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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-07
(45)【発行日】2024-03-15
(54)【発明の名称】無人作業機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/20 20060101AFI20240308BHJP
【FI】
E02F9/20 N
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020130331
(22)【出願日】2020-07-31
(65)【公開番号】P2022026732
(43)【公開日】2022-02-10
【審査請求日】2022-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 自由理
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 哲平
(72)【発明者】
【氏名】井村 進也
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-060032(JP,A)
【文献】国際公開第2013/065415(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/026506(WO,A1)
【文献】特開2012-022611(JP,A)
【文献】国際公開第2015/025369(WO,A1)
【文献】特開2019-065660(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有人作業機械と連携して自律的に作業可能な無人作業機械であって、
前記有人作業機械に搭乗した操作者の操作により前記有人作業機械から発信された、前記有人作業機械によって所定の作業が完了したことを示す通知、又は前記無人作業機械への動作指示に関する通知を受信する受信装置と、
前記受信装置により受信された前記通知に基づいて、前記無人作業機械の動作を制御する制御装置と、を備える
ことを特徴とする無人作業機械。
【請求項2】
前記無人作業機械によって所定の作業が完了したことを示す通知を、前記操作者が認識可能な形態にて発信する発信装置を更に備える
ことを特徴とする請求項1に記載の無人作業機械。
【請求項3】
前記無人作業機械は、掘削物の掘削作業及び前記掘削物の積み込み作業を実行する掘削機械であり、
前記有人作業機械は、前記積み込み作業により積み込まれた前記掘削物の運搬作業を実行する運搬機械であり、
前記受信装置は、前記有人作業機械の所定位置での停車が完了したことを示す停車完了通知を受信し、
前記制御装置は、前記受信装置により受信された前記停車完了通知に基づいて、前記積み込み作業を開始させる
ことを特徴とする請求項1に記載の無人作業機械。
【請求項4】
前記無人作業機械は、掘削物の掘削作業及び前記掘削物の積み込み作業を実行する掘削機械であり、
前記有人作業機械は、前記積み込み作業により積み込まれた前記掘削物の運搬作業を実行する運搬機械であり、
前記発信装置は、前記積み込み作業が完了したことを示す作業完了通知を発信する
ことを特徴とする請求項2に記載の無人作業機械。
【請求項5】
前記有人作業機械は、掘削物の掘削作業及び前記掘削物の積み込み作業を実行する掘削機械であり、
前記無人作業機械は、前記積み込み作業により積み込まれた前記掘削物の運搬作業を実行する運搬機械であり、
前記受信装置は、前記有人作業機械の前記積み込み作業が完了したことを示す作業完了通知を受信し、
前記制御装置は、前記受信装置により受信された前記作業完了通知に基づいて、前記運搬作業を開始させる
ことを特徴とする請求項1に記載の無人作業機械。
【請求項6】
前記有人作業機械は、掘削物の掘削作業及び前記掘削物の積み込み作業を実行する掘削機械であり、
前記無人作業機械は、前記積み込み作業により積み込まれた前記掘削物の運搬作業を実行する運搬機械であり、
前記受信装置は、前記無人作業機械に対して所定位置での停車を教示する停車位置教示通知を受信し、
前記制御装置は、前記受信装置により受信された前記停車位置教示通知に基づいて、前記無人作業機械を前記所定位置にて停車させ、
前記発信装置は、前記無人作業機械の前記所定位置での停車が完了したことを示す停車完了通知を発信する
ことを特徴とする請求項2に記載の無人作業機械。
【請求項7】
前記有人作業機械は、前記有人作業機械からの前記通知として警笛音を発信し、
前記受信装置は、前記警笛音を収集する集音装置によって構成され、
前記制御装置は、
前記集音装置により収集された前記警笛音のパターンを認識する認識部と、
前記認識部の認識結果に基づいて、前記有人作業機械から発信された前記通知の内容を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づいて、前記無人作業機械の作業の実行を制御する作業実行部と、を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の無人作業機械。
【請求項8】
周辺の画像を取得する撮像装置を更に備え、
前記認識部は、前記集音装置により収集された前記警笛音と、前記撮像装置により取得された前記画像とに基づいて、前記警笛音の発信源である前記有人作業機械を特定する
ことを特徴とする請求項7に記載の無人作業機械。
【請求項9】
前記発信装置は、前記無人作業機械からの前記通知として警笛音を発信する警笛装置によって構成され、
前記制御装置は、前記警笛装置により発信される前記警笛音のパターンと、前記認識部により認識される前記警笛音のパターンとを、予め定められた複数のパターンの中から選択して設定するパターン設定部を有する
ことを特徴とする請求項7に記載の無人作業機械。
【請求項10】
前記受信装置は、前記無人作業機械に対して作業の緊急停止を指示する緊急停止通知を受信し、
前記制御装置は、前記受信装置により受信された前記緊急停止通知に基づいて、前記無人作業機械の前記作業を緊急停止させる
ことを特徴とする請求項3に記載の無人作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、油圧ショベル等の作業機械において、操作者が搭乗せずに作業可能な無人作業機械の開発が進められている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1には、無人掘削用のシステム、特に無人掘削機械によって掘削及び積み込みの作業を実施するためのシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-136549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
実際の掘削作業及び積み込み作業の作業現場では、油圧ショベル等の掘削機械と、ダンプトラック等の運搬機械とが連携して、掘削作業及び積み込み作業が行われる。特に、掘削物を積み込み可能な所定位置に向かって運搬機械が進入する場合や、掘削機械の積み込み作業後に運搬機械が当該所定位置から退出する場合には、掘削機械と運搬機械との連携が不可欠である。掘削機械と作業機械との連携がない場合、運搬機械が適切な位置に停車できない状況や、運搬機械が最適なタイミングにおいて運搬作業を開始できない状況が発生してしまう。
【0006】
特許文献1では、掘削作業及び積み込み作業を行う掘削機械がその周辺環境情報に基づいて当該作業を計画し自律的に実行することについて言及されているが、掘削物が積み込まれる運搬機械との連携については言及されていない。特に、特許文献1では、掘削機械と運搬機械との一方が有人作業機械であり他方が無人作業機械である場合について何ら想定されていない。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、有人作業機械と確実に連携できて作業を円滑に実行可能な無人作業機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の無人作業機械は、有人作業機械と連携して自律的に作業可能な無人作業機械であって、前記有人作業機械に搭乗した操作者の操作により前記有人作業機械から発信された、前記有人作業機械の動作状態又は前記無人作業機械への動作指示に関する通知を受信する受信装置と、前記受信装置により受信された前記通知に基づいて、前記無人作業機械の動作を制御する制御装置と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の無人作業機械は、有人作業機械と確実に連携することができ、作業を円滑に実行することができる。
上記以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態1の無人作業機械である掘削機械の構成を示す側面図。
図2】無人作業機械である掘削機械及び有人作業機械である運搬機械の作業現場を示す図。
図3図2に示す掘削機械及び運搬機械の連携作業を説明する図。
図4図2に示す掘削機械及び運搬機械の機能的構成を示す図。
図5図4に示す掘削機械及び運搬機械の連携作業において、掘削機械によって行われる処理の流れを示すフローチャート。
図6図4に示す掘削機械及び運搬機械の連携作業におけるタイムチャート。
図7】実施形態2の有人作業機械である掘削機械及び無人作業機械である運搬機械の機能的構成を示す図。
図8図7に示す掘削機械及び運搬機械の連携作業において、運搬機械によって行われる処理の流れを示すフローチャート。
図9図7に示す掘削機械及び運搬機械の連携作業におけるタイムチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、各実施形態において同一の符号を付された構成は、特に言及しない限り、各実施形態において同様の機能を有するので、その説明を省略する。
【0012】
[実施形態1]
図1は、実施形態1の無人作業機械である掘削機械100の構成を示す側面図である。
【0013】
本実施形態の掘削機械100は、操作者が搭乗せずに自律的に作業可能な無人作業機械である。掘削機械100は、掘削物の掘削作業、及び、掘削物の積み込み作業を実行する無人作業機械である。掘削機械100は、例えば、油圧ショベル等によって構成される。
【0014】
掘削機械100は、クローラ式の走行装置8を備えた下部走行体101と、下部走行体101上に旋回装置7を介して旋回可能に取り付けられた上部旋回体102とを備える。更に、掘削機械100は、上部旋回体102の前部に上下方向に回動可能に取り付けられたフロント作業装置103と、上部旋回体102上に取り付けられたキャブ104とを備える。但し、キャブ104は、本実施形態の掘削機械100においては必須ではない。
【0015】
フロント作業装置103は、上部旋回体102の前部に上下方向に回動可能に取り付けられたブーム2と、ブーム2の先端部に上下方向又は前後方向に回動可能に連結されたアーム4とを備える。更に、フロント作業装置103は、アーム4の先端部に上下方向又は前後方向に回動可能に連結されたバケット6と、ブーム2を駆動するブームシリンダ1と、アーム4を駆動するアームシリンダ3と、バケット6を駆動するバケットシリンダ5とを備える。
【0016】
図1に示す掘削機械100は、バックホウショベルであり、アームシリンダ3又はバケットシリンダ5を伸長させることにより、バケット6が後方に引き戻されるように構成されている。
【0017】
図2は、無人作業機械である掘削機械100及び有人作業機械である運搬機械200の作業現場を示す図である。図3は、図2に示す掘削機械100及び運搬機械200の連携作業を説明する図である。
【0018】
掘削機械100は、運搬機械200と連携して作業を行う。図2に示すように、掘削機械100は、掘削面300の上部に停車し、掘削面300から土砂を掘削する。掘削機械100は、土砂等の掘削物を、掘削面300の下部に停車した運搬機械200に積み込む。本実施形態の運搬機械200は、操作者が搭乗して作業を実行する有人作業機械である。運搬機械200は、掘削機械100の積み込み作業によって積み込まれた掘削物の運搬作業を実行する有人作業機械である。運搬機械200は、例えば、ダンプトラック等により構成される。
【0019】
図3の上段は、掘削機械100の積み込み作業により掘削物を積み込み可能な運搬機械200の停車位置である所定位置に向かって運搬機械200が進入する様子を示している。図3の下段は、当該所定位置から運搬機械200が退出する様子を示している。本実施形態の運搬機械200は、後進走行によって当該所定位置に向かって進入し、前進走行によって当該所定位置から退出する。これに限定されず、運搬機械200は、前進走行によって当該所定位置に向かって進入し、後進走行によって当該所定位置から退出してもよい。
【0020】
図4は、図2に示す掘削機械100及び運搬機械200の機能的構成を示す図である。
【0021】
運搬機械200は、運搬機械200の動作状態、又は、掘削機械100への動作指示に関する通知を発信する。例えば、運搬機械200から発信される通知としては、停車完了通知や緊急停止通知が挙げられる。停車完了通知は、運搬機械200の動作状態に関する通知であり、運搬機械200の上記所定位置での停車が完了したことを示す通知である。緊急停止通知は、掘削機械100への動作指示に関する通知であり、掘削機械100に対して作業の緊急停止を指示する通知である。運搬機械200は、当該通知として、運搬機械200に予め備えられた警笛装置43から警笛音を発信する。警笛音は、運搬機械200に搭乗した操作者が警笛装置43を操作することによって発信される。
【0022】
掘削機械100は、周辺の音を収集する集音装置31a,31bと、周辺の画像を取得する撮像装置32と、警笛音を発信する警笛装置33と、掘削機械100の動作を制御する制御装置10とを備える。
【0023】
集音装置31a,31bは、運搬機械200に搭乗した操作者の操作により運搬機械200から発信された上記の通知を示す警笛音を受信する受信装置を構成する。集音装置31a,31bは、収集された音の信号を制御装置10へ送信する。特に、集音装置31a,31bは、運搬機械200から発信された上記通知としての警笛音を収集し、収集された警笛音を示す信号を制御装置10へ送信する。撮像装置32は、取得された画像の信号を、制御装置10へ送信する。
【0024】
警笛装置33は、掘削機械100の動作状態に関する通知を、運搬機械200に搭乗した操作者が認識可能な形態にて発信する発信装置を構成する。例えば、掘削機械100の動作状態に関する通知として、作業完了通知が挙げられる。作業完了通知は、掘削物の積み込み作業が完了したことを示す通知である。操作者が認識可能な形態とは、操作者の五感を通じて操作者が認識できる通知形態であり、本実施形態では、音の形態が採用されている。警笛装置33は、制御装置10によって生成されたパターンに応じて、当該通知を示す警笛音を発信する。なお、警笛装置33は、運搬機械200の動作状態に関する通知を示す警笛音を発信してもよい。
【0025】
制御装置10は、受信装置を構成する集音装置31a,31bにより収集された上記の通知を示す警笛音に基づいて、無人作業機械である掘削機械100の動作を制御する。例えば、制御装置10は、停車完了通知に基づいて、フロント作業装置103等の動作を制御し、掘削物の掘削作業及び積み込み作業を実行させる。
【0026】
制御装置10は、認識部11と、検出部14と、作業実行部16と、発信制御部17と、パターン生成部18と、パターン設定部19とを有する。
【0027】
認識部11は、集音装置31a,31bにより収集された警笛音のパターンを認識する。認識部11は、集音装置31a,31bにより収集された音の中から警笛音のパターンを識別するパターン識別部12と、パターン識別部12により識別された警笛音の発信源を特定する発信源特定部13とを有する。パターン識別部12は、集音装置31a,31bにより収集された音の信号波形の中から、予め定められた警笛音の信号波形を抽出することによって、警笛音のパターンを識別する。発信源特定部13は、集音装置31aにより収集された音の信号波形と、集音装置31bにより収集された音の信号波形との差分に基づいて警笛音の発信源の位置座標を演算する。発信源特定部13は、警笛音の発信源の位置座標と、撮像装置32により取得された画像とを比較することによって、警笛音の発信源の有人作業機械である運搬機械200を特定する。これにより、掘削機械100は、掘削機械100の周辺に運搬機械200が多数存在していても、警笛音の発信源の運搬機械200を確実に特定することができる。掘削機械100は、上記の所定位置に停車している運搬機械200が警笛音の発信源の運搬機械200であるのか否かを確実に把握することができる。掘削機械100は、運搬機械200が多数存在する作業現場であっても、対象の運搬機械200とより確実に連携することができる。但し、発信源特定部13は、演算された警笛音の発信源の位置座標だけから、警笛音の発信源である運搬機械200を特定することも可能である。特に、掘削機械100の周辺に運搬機械200が1台だけ存在する場合、警笛音の発信源の位置座標と、撮像装置32により取得された画像とを比較する必要はない。
【0028】
認識部11は、認識結果を検出部14に送信する。認識結果は、集音装置31a,31bにより収集された警笛音のパターンと、警笛音の発信源である運搬機械200の情報とを含む。認識部11は、警笛音の発信源である運搬機械200の情報を、作業実行部16へ送信する。
【0029】
検出部14は、認識部11の認識結果に基づいて、有人作業機械である運搬機械200から発信される通知の内容を検出する。検出部14は、警笛音のパターンと通知内容との対応関係を示すテーブルを有する。検出部14は、認識部11から送信された警笛音のパターンに対応する通知内容を当該テーブルから特定することによって、運搬機械200から発信された通知内容を検出する。検出部14は、検出された通知内容が作業実行部16による作業を伴う場合には、検出結果を作業実行部16へ送信し、検出された通知内容が作業実行部16による作業を伴わない場合には、検出結果を発信制御部17へ送信する。なお、検出部14は、警笛音のパターンと通知内容との対応関係を、設定部15によって設定変更することができる。これにより、掘削機械100は、警笛音のパターンと通知内容との対応関係が作業現場毎に異なっていても、設定部15によって容易に設定変更することができるので、様々な作業現場において運搬機械200と確実且つ柔軟に連携することができる。
【0030】
作業実行部16は、検出部14の検出結果に基づいて無人作業機械である掘削機械100の作業の実行を制御する。作業実行部16は、検出部14により検出された通知内容に応じてフロント作業装置103等の動作を制御することによって、掘削機械100の各種作業の実行を制御する。例えば、作業実行部16は、検出部14により検出された通知内容が、上記の停車完了通知である場合、掘削物の掘削作業及び積み込み作業を開始させる。作業実行部16は、検出部14により検出された通知内容が、上記の緊急停止通知である場合、作業を緊急停止させる。また、作業実行部16は、積み込み作業を完了すると、その旨を発信制御部17へ送信する。
【0031】
発信制御部17は、警笛音の発信を制御する。発信制御部17は、検出部14の検出結果や作業実行部16による作業の進捗から、掘削機械100から発信する通知の内容と発信のタイミングを決定する。発信制御部17は、発信する通知の内容及び発信のタイミングを指示する制御信号をパターン生成部18へ送信する。例えば、発信制御部17は、作業実行部16が積み込み作業を完了すると、上記の作業完了通知を直ちに発信するよう指示する制御信号をパターン生成部18へ送信する。
【0032】
パターン生成部18は、発信制御部17から送信された制御信号に基づいて、警笛装置33から発信される警笛音のパターンを生成する。警笛音のパターンは、発信する通知の内容毎に予め設定されている。警笛音のパターンは、信号波形の振幅や周波数を適宜設定することによって、音程や発音時間や発音回数の異なる複数のパターンが生成される。パターン生成部18は、上記の作業完了通知を発信する場合、作業完了通知を示す警笛音のパターンとして予め設定されたパターンを生成する。パターン生成部18は、生成された警笛音のパターンに応じた警笛装置33の駆動信号を警笛装置33に送信する。
【0033】
パターン設定部19は、パターン生成部18により生成される警笛音のパターンと、認識部11により認識される警笛音のパターンとを、予め定められた複数の警笛音のパターンの中から選択し、パターン生成部18及び認識部11に設定する。パターン設定部19は、パターン生成部18により生成される警笛音のパターンの種類及びパターン数と、認識部11により認識される警笛音のパターンの種類及びパターン数を、予め定められた範囲内で自由に設定変更することができる。これにより、掘削機械100は、複数の警笛音のパターンを使い分けることによって、様々な内容の通知を発信及び受信することができる。掘削機械100は、掘削機械100や運搬機械200の様々な動作状態を互いに伝達し合うことができるので、様々な作業現場において運搬機械200とより確実且つ強固に連携することができる。
【0034】
図5は、図4に示す掘削機械100及び運搬機械200の連携作業において、掘削機械100によって行われる処理の流れを示すフローチャートである。
【0035】
ステップS1において、掘削機械100は、掘削作業及び積み込み作業の準備を行い、作業可能な状態で待機する。
【0036】
ステップS2において、掘削機械100は、運搬機械200から発信される停車完了通知を受信したか否かを判定する。掘削機械100は、停車完了通知を受信していない場合、ステップS1へ移行する。掘削機械100は、停車完了通知を受信した場合、ステップS3へ移行する。
【0037】
ステップS3において、掘削機械100は、掘削物の掘削作業及び積み込み作業を開始する。なお、掘削機械100は、停車完了通知に基づいて、少なくとも積み込み作業を開始すればよい。掘削機械100は、掘削作業自体は、停車完了通知より前に開始してもよい。
【0038】
ステップS4において、掘削機械100は、緊急停止通知を受信したか否かを判定する。掘削機械100は、緊急停止通知を受信していない場合、ステップS6へ移行する。掘削機械100は、緊急停止通知を受信した場合、異常な動作状態と判定し、ステップS5へ移行する。
【0039】
ステップS5において、掘削機械100は、受信された緊急停止通知に基づいて、掘削機械100の作業を緊急停止させる。緊急停止通知は、運搬機械200に搭乗した操作者の操作ミスによって発信された可能性が有る。この可能性に対応するため、掘削機械100は、ステップS4の後に所定時間経過しても警笛音が運搬機械200から発信されなかった場合、ステップS6へ移行してもよい。
【0040】
ステップS6において、掘削機械100は、積み込み作業が完了したか否かを判定する。掘削機械100は、撮像装置32によって取得された運搬機械200の積載量の画像に対して画像認識を行うことによって、積み込み作業が完了したか否かを判定することができる。例えば、掘削機械100は、運搬機械200の積載量が最大積載量であれば、積み込み作業が完了したと判定し、運搬機械200の積載量が最大積載量でなければ、積み込み作業が完了していないと判定してもよい。掘削機械100は、積み込み作業が完了していない場合、ステップS3へ移行する。掘削機械100は、積み込み作業が完了した場合、ステップS7へ移行する。
【0041】
ステップS7において、掘削機械100は、作業完了通知を発信する。その後、掘削機械100は、ステップS1へ移行する。
【0042】
図6は、図4に示す掘削機械100及び運搬機械200の連携作業におけるタイムチャートである。
【0043】
時刻t0において、運搬機械200は、作業現場へ入場し、掘削物を積み込み可能な運搬機械200の停車位置である上記の所定位置に向かって進入する。運搬機械200は、上記の所定位置での停車が完了するまで(時刻t1)、進入動作を継続する。時刻t0において、掘削機械100は、掘削作業及び積み込み作業の準備を行い、運搬機械200からの停車完了通知を受信するまで(時刻t2)待機する。
【0044】
時刻t1において、運搬機械200は、上記の所定位置での停車が完了する。運搬機械200は、停車完了通知を発信するべく、運搬機械200の発信装置である警笛装置43を駆動する。その後、運搬機械200は、上記の所定位置からの退出の準備を行い、掘削機械100からの作業完了通知を受信するまで(時刻t4)待機する。
【0045】
時刻t2において、掘削機械100は、運搬機械200からの停車完了通知を受信する。掘削機械100は、掘削物の掘削作業及び積み込み作業を開始する。掘削機械100は、積み込み作業が完了するまで(時刻t3)、掘削作業及び積み込み作業を継続する。
【0046】
時刻t3において、掘削機械100は、積み込み作業が完了する。掘削機械100は、作業完了通知を発信するべく、掘削機械100の発信装置である警笛装置33を駆動する。その後、掘削機械100は、新たな運搬機械200が上記の所定位置に停車して発信した停車完了通知を受信するまで待機する。
【0047】
時刻t4において、運搬機械200は、掘削機械100からの作業完了通知を受信する。運搬機械200は、上記の所定位置からの退出を開始して、作業現場から退場する。すなわち、運搬機械200は、運搬作業を開始する。運搬機械200は、上記の所定位置からの退出が完了するまで(時刻t5)、退出動作を継続する。
【0048】
以上のように、実施形態1の掘削機械100は、有人作業機械である運搬機械200と連携して自律的に作業可能な無人作業機械である。実施形態1の掘削機械100は、運搬機械200に搭乗した操作者の操作により運搬機械200から発信された、掘削機械100の動作状態又は運搬機械200への動作指示に関する通知を受信する受信装置を備える。実施形態1の掘削機械100は、受信された上記の通知に基づいて、掘削機械100の動作を制御する制御装置10を備える。
【0049】
これにより、実施形態1の掘削機械100は、運搬機械200に搭乗した操作者によって把握された運搬機械200の動作状態や掘削機械100への動作指示を、掘削機械100でも共有することができ、当該動作状態や当該動作指示に対応した適切な動作を実行することができる。よって、実施形態1の掘削機械100は、無人作業機械であっても、有人作業機械である運搬機械200と確実に連携することができ、作業を円滑に実行することができる。
【0050】
更に、実施形態1の掘削機械100は、掘削機械100の動作状態に関する通知を、運搬機械200に搭乗した操作者が認識可能な形態にて発信する発信装置を備える。
【0051】
これにより、実施形態1の掘削機械100は、掘削機械100が把握する掘削機械100の動作状態を、運搬機械200と共有することができ、当該動作状態に対応した適切な動作を、運搬機械200に搭乗した操作者に促すことができる。よって、実施形態1の掘削機械100は、有人作業機械である運搬機械200と確実に連携することができ、作業を円滑に実行することができる。
【0052】
更に、実施形態1の掘削機械100は、運搬機械200の上記の所定位置での停車が完了したことを示す停車完了通知を受信し、受信された停車完了通知に基づいて、積み込み作業を開始する。
【0053】
これにより、実施形態1の掘削機械100は、運搬機械200の上記の所定位置での停車が完了する前に、積み込み作業を実行することを抑制することができる。よって、実施形態1の掘削機械100は、有人作業機械である運搬機械200と確実に連携することができ、作業を円滑に実行することができる。
【0054】
更に、実施形態1の掘削機械100は、積み込み作業が完了したことを示す作業完了通知を発信する。
【0055】
これにより、実施形態1の掘削機械100は、掘削機械100の積み込み作業が完了する前に、運搬機械200によって退出動作が実行されることを抑制することができる。よって、実施形態1の掘削機械100は、有人作業機械である運搬機械200と確実に連携することができ、作業を円滑に実行することができる。
【0056】
更に、実施形態1の運搬機械200は、運搬機械200からの通知として警笛音を発信する。実施形態1の掘削機械100は、受信装置が、警笛音を収集する集音装置31a,31bによって構成される。実施形態1の掘削機械100では、制御装置10が、集音装置31a,31bにより収集された警笛音のパターンを認識する認識部11と、認識部11の認識結果に基づいて、運搬機械200から発信された通知の内容を検出する検出部14とを備える。加えて、実施形態1の掘削機械100では、制御装置10が、検出部14の検出結果に基づいて、掘削機械100の作業の実行を制御する作業実行部16を有する。
【0057】
これにより、実施形態1の掘削機械100は、運搬機械200が一般的に備える警笛装置43の警笛音を用いて、運搬機械200との間において情報を伝達し合うことができる。実施形態1の掘削機械100は、有人作業機械である運搬機械200に特別な装置を追加しなくても、運搬機械200との間において情報を伝達し合うことができる。よって、実施形態1の掘削機械100は、有人作業機械である運搬機械200と確実且つ容易に連携することができ、作業を円滑に実行することができる。
【0058】
更に、実施形態1の掘削機械100は、周辺の画像を取得する撮像装置32を更に備える。実施形態1の掘削機械100は、認識部11が、集音装置31a,31bにより収集された警笛音と、撮像装置32により取得された画像とに基づいて、警笛音の発信源である運搬機械200を特定する。
【0059】
これにより、実施形態1の掘削機械100は、掘削機械100の周辺に運搬機械200が多数存在していても、警笛音の発信源の運搬機械200を容易に特定することができる。よって、実施形態1の掘削機械100は、運搬機械200が多数存在する作業現場であっても、対象の運搬機械200とより確実に連携することができ、作業を円滑に実行することができる。
【0060】
更に、実施形態1の掘削機械100は、発信装置が、掘削機械100からの通知として警笛音を発信する警笛装置33によって構成される。実施形態1の掘削機械100は、制御装置10が、警笛装置33により発信される警笛音のパターンと、認識部11により認識される警笛音のパターンとを、予め定められた複数のパターンの中から選択して設定するパターン設定部19を有する。
【0061】
これにより、実施形態1の掘削機械100は、複数の警笛音のパターンを使い分けることによって、運搬機械200との間において、それぞれの動作状態に関する様々な内容の通知を互いに伝達し合うことができる。よって、実施形態1の掘削機械100は、様々な作業現場において運搬機械200とより確実且つ強固に連携することができ、作業を円滑に実行することができる。
【0062】
更に、実施形態1の掘削機械100は、受信装置が、掘削機械100に対して作業の緊急停止を指示する緊急停止通知を受信し、制御装置10が、受信された緊急停止通知に基づいて、掘削機械100の作業を緊急停止させる。
【0063】
これにより、実施形態1の掘削機械100では、運搬機械200に搭乗した操作者が、掘削機械100の異常を発見した場合、掘削機械100の作業を緊急停止させることができる。実施形態1の掘削機械100は、運搬機械200に搭乗した操作者に安心感を与えることができ、当該操作者に対して掘削機械100と運搬機械200との連携を促すことができる。よって、実施形態1の掘削機械100は、有人作業機械である運搬機械200と確実且つ円滑に連携することができ、作業を円滑に実行することができる。
【0064】
なお、実施形態1の掘削機械100及び運搬機械200は、警笛音を用いて、互いの連携を実現していた。掘削機械100及び運搬機械200は、一般的に備えられた警告灯や照明灯の光を用いて互いの連携を実現してもよい。例えば、運搬機械200は、運搬機械200のハザードランプを点滅させることによって、停車完了通知を発信してもよい。掘削機械100は、運搬機械200のハザードランプが点滅する画像を撮像装置32により取得し、当該画像に対して画像認識を行うことによって、運搬機械200の所定位置での停車が完了したことを把握することができる。また、例えば、掘削機械100は、掘削機械100の照明灯を点滅させることによって、作業完了通知を発信してもよい。運搬機械200は、操作者が、掘削機械100の照明灯の点滅を視認することによって、掘削機械100の積み込み作業が完了したことを把握することができる。
【0065】
すなわち、運搬機械200の発信装置は、警笛装置43だけでなく、照明灯や警告灯等の運搬機械200が一般的に備えるランプによって構成されてもよい。掘削機械100の発信装置は、警笛装置33だけなく、照明灯や警告灯等の掘削機械100が一般的に備えるランプによって構成されてもよい。掘削機械100の受信装置は、集音装置31a,31bだけなく、撮像装置32によって構成されてもよい。掘削機械100の制御装置10では、認識部11が、運搬機械200からのランプ光の点滅パターンを認識し、検出部14が、ランプ光の点滅パターンの認識結果に基づいて通知の内容を検出してもよい。パターン生成部18やパターン設定部19についても、警笛音のパターンをランプ光の点滅パターンに置き換えることによって実現可能である。
【0066】
[実施形態2]
図7図9を用いて、実施形態2の無人作業機械について説明する。実施形態2の説明において、実施形態1と同様の構成及び動作については、説明を省略する。
【0067】
図7は、実施形態2の有人作業機械である掘削機械100及び無人作業機械である運搬機械200の機能的構成を示す図である。
【0068】
実施形態1では、掘削機械100が無人作業機械であり、運搬機械200が有人作業機械であった。実施形態2では、運搬機械200が無人作業機械であり、掘削機械100が有人作業機械である。
【0069】
実施形態2の掘削機械100は、掘削機械100の動作状態、又は、運搬機械200への動作指示に関する通知を発信する。例えば、実施形態2の掘削機械100から発信される通知としては、作業完了通知や停車位置教示通知が挙げられる。作業完了通知は、実施形態1と同様である。停車位置教示通知は、運搬機械200への動作指示に関する通知であり、無人作業機械である運搬機械200に対して上記の所定位置での停車を教示する通知である。掘削機械100は、当該通知として、掘削機械100に予め備えられた警笛装置33から警笛音を発信する。警笛音は、掘削機械100に搭乗した操作者が警笛装置33を操作することによって発信される。
【0070】
実施形態2の運搬機械200は、運搬機械200の動作状態に関する通知を発信する。例えば、実施形態2の運搬機械200から発信される通知としては、実施形態1と同様の停車完了通知が挙げられる。運搬機械200は、当該通知として、警笛装置43から警笛音を発信する。
【0071】
実施形態2の運搬機械200は、周辺の音を収集する集音装置41a,41bと、周辺の画像を取得する撮像装置42と、警笛音を発信する警笛装置43と、運搬機械200の動作を制御する制御装置20とを備える。
【0072】
集音装置41a,41bは、掘削機械100に搭乗した操作者の操作により掘削機械100から発信された上記の通知を示す警笛音を受信する受信装置を構成する。集音装置41a,41bは、収集された音の信号を制御装置20へ送信する。集音装置41a,41bの他の構成は、実施形態1の集音装置31a,31bと同様である。
【0073】
警笛装置43は、運搬機械200の動作状態に関する通知を、掘削機械100に搭乗した操作者が認識可能な音の形態にて発信する発信装置を構成する。警笛装置43は、制御装置20によって生成されたパターンに応じて、上記の通知を示す警笛音を発信する。警笛装置43の他の構成は、実施形態1の警笛装置33と同様である。
【0074】
制御装置20は、受信装置を構成する集音装置41a,41bにより収集された上記の通知を示す警笛音に基づいて、無人作業機械である運搬機械200の動作を制御する。例えば、制御装置20は、停車位置教示通知に基づいて、運搬機械200のアクセル装置、ブレーキ装置、ステアリング装置等の動作を制御し、上記の所定位置への進入及び停車動作を実行させる。そして、制御装置20は、警笛装置43を駆動して、停車完了通知を発信させる。また、例えば、制御装置20は、作業完了通知に基づいて、運搬機械200のアクセル装置、ブレーキ装置、ステアリング装置等の動作を制御し、上記の所定位置からの退出動作(運搬作業)を実行させる。
【0075】
制御装置20は、認識部21と、検出部24と、作業実行部26と、発信制御部27と、パターン生成部28と、パターン設定部29とを有する。認識部21、検出部24、作業実行部26、発信制御部27、パターン生成部28及びパターン設定部29は、それぞれ、実施形態1の認識部11、検出部14、作業実行部16、発信制御部17、パターン生成部18及びパターン設定部19と同様である。
【0076】
図8は、図7に示す掘削機械100及び運搬機械200の連携作業において、運搬機械200によって行われる処理の流れを示すフローチャートである。
【0077】
ステップS11において、運搬機械200は、掘削物を積み込み可能な運搬機械200の停車位置である上記の所定位置に向かって進入する。
【0078】
ステップS12において、運搬機械200は、掘削機械100から発信される停車位置教示通知を受信したか否かを判定する。運搬機械200は、停車位置教示通知を受信していない場合、ステップS11へ移行する。運搬機械200は、停車位置教示通知を受信した場合、ステップS13へ移行する。
【0079】
ステップS13において、運搬機械200は、上記の所定位置において停車し、停車完了通知を発信する。
【0080】
ステップS14において、運搬機械200は、上記の所定位置からの退出の準備を行い、掘削物の積み込み作業が完了するまで待機する。
【0081】
ステップS15において、運搬機械200は、掘削機械100から発信される作業完了通知を受信したか否かを判定する。運搬機械200は、作業完了通知を受信していない場合、ステップS14へ移行する。運搬機械200は、作業完了通知を受信した場合、ステップS16へ移行する。
【0082】
ステップS16において、運搬機械200は、上記の所定位置から退出する。すなわち、運搬機械200は、運搬作業を開始する。その後、運搬機械200は、ステップS11へ移行する。
【0083】
図9は、図7に示す掘削機械100及び運搬機械200の連携作業におけるタイムチャートである。
【0084】
時刻t0において、運搬機械200は、作業現場へ入場し、掘削物を積み込み可能な運搬機械200の停車位置である上記の所定位置に向かって進入する。運搬機械200は、掘削機械100からの停車位置教示通知を受信するまで(時刻t12)、進入動作を継続する。時刻t0において、掘削機械100は、掘削作業及び積み込み作業の準備を行い、運搬機械200が上記の所定位置付近に進入するまで(時刻t11)待機する。
【0085】
時刻t11において、運搬機械200は、上記の所定位置付近に進入する。掘削機械100は、停車位置教示通知を発信するべく、掘削機械100の発信装置である警笛装置33を駆動する。その後、掘削機械100は、運搬機械200からの停車完了通知を受信するまで(時刻t13)待機する。
【0086】
時刻t12において、運搬機械200は、上記の所定位置での停車が完了する。運搬機械200は、停車完了通知を発信するべく、運搬機械200の発信装置である警笛装置43を駆動する。その後、運搬機械200は、上記の所定位置からの退出の準備を行い、掘削機械100からの作業完了通知を受信するまで(時刻t15)待機する。
【0087】
時刻t13において、掘削機械100は、運搬機械200からの停車完了通知を受信する。掘削機械100は、掘削物の掘削作業及び積み込み作業を開始する。掘削機械100は、積み込み作業が完了するまで(時刻t14)、掘削作業及び積み込み作業を継続する。
【0088】
時刻t14において、掘削機械100は、積み込み作業が完了する。掘削機械100は、作業完了通知を発信するべく、掘削機械100の発信装置である警笛装置33を駆動する。その後、掘削機械100は、新たな運搬機械200が上記の所定位置付近に進入するまで待機する。
【0089】
時刻t15において、運搬機械200は、掘削機械100からの作業完了通知を受信する。運搬機械200は、上記の所定位置からの退出を開始して、作業現場から退場する。すなわち、運搬機械200は、運搬作業を開始する。運搬機械200は、上記の所定位置からの退出が完了するまで(時刻t16)、退出動作を継続する。
【0090】
以上のように、実施形態2の運搬機械200は、有人作業機械である掘削機械100と連携して自律的に作業可能な無人作業機械である。実施形態2の運搬機械200は、掘削機械100に搭乗した操作者の操作により掘削機械100から発信された、掘削機械100の動作状態又は運搬機械200への動作指示に関する通知を受信する受信装置を備える。実施形態2の運搬機械200は、受信された上記の通知に基づいて、運搬機械200の動作を制御する制御装置20を備える。
【0091】
これにより、実施形態2の運搬機械200は、掘削機械100に搭乗した操作者によって把握された掘削機械100の動作状態や運搬機械200への動作指示を、運搬機械200でも共有することができ、当該動作状態に対応した適切な動作を実行することができる。よって、実施形態2の運搬機械200は、無人作業機械であっても、有人作業機械である掘削機械100と確実に連携することができ、作業を円滑に実行することができる。
【0092】
更に、実施形態2の運搬機械200は、受信装置が、掘削機械100の積み込み作業が完了したことを示す作業完了通知を受信し、制御装置20が、受信された作業完了通知に基づいて、運搬作業を開始させる。
【0093】
これにより、実施形態2の運搬機械200は、掘削機械100の積み込み作業が完了する前に、運搬作業を実行することを抑制することができる。よって、実施形態2の運搬機械200は、有人作業機械である掘削機械100と確実に連携することができ、作業を円滑に実行することができる。
【0094】
更に、実施形態2の運搬機械200は、受信装置が、運搬機械200に対して所定位置での停車を教示する停車位置教示通知を受信し、制御装置20が、受信された停車位置教示通知に基づいて運搬機械200を所定位置にて停車させる。実施形態2の運搬機械200は、発信装置が、運搬機械200の所定位置での停車が完了したことを示す停車完了通知を発信する。
【0095】
これにより、実施形態2の運搬機械200は、上記の所定位置において確実に停車することができると共に、運搬機械200の上記の所定位置での停車が完了する前に、掘削機械100によって積み込み作業が実行されることを抑制することができる。よって、実施形態2の運搬機械200は、有人作業機械である掘削機械100と確実に連携することができ、作業を円滑に実行することができる。
【0096】
上記の実施形態では、有人作業機械及び無人作業機械の一方が掘削機械100であり、他方が運搬機械200である場合について説明した。本発明では、有人作業機械及び無人作業機械の両方が掘削機械100であってもよいし、両方が運搬機械200であってもよい。また、本発明において、有人作業機械及び無人作業機械は、掘削機械100又は運搬機械200以外の作業機械、例えばクレーン等であってもよい。また、上記の実施形態では、無人作業機械は、無人作業機械の自律的判断によって動作を制御していた。本発明では、無人作業機械は、作業現場から離れた遠隔地の操作者の判断によって動作を制御してもよい。
【0097】
[その他]
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記の実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、或る実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、或る実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0098】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路にて設計する等によりハードウェアによって実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアによって実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テープ、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(solid state drive)等の記録装置、又は、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0099】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0100】
10,20・・・制御装置 11,21・・・認識部
14,24・・・検出部 16,26・・・作業実行部
19,29・・・パターン設定部
31a,31b,41a,41b・・・集音装置(受信装置)
32,42・・・撮像装置 33,43・・・警笛装置(発信装置)
100・・・掘削機械(無人作業機械、有人作業機械)
200・・・運搬機械(無人作業機械、有人作業機械)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9