(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-07
(45)【発行日】2024-03-15
(54)【発明の名称】食器用洗浄剤
(51)【国際特許分類】
C11D 1/02 20060101AFI20240308BHJP
C11D 3/37 20060101ALI20240308BHJP
C11D 1/72 20060101ALI20240308BHJP
C11D 1/94 20060101ALI20240308BHJP
C11D 1/75 20060101ALI20240308BHJP
A47L 15/42 20060101ALI20240308BHJP
【FI】
C11D1/02
C11D3/37
C11D1/72
C11D1/94
C11D1/75
A47L15/42 Z
(21)【出願番号】P 2020171744
(22)【出願日】2020-10-12
【審査請求日】2023-05-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 温子
【審査官】黒川 美陶
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-126936(JP,A)
【文献】特開2020-084054(JP,A)
【文献】特許第7370240(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成分:アニオン性界面活性剤と、
(B)成分:アミンオキシド型界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種と、
(C)成分:カチオン性高分子化合物と、
(D)成分:キレート剤と、
(E)成分:3~6価アルコールのプロピレンオキシド付加物と、を含有し、
食器用洗浄剤の総質量に対して、前記(C)成分の含有量が0.1~2質量%であり、前記(D)成分の含有量が酸型として1~10質量%であり、
前記(D)成分/前記(E)成分で表される質量比が0.1~800である、食器用洗浄剤。
【請求項2】
前記(A)成分/前記(B)成分で表される質量比が0.5~2.5である、請求項1に記載の食器用洗浄剤。
【請求項3】
前記(E)成分がグリセリンのプロピレンオキシド付加物である、請求項1又は2に記載の食器用洗浄剤。
【請求項4】
(前記(C)成分+前記(D)成分)/前記(E)成分で表される質量比が0.3~100である、請求項1~3のいずれか一項に記載の食器用洗浄剤。
【請求項5】
(前記(D)成分+前記(E)成分)/前記(C)成分で表される質量比が1~50である、請求項1~4のいずれか一項に記載の食器用洗浄剤。
【請求項6】
(F)成分:グリコールエーテル系溶剤をさらに含有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の食器用洗浄剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器用洗浄剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、消費者の生活スタイルの変化からも食器洗い行動において「手早さ」が重視されている。食器用洗浄剤において「手早さ」に繋がる重要な要因としては、しっかり油汚れが落ちる「洗浄力」に加えて、食器洗浄中及び食器すすぎ時における「ヌルつきが少ないこと」、及び食器洗浄後に乾燥させ、食器棚等に収納するまでの総合的な時間を短縮できる「水切れが早いこと(水切れ性に優れること)」が挙げられ、これらの性能を満足することが望まれる。
食器用洗浄剤において、ヌルつきの低減や水切れ性に関し、種々の検討がなされている。
【0003】
特許文献1には、アニオン界面活性剤と、両性界面活性剤及び半極性界面活性剤の少なくとも一方と、カチオン化セルロースとを特定量含有する液体洗浄剤が提案されている。特許文献1に記載の発明によれば、水切れ性等の向上が図られている。
特許文献2には、アニオン界面活性剤と、半極性界面活性剤及び両性界面活性剤の少なくとも一方と、カチオン化セルロースと、特定のノニオン界面活性剤とを特定の比率で含有する食器洗い用液体洗浄剤が提案されている。特許文献2に記載の発明によれば、水切れ性の向上と、洗浄時及びすすぎ時のヌルつきの抑制が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-155499号公報
【文献】特開2018-35251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、使用した食器を長時間(例えば24時間)放置した後に、従来の食器用洗浄剤を用いて洗浄した場合、水切れ性が低下することがある。放置時間が長いほど、水切れ性が低下しやすくなる傾向にある。
本発明は、ヌルつきを低減でき、使用後に長時間放置された食器に対しても優れた水切れ性を発揮できる食器用洗浄剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は以下の態様を有する。
[1] (A)成分:アニオン性界面活性剤と、
(B)成分:アミンオキシド型界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種と、
(C)成分:カチオン性高分子化合物と、
(D)成分:キレート剤と、
(E)成分:3~6価アルコールのプロピレンオキシド付加物と、を含有し、
食器用洗浄剤の総質量に対して、前記(C)成分の含有量が0.1~2質量%であり、前記(D)成分の含有量が酸型として1~10質量%であり、
前記(D)成分/前記(E)成分で表される質量比が0.1~800である、食器用洗浄剤。
[2] 前記(A)成分/前記(B)成分で表される質量比が0.5~2.5である、前記[1]の食器用洗浄剤。
[3] 前記(E)成分がグリセリンのプロピレンオキシド付加物である、前記[1]又は[2]の食器用洗浄剤。
[4] (前記(C)成分+前記(D)成分)/前記(E)成分で表される質量比が0.3~100である、前記[1]~[3]のいずれかの食器用洗浄剤。
[5] (前記(D)成分+前記(E)成分)/前記(C)成分で表される質量比が1~50である、前記[1]~[4]のいずれかの食器用洗浄剤。
[6] (F)成分:グリコールエーテル系溶剤をさらに含有する、前記[1]~[5]のいずれかの食器用洗浄剤。
[7] 食器用洗浄剤の総質量に対して、前記(F)成分の含有量が0.1~5質量%である、前記[6]の食器用洗浄剤。
[8] 前記(C)成分がカチオン化セルロースを含む、前記[1]~[7]のいずれかの食器用洗浄剤。
[9] 前記(E)成分の重量平均分子量が250以上である、前記[1]~[8]のいずれかの食器用洗浄剤。
[10] 食器用洗浄剤の総質量に対して、前記(A)成分の含有量が4~25質量%である、前記[1]~[9]のいずれかの食器用洗浄剤。
[11] 食器用洗浄剤の総質量に対して、前記(B)成分の含有量が2~20質量%である、前記[1]~[10]のいずれかの食器用洗浄剤。
[12] 食器用洗浄剤の総質量に対して、前記(E)成分の含有量が0.01~10質量%である、前記[1]~[11]のいずれかの食器用洗浄剤。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ヌルつきを低減でき、使用後に長時間放置された食器に対しても優れた水切れ性を発揮できる食器用洗浄剤を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の食器用洗浄剤は、以下に示す(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分及び(E)成分を含有する組成物である。食器用洗浄剤は、以下に示す(F)成分をさらに含有することが好ましい。食器用洗浄剤は、必要に応じて(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、(E)成分及び(F)成分以外の任意成分をさらに含有してもよい。
本発明の食器用洗浄剤は、いわゆる手洗い用の食器用洗浄剤である。
【0009】
<(A)成分>
(A)成分は、アニオン性界面活性剤である。
食器用洗浄剤が(A)成分を含有することで、台所用洗剤の基本性能として必要な油汚れに対する洗浄力(油汚れ洗浄力)、泡立ち性を発揮できる。これら油汚れ洗浄力及び泡立ち性は、後述の(B)成分と組み合わせることにより特に高まる。
【0010】
(A)成分としては、例えばα-オレフィンスルホン酸又はその塩、直鎖又は分岐鎖のアルキル硫酸エステル又はその塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル又はその塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル又はその塩、アルキル基を有するアルカンスルホン酸又はその塩、α-スルホ脂肪酸エステル又はその塩、スルホコハク酸アルキルエステル又はその塩、スルホコハク酸ジアルキルエステル又はその塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩などが挙げられる。
アニオン性界面活性剤の塩の形態としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩;モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン塩などが挙げられる。
【0011】
(A)成分としては、洗浄力がより高まる観点から非石鹸系アニオン性界面活性剤が好ましく、その中でも、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル又はその塩、アルキル基を有するアルカンスルホン酸又はその塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩、スルホコハク酸ジアルキルエステル又はその塩が好ましく、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル又はその塩、アルキル基を有するアルカンスルホン酸又はその塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩がより好ましい。
【0012】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル又はその塩としては、例えば下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
R1-O-[(PO)m/(EO)n]-SO3
- 1/X・M+ ・・・(1)
(一般式(1)中、R1は炭素数8~18の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基であり、かつ、酸素原子と結合している炭素原子は第1級炭素原子である。POはオキシプロピレン基を表し、EOはオキシエチレン基を表し、mはPOの平均繰り返し数を表し、0≦m<1を満たす数であり、nはEOの平均繰り返し数を表し、0<n≦4を満たす数であり、M+は水素イオン以外の陽イオンであり、XはM+の価数である。)
【0013】
一般式(1)中、R1の炭素数は8~18であり、10~14が好ましく、12~14がより好ましい。R1としては、洗浄力及び環境面から、油脂原料由来のアルキル基であることが好ましい。好適な油脂原料としては、パーム核油、ヤシ油等が挙げられる。
【0014】
POの平均繰り返し数(すなわち、プロピレンオキシドの平均付加モル数)は、0以上、1未満であり、0が好ましい。
EOの平均繰り返し数(すなわち、エチレンオキシドの平均付加モル数)は、0超、4以下であり、1~4が好ましい。
mが0超の場合、(PO)m/(EO)nにおいて、EOとPOはランダム付加であってもよくブロック付加であってもよく、配列状態は問わない。
【0015】
一般式(1)中、M+は水素イオン以外の陽イオンであり、価数がXである。M+としては、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又はアルカノールアミン等、水溶性の塩を形成し得るものが挙げられる。
アルカリ金属としては、ナトリウム、カリウムなどが挙げられる。
アルカリ土類金属としては、カルシウム、マグネシウムなどが挙げられる。
アルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが挙げられる。
【0016】
アルキル基を有するアルカンスルホン酸又はその塩としては、炭素数10~20のアルカンスルホン酸又はその塩が挙げられ、炭素数14~17のアルカンスルホン酸又はその塩が好ましく、炭素数14~17の第2級アルカンスルホン酸又はその塩が特に好ましい。
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩としては、直鎖アルキル基の炭素数が8~16の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩が好ましく、直鎖アルキル基の炭素数が10~14の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩が特に好ましい。
スルホコハク酸ジアルキルエステル又はその塩としては、アルキル基の炭素数が8~20のスルホコハク酸ジアルキルエステル又はその塩が好ましく、アルキル基の炭素数が8~16のスルホコハク酸ジアルキルエステル又はその塩が特に好ましい。
【0017】
(A)成分として具体的には、ポリオキシエチレン(1)直鎖アルキル(C12)エーテル硫酸エステルナトリウム塩、ポリオキシエチレン(2)直鎖アルキル(C12)エーテル硫酸エステルナトリウム塩、ポリオキシエチレン(4)直鎖アルキル(C12)エーテル硫酸エステルナトリウム塩、ポリオキシエチレン(1)直鎖アルキル(C12/14=75/25;天然油脂由来)エーテル硫酸エステルナトリウム塩、ポリオキシエチレン(2)直鎖アルキル(C12/14=75/25;天然油脂由来)エーテル硫酸エステルナトリウム塩、ポリオキシエチレン(4)直鎖アルキル(C12/14=75/25;天然油脂由来)エーテル硫酸エステルナトリウム塩、アルカンスルホン酸ナトリウム塩、直鎖アルキル(C10~14)ベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、スルホコハク酸ジ-2-エチルヘキシルナトリウム塩などが挙げられる。
これらの中でも、本発明の効果が特に得られやすいことから、ポリオキシエチレン(1)直鎖アルキル(C12/14=75/25;天然油脂由来)エーテル硫酸エステルナトリウム塩、ポリオキシエチレン(2)直鎖アルキル(C12/14=75/25;天然油脂由来)エーテル硫酸エステルナトリウム塩、ポリオキシエチレン(4)直鎖アルキル(C12/14=75/25;天然油脂由来)エーテル硫酸エステルナトリウム塩、アルカンスルホン酸ナトリウム塩、直鎖アルキル(C10~14)ベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、スルホコハク酸ジ-2-エチルヘキシルナトリウム塩が好ましく、ポリオキシエチレン(1)直鎖アルキル(C12/14=75/25;天然油脂由来)エーテル硫酸エステルナトリウム塩、アルカンスルホン酸ナトリウム塩、直鎖アルキル(C10~14)ベンゼンスルホン酸ナトリウム塩がより好ましい。
(A)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0018】
ここで、例えば「ポリオキシエチレン(1)」とは、オキシエチレン基の平均繰返し数が1(エチレンオキシドの平均付加モル数が1)であることを意味する。
「C12/14=75/25;天然油脂由来」とは、炭素数12の直鎖アルキル基を有するものと、炭素数14の直鎖アルキル基を有するものとの混合物(混合比率:質量比で75/25)であること、天然油脂由来の直鎖状のアルキル基であることを意味する。
【0019】
(A)成分の含有量は、食器用洗浄剤の総質量に対して4~25質量%が好ましく、8~15質量%がより好ましい。(A)成分の含有量が上記下限値以上であれば、水切れ性及び油汚れ洗浄力をより高められる。(A)成分の含有量が上記上限値以下であれば、食器用洗浄剤における液の均一性が保たれやすく、油汚れ洗浄力をより安定的に発揮できる。
【0020】
<(B)成分>
(B)成分は、アミンオキシド型界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種である。
食器用洗浄剤が(B)成分を含有することで、(A)成分との相乗効果により台所用洗剤の基本性能として必要な油汚れ洗浄力、泡立ち性が高まる。
【0021】
アミンオキシド型界面活性剤としては、アルキルアミンオキシド型、アルカノイルアミドアルキルアミンオキシド型などが挙げられる。
アミンオキシド型界面活性剤としては、下記一般式(2)で表される化合物が好ましい。
R2-(A)p-N(-R3)(-R4)→O ・・・(2)
(一般式(2)中、R2は炭素数8~18の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基又は炭素数8~18の直鎖もしくは分岐鎖のアルケニル基であり、R3及びR4はそれぞれ独立して炭素数1~3のアルキル基又は炭素数1~3のヒドロキシアルキル基であり、Aは-C(=O)-NH-R5-、-NH-C(=O)-R5-、-C(=O)-O-R5-、-O-C(=O)-R5-又は-O-R5-であり、R5は炭素数1~4のアルキレン基であり、pは0又は1の数である。)
【0022】
一般式(2)中、R2の炭素数は8~18であり、10~14が好ましい。R2としては、炭素数8~18の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基が好ましい。
一般式(2)中、R3、R4としては、それぞれ炭素数1~3のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましく、R3及びR4がいずれもメチル基であることがさらに好ましい。
一般式(2)中、Aは、-C(=O)-NH-R5-が好ましい。
一般式(2)中、pは、0又は1の数であり、0が好ましい。
【0023】
一般式(2)で表される化合物の具体例としては、ラウリルジメチルアミンオキシド(n-ドデシルジメチルアミンオキシド)、ヤシアルキルジメチルアミンオキシド、ラウリルジエチルアミンオキシド、ミリスチルジメチルアミンオキシド等のアルキルジメチルアミンオキシド;ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド等のアルカノイルアミドアルキルジメチルアミンオキシドなどが挙げられる。これらの中でも、本発明の効果が特に得られやすいことから、ラウリルジメチルアミンオキシド、ヤシアルキルジメチルアミンオキシド、ラウリルジエチルアミンオキシド、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシドが好ましく、ラウリルジメチルアミンオキシドがより好ましい。
アミンオキシド型界面活性剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0024】
両性界面活性剤としては特に限定されず、従来の食器洗い用洗浄剤に用いられる一般的な両性界面活性剤のいずれも用いることができるが、例えばカルボン酸塩型(ベタイン型ともいう。)、硫酸エステル塩型、スルホン酸塩型、リン酸エステル塩型などが挙げられる。これらの中でも、カルボン酸塩型両性界面活性剤が好ましい。
カルボン酸塩型の両性界面活性剤の具体例としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシアルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシアルキルアミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインなどが挙げられる。
両性界面活性剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0025】
(B)成分としては、アミンオキシド型界面活性剤が好ましく、その中でも特にアルキルアミンオキシド型界面活性剤がより好ましい。
(B)成分の含有量は、食器用洗浄剤の総質量に対して2~20質量%が好ましく、5~12質量%がより好ましい。(B)成分の含有量が上記下限値以上であれば、水切れ性及び油汚れ洗浄力をより高められる。(B)成分の含有量が上記上限値以下であれば、食器用洗浄剤における液の均一性が保たれやすく、油汚れ洗浄力をより安定的に発揮できる。
【0026】
(A)成分/(B)成分で表される質量比(以下、「A/B比」ともいう。)は0.5~2.5が好ましく、0.5~2がより好ましく、0.5~1.5がさらに好ましく、0.8~1.5が特に好ましい。A/B比が上記範囲内であれば、水切れ性の向上とヌルつきの抑制を両立しやすい。
【0027】
<(C)成分>
(C)成分は、カチオン性高分子化合物である。
食器用洗浄剤が(C)成分を含有することで、後述の(D)成分との相乗効果により水切れ性が高まる。特に、使用後の食器を長時間(例えば24時間)放置した後に洗浄した場合の水切れ性を良好に維持できる。
【0028】
(C)成分としては、カチオン化セルロース、カチオン化セルロース以外のソイルリリース剤などが挙げられる。カチオン化セルロース以外のソイルリリース剤としては、例えばヒドロキシエチルセルロースを、アルキル(好ましくはラウリル)グリシジルエーテルにてアルキル化し、さらにグリシジルトリメチルアンモニウムクロライドでカチオン化反応して得られる反応生成物が挙げられる。この反応生成物のアルキル基の置換度は0.01~0.5か好ましく、カチオン基の置換度は0.001~0.4以下が好ましい。
これらの中でも、水切れ性がより高まる観点から、カチオン化セルロースが好ましい。
(C)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0029】
カチオン化セルロースとしては、例えば下記一般式(3)で表される化合物、下記一般式(4)で表される化合物、下記一般式(5)で表される化合物、下記一般式(6)で表される化合物などが挙げられ、具体的には、ヒドロキシトリメチルアンモニオプロピルヒドロキシエチルセルロースクロリド、ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド重合体等のカチオン変性ヒドロキシエチルセルロースなどが挙げられる。これらの中でも、水切れ性に特に優れる観点から、下記一般式(3)で表される化合物が好ましい。
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
一般式(3)で表される化合物の重量平均分子量は1万~数百万である。
一般式(4)表される化合物の重量平均分子量は1万~数百万である。
一般式(5)で表される化合物の重量平均分子量は1万~数十万である。
一般式(6)表される化合物の重量平均分子量は1万~数十万である。
【0035】
(C)成分のカチオン化度は、0.5~3.5質量%が好ましく、1.5~2.5質量%がより好ましい。(C)成分のカチオン化度が上記範囲内であれば、水切れ性がより高まる。
ここで、「カチオン化度」とは、(C)成分の分子中に占める、カチオン化剤に由来する窒素原子の含有率(質量%)、すなわち、(C)成分の総質量に対する窒素原子の含有率を意味する。
(C)成分のカチオン化度は、特定された化学構造に基づいて計算される。
(C)成分における任意のモノマーの比率が不明な場合等、(C)成分の化学構造が特定されない場合には、(C)成分のカチオン化度は、実験的に求められた窒素含有率から算出される。(C)成分中の窒素含有率の測定方法としては、例えば、ケルダール法等が挙げられる。
【0036】
25℃における(C)成分の2質量%水溶液の粘度は、50~35000mPa・sが好ましく、70~500mPa・sがより好ましく、70~200mPa・sがさらに好ましい。(C)成分の2質量%水溶液の粘度が上記範囲内であれば、水切れ性と液体組成物とした場合の安定性とのバランスに優れる。
粘度は、25℃の(C)成分の2質量%の水溶液をB型粘度計で測定した値である。粘度の測定条件は、以下の通りである。
【0037】
測定条件:
[ローター]
測定対象の粘度に対応するローター番号、ローター回転数は、下記の通りである。
・粘度が500mPa・s未満:ローター番号No.2、回転数60rpm。
・粘度が500mPa・s以上2000mPa・s未満:ローター番号No.3、回転数60rpm。
・粘度が2000mPa・s以上10000mPa・s未満:ローター番号No.4、回転数60rpm。
・粘度が10000mPa・s以上50000mPa・s未満:ローター番号No.4、回転数12rpm。
[数値の読み取り]
ローターの回転の開始から60秒後。
【0038】
(C)成分としては、例えば、商品名「レオガードGP(第4級窒素含有率1.8質量%、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)」、商品名「レオガードMGP(第4級窒素含有率1.8質量%、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)」、商品名「レオガードMLP(第4級窒素含有率0.6質量%、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)」、商品名「UCARE JR125(第4級窒素含有率1.9質量%、ダウ・ケミカル社製)」、商品名「UCARE JR400(第4級窒素含有率1.9質量%、ダウ・ケミカル社製)」、商品名「UCARE LR30M(第4級窒素含有率1.0質量%、ダウ・ケミカル社製)」などが挙げられる。これらの中でも、水切れ性がより高まる観点から、「UCARE JR125」、「UCARE JR400」が好ましく、「UCARE JR125」がより好ましい。
【0039】
(C)成分の含有量は、食器用洗浄剤の総質量に対して0.1~2質量%であり、0.1~1質量%が好ましく、0.1~0.5質量%がより好ましく、0.2~0.3質量%がさらに好ましい。(C)成分の含有量が上記下限値以上であれば、油汚れ洗浄力及び水切れ性がより高まる。(C)成分の含有量が上記上限値以下であれば、ヌルつきをさらに抑制できる。
【0040】
<(D)成分>
(D)成分は、キレート剤である。
食器用洗浄剤が(D)成分を含有することで、後述の(E)成分との相乗効果により、水切れ性、特に使用後の食器を長時間放置した後に洗浄した場合の水切れ性との向上と、ヌルつきの抑制を両立しやすい。
【0041】
(D)成分としては特に限定されず、従来の食器洗い用洗浄剤に用いられる一般的なキレート剤のいずれも用いることができるが、例えばエチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、β-アラニン二酢酸、エチレンジアミン二コハク酸、L-アスパラギン酸-N,N-二酢酸、ジヒドロキシエチルエチレンジアミン二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、クエン酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、L-グルタミン酸二酢酸、1,3-ジアミノ-2-ヒドロキシプロパン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、ジヒドロキシエチルグリシン、3-ヒドロキシ-2,2’-イミノジコハク酸、セリン二酢酸、アスパラギン二酢酸、メチルグリシン二酢酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸、トリポリリン酸、又はこれらの塩などが挙げられる。
キレート剤を構成する塩としては、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩、 カリウム塩がより好ましい。
【0042】
上述した中でも、(D)成分としては、クエン酸、L-グルタミン酸二酢酸、メチルグリシン二酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジアミン四酢酸又はこれらの塩が好ましく、これらの中でも、水切れ性がより高まる観点から、クエン酸又はその塩が特に好ましい。
(D)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0043】
(D)成分の含有量は酸型として、食器用洗浄剤の総質量に対して1~10質量%であり、2~6が好ましく、2.8~6質量%がより好ましく、2.8~4質量%がさらに好ましい。(D)成分の含有量が上記下限値以上であれば、油汚れ洗浄力及び水切れ性、特に使用後の食器を長時間放置した後に洗浄した場合の水切れ性がより高まる。(D)成分の含有量が上記上限値以下であれば、ヌルつきをさらに抑制できる。
【0044】
<(E)成分>
(E)成分は、3~6価アルコールのプロピレンオキシド付加物である。
食器用洗浄剤が(E)成分を含有することで、(D)成分との相乗効果により、水切れ性、特に使用後の食器を長時間放置した後に洗浄した場合の水切れ性との向上と、ヌルつきの抑制を両立しやすい。
3~6価アルコールとしては、例えばグリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどが挙げられる。
(E)成分としては、例えばトリオール型、テトラオール型、ペンタオール型又はヘキサオール型のポリプロピレングリコールなどが挙げられる。これらの中でも、ヌルつきを低減できる観点から、トリオール型のポリプロピレングリコールが好ましい。その中でも特に、ヌルつきをより低減できる観点から、下記一般式(7)で表されるグリセリンのプロピレンオキシド付加物が好適である。
(E)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0045】
【0046】
一般式(7)中、POはオキシプロピレン基を表し、a、b、cは、それぞれ独立にPOの平均繰り返し数を表し、10~350の数である。
【0047】
(E)成分の重量平均分子量は、200以上が好ましく、250以上がより好ましく、250~5500がさらに好ましく、250~5000さらに好ましく、2000~5000がさらに好ましく、3500~4500が特に好ましく、3500~4000が最も好ましい。
(E)成分の重量平均分子量が上記下限値以上であれば、油汚れ洗浄力がより高まる。(E)成分の含有量が上記上限値以下であれば、液安定性が向上する。
(E)成分の重量平均分子量は、ポリプロピレングリコール(重量平均分子量:800、1200、2000、4000)を標準としたGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)で得られる分子量分布より求められる。
【0048】
(E)成分が、例えば一般式(7)で表されるグリセリンのプロピレンオキシド付加物の場合、(E)成分はグリセリンにプロピレンオキシドを付加重合させることで製造できる。この際、付加重合させるプロピレンオキシドの供給量を調節することにより、所望の重量平均分子量を有するプロピレンオキシド付加物を製造できる。
【0049】
(E)成分の含有量は、食器用洗浄剤の総質量に対して0.01~10質量%が好ましく、0.05~2質量%がより好ましく、0.1~1質量%がさらに好ましい。(E)成分の含有量が上記下限値以上であれば、ヌルつきをさらに抑制できる。(E)成分の含有量が上記上限値以下であれば、油汚れ洗浄力がより高まる。
【0050】
(D)成分/(E)成分で表される質量比(以下、「D/E比」ともいう。)は0.1~800であり、1~100が好ましく、10~50がより好ましい。D/E比が上記範囲内であれば、水切れ性の向上とヌルつきの抑制を両立しやすい。特に、D/E比が上記下限値以上であれば、水切れ性、特に使用後の食器を長時間放置した後に洗浄した場合の水切れ性がより高まる。D/E比が上記上限値以下であれば、ヌルつきをさらに抑制できる。
【0051】
((C)成分+(D)成分)/(E)成分で表される質量比(以下、「(C+D)/E比」ともいう。)は0.3~100が好ましく、1~100がより好ましく、1~55がさらに好ましく、10~55が特に好ましい。(C+D)/E比が上記下限値以上であれば、ヌルつきをさらに抑制できる。(C+D)/E比が上記上限値以下であれば、水切れ性、特に使用後の食器を長時間放置した後に洗浄した場合の水切れ性がより高まる。
なお、ここでいう(D)成分の質量は、酸型としての量である。
【0052】
((D)成分+(E)成分)/(C)成分で表される質量比(以下、「(D+E)/C比」ともいう。)は1~50が好ましく、5~50がより好ましく、10~41がさらに好ましく、14~22が特に好ましい。(D+E)/C比が上記範囲内であれば、水切れ性、特に使用後の食器を長時間放置した後に洗浄した場合の水切れ性の向上とヌルつきの抑制を両立しやすい。
なお、ここでいう(D)成分の質量は、酸型としての量である。
【0053】
<(F)成分>
(F)成分は、グリコールエーテル系溶剤である。
食器用洗浄剤が(F)成分を含有することで、(C)成分及び(D)成分との相乗効果により、水切れ性、特に使用後の食器を長時間放置した後に洗浄した場合の水切れ性がより高まる。
【0054】
(F)成分としては、例えばメチルグリコール、メチルジグリコール、メチルトリグリコール、エチルジグリコール、イソプロピルグリコール、イソプロピルジグリコール、ブチルグリコール、ブチルジグリコール、ブチルトリグリコール、イソブチルグリコール、イソブチルジグリコール、ヘキシルグリコール、ヘキシルジグリコール、2-エチルヘキシルグリコール、2-エチルヘキシルジグリコール、フェニルグリコール、フェニルジグリコール、ベンジルグリコール、ベンジルジグリコールなどが挙げられる。これらの中でも、水切れ性がより高まる観点から、ブチルジグリコールが好ましい。
(F)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0055】
(F)成分の含有量は、食器用洗浄剤の総質量に対して0.1~5質量%が好ましく、0.2~3質量%がより好ましく、0.5~2質量%がさらに好ましい。(F)成分の含有量が上記下限値以上であれば、水切れ性、特に使用後の食器を長時間放置した後に洗浄した場合の水切れ性がより高まる。加えて、泡立ち性が良好となる。(F)成分の含有量が上記上限値以下であれば、ヌルつきをさらに抑制できる。
【0056】
<任意成分>
食器用洗浄剤は、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて、上述した成分以外の任意成分を含有してもよい。
任意成分は、剤形等を勘案して適宜選択される。任意成分としては、食器用洗浄剤に通常使用される成分が挙げられ、具体的には、溶媒、(A)成分及び(B)成分以外の他の界面活性剤、(E)成分以外のハイドロトロープ剤、防腐剤、pH調整剤、無機ビルダー(例えば硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、酸化亜鉛等)、酵素、香料、色素、ラジカルトラップ剤などが挙げられる。
【0057】
溶媒としては、水が好ましい。水を溶媒として用いることで、食器用洗浄剤を調製しやすくなる。加えて、食器用洗浄剤を使用する際に、水への溶解性がより良好となる。
水としては、イオン交換水、蒸留水、水道水などを使用することができる。
水の含有量は、食器用洗浄剤の総質量に対して90質量%以下が好ましく、40~85質量%がより好ましく、50~85質量%がさらに好ましい。水の含有量が上記下限値以上であれば、ゲル化が抑制され、液の均一性が高まる。水の含有量が上記上限値以下であれば、各成分の含有量を確保でき、粘度が低くなりすぎず、使用性に優れる。
【0058】
他の界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤などが挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては特に限定されず、従来の食器洗い用洗浄剤に用いられる一般的なノニオン性界面活性剤のいずれも用いることができるが、例えば下記一般式(8)で表されるポリオキシアルキレン付加型ノニオン性界面活性剤、下記一般式(9)で表されるノニオン性界面活性剤、アルキルグリコシド、ソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられる。これらの中でも、ポリオキシアルキレン(炭素数2~3)アルキル(炭素数10~18)エーテル(アルキレンオキシド平均付加モル数5~20)が好ましい。
ノニオン性界面活性剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0059】
R6-O-(R7O)j-H ・・・(8)
(一般式(8)中、R6は炭素数10~18の直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素基であり、R7は炭素数1~3の炭化水素基であり、jは(R7O)の平均繰り返し数を表し、1≦j≦20を満たす数である。)
【0060】
一般式(8)中、R6の炭素数は10~18であり、10~16が好ましく、10~14がより好ましい。R6の炭化水素基としては、アルキル基又はアルケニル基が好ましい。
一般式(8)中、R7の炭化水素基としては、アルキレン基が好ましく、エチレン基、プロピレン基がより好ましい。また、(R7O)としては、オキシエチレン基、オキシプロピレン基が混在してもよい。オキシエチレン基、オキシプロピレン基が混在する場合、これらはランダム状に混在してもよく、ブロック状に混在してもよい。
一般式(8)中、jは1~20であり、5~15が好ましい。
【0061】
R8-C(=O)-NH-(R9O)k-H ・・・(9)
(一般式(9)中、R8は炭素数5~19の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、又は炭素数5~19の直鎖もしくは分岐鎖のアルケニル基であり、R9は炭素数2~4の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基であり、kは(R9O)の平均繰り返し数を表し、1≦k≦20を満たす数である。)
【0062】
一般式(9)中、R8の炭素数は5~19であり、9~13が好ましい。R8としては、アルキル基が好ましい。
一般式(9)中、R9としては、エチレン基、プロピレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。また、(R9O)としては、オキシエチレン基、オキシプロピレン基が混在してもよい。オキシエチレン基、オキシプロピレン基が混在する場合、これらはランダム状に混在してもよく、ブロック状に混在してもよい。
一般式(9)中、kは1~20であり、1~4が好ましい。
【0063】
ノニオン性界面活性剤としては、本発明の効果に加え、食器用洗浄剤の基本性能として必要な泡の持続性が特に得られやすいことから、一般式(8)で表されるポリオキシアルキレン付加型ノニオン性界面活性剤の中でも、特に一般式(8)中のR6が分岐鎖の炭化水素基であるものが好ましく、分岐鎖の第1級アルコールに由来する炭化水素基であることがより好ましく、ガーベットアルコール型ノニオン性界面活性剤がさらに好ましい。
ガーベットアルコール型ノニオン性界面活性剤としては、例えば2-プロピルヘプチルアルコールエトキシレート、2-エチルヘキシルアルコールエトキシレートなどが挙げられる。これらの中でも、2-プロピルヘプチルアルコールエトキシレートが好ましい。エチレンオキシドの平均付加モル数は6~14が好ましく、8~11がより好ましく、10が最も好ましい。
2-プロピルヘプチルアルコールエトキシレートの具体例としては、BASF社製の商品名「Lutensol XP-100」や商品名「Lutensol XP-80」などが挙げられる。
2-エチルヘキシルアルコールエトキシレートの具体例としては、日本乳化剤株式会社製の商品名「ニューコール 1008」などが挙げられる。
【0064】
ノニオン性界面活性剤の含有量は、食器用洗浄剤の総質量に対して1~15質量%が好ましく、2~12質量%がより好ましく、4~8質量%がさらに好ましい。ノニオン性界面活性剤の含有量が上記下限値以上であれば、泡持続性が向上する。ノニオン性界面活性剤の含有量が上記上限値以下であれば、油汚れ洗浄力がより高まり、また、泡立ち性が向上する。
【0065】
カチオン性界面活性剤としては特に限定されず、従来の食器洗い用洗浄剤に用いられる一般的なカチオン性界面活性剤のいずれも用いることができるが、例えばジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムメトサルフェート、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジオクチルジメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジヒドロキシエチルアンモニウムクロライド、ジ牛脂アルキルジメチルアンモニウムクロライド、ジ(ステアロイルオキシエチル)ジメチルアンモニウムクロライド、ジ(オレオイルオキシエチル)ジメチルアンモニウムクロライド、ジ(パルミトイルオキシエチル)ジメチルアンモニウムメトサルフェート、ジ(ステアロイルオキシイソプロピル)ジメチルアンモニウムクロライド、ジ(オレオイルオキシイソプロピル)ジメチルアンモニウムクロライド、ジ(オレオイルオキシブチル)ジメチルアンモニウムクロライド、ジ(ステアロイルオキシエチル)メチルヒドロキシエチルアンモニウムメトサルフェート、トリ(ステアロイルオキシエチル)メチルメトサルフェートなどが挙げられる。なお、「牛脂アルキル」基の炭素数は14~18である。
【0066】
カチオン性界面活性剤の含有量は、食器用洗浄剤の総質量に対して3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。カチオン性界面活性剤の含有量が上記上限値以下であれば、泡立ち性、泡持続性が向上しやすい。
【0067】
食器用洗浄剤に含まれる全ての界面活性剤の含有量の合計(界面活性剤の総量)は、食器用洗浄剤の総質量に対して6~50質量%が好ましく、10~50質量%がより好ましく、10~40質量%がさらに好ましく、15~30質量%が特に好ましい。界面活性剤の総量が上記範囲内であれば、油汚れ洗浄力がより高まる。特に、界面活性剤の総量が上記上限値以下であれば、ゲル化が起こりにくく、食器用洗浄剤の均一性を良好に維持できる。
【0068】
ハイドロトロープ剤(但し、(E)成分を除く)としては、例えば炭素数2~4の1価アルコール、炭素数4~10のグリセリルエーテル、パラトルエンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸塩、クメンスルホン酸、クメンスルホン酸塩、安息香酸、安息香酸塩などが挙げられる。
炭素数2~4の1価アルコールはとしては、例えばエタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ノルマルブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャルブタノールなどが挙げられる。
炭素数4~10のグリセリルエーテルとしては、例えばグリセリン、ヘキシルグリセリルエーテルなどが挙げられる。
これらの中でも、食器用洗浄剤中の(A)~(F)成分の溶解効果及び使用感が高まる観点から、エタノール、パラトルエンスルホン酸塩、安息香酸塩が好ましい。
ハイドロトロープ剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
ハイドロトロープ剤の含有量は、食器用洗浄剤の総質量に対して1~30質量%が好ましく、1~20質量%がより好ましい。
【0069】
防腐剤としては、例えばベンズイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノン、ブチルベンズイソチアゾリノン、クロロメチルイソチアゾリノン、オクチルイソチアゾリノン、ジクロロオクチルイソチアゾリノン等のイソチアゾリン系防腐剤などが挙げられる。これらの中でも、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンが好ましい。
防腐剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
防腐剤の含有量は、食器用洗浄剤の総質量に対して0.0002~0.01質量%(2~100質量ppm)が好ましく、0.0005~0.004質量%(5~40質量ppm)がより好ましい。
【0070】
pH調整剤としては、塩酸、硫酸、リン酸、グリコール酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが挙げられる。
pH調整剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0071】
なお、食器用洗浄剤に含まれる全ての成分の含有量の合計が、100質量%となるものとする。
【0072】
<製造方法>
食器用洗浄剤は、例えば、溶媒である水の一部に、pH調整剤以外の成分を加え、混合し、必要に応じてpH調整剤にて任意のpHに調整した後、水の残部を加えることによって製造できる。
【0073】
<pH>
食器用洗浄剤の25℃でのpHは、6~8が好ましい。
本発明において、食器用洗浄剤のpH(25℃)は、JIS Z 8802:1984「pH測定方法」に準拠した方法により測定される値を示す。
食器用洗浄剤のpHは、上述したpH調整剤を用いて調整すればよい。
【0074】
<使用方法>
食器用洗浄剤の使用方法、すなわち、食器の洗浄方法を以下に説明する。
食器を洗浄する方法としては、任意の量の食器用洗浄剤を洗浄具に付着させ、この洗浄具を用いて洗浄対象を擦り洗いする(擦り洗い操作)方法;食器用洗浄剤を水に分散して洗浄液とし、洗浄液に洗浄対象を任意の時間(浸漬時間)で浸漬する(浸漬操作)方法(浸漬法)などが挙げられる。浸漬操作においては、必要に応じて、洗浄液内で洗浄対象を洗浄具で擦り洗いしてもよい。
擦り洗い操作や浸漬操作は、使用直後の食器に対して行ってもよいし、使用後、短時間(例えば5時間未満)放置した食器に対して行ってもよいし、使用後、長時間(例えば5~24時間程度)放置した食器に対して行ってもよい。
擦り洗い操作や浸漬操作の後、洗浄対象をすすぎ水ですすぎ、洗浄対象に付着している食器用洗浄剤を洗い流す(すすぎ操作)。すすぎ操作を経ることで、洗浄された食器を得る。
【0075】
洗浄対象は、皿、箸、スプーン等の食器が挙げられる。また、洗浄対象は、鍋、包丁、まな板等の調理器具などの台所用品でもよい。本発明においては、食器及び調理器具を総じて、「食器」と称する。
【0076】
<作用効果>
以上説明した本発明の食器用洗浄剤においては、(A)成分及び(B)成分に加えて、特定量又は特定の比率の(C)成分、(D)成分及び(E)成分を含有するので、ヌルつきを低減でき、使用後に長時間放置された食器に対しても優れた水切れ性を発揮できる。
よって、本発明の食器用洗浄剤を用いれば、例えば使用した食器を放置し、翌日に洗浄する場合であっても、水切れ性に優れるので、洗浄後の食器を乾燥させ、食器棚等に収納するまでの総合的な時間を短縮できる。
【実施例】
【0077】
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。なお、各例で用いた成分の配合量は、特に断りのない限り純分換算値である。
【0078】
「使用原料」
(A)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・A-1:ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(AES)、上記一般式(1)中、R1=炭素数12~14の直鎖状のアルキル基、m=0、n=1、M+=ナトリウム、下記合成方法により合成されたもの。
・A-2:ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(AES)、上記一般式(1)中、R1=炭素数12~14の直鎖状のアルキル基、m=0、n=2、M+=ナトリウム(BASF製、商品名「Texapon N70T」)。
・A-3:ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(AES)、上記一般式(1)中、R1=炭素数12~14の直鎖状のアルキル基、m=0、n=4、M+=ナトリウム、下記合成方法により合成されたもの。
・A-4:炭素数14~17の第2級アルカンスルホン酸ナトリウム(SAS)(クラリアントジャパン株式会社製、商品名「HOSTAPUR SAS 30A」)。
・A-5:炭素数10~14のアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS)、テイカ株式会社製の商品名「テイカパワーL121」を水酸化ナトリウムで中和したもの。
・A-6:スルホコハク酸ジ-2-エチルヘキシルナトリウム(東邦化学工業株式会社製、商品名「エアロールCT-1L」)。
【0079】
(A-1の合成方法)
4Lオートクレーブ中に、原料アルコールとしてP&G社製の商品名「CO1270アルコール(C12/C14=75%/25%、質量比)」400gと、反応用触媒として水酸化カリウム0.8gとを仕込み、オートクレーブ内を窒素で置換した後、撹拌しながら昇温した。続いて、温度を180℃、圧力を0.3MPa以下に維持しつつ、エチレンオキシド91gを導入し、反応させた。得られたポリオキシアルキレンエーテルのエチレンオキシドの平均付加モル数は1であった。
次いで、得られたポリオキシアルキレンエーテルのエチレンオキシド237gを撹拌装置付の500mLフラスコにとり、窒素置換した後、液体無水硫酸(サルファン)96gを反応温度40℃に保ちながらゆっくりと滴下した。滴下終了後、撹拌を1時間続け(硫酸化反応)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸を得た。
次いで、得られたポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸を水酸化ナトリウム水溶液で中和することにより、A-1を得た。
【0080】
(A-3の合成方法)
エチレンオキサイドの導入量を91gから364gに変更した以外は、A-1と同様にして、A-3を得た。
【0081】
(B)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・B-1:ラウリルジメチルアミンオキシド(AX)、上記一般式(2)中、R2=炭素数12の直鎖状のアルキル基、R3=メチル基、R4=メチル基、p=0(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、商品名「カデナックス DM12D-W」)。
・B-2:ヤシアルキルジメチルアミンオキシド(AX)、上記一般式(2)中、R2=ヤシ油由来(炭素数12、14)のアルキル基、R3=メチル基、R4=メチル基、p=0(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、商品名「カデナックス DMC-W」)。
・B-3:ラウリルジエチルアミンオキシド(AX)、上記一般式(2)中、R2=炭素数12の直鎖状のアルキル基、R3=エチル基、R4=エチル基、p=0。
・B-4:ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド(APAX)、上記一般式(2)中、R2=炭素数11の直鎖状のアルキル基、R3=メチル基、R4=メチル基、A=-C(=O)-NH-R5-、R5=プロピル基、p=1(クラリアントジャパン株式会社製、商品名「GENAMINOX AP」)。
【0082】
(C)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・C-1:カチオン化セルロース(ダウ・ケミカル社製、商品名「UCARE JR 125」、第4級窒素含有率1.9質量%、25℃における2質量%水溶液の粘度130mPa・s)。
・C-2:カチオン化セルロース(ダウ・ケミカル社製、商品名「UCARE JR 400」、第4級窒素含有率1.9質量%、25℃における2質量%水溶液の粘度400mPa・s)。
・C-3:カチオン化セルロース(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、商品名「レオガードGP」、第4級窒素含有率1.8質量%、25℃における2質量%水溶液の粘度300mPa・s)。
・C-4:カチオン化セルロース(ダウ・ケミカル社製、商品名「UCARE LR 30M」、第4級窒素含有率1.0質量%、25℃における2質量%水溶液の粘度30000mPa・s)。
なお、25℃における2質量%水溶液の粘度は、上記測定条件に基づき測定した。
【0083】
(D)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・D-1:クエン酸(扶桑化学工業株式会社製、商品名「クエン酸」)。
・D-2:エチレンジアミン四酢酸(アクゾノーベルファンクショナルケミカルズ社製、商品名「RYE-34 エデト酸」)。
・D-3:メチルグリシン二酢酸三ナトリウム(BASF社製、商品名「Trilon M Liquid」)。
【0084】
(E)成分及びその代替品((E’)成分)として、以下に示す化合物を用いた。
・E-1:ポリプロピレングリコール(三洋化成工業株式会社製、商品名「サンニックスGP-4000」、トリオール型、重量平均分子量4000)。
・E’-1:ポリプロピレングリコール(三洋化成工業株式会社製、商品名「サンニックスPP-3000」、ジオール型、重量平均分子量3000)。
【0085】
(F)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・F-1:ブチルジグリコール(ブチルカルビトール)(日本乳化剤株式会社製、商品名「ブチルジグリコール」)。
【0086】
任意成分として、以下に示す化合物を用いた。
[共通成分]計9.80203質量%。
・XP-100・・・5.0質量%。
・pTS-H・・・・1.5質量%。
・EtOH・・・・・2.0質量%。
・安息香酸Na・・・1.0質量%。
・BIT・・・・・・0.001質量%。
・MIT・・・・・・0.001質量%。
・香料:・・・・・・0.3質量%。
・緑3号・・・・・・0.00003質量%。
【0087】
なお、共通成分の構成成分は以下の通りである。
(ノニオン界面活性剤)
・XP-100:2-プロピルヘプチルアルコールエトキシレート、上記一般式(8)中、R6=炭素数10の分岐鎖のアルキル基、R7=エチレン基、j=10(BASF社製、Lutensol XP-100)。
(ハイドロトロープ剤)
・pTS-H:パラトルエンスルホン酸(関東化学株式会社製)。
・EtOH:エタノール(日本アルコール販売株式会社製)。
・安息香酸Na:安息香酸ナトリウム(株式会社伏見製薬所製)。
(防腐剤)
・BIT:1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン(アーチケミカルズ社製、商品名「PROXEL XL2」)。
・MIT:2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(ローム・アンド・ハース・ジャパン株式会社製、商品名「ネオロン M-10」)。
(香料)
・香料:特願2017-085282の表1~6に記載の香料組成物A及び香料組成物Bの1:1(質量比)の混合物。
(色素)
・緑3号:(癸巳化成株式会社製)。
【0088】
[その他の任意成分]
(pH調整剤)
・NaOH:水酸化ナトリウム(関東化学株式会社製)。
・硫酸:(関東化学株式会社製)。
(溶媒)
・水:イオン交換水。
【0089】
「実施例1~30、比較例1~7」
<食器用洗浄剤の調製>
表1~6に示す配合組成の食器用洗浄剤1000gを以下の手順にて調製した。
1Lビーカーに(A)成分と、水(水全体の8割)とを入れ、マグネチックスターラー(Fine社製、商品名「F-606N」)で充分に撹拌した。続いて、(B)成分と、(C)成分と、(D)成分と、(E)成分と(F)成分と、水及びpH調整剤(NaOH、硫酸)以外の任意成分(共通成分)とを加え、混合した。混合終了後、25℃でのpHが6~8になるように、必要に応じpH調整剤を適量添加した後、全体量が100質量%になるように残りの水を加え、さらによく撹拌し、食器用洗浄剤を得た。
食器用洗浄剤のpH(25℃)は、食器用洗浄剤を25℃に調温し、ガラス電極式pHメーター(東亜ディーケーケー株式会社製、商品名「HM-30G」)を用い、ガラス電極を食器用洗浄剤に直接に浸漬し、1分間経過後に示すpHを測定した。測定方法は、JIS Z 8802:1984「pH測定方法」に準拠して行った。
得られた各例の食器用洗浄剤について、以下のようにして、水切れ性及びヌルつきを評価した。結果を表1~6に示す。
【0090】
<評価>
(水切れ性の評価)
直径18.5cmの陶器皿にオリーブオイル1gと水5gとをのせ、24時間放置したものを洗浄対象物とした。
11.5cm×7.5cm×3cmの食器洗い用スポンジに、水道水38gと食器用洗浄剤2gをとり、10回手で揉んだ後、洗浄対象物の陶器皿1枚の表面を10回、擦り洗いした。その後、水道水で充分にすすいだ。この陶器皿をほぼ垂直になるように、市販の食器かごに立てかけ、目視により観察しながら陶器皿から水が流れ落ちて陶器皿表面全体の100%の面積に水が付着していない状態になるまでの時間(100%水切れ時間)を計測し、以下の評価基準にて評価した。○、◎、◎◎を合格とする。
≪評価基準≫
◎◎:100%水切れ時間が120秒以下である。
◎:100%水切れ時間が120秒を超え、180秒以下である。
○:100%水切れ時間が180秒を超え、240秒以下である。
△:100%水切れ時間が240秒を超え、300秒以下である。
×:100%水切れ時間が300秒を超える。
【0091】
(ヌルつきの評価)
汚れが付着していない直径21cmの陶器皿を洗浄対象物とした。
100mLビーカーに、水道水45gと食器用洗浄剤5gとを入れ、充分に撹拌した。希釈した食器用洗浄剤40gを洗浄対象物の陶器皿に滴下した。この皿を指で10回擦り、ヌルつきの度合いを以下の評価基準にて評価した。なお、本評価法においては専門評価者5名が評価し、各評価者の評価点を合計した。合計点を判断基準で分類し、合計点が8点以上(○、◎)を合格とする。
≪評価基準≫
3点:非常にヌルつきが軽減されている。
2点:かなりヌルつきが軽減されている。
1点:ややヌルつきが軽減されている。
0点:全くヌルつきが軽減されていない。
≪判断基準≫
◎:専門評価者5名の合計点が15~12点。
○:専門評価者5名の合計点が11~8点。
△:専門評価者5名の合計点が7~4点。
×:専門評価者5名の合計点が3~0点。
【0092】
【0093】
【0094】
【0095】
【0096】
【0097】
【0098】
表1~6中、「適量」とは、各例の食器用洗浄剤のpHを表中の値にするのに要した量である。「バランス」とは、食器用洗浄剤全体で100質量%とするのに必要な水の配合量(質量%)である。また、表中に配合量が記載されていない成分は、配合されていない。
また、「D/E比」は、(D)成分/(E)成分で表される質量比である。「D/E’比」は、(D)成分/(E’)成分で表される質量比である。「A/B比」は、(A)成分/(B)成分で表される質量比である。「(C+D)/E比」は、((C)成分+(D)成分)/(E)成分で表される質量比である。「(C+D)/E’比」は、((C)成分+(D)成分)/(E’)成分で表される質量比である。「(D+E)/C比」は、((D)成分+(E)成分)/(C)成分で表される質量比である。「(D+E’)/C比」は、((D)成分+(E’)成分)/(C)成分で表される質量比である。
【0099】
表1~5から明らかなように、各実施例の食器用洗浄剤は、ヌルつきを低減でき、使用後に長時間放置された食器に対しても優れた水切れ性を発揮できた。
一方、表6から明らかなように、(C)成分の含有量が0.05質量%である比較例1の食器用洗浄剤は、水切れ性に劣っていた。
(C)成分の含有量が2.5質量%である比較例2の食器用洗浄剤は、ヌルつきやすかった。
(D)成分の含有量が0.25質量%である比較例3の食器用洗浄剤、及び(D)成分の含有量が0.5質量%である比較例5の食器用洗浄剤は、水切れ性に劣っていた。
D/E比が1000である比較例4の食器用洗浄剤は、ヌルつきやすかった。
(E)成分の代わりに、2価アルコールのプロピレンオキシド付加物を用いた比較例6の食器用洗浄剤は、ヌルつきやすかった。
(D)成分及び(E)成分を含まない比較例7の食器用洗浄剤は、水切れ性に劣っていた。また、ヌルつきやすかった。