(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-07
(45)【発行日】2024-03-15
(54)【発明の名称】コンパクト容器
(51)【国際特許分類】
A45D 33/00 20060101AFI20240308BHJP
【FI】
A45D33/00 630Z
(21)【出願番号】P 2020146077
(22)【出願日】2020-08-31
【審査請求日】2023-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】宮入 圭介
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-164325(JP,A)
【文献】実開昭48-019863(JP,U)
【文献】実開昭59-010705(JP,U)
【文献】実開昭62-039613(JP,U)
【文献】実開平04-135438(JP,U)
【文献】韓国登録特許第10-0934491(KR,B1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0042309(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容する収容凹部を有する容器本体と、
前記収容凹部を開放可能に閉塞する蓋体と、
前記容器本体と前記蓋体とを回動可能に係合させる一対の係合軸部と、
前記一対の係合軸部の間を連結する係合軸連結部と、を備え、
前記係合軸連結部は、前記容器本体及び前記蓋体から前記一対の係合軸部を離脱させる屈曲変形が可能であ
り、
前記係合軸連結部は、前記屈曲変形の起点となる薄肉部と、前記薄肉部の背面に形成された窪みと、を有し、
前記蓋体は、前記窪みと対向する対向壁を有し、
前記対向壁には、前記窪みに対し左右方向内側から接触し、前記一対の係合軸部の左右方向の位置を固定する一対の縦リブが形成されている、ことを特徴とするコンパクト容器。
【請求項2】
前記蓋体は、前記係合軸連結部の屈曲変形を規制する突起部を有する、ことを特徴とする請求項1に記載のコンパクト容器。
【請求項3】
前記突起部の前記係合軸連結部と対向する面は、傾斜面となっている、ことを特徴とする請求項2に記載のコンパクト容器。
【請求項4】
前記蓋体は、前記係合軸連結部を挟んで前記突起部と対向する
前記対向壁を有し、
前記対向壁と前記係合軸連結部との間には、スリットが形成されている、ことを特徴とする請求項2または3に記載のコンパクト容器。
【請求項5】
前記蓋体には、鏡部材が設けられ、
前記係合軸連結部は、前記鏡部材を前記蓋体に固定している、ことを特徴とする
請求項1~4のいずれか一項に記載のコンパクト容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンパクト容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンパクト容器として、容器本体の後端部に設けた軸孔を形成した蝶番片と、同様に蓋体の後端部に設けた軸孔を形成した蝶番片とを組合せ、各軸孔に蝶番の軸体となる軸ピンを挿通し、容器本体に対して蓋体を開閉回動自在に結合したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のコンパクト容器は、容器本体と蓋体とを組み立てた後、それらを分けることまで考慮されていなかった。一方、近年においては、使用者の嗜好の多様性や分別廃棄の要望などから、一度組み立てた容器本体と蓋体とを分離(分別)することが求められている。具体的には、使用者の好みで、容器本体と蓋体との組み合わせを自由に変更したり、コンパクト容器の廃棄時に、例えばガラスなどで形成された鏡を備える蓋体と樹脂材料によって形成された容器本体とを分別することが求められている。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、容器本体と蓋体とを容易に分離(分別)することができるコンパクト容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るコンパクト容器は、内容物を収容する収容凹部を有する容器本体と、前記収容凹部を開放可能に閉塞する蓋体と、前記容器本体と前記蓋体とを回動可能に係合させる一対の係合軸部と、前記一対の係合軸部の間を連結する係合軸連結部と、を備え、前記係合軸連結部は、前記容器本体及び前記蓋体から前記一対の係合軸部を離脱させる屈曲変形が可能である、ことを特徴とする。
本発明に係るコンパクト容器によれば、係合軸連結部を屈曲変形させることで、一対の係合軸部の相互間距離を縮め、容器本体及び蓋体から一対の係合軸部を軸方向に離脱させることができる。このため、容器本体と蓋体とを容易に分離(分別)することができる。
【0007】
上記コンパクト容器においては、前記蓋体は、前記係合軸連結部の屈曲変形を規制する突起部を有してもよい。
この場合には、コンパクト容器の通常の使用状態での容器本体と蓋体の分離を防止できる。
【0008】
上記コンパクト容器においては、前記突起部の前記係合軸連結部と対向する面は、傾斜面となっていてもよい。
この場合には、係合軸連結部を屈曲変形させる際に、係合軸連結部が傾斜面によって突起部を乗り越え易くなる。
【0009】
上記コンパクト容器においては、前記蓋体は、前記係合軸連結部を挟んで前記突起部と対向する対向壁を有し、前記対向壁と前記係合軸連結部との間には、スリットが形成されていてもよい。
この場合には、蓋体の対向壁と係合軸連結部との間のスリットに部材を差し込むことで、係合軸連結部を押し上げて突起部を乗り越えさせることができる。
【0010】
上記コンパクト容器においては、前記係合軸連結部は、前記屈曲変形の起点となる薄肉部を有してもよい。
この場合には、係合軸連結部の屈曲変形が容易になる。
【0011】
上記コンパクト容器においては、前記蓋体には、鏡部材が設けられ、前記係合軸連結部は、前記鏡部材を前記蓋体に固定していてもよい。
この場合には、容器本体と蓋体を分離するために、係合軸連結部を屈曲変形させると、蓋体に固定されていた鏡部材(例えば、ガラスや金属などの異種材料)も取り外すことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、容器本体と蓋体とを容易に分離(分別)することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】一実施形態に係るコンパクト容器の平面図である。
【
図2】一実施形態に係る蓋体が閉じられた状態のコンパクト容器の側面図である。
【
図6】一実施形態に係るコンパクト容器を組み立てる様子を示す平断面図である。
【
図7】一実施形態に係る連結部材の(a)平面図、(b)正面図である。
【
図8】一実施形態に係るコンパクト容器を分離する様子を示す平断面図である。
【
図9】一実施形態に係る係合軸連結部の変形規制を解除する様子を示す断面図である。
【
図10】一実施形態に係る係合軸部の一変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係るコンパクト容器を説明する。
【0015】
図1に示すように、コンパクト容器1は、容器本体10と、蓋体20と、連結部材30と、を備えている。容器本体10には、収容凹部11が形成されている。蓋体20は、収容凹部11を開閉可能に閉塞する。連結部材30は、容器本体10と蓋体20とを回動可能に連結している。
【0016】
図2に示すように、蓋体20が閉じられた状態のコンパクト容器1は、平面視矩形状の扁平容器となる。このコンパクト容器1は、連結部材30(ヒンジ)と反対側の縁部に、蓋体20の容器本体10に対する閉状態を解除し、開状態とする操作片50が設けられている。
【0017】
なお、以下の説明では、蓋体20が閉じられたコンパクト容器1の厚さ方向において、蓋体20側を上側とし、容器本体10側を下側とする。また、上下方向に直交する方向において、連結部材30側を後側とし、操作片50側を前側とする。また、上下方向、及び前後方向に直交する水平方向を左右方向とする。なお、左右方向は、容器本体10と蓋体20の回動軸(連結部材30)が延びる軸方向である。
【0018】
図1に示すように、容器本体10は、例えば樹脂等により形成されると共に、左右方向を長手方向とする矩形の箱状を呈している。容器本体10には、上方に向けて開口する複数の収容凹部11が形成されている。収容凹部11には、図示しない中皿が収容されている。中皿は、各種の化粧料を収容しており、容器本体10の中枠10aによって収容凹部11に固定されている。なお、収容凹部11には、中皿だけでなく、化粧料を塗布する塗布具などが収容されていても構わない。
【0019】
容器本体10の外周壁12の前側には、下方に向けて窪む凹状の切欠部13が形成されている。切欠部13は、外周壁12の前側の左右方向の中間部に形成され、その内側には上述した操作片50が配設されている。また、切欠部13には、後述する蓋体20の係合片26が係合する係合突起13aが設けられている。
【0020】
蓋体20は、連結部材30を介して容器本体10の外周壁12の後側に連結されている。蓋体20は、例えば樹脂等により形成されると共に、矩形の有頂筒状を呈している。蓋体20は、天壁21と、天壁21を囲繞する周壁22と、を備えている。
【0021】
天壁21は、容器本体10と同様に左右方向を長手方向とする平面視矩形状とされ、蓋体20の閉状態において上下方向で収容凹部11と対向する。天壁21の下面のうち、収容凹部11と上下方向で対向する部分には、鏡部材23が設けられている。
【0022】
鏡部材23は、
図3のA-A断面図に示すように、天壁21の下面に形成された鏡収容凹部24に収容されている。鏡収容凹部24には、
図4のB-B断面図に示すように、シート状の緩衝材24aが配置されている。緩衝材24aは、例えばスポンジ等から形成され、鏡部材23と蓋体20との間に介在している。
【0023】
図1に示すように、鏡部材23の前側の縁部は、天壁21の下面に設けられた係止片25に係止している。また、鏡部材23の後側の縁部は、連結部材30に設けられた一対の鏡押さえ35によって鏡収容凹部24に押さえ付けられている。これにより、鏡部材23は、鏡収容凹部24に収容された状態で、蓋体20に固定されている。
【0024】
周壁22は、平面視で矩形枠状に形成され、天壁21の外周縁から下方に延設されている。周壁22は、蓋体20の閉状態において容器本体10の中枠10aの外側の外周縁に当接する。
【0025】
蓋体20の前側には、係合片26が設けられている。係合片26は、周壁22よりも内側に配置され、天壁21の下面から下方に向けて延設されている。係合片26は、蓋体20の閉状態において、容器本体10の切欠部13内に挿通され、係合突起13aと係合する。
【0026】
操作片50は、切欠部13の内側において、容器本体10に対し、前後方向に押し込み可能に設けられている。操作片50は、容器本体10に対する後側への押し込みによって、係合突起13aに係合する係合片26を上方に突き上げて係合を解除する突上片51を備えている。
【0027】
容器本体10の外周壁12の後側には、連結凹部14が設けられている。また、蓋体20の後側には、連結凹部14に収容される連結凸部27が設けられている。連結凸部27の左右方向の両端部には、連結部材30と係合する一対の蓋側軸受部28が設けられている。一方、連結凹部14の左右方向の両側には、連結凹部14に対し相対的に容器本体10の後側に突出し、一対の蓋側軸受部28と左右方向で対向すると共に、連結部材30と係合する一対の容器側軸受部15が設けられている。
【0028】
連結部材30は、
図7(a)に示すように、容器本体10と蓋体20とを回動可能に係合させる一対の係合軸部31と、一対の係合軸部31の間を連結すると共に屈曲変形(後述する
図6参照)が可能な係合軸連結部32と、を備えている。連結部材30は、例えば樹脂等により形成されている。
【0029】
一対の係合軸部31は、円柱状に形成されている。一対の係合軸部31は、
図1に示すように、蓋側軸受部28及び容器側軸受部15に挿入されることで、容器本体10と蓋体20とを回動可能に係合させている。なお、一対の係合軸部31は、締め代タイプの中実のピンであるが、
図10の一変形例に示すように、軸方向に延びるスリット31bが形成されたベンドタイプのピンであっても構わない。
【0030】
蓋側軸受部28には、左右方向に貫通する軸受孔28aが形成されている。容器側軸受部15は、軸受孔28aと連通する非貫通の軸受溝15aが形成されている。軸受溝15aは、一対の容器側軸受部15の互いの対向面側から非対向面側に向かって形成された有底溝である。このため、容器本体10の側面は、
図2に示すように、孔が無い外観となっている。このように、係合軸部31の端部が外側から視認されず、また外観上に孔となる箇所が無いため、容器本体10の外観性が向上する。
【0031】
一対の係合軸部31は、
図7(a)に示すように、係合軸連結部32の長手方向(左右方向)の両端部に連設されている。係合軸部31と係合軸連結部32との間には、括れ部31aが形成されている。括れ部31aは、
図7(a)に示すように、係合軸部31の直径よりも前後方向の厚みが薄く、
図7(b)に示すように、係合軸部31の直径と上下方向の幅が同じに形成されている。
【0032】
係合軸連結部32は、
図7(a)に示すように、左右方向に延びる略板状に形成されている。係合軸連結部32は、一対の板状部32Aと、一対の板状部32Aの間を連結する薄肉部32Bと、を備えている。薄肉部32Bは、
図7(a)に示すように、一対の板状部32Aの前後方向の厚みよりも相対的に薄くなっている。この薄肉部32Bは、係合軸連結部32の左右方向の中間位置に形成されている。
【0033】
係合軸連結部32における薄肉部32Bの背面には、窪み34が形成されている。窪み34は、
図7(a)に示すように、等脚台形状に形成されている。窪み34は、一対の板状部32Aに形成された一対の脚部34a(斜面)と、一対の脚部34aの間を接続する上底部34b(平面)と、を備えている。薄肉部32Bは、窪み34の上底部34bと前後方向において対向する部分に形成されている。
【0034】
窪み34が形成される係合軸連結部32の背面に対して、係合軸連結部32の正面は、平坦面となっている。つまり、一対の板状部32A及び薄肉部32Bは、係合軸連結部32の正面において同一平面を形成している。また、薄肉部32Bは、
図7(b)に示す背面視で、一対の板状部32Aの上下方向の幅よりも僅かに小さく形成されている。つまり、係合軸連結部32は、薄肉部32B付近において、上下方向に僅かに括れている。
【0035】
係合軸連結部32は、
図6に示すように、上述した薄肉部32Bを起点とした屈曲変形が可能とされている。蓋体20は、
図1に示すように、係合軸連結部32の屈曲変形を規制する突起部40を有している。突起部40は、蓋体20の左右方向の中央位置に形成され、係合軸連結部32の薄肉部32Bと前後方向で対向して配置されている。突起部40の係合軸連結部32と対向する面は、
図5のC-C断面図に示すように、傾斜面40aとなっている。
【0036】
蓋体20は、係合軸連結部32を挟んで突起部40と対向する対向壁41を有する。対向壁41は、蓋体20の天壁21の下面に対する垂直面を形成している。対向壁41と係合軸連結部32との間には、スリットS1が形成されている。スリットS1は、例えば、コイン等の差込部材100を挿入可能な1mm~2mm程度の前後方向の幅を有している。
【0037】
係合軸連結部32には、スリットS1を形成する差込溝33が形成されている。差込溝33は、対向壁41に対して前後方向に離間した垂直壁33aと、垂直壁33aに連設され、垂直壁33aから天壁21に向かうに従って対向壁41に近接する傾斜壁33bと、を有している。差込溝33は、
図7(a)及び
図7(b)に示すように、係合軸連結部32の一対の板状部32Aのそれぞれに形成されている。
【0038】
係合軸連結部32は、
図1に示すように、蓋側軸受部28の近傍において蓋体20に設けられたガイド壁43に覆われている。ガイド壁43は、
図4に示すように、蓋体20の天壁21の下面と対向可能な庇状のガイド面43aを有する。係合軸連結部32が、天壁21、対向壁41、及び、ガイド壁43によって3方向からガイドされることで、係合軸部31がセンタリングされ、
図1に示す軸受孔28aや軸受溝15aに対する係合軸部31の挿入が容易になる。
【0039】
対向壁41には、左右方向に離間し、且つ、上下方向に延びる一対の縦リブ42が設けられている。一対の縦リブ42は、係合軸連結部32に左右方向内側から接触し、軸受孔28a及び軸受溝15aに挿入された一対の係合軸部31の左右方向の位置を固定する。具体的に、一対の縦リブ42は、上述した
図7(a)に示す係合軸連結部32の窪み34の一対の脚部34a(斜面)に接触する。
【0040】
係合軸連結部32には、鏡部材23を蓋体20に固定する鏡押さえ35が設けられている。鏡押さえ35は、
図7(a)に示すように、係合軸連結部32の一対の板状部32Aのそれぞれに形成されている。鏡押さえ35は、
図1に示す組付け状態で、鏡収容凹部24と上下方向で対向する位置まで延在し、鏡部材23の鏡収容凹部24からの抜けを規制している。
【0041】
上記構成のコンパクト容器1を組み立てる場合には、
図6に示すように、先ず、容器本体10の連結凹部14に、蓋体20の連結凸部27を差し込む。次に、連結部材30の係合軸連結部32をV字状に屈曲変形させた状態で、連結部材30の一対の係合軸部31を蓋体20の対向壁41に押し当てる。なお、係合軸連結部32は、V字状に屈曲変形した状態が初期状態(成形状態)であっても構わない。
【0042】
次に、係合軸連結部32を対向壁41に向かって押し込むと、係合軸連結部32のV字変形が徐々に開いていき、係合軸連結部32の左右方向の両端部が、
図1に示すようにガイド壁43に接触する。係合軸連結部32がガイド壁43に接触すると、
図4に示すように、係合軸連結部32が天壁21、対向壁41、及び、ガイド壁43によって3方向からガイドされて、
図1に示すように、係合軸部31が軸受孔28a及び軸受溝15aに挿入される。
【0043】
係合軸部31の軸受孔28a及び軸受溝15aに対する挿入が完了すると、
図1に示すように、係合軸連結部32は対向壁41に沿って左右方向に一直線に延びた状態となる。この状態の係合軸連結部32は、蓋体20に設けられた突起部40を乗り越えており、突起部40と対向壁41との間に挟持され、屈曲変形が規制される。また、対向壁41に形成された一対の縦リブ42が、係合軸連結部32と左右方向内側から接触し、一対の係合軸部31の左右方向内側への移動を規制する。
【0044】
さらに、この状態においては、係合軸連結部32に設けられた鏡押さえ35が、鏡収容凹部24まで延伸し、鏡部材23を蓋体20に固定する。以上により、容器本体10と蓋体20とを回動可能に係合させることができ、また、蓋体20に異種材料の鏡部材23を固定することができる。
【0045】
一方、コンパクト容器1を使用する中で容器本体10と蓋体20の組み合わせを変更する場合、また、鏡部材23を分別する場合には、
図8において二点鎖線で示すように、係合軸連結部32をV字状に屈曲変形させればよい。この場合には、
図9に示すように、蓋体20の対向壁41と係合軸連結部32との間のスリットS1にコイン等の差込部材100を差し込むことで、係合軸連結部32を押し上げて突起部40を乗り越えさせることができる。
【0046】
突起部40の係合軸連結部32と対向する面は、傾斜面40aとなっているため、係合軸連結部32を屈曲変形させる際に、係合軸連結部32が突起部40を乗り越え易くなっている。係合軸連結部32が突起部40を乗り越えると、突起部40による規制が解除され、係合軸連結部32をV字状に屈曲変形させることができる。
【0047】
係合軸連結部32が屈曲変形すると、一対の係合軸部31の相互間距離が縮められ、容器本体10及び蓋体20から一対の係合軸部31を左右方向内側に離脱させることができる。これにより、容器本体10と蓋体20を分離することができる。また、係合軸連結部32を屈曲変形させて連結部材30を取り外すと、鏡押さえ35の拘束がなくなり、異種材料の鏡部材23もまた蓋体20から取り外すことができる。このため、蓋体20から異種材料の鏡部材23を分別することができる。
【0048】
以上説明したように、本実施形態に係るコンパクト容器1では、内容物を収容する収容凹部11を有する容器本体10と、収容凹部11を開放可能に閉塞する蓋体20と、容器本体10と蓋体20とを回動可能に係合させる一対の係合軸部31と、一対の係合軸部31の間を連結する係合軸連結部32と、を備え、係合軸連結部32は、容器本体10及び蓋体20から一対の係合軸部31を離脱させる屈曲変形が可能である、という構成を採用することによって、容器本体10と蓋体20とを容易に分離(分別)することができる。
【0049】
また、本実施形態では、
図1に示すように、蓋体20は、係合軸連結部32の屈曲変形を規制する突起部40を有する。この構成によれば、コンパクト容器1の通常の使用状態での容器本体10と蓋体20の分離を防止できる。
【0050】
また、本実施形態では、
図5に示すように、突起部40の係合軸連結部32と対向する面は、傾斜面40aとなっている。この構成によれば、係合軸連結部32を屈曲変形させる際に、係合軸連結部32が傾斜面40aによって突起部40を乗り越え易くなる。
【0051】
また、本実施形態では、蓋体20は、係合軸連結部32を挟んで突起部40と対向する対向壁41を有し、対向壁41と係合軸連結部32との間には、スリットS1が形成されている。この構成によれば、
図9に示すように、蓋体20の対向壁41と係合軸連結部32との間のスリットS1にコイン等の差込部材100を差し込むことで、係合軸連結部32を押し上げて突起部40を乗り越えさせることができる。
【0052】
また、本実施形態では、
図1及び
図6に示すように、係合軸連結部32は、屈曲変形の起点となる薄肉部32Bを有している。この構成によれば、係合軸連結部32の屈曲変形が容易になる。
【0053】
また、本実施形態では、
図1及び
図5に示すように、蓋体20には、鏡部材23が設けられ、係合軸連結部32は、鏡部材23を蓋体20に固定している。この構成によれば、容器本体10と蓋体20を分離するために、係合軸連結部32を屈曲変形させると、蓋体20に固定されていた鏡部材23(例えば、ガラスや金属などの異種材料)も取り外すことができる。
【0054】
また、本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0055】
例えば、上述した実施形態では、容器本体10や蓋体20を平面視で矩形状に形成した場合について説明したが、これに限らず、他の形状(円形や楕円形、正方形など)であってもよい。
【0056】
また、例えば、上述した実施形態では、蓋体20から鏡部材23が分離(分別)可能な構成であったが、分離(分別)可能でなくても構わない。鏡部材23を分離(分別)しない構成の場合、鏡部材23が蓋体20に固定され、かつ連結部材30には、鏡押さえ35が形成されていなくても構わない。
【0057】
また、例えば、上述した実施形態では、係合軸連結部32に薄肉部32Bが形成された構成であったが、屈曲変形が可能であれば薄肉部32Bが形成されてなくても構わない。例えば、係合軸連結部32の薄肉部32Bに該当する部分がゴムなどの弾性体で、一対の板状部32Aに該当する部分よりも柔らかければ、同じように屈曲変形させることは可能である。また、係合軸連結部32の薄肉部32Bに該当する部分が、例えば蝶番であっても、同じように屈曲変形させることは可能である。
【0058】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 コンパクト容器
10 容器本体
11 収容凹部
20 蓋体
23 鏡部材
31 係合軸部
32 係合軸連結部
32B 薄肉部
40 突起部
40a 傾斜面
41 対向壁
100 差込部材
S1 スリット