さらには、押下ヘッドで複数のポンプのそれぞれのステムを同時に押下げる必要があるので、押下げ操作時に押下ヘッドが安定しない場合があり、安定した吐出を行うことが難しい場合があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、小型化及びデザイン性の向上化を図ることができると共に部品点数を削減でき、且つ安定した吐出を行うことができる吐出容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る吐出容器は、第1内容物が収容された外容器と、第2内容物が収容され、前記外容器の内側に配置された内容器と、前記外容器の内部に、上方付勢状態で下方移動可能に立設されるステムを有するポンプ部と、前記第1内容物を吐出する第1ノズル孔、及び前記第2内容物を吐出する第2ノズル孔が形成され、前記ステムの上端部に装着された押下ヘッドと、を備え、前記ポンプ部は、前記外容器の内側に配設され、前記外容器内に連通する外シリンダと、前記外シリンダ及び前記内容器に対して連結され、前記内容器内に連通する内シリンダと、前記ステムの上下動に連係して、前記外シリンダの内部に上下摺動可能に収容された外ピストンと、前記ステムの上下動に連係して、前記内シリンダの内部に上下摺動可能に収容された内ピストンと、を備え、前記押下ヘッドには、前記第1ノズル孔に連通すると共に、前記外ピストンの下方移動に伴って、前記外シリンダ内から前記第1ノズル孔に向けて前記第1内容物を供給する第1吐出通路と、前記第2ノズル孔に連通すると共に、前記内ピストンの下方移動に伴って、前記内シリンダ内から前記第2ノズル孔に向けて前記第2内容物を供給する第2吐出通路と、が形成され、前記第1吐出通路及び前記第2吐出通路は、互いに独立して形成され、前記第2吐出通路は、前記ステムの内部及び前記内ピストンの内部を通じて、前記内シリンダ内に連通し、前記外ピストンは、内部に前記ステムが上下動可能に挿通されると共に、該ステムとの間に前記第1吐出通路に連通する連通路を形成する挿通筒を備え、前記ステムには、該ステムの径方向外側に張り出して、前記挿通筒の下端に下方から当接し、前記連通路を通じた前記外シリンダ内と前記第1吐出通路内との連通を遮断する当接部が形成され、前記当接部は、前記ステムの下方移動に伴って前記挿通筒の下端から離間して、前記連通路を前記外シリンダ内に連通させ、前記押下ヘッドは、前記連通路が前記外シリンダ内に連通した後、前記ステムの下方移動に伴って前記外ピストンを下方に押下げる押下げ部材を備え、前記押下ヘッドと前記外ピストンとの間には、前記外ピストンを下方に向けて付勢して、前記当接部に対して前記挿通筒の下端を押し付ける付勢部材が設けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る吐出容器によれば、押下ヘッドを押下げ操作してステムを下方移動させると、ステムの下方移動に連係して外ピストン及び内ピストンを下方移動させることができる。これにより、外シリンダの内圧を高めて、第1吐出通路を通じて外シリンダ内から第1ノズル孔に向けて第1内容物を供給することができると共に、内シリンダの内圧を高めて、第2吐出通路を通じて内シリンダ内から第2ノズル孔に向けて第2内容物を供給することができる。その結果、1回の押下げ操作で第1内容物及び第2内容物を同時に効率良く吐出させることができると共に、例えば第1内容物及び第2内容物を吐出中或いは吐出後に簡単に混合させるといったことも可能である。
【0009】
なお、第1内容物及び第2内容物の吐出後、押下ヘッドの押下げを解除すると、ステムが上方付勢力によって上方移動するので、押下ヘッドと共に外ピストン及び内ピストンも上方移動して元の状態に復帰する。この過程において、外シリンダ内及び内シリンダ内が負圧になるので、外シリンダ内に第1内容物を吸上げる共に、内シリンダ内に第2内容物を吸上げることができ、次回の吐出に備えることができる。
【0010】
特に、複数のポンプ部を具備する従来のものとは異なり、1つのポンプ部で構成されているので、吐出容器全体のサイズの小型化を図ることができるうえ、外形形状の制約を受け難く、デザイン性の向上化を図ることができる。さらに、1つのポンプ部で構成することができるので、複数のポンプ部を具備する場合に比べて部品点数を削減でき、低コスト化に繋げることができる。
さらに、1回の押下ヘッドの押下げ操作によって、共通のステムの下方移動に連係して外ピストン及び内ピストンを下方移動させることができるので、押下ヘッドに対する押下力の加え方等に影響されることなく、第1内容物及び第2内容物を安定して吐出させることができる。
【0012】
さらに、押下ヘッドの押下げ操作によってステムを下方移動させることで、外ピストンにおける挿通筒の下端から当接部を離間させることができ、これによって連通路を通じて第1吐出路内と外シリンダ内とを連通させることができる。そして押下ヘッドのさらなる押下げ操作を行うことで、押下げ部材を利用して外ピストンを押下げることができる。これにより、連通路を外シリンダ内に連通させた状態を維持しながら、ステムの下方移動に連係して外ピストンを下方移動させることがでる。そのため、外シリンダ内から連通路を通じて第1吐出通路内に第1内容物を供給することができ、第1ノズル孔から外部に吐出することが可能となる。
これと同時に、ステムの下方移動に連係して内ピストンが下方移動することで、ステムの内部及び内ピストンの内部を通じて、内シリンダ内から第2吐出通路内に第2内容物を供給することができ、第2ノズル孔から外部に吐出することが可能となる。
【0013】
従って、第1内容物及び第2内容物を互いに独立した吐出経路を経由させて、適切に第1ノズル孔及び第2ノズル孔に導きながら吐出を行うことができる。
なお、第1内容物及び第2内容物の吐出後、押下ヘッドの押し下げを解除すると、ステムの上方移動に伴って当接部が外ピストンにおける挿通筒の下端に下方から当接するので、連通路を通じた第1吐出通路内と外シリンダ内との連通を遮断することができる。これにより、外シリンダ内を適切に負圧化させることができ、外シリンダ内に第1内容物を確実に吸い上げることができる。
【0015】
さらに、押下ヘッドの押下げの解除時、ステムに作用する上方付勢力を利用して、当接部が挿通筒の下端に対して例えば密に当接しない場合であっても、外ピストンが付勢部材によって下方に付勢されるので、挿通筒の下端を当接部に対して上方から押し付けることができる。従って、当接部と挿通筒の下端とを互いに密に当接させることができ、連通路を通じた第1吐出通路内と外シリンダ内との連通をより確実に遮断することができる。
【0016】
)前記内容器は、前記第2内容物の減少に伴って内容積が減容可能とされても良い。
【0017】
この場合には、内容器が第2内容物の減少に伴って内容積が減容するので、内容器内から内シリンダ内への第2内容物の吸い上げによる内容器内の内圧低下を抑制することができる。従って、内容器内への外気導入等を行う必要がなく、構成の簡略化を図ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る吐出容器によれば、小型化及びデザイン性の向上化を図ることができると共に部品点数を削減でき、且つ安定した吐出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係る吐出容器の実施形態を示す縦断面図である。
図2図1に示す吐出容器における押下ヘッドの周辺を拡大した縦断面図である。
図3図1に示す吐出容器における内容器の周辺を拡大した縦断面図である。
図4図2に示す状態から押下ヘッドを押下げている状態を示す縦断面図である。
図5図4に示す状態から押下ヘッドをさらに押下げた状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る吐出容器の実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態の吐出容器1は、異種の内容物を同時に吐出することができると共に、吐出した内容物を容易に混合しながら使用することができる、ポンプタイプの混合容器である。
【0021】
吐出容器1は、第1内容物W1が収容された有底筒状の外容器2と、第2内容物W2が収容され、外容器2の内側に配置された筒状の内容器3と、外容器2の口部10に装着キャップ4を介して装着されたポンプ部5と、第1内容物W1を外部に吐出する第1ノズル孔6及び第2内容物W2を外部に吐出する第2ノズル孔7が形成されたノズル筒部8を有する押下ヘッド9と、を備えている。
【0022】
なお、外容器2及び内容器3は、それぞれの中心軸が共通軸上に位置された状態で配設されている。そして、共通軸と同軸に装着キャップ4及び押下ヘッド9が配置されている。本実施形態では、この共通軸を容器軸Oといい、容器軸Oに沿った押下ヘッド9側を上側、その反対側を下側という。また、容器軸O方向から見た平面視において、容器軸Oに交差する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0023】
(外容器)
図1及び図2に示すように、外容器2は、口部10、胴部11及び底部12を有する有底筒状に形成されている。口部10の外周面には、第1ねじ部(例えば雄ねじ部)13が形成されている。
【0024】
(内容器)
図1及び図3に示すように、内容器3は、容器軸O方向に延びると共に下方に開口する筒状に形成され、外容器J2の胴部11の内側に配置されている。図示の例では、内容器3の容器軸O方向に沿った長さは、外容器2における胴部11の容器軸O方向に沿った長さよりも若干短い長さとされている。
内容器3の内部には、第2内容物W2の減少に伴って内容器3内を上昇移動する中皿20が設けられている。内容器3は、中皿20によって下端開口が閉塞されていると共に、第2内容物W2の減少に伴って内容積が減容可能とされている。
【0025】
内容器3は、例えば横断面視円形状に形成されていると共に、全長に亘って上下方向にストレート状に延びるように形成されている。ただし、内容器3の形状は特に限定されるものではなく、例えば横断面視楕円状や多角形状に形成しても構わない。
【0026】
なお、内容器3は所定の剛性を有しており、径方向に変形することが抑制されている。これにより、内容器3は、第2内容物W2の減少に伴う内容積の減容時に変形が抑制されている。また、内容器3の下端部には、径方向の内側に向けて突出する環状の抜け止めフランジ3aが形成されている。
【0027】
図3に示すように、中皿20は、内容器3内を上下に仕切る平面視円形状の仕切り壁21と、仕切り壁21の外周縁部に連設され、内容器3内に摺動可能に嵌合された摺動筒22とを備え、容器軸Oと同軸に配置されている。
摺動筒22は、上下方向の中央部から上方及び下方に向かうに従って漸次拡径するテーパ状に形成され、上下方向の両端部に位置するリップ部22aを備えている。リップ部22aは、内容器3の内周面に対して適度な摩擦力を維持した状態で密に摺接している。これにより、摺動筒22は、リップ部22aと内容器3の内周面との間に所定のシール性を確保した状態で内容器3に対して上下摺動可能に嵌合されている。
【0028】
上述のように構成された中皿20は、内容器3内の第2内容物W2の減少に伴って内容器3内の内圧が低下(負圧)することにより、内容器3内を上昇移動する。従って、内容器3は、第2内容物W2の減少に伴って中皿20が上昇移動することで、内容積が減容可能とされている。
なお、中皿20は、初期状態では摺動筒22が抜け止めフランジ3aに対して上方から接触する位置に配置されている。
【0029】
(装着キャップ)
図1及び図2に示すように、装着キャップ4は、外容器2の口部10を径方向の外側から囲む装着筒30と、装着筒30の上端部から上方に向けて突出した突出筒31と、突出筒31の上端部から径方向の内側に向けて突出した環状のキャップ天壁32と、キャップ天壁32の内周縁部から下方に向けて延びたガイド筒33とを備えている。
【0030】
装着筒30の内周面には、外容器2の口部10に形成された第1ねじ部13に螺合する第2ねじ部(例えば雌ねじ部)34が形成されている。これにより、装着キャップ4は、外容器2の口部10に装着されている。ただし、装着キャップ4の装着方法は、螺着に限定されるものではなく、例えば外容器2の口部10に対して例えばアンダーカット嵌合によって装着しても構わない。
【0031】
突出筒31は、外径が装着筒30の外径よりも小さい筒状に形成されている。環状のキャップ天壁32は、図示の例では、突出筒31の上端部から径方向の内側に向かうにしたがって上方に向けて延びるように形成されている。ガイド筒33は、押下ヘッド9の上下動をガイドする役割を果たしており外容器2の口部10の内側に入り込む程度の長さで、キャップ天壁32の内周縁部から下方に向けて延びている。
【0032】
さらにキャップ天壁32には、下方に向けて延びると共に突出筒31の内側に位置する第1連結筒35が形成されている。第1連結筒35の内周面には、径方向の外側に向かって窪むと共に下方に開口した縦溝状の係合溝36が形成されている。
なお、係合溝36は、1箇所に形成されていても構わないし、周方向に間隔をあけて複数形成されていても構わない。
【0033】
(ポンプ部)
図1に示すように、ポンプ部5は、外容器2の口部10の内側に上方付勢状態で下方移動可能に立設されたステム40と、外容器2の内側に配設され、外容器2内に連通する外シリンダ50と、外シリンダ50及び内容器3に対して連結され、内容器3内に連通する内シリンダ60と、押下ヘッド9及びステム40の上下動に連係して外シリンダ50の内部に上下摺動可能に収容された外ピストン70と、押下ヘッド9及びステム40の上下動に連係して内シリンダ60の内部に上下摺動可能に収容された内ピストン80とを備えている。
【0034】
外シリンダ50及び内シリンダ60は、それぞれ円筒状に形成され、容器軸Oと同軸に配置されている。図示の例では、外シリンダ50の下端部と内シリンダ60の上端部とが一体に連設されることで、外シリンダ50及び内シリンダ60が上下に並んだ状態で一体に形成されている。ただし、外シリンダ50と内シリンダ60とをそれぞれ別体に構成したうえで、例えば両者を係止する等して一体に繋げても構わない。
【0035】
図1図3に示すように、外シリンダ50は、シリンダ壁51及び底壁52を有する有底筒状に形成されている。
シリンダ壁51は、外容器2の口部10よりも小さい直径で形成された円筒状に形成され、外容器2の口部10の内側に配置されている。シリンダ壁51の上端部は、装着キャップ4におけるガイド筒33の外側に嵌合されている。さらに、シリンダ壁51の上端部には、径方向の外側に向けて突出した環状のフランジ部53が形成されている。フランジ部53は、環状のパッキン54を挟んで外容器2の上端開口縁上に配置されている。これにより、外シリンダ50は、外容器2の口部10の上端開口縁から垂下した状態で外容器2の口部10の内側に配置されている。
【0036】
図3に示すように、底壁52の中央部には、内シリンダ60の上端部が外シリンダ50の内部に連通した状態で連結されている。さらに底壁52には、下方に向けて延びる吸上げ筒55が形成されている。吸上げ筒55は、内シリンダ60との間に隙間をあけた状態で、内シリンダ60に対して平行に配置されている。
吸上げ筒55の内部は、底壁52に形成された連通孔56を通じて外シリンダ50内に連通している。これにより、外シリンダ50の内部は、吸上げ筒55を通じて外容器2内に連通している。
【0037】
吸上げ筒55における下端部側の内側には、吸上げパイプ90の上端部91が嵌合されている。吸上げパイプ90は、長尺に形成され、外容器2の底部12付近に下端部92が位置している。図示の例では、吸上げパイプ90は、上端部91から下端部92に向かう途中において外容器2の胴部11側に向かうように傾斜しており、下端部92が底部12と胴部11との角部に位置している。
ただし、吸上げパイプ90は、下方に向けてストレート状に延びるように形成されていても構わない。また吸上げパイプ90は、可撓性を有するチューブ状に形成されていても構わない。
【0038】
吸上げ筒55内において吸上げパイプ90よりも上方に位置する空間は弁室95とされている。弁室95内には、外容器2内から吸上げパイプ90を通じて外シリンダ50内に向けた第2内容物W2の移動を許容し、且つ外シリンダ50内から吸上げパイプ90を通じて外容器2内に向けた第2内容物W2の移動を規制するボール弁(逆止弁)96が配設されている。
【0039】
吸上げ筒55のうちボール弁96よりも下方に位置する部分には、径方向の内側に向けて突出した円環状の弁座57が形成されている。ボール弁96は、この弁座57に対して上方に離反可能に着座している。
なお、吸上げ筒55のうちボール弁96よりも上方に位置する部分には、径方向の内側に向けて突出した抜け止め突起55aが形成されている。図示の例では、抜け止め突起55aは、吸上げ筒55の周方向に間隔をあけて複数形成されている。これにより、ボール弁96は、弁室95内から外シリンダ50内に抜け出ることが規制されている。
【0040】
内シリンダ60は、外シリンダ50よりも小径の筒状に形成され、先に述べたように外シリンダ50の底壁52に上端部が連結されていると共に、内容器3内に密に嵌合されている。
これにより、内シリンダ60は、外シリンダ50及び内容器3に対してそれぞれ連結されている。また、内容器3は、内シリンダ60及び外シリンダ50を介して、外容器2の口部10の上端開口縁に垂下するように支持されている。なお、内シリンダ60は、下端開口部61を通じて内容器3内に連通している。
【0041】
上述のように構成された外シリンダ50及び内シリンダ60において、図2に示すように、外シリンダ50におけるフランジ部53には、第2連結筒58が上方に向けて突設されている。第2連結筒58は、装着キャップ4に形成された第1連結筒35よりも径方向の内側に配置されている。さらに第2連結筒58には、径方向の外側に向けて突出すると共に、第1連結筒35に形成された係合溝36内に入り込む縦リブ状の係合リブ59が形成されている。この係合リブ59は、係合溝36に対して周方向に係合している。これにより、外シリンダ50と装着キャップ4とは、互いに回り止めがされた状態で一体的に組み合わされている。
なお、シリンダ壁51には、該シリンダ壁51を径方向に貫通する空気孔51aが形成されている。
【0042】
図1及び図2に示すように、外ピストン70は、ステム40を径方向の外側から囲む挿通筒71と、挿通筒71の上端部から径方向の外側に向けて突出した環状の連結壁72と、連結壁72の外周縁部から下方に向けて突出した連結筒73と、連結筒73の下端部に連設され、外シリンダ50の内周面に対して密に摺接する摺動筒74とを備え、容器軸Oと同軸に配置されている。
【0043】
挿通筒71の内側には、該挿通筒71に対して上下動可能にステム40が挿入されている。挿通筒71とステム40との間には、環状の隙間である連通路75が形成されている。さらに挿通筒71の上端部には、上方に向けてさらに延びるように上側摺動筒76が形成されている。上側摺動筒76は、後述する押下ヘッド9における押下筒123の内側に下方から入り込むと共に、押下筒123の内周面に対して例えば密に摺接している。
【0044】
摺動筒74は、上下方向の中央部から上方及び下方に向かうに従って漸次拡径するテーパ状に形成され、上下方向の両端部に位置するリップ部74aを備えている。リップ部74aは、外シリンダ50の内周面に対して密に摺接している。これにより、リップ部74aと外シリンダ50の内周面との間には所定のシール性が確保されている。
【0045】
上述のように構成された外ピストン70は、押下ヘッド9を押下げ操作する前の待機状態では、図2に示すように、摺動筒74が外シリンダ50に形成された空気孔51aを塞ぐ位置に配置されている。
【0046】
ステム40は、外ステム筒41及び内ステム筒42を有する二重筒状に形成され、外ピストン70における挿通筒71の内側に容器軸Oと同軸に配置されている。
外ステム筒41は、外ピストン70における挿通筒71よりも上下方向に長く形成されている。外ステム筒41の上端部は、装着キャップ4におけるキャップ天壁32と同等の高さに位置している。外ステム筒41の下端部には、径方向の外側に向けて張り出すように突出した環状のフランジ部(当接部)43が形成されている。
【0047】
フランジ部43は、押下ヘッド9を押下げ操作する前の待機状態では、外ピストン70における挿通筒71の下端に下方から接触している。なお、図示の例では、フランジ部43は外ステム筒41に一体に形成されているが、この場合に限定されるものではなく、別体に形成されていても構わない。
【0048】
内ステム筒42は、外ステム筒41における上下方向の中央部に上端部が連結された状態で、外ステム筒41の内側に配置されている。なお、外ステム筒41は、上下方向の中央部よりも下方に位置する部分が拡径するように形成されている。これにより、内ステム筒42と外ステム筒41との間には、下方に開口した環状空間が形成されている。
【0049】
内ステム筒42は、外ステム筒41よりも下方に突出しており、後述する内ピストン80の内側に例えば密に嵌合している。これにより、ステム40の全体は、内ピストン80を介して後述するコイルばね105に支持され、コイルばね105によって上方付勢状態で下方移動可能とされている。
【0050】
外ステム筒41と内ステム筒42との連結部分には、上方に向けて円環状の弁座44が突設されている。そしてステム40内には、弁座44に対して上方に離反可能に着座するボール弁45が配設されている。
ボール弁45は、内シリンダ60内からステム40内を通じて第2ノズル孔7に向けた第2内容物W2の移動を許容し、且つ第2ノズル孔7からステム40内を通じて内シリンダ60内に向けた第2内容物W2の移動を規制する逆止弁とされている。
【0051】
図1図3に示すように、内ピストン80は、筒状に形成され、外ピストン70よりも下方に位置した状態で容器軸Oと同軸に配置されている。内ピストン80は、上端部側が外ステム筒41と内ステム筒42との間の環状空間内に下方から入り込み、内ステム筒42の外周面及び外ステム筒41の内周面に対して嵌合されている。
内ピストン80の下端部には、内シリンダ60内の内側に上方から入り込むと共に、内シリンダ60の内周面に対して例えば密に摺接するリップ部80aが形成されている。これにより、リップ部80aと内シリンダ60の内周面との間には、所定のシール性が確保されている。
【0052】
内ピストン80の外周面には、径方向の外側に向けて突出すると共に、ステム40に形成されたフランジ部43に対して下方から接触する環状の支持片81が形成されている。さらに内ピストン80のうち、内ステム筒42よりも下方に位置する部分の内周面には、径方向の内側に向けて突出した円環状の弁座82が形成されている。
【0053】
上述のように構成された内シリンダ60及び内ピストン80の内部には、棒状の弁部材100が容器軸Oと同軸に配設されている。
弁部材100は、上端部が中空逆円錐状に形成された上部弁体101とされていると共に、下端部が内シリンダ60の下端部に形成された縮径部62に対して離反可能に着座する下部弁体102とされている。
【0054】
上部弁体101は、内ピストン80に形成された弁座82に対して上方から離反可能に着座しており、ステム40の上下動に連係して、内シリンダ60内とステム40内との連通及びその遮断を切換える切換弁とされている。下部弁体102は、内シリンダ60の縮径部62に対して上方から離反可能に着座しており、ステム40の上下動に連係して、内容器3内と内シリンダ60内との連通及びその遮断を切換える切換弁とされている。
【0055】
図3に示すように、内ピストン80と内シリンダ60との間には、コイルばね105が上下方向に圧縮状態で配設されている。コイルばね105は、弁部材100を径方向の外側から囲むように配置され、上端部が内ピストン80に形成された弁座82に対して下方から接触し、下端部が内シリンダ60に形成された縮径部62に対して上方から接触している。これにより、コイルばね105は、内ピストン80を介してステム40を上方に付勢しながら下方移動可能に支持している。
【0056】
(押下ヘッド)
図1及び図2に示すように、押下ヘッド9は、上述のように構成されたポンプ部5におけるステム40の上端部に装着され、押下げ操作可能とされている。
押下ヘッド9は、平面視円形状のヘッド頂壁110と、ヘッド頂壁110から下方に向けて延びると共にステム40の上端部に嵌合された内筒111と、ヘッド頂壁110から下方に向けて延びると共に内筒111を径方向の外側から囲む中筒112と、ヘッド頂壁110の外周縁部から下方に向けて延びると共に中筒112を径方向の外側から囲む外筒113と、を備えた有頂筒状に形成されている。
【0057】
内筒111は、下端部がステム40における外ステム筒41の上端部に嵌合している。中筒112は、内筒111よりも下方に突出するように形成され、装着キャップ4におけるガイド筒33の内側に上方から入り込んでいる。
外筒113は、中筒112を全長に亘って径方向の外側から囲むように形成され、ガイド筒33の内側に上方から入り込んでいる。外筒113は、ガイド筒33でガイドされながらガイド筒33内を上下動可能とされている。これにより、押下ヘッド9は、がたつき少なくスムーズに押下げ操作可能とされている。なお、外筒113とガイド筒33との間には、環状の隙間が形成されている。この隙間は空気通路114として機能する。
【0058】
外筒113には、径方向の外側に向けて突出し、その先端に第1ノズル孔6及び第2ノズル孔7が形成されたノズル筒部8が形成されている。ノズル筒部8は、ヘッド頂壁110と一体となるように形成されている。
図示の例では、ノズル筒部8は、吐出容器1の縦断面視で容器軸Oに対して略直角に交差することで、略水平に配設されている。ただし、この場合に限定されるものではなく、例えば下向きに傾斜するようにノズル筒部8を形成しても構わない。
【0059】
第1ノズル孔6及び第2ノズル孔7は、例えば上下方向に並ぶように配置されている。図示の例では、第1ノズル孔6が第2ノズル孔7の下方に位置するように配置されている。ただし、この場合に限定されるものではなく、第1ノズル孔6を第2ノズル孔7の上方に位置するように配置しても構わない。さらには、第1ノズル孔6と第2ノズル孔7とを上下方向ではなく、例えば水平方向に並ぶように配置しても構わない。
【0060】
ノズル筒部8内には、内筒111と中筒112との間の環状空間内と第1ノズル孔6とを連通させ、且つ内筒111内と第2ノズル孔7とを連通させる区画壁115が形成されている。この区画壁115によって、ノズル筒部8内には、第1ノズル孔6に連通した第1吐出通路116と、第2ノズル孔7に連通した第2吐出通路117とが、互いに独立した通路として形成されている。
つまり、第1吐出通路116は、内筒111と中筒112との間の環状空間内と第1ノズル孔6とを連通する通路とされている。また第2吐出通路117は、内筒111内と第2ノズル孔7とを連通する通路とされている。
【0061】
上述した中筒112には、押下ヘッド9の押下げ操作に伴って外ピストン70を下方に押下げる押下部材120が組み合わされている。
押下部材120は、中筒112の内側に密に嵌合された嵌合筒121と、嵌合筒121の下端部から径方向の外側に向けて突出すると共に、中筒112の下端開口縁に対して下方から接触する環状のフランジ部122と、フランジ部122から下方に向けて突出すると共に、外ステム筒41及び外ピストン70の上側摺動筒76を径方向の外側から囲む押下筒123とを備えている。
【0062】
嵌合筒121は、内筒111との間に隙間をあけた状態で中筒112の内側に嵌合している。これにより、内筒111と嵌合筒121との間には、第2吐出通路117が確保されている。先に述べたように、押下筒123の内周面には、外シリンダ50における上側摺動筒76が摺動可能に接触している。そのため、押下筒123と外ステム筒41との間に形成された環状空間は、第1吐出通路116と連通路75とを連通する中間通路124として機能する。
【0063】
従って、第1吐出通路116は、中間通路124、連通路75、及びステム40に形成されたフランジ部43と外ピストン70の挿通筒71の下端との間の隙間を通じて、外シリンダ50内に連通可能とされている。そのため、第1吐出通路116は、外ピストン70の下方移動に伴って、外シリンダ50内から第1ノズル孔6に向けて第1内容物W1を供給することが可能とされている。
【0064】
ただし、押下ヘッド9を押下げ操作する前の待機状態では、フランジ部43が挿通筒71の下端に対して下方から接触しているので、連通路75及び中間通路124を通じた外シリンダ50内と第1吐出通路116内との連通は遮断されている。その一方、押下ヘッド9の押下げ操作に伴ってステム40が下方移動した場合には、図4に示すように、フランジ部43が挿通筒71の下端から下方に離間するので、連通路75及び中間通路124を通じて外シリンダ50内と第1吐出通路116内とを連通させることが可能となる。
【0065】
図2に示すように、押下筒123の下端部には、下方に向けて突出すると共に、外ピストン70の連結壁72に対して上方から接触して、外ピストン70を下方に向けて付勢する弾性片(付勢部材)125が設けられている。
【0066】
弾性片125は、径方向の外側に向けて撓むように弾性変形可能な板ばね状に形成され、弾性復元力を利用して外ピストン70を下方に向けて付勢している。
これにより、押下ヘッド9を押下げ操作する前の待機状態において、弾性片125はフランジ部43に対して挿通筒71の下端を上方から押し付けている。これにより、連通路75及び中間通路124を通じた外シリンダ50内と第1吐出通路116内との連通を、確実に遮断することが可能とされている。
【0067】
なお、図示の例では、弾性片125は押下筒123の下端部に周方向に間隔をあけて複数形成されている。ただし、弾性片125は、押下筒123の全周に亘って連続した環状に形成されていても構わない。
【0068】
ところで弾性片125は、コイルばね105の上方付勢力よりも弱い付勢力で外ピストン70を下方に付勢している。そのため、弾性片125は、押下ヘッド9を押下げ操作した際、図4に示すように、押下ヘッド9及びステム40の下方移動に伴って、径方向の外側に向けて撓むように弾性変形する。これにより、外ピストン70を初期位置に位置させたまま、外ピストン70に対してステム40を相対的に下方移動させることができるので、ステム40のフランジ部43を外ピストン70の挿通筒71の下端から下方に離間させることができる。
【0069】
そして、弾性片125はフランジ部43が挿通筒71の下端から離間した後、それ以上の弾性変形が抑制される。これにより、それ以降、押下ヘッド9及びステム40の下方移動に伴って外ピストン70を下方に押下げることができ、押下ヘッド9及びステム40と共に外ピストン70を下方移動させることが可能とされている。
従って、押下ヘッド9は、押下部材120を利用することで、連通路75及び中間通路124を通じて外シリンダ50内と第1吐出通路116内とが連通した後、ステム40の下方移動に伴って外ピストン70を下方に押下げることが可能とされている。
【0070】
上述のように構成された押下ヘッド9は、図1及び図2に示すように、有頂筒状のキャップ体130によって覆われている。キャップ体130は、装着キャップ4における突出筒31に対して例えばアンダーカット嵌合によって、離脱可能に装着されている。これにより、押下ヘッド9の全体はキャップ体130によって覆われて保護されている。
なお、キャップ体130の装着方法は、アンダーカット嵌合に限定されるものではなく、例えば螺着によって装着キャップ4に装着されても構わない。
【0071】
(吐出容器の組み立て)
上述のように構成された吐出容器1を組み立てる場合には、例えば装着キャップ4に対して、外シリンダ50、内シリンダ60、第2内容物W2が収容された内容器3、外ピストン70、内ピストン80、吸上げパイプ90及び押下ヘッド9を一体的に組み合わせた中間ユニットを、第1内容物W1が収容された外容器2に組み合わせる。
具体的には、中間ユニットを外容器2の内側に挿入しつつ、外容器2の口部10に対して装着キャップ4を螺着させる。この際、係合溝36と係合リブ59との係合によって、外シリンダ50と装着キャップ4とが互いに回り止めされているので、中間ユニットの全体を容器軸O回りに回転させながら装着キャップ4を螺着することができる。
従って、吐出容器1を効率良く組み立てることが可能である。
【0072】
(吐出容器の作用)
次に、上述のように構成された吐出容器1を使用する場合について説明する。
図1図3に示すように、押下ヘッド9を押下げ操作する前の待機状態では、外ピストン70がシリンダ壁51の空気孔51aを閉塞した位置に待機していると共に、ステム40のフランジ部43が外ピストン70における挿通筒71の下端に下方から接触している。さらに、弁室95内のボール弁96が弁座57に着座していると共に、ステム40内のボール弁45が弁座44に着座している。さらには、弁部材100における上部弁体101が内ピストン80の弁座82に着座している。
【0073】
なお、吐出容器1を使用するにあたって、所定のプライミング操作等によって、外シリンダ50内に第1内容物W1が収容され、且つ内シリンダ60内に第2内容物W2が収容されているものとして説明する。
【0074】
第1内容物W1及び第2内容物W2を吐出する場合には、装着キャップ4からキャップ体130を取り外した後、図4に示すように押下ヘッド9を押下げ操作する。これにより、押下ヘッド9の押下げに伴ってステム40を下方移動させることができるので、ステム40の下方移動に連係してコイルばね105を圧縮変形させながら内ピストン80を下方移動させることができる。
【0075】
なお、押下ヘッド9の押下げ操作の初期段階では、弾性片125が径方向の外側に向けて撓むように弾性変形するので、外ピストン70を初期位置に位置させたまま、外ピストン70に対してステム40を相対的に下方移動させることができる。これにより、ピストンのフランジ部43を外ピストン70の挿通筒71の下端から下方に離間させることができる。これにより、連通路75及び中間通路124を通じて、第1吐出通路116内と外シリンダ50内とを連通させることができる。
【0076】
そして弾性片125は、フランジ部43が挿通筒71の下端から離間した後、それ以上の弾性変形が抑制される。これにより、それ以降、押下ヘッド9の下方移動に伴って弾性片125を介して外ピストン70を下方に押下げることができるので、第1吐出通路116内と外シリンダ50内とを連通させた状態を維持しながら、押下ヘッド9及びステム40と共に外ピストン70を下方移動させることができる。
従って、これ以降、押下ヘッド9及びステム40の下方移動に連係して、外ピストン70及び内ピストン80を下方移動させることができる。
【0077】
図5に示すように、外ピストン70が下方移動することで、外シリンダ50の内圧を高めることができるので、弁室95内のボール弁96を弁座57に押し付けることができ、外シリンダ50内と外容器2内との連通を遮断することができる。これにより、外シリンダ50内の第1内容物W1が外容器2側に逆流することを防止しながら、図5に示す矢印F1の如く、第1内容物W1を第1吐出通路116内に供給することができる。これにより、第1吐出通路116を通じて、第1内容物W1を第1ノズル孔6に向けて供給することができ、第1ノズル孔6を通じて外部に吐出することができる。
【0078】
また、内ピストン80が下方移動することで、内ピストン80の弁座82が弁部材100の上部弁体101から相対的に下方に離反するので、内シリンダ60内とステム40内とが連通する。これにより、内ピストン80の下方移動に伴って、内シリンダ60内の内圧を高めることができるので、内シリンダ60内の第2内容物W2をステム40内に供給することができると共に、さらにボール弁45を弁座44から上方に離反させながら、図5に示す矢印F2の如く、第2吐出通路117内に供給することができる。これにより、第2吐出通路117を通じて、第2内容物W2を第2ノズル孔7に向けて供給することができ、第2ノズル孔7を通じて外部に吐出することができる。
【0079】
その結果、1回の押下げ操作で第1内容物W1及び第2内容物W2を、互いに独立した吐出経路(第1吐出通路116、第2吐出通路117)を経由させて同時に効率良く吐出させることができると共に、例えば第1内容物W1及び第2内容物W2を吐出中或いは吐出後に簡単に混合させるといったことも可能である。
【0080】
第1内容物W1及び第2内容物W2の吐出後、押下ヘッド9の押下げを解除すると、コイルばね105の弾性復元力により押下ヘッド9、ステム40、外ピストン70及び内ピストン80を上方移動させることができ、これらを元の状態に復帰させることができる。
詳細には、コイルばね105の弾性復元力によって内ピストン80と共にステム40が上方移動する。これにより、ステム40のフランジ部43が外ピストン70における挿通筒71の下端に下方から接触するので、第1吐出通路116内と外シリンダ50内との連通を遮断することができる。また、これ以降、内ピストン80の上方移動に伴って外ピストン70を上方移動させることができる。従って、コイルばね105の弾性復元力によって、内ピストン80及びステム40と共に外ピストン70を上方移動させることができ、押下ヘッド9、ステム40、内ピストン80及び外ピストン70を図2等に示すように元の状態に復帰させることができる。
【0081】
なお、内ピストン80が上方移動する過程で、弁座82が弁部材100の上部弁体101に接触し、内シリンダ60内とステム40内との連通を遮断すると共に、弁部材100を上方移動させる。これにより、弁部材100の下部弁体102が内シリンダ60の縮径部62から上方に離反して、内シリンダ60の下端開口部61を開放する。これにより、内シリンダ60内と内容器3内とを連通させることができる。
さらに、ボール弁45が弁座44に着座した状態で内ピストン80が上方移動することで、内シリンダ60内が負圧になるので、内容器3内の第2内容物W2を内シリンダ60内に吸い上げることができ、次の吐出に備えることができる。
【0082】
なお、内容器3内から第2内容物W2が内シリンダ60内に吸い上げられることで、内容器3内が負圧になるので、内容器3内を中皿20が上昇移動する。これにより、内容器3は第2内容物W2の減少に伴って内容積が次第に減容する。
【0083】
一方、外ピストン70が上方移動する過程で、外シリンダ50内が負圧になるので、液室内のボール弁96を弁座57から上方に離反させることができ、吸上げパイプ90を通じて外容器2内と外シリンダ50内とを連通させることができる。これにより、吸上げパイプ90を通じて、外容器2内から外シリンダ50内に第1内容物W1を吸い上げることができ、次の吐出に備えることができる。
特に、ステム40のフランジ部43が外容器2の挿通筒71の下端に下方から当接することで、第1吐出通路116内と外シリンダ50内との連通を適切に遮断できるので、外シリンダ50内を確実に負圧化させることができる。そのため、外シリンダ50内に第1内容物W1を確実に吸い上げることができる。
【0084】
なお、外ピストン70が下方移動した際、外シリンダ50のシリンダ壁51に形成された空気孔51aが開口することで、空気通路114及び空気孔51aを通じて外シリンダ50内と外部とを連通させることができる(図5参照)。従って、外容器2内の空気置換を行うことができるので、第1内容物W1が外シリンダ50内から吸い上げられた際に、外容器2内が負圧になることを防止することができる。
【0085】
以上説明したように、本実施形態の吐出容器1によれば、1回の押下げ操作で第1内容物W1及び第2内容物W2を同時に効率良く吐出させることができると共に、例えば第1内容物W1及び第2内容物W2を吐出中或いは吐出後に簡単に混合させるといった使い方を行える。
【0086】
特に、吐出容器1は、複数のポンプ部を具備する従来のものとは異なり、1つのポンプ部5で構成されているので、吐出容器1全体のサイズの小型化を図ることができるうえ、外形形状の制約を受け難く、デザイン性の向上化を図ることができる。さらに、1つのポンプ部5で構成することができるので、複数のポンプ部を具備する場合に比べて部品点数を削減でき、低コスト化に繋げることができる。
【0087】
さらに、1回の押下ヘッド9の押下げ操作によって、共通のステム40の下方移動に連係して外ピストン70及び内ピストン80を下方移動させることができるので、押下ヘッド9に対する押下力の加え方等に影響されることなく、第1内容物W1及び第2内容物W2を安定して吐出させることができる。
【0088】
以上のことから、本実施形態の吐出容器1によれば、小型化及びデザイン性の向上化を図ることができると共に部品点数を削減でき、且つ安定した吐出を行うことができる。
【0089】
さらに、押下ヘッド9の押下げの解除時、ステム40に作用する上方付勢力を利用して、ステム40のフランジ部43が外ピストン70の挿通筒71の下端に対して例えば密に当接しない場合であっても、押下ヘッド9に形成された弾性片125を利用して、外ピストン70を下方に付勢することができる。従って、挿通筒71の下端をフランジ部43に対して上方から押し付けることができる。そのため、フランジ部43と挿通筒71の下端とを互いに密に当接させることができ、第1吐出通路116内と外シリンダ50内との連通をより確実に遮断することができる。
【0090】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形例には、例えば当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものなどが含まれる。
【0091】
例えば、上記実施形態では、中皿20を具備する内容器3を例に挙げて説明したが、中皿20は必須なものではなく、具備しなくても構わない。
例えば、内容器3を、第2内容物W2の減少に伴って減容変形(しぼみ変形)する可撓性に富む内層と、内層が内装される外層とを有し、外層の内面に内層が剥離可能に積層されたデラミボトル(積層剥離型容器)としても構わない。このように、内容器3をデラミボトルとした場合であっても、第2内容物W2の減少に伴って内容器3が減容するので、上記実施形態と同様の作用効果を奏功することが可能である。
【0092】
さらには、内容器3を薄肉形成(いわゆるパウチ容器等)することで、第2内容物W2の減少に伴って変形するように構成しても構わない。この場合であっても同様の作用効果を奏功することができる。
さらには、内容器3内に外気を導入する外気導入路を設けても構わない。この場合には、内容器3を減容可能に構成する必要がなく、内容器3としての選択自由度を向上することができる。
【0093】
さらに、押下筒123の下端部形成した弾性片125を利用して、外ピストン70を下方に付勢する構成としたが、外ピストン70を下方に付勢することができれば良く、弾性片125に限定されるものではない。例えば、押下部材120のフランジ部122と外ピストン70の連結壁72との間にコイルばねを設け、コイルばねの弾性復元力を利用して外ピストン70を下方に付勢する構成としても構わない。
【符号の説明】
【0094】
1…吐出容器
2…外容器
3…内容器
5…ポンプ部
6…第1ノズル孔
7…第2ノズル孔
9…押下ヘッド
20…中皿
40…ステム
43…フランジ部(当接部)
50…外シリンダ
60…内シリンダ
70…外ピストン
71…挿通筒
75…連通路
80…内ピストン
116…第1吐出通路
117…第2吐出通路
120…押下部材
125…弾性片(付勢部材)
図1
図2
図3
図4
図5