(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-07
(45)【発行日】2024-03-15
(54)【発明の名称】骨切りガイド装置および方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/17 20060101AFI20240308BHJP
【FI】
A61B17/17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020155189
(22)【出願日】2020-09-16
【審査請求日】2022-09-20
(32)【優先日】2019-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517070626
【氏名又は名称】ネクストレミティ ソルーションズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Nextremity Solutions, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【氏名又は名称】山口 健次郎
(74)【代理人】
【氏名又は名称】森田 憲一
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー ジェイ. デナム
(72)【発明者】
【氏名】ライアン シュロッターバック
【審査官】宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-540123(JP,A)
【文献】特開2017-47167(JP,A)
【文献】特開平7-184943(JP,A)
【文献】米国特許第5843085(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨切りガイドであって、
第1の部分であって、第1の切断スロットを有し、第1の骨に前記第1の部分を接続する
第1のワイヤを受容するための開口部を有する、第1の部分と、
第2の部分であって、第2の切断スロットおよび第2の骨に前記第2の部分を接続する第2のワイヤを受容するための第2の開口部を有する、第2の部分と、を備え、
前記第1の部分および前記第2の部分が、互いに可動的に接続され、前記第1の骨および前記第2の骨を互いに対して移動させることを可能と
し、
前記第2の部分に対して前記第1の部分を移動させるため、前記第1の部分および前記第2の部分と接続された圧縮伸延取付具をさらに備え、そして
前記圧縮伸延取付具が、ユーザによって係合可能なねじと、前記第2の部分に対して前記第1の部分を移動させる前記ねじを係合させているラックと、を備える骨切りガイド。
【請求項2】
前記圧縮伸延取付具は、前記ユーザが前記ねじを前進させることに対応して、前記第2の部分を前記第1の骨から遠位方向に離れて移動させるように構成されている、請求項
1に記載の骨切りガイド。
【請求項3】
前記第2の部分を遠位側に前記移動させることで、前記第2の骨の内側側面の遠位方向への前進を引き起こし、前記第2の骨の外側側面が、前記第2のワイヤによって所定の位置に保持され、前記第2の骨と第3の骨との間の角度を減少させる、請求項
2に記載の骨切りガイド。
【請求項4】
前記第1のワイヤの周りでの前記第1の部分の回転を抑制するため、前記第1の部分が前記第1の骨に前記第1の部分を接続する第3のワイヤを受容する第3の開口部を備える、請求項1に記載の骨切りガイド。
【請求項5】
前記第1の切断スロットおよび前記第2の切断スロットが、互いに実質的に平行な長手方向の寸法を有する、請求項1に記載の骨切りガイド。
【請求項6】
骨切りガイドであって、
第1の部分であって、第1の切断スロットを有し、第1の骨に前記第1の部分を接続する第1のワイヤを受容するための開口部を有する、第1の部分と、
第2の部分であって、第2の切断スロットおよび第2の骨に前記第2の部分を接続する第2のワイヤを受容するための第2の開口部を有する、第2の部分と、を備え、
前記第1の部分および前記第2の部分が、互いに可動的に接続され、前記第1の骨および前記第2の骨を互いに対して移動させることを可能とし、
前記第1の部分が前記第1の骨に接続された際に、前記第1の部分は、前記第1の骨の長手方向の寸法と実質的に平行に整列された長手方向の寸法を有するアームを備え
る骨切りガイド。
【請求項7】
前記アームの前記長手方向の寸法が、前記第2の部分に対する前記第1の部分の可動性の方向に対し、非平行な角度で整列されている、請求項
6に記載の骨切りガイド。
【請求項8】
第1の骨と第2の骨との間隙に位置づけられるように構成された関節アームを有するワイヤガイドであって、それを通って前記第1の骨の中に延びる第1のワイヤを受容するための軸穴を有するワイヤガイド、および
骨切りガイド
を備える骨切りシステムであって、前記骨切りガイドは、
第1の部分であって、第1の切断スロットを有し、前記第1のワイヤが前記第1の骨に取り付けられたまま前記ワイヤガイドが前記第1の骨から取り外されたときに第1の骨に前記第1の部分を接続する前記第1のワイヤを受容するための開口部を有する、第1の部分と、
第2の部分であって、第2の切断スロットおよび前記第2の骨に前記第2の部分を接続する第2のワイヤを受容するための第2の開口部を有する、第2の部分と、を備え、
前記第1の部分および前記第2の部分が、互いに可動的に接続され、前記第1の骨および前記第2の骨を互いに対して移動させることを可能とする、骨切りシステム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2019年9月16日に出願された米国仮特許出願第62/900,920号、2020年3月19日に出願された米国仮特許出願第62/991,879号(代理人案件番号3768.094P1)、および2020年4月24日に出願された米国仮特許出願第63/015,052号(代理人案件番号第3768.099P1)の優先権を主張し、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。
【背景】
【0002】
発明の分野
本出願は、骨を調整し、接合するための装置、デバイスおよび方法に関する。
【関連技術の説明】
【0003】
外反母趾はバニオンの医療用語である。第1足根中足(TMT)関節は、足中央部の内部にある重要な関節である。TMT関節を形成するために接している2本の骨は、第1中足骨と内側楔状骨である。この関節が過剰に緩むまたは移動する際、そうした状況は過度可動性または不安定性として公知である。この関節が過度可動となる際、第1中足骨はある方向に過度に移動し、そして第1趾はそれとは別の方向に過剰に移動してこれを補償する。この状態が起こると、バニオンが発症する。
【0004】
バニオンは関節および軟組織の疾患である。バニオン変形または外転外反母趾変形は、患者の第5趾に向かって外側に離れている第1趾から生じる。第1趾の外側移動に起因して、第1中足骨は患者の足の第1趾以外の趾へと向かって曲がる。これにより、第1中足骨を整列状態から外れて移動させる。バニオンは炎症状態になり得る。一部の場合では、歩行および体重がかかる他の活動中に大きく痛む状態となり得る。バニオンはまた痛むものであり、靴を履くのを妨げるような、衰弱させる状態であり得る。遺伝的性質および問題のある靴のデザインがこれらの原因である。第2指の中足骨との間の角度は、変形の程度を量化するための手段である。
【0005】
痛みを伴うバニオンは、軟組織へ外科的に治療技術を施し、外科的に骨を再編することで矯正される。第1中足骨は、鋸を用いて切断され、外側にその上部を移動させることで矯正される。シェブロン(chevron)、ルドロフ(Ludloff)、マウ(Mau)および近位と名付けられている近位側領域から遠位側領域にかけての多くの切断位置が存在している。骨の位置を変え、ねじ、ステープルまたはプレートを用いて所定の位置に骨を維持する。時に隣接する関節は癒合し、再建部を安定化させる。
【0006】
ラピドゥス(Lapidus)法は、第1TMT関節の移動を減少させ、第1中足骨および趾を正常な状態とする、第1TMT関節の癒合の種類である。そのため、ラピドゥス法は第1TMT関節の過度可動性によって生じたバニオンを処置する。
【0007】
ラピドゥス法の目的は、第1TMT関節の過度可動性によって生じた外反母趾を外科的に処置するものである。足および足関節の整形外科医は、内側楔状骨と直線上に第1中足骨を配置し、これらの2本の骨を固定または癒合させることで正常な趾の形状に再整列させる。第1TMT関節が癒合する場合、第1中足骨は変則的に移動することはない。これにより、第1趾を直線上に存在させ、バニオンへと戻るのを阻止することができる。
【0008】
したがって、2本の骨の断片を固定する挿入物、特に2本の骨間の屈曲角度を調整することが可能である設計を含む、2本の骨の断片を切断かつ接合するためのシステムおよび方法のため、代替的な設計に対する要求が存在する。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、第1の態様にて、第1の切断スロットを有し、かつ第1の部分を第1の骨に接続するワイヤを受容するための開口部を有する第1の部分を含む、骨切りガイドを提供する。第2の部分は、第2の切断スロットおよび第2の部分を第2の骨に接続する第2のワイヤを受容するための第2の開口部を有する。第1の部分および第2の部分は互いに可動的に接続され、第1の骨および第2の骨を互いに対して移動させることが可能となる。
【0010】
本発明は、第2の態様にて、第1の骨と第2の骨の間にガイドの関節アームを挿入することを含む、骨を整列する上で使用するための方法を提供する。第1のワイヤは、ガイドのガイド開口部を通り、第1の骨へと挿入される。ガイドを取り外し、骨切りガイドの第1の開口部内にワイヤを受容させ、かつ第1の骨内に第1のワイヤを挿入させることで、骨切りガイドの第1の部分を第1の骨に取り付ける。骨切りガイドの第1の開口部内にワイヤを受容させ、かつ第2の骨内に第2のワイヤを挿入させることで、骨切りガイドの第2の部分を第2の骨に取り付ける。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明は、以下に提供された詳細な説明および本発明の好ましい実施形態の図面を添付することで、より完全に理解されるだろう。ただし、説明および理解のみを目的とすることを除いて、本発明を制限するためにこれを利用してはならない。
【0012】
図面において:
【0013】
【
図1】本発明の一態様に従った、切断ガイドの一実施形態の透視図である。
【0014】
【
図2】骨と係合しているワイヤガイドを上から見た正面図である。
【0015】
【
図3】
図2のワイヤガイドおよび骨の一部分の側面図である。
【0016】
【
図4】第1の骨の部分および第2の骨の部分に接続されている、
図1の切断ガイドの透視図である。
【0017】
【
図5】あるワイヤを介して骨と接続された
図1の切断ガイドを、上から見た正面図である。
【0018】
【
図6】第2のワイヤが切断ガイドを骨に接続している、
図5の切断ガイドの上面図である。
【0019】
【
図7】第3のワイヤが、第2の骨の一部分に接続されている、
図6の切断ガイドの透視図である。
【0020】
【
図8】2本の中足骨間の角度を示している、
図7の切断ガイドの上面図である。
【0021】
【
図9】切断ガイドの圧縮伸延部が第1中足骨および第2中足骨の角度を調整するために係合されている、
図8の切断ガイドを、上から見た正面図である。
【0022】
【
図10】第1中足骨および第2中足骨が、所望の位置で互いに対して整列されている、
図9の切断ガイドの上面図である。
【0023】
【
図11】第1の骨の部分および第2の骨の部分を切断するための位置における、
図10の骨切りガイドの上面図である。
【0024】
【
図12】
図11の骨切りガイドに従って除去された、2本の骨の部分の概略図である。
【0025】
【
図13】傾斜角度を示している、足の上面図である。
【0026】
【
図14】矯正された位置における2本の中足骨の概略図である。
【0027】
対応する参照符号は、複数の図を通して対応する部分を示す。本明細書において規定されている例示的な実施形態は、いかなる方法であっても本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施形態の詳細な説明】
【0028】
本発明は、添付の図面を参照することで、本発明による種々の例示的な実施形態に関して以下にて詳細に議論される。以下の詳細な説明にて、本発明の完全な理解を提供するため、多数の特定の詳細部分が説明されている。ただし、本発明がこのような特定の詳細部分なしに実施可能であることは、当業者には明白である。他の例においては、本発明の無用な曖昧さを避けるため、周知の構造は詳細には示されていない。
【0029】
したがって、以下に記載された実施態様の全ては、当業者が本開示の実施形態を製造または利用可能であるよう提供されている例示的な実施態様である。またこの実施態様は、本開示の範囲を制限しようとするものではなく、この範囲は請求項によって規定されている。本明細書で使用する場合、用語「例示的(exemplary)」または「例示的(illustrative)」は、「例、場合または例証として機能している」ことを意味する。「例示的(exemplary)」または「例示的(illustrative)」として本明細書に記載された任意の実施態様は、他の実施形態よりも好ましいまたは有利であるものとして、必ずしも解釈されるべきではない。加えて、本説明において、用語「上方」、「下方」、「左」、「後方」、「右」、「前方」、「垂直の」、「水平の」およびそれらの派生用語は、
図1にて方向付けられたように本発明に関連していなければならない。
【0030】
以下の説明は、足または下肢を含む整形外科手術用の切断工具のためのシステム、方法および装置を参照している。ただし、そうしたシステム、方法および装置に精通している対応する技術分野の当業者は、他の肢、関節および筋骨格系の一部分が前述のシステム、方法および装置を用いる利用に好適であることを理解するだろう。同様に、種々の図、段階、手順および作業の流れは一例としてのみ提示されている。これは、記載されたシステム、方法または装置を、異なる時間枠または順序でそれぞれの作業または結果を実施することを制限するものでは決してない。本発明の教示は、手並びに他の上肢および下肢などの任意の整形外科手術に適用されることができ、同様の解剖学的な考察を有する他の処置部位にて実施されることができる。
【0031】
さらには、前述した技術分野、背景技術、概要または以下の詳細な説明において提示された、何らかの明示的または暗示的な理論によって拘束されることを意図してはいない。添付の図面中に例示された、および以下の明細書にて記載された特定のデバイスおよびプロセスは、添付の特許請求の範囲にて規定された発明の概念の、単なる例示的実施形態である。したがって、本明細書において開示されている実施形態に関連する特定の寸法および他の物理的特性は、請求項にて他の場合を明示的に述べない限り、限定するものとして考えられるべきではない。
【0032】
図1および
図4~
図11に示されるように、切断ガイド100は、切断ガイド100を通って延在している複数の穴または軸穴108を通して挿入された複数の標識ガイドワイヤまたはkワイヤ130によって、第1中足骨122および内側楔状骨121に接続されている。切断ガイドの位置決めは、第2中足骨123に関連して示されている。切断ガイド100は第1の部材または切断ガイド本体104、第2の部材または中足骨切断取付具または移動式中足骨切断部103、アーム109および圧縮伸延取付具105を有する。圧縮伸延取付具105は第2の部材103から延在し、線状トラック115が第1の部材104と接続された状態で、線状トラック115伝いに第1の部材104と係合する。線状トラック115は、外側の面上のねじ切りラック107およびトラック溝112を有する。圧縮伸延取付具105は並進ねじまたは中足骨調整ねじ106を有する。並進ねじ106がドライバ250で係合かつ回転させられた際、圧縮伸延取付具105はねじ切りラック107伝いに、かつトラック溝112内を並進可能に可動する。
【0033】
さらに、
図1および
図4~
図11に関して、第1の部材104は第1の切断スロットまたは近位側楔状骨切断スロット101を有し、第2の部材103は第2の切断スロットまたは遠位側中足骨切断スロット102を有する。近位側楔状骨切断スロット101は、内側-外側方向に伸長しており、前部-後部方向には狭くなっている。近位側楔状骨切断スロット101は、足背-足底方向に第1の部材104を通って延在する。遠位側中足骨切断スロット102は、U字型スロットであり、内側-外側方向に伸長しており、前部-後部方向には狭くなっている。遠位側中足骨切断スロット102は、足背-足底方向に第2の部材103を通って延在する。近位側楔状骨切断スロット101および遠位側中足骨切断スロット102は平行である。
【0034】
続けて
図1および
図4~
図11を参照すると、第2の部材103および圧縮伸延取付具105が接続されており、これにより、並進ねじ106を回転させた場合に、第1の部材104に対して前部-後部方向に移動することで双方を並進させる。近位側楔状骨切断スロット101および遠位側中足骨切断スロット102は、前述の並進状態下にておよび並進後も平行状態を維持している。
【0035】
図2~
図3を参照すると、ワイヤガイド200は本体203、ボアホール205およびアーム201を有する。ワイヤガイド200は、内側楔状骨121と第1中足骨122(
図1)の間の関節204の関節間隙202内にアーム201が位置づけられた状態で示されている。
【0036】
図12~
図14を参照すると、傾斜角度は、例示に使用するため、
図13では第1中足骨122が取り外された状態で示されている。第1中足骨122および内側楔状骨121は、
図12にて第1中足骨122から第1の骨の楔状部分150が取り外され、内側楔状骨121から第2の骨の楔状部分151が取り外された状態で示されている。楔状骨切断部155および中足骨切断部156は、例えば
図12に示されているように、ほぼ平行状態であり得る。第1の骨の楔状部分150および第2の骨の楔状部分151が取り外された後、得られた骨表面(
図14)は例えば、平面状の表面であってもよいか、または平面状の表面となるようさらに機械で処理されてもよい。骨の楔状部分150は、より厚い端部とより薄い端部を有し、このより厚い端部は、第1中足骨122の外側側面から切り離され、より薄い切除部分は、第1中足骨122の内側側面から切り離された状態で示されている。別の実施形態では、第2の楔状部分151で切り離された骨の物質量は例えば、第1の骨の楔状部分150で切り離された骨の物質量よりも多い。
【0037】
図1~
図11を参照すると、中足骨(例えば第1中足骨122)と楔状骨(例えば内側楔状骨121)の間の傾斜角度を矯正する際に使用するための、ワイヤガイド200(
図2~
図3)および切断ガイド100(
図1および
図4~
図11)が示されている。一例として、ワイヤガイド200のアーム201は関節間隙202の内部に配置され、傾斜、ピーク部および谷部といった関節の形状を捕捉する。ワイヤガイド200は、参照として使用することができる標識ガイドワイヤまたはkワイヤ130のうち1本のkワイヤ131を骨(例えば内側楔状骨121)へと配置するための軸穴205を含む。ワイヤガイド200は、最初のkワイヤ位置を設定し、挿入されている第1のkワイヤ(例えばkワイヤ131)は切断距離を設定するために使用される。この点において、切断角度が公知である場合には、阻止kワイヤ(図示せず)を骨(例えば第1中足骨122)に挿入し、切断距離および角度を設定することができる。阻止kワイヤは、第1のkワイヤと平行に配置され(例えばガイド200の外部ではあるが、その長手方向の寸法には平行である)、第2のkワイヤ(図示せず)に向かう方向で取り付けられたkワイヤ(例えばkワイヤ131)の周りでのガイド200の回転を止める。ただし、切断角度をまだ決定していない場合には、1本のみkワイヤ(例えばkワイヤ131)を用いてガイド200を回転させることができる。切断ガイド100を位置決めするための参照箇所の選択は、例えば、中足骨122からというよりは楔状骨121から骨物質を多く切り離すために選択されてよい。
【0038】
図1~
図11を参照すると、例えばワイヤ131が軸穴108のうち1つの軸穴208の中に受容されるよう、ワイヤガイド200(
図2~
図3)が取り外され、切断ガイド100がkワイヤ131上に配置されている。切断角度が公知である場合、ワイヤ(例えばワイヤ130)が、切断ガイド100の軸穴(例えば軸穴108)中に受容されるように、切断ガイド100は2本のkワイヤ上へと配置される。例えば、第1のkワイヤ(例えばワイヤ131)は、第1中足骨122の長手方向の寸法に沿った長手方向位置を制御することができ、第2のkワイヤ132といった第2のワイヤは、軸穴108のうち第2の軸穴209を通って受容され、切断ガイド100の回転を制御することができる。追加のワイヤは、上方向へのずれを含む、骨(例えば内側楔状骨121および第1中足骨122)に対する切断ガイド100の望ましくない位置への移動および望ましくない回転運動を抑制するのに用いられてよい。
【0039】
続けて
図1および
図4~
図11に言及すると、1本のkワイヤ(例えばkワイヤ131)のみを使用して切断ガイド100を接続する場合、切断ガイド100が使用され(例えばkワイヤ131の周りで回転される)、外科医が所望するような切断角度を設定することができる。切断ガイド100は、内側楔状骨121からの骨の切除をガイドすることができる第1の切断スロット101が最小限の量を除去するよう、関節204のピーク部および谷部に対する所定の位置にて配置され得る。切断ガイド100を位置づけることで、例えば第1中足骨122から骨を同様に最小限の量で切除することができる。第2のkワイヤ(例えばkワイヤ132)は、いったん所望の角度が設定されると(例えば外科医によって設置されるように)、切断ガイド100と接続(例えば、第2の軸穴209)されてもよい。
【0040】
図4~
図7を参照すると、切断ガイド100上の1箇所の穴/軸穴(例えば軸穴209)の位置は、例えば、第1の軸穴(例えば208)に対する角度にあってよい。少なくとも2本のkワイヤ(例えばkワイヤ131とkワイヤ132)を、軸穴208と軸穴209を介して互いに対する角度で挿入することで、切断中に切断ガイド100が上方向にずれるのを抑制または阻止することができる。第3のkワイヤ(例えばkワイヤ133)は、切断ガイド100を通って、例えば第1中足骨122の外側縁部へと接続されてよい。最後のkワイヤ(例えばkワイヤ134)は、例えば第1中足骨122の内側の面へと配置され、第2の部材103にkワイヤを固定してよい。
【0041】
さらに、
図7~
図10を参照すると、移動式中足骨切断部103は、例えば並進ねじ106を用いて駆動され得る。他の作動部材を使用し、切断ガイド本体104に対して移動式中足骨切断部103を並進させることができる。中足骨調整ねじ106を駆動させることで、切断ガイド100の中足骨切断部103(例えば中足骨切断部103の遠位側中足骨切断スロット102)は遠位方向に進められる。外側側面を固定しつつ、第1中足骨122の内側側面を遠位側に進めることで、中足骨(例えば第1中足骨122)にモーメントがかかり、中足骨間の角度140を減少させる。中足骨切断部103が遠位方向に進むことによって、近位側楔状骨切断スロット101と遠位側中足骨切断スロット102の双方は平行状態を維持する。
【0042】
さらに
図11~
図14を参照すると、中足骨間の角度140が所望の角度に減少し、第1中足骨122が所望の位置につくと、近位側楔状骨切断スロット101と遠位側中足骨切断スロット102を使って、鋸で平行に切断することができる。双方のスロットは平行であり、例えば楔状骨121の外側側面および第1中足骨122の外側側面から骨物質を多く切除するように構成されている(例えば形がとられていたり、寸法が決められている)。別の例では、切断ガイド100の位置決めは、骨の整列(すなわち、内側楔状骨121と第1中足骨122の整列)のために骨を除去して平行な表面を作成しつつ、平行な構成の内側楔状骨121および第1中足骨122から物質を切除するために選択されている。この場合、かかる除去は傾斜角度を矯正するために必須である。
図11~
図14を参照すると、いったん切断されると、切断ガイド100は取り外され、骨(すなわち内側楔状骨121および第1中足骨122)は金属製工具を配置するために並置状態となる。ただし、切断ガイド100は、金属製工具の配置を容易にするために接続されたままでもよい。第1中足骨122の外側縁部上のkワイヤを取り外すことで、並進ねじ106を例えば反対方向に回転させることができ、それにより、骨が並置した状態となり圧縮が適用されるまで、移動式中足骨切断部103が切断ガイド本体104に向かって前進される。
【0043】
続けて
図11~
図14を参照すると、切断ガイド100は切断を行う前に切断角度を設定し、骨(例えば、内側楔状骨121および第1中足骨122)を平行に切断し、これによって内側楔状骨121および第1中足骨122を所望の角度に設置させることが可能となる。切断を行う前に角度を設定することで、関節の矯正が最初に実施される。そうすることで、中足骨間の角度140は切断前に調整され、調整された中足骨間の角度にて第1中足骨122が内側楔状骨121と癒合/接続される前に、切断ガイド100によって規定量の骨を除去する、2回の平行な切断(例えば内側楔状骨121の切断と第1中足骨122の切断)を行うことになる。切断後の骨表面は平行であり、例えば癒合時にはほぼ平らな状態であってもよい。切断前に骨を調整するため、調整された中足骨間の角度(例えば中足骨間の角度140)に癒合が影響することはなく、第1中足骨122は調整された中足骨間の角度にて位置決めされた状態を維持する。
【0044】
スロット(例えば楔状骨切断スロット101および遠位側中足骨切断スロット102)は、平行で、鋸によって平行に切断することができると上記にて記載されているが、中足骨間の角度(例えば、中足骨間の角度140)に所望の矯正を行った後に骨の癒合が可能となるよう、かかるスロットを介して切断した後に、癒合される骨(例えば第1中足骨122および内側楔状骨121)の骨表面が十分平行であるよう、かかるスロットは実質的またはほぼ平行であってよい。
【0045】
切断ガイド100は、内側の骨の大半を中足骨よりも楔状骨から除去するように、その方向が逆にされてもよい。
【0046】
他の実施形態では、最初のkワイヤの穴は、患者に合わせて切断深さを調節可能であるスロットであってもよい。
【0047】
前額面の回転を矯正するプロセスは、遠位側のkワイヤを配置する前に生じる。
【0048】
この発明は、少なくとも1つの実施形態に関連して記載されたものであるが、本発明は本開示の精神および範囲内でさらに変更することができる。したがって、本出願は、一般的な原理を用いた本発明の任意の変更、利用または適用を、有効範囲として含むことを意図している。さらに、本出願は、本発明が属し、かつ添付の特許請求の範囲の限定に該当する当技術分野において、公知または慣例の範囲内にある本開示からの前述の乖離を有効範囲内に含むことを意図している。